説明

インプラント可能なハーメチックシールされた構造

【課題】インプラント可能なハーメチックシールされた構造、およびそれを製造する方法の提供。
【解決手段】ハーメチックシールされた構造250を含むデバイス、システムおよびキット、ならびにこのようなデバイスおよびシステムを使用する方法もまた、提供される。小型化された、耐腐食性のハーメチックパッケージは、まず、長期間、塩分、血液または他の体液に接触するエフェクタ230であって、例えば、集積回路を含むようなエフェクタに対して、従来の利用可能な設計よりも大きさのオーダがより小さいサイズ形式で、保護を提供する。このパッケージングは、設計によって、独特に小型化された形状要素を有する。本発明は、数日間、数ヶ月間、さらに数年間でも現実的に信頼性のある使用ができる、小型化された、インプラント可能な医療用デバイスの現実的な開発を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、以下の特許出願の出願日に対する優先権を主張する。該特許出願とは、2004年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/638,692号と、2005年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/655,609号と、2005年5月16日に出願された米国仮特許出願第60/681,919号と、2005年7月8日に出願された米国仮特許出願第60/697,789号とであり、これらの特許出願の開示は本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
塩分環境または高い湿度の環境において長期間生存し得るマイクロチップまたはマイクロセンサを製造することの従来の試みは、多くの要因により失敗してきた。この挑戦は、インプラント可能な医療用デバイスにおいて、特に危機的である。
【0003】
この挑戦は、インプラント可能な心臓デバイスのケースで、心臓の外側に配置されるペースメーカー容器内にコア電子機器および全てのコントローラチップを提供することにより、経験されてきた。この相対的に大きなデバイスは、コアとなる電気的コンポーネントの完全な密封保護を可能にする。しかしながら、このデバイスのサイズが、心臓内のあるサイトにおける、この保護の使用を不可能にする。この制限は、感知または作動のサイトにおけるマイクロプロセッシングを提供し得る心臓デバイスの開発に挑戦してきた。
【0004】
医療用デバイスの開発の重要な道は、オンサイトでのパッケージングが、利用可能になり、ローカルな材料のデバイス内への漏れの影響から、キーとなる電気的な、機械的な、および/または作動用のコンポーネントを保護する場合に開かれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概略)
インプラント可能なハーメチックシールされた構造および、それを製造し、使用する方法が提供される。ハーメチックシールされた構造を含むデバイス、システムおよびキット、ならびにこのようなデバイスおよびシステムを使用する方法もまた、提供される。本発明の小型化された、耐腐食性のハーメチックされたパッケージは、まず、従来の利用可能な設計よりも、大きさのオーダがより小さいサイズ形式で、長期間、塩分、血液または他の体液に接触するエフェクタであって、例えば、集積回路(IC)を含むようなエフェクタに対して保護を提供する。このパッケージングは、設計によって、独自に小型化された形状要素を有する。本発明は、数日間、数ヶ月間、さらに数年間でも現実的かつ信頼性のある使用ができる、小型化された、インプラント可能な医療用デバイスの現実的な開発を可能にする。
【0006】
本発明の局面は、インプラント可能なハーメチックシールされた構造を含み、該構造は、リード、例えば、心臓血管リード、左心室リード、心外膜リードなどの内部に配置されるように寸法を合わせられたものである。特定の実施形態において、構造は、エフェクタ、例えば、アクチュエータ(例えば、電極)および/またはセンサを備えている。特定の実施形態において、エフェクタは、集積回路を含む。本構造の実施形態は、少なくとも10年間塩分環境においてもハーメチックシールされたままであるように構成されている。
【0007】
本構造の実施形態は、生体内(in vivo)耐腐食性ホルダを含み、該ホルダは、少なくとも1つの導電性フィードスルーと、シーリング層とを有し、該シーリング層およびホルダは、ハーメチックシールされた体積を定義するように構成されている。導電性フィードスルーは、金属(例えば、白金、イリジウムなど)、金属と半導体との合金、窒化物、半導体または他のいくつかの便利な材料、であり得る。特定の実施形態において、耐腐食性ホルダは、シリコンまたはセラミックを備えている。特定の実施形態において、耐腐食性ホルダは、少なくとも約1μm、例えば、少なくとも約50μmの厚さの壁を備え、また、特定の実施形態においては、壁は、約1μmから約125μmまでの範囲であって、この範囲は約25μmから約100μmまでを含み、例えば、約75μmである。特定の実施形態においては、シーリング層は、金属性であり、例えば、貴金属、例えば、白金またはその合金であり、シーリング層を含んでいる。特定の実施形態において、シーリング層は少なくとも約0.5μmの厚さ、例えば、少なくとも約2.0μmの厚さであり、少なくとも約20μmを含んでおり、特定の実施形態においては、約0.5μmから約100μmまでの範囲にあって、その範囲は約1μmから約50μmまでを含み、例えば、約10μmである。特定の実施形態において、構造は、ハーメチックシールされた体積内に存在する絶縁材料をさらに含む。特定の実施形態において、ハーメチックシールされた体積は、約1plから約1mlまでの範囲にある。特定の実施形態においては、構造は、少なくとも1つの細長い導電性部材と電気的に結合され、ここで、該細長い導電性部材は、制御ユニット、例えば、ペースメーカー容器内に存在する制御ユニットと電気的に結合され得る。
【0008】
本発明の局面は、ハーメチックシールされた構造を構成する方法をさらに含み、ここで方法は、生体内耐腐食性ホルダ内に開口部を介してエフェクタを配置することと、開口部上にシーリング層を生成し、ハーメチックシールされた体積内のホルダ内にエフェクタをシールすることと、を包含し、該方法は、例えば、該ホルダ内の通路を導電性材料で満たし、該エフェクタと該導電性フィードスルーとの間に配置されるハンダをさらに融解することによって、または単一の処理ステップで、ホルダ内の通路を導電性材料で満たし、かつエフェクタに接触することによって、該ホルダ内の該エフェクタと電気的に結合される導電性フィードスルーを生成することをさらに包含する。特定の実施形態において、方法は、シーリング層を生成する前に該ホルダを平坦化することを包含する。特定の実施形態において、ホルダは、構造内に存在し、構造は、複数のチップホルダを含み、上記方法は、別々の複数のチップホルダを分離することにより、ハーメチックシールされた構造を生成することを含む。
【0009】
本発明の局面は、本発明のハーメチックシールされた構造を含む、インプラント可能な医療用デバイスをさらに含む。特定の実施形態において、構造はリード、例えば、心臓血管リード、左心室リード、または心外膜リード内に存在する。特定の実施形態において、デバイスは、神経デバイス、筋肉デバイス、胃腸デバイス、骨格デバイス、肺デバイス、眼デバイス、および聴覚デバイスから選択される。特定の実施形態において、デバイスは、2つ以上のハーメチックシールされた構造を含む。
【0010】
本発明の局面は、本発明のインプラント可能な医療用デバイスを対象にインプラントする方法、およびインプラントされた医療用デバイスの使用方法を包含する。
【0011】
本発明に従うハーメチックシールされた構造を含むシステムおよびキット、ならびに制御ユニットもまた含まれる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
リード内部に配置されるように寸法を合わせられたインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目2)
前記構造は、エフェクタを備えている、項目1に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目3)
前記エフェクタは、集積回路を備えている、項目2に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目4)
前記エフェクタは、アクチュエータを備えている、項目3に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目5)
前記アクチュエータは、電極を備えている、項目4に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目6)
前記エフェクタは、センサを備えている、項目3に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目7)
前記ハーメチックシールされた構造は、塩分環境において少なくとも10年間密閉されたされたままであるように構成されている、項目1に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目8)
前記構造は、
少なくとも1つの導電性フィードスルーを有する生体内耐腐食性ホルダと、
シーリング層と
を備え、
該シーリング層および該ホルダは、ハーメチックシールされた体積を定義するように構成されている、項目7に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目9)
前記導電性フィードスルーが、金属である、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目10)
前記導電性フィードスルーが、金属と半導体の合金である、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目11)
前記導電性フィードスルーが、窒化物である、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目12)
前記導電性フィードスルーが、半導体である、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目13)
前記耐腐食性ホルダは、シリコンを備えている、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目14)
前記耐腐食性ホルダは、セラミックを備えている、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目15)
前記耐腐食性ホルダは、プレーナプロセッシングプロトコルを用いて製造される、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目16)
前記シーリング層は、金属性である、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目17)
前記構造は、前記ハーメチックシールされた体積内に存在する絶縁性の材料をさらに備えている、項目8に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目18)
前記構造は、少なくとも1つの細長い導電性部材と電気的に結合されている、項目1に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目19)
インプラント可能なハーメチックシールされた構造であって、該ハーメチックシールされた構造は、
少なくとも1つの導電性フィードスルーを有する生体内耐腐食性集積回路ホルダと、
該ホルダ内に存在し、該少なくとも1つのフィードスルーと電気的に結合されている、少なくとも1つの集積回路と、
シーリング層と
を備えており、
該シーリング層および該ホルダは、少なくとも1つの集積回路を備えているハーメチックシールされた体積を定義するように構成されている、インプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目20)
前記集積回路は、エフェクタの一部である、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目21)
前記エフェクタは、アクチュエータを備えている、項目20に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目22)
前記エフェクタは、センサを備えている、項目20に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目23)
前記導電性フィードスルーは、金属性である、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目24)
前記金属性の導電性フィードスルーは、白金を備えている、項目23に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目25)
前記金属製の導電性フィードスルーは、イリジウムを備えている、項目23に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目26)
前記導電性フィードスルーは、金属と半導体の合金を備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目27)
前記耐腐食性ホルダは、少なくとも約1μmの厚さである壁を備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目28)
前記耐腐食性ホルダは、少なくとも約50μmの厚さである壁を備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目29)
前記耐腐食性ホルダは、約1μmから約125μmまでの範囲の厚さの壁を備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目30)
前記耐腐食性ホルダは、シリコンを備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目31)
前記耐腐食性ホルダは、セラミックを備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目32)
前記シーリング層は、金属性である、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目33)
前記金属性のシーリング層は、白金を備えている、項目32に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目34)
前記シーリング層は、貴金属または貴金属の合金を備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目35)
前記シーリング層は、少なくとも約0.5μmの厚さである、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目36)
前記シーリング層は、少なくとも約2.0μmの厚さである、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目37)
前記シーリング層は、少なくとも約20μmの厚さである、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目38)
前記構造は、前記ハーメチックシールされた体積内に存在する絶縁材料をさらに備えている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目39)
前記ハーメチックシールされた体積は、約1plから約1mlまでの範囲である、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目40)
前記集積回路は、前記導電性フィードスルーを経由して、少なくとも1つの細長い導電性部材に電気的に結合されている、項目19に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目41)
前記細長い導電性部材は、制御ユニットに電気的に結合されている、項目40に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目42)
前記制御ユニットは、ペースメーカー容器内に存在する、項目41に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目43)
ハーメチックシールされた構造を製造する方法であって、該方法は、
生体内耐腐食性ホルダ内の開口部を介してエフェクタを配置することと、
ハーメチックシールされた体積内の該ホルダにおける該エフェクタをシールするように該開口部上にシーリング層を製造することと
を包含し、
該方法は、該エフェクタと電気的に結合された該ホルダ内に1つ以上の導電性フィードスルーを生成することをさらに包含する、方法。
(項目44)
前記ホルダは、互いに絶縁された2つ以上の導電性フィードスルーを包含する、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記生成することは、前記ホルダ内の通路を導電性材料で満たすことを包含する、項目43に記載の方法。
(項目46)
前記生成することは、前記エフェクタと、前記導電性フィードスルーとの間に配置されるハンダ材料を融解することをさらに包含する、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記生成することは、単一のプロセスステップにおいて、前記ホルダ内の通路を導電性材料で満たし、前記エフェクタと該導電性材料とを接触させることを包含する、項目43に記載の方法。
(項目48)
前記導電性フィードスルーは、金属性である、項目43に記載の方法。
(項目49)
前記金属性材料は、白金を備えている、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記導電性フィードスルーは、金属と半導体の合金を備えている、項目43に記載の方法。
(項目51)
前記エフェクタは、集積回路を備えている、項目43に記載の方法。
(項目52)
前記方法は、前記ホルダを製造することをさらに包含する、項目43に記載の方法。
(項目53)
前記ホルダは、プレーナプロセスプロトコルを用いて製造される、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記ホルダは、シリコンを備えている、項目43に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目55)
前記ホルダは、セラミックを備えている、項目43に記載のインプラント可能なハーメチックシールされた構造。
(項目56)
前記方法は、絶縁材料を前記体積内に配置することをさらに包含する、項目43に記載の方法。
(項目57)
前記方法は、前記シーリング層を生成する前に、前記ホルダを平坦化することをさらに包含する、項目43に記載の方法。
(項目58)
前記シーリング層は、プレーナプロセスプロトコルを用いて製造される、項目43に記載の方法。
(項目59)
前記ホルダは、複数のチップホルダを備えている構造内に存在し、前記方法は該複数のチップホルダを分割して、前記ハーメチックシールされた構造を生成することをさらに包含する、項目43に記載の方法。
(項目60)
項目1に記載のハーメチックシールされた構造を備えている、インプラント可能な医療用デバイス。
(項目61)
前記構造は、エフェクタを備えている、項目60に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目62)
前記エフェクタは、集積回路を備えている、項目61に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目63)
前記構造は、リード内に存在する、項目60に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目64)
前記リードは、心臓血管のリードである、項目63に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目65)
前記リードは、左心室のリードである、項目64に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目66)
前記リードは、心外膜のリードである、項目65に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目67)
前記構造は、インプラント内に存在する、項目60に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目68)
前記インプラントは、心臓血管のインプラントである、項目67に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目69)
前記デバイスは、神経デバイス、筋肉デバイス、胃腸デバイス、骨格デバイス、肺デバイス、眼デバイス、および聴覚デバイスから選択される、項目60に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目70)
前記構造は、少なくとも1つの細長い導電性部材と電気的に結合されている、項目60に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目71)
前記少なくとも1つの導電性部材は、制御ユニットと電気的に結合されている、項目70に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目72)
前記制御ユニットは、ペースメーカー容器内に存在する、項目71に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目73)
前記デバイスは、心臓血管ペーシングデバイスである、項目72に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目74)
前記デバイスは、2つ以上の前記ハーメチックシールされた構造を備えている、項目60に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目75)
項目61に記載のインプラント可能な医療用デバイスを対象にインプラントすることと、
該インプラントされた医療用デバイスの前記エフェクタを使用することと
を包含する、方法。
(項目76)
前記エフェクタは、センサであり、前記使用することは、該センサから信号を取得することを包含する、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記エフェクタは、センサであり、前記使用することは、該センサからデータを取得することを包含する、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記エフェクタは、アクチュエータである、項目76に記載の方法。
(項目79)
前記アクチュエータは、電極と結合されており、前記使用することは、電気エネルギを前記対象に伝送するように該電極を作動させることを包含する、項目78に記載の方法。
(項目80)
項目1に記載のハーメチックシールされた構造と、
制御ユニットと
を備えている、システム。
(項目81)
前記構造と前記制御ユニットは、細長い導電性部材によって電気的に結合されている、項目80に記載のシステム。
(項目82)
前記ハーメチックシールされた構造は、インプラント内に存在する、項目80に記載のシステム。
(項目83)
前記システムは、項目1に記載の2つ以上のハーメチックシールされた構造を備えている、項目80に記載のシステム。
(項目84)
前記インプラントは、心臓血管のリードである、項目82に記載のシステム。
(項目85)
前記リードは、左心室のリードである、項目84に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目86)
前記リードは、心外膜のリードである、項目84に記載のインプラント可能な医療用デバイス。
(項目87)
項目1に記載のハーメチックシールされた構造と、
制御ユニットと
を備えている、キット。
(項目88)
前記キットは、細長い導電性部材をさらに含む、項目87に記載のキット。
(項目89)
前記ハーメチックシールされた構造は、リード内に存在する、項目87に記載のキット。
(項目90)
前記リードは、心臓血管のリードである、項目89に記載のキット。
(項目91)
前記ハーメチックシールされた構造は、インプラント内に存在する、項目89に記載のキット。
(項目92)
前記インプラントは、心臓血管のインプラントである、項目91に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態に従う、生体内耐腐食性ホルダの3次元表示を提供する。
【図2A】図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた集積回路の異なる3次元図を示す。
【図2B】図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた集積回路の異なる3次元図を示す。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、本発明の代替的な実施形態に従う、複数のハーメチックシールされた集積回路を有するアセンブリの異なる断面図を示す。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、本発明の代替的な実施形態に従う、複数のハーメチックシールされた集積回路を有するアセンブリの異なる断面図を示す。
【図4A】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4B】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4C】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4D】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4E】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4F】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4G】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4H】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4I】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4J】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4K】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4L】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図4M】図4A〜図4Mは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5A】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5B】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5C】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5D】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5E】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5F】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5G】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5H】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5I】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5J】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5K】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図5L】図5A〜図5Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6A】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6B】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6C】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6D】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6E】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6F】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6G】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図6H】図6A〜図6Hは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造する方法を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従う、リード電極に結合される、1つ以上のハーメチックシールされた集積回路を含む、心臓再同期療法システムの描写を提供する。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた集積回路に結合されるリード電極の描写を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な記載)
上記で要約されたように、本発明の局面は、ハーメチックシールされた構造、およびそれを製造し使用する方法を提供する。ハーメチックシールされた構造を含むデバイス、システムおよびキット、ならびにこのようなデバイスおよびシステムを使用する方法もまた提供される。
【0014】
本発明がさらに詳細に記載される前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定はされず、そのようなものは変更し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。なぜならば、本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
【0015】
値の範囲が提供されるところでは、上記範囲の上限と下限との間にある各値、つまりコンテキストが他に明確に示していない場合は、下限の単位の1/10までの値、また述べられた範囲内の、どのような述べられた値あるいは介在する値も本発明の範囲に包含されることが理解されるべきである。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれ得、述べられた範囲の特に除外されたどのような限界にも従うことを条件として、本発明内にも包含される。述べられた範囲が、限界の1つまたは両方を含む場合には、これら含まれる限界のいずれかまたは両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。
【0016】
他に定義される場合を除いて、本明細書で使用される全ての技術的、科学的な用語は、本発明が所属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載される方法および材料に類似する、または同等の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用され得るが、代表的な実例となる方法および材料がここで記載される。
【0017】
本明細書に引用される全ての出版物および特許は、各個別の出版物または特許が、参考として援用されるべく具体的かつ個別に示されるように本明細書において参考として援用され、出版物の引用に関連する方法および/または材料を開示および記載するために本明細書において参考として援用される。任意の出版物の引用は、出願日の前の開示に対してであり、本発明が、従来の発明によってそのような公開に先行するように権利化されないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日とは異なり得、実際の公開日は、自主的に確認されることを必要とし得る。
【0018】
本明細書および添付する特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「該」は、コンテキストが他に明確に規定しない場合には、複数の指示物を含むことに注意する。特許請求の範囲は、任意の選択的なエレメントを除外するように記載され得ることにさらに注意する。そのように、この記述は、特許請求のエレメントの列挙に関連するこのような排他的な専門用語(「単独で(solely)」、「唯一の(only)」、および同様のもの)の使用、または「否定的な」限定の使用のために、先行基礎として役立つように意図されている。
【0019】
この開示を読むことで、当業者にとって明らかなように、本明細書で記載され図示される個別の実施形態の各々は、別々のコンポーネントおよび特性を有し、これらは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に、分離され得、任意の他の幾つかの実施形態の特性と組み合わせられ得る。任意の列挙される方法は、列挙されるイベントの順序で、または論理的に実行可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0020】
本発明の局面をさらに記載することにおいて、ハーメチックシールされた構造の実施形態が、まずさらに詳細にレビューされる。次に、ハーメチックシールされた構造を製造するための製造プロトコルの実施形態がレビューされる。デバイスの実施形態および本発明のハーメチックシールされた構造を含むデバイス、例えば、インプラント可能な医療用デバイスおよびシステムが次いで記載され、同様にこのようなデバイスを異なるアプリケーションで使用する方法も記載される。また、本発明の局面を組み込むキットの記載が提供される。
【0021】
(ハーメチックシールされた構造)
上記で概略されたように、本発明の実施形態は、インプラント可能なハーメチックシールされた構造を含む。ハーメチックシールされた構造がインプラント可能である場合に、構造は、塩分環境、例えば、血液および/または組織と接する生理学的な環境において相当な期間の間、機能的に(すなわち、たとえあっても、実質的な機能の低下がない状態で)生存し得る。このようなものとして、一旦インプラントされると、例えば、構造内部にシールされたエフェクタの機能によって決定される場合に、少なくとも2日以上の期間、例えば、少なくとも約1週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年より長く、例えば、少なくとも約5年より長く、構造は機能に関しては、劣化しない。特定の実施形態においては、生理学的なサイトに、約1年〜約80年以上の範囲の期間、例えば、約5年から約70年以上までで、約10年から約50年以上までの範囲を含む期間、インプラントされた場合に、ハーメチックシールされた構造は、構造の中に存在するエフェクタにハーメチック保護を提供する。さらに、ハーメチックシールの完全性は、インプラントされた構造が有意な電圧変化、例えば、約1Vから約5Vまでのような約0.1Vから約100Vまでの範囲の電圧変化を受けていても維持される。ハーメチックシールされた構造は高い湿度、塩水噴霧(salt spray)の環境において生存することが可能であるので、構造は人体内以外での、例えば、塩水および/または高い湿度を受けている他の高い信頼性のアセンブリにおいて多くの重要なアプリケーションを有し得る。しかしながら、記載の簡易化のためだけに、本ハーメチックシールされた構造の局面は、インプラント可能な医学上のデバイスの実施形態に関して、本明細書に主としてさらに記載される。
【0022】
本発明の実施形態においては、ハーメチックシールされた構造は、心臓血管リード内部に位置するように寸法を合わせられる。「心臓血管リード内部に位置するように寸法を合わせられる」ことは、構造が心臓血管リードの内部に位置し得るように、ハーメチックシールされた構造は十分に小さいサイズ(すなわち、形状要素)を有していることを意味する。特定の実施形態においては、ハーメチックシールされた構造は最長の寸法については、例えば、約0.5mmから約2mmまでを含む、約0.2mmから約5mmまでのような約0.05mm〜約20mmの範囲の長さ、幅または高さを有する。このようなものとして、本構造の実施形態は、従来の利用可能な設計に比べて大きさのオーダがより小さいサイズを有する。従って、本構造の実施形態は、数日間、数ヶ月間、および数年間の現実的かつ信頼性のある使用のための、小型化されたインプラント可能な医学デバイスの現実的な開発を可能にする。
【0023】
特定の実施形態においては、ハーメチックシールされた構造は、1つ以上のエフェクタを収納するハーメチックシールされた体積を含む。用語「エフェクタ」は、本明細書では通常、センサ、アクチベータ、センサ/アクチベータ、アクチュエータ(例えば、電気機械的な、または電気的なアクチュエータ)、または所望される機能を行うために使用され得る任意の他のデバイスを言う。例えば、一部の実施形態においては、エフェクタは、トランスデューサおよびプロセッサ(例えば、集積回路(デジタルまたはアナログ)の形態における)を含む。このようなものである場合、本発明の実施形態は、エフェクタが集積回路を備えているものを含む。用語「集積回路」(IC)は、本明細書において、材料の小さなスライス、すなわちシリコンチップのようなチップの内または上に生成される電子コンポーネントとそれらの接続の小さな複合体を言うために使用される。特定の実施形態において、ICは、2005年9月1日に出願され「Methods And Apparatus For Tissue Activation And Monitoring」と題されたPCT特許出願シリアルNo.PCT/US2005/______に記載されるようなICであり、上記明細書の開示は本明細書において参考によって援用される。
【0024】
エフェクタはデータ収集、例えば、圧力データ、体積データ、寸法データ、温度データ、酸素または二酸化炭素濃度データ、ヘマトクリット値データ、電気伝導度データ、電気電位データ、pHデータ、化学的データ、血流速度データ、熱伝導度データ、光学特性データ、断面積データ、粘性データ、放射線データおよびこれらと同様のものであることを意図され得るが、これらに限定はされない。そういうものとして、エフェクタはセンサ、例えば、温度センサ、加速度計、超音波送信機または受信機、電圧計、電位センサ、電流センサなどであり得る。あるいは、エフェクタは、アクチュエーションまたはインターベンションすること、例えば、電流または電圧を印加すること、電位を設定すること、物質または領域を加熱すること、圧力変化を誘起すること、材料または物質を解放または捕獲すること、光を放射すること、音響または超音波エネルギを放射すること、放射線を放射することおよびこれらと同様のことを意図され得る。
【0025】
本発明の発明者の一部は、ドップラセンサ、圧力センサ、付加的な壁動作、および他の心臓のパラメータを検知するデバイスを開発し、これらのエフェクタのデバイスまたは少なくともそれらのコンポーネントは、本発明の実施形態に従って、所望されるようにハーメチックシールされ得る。これらの一部は、現在出願されている仮出願;2004年9月2日に出願された米国仮特許出願第60/607280号の「One Wire Medical Monitoring and Treating Devices」と、「Pressure Sensors having Stable Gauge Transducers」と題された米国特許出願第11/025,876号と、「Pressure Sensor Circuits」と題された米国特許出願第11/025,366号と、「Pressure Sensors Having Transducers Positioned to Provide for Low Drift」と題された米国特許出願第11/025,879号と、「Pressure Sensors
Having Neutral Plane Positioned Transducers」と題された米国特許出願第11/025,795号と、「Implantable Pressure Sensors」と題された米国特許出願第11/025,657号と、「Pressure Sensors Having Spacer Mounted Transducers」と題された米国特許出願第11/025,793号と、2004年9月30日に出願され、「Stable Micromachined Sensors」と題された米国仮特許出願第60/615117号と、2004年10月6日に出願され、「Amplified Compliant Force Pressure Sensors」と題された米国仮特許出願第60/616706号と、2004年12月20日に出願され、「Cardiac Motion Characterization by Strain Measurement」と題された米国仮特許出願と、2004年12月10日に出願され、「Implantable Pressure Sensors」と題されたPCT特許出願と、2005年2月22日に出願され、「Shaped Computer Chips with Electrodes for Medical Devices」と題された米国仮特許出願と、2005年3月3日に出願され、「Fiberoptic Cardiac Wall Motion
Timer」と題された米国仮特許出願第60/658445号と、2005年3月31日に出願され「Cardiac Motion Detection Using Fiberoptic Strain Gauges」と題された米国仮特許出願第60/667,749号とにおいて、具体化される。これらの出願は、これら全体において参考として援用される。
【0026】
本発明の局面は、少なくとも1つの導電性のフィードスルーを有する生体内耐腐食性ホルダと、シーリング層とを含むハーメチックシールされた構造を含み、ここでシーリング層とホルダは、ハーメチックシールされた体積を定義するように構成され、例えば、ハーメチックシールされた体積内において、1つ以上のエフェクタが存在する。これらのエレメントに対する適切な寸法および/または材料の選択は、以下にさらに詳細にレビューされるように、例えば、上記でレビューされたようなハーメチックシールされた構造のインプラント可能な機能性を提供する。
【0027】
特定の実施形態において、生体内耐腐食性ホルダは、例えば、エフェクタがホルダの壁によって1つの側面以外の全ての側面において拘束されるように、エフェクタを保持するように構成されている構造である。特定の実施形態において、ホルダは側壁および底を含む。エフェクタが1つの側面以外の全ての側面において拘束される体積内に保持されるように、関心のあるエフェクタを含むことが可能である限りは、ホルダは種々の異なる構成を有し得る。従って、ホルダの形状は正方形、円形、卵形、長方形、または所望される他の幾つかの形状であり得る。
【0028】
ホルダは、種々の異なる材料から製造され得るが、該材料は、シリコン(例えば、単結晶、多結晶など)、セラミック、例えば、炭化ケイ素、アルミナ、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、とりわけダイヤモンドライクカーボン、焼結材料などを含むがこれらに限定はされない。特定の実施形態においては、ホルダは、少なくとも特定の波長範囲にある光、例えば、赤外線を透過する材料から製造される。実質的に任意のセラミックは、選択されるセラミックが、特定のアセンブリの腐食条件およびその意図される環境と一致する限り、ホルダのために使用され得る。複数の材料が使用される場合には、材料が構造にシールエフェクタの機能性に有害な衝撃を与えないように、材料の選択において、熱膨張係数が考慮に入れられ得る。
【0029】
特定の実施形態においては、ホルダは、ホルダの壁または底に配置される1つ以上の導電性フィードスルーを含む。特定の実施形態において、導電性フィードスルーは、ホルダの底に存在する比較的厚い導電性材料である。「比較的厚い」とは、導電性材料が、約0.001mmから約1mmの範囲、例えば、約0.01mmから約0.1mmまでの厚さを有することを意味している。特定の実施形態においては、厚さは、約12μmから約375μmまでの範囲、例えば、約20μmから約125μmまで、例えば、75μmである。導電性フィードスルーは、種々の異なる材料から製造され得る。関心のある、適切な材料は、金属、例えば、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)およびイリジウム(Ir)のような貴金属およびその合金を含むが、これらに限定はされない。ここで、特定の実施形態において、貴金属は金またはその合金ではない。さらに他の実施形態において、導電性金属は金合金である。適切な貴金属合金の精製において貴金属と結合され得る金属は、他の貴金属、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)および同様のものを含むがこれらに限定はされない。また、導電性金属として関心のあるものは、以下でさらに詳細にレビューされるように、貴金属と半導体材料との合金、例えば、金属シリサイドである。
【0030】
特定の実施形態において、生体内耐腐食性ホルダは、図1に3次元的に描かれる構造を有する。図1においては、生体内耐腐食性ホルダ10は、4つの壁12、14、16、および18と、底20を含む長方形の容器である。そのように、ホルダの壁および底は、1つの側面以外の全ての側面において材料と接する収容体積を定義する。壁の幅および底の厚さは、変更し得、特定の実施形態においては、構造が生体内環境に存在する時間において、所望される耐腐食性を提供するために十分であるように選択される。特定の実施形態において、壁の幅および底の厚さは、約0.001mmから約10mmまでの範囲にあって、例えば、約0.025mmから約0.25mmまでを含む約0.01mmから約1mmまでの範囲にある。図1に示される構造内の1つの側面以外の全ての側面によって収容される体積は、例えば、単一のまたは複数のエフェクタが構造内にシールされるべきかどうかに依存して変更し得、特定の実施形態においては、収容体積は、約1plから約1mlまでの範囲にあって、例えば、約0.1μlから約1μlまでを含む約1μlから約100μlまでの範囲にある。さらに、4つの別個の導電性フィードスルー22、24、26、および28が、ホルダ10の内側底面に示され、これらは、ホルダの内側底面から、外部のコネクタエレメント32、34、36および38までの導電性接続を提供する。ホルダが4つの異なる導電性フィードスルーを有するように描かれるが、任意の所望される数のフィードスルーが存在し得、例えば、上記でレビューされるように、約1から約1000までのような1以上の範囲にあって、例えば、約3から約10までを含む約2から約100までの範囲である。さらに、導電性フィードスルーは、任意の好適な材料、例えば、白金またはその合金のような貴金属、金属シリサイドのようなシリサイド(以下にさらに詳細にレビューされる)などから製造され得る。以下にさらに詳細にレビューされるように、ホルダは、プレーナプロセスプロトコルを含む多くの異なるプロトコルを用いて製造され得、該プロトコルにおいては、基板に連続的に適用される種々の異なる材料除去および材料堆積プロトコルを用いて、構造は、築かれ、および/または表面または最初のプレーナ基板の表面から除去される。
【0031】
本発明の実施形態のハーメチックシールされた構造において、ホルダの開口端は、シーリング層を用いてシールされる。シーリング層は、適切な材料から製造される十分な厚さの層であり、一面、例えば上面とシーリング層が接し他の全ての面とホルダの内壁が接するハーメチックシールされた体積を定義する。特定の実施形態において、シーリング層は、少なくとも0.1μmかそれ以上の厚さであり、特定の実施形態において、シーリング層は、約1μmから約10μmまでを含む約0.1μmから約50μmまでのように、約0.01μmから約100μmまでの範囲にある。シーリング層が製造され得る材料に関連して、例えば、上記した白金、ロジウム、イリジウム、およびこれらの合金のような貴金属およびこれらの合金のような金属、例えば、以下にレビューされるような金属シリサイド、例えば、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化チタニウムのような窒化物、炭化物などを含むがこれらに限定はされない、多くの異なる材料が使用され得る。一実施形態において、シーリング層(すなわち、上部キャップの金属化)は、白金またはその合金である。別の実施形態においては、シーリング層は、誘電体、例えば、窒化アルミニウム、炭化タングステン、炭化ケイ素などである。
【0032】
特定の実施形態において、厚い白金の金属化とセラミックまたはシリコン製のホルダとの間の熱膨張係数の差を緩和する設計が使用される。この場合において、白金の堆積の間に、白金はエッチングされたシリコンまたはセラミックのリブのアレイの間に交錯される。この設計は、膨張および/または縮小を経験する材料の総体積を最小化する。外側の金属化は、白金または任意の貴金属、例えば、イリジウム、ロジウム、またはオスミニウムあるいはこれらの合金であり得る。
【0033】
シーリング層とホルダとの付着を強化する付着促進層(adhesion promoting layer)は、シーリング層とホルダとの間に含まれ得る。この付着促進層は、変更し得、ここで適切な層は、チタン/タングステン、クロム、酸化白金および同様のものを含むがこれらに限定はされない。例えば、以下にさらに詳細にレビューされるケイ化物もまた関心がある。シーリング層は、多くの異なるプロトコル(拡散接合、溶接、ハンダ付け、ロウ付け、圧縮接合、超音波接合、サーモソニックボンディング、熱圧着、アノード接合などを含むがこれらに限定はされない)を用いて構造に付着され得る。
【0034】
特定の実施形態において、シーリング層は、代わりに、誘電体、例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などによって被覆される。
【0035】
所望される場合には、アセンブリ全体が選択的にプラスチックで被覆され得る。
【0036】
図2Aは、本発明の実施形態に従ったハーメチックシールされた構造の3次元図を提供する。図2Aにおいて、構造200は、ホルダ210とシーリング層220とを含む。シーリング層220とホルダ210は、ホルダ内にハーメチックシールされた体積(示されていない)を定義するように構成されている。外部コネクタエレメント212、213、214、215、216および217もまた示され、これらはホルダの底に存在する導電性フィードスルー(示されていない)に結合される。
【0037】
図2Bは、本発明の実施形態に従ったハーメチックシールされた構造の3次元破断図を提供する。図2Bにおいて、ホルダ210およびシーリング層220は、エフェクタ(例えば、集積回路を備えている)230を保持するハーメチックシールされた体積250を定義する。エフェクタ230は、導電性(例えば、白金)フィードスルーまたはビア212と、ハンダ合金(例えば、鉛スズ、金スズ、銀スズ、または他の適切な合金)240を用いて電気的に結合される。
【0038】
特定の実施形態において、エフェクタと、ホルダおよび/またはシーリング層との間の任意のスペースは、絶縁材料によって占められ得る。任意の便利な絶縁材料が使用され得、ここで代表的な絶縁材料は、液体、例えば、シリコーン油、エラストマ、熱硬化樹脂、熱硬化プラスチック、エポキシ樹脂、シリコーン、液晶ポリマ、ポリアミド、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、セラミックペーストなどを含むがこれらに限定はされない。
【0039】
図3Aは、本発明の実施形態に従った、ハーメチックシールされた構造の横断面図を提供する。この実施形態においては、ホルダ300は、並んで(例えば、アレイフォーマットで)配置される2つの別個のウェル311および312を含み、ここで各ウェルは、2つの異なるエフェクタ313および314(例えば、集積回路)を収納する。各ウェルは、側面315と底316とを含む。導電性フィードスルー317、318、319、および320もまた各ウェルの底に示される。集積回路313および314のトレース331、332、333および334の導電性フィードスルーに対する電気的な結合は、ハンダ付け接続321、322、323および324である。異なるハンダ付け接続をお互いから分離するものは、絶縁材料340である。示されてはいないが、適切な絶縁材料はまた、エフェクタと、ホルダのウェルの側面/底との間のスペースに存在し得る。さらに、シーリング層は図3Aには示されていないが、フィードスルーに対向する表面上に存在する。図3Aの描写は、2つの異なる集積回路のみを示しているが、本発明のハーメチックシールされた構造は、より多くの集積回路(例えば、4、5、6、またはそれ以上の回路)を、任意の便利な配置で含み得る。パッケージ設計ごとに複数のチップがある一実施形態は、アセンブリの1断面においてより高い電圧に抵抗するように組み立てられるか、別の方法で設計されるチップを有することができる。コンパニオンチップは、第1のチップに比べて低い電圧許容値を有するが、心臓のペーシングからの高い電圧、またはアセンブリの部分からの別のコンポーネントの要求を維持する能力を必要としない。これらのチップの両方は、例えば、同一のウェルまたは並んだウェル内の同一のハーメチックパッケージの中に落とし込まれ、ハンダ付けプロセスによって取り付けられ、次いで絶縁材料を用いて適切に確保され(すなわちポット(pot)され)、例えば、以下にレビューされるように平坦化されまたは重ねられ、次いでシーリング層で被覆される。
【0040】
上記の例は、単一の本発明の耐腐食性ハーメチックパッケージ内に2つのチップを相乗作用的に提供することへのガイダンスを提供するが、これらのアセンブリは単一のアセンブリ内に4、5、6、またはそれ以上まで扱い得る。このようなより大きな規模のアセンブリにおいては、これらのアセンブリが、ハーメチック保護される医療用デバイスコンポーネントにより多くの機能性を付加するために、お互いの上部にスタックされ得る利点もある。
【0041】
図3Bにおいて、構造350は、ウェル366を定義する側面362および底364を有するホルダ360を含む。お互いの上部上にスタックされる2つの異なるエフェクタ371および372が、ウェル366内に存在する。導電性フィードスルー381および382はまた、各ウェルの底に示される。集積回路371のトレース373および374と導電性フィードスルーとの電気的な結合は、ハンダ付け接続391および392である。異なるハンダをお互いに分離するものは、絶縁材料370である。示されてはいないが、適切な絶縁材料はまた、エフェクタとホルダのウェルの側面/底との間の間隔に存在し得る。さらに、シーリング層は、図3Bには示されていないが、フィードスルーと対向する表面上に存在する。
【0042】
(製造の方法)
ハーメチックシールされた構造の実施形態は、任意の便利なプロトコルを用いて製造され得る。本発明のこれらの実施形態の局面は、生体内耐腐食性ホルダ内に1つ以上のエフェクタを配置することと、ホルダの開口部上にシーリング層を生成し、ハーメチックシールされた体積内のホルダ内に1つ以上のエフェクタをシールすることとを含む。エフェクタの性質に依存して、本方法の実施形態は、エフェクタとホルダ内に存在する導電性フィードスルーとを電気的に結合することをさらに含む。本方法のさらなる実施形態は、耐腐食性ホルダを構成することである。
【0043】
任意の種々の異なるプロトコルが、シール構造およびそれらのコンポーネントを製造することに使用され得る。例えば、モールディング、堆積および材料除去、例えば、プレーナプロセッシング手法(例えば、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)製造)が使用され得る。構造の製造の特定の局面において使用され得る堆積手法は、電気メッキ、カソードアーク堆積、プラズマスプレー、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理蒸着法、化学蒸着法、プラズマ化学蒸着法などを含むが、これらに限定はされない。材料除去手法は、反応型イオンエッチング、異方性化学的エッチング、等方性化学的エッチング、機械的研磨、レーザーアブレーション、放電加工(EDM)などによる平面化を含むが、これらに限定はされない。リソグラフィックプロトコルにも関心がある。特定の実施形態において関心があるのは、プレーナプロセッシングプロトコルの使用であり、該プロトコルにおいて、構造は構築され、および/または、連続的に基板に適用される種々の異なる材料除去および堆積プロトコルを用いて最初の平面基板の表面または表面群から除去される。
【0044】
本発明の実施形態に従った製造プロトコルにおいて、ホルダがまず生成される。上記でレビューしたように、ホルダは種々の異なる材料の内の任意から製造され得、該材料はシリコン(単結晶または多結晶)、炭化ケイ素(単結晶または多結晶)、アルミナ、または他の適切なセラミックを含むがこれらに限定はされない。ホルダは、モールディングを含む多くの異なるプロトコル、およびMEMSデバイスの製造において使用される材料除去/堆積プロトコルによって生成され得、ここで特定のプロトコルは以下にさらに図示される。
【0045】
コンテナの底において、1つ以上の穴(例えば、トレンチの形態で)が生成され得、1つ以上の穴は導電性材料で満たされ、導電性フィードスルーを生成する。これらの穴またはトレンチは限定されるものではないが、放電加工(EDM)、反応型イオンエッチング、研削、化学的エッチングを含む多くのアプローチによって生成され得る。
【0046】
穴は、導電性材料、例えば、金属、ケイ化金属、などで満たされ、導電性フィードスルーを生成する。穴は、集積回路がホルダ内に配置される前または後に、構造の製造に使用される特定のプロトコルに依存して導電性材料によって満たされ得る。特定の実施形態において、金属、例えば、白金のベース層が、例えば、このアセンブリが電気メッキを介して構築される予定である場合にはスパッタリングプロセスを介して付着(apply)される。トレンチは、次いで、電気メッキ、プラズマ化学蒸着プロセスを用いて、または他の適切な手段を介して満たされる。さらに他の実施形態において、以下にレビューされるように、集積回路がまずホルダに配置され、穴を導電性材料、例えば、金属で満たすことが続く。
【0047】
集積回路は、任意の便利なプロトコルを用いてホルダ内に配置され得る。特定の実施形態において、ホルダ内に集積回路を配置することにおいて、集積回路のダイのトレース側が、ホルダの底に対向して配置され、電気接触がホルダの底における回路のトレースとフィードスルーとの間に構成され得る。本発明の一実施形態においては、集積回路は1つ以上の材料の薄膜、例えば、白金薄膜で被覆され、次いで炭化ケイ素膜で被覆され得る。あるいは、スルーウェーハビアを有するウェーハにおいては、ウェーハは、ホルダ内の上部のトレース側に配置され得、電気接続はスルーウェーハビアによってホルダの導電性フィードスルーに対してなされ得る。
【0048】
ホルダ内にチップを配置する前に、ホルダの底が導電性フィードスルーを含むような実施形態において、本発明の局面は、集積回路の回路網と導電性フィードスルーとの間の電気接続を確立することを包含する。特定の実施形態において、電気接続は、表面に存在する(例えば、バンプされた)適切なハンダ材料、例えば、金、金スズ、または銀スズのハンダを提供することによって確立される。ハンダが金属製フィードスルーに接触するように、ホルダ内に集積回路を配置することに続いて、アセンブリは、ハンダの融点を超える様に加熱されることによって、最終的にホルダ内のフィードスルーと電気接触を形成する。
【0049】
特定の実施形態においては、集積回路とホルダの壁/底との間に存在する、残っている空間は、適切な絶縁材料(例えば、ポリイミド、エポキシ、または低融点のガラス)によって満たされ得、ここで材料は通常、シーリング層(例えば、以下に述べられる金属シーリング層)の堆積プロセスと互換性があるものである。
【0050】
この点において、ホルダは、集積回路がホルダとシーリング層とによって定義された定義体積(defined volume)内にシールされるような方法でシーリング層にシールされる。通常は、これらの実施形態のプロトコルのこのステップは、表面の底に対向する構造の表面にわたってシーリング層を生成することを包含し、この表面は、ホルダの壁の上部、集積回路の底(非回路サイド)および任意の絶縁材料によって定義される。
【0051】
欠陥のないシーリング層がこのステップで生成されることを確実にするために、構造の表面は、平坦化され得(すなわち、ラップされ得)、いかなる凹凸(例えば、バンプ、クラックなど)も実質的にない均一な表面を生成する。結果として生じるラップされた表面の均一な高さは、クラックのない(crack free)保護層の形成を可能にする。このステップは、凹凸が表面上に存在しないことが、上部面上に生成されるシーリング層の構造上の完全性に反対に衝撃を与え得ることを保証する。
【0052】
結果として生じる表面(すなわち上部)は、次いでシーリング層、例えば、スパッタリングされた白金膜で被覆される。特定の実施形態において、追加の材料が増加された厚さのために初期の層上にメッキされ得、例えば、スパッタリングされた膜が次いで白金メッキで被覆される。本発明の一実施形態において、ICチップは、白金の薄膜で被覆され、次いで炭化ケイ素膜で被覆される。
【0053】
上記のプロトコルは、ハーメチックシールされた集積回路の製造という結果を生じる。所望される場合、構造の上部面、底部面、または側面の任意の面が追加の材料、例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化タングステンなどのような誘電体によってさらに被覆され得る。さらに、金属層および誘電体層の両方は、所望されるように、任意の種々の異なる順序でスタックされて存在し得る。
【0054】
上記される様々なセンサ構造の生成のための代表的な製造プロトコルは、これからさらに詳細に議論される。図4A〜図4Mは、ハーメチックシールされた構造を製造するために使用され得る本発明の実施形態に従う、プロセッシングプロトコルのフロー図を提供し、このプロセスは、「シャドーマスク」プロセスと呼ばれ得る。図4Aにおいて、初期の構造400は、ベース層405(例えば、シリコン、炭化ケイ素など)を含み、ベース層405は、第1の面408上に存在するマスク層410を有する。例えば、プラズマエッチング手法を介して、露出した材料を除去することに続いて、浅い窪み(recess)404(例えば、トレンチの形態で)は、図4Bに示されるように第1の表面408上に生成される。これらの窪みは、以下に示されるように最終的に導電性フィードスルーになる。マスク層410の除去に続いて、構造400は、図4Cに示されるように表面408上に存在する。次に、シャドーマスク412は、図4Dに示されるように、ベース層405の表面408上に位置される。シャドーマスク412は、任意の便利なプロトコルを用いて、例えば、反応型イオンエッチング、フォトエッチング、または電鋳法などによって生成され得る。(例えば、金属の)導電性層417が次いで、構造400の上側表面408およびマスク412にわたって図4Eに示されるように、例えば、堆積、メッキなどを介して生成される。導電性層417は、表面408上の窪み404を完全に満たす。次に、マスク層412が、図4Fに示されるように平坦化され、ベース405の表面408上に存在する導電性エレメント420を残す。図4Gにおいて、マスク層425は、底面422上に生成される。次に、材料は図4Hに示されるように底面422から除去される。バッキング層(backing layer)425の除去に続いて、構造400は、例えば、プレーナ処理を用いて製造されたフィードスルーのアレイと、例えば、プレーナ処理を用いて製造された空洞のアレイとを含む、微細加工(microfabricated)チップパッケージと考えられ得る。このステップは、側壁431と底432とを有するホルダ430の製造という結果を生じ、ここで底432は、導電性エレメント420を含み、導電性エレメント420は、この場合は、例えば、金属またはドープ(dope)された半導体材料の導電性フィードスルーである。図4Iは、ホルダ430内の集積回路440の配置を示し、ここで集積回路トレース441は、絶縁材料443によってお互いに電気的に絶縁されている。ハンダ442も示され、ハンダ442は、トレース441と導電性エレメント420、例えば、フィードスルーとの間の電気接続を提供する。次に、絶縁材料450、例えば、エポキシは、図4Jに示されるように、ホルダ430内に導入され、集積回路とホルダの壁/底との間の任意のギャップを満たす。図4Kにおいて、表面422は平坦化され(すなわちラップされ)、表面の凹凸のない新しい平坦面460を生成する。図4Lは、平坦面460上のシーリング層470の製造を示す。この図において、構造は、各々集積回路を有するホルダのアレイを含んで示され、ここで各チップホルダは、集積回路を含み、絶縁材料は、集積回路とホルダの壁との間の空間を満たす。構造は、絶縁材料、集積回路、およびチップホルダのアレイが平坦化され、平坦化されたチップホルダのアレイを被覆する耐腐食性材料が存在するという点で、さらに特徴化される。最終的なステップにおいて、図4Mに示されるように、構造400は分割され、ハーメチックシールされた集積回路481と482を生成する。
【0055】
図5A〜図5Lは、本発明の1つの実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造するために使用され得る処理プロトコルのフロー図を提供し、このプロセスは、「波形の模様のある(damascene)」プロセスといわれ得る。図5Aにおいて、初期の構造500は、ベース層505(例えば、シリコン、炭化ケイ素など)を含み、ベース層505は、第1の表面508上に存在するマスク層510を有する。材料の除去に続いて、例えば、プラズマエッチング手法を介して、浅い窪み504(例えば、トレンチの形状で)が、図5Bに示されるように第1の表面508上に生成される。これらの窪みは、以下に示されるように、最終的には、導電性フィードスルーになる。マスク層510の除去に続いて、構造500は、図5Cに示されるように、表面508上に存在する窪み504を含む。次に、(例えば、金属の)導電性層517が、次いで、図5Dに示されるように上面508にわたって、例えば、堆積、メッキなどを介して生成される。導電性層517は、表面508上の窪み504を完全に満たす。次に、図5Eに示されるように、例えば、ラッピングまたは化学的機械研磨法などによって、最上面515が平坦化され、表面515が平坦になるように、ベース505の表面515上に存在する導電性エレメント520を残す。図5Fにおいて、マスク層525が、底面522上に生成される。次に、図5Gに示されるように、材料が底面522から除去される。このステップは、側壁531および底532を有するホルダ530の製造という結果を生じ、ここで底532は、導電性エレメント520を含み、導電性エレメント520は、ここで導電性フィードスルーである。図5Hは、ホルダ530内の集積回路540の配置を示し、ここで集積回路トレース541は、絶縁材料543によってお互いに絶縁されている。ハンダ542もまた、示され、ハンダ542は、トレース541と導電性エレメント、例えば、フィードスルー520との間に電気接続を提供する。さらに、マスク層525は、底面522から除去される。次に、図5Iに示されるように、絶縁材料550、例えば、エポキシが、ホルダ530に導入され、集積回路とホルダの壁/底の間の任意のギャップを満たす。図5Jにおいて、表面522は、平坦化され(すなわちラップされ)、表面の凹凸がない新しい平坦面560を生成する。図5Kは、平坦面560上のシーリング層570の製造を示す。最終的なステップにおいて、図5Lに示されるように、構造500は分割され、製品であるハーメチックシールされた集積回路581および582を生成する。
【0056】
図6A〜図6Lは、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた構造を製造するために使用され得る処理プロトコルのフロー図を提供し、このプロセスは、「ハンダのない(solder−free)」処理といわれ得る。図6Aにおいて、初期の構造600は、ベース層605(例えば、シリコン、炭化ケイ素など)を含み、ベース層605は、第1の表面608上にマスク層610を有する。プラズマエッチング手法を介する除去に続いて、浅い窪み604(例えば、トレンチの形状で)図6Bに示されるように第1の表面上に生成される。これらの窪みは、以下に示されるように最終的に導電性フィードスルーになる。マスク層610の除去に続いて、構造600は図6Cに示されるように第1の表面608上に存在する窪み604を含む。さらに、マスク層625は、底面622上に精製される。次に材料は、図6Dに示されるように底面622から除去される。このステップは、側壁631と底632を有するホルダ630の製造という結果を生じ、ここで底632は、穴633を含む。図6Eは、ホルダ630内への集積回路640の配置を示し、集積回路トレース641は、絶縁材料643によってお互いに絶縁される。さらに、マスク層625は底面622から除去される。次に、第2のマスク層612は、図6Fに示されるようにベース層605の表面608上に配置される。次に、例えば、金属の導電性層617が、例えば、図6Gに示されるように上面608にわたって、堆積、メッキなどを介して生成される。導電性層617は、表面608上の窪み604を完全に満たす。次に、最上面615は、図6Hに示されるように平坦化され、導電性フィードスルー620がトレース641と電気的に接続するように、ベース605の表面618上に存在する導電性フィードスルー620を残す。結果として生じる構造は、例えば、図4A〜図4Mおよび図5A〜図5Lに関連してさらに上記されるように、次いでさらに処理される。
【0057】
上記される製造方法は、本発明に従ってハーメチックシールされた構造を製造するために使用され得る様々なプロトコルの単なる例示であることに注意する。
【0058】
(シリサイドの実施形態)
上記したように、特定の実施形態は、主題のハーメチックシールされた構造の様々なコンポーネントにおいて、金属と半導体材料の合金、特にシリサイド化金属の使用を含む。シリコン、ゲルマニウム、ガリウムおよびこれらと同様のものと多くの金属との相互拡散が、耐腐食性でさらに導電性の材料を生成する。シリサイド化合物として公知の、このグループの材料のサブセットは、アニーリングステップが、不活性環境内で典型的に上昇した温度において行われた後に、金属とシリコン化合物(結晶シリコン、非結晶シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素)との間に形成される。金属とシリコンとを含有する材料は、金属−シリコン界面で相互拡散し、アニーリング温度、アニーリング環境、およびアニーリング時間に依存して種々の新しい化合物を形成する。ルテニウム、オスミニウム、イリジウム、パラジウムおよび白金のシリサイド化合物が、数ある中で、本発明の生物医学的なパッケージングアプリケーションにとって重要である。これらのシリサイド化合物は、典型的には、約0.1μmから約0.5μmまでの範囲の厚さであるが、約0.01μmから約250μmまでの範囲にわたり得、約25℃〜約1500℃の間で特定の実施形態において形成され得る。シリサイド化合物の形成は、材料構造、および、そのようなものとしてその化学的、機械的特性を変える。主題のハーメチックシールされた構造において、金属シリサイド化合物は、増加した耐腐食性および増加した基板接着を、構造を構成する薄膜とバルク材料の両方に提供する。
【0059】
シリサイド化合物に転換された金属は、2つの理由において露出した表面の材料の変更によって耐腐食性を増加させている。第1に、シリサイド化合物は、電気伝導性を維持したまま、表面に、保護的な二酸化ケイ素の層を形成するからである。第2に、新しい材料は、それが作成される基となったベース層とは大変異なる電気触媒的な挙動を有するからである。酸化層と変更された電気触媒的な挙動の組み合わせは、シリサイド化合物と溶液との間のインピーダンスを増加させる。このインピーダンスの増加は、一定の印加電圧において溶液を通過する電流を減少させる。ファラデーの法則を介して、この電流の減少は、シリサイド化合物の腐食速度の減少に直接的に関わる。
【0060】
本発明の2つの実施形態として、シリサイド化合物は、シリコン基板上の金属薄膜をアニーリングすることと、金属基板上のシリコン薄膜をアニーリングすることとの両方によって形成され得る。相対的な厚さに依存して、金属またはシリコン材料は、完全にまたは部分的にシリサイド化合物に変換され得る。金属とシリコンの開始体積を制御することによって、結果として生じるシリサイド化合物の化学量論比(stoichiometry)は、特定のアニーリング温度に対して調節され得る。この調節は、シリサイド化合物の材料および電気的な特性の変更を可能にするものであって、本発明の別の実施形態である。アニーリング時間が制御される場合には、Si−金属界面における材料だけが、すぐにシリサイド化合物に変わり得る。シリサイド化合物は、25℃程度で形成され得る。そのようなものとして、シリサイド処理ステップは、市販されるCMOS回路と互換性がある。
【0061】
本発明の別の実施形態において、シリサイド化合物導体は、1つのマスクの拡散バリヤを用いてパターニングされ得る。シリサイド化合物が金属とシリコンとの界面において形成し得るので、任意のシリサイド化されない金属が、シリサイド化合物に対して金属に選択的であるエッチング液によって、アニーリングの後に除去され得る。金属基板上の任意のシリサイド化されないシリコンに対しても同様のことが当てはまる。
【0062】
さらに、導電性のシリサイド化合物層の相対的に薄いこと(0.1μm〜1μm)が、シリサイド化合物の上に、追加の誘電体および金属の拡散バリヤを堆積することを容易にし、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ポリイミド、および他のポリマ、ならびに白金、イリジウムのような金属層よりも、さらに耐腐食性を改良する。パターニングされたシリサイド化合物導体の上部の薄膜の追加層は、本発明の別の実施形態を表す。
【0063】
2つの材料の相互拡散はまた、2つの材料をお互いに機械的に接着することの改良に成功する。化学結合は、2つの材料間で結果として生じ、化学結合は、シーリング、パッケージング、アセンブリ、ダイおよびウェーハレベルの結合のアプリケーションにおいて使用され得る。本発明の2つのさらなる実施形態として、金属のシールリングが、シリコンチップまたはウェーハ上にパターニングされ得、シリサイド化合物内に形成される場合には、このリングが使用されることにより、別のシリコンチップまたはウェーハあるいはバルク金属シートのいずれかと、チップを結合する。いずれかの実施形態は、シール空洞を作成し、シール空洞はバルク材料または耐腐食性のシリサイド化合物のいずれかによって保護される。この処理は、ダイまたはウェーハレベルにおいて行われ得る。本発明のパッケージングスキームは、適切なシーリングのためにポリマが容易に腐食される材料に依存する従来のパッケージング方法に対する実質的な改良を表す。
【0064】
シリサイド化合物の熱膨張係数はまた、シリコンと金属との間であり得る。このことは、様々な材料界面において、熱応力集中を減少する。シリコンに金属を取り付けるようにシリサイド化合物を使用することは、類似していない金属(すなわち、Ti、TiW、Cr、またはAu)を接着層として使用する必要性を排除する。このことは、魅力的である。なぜならば、これらの材料は、腐食挙動または生物毒性のいずれかが乏しく、人体内で使用されるべきではないからである。
【0065】
改良された接着は、薄膜のアプリケーションに限定はされない。本発明の追加の実施形態において、約25μmから約1000μm、例えば、約50μmから約500μmの厚さの範囲にあるバルク金属プレフォームは、シリコントレンチにおける窪みまたはビアに挿入され得、アニーリングされる。結果として生じる厚いシリサイド化合物は、導電性がり、耐腐食性があり、レーザ溶接または電気導体のハンダ付けに十分な厚さを提供する。同様に、シリコンプレフォームは、バルク金属の基板と共に使用され得る。
【0066】
シリサイド化合物は、形成の間に体積膨張を受ける。この事実が使用されることにより、シリコン内の大きなトレンチまたはスルーホールビアは、シリサイド化合物によって完全に満たされることを確実にする。固体金属インサートは、配置、形成、または堆積を介してシリコントレンチ内に配置され得、完全にまたは部分的にシリサイド化され得、周囲のシリコンと強い結合を形成する。シリサイド化合物の膨張および引き続くシリコンの壁との結合は、金属インサートの配置の間にシールされ得なかった任意の微小なギャップを排除する。
【0067】
半導体と前述の金属との共融の(eutectic)合成物が存在し、その合成物は、融点が、半導体または金属単体よりも、実質的に低い。従って、金属−半導体層を形成の間に液化させることは可能であり、流体を操作するために使用される任意の方法(すなわち表面張力、重力、圧力)が使用され得、合金を配置し、または蓄積する。この効果は、合金が湿っていない拡散バリヤの使用によって増加され得る。本発明の一実施形態において、液体合金は、露出したシリコンの領域にしみ込む(wick)。この液化はまた、露出したシリコントレンチの形状における、ドッグボーニング(dog−boning)または他の不規則性を排除し、これらは金属またはシリコンの堆積の間に形成され得る。
【0068】
(デバイスおよびシステム)
本発明の局面は、インプラント可能な医療用デバイスおよびシステムを含むデバイスおよびシステムを含み、該デバイスおよびシステムは、本発明の実施形態に従うハーメチックシールされた構造を含む。デバイスおよびシステムは、多くの異なる機能を行い得るがその機能は物理パラメータのモニタリング、医薬品薬剤の運搬、例えば、医学目的の電気刺激、例えば、グルコースのような検出アナライト(analyte)などを含むが、これらに限定はされない。
【0069】
インプラント可能な医療用デバイスおよびシステムは、多くの異なるコンポーネントまたはエレメントを有し得、ここでこのようなエレメントは、センサ(例えば、壁移動タイミングセンサのような心壁移動センサ)、心臓刺激エレメント、および関連する構造(例えば、ペーシングリードとその上に配置される電極);(例えば、1つ以上のセンサからの信号に応答して心臓刺激のタイミングを制御するための)処理エレメント;(例えば、インプラント可能な医療用デバイスと体外の位置との間で情報を遠隔測定的に交換するための)遠隔測定送信機;薬剤運搬エレメントなどを含むが、これらに限定はされない。そのようなものとして、主題のハーメチックシールされた構造は、多くの異なるタイプのインプラント可能な医療用デバイスおよびシステムのコンポーネントと動作可能なように結合(例えば、電気接続)され得、ここでこのようなデバイスおよびシステムは、生理学パラメータ感知デバイス、薬剤運搬デバイス、電気的(例えば、心臓)刺激デバイスなどを含むがこれらに限定はされない。
【0070】
主題のシステムおよびデバイスの特定の実施形態において、本発明の1つ以上のハーメチックシールされた構造が、導電性フィードスルーを介して、少なくとも1つの細長い導電性部材(例えば、心臓血管リードのようなリード内に存在する細長い導電性部材)と電気的に結合される。特定の実施形態において、細長い導電性部材は、例えば、公開されたPCT出願国際公開第2004/052182号および米国特許出願第10/734,490号に記載されるようなマルチプレックスカテーテルの一部であり、これらの特許文献の開示は、本明細書において参考によって援用される。本発明の一部の実施形態において、デバイスおよびシステムは、例えば、ペースメーカー缶のような中央制御ユニットに存在するオンボードの論理回路またはプロセッサを含み得る。これらの実施形態において、中央制御ユニットは、1つ以上の導電性部材を介して、1つ以上のハーメチックシールされた構造と電気的に結合され得る。
【0071】
主題のハーメチックシールされた構造は、任意の医療用デバイスおよびシステムにおける用途を見出し、該デバイスおよびシステムにおいて、拡張された期間の間ハーメチックシールされた構造をインプラントすることが所望される。主題のハーメチックシールされた構造の用途が見出されるデバイスおよびシステムは、以下の特許文献に記載されるデバイスおよびシステムを含むがこれらには限定されない。該特許文献とは、「Methods And Systems For Measuring Cardiac Parameters」と題された国際公開第2004/066817号と、「Method And System For Remote Hemodynamic Monitoring」と題された国際公開第2004/066814号と、「Implantable
Pressure Sensors」と題された国際公開第2005/058133号と、「Monitoring And Treating Hemodynamic Parameters」と題された国際公開第2004/052182号と、「Methods And Apparatus For Enhancing Cardiac Pacing」と題された国際公開第2004/067081号と、2004年12月23日に出願され「Methods and Systems for Programming and Controlling a Cardiac Pacing Device」と題された米国仮特許出願第60/638,928号と、2005年3月3日に出願され「Fiberoptic Cardiac Wall Motion Timer」と題された米国仮特許出願第60/658,445号と、2005年3月31日に出願され「Cardiac Motion Detection Using Fiberoptic Strain Gauges」と題された米国仮特許出願第60/667,759号と、2005年5月9日に出願され「de Minimus Control Circuit for Cardiac pacing and Signal Collection」と題された米国仮特許出願第60/679,625号と、2005年8月8日に出願され「Deployable Epicardial Electrode
and Sensor Array」と題された米国仮特許出願第60/706,641号と、2005年8月5日に出願され「Electrical Tomography」と題された米国仮特許出願第60/705,900号と、2005年8月12日に出願され「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」と題された米国仮特許出願第60/______号(代理人整理番号第PRO−P37号)と、2005年8月12日に出願され「Measuring Conduction Velocity Using One
or More Satellite Devices」と題された米国仮特許出願第60/707,913号と、である。これらの出願は、本明細書において、その全体が参考として本出願に援用される。
【0072】
主題のハーメチックシールされた構造が用途を見出す3つの例示的なデバイス/システムは、心臓血管機能モニタリング/ペーシングデバイスと、血液検体検出デバイスおよびシステムと、視覚回復デバイスおよびシステムと、を含む。これらの種々の例示的なタイプのデバイスおよびシステムの各々は、ここでさらなる詳細において個別にレビューされる。
【0073】
(心臓血管デバイス/システム)
特定の実施形態においては、主題のハーメチックシールされた構造を含むインプラント可能な医療用デバイスおよびシステムは、心臓血管のアプリケーション、例えば、ペーシングアプリケーション、心臓再同期療法アプリケーションなどのために使用される1つである。
【0074】
ハーメチックシールされた集積構造の使用が見出される代表的なシステムが、図7に描かれ、図7は、本発明の実施形態に従うハーメチックシールされた集積回路を含む、心臓再同期化療法(CRT)システムの実施形態を有する心臓の断面図を提供する。システムは、ペースメーカー容器106と、右心室電極リード109と、右心房電極リード108と、左心室心臓静脈リード107とを含む。右心室側壁102と、心室中隔壁103と、心尖105と、左心室側壁の心臓静脈104も示される。
【0075】
左心室心臓静脈リード107は、リード本体と、1つ以上の電極110、111、および112からなる。電極の各々は、図8に以下に示されるようなハーメチックシールされた集積回路を含む。多様な末端の電極を有することは、CRTに対して最適な電極位置の選択を可能にする。代表的な実施形態において、電極リード107は、心臓リードにおいて標準の材料(例えば、リード本対に対してはシリコーンまたはポリウレタン、およびPt−Ir(90%は白金で、10%がイリジウム)電極110、111、および112に接続されるコイルの、または撚り線の(stranded)導体に対してはMP35Nを用いて構築される。あるいは、これらのデバイスコンポーネントは、(例えば、公開された、「Methods and systems for measuring cardiac parameters」と題された米国特許出願公開第2004/0254483号と、「Method and apparatus for enhancing
cardiac pacing」と題された米国特許出願公開第2004/0220637号と、「Method and system for remote hemodynamic monitoring」と題された米国特許出願公開第2004/0215049号と、「Method and system for monitoring and treating hemodynamic parameters」と題された米国特許出願公開第2004/0193021号とに記載されるようなマルチプレックスシステム(これらの開示は本明細書において参考によって援用される))マルチプレックスシステムによって、電極リード107の近位端に接続され得る。電極リード107の近位端は、ペースメーカー106に接続する。
【0076】
電極リード107は、標準の心臓リード配置デバイスを用いて心臓内に位置され、これは導入器、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはスタイレットを含む。簡単に、導入器は、鎖骨静脈に位置される。ガイドカテーテルは、導入器を介して位置され、冠状静脈洞(coronary sinus)が右心房に位置するように使用される。ガイドワイヤは、左心室の静脈が位置するように、次いで使用される。電極リード107は、ガイドワイヤ上を滑らされ、左心室の心臓静脈104に入り、CRTに対して最適な位置が見出されるまでテストされる。一旦インプラントされても、複数電極のリード107は、最適な電極の位置の連続的な再調整を可能にする。
【0077】
電極リード109は、終端116にアクティブな固定ヘリックス(helix)を伴って心臓の右心室内に配置され、終端116は、心臓中隔に埋め込まれる。この図において、電極リード109は、1つか複数の電極113、114、115を提供される。
【0078】
電極リード109は、心臓内に、心臓の右心室リードの典型的な配置手順と同様の手順で配置される。電極リード109は、標準の心臓リードデバイスを用いて心臓内に配置され、標準の心臓リードデバイスは、導入器、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはスタイレットを含む。電極リード109は、鎖骨静脈に挿入され、上大動脈を介して、右心房を介して右心室に入る。電極リード109は、X線透視法(fluoroscopy)下で、臨床医が電極リード109を固定するために臨床的に最適かつ運搬的に現実的であると決定した位置に配置される。X線透視法下で、アクティブな固定ヘリックス116は、前進され、心臓の組織にねじ込まれることにより、中隔上に電極リード109を固定する。電極リード108は、アクティブな固定ヘリックス118を用いて右心房に配置される。遠位のチップ電極118が使用され、右心房のペーシングおよびモーション感知の両方を提供する。
【0079】
上記の図7において、図7に描かれるシステムの電極の1つ以上が、図8に描かれるハーメチックシールされた集積回路と結合される。図8は、本発明の実施形態に従う、ハーメチックシールされた集積回路の周囲の電極の構成を示している。4つの電極1の1つは、円周のパターン内にハーメチックシールされたIC2の周囲に分布させられる。電極1は、固体表面のように示されるが、電極の柔軟性を改良する表面に形成されたより細かいスケールのパターンを有し得る。ICチップ2は、ハーメチックシールされ、リード(この図面には示されていない)内の導体にマルチプレックスされた接続を提供する。オプションとして、トップキャップ3は、集積回路と接続される。キャップ3は、集積回路接続に電極をサポートすることを助けるコンポーネントである。キャップ3は、追加の回路またはセンサを含み得る。このアセンブリは、柔軟なポリマ材料に組み込まれ、デバイスの本体を形成する。デバイスは円形であり得る。デバイスはまた、使用される本体内の特定の位置に最も適切ないくつかの他の形状であり得る。主題のハーメチックシールされた集積回路の用途が見出される追加の電極構造は、以下の特許文献を含むがこれらに限定はされない。該特許文献とは、2004年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/638,692号と、2005年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/655,609号と、2005年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/655,609号と、2005年12月15日に出願され「Fatigue Resistant IC Chip Connection」と題された米国仮特許出願第60/______号と、本明細書と同日に出願され「IMPLANTABLE ADDRESSABLE SEGMENTED ELECTRODES」と題されたPCT出願番号第PCT/US2005/______号とである。これらの特許文献の開示は、本明細書において参考として援用される。
【0080】
(検体検出デバイスおよびシステム)
本発明のハーメチックシールされた構造の実施形態の用途が見出される、さらに別のタイプの医療用デバイスおよびシステムは、血液検体検出デバイスのような検体検出デバイス、例えば、血液グルコース検出デバイスである。種々の異なる光ベース、例えば、赤外光または近赤外光ベースの検体検出デバイスが開発され、該デバイスは、流体サンプル、例えば、血液を照らすための光源、例えば、赤外光または近赤外光の光源と、戻り光、例えば、サンプルから反射、屈折などされた光を検出するための検出器とを含み、ここでサンプルからの光に応答して検出器によって生成された信号は、例えば、参照または制御と比較することによって処理され、質的または量的に、サンプル内に1つ以上の検体、例えば、血液サンプル内のグルコース)を検出する。赤外または近赤外の血液検体検出デバイスは、ハーメチックシールされた構造を含むように適合され得、例えば、赤外光の光源および/または検出器を含み、以下の特許文献に記載されるデバイスを含むがこれらに限定はされない。該特許文献とは、米国出願公開第2004/0206905号と、米国出願公開第2004/0077950号と、米国出願公開第2004/0024321号と、米国出願公開第2002/0193671号と、米国出願公開第2002/0067476号と、米国出願公開第2002/0027649号と、米国出願公開第2005/0267346号と、米国出願公開第2005/0192493号と、米国出願公開第2005/0171413号と、米国出願公開第2005/0131286号と、米国出願公開第2005/0124869号と、米国出願公開第2005/0043603号と、米国出願公開第2005/0027183号と、米国出願公開第2004/0242977号と、米国出願公開第2004/0220458号と、米国出願公開第2004/0193031号と、米国出願公開第2004/0162470号と、米国出願公開第2004/0133086号と、米国出願公開第2004/0106163号と、米国出願公開第2003/0220581号と、米国出願公開第2003/0191377号と、米国出願公開第2003/0105391号と、米国出願公開第2003/0100846号と、米国出願公開第2003/0076508号と、米国出願公開第2003/0050541号と、米国出願公開第2003/0032885号と、米国出願公開第2003/0023152号と、米国出願公開第2003/0013947号と、米国出願公開第2002/0193673号と、米国出願公開第2002/0173709号と、米国出願公開第2002/0103423号と、米国出願公開第2002/0091324号と、米国出願公開第2002/0084417号と、米国出願公開第2002/0082487号と、米国出願公開第2002/0072658号と、米国出願公開第2002/0055671号と、米国出願公開第2002/0041166号と、米国出願公開第2002/0038080号と、米国出願公開第2002/0035341号と、米国出願公開第2002/0026106号と、米国出願公開第2002/0019055号と、米国出願公開第2002/0016534号と、米国出願公開第2001/0018560号と、である。これらの開示は、本明細書において参考として援用される。上記の公開された出願の多くが、デバイスおよびシステムを記載し、該デバイスおよびシステムは、インプラント可能なデバイスまたはシステムではない。本ハーメチックシールされた構造は、これらのデバイスおよびシステムが、インプラント可能なフォーマットに容易に変更されることを可能にする。例えば、インプラント可能な光学ベースの血液グルコース検体検出デバイスは、本発明の特定の実施形態において提供され、該デバイスにおいて、例えば、赤外光の光源のような光源は、シリコンのホルダ内にハーメチックシールされ、ホルダは赤外線を透過する。ハーメチックシールされた光源は、適切な血管の第1の面上に配置され、シール光源からの光は、血管内の血液を照らし得る。血管の反対の側面に、ハーメチックシールされた検出器が配置されると、この検出器が血管内に存在する血液からの光を検出
し、その光に応答して電気信号を生成する。ハーメチックシールされた光源および検出器は、各々が、例えば、少なくとも1つの導体を介して制御ユニットに結合され、制御ユニットは、光源に対して動作信号を提供し、例えば、その後の処理の、例えば、質的または量的に検体、例えば、血管の血液内のグルコースを検出するために検出器から信号を受信する。
【0081】
(視覚回復デバイスおよびシステム)
主題のハーメチックシールされた構造の用途が見出されるさらに別のタイプの医療用デバイスおよびシステムは、視覚回復デバイスおよびシステム、例えば、視神経に刺激を与える目的で検出された光を電気信号に変えるインプラント可能な光検出器エレメントを含むデバイスおよびシステムである。例えば、集積回路および光センサ、例えば、光起電力セルは、本発明の実施形態に従って、ハーメチックシールされ得、これにより例えば、関心のある波長を十分に透過する構造において、デバイスおよびシステムの長期間にわたるインプラント可能性を提供する。主題のハーメチックシールされた構造が組み込まれ得る代表的なインプラント可能な視覚回復デバイスおよびシステムは、以下の特許文献に記載されるデバイスおよびシステムを含むがこれらに限定はされない。該特許文献とは、米国特許第4,628,933号と、米国特許第5,042,223号と、米国特許第5,397,350号と、米国特許第6,230,057号と、ならびに公開されたPCT出願公報、「Multi−Phasic Microphotodetector Retinal Implant With Variable Voltage And Current Capability And Apparatus For Insertion」と題された国際公開第01/74444号と、「Artificial Retina Device With Stimulating And Ground Return Electrodes Disposed On Opposite Sides Of The Neuroretina And Method Of Attachment」と題された国際公開第01/83026号と、「Methods For Improving Damaged Retinal Cell Function」と題された国際公開第03/002190号と、「Methods For Improving Damaged Retinal Cell Function Using Physical And/Or Mechanical Stimulation」と題された国際公開第03/002070号と、「Implantable Device Using Diamond−Like Carbon Coating」と題された国際公開第2004/071338号と、「Implant Instrument」と題された国際公開第2004/112893号と、「Treatment Of
Degenerative Retinal Disease Via Electrical Stimulation Of Surface Structures」と題された国際公開第2005/004985号と、「Device For Treatment Of Degenerative Retinal Disease Via
Electrical Stimulation Of Surface Structures Of The Eyeball」と題された国際公開第2005/004985号と、「Mechanically Activated Objects For
Treatment Of Degenarative Retinal Disease」と題された国際公開第2005/110326号と、である。
【0082】
(キット)
主題のハーメチックシールされた構造を含むキットもまた、上でレビューされたデバイスおよびシステムのようなインプラント可能なデバイスまたはシステムの1つ以上のコンポーネントの一部として、提供される。特定の実施形態において、キットは、少なくとも1つの制御ユニットを、例えば、ペースメーカー容器の形態で、さらに含む。これらの実施形態の特定のものにおいて、構造と制御ユニットとは、細長い導電性部材によって電気的に結合され得る。特定の実施形態においては、ハーメチックシールされた構造は、心臓血管リードのようなリード内に存在し得る。
【0083】
主題のキットの特定の実施形態において、キットは、同一のものを取得するための主題のデバイスまたはエレメントを使用するための命令をさらに含み(例えば、ユーザをウェブページに向けるウェブサイトのURLは、命令を提供する)、ここでこれらの命令は典型的に、基板上に印刷され、この基板は、パッケージインサート、パッケージング、試液コンテナおよびこれらと同様のものの内の1つ以上であり得る。主題のキットにおいて、1つ以上のコンポーネントは、便利な場合または所望される場合には、同一のまたは異なるコンテナ内に存在する。
【0084】
前述した発明は、理解を明確にする目的で図解および実例によって、いくつかの詳細において記載されているが、添付される特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して、特定の変化および変更がなされ得ることは、本発明の教示を考慮すると、当業者にとって容易に明らかになる。
【0085】
従って、前述したものは、本発明の原理を単に示したに過ぎない。当業者が本発明の原理を具体化する様々なアレンジを考案することは可能であって、該アレンジは、本明細書には明確には記載され、示されていないが、本発明の精神および範囲に含まれることが認識される。さらに、本明細書に列挙される全ての例および条件の用語は、主に読み手が本発明の原理および発明者によって技術を促進するために与えられた概念を理解することを助けるように意図されており、このような特別に列挙される例および条件に限定されることはないと解釈されるべきである。さらに、本明細書において、本発明の原理、局面および実施形態を列挙する全ての陳述、ならびにそれらの特定の例は、構造的におよび機能的の双方においてそれらと同等のものを含むことが意図される。さらに、このような同等のものは、現在公知の同等のものおよび将来的に開発される同等のもの、すなわち、構造にかかわらず同一の機能を行う任意の、開発されるエレメントの双方を含む。本発明の範囲は、それゆえに、本明細書において示され、記載された例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付する特許請求の範囲によって具体化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−50849(P2012−50849A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−237739(P2011−237739)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2007−548534(P2007−548534)の分割
【原出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】