説明

ウェビング巻取装置

【課題】プロテクタを挿通部に確実に保持させ、プロテクタを挿通部に組付け易くする。
【解決手段】ウェビング巻取装置10では、フォースリミッタ機構作動時よりプリテンショナ機構作動時の方がウェビングに作用する張力が小さいため、第1爪34の突出寸法L1及び第2爪36の突出寸法L2を第2当接部40A、第2当接部40Bの突出寸法に比して小さくできる。ここで、第1当接部38A、38B、第2当接部40A、40Bの本体部25との当接面積の合計は、第1爪34、第2爪36の本体部25との当接面積の合計に比して大きい。これにより、第1爪34、第2爪36をステー24の下側から挿通孔26に挿入させて組付ける。この際に突出寸法L1及び突出寸法L2を小さくできるため、プロテクタ30の撓み量を小さくできる。したがって、プロテクタ30をステー24に確実に保持させることができ、プロテクタ30をステー24に組付け易くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員に装着されるウェビングが挿通される挿通孔を被覆してウェビングを保護するプロテクタを備えたウェビング巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の図13には、フレームに固定されるステーアッパーが示されている。ステーアッパーは、シートベルト案内孔が貫通形成されたステーアッパー本体を備えており、シートベルト案内孔には、シートベルトが挿通されている。
【0003】
また、シートベルト案内孔の開口周縁には、樹脂により製作された矩形環状のプロテクタが配置されている。プロテクタの外周部全体には、上側フランジ及び下側フランジが設けられており、上側フランジ及び下側フランジは、それぞれプロテクタから外側へ突出されている。
【0004】
プロテクタをステーアッパーに組付ける際には、プロテクタを下側フランジの突出量において撓ませて、プロテクタをステーアッパーの上方からシートベルト案内孔へ挿入させる。これにより、上側フランジと下側フランジとがステーアッパーを狭持して、プロテクタがステーアッパーに保持される。このため、シートベルトがプロテクタに接触することで、シートベルトがシートベルト案内孔の開口周縁に接触することが抑制される。
【0005】
ここで、シートベルトに急激に強い引張力等の負荷が加わった場合には、シートベルトがプロテクタの内周部を摺動して、プロテクタにシートベルトから高荷重の摩擦力が作用する。このため、プロテクタをステーアッパーに確実に保持させるため、上側フランジ及び下側フランジのプロテクタからの突出量(係り代)が大きく設定されている。
【0006】
したがって、プロテクタをステーアッパーに組付ける際には、プロテクタを撓ませる量が大きくなり、プロテクタがステーアッパーに組付けにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3041981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、プロテクタを挿通部に確実に保持させることができ、プロテクタを挿通部に組付け易くできるウェビング巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のウェビング巻取装置は、巻取方向へ回転することで車両の乗員に装着されるウェビングが巻取られ、前記ウェビングが引出されることで引出方向へ回転される巻取軸と、前記巻取軸の両端側を支持するフレームと、前記フレームに設けられ、前記巻取軸から延出された前記ウェビングが挿通される挿通孔が形成された挿通部と、弾性変形された後に前記挿通部に取付けられ、前記挿通孔の内周部を被覆して前記ウェビングを保護すると共に、前記ウェビングが巻取られる際及び引出される際に前記ウェビングが摺動する環状のプロテクタと、前記プロテクタの外周部に設けられ、前記プロテクタに対して外側へ突出されて前記挿通部の前記巻取軸とは反対側の面に当接される爪部と、前記プロテクタの外周部に設けられ、前記プロテクタに対して外側へ突出されて前記挿通部の前記巻取軸側の面に当接されると共に、前記挿通部との当接面積が前記爪部の前記挿通部との当接面積に比して大きく設定された当接部と、
【0010】
を備えている。
【0011】
請求項1に記載のウェビング巻取装置では、フレームに巻取軸の両端側が支持されており、巻取軸が巻取方向へ回転することで、ウェビングが巻取軸に巻取られる。また、巻取軸に巻取られたウェビングが引出されることで、巻取軸が引出方向へ回転される。
【0012】
フレームには、挿通部が設けられており、挿通部には、巻取軸から延出されたウェビングが挿通される挿通孔が形成されている。また、挿通部には、環状のプロテクタが取付けられている。プロテクタは、挿通孔の内周部を被覆してウェビングを保護しており、ウェビングが巻取られる際及びウェビングが引出される際に、ウェビングがプロテクタを摺動する。
【0013】
プロテクタの外周部には爪部が設けられており、爪部は、プロテクタに対して外側へ突出されて、挿通部の巻取軸とは反対側の面に当接されている。これにより、爪部によってプロテクタの挿通部に対する巻取軸側への移動が制限されている。
【0014】
また、プロテクタの外周部には当接部が設けられている。当接部は、プロテクタに対して外側へ突出されて、挿通部の巻取軸側の面に当接されている。これにより、当接部によってプロテクタの挿通部に対する巻取軸側とは反対側への移動が制限されている。したがって、爪部と当接部とによってプロテクタが挿通部に保持される。
【0015】
ところで、車両の緊急時には、ウェビング巻取装置に設けられたプリテンショナ機構が作動することで、巻取軸が強制的に巻取方向へ回転されて、ウェビングによる乗員の拘束力を増加させる場合がある。この場合には、ウェビングがプロテクタを巻取軸側へ摺動して、ウェビングによってプロテクタに高荷重の摩擦力が作用する。
【0016】
また、車両の緊急時には、上記の他に、巻取軸の引出方向への回転を制限することで、ウェビング巻取装置に設けられたフォースリミッタ機構が作動する場合がある。この場合には、乗員に作用する慣性エネルギーによりウェビングに引出方向の張力が作用して、巻取軸の内部に設けられたトーションシャフトが捩れ変形することで、乗員に作用した慣性エネルギーを吸収する。この際には、ウェビングがプロテクタを巻取軸とは反対側へ摺動して、ウェビングによってプロテクタに高荷重の摩擦力が作用する。
【0017】
このプリテンショナ機構が作動される場合とフォースリミッタ機構が作動される場合とにおいて、プリテンショナ機構が作動される際のウェビングに作用する張力の方が小さい。このため、車両の緊急時にウェビングがプロテクタを摺動する際には、ウェビングがプロテクタを巻取軸とは反対側へ摺動することでプロテクタに作用する摩擦力に比べて、ウェビングがプロテクタを巻取軸側へ摺動することでプロテクタに作用する摩擦力が小さくなる。これにより、プロテクタの巻取軸側への移動を制限する爪部の突出量(係り代)を当接部の突出量に比して小さくして、プロテクタを挿通部に保持させることができる。
【0018】
ここで、当接部の挿通部との当接面積は、爪部の挿通部との当接面積に比して大きく設定されている。これにより、プロテクタを挿通部(挿通孔)に組付ける際には、挿通部との当接面積の小さい爪部を挿通部の巻取軸側から挿通孔に挿入させる。この際には、プロテクタが爪部の突出量において弾性変形されるが、上述の如く、爪部のプロテクタに対する突出量を小さくできるため、プロテクタが弾性変形される際のプロテクタの撓み量を小さくできる。
【0019】
請求項2に記載のウェビング巻取装置は、請求項1に記載のウェビング巻取装置において、前記プロテクタは、前記巻取軸から延出される前記ウェビングの厚さ方向一側面が摺動される一側壁と、前記巻取軸から延出される前記ウェビングの厚さ方向他側面が摺動される他側壁と、を有し、前記巻取軸から前記一側壁まで延出される前記ウェビングの長さが前記巻取軸から前記他側壁まで延出される前記ウェビングの長さに比して短くなるように前記一側壁が配置され、前記爪部は、前記一側壁に設けられた第1爪部と、前記他側壁に設けられた第2爪部と、を有すると共に、前記第2爪部の突出寸法に対する前記第1爪部の突出寸法及び前記第2爪部の幅寸法に対する前記第1爪部の幅寸法の少なくとも一方が小さく設定されている。
【0020】
請求項2に記載のウェビング巻取装置では、プロテクタが、巻取軸から延出されるウェビングの厚さ方向一側面が摺動される一側壁と、巻取軸から延出されるウェビングの厚さ方向他側面が摺動される他側壁とを有している。また、一側壁には第1爪部が設けられており、他側壁には第2爪部が設けられている。このため、プロテクタを挿通部に組付ける際には、プロテクタの第2爪部を挿通部に係合させた後に一側壁側のみを弾性変形させることで、プロテクタを挿通部に組付けることができる。
【0021】
ここで、第2爪部の突出寸法に対する第1爪部の突出寸法及び第2爪部の幅寸法に対する第1爪部の幅寸法の少なくとも一方が、小さく設定されている。このため、一側壁を撓ませる荷重を、他側壁を撓ませる荷重に比して小さい荷重に設定し易くできる。
【0022】
しかも、巻取軸から一側壁まで延出されるウェビングの長さが巻取軸から他側壁まで延出されるウェビングの長さに対して短くなるように、一側壁が配置されている。このため、巻取軸から延出されたウェビングは主に一側壁を摺動する。また、ウェビングが一側壁を摺動する際には、ウェビングによってプロテクタに作用する押圧力がプロテクタの外側方向にも作用する。したがって、プロテクタを挿通部に組付ける際に弾性変形させる一側壁において、プロテクタを挿通部に効果的に保持させることができる。
【0023】
請求項3に記載のウェビング巻取装置は、請求項2に記載のウェビング巻取装置において、前記一側壁に設けられ、前記爪部と前記一側壁の幅方向外側端部との間に配置されて前記当接部を分離する切欠部を備えている。
【0024】
請求項3に記載のウェビング巻取装置では、一側壁に切欠部が設けられており、切欠部は、爪部と一側壁の幅方向外側端部との間に配置されて、当接部を分離している。このため、プロテクタの一側壁が、切欠部の部位において、弾性変形され易くなる。
【発明の効果】
【0025】
以上、説明したように本発明のウェビング巻取装置によれば、プロテクタを挿通部に確実に保持させることができ、プロテクタをステーに組付け易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態におけるウェビング巻取装置を示す車幅方向外側かつ車両前後方向一側から見た分解斜視図である。
【図2】図1に示されるウェビング巻取装置に用いられるフレーム、ステー、及びプロテクタを車幅方向内側かつ車両前後方向一側から見た斜視図である。
【図3】図2に示されるステー及びプロテクタを上方から見た平面図である。
【図4】図3に示されるステー及びプロテクタを車両前後方向一側から見た断面図(図3の4−4線断面図)である。
【図5】図2に示されるステー及びプロテクタを下方から見た平面図である。
【図6】図2に示されるプロテクタ内をウェビングが挿通されている際を示す車両前後方向一側から見た断面図である。
【図7】(A)は、図1に示されるウェビング巻取装置に設けられたフォースリミッタ機構が作動された際にプロテクタに作用する押圧力を示す概念図であり、(B)は、当該ウェビング巻取装置に設けられたプリテンショナ機構が作動された際にプロテクタに作用する押圧力を示す概念図である。
【図8】(A)は、図1に示されるウェビング巻取装置に設けられたフォースリミッタ機構が作動された際にプロテクタに作用する摩擦力を示す概念図であり、(B)は、当該ウェビング巻取装置に設けられたプリテンショナ機構が作動された際にプロテクタに作用する押圧力を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置10の構成が分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前後方向一側を矢印LOで示し、車幅方向外側を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0028】
この図に示すように、ウェビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は、略板状の背板12Aと、背板12Aの幅方向両端のそれぞれから一体に延出する脚板12B及び脚板12Cとによって構成されている。背板12Aがボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されることで、ウェビング巻取装置10が車体に取付けられる。
【0029】
脚板12B及び脚板12Cには、それぞれ円形状の配置孔14及び配置孔16が貫通形成されている。脚板12Bと脚板12Cとの間には、ダイカスト等によって製作された巻取軸としてのスプール20が回転可能に支持されている。スプール20は全体として鼓形状をなしており、スプール20には、長尺帯状に形成されたウェビング22の基端部が連結固定されている。スプール20をその軸線周り一方(図1に示される矢印A方向であり、以下、この方向を「巻取方向」と称する)へ回転させると、ウェビング22がその基端側からウェビング22の内側面22A(厚さ方向一側面)を内側にしてスプール20の外周部に層状に巻取られる。一方、ウェビング22をその先端側から引張れば、これに伴いスプール20がその軸線周り他方(図1に示される矢印B方向であり、以下、この方向を「引出方向」と称する)へ回転しながらウェビング22が引出される。
【0030】
図2〜図6に示す如く、スプール20の上方には、挿通部としてのクランク状に屈曲された略板状のステー24が設けられている。ステー24は略水平に配置された本体部25と、本体部25の背板12A側端から下方へ延出する固定部24Aと、本体部25の背板12Aとは反対側端から上方へ延出する取付部24Bとによって構成されている。固定部24Aは背板12Aに固定されており、取付部24Bの一端部がボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されている。
【0031】
本体部25には、中央部において、略矩形状の挿通孔26が貫通形成されており、挿通孔26は、長手方向をスプール20の軸線方向と平行にして、配置されている。また、挿通孔26は、上方から見てスプール20の軸線に対して背板12A側に配置されており、スプール20から延出されたウェビング22は、挿通孔26内を挿通して、挿通孔26から上方へ延出されている(図6参照)。
【0032】
ステー24には、樹脂により製作された略矩形環状のプロテクタ30が取付けられている。プロテクタ30は、一側壁としての側壁32Aと、他側壁としての側壁32Bと、側壁32Cと、側壁32Dとによって構成されている。また、プロテクタ30の外形の大きさは挿通孔26の大きさに比して僅かに小さくされており、プロテクタ30は、挿通孔26の内側に配置されて、挿通孔26の内周部全体を被覆している。これにより、ウェビング22がプロテクタ30内に挿通されている。
【0033】
ウェビング22がスプール20に巻取られる際には、ウェビング22はプロテクタ30内を下方(スプール20側)へ移動して、プロテクタ30の内周部30Aを摺動する。ウェビング22がスプール20から引出される際には、ウェビング22がプロテクタ30内を上方(スプール20とは反対側)へ移動して、プロテクタ30の内周部30Aを摺動する。これにより、ウェビング22が挿通孔26の周縁に接触しないため、ウェビング22がプロテクタ30によって保護されている。
【0034】
また、上述したように、挿通孔26は、上方から見てスプール20の軸線に対して背板12A側に配置されている。さらに、スプール20から側壁32Aまで延出されるウェビング22の長さがスプール20から側壁32Bまで延出されるウェビング22の長さに比して短くなるように、側壁32Aが配置されている。これにより、スプール20から延出されたウェビング22は、主に側壁32Aを摺動するように構成されている(図6参照)。
【0035】
側壁32Aの幅方向(車両前後方向)中間部には、プロテクタ30の外周部30Bにおいて、第1爪部としての略矩形板状の第1爪34が一体に設けられている。第1爪34は、プロテクタ30から外側へ突出されると共に、ステー24の本体部25の上面25A(スプール20とは反対側の面)側に配置されて、上面25Aに当接している。
【0036】
側壁32Bの幅方向中間部には、プロテクタ30の外周部30Bにおいて、第2爪部としての略矩形板状の第2爪36が一体に設けられている。第2爪36は、プロテクタ30から外側へ突出されると共に、本体部25の上面25A側に配置されて、上面25Aに当接している。これにより、第1爪34及び第2爪36によって、プロテクタ30の下方(スプール20)への移動が制限されている。さらに、第1爪34の突出寸法L1は第2爪36の突出寸法L2に比して小さく設定されており、第1爪34の幅寸法W1は第2爪36の幅寸法W2に比して小さく設定されている。
【0037】
プロテクタ30の外周部30Bには、第1爪34及び第2爪36に対してプロテクタ30の幅方向(車両前後方向)外側において、当接部としての略U字形板状の一対の第1当接部38A及び第1当接部38Bが一体に設けられている。第1当接部38A及び第1当接部38Bは、側壁32Aから側壁32Bまで延設されており、プロテクタ30から外側へ突出されている。また、第1当接部38A及び第1当接部38Bは、ステー24の本体部25の下面25B(スプール20側の面)側に配置されて、下面25Bに当接している。
【0038】
また、プロテクタ30の外周部30Bには、第1爪34と第1当接部38Aとの間において、当接部としての略矩形板状の第2当接部40Aが一体に設けられている。第2当接部40Aは、プロテクタ30から外側へ突出されると共に、ステー24の本体部25の下面25B側に配置されて、下面25Bに当接している。これにより、第1当接部38Aと第2当接部40Aとの間には、切欠部42Aが設けられており、切欠部42Aが第1爪34と側壁32Aの幅方向外側の端部との間に配置されて、第1当接部38Aと第2当接部40Aとが分離されている。また、第2当接部40Aの突出寸法L3は第1爪34の突出寸法L1及び第2爪36の突出寸法L2に比して大きく設定されている。
【0039】
さらに、プロテクタ30の外周部30Bには、第1爪34と第1当接部38Bとの間において、当接部としての略矩形板状の第2当接部40Bが一体に設けられている。第2当接部40Bは、プロテクタ30から外側へ突出されると共に、ステー24の本体部25の下面25B側に配置されて、下面25Bに当接している。これにより、第1当接部38Bと第2当接部40Bとの間には、切欠部42Bが設けられており、切欠部42Bが第1爪34と側壁32Aの幅方向外側の端部との間に配置されて、第1当接部38Bと第2当接部40Bとが分離されている。また、第2当接部40Bの突出寸法L4は第2当接部40Aの突出寸法L3と同じに設定されている。
【0040】
上述のように、第1当接部38A、第1当接部38B、第2当接部40A、及び第2当接部40Bは下面25Bに当接している。このため、第1当接部38A、第1当接部38B、第2当接部40A、及び第2当接部40Bによって、プロテクタ30の上方(スプール20とは反対側)への移動が制限されている。また、第1爪34及び第2爪36と、第1当接部38A、第1当接部38B、第2当接部40A、及び第2当接部40Bとが、ステー24の本体部25を狭持しており、これにより、プロテクタ30がステー24に保持されている。さらに、第1当接部38A、第1当接部38B、第2当接部40A、及び第2当接部40Bの本体部25との当接面積(図5にて斜線で示される面積)の合計は、第1爪34及び第2爪36のステー24の本体部25との当接面積(図3にて斜線で示される面積)の合計に比して大きく設定されている。
【0041】
図1に示す如く、スプール20内には、フォースリミッタ機構を構成するトーションシャフト50(広義には、「エネルギー吸収部材」として把握される要素である)が同軸上に挿入されている。トーションシャフト50は、金属材料によって略円柱状に形成されており、所定値以上の捩れ荷重を付与されることで捩れ変形可能な捩れ変形部52を備えている。トーションシャフト50の脚板12B側の一端50Aは、スプール20の脚板12B側の一端面から突出されている。トーションシャフト50の脚板12C側の他端50Bは、スプール20の脚板12C側の他端内に相対回転不能に固定されている。これにより、トーションシャフト50は、スプール20と一体に回転可能に構成されている。
【0042】
スプール20の一端には、略円柱状のロックギヤ54(広義には、「回転部材」として把握される要素である)が設けられている。ロックギヤ54には、トーションシャフト50が同軸上に貫通されており、トーションシャフト50はロックギヤ54に相対回転不能に固定されている。これにより、ロックギヤ54は、トーションシャフト50と一体に回転可能に構成されている。また、ロックギヤ54の外周全体には、ラチェット歯54A(外歯)が形成されている。
【0043】
ロックギヤ54のスプール20とは反対側の面には、クラッチ機構を構成する円柱状のクラッチ凹部56が形成されており、クラッチ凹部56の内周面は、摩擦係数が高く設定されている。
【0044】
フレーム12の脚板12C外側には、図示しない付勢機構(広義には、「付勢手段」として把握される要素である)が設けられており、付勢機構は、スプール20に連結されて、スプール20に巻取方向への付勢力を作用させている。
【0045】
フレーム12の脚板12Bには、配置孔14の近傍において、板状のロックプレート58(広義には、「規制部材(ロック部材)」として把握される要素である)が回動可能に支持されており、ロックプレート58には、ロック歯58Aが形成されている。ロックプレート58は図示しないロック機構(広義には、「規制手段(ロック手段)」として把握される要素である)に連絡されており、車両の緊急時(ウェビング22のスプール20からの急激な引出し時や車両の急減速時)には、ロック機構が作動されることで、ロックプレート58が回動されて、ロック歯58Aがロックギヤ54のラチェット歯54Aに噛合(係合)される。これにより、ロックギヤ54の引出方向への回転が規制(ロック)されて、スプール20の引出方向への回転が規制される(スプール20の巻取方向への回転は許容される)。
【0046】
フレーム12の脚板12B外側には、ラック&ピニオン方式によるプリテンショナ機構60が設けられている。
【0047】
プリテンショナ機構60には、略円筒状のギヤケース62が設けられており、ギヤケース62は、脚板12Bに固定されている。ギヤケース62の外周部は、ロックギヤ54の外周部分を被覆しており、ギヤケース62内には、ロックギヤ54のクラッチ凹部56が配置されると共に、トーションシャフト50の一端50Aが貫通されている。
【0048】
ギヤケース62の外周部には、所定数の円柱状の図示しない保持ピン(シェアピン)が一体に形成されており、保持ピンは、ギヤケース62からロックギヤ54とは反対側へ突出されている。ギヤケース62の上部には、円柱状の係止ピン64(シェアピン)が一体に形成されており、係止ピン64は、ギヤケース62から脚板12Bとは反対側へ突出されている。
【0049】
ギヤケース62のロックギヤ54とは反対側には、クラッチ機構を構成する略円環板状のクラッチプレート66が配置されている。クラッチプレート66の外周縁には、半円状の装着孔68が所定数形成されており、所定数の装着孔68は、クラッチプレート66の周方向に沿って等間隔に配置されている。装着孔68には、前述したギヤケース62の保持ピンが嵌入されており、これにより、クラッチプレート66がギヤケース62に保持されている。
【0050】
クラッチプレート66の内周には、L字形板状の延出部70が所定数(本実施の形態では6つ)一体に形成されており、所定数の延出部70は、クラッチプレート66の周方向に沿って等間隔に配置されている。延出部70の先端には、柱状の噛込部70Aが一体に形成されており、噛込部70Aは、延出部70からギヤケース62側へ突出されて、ギヤケース62内側を介してロックギヤ54のクラッチ凹部56内に挿入されている。噛込部70Aは、クラッチ凹部56の外周面から離間されており、クラッチプレート66は、ロックギヤ54の回転を許容している。
【0051】
クラッチプレート66の内周側には、ピニオン72が設けられており、ピニオン72には、トーションシャフト50の一端50Aが同軸上かつ相対回転可能に貫通されている。ピニオン72の軸方向中間部分には、歯車74が設けられており、歯車74の外周全体には、ピニオン歯74Aが形成されている。さらに、ピニオン72のロックギヤ54とは反対側部分には、円筒状の回転支軸部76が同軸上に形成されている。
【0052】
ピニオン72のロックギヤ54側部分には、クラッチ機構を構成するクラッチ部78が形成されており、クラッチ部78は、ロックギヤ54のクラッチ凹部56内に挿入されている。クラッチ部78の外周面には、所定数(本実施の形態では6つ)の凸部78Aが形成されており、所定数の凸部78Aは、クラッチ部78の周方向に沿って等間隔に配置されると共に、それぞれ突出高さが引出方向へ向かうに従い徐々に高くされている。クラッチ部78には、各凸部78Aの巻取方向側部分において、クラッチプレート66の噛込部70Aが装着(圧接)されており、これにより、ピニオン72がクラッチプレート66に保持されている。
【0053】
フレーム12の脚板12B外側には、カバープレート80が設けられており、カバープレート80は、複数の固定スクリュー82によって脚板12Bに固定(締結)されている。カバープレート80は、ギヤケース62、クラッチプレート66及びピニオン72をロックギヤ54とは反対側から被覆している。
【0054】
カバープレート80には、断面円形状の円孔80Aが貫通形成されており、円孔80Aには、回転支軸部76が貫通されている。回転支軸部76の先端部には、正面視略C字状のKリング84が嵌合固定されており、Kリング84がカバープレート80に係止されることで、ピニオン72のカバープレート80からの離脱が規制されている。これにより、カバープレート80は、円孔80Aにおいて、ピニオン72を回転自在に支持している。
【0055】
フレーム12の脚板12Bの上部とカバープレート80の上部との間には、円環状のシリンダ90が設けられており、シリンダ90は、脚板12B及びカバープレート80から上側に延出されている。
【0056】
シリンダ90は、カバープレート80の上側において、断面略U字形板状のシリンダホルダ92内に嵌合されており、シリンダホルダ92は、長手方向両端部において脚板12Bの上部に係合されて、脚板12Bに固定されている。これにより、シリンダホルダ92が、シリンダ90の径方向への移動を制限して、シリンダ90を保持している。
【0057】
シリンダ90内の上端には、駆動手段としての略円柱状のガスジェネレータ94が嵌入かつ固定されており、ガスジェネレータ94は、シリンダ90の上端を閉塞している。
【0058】
ガスジェネレータ94は、車両の制御装置(図示省略)に電気的に接続されている。車両の緊急時(車両の衝突時(車両の衝突が検出された際))には、制御装置の制御によって、プリテンショナ機構60が作動されることで、ガスジェネレータ94が高圧のガスを瞬時に発生してシリンダ90内の上端に供給する。
【0059】
シリンダ90内には、ピストン96が設けられている。ピストン96の上端には、円柱状の基部98が設けられており、基部98は、シリンダ90と同軸上に配置されている。ピストン96には、基部98の直下において、円板状の当接部100が設けられており、当接部100は、シリンダ90と同軸上に配置されると共に、基部98の外周全体に突出されて、シリンダ90の内周面に略嵌合されている。
【0060】
基部98の外周には、シール部材としての円環状かつ断面X字状のXリング102が配置されており、Xリング102は、ゴム製等にされて、弾性及びシール性を有している。Xリング102は、弾性変形された状態で、基部98の外周面、当接部100の上面及びシリンダ90の内周面における全周に接触されており、Xリング102は、シリンダ90とピストン96との間をシールしている。
【0061】
ピストン96には、当接部100より下側において、略矩形柱状のラック104が設けられており、ラック104の背板12Aとは反対側の部分には、ラック歯104Aが形成されている。ラック104は、シリンダ90の下端から突出されて、ラック歯104Aがギヤケース62の係止ピン64に係止されることで、ラック104の下端がピニオン72の歯車74の上側近傍に配置されている。
【0062】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0063】
以上の構成のウェビング巻取装置10では、車両のシートに着座した乗員にウェビング22が装着された際に、付勢機構がスプール20に巻取方向への付勢力を作用させることで、ウェビング22の緩みが除去される。
【0064】
車両の緊急時(ウェビング22のスプール20からの急激な引出し時や車両の急減速時)には、ロック機構が作動されることで、ロックプレート58のロック歯58Aがロックギヤ54のラチェット歯54Aに噛合される。これにより、ロックギヤ54の引出方向への回転が規制されて、スプール20の引出方向への回転が規制されることで、ウェビング22のスプール20からの引出しが規制される。
【0065】
ウェビング22のスプール20からの引出しが規制された際には、乗員の慣性エネルギーによってトーションシャフト50にウェビング22及びスプール20を介して捩れ荷重が付与される。この捩れ荷重が所定値以上である場合には、トーションシャフト50の捩れ変形部52が捩れ変形(フォールリミッタ機構が作動)されて、スプール20がロックギヤ54に対して引出方向へ相対回転する。これにより、ウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)を吸収する。
【0066】
この際には、ウェビング22に約4〜7kNの張力が作用する。また、ウェビング22が、引出方向へ引張られて、プロテクタ30の側壁32Aに当接することで、プロテクタ30の側壁32Aには、ウェビング22に作用する張力によって、側壁32Aからウェビング22が延出される方向のウェビング22の張力f1と側壁32Aからスプール26へ向かう方向のウェビング22の張力f2とが作用する。このため、張力f1と張力f2との合力Faが側壁32Aに押圧力として車幅外側斜め上方へ作用する(図7(A)参照)。さらに、ウェビング22がプロテクタ30の側壁32Aを摺動しながら上方(スプール20とは反対側へ向かう方向であり、図7(A)に示される矢印C方向)へ移動する。このため、プロテクタ30の側壁32Aには、プロテクタ30とウェビング22との間の摩擦係数をμとすると、摩擦力Fra=(μ×Fa)が作用する(図8(A)参照)。
【0067】
さらに、車両の緊急時(車両の衝突時(車両の衝突が検出された際))には、制御装置の制御によって、プリテンショナ機構60が作動されることで、ガスジェネレータ94が高圧のガスを瞬時に発生してシリンダ90内の上端に供給する。このため、シリンダ90とピストン96との間がXリング102によってシールされた状態が維持されつつ、ピストン96及びXリング102が当該ガスの圧力を上側から受けることで、ピストン96のラック104(ラック歯104A)を係止するギヤケース62の係止ピン64がラック歯104Aによって破断されて、ピストン96及びXリング102が下方へ移動される。これにより、ピストン96のラック104(ラック歯104A)がピニオン72の歯車74(ピニオン歯74A)に噛合されて、ピニオン72が巻取方向へ回転される。
【0068】
ピニオン72が巻取方向へ回転された際には、クラッチプレート66の噛込部70Aがピニオン72のクラッチ部78における凸部78Aの巻取方向側部分から引出方向側部分に移動されることで、クラッチプレート66の延出部70がクラッチプレート66の外周側へ変形移動されつつ、噛込部70Aがロックギヤ54のクラッチ凹部56外周面側へ移動される。このため、噛込部70Aがクラッチ部78(凸部78Aの周面)とロックギヤ54(クラッチ凹部56の外周面)との間に噛み込まれる(係合される)ことで、ピニオン72、クラッチプレート66、ロックギヤ54、トーションシャフト28及びスプール20が一体回転可能にされる。これにより、クラッチプレート66の装着孔68に嵌入されたギヤケース62の保持ピンが装着孔68の周縁によって破断されて、クラッチプレート66のギヤケース62への保持が解除されることで、ピニオン72、クラッチプレート66、ロックギヤ54、トーションシャフト28及びスプール20が一体に巻取方向へ回転される。このため、スプール20にウェビング22が巻取られて、ウェビング22による乗員の拘束力が増加される。
【0069】
この際には、ウェビング22に約3kNの張力が作用する。また、ウェビング22が、スプール20に巻取られて、プロテクタ30の側壁32Aに当接することで、プロテクタ30の側壁32Aには、ウェビング22に作用する張力によって、側壁32Aからウェビング22が延出される方向のウェビング22の張力f3と側壁32Aからスプール26へ向かう方向のウェビング22の張力f4とが作用する。このため、張力f3と張力f4との合力Fbが側壁32Aに押圧力として車幅外側斜め上方へ作用する(図7(B)参照)。さらに、ウェビング22がプロテクタ30の側壁32Aを摺動しながら下方(スプール20側へ向かう方向であり、図7(B)に示される矢印D方向))へ移動する。このため、プロテクタ30の側壁32Aには、プロテクタ30とウェビング22との間の摩擦係数をμとすると、摩擦力Frb=(μ×Fb)が作用する(図8(B)参照)。
【0070】
上述のように、フォースリミッタ機構が作動される際にウェビング22に作用する張力が、プリテンショナ機構60が作動される際にウェビング22に作用する張力に比して大きいため、合力Faが合力Fbに比して大きくなり、摩擦力Fraが摩擦力Frbに比して大きくなる。これにより、摩擦力Fraによるプロテクタ30の上方への移動を、本体部25との当接面積が第1爪34及び第2爪36に比して大きい第1当接部38A、第1当接部38B、第2当接部40A、及び第2当接部40Bの部位において、制限するため、プロテクタ30をステー24(挿通孔26)に効果的に保持させることができる。さらに、突出寸法L1及び突出寸法L2を突出寸法L3及び突出寸法L4に比して小さく設定できる。
【0071】
ここで、第1当接部38A、第1当接部38B、第2当接部40A、及び第2当接部40Bの本体部25との当接面積(図5にて斜線で示される面積)の合計は、第1爪34及び第2爪36の本体部25との当接面積(図3にて斜線で示される面積)の合計に比して大きく設定されている。
【0072】
これにより、プロテクタ30をステー24(挿通孔26)に組付ける際には、ステー24に対する当接面積の小さい第1爪34及び第2爪36をステー24の下側(スプール20側)から挿通孔26に挿入させる。この際には、プロテクタ30が第1爪34及び第2爪36の突出量において弾性変形されるが、上述の如く、第1爪34の突出寸法L1及び第2爪36の突出寸法L2を小さくできるため、プロテクタ30が弾性変形される際のプロテクタ30の撓み量を小さくできる。したがって、プロテクタ30をステー24(挿通孔26)に確実に保持させることができ、プロテクタ30をステー24に組付け易くできる。
【0073】
また、側壁32Aには第1爪34が設けられており、側壁32Bには第2爪36が設けられている。このため、プロテクタ30をステー24に組付ける際には、第2爪36と第1当接部38A及び第1当接部38Bとの間にステー24の本体部25を挿入させて、側壁32Bを挿通孔26の縁部に係合させた後に、側壁32A側のみを弾性変形させることで、プロテクタ30をステー24に組付けることができる。
【0074】
ここで、第1爪34の突出寸法L1が第2爪36の突出寸法L2に比して小さく設定されており、第1爪34の幅寸法W1が第2爪36の幅寸法W2に比して小さく設定されている。このため、第1爪34の突出寸法L1及び幅寸法W1において、側壁32Aを撓ませればよく、側壁32Aを撓ませる荷重を側壁32Bを撓ませる荷重に比して小さく設定できる。これにより、プロテクタ30をステー24に一層組付け易くできる。
【0075】
しかも、スプール20から側壁32Aまで延出されるウェビング22の長さがスプール20から側壁32Bまで延出されるウェビング22の長さに対して短くなるように、側壁32Aが配置されている。このため、スプール20から延出されたウェビング22は主に側壁32Aを摺動する。また、ウェビング22が側壁32Aを摺動する際には、ウェビング22によってプロテクタ30に作用する押圧力Fa及び押圧力Fbがプロテクタ30の外側方向にも作用する。したがって、プロテクタ30をステー24に組付ける際に弾性変形させる側壁32Aにおいて、プロテクタ30をステー24(挿通孔26)に一層効果的に保持させることができる。
【0076】
さらに、第1当接部38Aと第2当接部40Aとの間には、切欠部42Aが設けられており、第1当接部38Bと第2当接部40Bとの間には、切欠部42Bが設けられている。このため、第1当接部38Aと第2当接部40Aとが分離されると共に、第1当接部38Bと第2当接部40Bとが分離されている。これにより、プロテクタ30の側壁32Aが、切欠部42A及び切欠部42Bの部位において、弾性変形され易くなるため、プロテクタ30をステー24に効果的に組付け易くできる。
【0077】
なお、本実施の形態では、ステー24とフレーム12とは、別部材で構成されており、ステー24がフレーム12に固定されている。これに替えて、ステー24とフレーム12とが一体に形成されてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、第1爪34の突出寸法L1が第2爪36の突出寸法L2に比して小さく設定されており、第1爪34の幅寸法W1が第2爪36の幅寸法W2に比して小さく設定されている。これに替えて、第2爪36の突出寸法L2が第1爪34の突出寸法L1に比して小さく設定されると共に、第1爪34の幅寸法W1が第2爪36の幅寸法W2に比して小さく設定されてもよい。この場合でも、第1爪34の幅寸法W1が第2爪36の幅寸法W2に比して小さく設定されているため、第1爪34の幅寸法W1を設定することによって、側壁32Aを撓ませる荷重を、側壁32Bを撓ませる荷重に比して小さい荷重に設定し易くできる。
【0079】
さらに、本実施の形態では、第1爪34の突出寸法L1が第2爪36の突出寸法L2に比して小さく設定されており、第1爪34の幅寸法W1が第2爪36の幅寸法W2に比して小さく設定されている。これに替えて、第1爪34の突出寸法L1が第2爪36の突出寸法L2に比して小さく設定されると共に、第2爪36の幅寸法W2が第1爪34の幅寸法W1に比して小さく設定されてもよい。この場合でも、第1爪34の突出寸法L1が第2爪36の突出寸法L2に比して小さく設定されているため、第1爪34の突出寸法L1を設定することで、側壁32Aを撓ませる荷重を、側壁32Bを撓ませる荷重に比して小さい荷重に設定し易くできる。
【符号の説明】
【0080】
10 ウェビング巻取装置
12 フレーム
20 スプール(巻取軸)
22 ウェビング
24 ステー(挿通部)
26 挿通孔
30 プロテクタ
32A 側壁(一側壁)
32B 側壁(他側壁)
34 第1爪(第1爪部)
36 第2爪(第2爪部)
38A 第1当接部(当接部)
38B 第1当接部(当接部)
40A 第2当接部(当接部)
40B 第2当接部(当接部)
42A 切欠部
42B 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取方向へ回転することで車両の乗員に装着されるウェビングが巻取られ、前記ウェビングが引出されることで引出方向へ回転される巻取軸と、
前記巻取軸の両端側を支持するフレームと、
前記フレームに設けられ、前記巻取軸から延出された前記ウェビングが挿通される挿通孔が形成された挿通部と、
弾性変形された後に前記挿通部に取付けられ、前記挿通孔の内周部を被覆して前記ウェビングを保護すると共に、前記ウェビングが巻取られる際及び引出される際に前記ウェビングが摺動する環状のプロテクタと、
前記プロテクタの外周部に設けられ、前記プロテクタに対して外側へ突出されて前記挿通部の前記巻取軸とは反対側の面に当接される爪部と、
前記プロテクタの外周部に設けられ、前記プロテクタに対して外側へ突出されて前記挿通部の前記巻取軸側の面に当接されると共に、前記挿通部との当接面積が前記爪部の前記挿通部との当接面積に比して大きく設定された当接部と、
を備えたウェビング巻取装置。
【請求項2】
前記プロテクタは、前記巻取軸から延出される前記ウェビングの厚さ方向一側面が摺動される一側壁と、前記巻取軸から延出される前記ウェビングの厚さ方向他側面が摺動される他側壁と、を有し、
前記巻取軸から前記一側壁まで延出される前記ウェビングの長さが前記巻取軸から前記他側壁まで延出される前記ウェビングの長さに比して短くなるように前記一側壁が配置され、
前記爪部は、前記一側壁に設けられた第1爪部と、前記他側壁に設けられた第2爪部と、を有すると共に、前記第2爪部の突出寸法に対する前記第1爪部の突出寸法及び前記第2爪部の幅寸法に対する前記第1爪部の幅寸法の少なくとも一方が小さく設定された請求項1に記載のウェビング巻取装置。
【請求項3】
前記一側壁に設けられ、前記爪部と前記一側壁の幅方向外側端部との間に配置されて前記当接部を分離する切欠部を備えた請求項2に記載のウェビング巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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