ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニット
【課題】基板部とレンズ部とが一体のウェハレベルレンズアレイを成形する際に、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供する。
【解決手段】基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、転写型は、その表面に少なくとも複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより凹部より溢れた樹脂を一体とすることで前記基板部とする。
【解決手段】基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、転写型は、その表面に少なくとも複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより凹部より溢れた樹脂を一体とすることで前記基板部とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化に伴って撮像ユニットの小型化・薄型化が要請されている。また、携帯端末のコストの低下を図るため、製造工程の効率化が望まれている。このような小型かつ多数のレンズを製造する方法としては、基板部に複数のレンズ部を形成した構成であるウェハレベルレンズアレイを製造し、該基板部を切断して複数のレンズをそれぞれ分離させることでレンズモジュールを量産する方法が知られている。
【0004】
また、複数のレンズ部が形成された基板部と複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハとを一体に組み合わせ、レンズ部と固体撮像素子をセットとして含むように基板部とともに半導体ウェハを切断することで撮像ユニットを量産する方法が知られている。
【0005】
従来、ウェハレベルレンズの製造方法としては、例えば次の工程によりウェハレベルレンズアレイを製造する例がある。このような製造方法としては下記特許文献1に示すものがある。
(1)ウェハ上に樹脂を塗布した状態で、1つの転写体(型)の形状を樹脂に転写する。
(2)型の形状を転写する工程を1500〜2400回程度繰り返し、1つのウェハ上に1500〜2400個のレンズ形状を持つマスタレンズアレイを形成する。
(3)マスタレンズアレイのレンズ面に、電鋳によってNi等の金属イオンを堆積させてスタンパ(Ni電鋳型)を製造する。
(4)スタンパを一対のレンズアレイ用成形型として使用し、これら一対のレンズアレイ用成形型のうち下型に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を供給する。
(5)供給された樹脂を上型のレンズアレイ用成形型で押圧することによって上型及び下型の成形面に倣って樹脂を変形させる。
(6)樹脂に光又は熱を照射して硬化させることでレンズアレイを成形する。
【0006】
また、平行平板の基板にレンズ部を接合して得られる複合レンズを有する光学系としては、例えば、特許文献2及び3に示すものがある。
【0007】
特許文献2は、ガラス材料で形成された基板の両側にレンズ部分が接着された複合レンズを備えた撮像レンズの構成に関する。特許文献2には、複合レンズの両側のレンズ部の屈折率差が0〜0.1、かつ、アッベ数差が0〜30となる構成が示されている。
【0008】
特許文献3は、平行平板であるレンズ基板と、該レンズ基板の少なくとも一方の面にレンズをレンズ群として形成した撮像レンズの構成に関する。特許文献3には、正の屈折力を有するレンズと負の屈折力を有するレンズとのアッベ数差が10を超える構成が示されている。
【0009】
特許文献4は、真空状態で、光硬化性樹脂にスタンパを押圧して、該光硬化性樹脂に微細パターンを転写する装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第08/153102号
【特許文献2】特許第3926380号公報
【特許文献3】国際公開第08/102648号
【特許文献4】特開2003−94445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のように、基板部とレンズ部とが同じ材料で一体に成形する場合、型に成形材料を供給したときに成形材料にエアが混入してしまうことが懸念されている。例えば、従来では、型の一箇所に成形材料である樹脂を所定量だけ供給し、成形材料をスピンコートなどによって型表面に拡げていくことで、レンズ部などの形状を転写するための凹部に樹脂を埋め込んでいく工程を行う。このとき、凹部と樹脂との間にエアが混入してしまいやすい。エアが混入すると、成形後のレンズ部の形状が変わるため、光学的な機能に影響を与えてしまうことが避けられない。
【0012】
一方、特許文献2及び3のように、レンズアレイの基板部とレンズ部とを別の材料で構成すると基板部とレンズ部との間の界面で光の屈折が生じ、設計が複雑になる。また、撮像レンズとして用いた場合には、界面での光の反射によるフレア等に起因して画質の劣化が避けられない。
【0013】
更に、特許文献4のように、真空中で基板部とレンズ部とを一体成形する場合には、装置の大型化が避けられない。そのうえ、樹脂が真空雰囲気に曝されるため、樹脂の特性が変化してしまうことに起因して、所望の光学性能のレンズアレイを得ることができない。
【0014】
本発明は、基板部とレンズ部とが一体のウェハレベルレンズアレイを成形する際に、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部とするウェハレベルレンズアレイの製造方法である。
【0016】
この製造方法は、凹部毎に樹脂を供給することで、供給された樹脂が凹部それぞれの表面に倣って変形する。すると、複数の凹部にわたって一括で樹脂を供給した場合に比べて、凹部と樹脂との間にエアが滞留してしまう部位ができづらく、エアが樹脂によって型の外へ押し出されやすくなる。このため、エアの混入を防止することで、成形後のレンズ部の形状が変わることが抑えられ、光学的な機能に影響を与えてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板部とレンズ部とが一体のウェハレベルレンズアレイを成形する際に、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ウェハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すウェハレベルレンズアレイの構成のA−A線断面図である。
【図3】レンズモジュールの構成の一例を示す断面図である。
【図4】撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
【図5】5A〜5Dは、基板部にレンズ部を成形するための型の製作する手順を示す図である。
【図6】型に成形材料である樹脂を供給している状態を示す図である。
【図7】7A〜7Cは、型に樹脂を供給したときの状態を説明する図である。
【図8】8A及び8Bは、基板部にレンズ部を一体成形する際の別の手順を説明する図である。
【図9】型を重ね合わせた状態を示す図である。
【図10】一対の型の位置合わせの他の例を示す図である。
【図11】型に樹脂を供給する手段の別の例を示す図である。
【図12】基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。
【図13】13A及び13Bは、基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。
【図14】基板部の他の構成例を示す図である。
【図15】15A及び15Bは、ウェハレベルレンズアレイの製造方法の手順の変形例を示す図である。
【図16】16A及び16Bは、ウェハレベルレンズアレイをダイシングする工程を説明する図である。
【図17】17A及び17Bは、レンズモジュールの製造方法の手順を示す図である。
【図18】レンズモジュールを製造する手順の別の例を示す図である。
【図19】19A及び19Bは、撮像ユニットを製造する手順を示す図である。
【図20】20A及び20Bは、撮像ユニットを製造する手順の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュールと撮像ユニットの構成について説明する。
【0020】
図1は、ウェハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。図2は、図1に示すウェハレベルレンズアレイの構成のA−A線断面図である。
ウェハレベルレンズアレイは、基板部1と、該基板部1に配列された複数のレンズ部10とを備えている。複数のレンズ部10は、基板部1に対して1次元又は2次元に配列されている。この構成例では、図1のように、複数のレンズ部10が、基板部1に対して2次元に配列されている構成を例に説明する。レンズ部10は、基板部1と同じ材料から構成され、該基板部1に一体成形されたものである。レンズ部10の形状は、特に限定されず、用途などによって適宜変形される。
【0021】
基板部1の一方の面には、他の部材と重ね合わせるときの間隔を確保するためのスペーサ12が一体に成形されている。スペーサ12は、例えば、基板部1の面から突出する壁状の部材で、レンズ部10の周囲の一部又は全部を囲うように設けられている。
【0022】
図3は、レンズモジュールの構成の一例を示す断面図である。
レンズモジュールは、基板部1と、及び該基板部1に一体成形されたレンズ部10とを含んだ構成であり、例えば図1及び図2に示すウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシングし、レンズ部10ごとに分離させたものを用いる。スペーサ12は、ダイシングする境界に位置し、ダイシングによって同時に分離され、各レンズモジュールの基板部1に付属する。
【0023】
図4は、撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
撮像ユニットは、上述のレンズモジュールと、センサモジュールとを備える。レンズモジュールのレンズ部10は、センサモジュール側に設けられた固体撮像素子Dに被写体像を結像させる。レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとが、互いに略同一となるように平面視略矩形状に成形されている。
【0024】
センサモジュールは、半導体基板Wと、半導体基板Wに設けられた固体撮像素子Dを含んでいる。半導体基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウェハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。固体撮像素子Dは、半導体基板Wの略中央部に設けられている。固体撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。センサモジュールは、チップ化された固体撮像素子Dを配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、固体撮像素子Dは、半導体基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を繰り返し、該半導体基板に電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0025】
レンズモジュールは、その基板部1がスペーサ12を介してセンサモジュールの半導体基板Wの上に重ね合わされている。レンズモジュールのスペーサ12とセンサモジュールの半導体基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。スペーサ12は、レンズモジュールのレンズ部10がセンサモジュールの固体撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計され、レンズ部10がセンサモジュールに接触しないように、該レンズ部10と固体撮像素子Dとの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0026】
スペーサ12は、レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとを所定の距離を隔てた位置関係を保持することができる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形することができる。例えば、スペーサ12は、基板の4隅にそれぞれ設けられる柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、センサモジュールの固体撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。固体撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、固体撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、固体撮像素子Dを外部から密封することで、固体撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0027】
なお、図3に示すレンズモジュールは、レンズ部10が形成された基板部1を1つ備えた構成であるが、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えた構成としてもよい。このとき、互いに重ね合わされる基板部1同士がスペーサ12を介して組み付けられる。
【0028】
また、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュールの最下位置の基板部1にスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを構成してもよい。レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュール及び該レンズモジュールを備えた撮像ユニットの製造方法については後述する。
【0029】
以上のように構成された撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【0030】
本発明のウェハレベルレンズアレイに用いられるエネルギー硬化性の樹脂組成物は、熱により硬化する樹脂組成物、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂組成物のいずれであってもよい。
【0031】
モールド形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0032】
一方、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0033】
形状転写精度の観点からは硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。本発明に用いられる樹脂組成物の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0034】
硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0035】
本発明のウエハレベルレンズアレイには、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物が望まれる。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0036】
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’−ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開第06/095610号、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0037】
本発明の樹脂には屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記高アッべ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0038】
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0039】
また、本発明に用いられるには樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0040】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号〔0063〕〜〔0070〕)等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物は上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより硬化性樹脂組成物を製造することができる。該硬化性樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。硬化性組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0042】
次に、ウェハレベルレンズアレイの製造方法について詳細に説明する。
図5A〜5Dは、基板部にレンズ部を成形するための型の製作する手順を示す図である。
図5Aに示すように、ガラス基板21上に、コア23の転写面を紫外線硬化性樹脂(アクリル又はエポキシ)に転写し、紫外線を照射することでレプリカレンズ22を成形する。こうして、図5Bに示すように、ガラス基板21上に複数のレプリカレンズ22が配列されてなる所望のレンズアレイの形状を模ったマスタレンズアレイを作成する。
【0043】
次に、図5Cに見られるように、このマスタレンズアレイのレンズ面に電鋳によってニッケル(Ni)等の金属イオンを堆積させてスタンパ(Ni電鋳型)102を製造する。
【0044】
図5Dに見られるように、マスタレンズアレイから剥離したスタンパ102にはレンズ転写部102aが設けられる。この例では、レンズ転写部102aは凹部、つまり、凸状のレンズ部の形状に対応する形状としたが、凹状や非球面のレンズ部の形状に対応する形状としてもよい。なお、以下で説明する製造工程で用いる型は、このスタンパ102に特に限定されない。
【0045】
基板部1にスペーサ12を一体に成形する場合には、スタンパ102に該スペーサ12の形状を転写するための凹部を設けてもよい。このように、スタンパ102は、型として機能する際に複数のレンズ部を含む構造部の形状を転写するための凹部を有している。構造部としては、複数のレンズ部やスペーサだけでなく、基板部の一部に一体に成形されるものであれば特に限定されない。
【0046】
以下の説明では、スタンパ102を単に型(転写型)ともいう。また、ウェハレベルレンズアレイの構成としては図2で示したものを適宜参照する。
図6は、型に成形材料である樹脂を供給している状態を示す図である。型102の表面には、複数のレンズ部10の形状を転写する凹部であるレンズ転写部102aと、スペーサ12の形状を転写するスペーサ転写部112aが設けられている。
【0047】
図6に示すように、型102のレンズ転写部102aにディペンサのノズル部31から樹脂10Rを滴下する。各レンズ転写部102aに対して、1つのレンズ部に相当する所定量の樹脂が供給される。なお、各レンズ転写部102aに滴下される樹脂10Rの量はほぼ均一であり、レンズ部の容積以上とする。ノズル部31の樹脂10Rを型へ供給するための開口が凹部の領域より小さいことが好ましい。例えば、ノズル部31は、針状に形成され、凹部の径が2〜4mmとした場合に開口を1mmとすることが好ましい。こうすることで、レンズ転写部102aに的確に樹脂10Rを供給することができる。なお、レンズ転写部102aなどの凹部に樹脂10Rを供給する手段としてはディスペンサに限定されない。
【0048】
図7Aから図7Cは、型に樹脂を供給したときの状態を説明する図である。
最初に、図7Aに示すように、型102に設けられた複数のレンズ転写部102aのそれぞれに、樹脂10Rを供給する。
【0049】
図7Bに示すように、レンズ転写部102aに供給された樹脂10Rは、自重によってレンズ転写部102aの形状に倣って変形しつつ、複数のレンズ転写部102aが形成された面方向に拡がる。
【0050】
図7Cに示すように、樹脂10Rは、レンズ部10の容積より多い量で供給されているため、レンズ転写部102aから溢れた樹脂10Rがそれぞれのレンズ転写部102aに隣り合うスペーサ転写部112aにも埋め込まれる。このとき、各レンズ転写部102aから溢れた樹脂10Rが一体となる。樹脂10Rの一体となった部位が基板部1を構成する。言い換えると、この例では、供給する樹脂10Rの全体の総量は、レンズ部10、スペーサ12、基板部1の容積に相当する量である。
【0051】
この例では、成形材料として、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いる。図7Cに示すように型102に樹脂10Rを供給した状態で、型102の外側から紫外線又は熱を照射することで樹脂10Rを硬化させる。硬化後、型102から硬化した樹脂10Rを剥離し、型102によって基板部1の一方の面に複数のレンズ部10が成形されたウェハレベルレンズアレイを得ることができる。なお、レンズ部10が形成されていない基板部1の他方の面に、別途レンズ部10を成形することで基板部1の両方の面に複数のレンズ部10が成形されたウェハレベルレンズとしてもよい。
【0052】
ここで、レンズ部10の形状は、基板部1から突出するものとしたが、形状は特に限定されず、例えば、レンズ部10の形状は凹状や非球面であってもよい。以下のレンズ部10の説明においても形状については特に限定されないものとする。
【0053】
図8A及び8Bは、基板部にレンズ部を一体成形する際の別の手順を説明する図である。
図8Aに示すように、下側に配置される型102の表面に、凹部として複数レンズ転写部102aが設けられている。複数レンズ転写部102aのそれぞれに樹脂10Rが供給される。型102へ樹脂10Rを供給する手段としては、図6で説明したディスペンサを用いることができる。各レンズ転写部102aに供給される樹脂10Rは、レンズ部10に対応する凹部であるレンズ転写部102aの容量より多い量で供給される。
【0054】
次に、図8Bに示すように、型102の上側に配置された型104の、型102側の面には複数のレンズ転写部104aが設けられている。この例では、一対となる型(下型)102と型(上型)104とでウェハレベルレンズを成形する。型102と型104とは、転写面を対面させて対向配置される。型102及び型104の側面を覆うように胴型106が配置されている。胴型106は、筒状に構成され、その内部に型102及び型104をほぼ収容した構成である。型104は、胴型106の内部で、上下方向に沿って型102の上に樹脂10Rを挟んで重ね合う位置まで降下すること、及び、型102の上方へ離した位置まで上昇することが可能である。なお、型102及び型104のうち両方を移動可能としてもよく、いずれか一方のみを移動可能としてもよい。
【0055】
胴型106の機能の一つとしては、成形時に型から樹脂10Rが溢れることを防止することである。具体的には、胴型106は、成形時に、型102と型104との間から樹脂が溢れることを防止する。また、胴型106の別の機能としては、型102と型104の互いの上下方向に沿った位置合わせの基準となることである。
【0056】
型104を型102上に重ね合わす前に、型102に供給された樹脂10Rは、自重によってレンズ転写部102aの形状に倣って変形する。このとき、レンズ転写部102aから溢れた樹脂10Rの一部がスペーサ転写部112に埋め込まれてもよく、隣り合うレンズ転写部102a同士の樹脂10Rを一体とさせた状態としてもよい。
【0057】
図9は、型を重ね合わせた状態を示す図である。
図9に示すように、型102と型104とに挟まれた際の圧力に応じて、樹脂10Rが所定の形状に変形する。具体的には、樹脂10Rのうち、型102のレンズ転写部102aの形状に倣って変形した部位がレンズ部10を構成する。樹脂10Rのうち、型102のスペーサ転写部112aの形状に倣って変形した部位がスペーサ12を構成する。また、樹脂10Rのうち、型104のレンズ転写部104aの形状に倣って変形した部位がレンズ部10を構成する。
【0058】
このように変形させた樹脂10Rに紫外線又は熱を照射することで、樹脂10Rを硬化させる。硬化させる際には、型102と型104の相互の距離は固定しない。これは、硬化する樹脂10Rの収縮に応じて型102及び型104を適宜追従させるためである。たとえば、樹脂10Rの収縮に追従できるように型102及び型104のうち少なくとも一方をフリーにして型の重さで追従するようにしてもよい。又は、型102及び型104のうち少なくとも一方の移動を制御して樹脂10Rの収縮に応じて圧力を調整可能としてもよい。
【0059】
硬化後、型104を上昇させ、型102及び型104を開放した状態とし、基板部1及びレンズ部10を型102及び型104を剥離する。こうすることで、基板部1の両方の面に複数のレンズ部10が一体に成形されたウェハレベルレンズアレイを得ることができる。
【0060】
この例では、型102の凹部であるレンズ転写部102a毎に樹脂10Rを供給し、供給された樹脂10Rの一部をレンズ転写部102aのそれぞれから溢れさせ、溢れた樹脂10Rを一体とすることで基板部1を成形する。こうすると、レンズ転写部102a毎に樹脂10Rを供給することで、供給された樹脂10Rがレンズ転写部102aそれぞれの表面に倣って変形する。すると、複数のレンズ転写部102aにわたって一括で樹脂10Rを供給した場合に比べて、レンズ転写部102aと樹脂10Rとの間にエアが滞留してしまう部位ができづらく、エアが樹脂10Rによって型の外へ押し出されやすくなる。このため、エアの混入を防止することで、成形後のレンズ部10にエアが溜まった部分の形状欠損が発生することが抑えられ、光学的な機能に影響を与えてしまうことを防止できる。
【0061】
上記例では、レンズ転写部ごとに樹脂10Rを供給したが、他の構造部であるスペーサ12の形状を転写するスペーサ転写部112aのそれぞれに、レンズ転写部102aと同様に、樹脂10Rを供給してもよい。このとき、スペーサ12の容積以上の樹脂10Rをスペーサ転写部112aに供給し、供給された樹脂10Rの一部をスペーサ転写部112aのそれぞれから溢れさせ、レンズ転写部102a及びスペーサ転写部112aから溢れた樹脂10Rを一体とすることで基板部1を成形する。
【0062】
上記の例では、一対となる型102と型104を、胴型106によって位置合わせを行ったが、型102,104同士の位置合わせの手段はこれに限定されない。
【0063】
図10は、一対の型の位置合わせの他の例を示す図である。この例では、型102と型104とを貫通するピンPが設けられている。型102の上に型104を重ね合わせる際には、型102と型104とが互いにピンPによって案内されるため、位置合わせが行いやすい。ピンPは、レンズ転写部102a,104a以外の他の領域に設けられているため、成形される基板部1やレンズ部10の形状や光学的な機能に影響を与えることがない。ピンPは、型102及び型104のうちいずれか一方に固定され、他方を貫通するように設けられていてもよい。
【0064】
図11は、型に樹脂を供給する手段の別の例を示す図である。図11に示すように型102のレンズ転写部102aなどの凹部に樹脂10Rを供給する手段としては、樹脂10Rをエア吸引による吸着力によって保持する吸着部41を用いてもよい。吸着部41は、エア吸引によって樹脂10Rを保持を開始し、エア吸引を停止することで樹脂10Rを吸着部41から離脱させる。樹脂10Rは、吸着部41に保持されることを鑑みて、その形状をある程度維持できる範囲で硬化した状態であって、完全に硬化していない状態とする。
【0065】
図12は、基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。この例では、図8A及び8Bのように、一対となる型102と型104とでウェハレベルレンズを成形するものとする。型102の複数のレンズ転写部102aのそれぞれには、既に説明したように樹脂10Rが供給される。型102に供給された樹脂10Rは、自重によってレンズ転写部102aの形状に倣って変形する。
【0066】
この例では型102の上方に配置される型104の各レンズ転写部104aにも樹脂10Rが供給される。型104に供給された樹脂10Rは、樹脂10R自体の粘性によって各レンズ転写部104aの表面に付着された状態である。
【0067】
型102と型104とを重ね合わすことで、レンズ転写部102aの樹脂10Rと型104のレンズ転写部104aの樹脂10Rとが接触して一体となる。そして、型102及び型104の圧力に応じて、樹脂10Rが所定の形状に変形する。このとき、型104のレンズ転写部104a側に供給された10Rが、各レンズ転写部104aの形状に倣って変形し、この際の樹脂10Rの流動によってレンズ転写部104aのエアが押し出されやすくなる。このため、型102のレンズ転写部102aにのみ樹脂10Rを供給する場合に比べて、より確実にエアの混入を防止することが可能である。
【0068】
図13A及び13Bは、基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。この例では、基板部1と該基板部1の一方の面に複数のレンズ部10を一体に成形してなる成形体を別途に2個製作し、その後、2個の成形体を接合することでウェハレベルレンズアレイとするものである。
【0069】
図13Aに示すように、最初に、一方の成形体を製作するため、図7に示す手順と同様に、複数のレンズ転写部102aとスペーサ転写部112aが設けられた型102によって、基板部1に複数のレンズ部10とスペーサ12とを一体に成形する。基板部1の、複数レンズ部10が設けられていない側の面に、平坦性を確保するためカバー部材Fが貼り合わされている。
【0070】
カバー部材Fは、樹脂の硬化時に面に均一な圧力を加えやすい剛体のものを用いることができる。また、カバー部材Fは、樹脂表面に付着しずらく、後で剥しやすいものが好ましい。例えば金属、ガラス、プラスチックなど成形しやすいものを選択することができる。カバー部材Fの材質として透明なものを使用すれば、成形体表面の状況が確認しやすい。
【0071】
図13Bに示すように、別途、他方の成形体を製作する。この成形体も同様に、複数のレンズ転写部104aが設けられた型104によって、基板部1に複数のレンズ部10を一体に成形する。そして、2個の成形体のレンズ部10が設けられない側の面同士を接合する。接合する前に、型102で成形された成形体からカバー部材Fを剥しておく。2個の成形体の接合には、接着剤や樹脂を用いてもよい。また、基板部1及びレンズ部10を成形した樹脂10Rと同じ紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂や、その他の屈折率等の光学性能がほぼ同じ樹脂を用いることができる。
【0072】
図14は、基板部1の他の構成例を示す図である。図14に示すように、基板部1には、レンズ部10を成形する部位を除く領域に、基板部1の反りを防止するため肉厚に形成してなるリブ14が設けられていてもよい。こうすれば、リブを設けた位置の基板部1の剛性が大きくなるため、反りが生ずることを防止できる。リブ14は、基板部1の面に格子状又は複数の柱状に形成することができる。
【0073】
なお、リブ14の形状は特に限定されない。リブ14は、上記構造部の一例である。このようなリブ14は、型にリブの形状を転写するための凹部を設けることで、レンズ部10やスペーサ12と同様に、基板部1に一体に成形することができる。
【0074】
基板部1のレンズ部10を成形する部位を除く領域に、他の部材と重ね合わせるときのスペーサ12が設けられている。他の部材としては、例えば、他のウェハレベルレンズアレイや半導体基板である。こうすれば、ウェハレベルレンズアレイを他のウェハレベルレンズアレイや半導体基板に重ね合わせるために別途スペーサを設ける工程を省略することができる。
なお、スペーサ12は、基板部1に一体のものに限らず、基板部1やレンズ部10とは異なる他の材料からなるものであって、別途取り付けられたものでもよい。
【0075】
次に、ウェハレベルレンズアレイの製造方法の変形例を説明する。
図15A及び15Bは、ウェハレベルレンズアレイの製造方法の手順の変形例を示す図である。この例では、レンズ部以外の部分に対応する凹部であるスペーサ転写部112aに樹脂を供給する。供給する樹脂10Rの量は、凹部であるスペーサ転写部112aの容量より多い量とする。スペーサ転写部112の凹部はつながって1つになっている場合もある。樹脂10Rは、分割して複数のスペーサ転写部112に供給してもよい。スペーサ転写部112aへの樹脂10Rの供給は上述したディスペンサを用いることができる。ディスペンサのノズル部は、針状に形成され、スペーサ転写部112aの開口する領域より小さい開口とすることが好ましい。こうすることで、レンズ転写部112aに的確に樹脂10Rを供給することができる。
【0076】
図15Bに示すように、この状態で成形を行うことにより、スペーサ転写部112aより溢れた樹脂10Rを一体とすることで基板部1及びレンズ部10のうち少なくとも一方を成形する。このように、凹部はレンズ部に対応する部分だけでなく、他の部材と重ね合わせたときの間隔を確保するためのスペーサを成形するためのスペーサ転写部112aでもよい。又は、凹部は、図14に示すように、基板部1の反りを防止するために該基板部1の面から突出するリブであってもよい。
【0077】
次に、ウェハレベルレンズアレイを用いて、更に、レンズモジュール及び撮像ユニットを製造する手順を説明する。
【0078】
図16A及び16Bは、ウェハレベルレンズアレイをダイシングする工程を説明する図である。ウェハレベルレンズアレイの基板部1の一方の表面(同図では下方の面)には、スペーサ12が一体に設けられている。
同図16Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と、該基板部1と同様にウェハ状に形成された半導体基板Wとの位置合わせが行われる。半導体基板Wの一方の面(同図では上側の面)には、基板部1に設けられた複数のレンズ部10の配列と同じ配列で固体撮像素子Dが設けられている。そして、ウェハレベルレンズアレイの基板部1がスペーサ12(図14参照)を介して、該基板部1と同様にウェハ状に形成された半導体基板Wに重ね合わされ、一体に接合される。その後、一体とされたウェハレベルレンズアレイ及び半導体基板Wは、レンズ部10及び固体撮像素子Dそれぞれの配列の列間に規定される切断ラインに沿って、ブレードC等の切断手段を用いて切断され、複数の撮像ユニットに分離される。切断ラインは、例えば基板部1の平面視において格子状である。
【0079】
なお、本例では、撮像ユニットを製造する際のダイジングを例に説明している。一方で、レンズモジュールを製造する際のダイジングは、半導体基板Wに接合させないで、レンズ部10の配列に応じて切断して複数のレンズモジュールに分離する。
【0080】
図17A及び17Bは、レンズモジュールの製造方法の手順を示す図である。この手順では、1つの基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイをダイジングして複数のレンズモジュールに分離する例を説明する。
【0081】
先ず、図17Aに示すように、ウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。
【0082】
次に、図17Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数のレンズモジュールに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接するレンズモジュールにそれぞれ付属する。こうして、レンズモジュールが完成する。
【0083】
なお、分離されたレンズモジュールは、スペーサ12を介して図示しないセンサモジュールやその他の光学素子を備えた基板に組み付けられてもよい。
【0084】
このように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1に予めスペーサ12を一体成形しておき、その後に、スペーサ12ごとウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシング工程で切断すれば、分離されたレンズモジュールにそれぞれスペーサ12を接合する場合に比べて効率良くレンズモジュールを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0085】
図18は、レンズモジュールを製造する手順の別の例を示す図である。この手順では、2つの基板部1と、各基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイをダイジングし、複数のレンズモジュールに分離する例を説明する。
【0086】
先ず、図18に示すように、複数のウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。複数のウェハレベルレンズアレイの各基板部1の一方の面にスペーサ12が成形されている。そして、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1同士の位置合わせを行い、下方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の上面に、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1の下面を、スペーサ12を介して接合する。ウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせた状態で、各基板部1に対してスペーサ12の位置が、各基板部1で同じになるようにする。
【0087】
そして、ウェハレベルレンズアレイの基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数のレンズモジュールに分離する。このとき、各切断ライン上に重なり合う位置のスペーサ12も同時に切断され、各切断ラインを境界として分割されたスペーサ12が、各切断ラインに隣接するレンズモジュールにそれぞれ付属する。こうして、複数のレンズ部10を備えたレンズモジュールが完成する。この手順では、重ね合わされるそれぞれの基板部1に対するレンズ部10及びスペーサ12の位置が同じであるため、分離された複数のレンズモジュールの構成はいずれも同じになる。また、重ね合わされるそれぞれの基板部1のうち、最上部の基板部1を基準に切断ラインの位置を決定し、切断すればよい。
【0088】
なお、分離されたレンズモジュールは、スペーサ12を介して図示しないセンサモジュールやその他の光学素子を備えた基板に組み付けられてもよい。
【0089】
このように、複数のウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせ、その後に、ウェハレベルレンズアレイの基板部1をスペーサ12ごとダイシング工程で切断すれば、分離されたレンズモジュールを個別に重ね合わせる場合に比べて、効率よくレンズモジュールを量産することができ、生産性が向上する。
【0090】
図19A及び19Bは、撮像ユニットを製造する手順を示す図である。この手順では、1つの基板部1と該基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたレンズモジュールをセンサモジュールに接合してダイジングし、複数の撮像ユニットに分離する例を説明する。
【0091】
先ず、図19Aに示すように、ウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。基板部1の下側の面にはスペーサ12が一体成形されている。
【0092】
次に、複数の固体撮像素子Dが配列された半導体基板Wを準備する。ウェハレベルレンズアレイの基板部1と、半導体基板Wとの位置合わせを行った後、該基板部1をスペーサ12を介して半導体基板Wの上側の面に接合する。このとき、基板部1に設けられた各レンズ部10の光軸の延長が固体撮像素子Dの中央部とそれぞれ交わるようにする。
【0093】
そして、図19Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と半導体基板Wとを接合した後、基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数の撮像ユニットに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接する撮像ユニットにそれぞれ付属する。こうして、撮像ユニットが完成する。
【0094】
このように、ウェハレベルレンズアレイに予めスペーサ12を成形しておき、その後に、ウェハレベルレンズアレイの基板と固体撮像素子Dを備えた半導体基板Wを重ね合わせて、基板部1及び半導体基板Wをダイシング工程で一緒に切断すれば、分離されたレンズモジュールにそれぞれスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを製造する場合に比べて、効率良く撮像ユニットを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0095】
図20A及び20Bは、撮像ユニットを製造する手順の別の例を示す図である。この手順では、2つの基板部1と各基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイを、固体撮像素子が設けられた半導体基板に接合してダイジングし、それぞれが2つのレンズ部10を備えた複数の撮像ユニットに分離する例を説明する。
【0096】
先ず、図20Aに示すように、2つのウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。重ね合わせる2つの基板部1それぞれの下側の面には、スペーサ12が予め成形されている。そして、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1同士の位置合わせを行い、下方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の上面に、上方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の下面を、スペーサ12を介して接合する。ウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせた状態で、各基板部1に対するスペーサ12の位置が、各基板部1で同じになるようにする。
【0097】
次に、複数の固体撮像素子Dが配列された半導体基板Wを準備する。重ね合わされた状態の複数のウェハレベルレンズアレイの基板部1と、半導体基板Wとの位置合わせを行う。その後、最下部に位置する該基板部1を、スペーサ12を介して半導体基板Wの上側の面に接合する。このとき、基板部1に設けられた各レンズ部10の光軸の延長が固体撮像素子Dの中央部とそれぞれ交わるようにする。
【0098】
そして、図20Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と半導体基板Wとを接合した後、基板部1及び半導体基板Wを、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数の撮像ユニットに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接する撮像ユニットにそれぞれ付属する。こうして、複数のレンズ部10を備えた撮像ユニットが完成する。
【0099】
このように、複数のウェハレベルレンズアレイ同士をスペーサ12を介して接合しておき、その後に、最下部のウェハレベルレンズアレイの基板部1と固体撮像素子Dを備えた半導体基板Wを重ね合わせて、基板部1及び半導体基板Wをダイシング工程で一緒に切断している。このような手順によれば、分離されたレンズモジュール同士を重ね合わせ、更に、各レンズモジュールとセンサモジュールとを接合していくことで各撮像ユニットを製造する場合に比べて、効率良く撮像ユニットを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0100】
本明細書は以下の内容を開示する。
(1)基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(2)上記(1)に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記複数の凹部が、前記レンズ部以外の部分に対応する凹部を含み、前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(3)基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記レンズ部以外の部分に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部のそれぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記樹脂はノズル部を介して前記複数の凹部ごとに供給され、前記ノズル部の前記樹脂を前記凹部に供給する開口が、前記凹部の領域より小さいウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、他の部材と重ね合わせたときの間隔を確保するためのスペーサを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、該基板部の反りを防止するために該基板部の面から突出するリブを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、転写面を対面させて対向配置される上型及び下型との一対で構成され、前記一対の型の側面を覆うように配置される胴型を備え、成形時に前記胴型によって前記上型と下型との間から樹脂が溢れることを防止するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記一対の型のそれぞれの転写面に設けられた前記凹部ごとに前記樹脂を供給するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は成形するウェハレベルレンズアレイの一方の面の表面形状を転写する転写面を備える一方の転写型と、前記成形するウェハレベルレンズアレイの他方の面の表面形状を転写する転写面を備える他方の転写型とからなり、
前記一方の転写型で成形された前記基板部と、前記他方の転写型で成形された前記基板部とを接合して一体とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
(11)上記(10)に記載の前記ウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュール。
(12)上記(10)に記載のウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュールであって、
前記レンズ部が形成された前記基板部を複数備え、複数の前記基板部同士が重ね合わされるレンズモジュール。
(13)上記(12)に記載のレンズモジュールを備えた撮像ユニットであって、
撮像素子と、
前記撮像素子が設けられた半導体基板とを備え、
前記基板部と前記半導体基板とが、前記スペーサを介して一体に接合された撮像ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0101】
上記ウェハレベルレンズアレイの製造方法は、デジタルカメラ、内視鏡装置、携帯型電子機器等の撮像部に設けられる撮像レンズを製造する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 基板部
10 レンズ部
12 スペーサ(構造部)
102,104 型
102a,104a レンズ転写部
112a スペーサ転写部(凹部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化に伴って撮像ユニットの小型化・薄型化が要請されている。また、携帯端末のコストの低下を図るため、製造工程の効率化が望まれている。このような小型かつ多数のレンズを製造する方法としては、基板部に複数のレンズ部を形成した構成であるウェハレベルレンズアレイを製造し、該基板部を切断して複数のレンズをそれぞれ分離させることでレンズモジュールを量産する方法が知られている。
【0004】
また、複数のレンズ部が形成された基板部と複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハとを一体に組み合わせ、レンズ部と固体撮像素子をセットとして含むように基板部とともに半導体ウェハを切断することで撮像ユニットを量産する方法が知られている。
【0005】
従来、ウェハレベルレンズの製造方法としては、例えば次の工程によりウェハレベルレンズアレイを製造する例がある。このような製造方法としては下記特許文献1に示すものがある。
(1)ウェハ上に樹脂を塗布した状態で、1つの転写体(型)の形状を樹脂に転写する。
(2)型の形状を転写する工程を1500〜2400回程度繰り返し、1つのウェハ上に1500〜2400個のレンズ形状を持つマスタレンズアレイを形成する。
(3)マスタレンズアレイのレンズ面に、電鋳によってNi等の金属イオンを堆積させてスタンパ(Ni電鋳型)を製造する。
(4)スタンパを一対のレンズアレイ用成形型として使用し、これら一対のレンズアレイ用成形型のうち下型に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を供給する。
(5)供給された樹脂を上型のレンズアレイ用成形型で押圧することによって上型及び下型の成形面に倣って樹脂を変形させる。
(6)樹脂に光又は熱を照射して硬化させることでレンズアレイを成形する。
【0006】
また、平行平板の基板にレンズ部を接合して得られる複合レンズを有する光学系としては、例えば、特許文献2及び3に示すものがある。
【0007】
特許文献2は、ガラス材料で形成された基板の両側にレンズ部分が接着された複合レンズを備えた撮像レンズの構成に関する。特許文献2には、複合レンズの両側のレンズ部の屈折率差が0〜0.1、かつ、アッベ数差が0〜30となる構成が示されている。
【0008】
特許文献3は、平行平板であるレンズ基板と、該レンズ基板の少なくとも一方の面にレンズをレンズ群として形成した撮像レンズの構成に関する。特許文献3には、正の屈折力を有するレンズと負の屈折力を有するレンズとのアッベ数差が10を超える構成が示されている。
【0009】
特許文献4は、真空状態で、光硬化性樹脂にスタンパを押圧して、該光硬化性樹脂に微細パターンを転写する装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第08/153102号
【特許文献2】特許第3926380号公報
【特許文献3】国際公開第08/102648号
【特許文献4】特開2003−94445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のように、基板部とレンズ部とが同じ材料で一体に成形する場合、型に成形材料を供給したときに成形材料にエアが混入してしまうことが懸念されている。例えば、従来では、型の一箇所に成形材料である樹脂を所定量だけ供給し、成形材料をスピンコートなどによって型表面に拡げていくことで、レンズ部などの形状を転写するための凹部に樹脂を埋め込んでいく工程を行う。このとき、凹部と樹脂との間にエアが混入してしまいやすい。エアが混入すると、成形後のレンズ部の形状が変わるため、光学的な機能に影響を与えてしまうことが避けられない。
【0012】
一方、特許文献2及び3のように、レンズアレイの基板部とレンズ部とを別の材料で構成すると基板部とレンズ部との間の界面で光の屈折が生じ、設計が複雑になる。また、撮像レンズとして用いた場合には、界面での光の反射によるフレア等に起因して画質の劣化が避けられない。
【0013】
更に、特許文献4のように、真空中で基板部とレンズ部とを一体成形する場合には、装置の大型化が避けられない。そのうえ、樹脂が真空雰囲気に曝されるため、樹脂の特性が変化してしまうことに起因して、所望の光学性能のレンズアレイを得ることができない。
【0014】
本発明は、基板部とレンズ部とが一体のウェハレベルレンズアレイを成形する際に、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部とするウェハレベルレンズアレイの製造方法である。
【0016】
この製造方法は、凹部毎に樹脂を供給することで、供給された樹脂が凹部それぞれの表面に倣って変形する。すると、複数の凹部にわたって一括で樹脂を供給した場合に比べて、凹部と樹脂との間にエアが滞留してしまう部位ができづらく、エアが樹脂によって型の外へ押し出されやすくなる。このため、エアの混入を防止することで、成形後のレンズ部の形状が変わることが抑えられ、光学的な機能に影響を与えてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板部とレンズ部とが一体のウェハレベルレンズアレイを成形する際に、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ウェハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すウェハレベルレンズアレイの構成のA−A線断面図である。
【図3】レンズモジュールの構成の一例を示す断面図である。
【図4】撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
【図5】5A〜5Dは、基板部にレンズ部を成形するための型の製作する手順を示す図である。
【図6】型に成形材料である樹脂を供給している状態を示す図である。
【図7】7A〜7Cは、型に樹脂を供給したときの状態を説明する図である。
【図8】8A及び8Bは、基板部にレンズ部を一体成形する際の別の手順を説明する図である。
【図9】型を重ね合わせた状態を示す図である。
【図10】一対の型の位置合わせの他の例を示す図である。
【図11】型に樹脂を供給する手段の別の例を示す図である。
【図12】基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。
【図13】13A及び13Bは、基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。
【図14】基板部の他の構成例を示す図である。
【図15】15A及び15Bは、ウェハレベルレンズアレイの製造方法の手順の変形例を示す図である。
【図16】16A及び16Bは、ウェハレベルレンズアレイをダイシングする工程を説明する図である。
【図17】17A及び17Bは、レンズモジュールの製造方法の手順を示す図である。
【図18】レンズモジュールを製造する手順の別の例を示す図である。
【図19】19A及び19Bは、撮像ユニットを製造する手順を示す図である。
【図20】20A及び20Bは、撮像ユニットを製造する手順の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュールと撮像ユニットの構成について説明する。
【0020】
図1は、ウェハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。図2は、図1に示すウェハレベルレンズアレイの構成のA−A線断面図である。
ウェハレベルレンズアレイは、基板部1と、該基板部1に配列された複数のレンズ部10とを備えている。複数のレンズ部10は、基板部1に対して1次元又は2次元に配列されている。この構成例では、図1のように、複数のレンズ部10が、基板部1に対して2次元に配列されている構成を例に説明する。レンズ部10は、基板部1と同じ材料から構成され、該基板部1に一体成形されたものである。レンズ部10の形状は、特に限定されず、用途などによって適宜変形される。
【0021】
基板部1の一方の面には、他の部材と重ね合わせるときの間隔を確保するためのスペーサ12が一体に成形されている。スペーサ12は、例えば、基板部1の面から突出する壁状の部材で、レンズ部10の周囲の一部又は全部を囲うように設けられている。
【0022】
図3は、レンズモジュールの構成の一例を示す断面図である。
レンズモジュールは、基板部1と、及び該基板部1に一体成形されたレンズ部10とを含んだ構成であり、例えば図1及び図2に示すウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシングし、レンズ部10ごとに分離させたものを用いる。スペーサ12は、ダイシングする境界に位置し、ダイシングによって同時に分離され、各レンズモジュールの基板部1に付属する。
【0023】
図4は、撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
撮像ユニットは、上述のレンズモジュールと、センサモジュールとを備える。レンズモジュールのレンズ部10は、センサモジュール側に設けられた固体撮像素子Dに被写体像を結像させる。レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとが、互いに略同一となるように平面視略矩形状に成形されている。
【0024】
センサモジュールは、半導体基板Wと、半導体基板Wに設けられた固体撮像素子Dを含んでいる。半導体基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウェハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。固体撮像素子Dは、半導体基板Wの略中央部に設けられている。固体撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。センサモジュールは、チップ化された固体撮像素子Dを配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、固体撮像素子Dは、半導体基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を繰り返し、該半導体基板に電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0025】
レンズモジュールは、その基板部1がスペーサ12を介してセンサモジュールの半導体基板Wの上に重ね合わされている。レンズモジュールのスペーサ12とセンサモジュールの半導体基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。スペーサ12は、レンズモジュールのレンズ部10がセンサモジュールの固体撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計され、レンズ部10がセンサモジュールに接触しないように、該レンズ部10と固体撮像素子Dとの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0026】
スペーサ12は、レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとを所定の距離を隔てた位置関係を保持することができる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形することができる。例えば、スペーサ12は、基板の4隅にそれぞれ設けられる柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、センサモジュールの固体撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。固体撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、固体撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、固体撮像素子Dを外部から密封することで、固体撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0027】
なお、図3に示すレンズモジュールは、レンズ部10が形成された基板部1を1つ備えた構成であるが、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えた構成としてもよい。このとき、互いに重ね合わされる基板部1同士がスペーサ12を介して組み付けられる。
【0028】
また、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュールの最下位置の基板部1にスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを構成してもよい。レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュール及び該レンズモジュールを備えた撮像ユニットの製造方法については後述する。
【0029】
以上のように構成された撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【0030】
本発明のウェハレベルレンズアレイに用いられるエネルギー硬化性の樹脂組成物は、熱により硬化する樹脂組成物、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂組成物のいずれであってもよい。
【0031】
モールド形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0032】
一方、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0033】
形状転写精度の観点からは硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。本発明に用いられる樹脂組成物の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0034】
硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0035】
本発明のウエハレベルレンズアレイには、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物が望まれる。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0036】
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’−ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開第06/095610号、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0037】
本発明の樹脂には屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記高アッべ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0038】
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0039】
また、本発明に用いられるには樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0040】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号〔0063〕〜〔0070〕)等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物は上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより硬化性樹脂組成物を製造することができる。該硬化性樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。硬化性組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0042】
次に、ウェハレベルレンズアレイの製造方法について詳細に説明する。
図5A〜5Dは、基板部にレンズ部を成形するための型の製作する手順を示す図である。
図5Aに示すように、ガラス基板21上に、コア23の転写面を紫外線硬化性樹脂(アクリル又はエポキシ)に転写し、紫外線を照射することでレプリカレンズ22を成形する。こうして、図5Bに示すように、ガラス基板21上に複数のレプリカレンズ22が配列されてなる所望のレンズアレイの形状を模ったマスタレンズアレイを作成する。
【0043】
次に、図5Cに見られるように、このマスタレンズアレイのレンズ面に電鋳によってニッケル(Ni)等の金属イオンを堆積させてスタンパ(Ni電鋳型)102を製造する。
【0044】
図5Dに見られるように、マスタレンズアレイから剥離したスタンパ102にはレンズ転写部102aが設けられる。この例では、レンズ転写部102aは凹部、つまり、凸状のレンズ部の形状に対応する形状としたが、凹状や非球面のレンズ部の形状に対応する形状としてもよい。なお、以下で説明する製造工程で用いる型は、このスタンパ102に特に限定されない。
【0045】
基板部1にスペーサ12を一体に成形する場合には、スタンパ102に該スペーサ12の形状を転写するための凹部を設けてもよい。このように、スタンパ102は、型として機能する際に複数のレンズ部を含む構造部の形状を転写するための凹部を有している。構造部としては、複数のレンズ部やスペーサだけでなく、基板部の一部に一体に成形されるものであれば特に限定されない。
【0046】
以下の説明では、スタンパ102を単に型(転写型)ともいう。また、ウェハレベルレンズアレイの構成としては図2で示したものを適宜参照する。
図6は、型に成形材料である樹脂を供給している状態を示す図である。型102の表面には、複数のレンズ部10の形状を転写する凹部であるレンズ転写部102aと、スペーサ12の形状を転写するスペーサ転写部112aが設けられている。
【0047】
図6に示すように、型102のレンズ転写部102aにディペンサのノズル部31から樹脂10Rを滴下する。各レンズ転写部102aに対して、1つのレンズ部に相当する所定量の樹脂が供給される。なお、各レンズ転写部102aに滴下される樹脂10Rの量はほぼ均一であり、レンズ部の容積以上とする。ノズル部31の樹脂10Rを型へ供給するための開口が凹部の領域より小さいことが好ましい。例えば、ノズル部31は、針状に形成され、凹部の径が2〜4mmとした場合に開口を1mmとすることが好ましい。こうすることで、レンズ転写部102aに的確に樹脂10Rを供給することができる。なお、レンズ転写部102aなどの凹部に樹脂10Rを供給する手段としてはディスペンサに限定されない。
【0048】
図7Aから図7Cは、型に樹脂を供給したときの状態を説明する図である。
最初に、図7Aに示すように、型102に設けられた複数のレンズ転写部102aのそれぞれに、樹脂10Rを供給する。
【0049】
図7Bに示すように、レンズ転写部102aに供給された樹脂10Rは、自重によってレンズ転写部102aの形状に倣って変形しつつ、複数のレンズ転写部102aが形成された面方向に拡がる。
【0050】
図7Cに示すように、樹脂10Rは、レンズ部10の容積より多い量で供給されているため、レンズ転写部102aから溢れた樹脂10Rがそれぞれのレンズ転写部102aに隣り合うスペーサ転写部112aにも埋め込まれる。このとき、各レンズ転写部102aから溢れた樹脂10Rが一体となる。樹脂10Rの一体となった部位が基板部1を構成する。言い換えると、この例では、供給する樹脂10Rの全体の総量は、レンズ部10、スペーサ12、基板部1の容積に相当する量である。
【0051】
この例では、成形材料として、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いる。図7Cに示すように型102に樹脂10Rを供給した状態で、型102の外側から紫外線又は熱を照射することで樹脂10Rを硬化させる。硬化後、型102から硬化した樹脂10Rを剥離し、型102によって基板部1の一方の面に複数のレンズ部10が成形されたウェハレベルレンズアレイを得ることができる。なお、レンズ部10が形成されていない基板部1の他方の面に、別途レンズ部10を成形することで基板部1の両方の面に複数のレンズ部10が成形されたウェハレベルレンズとしてもよい。
【0052】
ここで、レンズ部10の形状は、基板部1から突出するものとしたが、形状は特に限定されず、例えば、レンズ部10の形状は凹状や非球面であってもよい。以下のレンズ部10の説明においても形状については特に限定されないものとする。
【0053】
図8A及び8Bは、基板部にレンズ部を一体成形する際の別の手順を説明する図である。
図8Aに示すように、下側に配置される型102の表面に、凹部として複数レンズ転写部102aが設けられている。複数レンズ転写部102aのそれぞれに樹脂10Rが供給される。型102へ樹脂10Rを供給する手段としては、図6で説明したディスペンサを用いることができる。各レンズ転写部102aに供給される樹脂10Rは、レンズ部10に対応する凹部であるレンズ転写部102aの容量より多い量で供給される。
【0054】
次に、図8Bに示すように、型102の上側に配置された型104の、型102側の面には複数のレンズ転写部104aが設けられている。この例では、一対となる型(下型)102と型(上型)104とでウェハレベルレンズを成形する。型102と型104とは、転写面を対面させて対向配置される。型102及び型104の側面を覆うように胴型106が配置されている。胴型106は、筒状に構成され、その内部に型102及び型104をほぼ収容した構成である。型104は、胴型106の内部で、上下方向に沿って型102の上に樹脂10Rを挟んで重ね合う位置まで降下すること、及び、型102の上方へ離した位置まで上昇することが可能である。なお、型102及び型104のうち両方を移動可能としてもよく、いずれか一方のみを移動可能としてもよい。
【0055】
胴型106の機能の一つとしては、成形時に型から樹脂10Rが溢れることを防止することである。具体的には、胴型106は、成形時に、型102と型104との間から樹脂が溢れることを防止する。また、胴型106の別の機能としては、型102と型104の互いの上下方向に沿った位置合わせの基準となることである。
【0056】
型104を型102上に重ね合わす前に、型102に供給された樹脂10Rは、自重によってレンズ転写部102aの形状に倣って変形する。このとき、レンズ転写部102aから溢れた樹脂10Rの一部がスペーサ転写部112に埋め込まれてもよく、隣り合うレンズ転写部102a同士の樹脂10Rを一体とさせた状態としてもよい。
【0057】
図9は、型を重ね合わせた状態を示す図である。
図9に示すように、型102と型104とに挟まれた際の圧力に応じて、樹脂10Rが所定の形状に変形する。具体的には、樹脂10Rのうち、型102のレンズ転写部102aの形状に倣って変形した部位がレンズ部10を構成する。樹脂10Rのうち、型102のスペーサ転写部112aの形状に倣って変形した部位がスペーサ12を構成する。また、樹脂10Rのうち、型104のレンズ転写部104aの形状に倣って変形した部位がレンズ部10を構成する。
【0058】
このように変形させた樹脂10Rに紫外線又は熱を照射することで、樹脂10Rを硬化させる。硬化させる際には、型102と型104の相互の距離は固定しない。これは、硬化する樹脂10Rの収縮に応じて型102及び型104を適宜追従させるためである。たとえば、樹脂10Rの収縮に追従できるように型102及び型104のうち少なくとも一方をフリーにして型の重さで追従するようにしてもよい。又は、型102及び型104のうち少なくとも一方の移動を制御して樹脂10Rの収縮に応じて圧力を調整可能としてもよい。
【0059】
硬化後、型104を上昇させ、型102及び型104を開放した状態とし、基板部1及びレンズ部10を型102及び型104を剥離する。こうすることで、基板部1の両方の面に複数のレンズ部10が一体に成形されたウェハレベルレンズアレイを得ることができる。
【0060】
この例では、型102の凹部であるレンズ転写部102a毎に樹脂10Rを供給し、供給された樹脂10Rの一部をレンズ転写部102aのそれぞれから溢れさせ、溢れた樹脂10Rを一体とすることで基板部1を成形する。こうすると、レンズ転写部102a毎に樹脂10Rを供給することで、供給された樹脂10Rがレンズ転写部102aそれぞれの表面に倣って変形する。すると、複数のレンズ転写部102aにわたって一括で樹脂10Rを供給した場合に比べて、レンズ転写部102aと樹脂10Rとの間にエアが滞留してしまう部位ができづらく、エアが樹脂10Rによって型の外へ押し出されやすくなる。このため、エアの混入を防止することで、成形後のレンズ部10にエアが溜まった部分の形状欠損が発生することが抑えられ、光学的な機能に影響を与えてしまうことを防止できる。
【0061】
上記例では、レンズ転写部ごとに樹脂10Rを供給したが、他の構造部であるスペーサ12の形状を転写するスペーサ転写部112aのそれぞれに、レンズ転写部102aと同様に、樹脂10Rを供給してもよい。このとき、スペーサ12の容積以上の樹脂10Rをスペーサ転写部112aに供給し、供給された樹脂10Rの一部をスペーサ転写部112aのそれぞれから溢れさせ、レンズ転写部102a及びスペーサ転写部112aから溢れた樹脂10Rを一体とすることで基板部1を成形する。
【0062】
上記の例では、一対となる型102と型104を、胴型106によって位置合わせを行ったが、型102,104同士の位置合わせの手段はこれに限定されない。
【0063】
図10は、一対の型の位置合わせの他の例を示す図である。この例では、型102と型104とを貫通するピンPが設けられている。型102の上に型104を重ね合わせる際には、型102と型104とが互いにピンPによって案内されるため、位置合わせが行いやすい。ピンPは、レンズ転写部102a,104a以外の他の領域に設けられているため、成形される基板部1やレンズ部10の形状や光学的な機能に影響を与えることがない。ピンPは、型102及び型104のうちいずれか一方に固定され、他方を貫通するように設けられていてもよい。
【0064】
図11は、型に樹脂を供給する手段の別の例を示す図である。図11に示すように型102のレンズ転写部102aなどの凹部に樹脂10Rを供給する手段としては、樹脂10Rをエア吸引による吸着力によって保持する吸着部41を用いてもよい。吸着部41は、エア吸引によって樹脂10Rを保持を開始し、エア吸引を停止することで樹脂10Rを吸着部41から離脱させる。樹脂10Rは、吸着部41に保持されることを鑑みて、その形状をある程度維持できる範囲で硬化した状態であって、完全に硬化していない状態とする。
【0065】
図12は、基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。この例では、図8A及び8Bのように、一対となる型102と型104とでウェハレベルレンズを成形するものとする。型102の複数のレンズ転写部102aのそれぞれには、既に説明したように樹脂10Rが供給される。型102に供給された樹脂10Rは、自重によってレンズ転写部102aの形状に倣って変形する。
【0066】
この例では型102の上方に配置される型104の各レンズ転写部104aにも樹脂10Rが供給される。型104に供給された樹脂10Rは、樹脂10R自体の粘性によって各レンズ転写部104aの表面に付着された状態である。
【0067】
型102と型104とを重ね合わすことで、レンズ転写部102aの樹脂10Rと型104のレンズ転写部104aの樹脂10Rとが接触して一体となる。そして、型102及び型104の圧力に応じて、樹脂10Rが所定の形状に変形する。このとき、型104のレンズ転写部104a側に供給された10Rが、各レンズ転写部104aの形状に倣って変形し、この際の樹脂10Rの流動によってレンズ転写部104aのエアが押し出されやすくなる。このため、型102のレンズ転写部102aにのみ樹脂10Rを供給する場合に比べて、より確実にエアの混入を防止することが可能である。
【0068】
図13A及び13Bは、基板部の両面にレンズ部を有するウェハレベルレンズアレイを成形する手順の別の例を説明する図である。この例では、基板部1と該基板部1の一方の面に複数のレンズ部10を一体に成形してなる成形体を別途に2個製作し、その後、2個の成形体を接合することでウェハレベルレンズアレイとするものである。
【0069】
図13Aに示すように、最初に、一方の成形体を製作するため、図7に示す手順と同様に、複数のレンズ転写部102aとスペーサ転写部112aが設けられた型102によって、基板部1に複数のレンズ部10とスペーサ12とを一体に成形する。基板部1の、複数レンズ部10が設けられていない側の面に、平坦性を確保するためカバー部材Fが貼り合わされている。
【0070】
カバー部材Fは、樹脂の硬化時に面に均一な圧力を加えやすい剛体のものを用いることができる。また、カバー部材Fは、樹脂表面に付着しずらく、後で剥しやすいものが好ましい。例えば金属、ガラス、プラスチックなど成形しやすいものを選択することができる。カバー部材Fの材質として透明なものを使用すれば、成形体表面の状況が確認しやすい。
【0071】
図13Bに示すように、別途、他方の成形体を製作する。この成形体も同様に、複数のレンズ転写部104aが設けられた型104によって、基板部1に複数のレンズ部10を一体に成形する。そして、2個の成形体のレンズ部10が設けられない側の面同士を接合する。接合する前に、型102で成形された成形体からカバー部材Fを剥しておく。2個の成形体の接合には、接着剤や樹脂を用いてもよい。また、基板部1及びレンズ部10を成形した樹脂10Rと同じ紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂や、その他の屈折率等の光学性能がほぼ同じ樹脂を用いることができる。
【0072】
図14は、基板部1の他の構成例を示す図である。図14に示すように、基板部1には、レンズ部10を成形する部位を除く領域に、基板部1の反りを防止するため肉厚に形成してなるリブ14が設けられていてもよい。こうすれば、リブを設けた位置の基板部1の剛性が大きくなるため、反りが生ずることを防止できる。リブ14は、基板部1の面に格子状又は複数の柱状に形成することができる。
【0073】
なお、リブ14の形状は特に限定されない。リブ14は、上記構造部の一例である。このようなリブ14は、型にリブの形状を転写するための凹部を設けることで、レンズ部10やスペーサ12と同様に、基板部1に一体に成形することができる。
【0074】
基板部1のレンズ部10を成形する部位を除く領域に、他の部材と重ね合わせるときのスペーサ12が設けられている。他の部材としては、例えば、他のウェハレベルレンズアレイや半導体基板である。こうすれば、ウェハレベルレンズアレイを他のウェハレベルレンズアレイや半導体基板に重ね合わせるために別途スペーサを設ける工程を省略することができる。
なお、スペーサ12は、基板部1に一体のものに限らず、基板部1やレンズ部10とは異なる他の材料からなるものであって、別途取り付けられたものでもよい。
【0075】
次に、ウェハレベルレンズアレイの製造方法の変形例を説明する。
図15A及び15Bは、ウェハレベルレンズアレイの製造方法の手順の変形例を示す図である。この例では、レンズ部以外の部分に対応する凹部であるスペーサ転写部112aに樹脂を供給する。供給する樹脂10Rの量は、凹部であるスペーサ転写部112aの容量より多い量とする。スペーサ転写部112の凹部はつながって1つになっている場合もある。樹脂10Rは、分割して複数のスペーサ転写部112に供給してもよい。スペーサ転写部112aへの樹脂10Rの供給は上述したディスペンサを用いることができる。ディスペンサのノズル部は、針状に形成され、スペーサ転写部112aの開口する領域より小さい開口とすることが好ましい。こうすることで、レンズ転写部112aに的確に樹脂10Rを供給することができる。
【0076】
図15Bに示すように、この状態で成形を行うことにより、スペーサ転写部112aより溢れた樹脂10Rを一体とすることで基板部1及びレンズ部10のうち少なくとも一方を成形する。このように、凹部はレンズ部に対応する部分だけでなく、他の部材と重ね合わせたときの間隔を確保するためのスペーサを成形するためのスペーサ転写部112aでもよい。又は、凹部は、図14に示すように、基板部1の反りを防止するために該基板部1の面から突出するリブであってもよい。
【0077】
次に、ウェハレベルレンズアレイを用いて、更に、レンズモジュール及び撮像ユニットを製造する手順を説明する。
【0078】
図16A及び16Bは、ウェハレベルレンズアレイをダイシングする工程を説明する図である。ウェハレベルレンズアレイの基板部1の一方の表面(同図では下方の面)には、スペーサ12が一体に設けられている。
同図16Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と、該基板部1と同様にウェハ状に形成された半導体基板Wとの位置合わせが行われる。半導体基板Wの一方の面(同図では上側の面)には、基板部1に設けられた複数のレンズ部10の配列と同じ配列で固体撮像素子Dが設けられている。そして、ウェハレベルレンズアレイの基板部1がスペーサ12(図14参照)を介して、該基板部1と同様にウェハ状に形成された半導体基板Wに重ね合わされ、一体に接合される。その後、一体とされたウェハレベルレンズアレイ及び半導体基板Wは、レンズ部10及び固体撮像素子Dそれぞれの配列の列間に規定される切断ラインに沿って、ブレードC等の切断手段を用いて切断され、複数の撮像ユニットに分離される。切断ラインは、例えば基板部1の平面視において格子状である。
【0079】
なお、本例では、撮像ユニットを製造する際のダイジングを例に説明している。一方で、レンズモジュールを製造する際のダイジングは、半導体基板Wに接合させないで、レンズ部10の配列に応じて切断して複数のレンズモジュールに分離する。
【0080】
図17A及び17Bは、レンズモジュールの製造方法の手順を示す図である。この手順では、1つの基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイをダイジングして複数のレンズモジュールに分離する例を説明する。
【0081】
先ず、図17Aに示すように、ウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。
【0082】
次に、図17Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数のレンズモジュールに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接するレンズモジュールにそれぞれ付属する。こうして、レンズモジュールが完成する。
【0083】
なお、分離されたレンズモジュールは、スペーサ12を介して図示しないセンサモジュールやその他の光学素子を備えた基板に組み付けられてもよい。
【0084】
このように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1に予めスペーサ12を一体成形しておき、その後に、スペーサ12ごとウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシング工程で切断すれば、分離されたレンズモジュールにそれぞれスペーサ12を接合する場合に比べて効率良くレンズモジュールを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0085】
図18は、レンズモジュールを製造する手順の別の例を示す図である。この手順では、2つの基板部1と、各基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイをダイジングし、複数のレンズモジュールに分離する例を説明する。
【0086】
先ず、図18に示すように、複数のウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。複数のウェハレベルレンズアレイの各基板部1の一方の面にスペーサ12が成形されている。そして、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1同士の位置合わせを行い、下方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の上面に、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1の下面を、スペーサ12を介して接合する。ウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせた状態で、各基板部1に対してスペーサ12の位置が、各基板部1で同じになるようにする。
【0087】
そして、ウェハレベルレンズアレイの基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数のレンズモジュールに分離する。このとき、各切断ライン上に重なり合う位置のスペーサ12も同時に切断され、各切断ラインを境界として分割されたスペーサ12が、各切断ラインに隣接するレンズモジュールにそれぞれ付属する。こうして、複数のレンズ部10を備えたレンズモジュールが完成する。この手順では、重ね合わされるそれぞれの基板部1に対するレンズ部10及びスペーサ12の位置が同じであるため、分離された複数のレンズモジュールの構成はいずれも同じになる。また、重ね合わされるそれぞれの基板部1のうち、最上部の基板部1を基準に切断ラインの位置を決定し、切断すればよい。
【0088】
なお、分離されたレンズモジュールは、スペーサ12を介して図示しないセンサモジュールやその他の光学素子を備えた基板に組み付けられてもよい。
【0089】
このように、複数のウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせ、その後に、ウェハレベルレンズアレイの基板部1をスペーサ12ごとダイシング工程で切断すれば、分離されたレンズモジュールを個別に重ね合わせる場合に比べて、効率よくレンズモジュールを量産することができ、生産性が向上する。
【0090】
図19A及び19Bは、撮像ユニットを製造する手順を示す図である。この手順では、1つの基板部1と該基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたレンズモジュールをセンサモジュールに接合してダイジングし、複数の撮像ユニットに分離する例を説明する。
【0091】
先ず、図19Aに示すように、ウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。基板部1の下側の面にはスペーサ12が一体成形されている。
【0092】
次に、複数の固体撮像素子Dが配列された半導体基板Wを準備する。ウェハレベルレンズアレイの基板部1と、半導体基板Wとの位置合わせを行った後、該基板部1をスペーサ12を介して半導体基板Wの上側の面に接合する。このとき、基板部1に設けられた各レンズ部10の光軸の延長が固体撮像素子Dの中央部とそれぞれ交わるようにする。
【0093】
そして、図19Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と半導体基板Wとを接合した後、基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数の撮像ユニットに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接する撮像ユニットにそれぞれ付属する。こうして、撮像ユニットが完成する。
【0094】
このように、ウェハレベルレンズアレイに予めスペーサ12を成形しておき、その後に、ウェハレベルレンズアレイの基板と固体撮像素子Dを備えた半導体基板Wを重ね合わせて、基板部1及び半導体基板Wをダイシング工程で一緒に切断すれば、分離されたレンズモジュールにそれぞれスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを製造する場合に比べて、効率良く撮像ユニットを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0095】
図20A及び20Bは、撮像ユニットを製造する手順の別の例を示す図である。この手順では、2つの基板部1と各基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイを、固体撮像素子が設けられた半導体基板に接合してダイジングし、それぞれが2つのレンズ部10を備えた複数の撮像ユニットに分離する例を説明する。
【0096】
先ず、図20Aに示すように、2つのウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。重ね合わせる2つの基板部1それぞれの下側の面には、スペーサ12が予め成形されている。そして、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1同士の位置合わせを行い、下方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の上面に、上方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の下面を、スペーサ12を介して接合する。ウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせた状態で、各基板部1に対するスペーサ12の位置が、各基板部1で同じになるようにする。
【0097】
次に、複数の固体撮像素子Dが配列された半導体基板Wを準備する。重ね合わされた状態の複数のウェハレベルレンズアレイの基板部1と、半導体基板Wとの位置合わせを行う。その後、最下部に位置する該基板部1を、スペーサ12を介して半導体基板Wの上側の面に接合する。このとき、基板部1に設けられた各レンズ部10の光軸の延長が固体撮像素子Dの中央部とそれぞれ交わるようにする。
【0098】
そして、図20Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と半導体基板Wとを接合した後、基板部1及び半導体基板Wを、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数の撮像ユニットに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接する撮像ユニットにそれぞれ付属する。こうして、複数のレンズ部10を備えた撮像ユニットが完成する。
【0099】
このように、複数のウェハレベルレンズアレイ同士をスペーサ12を介して接合しておき、その後に、最下部のウェハレベルレンズアレイの基板部1と固体撮像素子Dを備えた半導体基板Wを重ね合わせて、基板部1及び半導体基板Wをダイシング工程で一緒に切断している。このような手順によれば、分離されたレンズモジュール同士を重ね合わせ、更に、各レンズモジュールとセンサモジュールとを接合していくことで各撮像ユニットを製造する場合に比べて、効率良く撮像ユニットを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0100】
本明細書は以下の内容を開示する。
(1)基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(2)上記(1)に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記複数の凹部が、前記レンズ部以外の部分に対応する凹部を含み、前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(3)基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記レンズ部以外の部分に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部のそれぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記樹脂はノズル部を介して前記複数の凹部ごとに供給され、前記ノズル部の前記樹脂を前記凹部に供給する開口が、前記凹部の領域より小さいウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、他の部材と重ね合わせたときの間隔を確保するためのスペーサを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、該基板部の反りを防止するために該基板部の面から突出するリブを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、転写面を対面させて対向配置される上型及び下型との一対で構成され、前記一対の型の側面を覆うように配置される胴型を備え、成形時に前記胴型によって前記上型と下型との間から樹脂が溢れることを防止するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記一対の型のそれぞれの転写面に設けられた前記凹部ごとに前記樹脂を供給するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は成形するウェハレベルレンズアレイの一方の面の表面形状を転写する転写面を備える一方の転写型と、前記成形するウェハレベルレンズアレイの他方の面の表面形状を転写する転写面を備える他方の転写型とからなり、
前記一方の転写型で成形された前記基板部と、前記他方の転写型で成形された前記基板部とを接合して一体とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
(11)上記(10)に記載の前記ウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュール。
(12)上記(10)に記載のウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュールであって、
前記レンズ部が形成された前記基板部を複数備え、複数の前記基板部同士が重ね合わされるレンズモジュール。
(13)上記(12)に記載のレンズモジュールを備えた撮像ユニットであって、
撮像素子と、
前記撮像素子が設けられた半導体基板とを備え、
前記基板部と前記半導体基板とが、前記スペーサを介して一体に接合された撮像ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0101】
上記ウェハレベルレンズアレイの製造方法は、デジタルカメラ、内視鏡装置、携帯型電子機器等の撮像部に設けられる撮像レンズを製造する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 基板部
10 レンズ部
12 スペーサ(構造部)
102,104 型
102a,104a レンズ転写部
112a スペーサ転写部(凹部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記複数の凹部が、前記レンズ部以外の部分に対応する凹部を含み、前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項3】
基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記レンズ部以外の部分に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部のそれぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記樹脂はノズル部を介して前記複数の凹部ごとに供給され、前記ノズル部の前記樹脂を前記凹部に供給する開口が、前記凹部の領域より小さいウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、他の部材と重ね合わせたときの間隔を確保するためのスペーサを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、該基板部の反りを防止するために該基板部の面から突出するリブを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、転写面を対面させて対向配置される上型及び下型との一対で構成され、前記一対の型の側面を覆うように配置される胴型を備え、成形時に前記胴型によって前記上型と下型との間から樹脂が溢れることを防止するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記一対の型のそれぞれの転写面に設けられた前記凹部ごとに前記樹脂を供給するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は成形するウェハレベルレンズアレイの一方の面の表面形状を転写する転写面を備える一方の転写型と、前記成形するウェハレベルレンズアレイの他方の面の表面形状を転写する転写面を備える他方の転写型とからなり、
前記一方の転写型で成形された前記基板部と、前記他方の転写型で成形された前記基板部とを接合して一体とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
【請求項11】
請求項10に記載の前記ウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュール。
【請求項12】
請求項10に記載のウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュールであって、
前記レンズ部が形成された前記基板部を複数備え、複数の前記基板部同士が重ね合わされるレンズモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のレンズモジュールを備えた撮像ユニットであって、
撮像素子と、
前記撮像素子が設けられた半導体基板とを備え、
前記基板部と前記半導体基板とが、前記スペーサを介して一体に接合された撮像ユニット。
【請求項1】
基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記複数のレンズ部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、その状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記複数の凹部が、前記レンズ部以外の部分に対応する凹部を含み、前記複数の凹部それぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項3】
基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とを有するウェハレベルレンズアレイを転写型により一体に成形するウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、その表面に少なくとも前記レンズ部以外の部分に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部のそれぞれに該凹部の容量より多い量の樹脂を供給し、この状態で成形を行うことにより前記凹部より溢れた前記樹脂を一体とすることで前記基板部及び前記レンズ部のうち少なくとも一方とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記樹脂はノズル部を介して前記複数の凹部ごとに供給され、前記ノズル部の前記樹脂を前記凹部に供給する開口が、前記凹部の領域より小さいウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、他の部材と重ね合わせたときの間隔を確保するためのスペーサを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記基板部に、該基板部の反りを防止するために該基板部の面から突出するリブを設けるウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は、転写面を対面させて対向配置される上型及び下型との一対で構成され、前記一対の型の側面を覆うように配置される胴型を備え、成形時に前記胴型によって前記上型と下型との間から樹脂が溢れることを防止するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記一対の型のそれぞれの転写面に設けられた前記凹部ごとに前記樹脂を供給するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記転写型は成形するウェハレベルレンズアレイの一方の面の表面形状を転写する転写面を備える一方の転写型と、前記成形するウェハレベルレンズアレイの他方の面の表面形状を転写する転写面を備える他方の転写型とからなり、
前記一方の転写型で成形された前記基板部と、前記他方の転写型で成形された前記基板部とを接合して一体とするウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
【請求項11】
請求項10に記載の前記ウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュール。
【請求項12】
請求項10に記載のウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュールであって、
前記レンズ部が形成された前記基板部を複数備え、複数の前記基板部同士が重ね合わされるレンズモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のレンズモジュールを備えた撮像ユニットであって、
撮像素子と、
前記撮像素子が設けられた半導体基板とを備え、
前記基板部と前記半導体基板とが、前記スペーサを介して一体に接合された撮像ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−64873(P2011−64873A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214367(P2009−214367)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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