説明

ウェブ上の優先的欠陥マーキング

ウェブ上の欠陥を優先的にマーキングするためのシステムが説明される。システムは、複数の異なる等級水準の個別のシートに変換される材料のウェブと、ウェブ上の異常の異常データを格納するデータベースであって、異常が複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つにおける潜在的な欠陥である、データベースと、等級水準のうちの少なくとも1つに固有のマークを関連付けるマーカーと、データベースから異常データを検索し、かつ、マークをどこに付けるかに関してマーカーに信号を送信するためのコントローラと、を備え、マーカーは、異常が欠陥を発生させる可能性がある等級水準のうちの少なくとも1つに関連付けられたマークを適用する。システムは、単一のウェブロールからの多様な製品の変換業者が、ウェブのどの領域がそれぞれの等級水準を満たすかを決定することができる等の利点を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動検査システムに関し、より具体的には、継続的に移動するウェブの検査に関する。
【背景技術】
【0002】
移動するウェブ材の解析のための検査システムは、紙、不織材、及び高分子フィルムの製造、並びに金属加工において重要であり得る。これらの検査システムは、製品の認定及びオンラインプロセス監視の両方のために使用され得る。しかしながら、工業用に実現可能な幅のウェブ、典型的に使用されるウェブ速度、及びこれらの製造作業で典型的に必要とされる画素分解能では、毎秒何十又は何百ものメガバイトのデータ捕捉速度が要求され、これらのデータ速度で画像を処理し、かつ正確な欠陥検出を実行することは、引き続き課題である。
【0003】
加えて、ウェブプロセス製造作業は、その製造中、単一ロールの材料上で実行される複数のユニット作業を必要とし得る。例えば、フレキシブル回路などの特定の複雑なウェブベース製品は、数日又は更には数週間にわたって15もの数の別個の製造作業を必要とする場合があり、多くの場合種々の実サイトにおいて複数の製造ラインを利用する。これらの状況において、典型的には、それぞれのプロセス後にウェブをロールに回収し、ロールを異なる場所に発送し、その後、そこでロールから広げられ、処理され、再び異なるロールに回収される。それぞれの処理工程は、ウェブに新しい異常を導入する可能性があり、次の処理工程中に解析されると、ウェブが欠陥品にされる場合もされない場合もある。その上、以降の処理工程は、これより前の工程で発生する異常を検出することを、不可能でないとしても、更に困難にし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
広くは、本出願は、移動するウェブの自動検査のための技術を説明する。より具体的には、本明細書に説明される技術を使用して、ウェブが変換される可能性がある多様な製品を考慮しながら、移動するウェブを異常に関して自動的に検査することができる。例えば、異常は、ある製品では欠陥となっても、別の製品では問題ではない場合がある。検査システムは、検査中にウェブ上の異常を識別し、この異常が、ウェブが個別のシートへの変換後に組み立てられる可能性がある、潜在的な製品のそれぞれにおいて欠陥を発生させることになるかどうかを決定することができる。検査システムは、固有のマークを、個別のウェブシートが組み立てられる可能性がある、それぞれの製品に関連付けることができる。検査システムは、それぞれの異常の位置で、ウェブ上又はウェブを覆うカバーシート上にマークを付け、異常が欠陥を発生させる可能性があるそれぞれの製品を示すことができる。
【0005】
一実施形態において、本発明は、ウェブ上の異常又は欠陥の場所を優先的にマーキングするための方法を目的とする。方法の工程は、複数の異なる等級水準の個別のシートに変換されるウェブを取得する工程と、異なる等級水準のそれぞれに固有のマークを関連付ける工程と、等級水準のそれぞれについてウェブ上の異常の位置を識別する異常データを取得する工程であって、異常のそれぞれは、複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つに対する潜在的な欠陥である、ウェブの物理的偏差を表す、工程と、ウェブ上のそれぞれの異常の位置を異常の位置でマーキングする工程であって、それぞれの異常は、異常が欠陥であると決定される等級水準のそれぞれに対応するマークのそれぞれでマーキングされる、工程と、を含む。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、複数の異なる等級水準の個別のシートに変換されるウェブを受け取る工程であって、ウェブは、ウェブ上の異常の位置を示すマークを有し、マークは、異なる等級水準のそれぞれに対する固有のマークを含む、工程と、ウェブを個別のシートに分離する工程と、それぞれ個別のシートに対して、マークに応じて、シートを中に組み込む製品のうちの1つ以上を選択する工程と、それぞれのシートを選択された1つ又は複数の製品に組み込む工程と、を含む方法を目的とする。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、複数の異なる等級水準の個別のシートに変換される材料のウェブと、ウェブ上の異常の異常データを格納するデータベースであって、異常が複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つにおける潜在的な欠陥である、データベースと、固有のマークを等級水準のうちの少なくとも1つに関連付けるマーカーと、異常データをデータベースから検索し、かつ、マークをどこに付けるかに関してマーカーに信号を送信するためのコントローラと、を備え、マーカーは、異常が欠陥を発生させる可能性がある、等級水準のうちの少なくとも1つに関連付けられたマークを適用する、システムを目的とする。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、命令を含むコンピュータ可読媒体を目的とする。命令は、プログラム可能プロセッサに、ウェブが複数の異なる等級水準の個別のシートに変換される、ウェブ識別情報を検索させ、固有のマークを等級水準のそれぞれに関連付けさせ、等級水準のそれぞれに対するウェブ上の異常であって、異常のそれぞれが、複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つに対する潜在的な欠陥である、ウェブの物理的偏差を表す、異常の位置を識別する異常データを取得させ、ウェブ上のそれぞれの異常であって、異常が欠陥になると決定される等級水準のそれぞれに対応するマークのそれぞれでマーキングされるそれぞれの異常の位置で、異常の位置にマーキングするようにマーカーに信号を送信させる。
【0009】
本明細書に説明される技術は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、単一のウェブロールから多様な製品への変換業者は、ウェブロールのどの領域が、それぞれの製品に組み込むためのシートに変換する際の使用に最適でありうるかを決定することができる。別の実施例として、製造業者は、変換業者へ販売するためにウェブロールの価格を決定する際に、異常データを使用することができる。つまり、異常が少ないウェブロールには、異常が比較的多いウェブロールよりも高い価格を付けてもよい。
【0010】
ロールと共に、製造業者は、データ及びマーキングを変換業者に配布することができ、したがって、変換業者は、異常領域に関してロールを再検査する必要がない。製造業者は、異常領域を分離及び廃棄することが必ずしも必要ではないためコストを節約することができ、一方で変換業者は、異常がないウェブロールよりも割引された価格で、ウェブロールとデータのセットを購入可能であってもよい。その上、変換業者は、そうでなければ廃棄されるであろう所定の異常のある領域を、異常が欠陥を発生させることのない製品のために利用することが可能であるため、そうでなければ無駄になる材料を回収する。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を添付図及び以下の説明で明らかにする。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明文並びに図面、及び特許請求の範囲より明らかとなろう。
【0012】
定義
本発明の目的のために、この出願で使用される以下の用語は、次のように定義される。
【0013】
「ウェブ」とは、一方向に固定された寸法及び直交する方向に所定の又は不定の長さを有する材料のシートを意味する。
【0014】
「連続」とは、ウェブの単一ライン又は領域の連なりがセンサ要素(画素)の単一の行に光学的にマッピングされて画像形成されることを意味する。
【0015】
「画素」とは、1つ以上のデジタル値で表現される画素を意味する。
【0016】
「欠陥」とは、製品に発生した好ましくない事態を意味する。
【0017】
「異常」とは、その特徴及び度合いに応じて、欠陥である可能性がある、又は可能性がない、正常な製品からのウェブの物理的偏差を意味する。
【0018】
「フィルタ」とは、入力画像の所望の出力画像への数学的変換であり、通常はフィルタを用いて画像内での所望の特性のコントラストを強調する。
【0019】
「用途固有の」とは、ウェブの使用目的に基づいて要件、例えば、等級水準を規定することを意味する。
【0020】
「製品」とは、例えば、携帯電話画面又はテレビ画面用のフィルムの矩形シート等の、ウェブから製造された個別のシート(コンポーネントとも称される)を中に組み込む最終製品である。
【0021】
「変換」とは、その後、製品に組み立てられる可能性がある、ウェブからの個別のシートを物理的に切断するプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】変換制御システムがウェブ材の変換を制御するグローバルネットワーク環境を示すブロック図。
【図2】ウェブ製造工場の例示的な実施形態における1つのプロセスラインの例示的な実施形態を示すブロック図。
【図3A】ウェブを検査し、かつウェブ上の異常をマーキングするための例示的なシステムを示すブロック図。
【図3B】ウェブを検査し、かつウェブ上の異常をマーキングするための例示的なシステムを示すブロック図。
【図3C】ウェブを検査し、かつウェブ上の異常をマーキングするための例示的なシステムを示すブロック図。
【図3D】ウェブを検査し、かつウェブ上の異常をマーキングするための例示的なシステムを示すブロック図。
【図4A】本明細書に説明される技術による、ウェブマーキングシステムの例示的な実施形態を示すブロック図。
【図4B】本明細書に説明される技術による、ウェブマーキングシステムの例示的な実施形態を示すブロック図。
【図4C】本明細書に説明される技術による、ウェブマーキングシステムの例示的な実施形態を示すブロック図。
【図5A】ウェブ上の異常の位置を識別し得る、例示的なマークを示すブロック図。
【図5B】ウェブ上の異常の位置を識別し得る、例示的なマークを示すブロック図。
【図5C】ウェブ上の異常の位置を識別し得る、例示的なマークを示すブロック図。
【図6】本明細書に説明される技術による、ウェブロールの検査及びマーキングの例示的な方法を示すフローチャート。
【図7】ウェブロールの異常の位置をマーキングする例示的な方法を示すフローチャート。
【図8】ウェブから組み立てる製品を決定するためにマーキングを使用する例示的な方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、変換制御システム4がウェブ材の変換を制御するグローバルネットワーク環境2を示すブロック図である。より具体的には、ウェブ製造工場6A〜6M(ウェブ製造工場6)は、相互の間でウェブロール7の形式でウェブ材を製造及び発送し、完成したウェブロール10を変換サイト8A〜8N(変換サイト8)に発送する製造サイトを表す。ウェブ製造工場6は地理的に分散していてもよく、ウェブ製造工場のそれぞれは1つ以上の製造プロセスラインを備えてもよい。変換サイト8は、ウェブ製造工場6と同一のエンティティの一部であってもよい。しかしながら、一部の実施形態において、変換サイト8は完成したウェブロール10の消費者である。変換サイト8は、ウェブ製造工場6から完成したウェブロール10を購入し、等級水準に基づいて製品12の中に組み込むために完成したウェブロール10を個別のシートに変換してもよい。つまり、どのシートが製品12のいずれに組み込まれるべきかの選択プロセスは、それぞれのシートが満たす等級水準に基づくことができる。本明細書に説明される技術に応じて、変換サイト8は、完成したウェブロール10の異常、つまり潜在的な欠陥に関するデータも受け取ることができる。最終的に、変換サイト8は、完成したウェブロール10を、顧客14A〜14N(顧客14)へ販売するための製品12に組み込まれる可能性がある個別のシートに変換することができる。
【0024】
広くは、ウェブロール7、10は、一方向に固定された寸法及び直交方向に所定の又は不定の長さを有する任意のシート状材料であってもよい、製造されたウェブ材を含むことができる。ウェブ材の例として、金属、紙、織物、不織物、ガラス、ポリマーフィルム、フレキシブル回路、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。金属は、鋼又はアルミニウム等の材料を含めることができる。織物には、一般に各種の布地が含まれる。不織物には、紙、フィルタ媒体、又は絶縁材料等の材料が含まれる。フィルムには、例えば、ラミネート及びコーティング処理フィルムを含む透明及び不透明なポリマーフィルムが含まれる。
【0025】
製品12の中に組み込むための個別のシートに変換するための準備が整っている、完成したウェブロール10を製造するために、未仕上げのウェブロール7は、1つのウェブ製造工場内、例えばウェブ製造工場6A内で、又は複数の製造工場内で複数のプロセスラインからの処理を受けることが必要な場合がある。それぞれのプロセスでは、ウェブロールは通常、ウェブを製造プロセスに送り込む供給ロールとして使用される。それぞれのプロセスの後、ウェブは通常、再びウェブロール7に回収され、異なる製造ラインへ移動されるか又は異なる製造工場に発送され、そこでウェブは次いでロールから広げられ、処理され、再びロールに回収される。このプロセスは、最終的に完成したウェブロール10が製造されるまで繰り返される。
【0026】
多数の用途において、ウェブロール7のそれぞれのためのウェブ材は、1つ以上のウェブ製造工場6の1つ以上の製造ラインで適用されるいくつかのコーティングを有してもよい。コーティングは一般的に、第1の製造プロセスの場合にはベースウェブ材、又は、第2以降の製造プロセスの場合にはこれまでに塗布されたコーティングのいずれかの露出面に施される。コーティングの例として、接着剤、ハードコート、低接着性裏面コーティング、金属コーティング、中性密度コーティング、導電性又は非導電性コーティング、又はこれらの組み合わせが含まれる。所与のコーティングは、ウェブ材の少なくとも一部分だけに又はウェブ材の露出面全体を覆うように施されていてよい。更に、ウェブ材はパターン化されていても、又はパターン化されていなくてもよい。
【0027】
ウェブロール7の所与の1つに関するそれぞれの製造プロセス中に、1つ以上の検査システムは、ウェブの異常情報を取得する。例えば、図2に示されるように、製造ラインの検査システムは、ウェブが処理されるときに、例えば、ウェブに1つ以上のコーティングが施されるときに継続して移動するウェブに近接して配置される1つ以上の画像取得装置を含んでもよい。画像取得装置は、継続して移動するウェブの連続部分を走査してデジタル画像データを取得する。検査システムは1つ以上のアルゴリズムで画像データを解析し、いわゆる「局所」異常情報を生成することができる。異常情報は、ウェブの別個の領域を表す複数の異常オブジェクトを含み、対応する領域でウェブの物理的偏差に対する複数の特徴を定義することができる。異常オブジェクトは、例えば、ウェブの異常領域の幅の偏差、又はウェブの異常領域の長さの偏差等の特徴を定義することができる。このように、長さ及び幅は、例えば、異なる等級水準を定義する所定の特徴からの物理的偏差を表すことができる。一例示的な実施形態では、画像データが取得及び処理されて、異常を識別し、かつそれぞれの異常を表すデータ構造として異常オブジェクトを形成することができる。異常情報の取得及び登録に関する情報は、本出願の譲受人に譲受された同時係属中の特許出願「Multi−Unit Process Spatial Synchronization」、Floederらによる2007年7月26日出願の第11/828,369号に詳細が説明されており、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0028】
広くは、変換制御システム4は、それぞれのウェブロール10のための変換計画を選択及び生成するために、用途固有の、つまり、製造12に固有であってもよい1つ以上の欠陥アルゴリズムを適用する。所定の異常は、1つの製品、例えば製品12Aの欠陥になる可能性があるが、その異常は、異なる製品、例えば製品12Bにおいては欠陥を発生させない可能性がある。それぞれの変換計画は、対応する完成したウェブロール10を処理するために定義された命令を表す。本明細書に説明された技術に応じて、変換制御システム4は、ウェブロール10の異常データを、例えば、ネットワーク9を経由して、製品12のためにウェブロールを個別のシートに変換する際使用するために適切な変換サイト8に伝達してもよい。他の実施形態において、異常データは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、フラッシュメモリ等のコンピュータ可読媒体、又は当技術分野において既知の他のコンピュータ可読媒体を使用して転送されてもよい。
【0029】
加えて、1つ以上のウェブ製造工場6は、図4A〜4Cを参照しながら説明するように、異常マーキングシステムを装備してもよい。広くは、異常マーキングシステムは、検査システムにより収集されたデータを検索し、かつウェブの表面上の異常の位置をマーキングすることができるか、又は、ウェブにカバーシートを適用し、かつウェブ上の異常の位置でカバーシート上に異常の位置をマーキングすることができる。完成したウェブロール10は、多種多様な製品12での使用が意図されたシートに変換されてもよい。所定の異常は、製品12の一部だけで使用されるとき、欠陥を発生させる場合がある。異常マーキングシステムは、異常、並びに異常が欠陥を発生させる可能性がある製品12をマーキングすることができる。したがって、変換サイト8は、マーキングを使用して、異常を含むウェブ領域からまだ製造される可能性がある製品を決定することができる。
【0030】
本明細書において説明される技術は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、単一の完成したウェブロール10からの製品12のための多様な個別のシートの変換サイト8は、例えば、個別のシートの等級水準に応じて、製品12それぞれでの使用に最も好適な可能性があるウェブロールの領域を決定することができる。別の実施例として、ウェブ製造工場6等の製造業者は、変換サイト8へ販売するためのウェブロール10の値段を決定する際に、異常データを使用することができる。つまり、異常の少ない完成したウェブロール10には、異常が比較的多い完成したウェブロール10よりも高い価格を付けることができる。完成したウェブロール10に加えて、製造業者は、変換業者が異常領域に関してウェブロールを再検査する必要がないように、異常データ及びマーキングを変換業者に配布することができる。製造業者は、異常領域を分離及び廃棄しなければならないコストを節約することができ、一方で変換業者は、異常のないウェブロール又はウェブセクションのセットよりも割引された価格でウェブロールとデータのセットを購入可能であってもよい。その上、変換業者は、そうでなければ廃棄されるであろう所定の異常のある領域を、異常が欠陥を発生させることのない製品のために利用することが可能であるため、そうでなければ無駄になる材料を回収する。
【0031】
図2は、図1のウェブ製造工場6Aの例示的な実施形態における1つのプロセスラインの例示的な実施形態を示すブロック図である。例示的な実施形態において、ウェブ20のセグメントは、2つのサポートロール22、24の間に配置される。画像取得装置26A〜26N(画像取得装置26)は、継続して移動するウェブ20の近接に配置される。画像取得装置26は、継続して移動するウェブ20の連続部分を走査して、画像データを取得する。取得用コンピュータ27は、画像取得装置26から画像データを収集し、予備解析のために画像データを解析コンピュータ28へ送信する。
【0032】
画像取得装置26は、移動するウェブ20の連続部分を読み込んで、デジタルデータストリームの形式で出力を提供することが可能な従来の撮像装置であってよい。図2に示すように、撮像装置26は直接デジタルデータストリームを提供するカメラであっても、あるいはアナログからデジタルへの変換器を追加したアナログ・カメラであってもよい。画像取得装置として、他のセンサ、例えば、レーザスキャナ等が利用されてもよい。ウェブの連続部分は、データが継続する単一ライン群により取得されたことを示す。単一ライン群は、センサ要素又は画素の単一の行にマッピングされる継続する移動ウェブの領域を含んでいる。画像の取得に好適な装置の例として、Perkin Elmer(Sunnyvale,Calif)から商品名Model#LD21で、Dalsa(Waterloo,Ontario,Canada)から商品名Piranha Modelで、又はAtmel(San Jose,Calif)から商品名Model Aviiva SC2 CLで入手可能なもの等のライン走査カメラが挙げられる。その他の例として、アナログからデジタルへの変換器と組み合わせた、Surface Inspection Systems GmbH(Munich,Germany)のレーザスキャナが挙げられる。
【0033】
画像は、画像の取得を支援する光学アセンブリの利用を通じて、任意に取得することができる。これらのアセンブリは、カメラの一部であっても、又はカメラとは別のものであってもよい。光学アセンブリは、撮像処理を行う間、反射光、透過光、又は透過反射光を利用する。反射光は多くの場合、例えば、表層かき傷等、ウェブ表面の変形により生じた欠陥の検知に適している。
【0034】
一部の実施形態では、基準マークコントローラ30は、基準マークリーダー29を制御して、ウェブ20からロール及び位置情報を収集する。例えば、基準マークコントローラ30は、ウェブ20からバーコード又は他の印を読み取るための1つ以上の写真光学センサを含んでもよい。加えて、基準マークコントローラ30は、ウェブ20及び/又はローラー22、24に係合された1つ以上の高性能エンコーダから位置信号を受信してもよい。位置信号に基づいて、基準マークコントローラ30は、それぞれの検出された基準マークに対する位置情報を決定する。例えば、基準マークコントローラ30は、それぞれの検知された基準マークをプロセスラインに適用された座標系内に位置付ける位置情報を作り出してもよい。別の方法としては、解析コンピュータ28は、基準マークコントローラ30から受信した位置データ情報に基づいて、座標系内に検出された基準マークのそれぞれを付けることができる。この場合、基準マークコントローラ30により提供された位置データは、ウェブ20の長さに沿って寸法内のそれぞれの基準マークの間の距離を表してもよい。いずれの場合も、基準マークコントローラ30は、ロール及び位置情報を解析コンピュータ28に伝達する。基準マーク並びに基準マークコントローラ30及びリーダー29に関して説明したが、基準マークは、本明細書で説明される技術を有効にするためには、全ての実施形態で必要ではない場合もある。
【0035】
解析コンピュータ28は、取得コンピュータ27からの画像ストリームを処理する。解析コンピュータ28は、デジタル情報を1つ以上の初期アルゴリズムで処理して、最終的に欠陥としてみなされる可能性がある異常を含むウェブ20の任意の領域を識別する局所異常情報を生成する。解析コンピュータ28は、個別のシートが組み込まれる可能性がある製品12のそれぞれに1つのアルゴリズムを使用する。つまり、解析コンピュータ28は、製品12のそれぞれに異なる用途固有の欠陥検出アルゴリズムを含むことができる。解析コンピュータ28は、それぞれの等級水準に異なるアルゴリズムも含んでもよい。解析コンピュータ28は、それぞれのアルゴリズムを使用して、異常オブジェクトがそれぞれの等級水準の欠陥を表すかどうかを決定してもよい。それぞれの識別された異常に対して、解析コンピュータ28は、画像データから、異常、及び場合によってはウェブ20の周囲部分を包含する画素データを含む異常画像を抽出する。解析コンピュータ28は、必要ならば異常を異なる欠陥分類に分類することができる。例えば、汚れ、かき傷、及び油たれを識別するための固有の欠陥分類があってもよい。他の分類は欠陥の更なる種類を識別することが可能である。本明細書に説明される技術に応じて、解析コンピュータ28は、製品12のいずれかで異常が欠陥になる可能性があるかを更に決定してもよい。異常の存在及び度合いを決定するために画像データを解析するための例示的な技術は、本出願の譲受人に譲受された、Skepsらに発行された米国特許第7.027,934号、表題「Apparatus and Method for Automated Web Inspection」に述べられており、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0036】
例示的な実施形態では、解析コンピュータ28は、異常の強度及び異常の寸法が所定の閾値を超えるとき、異常が欠陥であることを決定することができる。第1の等級水準の第1のアルゴリズムは、強度が測定値の50を超えて、かつ異常の寸法(画素で決定)が10画素を超えるとき、異常が欠陥であることを決定してもよい。第2の等級水準の第2のアルゴリズムは、強度が測定値の190を超えて、かつ異常の寸法が2画素を超えるとき、異常が欠陥であることを決定してもよい。第3の等級水準の第3のアルゴリズムは、強度が測定値の30を超えて、かつ異常の寸法が15画素を超えるとき、異常が欠陥であることを決定してもよい。このように、強度が200及び画素寸法が12を有する第1の例示的異常の場合、例示的アルゴリズムを実行している解析コンピュータ28は、第1の異常は、第1の等級水準及び第2の等級水準の両方で欠陥であるが、第3の等級水準では欠陥ではないことを決定することになる。以下に詳細を説明するように、解析コンピュータ28は、1つ以上のマーカーに、この第1の異常を、第1の等級水準に関連付けられたマーク及び第2の等級水準に関連付けられたマークの両方でマーキングするように命令することができる。アルゴリズムの例は以下の表1に示され、アルゴリズムにより検出される欠陥の例は、以下の表2に示される。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
基準マークコントローラ30により生成された位置データに基づいて、解析コンピュータ28は、プロセスラインの座標系内でそれぞれの異常の空間位置を決定する。つまり、基準マークコントローラ30からの位置データに基づいて、解析コンピュータ28は、現在のプロセスラインにより使用される座標系内にそれぞれの異常のx、y及び可能である場合はz位置を決定する。例えば、x寸法がウェブ20を横断する距離を示し、y寸法がウェブの長さに沿った距離を示し、z寸法がコーティングの回数に基づいてもよいウェブ材の、又は事前にウェブに施された他の層の高さを示すように、座標系を定義してもよい。更に、x、y、z座標系の起点は、プロセスライン内の物理的場所で定義されてもよく、典型的に、ウェブ20の初期送り場所に関連付けられる。
【0040】
いずれの場合においても、解析コンピュータ28は、プロセスラインの座標系に関してそれぞれの異常の空間的位置をデータベース32に記録し、この情報は、本明細書において、局所異常情報と呼ばれる。つまり、解析コンピュータ28は、ウェブ20についての局所異常情報を、ウェブ20のロール情報及びそれぞれの異常の位置情報を含めて、データベース32内に格納する。解析コンピュータ28はまた、それぞれの異常に対して、製品12のうちで、異常が欠陥を発生させる可能性がある製品も記録することができる。データベース32は、データ記憶ファイル又は1つ以上のデータベースサーバ上で稼動している1つ以上のデータベース管理システム(DBMS)を含む、多くの種々の形式の任意のものに実装されてもよい。データベース管理システムは、例えば、関係型(RDBMS)、階層型(HDBMS)、多次元(MDBMS)、オブジェクト指向(ODBMS又はOODBMS)、又はオブジェクト関係型(ORDBMS)データベース管理システムであってよい。一例として、データベース32はMicrosoft CorporationのSQLサーバ(商標)により提供される関係型データベースとして実装される。
【0041】
プロセスが終了すると、解析コンピュータ28は、データベース32に収集されたデータを、ネットワーク9を経由して変換制御システム4に送信する。具体的には、解析コンピュータ28は、その後のオフラインの詳細解析のために、ロール情報及び局所異常情報、並びにそれぞれのサブ画像を変換制御システム4に伝達する。例えば、情報はデータベース32と変換制御システム4との間のデータベース同期化により伝達されてもよい。一部の実施形態において、解析コンピュータ28ではなく、変換制御システム4が、製品12のうち、それぞれの異常が欠陥を発生させる可能性がある製品を決定してもよい。完成したウェブロール10のデータがデータベース32に収集された後、データは、取り外し可能若しくは洗浄可能なマークでウェブの表面に直接、又は、ウェブ上に異常をマーキングする前若しくはマーキングする間にウェブに適用される可能性があるカバーシート上、のいずれかにウェブロール上の異常をマーキングするために使用されてもよい。
【0042】
図3A〜3D(図3)は、ウェブを検査し、かつウェブ上の異常をマーキングするための例示的なシステムを示すブロック図である。多種多様なシステムが、本明細書に説明される技術を実行することができる。つまり、ウェブの製造、ウェブの検査、及びウェブ上の異常及び/又は欠陥の優先的なマーキングのタスクは、単一ラインの部分であってもよく、タスクのうちの2つは1つのラインにあって他は異なるラインの部分であってもよく、それぞれが分離したライン上にあってもよい。更に、それぞれのタスクの多様な要素は、製品12の中に組み込むための個別のシートに変換するために、ウェブ製造業者、又は製造業者から完成したウェブロール、例えば、ウェブロール10を購入する可能性があるウェブ変換業者、のいずれかにより実行されてもよい。
【0043】
図3Aの例示的な実施形態は、製造セクション42、検査セクション44、及び優先的マーキングセクション46を含む、単一のウェブ製造ライン40を表す。ウェブ製造ライン40の製造セクション42は、完成したウェブロール10上で製造作業を実行する。検査セクション44は、図2を参照して説明されたタスク、つまり、ウェブのデジタル画像及びデータベース、例えば、図2のデータベース32へのデータ格納に類似するタスクを実行してもよい。ウェブロールは、製造のための製造セクション42で開始し、検査のための検査セクション44を経過し、一例示的な実施例の最後でロールに回収される前に優先的マーキングセクション46でマーキングされてもよい。
【0044】
優先的マーキングセクション46は、データベースに格納されたデータを検索して、ウェブロール10の表面、又はカバーシート上に異常の位置をマーキングしてもよい。優先的マーキングセクション46は、ウェブロール10に対してそれぞれ潜在的な製品において欠陥として見なされる可能性があることに関するデータを取得してもよい。優先的マーキングセクション46はまた、ウェブロール10からの個別のシートが組み込まれる可能性がある潜在的な製品12に関するデータを取得してもよい。優先的マーキングセクション46には、製品12のそれぞれのマーカー(図示せず)、つまり、製品12のそれぞれに1つの固有のマーカーが装備されてもよい。優先的マーキングセクション46は、次に、それぞれの異常に対して、優先的マーキングセクション46が、異常が欠陥を発生させる可能性がある製品12のそれぞれに対して異常の上にマークを付けることができるように、検査セクション44で収集されたデータを使用することができる。
【0045】
実施例として、完成したウェブロール10は、製品A、製品B、及び製品Cの3つの異なる製品12のために切断される個別のシートからベースを形成してもよい。優先的マーキングセクション46は、製品A、B及びCのそれぞれに固有のマークを関連付けてもよい。例えば、製品Aのマークは正方形であってもよく、製品Bのマークは円形であってもよく、製品Cのマークは三角形であってもよい。異常が製品A及びCでは欠陥を発生させる可能性があるが、Bでは可能性がない場合、優先的マーキングセクション46は、正方形のマーク及び三角形のマークを異常に適用してもよい。ウェブへのマークの適用に関する更なる詳細は、図5A〜5Cを参照して説明される。ウェブ上の特定の場所を識別するために基準マークを適用及び使用するための技術は、本出願の譲受人に譲受された同時係属中の特許出願「Apparatus and Method for the Automated Marking on Webs of Material」、Floederらによる2004年4月19日出願の第10/826,995号に説明されており、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0046】
図3Bは、別の例示的な実施形態であり、ウェブ製造業者50は、ウェブの製造、検査及び優先的マーキングの動作を実行する。しかしながら、この例示的な実施形態において、ウェブ製造ライン52は製造セクション54及び検査セクション56を有し、一方で優先的マーキングライン56は、ウェブロール10の優先的マーキングを実行する。つまり、この例示的な実施形態において、ウェブロール10には、製造セクション54及び検査セクション56でそれぞれ、ウェブ製造ライン52上の製造及び検査が行われる。しかしながら、ウェブロール10はロールに回収されてから、異なるライン、つまり、マークが異常の位置に適用される、優先的マーキングライン56に移送されなければならない。
【0047】
一部の実施形態において、2つの異なる製造ラインがウェブ上の異常の位置を特定するために、ウェブは基準マークを備えてもよい。同様に、製造ラインには、図2を参照して説明したように、基準マークリーダーが装備されてもよい。ウェブで基準マークを使用するための技術は、本出願の譲受人に譲受された同時係属中の特許出願「Fiducial Marking for Multi−Unit Process Spatial Synchronization」、Floederらによる2007年7月26日出願の第11/828,376号に述べられており、その内容全体を参照によりここに組み入れる。そこで説明された手法においては、2つの製造ラインは、ウェブの端に沿って配置された基準マークを使用して、ウェブ上の同じ点を正確に特定することができる。更に、そこで説明された技術に従い、ウェブが伸長する場合、収縮する場合、別のウェブと組み合わされる場合、既存のウェブのセクションを失う場合、又は何らかの方式で寸法が変化する場合であっても、このような位置を特定することが可能であり得る。他の実施形態は、本明細書に説明された技術を逸脱することなく、他の位置特定方法を使用してもよい。
【0048】
図3Cはまた別の例示的な実施形態であり、ウェブ製造業者60は、ウェブの製造、検査、及び優先的マーキングの動作を実行する。この実施形態において、これらのタスクそれぞれは、別個のライン、つまり、製造ライン62、検査ライン64、及び優先的マーキングライン66で、それぞれ実行される。このように、本明細書に説明される技術は、それぞれ同じラインで発生する製造、検査及びマーキングに限定されない。また、製造ラインが単一のラインで、別のラインが検査領域及び優先的マーキング領域の両方を含むことも可能であるが、この実施形態は図示されない。
【0049】
図3Dは別の例示的実施例であり、ウェブ製造業者70は、製造ライン72及び検査ライン74をそれぞれ使用して、製品12の中に組み込むために個別のシートに分ける準備が整っている可能性がある、完成したウェブロール10を製造及び検査する。しかしながら、ウェブ製造業者70は、完成したウェブロール10を、ウェブロール10上に異常の位置を実際にマーキングせずに、ウェブ変換業者76に移送してもよい。ウェブ変換業者76は、完成したウェブロール10を購入する別個のエンティティであってもよく、その後、ウェブロール10を製品12のための個別のシートに変換する。加えて、ウェブ製造業者70は、検査ライン74により取得されたデータをウェブ変換業者76に転送してもよい。ウェブ変換業者76は、ウェブロール10に存在する異常の数に基づいて、ウェブ製造業者70から割引価格でウェブロール10を取得することが可能であってもよく、一方で、ウェブ変換業者76はウェブロール10を検査して異常を発見する必要がないため、ウェブ変換業者76はコストを節約することができる。ウェブ製造業者70はウェブロール10の異常領域を隔離及び削除する必要がないため、ウェブ製造業者70もまたコストを節約することができる。
【0050】
図4A〜4C(図4)は、本明細書に説明される技術による、ウェブマーキングシステムの例示的な実施形態を示すブロック図である。図4のウェブマーキングシステムのいずれでも、図3の優先的マーキングライン又はセクションの例示的実施例のいずれかのタスクを実行することができる。例えば、図4Aのウェブマーキングシステム80は、図3Aの優先的マーキングセクション46の機能を実行してもよい。
【0051】
図4Aは、ウェブマーキングシステム80の一例示的な実施形態を表す。データベース82は、図2のデータベース32に相当してもよく、又は、データベース82は、別のデータベース、例えば、データベース32からデータを受信又は検索することができる。例えば、コントローラ84は、データベース82が図2のデータベース32に相当するとき、ネットワーク(図示せず)を経由してデータベース82に接続されてもよい。別の実施例として、データベース82は、例えば、ネットワークから又はフラッシュメモリ上で、データベース32上に格納されたデータのコピーを受信してもよく、コントローラ84は、ローカルデータベース82からデータを検索してもよい。いずれの場合も、図4Aのデータベース82は、完成したウェブロール10上の異常に関するデータを格納する。このデータは、検査システム、例えば、図2に示され、かつ図2を参照して説明された検査システムにより収集されてもよい。
【0052】
ウェブロール、例えば、ウェブロール10は、ウェブスプール92に積載されてもよい。加えて、カバー材料90は、ウェブ表面94を保護し、かつ異常がマーキングされるように、カバーアプリケータ88でウェブに適用されてよい。例えば、カバーシート90のロールは、カバーシートスプール88に積載されてよい。カバーシート90は、ウェブ94の表面上に定置されて、カバーされたウェブ96を形成してもよく、これが、回収スプール98に回収されてもよい。つまり、回収スプール98は、ウェブ94を覆っているカバーシート90を備えたウェブ94を回収してもよい。カバーシート90は、マーカー86により付されたマークを受容するシートであってもよい。例えば、カバーシート90は、紙、織布、プラスチックラミネート、透明プラスチックシート、又は他の種類の材料から作製されてもよい。カバーシート90は、色付きのインク、焼成(例えば、レーザプリンタによる)、かき傷、くぼみ、又は任意の他の好適なマーキングを受容してもよい。一部の実施形態において、カバー材料は、ウェブ表面94に注入され、マーク適用及び受容を可能にする程度に硬化されることが可能であるが、カバーされたウェブ96が回収スプール98に回収されることを妨げない材料から形成されてよい。更に別の実施形態では、ウェブは回収スプール98に回収されるのではなく、セクションに切断されてよい。別の実施形態では、マーカー86は、カバーシートのないウェブ表面94に直接マークを適用してもよい。このような場合、マークは、ウェブ表面94を傷つけずに、かつ、回収プール98に回収されるとき削除されずに、取り外し可能又は洗浄可能であってよい。
【0053】
コントローラ84は、ウェブ表面94上の異常の位置に関して、データベース82からデータを検索する。コントローラ84は、製造12のそれぞれの異常を区別する。つまり、コントローラ84は、それぞれの異常を解析して、異常が欠陥を発生させる場合がある製品12のそれぞれを決定する。それぞれの異常に対して、コントローラ84は、マーカー86に、異常が欠陥を発生させる場合がある製品12のそれぞれに対応するマークを付けるように命令する。
【0054】
マーカー86は、複数のマークを同時に印刷することが可能である。マーカー86は、例えば、レーザプリンタ、レーザジェットプリンタ、インクジェットプリンタ、マルチカラープリンタ、又はウェブ表面94若しくはカバーシート96上にマークをマーキングすることが可能な任意の他の装置であってよい。マーカー86はまた、ウェブを横断する方向、つまり、ウェブの移動の方向に直交して、ウェブを横切ることが可能であってもよい。したがって、マーカー86は、ウェブの横断方向及びウェブの下向き軸の両方で、異常の正確な位置で、又は実質的に近辺にマークを付けることが可能な場合がある。これらのマーキングの実施例は、図5A〜5Cに表される。
【0055】
図4Bは、図4Aに示されたウェブマーキングシステムに類似するウェブマーキングシステム110の別の例示的な実施例である。データベース102は、データベース82に相当してもよく、コントローラ104はコントローラ84に類似してもよく、カバーシートスプール108はカバーシートスプール88に相当してもよく、カバーシート110はカバーシート90に相当してもよく、ウェブスプール112はウェブスプール92に相当してもよく、ウェブ表面114はウェブ表面94に相当してもよく、カバーされたウェブ116はカバーされたウェブ96に相当してもよく、回収スプール118は回収スプール98に相当してもよい。
【0056】
しかしながら、図4Aの実施例のように単一のマーカーを有するのではなく、ウェブマーキングシステム100は、複数のウェブマーカー106A〜106N(ウェブマーカー106)を含む。ウェブマーカー106のそれぞれは、特定のマークのマーキング専用としてもよい。例えば、ウェブマーカー106Aは、ウェブ表面114又はカバーシート110上に正方形をマーキングするだけでよく、ウェブマーカー106Bはウェブ表面114又はカバーシート110上に円をマーキングするだけでよい。ウェブマーカー106のそれぞれにはまた、ウェブマーカー106がインクを使用してマークを付けるとき、異なる色のインクが充填されてもよい。ウェブマーカー86と同様に、ウェブマーカー106は、ウェブを横断する方向にウェブを横切ることが可能で、異常の位置にマークを適用してもよい。
【0057】
一実施形態において、ウェブマーカー106A等のウェブマーカー106のうちの1つは、異常の上又は周辺にマークを付ける場合があるが、一方で、ウェブマーカー106B〜106N等の他のウェブマーカーは、ウェブロール10からの個別のシートが組み込まれる製品12に対応して、マーキングされた異常がその製品で欠陥を発生させる場合があるかどうかを示してもよい。例えば、ウェブマーカー106Aは、異常の周辺に円を付けてもよく、一方で、ウェブマーカー106B〜106Nは、所定の場所にいくつかのシャープマークを付けて、製品12のうちの関連付けられた1つで異常が欠陥を発生させるかどうかを示してもよい。この実施形態の一実施例は、図5Cを参照して説明される。
【0058】
コントローラ104は、ウェブマーカー106のそれぞれを制御する。コントローラ104は、ここでもデータベース102からデータを検索し、かつ、それぞれの異常に対して、異常が製品12のそれぞれで欠陥を発生させる可能性があるかどうかを決定する。コントローラ104は、異常が欠陥を発生させる可能性がある製品12のそれぞれを決定し、かつ、ウェブマーカー106のうちの対応するウェブマーカーに、異常にマークを付けるように信号を送信する。例えば、製品A及び製品Bで異常が欠陥を発生させる可能性があり、ウェブマーカー106Aが製品Aに関連付けられたマークを付け、ウェブマーカー106Bが製品Bに関連付けられたマークを付ける場合、コントローラ104は、ウェブマーカー106A及び106Bに、ウェブ表面114又はカバーシート110上の異常の位置にマークを付けるように信号を送信してもよい。ウェブマーカー106のそれぞれは、ウェブの下向き方向に所定の距離を置いて配置されてもよい。一実施例では、この間隔は12.7cm(5インチ)である。いずれの場合でも、コントローラ104は、ウェブマーカー106のそれぞれの位置、並びにそれぞれの隣接するウェブマーカーの間の距離でプログラムされてもよい。
【0059】
図4Cは、図4Aに示されたものに類似する、ウェブマーキングシステム120のまた別の例示的な実施形態を示す。データベース122はデータベース82に相当してもよく、カバーシートスプール128はカバーシートスプール88に相当してもよく、カバーシート130はカバーシート90に相当してもよく、ウェブスプール132はウェブスプール92に相当してもよく、ウェブ表面134はウェブ表面94に相当してもよく、カバーされたウェブ136はカバーされたウェブ96に相当してもよく、回収スプール138は回収スプール98に相当してもよい。
【0060】
しかしながら、ウェブマーキングシステム120は、コントローラ124A〜124N(コントローラ124)とウェブマーカー126A〜126N(ウェブマーカー126)との間に1対1の関係を有する。つまり、コントローラ124Aはウェブマーカー126Aのみに関連付けられ、コントローラ124Bはウェブマーカー126Bのみに関連付けられる、という具合である。コントローラ124のそれぞれは、データベース122からデータを検索する。しかしながら、コントローラ124Aは特定の製品、例えば、製品Aに関連付けられる。したがって、コントローラ124Aは、製品Aで欠陥を発生させる可能性がある異常に関してのみ、データベース122から異常データを検索する。同様に、コントローラ124Bは、製品Bで欠陥を発生させる可能性がある異常に関してのみ、異常データを検索する、という具合である。
【0061】
同様に、ウェブマーカー126は、図4Bのウェブマーカー106と同様、ウェブ表面134又はカバーシート130に単一種類のマークのみを適用する専用としてもよい。ウェブマーカー126のそれぞれはまた、異常の位置をマーキングするためにインクが使用される場合、異なる色のインクで充填されてもよい。コントローラ124Aが、製品Aで異常が欠陥を発生させる可能性があることを決定するとき、コントローラ124Aは、ウェブマーカー126Aに、異常の位置でマークを適用するように信号を送信する。同様に、コントローラ124Bが、製品Bで異常が欠陥を発生させる可能性があることを決定するとき、コントローラ124Bは、ウェブマーカー126Bに、異常の位置でマークを適用するように信号を送信する、という具合である。ウェブマーカー126のそれぞれは、ほぼ同じ距離、例えば、12.7cm(5インチ)ウェブの下向きに離れて間隔が置かれてもよい。
【0062】
図5A〜5C(図5)は、ウェブ上の異常の位置を識別し得る例示的なマークを示すブロック図である。広くは、製品12のそれぞれに対して1つの固有のマークが存在してもよい。任意の種類の個別のマークが使用されて異常及び異常が欠陥を発生させる可能性がある製品12の異常を識別してもよい。したがって、本明細書に説明される技術は、これらの例示的なマークに限定されない。その上、図5の実施例は、3つの固有のマーキングを含むが、本明細書に説明される技術は、固有のマークのどのような特定数にも限定されない。図5に示されたマークの寸法は、ウェブの幅に合わせて必ずしも縮小拡大されない。一実施例では、ウェブはウェブ横断が約152.4cm(60インチ)であってもよく、マークは円の直径が15.2cm(6インチ)であってもよい。しかしながら、本明細書に説明される技術は、ウェブもマーキングもどのような特定の寸法にも限定されない。
【0063】
図5Aの実施例では、多様な幾何学的形状が使用されてウェブ140の異常の位置を識別する。加えて、マークがインクで付けられる場合、マークを更に区別することを助けるように、形状は異なる色であってもよい。マークは、ウェブ表面140に直接、又はカバーシート上に、つまり、カバーシート142上に適用されてもよい。この実施例では、正方形マークは製品Aに関連付けられ、円形マークは製品Bに関連付けられ、三角形マークは製品Cに関連付けられる。正方形マーク144A及び144Bは製品Aで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。円形マーク146A及び146Bは製品Bで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。三角形マーク148A及び148Bは製品Cで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。
【0064】
マーク150は、円形マーク及び三角形マークの両方で構成され、製品B及びCの両方で欠陥を発生させる可能性がある異常を示す。マーク152は、三角形及び正方形で構成され、製品A及びCの両方で欠陥を発生させる可能性がある異常を示す。マーク154は、円形及び正方形で構成され、製品A及びBの両方で欠陥を発生させる可能性がある異常を示す。マーク156は、正方形、円形及び三角形で構成され、製品A、B、及びCのそれぞれで欠陥を発生させる可能性がある異常を示す。
【0065】
変換システムは、多様な幾何学的形状、例えば、円形、三角形及び正方形を認識するように装備されてもよい。変換システムはまた、異常マーキングに従い、ウェブから変換された多様なシートから組み立てる製品を決定するように装備されてもよい。例えば、システムは、何らかの方式で製品A、B及びCの優先順位を決定するように、又は製品A、B及びCの間で選択するように、プログラムされてもよい。変換システムは、例えば、正方形マーク144Aを認識し、かつウェブのこのセクションを製品B又は製品Cに変換するために使用するかどうかを自動的に決定することができる。同様に、変換システムは、製品A、B、又はCのいずれにも有用ではないとして、マーク156によりマーキングされたウェブセクションを拒否することができる。変換システムは、ウェブ140を選択した製品に組み立てるためのシートに変換する前に、ウェブ140のウェブセクションからカバーシート142を自動的に取り外すように更に装備されてもよい。
【0066】
図5Bは、別の例示的な実施形態を示し、多様な寸法の円が使用されて、ウェブ160の異常の位置を識別する。マークは、ウェブ表面160に直接、又はカバーシート上に、つまり、カバーシート162上に施されてもよい。マークは、例えば、製品Aに関連付けられた直径5.1cm(2インチ)の円168A及び168B、製品Bに関連付けられた直径10.2cm(4インチ)の円166A及び166B、並びに製品Cに関連付けられた直径15.2cm(6インチ)の円164A及び164Bであってもよい。その上、円は、それぞれのマークが関連付けられた製品を区別することを更に支援するように異なる色のインクで印刷されてもよい。
【0067】
マーク170は、直径が5.1cm(2インチ)の円及び直径が15.2cm(6インチ)の円で構成され、製品A及びCで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク172は、直径が5.1cm(2インチ)の円及び直径が10.2cm(4インチ)の円で構成され、製品A及びBで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク174は、直径が5.1cm(2インチ)の円、直径が10.2cm(4インチ)の円、及び直径が15.2cm(6インチ)の円で構成され、製品A、B及びCで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク176は、直径が10.2cm(4インチ)の円及び直径が15.2cm(6インチ)の円で構成され、製品B及びCで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。
【0068】
図5Cは、また別の例示的な実施形態を示し、異常の位置を示すために円が使用され、円内の所定の位置のシャープマークの多様な数は製品A、B及びCとの関連を示すために使用される。つまり、円の左上の単一のシャープマークは製品Aに関連付けられ、円の中心の2つのシャープマークは製品Bに関連付けられ、円の右下の3つのシャープマークは製品Cに関連付けられる。ここでも、これらのマークは、ウェブ180の表面に直接、又はカバーシート182上に付けられてもよい。
【0069】
マーク184A及び184Bは、製品Aで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク186A及び186Bは、製品Bで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク188A及び188Bは、製品Cで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク190は、製品A及びBで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク192は、製品A及びCで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク194は、製品A、B及びCで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。マーク196は、製品B及びCで欠陥を発生させる可能性がある異常の位置を示す。
【0070】
一実施形態では、優先的マーキングシステムは、1つのマーカーを使用して、異常の存在を示す円をマーキングしてもよく、以降のマーカーは異常が欠陥を発生させる可能性がある製品を示すために使用される。他の実施形態では、それぞれのマーカーが、円形マーク並びに関連付けられたシャープマークを付けてもよい。また他の実施形態では、1つのマーカーが、円及びその中にシャープマークの全てを付けてもよい。
【0071】
図6は、本明細書に説明される技術による、ウェブロールの検査及びマーキングの例示的な方法を示すフローチャートである。まず、ウェブロール10等のウェブロールが取得される(200)。ウェブロールの取得は、ウェブロールを製造することによってか、又は製造業者からウェブロールを購入若しくは受け取ることによってかのいずれであってもよい。次に、ウェブロールは、異常について検査される(202)。ウェブを検査するには、図2を参照しながら説明したような検査システムが使用されてもよい。検査システムは、ウェブロールからの個別のシートが組み込まれる可能性がある多様な製品12にしたがって、ウェブロール10を検査することができる。検査システムは、ウェブロールからの個別のシートが組み込まれる可能性がある製品12のそれぞれに、欠陥を発生させる可能性がある既知の異常に関するデータを特に検索及び記録するように設計されてもよい。検査システムは、異常の存在、異常の位置、及び異常が欠陥を発生させる可能性がある潜在的な製品12のそれぞれを記録することができる。例えば、検査システムはこのデータを、図2のデータベース32等のデータベースに記録してもよい。
【0072】
次に、異常の位置がウェブロール10上にマーキングされてもよい(204)。異常は、ウェブロールの表面に直接マーキングされてもよく、又は、ウェブロールを覆って、マーキングを受容するように設計されるカバーシート上にマーキングされてもよい。ウェブロール製造業者/検査業者は、ウェブロール上に異常の位置をマーキングする者であってよい。製造業者は次に、マーキングされたウェブロールを変換業者に移送する(206)。変換業者はウェブロールを解析し、ウェブロールをシートに切断し、シートを製品に組み立てることができる(208)。変換業者は、どのセクションがどの製品に組み立てられるべきかを決定するための任意の選択メカニズムを使用することができる。例えば、変換業者は、製品の優先順位を決定し、それぞれのセクションを最も高い優先順位の製品に組み立ててもよい。別の実施例としては、変換業者は、それぞれの製品で欠陥を発生させる異常の確率を解析し、組み立ての最も低い可能性に対応する製品を選択しようとすることができる。
【0073】
代わりの実施形態では、製造業者/検査業者は、ウェブ上に異常の位置をマーキングせず、異常データと共にウェブロールを変換業者に移送することができる。次に、変換業者は異常データを使用して、ウェブ上に異常の位置をマーキングすることができる。また別の代わりの方法として、変換業者は、データを使用してウェブをセクションに直接振り分けることができ、セクションのそれぞれが、変換に関して異なる製品に定められていてもよい。つまり、ウェブ上に異常の場所をマーキングする余分な工程を実行するのではなく、変換業者は、ウェブの特定セクションが変換されることができる製品を決定するだけでもよい。セクションが使用される可能性がない製品がある一方で、セクションが使用される可能性がある他の製品がある場合、変換業者は、ウェブ上に異常の位置を実際にマーキングすることなく、セクションが最良に使用される製品を選択し、セクションをその製品に直接組み立てることができる(208)。
【0074】
図7は、ウェブロールの異常の位置をマーキングする例示的な方法を示すフローチャートである。このフローチャートの目的のために、異常はx位置及びy位置で識別され、y位置はウェブの移動方向に平行な軸上の位置(つまり、y位置はウェブの下向きの位置を決定する)、及びx位置はy位置に直交する軸上の位置(つまり、x位置はウェブの横断方向の位置を決定する)。
【0075】
まず、完成したウェブロール10及びその対応する識別情報が取得される(220)。識別情報は、データベース、例えば、図2のデータベース32のウェブロール10に関する異常情報の位置を特定するために使用される。一実施形態では、ウェブ製造業者は、まず、ウェブロールを生産することにより、ウェブロール10を取得してもよい。別の実施形態では、ウェブ製造業者は、別の製造工場でウェブロールを生産してから、完成したウェブロール10を検査/マーキングラインに移送することによりウェブロール10を取得してもよい。また別の実施形態では、ウェブ変換業者は、ウェブ製造業者が完成したウェブロール10を製造及び検査した後、ウェブ及び対応するデータをウェブ製造業者から取得してもよい。
【0076】
次に、識別情報は、データベースからウェブ上の第1の異常の位置を検索するために使用される(222)。このデータ検索には、異常のウェブの横断方向の位置並びに異常が欠陥を発生させる可能性がある製品の識別が含まれてもよい。一部の実施形態では、図4A及び4Bに表されているように、単一のマーカーコントローラがこのデータ全てを検索してもよい。他の実施形態では、図4Cの実施例等、それぞれの製品に関連付けられたマーカーコントローラが1つ存在してもよく、したがって、コントローラは、そのコントローラに関連付けられた製品で欠陥を発生させる可能性がある第1の異常に関するデータを検索することができる。つまり、コントローラは、そのコントローラが関連付けられた製品で欠陥を発生させない異常を無視してもよい。この実施形態では、それぞれのコントローラ、並びに関連付けられたマーカーは、それぞれの他のコントローラ/マーカーの組み合わせと無関係に動作してもよい。
【0077】
いずれの場合も、コントローラが異常の位置を検索した後、コントローラは、マーカーを異常のx位置、つまり、ウェブの横断方向の位置に向けることができる(224)。一部の実施形態では、マーカーは、移動するウェブの上にあるバー又はケーブル上に移動可能に取り付けられてもよい。他の実施形態では、マーカーは、1つ以上の鏡を使用して、レーザ光線を方向付けることができる。ウェブ又はカバーシート上にマークをマーキングするために他の好適な手段が使用されてもよい。いずれの場合も、y位置に到達するときマーカーがマーキング準備できているように、マーカーは異常のx位置に配置されてもよい。コントローラは、次に、ウェブ上の適切なy位置に到達するまで、待機することができる(226)。y位置にまだ到達しない場合、コントローラは待機を続けることができる(228)。コントローラが複数のマーカーに関連付けられている場合、コントローラは、異常の上にマークをマーキングすることが必要なそれぞれのマーカーのために、いつy位置に到達するかを正しく決定するために、他のマーカーに相対的なそれぞれのマーカーのy位置を決定することができる。それぞれのマーカーに1つのコントローラが存在する場合、それぞれのコントローラは、関連付けられたマーカーについて、y位置に到達しているかどうかを決定することができる。
【0078】
異常のy位置に到達すると、コントローラは、マーカーに、異常の位置にマークを付けるように信号を送信することができる(230)。マーカーが複数の異なるマークを付けるように装備されている場合、コントローラは、マーカーに、マーカーがどのマークを付けるべきかに関して、信号を送信することができる。マーカーが、単一種類のマークをマーキングする専用である場合、コントローラはマーカーにマークを付けるように信号を送信することができる。マーカーは、この信号に応答して、ウェブ上又はウェブを覆うカバーシート上にマークを付けることができる。
【0079】
異常がまだある場合(232)、222〜230の工程を、異常がなくなるまで、つまり、全ての既知の異常が収集されたデータに応じてマーキングされるまで、繰り返す。そうでなければ、ウェブは、回収ローラーに完全に回収される(234)。ウェブは、次に、ウェブ上のマーキングに応じて、製品に組み立てられるためのシートに変換するために、変換業者に発送される(236)。
【0080】
一部の実施形態では、異常が決定されたデータも変換業者に転送されてもよい。変換業者はこのデータを使用して、製品12に組み立てられるための個別のシートへのウェブの変換に関して、より詳細な解析を行うことができる。変換業者は、廃棄材料を削減するために、本来は目的ではなかった可能性があるウェブロールのための新しい又は異なる製品に組み立てられる可能性があるシートに変換するために、製品12のそれぞれの異常としてマーキングされたウェブのセクションを使用しようとすることもできる。一部の実施形態では、ウェブは、ロールの形式で変換業者に納品されてもよい。一部の実施形態では、ウェブロールは、別個のセクションに切断されてもよく、そのセクションが変換業者に納品されてもよい。
【0081】
図8は、ウェブ変換の支援として、本明細書に説明される固有のマーキング技術(the unique markings techniques)を使用する例示的な方法を示すフローチャートである。まず、変換業者は、完成した、マーキングされたウェブロールを受け取ることができる(240)。加えて、変換業者は、ウェブロールの異常に関するデータを受け取ることができる。変換業者は、次に、製品に組み立てるためのウェブロールの第1のセクションを取得することができる(242)。変換業者は、変換システムを使用して、ウェブロール又はウェブセクションを製品12の中に組み込むための個別のシートに変換するためのタスクを自動的に実行することができ、これには製品12のどれにそれぞれのシートが組み込まれるべきであるかを自動的に決定することも含んでもよい。一部の実施形態では、変換業者は、ウェブロールをローラーに積載し、ウェブのセクションの必要な寸法を決定してから、ウェブを決定された寸法のセクションに切断することができる。一部の実施形態では、変換業者は、大型のセクションに既に切断されたウェブを受け取ってもよい。また他の実施形態では、変換業者は、ウェブ上のマーキングの有無を利用して、ウェブセクションの寸法を決定してもよい。
【0082】
変換業者がウェブセクションを取得及び積載した後、変換業者は、異常の存在を示すマーキングについてウェブ又はカバーシートを検査してもよい(244)。変換業者は、製造業者により適用されたマーキングの存在を検出するためのマークの存在を検出することが可能な任意の検出システムを使用することができる。例えば、変換業者は、カメラ、デジタル画像、スキャナ、レーザスキャナ、又は異常の存在を示すためにマーキングの存在を検出するための任意の他の適切なシステムを使用してもよい。
【0083】
マーキングにより示されるように、異常が存在する場合(246の「はい」分岐)、変換業者はマーキングを解析して、セクションが使用される可能性がある何らかの製品が存在するかどうかを決定してもよい(248)。存在しない場合、セクションは廃棄されるか、又は更に解析されて、これまでに検討されたことがない、ウェブセクションが使用される可能性がある製品が存在するかどうかを決定してもよい(248)。そうでなければ、異常が欠陥を発生させる可能性がある製品は、検討対象から削除される(250)。つまり、システムは、異常が欠陥を発生させない製品のみから、ウェブセクションに対する製品を選択することができる。
【0084】
変換業者は、任意の製品選択アルゴリズムを利用して、ウェブを個別のウェブセクションに変換する製品を選択することができる。ウェブセクションに異常がない場合(246の「いいえ」分岐)、ウェブセクションの目的であった製品の全体群が利用可能になる場合があるが、それ以外は、ウェブセクションが欠陥を発生させることのない製品のみが利用可能になる場合がある。いずれの場合であっても、変換業者は、任意の選択スキームに応じて、ウェブの製品を選択することができる(252)。例えば、変換業者が、ウェブセクションを、製品A、B、及びCの3つの製品への以降の組み立てのために個別のシートに変換する可能性がある場合、変換業者は、製品Aを最高の優先度、Bを中程度の優先度、及びCを低い優先度として優先順位を決定してもよい。ウェブセクションが製品Aで使用可能である場合、変換システムは、ウェブセクションを製品Aに切断する。ウェブセクションが、製品Aにおいて欠陥を発生させる可能性がある異常により、製品A内では使用不可能であるが、製品B内では使用可能である場合、変換システムは、製品Bへの以降の組み込みの必要に応じて、ウェブセクションを切断する。ウェブセクションが製品A又は製品B内では使用不可能であるが、製品C内では使用可能である場合、変換システムは、製品Cの要件に基づいて、ウェブセクションを切断する。そうでなければ、変換システムは、廃棄又はリサイクルのいずれかのためにウェブセクションを拒絶することができる。一部の実施形態において、変換システムは、特定のウェブセクションが最終的に組み込まれる可能性がある複数の製品を選択してもよい。例えば、ウェブセクションは、セクションが所定数のシートに変換され、そのうちの一部が、その後製品Aに組み立てられ、他は製品Cに組み立てられる可能性がある場合、最適に使用される場合がある。この選択は、多様な因子、例えば、セクションの寸法及び製品の寸法、セクションの品質及び多様な製品により要求される品質、又は他の選択条件等に基づいてもよい。
【0085】
別の実施例として、変換業者は、製品A、B及びCそれぞれの特定の数又は配布を所望する場合がある。例えば、変換業者は、1,000ユニットのA、750ユニットのB、及び300ユニットのCを希望する場合がある。あるいは、別の実施例として、変換業者は、全製造の50%が製品A、30%が製品B、20%が製品Cとなることを希望する場合がある。いずれの場合も、変換システムは、これらの目標を満たすように設計されてもよい。当業者は、本明細書に説明された技術を逸脱することなく、他の選択スキームが存在すること、及び変換業者は他の選択スキームを満たすシステムを使用してもよいことを認識するであろう。
【0086】
製品が選択された後、ウェブセクションは、選択された製品に組み立てるための個別のシートに変換されてもよい。変換は別の変換ラインで発生してもよいので、したがって、ウェブセクションは選択された製品に関連付けられた変換ラインに移送されてもよい(254)。別の実施形態において、変換ライン及び選択ラインは、1つの大型システムの部分でもよいので、したがって、選択ラインは、これらの工程を実行して、ウェブセクションを、その後製品に組み立てられる可能性がある個別のシートに変換するための変換ラインに送ってもよい。
【0087】
特定の実施形態を参照して説明したが、当業者は、本明細書で説明された技術から逸脱しない他の実施形態を認識するであろう。したがって、特許請求は本明細書に説明されたこれらの特定の実施形態に限定されてはならない。例えば、多くの実施形態は、異常が欠陥を発生させる可能性がある製品を示すマークを付けることに関して説明したが、別の実施形態において、システムは、ウェブの異常領域から安全に製造される可能性がある製品を示すマークを付けてもよい。
【0088】
本発明のさまざまな実施形態について説明してきた。これら及び他の実施形態は、下記の特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる等級水準の個別のシートに変換されるウェブを取得する工程と、
前記異なる等級水準のそれぞれに固有のマークを関連付ける工程と、
前記等級水準のうちのそれぞれについて前記ウェブ上の異常の位置を識別する異常データを取得する工程であって、前記異常のそれぞれは、前記複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つに対する潜在的な欠陥である、前記ウェブの物理的偏差を表す、工程と、
前記ウェブ上のそれぞれの異常の位置を前記異常の位置でマーキングする工程であって、それぞれの異常は、前記異常が欠陥であると決定される等級水準のそれぞれに対応するマークのそれぞれでマーキングされる、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記それぞれの異常の位置をマーキングする工程は、
前記異常のうちの第1の異常が前記異なる複数の等級水準のうちの少なくとも2つに対する欠陥であることを決定するために、少なくとも2つの異なる用途固有の欠陥検出アルゴリズムを適用する工程と、
前記異常のうちの第1の異常の位置で、前記ウェブ上に少なくとも2つの異なる固有のマークをマーキングする工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つの異なる用途固有の欠陥検出アルゴリズムは、前記異常のうちの第1の異常によって表された前記ウェブの前記物理的偏差の度合いに基づいて、前記異常のうちの第1の異常が前記2つの異なる複数の等級水準に対する欠陥であることを決定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記度合いに基づいて、前記異常のうちの第1の異常の前記物理的偏差が前記複数の等級水準のうちの少なくとも1つに対する欠陥ではないことを決定するために、第3の用途固有の欠陥検出アルゴリズムを適用する工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の異常オブジェクトを含む異常データを生成するように前記ウェブの画像データを処理する工程であって、前記異常オブジェクトのそれぞれは、前記ウェブの別個の領域を表し、その別個の領域での前記ウェブの前記物理的偏差について複数の特徴を定義する、工程と、
前記異常オブジェクトのそれぞれが、前記異なる等級水準のそれぞれに対する欠陥を表すかどうかを決定するために、前記異常オブジェクトのそれぞれに対して、複数の異なる用途固有の欠陥検出アルゴリズムを適用する工程と、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記異常オブジェクトにより定義される前記特徴は、前記物理的偏差に対する前記ウェブの前記領域の長さ及び幅を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記それぞれの異常の位置をマーキングする工程は、
前記異常のうちの第1の異常が、異なる複数の製品の全数未満に対する欠陥であることを決定するために、少なくとも異なる2つの異なる用途固有の欠陥検出アルゴリズムを適用する工程と、
前記異常のうちの第1の異常の位置で、前記ウェブ上の前記異なる固有のマークの全部未満をマーキングする工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ウェブを取得する工程は、ウェブ製造者から前記ウェブを受け取る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ウェブを取得する工程は、前記ウェブを継続ウェブとして製造する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
異常データを取得する工程は、ウェブ製造者から前記異常データを受け取る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
異常データを取得する工程は、
前記ウェブが製品製造ラインにより製造される際に、光学式検査システムが前記ウェブを検査する工程と、
解析コンピュータが、前記ウェブが変換される可能性がある異なる製品のうちの少なくとも1つに対する潜在的な欠陥である、少なくとも1つの異常の位置を特定する工程と、
前記異常の前記位置を記録する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記異常の前記記録された位置とともに、前記位置を特定された異常が潜在的な欠陥である前記製品のそれぞれを記録する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記位置をマーキングする工程は、
前記ウェブを覆うカバーシートを含むように前記ウェブを製造する工程と、
前記ウェブ上の前記異常の前記位置に対応する位置で、前記カバーシート上にそれぞれの異常をマーキングする工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
固有のマークを関連付ける工程は、固有の幾何学的形状を前記製品のそれぞれに関連付ける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
固有のマークを関連付ける工程は、固有の色を前記製品のそれぞれに関連付ける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
固有のマークを関連付ける工程は、固有の数のシャープマークを前記製品のそれぞれに関連付ける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェブ及び前記カバーシートを変換業者に移送する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記マーキングされた異常に応じて、前記ウェブを変換する製品を選択する工程と、
前記ウェブを前記選択された製品に変換する工程と、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の異なる等級水準の個別のシートに変換されるウェブを受け取る工程であって、前記ウェブは、前記ウェブ上の異常の位置を示すマークを有し、前記マークは、前記異なる等級水準のそれぞれに対する固有のマークを含む、工程と、
前記ウェブを前記個別のシートに分離する工程と、
それぞれ個別のシートに対して、前記マークに応じて、前記シートを中に組み込む製品のうちの1つ以上を選択する工程と、
それぞれのシートを前記選択された1つ又は複数の製品に組み込む工程と、を含む、方法。
【請求項20】
ウェブを受け取る工程は、カバーシートで覆われたウェブを受け取る工程を含み、前記カバーシートには、前記ウェブ上の前記異常の位置を示す前記マークが付いている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記シートを前記選択された1つ又は複数の製品に組み込む前に、セクションから前記カバーシートを取り外す工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
選択する工程は、
前記製品のいずれかで前記異常が欠陥を発生させる可能性があるかを決定するように、少なくとも1つのマークを検査する工程と、
欠陥を発生させない前記異常に対して前記検査されたマークが付いている前記シートに対して、前記製品のうちの少なくとも1つを選択する工程と、を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
複数の異なる等級水準の個別のシートに変換される材料のウェブと、
前記ウェブ上の異常の異常データを格納するデータベースであって、異常が前記複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つにおける潜在的な欠陥である、データベースと、
固有のマークを前記等級水準のうちの少なくとも1つに関連付けるマーカーと、
前記異常データを前記データベースから検索し、かつ、マークをどこに付けるかに関して前記マーカーに信号を送信するためのコントローラと、を備え、
前記マーカーは、前記異常が欠陥を発生させる可能性がある、前記等級水準のうちの少なくとも1つに関連付けられた前記マークを適用する、システム。
【請求項24】
前記ウェブは、前記ウェブを覆うためのカバーシートを備え、
前記マーカーは、前記マークを前記カバーシートに適用する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
複数のコントローラ及び複数のマーカーを更に備え、それぞれのマーカーに対して1つのコントローラが存在し、前記ウェブが変換される可能性がある前記等級水準のそれぞれに対して1つのマーカーが存在する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記ウェブを検査し、前記データベースに前記異常データを格納し、かつ、前記製品のいずれかでそれぞれの異常が欠陥を発生させる可能性があるかを決定するための、検査システムを更に備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
プログラム可能なプロセッサに、
前記ウェブが複数の異なる等級水準の個別のシートに変換される、ウェブ識別情報を検索させ、
固有のマークを前記等級水準のそれぞれに関連付けさせ、
前記等級水準のそれぞれに対する前記ウェブ上の異常であって、前記異常のそれぞれが、前記複数の異なる等級水準のうちの少なくとも1つに対する潜在的な欠陥である、前記ウェブの物理的偏差を表す、異常の位置を識別する異常データを取得させ、
前記ウェブ上のそれぞれの異常であって、前記異常が欠陥になると決定される前記等級水準のそれぞれに対応する前記マークのそれぞれでマーキングされるそれぞれの異常の位置で、前記異常の位置にマーキングするようにマーカーに信号を送信させる、命令を含む、コンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−518332(P2011−518332A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505084(P2011−505084)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/039720
【国際公開番号】WO2009/129082
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】