説明

ウェビングの配索方法並びにシートベルト装置及び車両用シート

【課題】ウェビングの案内等をするためのガイドピンを簡単に設置することができるようにするとともに、そのガイドピンが簡単に脱落しないようにする。
【解決手段】シートベルト装置が、通し孔87が形成されたガイド壁85と、ガイド壁85に沿って案内されたウェビング52と、通し孔87に通され、ウェビング52に近接配置されたガイドピン20と、ガイド壁85に関してウェビング52の反対側であって通し孔87の近傍に配置された弾性爪25と、を備える。弾性爪25がその先端27を通し孔87に向けて指向し、弾性爪25の先端27とガイド壁85との間にガイドピン20の頭部23が配置され、弾性爪25がその先端27からその基端26にかけてガイドピン20の軸心に対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェビングの配索方法並びにシートベルト装置及び車両用シートに関し、特にその設置が簡単なウェビングの配索方法並びにシートベルト装置及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室には、三点式シートベルト装置が設けられている。三点式シートベルト装置においては、ウェビングがリトラクタに巻回されており、リトラクタから引き出されたウェビングの先端が所定の位置に固定されている。そして、ウェビングをリトラクタから更に引き出して、ウェビングを乗員の肩に掛けて、ウェビングの途中に設けられたタングをシートの脇のバックルに連結することで、乗員が拘束される。
【0003】
従来のシートベルト装置としては、ウェビングが車両用シートの側方において内装部材の内側に配索されたものが一般的であり、ウェビングが車両用シートの背もたれの内部に配索されたものもある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
ウェビングを所定の経路に案内したり、ウェビングを引っ掛けたり、ウェビングを折り返したりするために、ガイドピンが配置されている。例えば、特許文献1においては、ガイドピン(40)が背もたれの上端に設置され、そのガイドピン(40)にウェビング(7)が引っ掛けられ、ウェビング(7)がガイドピン(40)によって前に折り返されている。
【特許文献1】特開平8−150893号公報
【特許文献2】特開2002−87208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガイドピンを所定の位置に設置する場合に、そのガイドピンの設置が簡単であり、更にそのガイドピンがその設置箇所から簡単に脱落しないことが好ましい。
そこで、本発明の課題は、ウェビングの案内等をするためのガイドピンを簡単に設置することができるようにするとともに、そのガイドピンが簡単に脱落しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
通し孔が形成されたガイド壁と、
前記ガイド壁に沿って案内されたウェビングと、
前記通し孔に通され、前記ウェビングに近接して配置されたガイドピンと、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置され、前記通し孔の径方向に弾性変形する弾性部材と、を備え、
前記弾性部材と前記ガイド壁との間に前記ガイドピンの頭部が配置されている、シートベルト装置が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
通し孔が形成されたガイド壁と、
前記ガイド壁に沿って案内されたウェビングと、
前記通し孔に通され、前記ウェビングに近接して配置されたガイドピンと、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置された弾性爪と、を備え、
前記弾性爪がその先端を前記通し孔に向けて指向し、前記弾性爪の先端と前記ガイド壁との間に前記ガイドピンの頭部が配置され、前記弾性爪がその先端からその基端にかけて前記ガイドピンの軸心に対して傾斜している、シートベルト装置が提供される。
【0008】
好ましくは、
前記シートベルト装置が、前記ガイド壁との間に前記ウェビングをおいて前記ガイド壁に相対向し、前記通し孔に相対する位置に支持孔が形成された第2のガイド壁を更に備え、
前記ガイドピンの先端部が前記支持孔に差し込まれている。
【0009】
好ましくは、前記ガイドピンの先端部よりも頭部側の部分の径が前記支持孔の径よりも大きい。
【0010】
好ましくは、前記ガイドピンの頭部の径が前記通し孔の径よりも大きい。
【0011】
本発明の他の態様によれば、前記シートベルト装置を具備する車両用シートが提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、
通し孔が形成されたガイド壁に沿ってウェビングを案内し、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置された弾性部材をガイドピンによって前記通し孔の径方向に弾性変形させながら、前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側から前記ガイドピンを前記通し孔に差し込んで前記ガイドピンを前記ウェビングに近接させて配置し、
前記ガイドピンの頭部を前記弾性部材よりも前記ガイド壁側に位置させることによって前記弾性部材を解放し、前記ガイドピンの頭部を前記弾性部材と前記ガイド壁との間に配置させる、ウェビングの配索方法が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、
通し孔が形成されたガイド壁に沿ってウェビングを案内し、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置された弾性爪であってその先端を前記通し孔に向けて指向するとともにその先端からその基端にかけて前記通し孔の軸心に対して傾斜した爪をガイドピンによって前記通し孔の径方向に弾性的に曲げなら、前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側から前記ガイドピンを前記通し孔に差し込んで前記ガイドピンを前記ウェビングに近接させて配置し、
前記ガイドピンの頭部を前記弾性爪の先端よりも前記ガイド壁側に位置させることによって前記弾性爪を解放し、前記ガイドピンの頭部を前記弾性爪の先端と前記ガイド壁との間に配置させる、ウェビングの配索方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガイドピンを設置する際には、ガイドピンを通し孔に差し込むときに、弾性部材・弾性爪をガイドピン等で弾性変形させればよく、ガイドピンの設置を簡単にすることができる。また、ガイドピンの頭部が弾性部材・弾性爪よりもガイド壁寄りになるまでガイドピンを差し込めば、弾性部材・弾性爪が元に戻り、ガイドピンの頭部が弾性部材・弾性爪とガイド壁との間に配置されているから、ガイドピンが通し孔から抜けにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
図1は、車両用シートのフレームを左上後方から見て示した斜視図である。図2は、車両用シートの臀部受け部8及び背もたれ9の一部を示した概略縦断面図である。
図1、図2に示すように、車両用シートは、シートボトムフレーム2と、シートボトムフレーム2の後端部に連結されたセンターシートバックフレーム3と、シートボトムフレーム2の後端部に連結されたサイドシートバックフレーム4と、三点式のシートベルト装置5と、を備える。
【0017】
位置調整機構6が車両のフロアに取り付けられ、シートボトムフレーム2の前後位置が位置調整機構6によって調整される。シートボトムフレーム2の上にクッションが取り付けられており、クッションが表皮によって覆われ、これによってサイドシート及びセンターシートの臀部受け部8が構成されている。
【0018】
センターシートバックフレーム3とサイドシートバックフレーム4が左右に並んだ状態でシートボトムフレーム2に連結され、その連結部にはリクライニング機構が設けられている。リクライニング機構は、シートボトムフレーム2に対しセンターシートバックフレーム3及びサイドシートバックフレーム4の角度を調整するものである。
【0019】
サイドシートバックフレーム4の左右両側から前面側にかけて背もたれクッションが設けられ、背もたれクッションが表皮によって覆われ、これによってサイドシートの背もたれ9が構成されている。センターシートバックフレーム3の左右両側から前面側にかけてクッションが設けられ、そのクッションが表皮によって覆われ、これによってセンターシートの背もたれが構成されている。
【0020】
以下、車両用シートのシートベルト装置5について具体的に説明する。
リトラクタ51がシートボトムフレーム2の前端部であってその下側に取り付けられ、そのリトラクタ51から後方にウェビング52が延び出ている。リトラクタ51はウェビング52を巻取るものであって、ウェビング52の繰り出しを可能としたものである。このウェビング52は、掛け部53、掛け部54及びガイドピン20,30等によって案内されている。
【0021】
掛け部53がシートボトムフレーム2の後部に設けられ、掛け部54がサイドシートバックフレーム4の上端に設けられている。ウェビング52がシートボトムフレーム2の下をリトラクタ51から掛け部53にかけて案内され、掛け部53に掛けられることによって上に折り返されている。また、ウェビング52が背もたれ9の内部を掛け部53から掛け部54にかけて案内され、掛け部54に掛けられることによってサイドシートバックフレーム4の前側に折り返されている。また、ウェビング52は、背もたれ9の上端から延び出て、掛け部54から臀部受け部8の後端部にかけて背もたれ9の前面に沿って上下に案内されている。
【0022】
ウェビング52が背もたれ8の前面側においてタングに通され、タングがウェビング52に沿ってスライド可能とされている。ウェビング52がリトラクタ51の巻取力に反してリトラクタ51から引き出されて、タングがバックルに連結されることで、着座者がウェビング52によって車両用シートに拘束される。
【0023】
背もたれ8の内部においては、前後一対のベルトカバー55,56がサイドシートバックフレーム4に取り付けられている。ウェビング52は、掛け部53から掛け部54にかけてベルトカバー55,56の間を上下に案内されている。
【0024】
後ろのベルトカバー55の下部には、保護カバー80が取り付けられている。この保護カバー80は、ベース81と、ベース81から上に延出した支持腕82とを一体形成したものである。支持腕82が後ろのベルトカバー55の前面に沿ってベルトカバー55に取り付けられ、ベース81がベルトカバー55から下に突出している。
【0025】
ベース81には挿通孔83が形成されている。挿通孔83はベース81を上下に貫通している。ベース81の後面から下面にかけては背もたれ8の後ろ側表面より露出しており、挿通孔83が背もたれ8の後面下部において開口している。掛け部53から上に折り返されたウェビング52が、挿通孔83に通されて、背もたれ9の内部に導かれている。そして、ウェビング52は支持腕82の前方を上下に案内されている。
【0026】
図3は、保護カバー80の前面側から示した斜視図である。
図3に示すように、支持腕82の前面側であってその左右両側には、ガイド壁84,85が設けられている。ガイド壁84,85はリブ状であり、ベース81及び支持腕82の後面にから凸設されている。ガイド壁84,85は、挿通孔83の近傍から支持腕82の上端にかけて、支持腕82の左右両縁に沿って上下に延在している。ウェビング52はガイド壁84,85の間をガイド壁84,85に沿って上下に案内されている。
【0027】
挿通孔83よりも上側において、ガイド壁84,85には2本のガイドピン20,30が取り付けられ、ガイドピン20,30がガイド壁84とガイド壁85との間を掛け渡されている。図2、図3に示すように、ガイドピン20,30が間隔を置いて配置され、ウェビング52がガイドピン20,30の間を通されている。ウェビング52がガイドピン20,30の間に挟まれることで、ウェビング52が安定する。そのため、ウェビング52がばたつくことを防止できたり、ウェビング52の引出し・巻込み時の摺動抵抗を低くしたりすることができる。
【0028】
図4は、ガイドピン20を取り外した状態で保護カバー80の前面側から示した斜視図である。図4に示すように、ガイドピン20は、棒状のピン本体部21と、ピン本体部21の先端に形成され、ピン本体部21の径よりも細い径の先端部22と、先端部22の反対側の端部に形成され、ピン本体部21の径よりも太い径の頭部23と、を有する。
【0029】
一方、ガイド壁84には、支持孔86が形成され、ガイド壁85には、通し孔87が形成されている。支持孔86及び通し孔87は左又は右から見て同軸となっており、通し孔87が支持孔86の相対する位置に配置されている。
【0030】
ガイドピン20は、ガイド壁85に関してウェビング52及びガイド壁84の反対側から通し孔87に差し込まれている。具体的には、ガイドピン20はその先端部22を先にして通し孔87に通され、その先端部22が支持孔86に嵌め込まれている。支持孔86の径はガイドピン20の先端部22の径に等しいか、又は僅かながら先端部22の径よりも大きい。また、ピン本体部21の径は支持孔86の径よりも大きい。そのため、ピン本体部21の先端面が支持孔86の周囲においてガイド壁84に引っ掛かっている。また、ガイドピン20の頭部23の径が通し孔87の径よりも大きく、頭部23が通し孔87の周囲においてガイド壁85に引っ掛かっている。
【0031】
ガイド壁85に関してウェビング52及びガイド壁84の反対側であって通し孔87の近傍には、弾性爪25が設けられている。弾性爪25の基端26が通し孔87から離れた位置に設置され、弾性爪25の先端27が基端26よりも通し孔87の近くに配置され、弾性爪25はその先端27を通し孔87に向けて指向している。弾性爪25が通し孔87の軸心(ガイドピン20の軸心)に対して傾斜し、通し孔87の軸方向に見て弾性爪25の基端26が先端27よりも通し孔87の径方向外側に配置されている。
【0032】
ガイドピン20の頭部23が弾性爪25の先端27とガイド壁85との間に挟まれており、ガイドピン20が通し孔87から抜けないようになっている。また、弾性爪25は通し孔87の径方向に弾性変形可能であり、通し孔87の径方向の荷重が弾性爪25に作用することで、弾性爪25の先端27が頭部23から離れる。そのため、ガイドピン20を抜き取ることができる。
【0033】
ガイドピン30はガイドピン20と同様に弾性爪35によって抜けが防止されている。ガイドピン30、弾性爪35は、その設置位置を除いて、ガイドピン20、弾性爪25と同様に設けられているので、ガイドピン30、弾性爪35の詳細な説明を省略する。
【0034】
次に、ウェビング52の配索方法について説明する。
まず、ガイドピン30の先端部を先にしてガイド壁85の通し孔に差し込み、ガイドピン30の抜けを弾性爪35によって防止する(図6参照)。なお、ガイドピン30の取付方法は、後述するガイドピン20の取付方法と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0035】
次に、リトラクタ51からウェビング52を引き出し、ウェビング52を保護カバー80の挿通孔83に通し、ウェビング52をガイド壁84,85の間においてガイド壁84,85に沿って案内する(図4参照)。そして、ウェビング52を掛け部53,54に掛けて、ウェビング52の先端を臀部受け部8の後端部に連結する。
【0036】
次に、図4、図7に示すように、ガイドピン20の先端部22を先にして、ガイドピン20を通し孔87に差し込む。ガイドピン20を差し込んでいくと、頭部23が弾性爪25に当たる。更に、頭部23を押し込んでガイドピン20を通し孔87に差し込んでいくと、弾性爪25が頭部23に押されて、ガイドピン20の軸心に対して交わる方向(通し孔87の径方向)に弾性爪25が弾性的に曲げられる。こうして、ガイドピン20の先端部22を支持孔86に差し込むと、頭部23が弾性爪25の先端27からガイド壁85側にはずれる。そうすると、弾性爪25がガイドピン20の頭部23による押し込みから解放され、弾性爪25が元に戻る(図5参照)。そのため、頭部23がその縁部分において弾性爪25の先端27とガイド壁85との間に挟まれる。また、頭部23が通し孔87の周囲においてガイド壁85に引っ掛かる(図5参照)。これにより、ガイドピン20の抜けが防止される。
【0037】
次に、ベルトカバー55,56をサイドシートバックフレーム4に取り付け、保護カバー80の支持腕82をベルトカバー56に取り付ける。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、ガイドピン20を通し孔87に差し込んでいくだけで、弾性爪25がガイドピン20の頭部23によって押されて弾性変形する。そして、ガイドピン20を差し込みきると、弾性爪25が元に戻ってガイドピン20の抜けが防止される。このように、ガイドピン20の抜け防止とガイドピン20の簡単な設置とを両立することができる。ガイドピン30についても同様である。
【0039】
また、2本のガイドピン20,30が1つの部材(保護カバー80)に取り付けられているので、ガイドピン20,30の位置関係が安定し、ウェビング52を安定して案内することができる。つまり、仮に2本のガイドピン20,30が別々の部材に取り付けられ、それらの部材をサイドシートバックフレーム4に取り付けるものとすると、設計誤差によりガイドピン20,30の位置関係が安定しない。その場合、ガイドピン20,30が接近したり、ガイドピン20,30の平行度が低くなったりすることもあり、ウェビング52のばたつき・摺動抵抗が発生する可能性もある。それに対して、本実施形態では、2本のガイドピン20,30を予め保護カバー80に取り付けた後に、その保護カバー80をベルトカバー56に取り付けるため、そのような不具合の発生を抑えることができる。
【0040】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例を挙げるが、本発明が以下の変形例に限定されるものではない。更に、以下に挙げる変形例を可能な限り組み合わせてもよい。
【0041】
〔変形例A〕
上記実施形態ではガイドピン20の頭部23の径が通し孔87の径よりも大きかったが、頭部23の径が通し孔87の径に等しく、又は通し孔87の径よりも小さくてもよい。但し、ガイドピン20が通し孔87からガイド壁84側へ抜けないように、ピン本体部21の径が支持孔86の径よりも大きく、ピン本体部21の先端面がガイド壁84に引っ掛かるようにすることが望ましい。
【0042】
〔変形例B〕
上記実施形態ではピン本体部21の径が支持孔86の径よりも大きかったが、ピン本体部21の径が支持孔86の径に等しく、又は支持孔86の径よりも小さくてもよい。但し、ガイドピン20が通し孔87からガイド壁84側へ抜けないように、頭部23の径が通し孔87の径よりも大きいことが望ましい。
【0043】
〔変形例C〕
上記実施形態ではガイドピン20は両持ち梁状に支持されているが、ガイドピン20の先端部22が支持孔86に差し込まれずに、ガイドピン20が片持ち梁状に支持されてもよい。この場合、ガイドピン20ががたつかないようにするために、ガイド壁85を厚くしたり、ピン本体部21と通し孔87の壁面との間に遊びがないようしたりするとよい。
【0044】
〔変形例D〕
掛け部53,54についてもガイドピン20,30と同様な形状にし、ガイドピン20,30が設置されて抜けが防止されるのと同様に掛け部53,54が設置されて弾性爪によって抜けが防止されてもよい。
【0045】
〔変形例E〕
上記実施形態では、シートベルト装置5が車両用シートに設置される場合についてそのウェビング52がガイドピン20,30によって案内されている。それに対して、シートベルト装置がシートの脇の内装部材内に設置される場合について、そのウェビングをガイドピンによって案内するときにも、そのガイドピンをガイドピン20,30と同様に設置されて弾性爪によって抜けが防止されてもよい。
【0046】
〔変形例F〕
また、上記実施形態では自動車の車室に設けられるシートベルト装置に本発明を適用したが、他の乗物(例えば、航空機、船舶等)の乗員室に設置されるシートベルト装置に本発明を適用してもよい。
【0047】
〔変形例G〕
また、上記実施形態では弾性部材が爪状に形成された弾性爪25であったが、その形状は爪状でなくてもよい。例えば、弾性爪25と同様に傾斜した板バネであってもよいし、その他の形状であってもよい。つまり、ガイドピン20を通し孔87に差し込むときに、ガイドピン20の頭部23によって押されて、通し孔87の径方向に弾性変形する弾性部材であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】車両用シートのフレーム構造を示した斜視図である。
【図2】上記車両用シートの背もたれ及び臀部受け部の一部を示した概略縦断面図である。
【図3】上記車両用シートに設置される保護カバー及びウェビング等を示した斜視図である。
【図4】上記車両用シートに設置される保護カバーからガイドピンを取り外した状態を示した斜視図である。
【図5】上記保護カバーの要部拡大図である。
【図6】上記保護カバーからガイドピン及びウェビングを取り外した状態を示した斜視図である。
【図7】上記保護カバーの要部拡大図である。
【符号の説明】
【0049】
20、30 ガイドピン
21 ピン本体部
22 ピンの先端部
23 ピンの頭部
25、35 弾性爪
52 ウェビング
84、85 ガイド壁
86 支持孔
87 通し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通し孔が形成されたガイド壁と、
前記ガイド壁に沿って案内されたウェビングと、
前記通し孔に通され、前記ウェビングに近接して配置されたガイドピンと、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置され、前記通し孔の径方向に弾性変形する弾性部材と、を備え、
前記弾性部材と前記ガイド壁との間に前記ガイドピンの頭部が配置されている、シートベルト装置。
【請求項2】
通し孔が形成されたガイド壁と、
前記ガイド壁に沿って案内されたウェビングと、
前記通し孔に通され、前記ウェビングに近接して配置されたガイドピンと、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置された弾性爪と、を備え、
前記弾性爪がその先端を前記通し孔に向けて指向し、前記弾性爪の先端と前記ガイド壁との間に前記ガイドピンの頭部が配置され、前記弾性爪がその先端からその基端にかけて前記ガイドピンの軸心に対して傾斜している、シートベルト装置。
【請求項3】
前記ガイド壁との間に前記ウェビングをおいて前記ガイド壁に相対向し、前記通し孔に相対する位置に支持孔が形成された第2のガイド壁を更に備え、
前記ガイドピンの先端部が前記支持孔に差し込まれている、請求項1又は2に記載のシートベルト装置。
【請求項4】
前記ガイドピンの先端部よりも頭部側の部分の径が前記支持孔の径よりも大きい、請求項3に記載のシートベルト装置。
【請求項5】
前記ガイドピンの頭部の径が前記通し孔の径よりも大きい、請求項1から4の何れか一項に記載のシートベルト装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のシートベルト装置を具備する車両用シート。
【請求項7】
通し孔が形成されたガイド壁に沿ってウェビングを案内し、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置された弾性部材をガイドピンによって前記通し孔の径方向に弾性変形させながら、前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側から前記ガイドピンを前記通し孔に差し込んで前記ガイドピンを前記ウェビングに近接させて配置し、
前記ガイドピンの頭部を前記弾性部材よりも前記ガイド壁側に位置させることによって前記弾性部材を解放し、前記ガイドピンの頭部を前記弾性部材と前記ガイド壁との間に配置させる、ウェビングの配索方法。
【請求項8】
通し孔が形成されたガイド壁に沿ってウェビングを案内し、
前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側であって前記通し孔の近傍に配置された弾性爪であってその先端を前記通し孔に向けて指向するとともにその先端からその基端にかけて前記通し孔の軸心に対して傾斜した爪をガイドピンによって前記通し孔の径方向に弾性的に曲げなら、前記ガイド壁に関して前記ウェビングの反対側から前記ガイドピンを前記通し孔に差し込んで前記ガイドピンを前記ウェビングに近接させて配置し、
前記ガイドピンの頭部を前記弾性爪の先端よりも前記ガイド壁側に位置させることによって前記弾性爪を解放し、前記ガイドピンの頭部を前記弾性爪の先端と前記ガイド壁との間に配置させる、ウェビングの配索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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