説明

ウィンドウ表示システム、情報処理システム、クライアント装置、電話機、情報機器、家電機器及び機器

【課題】単一のウィンドウに複数のウィンドウ構造を切り替えて表示させることが可能なウィンドウ表示システムを提供する。
【解決手段】イベント処理プログラムは第1ウィンドウ構造15に関連づけられており、この第1ウィンドウ構造を基本ウィンドウ14に付与する。イベント処理プログラム11Aの実行により第2ウィンドウ構造16を基本ウィンドウ14に付与する。基本ウィンドウを変更若しくは更新し又は基本ウィンドウに第2ウィンドウ構造16を付与することにより、描画ウィンドウ13を描画させる。一つの描画ウィンドウ13で第1、第2ウィンドウ構造15,16を切り替えて表示する。描画ウィンドウの描画は、ウィンドウについて、サイズ変更、移動、色変更、前後位置の変更、可視化、描画領域の無効化のいずれか、又は、ウィンドウを描画させるコマンドの実行に起因する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面にウィンドウを表示するウィンドウ表示システムに関し、特に、マルチウィンドウを管理するウィンドウ管理部による管理下でウィンドウを表示するウィンドウ表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来の方式によるウィンドウ表示システムのフローチャートである。従来のシステムでは、まずウィンドウを作成又は獲得し(S101)、イベント処理プログラムを関連づけたウィンドウの構造を、作成したウィンドウに付与する(S102)。その後、ウィンドウを画面に描画し(S103)、最後に、ウィンドウはイベント発生を待機する(S104)。そして、キー入力やマウス操作等のイベントが発生すると(S105a)、そのイベントがウィンドウ管理部によって検出され(S105b)、イベント処理プログラムが実行される(S106)。当該イベント処理プログラムが終了すると、当該ウィンドウについてはイベント待ちへ戻るに過ぎない。
【0003】
なお、「ウィンドウの構造(ウィンドウ構造)」とは、ウィンドウに表示させる表示要素(データ)の集まりであり、「ウィンドウ構造をウィンドウに付与する」とは、ウィンドウ構造を、描画するウィンドウに対応づけることであり、「ウィンドウを描画する」とは、そのウィンドウと共に、そのウィンドウに対応づけられたウィンドウ構造を画面に表示することである。
【0004】
このようなウィンドウ表示システムの処理方式に従う限り、異なるウィンドウ構造を表示するためには、新しく別のウィンドウを表示しなければならない。したがって、図19の如く通常のマルチウィンドウ表示システム110では、メインウィンドウ111の他に複数のサブウィンドウ112を開け、これらを重ね合わせ表示したり、表示ウィンドウを切り替えている。
【0005】
しかし、ウィンドウはメモリなどのシステム資源を大量に消費するため、多くのウィンドウを持つシステムはさらに多くのシステム資源を消費し、非効率的である。
【0006】
一方、JAVA(登録商標)のAPPLETの如き単一ウィンドウ表示システムでは、ブラウザの中にウィンドウを表示している。しかし、APPLETでは単一のウィンドウを表示するのみで、複数種類のウィンドウを切り替えて表示することができない。
【0007】
また、例えば特許文献1に記載の如く、複数のウィンドウの表示内容を切り替える方法が知られている。
【0008】
しかし、同従来文献では、複数のウィンドウの位置が入れ替わって画面が描画されているだけであって、単一のウィンドウではウィンドウ構造を切り替えることができない。
【特許文献1】特開2003−186593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
係る従来の実情に鑑みて、本発明の目的は、単一のウィンドウに複数のウィンドウ構造を切り替えて表示させることが可能なウィンドウ表示システム及びそれを利用した情報処理システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のウィンドウ表示システムの第1の特徴は、イベント処理プログラムは第1ウィンドウ構造に関連づけられており、この第1ウィンドウ構造を基本ウィンドウに付与し、前記イベント処理プログラムの実行により第2ウィンドウ構造を前記基本ウィンドウに付与し、前記基本ウィンドウを変更若しくは更新し又は前記基本ウィンドウに前記第2ウィンドウ構造を付与することにより、描画ウィンドウを描画させ、一つの描画ウィンドウで第1、第2ウィンドウ構造を切り替えて表示することにある。
【0011】
同特徴によれば、イベント処理プログラムは第1ウィンドウ構造に関連づけられており、この第1ウィンドウ構造が基本ウィンドウに付与されている。ここで、例えば第1ウィンドウ構造のボタン等をクリックすることに起因する前記イベント処理プログラムの実行により第2ウィンドウ構造を前記基本ウィンドウに付与する。前記基本ウィンドウを変更若しくは更新し又は前記基本ウィンドウに前記第2ウィンドウ構造を付与することにより、前記描画ウィンドウを描画させる。故に、一つの前記描画ウィンドウで第1、第2ウィンドウ構造を切り替えて表示することが可能となる。
【0012】
上記特徴において、描画ウィンドウの描画は、例えば、ウィンドウサイズの変更、ウィンドウの移動、ウィンドウ前後位置の変更、ウィンドウの可視化、ウィンドウ描画領域の無効化、又は、ウィンドウの色変更のいずれかに起因することとなる。
【0013】
ここで、上記目的が達成された場合であっても、開発期間の短縮化のために、上記ウィンドウ表示システムは、複数の開発要員による並行開発が可能であることが望まれる。たとえば、上記ウィンドウ表示システム等のプログラム開発では、製作が複数のクラス又はモジュール(以下、「クラス等」という。)に分けて行われることが望ましい。
【0014】
そこで、本発明のウィンドウ表示システムの第2の特徴は、上記特徴において、ウィンドウ構造を付与する対象へのポインタ又は当該対象自身(以下、「ポインタ等」という。)を保持するクラス又はモジュール(以下クラス等)と、ウィンドウ構造を生成又は変更(以下、生成又は変更を「生成等」、あるいは、単に「生成」という。)するクラス等が異なる場合に、ウィンドウ構造を生成等するクラス等に対して前記ポインタ等を渡しておくことで、前記クラス等が生成等したウィンドウ構造から他のウィンドウ構造へ切り替える場合に、渡されたポインタ等に対して生成したウィンドウ構造を付与することにある。
【0015】
これによって、上記ウィンドウ表示システム等において、プログラム開発を複数の開発要員で分割して行うことが可能となる。
【0016】
さらに、本発明のウィンドウ表示システムの特徴は、複数種のウィンドウの状態を規定ウィンドウ状態として登録し、対象ウィンドウの状態を取得ウィンドウ状態として取得し、規定ウィンドウ状態から1つの状態を選択ウィンドウ状態として選ぶと共に取得ウィンドウ状態と比較し、選択ウィンドウ状態と取得ウィンドウ状態とが同一の場合は異なる状態を規定ウィンドウ状態から選択し、選択ウィンドウ状態と取得ウィンドウ状態とが異なる場合は当該選択ウィンドウ状態を選択し、新たなウィンドウの状態として対象ウィンドウに設定することにある。
【0017】
これにより、上記ウィンドウ表示システム等においてウィンドウ自体にイベントを容易に発生させることが可能となる。
【0018】
なお、上記各特徴は、ウィンドウ表示システムの他、ウィンドウ表示方法、コンピュータプログラム及びこれを記録した記録媒体、ウィンドウ表示システムを提供する提供手段を含むサーバ、サーバとクライアント装置からなる情報処理システム、並びに、コンピュータプログラム又はウィンドウを生成するプログラム開発支援装置、そのプログラム及びこれを記録した記録媒体として提供される。
【発明の効果】
【0019】
このように、上記本発明の第1の特徴によれば、イベント処理プログラムの実行により、前記描画ウィンドウを描画させる。その結果、一つの前記描画ウィンドウで第1、第2ウィンドウ構造を切り替えて表示させることが可能なウィンドウ表示システム、ウィンドウ表示方法、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記録媒体、同ウィンドウ表示システムを提供する提供手段を含むサーバを提供できるようになる。
【0020】
したがって、マルチウィンドウ表示可能なシステムにあっては、ウィンドウ数が従来よりも少なくてメモリ等のシステム資源の消費量が少ないウィンドウ表示システムを開発することが可能となる。
【0021】
また、単一のウィンドウしか表示できない環境に本発明を適用すると、単一ウィンドウのマルチウィンドウ表示システムが構築できる。たとえば、インターネットのブラウザ内で動作するJAVA(登録商標) APPLETに本発明を適用すると、ブラウザ内でマルチウィンドウ表示システムが構築でき、JAVA(登録商標) APPLETの高い安全性を持ったマルチウィンドウ表示システムが容易に構築できる。
【0022】
つまり、本発明の第1の特徴を使うことにより、より少ないウィンドウ数でウィンドウ表示システムが開発でき、より少ないメモリでウィンドウ表示システムが動作可能となる。また、仮想記憶を使うシステムの場合は、仮想記憶の使用頻度が下がりシステムの動作速度の向上が期待できる。
【0023】
また、携帯電話や携帯情報機器のように多くのメモリを搭載していない機器、ハードディスクが無くて仮想記憶が使えない機器においても、本発明を使うとメモリ消費量の少ないウィンドウ表示システムが構築可能となり、従来では考えられなかった、より多機能なウィンドウ表示システムが構築可能になる。
【0024】
さらに、テレビ、冷蔵庫、空調機等の家電製品に組み込まれたコンピュータがネットワークを介して接続されるようになっているが、このような家電製品に本発明を適用すると、少ないメモリで操作性の高いヒューマンインターフェースが提供可能となる。
【0025】
インターネットのブラウザ内で動作するJAVA(登録商標) APPLETは、ブラウザの表示領域内にひとつの表示領域を与えられるだけである。そのため、JAVA(登録商標) APPLETではマルチウィンドウ表示システムを開発することは困難である。JAVA(登録商標) APPLETは、それ自身が動作する端末のシステムへの読み書きが厳しく制限され、通信相手のサーバのIPアドレスが限定されるなど安全性の高いシステムが構築可能である。また、JAVA(登録商標) APPLETは、起動時にプログラムを自動的にダウンロードするため、プログラム変更時のソフトウェアの配布作業が不要になる。ブラウザとJAVA(登録商標)実行環境さえ動作すれば、どのようなOSでも、JAVA(登録商標) APPLETは動くため、端末の動作環境の管理が容易になるなど、優れた特性を持っている。しかし、JAVA(登録商標) APPLETではマルチウィンドウ表示システムの開発が困難であるために、本格的なシステムで利用されることは少ない。本発明をJAVA(登録商標) APPLETに適用すると、安全性が高く運用費のより低い本格的なウィンドウ表示システムが開発可能となる。
【0026】
一方、上記本発明の第2の特徴によれば、上記ウィンドウ表示システム等において、ポインタ等の受け渡しにより、イベント処理プログラムとウィンドウ構造生成部及び対応付け部を同じクラス等に含めることが可能となる。その結果、通常のマルチウィンドウ環境がウィンドウを個別に開発できるのと同様にウィンドウ構造ごとに個別に開発でき、プログラム開発を複数の開発要員で分割して行うことが可能となる。
【0027】
つまり、本発明の第2の特徴によれば、上記ウィンドウ表示システム等を複数のクラス等に分割して行うことが可能となったため、前記ウィンドウ表示システムの開発・保守がより容易になり、かつ、複数の開発要員で前記ウィンドウ表示システムが容易に開発可能となる。そのため、前記ウィンドウ表示システムが本格的なシステム開発に適用可能となる。
【0028】
さらに、上記本発明の第3の特徴によれば、上記ウィンドウ表示システムにおいて、ウィンドウ状態の変更を簡易に行うことができ、その結果、イベントを発生させることが可能になる。
【0029】
つまり、本発明の上記第3の特徴によれば、上記ウィンドウ表示システム等において、ウィンドウの状態を変更させることでイベントを簡単に発生させることができる。コンピュータプログラマ及びシステムエンジニアの大多数は、ウィンドウ表示システムの内部の制御構造を詳しく知らないが、そのような人々でもウィンドウ表示システム全体の制御に悪影響を与えることなく、容易に単一のウィンドウに複数のウィンドウ構造を切り替えて表示させることが可能なウィンドウ表示システムが開発可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明に係るウィンドウ表示システムの機能について説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るウィンドウ表示システム50の構成を示す機能ブロック図である。ここでは、ウィンドウ表示システム50と共に、ウィンドウを表示するためのLCD等の表示部60と、マルチウィンドウを管理するウィンドウ管理部70も併せて示されている。
【0032】
このウィンドウ表示システム50は、ウィンドウ管理部70による管理下で表示部60にウィンドウを表示するウィンドウ表示システムであり、表示させる枠としての1個の基本ウィンドウ55aを記憶部55に生成又は獲得する基本ウィンドウ生成部51と、基本ウィンドウ55aと共に表示させる表示要素(データ)の集まりである第1ウィンドウ構造55bを記憶部55に生成する第1ウィンドウ構造生成部52と、基本ウィンドウ55aと共に表示させる別の表示要素の集まりである第2ウィンドウ構造55cを記憶部55に生成する第2ウィンドウ構造生成部53と、第1ウィンドウ構造生成部52及び第2ウィンドウ構造生成部53によって生成された第1ウィンドウ構造55b及び第2ウィンドウ構造55cのいずれかを基本ウィンドウ55aに対応付ける対応付け部54と、対応付け部54によって基本ウィンドウ55aに対応付けられた第1ウィンドウ構造55b又は第2ウィンドウ構造55cを前記基本ウィンドウと共に表示部60に描画する描画部56と、基本ウィンドウ55a、第1ウィンドウ構造55b及び第2ウィンドウ構造55c等を保持するメモリ等からなる記憶部55と、描画部56を起動させるトリガとなるイベントを発生する描画イベント発生部57とを備える。
【0033】
ここで、対応付け部54は、予め指定したイベントがウィンドウ管理部70によって検出されると、基本ウィンドウ55aに対応付けるウィンドウ構造を第1ウィンドウ構造55bから第2ウィンドウ構造55cに、又は、第2ウィンドウ構造55cから第1ウィンドウ構造55bに切り替える。そして、描画部56は、対応付け部54による切り替えによって新たに対応付けられた第1ウィンドウ構造55b又は第2ウィンドウ構造55cを基本ウィンドウ55aと共に描画する。
【0034】
このとき、対応付け部54は、好ましくは、第1ウィンドウ構造55bから第2ウィン
ドウ構造55cに対応付けを切り替える場合には、第1ウィンドウ構造55bを記憶部55から削除し、第2ウィンドウ構造生成部53は新たな第2ウィンドウ構造55cを生成する。一方、第2ウィンドウ構造55cから第1ウィンドウ構造55bに対応付けを切り替える場合には、第2ウィンドウ構造55cを記憶部55から削除し、第1ウィンドウ構造生成部52は新たな第1ウィンドウ構造55bを生成する。
【0035】
図2は、このようなウィンドウ表示システム50における記憶部55の変化を示す図である。通常のマルチウィンドウ表示システムであれば、図2(a)に示されるように、画面にオープンされている全てのウィンドウ(メインウィンドウ、ウィンドウ1〜N)に対応するウィンドウ構造が記憶部55に置かれる。これに対し、本実施の形態のウィンドウ表示システム50によれば、メインウィンドウが表示されている場合には、図2(b)に示されるように、基本ウィンドウと、メインウィンドウのウィンドウ構造だけが記憶部55に置かれ、メインウィンドウから起動された別のウィンドウ1がオープンされた場合には、図2(c)に示されるように、基本ウィンドウと、ウィンドウ1に対応するウィンドウ構造だけが記憶部55に置かれ、ウィンドウ1から起動された別のウィンドウN(本実施の形態では、Nは2)がオープンされた場合には、図2(d)に示されるように、基本ウィンドウと、ウィンドウNに対応するウィンドウ構造だけが記憶部55に置かれる。
【0036】
このように、図2(a)と図2(b)〜図2(d)とを比較して分かるように、本実施の形態によれば、複数のウィンドウ構造が切り替えられて表示されるが、通常のマルチウィンドウ表示システムに比べ、記憶部55を占有する記憶サイズが小さい。つまり、本実施の形態では、小さなサイズのメモリでも動作するマルチウィンドウ表示システムが実現されている。
【0037】
なお、描画イベント発生部57が発生するイベントには、例えば、ウィンドウサイズの変更、ウィンドウの移動、ウィンドウ前後位置の変更、ウィンドウの可視化、ウィンドウ描画領域の無効化、及び、ウィンドウの色変更等が含まれる。
【0038】
また、対応付け部54による基本ウィンドウとウィンドウ構造との対応づけの切り替えにおいては、第1ウィンドウ構造生成部52及び第2ウィンドウ構造生成部53は、第1ウィンドウ構造55b又は第2ウィンドウ構造55cと対応付ける対象へのポインタ又は当該対象自身(「ポインタ等」)を取得して保持し、取得して保持しているポインタ等に対して、それぞれ、第1及び第2ウィンドウ構造55cを生成する手法をとってもよい。
【0039】
また、描画イベント発生部57は、複数種のウィンドウの状態を規定ウィンドウ状態として記憶し、描画部56によって描画されている基本ウィンドウ55aである対象ウィンドウの状態を取得ウィンドウ状態として記憶し、規定ウィンドウ状態から1つの状態を選択ウィンドウ状態として選ぶと共に取得ウィンドウ状態と比較し、選択ウィンドウ状態と取得ウィンドウ状態とが同一の場合は異なる状態を規定ウィンドウ状態から選択し、選択ウィンドウ状態と取得ウィンドウ状態とが異なる場合は当該選択ウィンドウ状態を選択し、対象ウィンドウのウィンドウ状態として設定することによって対象ウィンドウ55aにイベントを発生させ、これによって、描画部56に第1ウィンドウ構造55bあるいは第2ウィンドウ構造55cを基本ウィンドウ55aと共に表示させる。ここで、規定ウィンドウ状態として、例えば、ウィンドウサイズが異なる複数種のウィンドウの状態が含まれる。これによって、例えば、人間には判別できない程度のわずかなサイズ(例えば、数画素以下のサイズ)が異なる複数種のウィンドウを規定ウィンドウとしておくことで、ウィンドウの外観としてはほとんど変化させることなく、イベントを発生させ、ウィンドウを切り替えることができる。
【0040】
以下、このような本発明に係るウィンドウ表示システムをソフトウェア(コンピュータ
等の情報機器内で実行されるプログラム及びデータ)で実現した場合における具体的な構成と動作について説明する。
【0041】
図3は、本発明に係るウィンドウ表示システム、ウィンドウ表示方法、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記録媒体(以下、「ウィンドウ表示システム等」)の一実施形態を示すウィンドウ表示システムの構成図であり、図4はそのフローチャートである。以下、これらの図面と共に本発明の処理手順について以下説明する。
【0042】
図3に示すように、メインメモリに記録され生成又は獲得(以下、「生成等」)された基本ウィンドウ14が元となり、グラフィックメモリに記録することにより描画ウィンドウ13を画面上に描画させる。ここで、「生成」とは新たにウィンドウを生成すること、「獲得」とは、例えばJAVA(登録商標) APPLETにおいて、あらかじめ生成されたウィンドウの描画領域を取得すること等をいう。最初にウィンドウを描画したときは、イベント処理プログラム11Aと関連づけられたwindow0のウィンドウ構造15を持ったウィンドウが、描画ウィンドウ13となる。イベント処理プログラム11Aは、イベント処理プログラム11Bを関連づけたwindow1のウィンドウ構造16を、先の生成等された基本ウィン
ドウ14に付与するプログラムである。
【0043】
なお、この図3は、本発明に係るウィンドウ表示システムの主要なソフトウェア構造を示す図であり、図1に示された機能ブロック図との対応は、次の通りである。つまり、図3の描画ウィンドウ13は、図1の描画部56の内部に一時的に保持され、表示部60に表示されるイメージデータである。図3の基本ウィンドウ14、第1ウィンドウ構造15及び第2ウィンドウ構造16は、それぞれ、図1の基本ウィンドウ55a、第1ウィンドウ構造55b及び第2ウィンドウ構造55cに対応する。図3のイベント処理プログラム11Aには、図1の第2ウィンドウ構造生成部53、対応付け部54及び描画イベント発生部57が含まれる。同様に、図3のイベント処理プログラム11Bには、図1の第1ウィンドウ構造生成部52、対応付け部54及び描画イベント発生部57が含まれる。また、この図3では、図1の基本ウィンドウ生成部51、描画部56、表示部60及びウィンドウ管理部70の図示が省略されている。
【0044】
図4に示すように、生成等された基本ウィンドウ14(S01)に対し、イベント処理プログラム11Aと関連づけられている第1ウィンドウ構造15を付与する(S02)。符号12は通常のイベント処理プログラムである。そして、第1ウィンドウ構造15を付与した基本ウィンドウ14を画面に描画し(S03)、基本ウィンドウ14はイベントが発生するのを待つ(S04)。
【0045】
イベントが発生(S05a)すると、そのイベントがウィンドウ管理部70によって検出され(S05b)、そのイベントに対応したイベント処理プログラム11A,12が実行される(S06)。なお、ウィンドウ管理部70は、各ウィンドウの表示位置や大きさ、ウィンドウの間の前後位置などを管理し、キー入力やマウスクリックなどのイベントをどのウィンドウに渡すべきかを調整するなどの役割を担っている。
【0046】
例えば、マウスクリック等によりイベントが発生(S05)し、イベント処理プログラム11Aが実行される(S06)と、まず、基本ウィンドウ14からwindow0のウィンド
ウ構造15を削除する。次いで、イベント処理プログラム11Bを関連付けたウィンドウ構造16が基本ウィンドウ14に付与される。window0のウィンドウ構造15が保持する
情報等の一部又は全部を保存すれば、再度window0のウィンドウ15を表示する場合に、
前記保存した情報を使い画面の情報の一部又は全部を再現することもできる。
【0047】
当該イベント処理プログラム11Aのウィンドウサイズの変更などはウィンドウを描画
させる。例えば、ウィンドウサイズの変更などをしたこと等により、前記でイベント処理プログラムを関連付けたウィンドウ構造を付与された描画ウィンドウ13が描画(S07)され、ステップS04のイベント待ちになる。ウィンドウサイズの変更等が直接的に描画ウィンドウの描画を行う(S07)仕様の他、システムの構成によっては、ウィンドウサイズの変更等が一旦イベントを発生させ(S08)、このイベントに基づいて描画ウィンドウの描画を行う(S07)仕様としてもよい。
【0048】
ウィンドウサイズの変更等が行われると、描画ウィンドウ13が、新しくなった基本ウィンドウ14により書き換えられる。このように、ステップS04〜S07(S08)が繰り返され、新たなイベント処理プログラム11A,11B,11C,11D…が実行されるたびに、自らのウィンドウ構造を削除し、イベント処理プログラムを関連づけた新たなウィンドウ構造が順次付与され、複数種類のウィンドウ構造15,16等が切り替えられて描画ウィンドウ13に表示される。また、ウィンドウサイズの変更などをしたこと等により間接的に描画ウィンドウを描画する以外に、直接ウィンドウを描画させるコマンドを実行させる、もしくは、直接ウィンドウを描画させるイベントを発生させることにより描画ウィンドウの描画を行う仕様としてもよい。
【0049】
ウィンドウ描画は、ウィンドウサイズの変更(本明細書では、ウィンドウの最大化、最小化をも含むものとする。)、ウィンドウ移動、ウィンドウ前後位置の変更、ウィンドウの可視化、ウィンドウ描画領域の無効化、又は、ウィンドウ表示システムの色変更によりなされることとなる。
【0050】
ここで、JAVA(登録商標) APPLETプログラムにおいて、イベント処理プログラムの描画イベントは、ウィンドウサイズの変更、
resize(SmallWSize[1][1], SmallWSize[1][2]);
に起因して行われる。
【0051】
また、Windows(登録商標)のCプログラムにおいて、イベント処理プログラムの描画は、ウィンドウ移動の場合、
MoveWindow( hWndBUTTON2, 20, 20, 50, 100, TRUE );
ウィンドウ前後位置の変更の場合、
SetWindowPos(hWndMain, HWND_TOP,300,10, 600,500,SWP_SHOWWINDOW);
ウィンドウの可視化の場合、
ShowWindow(hWndBUTTON1,GnCmdShow);
ウィンドウ描画領域の無効化の場合、
InvalidateRect(hWndMain, NULL, TRUE);
ウィンドウの色変更の場合、
SetSysColors(0,COLOR_BACKGROUND,0);
にそれぞれ起因して行われる。
【0052】
なお、以上は例示であり、これらの命令に限られるものではない。
図5に示す本発明の改変例では、第1、第2ウィンドウ構造に加えて第1、第2メニュー構造21,22が用いられる。これら第1、第2メニュー構造21,22は、基本ウィンドウ14のドロップダウンメニュー14a等、標準のメニューに関連づけられる。したがって、第1メニュー構造21のメニューを実行することにより、これに関連づけられるイベント処理プログラム11Aが動作させられ、上述と同様に、描画ウィンドウ13に第1、第2ウィンドウ構造15,16、第1、第2メニュー構造21,22が表示されることとなる。
【0053】
図6は本発明の一実施例を示す構成図で、ボタン等を含むウィンドウ構造、イベント処理プログラム、呼び出しプログラム及びウィンドウ構造を付与する対象へのポインタ又は当該対象自身(以下、「ポインタ等」という。)の関連を示している。
【0054】
第1ウィンドウ構造15のボタン等15aをクリックすると、イベント処理プログラム11A1が実行される。イベント処理プログラム11A1が実行されると、呼び出しプログラム11A2が実行される。呼び出しプログラム11A2は、ポインタ等19aをウィンドウ構造を生成等するクラス等32に渡し、ウィンドウ構造を付与するプログラム11A3を実行する。ウィンドウ構造を付与するプログラム11A3は、イベント処理プログラムに関連付いた第2ウィンドウ構造を基本ウィンドウ14に付与する。なお、「ウィンドウ構造を生成等する」には、ウィンドウ構造を新規に生成するだけでなく、既存のウィンドウ構造を変更することによってウィンドウ構造を生成することも含まれる。またこの場合には、対応付け部54で行う「対応付けを切り替える」は、切り替え前と切り替え後の対応付けが同じであることも含まれる。
【0055】
図7は図6の改変例を示す構成図で、図6との違いはイベント処理プログラム11B1、呼び出し処理プログラム11B2が、ポインタ等を保持するクラス等31にあることである。
【0056】
第1ウィンドウ構造15は、ポインタ等を保持するクラス等31の外にあってもよい。また、呼び出しプログラム11A2又は11B2を省略しイベント処理プログラム11A1又は11B1で同等の処理を実行してもよい。
【0057】
発明の目的のひとつは、画面を描画させるイベントを、ウィンドウ自体に発生させることが可能なウィンドウ表示システムを提供することにある。前記イベントを発生させるためにウィンドウ状態を変更することが有効であるが、ここで、ウィンドウ状態の変更を簡易に行うことが可能なシステムについて説明する。つまり、図1における描画イベント発生部57の詳細な機能を説明する。表1は、規定ウィンドウ状態のデータ構造の一例である。ウィンドウの状態としてウィンドウサイズを例に示しているが、他のウィンドウ状態でもかまわない。
【0058】
【表1】

【0059】
現在のウィンドウサイズを取得し、ウィンドウサイズ1あるいはウィンドウサイズ2のいずれかの値を選び両者を比較し、異なっていれば前記の選んだ値を新たなウィンドウサイズとしてウィンドウの状態の変更を行う。同じであれば、選ばれていないウィンドウサイズを新たなウィンドウサイズとしてウィンドウの状態を対象ウィンドウに設定する。これが引き金となってイベントが発生する。また、ウィンドウ前後位置等のように元のウィンドウ状態に戻す必要があるウィンドウ状態を使う場合は、一旦変更後、元のウィンドウ状態に再度変更すればよい。なお、ウィンドウ前後位置をウィンドウ状態とする場合は、ダミーのウィンドウを生成しておき、必ず当該ウィンドウがダミーウィンドウに隠れるようにする。
【0060】
利用者の操作等によりウィンドウサイズが変更された場合は、ウィンドウサイズ1及び
2(規定ウィンドウ状態)を変更した後、ウィンドウサイズの比較とウィンドウ状態の変更をすることも可能である。現在のウィンドウサイズとウィンドウサイズ1及びウィンドウサイズ2の差を求め、絶対値の小さい方を差異とする。現在のウィンドウサイズの方がウィンドウサイズ1及び2より大きい場合はウィンドウサイズ1及び2にその差異の絶対値を加えた値を新しい規定ウィンドウ状態とし、現在のウィンドウサイズの方がウィンドウサイズ1及び2より小さいならウィンドウサイズ1及び2からその差異の絶対値を減じた値を新しい規定ウィンドウ状態とし、規定ウィンドウ状態を変更しておく。次に上記と同様に現在のウィンドウサイズと異なるウィンドウサイズを新たなウィンドウサイズとして対象ウィンドウの状態の変更を行う。これが引き金となってイベントが発生する。
【0061】
表2は表1の改変例を示す構成図で、表1との違いは画面の種類が複数あり、画面の種類毎に、複数のウィンドウサイズを保持していることである。例えば、入金画面では大きな画面サイズにし、出金画面では小さな画面するように、画面の種類に応じて規定ウィンドウ状態を設定できる。
【0062】
【表2】

【0063】
表3は、表2の実施例に更に画面の色などのウィンドウの状態を追加したものである。画面の種類毎に、画面色など他の複数のウィンドウ状態を切り替えることができる。
【0064】
【表3】

【0065】
次に、本発明のウィンドウ表示システムをJAVA(登録商標)プログラムとして実現した場合の実施例を説明する。
【0066】
図8〜図11は、そのプログラムのリストである。ここでは、2つのウィンドウ構造を切り替えながら表示するJAVA(登録商標)で記述された第1のサンプルプログラムのリストが示されている。
【0067】
図8の第16〜19行目は、メインプログラムmain()である。
図8の第24〜34行目は、メインプログラムmain()から呼び出されるプログラムFSample()であり、基本ウィンドウを生成すると共に、初期ウィンドウを表示する。
【0068】
図8の第39〜51行目は、プログラムFSample()から呼び出される、又は、イベント
処理として起動されるプログラムwindow0()であり、第1ウィンドウwindow0、つまり、第
1ウィンドウ構造W0を表示する。ここでは、全てのウィンドウ構造を削除した後に、第1ウィンドウ構造W0を基本ウィンドウに付与し、描画している。
【0069】
図9の第56〜68行目は、イベント処理として起動されるプログラムwindow1()であ
り、第2ウィンドウwindow1、つまり、第2ウィンドウ構造W1を表示する。ここでは、全
てのウィンドウ構造を削除した後に、第2ウィンドウ構造W1を基本ウィンドウに付与し、描画している。
【0070】
図9の第74〜80行目は、メインプログラムmain()を終了するイベント処理プログラムである。
【0071】
図9の第85〜91行目は、第2ウィンドウ構造W1を表示するイベント処理プログラムであり、所定のイベントが検出された場合にプログラムwindow1()を呼び出している。
【0072】
図10の第95〜101行目は、第1ウィンドウ構造W0を表示するイベント処理プログラムであり、所定のイベントが検出された場合にプログラムwindow0()を呼び出す。
【0073】
図10の第108〜138行目は、第1ウィンドウ構造W0を定義するクラスである。プログラムwindow0()から呼び出される(インスタンス化される)。
【0074】
図11の第142〜173行目は、第2ウィンドウ構造W1を定義するクラスである。プログラムwindow1()から呼び出される(インスタンス化される)。
【0075】
図12は、図8〜図11に示されたプログラムの実行例を示す図である。ここには、2つの画面Window0及びWindow1が切り替えられる様子が示されている。本図の上部に示された画面Window0は、第1ウィンドウ構造W0が表示された画面であり、下部に示された画面Window1は、第2ウィンドウ構造W1が表示された画面である。
【0076】
このサンプルプログラムが起動されると、画面全体に画面Window0が表示され、この画
面Window0において、ボタン「window1へ切替えるボタン」がクリックされると、画面全体が画面Window1に切り替わり、さらに、この画面Window1において、ボタン「window0へ切
替えるボタン」がクリックされると、画面全体が画面Window0に切り替わる。
【0077】
なお、このサンプルプログラムと図1における機能ブロックとの対応は次の通りである。つまり、基本ウィンドウ生成部51は、図8の第24〜31行目に相当し、第1ウィンドウ構造生成部52は、図8の第43〜44行目に相当し、第2ウィンドウ構造生成部53は、図9の第60〜61行目に相当し、対応付け部54は、図8の第45〜46行目及び図9の第62〜63行目に相当し、基本ウィンドウ55aは、図8の第26〜31行目で定義され、第1ウィンドウ構造55bは、図10の第108〜138行目で定義され、第2ウィンドウ構造55cは、図11の第142〜173行目で定義され、描画部56は、図8の第49〜50行目及び図9の第66〜67行目等に相当し、描画イベント発生部57は、図8の第49〜50行目及び図9の第66〜67行目である。
【0078】
このように、本実施の形態のウィンドウ表示システムによれば、マルチウィンドウ表示システム下において、1つの画面に表示させるウィンドウ構造を複数のウィンドウ構造から選択して切り替えることができる。これによって、サイズの小さな画面や記憶容量の小さなメモリをもつ機器であっても、複数のウィンドウ構造を切り替えて単一のウィンドウとして表示することが可能なウィンドウ表示システムが実現される。
【0079】
図13〜図17は、図8〜図11に示された第1のサンプルプログラムと同一の機能を
実現する第2のサンプルプログラムのリストである。この第2のサンプルプログラムは、第1のサンプルプログラムと内部構造が異なるだけであり、その実行例は、図12に示された画面表示例と同一である。
【0080】
図13の第15〜18行目は、メインプログラムmain()である。
図13の第23〜30行目は、メインプログラムmain()から呼び出されるプログラムFsample2()であり、基本ウィンドウを生成すると共に、初期ウィンドウを表示する。
【0081】
図13の第35〜38行目は、プログラムFsample2()から呼び出されるプログラムwindow0()であり、第1ウィンドウwindow0、つまり、第1ウィンドウ構造を表示する。
【0082】
図14の第44〜図15の95行目は、プログラムwindow0()から呼び出される、又は
、イベント処理として起動されるクラスW0であり、第1ウィンドウwindow0、つまり、第
1ウィンドウ構造を表示すると共に(図14の第54〜82行目)、第2ウィンドウwindow1、つまり、第2ウィンドウ構造を表示するイベント処理プログラムを定義する(図15の第87〜93行目)クラスである。
【0083】
図16の第99〜図17の151行目は、イベント処理として生成されるクラスW1であり、第2ウィンドウwindow1、つまり、第2ウィンドウ構造を表示すると共に(図16の
第109〜139行目)、第1ウィンドウwindow0、つまり、第1ウィンドウ構造を表示
するイベント処理プログラムを定義する(図17の第144〜150行目)クラスである。
【0084】
このような第2のサンプルプログラムによって、上記第1のサンプルプログラムと同様の機能が実現される。つまり、その実行例は、図12に示される画面表示例となる。よって、第2のサンプルプログラムによって、上記第1のサンプルプログラムと同様に、マルチウィンドウ表示システム下において、1つの画面に表示させるウィンドウ構造を複数のウィンドウ構造から選択して切り替えることができるウィンドウ表示システムが実現される。
【0085】
以上、本発明に係るウィンドウ表示システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施して実現される形態も本発明に含まれる。
【0086】
なお、従来のウィンドウ開発システム(例えばJBbuilder)でウィンドウを作成する
と、本実施の形態における基本ウィンドウとウィンドウ構造とが一体化したウィンドウが作成される。そのため、本発明のウィンドウ表示システムのようにひとつの基本ウィンドウに対して複数のウィンドウ構造を切替えて表示するウィンドウを作成するためには、手作業でプログラム等を修正する必要がある。また、ウィンドウ開発システムによっては修正ができない場合もある。よって、ウィンドウ構造を切替えて表示できるようイベント処理を行うような基本ウィンドウ及びウィンドウ構造を作る機能を、従来のウィンドウ開発システムに追加することとして、本発明を実現してもよい。
【0087】
例えば、本発明は、上記実施の形態で説明されたウィンドウ表示システムとして実現されるだけでなく、図8〜図11や図13〜図17に示されるようなプログラムを生成するプログラム(あるいは、ウィンドウ)開発支援装置として実現することもできる。そのようなプログラム開発支援装置は、例えば、図8〜図11に示されるプログラムのうち、ユーザが定義する箇所(基本ウィンドウ、複数のウィンドウ構造、各ウィンドウ構造を表示しているときに検出すべきイベント、そのイベントが検出されたときに切り替え先となるウィンドウ構造等の定義部分、及び、通常のユーザ定義のイベント処理など)を除く箇所をテンプレートとして保持しておく。そして、それらのユーザ定義だけをユーザから取得し、取得したユーザ定義をテンプレートの対応する箇所に組み込むことによって、ソースプログラム、ソースプログラムがコンパイルされた実行形式プログラムまたはウィンドウを生成する。このような生成されたプログラムまたはウィンドウは、本実施の形態と同様の機能を有する、つまり、単一のウィンドウに複数のウィンドウ構造を切り替えて表示するアプリケーションプログラムである。
【0088】
また、本発明は、通信路を介してクライアント装置にサービスを提供するサーバ装置であって、本実施の形態におけるウィンドウ表示システム、例えば、図8〜図11や図13〜図17に示されるようなプログラムをクライアント装置に送信するサーバ装置として実現することもできる。あるいは、サーバ装置とクライアント装置とから構成される情報処理システムとして実現することもできる。これによって、クライアント装置は、本発明に係るウィンドウ表示システムを装備していなくても、サーバ装置からそのプログラムをダウンロードすることで、本発明に係るウィンドウ表示システムを装備することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、LCD等の画面にウィンドウを表示するウィンドウ表示システムとして、特に、携帯電話や携帯情報機器のように、多くのメモリを搭載していない機器やハードディスクが無くて仮想記憶が使えない機器等におけるウィンドウ表示システムとして利用することができる。さらに、インターネットのブラウザ内で動作するJAVA(登録商標) APPLETに本発明を適用すると、ブラウザ内でマルチウィンドウ表示システムが構築でき、JAVA(登録商標) APPLETの高い安全性を持ったマルチウィンドウ表示システムが容易に構築される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明に係るウィンドウ表示システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、ウィンドウ表示システムにおける記憶部の変化を説明するための図である。
【図3】図3は、ウィンドウ表示システムのソフトウェア構成を示す図である。
【図4】図4は、図3に示されたウィンドウ表示システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示されたウィンドウ表示システムの改変例のソフトウェア構成を示す図である。
【図6】図6は、図3に示されたウィンドウ表示システムの詳細な構成図である。
【図7】図7は、図6に示された構成の改変例を示す構成図である。
【図8】図8は、第1のサンプルプログラムのリスト(その1)である。
【図9】図9は、第1のサンプルプログラムのリスト(その2)である。
【図10】図10は、第1のサンプルプログラムのリスト(その3)である。
【図11】図11は、第1のサンプルプログラムのリスト(その4)である。
【図12】図12は、第1のサンプルプログラムが実行された場合の画面表示例を示す図である。
【図13】図13は、第2のサンプルプログラムのリスト(その1)である。
【図14】図14は、第2のサンプルプログラムのリスト(その2)である。
【図15】図15は、第2のサンプルプログラムのリスト(その3)である。
【図16】図16は、第2のサンプルプログラムのリスト(その4)である。
【図17】図17は、第2のサンプルプログラムのリスト(その5)である。
【図18】図18は、従来のウィンドウ表示システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図19】図19は、従来のウィンドウ表示システムのウィンドウ構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
11、11A、11B、11C、11A1、11B1、12 ウィンドウに登録されたイベント処理プログラム
11A2、11B2 ウィンドウ構造を付与するプログラムを呼び出すプログラム
11A3 ウィンドウ構造を付与するプログラム
13 画面に描画されたウィンドウ
14 基本的な表示要素を持ったウィンドウ
14a ドロップダウンメニュー
15 window0のウィンドウ構造
16 window1のウィンドウ構造
15a、16b イベント処理プログラムに関連付けられたボタン等
19a、19b ポインタ等
21 第1メニュー構造
22 第2メニュー構造
31 ポインタ等を保持するクラス等
32 ウィンドウ構造を生成等するクラス等
50 ウィンドウ表示システム
51 基本ウィンドウ生成部
52 第1ウィンドウ構造生成部
53 第2ウィンドウ構造生成部
54 対応付け部
55 記憶部
55a 基本ウィンドウ
55b 第1ウィンドウ構造
55c 第2ウィンドウ構造
56 描画部
57 描画イベント発生部
60 表示部
70 ウィンドウ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示させる枠としてのウィンドウが複数個からなるマルチウィンドウを管理するウィンドウ管理部による管理下でウィンドウを表示するウィンドウ表示システムであって、
メモリと、
前記ウィンドウ管理部による管理下で、表示させる枠としての1個の基本ウィンドウを前記メモリに生成又は獲得する基本ウィンドウ生成手段と、
前記基本ウィンドウに表示させる表示要素の集まりであり、かつ、前記ウィンドウ管理部による管理下では第1ウィンドウに表示されるデータである第1ウィンドウ構造を前記メモリに生成する第1ウィンドウ構造生成手段と、
前記基本ウィンドウに表示させる表示要素の集まりであり、かつ、前記ウィンドウ管理部による管理下では前記第1ウィンドウとは異なる第2ウィンドウに表示されるデータである第2ウィンドウ構造を前記メモリに生成する第2ウィンドウ構造生成手段と、
前記第1及び第2ウィンドウ構造生成手段によって生成された前記第1及び第2ウィンドウ構造のいずれかを前記基本ウィンドウに対応付ける対応付け手段と、
グラフィックメモリを有し、前記対応付け手段によって前記基本ウィンドウに対応付けられた前記メモリ上の前記第1又は第2ウィンドウ構造を、前記ウィンドウ管理部による管理下で、前記基本ウィンドウと共にイメージデータとして前記グラフィックメモリに記録することによって、前記第1又は第2ウィンドウ構造と前記基本ウィンドウとを描画する描画手段と、
前記描画手段を起動させてウィンドウを描画させるイベントを発生する、又は、ウィンドウを描画させるコマンドを実行する描画イベント発生手段とを備え、
前記対応付け手段は、予め指定したイベントが前記ウィンドウ管理部によって検出されると、前記基本ウィンドウに対応付けるウィンドウ構造を前記第1ウィンドウ構造から前記第2ウィンドウ構造に、又は、前記第2ウィンドウ構造から前記第1ウィンドウ構造に切り替え、
前記描画イベント発生手段は、前記対応付け手段による切り替えが行われると、前記描画手段を起動させてウィンドウを描画させるイベントを発生、又は、ウィンドウを描画させるコマンドを実行し、
前記描画イベント発生手段によってウィンドウを描画させるイベントが発生される、又は、ウィンドウを描画させるコマンドが実行されると、前記描画手段は、前記対応付け手段による切り替えによって新たに対応付けられた前記第1又は第2ウィンドウ構造を前記基本ウィンドウと共に描画する
ことを特徴とするウィンドウ表示システム。
【請求項2】
前記描画イベント発生手段は、前記描画手段を起動させてウィンドウを描画させるイベントとして、ウィンドウサイズの変更、ウィンドウの移動、ウィンドウ前後位置の変更、ウィンドウの可視化、ウィンドウ描画領域の無効化、及び、ウィンドウの色変更のいずれかを行う
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドウ表示システム。
【請求項3】
前記描画イベント発生手段は、前記描画手段を起動させてウィンドウを描画させるイベントとして、人間には判別できない程度でウィンドウの外観を変化させる
ことを特徴とする請求項2記載のウィンドウ表示システム。
【請求項4】
前記描画イベント発生手段は、複数種のウィンドウの状態を規定ウィンドウ状態として記憶し、前記描画手段によって描画されている基本ウィンドウである対象ウィンドウの状態を取得ウィンドウ状態として記憶し、規定ウィンドウ状態から1つの状態を選択ウィンドウ状態として選ぶと共に取得ウィンドウ状態と比較し、選択ウィンドウ状態と取得ウィンドウ状態とが同一の場合は異なる状態を規定ウィンドウ状態から選択し、選択ウィンドウ状態と取得ウィンドウ状態とが異なる場合は当該選択ウィンドウ状態を選択し、新たなウィンドウ状態として前記対象ウィンドウに、選択した状態を設定することによって、前記対象ウィンドウにイベントを発生させ、前記描画手段に前記第1又は第2ウィンドウ構造を前記基本ウィンドウと共に描画させる
ことを特徴とする請求項2記載のウィンドウ表示システム。
【請求項5】
前記規定ウィンドウ状態には、ウィンドウサイズが異なる複数種のウィンドウの状態が含まれる
ことを特徴とする請求項4記載のウィンドウ表示システム。
【請求項6】
前記対応付け手段は、前記第1ウィンドウ構造から前記第2ウィンドウ構造に切り替える場合には、前記第1ウィンドウ構造を削除し、前記第2ウィンドウ構造生成手段は第2ウィンドウ構造を生成し、
前記対応付け手段は、前記第2ウィンドウ構造から前記第1ウィンドウ構造に切り替える場合には、前記第2ウィンドウ構造を削除し、前記第1ウィンドウ構造生成手段は第1ウィンドウ構造を生成する
ことを特徴とする請求項1記載のウィンドウ表示システム。
【請求項7】
表示させる枠としてのウィンドウが複数個からなるマルチウィンドウを管理するウィンドウ管理部による管理下でウィンドウを表示するウィンドウ表示方法であって、
前記ウィンドウ管理部による管理下で、表示させる枠としての1個の基本ウィンドウを生成又は獲得する基本ウィンドウ生成ステップと、
前記基本ウィンドウに表示させる表示要素の集まりであり、かつ、前記ウィンドウ管理部による管理下では第1ウィンドウに表示されるデータである第1ウィンドウ構造を生成する第1ウィンドウ構造生成ステップと、
前記基本ウィンドウに表示させる表示要素の集まりであり、かつ、前記ウィンドウ管理部による管理下では前記第1ウィンドウとは異なる第2ウィンドウに表示されるデータである第2ウィンドウ構造を生成する第2ウィンドウ構造生成ステップと、
前記第1及び第2ウィンドウ構造生成ステップによって生成された前記第1及び第2ウィンドウ構造のいずれかを前記基本ウィンドウに対応付ける対応付けステップと、
前記対応付けステップによって前記基本ウィンドウに対応付けられた前記第1又は第2ウィンドウ構造を、前記ウィンドウ管理部による管理下で、前記基本ウィンドウと共に描画する描画ステップと、
前記描画ステップを起動させてウィンドウを描画させるイベントを発生する、又は、ウィンドウを描画させるコマンドを実行する描画イベント発生ステップとを含み、
前記対応付けステップでは、予め指定したイベントが前記ウィンドウ管理部によって検出されると、前記基本ウィンドウに対応付けるウィンドウ構造を前記第1ウィンドウ構造から前記第2ウィンドウ構造に、又は、前記第2ウィンドウ構造から前記第1ウィンドウ構造に切り替え、
前記描画イベント発生ステップでは、前記対応付けステップによる切り替えが行われると、描画ステップを起動させてウィンドウを描画させるイベントを発生、又は、ウィンドウを描画させるコマンドを実行し、
前記描画イベント発生ステップによってウィンドウを描画させるイベントが発生される、又は、ウィンドウを描画させるコマンドが実行されると、前記描画ステップで、前記対応付けステップによる切り替えによって新たに対応付けられた前記第1又は第2ウィンドウ構造を前記基本ウィンドウと共に描画する
ことを特徴とするウィンドウ表示方法。
【請求項8】
マルチウィンドウを管理するウィンドウ管理部による管理下でウィンドウを表示するウィンドウ表示システムのためのプログラムであって、
請求項7記載のウィンドウ表示方法に含まれるステップをコンピュータに実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
プログラムの開発を支援するプログラム開発支援装置であって、
請求項8記載のプログラムのうち、前記基本ウィンドウ、前記第1及び第2ウィンドウ構造、前記第1及び第2ウィンドウ構造を表示しているときに検出すべきイベント、そのイベントが検出されたときに切り替え先となるウィンドウ構造、及び、イベント処理を含むユーザ定義箇所を除く箇所をテンプレートとして保持する手段と、
前記ユーザ定義箇所に対応するユーザ定義をユーザから取得し、取得したユーザ定義を前記テンプレートの対応する箇所に組み込むことによって、ソースプログラム、ソースプログラムがコンパイルされた実行形式プログラムまたはウィンドウを生成する手段とを備える
ことを特徴とするプログラム開発支援装置。
【請求項10】
プログラムの開発を支援するプログラム開発支援装置のためのプログラムであって、
請求項9記載のプログラム開発支援装置が備える手段としてコンピュータを機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
通信路を介してクライアント装置にサービスを提供するサーバ装置であって、
請求項8記載のプログラムを前記クライアント装置に送信する
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項12】
プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
請求項8又は10記載のプログラムが記録されている
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項13】
通信路を介して接続されたサーバ装置とクライアント装置とから構成される情報処理システムであって、
前記サーバ装置は、表示させる枠としてのウィンドウが複数個からなるマルチウィンドウを管理するウィンドウ管理部による管理下でウィンドウを表示するウィンドウ表示プログラムを前記クライアント装置に送信する手段を備え、
前記ウィンドウ表示プログラムは、コンピュータに、
前記ウィンドウ管理部による管理下で、表示させる枠としての1個の基本ウィンドウを生成又は獲得する基本ウィンドウ生成ステップと、
前記基本ウィンドウに表示させる表示要素の集まりであり、かつ、前記ウィンドウ管理部による管理下では第1ウィンドウに表示されるデータである第1ウィンドウ構造を生成する第1ウィンドウ構造生成ステップと、
前記基本ウィンドウに表示させる表示要素の集まりであり、かつ、前記ウィンドウ管理部による管理下では前記第1ウィンドウとは異なる第2ウィンドウに表示されるデータである第2ウィンドウ構造を生成する第2ウィンドウ構造生成ステップと、
前記第1及び第2ウィンドウ構造生成ステップによって生成された前記第1及び第2ウィンドウ構造のいずれかを前記基本ウィンドウに対応付ける対応付けステップと、
前記対応付けステップによって前記基本ウィンドウに対応付けられた前記第1又は第2ウィンドウ構造を、前記ウィンドウ管理部による管理下で、前記基本ウィンドウと共に描画する描画ステップと、
前記描画ステップを起動させてウィンドウを描画させるイベントを発生する、又は、ウィンドウを描画させるコマンドを実行する描画イベント発生ステップとを実行させ、
前記対応付けステップでは、予め指定したイベントが前記ウィンドウ管理部によって検出されると、前記基本ウィンドウに対応付けるウィンドウ構造を前記第1ウィンドウ構造から前記第2ウィンドウ構造に、又は、前記第2ウィンドウ構造から前記第1ウィンドウ構造に切り替え、
前記描画イベント発生ステップでは、前記対応付けステップによる切り替えが行われると、描画ステップを起動させてウィンドウを描画させるイベントを発生、又は、ウィンドウを描画させるコマンドを実行し、
前記描画イベント発生ステップによってウィンドウを描画させるイベントが発生される、又は、ウィンドウを描画させるコマンドが実行されると、前記描画ステップで、前記対応付けステップによる切り替えによって新たに対応付けられた前記第1又は第2ウィンドウ構造を前記基本ウィンドウと共に描画する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
クライアント装置であって、
請求項8記載のプログラム又は請求項13記載のウィンドウ表示プログラムを実行する
ことを特徴とするクライアント装置。
【請求項15】
電話機であって、
請求項8記載のプログラム又は請求項13記載のウィンドウ表示プログラムを実行する
ことを特徴とする電話機。
【請求項16】
情報機器であって、
請求項8記載のプログラム又は請求項13記載のウィンドウ表示プログラムを実行する
ことを特徴とする情報機器。
【請求項17】
家電機器であって、
請求項8記載のプログラム又は請求項13記載のウィンドウ表示プログラムを実行する
ことを特徴とする家電機器。
【請求項18】
機器であって、
請求項8記載のプログラム又は請求項13記載のウィンドウ表示プログラムを実行する
ことを特徴とする機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−102947(P2008−102947A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286938(P2007−286938)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【分割の表示】特願2007−122903(P2007−122903)の分割
【原出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(504214903)
【Fターム(参考)】