説明

ウイルス複製阻害剤としての尿素含有ペプチド

本発明は、式Iの尿素含有ペプチド化合物およびその薬学的に許容される塩および水和物を提供する。変数T、R〜R、J、L、M、Y、Z、m、nおよびtは、本明細書で定義する通りである。式Iの特定の化合物は、抗ウイルス剤として有用である。本明細書で開示する特定の尿素含有ペプチド化合物は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の強力かつ/または選択的な阻害剤である。本発明は、1つ以上の尿素含有ペプチド化合物および1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。そうした医薬組成物は、尿素含有ペプチド化合物を唯一の活性薬剤として含むことも、また尿素含有ペプチド化合物と1つ以上の他の薬学的に活性な薬剤を合わせて含むこともできる。本発明は、哺乳動物におけるC型肝炎を含むウイルス感染症を治療するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月24日出願の米国仮出願第60/974,679号に関する優先権を請求するものであり、引用によりその全体を本願に援用する。
【0002】
本発明は、抗ウイルス剤として有用な尿素含有ペプチドを提供する。本明細書で開示する特定の尿素含有ペプチドは、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の強力かつ/または選択的な阻害剤である。本発明はまた、1つ以上の尿素含有ペプチドおよび1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。そうした医薬組成物は、尿素含有ペプチドを唯一の活性薬剤として含むか、または尿素含有ペプチドもしくは関連化合物と1つ以上の他の薬学的に活性な薬剤の組合せを含む。本発明はまた、哺乳動物におけるC型肝炎を含むウイルス感染症の治療方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
世界の人口の推定で3%がC型肝炎ウイルスに感染している。HCVにさらされているこれらの人のうち80%は慢性的に感染しており、少なくとも30%は肝硬変に罹患しており、1〜4%は肝細胞癌に罹患している。C型肝炎ウイルス(HCV)は、米国における慢性肝疾患の最も支配的原因の1つであり、急性ウイルス性肝炎の約15%、慢性肝炎の60〜70%、肝硬変、末期の肝疾患および肝臓癌の最大で50%を占めると報告されている。慢性HCV感染症は、米国、オーストラリアおよび大部分のヨーロッパの国々における肝臓移植の最も一般的な原因である。米国では、C型肝炎は年に推定10,000〜12,000人の死者をもたらしている。HCV感染症の急性期は一般に軽度の症状しか伴わないが、いくつかの証拠によれば、感染した人の約15%〜20%しかHCVがクリアされないことが示唆されている。
【0004】
HCVは、約9.6kbのプラス鎖ゲノムを含む、エンベロープをもった一本鎖RNAウイルスである。HCVは、フラビウイルス科(family Flaviviridae)の肝炎ウイルス属のメンバとして分類される。HCVの少なくとも4つの株、GT−1〜GT−4が特性評価されている。
【0005】
HCVのライフサイクルは、宿主細胞への侵入;HCVゲノムの翻訳、ポリタンパク質プロセシングおよびレプリカーゼ複合体構築;RNA複製ならびにビリオンの構築および放出を含む。HCV RNAゲノムの翻訳は、少なくとも2つの細胞プロテアーゼと2つのウイルスプロテアーゼによって処理された3000超のアミノ酸長ポリタンパク質をもたらす。HCVポリタンパク質は:
NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOHである。
【0006】
細胞シグナルペプチダーゼおよびシグナルペプチドペプチダーゼは、ポリタンパク質(C−E1−E2−p7)の第3N−末端の非構造タンパク質(NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B)からの切断に関与していることが報告されている。NS2−NS3プロテアーゼは、NS2−NS3部位での最初のシス切断を媒介する。次いでNS3−NS4Aプロテアーゼは、NS3−NS4A接合部での第2のシス切断を媒介する。次いで、NS3−NS4A複合体は3つの下流部位で切断されて、残りの非構造タンパク質を分離する。ポリタンパク質の正確なプロセシングは、活性なHCVレプリカーゼ複合体を形成するのに必須であると主張されている。
【0007】
ポリタンパク質が切断されると、少なくともNS3−NS5B非構造タンパク質を含むレプリカーゼ複合体は集合する。レプリカーゼ複合体は、細胞質性でありかつ膜結合性である。レプリカーゼ複合体における主要な酵素活性には、NS3におけるセリンプロテアーゼ活性およびNTPaseヘリカーゼ活性ならびにNS5BのRNA依存性RNAポリメラーゼ活性が含まれる。RNA複製の過程では、ゲノムRNAの相補的マイナス鎖コピーが産生される。マイナス鎖コピーは、翻訳、複製、パッケージングまたはその任意の組合せに関与して子孫ウイルスを産生できる、追加のプラス鎖ゲノムRNAを合成するための鋳型として用いられる。機能的レプリカーゼ複合体アセンブリはHCV複製機構の成分として記載されている。2006年4月11日に出願され、第60/669,872号からの優先権を主張するPCT/US06/013503号の国内段階出願としての2007年11月11日に出願された米国非仮出願第11/911,330号、ならびに、米国仮出願第60/938,346号(2007年5月16日出願)および同60/914190号(2007年4月26日出願)に関する優先権を請求する2008年4月28日出願のPCT/US08/061799号における、2005年4月11日に出願された仮出願第60/669,872号、“Pharmaceutical Compositions and Methods of Inhibiting HCV Replication”、これらを、レプリカーゼ複合体アセンブリに関連する開示のために、その出願の全体を参照により本明細書に組み込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
C型肝炎感染症の最新治療は、リバビリンと併用したペグ化インターフェロン(IFN)などのインターフェロンの投与を含む。持続性ウイルス応答率(SVR)で測定される現行治療法の成功度は、患者が感染しているHCV株および患者の治療レジメン順守に依存する。HCV株GT−1に感染している患者の50%しか持続性ウイルス学的応答を示さない。VX−950やNM283(NM107のプロドラッグ)などの直接作用する抗ウイルス剤は、慢性HCVの治療のための臨床開発途上にある。特定のHCV株の治療のための有効な治療法の欠如とHCVの高い突然変異率のため、新規な治療法が必要である。本発明は、こうした必要性に答え、本明細書で説明する追加的な利点を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iの化合物(以下に示す)を提供するものであり、尿素含有ペプチドおよび関連化合物を含む。本明細書で開示する特定の尿素含有ペプチドは、抗ウイルス活性を有する。本発明は、C型肝炎ウイルス複製の強力かつ/または選択的な阻害剤である式Iの化合物を提供する。本発明は、式Iの1つ以上の化合物あるいはその塩、溶媒和物またはアシル化されたプロドラッグ、および1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。
【0010】
本発明は、特定の感染性疾患に苦しむ患者に、その疾患または障害の兆候または症状を低減させるのに有効なある量の式Iの化合物を提供することによって、そうした患者を治療する方法をさらに含む。これらの感染性疾患には、ウイルス感染症、特にHCV感染症が含まれる。本発明は、特に感染性疾患に苦しむヒト患者を治療する方法を含むが、感染性疾患に苦しむ家畜や家庭用コンパニオンアニマルを含む他の動物を治療する方法も含む。
【0011】
治療方法は、単一の活性薬剤として式Iの化合物を提供するか、または式Iの化合物を1つ以上の他の治療薬と併用して提供することを含む。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様は、式Iの化合物を含む。
【化1】


(式I)
【0013】
式Iにおいて、mは1または2であり、nは、0、1または2であり、tは、0、1または2である。
【0014】
式Iにおいて、Uは単結合、CHまたはカルボニルである。
【0015】
式Iにおいて、
【化2】


は二重結合または単一の共有結合を表す。
また、式Iにおいて、
【化3】


は、0、1または2の二重結合を含む。
【0016】
Rは、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであるか;あるいは、
Rは、tが1である場合、Tと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0017】
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであるか;あるいは、
は、tが0である場合、Tと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0018】
、R、R、R、RおよびRは、独立に:
(a)水素、ハロゲン、アミノ、C〜CハロアルキルもしくはC〜Cハロアルコキシ、または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(フェニル)C〜Cアルキル、またはモノもしくはジC〜Cアルキルアミノであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0019】
あるいは、RとR、RとRまたはRとRのいずれか1つ以上は結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成していてよく、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0020】
あるいは、Rは、(i)R(Rはメチレン基である)と共有結合するか、または(ii)RとRが結合して形成されたシクロアルキル基と共有結合して、3〜7員シクロアルキル環を形成する、C〜C11の飽和もしくは不飽和炭化水素鎖である。
【0021】
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0022】
は、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R13、−NR10SO13、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)OR13もしくは−CONR1314であるか、あるいは、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、−COOH、−CONH、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルおよびフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか;あるいは、
は、次式
【化4】


(pは1または2である)
のホスホネートであるか;あるいは、
は、RXC〜Cアルキル−であり、ただし、Xは−(C=O)NH−または−NH(C=O)−であり、Rはアリールまたはヘテロアリールあるか;あるいは、
は、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)または−NRSOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であり、ただし、Rはハロゲンであるか、またはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0023】
Tは、水素、R13、−CONR1011、−(SO)NR1011、−(C=S)NR1011、−(C=O)R12、−SO12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12、−OR12または−N(C=O)R12であるか;あるいは、
Tは、tが1である場合、Rと結合して5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しているか;あるいは、
Tは、tが0である場合、Rと結合して5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しているか;あるいは、
Tは次式
【化5】


の基である。
【0024】
Aは、水素、R13、−(C=O)R12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12もしくは−OR12であるか、または、
AはBと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0025】
Bは水素またはC〜Cアルキルであるか、あるいは、Bはヘテロシクロアルキル環中でAと結合している。
【0026】
JはCR1819であるか、またはJはYと一緒になって3〜7員炭素環もしくは複素環を形成しており、その環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており;JがYと一緒になって環を形成している場合、Zは存在していなくてよい。
【0027】
LはCR1819であるか、またはLはYと一緒になって3〜7員炭素環もしくは複素環を形成しており、その環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており;LがYと一緒になって環を形成している場合、Zは存在していなくてよい。
【0028】
Mは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであるか、あるいは、Mは、Yと一緒になって3〜7員炭素環または複素環を形成しており、その環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており;MとYで形成されたそのシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環はフェニルまたはピリジル基と任意選択で縮合しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており、MがYと一緒になって環を形成している場合、Zは存在していなくてよい。
【0029】
J、LおよびMのうちの1つだけは、Yと一緒になって環を形成している。
【0030】
Yは存在しないか、CR2021、NR22、S、O、−O(C=O)(NR22)−、NH(C=O)(NR22)−、NH(S=O)(NR22)−または−O(C=O)−であるか;あるいは、Yは、J、LまたはMのうちの1つと一緒になって環を形成している。
【0031】
Zは、存在する場合、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(単環式もしくは二環式アリール)C〜Cアルキル、(単環式もしくは二環式ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、三環式アリールまたは三環式ヘテロアリールであり;そのZのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、−SONR1112、−CONR1112、−NR11(C=O)R12、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシならびに0もしくは1個の(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは9もしくは10員の二環式ヘテロアリールから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており、そのそれぞれは、(c)および(d)から独立に選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されている。
【0032】
ただし、(c)は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NR10SO13、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)R13、−NR10(C=O)OR13、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
(d)は、フェニルおよび5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシの0個または1つ以上で置換されている。
【0033】
10およびR11は、その出現ごとに独立に:
(e)水素、ならびに
(f)C〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルから独立に選択されるか、あるいは、RおよびRは一緒になって、0もしくは1個の追加のN、SまたはO原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環(そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている);あるいは、
(g)(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルおよび(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキル(そのそれぞれは:(i)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、
(ii)そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシ、シアノおよびアミノから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されたC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、フェニルならびにフェノキシ、から独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている)を形成していてよい。
【0034】
12は水素であるか、あるいは、R12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0035】
13およびR14は、その出現ごとに独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルおよび(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから選択され、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジアルキルカルボキシアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0036】
15は水素またはC〜Cアルキルである。
【0037】
16およびR17は、独立に、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルコキシである。
【0038】
18およびR19は、独立に、水素またはC〜Cアルキルである。
【0039】
20およびR21は、独立に、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0040】
22は、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0041】
本明細書で開示する式Iの特定の化合物は、以下の実施例9に示すHCVレプリコンアッセイなどのHCV複製アッセイにおいて良好な活性を示す。好ましい式Iの化合物は、HCVレプリコン複製アッセイにおいて、約40ミクロモル(micromolar)以下のEC50、または、より好ましくは約10ミクロモル以下のEC50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明を詳細に説明する前に、本明細書で使用する特定の用語の定義を示すことが有益であろう。本発明の化合物は標準的な命名法を用いて説明する。別に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の技術者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。文脈に明らかに反しない限り、各化合物名は、その化合物の遊離酸または遊離塩基形態、ならびに化合物の水和物および化合物のすべての薬学的に許容されるその塩を含む。
【0043】
「尿素含有ペプチド」という用語は、任意の鏡像異性体、ラセミ化合物および立体異性体ならびにすべての薬学的に許容されるその塩を含む式Iを満足するすべての化合物を包含する。「式Iの化合物」という語句は、その語句が用いられている文脈に明らかに反しない限り、塩および水和物を含むそうした化合物のすべての形態を含む。
【0044】
「a」および「an」という用語は、量の限定を表すものではないが、言及されている項目が少なくとも1つ存在することを表す。「または(or)」という用語は、「および/または(and/or)」を意味する。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」という用語は、オープンエンドな用語(すなわち、「(それを含むが)それらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるものとする。値の範囲への言及は、本明細書で別段の指定のない限り、単にその範囲内に含まれるそれぞれの別個の値への個別的参照の簡便法としての役割を果たすに過ぎず、それぞれの別個の値は本明細書で個別的に言及されたかのように本明細書に組み込まれているものとする。すべての範囲の端点はその範囲内に含まれ、かつ独立に組み合わせることができる。本明細書で説明するすべての方法は、本明細書で別段の指定がないか、または文脈により明らかに矛盾しない限り、適切な順番で実施することができる。任意かつすべての例、または例示的用語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより良く説明するためだけのものであり、別段の要求のない限り、本発明の範囲を限定しようとするものではない。本明細書におけるどの用語も、任意の非要求要素を本明細書で用いる本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。別段の定義のない限り、本明細書で使用する技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の技術者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0045】
「活性薬剤」は、単独か、または他の化合物、元素もしくは混合物と組合せて患者に投与されると、直接的または間接的に患者に生理学的効果を付与する化合物(本発明の化合物を含む)、元素または混合物を意味する。間接的な生理学的効果は、代謝産物または他の間接的機序によってもたらされる。活性薬剤が化合物である場合、遊離化合物の塩、溶媒和物(水和物を含む)、その化合物の結晶形態、非晶質形態および任意の多形体が含まれる。化合物は、立体中心、立体軸などの1つ以上の不斉元素、例えば不斉炭素原子を含むことができ、したがってその化合物は、異なる立体異性体の形態で存在することができる。これらの化合物は、例えばラセミ化合物または光学的に活性な形態であってよい。2つ以上の不斉元素を有する化合物について、これらの化合物はさらに、ジアステレオマの混合物であってよい。不斉中心を有する化合物について、すべての純粋な形態の光学的異性体およびその混合物が包含される。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、化合物のすべての異性体についてZ型およびE型で出現することができる。これらの状態では、単一の鏡像異性体、すなわち光学的に活性な形態は、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成によって、またはラセミ化合物の分割によって得ることができる。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィなどの慣用的な方法で実施することもできる。本明細書では、それを得るのに用いた方法に関係なく、すべての形態を含むものとする。
【0046】
2つの文字または記号の間に存在するものではないダッシュ記号(「−」)は、置換基のための結合点を示すのに用いられる。例えば、−(CH)C〜Cシクロアルキルは、メチレン(CH)基の炭素を介して結合している。
【0047】
実線と点線の組合せで示される結合、すなわち
【化6】


は、単結合であっても二重結合であってもよい。
【0048】
「アルカノイル」は、ケト(−(C=O)−)架橋を介して結合した本明細書で定義のアルキル基を表す。アルカノイル基は表示された数の炭素原子を有し、そのケト基の炭素は表示された炭素原子数に含まれている。例えば、Cアルカノイル基は、式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0049】
「アルキル」は、指定された数の炭素原子、一般に1〜約12個の炭素原子を有する分鎖または直鎖の飽和脂肪族炭化水素基である。本明細書で使用するC〜Cアルキルという用語は、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。他の実施形態は、1〜8個の炭素原子、1〜4個の炭素原子または1〜2個の炭素原子を有するアルキル基、例えばC〜Cアルキル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルキルを含む。本明細書において、C〜Cアルキルが他の基と一緒に用いられる場合(例えば(アリール)C〜Cアルキル)、表示された基(この場合アリール)は、単一の共有結合(C)で直接結合しているか、または、指定された数の炭素原子(この場合1〜約4個の炭素原子)を有するアルキル鎖で結合している。アルキルの例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびsec−ペンチルが含まれる。
【0050】
「アルケニル」は、その鎖に沿った任意の安定点において出現できる1つ以上の不飽和炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分鎖炭化水素鎖を表す。本明細書に記載するアルケニル基は表示された数の炭素原子を有する。例えば、C〜Cアルケニルは、2〜約6個の炭素原子のアルケニル基を表す。炭素原子の数が示されていない場合、本明細書に記載するアルケニル基は一般に、2〜約12個の炭素原子を有するが、8個以下の炭素原子を有する低級アルケニル基が好ましい。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、およびブテニル基が含まれる。
【0051】
「アルキニル」は、その鎖に沿った任意の安定点において出現できる1つ以上の炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分鎖炭化水素鎖を表す。本明細書に記載するアルケニル基は、表示された数の炭素原子を有する。例えば、C〜Cアルキニルは、2〜約6個の炭素原子のアルキニル基を表す。炭素原子の数が示されていない場合、本明細書に記載するアルキニル基は一般に、2〜約12個の炭素原子を有するが、8個以下の炭素原子を有する低級アルキニル基が好ましい。
【0052】
「アルコキシ」は、酸素架橋(−O−)を介して結合した表示された数の炭素原子を有する上記定義のアルキル基を表す。アルコキシの例には、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシおよび3−メチルペントキシが含まれる。
【0053】
「アルキルエステル」という用語は、エステル結合を介して結合した本明細書で定義するアルキル基を表す。エステル結合はどちら向きであってもよい。例えば、式−O(C=O)アルキルの基であっても式−(C=O)Oアルキルの基であってもよい。
【0054】
「アルキルチオ」は、アルキル基が、表示された数の炭素原子を有し、かつアルキルチオ置換基の結合点がイオウ原子上である、本明細書で定義するアルキル基であるアルキル−S−を意味する。アルキルチオ基の例はメチルチオである。
【0055】
「アリール」は、1つ以上の芳香環中に炭素だけしか含まない芳香族基を表す。そうした芳香族基は、炭素もしくは非炭素の原子または基でさらに置換されていてよい。典型的なアリール基は、1個もしくは2個の別個の縮合環または懸垂環と6〜約12個の環原子を含み、環メンバとしてヘテロ原子を含まない。「三環式アリール」基は、そのうちの少なくとも1つが芳香族である3個の縮合環を含み、かつ、炭素環原子だけしか含まない。示されている場合、アリール基は置換されていてよい。そうした置換は、N、OおよびSから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を任意選択で含む5〜7員の飽和環状基との縮合を含有して、例えば3,4−メチレンジオキシ−フェニル基を形成することができる。アリール基には、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルを含むナフチルならびにビフェニルが含まれる。
【0056】
「(アリール)アルキル」という用語において、アリールおよびアルキルは上記定義通りであり、その結合点はアルキル基上にある。「(アリール)C〜Cアルキル」は、単一の共有結合を介して直接結合しているアリール基((アリール)Cアルキル)か、または1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基を介して結合しているアリール基を表す。(アリール)アルキル基の例には、ピペロニルならびにベンジルおよびフェニルエチルなどの(フェニル)アルキル基が含まれる。同様に、「(アリール)C〜Cアルコキシ」という用語は、酸素架橋を介してそれが置換されている分子と直接結合する(例えば(アリール)Cアルコキシ)か、または1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基と共有結合したアリール基を表す。
【0057】
「炭素環」は、炭素環原子だけを含む3〜8員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族環状基、または炭素環原子だけを含む6〜11員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族二環式炭素環系である。別段の表示のない限り、炭素環は、安定な構造をもたらす任意の炭素原子でその懸垂基と結合していてよい。示されている場合、本明細書に記載する炭素環は、得られる化合物が安定であれば、利用可能な任意の環炭素上で置換されていてよい。炭素環には、シクロプロピルおよびシクロヘキシルなどのシクロアルキル基;シクロヘキセニルなどのシクロアルケニル基、架橋されたシクロアルキル基;ならびにフェニルなどのアリール基が含まれる。
【0058】
「シクロアルキル」は、指定された数の炭素原子、通常3〜約10個の環炭素原子を有する単環式または多環式飽和炭化水素環基である。単環式シクロアルキル基は一般に、3〜約8個の炭素環原子または3〜約7個の炭素環原子を有する。多環式シクロアルキル基は、2もしくは3個の縮合シクロアルキル環を有するか、または架橋形もしくはかご形シクロアルキル基を含むことができる。シクロアルキル置換基は、置換された窒素原子または炭素原子から懸垂していてよく、あるいは、2個の置換基を有する置換炭素原子は、スピロ基として結合したシクロアルキル基を有することができる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルならびにノルボルナンまたはアダマンタンなどの架橋形もしくはかご形飽和環基が含まれる。同様に、「シクロアルケニル」は、表示された数の炭素原子と環炭素原子間に少なくとも炭素−炭素二重(結合)を有する3〜約10個の環炭素原子の単環式または多環式炭化水素環基である。
【0059】
「(シクロアルキル)アルキル」および「(シクロアルケニル)アルキル」という用語は、そのシクロアルキルまたはシクロアルケニルおよびアルキルが本明細書での定義通りであり、かつそれが置換されている分子との(シクロアルキル)アルキル基または(シクロアルケニル)アルキル基の結合点がアルキル基上である置換基を表す。(シクロアルキル)アルキルは、これらに限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘキシルメチルを含む。
【0060】
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子、可能な最大数のハロゲン原子で置換された指定数の炭素原子を有する直鎖アルキル基と分鎖アルキル基の両方を表す。ハロアルキルの例には、これらに限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチルおよびペンタフルオロエチルが含まれる。
【0061】
「ハロアルコキシ」は、酸素架橋(アルコール基の酸素)を介して結合している本明細書で定義するハロアルキル基を表す。
【0062】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードのいずれかを表す。
【0063】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1〜3個、またはいくつかの実施形態では1〜2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である安定な5〜7員単環式芳香環、あるいは、N、OおよびSから選択される1〜3個、またはいくつかの実施形態では1〜2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、少なくとも1個の5〜7員芳香環を含む安定な二環系または三環系を表す。いくつかの実施形態では、二環式ヘテロアリール基は、9〜10員ヘテロアリール基、すなわち、1個の5〜7員芳香環が第2の芳香環または非芳香環と縮合している9または10個の環原子を含む基である。「三環式ヘテロアリール」基は、そのうちの少なくとも1個がヘテロアリール環である3個の縮合環を含む。ヘテロアリール基中のS原子とO原子の合計個数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。ヘテロアリール基中のS原子とO原子の合計個数は2個を超えないことが好ましい。芳香族複素環中のS原子とO原子の合計個数は1個を超えないことが特に好ましい。ヘテロアリール基の例には、これらに限定されないが、オキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリジジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾニル、チアゾリル、チエニルピラゾリル、チオフェニル、トリアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサジアゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、フラニル、イミダゾリル、インドリルおよびイソオキサゾリルが含まれる。
【0064】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、N、OおよびSから選択される1〜約3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である飽和単環基か、または、少なくとも1個のN、OもしくはS環原子を有し、残りの環原子が炭素である飽和二環系を表す。単環式ヘテロシクロアルキル基は4〜約8個の環原子を有する。いくつかの実施形態では、単環式ヘテロシクロアルキル基は5〜7個の環原子を有する。二環式ヘテロシクロアルキル基は一般に約5〜約12個の環原子を有する。ヘテロシクロアルキル基の例には、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニル基が含まれる。
【0065】
「(ヘテロシクロアルキル)アルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキルおよびアルキルが本明細書での定義通りであり、かつそれが置換されている分子との(ヘテロシクロアルキル)アルキル基の結合点がアルキル基上である飽和置換基を表す。この用語は、これらに限定されないが、ピペリジルメチル、ピペラジニルメチルおよびピロリジニルメチルを含む。
【0066】
「複素環」という用語は、N、OおよびSから選択される1〜約4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である5〜8員飽和、部分不飽和もしくは芳香族環状基、あるいは、その多環系中にN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、かつ、多環系の各環中にN、OおよびSから独立に選択される最大で約4個のヘテロ原子を含む7〜11員の二環式飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環系または10〜15員三環系を表す。別段の表示のない限り、複素環は、それが、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で置換されている基と結合していてよい。示されている場合、本明細書に記載する複素環は、得られる化合物が安定であれば、炭素原子または窒素原子上で置換されていてよい。複素環中の窒素原子は、任意選択で四級化されていてよい。複素環基中のヘテロ原子の合計個数は4を超えず、複素環基中のS原子とO原子の合計個数は2を超えない、より好ましくは1を超えないことが好ましい。複素環基の例には、ピリジル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾニル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、ベンズ[b]チオフェニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニルが含まれる。
【0067】
複素環基の他の例には、これらに限定されないが、1,1−ジオキソ−チエノ−テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソチオクロマニル、1,4−ジオキサニル、5−プテリジニル、テトラヒドロインダゾイル、アゼチジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラザニル、ベンゾイソキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサジニル、ベンズオキサゾリノイル、ベンズオキサゾリル、β−カルボリニル、カルバゾイル、カルボリニル、クロマノニル、クロマニル、シンノリニル、クマリニル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンズオキサゾリル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソクマリニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソキノリノイル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリノイル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾニル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ヘキサヒドロアゼピニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリダジニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニル、イミダゾチアジアゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾチオフェニル、インドリニル、インドリジニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリノニル、イソインドリニル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシベンジル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソピペリジニル、オキソピラゾリル、オキソピリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾロピラジニル、ピラゾロピリダジニル、ピラゾロピリジル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロチオフェニル、ピラゾロトリアジニル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、テトラヒドロイミダゾピリダジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピリミジル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラゾロピラジニル、テトラヒドロピラゾロピリジニル、テトラヒドロピラゾロピリミジル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロトリアゾロピリミジル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル、テトラヒドロトリアゾロピリダジニル、テトラヒドロトリアゾピリジニル、テトラゾロピリジル、テトラゾニル、チアジアゾリル、チエノ−テトラヒドロチオピラニル、チエニル、チオクロマニル、トリアジニル、トリアゾロピラジニル、トリアゾロピリダジニル、トリアゾロピリジル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロチオフェニルか含まれ、可能な場合、そのN−オキシドも含まれる。
【0068】
「ヒドロキシアルキル」は、表示された数の炭素原子を有し、かつ、少なくとも1個のヒドロキシル置換基で置換されているアルキル基である。示されている場合、ヒドロキシアルキル基はさらに置換されていてよい。
【0069】
「モノおよび/またはジアルキルアミノ」という用語は、そのアルキル基が、表示された数の炭素原子を有する独立に選択される本明細書で定義のアルキル基である、第二または第三アルキルアミノ基を表す。アルキルアミノ基の結合点は窒素上である。モノおよびジアルキルアミノ基の例には、エチルアミノ、ジメチルアミノならびにメチル−プロピル−アミノが含まれる。
【0070】
「モノおよび/またはジアルキルカルボキシアミド」は、それが置換されている分子とのモノもしくはジアルキルカルボキシアミド置換基の結合点がカルボニル基の炭素上である、式(アルキル)−NH−(C=O)−のモノアルキルカルボキシアミド基、または式(アルキル)(アルキル)−N−(C=O)−のジアルキルカルボキシアミド基を表す。「モノおよび/またはジアルキルカルボキシアミド」という用語は、その結合点が窒素原子である、式(アルキル)(C=O)NH−および(アルキル)(C=O)(アルキル)N−の基も含む。その基アルキルおよびアルキルは、表示された数の炭素原子を有する独立に選択されるアルキル基である。
【0071】
本明細書で使用する「核酸」または「核酸分子」は、一本鎖か、または二本鎖のいずれであってもよい任意のDNAまたはRNA分子を指し、一本鎖である場合、線状または環状のいずれかの形態でのその相補的配列中の分子を指す。核酸分子を論じる場合、具体的な核酸分子の配列または構造は本明細書では、5’から3’への方向で配列を示す正規の慣行にしたがって説明することができる。
【0072】
「オキソ」はケト基(C=O)を意味する。非芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−から−C(=O)−への転換をもたらす。芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−から−C(=O)−への転換と芳香族性の喪失をもたらす。
【0073】
本明細書で使用する「置換された(substituted)」という用語は、指定された原子または基の上の1つ以上の任意の水素が、表示された基から選択されたもので置き換えられていることを意味する。ただし、その指定された原子の正規の原子価は超えない。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、その原子上の2個の水素が置き換えられている。オキソ基が芳香族部分に置換される場合、対応する部分不飽和環は芳香環を置き換える。例えば、オキソで置換されたピリジル基はピリドンである。置換基および/または変数の組合せは、そうした組合せによって安定な化合物または有用な合成中間体が得られる場合のみ許容される。安定な化合物または安定な構造は、反応混合物からの単離、続く有効な治療薬への処方に十分耐えられる化合物を意味する。別段の指定のない限り、置換基は、コア構造中で称される。例えば、(シクロアルキル)アルキルが可能な置換基として挙げられている場合、この置換基のコア構造との結合点はアルキル部であることを理解されたい。
【0074】
「置換された」位置に存在することができる適切な基には、これらに限定されないが、例えば、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル(アシルなどのC〜Cアルカノイル基など);カルボキシアミド;アルキル基(1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する、シクロアルキル基を含む);アルケニルおよびアルキニル基(1つ以上の不飽和結合および2〜約8個または2〜約6個の炭素原子を有する基を含む);1つ以上の酸素結合および1〜約8または1〜約6個の炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;1つ以上のチオエーテル結合および1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有するものを含むアルキルチオ基;1つ以上のスルフィニル結合、および1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有するものを含むアルキルスルフィニル基;1つ以上のスルホニル結合および1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有するものを含むアルキルスルホニル基;1つ以上のN原子、および1〜約8または1〜約6個の炭素原子を有する基を含むアミノアルキル基;6個以上の炭素および1つ以上の環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど。それぞれの環は置換されていても置換されていなくてもよい芳香族)を有するアリール;1〜3個の別個の環か、または縮合した環および6〜約18個の環炭素原子を有するアリールアルキル(ベンジルがアリールアルキル基の例である);1〜3個の別個の環か、または縮合した環および6〜約18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ(ベンジルオキシがアリールアルコキシ基の例である);あるいは環当たり3〜約8員を有する1〜3個の別個の環か、または縮合した環、ならびに1つ以上のN、OもしくはS原子を有する飽和、不飽和もしくは芳香族複素環基、例えばクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびピロリジニルが含まれる。そうした複素環基は、例えばヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲンおよびアミノでさらに置換されていてよい。
【0075】
「チオカルボニル」基は、炭素原子が2つの単結合をさらに含む式C=Sの基である。
【0076】
「ビニル」基は次式
【化7】


の置換基である。
【0077】
「剤形」は活性薬剤の投与の単位を意味する。剤形の例には、錠剤、カプセル剤、注入剤、懸濁剤、液剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、坐剤、吸入形態物、経皮形態物などが含まれる。
【0078】
「医薬組成物」は、式Iの化合物またはその塩などの少なくとも1つの活性薬剤、および担体、賦形剤または希釈剤などの少なくとも1つの他の物質を含む組成物である。医薬組成物は、ヒトまたは非ヒト薬物のための米国食品医薬品局(FDA)のGMP(適正製造基準)基準に適合するものである。
【0079】
「薬学的に許容される塩」は、その親化合物が、その無機および有機の非毒性酸または塩基付加塩を形成させることによって改変された開示化合物の誘導体を含む。本発明の化合物の塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から通常の化学的方法で合成することができる。一般に、そうした塩は、これらの化合物の遊離酸形態物を、化学量論量の適切な塩基(Na、Ca、MgもしくはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩または同様のものなど)と反応させるか、または、これらの化合物の遊離塩基形態物を、化学量論量の適切な酸と反応させることによって調製することができる。そうした反応は一般に、水もしくは有機溶媒、またはこの2つの混合液中で実施する。実施可能であれば、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。本発明の化合物の塩は、本発明の化合物およびその塩の溶媒和物をさらに含む。
【0080】
薬学的に許容される塩の例には、これらに限定されないが、アミンなどの塩基性残基の鉱酸または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが含まれる。薬学的に許容される塩には、例えば非毒性無機または有機酸から形成された親化合物の通常の非毒性塩および四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、通常の非毒性酸塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(nは0〜4である)などの有機酸から得られる塩などが含まれる。適切な他の塩のリストは、例えばレミントン(Remington)のPharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,p.1418(1985)に見ることができる。
【0081】
本発明の医薬組成物に適用される「担体」という用語は、希釈剤、賦形剤、またはそれを用いて活性化合物を提供する媒体を指す。
【0082】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般に安全で非毒性であり、かつ、生物学的にもまたそれ以外でも不都合であることのない医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、家畜への使用ならびにヒトへの製薬学的用途に許容される賦形剤を含む。本出願で用いる「薬学的に許容される賦形剤」は、1つの賦形剤と2つ以上の賦形剤の両方を含む。
【0083】
「患者」は医学的治療を必要とするヒトまたは非ヒト動物である。医学的治療は、疾患または障害などの既存の状態の治療、予防的または防御的治療、または診断治療を含むことができる。いくつかの実施形態では、患者はヒト患者である。
【0084】
「プロドラッグ」は、哺乳動物対象に投与されると、例えば,プロドラッグの代謝過程によって、本発明の化合物になる任意の化合物を意味する。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、本発明の化合物中の官能基(アルコールまたはアミン基などの)の酢酸塩、ギ酸塩および安息香酸塩ならびに同様の誘導体が含まれる。
【0085】
「提供する(Providing)」ということは、与える、投与する、販売する、分配する、移送する(利益を得るためであってもなくても)、製造する、混ぜ合わせる、または分注することを意味する。
【0086】
「少なくとも1つの追加の活性薬剤とともに式Iの化合物を提供する」ということは、式Iの化合物および追加の活性薬剤(1つまたは複数)を、単一の剤形で同時に提供する、別個の剤形で併用して提供するか、あるいは、患者の血流中にその式Iの化合物と少なくとも1つの追加の活性薬剤の両方が存在する時間内のある時間量に分割して投与する別個の剤形で提供することを意味する。式Iの化合物および追加の活性薬剤は、同じ医療ケア作業者によって患者に処方される必要はない。追加の1つ以上の活性薬剤は処方せんを必要としない。式Iの化合物または少なくとも1つの追加の活性薬剤の投与は、適切な任意の経路、例えば経口用錠剤、経口用カプセル剤、経口用液剤、吸入、注入、坐剤または局所接触を介して行うことができる。
【0087】
本明細書で使用する「治療(Treatment)」は、(a)その疾患(例えば、原発性疾患に関連するか、またはそれによって引き起こされる疾患(慢性HCV感染症関連をもたらす可能性のある肝線維症など)を含む)に罹患しやすいが、それに罹っているとまだ診断されていない患者において、疾患または疾患の症状が起こるのを阻止し、(b)その疾患を阻止する、すなわちその進行を停止させ;(c)その疾患を軽減する、すなわち疾患の後退をもたらすのに十分な式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性薬剤を提供することを含む。「治療する(Treating)」および「治療(treatment)」は、C型肝炎に罹っているか、またはそれに罹りやすい患者に、治療有効量の式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性薬剤を提供する意味も含む。
【0088】
本発明の併用薬剤(pharmaceutical combination)の「治療有効量」は、患者に投与した場合、症状の改善などの治療的有用性を提供するのに有効な量、例えばC型肝炎感染症の症状を低減させるのに有効な量を意味する。例えば、C型肝炎ウイルスに感染している患者は、高いレベルのASTおよびALTを含む特定の肝臓酵素を示す可能性がある。ASTの正常レベルは、血清1リットル(血液の液体部分)当たり5〜40単位(unit)であり、ALTの正常レベルは、血清1リットル当たり7〜56単位である。したがって、治療有効量は、高いASTおよびALTレベルを有意に低減させるのに十分な量、またはASTおよびALTレベルを正常範囲に戻すのに十分な量である。治療有効量は、患者の血液、血清または組織中のウイルスまたはウイルス抗体の有意な増大を阻止するか、またはその検出可能なレベルを有意に低減させるのに十分な量でもある。治療効能を判定する1つ方法は、Roch TaqManアッセイなどのウイルスRNAレベルを測定するための慣用的方法によってHCV RNAレベルを測定することを含む。特定の好ましい実施形態では、治療によって、HCV RNAレベルは、定量限界(30IU/mL、Roche TaqMan(R)アッセイで測定して)以下、より好ましくは検出限界(10IU/mL、Roche TaqMan)以下に低下する。
【0089】
ウイルスまたはウイルス抗体の検出可能なレベルの有意な増大または低減とは、スチューデントのT−検定(p<0.05である)などの統計的有意性の標準的パラメトリック検定において、統計的に有意である任意の検出可能な変化である。
【0090】
<化学的説明>
式Iはそのすべての下位式を含む。特定の状況では、式Iの化合物は、立体中心、立体軸などの1つ以上の非対称元素、例えば不斉炭素原子を含み、それによってその化合物は異なる立体異性体で存在することができる。これらの化合物は、例えばラセミ化合物または光学的に活性な形態であってよい。2つ以上の非対称元素を有する化合物では、これらの化合物は、さらにジアステレオマの混合物であってよい。不斉中心を有する化合物では、光学的異性体およびその混合物のすべてが包含されることを理解すべきである。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物はZ型およびE型で出現することができ、その化合物のすべての異性体は本発明に含まれる。これらの状況では、単一の鏡像異性体、すなわち、光学的に活性な形態物は、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成、またはラセミ化合物の分割によって得ることができる。ラセミ化合物の分割は、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィなどの慣用的な方法で実施することも可能である。
【0091】
化合物がさまざまな互変異性型で存在する場合、本発明は、特定の互変異性体のどれにも限定されず、むしろすべての互変異性型を含む。
【0092】
本発明は、本発明の化合物中に出現する原子のすべての同位体を含むものとする。同位体は、原子番号は同じであるが、質量数が異なっている原子を含む。一般的な例としては、これらに限定されないが、水素の同位体には三重水素および重水素が含まれ、炭素の同位体には11C、13Cおよび14Cが含まれる。
【0093】
具体的な化合物は、本明細書では、変数、例えばR〜R27、T、L、M、Y、Z、t、n、mおよびpを含む一般式を用いて説明する。別段の指定のない限り、そうした式の中の各変数は、他の変数から独立に定義される。したがって、ある基が、例えば0〜2個のRで置換されているとされた場合、その基は最大で2個のR基で置換されていてよく、Rは出現ごとにRの定義から独立に選択される。また、そうした組合せが安定な化合物をもたらす場合に限り、置換基および/または変数の組合せも許容される。
【0094】
上記で説明したような式Iの化合物に加え、本発明は、変数R〜R27、T、L、M、Y、Z、n、m、pおよびtについて、以下の条件の1つ以上が満たされる式Iの化合物も含む。
【化8】


式I
【0095】
[窒素ならびに変数JおよびLを含む複素環基]
(1)基
【化9】


が以下の
【化10】


(i)
【化11】


(ii)
【化12】


(iii)
【化13】


(iv)
【化14】


(v)
【化15】


(vi)
【化16】


(vii)
【化17】


(viii)
【化18】


(ix)
【化19】


(x)
のうちのいずれか1つである実施形態が含まれる。
上記5員のコア基(i)〜(x)のいずれも、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されていてよい。
【0096】
(2)本発明は、nが0であり、Zが存在せず、YおよびMが一緒になって環を形成しており、したがって
【化20】


が次式
【化21】


【化22】


または
【化23】


のための基である他の実施形態を含む。
上記式において、G、G、G、GおよびGは、独立に、CH、O、S、またはNR26であり、G、G、G、GおよびGのうちの2つ以下はCH以外である。
25は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基である。
26は、出現ごとに独立に、水素およびメチルから選択される。
27は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基である。
【0097】
(3)他の実施形態では、nは0であり、Mは水素であり、Zは存在せず、YおよびJは一緒になって環を形成しており、したがって
【化24】


は次式
【化25】


【化26】


【化27】


【化28】


または
【化29】


のための基である。
、G、GおよびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、G、G、GおよびGのうちの2つ以下はCH以外であり、
25は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基であり、
26は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基であり、
27は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基である。
【0098】
(4)他の実施形態では、
【化30】


は、次式
【化31】


【化32】


【化33】


【化34】


【化35】


【化36】


【化37】


【化38】


【化39】


または
【化40】


のための基である。
【0099】
(5)さらに他の実施形態では、nは0であり、Zは存在せず、YおよびLは一緒になって環を形成しており、したがって
【化41】


は次式
【化42】


【化43】


【化44】


【化45】


【化46】


【化47】


または
【化48】


のための基である。
、G、GおよびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、G、G、GおよびGのうちの2つ以下はCH以外であり、
およびQは、独立に、CHまたはNであり、
25は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基であり、
26は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基であり、
27は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基である。
【0100】
(6)他の実施形態では、nは0であり、Zは存在せず、YおよびLは一緒になって環を形成しており、したがって
【化49】


は次式
【化50】


(式中、R25は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基である)
のための基である。
【0101】
(7)特定の実施形態では、
【化51】



【化52】


【化53】


【化54】


【化55】


【化56】


【化57】


【化58】


【化59】


【化60】


【化61】


【化62】


【化63】


【化64】


【化65】


【化66】


【化67】


【化68】


【化69】


【化70】


【化71】


【化72】


【化73】


【化74】


【化75】


【化76】


【化77】


【化78】


【化79】


【化80】


【化81】


【化82】


【化83】


【化84】


【化85】


【化86】


【化87】


【化88】


【化89】


【化90】


【化91】


【化92】


【化93】


【化94】


【化95】


【化96】


【化97】


【化98】


【化99】


【化100】


【化101】


【化102】


【化103】


【化104】


【化105】


【化106】


【化107】


【化108】


【化109】


または
【化110】


のための基である。
【0102】
(8)特定の実施形態では、
【化111】



【化112】


のための基である。
【0103】
(9)これらの実施形態のいくつかにおいては、nは1である。
【0104】
(10)これらの実施形態のいくつかにおいては、YはCR1819、NR20、SまたはOである。特定の実施形態では、R18およびR19は、独立に、水素またはメチルであり、R20は水素またはメチルである。
【0105】
(11)これらの実施形態のいくつかにおいては、YはOである。
【0106】
[変数Z]
本発明の特定の実施形態では、変数Zは以下に示す条件の1つを満たす。
【0107】
(1)Zは、イソプロピル、ブチル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化113】


【化114】


【化115】


または
【化116】


である。
【0108】
(2)Zは次式
【化117】


【化118】


【化119】


【化120】


【化121】


【化122】


【化123】


または
【化124】


の基である。
この実施形態では、X、X、X、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、X〜Xのうちの2つ以下はNである。
、G、GおよびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、G〜Gのうちの2つ以下は水素以外である。
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の基を表す。
24は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシである。
あるいは、R24は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは9もしくは10員の二環式ヘテロアリールであり、
そのそれぞれは、(c)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−(C=O)OR11、−NRCOR11、−NR(C=O)OR11、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシ、ならびに、
(d)そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシの0または1もしくはそれ以上で置換されているフェニルおよび5もしくは6員ヘテロアリール、から独立に選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されている。
25は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基である。
26は、出現ごとに独立に、水素およびC〜Cアルキルから選択される。
【0109】
これらの実施形態のいくつかにおいては、R24は、
【化125】


【化126】


または
【化127】


である。
【0110】
(3)Zは、次式
【化128】


【化129】


【化130】


【化131】


【化132】


【化133】


【化134】


または
【化135】


の基である。
この実施形態では、X、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、X〜Xのうちの2つ以下はNである。
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の基を表す。
24は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシである。
あるいは、R24は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは9もしくは10員二環式ヘテロアリール(そのそれぞれは、(c)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−(C=O)OR11、−NRCOR11、−NR(C=O)OR11、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシから独立に選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されている)、および(d)フェニルおよび5もしくは6員ヘテロアリール(そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシの0または1もしくはそれ以上で置換されている)である。
これらの実施形態のいくつかでは、R24は、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニルまたは(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで(そのそれぞれは、(c)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシから独立に選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されている)、および(d)フェニルおよび5もしくは6員ヘテロアリール(そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシの0または1もしくはそれ以上で置換されている)である。
【0111】
(6)特定の実施形態では、nは0であり、YはCR2021、NR22、SまたはOであり、ただし、R20およびR21は、独立に、水素またはメチルであり、R22は水素またはメチルである。
【0112】
[変数T]
その変数が以下の条件の1つを満たす実施形態が含まれる。
【0113】
(1)Tは−OR12またはR13である。この実施形態では、R12は水素であるか、あるいはR12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
13は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから選択され;そのそれぞれは、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジアルキルカルボキシアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
Bは水素またはC〜Cアルキルである。
【0114】
(2)他の実施形態では、Tは−OR12またはR13である。この実施形態では、R12は水素であるか、あるいはR12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
13は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0115】
(3)他の実施形態では、Tは−OR12またはR13であり、R12およびR13は水素またはC〜Cアルキルである。
【0116】
(4)Tは−OR12またはR13である。この実施形態では、R12は、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、アルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
13は、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジアルキルカルボキシアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0117】
(5)TはR13であり、tは0である。この実施形態では、R13は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0118】
(6)Tは次式:
【化136】


の基であり、AはR13または−OR12であり、Bは水素またはC〜Cアルキルである。
【0119】
(7)Tは次式:
【化137】


の基であり、AはR13または−OR12であり、ただし、R12は水素であるか、あるいは、R12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
13は水素であるか、あるいは、R13は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
Bは水素またはC〜Cアルキルである。
【0120】
(8)これらの実施形態のいくつかでは、R13は、(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのヘテロアリールはピリジル、ピリミジニル、ピロリル、ピラジニルまたはイミダゾリルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0121】
これらの実施形態のいくつかの他のものでは、Aは水素またはR13である。
13は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか、あるいは、
13は、ピリジルまたはピラジニル基であり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0122】
(9)このタイプの特定の実施形態では、R13はピリジルまたはピラジニル基であり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0123】
(10)Tは次式
【化138】


(式中、AはR13であり、R13は水素であるか、またはR11は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルであり;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。Bは水素またはC〜Cアルキルである)
の基である。
【0124】
(11)Tは次式
【化139】


の基であり、AはBと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0125】
(12)これらの実施形態のいくつかでは、AはBと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜6員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0126】
他の実施形態では、tは1であり、Tは−CONR1011または−(C=O)OR12であり、ただし、R10およびR11は、独立に、水素または、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであるか、あるいはR10およびR11は一緒になって、0もしくは1個の追加のN、SまたはO原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成していてよく;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、R12は水素であるか、あるいは、R12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0127】
[変数R、RおよびR
変数R、RおよびRは以下の条件のいずれかに適合するものであってよい。
【0128】
(1)R(存在する場合)、RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロプロピル)C〜Cアルキルである。
【0129】
(2)R(存在する場合)、RおよびRは、独立に、水素、メチルまたはエチルである。R(存在する場合)、RおよびRはすべて水素である。
【0130】
(3)特定の実施形態では、tは0である。
【0131】
(4)他の実施形態では、tは1である。
【0132】
(5)特定の実施形態では、tは0であり、mは1である。
【0133】
(6)他の実施形態では、tは1であり、mは1である。
【0134】
[変数R、R、R、R、RおよびR
本発明の特定の実施形態では、変数R、R、RおよびRは以下に示す条件の1つ以上を満たす。
【0135】
(1)RおよびRは、独立に、(a)水素であるか、または(b)C〜Cアルキルもしくは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0136】
(2)RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0137】
(3)RおよびRは、独立に、水素またはメチルである。
【0138】
(4)RおよびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0139】
(5)RおよびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0140】
(6)RおよびRは、独立に、(a)水素、または(b)C〜Cアルキルもしくは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル(そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている)である。
【0141】
(7)RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0142】
(8)RおよびRは、独立に、水素またはメチルである。
【0143】
(9)RおよびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0144】
(10)RおよびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0145】
(11)RおよびRは、独立に、(a)水素であるか、または(b)C〜Cアルキルもしくは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0146】
(12)RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0147】
(13)RおよびRは、独立に、水素またはメチルである。
【0148】
(14)RおよびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0149】
(15)RおよびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0150】
(16)特定の実施形態では、mは2である。
【0151】
(17)他の実施形態では、mは1である。
【0152】
(18)本発明は、RがRと一緒になって環状環を形成している実施形態も含む。例えば、本発明は、式IIの化合物
【化140】


式II
(式中、Dは6〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である)
およびその塩を含む。
【0153】
(19)本発明は、Rがアルケニルリンカを介してRと一緒になって式IIIの大環状化合物
【化141】


式III
を形成している実施形態を含む。
【0154】
(20)本発明は、Rがアルケニルリンカを介してRおよびRによって形成されるシクロアルキル基と一緒になって式IVの大環状化合物
【化142】


式IV
(Dは6〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である)
を形成している実施形態を含む。
【0155】
(21)本発明は、Rがアルケニルリンカを介して、RおよびRによって形成されるシクロプロピル基と一緒になって式Vの大環状化合物
【化143】


式V
を形成している実施形態を含む。
【0156】
(22)本発明は、以下の条件のそれぞれが適合する実施形態を含む:
R(存在する場合)、RおよびRは、独立に、水素、メチルまたはエチルである。
およびRは、独立に、
(a)水素であるか、または(b)C〜Cアルキルもしくは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
は水素であり、
は水素であり、Rは、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか、あるいは、
およびRは結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されており、
は、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−NR10SO13、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)OR13または−(C=O)NR1314である。
【0157】
[変数R
本発明の特定の実施形態では、変数Rは以下に示す条件の1つを満たす。
【0158】
(1)Rは、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−NR10SO13、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)OR13または−(C=O)NR1314である。
【0159】
(2)Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルコキシであり、そのそれぞれは、−COOH、−CONH、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、モノまたはジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている。
【0160】
(3)Rは次式のホスホネート
【化144】


である。ただし、R15は水素またはC〜Cアルキルである。
16およびR17は、独立に、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルコキシである。
【0161】
本発明は、変数、例えばR、R’、R〜R22、Z、n、mおよびpが、安定な化合物をもたらす、これらの変数について上記した定義の任意の組合せを有する式Iの化合物を含む。
【0162】
<医薬製剤>
本発明の化合物は、そのまま化学品として投与することができるが、医薬組成物として投与することが好ましい。したがって、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と合わせて含む薬剤処方物を提供する。
【0163】
本発明の化合物は、薬学的に許容される慣用的な担体を含む投薬単位製剤で、経口、局所、非経口、吸入もしくは噴霧、舌下、経皮、頬側投与、経直腸、点眼剤または他の手段で投与することができる。医薬組成物は、薬剤として有用な任意の形態、例えばエアロゾル剤、クリーム剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、経皮パッチ剤または点眼剤として処方することができる。錠剤およびカプセル剤などのいくつかの剤形は、適切な量の活性成分、例えば所望の目的を達成するのに有効な量を含む適当な大きさの単位用量にさらに分割される。
【0164】
担体には賦形剤や希釈剤が含まれ、これらは、治療を受ける患者に投与するのに適するように十分に高い純度でありかつ十分に低い毒性のものでなければならない。担体は不活性であっても、またそれ自体で薬剤としての有益性を有していてもよい。この化合物に関連して使用する担体の量は、化合物の単位用量当たり、投与のための実際的な材料量を提供するのに十分な量である。
【0165】
担体の部類には、これらに限定されないが、結合剤、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、滑沢剤(glident)、滑剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、錠剤形成剤(tableting agent)および湿潤剤が含まれる。いくつかの担体は2つ以上の部類において挙げることができる。例えば、植物油は、いくつかの製剤では滑剤として使用でき、他の製剤では希釈剤として使用することができる。薬学的に許容される担体の例には、糖類、でんぷん、セルロース、トラガント末、モルト、ゼラチン;タルクおよび植物油が含まれる。本発明の化合物の活性を実質的に妨げない、任意選択の活性薬剤を医薬組成物中に含めることができる。
【0166】
結合剤は、粉末を一緒に結合させる、すなわち「くっつけ(glue)」、顆粒を形成することによって凝集性にし、それによって、その製剤における「接着剤」として働くようにする物質である。結合剤は、希釈剤または増量剤においてそれがすでに得られている結合強度をさらに付与する。結合剤の例には、でんぷん、ゼラチン、天然糖類、コーンシロップ、アカシアなどの天然ゴムおよび合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスが含まれる。組成物における結合剤の量は、例えば、組成物の約2〜約20重量%または約3〜約10重量%、より好ましくは約3〜約6重量%の範囲であってよい。
【0167】
希釈剤には、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールなどの糖類;小麦、トウモロコシ、米およびジャガイモから得られるでんぷん;ならびに微結晶性セルロースなどのセルロースが含まれる。組成物における希釈剤の量は、例えば合計組成物の約10〜約90重量%、約25〜約75重量%、約30〜約60重量%または約12〜約60重量%であってよい。
【0168】
崩壊剤は、医薬組成物に添加して、それを分解し(崩壊し)、活性薬剤を放出するのを助ける物質である。適切な崩壊剤には、カルボキシメチルでんぷんナトリウムなどの「冷水溶解性」の加工でんぷんを含むでんぷん;イナゴマメ、カラヤゴム、グアーおよびトラガカントゴムなどの天然ゴムおよび合成ゴムならびに寒天;メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;微結晶性セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムなどの架橋微結晶性セルロース;アルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩;ベントナイトなどの粘土;ならびに発泡性混合物が含まれる。組成物における崩壊剤の量は、例えば組成物の約2〜約15重量%または約4〜約10重量%の範囲であってよい。
【0169】
滑剤は、圧縮された後、摩擦または摩耗を低減することによって、錠剤、顆粒剤等を、鋳型または金型から取り出せるようにするために薬剤処方物に添加される物質である。医薬剤形で有用な滑剤の例には、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。顆粒剤の表面上、およびそれらと錠剤プレスの各部との間に存在させなければならないので、滑剤は通常、極力、錠剤を圧縮する直前に加える。組成物における滑剤の量は、例えば、組成物の約0.1〜約5重量%、約0.5〜約2重量%または約0.3〜約1.5重量%の範囲であってよい。単位用量中の本発明の化合物または塩は、一般に化合物の具体的な用途および効能によって、約1.0mg〜約1,000mg、約1.0〜約900mg、約1.0〜約500mgまたは約1〜約250mgの範囲で変えるか、または調節することができる。用いる実際の投薬量は、患者の年齢、性別、体重および治療される状態の重篤度に応じて変えることができる。
【0170】
経口投与用に処方された医薬組成物がしばしば好ましい。これらの組成物は、0.1〜99%の本発明の化合物、通常少なくとも約5%(重量%)の本発明の化合物を含む。いくつかの実施形態は、約25%〜約50%または5%〜75%の本発明の化合物を含む。
【0171】
[液体製剤]
本発明の化合物は、例えば、水性または油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤、チンキ剤、シロップ剤またはエリキシル剤などの経口用液体処方物中に混ぜ込むことができる。さらに、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水または他の適切な媒体で構成させるための乾燥製品、例えば顆粒剤または粉剤として存在してよい。シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤のための担体の典型的な成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状スクロース、ソルビトールおよび水が含まれる。液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ剤、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ剤、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび硬化食用油脂)、乳化剤(例えば、レシチン、オレイン酸ソルビタンまたはアカシア)、食用油を含む非水性媒体(例えば、アーモンドオイル、ヤシ油、シリルエステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコール)および保存剤(例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸およびソルビン酸)などの慣用的な添加剤を含むことができる。経口製剤は、粘滑薬、香味剤、スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤、味覚マスキング剤および着色剤を含むことができる。
【0172】
[懸濁剤]
水性懸濁剤は、活性物質(1つまたは複数)を、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合して含む。そうした賦形剤は、懸濁化剤、例えばAVICEL RC−591、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム;分散剤または湿潤剤、例えばレシチンおよびポリソルベート80である。水性懸濁剤は、1つ以上の保存剤、例えばエチル、n−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムも含むことができる。
【0173】
油性懸濁剤は活性成分を植物油、例えばピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナツオイルまたは鉱油、例えば流動パラフィン中に懸濁させることによって処方することができる。油性懸濁剤は増粘剤、例えば蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。上記したような甘味剤、および香味剤を加えて口当たりのよい経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えて保存することができる。
【0174】
[乳剤]
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはピーナッツ油、または鉱油、例えば流動パラフィンあるいはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然由来のゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然由来のフォスファチド、例えば大豆、レシチン、および脂肪酸およびヘキシトール、無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン、ならびに前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートであってよい。
【0175】
[錠剤およびカプセル剤]
錠剤は一般に、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロースなどの不活性な希釈剤;でんぷん、ゼラチンおよびスクロースなどの結合剤;でんぷん、アルギン酸およびクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどの滑剤のような薬剤として適合する慣用的な補助剤を含む。粉末混合物の流動特性を向上させるために二酸化ケイ素などの流動促進剤を用いることができる。外観をよくするために、食品医薬品化粧品用(FD&C)染料などの着色剤を加えることができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよび果実フレーバなどの甘味剤や香味剤は、チュアブル錠用の有用な補助剤である。カプセル剤(時間放出および持続放出製剤を含む)は一般に、1つ以上の上記開示の固体希釈剤を含む。担体成分の選択はしばしば、味質、コストおよび貯蔵安定性のような二次的事項に依存する。
【0176】
そうした組成物は、対象化合物が、所望の局所施用部近傍の胃腸管内で放出されるか、または、所望の作用を延長するためにさまざまな時間で放出されるように、一般にpHまたは時間依存性コーティング物を用いた通常の方法でコーティングすることもできる。そうした剤形は一般に、これらに限定されないが、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、オイドラギット(Eudragit)コーティング基剤、ワックスおよびシェラックの1つ以上を含む。
【0177】
経口使用のための製剤は、硬質または軟質シェルカプセル剤として存在することもできる。カプセル剤は、活性薬剤を含む特殊な容器または筐体で提供される剤形である。活性薬剤は、固体、液体、ゲルまたは粉末の形態または他の薬学的に許容される任意の形態で存在することができる。カプセルのシェルは、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたは変性ゼラチンもしくはでんぷんまたは他の材料でできていてよい。硬質シェルのカプセルは一般に、比較的高いゲル強度の骨ゼラチンおよび豚皮ゼラチンのブレンドでできている。軟質シェルのカプセルシェルはしばしば動物ゼラチンまたは植物ゼラチンでできている。カプセル自体は、少量の染料、不透明化剤(opaquing agent)、可塑剤および保存剤を含むことができる。
【0178】
カプセル中の活性薬剤は、不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合することができ、軟質ゼラチンカプセル剤の場合、活性成分は、水または油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合することができる。
【0179】
[注入用製剤および非経口製剤]
医薬組成物は、滅菌した注入用の水性または油性懸濁剤の形態であってよい。この懸濁剤は、上記したような適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当業界で周知のようにして処方することができる。滅菌注入用製剤は、例えば1,3−ブタンジオールの溶液のような、非経口的に許容される非毒性の希釈剤または溶媒中の滅菌注入用液剤または懸濁剤であってもよい。使用できる許容媒体および溶媒には、水、リンガ溶液(Ringer‘s solution)および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した固定油は溶媒または懸濁媒体として慣用的に用いられる。このために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無菌性固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注入剤の調製に有用である。
【0180】
本発明の化合物は、滅菌媒体で非経口的に提供することができる。非経口投与には、皮下注入、静脈内、筋肉内、髄腔内注入または注入技術が含まれる。使用する媒体および濃度に応じて薬物は、媒体中に懸濁するか、またはそれに溶解することができる。有利には、局部麻酔薬、保存剤および緩衝剤などの補助剤を媒体中に溶解させることができる。非経口投与のための組成物において、担体は一般に合計組成物の少なくとも約90重量%を構成する。
【0181】
[パッケージ化製剤]
本発明は、パッケージ化された併用薬剤を含む。そうしたパッケージ化併用薬剤は式Iの化合物を容器中に含む。その容器は、C型肝炎感染症などの患者のウイルス感染症を治療または防止する併用薬剤を使うための使用説明書をさらに含むことができる。
【0182】
パッケージ化併用薬剤は、1つ以上の追加の活性薬剤を含むことができる。
【0183】
<治療方法>
本発明は、C型肝炎感染症のリスクがあるか、またはC型肝炎ウイルスに感染している患者に有効量の本発明の化合物を提供することによってC型肝炎を防止し治療する方法を含む。
【0184】
本明細書で開示する併用薬剤は、患者のC型肝炎感染症を防止し治療するのに有用である。本発明の併用薬剤の有効量は、(a)C型肝炎に罹患しやすいが、それに罹っているとまだ診断されていない患者においてC型肝炎、またはC型肝炎の症状が生じるのを防止するか、あるいは、原発性C型肝炎感染症に関連するか、またはそれによって引き起こされる疾患(慢性HCV感染症関連をもたらす可能性がある肝線維症など)を防止し、(b)C型肝炎の進行を阻止し、かつ、(c)C型肝炎後退をもたらすのに十分な量であってよい。C型肝炎の進行を阻止するか、またはC型肝炎の後退をもたらすのに有効な医薬組成物の量は、C型肝炎の症状の悪化を止めるか、またはC型肝炎ウイルスに感染した患者にもたらされる症状を低減するのに有効な量を含む。あるいは、C型肝炎の進行の停止またはその後退は、その疾患についてのいくつかの指標のいずれかによって示すことができる。例えば、患者の血液における、C型肝炎ウイルス量の増大もしくは減少がないこと、または、循環HCV抗体数の増大もしくは減少がないことは、C型肝炎感染症の進行の停止またはその後退の指標である。他のC型肝炎疾患の指標には、アミノトランスフェラーゼレベル、特に肝臓酵素ASTおよびALTのレベルが含まれる。ASTの正常レベルは血清(血液の液体部分)リットル当たり5〜40単位であり、ALTの正常レベルは血清リットル当たり7〜56単位である。HCV感染患者では、通常これらのレベルは高くなる。疾患の後退は通常、ASTおよびALTのレベルが正常範囲に戻ることによって分かる。
【0185】
有効量の本発明の併用薬剤によって影響を受けるC型肝炎の症状には、肝機能の低下、疲労、インフルエンザ様症状:発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛および頭痛、吐き気、特定の食物の回避、原因不明の体重減少、うつ病を含む心理的障害、腹部での圧痛ならびに黄疸が含まれる。
【0186】
「肝機能」は、これらに限定されないが、血清タンパク質などのタンパク質の合成(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、yグルタミニルトランスペプチダーゼ等)、ビリルビンの合成、コレステロールの合成および胆汁酸の合成を含む合成機能;炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝、ホルモン代謝ならびに脂質代謝を含む肝代謝機能;外因性薬物の解毒;ならびに内臓および門脈血行動態を含む血行動態的機能を含む肝臓の通常機能を指す。
【0187】
有効量の本明細書に記載の組合せは、患者に投与された際のその濃度で、十分な濃度の活性薬剤も提供することになる。活性薬剤の十分な濃度は、感染症を防止するか、またはそれと闘うのに必要な患者の体内でのその薬剤の濃度である。そうした量は、実験的に、例えばその薬剤の血液濃度をアッセイするか、または生物学的利用能を理論的に計算することによって確かめることができる。インビトロでウイルス感染症を阻止するのに十分な活性薬剤の量は、文献に記載されているレプリコンをベースとしたアッセイなどのウイルス感染価についての通常のアッセイで判定することができる。
【0188】
本発明は、本発明の化合物および少なくとも1つの追加の活性薬剤を含む併用薬剤を予防的治療において用いることも含む。予防または防止治療の関連では、本発明の化合物の有効量は、患者がC型肝炎感染症に罹患するリスクを有意に低下させるのに十分な量である。
【0189】
治療方法には、ある投与量の本発明の化合物および少なくとも1つの追加の活性薬剤を患者に提供することを含む。上記に示した状態の治療には、1日当たり約0.1mg〜約140mg/kg体重(1日当たり約0.5mg〜約7g/患者)の各活性薬剤の投薬レベルが有用である。単一の剤形を作製するために担体材料と一緒にできる活性成分の量は、治療を受ける患者および具体的な投与方式によって変わる。単位剤形は各活性薬剤を通常約1mg〜約500mg含む。特定の実施形態では、日に25mg〜500mgまたは25mg〜200mgの本発明の化合物を患者に提供する。追加の活性薬剤がNM283(バロピシタビン)である場合、これらの薬剤のどれも一般に100mg〜1000mg/日、200mg〜800mg/日または200〜400mg/日を患者に提供する。追加の活性薬剤がVX−950である場合、1000mg〜3750mg/日または1200mg〜1800mg/日を患者に投与する。VX−950が追加の活性薬剤であり、約350〜約450mgもしくは約700〜約800mgのVX−950を患者に日に3回投与するか、または約350〜約450mgもしくは約700〜約800mgを12時間ごとに投与する治療レジメンが、本発明に特に含まれる。
【0190】
投薬頻度は、また使用する化合物および治療する具体的な疾患によって変わることになる。しかし、ほとんどの感染性疾患の治療のためには、日に4回またはそれ以下の投薬レジメンが好ましく、日に1または2回の投薬レジメンが特に好ましい。
【0191】
しかし、任意の特定患者のための具体的な用量レベルは、使用する具体的化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与の時間、投与経路、排出速度、薬物の組合せおよび治療を受ける具体的な疾患の重篤度を含むさまざまな因子に依存することを理解されよう。
組合せ方法
【0192】
本発明は、本発明の化合物またはその塩が1つ以上の追加の活性薬剤と合わせて提供される治療方法を含む。特定の実施形態では、その(1つ以上の)活性薬剤はHCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である。例えば、プロテアーゼ阻害剤はテラプレビル(VX−950)であってよく、ポリメラーゼ阻害剤は、バロピシタビン、またはそれがインビボでバロピシタビンに転換される活性薬剤であるNM107であってよい。
【0193】
本発明の方法によれば、本発明の化合物および追加の活性薬剤は、(1)共処方し、複合製剤で同時に投与するか送達するか、(2)別個の製剤として交互か、または並行して送達するか、あるいは、(3)当業界で周知の他の任意の併用療法レジメンによって送達することができる。交互療法で送達する場合、本発明の方法は、本発明の化合物と追加の活性薬剤を、例えば、別々の液剤、乳剤、懸濁剤、錠剤、丸剤もしくはカプセル剤、または別々のシリンジ中の異なる注入剤として順次投与するか、または送達することを含むことができる。一般に、交互療法の際は、有効用量の各活性成分を順次、すなわち連続的に投与するが、同時療法では、有効用量の2つ以上の活性成分を一緒に投与する。さまざまな順序の断続的な併用療法も用いることができる。
【0194】
特定の実施形態では、治療方法は、式Iの化合物とペグ化インターフェロンまたはインターフェロンγなどのインターフェロンを患者に提供することを含む。インターフェロンは、本発明の化合物と提供する唯一の化合物であってよく、また、インターフェロンではない追加の活性薬剤と一緒に提供してもよい。
【0195】
本発明の治療方法および本発明の化合物を含む併用薬剤、追加の活性薬剤として、以下の化合物および物質のいずれか1つまたはその組合せが含まれる。
カスパーゼ阻害剤:IDN6556(Idun Pharmaceuticals)
サイクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤:リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
グルココルチコイド:ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾンおよびデキサメタゾン
ヘマトポエチン:ヘマトポエチン−1およびヘマトポエチン−2。さまざまなコロニー刺激因子(例えば、(例えば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF)、EpoおよびSCF(幹細胞因子))などのヘマトポエチン下位ファミリの他のメンバ
ホメオパシ療法:マリアアザミ、シリマリン、朝鮮人参、グリシルリジン、甘草、マツブサ属(schisandra)、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンおよびセレン
免疫調節化合物:サリドマイド、IL−2、ヘマトポエチン、IMPDH阻害剤、例えばメリメポジブ(Merimepodib)(Vertex Pharmaceuticals Inc.)、天然インターフェロン(OMNIFERON、ViragenおよびSUMIFERON、Sumitomoなど、天然インターフェロンのブレンド)、天然インターフェロンα(ALFERON、Hemispherx Biopharma、Inc.)、リンパ芽球様細胞からのインターフェロンα nl(WELLFERON、Glaxo Wellcome)、経口用αインターフェロン、ペグインターフェロン、ペグインターフェロンα 2a(PEGASYS、Roche)、組み換えインターフェロンα 2a(ROFERON、Roche)、吸入用インターフェロンα 2b(AERX、Aradigm)、ペグインターフェロンα 2b(ALBUFERON、Human Genome Sciences/Novartis、PEGINTRON、Schering)、組み換えインターフェロンα 2b(INTRON A、Schering)、ペグ化インターフェロンα 2b(PEG−INTRON、Schering、VIRAFERONPEG、Schering)、インターフェロンβ−1a(REBIF、Serono、Inc.and Pfizer)、コンセンサスインターフェロンα(INFERGEN、Valeant Pharmaceutical)、インターフェロンγ−1b(ACTIMMUNE、Intermune、Inc.)、非ペグ化インターフェロンα、αインターフェロンを含むインターフェロンおよびその類似物ならびに合成チモシンα 1(ZADAXIN、SciClone Pharmaceuticals Inc.)
免疫抑制剤:シロリムス(RAPAMUNE、Wyeth)
インターロイキン:(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−β、TNF−α)および他の低分子量因子(例えば、AcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモンおよびミニサイトカイン(minicytokine))
インターフェロンエンハンサ:EMZ702(Transition Therapeutics)
IRES阻害剤:VGX−410C(VGX Pharma)
モノクローナルおよびポリクローナル抗体:XTL−6865(XTL)、HuMax−HepC(Genmab)、C型肝炎免疫グロブリン(ヒト)(CIVACIR、Nabi Biopharmceuticals)
ヌクレオシド類似物:ラミブジン(EPIVIR、3TC、GlaxoSmithKline)、MK−0608(Merck)、ザルシタビン(HIVID、Roche US Pharmaceuticals)、リバビリン(COPEGUS(Roche)、REBETOL(Schering)、VILONA(ICN PharmaceuticalsおよびVIRAZOLE(ICN Pharmaceuticals)を含む)、およびリバビリンのアミジンプロドラッグであるビラミジン(Valeant Pharmaceuticals)。ヌクレオシド類似物の組合せも用いることができる。
非ヌクレオシド阻害剤:PSI−6130(Roche/Pharmasset)、デラビリジン(RESCRIPTOR、Pfizer)およびHCV−796(Viropharm)
P7タンパク質阻害剤:アマンタジン(SYMMETREL、Endo Pharmaceuticals、Inc.)
ポリメラーゼ阻害剤:NM283(バロピシタビン)(Idenix)およびNM107(Idenix)
プロテアーゼ阻害剤:BILN−2061(Boehringer Ingelheim)、GW−433908(アンプレナビルのプロドラッグ、Glaxo/ Vertex)、インジナビル(CRIXIVAN、Merck)、ITMN−191(Intermune/Array Biopharma)、VX950(Vertex)および上記プロテアーゼ阻害剤の1つ以上を含む組合せ
RNA干渉法:SIRNA−034 RNAi(Sirna Therapeutics)
治療ワクチン:IC41(Intercell)、IMN−0101(Imnogenetics)、GI 5005(Globeimmune)、Chronvac−C(Tripep/Inovio)、ED−002(Imnogenetics)、ヘパバックス(Hepavaxx)C(ViRex Medical)
TNFアゴニスト:アダリムマブ(HUMIRA、Abbott)、エタネルセプト(ENBREL、Amgen and Wyeth)、インフリキシマブ(REMICADE、Centocor、Inc.)
チューブリン阻害剤:コルヒチン
スフィンゴシン−1−リン酸受容体修飾物質:FTY720(Novartis)
TLRアゴニスト:ANA−975(Anadys Pharmaceuticals)、TLR7アゴニスト(Anadys Pharmaceuticals)、CPG10101(Coley)およびCPG7909(Coley)を含むTLR9アゴニスト
サイクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
【0196】
C型肝炎の投薬治療を受ける患者は通常、別の活性薬剤と合わせてインターフェロンを与えられる。したがって、本発明の化合物が、追加の活性薬剤としてのペグ化インターフェロンα2aなどのインターフェロンと併用して与えられる治療方法および薬剤の組合せが、実施形態として含まれる。同様に、リバビリンが追加の活性薬剤である方法および薬剤組合せが本明細書で提供される。
【実施例】
【0197】
<合成方法>
ある種の反応は、化合物中の他の官能基をマスキングするか、または保護し、それによって反応収率を増大させ、かつ/または望ましくない副反応を回避した場合に、最もうまくゆくことを、当業者は容易に理解されよう。そうした高い収率を実現するか、または望ましくない反応を回避するために、当業者はしばしば保護基を利用する。こうした反応は文献に記載されており、これも当業者の理解の範囲内である。
【0198】
本発明を以下の実施例でさらに説明するが、これらは、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本出願を通して引用されるすべての参考文献、特許および公開特許出願を本願に引用して援用する。
【0199】
<化学的略語>
実施例1〜3において以下の化学的略語を使用する。これらの実施例において用いる他の略語は、有機化学合成技術分野の技術者に周知であろう。
BOC t−ブトキシカルボニル
c. 濃縮(された)
CbZ ベンジルオキシカルボニル
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
EDCI 1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド
EtN トリエチルアミン
HOBt 3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TRIS 2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール
【0200】
<実施例1:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−メトキシ−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物11)の合成>
【化145】


スキーム1
【0201】
[ステップ1:(S)−メチル2−シクロヘキシル−2−((S)−2−(BOC−アミノ)−3,3−ジメチルブタンアミド)アセテート(化合物3)の調製]
DCM(20ml)中のBoc−L−tert−レンシン(lencine)(2、0.37g、1.6ミリモル)に、HOBt水和物(0.27g、1.76ミリモル)、続いてEDCI塩酸塩(0.34g、1.76ミリモル)を加える。混合物を室温で10分間撹拌する。L−2−シクロヘキシルグリシンメチルエステル塩酸塩(1、0.333g、1.6ミリモル)を加え、続いてDIPEA(0.61ml、3.5ミリモル)を加える。終夜撹拌した後、DCMを蒸発により除去する。残留物を酢酸エチル(50ml)で処理し、水系の後処理にかける。有機層を1N HCl(10ml)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10ml×5)およびブライン(10ml)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水する。混合液をろ過し、溶媒を蒸発により除去して、化合物3(0.6g)を白色固体として得る。
【0202】
[ステップ2:(S)−メチル−2−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタンアミド)−2−シクロヘキシルアセテート(化合物4)の調製]
化合物3(0.1g、0.26ミリモル)をDCM(2ml)に溶解し、TFA(1ml)で、0℃で2時間処理する。揮発分を蒸発させて、化合物4を、使える状態のTFA塩で得る。
【0203】
[ステップ3:(3S,5S)−5−(メトキシカルボニル)−1−メチルピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物6)の調製]
DCM(10ml)に溶解したBoc−cis−L−4−ヒドロキシプロリンメチルエステル5(1.0g、4.08ミリモル)を、DCM(30ml)中のCDI(0.661g、4.08ミリモル)の溶液に滴下する。2時間撹拌した後、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.543g、4.08ミリモル)を加え、混合物を終夜撹拌する。溶媒を除去し、残留物を水系の後処理にかける。酢酸エチル(100ml)層を、1N HCl(20ml)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20ml×3)およびブライン(10ml)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水する。混合液をろ過し、蒸発により溶媒を除去して化合物6(1.45g、88%)を淡黄色シロップ状物として得る。
【0204】
[ステップ4:(3S,5S)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物7)の調製]
DCM(20ml)に溶解した化合物6(1.45g、3.6ミリモル)を0℃でTFA(10ml)で処理した。2時間後、揮発分を蒸発させる。残留物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、DCMで抽出する。溶媒を蒸発させて、化合物7(0.86g、79%)を淡黄色粉末として得る。
【0205】
[ステップ5:(3S,5S)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物8)の調製]
0℃で強力に撹拌しながら、ホスゲンのトルエン溶液(1.9M、1.58ml)を、THF(5ml)中の化合物7(91.2mg、0.3ミリモル)と重炭酸ナトリウム(s、3g)のスラリーに急速に加える。室温で10分間さらに撹拌した後、混合物をセライト(celite)でろ過し、次いで蒸発させて乾燥する。得られた淡黄色シロップ状物をDCM(5ml)に溶解する。重炭酸ナトリウム(s、3g)に続いて、アミノアルコール(280mg、1.5ミリモル)およびDIPEA(0.26ml)を加える。終夜撹拌した後、溶媒を除去し、残留物を水系の後処理にかける。酢酸エチル(50ml)層を、1N HCl(10ml)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10ml×3)およびブライン(10ml)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水する。混合液をろ過し、溶媒を蒸発により除去して、化合物8(粗製物、190mg)をシロップ状物として得る。次のステップのためにさらに精製することはしない。
【0206】
[ステップ6:(2S,4S)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(化合物9)の調製]
得られた上記化合物8(190mg)を、60℃でメタノール(5ml)中の水酸化リチウム一水和物(22mg、0.5ミリモル)で処理する。1時間後には加水分解が完了する。揮発分を蒸発により除去する。残留物を水(10ml)に溶解する。1N HClを加えてpHを約2に調節する。生成した沈殿物をDCMに抽出する。蒸発させた後に得られた化合物9(粗製物、190mg)を次のステップで使用する。
【0207】
[ステップ7:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−メトキシ−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物10)の調製]
HATU(114mg、0.3ミリモル)をDCM/DMF(2ml/2ml)中の化合物9(190mg)に加え5分間撹拌する。DCM(2ml)中のステップ2からの化合物4(122mg)を加え、続いてDIPEA(0.087ml、0.5ミリモル)を加える。終夜撹拌した後、混合物を蒸発させて乾燥し、HPLCで精製して、化合物10(粗製物、78.5mg)を次のステップ用にシロップ状物として得る。
【0208】
[ステップ8:最終生成物(化合物11)の調製]
化合物10(78.5mg、0.101ミリモル)を、DCM(2ml)中のデス−マーチン(Dess−Martin)試薬(86mg、0.2ミリモル)を用いて室温で終夜処理する。HPLC精製により最終化合物11(13.2mg)を得る。
【0209】
<実施例2:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物16)>
化合物16の合成をスキーム2に示す。
【化146】


スキーム2
【0210】
[ステップ1:(S)−2−シクロヘキシル−2−((S)−2−(BOC−アミノ)−3,3−ジメチルブタンアミド)酢酸(化合物12)の調製]
化合物3(1.07g、2.78ミリモル)をメタノール(25ml)に溶解し、60℃で2N水酸化ナトリウム水溶液(4.2ml)で処理する。2時間後、混合物を濃縮し、水(20ml)を加える。1N HCl水溶液を加えてpHを約2にし、DCM(20ml×3)で抽出する。DCMを無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、蒸発させて、化合物12(1.0g、97%)を白色泡状物として得る。
【0211】
[ステップ2:(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチル)−2−(BOC−アミノ)−3,3−ジメチルブタンアミド(化合物13)の調製]
化合物12(1.0g、2.7mol)をDCM 30(ml)に溶解し、EDCI−HCl(0.52g、2.7ミリモル)とHOBt−HO(0.41g、2.7ミリモル)で処理する。混合物を室温で10分間撹拌し、次いでメチルアミン水溶液(40%、0.71ml、8.1ミリモル)を加える。3時間後、混合物を濃縮し、酢酸エチル(50ml)で抽出する。化合物13(1.01g、97%)を白色粉末として得る。
【0212】
[ステップ3:(S)−2−アミノ−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチル)−3,3−ジメチルブタンアミド(化合物14)の調製]
DCM(4ml)に溶解した化合物13(0.192g、0.5ミリモル)を、TFA(2ml)で0℃で2時間処理する。揮発分を蒸発させて化合物14を次のステップ用にそのTFA塩として得る。
【0213】
[ステップ4:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物15)の調製]
DCM(10ml)中の化合物9(0.37g、0.65ミリモル)を、EDCI−HCl(0.125g、0.65ミリモル)とHOBt−HO(0.099g、0.65ミリモル)で、室温で10分間処理する。DCM(5ml)に溶解させた化合物14を加え、続いてDIPEA(0.26ml、1.5ミリモル)を加える。混合物を終夜撹拌する。水系の後処理にかけた後、化合物15(粗製物、0.455g)を白色泡状物として得る。
【0214】
[ステップ5:表題化合物(化合物16)の調製]
化合物16(90mg)を化合物11の合成で説明した方法により得る。
【0215】
<実施例3:(3S,5R)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソペンタン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物25)の合成>
化合物25の合成をスキーム3に示す。
【化147】


スキーム3
【0216】
[ステップ1:(2R,4S)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシレート(化合物18)の調製]
塩化チオニル(0.83ml、11.4ミリモル)を、メタノール(25ml)中のH−D−Hyp−OH(1.0g、7.6ミリモル)の懸濁液に0℃で滴下する。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで65℃でさらに1時間撹拌する。溶媒を蒸発させて乾燥する。化合物18を白色結晶として得る。これを次のステップで使用する。
【0217】
[ステップ2:(2R,4S)−メチル−4−ヒドロキシ−1−CbZ−ピロリジン−2−カルボキシレート(化合物19)の調製]
クロロベンジルホルメート(1.7ml、11.4ミリモル)を、THF(35ml)中の化合物18、重炭酸ナトリウム(s、4g)および飽和重炭酸ナトリウム(5ml)の混合物に0℃で加える。
【0218】
室温で3時間撹拌した後、TRIS(1.4g)を加え、続いて水系の後処理にかける。粗生成物を、シリカゲル(ヘキサン(Hex)/酢酸エチル、1/1〜1/2)を用いたフラッシュクロマトグラフィにかける。化合物19(2.14g、100%)を無色シロップ状物として得た。
【0219】
[ステップ3:(3S,5R)−5−(メトキシカルボニル)−1−CbZ−ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物20)の調製]
DCM(20ml)に溶解した化合物19(1.28g、4.6ミリモル)を、DCM(30ml)中のCDI(0.75g、4.6ミリモル)溶液に滴下する。2時間撹拌した後、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.644ml、4.6ミリモル)を加え、混合物を終夜撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル、2/1〜1/1)を用いたフラッシュクロマトグラフィにかける。化合物20(1.8g、90%)を淡黄色シロップ状物として得る。
【0220】
[ステップ4:(3S,5R)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物21)の調製]
触媒量のパラジウム(カーボンに5%担持)の存在下で、酢酸エチル/メタノール(4/1、30ml)に溶解した化合物20(1.81g、4.1ミリモル)を、水素バルーンで終夜かけて水素化する。それが完了したら、混合物をろ過し、溶媒を蒸発させて、化合物21(1.24g、99%)を白色泡状物として得る。
【0221】
[ステップ5:(3S,5R)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物22)の調製]
化合物21(0.164g、0.54ミリモル)から出発して、化合物22(粗製物、0.32g)を、化合物8の調製のためのステップで説明したのと同じ方法で得る。
【0222】
[ステップ6:(2R,4S)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(化合物23)の調製]
化合物22(0.32g)を、化合物9の調製のためのステップで説明した方法で処理する。化合物23(粗製物、0.25g)を、次のステップで使用するための黄色シロップ状物として得る。
【0223】
[ステップ7:(3S,5R)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物24)の調製]
化合物14(0.33、0.54ミリモル)と化合物23(0.25g)を化合物15の調製について説明した方法でカップリングさせる。化合物24(粗製物、0.23g)を、次のステップで使用するための黄色シロップ状物として得る。
【0224】
[ステップ8:表題化合物(化合物25)の調製]
化合物25(23mg)を、化合物11の合成について説明した方法で得る。
【0225】
<実施例4:1−((2S,4S)−2−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシアミド)−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(化合物33)の合成>
化合物33の合成をスキーム4に示す。
【化148】


スキーム4
【0226】
[ステップ1:エチル 1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(化合物27)の調製]
化合物26(0.255g、1ミリモル)をDCM−TFA(6ml−3ml)で、0℃で1時間処理する。揮発分を蒸発させて乾燥させる。化合物27(0.321g)を次のステップで使用するための油状物として得る。
【0227】
[ステップ2:エチル 1−イソシアナート−2−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(化合物28)の調製]
トルエン中のホスゲン(1.9M、5.3ミリモル、10ミリモル)を、THF(10ml)中の化合物27(0.321g)と重炭酸ナトリウム(10g)の混合物に撹拌しながら0℃で加える。室温で20分後、混合液をろ過し、濃縮して化合物28(0.42g)をシロップ状物として得る。
【0228】
[ステップ3:(2S,4S)−1−BOC−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(化合物29)の調製]
メタノール−水(15ml−5ml)中の化合物6(1.42g、3.5ミリモル)を水酸化リチウム一水和物(0.294g、7ミリモル)で終夜処理する。揮発分を除去し、残留物を水(20ml)に溶解させる。1N HClを加えてpHを2に調節し、水溶液をDCM(15ml×3)で抽出する。DCMを無水硫酸ナトリウムで脱水し、蒸発させて化合物29(1.23g、90%)を白色泡状物として得る。
【0229】
[ステップ4:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−エチルピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物30)の調製]
室温で、DCM(2ml)中の化合物29(0.156g、0.4ミリモル)を、HOBt(61.2mg、0.4ミリモル)およびEDCI(77mg、0.4ミリモル)で10分間処理する。化合物14(0.4ミリモル)を加え、続いてDIPEA(0.13ml)を加える。終夜撹拌した後、混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、1N HCl、飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで順次洗浄する。DCMを除去した後、化合物30(粗製物、0.238g)を得た。
【0230】
[ステップ5:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物31)の調製]
化合物30(0.238g)をDCM−TFA(3ml−1.5ml)で、0℃で1時間処理する。揮発分を蒸発させて乾燥する。化合物31(粗製物、0.253g)を、次のステップで使用するための白色泡状物として得る。
【0231】
[ステップ6:(3S,5S)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物32)の調製]
DCM(5ml)中の化合物31(0.231g)と重炭酸ナトリウム(5g)の混合物に、撹拌しながら、DCM−THF(2ml−2ml)中の化合物28(0.2g)を加える。終夜撹拌した後、溶液をろ過し、濃縮して、化合物32(粗製物、0.323g)を淡黄色泡状物として得る。
【0232】
[ステップ7:表題化合物(化合物33)の調製]
メタノール−水(10ml−6ml)中の化合物32(0.323g)を2N水酸化ナトリウム(2ml)で終夜処理する。酸性の後処理をした後、粗生成物をHPLCで精製して、化合物33(54mg)を粉末として得る。
【0233】
<実施例5:1−((2R,4S)−2−((S)−1−((S)−3−エチル−1−(メチルアミノ)−1−オキソペンタン−2−イルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシアミド)−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(化合物38)の合成>
化合物38の合成をスキーム5に示す。
【化149】


スキーム5
【0234】
[ステップ1:(2R,4S)−1−エチル−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(化合物34)の調製]
メタノール−水(12ml−4ml)中の化合物20(1.15g、2.6ミリモル)を、水酸化リチウム一水和物(0.22g、5.25ミリモル)で終夜処理する。揮発分を除去し、残留物を水(20ml)に溶解させる。1N HClを加えてpHを2に調節し、水溶液をDCM(15ml×3)で抽出する。DCM層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、蒸発させて化合物34(0.92g、83%)を白色泡状物として得る。
【0235】
[ステップ2:(3S,5R)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−エチルピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物35)の調製]
室温で、DCM(2ml)中の化合物34(0.17g、0.4ミリモル)を、HOBt(61.2mg、0.4ミリモル)およびEDCI(77mg、0.4ミリモル)で10分間処理する。化合物14(0.4ミリモル)を加え、続いてDIPEA(0.13ml)を加える。終夜撹拌した後、混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、1N HCl、飽和重炭酸ナトリウム、およびブラインで順次洗浄する。DCMを除去した後、化合物34(粗製物、0.274g)を白色泡状物として得る。
【0236】
[ステップ3:(3S,5R)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物36)の調製]
酢酸エチル−メタノール(8ml−4ml)中の化合物35(0.274g)を、カーボン担持(5%)パラジウムの存在下、水素(バルーン)で終夜処理する。混合液をろ過し、蒸発させて化合物36(粗製物、0.186g)を白色泡状物として得る。
【0237】
[ステップ4:(3S,5R)−5−((S)−1−((S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキシエチルアミノ)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−1−(1−(エトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)ピロリジン−3−イル 3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシレート(化合物37)の調製]
DCM(5ml)中の化合物36(0.186g)と重炭酸ナトリウム(1g)の混合物に、撹拌しながら、DCM−THF(2ml−2ml)中の化合物28(0.2g)を加える。終夜撹拌した後、ろ過し、濃縮して、化合物37(粗製物、0.367g)を白色泡状物として得る。
【0238】
[ステップ5:表題化合物(化合物38)の調製]
メタノール−水(10ml−6ml)中の化合物37(0.367g)を2N水酸化ナトリウム(2ml)で終夜処理する。酸性の後処理をした後、粗生成物をHPLCで精製して、化合物38(27mg)を灰白色粉末として得る。
【0239】
<実施例6:大環状尿素(化合物39)の合成>
尿素含有大環状ペプチドケトアミドの合成は、スキーム6に示すようにして実施することができる。
【化150】


スキーム6
【0240】
<実施例7:シクロプロピル連結基を有する大環状尿素(化合物40)の合成>
大環状環中にシクロプロピルを有する大環状ペプチド酸の合成は、スキーム7に示すようにして実施することができる。
【化151】


スキーム7
【0241】
<実施例8:他の化合物>
以下の化合物を、実施例1〜7に示した方法で調製する。
【0242】
【表1】

【0243】
【表2】

【0244】
【表3】

【0245】
<実施例9:HCV複製を阻害する化合物を特定するためのアッセイ>
本明細書で特許請求する化合物を、HCVレプリコン構造を取り込んだ培養細胞中においてC型肝炎レプリコンのウイルス複製を阻害する能力について試験する。HCVレプリコン系は、バーテンシュレーガー(Bartenschlager)ら(Science、285、pp.110−113(1999))に記載されている。レプリコン系はインビボでの抗HCV活性を予測するものであり、ヒトにおいて活性な化合物は、レプリコンアッセイにおいて一様に活性を示す。
【0246】
このアッセイでは、HCVレプリコン含有細胞を、異なる濃度の試験化合物で処理して、試験化合物がHCVレプリコンの複製を抑制する能力を確認する。陽性対照として、HCVレプリコン含有細胞を、異なる濃度のインターフェロンα(HCV複製の周知の阻害剤である)で処理する。宿主細胞におけるレプリコン遺伝子産生物の転写を検出するために、レプリコンアッセイシステムは、レプリコン自体の成分としてネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)を含む。HCVレプリコンが活発に複製している細胞は高いレベルのNPTを有しており;NPTのそのレベルはHCV複製に比例する。HCVレプリコンが複製していない細胞も低いレベルのNPTは有しており、したがって、ネオマイシンで処理した場合、生存することはできない。各試料のNPTレベルは、捕捉された(captured)ELISAを用いて測定する。
【0247】
レプリコン構造を取り込んだC型肝炎レプリコン培養細胞のウイルス複製を阻害する能力についての化合物の試験手順は以下の通りである。
【0248】
[9A:HCVレプリコンおよびレプリコン発現]
HCVゲノムは、3000のアミノ酸ポリタンパク質をコード化する単一のORFからなる。ORFは、内部リボソーム侵入部位(IRES)として働く非翻訳領域が5’側に隣接しており、ウイルス複製(3’−NTR)に必要な高度に保存された配列が3’側に隣接している。ウイルス感染に必要な構造タンパク質は、ORFの5’末端の近傍に位置している。NS2−NS5Bと表される非構造タンパク質は、ORFの残りの部分を含む。
【0249】
HCVレプリコンは、5’−3’、HCV−IRES、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、脳心筋炎ウイルスのIRES(HCV配列NS3〜NS5Bの翻訳を導く)、および3’−NTRを含む。HCVレプリコンの配列は、GenBankに寄託されている(受託番号AJ242652)。
【0250】
レプリコンを、エレクトロポレーションなどの標準的方法を用いて、Huh−7細胞に形質移入する。
【0251】
[9B:細胞の維持]
装置および材料としては、これらに限定されないが、Huh−7HCVレプリコン含有細胞、維持培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、および500μg/mlのジェネチシン(Geneticin)(G418)を補充されたDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)、スクリーニング培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)を補充されたDMEM)、96ウェル組織培養プレート(平底)、96ウェルプレート(薬物希釈用のU型底部)、陽性対照用のインターフェロンα、固定化試薬(メタノール:アセトンなど)、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体:Eu−N1lおよびエンハンスメント溶液(enhancement solution)が挙げられる。
【0252】
HCVレプリコン含有細胞は、その密度が適切である場合、高レベルのウイルスRNAレプリコン複製を補助する。過度のコンフルエンシ(confluency)はウイルスRNA複製を減少させる。したがって、細胞を、500μg/mlのG418の存在下、対数期で増殖させ続けなければならない。一般に、細胞に、週に2回1:4〜6の希釈を施すべきである。細胞維持は以下のようにして実施する。
【0253】
HCVレプリコン含有細胞を、顕微鏡下で検査して、細胞が十分増殖していることを確認する。細胞をPBSで1回濯ぎ、2mlトリプシンを加える。細胞/トリプシン混合物を、COインキュベータ中、37℃で3〜5分間インキュベートする。インキュベーションした後、10mlの完全培地を加えてトリプシン化反応を停止させる。細胞を穏やかにブローして15mlチューブに入れ、1200rpmで4分間遠心する。トリプシン/培地溶液を除去する。培地(5ml)を加え、細胞を注意深く混合する。細胞数を数える。
【0254】
次いで細胞を、6000〜7500細胞/100μl/ウェル(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)の密度で96ウェルプレート上に播種する。プレートを5%COインキュベータ中、37℃でインキュベートする。
【0255】
播種した後で、かつ薬物を加える前に、細胞を顕微鏡下で約24時間検査する。計数および希釈が正しく実行されておれば、細胞は60〜70%コンフルエント(confluent)であり、ほぼすべての細胞が、ウェル中に均一に付着し広がっているはずである。
【0256】
[9C:試験化合物による細胞を含むHCV−レプリコンの処理]
HCVレプリコン含有細胞をPBSで1回濯ぎ、次いで2mlのトリプシンを加える。細胞を、5%COインキュベータ中、37℃で3〜5分間インキュベートする。10mlの完全培地を加えて反応を停止させる。細胞を穏やかにブローして15mlチューブに入れ、1200rpmで4分間遠心する。トリプシン/培地溶液を除去し、BRLカタログ番号12430−054からの培地5ml(500ml DMEM(高グルコース));50mlの10%FBS、5%ジェネチシンG418(50mg/ml、BRLカタログ番号10131−035)、5mlMEM非必須アミノ酸(100xBRL#11140−050)および5mlのpen−strep(BRL#15140−148)を加える。細胞と培地を注意深く混合する。
【0257】
細胞を、スクリーニング培地(500ml DMEM(BRL#21063−029)、50ml FBS(BRL#10082−147)および5ml MEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050)で、96ウェルプレートの1ウェル当たり6000〜7500細胞/100μl(6〜7.5x10細胞/10ml/プレート)で蒔く。プレートを5%COインキュベータ中、37℃で終夜保持する。
【0258】
[9D:アッセイ]
翌朝、スクリーニングのために選んだ最終濃度に応じて、薬物(試験化合物またはインターフェロンα)を、培地またはDMSO/培地で96ウェルU底プレート中で希釈する。通常、各試験化合物の6つの濃度について、10ミクロモル(micromolar)〜0.03ミクロモルの範囲の濃度が適用される。100μlの試験化合物希釈物を、HCVレプリコン細胞を含む96ウェルプレートのウェルに入れる。薬物を含まない培地を、陰性対照としていくつかのウェルに加える。DMSOは細胞増殖に影響を及ぼすことが知られている。したがって、DMSOに希釈した薬物を用いた場合、陰性対照(培地のみ)および陽性対照(インターフェロンα)ウェルを含むすべてのウェルは、単一用量スクリーニングのため、同一濃度のDMSOを含むようにしなければならない。プレートを、加湿した5%CO環境下、37℃で3日間インキュベートする。
【0259】
4日目に、NTPIIアッセイで定量する。培地を、プレートから注ぎ、プレートを200μlのPBSで1回洗浄する。次いでPBSをデカントし、プレートをペーパータオル上でタッピングして残りのPBSを除去する。細胞を、100μl/ウェルの予め冷却した(−20℃)メタノール:アセトン(1:1)で、インサイチュで固定し、プレートを−20℃で30分間保持する。
【0260】
固定溶液をプレートから注ぎ、プレートを完全に風乾させる(約1時間)。乾燥した細胞層の外観を記録し、有毒ウェル中の細胞密度を裸眼で採点する。あるいは、細胞の生存率を、以下で説明するMTSアッセイを用いて評価することができる。
【0261】
ウェルを、200μlのブロッキング溶液(10%FBS;PBS中の3%NGS)で、室温で30分間ブロックする。ブロッキング溶液を除去し、ブロッキング溶液中に1:1000で希釈したウサギ抗NPTII 100μlを各ウェルに加える。次いでプレートを室温で45〜60分間インキュベートする。インキュベーションした後、ウェルをPBS−0.05%Tween20溶液で6回洗浄する。ブロッキング緩衝液中に1:15,000希釈したユウロピウム(EU)接合ヤギ抗ウサギ100μlを各ウェルに加え、室温で30〜45分間インキュベートする。プレートを再度洗浄し、100μlのエンハンスメント(Perkin Elmer#4001−0010)を各ウェルに加える。各プレートをプレート振とう機で3分間振とう(約30rpm)させる。各ウェルから95μlをブラックプレートへ移し、EUシグナルをPerkin−Elmer VICTORプレートリーダ(EU−Lance)で定量する。
【0262】
このアッセイで、化合物11は約10ミクロモルのEC50値を示す。このアッセイで化合物16、25、33および38は50ミクロモル未満のEC50値を示す。
【0263】
<実施例10:細胞毒性アッセイ>
レプリコン複製の減少が、非特異的毒性よりもHCVレプリコンに対する化合物活性に起因することを確認するために、アッセイを用いて化合物の細胞毒性を定量化する。
【0264】
[10A:細胞毒性についての細胞タンパク質アルブミンアッセイ]
細胞タンパク質アルブミンの測定は、細胞毒性の1つの指標を提供する。細胞アルブミンアッセイにより得られたタンパク質レベルを、化合物の抗ウイルス活性についての正規化基準を提供するのに用いることもできる。タンパク質アルブミンアッセイでは、HCVレプリコン含有細胞を、異なる濃度のヘリオキサチン(高い濃度で細胞毒性があることが知られている化合物である)で3日間処理する。細胞を溶解し、この細胞溶解物を用いて、プレート結合ヤギ抗アルブミン抗体と結合させる(室温(25℃〜28℃)で3時間)。次いでプレートを1XPBSで6回洗浄する。未結合のタンパク質を洗い流した後、マウスモノクローナル抗ヒト血清アルブミンを施してプレート上のアルブミンと結合させる。次いで複合体を、二次抗体としてホスファターゼ標識抗マウスIgGを用いて検出する。
【0265】
[10B:細胞毒性についてのMTSアッセイ]
細胞生存率は、CELLTITER96 AQUEOUS ONE Solution Cell Proliferation Assay(Promega、Madison WI)で決定することもできる。このアッセイは、生存細胞数を決定するための比色アッセイである。この方法では、細胞を固定する前に、メーカの使用説明書にしたがって10〜20μlのMTS試薬を各ウェルに加え、プレートを37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。インキュベーション期間の間に生細胞は、MTS試薬をホルマザン生成物(490nmで吸収する)に転換させる。したがって490nmの吸光度は、培養物中の生細胞の数に正比例する。
【0266】
細胞毒性を判定するための細胞アルブミン法とMTS法の直接比較は以下のようにして得ることができる:細胞を、異なる濃度の試験化合物またはヘリオキサチンで3日間処理する。上記したアルブミンを検出するために溶解する前に、メーカの使用説明書にしたがって、MTS試薬を各ウェルに加え、37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。次いで、上記したようにして細胞アルブミンの定量化を実施する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式からなることを特徴とする化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化1】


(式中、
mは1または2であり、nは、0、1または2であり、tは、0、1または2であり;
【化2】


は二重結合または単一の共有結合を表し、次の基、
【化3】


は、0、1または2個の二重結合を含み;
Rは、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであるか;あるいは、
Rは、tが1である場合、任意選択でTと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであるか;あるいは、
は、tが0である場合、任意選択でTと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
、R、R、R、RおよびRは、独立に、
(a)水素、ハロゲン、アミノ、C〜CハロアルキルもしくはC〜Cハロアルコキシ、あるいは、
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(フェニル)C〜CアルキルまたはモノもしくはジC〜Cアルキルアミノであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか;あるいは、
とR、RとRまたはRとRのいずれか1つ以上は結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成していてよく、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されているか、あるいは、
は、(i)R(Rはメチレン基である)と共有結合するか、または(ii)RとRが結合して形成されたシクロアルキル基と共有結合して、3〜7員シクロアルキル環を形成する、C〜C11飽和もしくは不飽和炭化水素鎖であり;
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;
は、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R13、−NR10SO13、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)OR13または−CONR1314であるか、あるいは、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、−COOH、−CONH、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、モノまたはジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか;あるいは、
は、次式
【化4】


(pは1または2である)
のホスホネートであるか;
は、RXC〜Cアルキル−であり、ただし、Xは−(C=O)NH−または−NH(C=O)−であり、Rはアリールまたはヘテロアリールであるか;あるいは、
は、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であり、ただし、Rはハロゲンであるか、またはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルもしくは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
Uは、単結合、ヒドロキシルで任意選択で置換されたCH、またはカルボニルであり;
Tは、水素、R13、−CONR1011、−(SO)NR1011、−(C=S)NR1011、−(C=O)R12、−SO12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12、−OR12または−N(C=O)R12であるか;あるいは、
Tは、tが1である場合、Rと任意選択で結合して5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しているか;あるいは、
Tは、tが0である場合、Rと任意選択で結合して5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しているか;あるいは、
Tは次式
【化5】


の基であり、
Aは、水素、R13、−(C=O)R12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12もしくは−OR12であるか、または、
AはBと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
Bは、水素もしくはC〜Cアルキルであるか、または
Bは、ヘテロシクロアルキル環中でAと結合しており;
JはCR1819であるか、またはJはYと一緒になって3〜7員炭素環もしくは複素環を形成しており、その環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており;JがYと一緒になって環を形成している場合、Zは存在していなくてよく;
LはC1819であるか、またはLはYと一緒になって3〜7員炭素環もしくは複素環を形成しており、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており;LがYと一緒になって環を形成している場合、Zは存在していなくてよく;
Mは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであるか、あるいは、Mは、Yと一緒になって3〜7員炭素環または複素環を形成しており、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており;MとYで形成されたそのシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環はフェニルまたはピリジル基と任意選択で縮合しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており、MがYと一緒になって環を形成している場合、Zは存在していなくてよく;
J、LおよびMのうちの1つだけはYと一緒になって環を形成しており;
Yは存在しないか、CR2021、NR22、S、O、−O(C=O)(NR22)−、NH(C=O)(NR22)−、NH(S=O)(NR22)−または−O(C=O)−であるか;あるいは、
Yは、J、LまたはMのうちの1つと一緒になって環を形成しており;
Zは、存在する場合、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(単環式もしくは二環式アリール)C〜Cアルキル、(単環式もしくは二環式ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、三環式アリールまたは三環式ヘテロアリールであり;そのZのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、−SONR1112、−CONR1112、−NR11(C=O)R12、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシならびに0もしくは1個の置換(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは9もしくは10員二環式ヘテロアリールから独立に選択される0もしくは1つ以上の置換基で置換されており、その0もしくは1個の置換基のそれぞれは、
(c)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NR10SO13、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)R13、−NR10(C=O)OR13、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ならびに
(d)フェニルおよび5もしくは6員ヘテロアリール(そのフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシの0または1もしくはそれ以上で置換されている)から独立に選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されている;あるいは、
10およびR11は、その出現ごとに独立に、
(e)水素、または
(f)C〜Cアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cアルキニルであるか、あるいはR10およびR11は一緒になって、0もしくは1個の追加のN、SまたはO原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環(そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている);または
(g)(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルもしくは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキル(そのそれぞれは、
(i)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシ、ならびに、
(ii)そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシ、シアノおよびアミノから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されているC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、フェニル、フェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている)であり;
12は水素であるか、あるいは、
12は、その出現ごとに独立に選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
13およびR14は、その出現ごとに独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから選択され、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジアルキルカルボキシアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
15は水素またはC〜Cアルキルであり;
16およびR17は、独立に、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルコキシ、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルコキシであり;
18およびR19は、独立に、水素またはC〜Cアルキルであり;
20およびR21は、独立に、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり;
22は、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物または塩であって、tが1であり、mが1であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物または塩であって、
【化6】


が、次式
【化7】


の基であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物または塩であって、
nが0であり、
Yが、CR2021、NR22、SまたはOであり、ただし、
20およびR21は、独立に、水素またはメチルであり、
22は水素またはメチルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
Tが−OR12またはR13であり、ただし、
12は水素であり、
12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
13はC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジアルキルカルボキシアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物または塩であって、Tの定義の範囲内で、R12が水素またはC〜Cアルキルであり、R13がC〜Cアルキルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
tが1であり、
Tが−CONR1011または−(C=O)OR12であり、ただし、
10およびR11は、独立に、水素、または、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cアルキニルであるか、あるいは、R10およびR11は一緒になって、0もしくは1個の追加のN、SまたはO原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成していてよく;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
12は水素であるか、あるいは、
12は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
tが0であり、TがR13であり、
Tの定義の範囲内で、R13はC〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
Tが次式
【化8】


の基であり、Aが水素、R13または−OR12であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物または塩であって、Tの定義の範囲内で、
12が水素であるか、あるいは
12が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
13が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項11】
請求項9に記載の化合物または塩であって、
Aが水素またはR13であり、Tの定義の範囲内で、
13は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか;あるいは、
13は、ピリジルまたはピラジニル基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
Tが次式の基
【化9】


であり、
AはBと結合して、N、O、S、SOおよびSOから独立に選択される0、1もしくは2個の追加のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、その5〜6員ヘテロシクロアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項13】
請求項1から4に記載の化合物または塩であって、
12が、少なくとも1回の出現において、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジC〜Cアルキルカルボキシアミド、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されている;あるいは、
13が、少なくとも1回の出現において、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジアルキルカルボキシアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
R(存在する場合)、RおよびRが、独立に、水素、メチルまたはエチルであり、
およびRが、独立に、
(a)水素、あるいは、
(b)C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
が、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており、
が水素であり、
が水素であり、Rが、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されているか;あるいは、
およびRが結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されており、
が、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR10SO13、−(C=O)OR13、−NR10(C=O)OR13または−(C=O)NR1314であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
次式
【化10】


(式中、Dは6〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である)
からなることを特徴とする化合物または塩。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物または塩であって、次式
【化11】


からなることを特徴とする化合物または塩。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、次式
【化12】


(式中、Dは6〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である)
からなることを特徴とする化合物または塩。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物または塩であって、次式
【化13】


からなることを特徴とする化合物または塩。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物または塩であって、
Zが次式
【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


【化23】


【化24】


または
【化25】


(式中、
、X、X、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、X〜Xのうちの2つ以下はNであり、
、G、GおよびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、ただし、G〜Gのうちの2つ以下は水素以外であり、
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の基を表し、
24は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシであるか、あるいは、
24は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5もしくは6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5もしくは6員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル,または9もしくは10員の二環式ヘテロアリールであり、そのそれぞれは、
(c)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−(C=O)OR11、−NRCOR11、−NR(C=O)OR11、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ならびに、
(d)フェニルおよび5もしくは6員ヘテロアリール(そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシの0または1もしくはそれ以上で置換されている)から独立に選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されており;
25は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基であり、
26は、出現ごとに独立に、水素およびC〜Cアルキルから選択される)
の基であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩であって、前記化合物が、
【化26】


【化27】


【化28】


【化29】


【化30】


【化31】


【化32】


【化33】


【化34】


【化35】


【化36】


【化37】


【化38】


【化39】


【化40】


【化41】


【化42】


または
【化43】


であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項21】
治療有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物または塩および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の医薬組成物であって、注入用液剤、エアロゾル剤、クリーム剤、ゲル剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、点眼剤または経皮パッチ剤として処方されることを特徴とする医薬組成物。
【請求項23】
治療有効量の請求項1から20のいずれかに記載の1つ以上の化合物を患者に提供することを含むことを特徴とする患者のC型肝炎を治療する方法。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物またはその塩であって、
次式
【化44】


(式中、Zは次式
【化45】


の基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で任意選択で置換されている)
からなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項25】
請求項24に記載の化合物またはその塩であって、
Rが水素またはC〜Cアルキルであり、
、R、RおよびRが、独立に、水素またはC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されており;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されており;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されており、Rが水素またはC〜Cアルキルであるか;あるいは、
およびRが結合して、N、SおよびOから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜7員シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されているか、あるいは、
が、(i)R(Rはメチレン基である)と共有結合するか、または(ii)RとRが結合して形成されたシクロアルキル基と共有結合して、3〜7員シクロアルキル環を形成している、C〜C11飽和もしくは不飽和炭化水素鎖であり;
が、ヒドロキシ、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−NR10SO13、−(C=O)OR13または−CONR1314であるか、あるいは
Tが、水素、R13、−CONR1011、−(SO)NR1011、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12、−OR12または−N(C=O)R12であり、
10およびR11が、出現ごとに独立に、
(e)水素、または
(f)C〜Cアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cアルキニルであるか、あるいは、R10およびR11が一緒になって、0もしくは1個の追加のN、SまたはO原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成していてよく;そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
12が水素であるか、あるいは、
12が、出現ごとに独立に選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキルまたは(5〜10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されており;
13およびR14が、出現ごとに独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(フェニル)C〜Cアルキルから選択され、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、オキソ、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルならびにフェノキシから独立に選択される0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物またはその塩。

【公表番号】特表2010−540549(P2010−540549A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527105(P2010−527105)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/077497
【国際公開番号】WO2009/042668
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】