説明

インピーダンス測定システムおよびインピーダンス測定方法

【課題】雑菌などによる培養体の汚染を回避しつつインピーダンス測定時間を短縮する。
【解決手段】下端が作用電極16と接触する柱状電極5と各ウェル4に下端が進入する参照電極6および対電極7とが取り付けられた蓋体3、並びに蓋体3で上部開口部が閉塞されるウェル4が複数配設された容器本体2を備えた培養容器1と、出力端子36a,36b間に交流電圧Vmを出力し入力端子36c,36d間のインピーダンスを測定する測定装置36と、インキュベータ31内に配設された培養容器1の蓋体3における各柱状電極5、各参照電極6および各対電極7に対応するプローブ33bが立設されたプローブヘッド33と、プローブヘッド33用の接離動機構34と、任意のウェル4内に進入する対電極7および参照電極6を出力端子36aと入力端子36cとに接続し、柱状電極5を出力端子36bおよび入力端子36dに接続する切替部35とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞や組織などの培養体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定システムおよびインピーダンス測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のインピーダンス測定システムとして、下記特許文献に開示されたインピーダンス測定システム(培養容器とインピーダンス測定装置とで構成される測定システム)が知られている。このインピーダンス測定装置は、培養体が培養されている培養容器が収容されたインキュベータの外部に配設されると共に、プローブを介して参照電極に接続され、かつ他のプローブを介して他の引出電極(作用電極に接続される電極)に接続され、さらに他のプローブを介して他の引出電極(カウンター電極(対電極)に接続される電極)に接続されている。このインピーダンス測定装置で使用される培養容器は、円筒状ガラスリングで構成されたクローニングリングと、片面全体にITO(インジウム−酸化スズ)が蒸着されたガラス板で構成されたITO電極(以下、作用電極ともいう)とを備え、作用電極(ITO蒸着面)の中央に、クローニングリングの一方の端部側をエポキシ系接着剤で接着して固定することによって構成されている。
【0003】
また、このインピーダンス測定装置においては、この構成の培養容器に対してその上方に絶縁材料で形成された電極固定器が配設されて、参照電極は、下端が培養容器の上部開口部から培養容器内に進入した状態でこの電極固定器に固定され、作用電極に接続される引出電極は、培養容器の外部において下端が作用電極に連結された状態で電極固定器に固定され、対電極に接続される引出電極は、下端が培養容器の上部開口部から培養容器内に進入した状態で電極固定器に固定されている。
【0004】
この構成のインピーダンス測定システムでは、一対の引出電極間(つまり、作用電極と対電極との間)に一対のプローブを介して任意の周波数の交流電圧(交流信号)を供給(印加)しつつ、参照電極と一方の引出電極との間(つまり、参照電極と作用電極との間)を流れる交流電流を一対のプローブを介して検出することにより、培養容器の底面(作用電極の表面)に接着した細胞のインピーダンスを3端子法によって測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−80522号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この従来のインピーダンス測定システムには、以下の改善すべき課題が存在している。すなわち、このインピーダンス測定システムでは、培養容器の上端が開口しているため、インキュベータ内に雑菌やごみなどが侵入した場合に、培養容器内の細胞や組織などの培養体が汚染される虞があるという課題が存在している。また、インピーダンス測定を行う培養体を変更する場合には、測定が完了した培養容器から参照電極および対電極が連結された引出電極を引き抜いて、新たに測定する培養体が培養されている培養容器にこれらの電極を入れる作業が必要となるため、複数の培養体のインピーダンスを測定するのに要する時間が長くなるという課題が存在している。
【0007】
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、雑菌などによる培養体の汚染を回避しつつ、複数の培養体のインピーダンス測定に要する時間を短縮し得るインピーダンス測定システムおよびインピーダンス測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載のインピーダンス測定システムは、複数のウェルの各周壁を構成する筒状体が上壁を貫通しかつ整列状態で当該上壁に配設された容器本体と、前記複数の筒状体の下端に取り付けられて前記各ウェルの底壁を構成する作用電極が形成された一枚の板体と、前記容器本体に着脱自在に装着されて前記複数の筒状体の上部開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において前記ウェルの外部に位置して下端が前記作用電極と電気的に接触する1または2以上の柱状電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の複数の参照電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の対電極とを備えた培養容器と、一対の出力端子間に測定用交流電圧を出力すると共に、一対の入力端子間に入力される交流電流を検出して、当該測定用交流電圧と当該検出した交流電流とに基づいて当該一対の入力端子間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置と、インキュベータ内に配設されると共に当該インキュベータ内に規定された検査位置に配設された前記培養容器の前記蓋体に取り付けられた前記各柱状電極、前記各参照電極および前記各対電極に一対一で対応する複数のプローブが下面に立設されたプローブヘッドと、前記インキュベータ内に配設されて、前記プローブヘッドを前記培養容器の上方において支持すると共に当該培養容器に対して接離動させる接離動機構と、前記インキュベータ内に配設されて前記プローブヘッドの前記各プローブと配線を介して接続されると共に、当該各プローブのうちの測定対象とする培養体が収容されている1つの前記ウェル内に進入する前記対電極と接触するプローブに接続されている前記配線を前記インピーダンス測定装置の前記一対の出力端子のうちの一方の出力端子に接続し、当該1つのウェル内に進入する前記参照電極と接触するプローブに接続されている前記配線を前記インピーダンス測定装置の前記一対の入力端子のうちの一方の入力端子に接続し、かつ前記柱状電極のうちの当該1つのウェルに対して予め規定された柱状電極と接触するプローブに接続されている前記配線を当該一対の出力端子のうちの他方の出力端子および当該一対の入力端子のうちの他方の入力端子に接続する切替部とを備えている。
【0009】
また、請求項2記載のインピーダンス測定方法は、複数のウェルの各周壁を構成する筒状体が上壁を貫通しかつ整列状態で当該上壁に配設された容器本体と、上面に作用電極が形成されると共に前記複数の筒状体の下端に取り付けられて前記各ウェルの底壁を構成する一枚の板体と、前記容器本体に着脱自在に装着されて前記複数の筒状体の上部開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において前記ウェルの外部に位置して下端が前記作用電極と電気的に接触する1または2以上の柱状電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の複数の参照電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の対電極とを備えた培養容器をインキュベータ内に規定された検査位置に配置し、前記蓋体に取り付けられた前記柱状電極、前記参照電極および前記対電極に、プローブヘッドの下面に立設されたプローブを接触させると共に、当該プローブヘッドとインピーダンス測定装置とを切替部を介して接続し、前記切替部に対する制御を実行して前記複数のウェルのうちの測定対象とする培養体が収容されている1つの前記ウェル内に進入する前記対電極を前記インピーダンス測定装置の測定用交流電圧を出力する一対の出力端子のうちの一方の出力端子に接続し、かつ当該1つのウェル内に進入する前記参照電極と接触するプローブを前記インピーダンス測定装置の前記一対の入力端子のうちの一方の入力端子に接続し、かつ前記柱状電極のうちの当該1つのウェルに対して予め規定された柱状電極を当該一対の出力端子のうちの他方の出力端子および当該一対の入力端子のうちの他方の入力端子に接続すると共に、前記インピーダンス測定装置で前記一対の入力端子の一方の入力端子に接続されている前記参照電極と前記他方の入力端子に接続されている前記柱状電極が接触する前記作用電極との間に存在している前記培養体のインピーダンスを測定する処理を、前記切替部に対する制御を実行して前記一方の出力端子および前記一方の入力端子にそれぞれ接続される前記対電極および前記参照電極を切り替えつつ、すべての前記ウェルに収容されている前記培養体に対して実行する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のインピーダンス測定システムおよび請求項2記載のインピーダンス測定方法によれば、ウェルが複数形成された容器本体に対して、各ウェルの底壁として機能する1つの作用電極と電気的に接触する柱状電極、並びに下端がそれぞれウェル内に進入する参照電極および対電極が各ウェルに対応して取り付けられた蓋体を装着して、各ウェルを閉塞する構成としたことにより、蓋体で各ウェルを閉塞しつつ、蓋体に取り付けられた柱状電極、参照電極および対電極を使用して各ウェル内で培養されている培養体のインピーダンスを測定することができる。したがって、このインピーダンス測定システムによれば、培養容器の外部からの雑菌やごみなどの培養容器内(具体的には各ウェル内)への侵入を蓋体の装着によって大幅に低減して、雑菌等による汚染を十分に回避しつつ、各ウェル内の培養体のインピーダンスを測定することができる。また、このインピーダンス測定システムによれば、1つの培養容器に形成された複数のウェル内の培養体についてのインピーダンスを連続して測定することができるため、1つの培養体についてのインピーダンスの測定の都度、培養容器を交換する従来の構成と比較して、複数の培養体のインピーダンス測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】インピーダンス測定システムMSの構成を説明するための構成図である。
【図2】培養容器1の構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】蓋体3を装着した状態(柱状電極5と作用電極16とが非接触状態)での培養容器1の構成を説明するための図2におけるW−W線断面図である。
【図4】蓋体を装着した状態(柱状電極5と作用電極16とが接触状態)での培養容器1の構成を説明するための図2におけるW−W線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、インピーダンス測定システムおよびインピーダンス測定方法の実施の形態について説明する。
【0013】
最初に、インピーダンス測定システムMSおよびインピーダンス測定方法で使用される培養容器1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
【0014】
培養容器1は、図1,2,3,4に示すように、容器本体2、蓋体3、ウェル4、柱状電極5、参照電極6、対電極7および付勢部材8(図3参照)を備えている。
【0015】
容器本体2は、図2,3に示すように、ウェル4を構成する筒状体13が複数形成された1つの容器本体2と、一点鎖線で示される後述の各領域D内に参照電極6および対電極7の組がそれぞれ配設されると共に、領域D外に1または2以上(本例では一例として2つ)の柱状電極5が配設された1つの蓋体3とを備えて構成されている。
【0016】
具体的には、容器本体2は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて、一例として筒状(本例では四角筒状)に形成された側壁11と、側壁11の上部にこの側壁11の上部開口部を覆うようにして配設された上壁12を備えて構成されている。この上壁12には、複数のウェル4の各周壁を構成する筒状体13が上壁12を貫通し、かつ整列状態で配設されている。この各筒状体13の上端は、側壁11の上端と面一となるように規定されている。また、上壁12には、蓋体3の後述する円筒状突起26が挿通される挿通孔14が円筒状突起26と同数形成されている。また、平面視した状態において、すべての筒状体13およびすべての挿通孔14を含む大きさ(本例では側壁11の平面形状よりも若干小さい四角形)に形成された1枚の板体15が、容器本体2の内部における二点鎖線で示される位置に、すべての筒状体13の下端に上面が密着した状態で取り付けられて配設されている。本例では、一例として板体15は、ガラス板で構成されている。また、板体15の上面全体には、ITO(インジウム−酸化スズ)が蒸着されて作用電極16が形成されている。この構成により、容器本体2には、筒状体13を周壁とし、かつ板体15を共通の底壁とするウェル4が、筒状体13と同数(本例では4つ)形成されている。
【0017】
蓋体3は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて、一例として、平面視四角形に形成された上壁21、およびその周囲に立設された側壁22を備えて薄皿状に形成されて、容器本体2の上部に着脱自在に装着される。また、蓋体3の上壁21には、容器本体2に形成された各筒状体13の上部開口部(つまり、ウェル4の上部開口部)の位置に対応する領域D内に参照電極6および対電極7の組がそれぞれ配設されている。また、蓋体3の上壁21には、一例として、2つのウェル4毎(ウェル4の一列毎)に1つの柱状電極5が予め規定されて領域Dの外側の所定に配設されている。つまり、本例では培養容器1にウェル4が4つ形成されているため、2つの柱状電極5が上壁21に配設されている。この場合、1つの柱状電極5に対応する2つのウェル4内に挿入される参照電極6および対電極7については、対応するこの柱状電極5が最も近い柱状電極となるように、柱状電極5の位置が規定されている。
【0018】
具体的には、図3に示すように、蓋体3には、複数の柱状電極5用の挿通孔23、複数の参照電極6用の挿通孔24および複数の対電極7用の挿通孔25が形成されている。また、上壁21の下面における挿通孔23の周囲には、内部空間が挿通孔23と連通する筒状突起(本例では一例として円筒状突起であるため、以下「円筒状突起」ともいう)26が上壁21の下面に対して直角に下方に向けて起立した状態で形成されている。
【0019】
円筒状突起26の内部には、図3に示すように、柱状電極5が貫通した状態で装着されると共に、付勢部材8としてのコイルスプリング(以下、「スプリング8」ともいう)が柱状電極5に外嵌された状態で収容されている。本例では、円筒状突起26におけるスプリング8が収容される上側領域(挿通孔23に直接連通する領域)B1の内径は、挿通孔23の内径と同一径で、かつスプリング8の外径よりも大径であって、後述する柱状電極5における中径円柱部5bが摺動自在に挿入可能となるように、中径円柱部5bの外径よりも若干大径に形成されている。また、円筒状突起26の下側領域B2の内径は、柱状電極5をその軸線方向(上下方向)に沿ってガタの少ない状態で進退動自在にガイドし得るように、つまり、小径円柱部5aが下側領域B2内で摺動しつつ移動するように、小径円柱部5aの直径よりも若干大径に形成されている。
【0020】
柱状電極5は、下端が尖塔状に形成された長尺な小径円柱部5a、小径円柱部5aの上端に形成された中径円柱部5b、中径円柱部5bの上端に形成された大径円柱部5cおよび小径円柱部5aの外周面に突出して配設されたストッパピン5dを備え、小径円柱部5a、中径円柱部5bおよび大径円柱部5cの各軸線が一致して構成されている。この場合、小径円柱部5aは、その外径が円筒状突起26における下側領域B2の内径よりも若干小径に形成されている。中径円柱部5bは、その外径が小径円柱部5aよりも大径であって、かつ円筒状突起26における上側領域B1の内径よりも若干小径に形成されている。また、中径円柱部5bは、その長さが後述する距離Lよりも長く規定されている。大径円柱部5cは、その外径が中径円柱部5bの外径および挿通孔23の内径よりも大径な偏平形状に形成されている。
【0021】
この柱状電極5は、一例として、以下の手順で蓋体3に取り付けられている。まず、小径円柱部5aの外周面からストッパピン5dを外し、この状態において、この小径円柱部5aにその先端側からスプリング8を外嵌させる。次いで、柱状電極5を挿通孔23内に小径円柱部5aの先端側から進入させて、挿通孔23内に押し込む(挿入する)ことにより、小径円柱部5aの先端側を円筒状突起26から下方に突出させる。この際に、小径円柱部5aに外嵌されたスプリング8は、円筒状突起26の上側領域B1の内部に挿入され、スプリング8の下端側が円筒状突起26の内周面における上側領域B1と下側領域B2との境界部分に形成された段差に当接する。このため、柱状電極5をさらに挿通孔23内に挿入したときには、スプリング8が押し縮められる結果、柱状電極5にはスプリング8から上方に向かう付勢力が作用するが、この付勢力に抗して、柱状電極5の中径円柱部5bの下端側が挿通孔23に若干進入して、大径円柱部5cが蓋体3の上壁21と当接する位置まで柱状電極5を押し込む。最後に、この状態において、円筒状突起26の下端から突出している小径円柱部5aの外周面にストッパピン5dを取り付ける(例えば、小径円柱部5aの外周面に取付穴を形成しておき、この穴に挿着する)。
【0022】
この状態において、柱状電極5に対する押し込みを解除したときには、柱状電極5は、スプリング8からの付勢力によって上方に移動し、ストッパピン5dが円筒状突起26の下端に当接したときに、スプリング8からの付勢力が加わった状態で移動を停止する。この停止状態においては、図3に示すように、柱状電極5は、その中径円柱部5bの下端側が挿通孔23に若干進入し、かつ大径円柱部5cが蓋体3の上壁21から距離Lだけ離間した位置にある。したがって、柱状電極5は、挿通孔23および円筒状突起26に挿通されることにより、蓋体3を貫通すると共に蓋体3に対して直角となる状態で、距離Lのストローク(ストッパピン5dが円筒状突起26の下端と当接する位置を上限とし、大径円柱部5cが蓋体3に当接する位置を下限とするストローク)で進退動可能に、かつ大径円柱部5c(上端)が蓋体3の上面において露出した状態で蓋体3に取り付けられる。なお、ストッパピン5dが円筒状突起26の下端に当接している状態における小径円柱部5aの円筒状突起26の下端からの突出長は、図3に示すように、蓋体3を容器本体2に装着した状態において、小径円柱部5aの先端(下端)が作用電極16と接触せず、かつ柱状電極5のストロークの範囲(距離Lの範囲)内で作用電極16から離間する(言い換えれば、図4に示すように、プローブ33bで柱状電極5を押し込んだときに小径円柱部5aの先端が作用電極16と接触する)長さに規定されている。
【0023】
参照電極6は、長尺な小径円柱部6a、小径円柱部6aの上端に形成された大径円柱部6bを備え、小径円柱部6aおよび大径円柱部6bの各軸線が一致する柱状電極として構成されている。この場合、小径円柱部6aは、その外径が挿通孔24の内径よりも若干大径に形成されている。大径円柱部6bは、その外径が小径円柱部6aの外径よりも大径な偏平形状に形成されている。この参照電極6は、小径円柱部6aの先端側から、大径円柱部6bが蓋体3の上壁21と当接するまで挿通孔24内に圧入されることにより、蓋体3を貫通すると共に蓋体3に対して直角で、かつ固定された状態で、また大径円柱部6b(上端)が蓋体3の上面において露出した状態で蓋体3に取り付けられる。
【0024】
対電極7は、長尺な小径円柱部7a、小径円柱部7aの上端に形成された大径円柱部7bを備え、小径円柱部7aおよび大径円柱部7bの各軸線が一致する柱状電極として構成されている。この場合、小径円柱部7aは、その外径が挿通孔25の内径よりも若干大径に形成されている。大径円柱部7bは、その外径が小径円柱部7aの外径よりも大径な偏平形状に形成されている。この対電極7は、小径円柱部7aの先端側から、大径円柱部7bが蓋体3の上壁21と当接するまで挿通孔25内に圧入されることにより、蓋体3を貫通すると共に蓋体3に対して直角で、かつ固定された状態で、また大径円柱部7b(上端)が蓋体3の上面において露出した状態で蓋体3に取り付けられる。また、参照電極6および対電極7の蓋体3における上壁21の下面からの各突出長は、図2に示すように、蓋体3を容器本体2に装着した状態において、小径円柱部6a,7aの先端(下端)がウェル4の筒状体13内に進入し、かつ作用電極16と接触しない長さに規定されている。なお、参照電極6および対電極7の各挿通孔24,25への取付方法は圧入に代えて、接着して取り付ける構成を採用することもできる。
【0025】
次に、培養容器1を使用したインピーダンス測定システムMSの構成について、図1を参照して説明する。
【0026】
インピーダンス測定システムMS(以下、「測定システムMS」ともいう)は、培養容器1、インキュベータ31、固定治具32、プローブヘッド33、接離動機構34、切替部(スキャナ)35、インピーダンス測定装置36(以下、「測定装置36」ともいう)、およびコンピュータ37を備え、インキュベータ31内に固定治具32、プローブヘッド33、接離動機構34および切替部35が配設されて構成されている。固定治具32は、インキュベータ31内の予め規定された検査位置に培養容器1を水平な状態で固定する。
【0027】
プローブヘッド33は、基台33aと、基台33aの一方の面(図3中の下面)に立設された複数のプローブ33bとを備えている。基台33aは、下面が検査位置に配設された培養容器1と対向するように、検査位置の上方に接離動機構34によって支持された状態で配設されている。複数のプローブ33bは、検査位置に配設された培養容器1の蓋体3に取り付けられた各柱状電極5、各参照電極6および各対電極7に一対一で対応して立設されている。また、各プローブ33bは、基台33aに設けられた不図示のスプリング機構によって基台33aに対して進退動(突出入)自在に取り付けられている。また、このスプリング機構の各プローブ33bに対する付勢力は、蓋体3に配設されたスプリング8の付勢力よりも強い力に規定されている。
【0028】
また、各プローブ33bは、配線41,42,43,44を介して切替部35と接続されている。本例では、蓋体3の参照電極6と接触する各プローブ33bについては、配線41を介して切替部35と一対一で接続されている。また、蓋体3の対電極7と接触する各プローブ33bについても、配線42を介して切替部35と一対一で接続されている。また、蓋体3の柱状電極5と接触する各プローブ33bについては、測定装置36の後述する一対の出力端子のうちの他方の出力端子および一対の入力端子のうちの他方の入力端子と同時に一対一で接続されるため、配線43を介して切替部35と一対一で接続されると共に、配線44を介して切替部35と一対一で接続されている。
【0029】
接離動機構34は、プローブヘッド33(具体的にはプローブヘッド33の基台33a)を支持して、検査位置に配設された培養容器1の上方にプローブヘッド33を配設する。また、接離動機構34は、配線を介してコンピュータ37と接続されると共にコンピュータ37によって制御されて、プローブヘッド33を培養容器1に対して接離動させる。
【0030】
切替部35は、複数の切替スイッチ(不図示)を用いて構成されて、上記したように配線41,42,43,44を介してプローブヘッド33の各プローブ33bと接続されている。また、切替部35は、インキュベータ31の外部に配設された測定装置36の一対の出力端子36a,36bと配線45,46を介して接続されると共に、測定装置36の一対の入力端子36c,36dと配線47,48を介して接続されている。また、切替部35は、コンピュータ37によって切替スイッチが制御されて、培養容器1に形成されている複数(本例では4つ)のウェル4のうちの任意の1つのウェル4に進入する対電極7と接触するプローブ33bに接続された配線42を一対の出力端子36a,36bのうちの一方の出力端子36aに接続された配線45と接続すると共に、この1つのウェル4に進入する参照電極6と接触するプローブ33bに接続された配線41を一対の入力端子36c,36dのうちの一方の入力端子36cに接続された配線47と接続する。
【0031】
また、切替部35は、この際に、2つの柱状電極5のうちのこの任意の1つのウェル4に対応する1つの柱状電極5に接触するプローブ33bに接続された配線43,44のうちの配線43を他の出力端子36bに接続された配線46と接続すると共に、配線44を他の入力端子36dに接続された配線48と接続する。この構成により、測定装置36から出力される測定用交流電圧Vm(以下、「交流電圧Vm」ともいう)の供給用として使用されると共に測定装置36において測定される交流電流Imの検出用としても使用される柱状電極5までの、交流電圧Vmについての配線(他方の出力端子36bから配線46、切替部35内の切替スイッチおよび配線43を介して柱状電極5に至るまでの配線)と、交流電流Imについての配線(他方の入力端子36dから配線48、切替部35内の切替スイッチおよび配線44を介して柱状電極5に至るまでの配線)とをこの柱状電極5の直前まで分離することができる結果、柱状電極5、参照電極6および対電極7の3つの電極を使用しつつ、4端子法に近い形態でこの1つのウェル4に収容される培養体のインピーダンスZを測定することが可能となっている。
【0032】
測定装置36は、いわゆるLCRメータなどの測定器で構成されている。また、測定装置36は、コンピュータ37によって制御されて、上記したように一対の出力端子36a,36b間に交流電圧Vmを出力すると共に、一対の入力端子36c,36d間に入力される交流電流Imを検出して、出力している交流電圧Vmと検出した交流電流Imとに基づいて一対の入力端子36c,36d間のインピーダンスZを測定して、コンピュータ37に出力する。なお、測定装置36によって算出されるインピーダンスZは、各プローブ33bが培養容器1の柱状電極5、参照電極6および対電極7にそれぞれ接触している状態においては、この参照電極6および対電極7が進入しているウェル4内において培養されている培養体のインピーダンスとなる。
【0033】
コンピュータ37は、接離動機構34、切替部35および測定装置36に対する制御を実行する。また、コンピュータ37は、測定装置36から出力されるウェル4に収容されている培養体についてのインピーダンスZを取得すると共に、コンピュータ37に設けられている記憶装置(不図示)に記憶すると共に、コンピュータ37に設けられているディスプレイ装置(不図示)に各ウェル4に対応させて表示する。
【0034】
続いて、測定システムMSによる培養体のインピーダンスZについての測定動作と併せて、インピーダンス測定方法について説明する。
【0035】
まず、インピーダンスZの測定に先立ち、培養容器1のウェル4内において培養体を培養する。具体的には、容器本体2から蓋体3を外し、各ウェル4内に培地101を入れる。次いで、培地101に培養体(細胞や組織)を播種し、続いて、図3に示すように、容器本体2に蓋体3を装着する。この状態においてこの培養容器1では、各ウェル4の上端(つまり、筒状体13の上端)が蓋体3の下面に密着することにより、各ウェル4の上部開口部(つまり、筒状体13の上部開口部)が蓋体3によって直接閉塞されている。また、参照電極6および対電極7の小径円柱部6a,7aが対応するウェル4内に進入して、その下端側が培地101に浸っている。この場合、各ウェル4を閉塞する蓋体3における領域Dの部位には、参照電極6および対電極7を取り付けるための挿通孔24および挿通孔25が形成されているものの、挿通孔24および挿通孔25については参照電極6および対電極7が圧入されることで閉塞されている。したがって、この培養容器1では、容器本体2に蓋体3が装着された状態において、培養容器1の外部からの雑菌やごみなどの各ウェル4内への侵入が大幅に低減されているため、ウェル4内の培養体が雑菌等によって汚染される事態が十分に回避されている。次いで、培養容器1をインキュベータ31内に配設された固定治具32に固定する。これにより、培養容器1の検査位置への配置(設置)が完了する。
【0036】
次いで、測定システムMSを作動させる。これにより、コンピュータ37がインピーダンスの測定処理を開始する。この測定処理では、コンピュータ37は、まず、接離動機構34に対する制御を実行して、プローブヘッド33を検査位置に配置されている培養容器1に接近させる(具体的には、プローブヘッド33を下動させる)ことにより、図4に示すように、プローブヘッド33の各プローブ33bを培養容器1の対応する各電極(柱状電極5、参照電極6および対電極7)に接触させる。この状態において、蓋体3に固定状態で取り付けられている参照電極6および対電極7と接触するプローブ33bについては、参照電極6および対電極7との当接により、スプリング機構を介して基台33a内に若干押し込まれた状態、つまりスプリング機構から下方に向かう付勢力を受けている状態となっている。このため、参照電極6および対電極7と、各プローブ33bとは、確実に接触した状態に維持される。また、蓋体3に進退動可能な状態で取り付けられている柱状電極5については、プローブヘッド33内のスプリング機構の付勢力が蓋体3内のスプリング8の付勢力よりも強いため、プローブ33bとの当接によって、小径円柱部5aの先端がウェル4を構成する作用電極16と当接するまで培養容器1内に進入させられる。このため、柱状電極5についてもスプリング8の付勢力に抗してスプリング機構から下方に向かう付勢力を受けている状態となっていることから、柱状電極5およびプローブ33bについても、確実に接触した状態に維持される。
【0037】
続いて、コンピュータ37は、4つのウェル4のうちから1つのウェル4を選択すると共に、切替部35に対する制御を実行して、この1つのウェル4に対応する(進入する)参照電極6および対電極7にプローブ33b,33bを介して接続されている配線41,42を、測定装置36の一方の入力端子36cおよび一方の出力端子36aに接続されている配線47,45に接続する。また、この1つのウェル4に対応する1つの柱状電極5(このウェル4内に進入する参照電極6および対電極7から最も近い柱状電極5)にプローブ33bを介して接続されている配線43,44を、測定装置36の他方の入力端子36dおよび他方の出力端子36bに接続されている配線48,46に接続する。
【0038】
これにより、測定装置36の一方の出力端子36aが、配線45、切替部35、配線42およびプローブ33bを介して選択された1つのウェル4に進入している対電極7に接続されると共に、他方の出力端子36bが、配線46、切替部35、配線44およびプローブ33bを介してこの1つのウェル4に対応する1つの柱状電極5に接続される。また、測定装置36の一方の入力端子36cが、配線47、切替部35、配線41およびプローブ33bを介して選択された1つのウェル4に進入している参照電極6に接続されると共に、他方の入力端子36dが、配線48、切替部35、配線43およびプローブ33bを介してこの1つのウェル4に対応する1つの柱状電極5に接続される。
【0039】
次いで、コンピュータ37は、測定装置36を作動させる。これにより、測定装置36は、一対の出力端子36a,36b間への交流電圧Vmの出力を開始すると共に、一対の入力端子36c,36d間に流れる交流電流Imの測定を開始して、一対の入力端子47,48間のインピーダンス、すなわち選択された1つのウェル4に収容されている培養体のインピーダンスZを測定し、測定したインピーダンスZをコンピュータ37に出力する。コンピュータ37は、測定装置36から出力されるインピーダンスZを取得すると共に、選択したウェル4に対応させて記憶装置に記憶する。これにより、選択した1つのウェル4に収容されている培養体のインピーダンスZの測定処理が完了する。
【0040】
コンピュータ37は、選択するウェル4を変更しながら、上記した切替部35に対する制御と、測定装置36に対する制御を実行して、すべてのウェル4に収容されている培養体について、インピーダンスZの測定処理を実施する。また、コンピュータ37は、すべてのウェル4に収容されている培養体のインピーダンスZの測定が完了したときには、記憶装置から測定結果を読み出して、表示装置に測定結果を表示させる。最後に、コンピュータ37は、接離動機構34に対する制御を実行して、プローブヘッド33を上方に移動させることにより、培養容器1から離反させる。これにより、固定治具32に配置された1つの培養容器1に対する測定が完了する。
【0041】
このように、この測定システムMSおよびインピーダンス測定方法によれば、ウェル4が複数形成された容器本体2に対して、各ウェル4の底壁として機能する1つの板体15の上面に形成された作用電極16と電気的に接触する柱状電極5、並びに下端がそれぞれウェル4内に進入する参照電極6および対電極7が各ウェル4に対応して取り付けられた蓋体3を装着して、各ウェル4を閉塞する構成としたことにより、蓋体3で各ウェル4を閉塞しつつ、蓋体3に取り付けられた柱状電極5、参照電極6および対電極7を使用して各ウェル4内で培養されている培養体のインピーダンスZを測定することができる。したがって、この測定システムMSによれば、培養容器1の外部からの雑菌やごみなどの培養容器1内(具体的には各ウェル4内)への侵入を蓋体3の装着によって大幅に低減して、雑菌等による汚染を十分に回避しつつ、各ウェル4内の培養体のインピーダンスZを測定することができる。
【0042】
また、この測定システムMSおよびインピーダンス測定方法によれば、1つの培養容器1に形成された複数のウェル4内の培養体についてのインピーダンスZを連続して測定することができるため、1つの培養体についてのインピーダンスZの測定の都度、培養容器を交換する従来の構成と比較して、複数の培養体のインピーダンス測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0043】
なお、上記の構成については、適宜変更が可能である。例えば、柱状電極5については、容器本体2に蓋体3が装着された状態において、容器本体2内に押し込まれて初めて、下端が作用電極16と接触するように、蓋体3に進退動可能に取り付けられると共に、スプリング8によって上端側に向けて付勢される構成を採用しているが、スプリング8を省くことにより、容器本体2に蓋体3が装着された状態において、柱状電極5が自重でストロークの範囲内で下方に移動して、その下端が作用電極16と接触する構成を採用することもできる。この構成においても、柱状電極5がプローブ33bによってさらに下方に押し込まれることにより、作用電極16と確実に接触することができる。
【0044】
また、図示はしないが、柱状電極については、少なくとも下端側を板バネ状に形成して、蓋体に形成した挿通孔23に圧入して固定する構成を採用することもできる。この構成での柱状電極は、蓋体に対して進退動可能とはなっていないが、容器本体に蓋体が装着されて、下端が作用電極16と当接した際に、板バネ状の下端側が弾性変形することで、下端と作用電極16との接触が確実に維持される。
【符号の説明】
【0045】
1 培養容器
2 容器本体
3 蓋体
4 ウェル
5 柱状電極
6 参照電極
7 対電極
12 上壁
13 筒状体
15 板体
16 作用電極
31 インキュベータ
33 プローブヘッド
33b プローブ
34 接離動機構
35 切替部
36 測定装置(インピーダンス測定装置)
36a,36b 一対の出力端子
37a,37b 一対の入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェルの各周壁を構成する筒状体が上壁を貫通しかつ整列状態で当該上壁に配設された容器本体と、上面に作用電極が形成されると共に前記複数の筒状体の下端に取り付けられて前記各ウェルの底壁を構成する一枚の板体と、前記容器本体に着脱自在に装着されて前記複数の筒状体の上部開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において前記ウェルの外部に位置して下端が前記作用電極と電気的に接触する1または2以上の柱状電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の複数の参照電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の対電極とを備えた培養容器と、
一対の出力端子間に測定用交流電圧を出力すると共に、一対の入力端子間に入力される交流電流を検出して、当該測定用交流電圧と当該検出した交流電流とに基づいて当該一対の入力端子間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置と、
インキュベータ内に配設されると共に当該インキュベータ内に規定された検査位置に配設された前記培養容器の前記蓋体に取り付けられた前記各柱状電極、前記各参照電極および前記各対電極に一対一で対応する複数のプローブが下面に立設されたプローブヘッドと、
前記インキュベータ内に配設されて、前記プローブヘッドを前記培養容器の上方において支持すると共に当該培養容器に対して接離動させる接離動機構と、
前記インキュベータ内に配設されて前記プローブヘッドの前記各プローブと配線を介して接続されると共に、当該各プローブのうちの測定対象とする培養体が収容されている1つの前記ウェル内に進入する前記対電極と接触するプローブに接続されている前記配線を前記インピーダンス測定装置の前記一対の出力端子のうちの一方の出力端子に接続し、当該1つのウェル内に進入する前記参照電極と接触するプローブに接続されている前記配線を前記インピーダンス測定装置の前記一対の入力端子のうちの一方の入力端子に接続し、かつ前記柱状電極のうちの当該1つのウェルに対して予め規定された柱状電極と接触するプローブに接続されている前記配線を当該一対の出力端子のうちの他方の出力端子および当該一対の入力端子のうちの他方の入力端子に接続する切替部とを備えているインピーダンス測定システム。
【請求項2】
複数のウェルの各周壁を構成する筒状体が上壁を貫通しかつ整列状態で当該上壁に配設された容器本体と、上面に作用電極が形成されると共に前記複数の筒状体の下端に取り付けられて前記各ウェルの底壁を構成する一枚の板体と、前記容器本体に着脱自在に装着されて前記複数の筒状体の上部開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において前記ウェルの外部に位置して下端が前記作用電極と電気的に接触する1または2以上の柱状電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の複数の参照電極と、前記蓋体を貫通し、かつ上端が前記蓋体の上面に露出した状態で当該蓋体に取り付けられると共に、当該蓋体が前記容器本体に装着された状態において下端が前記各ウェルのうちの対応するウェル内に進入する柱状の対電極とを備えた培養容器をインキュベータ内に規定された検査位置に配置し、
前記蓋体に取り付けられた前記柱状電極、前記参照電極および前記対電極に、プローブヘッドの下面に立設されたプローブを接触させると共に、当該プローブヘッドとインピーダンス測定装置とを切替部を介して接続し、
前記切替部に対する制御を実行して前記複数のウェルのうちの測定対象とする培養体が収容されている1つの前記ウェル内に進入する前記対電極を前記インピーダンス測定装置の測定用交流電圧を出力する一対の出力端子のうちの一方の出力端子に接続し、かつ当該1つのウェル内に進入する前記参照電極と接触するプローブを前記インピーダンス測定装置の前記一対の入力端子のうちの一方の入力端子に接続し、かつ前記柱状電極のうちの当該1つのウェルに対して予め規定された柱状電極を当該一対の出力端子のうちの他方の出力端子および当該一対の入力端子のうちの他方の入力端子に接続すると共に、前記インピーダンス測定装置で前記一対の入力端子の一方の入力端子に接続されている前記参照電極と前記他方の入力端子に接続されている前記柱状電極が接触する前記作用電極との間に存在している前記培養体のインピーダンスを測定する処理を、前記切替部に対する制御を実行して前記一方の出力端子および前記一方の入力端子にそれぞれ接続される前記対電極および前記参照電極を切り替えつつ、すべての前記ウェルに収容されている前記培養体に対して実行するインピーダンス測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191257(P2011−191257A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59423(P2010−59423)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】