説明

インホイール駆動装置

【課題】ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離を最小化し、シャーシの耐久性を向上できるインホイール駆動装置を提供する。
【解決手段】一側が開放されるモータハウジングと、前記モータハウジングの内部に装着されるモータ部と、前記モータハウジングを閉鎖するように前記モータハウジングに結合され、トレーリングアームと結合されるリアカバーとを含み、前記モータ部は、前記モータハウジングの内側周面側に配置されるステータと、ロータとを含み、前記ロータは、ロータ軸と、マグネットが外側周面に装着されるマグネット装着部と、前記ロータ軸と前記マグネット装着部とを連結する連結板とを含み、前記リアカバーは、外郭面をなす平板部と、前記平板部と一体に形成され、前記平板部よりも前記ロータに向かって凹状に形成されることによって、前記トレーリングアームが結合される溝をなすカバー溝部とを含んでインホイール駆動装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インホイール駆動装置に関するもので、より詳細には、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離を最小化し、シャーシの耐久性を向上できるインホイール駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料が枯渇するにつれて、ガソリン、軽油などの化石燃料を使用する車両の代わりに、バッテリに格納された電気エネルギーを利用してモータを駆動する電気自動車が開発されている。
【0003】
電気自動車は、充電バッテリに格納された電気エネルギーのみを利用してモータを駆動する純粋な電気車両、光電池を利用してモータを駆動する太陽電池車両、水素燃料を使用する燃料電池を利用してモータを駆動する燃料電池車両、化石燃料を利用してエンジンを駆動し、電気を利用してモータを駆動することによってエンジンとモータを併用するハイブリッド車両などに区分される。
【0004】
一般に、インホイールモータは、電気自動車のように電気を動力源として使用する自動車に使用される技術であって、ガソリン又はディーゼル自動車でのエンジン―ミッション―駆動軸を通した動力伝達によって車輪が回転・駆動する方式とは異なって、ホイールリムの内部に配置されるモータによって動力をホイールに直接伝達する技術である。
【0005】
したがって、インホイールモータを適用する場合、エンジン、変速器や差動ギアなどの駆動及び動力伝達装置を省略できるので、車両の重さを減少させることができ、動力伝達過程でのエネルギー損失を低減させることができる。
【0006】
前記のような技術構成は、本発明の理解を促進するための背景技術であって、本発明の属する技術分野で広く知られた従来技術を意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、リアカバー及びモータ部の形状などに起因し、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離を減少できないので、シャーシの耐久性低下を防止できないという問題があった。
【0008】
また、従来は、減速機モジュールがモータハウジングの内部に設置されるので、減速機モジュールの取り替え及び修理が必要な場合、優先的にモータハウジングを分解しなければならなかった。さらに、モータハウジングの分解時には高価な専用ジグが必要であるという点で、減速機モジュールの取り替え及び修理時に不要な時間及び費用がかかるという問題があった。
【0009】
したがって、これを改善する必要性が要請される。
【0010】
本発明の目的は、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離を最小化し、シャーシの耐久性を向上できるインホイール駆動装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、減速機モジュールをモータハウジングの外側面に装着し、製品の小型化及び軽量化を達成できるインホイール駆動装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、減速機モジュールをモータハウジングの外側面に着脱可能に結合し、減速機モジュールなどの取り替えや修理を容易に行えるインホイール駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面に係るインホイール駆動装置は、一側が開放されるモータハウジングと、前記モータハウジングの内部に装着されるモータ部と、前記モータハウジングの開放された一側を閉鎖するように前記モータハウジングに結合され、前記モータハウジングと結合される反対側でトレーリングアームと結合されるリアカバーとを含み、前記モータ部は、前記モータハウジングの内側周面側に配置されるステータと、前記ステータの内側に回転可能に配置されるロータとを含み、前記ロータは、前記モータハウジングの中央部に位置するロータ軸と、前記ステータに対向するマグネットが外側周面に装着されるマグネット装着部と、前記ロータ軸と前記マグネット装着部とを連結する連結板とを含み、前記リアカバーは、外郭面をなす平板部と、前記平板部の内側周面と連結されることによって前記平板部と一体に形成され、前記平板部よりも前記ロータに向かって凹状に形成されることによって、前記トレーリングアームが結合される溝をなすカバー溝部とを含む。
【0014】
望ましくは、前記連結板の厚さは、前記マグネット装着部の厚さより狭く形成され、前記カバー溝部は、前記連結板に向かって凹状に形成されて溝をなす。
【0015】
より望ましくは、前記カバー溝部は、前記連結板の形状に沿って屈曲形成される。
【0016】
より望ましくは、前記ロータは、前記ロータ軸から前記マグネット装着部までの断面がI字状に形成される。
【0017】
より望ましくは、前記モータ部と連結され、前記トレーリングアームの反対側で前記モータハウジングの外側面に結合される減速機モジュールをさらに含み、前記モータハウジングの外側面は、外郭面をなすハウジング平板部と、前記ハウジング平板部の内側と連結されることによって前記ハウジング平板部と一体に形成され、前記ハウジング平板部よりも前記連結板に向かって凹状に形成されることによって、前記減速機モジュールが結合される溝をなす装着溝部とを含む。
【0018】
より望ましくは、前記減速機モジュールは、中央部に位置し、前記ロータ軸とスプライン結合される太陽ギアと、前記太陽ギアの外側周面とかみ合うように前記太陽ギアの周囲に配置される遊星ギアと、内側周面が前記遊星ギアとかみ合い、外側周面が円状に形成されるリングギアと、前記遊星ギアの中心軸が設置されるキャリア板、及びハブ内輪とスプライン結合されるキャリア軸を備えるキャリアと、前記キャリア板の一側に配置され、前記リングギアに締結されるカバーとを含み、前記装着溝部は円状に形成され、前記装着溝部の内径は前記リングギアの外径と同一である。
【0019】
本発明の第2の側面に係るインホイール駆動装置は、一側が開放されるモータハウジングと、前記モータハウジングの内部に装着されるモータ部と、前記モータハウジングの開放された一側を閉鎖するように前記モータハウジングに結合され、前記モータハウジングと結合される反対側でトレーリングアームと結合されるリアカバーと、前記モータ部と連結され、前記トレーリングアームの反対側で前記モータハウジングの外側面に結合される減速機モジュールとを含み、前記モータ部は、前記モータハウジングの内側周面側に配置されるステータと、前記ステータの内側に回転可能に配置されるロータとを含み、前記モータハウジングの外側面は、外郭面をなすハウジング平板部と、前記ハウジング平板部の内側と連結されることによって前記ハウジング平板部と一体に形成され、前記ハウジング平板部よりも前記ロータに向かって凹状に形成されることによって、前記減速機モジュールが結合される溝をなす装着溝部とを含む。
【0020】
望ましくは、前記ロータは、前記モータハウジングの中央部に位置するロータ軸と、前記ステータに対向するマグネットが外側周面に装着されるマグネット装着部と、前記ロータ軸と前記マグネット装着部とを連結する連結板とを含み、前記連結板の厚さは前記マグネット装着部の厚さより狭く形成され、前記装着溝部は、前記連結板に向かって凹状に形成されて溝をなす。
【0021】
より望ましくは、前記減速機モジュールは、中央部に位置し、前記ロータ軸とスプライン結合される太陽ギアと、前記太陽ギアの外側周面とかみ合うように前記太陽ギアの周囲に配置される遊星ギアと、内側周面が前記遊星ギアとかみ合い、外側周面が円状に形成されるリングギアと、前記遊星ギアの中心軸が設置されるキャリア板、及びハブ内輪とスプライン結合されるキャリア軸を備えるキャリアと、前記キャリア板の一側に配置され、前記リングギアに締結されるカバーとを含み、前記装着溝部は円状に形成され、前記装着溝部の内径は前記リングギアの外径と同一である。
【0022】
より望ましくは、前記カバーの外側周面には、外側に突出形成される羽部が備えられ、前記モータハウジングの外側面には、前記装着溝部の枠に前記羽部が載置されるように段差部が備えられる。
【0023】
より望ましくは、前記羽部の幅と前記段差部の幅は同一である。
【0024】
より望ましくは、前記段差部には、前記カバーに向かって突出形成される位置ガイド突起が備えられ、前記羽部には、前記位置ガイド突起が貫通される位置ガイドホール部が形成される。
【0025】
より望ましくは、前記位置ガイド突起は、ハブ外輪に形成される外輪ホール部を貫通し、前記ハブ外輪の位置を固定する。
【0026】
より望ましくは、前記ハブ外輪の内側部には、前記カバーに向かって突出形成される外輪突起が備えられ、前記ハブ外輪に対向する前記カバーの一側面には、前記外輪突起が嵌め合わされる溝部が形成される。
【0027】
より望ましくは、前記羽部は、締結部材によって前記段差部に着脱可能に結合される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離を最小化できるので、シャーシの耐久性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明によると、減速機モジュールをモータハウジングの外側面に装着するので、製品の小型化及び軽量化を達成することができる。
【0030】
また、本発明によると、減速機モジュールをモータハウジングの外側面に着脱可能に結合できるので、減速機モジュールなどの取り替えや修理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置を左側から見た斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置を右側から見た斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置におけるトレーリングアームとリアカバーとの結合関係を示した斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置におけるモータハウジングと減速機モジュールとの結合関係を示した斜視図である。
【図6】本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置の一部分を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の各図面を参照して本発明に係るインホイール駆動装置の実施例を説明する。
【0033】
このような過程で図面に示した各線の太さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して図示されることがある。また、本明細書において、「上下左右」などの用語は、説明のための目的で使用されたもので、制限的な意味に解釈してはならない。
【0034】
また、後述する各用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者及び運用者の意図又は慣例によって変わり得る。
【0035】
そのため、これら各用語は、本明細書全般にわたった内容に基づいて定義されなければならない。
【0036】
図1〜図4を参照すると、本発明の一実施例に係るインホイール駆動装置1は、モータハウジング10、モータ部20、リアカバー30、減速機モジュール40、レゾルバ50、ドラムブレーキ60及びハブ70を含んで構成される。
【0037】
モータハウジング10の内部にはモータ部20が装着される。本実施例において、モータハウジング10は断面が略コ字状に形成され、開放された左側部(図2基準)にリアカバー30が結合される。
【0038】
図2及び図5を参照すると、モータハウジング10の右側(図5基準)の外側面は、外郭面をなすハウジング平板部10aと、ハウジング平板部10aの内側周面と連結されることによって、ハウジング平板部10aと一体に形成される装着溝部11とを備える。装着溝部11は、モータハウジング10の右側外側面の中央部に形成され、ハウジング平板部10aよりも左側に凹状に形成されて溝をなす。
【0039】
装着溝部11は、減速機モジュール40の外形に対応するように形成される。本実施例において、装着溝部11に載置される減速機モジュール40の部分、すなわち、リングギア43が円状に形成されるので、装着溝部11も円状に形成される。
【0040】
装着溝部11の内径は、減速機モジュール40の外径と同一に形成される。本実施例によると、装着溝部11の内径はリングギア43の外径と同一に形成される。
【0041】
したがって、減速機モジュール40のリングギア43が装着溝部11内に載置されると、リングギア43の装着溝部11内での動きが遮断されるので、リングギア43とロータ軸22aとを同軸化できるようになる。
【0042】
減速機モジュール40は、装着溝部11に載置された後、締結部材S2によってモータハウジング10に結合される。
【0043】
本発明によると、装着溝部11への載置と、締結部材S2の締結のみで、減速機モジュール40をモータハウジング10に堅固に結合することができる。また、締結部材S2を解除し、装着溝部11から減速機モジュール40を分離するだけで、減速機モジュール40とモータハウジング10との結合を解除することができる。
【0044】
このように、減速機モジュール40が、モータハウジング10の外側面に形成される装着溝部11に装着されるので、減速機モジュール40をモータハウジング10に容易に装着することができ、減速機モジュール40をモータハウジング10から容易に分離することができる。その結果、減速機モジュール40の取り替え及び修理にかかる時間及び費用を減少させることができる。
【0045】
また、モータハウジング10の内部に設置されるモータ部20に異常が発生した場合も、減速機モジュール40がモータハウジング10の内部でなく外側面に結合されているので、減速機モジュール40を動かすことなくモータ部20のみを迅速に修理することができる。
【0046】
減速機モジュール40が装着溝部11に装着される場合、減速機モジュール40は、装着溝部11の深さだけ挿入された状態で装着される。したがって、減速機モジュール40の右側部(図2基準)は、ハウジング平板部10aの外側に大きく突出しない。すなわち、モータハウジング10の外側面を活用して装着溝部11を形成し、装着溝部11に減速機モジュール40が挿入・載置されることによってインホイール駆動装置1の小型化及び軽量化を達成できるようになる。
【0047】
図2、図3、図5及び図6を参照すると、減速機モジュール40は、太陽ギア41、遊星ギア42、リングギア43、キャリア44及びカバー45を含んで構成される。
【0048】
太陽ギア41は、ロータ軸22aとスプライン結合される。ロータ軸22aは、ベアリング16によって回転可能に支持される。太陽ギア41の外側周面は遊星ギア42とかみ合う。
【0049】
遊星ギア42は、複数個が均一な角度で太陽ギア41の周囲に配置される。遊星ギア42は、内側では太陽ギア41とかみ合い、外側ではリングギア43とかみ合う。
【0050】
リングギア43は、内側周面で遊星ギア42とかみ合う。キャリア44は、キャリア板44a及びキャリア軸44bを含む。キャリア板44aには遊星ギア42の中心軸42aが設置される。キャリア軸44bは、ハブ70の内輪72とスプライン結合される。
【0051】
カバー45は、リングギア43の右側(図5基準)に配置され、リングギア43と結合される。カバー45の外側周面には、外側に突出形成される羽部46が備えられる。本実施例において、羽部46は2個形成されるが、これに限定されるものではないので、1個又は3個以上形成されてもよい。
【0052】
羽部46の中央には位置ガイドホール部46aが形成され、位置ガイドホール部46aの両側には貫通ホール部46bが形成される。
【0053】
モータハウジング10には、装着溝部11の枠に段差部12が形成される。段差部12は、ハウジング平板部10aから段差を有して形成された部分である。段差部12には、羽部46が挿入されて載置される。段差部12に載置された羽部46が動くことを防止するために、羽部46の幅と段差部12の幅は互いに同一である。また、段差部12の数は羽部46の数と同一である。
【0054】
図5を参照すると、段差部12の中央には、位置ガイド突起13が突出形成され、位置ガイド突起13の両側には締結溝部14が形成される。
【0055】
羽部46が段差部12に載置される過程で、位置ガイド突起13と位置ガイドホール部46aは羽部46を段差部12側に誘導する役割をする。すなわち、位置ガイドホール部46aを位置ガイド突起13に位置させた状態で減速機モジュール40をモータハウジング10側に移動させると、位置ガイド突起13が位置ガイドホール部46aをガイドしながら、羽部46は食い違うことなく段差部12に載置される。
【0056】
位置ガイド突起13と位置ガイドホール部46aは、締結部材S2の締結前に減速機モジュール40をモータハウジング10に仮装着する役割をする。したがって、締結部材S2を通した締結作業がより正確に行われるようになる。
【0057】
位置ガイド突起13と位置ガイドホール部46aは、減速機モジュール40が装着溝部11内で動くことを防止する。カバー45とリングギア43が締結部材S3によって結合されるので、カバー45の位置が位置ガイド突起13によって固定されると、リングギア43の位置も固定される。これによって、リングギア43の装着溝部11内での動きが遮断されるので、リングギア43とロータ軸22aとの同軸化を達成することができる。
【0058】
締結部材S2は、羽部46の貫通ホール部46bを貫通し、段差部12に形成される締結溝部14に締結される。これによって、減速機モジュール40は、モータハウジング10の外側面に締結部材S2によって着脱可能に結合される。
【0059】
減速機モジュール40で出力が行われるキャリア44が回転すると、作用―反作用の原理によって位置が固定されるべきリングギア43に回転力が加えられる。本実施例によると、減速機モジュール40をモータハウジング10に結合する締結部材S2のみならず、羽部46及び段差部12、位置ガイド突起13及び位置ガイドホール部46aによってもリングギア43の回転を遮断できるので、減速機モジュール40の出力性能を向上させることができる。
【0060】
減速機モジュール40の右側にはハブ70が設置される。すなわち、インホイール駆動装置1は、モータハウジング10、減速機モジュール40、ハブ70の順に配置される。
【0061】
図6を参照すると、位置ガイド突起13は、位置ガイドホール部46aを貫通してさらに延長される。これによって、位置ガイド突起13は、ハブ外輪71に形成される外輪ホール部71aを貫通しながらハブ外輪71の位置を固定する。
【0062】
ハブ外輪71の内側部には外輪突起71bが形成される。外輪突起71bは、減速機モジュール40に向かって突出形成される。図5を参照すると、カバー45には一側に溝部47が形成される。外輪突起71bは、溝部47の内側面に嵌め合わされる。これによって、ハブ外輪71の位置は、減速機モジュール40に対してより堅固に固定される。
【0063】
このように、位置ガイド突起13によってハブ外輪71の位置が固定され、溝部47に外輪突起71bが嵌め合わされることによって、ハブ70の軸をロータ軸22aと減速機モジュール40に同軸化させることができる。
【0064】
以上説明したように、リングギア43とロータ軸22aとを同軸化させ、ハブ70の軸をロータ軸22aと減速機モジュール40に同軸化させることができるので、モータ部20から出た回転を減速機モジュール40を通してハブ70に伝達する過程で各回転軸の同心度を維持することができる。これによって、騷音及び振動の発生を抑制することができ、動力伝達の効率を向上させることができる。また、減速機モジュール40内の太陽ギア41、遊星ギア42、リングギア43などのギア部の摩耗及び破損などを防止することができる。
【0065】
図2〜図4を参照すると、モータ部20は、モータハウジング10の内部に装着され、動力を生成する。モータ部20は、モータハウジング10に結合されるステータ21と、ステータ21の内側に回転可能に配置されるロータ22とを含む。
【0066】
ステータ21には複数のコイル(図示せず)が設置され、ロータ22には、コイルに対向するように外側面にマグネット22dが装着される。コイルとマグネット22dは少しの間隙を有して配置される。コイルには、電力線(図示せず)によって、車体側に設置されたインバータが接続され、電力が供給される。
【0067】
ロータ22は、中央のロータ軸22aと、外郭のマグネット装着部22cと、ロータ軸22aとマグネット装着部22cとを連結する連結板22bとを備える。
【0068】
リアカバー30は、外郭面をなす平板部31と、平板部31の内側周面と連結されることによって、平板部31と一体に形成されるカバー溝部32とを備える。カバー溝部32は、平板部31よりもモータ部20に近接するようにモータ部20に向かって凹状に形成される溝をなす。
【0069】
図2を参照すると、リアカバー30は、一側でモータハウジング10と結合され、他側でトレーリングアーム100と結合される。本実施例のリアカバー30は、平板部31でモータハウジング10と結合され、カバー溝部32で締結部材S1によってトレーリングアーム100のスピンドルブラケット101と結合される。
【0070】
連結板22bの厚さbは、マグネット装着部22cの厚さaより狭く形成される。したがって、ロータ軸22aから一側のマグネット装着部22cまでの断面は、略I字状に形成される。すなわち、上側(図2基準)のマグネット装着部22cから下側のマグネット装着部22cに至るまでのロータ22全体の断面は略王字状に形成される。
【0071】
連結板22bの厚さbがマグネット装着部22cの厚さaより狭く形成されることによって、連結板22bの左側と右側にはマグネット装着部22cと連結板22bとの厚さ差だけの空間が確保される。この空間を活用してインホイール駆動装置1全体の大きさを減少させるために、リアカバー30の形状及びモータハウジング10の右側外側面の形状を変更する。
【0072】
モータハウジング10の外側面に形成される装着溝部11は、連結板22bの右側に確保される空間を活用するように、左側に凹状に溝を形成する。これによって、減速機モジュール40を従来に比べてトレーリングアーム100側に移動させて配置することができ、トレーリングアーム100と減速機モジュール40との間の間隔を減少させることができる。
【0073】
リアカバー30は、連結板22bの左側に確保される空間を活用するように、カバー溝部32が平板部31よりも右側に凹状に形成される。これによって、リアカバー30の左側に配置されるトレーリングアーム100を従来に比べて減速機モジュール40側に移動させて配置することができ、トレーリングアーム100と減速機モジュール40との間の間隔を減少させることができる。
【0074】
インホイール駆動装置1において、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離、本実施例によると、ホイールセンターからリアカバー30とトレーリングアーム100との結合部までの距離Dが短いほど、走行時に伝達される圧力荷重に対して有利な作用が具現され、シャーシの耐久性が向上する。
【0075】
モータ部20から回転力を受けてホイール(図示せず)を駆動する減速機モジュール40は、ロータ軸22aに連結されるので、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離Dは、リアカバー30の形状、モータ部20及びモータハウジング10の形状、及び減速機モジュール40の配置形態によって決定される。
【0076】
本実施例では、連結板22bの厚さbがマグネット装着部22cの厚さaより狭く形成されるので、これを活用してリアカバー30とモータハウジング10の形状を変更することによって、従来に比べてホイールセンターからシャーシ結合部までの距離Dを大幅に縮小させることができる。
【0077】
また、本実施例において、減速機モジュール40が装着溝部11に挿入されるので、従来の外装型減速機モジュールに比べると、装着溝部11の深さだけホイールセンターからシャーシ結合部までの距離Dを減少させることができる。
【0078】
このように、連結板22bの厚さbをマグネット装着部22cの厚さaより狭く形成すると同時に、リアカバー30にカバー溝部32を形成し、モータハウジング10に装着溝部11を形成することによって、ホイールセンターからシャーシ結合部までの距離Dを従来に比べて大幅に減少できるようになる。これを通して、本発明に係るインホイール駆動装置は、走行時に伝達される圧力荷重に対する有利な作用を具現できるとともに、シャーシの耐久性を向上させることができる。
【0079】
図面に示した符号のうち、未説明符号50はレゾルバ、51はレゾルバカバー、60はドラムブレーキ、Tはタイヤである。
【0080】
本発明は、図面に示した一実施例を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎなく、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解するであろう。
【0081】
したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって定めなければならない。
【符号の説明】
【0082】
1:インホイール駆動装置、10:モータハウジング、11:装着溝部、12:段差部、20:モータ部、21:ステータ、22:ロータ、30:リアカバー、31:平板部、32:カバー溝部、40:減速機モジュール、41:太陽ギア、42:遊星ギア、43:リングギア、44:キャリア、45:カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側が開放されるモータハウジングと、
前記モータハウジングの内部に装着されるモータ部と、
前記モータハウジングの開放された一側を閉鎖するように前記モータハウジングに結合され、前記モータハウジングと結合される反対側でトレーリングアームと結合されるリアカバーと、を含み、
前記モータ部は、前記モータハウジングの内側周面側に配置されるステータと、
前記ステータの内側に回転可能に配置されるロータと、を含み、
前記ロータは、前記モータハウジングの中央部に位置するロータ軸と、
前記ステータに対向するマグネットが外側周面に装着されるマグネット装着部と、
前記ロータ軸と前記マグネット装着部とを連結する連結板と、を含み、
前記リアカバーは、外郭面をなす平板部と、
前記平板部の内側周面と連結されることによって前記平板部と一体に形成され、前記平板部よりも前記ロータに向かって凹状に形成されることによって、前記トレーリングアームが結合される溝をなすカバー溝部と、を含むことを特徴とするインホイール駆動装置。
【請求項2】
前記連結板の厚さは前記マグネット装着部の厚さより狭く形成され、
前記カバー溝部は、前記連結板に向かって凹状に形成されて溝をなすことを特徴とする、請求項1に記載のインホイール駆動装置。
【請求項3】
前記カバー溝部は、前記連結板の形状に沿って屈曲形成されることを特徴とする、請求項2に記載のインホイール駆動装置。
【請求項4】
前記ロータは、前記ロータ軸から前記マグネット装着部までの断面がI字状に形成されることを特徴とする、請求項2に記載のインホイール駆動装置。
【請求項5】
前記モータ部と連結され、前記トレーリングアームの反対側で前記モータハウジングの外側面に結合される減速機モジュールをさらに含み、
前記モータハウジングの外側面は、外郭面をなすハウジング平板部と、
前記ハウジング平板部の内側と連結されることによって前記ハウジング平板部と一体に形成され、前記ハウジング平板部よりも前記連結板に向かって凹状に形成されることによって、前記減速機モジュールが結合される溝をなす装着溝部と、を含むことを特徴とする、請求項2に記載のインホイール駆動装置。
【請求項6】
前記減速機モジュールは、中央部に位置し、前記ロータ軸とスプライン結合される太陽ギアと、
前記太陽ギアの外側周面とかみ合うように前記太陽ギアの周囲に配置される遊星ギアと、
内側周面が前記遊星ギアとかみ合って、外側周面が円状に形成されるリングギアと、
前記遊星ギアの中心軸が設置されるキャリア板、及びハブ内輪とスプライン結合されるキャリア軸を備するキャリアと、
前記キャリア板の一側に配置され、前記リングギアに締結されるカバーと、を含み、
前記装着溝部は円状に形成され、
前記装着溝部の内径は前記リングギアの外径と同一であることを特徴とする、請求項5に記載のインホイール駆動装置。
【請求項7】
一側が開放されるモータハウジングと、
前記モータハウジングの内部に装着されるモータ部と、
前記モータハウジングの開放された一側を閉鎖するように前記モータハウジングに結合され、前記モータハウジングと結合される反対側でトレーリングアームと結合されるリアカバーと、
前記モータ部と連結され、前記トレーリングアームの反対側で前記モータハウジングの外側面に結合される減速機モジュールと、を含み、
前記モータ部は、前記モータハウジングの内側周面側に配置されるステータと、
前記ステータの内側に回転可能に配置されるロータと、を含み、
前記モータハウジングの外側面は、外郭面をなすハウジング平板部と、
前記ハウジング平板部の内側と連結されることによって前記ハウジング平板部と一体に形成され、前記ハウジング平板部よりも前記ロータに向かって凹状に形成されることによって、前記減速機モジュールが結合される溝をなす装着溝部と、を含むことを特徴とするインホイール駆動装置。
【請求項8】
前記ロータは、前記モータハウジングの中央部に位置するロータ軸と、
前記ステータに対向するマグネットが外側周面に装着されるマグネット装着部と、
前記ロータ軸と前記マグネット装着部とを連結する連結板と、を含み、
前記連結板の厚さは前記マグネット装着部の厚さより狭く形成され、
前記装着溝部は、前記連結板に向かって凹状に形成されて溝をなすことを特徴とする、請求項7に記載のインホイール駆動装置。
【請求項9】
前記減速機モジュールは、中央部に位置し、前記ロータ軸とスプライン結合される太陽ギアと、
前記太陽ギアの外側周面とかみ合うように前記太陽ギアの周囲に配置される遊星ギアと、
内側周面が前記遊星ギアとかみ合い、外側周面が円状に形成されるリングギアと、
前記遊星ギアの中心軸が設置されるキャリア板、及びハブ内輪とスプライン結合されるキャリア軸を備えるキャリアと、
前記キャリア板の一側に配置され、前記リングギアに締結されるカバーと、を含み、
前記装着溝部は円状に形成され、
前記装着溝部の内径は前記リングギアの外径と同一であることを特徴とする、請求項8に記載のインホイール駆動装置。
【請求項10】
前記カバーの外側周面には、外側に突出形成される羽部が備えられ、
前記モータハウジングの外側面には、前記装着溝部の枠に前記羽部が載置されるように形成される段差部が備えられることを特徴とする、請求項9に記載のインホイール駆動装置。
【請求項11】
前記羽部の幅と前記段差部の幅は同一であることを特徴とする、請求項10に記載のインホイール駆動装置。
【請求項12】
前記段差部には、前記カバーに向かって突出形成される位置ガイド突起が備えられ、
前記羽部には、前記位置ガイド突起が貫通される位置ガイドホール部が形成されることを特徴とする、請求項10に記載のインホイール駆動装置。
【請求項13】
前記位置ガイド突起は、ハブ外輪に形成される外輪ホール部を貫通し、前記ハブ外輪の位置を固定することを特徴とする、請求項12に記載のインホイール駆動装置。
【請求項14】
前記ハブ外輪の内側部には前記カバーに向かって突出形成される外輪突起が備えられ、
前記ハブ外輪に対向する前記カバーの一側面には、前記外輪突起が嵌め合わされる溝部が形成されることを特徴とする、請求項13に記載のインホイール駆動装置。
【請求項15】
前記羽部は、締結部材によって前記段差部に着脱可能に結合されることを特徴とする、請求項10に記載のインホイール駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240664(P2012−240664A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185159(P2011−185159)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(507098483)ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】