説明

インフルエンザワクチンの経皮デリバリーのための装置および方法

角質層を通りその下にある表皮層または表皮および真皮層の中に貫通するように適合されている複数の微細突起(またはそれらの列)を包含する微細突起部品(またはシステム)を有するデリバリーシステムを含んでなり、この微細突起部品がその上に配置された免疫学的に活性な作用物質を包含する生体適合性コーティングを有する、免疫学的に活性な作用物質を経皮デリバリーするための装置および方法。好ましくは、生体適合性コーティングはワクチンコーティング調合物から製造される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2004年4月1日に出願された米国暫定特許出願第60/559,153号の権利を主張する。
【技術分野】
【0002】
発明の分野
本発明は一般的に経皮作用物質デリバリー(delivery)システムおよび方法に関する。より特に、本発明はインフルエンザワクチンの経皮デリバリーのための装置、方法および調合物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
活性作用物質(active agents)(または薬品)は経口的にまたは注射により最も簡便に投与される。あいにく、多くの活性作用物質は経口投与時には、それらが血液流に入る前に吸収されないかまたは悪影響を受けそしてその結果として所望される活性を有さなくなるため、全く無効であるかまたは急激に減じられる効力を有する。他方で、血液流中への作用物質の直接的注射は、投与中の作用物質が変化しないことを確実にするが、難しく、不便で、疼痛があり且つ不快な工程であり、それは時には劣悪な患者コンプライアンスをもたらす。
【0004】
従って、一般原則として、経皮デリバリーはそうでなければ皮下注射または静脈注入を介してデリバリーする必要がある活性作用物質の投与方法を提供する。ここで使用される用語「経皮」は、皮膚の実質的な切開または浸透、例えば手術ナイフを用いる切開または皮下針を用いる皮膚の貫通、を行わない皮膚を通る局部組織または全身的循環系に対する活性作用物質(例えば、治療作用物質、例えば薬品、または免疫学的に活性な作用物質、例えばワクチン)のデリバリーをさす総称である。経皮作用物質デリバリーは、受動的拡散によるデリバリー並びに外部エネルギー源、例えば電気(例えば、イオン泳動)および超音波(例えば、音波泳動(phonophoresis))に基づくデリバリーを包含する。
【0005】
当該技術で既知であるように、皮膚は身体を外的危険から遮断する物理的障壁だけでなく免疫系の構成部分でもある。皮膚の免疫機能は、まとめて皮膚免疫系として知られる先天性および後天性の両方の免疫機能を有する生存可能な(viable)表皮および真皮の常在細胞および上腕成分(humeral constituents)の集合から生ずる。
【0006】
皮膚免疫系の最も重要な成分の1種はランゲルハンス細胞(LC)であり、それらは生存可能表皮で見られる特異化された抗原発現細胞である。LC類は生存可能表皮内で周囲細胞間のそれらの樹状突起の広範な分枝鎖化により半連続的網目構造を形成する。LC類の正常な機能は、抗原を検出し、捕獲しそして発現して侵襲する病原体に対する免疫応答を引き出すことである。LC類はその機能を、上皮抗原を吸収し、局所的な皮膚−排液リンパ節に運び、そして処理された抗原をT細胞に発現することにより、行う。
【0007】
皮膚免疫系の有効性は、皮膚に目標設定された予防接種計画の成功および安全性の原因になる。皮膚乱切り法(skin scarification)による生体−弱毒化種痘を用いる予防接種は致死的な天然痘疾病の世界的な根絶を成功裡にもたらした。種々のワクチンの標準的IM服用量の1/5〜1/10を用いる皮内注射は多くのワクチンを用
いて免疫応答を誘発する際に有効であった一方で、低−服用量の狂犬病ワクチンは皮内適用に関して商業的に認可されてきた。
【0008】
別法として、経皮デリバリーはそうでなければ皮下注射、静脈注入を介してまたは経口的にデリバリーされる必要がある生物学的に活性な作用物質、特にワクチン、の投与方法を提供する。経皮ワクチンデリバリーはこれらの分野の両方において改良を与える。経皮デリバリーは経口デリバリーと比べて、消化管の過酷な環境を回避し、胃腸薬品の代謝を迂回し、初回通過効果を減少させ、そして消化および肝臓酵素による起きうる不活性化を回避する。逆に、消化管は経皮投与中にワクチンを受けない。
【0009】
より普遍的である受動的な経皮作用物質デリバリーシステムは典型的には、高濃度の活性作用物質を含有する薬品受器(reservoir)を包含する。受器は皮膚に接触するように適合されており、それは作用物質を皮膚を通してそして患者の身体組織または血液流の中に拡散可能にする。
【0010】
受動的な経皮拡散作用物質流量を増加させる1つの普遍的な方法は、皮膚浸透促進作用物質を用いる皮膚の予備処理または作用物質と一緒の皮膚浸透促進作用物質の同時デリバリーを包括する。浸透促進作用物質は、作用物質がその中を通ってデリバリーされる身体表面に適用される場合には、そこを通る作用物質の流量を増加させる。しかしながら、経皮蛋白質流量を増加させる際のこれらの方法の効果は、少なくとも比較的大きい蛋白質に関しては、それらの寸法のために限定されていた。
【0011】
経皮的にデリバリーされる作用物質の量を増加させるために最も外側の皮膚層に機械的に浸透させるかまたはその皮膚層を裂き、それにより皮膚内への経路を形成するために開発された多くの技術およびシステムもあった。乱切り器(scarifier)として知られる初期の予防接種装置は一般的に皮膚に適用される複数の尖叉または針を包含しそして適用領域を剥離するかまたは小さい切断部を形成する。ワクチンは例えば特許文献1に開示されているように皮膚に局所的にまたは例えば特許文献2、特許文献3および特許文献4に開示されているように乱切り器の尖叉に適用された湿った液体状で適用された。
【0012】
一部は、患者に免疫作用を与える際に有効であるには非常に少量だけのワクチンがデリバリーされる必要があるため、乱切り器は皮内ワクチンデリバリーが示唆されてきた。さらに、過剰量も満足のいく免疫感作を達成するため、デリバリーされるワクチンの量は特に厳密でない。
【0013】
しかしながら、活性作用物質、例えばワクチン、をデリバリーするための乱切り器を使用する際の重大な欠点は経皮作用物質流量およびその結果として生ずるデリバリーされる服用量を決める際の困難である。また、穿刺を偏らせそしてそれに抵抗する皮膚の弾性、変形および柔軟性質のために、極小貫通部品はしばしば皮膚に均一に浸透せずおよび/または皮膚浸透時に作用物質の液体コーティングが拭い取られる。
【0014】
さらに、皮膚の自己−治癒過程のために、皮膚内に形成された穿孔またはスリットは角質層からの貫通部品の除去後にふさがる傾向がある。それ故、皮膚の弾性は極小貫通部品の皮膚内への浸透時にこれらの部品に適用された活性作用物質液体コーティングを除去するように作用する。さらに、貫通部品により形成された極小スリットが装置の除去後に急速に直るため、貫通部品により形成された通路を通る液体作用物質溶液の通過を制限しそしてまたそのような装置の経皮流量を制限する。
【0015】
経皮作用物質デリバリーを促進させるために極小皮膚貫通部品を使用する他のシステムおよび装置は特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、並びにP
CT公開の特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、および特許文献23に開示されており、全ては引用することにより本発明の内容となる。
【0016】
開示されたシステムおよび装置は、皮膚の最も外側の層(すなわち、角質層)を貫通するための種々の形状および寸法の貫通部品を使用する。これらの参考文献に開示された貫通部品は一般的に薄く平らな部品、例えばパッドまたはシート、から垂直に伸びている。ある種のこれらの装置の中の貫通部品は極端に小さく、あるものは約25−400ミクロンだけの微細突起長さおよび約5−50ミクロンだけの微細突起厚さを有する。これらの極小の貫通/切断部品は中を通る経皮作用物質デリバリーを促進させるための対応して小さい微細スリット/微細切断部を角質層内で形成する。
【0017】
開示されたシステムはさらに典型的には、作用物質を保持するための受器並びに作用物質を受器から角質層を通して例えば装置自体の中空尖叉により移送するためのデリバリーシステムを含む。そのような装置の一例は特許文献24に開示されており、それは液体作用物質受器を有する。しかしながら、受器は加圧されて液体作用物質を極小管部品を通して皮膚の中に強制的に加えなければならない。そのような装置の欠点は加圧可能な液体受器を加えるための追加の複雑さおよび費用並びに圧力−駆動デリバリーシステムの存在による複雑さを包含する。
【0018】
ここ引用することにより全てが本発明の内容となる特許文献25に開示されているように、物理的受器内に含有される代わりに微細突起上にコーティングされてデリバリーされる活性作用物質を有することも可能である。これは、別個の物理的受器および受器に特定な作用物質調合物または組成物の開発の必要性を省く。
【特許文献1】米国特許第5,487,726号明細書
【特許文献2】米国特許第4,453,926号明細書
【特許文献3】米国特許第4,109,655号明細書
【特許文献4】米国特許第3,136,314号明細書
【特許文献5】米国特許第5,879,326号明細書
【特許文献6】米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献7】米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献8】米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献9】米国特許再発行第25,637号明細書
【特許文献10】国際公開第96/37155号パンフレット
【特許文献11】国際公開第96/37256号パンフレット
【特許文献12】国際公開第96/17648号パンフレット
【特許文献13】国際公開第97/03718号パンフレット
【特許文献14】国際公開第98/11937号パンフレット
【特許文献15】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献16】国際公開第97/48440号パンフレット
【特許文献17】国際公開第97/48441号パンフレット
【特許文献18】国際公開第97/48442号パンフレット
【特許文献19】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献20】国際公開第99/64580号パンフレット
【特許文献21】国際公開第98/28037号パンフレット
【特許文献22】国際公開第98/29298号パンフレット
【特許文献23】国際公開第98/29365号パンフレット
【特許文献24】国際公開第93/17754号パンフレット
【特許文献25】米国特許出願第10/045,842号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、コーティングされた微細突起システムの欠点は、コーティング厚さが増加するにつれて微細突起(およびそれらの列)が角質層に浸透する能力が減じられるためデリバリーされる活性作用物質そして特に免疫学的に活性な作用物質の最大量が制限されることである。さらに、上部に配置された厚いコーティングを有する微細突起を角質層に効果的に浸透させるためには、アプリケーターの衝撃エネルギーは増加されなければならず、それは衝撃に対する耐えられない感覚を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、コーティングされた微細突起を介して免疫学的に(または生物学的に)有効な量で容易に投与されうる高濃度の免疫学的に活性な作用物質そして特に液体インフルエンザワクチンを提供することが望ましいであろう。
【0021】
従って、先行技術の免疫学的に活性な作用物質のデリバリー方法およびシステムに伴う欠点および不利を実質的に減ずるかまたは排除する免疫学的に活性な作用物質の経皮デリバリーのための装置および方法を提供することが本発明の目的である。
【0022】
内部に配置されたインフルエンザワクチンを有する生体適合性(biocompatible)コーティングでコーティングされた微細突起を包含するインフルエンザワクチンの経皮デリバリーのための装置および方法を提供することが本発明の別の目的である。
【0023】
インフルエンザワクチンコーティング調合物でコーティングされた複数の微細突起を有する微細突起部品を包含するインフルエンザワクチンの経皮デリバリーのための装置および方法を提供することが本発明の別の目的である。
【0024】
コーティングされた微細突起システムを介して免疫学的に有効な量で容易に投与されうるインフルエンザワクチンを提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0025】
実質的に防腐作用物質を含まないインフルエンザワクチンを提供することが本発明の別の目的である。
【0026】
増加した貯蔵寿命を有するインフルエンザワクチンを提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0027】
発明の要旨
上記の目的並びに以下で述べられそして明らかになるであろうものによると、本発明に従う免疫学的に活性な作用物質を経皮的にデリバリーするための装置および方法は角質層を通りその下にある表皮層、または表皮および真皮層、の中に貫通するように適合されている複数の微細突起(またはそれらの列)を包含する微細突起部品(またはシステム)を有するデリバリーシステムを含んでなり、微細突起部品は上に配置された免疫学的に活性な作用物質を含む生体適合性コーティングを有する。本発明の好ましい態様では、生体適合性コーティングは免疫学的に活性な作用物質コーティング調合物から製造される。
【0028】
本発明の好ましい態様では、免疫学的に活性な作用物質はインフルエンザ・ワクチンを含んでなる。
【0029】
本発明の別の態様では、免疫学的に活性な作用物質はウイルス類および細菌類、蛋白質−ベースワクチン、多糖−ベースワクチン、および核酸−ベースワクチンよりなる群から選択される抗原作用物質またはワクチンを含んでなる。
【0030】
適する抗原作用物質は蛋白質、複合多糖類(polysaccharide conjugates)、オリゴ糖類、およびリポ糖類の形態の抗原を包含するが、それらに限定されない。これらのサブユニットワクチンは百日咳菌(Bordetella pertussis)(組み換え体PTワクチン−非細胞)、破傷風菌(Clostridium
tetani)(精製済み、組み換え体)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)(精製済み、組み換え体)、サイトメガロウイルス類(糖蛋白質サブユニット)、群A連鎖球菌(糖蛋白質サブユニット、破傷風トキソイドを有する複合糖質群A多糖、毒素サブユニット担体に結合されたM蛋白質/ペプチド類、M蛋白質、多価タイプ−特異的エピトープ類、システイン・プロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換え体PreS1、Pre−S2、S、組み換え体芯蛋白質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−発現された表面蛋白質およびエピトープ類)、ヒト・乳頭腫ウイルス(カプシド蛋白質、TA−GN組み換え体蛋白質L2およびE7[HPV−6から]、HPV−11からのMEDI−501組み換え体VLPL1、四価組み換え体BLPL1[HPV−6から]、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16から])、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製された細菌表面蛋白質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド類)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合された複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合された複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合された結合された複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)(表面リポ蛋白質)、水痘帯状ヘルペス(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖蛋白質)、およびコレラ菌(Vibrio cholerae)(複合リポ多糖)を包含する。
【0031】
全てのウイルス類または細菌類は弱化したもしくは死滅したウイルス類、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト・乳頭腫ウイルス、風疹ウイルス、および水痘帯状ヘルペスウイルス、弱化したもしくは死滅した細菌類、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、群A連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマ、およびコレラ菌、並びにそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0032】
抗原作用物質を含有する別の市販ワクチンは流感ワクチン、ライム(Lyme)病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、およびジフテリアワクチンを包含するが、それらに限定されない。
【0033】
核酸類を含んでなるワクチンは一本鎖および二本鎖核酸類、例えば、超コイルプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド類、細菌人工染色体(BAC類)、酵母人工染色体(YAC類)、哺乳動物人工染色体、およびRNA分子、例えばmRNAを包含するが、それらに限定されない。核酸を蛋白質作用物質とカップリングさせることもできまたは1種もしくはそれ以上の化学的改質、例えば、ホスホロチオエート部分、を包含しうる。
【0034】
ワクチン抗原と一緒にワクチンを構成しうる適当な免疫応答増大アジュバントは燐酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファ(algal)グルカン、β−グルカン、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロック重合体、ガンマイヌリン、線状(非分枝鎖状)β−D(2→1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、ゲルブ(Gerbu)アジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、イミキモド(Imiquimod)(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTherTM、ジパルミチン酸N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソGlu−L−Ala−グリセロール、MTP−PEリポソーム類、C5910819PNa−3HO(MTP)、ムラメチド(Murametide)、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、プレウラン(Pleuran)、β−グルカン、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、サルボ(salvo)ペプチド、VQGEESNDK・HCl(IL−1β163−171ペプチド)、およびスレオニル−MDP(TermurtideTM)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、インターロイキン18(IL−18)、IL−2、IL−12、IL−15を包含する。アジュバントはDNAオリゴヌクレオチド類、例えばCpG含有オリゴヌクレオチド類も包含する。さらに、免疫−調節リンホカイン類、例えばIL−18、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL10をコードする核酸配列、ガンマインターフェロン、およびNFカッパB調節信号化蛋白質を使用することもできる。
【0035】
本発明の1つの態様では、微細突起部品は少なくとも約10個の微細突起/cmの、好ましくは、約100個の微細突起/cmより大きい、そしてより好ましくは、約200−3000個/cmの範囲内の、微細突起密度を有する。さらに、微細突起の各々は好ましくは約50−145ミクロンの範囲内の、そしてより好ましくは、約70−140ミクロンの範囲内の、長さを有する。
【0036】
1つの態様では、微細突起部品はステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、または同様な生体適合性材料、例えば重合体材料、から構成される。
【0037】
別の態様では、微細突起部品は非−伝導性材料、例えば重合体、から構成される。或いは、微細突起部品を非−伝導性材料、例えばパリレン(Parylene)(R)、でコーティングされうる。
【0038】
本発明の1つの態様では、生体適合性コーティングは100ミクロンより薄い厚さを有する。好ましい態様では、生体適合性コーティングは約2−50ミクロンの範囲内の厚さを有する。
【0039】
固体の生体適合性コーティングを製造するための微細突起部品に適用されるコーティング調合物は免疫学的に活性な作用物質を含む水性または非−水性調合物を含んでなりうる。好ましい態様では、コーティング調合物は水性調合物を含んでなる。
【0040】
本発明1つの態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の界面活性作用物質を包含し、それらは双性イオン性、両性イオン性、カチオン性、アニオン性、または非イオン性でありうる。適する界面活性作用物質はラウロアンフォ酢酸ナトリウム(sodium
lauroamphoacetate)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(TMAC)、ベンズアルコニウム、クロリド、ポリソルベート類、例えばツイーン(Tween)20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化されたアルコール類、例えばラウレス(laureth)−4を包含するが、それらに限定されない。
【0041】
本発明の別の態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の重合体材料または両親媒性質を有する少なくとも1種の重合体を包含し、それらはデキストラン類、ヒドロキシエチル澱粉(HES)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、またはエチルヒドロキシ−エチルセルロース(EHEC)、並びにプルロニック類(pluronics)を包含するが、それらに限定されない。
【0042】
本発明の1つの態様では、固体の生体適合性コーティング中の両親媒性質を示す重合体の濃度はコーティング調合物の好ましくは約0.001−70重量%の範囲内、より好ましくは、約0.01−50重量%の範囲内、さらにより好ましくは、約0.03−30重量%の範囲内、である。
【0043】
本発明の1つの態様では、固体の生体適合性コーティング中の両親媒性質を示す重合体の濃度は固体の生体適合性コーティングの好ましくは約0.002−99.9重量%の範囲内、より好ましくは、約0.1−60重量%の範囲内、である。
【0044】
別の態様では、コーティング調合物は下記の群:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、並びに同様な重合体から選択される親水性重合体を包含する。
【0045】
好ましい態様では、コーティング調合物中の親水性重合体の濃度は好ましくはコーティング調合物の約0.001−90重量%の範囲内、より好ましくは、約0.01−20重量%の範囲内、さらにより好ましくは、約0.03−10重量%の範囲内、である。
【0046】
好ましい態様では、固体の生体適合性コーティング中の親水性重合体の濃度はコーティング調合物の約0.002−99.9重量%の範囲内、より好ましくは、約0.1−20重量%の範囲内、である。
【0047】
本発明の別の態様では、コーティング調合物は生体適合性担体を包含し、それはヒト・アルブミン、生物工学処理されたヒト・アルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸塩、ポリアミノ酸類、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを包含するが、それらに限定されない。
【0048】
好ましくは、コーティング調合物中の生体適合性担体の濃度はコーティング調合物の好ましくは約0.001−90重量%の範囲内、より好ましくは、約2−70重量%の範囲内、さらにより好ましくは、約5−50重量%の範囲内、である。
【0049】
好ましくは、固体の生体適合性コーティング中の生体適合性担体の濃度は固体の生体適合性調合物の約0.002−99.9重量%の範囲内、より好ましくは、約0.1−95重量%の範囲内、である。
【0050】
別の態様では、コーティング調合物は安定作用物質を包含し、それらは非−還元糖、多糖、還元糖、またはDNアーゼ阻害作用物質を含んでなりうるがそれらに限定されない。
【0051】
別の態様では、コーティング調合物は血管収縮作用物質を包含し、それらはアミデフリン(amidephrine)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタ
ミン(cyclopentamine)、デオキシエピネフリン(deoxyepinephrine)、エピネフリン(epinephrine)、フェリプレッシン(felypressin)、インダナゾリン(indanazoline)、メチゾリン(metizoline)、ミドドリン(midodrine)、ナファゾリン(naphazoline)、ノルデフリン(nordefrin)、オクトドリン(octodrine)、オルニプレッシン(ornipressin)、オキシメタゾリン(oxymethazoline)、フェルエフリン(phenylephrine)、フェニルエタノールアミン(phenylethanolamine)、フェニルプロパノールアミン(phenylpropanolamine)、プロピルヘキセドリン(propylhexedrine)、プソイドエフェドリン(pseudoephedrine)、テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline)、トラマゾリン(tramazoline)、ツアミノヘプタン(tuaminoheptane)、チマゾリン(tymazoline)、バソプレッシン(vasopressin)、キシロメタゾリン(xylometazoline)およびそれらの混合物を含んでなりうるがそれらに限定されない。最も好ましい血管収縮作用物質はエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0052】
使用される場合には、血管収縮作用物質の濃度は好ましくはコーティングの約0.1重量%〜10重量%の範囲内である。
【0053】
本発明のさらに別の態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の「経路開通性調節作用物質(pathway patency modulator)」を包含し、それは浸透作用物質(例えば、塩化ナトリウム)、双性イオン性化合物(例えば、アミノ酸類)、および抗−炎症作用物質、例えばベータメタソン21−ホスフェート二ナトリウム塩、トリアンシノロン・アセトニド21−二ナトリウムホスフェート、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチソン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタソン二ナトリウムホスフェート、およびプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、並びに抗凝固作用物質、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウム、アスピリン、並びにEDTAを含んでなりうるがそれらに限定されない。
【0054】
好ましくは、本発明のコーティング調合物は約5ポイズより低い、より好ましくは、約0.3−2.0ポイズの範囲内の、粘度を有する。
【0055】
本発明の1つの態様によると、免疫学的に活性な作用物質をデリバリーする方法は下記の段階:(i)複数の微細突起を有する微細突起部品を準備し、(ii)バルクワクチンを準備し、(iii)バルクワクチンを接線−流(tangential−flow)濾過にかけてワクチン溶液を与え、(iv)少なくとも1種の賦形作用物質(例えばスクロース、トレハロースまたはマンニトール)をワクチン溶液に加え、(v)ワクチン溶液を凍結−乾燥してワクチン製品を生成し、(vi)ワクチン製品を最初の溶液(例えば、水)を用いて再構成してワクチンコーティング調合物を生成し、(vii)微細突起部品をワクチンコーティング調合物でコーティングし、そして(viii)コーティングされた微細突起部品を患者の皮膚に適用すること、を含んでなる。
【0056】
1つの態様では、ワクチンはインフルエンザワクチンを含んでなる。好ましくは、この方法は 約45μgのヘマググルチニン(hemagglutinin)をデリバリーする段階を含んでなる。より好ましくは、ワクチンをデリバリーする段階はワクチンの少なくとも約70%をAPC−豊富表皮層にデリバリーすることを含んでなる。
【0057】
別の態様では、本発明のワクチン溶液を調合する方法は下記の段階:(i)バルクワクチンを準備し、(ii)バルクワクチンを接線−流濾過にかけてワクチン溶液を与え、(iii)少なくとも1種の賦形作用物質をワクチン溶液に加え、(iv)ワクチン溶液を凍結−乾燥してワクチン製品を生成すること、を含んでなる。1つの態様では、ワクチン製品はバルクワクチンより少なくとも約500倍ほど多く濃縮されている濃度を示す。好ましくは、ワクチン製品は室温安定性を少なくとも約6ヶ月間にわたり保つ。
【0058】
図面の簡単な説明
さらなる特徴および利点は、添付図面で説明されているような以下のそしてより特に発明の好ましい態様の記述から明らかになろうし、そしてここで同様な参照文字は図面全体にわたり同じ部分または部品を一般的にさしており、そしてここで、
図1はインフルエンザウイルス粒子の説明図であり、
図2は本発明に従う微細突起部品の1つの態様の一部の透視図であり、
図3は本発明に従う微細突起上に配置された生体適合性コーティングを有する図2に示
された微細突起部品の透視図であり、
図4は本発明に従う接着作用物質裏打ち材を有する微細突起部品の断面側面図であり、
図5は本発明に従う微細突起部品の別の態様の一部の透視図であり、
図6は本発明に従う内部に配置された微細突起部品を有する保持器(retaine
r)の断面側面図であり、
図7は図6に示された保持器の透視図であり、
図8はアプリケーターおよび図6に示された保持器の透視図であり、
図9は本発明に従う調合前工程のフローチャートであり、
図10は本発明に従う溶液濁度の減少に対するpHの影響を説明する吸光度対pHのグ ラフ説明図であり、
図11はワクチンであるFluzone(R)およびVaxigripTMに関する粘
度対rpmのグラフ説明図であり、
図12は22.5mg/mLにおける15%HA純度を有するA/ニュー・カレドニア(New Caledonia)菌株に関する粘度対温度のグラフ説明図であり、
図13Aおよび13Bは本発明に従う種々の微細突起列デザインに関するワクチンデリ
バリー性をまとめたグラフ説明図であり、
図14AはHA(A/パナマ(Panama)菌株)の種々の服用量に関する平均抗−
HA力価対時間のグラフ説明図であり、
図14Bは合計A/パナマ−特異的IgG力価対HI活性のグラフ説明であり、
図15Aおよび15Bは抗−A/パナマ−特異的IgG抗体およびHI活性を説明する
HA(A/パナマ菌株)の数種の調合物の免疫原性の棒グラフであり、
図16Aおよび16Bは28日および49日における抗−HA IgG抗体活性および
HI活性を説明する微細突起上に乾燥−コーティングされたHA(A/パナマ菌株)の
数種の調合物の免疫原性の棒グラフであり、
図17はHI活性を説明する微細突起上に乾燥−コーティングされた三価HA(A/パ
ナマ、A/ニュー・カレドニアおよびB/シャンドン(Shangdong)菌株)の
数種の調合物の免疫原性の棒グラフであり、
図18は本発明に従う8週間までにわたり40℃において貯蔵された数種の調合物の安
定性特徴を説明するHA量対時間のグラフ表示であり、
図19および20は本発明に従う3ヶ月間までにわたり40℃においてそして6ヶ月間
までにわたり5℃および40℃において貯蔵された調合物の安定性特徴を説明する2種
の三価調合物の棒グラフであり、
図21は本発明に従うスクロースと共に調合されそして8週間までにわたり40℃にお
いて貯蔵されたA/ニュー・カレドニア菌株の安定性特徴を示すSRID/BCA対時
間のグラフ説明図である。
【0059】
発明の詳細な記述
本発明を詳細に記載する前に、特に例示された物質、調合物、方法または構造はもちろん変動しうるため、本発明はそれらに限定されないことを理解すべきである。それ故、ここに記載されたものと同様なまたは同等な多くの物質および方法を本発明の実施において使用できるが、好ましい物質および方法がここに記載される。
【0060】
ここで使用される用語は本発明の特定の態様だけを記載する目的のためでありそして限定しようとする意図はない。
【0061】
断らない限り、ここで使用される全ての技術的および科学的用語は本発明が関係する当該技術の専門家により普遍的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0062】
さらに、以上または以下のいずれかで、ここに引用された全ての文献、特許および特許出願は引用することにより本発明の内容となる。
【0063】
最後に、この明細書および添付された請求項で使用される場合には、単数形「a」、「an」および「the」は内容が明らかに別のものを示さない限り複数対象を包含する。それ故、例えば、「免疫学的に活性な作用物質」の言及は2種もしくはそれ以上のそのような作用物質を包含し、「微細突起」の言及は2個もしくはそれ以上のそのような微細突起を包含するなどである。
【0064】
定義
ここで使用される用語「経皮」は、局所または全身療法のための作用物質の皮膚の中へのおよび/または皮膚を通るデリバリーを意味する。
【0065】
ここで使用される用語「経皮流束」は、経皮デリバリーの速度を意味する。
【0066】
ここで使用される用語「共−デリバリー」は、1種もしくは複数の作用物質がデリバリーされる前、作用物質の経皮流束の前および最中、作用物質の経皮流束中、作用物質の経皮流束の最中および後、および/または作用物質の経皮流束後のいずれかに作用物質が経皮的に投与されることを意味する。さらに、2種もしくはそれ以上の免疫学的に活性な作用物質を本発明の生体適合性コーティングの中に調合して異なる免疫学的に活性な作用物質の共−デリバリーを生ずることもできる。
【0067】
ここで使用される用語「生物学的に活性な作用物質」は、治療的に有効な量で投与される時に薬理学的に有効である活性作用物質または薬品を含有する物体または混合物の組成物をさす。そのような活性作用物質の例は小分子量化合物、ポリペプチド類、蛋白質、オリゴヌクレオチド類、核酸類および多糖類を包含するが、それらに限定されない。
【0068】
ここで使用される用語「免疫学的に活性な作用物質」は、免疫学的に有効な量で投与される時に有利な免疫応答を引き起こしうるいずれかのおよび全ての源からの抗原作用物質および/または「ワクチン」を含有する物体または混合物の組成物をさす。免疫学的に活性な作用物質の具体例はインフルエンザワクチンである。
【0069】
免疫学的に活性な作用物質の別の例はウイルス類および細菌、蛋白質をベースとしたワクチン、多糖をベースとしたワクチン、および核酸をベースとしたワクチンを包含するが、それらに限定されない。
【0070】
適する免疫学的に活性な作用物質は蛋白質、複合多糖類、オリゴ糖類、およびリポ蛋白質の形態の抗原を包含するが、それらに限定されない。これらのサブユニットワクチンは
百日咳菌(組み換え体PTワクチン−非細胞)、破傷風菌(精製済み、組み換え体)、ジフテリア菌(精製済み、組み換え体)、サイトメガロウイルス類(糖蛋白質サブユニット)、群A連鎖球菌(糖蛋白質サブユニット、破傷風トキソイドを有する複合糖質群A多糖、毒素サブユニット担体に結合されたM蛋白質/ペプチド類、M蛋白質、多価タイプ−特異的エピトープ類、システイン・プロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換え体PreS1、Pre−S2、S、組み換え体芯蛋白質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−発現された表面蛋白質およびエピトープ類)、ヒト・乳頭腫ウイルス(カプシド蛋白質、TA−GN組み換え体蛋白質L2およびE7[HPV−6から]、HPV−11からのMEDI−501組み換え体VLPL1、四価組み換え体BLPL1[HPV−6から]、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16から])、レジオネラ・ニューモフィラ(精製された細菌表面蛋白質)、髄膜炎菌(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(合成ペプチド類)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(髄膜炎菌B OMPに結合された複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合された複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合された結合された複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(表面リポ蛋白質)、水痘帯状ヘルペスウイルス(サブユニット、糖蛋白質)、コレラ菌(複合リポ多糖)を包含するが、それらに限定されない。
【0071】
全てのウイルス類または細菌類は弱化したまたは死滅したウイルス類、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト・乳頭腫ウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状ヘルペスウイルス、弱化したまたは死滅した細菌類、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、群A連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレボネーマ、およびコレラ菌、並びにそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0072】
本発明での用途を有する抗原作用物質を含有する多くの市販ワクチンは流感ワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、およびジフテリアワクチンを包含するが、それらに限定されない。
【0073】
本発明の方法に従いこれらもデリバリーされうる核酸類を含んでなるワクチンは一本鎖および二本鎖核酸類、例えば超コイルプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド類、細菌人工染色体(BAC類)、酵母人工染色体(YAC類)、哺乳動物人工染色体、並びにRNA分子、例えばmRNA、を包含するが、それらに限定されない。
【0074】
核酸の寸法は数千キロ塩基まででありうる。核酸を蛋白質性の作用物質と結合させることもできまたは1種もしくはそれ以上の化学的変更、例えば、ホスホロチオエート部分、を包含しうる。
【0075】
ワクチン抗原と一緒になってワクチンを構成しうる適当な免疫応答強化アジュバントは燐酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファグルカン、β−グルカン、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロック重合体、ガンマイヌリン、線状(非分枝鎖状)β−D(2→1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、ゲルブアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTherTM、ジパルミチン酸N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソGlu−L−Ala−グリセロール、MTP−PEリポソーム類、C5910819PNa−3HO(MTP)、ムラメチド、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、プレウラン、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、サルボペプチド、VQGEESNDK・HCl(IL−1β
163−171ペプチド)、およびスレオニル−MDP(TermurtideTM)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、並びにインターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を包含するが、それらに限定されない。アジュバントはDNAオリゴヌクレオチド類、例えばCpG含有オリゴヌクレオチド類、も包含する。さらに、免疫−調節リンホカイン類例えばIL−18、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL−10をコードする核酸配列、ガンマインターフェロン、およびNFカッパB調節信号化蛋白質を使用することもできる。
【0076】
ここで使用される用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な割合」は、所望する免疫学的なしばしば有利な結果を刺激するかまたは開始させるのに必要な免疫学的に活性な作用物質の量または割合をさす。本発明のコーティング中で使用される免疫学的に活性な作用物質の量は、所望する免疫学的な結果を得るために必要な免疫学的に活性な作用物質の量をデリバリーするのに必要な量であろう。実際に、これはデリバリーされる特定の免疫学的に活性な作用物質、デリバリーの部位、並びに皮膚組織内への免疫学的に活性な作用物質のデリバリーのための溶解および放出動力学に依存して広く変動するであろう。
【0077】
当業者に認識されるように、デリバリーされる免疫学的に活性な作用物質の服用量は微細突起列(またはパッチ)寸法、密度などを変えることにより変更または操作することもできる。
【0078】
ここで使用される用語「コーティング調合物」は微細突起および/またはそれらの列をコーティングするために使用される自由流動性組成物または混合物を意味し且つ包含することを意味する。
【0079】
ここで使用される用語「生体適合性コーティング」および「固体コーティング」は実質的に固体状態の「コーティング調合物」を意味し且つ包含することを意味する。
【0080】
ここで使用される用語「微細突起」は生存動物、特に哺乳動物そしてより特に人間、の角質層を通ってその下にある表皮層または表皮および真皮層の中に貫通するかまたは切断するように適合される貫通部品をさす。
【0081】
ここで使用される用語「微細突起部品」は一般的に角質層を貫通するために列内に配置された複数の微細突起を含んでなる微細突起列を意味する。微細突起部品は、薄いシートから複数の微細突起を侵食(etching)または穿孔(punching)しそして微細突起をシートの面から折るかもしくは曲げて例えば図2に示されるような構造を形成することにより、形成できる。微細突起部品は他の既知の方法で、例えば引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,050,988号に開示されているように1個もしくは複数の片の各々の角に沿って微細突起を有する1個もしくはそれ以上の片を形成することにより、形成することもできる。
【0082】
1つの態様では、微細突起部品は少なくとも約10個の微細突起/cm、好ましくは少なくとも約100個の微細突起/cm、そしてより好ましくは、約200−3000個の微細突起/cmの範囲内、の微細突起密度を有する列を有する。
【0083】
以上で示されたように、本発明は角質層を通ってその下にある表皮層または表皮および
真皮層の中に貫通するように適合される複数の微細突起(またはそれらの列)を有する微細突起部品(またはシステム)を包含する免疫学的に活性な作用物質の経皮デリバリーのための装置および方法を含んでなり、微細突起部品はその上に配置された免疫学的に活性な作用物質を包含する生体適合性コーティングを有する。
【0084】
本発明の好ましい態様では、免疫学的に活性な作用物質はインフルエンザワクチン、より好ましくは、三価インフルエンザワクチン、を含んでなる。本発明によると、皮膚の角質層の貫通時に、生体適合性コーティングが体液(細胞内流体および細胞外流体、例えば間質流体)により溶解しそしてインフルエンザワクチンが全身療法のために皮膚内に放出される(すなわち、大型丸作用物質(bolus)デリバリー)。
【0085】
本発明によると、コーティング溶解および放出の動力学は免疫学的に活性な作用物質の性質、コーティング方法、コーティング厚さおよびコーティング組成物(例えば、コーティング調合添加作用物質の存在)を包含する多くの因子に依存するであろう。放出動力学特徴によって、長期間にわたり皮膚と関連して貫通する際にコーティングされた微細突起を維持することが必要でありうる。これは、微細突起部品を皮膚に接着作用物質を用いて固定することによりまたは例えば図5に示されそして引用することにより本発明の内容となる国際公開第97/48440号パンフレットに記載されているような固定された微細突起を用いることにより、達成されうる。
【0086】
当該技術で既知のように、インフルエンザウイルス粒子は人間における保護性の抗−HA抗体の導入に寄与する一次表面抗原としてのヘマググルチニン(HA)を有する多くの蛋白質成分よりなる。インフルエンザ粒子の説明は図1に示される。
【0087】
免疫学的には、インフルエンザAウイルスは2種の表面抗原であるHAおよびニューラミニダーゼ(neuraminidase;NA)に基づきサブタイプに分類される。これらの抗原に対する、特にヘマググルチニンに対する、免疫性は感染症の可能性を減少させそして感染症が起きた場合に疾病の重篤度を小さくする。
【0088】
流布する菌株の抗原特性は各年のワクチン中に含まれるウイルス菌株の選択のための基礎を与える。毎年、インフルエンザワクチンは到来する冬に世界的に流布しそうなインフルエンザウイルスを代表する3種のウイルス菌株(普通は2つのタイプAおよび1つのB)を含有する。インフルエンザAおよびBはそれらの核蛋白質およびマトリックス蛋白質における差異により区別できる。タイプAは最も普遍的な菌株でありそして大規模な人間流行の原因となる。三価ワクチン中の各菌株のHA含有量は典型的には1回人間服用量に関して15μgに、すなわち45μgの合計HAに、設定される。
【0089】
ここで詳細に論じられるように、独特な予備−調合方法により、インフルエンザワクチンの人間服用量の全部、すなわち45μgのヘマググルチニン、を皮膚の最も免疫−反応性のある成分であるAPCが豊富な表皮層に、コーティングされた微細突起列を介して、経皮的にデリバリーすることができ、ここでインフルエンザワクチンの少なくとも70%は言及した表皮層にデリバリーされる。さらに重要なことに、抗原は皮膚内で免疫原性を保有して強い抗体および血清−保護免疫応答を引き出す。さらに、乾燥したコーティングされたワクチン調合物は実質的に防腐作用物質を含まずそして少なくとも6ヶ月間の室温安定性を維持しうる。
【0090】
次に図2を参照すると、本発明での使用のための微細突起部品30の1つの態様が示される。図2で説明されるように、微細突起部品30は複数の微細突起34を有する微細突起列32を包含する。微細突起34は好ましくはシート36から実質的に90°の角度で伸び、それは言及した態様では開口部38を含む。
【0091】
本発明によると、シート36をシート36用の裏打ち40を包含するデリバリーパッチの中に加えることができ、そしてさらにパッチを皮膚に付着するための接着作用物質片(示されていない)を包含しうる(図4参照)。この態様では、微細突起34は複数の微細突起34を薄い金属シート36から侵食または穿孔しそして微細突起34をシート36の面から曲げることにより形成される。
【0092】
本発明の1つの態様では、微細突起部品30は少なくとも10個の微細突起/cm、より好ましくは、少なくとも約200−3000個の微細突起/cmの範囲内、の微細突起密度を有する。好ましくは、単位面積当りのそこを通って作用物質が通過する開口部の数は少なくとも約10個の開口部/cmであり且つ約3000個の開口部/cmより少ない。
【0093】
示されるように、微細突起34は好ましくは1000ミクロンより短い突起長さを有する。1つの態様では、微細突起34は500ミクロンより短い、より好ましくは、250ミクロンより短い、突起長さを有する。
【0094】
出血および刺激を最少にするために適合される別の態様では、微細突起は好ましくは145ミクロンより短い突起長さ、より好ましくは、約50−145ミクロンの範囲内、そしてさらにより好ましくは、約70−140ミクロンの範囲内、の突起長さを有する。
【0095】
微細突起34は好ましくは約25−500ミクロンの範囲内の図2に「W」で表示された幅および約10−100ミクロンの範囲内の厚さも有する。
【0096】
次に図5を参照すると、発明の範囲内で使用できる微細突起部品50の別の態様が示される。微細突起部品50は同様に複数の微細突起54を有する微細突起列52を包含する。微細突起54は好ましくはシート51から実質的に90°の角度で伸び、これも同様に開口部56を含む。
【0097】
図5に示されるように、数個の微細突起54は案内端部近くに配置された保持部品または固定具58を包含する。以上で示されたように、保持部品58は患者の皮膚に対する微細突起部品50の付着を強める。
【0098】
微細突起部品(例えば、30、50)は種々の金属、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、または同様な生体適合性材料、例えば重合体材料、から製作することができる。好ましくは、微細突起部品はチタンから製作される。
【0099】
本発明によると、微細突起部品を非−伝導性材料、例えば重合体、から構成することもできる。或いは、微細突起部品に非−伝導性材料、例えばパリレン(Parylene)(R)、または疎水性材料、例えばテフロン(Teflon)(R)、珪素もしくは他の低エネルギー材料、でコーティングすることができる。記載された疎水性材料および付随するベース(例えば、耐光性(photoresist))層は引用することにより本発明の内容となる米国特許出願第60/484,142号明細書に示されている。
【0100】
本発明で使用できる微細突起部品は引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,083,196号、第6,050,988号および第6,091,975号明細書並びに米国特許出願公開第2002/0016562号明細書に開示されている部品を包含するが、それらに限定されない。
【0101】
本発明で使用できる他の微細突起部品は、珪素チップ侵食技術を使用して珪素を侵食す
ることによりまたは侵食された微細型を用いてプラスチックを成型することにより形成された部品、例えば引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,879,326号明細書に開示された部品、を包含する。
【0102】
次に図3を参照すると、生体適合性コーティング35でコーティングされた微細突起34を有する微細突起部品30が示される。本発明によると、コーティング35は各微細突起34を部分的にまたは完全に被覆しうる。例えば、コーティング35は微細突起34上のドライパターンコーティングでありうる。コーティング35は微細突起34が形成される前または後に適用することもできる。
【0103】
本発明によると、コーティング35を微細突起34に種々の既知の方法により適用することができる。好ましくは、皮膚を貫通する微細突起部品30または微細突起34の部分(例えば、先端39)だけにコーティングを適用する。
【0104】
1つのそのようなコーティング方法は浸漬−コーティングを含んでなる。浸漬−コーティングは微細突起34をコーティング溶液中に部分的にまたは完全に浸漬することにより微細突起をコーティングするための手段として記載することができる。部分的な浸漬技術の使用により、コーティング35を微細突起34の先端39だけに制限することが可能である。
【0105】
別のコーティング方法はローラーコーティングを含んでなり、それは同様にコーティング35を微細突起34の先端39だけに制限するローラーコーティング機構を使用する。ローラーコーティング方法は引用することにより本発明の内容となる米国特許出願第10/099,604号(出願公開第2002/0132054号)に開示されている。言及した出願で詳細に論じられるように、開示されたローラーコーティング方法は皮膚貫通中に微細突起34から容易に除去されない滑らかなコーティングを与える。
【0106】
本発明によると、微細突起34はコーティング35の容量を受けおよび/または増強させるように適合された手段、例えば開口部(示されていない)、溝(示されていない)、表面の不規則性(示されていない)または同様な変更、をさらに包含することができ、ここでこれらの手段はより大量のコーティングを沈着させうる増加した表面積を与える。
【0107】
本発明の範囲内で使用できる別のコーティング方法は噴霧コーティングを含んでなる。本発明によると、噴霧コーティングはコーティング組成物のエーロゾル懸濁液の生成を包括しうる。1つの態様では、約10〜200ピコリットルの小滴寸法を有するエーロゾル懸濁液を微細突起10の上に噴霧しそして次に乾燥する。
【0108】
パターンコーティングを使用して微細突起34をコーティングすることもできる。パターンコーティングは沈着した液体を微細突起表面上に置くための分配システムを用いて適用できる。沈着する液体の量は好ましくは0.1〜20ナノリットル/微細突起の範囲内である。適する正確に計量された液体分配器の例は引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,916,524号、第5,743,960号、第5,741,554号、および第5,738,728号明細書に開示されている。
【0109】
微細突起コーティング調合物または溶液を既知のソレノイド弁分配器、場合により流体運動手段および電場の使用により一般的に調節される配置手段を使用するインキジェット技術を用いて適用することもできる。本発明のパターンコーティングを適用するために印刷産業からの他の液体分配技術または当該技術で既知である同様な液体分配技術を使用することができる。
【0110】
次に図6および7を参照すると、貯蔵および適用のために、引用することにより本発明の内容となる現在出願継続中の米国特許出願第09/976,762号(出願公開第2002/0091357号)明細書に記載されているように、微細突起部品30を好ましくは保持環40の中に接着作用物質タブ6により懸垂する。
【0111】
保持環40中への微細突起部品30の配置後に、微細突起部品30を患者の皮膚に適用する。好ましくは、微細突起部品30を皮膚に衝撃アプリケーター、例えば図8に示されそして引用することにより本発明の内容となる現在出願継続中の米国特許出願第09/976,798号明細書に記載されているもの、を用いて適用する。
【0112】
示されるように、本発明の好ましい態様では、微細突起部品30に適用されて固体コーティングを形成するコーティング調合物は水性調合物を含んでなる。別の態様では、コーティング調合物は非−水性調合物を含んでなる。本発明によると、免疫学的に活性な作用物質を生体適合性担体内に溶解させるかまたは担体内に懸濁させることができる。
【0113】
示されるように、本発明の好ましい態様では、免疫学的に活性な作用物質はインフルエンザワクチンを含んでなる。より好ましくは、三価インフルエンザワクチン。
【0114】
本発明の別の態様では、免疫学的に活性な作用物質はウイルス類および細菌、蛋白質をベースとしたワクチン、多糖をベースとしたワクチン、および核酸をベースとしたワクチンよりなる群から選択されるワクチン(または抗原作用物質)を含んでなる。
【0115】
適する抗原作用物質は蛋白質、複合多糖類、オリゴ糖類、およびリポ蛋白質の形態の抗原を包含するが、それらに限定されない。これらのサブユニットワクチンは百日咳菌(組み換え体PTワクチン−非細胞)、破傷風菌(精製済み、組み換え体)、ジフテリア菌(精製済み、組み換え体)、サイトメガロウイルス類(糖蛋白質サブユニット)、群A連鎖球菌(糖蛋白質サブユニット、破傷風トキソイドを有する複合糖質群A多糖、毒素サブユニット担体に結合されたM蛋白質/ペプチド類、M蛋白質、多価タイプ−特異的エピトープ類、システイン・プロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換え体PreS1、Pre−S2、S、組み換え体芯蛋白質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−発現された表面蛋白質およびエピトープ類)、ヒト・乳頭腫ウイルス(カプシド蛋白質、TA−GN組み換え体蛋白質L2およびE7[HPV−6から]、HPV−11からのMEDI−501組み換え体VLPL1、四価組み換え体BLPL1[HPV−6から]、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16から])、レジオネラ・ニューモフィラ(精製された細菌表面蛋白質)、髄膜炎菌(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(合成ペプチド類)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(髄膜炎菌B OMPに結合された複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合された複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合された結合された複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(表面リポ蛋白質)、水痘帯状ヘルペスウイルス(サブユニット、糖蛋白質)、およびコレラ菌(複合リポ多糖)を包含するが、それらに限定されない。
【0116】
全てのウイルス類または細菌類は弱化したまたは死滅したウイルス類、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト・乳頭腫ウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状ヘルペスウイルス、弱化したまたは死滅した細菌類、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、群A連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレボネーマ、およびコレラ菌、並びにそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0117】
抗原作用物質を含有する他の市販ワクチンは流感ワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、およびジフテリアワクチンを包含するが、それらに限定されない。
【0118】
核酸類を含んでなるワクチンは一本鎖および二本鎖核酸類、例えば超コイルプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド類、細菌人工染色体(BAC類)、酵母人工染色体(YAC類)、哺乳動物人工染色体、並びにRNA分子、例えばmRNA、を包含するが、それらに限定されない。核酸の寸法は数千キロ塩基まででありうる。さらに、本発明のある態様では、核酸を蛋白質性の作用物質と結合させることもできまたは1種もしくはそれ以上の化学的変更、例えば、ホスホロチオエート部分、を包含しうる。核酸のコードする配列はそれに対して免疫応答が所望される抗原の配列を含んでなる。さらに、DNAの場合には、プロモーターおよびポリアデニル化配列もワクチン構造に導入される。コードされうる抗原は感染性疾病の全ての抗原成分、病原体、並びに癌抗原を包含する。それ故、核酸は感染性疾病、癌、アレルギー、自己免疫、および炎症性疾病の分野において用途を見出す。
【0119】
ワクチン抗原と一緒になってワクチンを構成しうる適当な免疫応答強化アジュバントは燐酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファグルカン、β−グルカン、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロック重合体、ガンマイヌリン、線状(非分枝鎖状)β−D(2→1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、ゲルブアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTherTM、ジパルミチン酸N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソGlu−L−Ala−グリセロール、MTP−PEリポソーム類、C5910819PNa−3HO(MTP)、ムラメチド、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、プレウラン、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、サルボペプチド、VQGEESNDK・HCl(IL−1β
163−171ペプチド)、およびスレオニル−MDP(TermurtideTM)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、並びにインターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を包含するが、それらに限定されない。アジュバントはDNAオリゴヌクレオチド類、例えばCpG含有オリゴヌクレオチド類、も包含する。さらに、免疫−調節リンホカイン類例えばIL−18、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL−10をコードする核酸配列、ガンマインターフェロン、およびNFカッパB調節信号化蛋白質を使用することもできる。
【0120】
本発明によると、コーティング調合物は少なくとも1種の湿潤作用物質を包含しうる。適する湿潤作用物質は界面活性作用物質および両親媒性を示す重合体を包含する。
【0121】
それ故、本発明の1つの態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の界面活性作用物質を包含する。本発明によると、1種もしくは複数の界面活性作用物質は双性イオン性、両性イオン性、カチオン性、アニオン性、または非イオン性でありうる。適する界面活性作用物質の例はラウロアンフォ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(TMAC)、ベンズアルコニウム、クロリド、ポリソルベート類、例えばツイーン20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化されたアルコール類、例えばラウレス−4でありうる。最も好ましい界面活性作用物質はツイーン20、ツイーン80、およびSDSを包含する。
【0122】
本発明の別の態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の重合体材料または両親媒性質を有する少なくとも1種の重合体を包含する。言及した重合体の例はセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、またはエチルヒドロキシ−エチルセルロース(EHEC)、並びにプルロニック類を包含するが、それらに限定されない。
【0123】
本発明の1つの態様では、両親媒性質を示す重合体の濃度はコーティング調合物の好ましくは約0.01−20重量%の範囲内、より好ましくは、約0.03−10重量%の範囲内である。さらにより好ましくは、湿潤財の濃度はコーティング調合物の約0.1−5重量%の範囲内である。
【0124】
当業者に認識されるように、言及した湿潤作用物質は別個にまたは組み合わせて使用することができる。
【0125】
本発明によると、コーティング調合物は親水性重合体をさらに含んでなりうる。好ましくは、親水性重合体は下記の群:デキストラン類、ヒドロキシエチル澱粉(HES)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、並びに同様な重合体から選択される。当該技術で既知であるように、言及した重合体は粘度を増加させる。
【0126】
コーティング調合物中の親水性重合体の濃度はコーティング調合物の約0.01−50重量%の範囲内、より好ましくは、約0.03−30重量%の範囲内、である。さらにより好ましくは、湿潤作用物質の濃度はコーティング調合物の約0.1−20重量%の範囲内である。
【0127】
本発明によると、コーティング調合物は生体適合性担体、例えば引用することにより本発明の内容となる現在出願継続中の米国特許出願第10/127,108号明細書に開示されたもの、をさらに包含しうる。生体適合性担体の例はヒト・アルブミン、生物工学処理されたヒト・アルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸塩、ポリアミノ酸類、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを包含する。
【0128】
コーティング調合物中の生体適合性担体の濃度はコーティング調合物の好ましくは約2−70重量%の範囲内、より好ましくは、約5−50重量%の範囲内、である。さらにより好ましくは、湿潤作用物質の濃度はコーティング調合物の約10−40重量%の範囲内である。
【0129】
コーティング調合物は血管収縮作用物質、例えば引用することにより本発明の内容となる現在出願継続中の米国特許出願第10/674,626号明細書に開示されたもの、をさらに包含しうる。言及した現在出願継続中の出願に示されているように、血管収縮作用物質を使用して微細突起部品上への適用中および後の出血を調節する。好ましい血管収縮作用物質はアミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェルエフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。最も好ましい血管収縮作用物質はエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0130】
使用される場合には、血管収縮作用物質の濃度は好ましくはコーティングの約0.1重量%〜10重量%の範囲内である。
【0131】
本発明のさらに別の態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の「経路開通性調節作用物質」、例えば引用することにより本発明の内容となる現在出願継続中の米国特許出願第09/950,436号明細書に開示されたもの、をさらに包含しうる。言及した現在出願継続中の出願に示されているように、経路開通性調節作用物質は皮膚の自然治癒工程を妨害または減少圧せ、それにより微細突起列により角質内で形成された経路または微細スリットの閉鎖を防ぐ。経路開通性調節作用物質の例は浸透作用物質(例えば、塩化ナトリウム)、および双性イオン性化合物(例えば、アミノ酸類)を包含するが、それらに限定されない。
【0132】
現在出願継続中の出願で定義された用語「経路開通性調節作用物質」は抗−炎症作用物質、例えばベンタメタソン21−ホスフェート二ナトリウム塩、トリアミシノロンアセトニド21−二ナトリウムホスフェート、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチソン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタソン二ナトリウムホスフェートおよびプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、並びに抗凝固作用物質、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、デキストリンサルフェートナトリウム、アスピリンおよびEDTAをさらに包含する。
【0133】
本発明によると、コーティング調合物は非−水性溶媒、例えばエタノール、クロロホルム、エーテル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、染料、顔料、不活性充填作用物質、浸透促進作用物質、賦形作用物質、および当該技術で既知である製薬学的製品または経皮装置の他の従来化合物も包含しうる。
【0134】
他の既知の調合アジュバントを、それらがコーティング調合物の必要な溶解度および粘度並びに乾燥したコーティングの物理的一体性に悪影響を与えない限り、コーティング調合物に加えることもできる。
【0135】
好ましくは、各微細突起10を効果的にコーティングするためにはコーティング調合物は約5より小さい粘度を有する。より好ましくは、コーティング調合物は約0.3−2.0ポイズの範囲内の粘度を有する。
【0136】
本発明によると、コーティング厚さは好ましくは100ミクロンより薄く、より好ましくは50ミクロンより薄い。さらにより好ましくは、コーティング厚さは約2−30ミクロンの範囲内である。
【0137】
所望するコーティング厚さは、必要な服用量そしてその結果としての服用量をデリバリーするのに必要なコーティング厚さ、単位面積のシート当たりの微細突起の密度、コーティング調合物の粘度および組成並びに選択されるコーティング方法を包含する数種の因子に依存する。
【0138】
全ての場合に、コーティングが適用された後に、コーティング調合物を種々の手段により微細突起上で乾燥することができる。本発明の1つの態様では、コーティングされた微細突起部品(例えば、30)を周囲室内条件で空気−乾燥する。別の態様では、コーティ
ングされた微細突起部品を真空−乾燥する。さらに別の態様では、コーティングされた微細突起部品を空気−乾燥しそしてその後に真空−乾燥する。
【0139】
種々の温度および湿度レベルを使用してコーティング調合物を微細突起上で乾燥することもできる。それ故、コーティングされた微細突起部品30を加熱し、凍結乾燥(lyophilized)し、凍結乾燥し(freezedried)または同様な技術にかけて水をコーティングから除去することができる。
【実施例】
【0140】
試験/実施例
以下の試験および実施例は、本発明の装置、調合物、方法および工程を説明する。実施例は説明目的だけのためでありそして本発明の範囲をいずれかの方法で限定することを意味しない。
【0141】
最初に表1に言及すると、以下に示される試験において得られそして使用された一価菌株(すなわち、ロット)のまとめが示される:
【0142】
【表1】

【0143】
予備−調合方法
得られた最初のバルクワクチンは400μgのHA/mLでの一価A/パナマ/2007/99菌株(フルゾン(Fluzone)(R))であった。溶液は受容時に濁っており、恐らく水−不溶性脂質、脂質−蛋白質複合体、および集合した蛋白質による不溶性粒子の存在を示唆する。一価のBCA分析並びに透析は、塩および他の低分子量物質が固体含有量の大部分を占めることを示した。服用量条件を満たすためにコーティングのHA含有量を増すために、これらの低分子量成分類を除去しなければならなかった。ディアフィルトレーション(diafiltration)/濃縮方法はこのようにして開発されてこの論点を処理した。
【0144】
次に図9を参照すると、使用された予備−調合方法の工程表が示される。工程表に示された段階を以下で論ずる。
【0145】
接線−流濾過(TFF)
当該技術で既知であるように、TFFはディアフィルトレーションおよび濃縮を同時に行うことを可能にする。ディアフィルトレーションを使用して低分子量物質を除去した。再生セルロース膜であるペリコン(Pellicon)XL(ミリポア(Millipore)、50cm、30kD MWCO)を装着したTFFシステム(ミリポア、ラブスケール(Labscale))を設置しそしてワクチン原料物質のディアフィルトレーションおよび濃縮に関して評価した。ワクチン溶液の容量は元の容量の1/20倍−1/50倍に減じられ、HA濃度を5−10mgのHAA/mLに高めた。緩衝溶液を緩衝液交換および濃縮用に加えた。
【0146】
凍結乾燥
接線−流濾過後に、濃縮されたワクチンを20mLガラス瓶内に充填された分散保護性(lyoprotective)賦形作用物質、例えばスクロースまたはトレハロース、と共に調合し、液体窒素でフラッシュ凍結しそして多岐−スタイル凍結乾燥機(ビルチス(Virtis)、25ELフリーズモビル(Freezemobile)の上に置いた。室圧力が一定状態(〜50mトル)に達すまで瓶を2−5日間にわたり凍結乾燥させた。
【0147】
記載された予備−調合方法は、高度に濃縮されそして固体状態のヘマググルチニン(HA)調合物を中間生成物として与えた。実際に、HA調合物の濃度は市販製品の濃度の少なくとも500倍であった。記載された中間生成物も高度に有効であり且つ免疫原性であった。
【0148】
当業者により認識されるように、種々のワクチン源物質およびそれらの形態を予備−調合するために本発明の記載された調合方法を改変しそして応用することができる。例えば、この方法を応用して比較的高濃度で受容された原料物質を使用することができる。この場合には、ディアフィルトレーションは必要なくそして高濃度原料物質を直接凍結乾燥しそして再構成してコーティング調合物を製造するであろう。
【0149】
予備−調合方法を応用して例えば凍結乾燥されたまたは噴霧乾燥された粉末の如きものであるがそれらに限定されない固体として受容される原料物質を使用することもできる。この場合には、固体原料物質を直接再構成してコーティング溶液調合物を製造するであろう。
【0150】
例えば細胞由来インフルエンザワクチンの如きものであるがそれらに限定されない高純度原料物質を用いる用途のためにこの予備−調合方法を改変することもできる。この場合には、物質は凍結乾燥および再構成段階が必要ない充分な純度でありうる。
【0151】
調合開発
調合努力を適切なコーティング性質および安定性を有するコーティング調合物を開発するために向けて、再現可能なコーティング服用量を信頼のいくように製造することができるコーティングシステムを定めそして良好なデリバリー効率および許容可能な皮膚耐性を有するワクチンをデリバリーできる列デザインを確認した。
【0152】
コーティング方法
2つのタイプのコーターを試験で使用した。第一のコーターにデルリン(Delrin)製の0.38”直径ドラムを装着した。ドラムを0.25−mLの充填容量を有する受器の中に沈めた。この受器は冷却能力を有していないが、操作中の蒸発を相殺するために淡水の直接注入を可能にする。ドラム上に定着されたフィルムの厚さは〜200−250μmである。
【0153】
評価される第二のコーターに0.621”直径ステンレス鋼ドラムおよび同心受器を装着した。このコーター用の受器は、ドラムの直径によって、0.3−0.7mLの充填容量を有する。ドラム直径はフィルムの厚さも支配し、それは0.621”ドラムに関しては〜80−90μmである。このコーターの受器に熱−電気冷却(TEC)を装着する。周囲条件の露点におけるドラム温度を調節することにより、コーティング溶液の濃度における変動を最小にすることができる。コーティング高さは微細突起長さと列片厚さの合計により決められた。
【0154】
微細突起列デザイン
8つの微細突起列を調合物開発において使用した。微細突起列デザインは、微細突起長さ、先端角度、並びに追加デザイン特徴、例えば保持棒、および/または微細突起停止具、の存在において変動した。2種の微細突起列デザインであるMF−1およびMF−2を最初に評価した。
【0155】
賦形作用物質
微細突起を懸濁液、すなわち、透明でないコーティング溶液、を用いてコーティングできるかどうかを評価するために、界面活性作用物質の添加による不溶性粒子の安定化に対して最初の焦点を当てた。
【0156】
次に表IIを参照すると、溶液濁度の減少における界面活性作用物質の影響が示される。記載されたデータは、界面活性作用物質の添加が溶液濁度の減少により測定される粒子の崩壊/溶解を助けうることを示唆する。界面活性作用物質強度の順番はSDS>トリトン(Triton)X100>ツイーン20であり、これは同一界面活性作用物質の存在下における溶液透明度と一致する(表III参照)。
【0157】
【表2】

【0158】
【表3】

【0159】
別の有効な種類の界面活性作用物質であるツヴィッテルジェント(Zwittergent)も蛋白質/脂質をベースとした集合体を破壊しうる。表IVは、ツヴィッテルジェントの疎水性が増加するにつれてその溶解力が増加する3種のタイプのツヴィッテルジェントを挙げており、すなわち、ツヴィッテルジェント3−14が最も強い。
【0160】
【表4】

【0161】
図10に示されるように、pHの調節が高いおよび低いpHにおいてワクチンの濁度を減ずることも示された。しかしながら、pHにおける大きな増減は高濃度における抗原の安定性を危うくすることがある。従って、溶液濁度を除くためにはpH7.2からの有意な逸脱は使用されなかった。
【0162】
溶解または懸濁させたコーティング溶液の製造戦略と共に、ワクチンをコーティング用に要求されるレベルに濃縮可能にする予備−調合方法を用いて、7種の候補調合物をさらに検討した。表Vに示されている調合物は少なくとも1種もしくはそれ以上の賦形作用物質を含有する。
【0163】
【表5】

【0164】
調合物1−4は溶解した溶液であった。調合物5−7は懸濁液/濁った溶液であった。全ての調合物は蛋白質を安定化させるために少なくとも糖を含有した。調合物5は、ワクチンの増加した溶解および多分増加した免疫原性を与えうることが信じられていた弱い界面活性作用物質であるツイーン80を含有した。スクロースだけを含有する調合物6は全ての評価した調合物の中で最も簡単な調合物であった。調合物7は、マンニトールおよびコーティングの吸湿性を減少させそしてコーティング一体性/物理的安定性を増加させうることが信じられていた固体界面活性作用物質であるプルロニック(Pluronic)F68を包含していた。
【0165】
コーティング溶液/懸濁液特性
当該技術で良く認識されているように、2つの物理的パラメーターであるコーティング溶液の粘度および湿潤性がコーティング実行可能性を主として支配する。記載されたパラメーターの各々を以下で論ずる。
【0166】
粘度
溶液粘度は微細突起コーティング中のコーティング溶液の流れに影響する。コーティン
グ溶液粘度が低すぎる場合には、液体が微細突起の先端の周囲でフィルムを形成する機会を有する前に沈められた微細突起列がコーティング溶液から除去される時に液体の有意な部分が受器内に逆に滴下されうる。これは、コーティングの多くのさらなるサイクルを必要とするあまり効果的でない方法となろう。
【0167】
他方で、コーティング溶液粘度が高すぎる場合には、微細突起列上の液体が非常にゆっくり移動しそして異常なコーティング形態をもたらしうる。表VIは固体状態の7種の候補調合物の組成物をまとめる。全ての7種のコーティング溶液調合物は2−フェノキシエタノールを6mg/mLで防腐作用物質として含有した。コーティング溶液中のHA含有量はこの場合には〜30%であり、ここでHA純度は50%である。
【0168】
【表6】

【0169】
次に図11を参照すると、2種のロットのワクチンであるフルゾン(Fluzone)(R)およびバキシグリップ(Vaxigrip)TMを比較するグラフが示される。両方のロットはA/パナマ菌株を含んでなりそして調合物番号5(HA:トレハロース:ツイーン80=5:5:2重量比)に調合された。
【0170】
コーティング調合物は通常は50mg/mL(5%)のHAであった。しかしながら、この濃度では、バキシグリップTMに関する溶液粘度ははるかにより高く、すなわち、200rpmにおいて〜0.8ポイズであった。
【0171】
図11で説明されているように、調合物の粘度は希釈で減少する。35mg/mLのHA(3.5%)において、バキシグリップTM調合物の溶液粘度は200rpmにおいて〜0.4ポイズと測定された50mg/mLのHA(5%)におけるフルゾン(R)調合物と同じレベルに達した。
【0172】
HA純度およびHA濃度以外に、コーティング溶液の温度が粘度に影響する他の重要な因子である。凍結乾燥されたワクチンを22.5mg/mLのHA(2.25%HA/2.25スクロースを有する改変された調合物番号6)に再構成することにより、15%HA純度を有するA/ニューカレドニア菌株を含んでなる高度に粘着性のコーティング溶液がこのようにして製造された。このコーティング溶液の粘度を室温より低い数種の温度において測定した(図12参照)。溶液は高度に粘着性であり、すなわち、5℃において〜1.70cpであった。
【0173】
当該技術で既知であるように、コーティング工程中の蒸発による水損失を最少にする目
的のためにステンレス鋼溶液受器およびドラムが周囲環境の露点において調節されるため、温度はコーティングシステムにおける重要なパラメーターである。通常の周囲条件(22℃および30−45%RH)下での露点は典型的には4−10℃の範囲内である。
【0174】
溶液粘度は有意に変動しうるが、コーティング溶液は微細突起列の上に広範囲の粘度にわたり、好ましくは約0.3−2.0ポイズの範囲内で、容易に且つ効率的にコーティングされうることが見出された。
【0175】
湿潤性:接触角度
当該技術で既知であるように、コーティングしようとする表面上に接触し、付着し、そして延展する液体の能力を湿潤性が決める。表面湿潤性を同定するためには基質上における液体小滴の接触角度測定が一般的に使用される。測定された接触角度を同じ条件下での接触角度が〜70−80°である純水と対比する。一般的に、接触角度が小さければ小さいほど、湿潤性は良い。
【0176】
次に表VIIを参照すると、清浄化されなかった金属チタン表面上における表Vで同定された7種のインフルエンザワクチンの接触角度が示される。純水と比べて、全ての調合物は26°から36°にわたる範囲の接触角度で良好な湿潤性を示した。非常に異なる調合物の接触角度のこの狭い範囲は、湿潤性に対するワクチンの寄与は賦形作用物質からの寄与に優ることを示唆する。この仮説を立証するために、ワクチンの不存在下における同一調合物の接触角度を測定した。結果は、ワクチン中の成分が金属表面の湿潤を助けるようであることを示唆する。ワクチンなしでは、これらの賦形作用物質は、有力な界面活性作用物質を除いて、金属表面を効果的に湿潤することは可能でなかった。
【0177】
【表7】

【0178】
全体として、コーティング溶液は強い湿潤性質を示し、それらはコーティングされた表面により最小限に影響を受け、そして接触角度が最適な接触角度範囲の低端部にあるにもかかわらず優れたコーティング性質を示した。最適な接触角度は約30−60°の範囲内であると思われ、それは他の生物製作用物質およびプラセーボ調合物から制定された。
【0179】
免疫原性試験に関する候補選択
免疫原性試験に関する最終的調合物の選択は抗原安定性およびデリバリー性能に基づいた。
【0180】
三価調合物
表1に戻って参照すると、各ロットのHA純度が測定された。HA純度は16%から50%の範囲にわたった。認識された経験的関係に基づくと、HA純度が所望する50%から20%に減少する場合にはコーティング溶液のHA含有量は〜30%から11%に劇的に減少する。そのようなHA純度変動にもかかわらず、これらの物質は全て成功裡に処理され、予備−調合方法の豊富さを示唆する。
【0181】
2つの方式を、一価菌株であるA/パナマ/フルゾン(R)、A/ニューカレドニア/フルゾン(R)およびB/ビクトリア/フルゾン(R)からの三価流感ワクチンの製造に関して評価した。第一の方式では、3種の一価菌株出発物質であるA/パナマ/フルゾン(R)、A/ニューカレドニア/フルゾン(R)およびB/ビクトリア/フルゾン(R)を別個に処理して3種の凍結乾燥された一価中間体を与えた。等しいHA量の3種の中間体の各々からの凍結乾燥された物質を一緒にしそしてコーティング用の水を用いて再構成した。
【0182】
第二の方式は、等しいHA量の、すなわち、異なる容量の、3種の中間体を混合することにより、行われた。三価混合物を次にTTFシステムによりディアフィルトレーションしそして濃縮し、そして凍結乾燥した。第二の方式からのコーティング溶液は第一の方式からのものと同じコーティング性質を有していた。
【0183】
三価調合物(24mg/mlのHA、すなわちHA菌株当たり〜8mg/ml)のコーティングは使用した微細突起列デザインにかかわらず同様な位置に先端−コーティング形態を示した。微細突起の先端から測定して、コーティングは全てのデザインに関して下方に〜90μm延展し、良く調節されたコーティングシステムが確立されたことを示唆する。
【0184】
コーティングされた微細突起列の同定
形態以外に、調合方法の性能を理解するためにはコーティングの数種の物理的および生化学的な面を同定する必要がある。物理的パラメーターはコーティング中および後の水蒸発および水分含有量並びにコーティングの微生物学的考察を包含する。
【0185】
コーティング実行可能性/形態:溶解した調合物(番号1−4)
異なるコーティング調合物は種々のコーティング形態をもたらしうる事実にもかかわらず、同様なそして許容可能なコーティング位置/形態が調合物とは無関係に得られ、ある種のワクチン成分の存在が接触角度結果により反映されるようにコーティング方法に便宜を与えることを示唆する。コーティング実行可能性は4種の調合物で示された。
【0186】
コーティング実行可能性/形態:懸濁調合物(番号5−7)
調合物番号5−7は高度に濁った粘着性溶液であったが、冷蔵下での1ヶ月を越える貯蔵後に相分離が観察されなかったため懸濁液は安定であった。さらに、7,000rpmにおける2分間にわたる遠心後に明白な粒子沈殿はなかった。コーティング中にドラム上に均一な薄いフィルムが形成され、明白な粒子は観察されず、それは微細な安定な懸濁液のさらなる証明であった。
【0187】
水分含有量
表VIIIに反映されるように、コーティングの水分含有量は乾燥および処理環境、特に周囲条件の相対湿度、により影響を受ける。微細突起列またはチタンシート基質上で乾
燥された調合物5(HA/スクロース/ツイーン80)からのコーティング溶液は、空気−乾燥後に真空−乾燥にかけられた場合にのみ1.7%の水分含有量をもたらした。真空乾燥なしでは、コーティングの水分含有量は6.2%と有意に比較的高く、それは周囲空気の湿度で変動するであろう。
【0188】
【表8】

【0189】
微生物学
微生物学分析を低−生物負荷製造分野、すなわち、「無菌」方式でのGLP製造バッチおよびGMP製造バッチ用の防腐作用物質なしでの三価スクロースのみの生成に関して行われた。この分析からの結果は表IXに示される。
【0190】
【表9】

【0191】
表IXに反映されるように、防腐作用物質の不存在下では、コーティング溶液の2つのバッチは非常に低レベルの毒素および微生物含有量を含有した。それ故、結果はコーティング溶液を誘導するために使用した方法およびコーティング方法自体が製品中への追加の生物負荷を導入しないような方法で操作できることを示す。
【0192】
SDS−PAGE/ウェスターン・ブロット
微細突起上にコーティングされた3種の最終的調合物(調合物番号3、6および7)中のHA抗原性をウェスターン・ブロット分析により分析した。出発物質(レーン2)と比
べて、全てのコーティングされそして凍結乾燥された調合物は同様な帯パターンを示した。3つの帯は単量体(〜75kD)または三量体(〜225kD)としてのHAと関連することが信じられた。従って、(出発ワクチンと比べて)合致した帯および帯強度に基づき、凍結乾燥されそして微細突起列上にコーティングされた調合物中の抗原HAは抗原性を維持したと結論された。
【0193】
BCA対SRID
当該技術で既知であるように、SRIDは一般的に免疫原性と一致するインビトロ効力におけるHAを測定するための唯一の認可された検定である。しかしながら、それは時間がかかる(3日間)。時機を得た方式で予備−調合およびコーティング方法中のHA効力を監視するために、BCA蛋白質検定を行いそして短期HA安定性を評価可能なSRID検定からの結果と比較した。
【0194】
次に表Xを参照すると、TFF濃縮、凍結乾燥、三価コーティング液体中への再構成、およびコーティング後の3種の一価菌株に関するBCA/SRID結果のまとめが示される。BCA結果は、一般的に、凍結乾燥された物質がBCA値よりはるかに低いSRID値を有するA/ニューカレドニアの場合を除いて、SRID結果と一致した。しかしながら、これらの2つの値は再構成された三価液体調合物中でははるかに良く一致し、早期の不一致は全て同様に試料製造または検定変動によることを示唆した。
【0195】
【表10】

【0196】
微細突起列デリバリーよび皮膚耐性
16の別個のデリバリー試験を行ってデリバリー効率および皮膚耐性を評価した。各試験を表XIにまとめる。
【0197】
【表11】

【0198】
デリバリー試験番号1−7
デリバリー試験番号1−7は、以下でMF−1およびMF−2と表示される2種の微細突起デザインに向けられた。結果は、MF−1微細突起デザインによるデリバリーは高度に有効であり、調合物にかかわらず、コーティングの40−90%を皮膚にデリバリーすることを示唆する。
【0199】
デリバリー試験番号8−15
デリバリー試験番号8−15は、均衡のとれたデリバリー効率および皮膚耐性を与える微細突起デザインに焦点を当てた。出血は微細突起長さに正比例する深すぎる浸透により主として引き起こされるため、それぞれ225μmの微細突起長さおよび1316個の微
細突起/2cmの列の密度を有する6種のデザインをさらなる評価に関して選択した(MF−3、MF−4およびMF−5)。
【0200】
8種の微細突起列デザインを含んでなる検討は、それらの薬品デリバリー性能を評価するための7種のデリバリー試験に及んだ。インビボ無毛モルモット皮膚に存在するフルオレセイン−ワクチン含有量の量を薬品充填量を増加させながら測定することにより、列デザインを試験した。
【0201】
次に図13Aを参照すると、8種の微細突起列デザインに関するデリバリー結果のまとめが示される。MF−3列デザインは、比較したデザインで最大量の薬品固体がデリバリーされうるコーティング点である140μgの薬品コーティングまで、その高いデリバリー効率を維持したことが見出された。MF−1、MF−6およびMF−7列デザインのデリバリー効率は100μg近くの薬品コーティングで減少し始め、これらのデザインを有する最大量の薬品デリバリーをMF−3より低くさせた。
【0202】
MF−3の性能を確認するために、一連のMF−3列を50〜170μgの合計コーティング固体の広範囲のコーティング量を有するDS番号15用に製造した。図13Bに示されたデリバリー結果は、DS番号15に関するデリバリー効率特徴がDS番号8−14において観察されたMF−3列に関する効率特徴とほぼ重複することを示唆する(表XI参照)。デリバリーされた量は最初は140μgにおける変曲点まで70%の等傾斜(isocline)であり、その点においてデリバリーされた量は増加したコーティング量にもかかわらず安定化する。列適用後のコーティング残渣は比較的少ないコーティング量に関しては低く、そして140μgのコーティング量において飛躍し、それはデリバリーされたコーティング量における突然の変化と一致する。
【0203】
皮膚耐性(微量出血)および浸透関連特徴、例えば保持性、はシステムの安全性および耐久性を評価するために重要である。そこで、微細突起パッチを生存(各システムに関して二重)および安楽死無毛モルモット(HGP)にそれぞれ3および15分間にわたり適用した。パッチの除去時に、動物をメチレンブルーで染色された適用部位における皮膚反応/微量出血(生存−動物のみ))、保持機能、および浸透点数に関して評価した。
【0204】
保持性に関すると、保持特徴を有する微細突起デザイン(すなわち、MF−3、MF−4、MF−5およびMF−7)は皮膚における観察可能な保持性を示し、それはコーティング量の増加で減少した。高いコーティング量を有するいずれの場合(160μgのコーティングを有するMF−3および138μgのコーティングを有するMF−1)も出血は観察されなかった。
【0205】
コーティング量の範囲は抗原純度およびデリバリーされる服用量により測定された。40%HA純度のバルクワクチンを考察すると、賦形作用物質を包含する合計コーティング量は45μgのHA服用量に関しては2cmの列当たり〜150μgでありそして15μgのHA服用量に関しては2cmの列当たり50μgであろう。
【0206】
デリバリー試験番号16
デリバリー試験番号16は、HAの低服用量である〜15μg/列、すなわち列当り〜60−70μgの合計コーティング、でコーティングされた数種の微細突起列デザインに関して行われた。4種のデザイン(MF−3、MF−5、MF−6およびMF−7)を包含する試験は高服用量において最も有効であることを示した。
【0207】
4種の列デザインをDS番号13および14で使用した同一のA/パナマ/スクロース調合物に基づき60−70μgの合計コーティング量でコーティングした。次に表XIIを参照すると、保持点数および出血傾向に関するコーティングされないおよびコーティン
グされた列の比較が示される。保持性能は1−5の点数システムに基づき評価された。
【0208】
【表12】

【0209】
保持性結果は、(i)コーティングされない列はコーティングされた列より性能が優れそして(ii)性能順位はMF−6〜MF−3>MF−5>MF−5の順序に従った。出血傾向と同じ傾向が観察された。全体として、MF−5デザインが保持性および浸透に関して強く、そして低服用量でより良好な皮膚耐性を与えるようであった。
【0210】
免疫原性試験
4種の免疫原性試験が無毛モルモット(HGP類)において行われた。第一の試験は1、5および50μgのA/パナマ(H3N2)の服用量での筋肉内(IM)注射を用いる抗体応答動力学および抗原服用量応答を制定した。この試験は、HA服用量を1から50μgに高めて一次免疫感作が増加した抗体力価をもたらしたことを示した。追加の免疫感作(4週目に行われた)で、1〜5μgHAの間の服用量応答が観察された。しかしながら、5〜50μgHAの間では統計学的な差異は観察されなかった。ピーク抗体力価は追加免疫感作後2−3週目に観察された(図14A参照)。合計HA−特異的IgG力価(ELISAにより測定された)対ヘマググルチニン抑制(HI)活性の間の関連性が制定された(図14B参照)。このデータに基づき、5μgのHA服用量を次に使用してHA効力に関して調合物を評価した。
【0211】
第二の免疫感作試験を行ってHA/パナマ(H3N2)の数種の調合物の相対的免疫原性を評価した。HA/パナマ(H3N2)を含有する4種の調合物を評価した:
(1)40−52mg/mLのHA、10%のツヴィッテルジェント3−14
(2)40−52mg/mLのHA、5%のツヴィッテルジェント3−14pH10
(3)40−52mg/mLのHA、10%のトリトンX100pH10
(4)40−52mg/mLのHA、10%のトリトンX100pH10
【0212】
各濃縮物のアリコートをチタンディスクの表面に移しそして自然乾燥した(すなわち、「ドライ−コーティングした」)。液体濃縮物およびドライ−コーティングしたディスクの両方を試験で試験した。それぞれ希釈した調合物の0.1mL容量(5μg服用量)をIM方式でHGP類に0日目(最初)および28日目(追加)に注射した。等しい5μg服用量(出発物質)よりなる対照群が含まれた。
【0213】
試験は、全ての調合物がELISAおよびHI検定により測定して、抗−HA抗体応答を誘発可能であったことを示した(図15Aおよび15B参照)。しかしながら、種々のHA調合物の間には差異があった。10%のトリトンX−100(液体もしくは乾燥−コーティングされた)または10%のSDS(乾燥−コーティングされた)を含有する調合物は減じられた免疫−効力を有していた。全ての他のHA調合物は、出発物質を用いる同等な注射と比べた時に、満足のいくように有意義でないようだった。
【0214】
第三の免疫感作試験を行って、微細突起列の上にドライ−コーティングされた一価A/パナマ(H3N2)コーティング調合物が一次および二次の両方のHA−特異的抗体応答を包含しうることを示した。出発HA物質を用いるIM調節基が包含される。単一微細突起列デザイン(MF−1)が使用された。4HA調合物の全てを2種の目標にされたHAコーティング服用量において微細突起列上で試験された(5および15μg/列):
HA、ツヴィッテルジェント(10%)、トレハロース(2.5%)
HA、ツイーン−80(2%)、スクロース(5%)
HA、プルロニックF68(2%)、トレハロース(2.5%)、マンニトール(2.5%)
HA、スクロース(5%)
【0215】
まとめると、この試験からの結果(血清HAI力価)は、HAコーティングされたマクロフラックス(Macroflux)システムを用いて一次(28日)および二次(49日)抗体応答が発生しうることが示された(図16Aおよび16B参照)。さらに、HA−特異的な血清中和抗体がパッチで免疫感作された動物において生成された。ある種の調合物の差異が比較的高い目標にされたHAコーティング服用量において追加の免疫感作後に観察できた。最も高い平均HAI力価はツヴィッテルジェント3−14/トレハロースを用いてHA調合物で免疫感作されたHGP類から生じた。この群からの血清中和抗体力価レベルはIM処置対照に最も類似していた。
【0216】
第四の試験は、HGR類においてチタン微細突起列上にドライ−コーティングされた三価インフルエンザ調合物の免疫原性試験により評価した。試験は、2種の三価コーティング調合物、3種のマクロフラックス微細突起列デザイン、および2種のHAコーティング服用量の評価よりなっていた。三価インフルエンザ調合物は、2種のA菌株(A/パナマ/2007/99[H3N2]、およびA/ニューカレドニア/20/99[H1N1])、並びに1種のB菌株(B/シャンドン/7/97)よりなっていた。HA菌株は1:1:1の比で調合された。三価HAを含有する2種のコーティング調合物をスクロース(5%)、または2)ツイーン−80(2%)およびスクロース(5%)と共に調合した。微細突起列デザインはMF−1、MF−3、およびMF−5(直径2cm)であった。微細突起列デザイン上に付与された2種のHAコーティング服用量は「低」(21−23μg)および「高」(33−45μg)として定義された。データは、三価マクロフラックスパッチが各HA菌株に対して一次抗−HA抗体応答(HI力価)を誘発しうることを示す(図18参照)。マクロフラックス列を用いて2種の三価調合物(スクロースおよびツイーン−80/スクロース)で免疫感作されたHGP類から発生した抗体力価レベルはそれらのそれぞれの筋肉内注射対照に匹敵した。抗−HA応答に関しては、種々の微細突起列デザインの中またはスクロース対ツイーン−80/スクロース調合物の間で有意な差異は見られなかった。ある場合には、HA菌株および処置群によって、服用量応答が観察されたが、必ずしも常にそうではなかった。
【0217】
全体として、これらの免疫原性試験は表Vに示された調合物の各々が出発ワクチンに対する有意な調合変動にもかかわらず免疫原性であったことを示唆する。
【0218】
短期安定性
以上で論じた予備−調合方法は抗原を凍結だけでなく膜のディアフィルトレーション中の剪断負荷および氷/水海面および脱水/再水和から生ずる負荷を包含する一連の負荷事象にもかける。凍結−乾燥されたワクチンを再構成した後に、溶液はこのようにして10サイクルの凍結/解凍にかけて(液体窒素により凍結しそして室温において直ちに解凍して)、存在するなら、抗原の安定性に対する影響を評価した。ELISAにより測定して、10サイクルの凍結/解凍の前後のHA効力は変動せず、トレハロースまたはスクロースによる抗原安定性の保存を示唆する。
【0219】
凍結−乾燥よりさらに負荷のある工程段階は、有効な界面活性作用物質、例えばSDSまたはツヴィッテルジェント、による高濃度における激しく振りながら(撹拌しながら)の再−溶解である。これらの界面活性作用物質は、元来の分子の物理的構成を変えることにより、蛋白質を変性させることが知られる。抗原をワクチン接種するためには、有意な構成変化の結果は抗原性および免疫原性の合計損失でありうる。強い界面活性作用物質の存在下における再−溶解の影響を以下の試験で評価した。
【0220】
界面活性作用物質なしで並びにSDS(10%)、トリトン−X100(10%)、またはツヴィッテルジェント(5および10%)を用いて再構成された凍結−乾燥されたワクチンを包含する一連の予備−調合後に、SDS−PAGE/ウェスターンブロット分析を行った。クーマッシー・ブルー(Coomassie Blue)で染色されたゲル(左にあるSDS−PAGEゲル)に関する非−還元条件下で、出発ワクチン中に存在する全ての帯が再構成された試料中にも存在することが証明され、評価した調合物のいずれに関しても検出可能な変性はないことを示唆する。
【0221】
ゲルがウェスターンブロット分析用の膜に移されるにつれて、ここでも、異なる調合物および出発ワクチンの間に差異は見られなかった。HA蛋白質および抗−HA抗体の間の結合を反映する一連の帯が最初に高分子量において起きた。(出発ワクチンに関して)一致した帯および帯強度に基づき、凍結−乾燥しそして高濃度の強い界面活性作用物質に露出した調合物中のHAは抗原性を保ったと結論された。
【0222】
還元条件下では、全ての調合物がSDS−PAGEゲル上で出発ワクチンのものと同様な帯を示す。ウェスターンブロットゲル上の帯パターンも全ての調合物の間で良く一致した。ELISA分析に従うと、HAは強いようでありそしてディアフィルトレーション、濃縮、凍結、脱水、および強い撹拌下での強い界面活性作用物質を用いる再−水和を包含する広範囲にわたる調合操作後でさえ抗原性を維持する。
【0223】
長期安定性
両方とも貯蔵中に維持されてデリバリー可能な目標服用量を保存することが必要な2つのタイプの安定性である(i)コーティングの物理的安定性および(ii)抗原の生化学的安定性を検討して最適な調合物をスクリーニングしそして同定した。
【0224】
物理的安定性
コーティングの物理的安定性は、指定温度におけるある期間にわたる貯蔵後のコーティングの位置および形態の保存を包含する。試験を加速するために、4種のコーティング調合物(番号3、5、6および7)を高温(65℃)に4週間までにわたり露出した。
【0225】
65℃における貯蔵の前後の調合物5および6のSEM形態は4週間にわたる貯蔵で変化が起きなかったことを示した。同じ結果が調合物3および7に関しても観察され、コーティングされた全ての4種の調合物がそのような高温においてさえ物理的に強いことを示唆する。
【0226】
生化学的安定性
表XIIIを参照すると、抗原の生化学的安定性を検討するために使用されるパラメーターの類似性がある。検討は4種の試験を包含し、それは一価菌株を用いる調合物3、5、6および7をスクリーニングするための加速試験で始まった。最も安定な1種もしくは複数の調合物を他の2種の菌株を一連の賦形作用物質組成物で用いる賦形作用物質希釈試験で試験した。賦形作用物質希釈試験から決められた好ましい組成物を次に変則の安定性試験の一部として箔ポーチ内に包装された微細突起列上にコーティングされた三価調合物の中で試験した。この最終的な一括した安定性試験を行って抗原安定性に対するコーティング中の水分含有量の影響を検討した。
【0227】
【表13】

【0228】
加速安定性試験
4種のA/パナマ調合物(調合物番号3、5、6および7)を微細突起列の上にコーティングした。各々のコーティングされた列をスクリュー頂部キャップを有する20−mLシンチレーション瓶の中に置いた。各瓶を真空乾燥後に密封して列取り扱い後の水分吸収を除いた。全ての試料を40℃オーブンの中で1、2、4、および8週間にわたりインキュベートした。3つの試料(三重)を各時点で採取しそしてELISAによりHA効力に関して分析した。
【0229】
次に図18を参照すると、4種の調合物の安定性特徴が示される。HA効力がインキュベーション時間で減少するようなツヴィッテルジェント調合物(調合物番号3)に関する明白な傾向がある。ツイーン/スクロース調合物は最終時点(8週間)でHA効力の大部分を失うようであった。
【0230】
スクロース単独調合物の安定性は調合物の中で三番目に良く、そしてブルロニック/トレハロース/マンニトール調合物が効力維持において最良であった。
【0231】
2種の服用量でコーティングされた記載した調合物のうちの3種を次に室温において(真空下で)25週間までにわたり貯蔵した。HA効力をELISAにより監視した。表IVを参照すると、トレハロース/マンニトール/プルロニック調合物(調合物番号7)が効力減少の傾向を示した。他の2種の調合物は、時間0における効力と比べて、抗原効力を維持するようであった。調合物番号5および7に関すると、安定性は40℃および室温において貯蔵された試料の間で異なるようであった。
【0232】
スクロースのみおよびスクロース−ツイーンを含んでなる2種の三価調合物を列の上にコーティングしそして密封された、窒素を流した(purged)箔ポーチ内に3ヶ月間までにわたり40℃においてそして6ヶ月間までにわたり5°および25℃において貯蔵した。3種の菌株であるA/パナマ(A/P)、A/ニューカレドニア(A/NC)およびB/シャンドン(B/SD)をSRID分析により評価した。スクロースのみおよびスクロース−ツイーン調合物安定性試験の結果は、それぞれ、図19および20に表示される。図19および20に反映されるように、コーティングされた列は非常に良好な安定性を5°および25℃における6ヶ月間までの貯蔵に関して全ての3種の菌株に関して両方の調合物中で示した。
【0233】
賦形作用物質希釈試験
スクロース調合物に関する最適な賦形作用物質組成物を決めるために、B/ビクトリア(Victoria)菌株(18%のHA純度)をスクロースと共にHA:スクロース=1:1、1:2、および1:4の重量比で調合した。コーティングされた列を40℃において8週間までにわたりインキュベートした。試料を−80℃において分析時間まで貯蔵しそして全ての試料を1mLの水で再構成しそしてSRIDにより単独ゲル上でそしてBCAにより単独96ウエル板の上で分析して検定間の変動性を除いた。安定性特徴は図21に示される。
【0234】
最初の2週間の貯蔵中に観察された初期減少後に、HA:スクロース=1:2および1:4の調合物は40℃においてさえ8週間の間ずっと安定性であるようだった。しかしながら、HA:スクロース=1:1の調合物に関しては、減少傾向が続いた。この現象がプロテアーゼの存在により引き起こされ、それは精製中に完全には除かれずそしてそれは我々の方法の間に活性化されうることが信じられる。
【0235】
HAに対してスクロースの量が増加すると、安定化効果があるようである。この試験用に使用したB/ビクトリアのロットは存在する合計蛋白質に関して〜15%という非常に低いHA純度を有し、そしてその後のバルク出発物質(40%HA純度)を示すと認識されなかった。しかしながら、スクロース重量百分率増加の安定化効果は比較的高いHA純度の出発物質では同等な相対的程度で観察されないかもしれない。例えば、100mgの15%HA純度出発物質は、1:1、1:2および1:4のHA:スクロースで調合される場合に、15、30および45mgのスクロースを必要とする。これは、それぞれ、13、23および37%のスクロースの乾燥重量比をもたらす。しかしながら、100mgの40%HA純度出発物質は同じ3種の比を調合するために40、80および160mgのスクロースを必要とし、29、44および54%のスクロースの乾燥重量比をもたらすであろう。その結果、高純度1:1調合物はすでに1:4の低純度調合物の乾燥重量スクロース含有量に達している。これらのレベルにおいて、スクロースの安定化効果は平ら(plateau)にほぼ達しており、そしてスクロース含有量の増加は生成物の安定性に対してさらにほとんどまたは全く影響しないであろう。この理由のためそしてその後のバルク処理を簡単にするために、スクロースの固定された比は予備−凍結乾燥された溶液に関しては1.0%に設定された。凍結乾燥された粉末は典型的には元の予備−凍結乾燥された容量の1/5に再構成されるため、これは5%スクロースのコーティング溶液濃度
をもたらす。
【0236】
まとめ
当業者により認識されるように、独特な予備調合方法によって、インフルエンザワクチンの全部の人間服用量、すなわち、45μgのへマググルチニン、をコーティングされた微細突起列を介して経皮的にデリバリーすることができ、そこではインフルエンザワクチンの少なくとも70%が皮膚内にデリバリーされる。抗原は皮膚内で免疫原性も維持して、強い抗体および血清−保護免疫応答を引き出す。さらに、乾燥コーティングされたワクチン調合物は実質的に防腐作用物質を含まずそして少なくとも6ヶ月間の室温安定性を維持しうる。
【0237】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、当業者は本発明に対して種々の変更を行ってそれを種々の用途および条件に適合させうる。そのため、これらの変更は適切であり、同等であり、そして特許請求の範囲の同等物の全範囲内にあることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0238】
【図1】図1はインフルエンザウイルス粒子の説明図である。
【図2】図2は本発明に従う微細突起部品の1つの態様の一部の透視図である。
【図3】図3は本発明に従う微細突起上に配置された生体適合性コーティングを有する図2に示された微細突起部品の透視図である。
【図4】図4は本発明に従う接着作用物質裏打ち材を有する微細突起部品の断面側面図である。
【図5】図5は本発明に従う微細突起部品の別の態様の一部の透視図である。
【図6】図6は本発明に従う内部に配置された微細突起部品を有する保持器の断面側面図である。
【図7】図7は図6に示された保持器の透視図である。
【図8】図8はアプリケーターおよび図6に示された保持器の透視図である。
【図9】図9は本発明に従う調合前工程のフローチャートである。
【図10】図10は本発明に従う溶液濁度の減少に対するpHの影響を説明する吸光度対pHのグラフ説明図である。
【図11】図11はワクチンであるFluzone(R)およびVaxigripTMに関する粘度対rpmのグラフ説明図である。
【図12】図12は22.5mg/mLにおける15%HA純度を有するA/ニュー・カレドニア(New Caledonia)菌株に関する粘度対温度のグラフ説明図である。
【図13A】図13Aは本発明に従う種々の微細突起列デザインに関するワクチンデリバリー性をまとめたグラフ説明図である。
【図13B】図13Bは本発明に従う種々の微細突起列デザインに関するワクチンデリバリー性をまとめたグラフ説明図である。
【図14A】図14AはHA(A/パナマ(Panama)菌株)の種々の服用量に関する平均抗−HA力価対時間のグラフ説明図である。
【図14B】図14Bは合計A/パナマ−特異的IgG力価対HI活性のグラフ説明図である。
【図15A】図15Aは抗−A/パナマ−特異的IgG抗体およびHI活性を説明するHA(A/パナマ菌株)の数種の調合物の免疫原性の棒グラフである。
【図15B】15Bは抗−A/パナマ−特異的IgG抗体およびHI活性を説明するHA(A/パナマ菌株)の数種の調合物の免疫原性の棒グラフである。
【図16A】図16Aは28日目における抗−HA IgG抗体活性およびHI活性を説明する微細突起上に乾燥−コーティングされたHA(A/パナマ菌株)の数種の調合物の免疫原性の棒グラフである。
【図16B】16Bは49日目における抗−HA IgG抗体活性およびHI活性を説明する微細突起上に乾燥−コーティングされたHA(A/パナマ菌株)の数種の調合物の免疫原性の棒グラフである。
【図17】図17はHI活性を説明する微細突起上に乾燥−コーティングされた三価HA(A/パナマ、A/ニュー・カレドニアおよびB/シャンドン(Shangdong)菌株)の数種の調合物の免疫原性の棒グラフである。
【図18】図18は本発明に従う8週間までにわたり40℃において貯蔵された数種の調合物の安定性特徴を説明するHA量対時間のグラフ表示である。
【図19】図19は本発明に従う3ヶ月間までにわたり40℃においてそして6ヶ月間までにわたり5℃および40℃において貯蔵された調合物の安定性特徴を説明する三価調合物の棒グラフである。
【図20】図20は本発明に従う3ヶ月間までにわたり40℃においてそして6ヶ月間までにわたり5℃および40℃において貯蔵された調合物の安定性特徴を説明する三価調合物の棒グラフである。
【図21】図21は本発明に従うスクロースと共に調合されそして8週間までにわたり40℃において貯蔵されたA/ニュー・カレドニア菌株の安定性特徴を示すSRID/BCA対時間のグラフ説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細突起上に配置された生体適合性コーティングを有する複数の角質層−貫通微細突起を有する微細突起部品を含んでなる免疫学的に活性な作用物質を経皮的にデリバリーするためのシステムであって、該コーティングが該免疫学的に活性な作用物質を含有するシステム。
【請求項2】
該生体適合性コーティングが該免疫学的に活性な作用物質の調合物から形成される、請求項1のシステム。
【請求項3】
該免疫学的に活性な作用物質がインフルエンザ・ワクチンを含んでなる、請求項1のシステム。
【請求項4】
該免疫学的に活性な作用物質がウイルス類、細菌類、蛋白質−ベースワクチン、多糖−ベースワクチン、および核酸−ベースワクチンよりなる群から選択される、請求項1のシステム。
【請求項5】
該免疫学的に活性な作用物質がウイルス類、弱化したウイルス類、死滅したウイルス類、細菌類、弱化した細菌類、死滅した細菌類、蛋白質−ベースワクチン、多糖−ベースワクチン、核酸−ベースワクチン、蛋白質、複合多糖類、オリゴ糖類、リポ蛋白質、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組み換え体PTワクチン−非細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製済み、組み換え体)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)(精製済み、組み換え体)、サイトメガロウイルス類(糖蛋白質サブユニット)、群A連鎖球菌(糖蛋白質サブユニット、破傷風トキソイドを有する複合糖質群A多糖、毒素サブユニット担体に結合されたM蛋白質/ペプチド類、M蛋白質、多価タイプ−特異的エピトープ類、システイン・プロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換え体PreS1、Pre−S2、S、組み換え体芯蛋白質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−発現された表面蛋白質およびエピトープ類)、ヒト・乳頭腫ウイルス(カプシド蛋白質、TA−GN組み換え体蛋白質L2およびE7[HPV−6から]、HPV−11からのMEDI−501組み換え体VLPL1、四価組み換え体BLPL1[HPV−6から]、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16から])、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製された細菌表面蛋白質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド類)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合された複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合された複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合された結合された複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)(表面リポ蛋白質)、水痘帯状ヘルペス(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖蛋白質)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(複合リポ多糖)、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト・乳頭腫ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状ヘルペスウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、群A連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマ、コレラ菌、流感ワクチン、ライム(Lyme)病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン類、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、核酸類、一本鎖核酸類、二本鎖核酸類、超コイルプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド類、細菌人工染色体(BAC類)、酵母人工染色体(YAC類)、哺乳動物人工染色体、RNA分子、およびmRNAよりなる群から選択される、請求項1のシステム。
【請求項6】
該調合物が燐酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファグルカン、β−グルカン、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロック重合体、ガンマイヌリン、線状(非分枝鎖状)β−D(2→1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、ゲルブ(Gerbu)アジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、イミキモド(Imiquimod)(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)、ImmTherTM、ジパルミチン酸N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソGlu−L−Ala−グリセロール、MTP−PEリポソーム類、C5910819PNa−3HO(MTP)、ムラメチド(Murametide)、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、プレウラン(Pleuran)、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボ(sclavo)ペプチド、VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド)、スレオニル−MDP(TermurtideTM)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、インターロイキン18(IL−18)、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL−10、DNAオリゴヌクレオチド類、CpG含有オリゴヌクレオチド類、ガンマインターフェロン、およびNFカッパB調節信号化蛋白質よりなる群から選択される免疫応答増大アジュバントをさらに含んでなる、請求項1のシステム。
【請求項7】
該微細突起部品が少なくとも約100個の微細突起/cmの微細突起密度を有する、請求項1のシステム。
【請求項8】
該微細突起部品が約200−3000個の範囲内の微細突起/cmの微細突起密度を有する、請求項7のシステム。
【請求項9】
該微細突起部品の各々が約50−145ミクロンの範囲内の長さを有する、請求項1のシステム。
【請求項10】
該微細突起部品の各々が約70−140ミクロンの範囲内の長さを有する、請求項9のシステム。
【請求項11】
該生体適合性コーティングが約2−50ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1のシステム。
【請求項12】
該調合物が水性調合物を含んでなる、請求項2のシステム。
【請求項13】
該コーティング調合物が界面活性作用物質を包含する、請求項2のシステム。
【請求項14】
該界面活性作用物質がラウロアンフォ酢酸ナトリウム(sodium lauroamphoacetate)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(TMAC)、ベンズアルコニウム、クロリド、ポリソルベート類、例えばツイーン(Tween)20およびツイーン80、ソルビタン誘導体、ラウリン酸ソルビタン、アルコキシル化されたアルコール類、およびラウレス(laureth)−4よりなる群から選択される、請求項13のシステム。
【請求項15】
該コーティング調合物が両親媒性重合体を包含する、請求項2のシステム。
【請求項16】
該両親媒性重合体がセルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、およびプルロニック類(pluronics)よりなる群から選択される、請求項15のシステム。
【請求項17】
該コーティング調合物が親水性重合体を包含する、請求項2のシステム。
【請求項18】
該親水性重合体がポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項17のシステム。
【請求項19】
該コーティング調合物が生体適合性担体を包含する、請求項2のシステム。
【請求項20】
該生体適合性重合体がヒト・アルブミン、生物工学処理されたヒト・アルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸塩、ポリアミノ酸類、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースよりなる群から選択される、請求項19のシステム。
【請求項21】
該コーティング調合物が非−還元糖、多糖、還元糖、およびDNアーゼ阻害作用物質よりなる群から選択される安定作用物質を包含する、請求項2のシステム。
【請求項22】
該コーティング調合物が血管収縮作用物質を包含する、請求項2のシステム。
【請求項23】
該血管収縮作用物質がエピネフリン(epinephrine)、ナファゾリン(naphazoline)、テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline)、インダナゾリン(indanazoline)、メチゾリン(metizoline)、トラマゾリン(tramazoline)、チマゾリン(tymazoline)、オキシメタゾリン(oxymetazoline)、キシロメタゾリン(xylometazoline)、アミデフリン(amidephrine)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタミン(cyclopentamine)、デオキシエピネフリン(deoxyepinephrine)、エピネフリン(epinephrine)、フェリプレッシン(felypressin)、インダナゾリン(indanazoline)、メチゾリン(metizoline)、ミドドリン(midodrine)、ナファゾリン(naphazoline)、ノルデフリン(nordefrin)、オクトドリン(octodrine)、オルニプレッシン(ornipressin)、オキシメタゾリン(oxymethazoline)、フェニルエフリン(phenylephrine)、フェニルエタノールアミン(phenylethanolamine)、フェニルプロパノールアミン(phenylpropanolamine)、プロピルヘキセドリン(propylhexedrine)、プソイドエフェドリン(pseudoephedrine)、テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline)、トラマゾリン(tramazoline)、ツアミノヘプタン(tuaminoheptane)、チマゾリン(tymazoline)、バソプレッシン(vasopressin)およびキシロメタゾリン(xylometazoline)よりなる群から選択される、請求項22のシステム。
【請求項24】
該コーティング調合物が経路開通性調節作用物質を包含する、請求項2のシステム。
【請求項25】
該経路開通性調節作用物質が浸透作用物質、塩化ナトリウム、双性イオン性化合物、アミノ酸類、抗−炎症作用物質、ベータメタソン21−ホスフェート二ナトリウム塩、トリアンシノロンアセトニド21−二ナトリウムホスフェート、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチソン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタソン二ナトリウムホスフェート、プレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、抗凝固作用物質、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、硫酸デキストランナトリウム、およびEDTAよりなる群から選択される、請求項24のシステム。
【請求項26】
該コーティング調合物が約5ポイズより低く且つ約0.3ポイズより高い粘度を有する、請求項2のシステム。
【請求項27】
複数の微細突起を有する微細突起部品を準備し、
バルクワクチンを準備し、
該バルクワクチンを接線−流(tangential−flow)濾過にかけてワクチン溶液を与え、
少なくとも1種の賦形作用物質を該ワクチン溶液に加え、
該ワクチン溶液を凍結−乾燥してワクチン製品を生成せしめ、
該ワクチン製品を最初の溶液を用いて再構成してワクチンコーティング調合物を生成せしめ、
該微細突起部品を該ワクチンコーティング調合物でコーティングし、そして
該コーティングされた微細突起部品を患者の皮膚に適用する
段階を含んでなる、免疫学的に活性な作用物質を患者に経皮デリバリーする方法。
【請求項28】
少なくとも1種の賦形作用物質を該ワクチン溶液に加える段階がスクロース、トレハロースおよびマンニトールよりなる群から選択される賦形作用物質を加えることを含んでなる、請求項27の方法。
【請求項29】
バルクワクチンを準備する段階がインフルエンザワクチンを準備することを含んでなる、請求項27の方法。
【請求項30】
該インフルエンザワクチンがヘマググルチニン(hemagglutinin)を含んでなる、請求項29の方法。
【請求項31】
約45μgのヘマググルチニンをデリバリーする段階をさらに含んでなる、請求項30の方法。
【請求項32】
ヘマググルチニンをデリバリーする段階が該ヘマググルチニンの少なくとも約70%を該患者の表皮のAPC−豊富層にデリバリーすることを含んでなる、請求項31の方法。
【請求項33】
バルクワクチンを準備し、
該バルクワクチンを接線−流濾過にかけてワクチン溶液を与え、
少なくとも1種の賦形作用物質を該ワクチン溶液に加え、そして
該ワクチン溶液を凍結−乾燥してワクチン製品を生成せしめ
段階を含んでなる、ワクチン溶液を調合する方法。
【請求項34】
該ワクチン製品が該バルクワクチンより少なくとも約500倍多く濃縮されている濃度を示す、請求項33の方法。
【請求項35】
該ワクチン製品が室温安定性を少なくとも約6ヶ月間にわたり保つ、請求項33の方法。
【請求項36】
バルクワクチンを準備する段階がインフルエンザワクチンを準備することを含んでなる、請求項33の方法。
【請求項37】
該インフルエンザワクチンがヘマググルチニンを含んでなる、請求項36の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−530680(P2007−530680A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506220(P2007−506220)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/009148
【国際公開番号】WO2005/099751
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】