説明

インピーダンス制御ワイヤーボンド及び基準ワイヤーボンドを有するマイクロ電子アセンブリ

マイクロ電子アセンブリが、相互接続素子930、たとえば、基板と共に接続されるマイクロ電子デバイス、たとえば、半導体チップ910を含むことができ、相互接続素子は、信号コンタクト990及び基準コンタクト980を有する。基準コンタクトは、グラウンド、又は電源を供給するために用いられる電圧源のようなグラウンド以外の電圧源のような基準電位の発生源に接続可能にすることができる。信号導体、たとえば、信号ワイヤーボンド965は、マイクロ電子デバイス910の表面において露出するデバイスコンタクト912に接続することができる。基準導体、たとえば、基準ワイヤーボンド975を設けることができ、そのうちの少なくとも1つは、相互接続素子930の2つの基準コンタクト980に接続することができる。基準ワイヤーボンド975は、マイクロ電子デバイスに接続される信号導体の長さの少なくとも実質的な部分にわたって、その信号導体、たとえば、信号ワイヤーボンド965から少なくとも実質的に均等な間隔を置いて延在する経路を有することができる。そのようにして、信号導体のための所望のインピーダンスを達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2009年9月22日に出願の韓国特許出願第10−2009−0089471号からの優先権を主張し、2009年3月13日に出願の米国仮特許出願第61/210,063号の利益を主張し、それらの特許出願の開示内容を引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子チップは通常、本体が平坦であり、反対に面する実質的に平坦な前面及び背面を有し、これらの面間に延在するエッジを有する。チップは一般的に、前面上に、チップ内の回路に電気的に接続されるコンタクトを有し、コンタクトはパッド又はボンドパッドと呼ばれる場合もある。チップは通常、適切な材料を用いてチップを封入し、チップコンタクトに電気的に接続される端子を有するマイクロ電子パッケージを形成することによって、パッケージ封止される。そして、パッケージを試験装置に接続し、パッケージされたデバイスが所望の性能標準規格に適合するか否かを判断することができる。試験されると、ハンダ付けのような適切な接続方法によって、パッケージ端子をプリント回路基板(PCB)上の対応するランドに接続することによって、そのパッケージを、より大きな回路(たとえば、コンピュータ又は携帯電話のような電子製品内の回路)に接続することができる。
【0003】
マイクロ電子パッケージは、ウェハレベルにおいて製造することができる。すなわち、チップ又はダイがまだウェハの形を成している間に、パッケージを構成する封入体、終端及び他の機構を製造することができる。ダイが形成された後に、ウェハ上にパッケージ構造を形成するために、ウェハはいくつかの付加的な工程ステップにかけられ、そして、ウェハをダイシングして、個々にパッケージされたダイを切り離す。ウェハレベル処理は、各ダイパッケージのフットプリントをダイそのもののサイズと同一、又はほぼ同一にすることができ、結果として、パッケージされたダイが取り付けられるプリント回路基板上の面積を非常に効率的に利用することができるので、効率的な製造方法とすることができる。
【0004】
マイクロ電子チップと1つ以上の電子構成要素との間に導電性接続を形成するための一般的な技法は、ワイヤーボンディングによるものである。従来、ワイヤーボンディングツールは、熱エネルギー及び/又は超音波エネルギーを用いて、ワイヤーの端部をマイクロ電子チップ上のパッドに取り付け、そして、そのワイヤーを他の電子構成要素上のコンタクトに配線し、熱的な力及び/又は超音波力を用いて、そこに第2のボンドを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明人は、ワイヤーボンド技術が抱える問題のうちの1つが、ワイヤーに沿った電磁伝送がワイヤーを包囲する空間の中に広がり、付近の導体内に電流を誘導し、不要輻射及び線路の離調を引き起こす可能性があることである。ワイヤーボンドは一般的に、自己インダクタンスの影響も受け、さらには(たとえば、付近の電子構成要素からの)外部からの雑音の影響も受ける。最終的には、これにより、電気的インピーダンスの問題が生じる。マイクロ電子チップ上の、及び他の電子構成要素上のコンタクト間のピッチが狭くなるほど、チップが高い周波数で動作するほど、そして、複数のむき出しのパッドを使用するのが一般的になるほど、これらの問題は深刻になる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マイクロ電子アセンブリのための種々の構造及び製造技法が本明細書において記述される。1つの実施の形態によれば、マイクロ電子アセンブリは、1つ以上のマイクロ電子サブアセンブリにワイヤーボンディングされるマイクロ電子デバイスを含む。
【0007】
したがって、マイクロ電子アセンブリであって、マイクロ電子サブアセンブリ、たとえば基板、キャリア等の相互接続素子と導電接続されるマイクロ電子デバイス、たとえば、半導体チップ、又は付加的な構造が接続される半導体チップを含む、マイクロ電子アセンブリが提供される。マイクロ電子アセンブリは、基準導体又は基準導電性素子、たとえば、ワイヤーボンドを含みうる。基準導体、たとえば、ワイヤーボンドのうちの1つをマイクロ電子サブアセンブリ上の2つの基準コンタクトに接続することができる。基準コンタクトは、グラウンド、又は電源を供給するために用いられる電圧源のようなグラウンド以外の電圧源のような、基準電位の発生源に接続可能にすることができる。代替的には、基準コンタクトは、マイクロ電子デバイスに接続される少なくとも特定の信号導体上で、マイクロ電子デバイスに入力するか、又はマイクロ電子デバイスから出力することができる信号のための対象となる周波数に対して安定しているように見える電位の発生源に接続可能にすることができる。基準ワイヤーボンドは、マイクロ電子デバイスに接続される信号導体の長さの少なくとも実質的な部分にわたって、その信号導体、たとえば、信号ワイヤーボンドの経路に対して少なくとも実質的に均等な間隔を置いて延在する経路を有することができる。基準導体は、信号導体のための所望のインピーダンスを達成できるように、信号導体から適切な間隔を置いて配置することができる。
【0008】
本明細書における一実施の形態によれば、その表面において露出するデバイスコンタクトを有するマイクロ電子デバイスが提供される。相互接続素子は、複数の信号コンタクト及び複数の基準コンタクトを有し、該基準コンタクトは基準電位に接続するために基準電位の発生源に接続可能である。信号導体は特定の前記デバイスコンタクトを前記信号コンタクトに接続することができる。該信号導体は、前記マイクロ電子デバイスの前記表面の上方の経路内に延在する実質的な部分を有することができる。複数の基準導体が、前記基準コンタクトに接続することができる。基準導体は、前記信号導体の前記経路から少なくとも実質的に均等な間隔を置いて配置される経路内に延在する実質的な部分を有することができる。該基準導体のうちの少なくとも1つを、前記相互接続素子の2つの基準コンタクトに接続することができる。そのような実施の形態によれば、前記信号導体のための所望のインピーダンスを達成することができる。
【0009】
本明細書における一実施の形態によれば、前記基準導体は、前記信号導体の前記経路のかなりの部分と少なくとも実質的に平行に延在することができる。特定の実施の形態では、該基準導体は、前記信号導体の上方、前記信号導体の下方、又は前記信号導体の上方及び下方に配置することができる。
【0010】
特定の実施の形態によれば、前記信号導体のうちの少なくともいくつかの前記経路は第1の平面内に延在することができる。前記基準導体のうちの1つ以上のかなりの部分が、前記第1の平面に対して少なくとも実質的に平行である第2の平面内に延在する。
【0011】
特定の実施の形態によれば、前記基準導体のかなりの部分が、前記信号導体の前記経路に対して少なくとも実質的に平行に延在することができる。前記基準導体のそのような部分は、前記信号導体の前記経路の長さの少なくとも約50%にわたってそのように延在することができる。
【0012】
特定の実施の形態によれば、前記信号導体は信号ボンドワイヤーを含むことができ、前記基準導体は基準ボンドワイヤーを含みうる。特定の実施の形態では、前記信号導体は信号ボンドワイヤーとすることができ、前記基準導体は基準ボンドワイヤーとすることができる。そのような場合、前記基準ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、前記相互接続素子の2つの基準コンタクトに結合される。
【0013】
特定の実施の形態によれば、前記基準ボンドワイヤーは、前記信号ボンドワイヤーよりも前記マイクロ電子デバイスから高い場所に配置される第1の基準ボンドワイヤーを含みうる。第2の基準ボンドワイヤーも設けることができ、そのような第2の基準ボンドワイヤーは、前記信号ボンドワイヤーよりも前記マイクロ電子アセンブリから低い場所に配置される。前記基準ボンドワイヤーは、前記信号ボンドワイヤーの個々の信号ボンドワイヤー間に介在する第3の基準ボンドワイヤーも含みうる。
【0014】
特定の実施の形態によれば、前記基準ボンドワイヤーは第1の端部と、該第1の端部から離れた第2の端部とを有する。前記基準ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、基準コンタクトに接続される第1の端部と、デバイスコンタクトに接続される第2の端部とを有することができる。
【0015】
特定の実施の形態によれば、前記デバイスコンタクトが露出する前記マイクロ電子デバイスの表面は前面とすることができ、前記マイクロ電子デバイスは、該前面から離れた背面を有することができ、該前面と該背面との間にエッジが延在することができる。該背面は、インターコネクト素子に取り付けることができ、そのような場合、前記信号ボンドワイヤー及び前記基準ボンドワイヤーは、前記マイクロ電子デバイスの前記エッジを越えて延在することができる。
【0016】
特定の実施の形態によれば、前記基準ボンドワイヤーは、前記マイクロ電子デバイスの前記表面に対して或る角度に傾けられた経路を有することができる。
【0017】
特定の実施の形態によれば、前記信号導体の前記複数の経路はボンドワイヤーの少なくとも一部を含みうる。
【0018】
特定の実施の形態によれば、前記信号ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、複数の接続される段として階段状に延在することができる。前記基準ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、そのような信号ボンドワイヤーのうちの少なくともいくつかの段から少なくとも実質的に均等な間隔を置いて階段状に延在することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【図1B】一実施形態による、図1Aにおいて示される断面を横断する断面線に沿っており、マイクロ電子アセンブリをさらに例示する断面図である。
【図1C】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリをさらに例示する平面図である。
【図1D】信号導体とグラウンドとの間の分離距離Hと、特性インピーダンスとの間の関係を示すグラフである。
【図2A】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【図2B】一実施形態による、図2Aにおいて示される断面を横断する断面線に沿っており、マイクロ電子アセンブリをさらに例示する断面図である。
【図3】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【図4】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【図5】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【図6】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【図7】一実施形態による、マイクロ電子アセンブリを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aは、一実施形態によるマイクロ電子アセンブリ900の断面図である。図1Bは、図1Aにおいて断面が示される方向を横断する線を通して見たマイクロ電アセンブリ900の対応する断面図であり、図1Cは、マイクロ電子サブアセンブリ930の上方から見下ろした平面図である。
【0021】
この例では、マイクロ電アセンブリ900は、マイクロ電子デバイス910を含み、マイクロ電子デバイスは、マイクロ電子サブアセンブリ930、たとえば、相互接続機能を有する素子へのワイヤーボンド等による導電性相互接続を有し、本明細書において相互接続素子とも呼ばれる。ワイヤーボンドは従来のワイヤーボンディング技法を用いて形成することができる。説明のために、マイクロ電子デバイス910は、単一の「むき出しの」、すなわち、パッケージされていないダイ、たとえば、その上にマイクロ電子回路を有する半導体チップとすることができる。代替の実施形態では、マイクロ電子デバイス910は、パッケージ済みの半導体ダイを含みうる。
【0022】
参照を容易にするために、本明細書では、半導体チップ910の「最上部」、すなわち、コンタクト支持表面928を基準にして方向が示される。一般的に、「上向き」又は「〜から上昇する」として参照される方向は、チップ上面928に対して直交し、かつ離れる方向を指すものとする。「下向き」として参照される方向は、チップ上面928に対して直交し、かつ「上向き」方向とは反対の方向を指すものとする。用語「基準点の上方」は、その基準点より上にある点を指し、用語「基準点の下方」は、その基準点より下にある点を指すものとする。任意の個々の素子の「最上部」は、上向き方向において最も遠くに延在する、その素子の1つ以上の点を指し、任意の素子の「底部」は、下向き方向において最も遠くに延在する、その素子の1つ以上の点を指すであろう。
【0023】
図1Aに示されるように、マイクロ電子サブアセンブリ930は相互接続機能を有する。たとえば、マイクロ電子サブアセンブリは、複数の導電性リード又はトレース935と、リード又はトレースに接続され、マイクロ電子デバイスと相互接続するために第1の場所に概ね配置される複数の信号コンタクト990と、たとえば、プリント回路基板への外部相互接続用等の、別の素子に相互接続するために第2の場所に概ね配置される複数の端子920と、(端子920等を通じて)電源又はグラウンドに接続可能である複数の基準コンタクト980とを有する、1つのパッケージの素子とすることができる。図1A〜図1Cにおいて示される例では、コンタクト990は、信号、すなわち、時間とともに変化し、かつ通常、情報を伝達する電圧又は電流を搬送することができる。たとえば、限定はしないが、時間とともに変化し、かつ状態、変化、測定値、クロック又はタイミング入力、或いは制御又はフィードバック入力を表す電圧又は電流が、信号の例である。一方、基準コンタクト990は、グラウンド又は電源電圧への接続を与えることができる。グラウンド又は電源電圧に接続することによって、通常、回路内に、回路動作の対象となる周波数にわたって経時的に少なくとも極めて安定している電圧への基準を与える。
【0024】
本開示において用いられるときに、導電性構造が誘電体構造の表面「において露出する」という言い方は、誘電体構造の表面に対して垂直な方向において、その誘電体構造の外部からその誘電体構造の表面に向かって動く架空の点との接触のために、その導電性構造を利用できることを示す。それゆえ、誘電体構造の表面において露出する端子又は他の導電性構造は、そのような表面から突出することができるか、又はそのような表面と同一平面を成すことができるか、又はそのような表面から後退するが、誘電体内の穴又は窪みを通して露出することができる。
【0025】
1つの特定の実施形態では、マイクロ電子サブアセンブリは、「基板」、すなわち、複数のトレース及びボンドパッドを支持する誘電体素子を含みうる。限定はしないが、基板の1つの特定の例は、シート状の可撓性誘電体素子であり、通常、その上にパターニングされた金属トレース及びボンドパッドを有するポリマー、たとえば、中でもポリイミドから形成され、ボンドパッドは誘電体素子の少なくとも1つの面において露出する。
【0026】
マイクロ電子デバイスとマイクロ電子サブアセンブリとの間に導電性相互接続を形成する前に、マイクロ電子サブアセンブリ930の外向きの面932においてパッド980、990を露出させる。図1A〜図1Cにおいて詳細に示されるように、信号ワイヤーボンドの長さの少なくとも実質的な部分にわたって基準ワイヤーボンド975と平行、又は実質的に平行な経路内に並置される信号ワイヤーボンド965によって、伝送線路を形成することができる。信号ワイヤーボンドは、マイクロ電子デバイス910の表面(通常前面)にあるデバイスコンタクト912と、マイクロ電子サブアセンブリ930の表面において露出する素子コンタクト990とを導電接続する。一実施形態では、信号ワイヤーボンド及び基準ワイヤーボンドの経路は、信号ワイヤーボンドの長さの50%以上にわたって平行、又は実質的に平行にすることができる。
【0027】
基準ワイヤーボンドは、両端において、マイクロ電子サブアセンブリ930上のグラウンドコンタクト980に接続されるか、又は両端において、マイクロ電子サブアセンブリ930上の電源コンタクトに接続される。図に示されるように、基準ワイヤーボンド975は信号ワイヤーボンドの上にあり、誘電体材料、たとえば、封入材によって、信号ワイヤーボンドから絶縁されている。封入材は、ワイヤーボンド965、975上に誘電体材料の小滴を吐出し、そして、その材料を硬化させることによって形成することができる。ワイヤーボンドは、相対的に高い配置精度で、かつ平行な狭い間隔で配置される経路を実現できるような所望の許容範囲内で、形成することができる。たとえば、Kuliche and Soffa社から市販されるワイヤーボンディング装置を用いて、高精度のワイヤーボンドを実現することができる。
【0028】
そのようにして形成された伝送線路において、選択された特性インピーダンスを達成するために、ワイヤーボンド965、975において用いられる金属の導電性、その中のワイヤーの形状及び厚み、ワイヤーボンド間の絶縁材料950の厚み、並びに絶縁材料950の誘電率のようなパラメータを選択することができる。特定の実施形態では、基準ワイヤーボンドの経路は、信号ワイヤーボンドの経路から、或る距離を置いて配置される。一実施形態では、そのような距離は、約50マイクロメートル(ミクロン)になるように選択することができる。別の実施形態では、そのような距離は、75ミクロン、100ミクロン、又はそれ以上のような、50ミクロンよりも長くなるように選択することができる。
【0029】
図1Dは、信号導体、たとえば、円柱形断面(cylindrical cross-section)のワイヤーと、基準導体、たとえば、「グラウンド面」との間の特性インピーダンスZ(オーム単位)対分離距離(インチ単位)のグラフである。基準導体は、信号導体の直径に比べて大きな平面構造であると仮定される。図1Dは、2つの異なる直径のワイヤーの場合の特性インピーダンスをプロットする。図1Dのプロットは、この幾何学的配列を有する構成において特性インピーダンスを支配する式から導出することができる。そのような式において、特性インピーダンスZは以下の式によって与えられる。
=[138×log(4H/d)]/√ε Ω
【0030】
ただし、Hはワイヤーと導電面との間の分離距離であり、dはワイヤーの直径であり、εはワイヤーを導電面から分離する誘電体材料の誘電率である。図1Dにおいて、下側曲線140は、ワイヤーが1ミル、すなわち、0.001インチの太さを有するときの特性インピーダンスをプロットする。上側曲線142は、ワイヤーが0.7ミル、すなわち、0.0007インチの太さを有するときの特性インピーダンスをプロットする。図1Dにおいて見られるように、ワイヤーと導電面との間の分離距離Hが約0.002インチ(2ミル)以下であるときに、約70オーム未満の特性インピーダンスが与えられる。
【0031】
図2A及び図2Bは、別の実施形態による、マイクロ電子アセンブリ1000の断面図及び対応する断面図である。ここでは、詳細に示されるように、ワイヤーボンド1065が基準ワイヤーボンド、たとえば、グラウンドワイヤーボンド1075の上に存在することができる。
【0032】
図3において与えられる断面図において詳細に示されるように、伝送線路の信号ワイヤーボンド1165及び基準ワイヤーボンド1175がそれぞれ、マイクロ電子デバイス1110のコンタクトとマイクロ電子サブアセンブリ1130のコンタクトとの間に延在することができる。
【0033】
図4の断面図において示されるように、信号ワイヤーボンドの配置の任意の態様を用いて、伝送線路を形成することができる。たとえば、基準ワイヤーボンドは、信号ワイヤーボンド上に、下に、又はその間に配置することができるか、又は信号ワイヤーボンドに横方向に隣接して配置することができる。さらに、複数の基準ワイヤーボンドが、特定の信号ワイヤーボンドのための基準導体としての役割を果たすことができる。
【0034】
図5は、マイクロ電子アセンブリ1300を示す断面図である。ここでは、伝送線路の基準導体は、マイクロ電子サブアセンブリ上のグラウンドコンタクト対、又は電源コンタクト対に導電接続される端部を有する基準ワイヤーボンド1375によって設けられる。基準ワイヤーボンド1375は、1つ以上の信号ワイヤーボンド1365のための基準導体としての役割を果たすことができる。図5において示されるように、基準ワイヤーボンド1375に極めて近接して延在する2つのそのような信号ワイヤーボンドが存在する。
【0035】
特定の実施形態では、図5において示されるのに類似の複数のマイクロ電子アセンブリを順次にスタックし、導通可能に、かつ機械的に接続して、1つの動作ユニットを形成することができる。そのようなユニットを形成する工程は、信号導電素子及び基準導電素子を用いて、それに接続されるマイクロ電子デバイスを含むマイクロ電子アセンブリを形成することから開始することができる。そのようなアセンブリを形成するために、信号導電素子(たとえば、ワイヤーボンド)1365を形成することができ、その信号導電素子は、マイクロ電子デバイス1310を対応するマイクロ電子サブアセンブリ1330、たとえば、マイクロ電子デバイスの背面1302の下にある基板、キャリア、又はテープに接続する。基準導電素子(たとえば、ワイヤーボンド)1375を形成することができ、基準導電素子は、インターコネクト素子1330上の個々のコンタクト1380を接続する。そして、マイクロ電子デバイスの前面1304の上にある信号導電素子及び基準導電素子の部分を封入できるように、誘電体層(たとえば、封入材層)1350を形成することができ、マイクロ電子サブアセンブリ上の基準コンタクト及び信号コンタクトの少なくともいくつかをマイクロ電子デバイス1310のエッジ1306を越えて露出したままにする。そのようにして製造された複数のそのようなマイクロ電子アセンブリを順次にスタックし、そして、各マイクロ電子アセンブリ上の基準コンタクト及び信号コンタクトの少なくともいくつかを接続する導体を形成することができる。
【0036】
図6は、上記の実施形態(図1A〜図1C)の変形形態を示しており、信号ワイヤー665がマイクロ電子デバイス610の表面628に沿った経路内に延在するが、経路667は表面628の平面に対して平行ではない。代わりに、ワイヤーボンドの経路667は、表面628に対して或る角度で傾けられる。この場合、基準ボンドワイヤー665は、或る間隔661を置いて経路667に平行に延在することができ、その間隔は、信号ワイヤーボンドの長さの50%以上に沿って均等であるか、少なくとも実質的に均等である。このようにして、有益な特性インピーダンスを有する伝送線路構造が実現される。図6において見られる形状を有するワイヤーボンドを製造するのに、ワイヤーボンディング装置が、異なるように構成される、たとえば、異なるようにプログラムされることを除いて、製造方法は、上記の図1A及び図1Bに関して説明されたのと同じにすることができる。
【0037】
図7はさらに別の変形形態を示しており、ワイヤーボンド765が一律に直線を成す経路内に延在しない。代わりに、そのワイヤーボンドは階段状の形状を有し、その形状は、相対的に短く、表面728に対して主として垂直な方向に延在することができる第1の方向転換部782と、第1の方向転換部782よりも幾分長く、マイクロ電子デバイス710の表面728を横断する方向に延在することができる第2の方向転換部784とを含む。基準ワイヤーボンド775も、信号ワイヤーボンドの輪郭に従うように、階段状の経路770を有するように構成することができる。結果として、基準ワイヤーボンド775は、間隔781を置いてワイヤーボンドの方向転換部784に平行に延在することができ、その間隔は、ワイヤーボンドの長さの50%以上に沿って均等であるか、少なくとも実質的に均等である。再び、図7において見られるような形状を有するワイヤーボンドを製造するのに、ワイヤーボンディング装置が、異なるように構成される、たとえば、異なるようにプログラムされることを除いて、図1A及び図1Bに関して説明されたのと同じ製造方法を用いて、図7において示されるアセンブリを形成することができる。
【0038】
これまでの実施形態は、個々のマイクロ電子デバイス、たとえば、半導体チップの相互接続に関して説明されてきた。しかしながら、本明細書において記述される方法は、ユニット、パネル、又はウェハ若しくはウェハの一部の形でエッジにおいて接続される複数のチップのような、チップのエッジにおいて接続される複数のチップに同時に適用されるウェハスケール製造工程において用いることもできると考えられる。
【0039】
上記の説明は、特定の応用例のために例示的な実施形態に言及するが、特許請求される発明はそれに限定されないことは理解されたい。本明細書において提供される教示を入手する当業者は、添付の特許請求の範囲内で、さらに別の変更形態、応用形態及び実施形態を理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子アセンブリであって、
その表面において露出するデバイスコンタクトを有するマイクロ電子デバイスと、
複数の信号コンタクト及び複数の基準コンタクトを有する相互接続素子であって、該基準コンタクトは基準電位の発生源に接続可能である、相互接続素子と、
前記デバイスコンタクトを前記信号コンタクトに接続する信号導体であって、前記マイクロ電子デバイスの前記表面の上方の経路内に延在する実質的な部分を有する、信号導体と、
前記基準コンタクトに接続され、前記信号導体の前記経路から少なくとも実質的に均等な間隔で配置される経路内に延在する実質的な部分を有する基準導体であって、前記信号導体のための所望のインピーダンスが達成されるように、該基準導体のうちの少なくとも1つが、前記相互接続素子の2つの基準コンタクトに接続される、基準導体と
を含んでなる、マイクロ電子アセンブリ。
【請求項2】
マイクロ電子アセンブリであって、
その表面上にデバイスコンタクトを有するマイクロ電子デバイスと、
複数の信号コンタクト及び複数の基準コンタクトを有する相互接続素子であって、該基準コンタクトは基準電位の発生源に接続可能である、相互接続素子と、
前記デバイスコンタクトを前記信号コンタクトに接続する信号導体であって、前記マイクロ電子デバイスの前記表面の上方の経路内に延在する実質的な部分を有する、信号導体と、
前記基準コンタクトに接続され、前記信号導体の前記経路のかなりの部分と少なくとも実質的に平行に延在する基準導体であって、該基準導体は、前記信号導体の上方、又は前記信号導体の下方のうちの少なくとも一方に配置され、前記信号導体のための所望のインピーダンスが達成されるように、該基準導体のうちの少なくとも1つが、前記相互接続素子の2つの基準コンタクトに接続される、基準導体と
を含んでなる、マイクロ電子アセンブリ。
【請求項3】
前記信号導体のうちの少なくともいくつかの前記経路は第1の平面内に延在し、前記基準導体のうちの少なくともいくつかのかなりの部分が、前記第1の平面に対して少なくとも実質的に平行である第2の平面内に延在する、請求項1又は2に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項4】
前記基準導体のかなりの部分が、前記信号導体の前記経路の長さの少なくとも約50%にわたって、前記信号導体の前記経路に対して少なくとも実質的に平行に延在する、請求項1又は2に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項5】
前記信号導体は信号ボンドワイヤーを含み、前記基準導体は基準ボンドワイヤーを含む、請求項1又は2に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項6】
前記信号導体は信号ボンドワイヤーであり、前記基準導体は基準ボンドワイヤーである、請求項1又は2に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項7】
前記基準ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、前記相互接続素子のそれぞれの基準コンタクトに結合される、請求項6に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項8】
前記基準ボンドワイヤーは、前記信号ボンドワイヤーよりも前記マイクロ電子デバイスから高い場所に配置される第1の基準ボンドワイヤーと、前記信号ボンドワイヤーよりも前記マイクロ電子アセンブリから低い場所に配置される第2の基準ボンドワイヤーと、前記信号ボンドワイヤーの個々の信号ボンドワイヤー間に介在する第3の基準ボンドワイヤーとを含む、請求項1に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項9】
前記基準ボンドワイヤーは、第1の端部と、該第1の端部から離れた第2の端部とを有し、前記基準ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、前記基準コンタクトに接続される第1の端部と、前記デバイスコンタクトに接続される第2の端部とを有する、請求項5に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項10】
前記表面は前面であり、前記マイクロ電子アセンブリは該前面から離れた背面と、該前面と該背面との間に延在するエッジとを有し、該背面は、前記信号ボンドワイヤー及び前記基準ボンドワイヤーが前記マイクロ電子デバイスの前記エッジを越えて延在するように、前記インターコネクト素子に取り付けられる、請求項6に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項11】
前記経路のうちの少なくともいくつかは、前記マイクロ電子デバイスの前記表面に対して或る角度に傾けられる、請求項1又は2に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項12】
前記複数の経路は前記信号ボンドワイヤーの少なくとも一部を含む、請求項5に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項13】
前記信号ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、複数の接続される段として階段状に延在し、前記基準ボンドワイヤーのうちの少なくとも1つは、そのような信号ボンドワイヤーのうちの少なくともいくつかの段から少なくとも実質的に均等な間隔を置いて階段状に延在する、請求項12に記載のマイクロ電子アセンブリ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520572(P2012−520572A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554232(P2011−554232)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/027135
【国際公開番号】WO2010/105152
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(504142411)テッセラ,インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】