説明

ウエザストリップ

【課題】ウエザストリップの端末加工時に当該端末部付近において凹みが形成されることを抑制し、外観品質の向上を図ることのできるウエザストリップを提供する。
【解決手段】自動車用ドアのドア開口周縁にウエザストリップ4が装着されている。ウエザストリップ4は、押出成形法によって成形され、断面略U字形のトリム部5及び中空状のシール部6を備える。トリム部5の車外側側壁部12の車外側面には、第1基部24及び厚肉の第2基部25が車外側へ向けて延出形成され、シール部6の一方が第1基部24の先端部に連接され、他方が第2基部25の先端部に連接されている。また、ウエザストリップ4のセンタピラー側の端末部4bは、センタピラーと第2ピラーガーニッシュとの間の隙間に挿入される。そのため、シール部6を連結部13へ肉寄せして傾倒させた状態で、当該シール部6の外壁面からカバーリップ18にかけて接着テープSを貼付し固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア開口周縁に設けられるウエザストリップであって、特に中空状のシール部を有するウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドア開口周縁にはウエザストリップが設けられる。ウエザストリップは、ドア開口周縁のフランジに対し嵌め込まれることによって保持される断面略U字状のトリム部と、該トリム部から突出して設けられた中空状のシール部とを備えている。そして、ドア閉時には、ドアの縁部にシール部が圧接されることによって、ドアと車両本体との間がシールされる。かかるウエザストリップは、その大部分が押出成形法により成形されている。
【0003】
上記ウエザストリップをドア開口周縁に取付けるにあたり、コーナー部はドア開口周縁のコーナー形状に対応して湾曲させられて装着される。ところが、ドア開口周縁のコーナー部、特に曲がり角度がきつい箇所(角度がより小さく、鋭角状に曲げられる箇所)に対応したコーナー部においては、シール部がつぶれ変形し、見切り線(シール部の外周縁線とトリム部の外周縁線)が2重に現れてしまう等といった不具合が発生するおそれがある。これに対し、シール部の付根部に基部(厚肉部)を設けて剛性を高め、当該シール部のつぶれ変形を抑制するウエザストリップもある。例えば、図6に示すように、ウエザストリップ50の外周側、すなわちウエザストリップ50のコーナー部を成形する際において曲げ変形量がより大きくなる側におけるシール部51とトリム部52の車外側側壁部53との連接部において、シール部51よりも剛性を持つトリム部52から基部(厚肉部)54を延出形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、端末部に関しては、当該端末部がセンタピラー等のドア開口周縁の縦縁部60(図8参照)において、前記縦縁部60と当該縦縁部60を覆うガーニッシュ等の内装部材61(図8参照)との間の隙間に挿入される。そのため、当該端末部にはつぶし加工を施す。当該つぶし加工は、一般にシール部51の端末開口から接着剤を注入してシール部51とトリム部52(車外側側壁部35)との対峙面及びトリム部52の一部の外面に塗布してから、シール部51をトリム部52側へ押し潰して前記接着剤により接着する。
【特許文献1】特開2004−237900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ウエザストリップ50ではシール部51の一般部より基部54の剛性が高いため、端末部において上記つぶし加工を施すと、図7に示すように基部54がシール部51の一般部に追従して変形せず、シール部51の略中央部だけが凹んでしまい、シール部51の外壁面に凹み55ができてしまう。この状態で、図8に示すようにウエザストリップ50の端末部を内装部材61に挿入すると、内装部材61外に出ている部分においても上記凹み55が見えてしまい、見栄えが悪くなるおそれがある。特にシール部51の外壁面は目に付きやすく、外観品質の低下を招くおそれがある。
【0006】
これに対し、端末部において基部54を切取ってシール部51とトリム部52とを接着する方法や、シール部51内へパッド等を挿入し凹み55ができないようにする方法や、端末部だけを型成形により成形する方法等も考えられるが、これらの方法は非常に手間がかかり製造コストが増加してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ウエザストリップの端末加工時に当該端末部付近において凹みが形成されることを抑制し、外観品質の向上を図ることのできるウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.車両のドア開口周縁に装着され、車外側側壁部と車内側側壁部と、両側壁部を連結する連結部とからなる断面略U字状のトリム部と、
前記連結部と前記車外側側壁部の略境界部に位置する第1連接部、並びに、当該第1連接部よりも前記車外側側壁部の先端側に位置する第2連接部において連接され、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部とを備え、
長手方向全域が押出成形により成形され、
長さ方向の少なくとも一方の端末部が、前記ドア開口周縁の縦縁部において、前記縦縁部と当該縦縁部を覆う内装部材との間の隙間に挿入されるウエザストリップであって、
前記第2連接部において、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより厚肉の基部を備え、
前記長さ方向の少なくとも一方の端末部において、前記シール部を前記連結部側へ傾倒させた状態で所定の固定手段により固定したことを特徴とするウエザストリップ。
【0010】
上記手段1によれば、ウエザストリップの端末加工時にシール部を押し潰すようなつぶし加工を行わなくとも、ドア開口周縁の縦縁部と内装部材との間の隙間に挿入することができる程度に端末部におけるシール部の高さを低くできる。このため、シール部の一般部の厚みより厚肉の基部を備えたウエザストリップの端末加工時に、当該端末部付近において、シール部の略中央部といった比較的目に付きやすい部分に凹みが形成されることを抑制し、外観品質の向上を図ることができる。さらに、シール部内への接着剤の塗布作業、上記基部の切取り作業、シール部内へのパッドの挿入作業、端末部の型成形等が不要となり、製造コストの増加を抑制することができる。
【0011】
もちろん、ウエザストリップのコーナー部を成形する際に曲げ変形量がより大きくなる側のシール部の付け根部において上記基部を設け、その厚みを比較的厚くすることにより、コーナー部を成形する際におけるシール部のつぶれ変形を防止することができる。なお、後述する本願の基部の基端部とは、車外側側壁の外面に対応する位置(図3におけるBの位置)、すなわち、側壁のトリム部における内面から側壁の肉厚分だけ離れた位置での部位を示す。また、後述する基端部の厚みは図3においてW1で表わされるものであり、突出長はhで表わされ、基部の先端部の厚みはW2で表わされる。また、シール部の厚みはTで表わされる。
【0012】
手段2.前記固定手段は、前記シール部の外壁面から前記トリム部にかけて貼られる接着テープであることを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
【0013】
上記手段2によれば、固定手段として接着剤を使用した場合のように、シール部内へ接着剤を塗布する作業や、接着剤が乾くまでクリップ等で留めておく作業といった手間のかかる作業を行う必要がなく、作業の簡素化を図り、生産性の向上を図ることができる。
【0014】
手段3.車両のドア開口周縁に装着され、車外側側壁部と車内側側壁部と、両側壁部を連結する連結部とからなる断面略U字状のトリム部と、
前記連結部と前記車外側側壁部の略境界部に位置する第1連接部、並びに、当該第1連接部よりも前記車外側側壁部の先端側に位置する第2連接部において連接され、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
前記連結部と前記車外側側壁部の境界部近傍から車内側へ延出形成されるリップ部とを備え、
長手方向全域が押出成形により成形され、
長さ方向の少なくとも一方の端末部が、前記ドア開口周縁の縦縁部において、前記縦縁部と当該縦縁部を覆う内装部材との間の隙間に挿入されるウエザストリップであって、
前記第2連接部において、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより厚肉の基部を備え、
前記長さ方向の少なくとも一方の端末部において、前記シール部を前記連結部側へ肉寄せして傾倒させた状態で、当該シール部の外壁面から前記リップ部にかけて接着テープを貼付し固定したことを特徴とするウエザストリップ。
【0015】
上記手段3によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0016】
手段4.前記シール部の固定状態においても、前記端末部における前記シール部内が中空状となり、かつ、前記シール部の外壁面が凸状となるようにしたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0017】
上記手段4によれば、固定手段により固定した部分と固定していない部分とで、シール部の高低差が少なくなる。つまりシール部の外壁面が滑らかに変化しており、外観品質の向上を図ることができる。
【0018】
手段5.前記基部は、前記シール部より剛性を有する前記トリム部の車外側側壁部から車外側へ向けて延出形成され、
前記車外側側壁部の延出方向に沿った厚みを、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより大きくしたものであることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0019】
上記手段5によれば、上記基部がシール部の素材と同じ素材で成形されている場合に比べて剛性がより高くなり、コーナー部を成形する際におけるシール部のつぶれ変形を防止する効果がより高くなる。この場合、上記課題で述べた不具合が発生しやすくなるが、上記手段1等によりこのような不具合は払拭できる。
【0020】
手段6.前記基部の基端部における厚みを、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みの2倍以上としたことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0021】
上記手段6によれば、上記シール部のつぶれ変形を防止する効果がより高められる。
【0022】
手段7.前記基部の基端部における厚みを、前記車外側側壁部における当該車外側側壁部の先端部から前記連結部との境界部までの長さの4分の1以上としたことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0023】
上記手段7によれば、上記シール部のつぶれ変形を防止する効果がさらに高められる。
【0024】
手段8.前記基部の先端部における厚みを、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みの2倍以上としたことを特徴とする手段1乃至手段7のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0025】
上記手段8によれば、上記シール部のつぶれ変形を防止する効果がさらに高められる。
【0026】
手段9.前記基部の基端部から先端部までの突出長を、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより大きくしたことを特徴とする手段1乃至手段8のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0027】
上記手段9によれば、上記シール部のつぶれ変形を防止する効果がさらに高められる。
【0028】
手段10.前記突出長を、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みの2倍以上としたことを特徴とする手段9に記載のウエザストリップ。
【0029】
上記手段10によれば、上記手段9の効果がさらに高められる。
【0030】
手段11.前記基部の断面積を、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みを2乗した面積の4倍以上としたことを特徴とする手段1乃至手段10のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0031】
上記手段11によれば、上記シール部のつぶれ変形を防止する効果がさらに高められる。
【0032】
手段12.前記シール部の全体が、前記車外側側壁部の延出方向に対して、少なくとも前記第2連接部より前記第1連接部側に位置するように形成されていることを特徴とする手段1乃至手段11のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0033】
上記手段12によれば、曲げ変形量がより大きくなるウエザストリップのコーナー部の外周方向へシール部全体が第2連接部より突出しない構成、つまりシール部全体が第2連接部よりコーナー部の内周側に設けられている。従って、コーナー部に対応するシール部のつぶれ変形をより効果的に防止することができる。さらに、ドア閉時にシール部が撓み変形した場合でも見切り線が2重に現れるといった不具合がさらに起こりにくくなる。なお、上記手段12において、「前記シール部の全体が、前記車外側側壁部の延出方向に対して、少なくとも前記第2連接部より前記第1連接部側に位置するように形成されている」とあるのには、少なくとも、前記シール部のうちの第2連接部側すなわち前記ウエザストリップのコーナー部を成形する際に曲げ変形量がより大きくなる側の部位が、前記基部の先端部から該基部と連続するように延出し、かつ、車外側に向かうにつれ前記ドア開口周縁に装着されたウエザストリップの内周側へ向かうように傾斜した形状となることが含まれる。
【0034】
手段13.前記基部の厚みが、基端部に向かうにつれ厚くなっていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0035】
上記手段13によれば、上記手段6の効果でも述べたように、上記曲げ変形量、撓み荷重、シール性、及び、ドアの閉まり性の関連性を考慮したバランスのとれたウエザストリップとなる。
【0036】
手段14.前記トリム部はソリッドゴム製であることを特徴とする手段1乃至手段13のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0037】
手段15.前記シール部はスポンジゴム製であることを特徴とする手段1乃至手段14のいずれかに記載のウエザストリップ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0039】
図1に示すように、車両としての自動車1の側方にはドア2が開閉可能に設けられ、ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁にはウエザストリップ4が装着されている。図2に示すように、本実施の形態のウエザストリップ4は、全て押出成形法によって成形されている。
【0040】
図3に示すように、ウエザストリップ4はトリム部5及びシール部6を備えている。
【0041】
トリム部5は、車内側側壁部11、車外側側壁部12及び両側壁11,12を連結する断面湾曲形状をなす連結部13を備えており、全体として断面略U字状をなす。トリム部5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ソリッドゴムによって構成されており、その内部には金属製のインサート14が埋設されている。
【0042】
車外側側壁部12の内面(車内側面)にはトリム部5の内側(車内側)に向かって延びる複数の保持リップ部15が一体形成され、車内側側壁部11の内面(車外側面)にはトリム部5の内側(車外側)に向かって延びる保持リップ部16が一体形成されている。連結部13には後述する内装部材としての第1ピラーガーニッシュ41の端部を覆うリップ部としてのカバーリップ18が一体形成されている。
【0043】
また、ドア開口3周縁には、前記ボディのインナパネル21及びアウタパネル22が接合されることによりフランジ23が形成されており、このフランジ23にトリム部5が嵌め込まれることにより、ウエザストリップ4がドア開口3周縁に保持される。
【0044】
一方、シール部6は、前記車外側側壁部12の車外側に設けられ、EPDMスポンジゴムによって中空状に構成されている。そして、ドア2閉時には、シール部6にドア2の周縁が圧接されることで、ドア2と自動車1のボディとの間がシールされる。
【0045】
ここでシール部6及び車外側側壁部12の構成についてより詳しく説明する。車外側側壁部12の車外側面(図3のB及びその延長線参照)には、前記連結部13と車外側側壁部12の境界部近傍において第1基部24が車外側に向けて延出形成され、車外側側壁部12の先端部において第2基部25が車外側へ向けて延出形成されている。なお、第2基部25が本実施の形態における基部に相当する。
【0046】
シール部6は、断面略D字状に構成され、一方が第1基部24の先端部に連接され、他方が第2基部25の先端部に連接されている。そして、シール部6全体が、車外側側壁部12に沿った方向に対して、第2基部25の位置より第1基部24側すなわちウエザストリップ4の内周側に位置している。従って、第1基部24との連接部が本実施の形態における第1連接部に相当し、第2基部25との連接部が第2連接部に相当する。
【0047】
第2基部25は、全体としてその基端部Bの厚みW1が先端部の厚みW2より厚くなった断面略台形状をなし、その外側面が車外側側壁部12の先端部から車外側に向かうにつれウエザストリップ4の内周側へ向かうように傾斜した断面略円弧状に形成され、シール部6の中空部26に面した側面が車外側側壁部12の車外側表面より連続するように断面略円弧状に形成されている。また、第2基部25近傍におけるシール部6の外側面は、第2基部25の外側面と連続するように、車外側に向かうにつれウエザストリップ4の内周側へ向かうように傾斜している。
【0048】
なお、本実施の形態では、車外側側壁部12に沿った第2基部25の厚みW1,W2は、その基端部Bにおいて厚みW1が約7mm、先端部において厚みW2が約3mmとなっている。また、第2基部25の基端部から先端部までの突出長hは約3.5mmとなっている。また、第2基部25の断面積は約17.5平方ミリメートルとなっている。なお、前記基端部Bの厚みW1は、車外側側壁部12におけるその先端部から連結部13との境界部までの長さ約14mmの約2分の1の大きさとなっている。
【0049】
また、シール部6の厚みTは、一般部すなわち第1基部24から第2基部25やや手前付近までの範囲(ドア2の周縁と圧接する部分及びその近傍を含む)において、約1.2mmとなっている。
【0050】
なお、上記第2基部25の厚み、突出長及び断面積は、ウエザストリップ4のコーナー部における曲げ変形量、ドア2閉時におけるシール部6の撓み荷重、シール性、及び、ドア2の閉まり性等の関連性を考慮した値となっている。もちろん、シール部6の厚み(T)との関連性や、第2基部25の各部の厚み(W1,W2)、突出長(h)及び断面積の関連性も考慮されており、例えばシール部6の厚みが変われば第2基部25の厚みもより適切な値に変化させ、突出長(h)が変われば第2基部25の各部の厚み(W1,W2)をより適切な値に変化させる。
【0051】
次に、縦縁部としてのセンタピラー40に沿うウエザストリップ4の端末部4b付近の構成について図4,5を参照して詳細に説明する。センタピラー40の所定位置より上部においては車内側が内装部材としての第1ピラーガーニッシュ41によって被覆されている。また、下部においては、ドア開口3周縁内側が、センタピラー40の車内側から車外側にかけて設けられた内装部材としての第2ピラーガーニッシュ42によって被覆されている。そして、センタピラー40と第2ピラーガーニッシュ42との間の隙間にウエザストリップ4の端末部4bが挿入されている。
【0052】
センタピラー40側の端末部4bは、センタピラー40とピラーガーニッシュ42との隙間に挿入しやすいように加工が施されている。より詳しくは、シール部6を連結部13へ肉寄せして傾倒させた状態で、当該シール部6の外壁面からカバーリップ18にかけて固定手段としての接着テープSを貼付し固定している。この際、シール部6の固定状態においても、端末部4bにおけるシール部6内の中空部26は残存する。そして、シール部6の外壁面が凸状を維持している。なお、本実施形態では、ウエザストリップ4の長さ方向の所定区間を一枚の接着テープSにより固定している(図4参照)が、これに限らず、複数箇所を接着テープSにより固定する構成としてもよい。但し、一枚の接着テープSにより固定した方が作業効率の点においては好ましい。
【0053】
以上詳述したように、ウエザストリップ4の端末加工時にシール部6を押し潰すようなつぶし加工を行わなくとも、ドア開口3周縁のセンタピラー40とピラーガーニッシュ42との隙間に挿入することができる程度に端末部4bにおけるシール部6の高さを低くできる。このため、シール部6の一般部の厚みTより厚肉の第2基部25を備えたウエザストリップ4の端末加工時に、当該端末部4b付近において、シール部6の略中央部といった比較的目に付きやすい部分に凹みが形成されることを抑制し、外観品質の向上を図ることができる。さらに、シール部6内への接着剤の塗布作業、上記第2基部25の切取り作業、シール部6内へのパッドの挿入作業、端末部4b付近の型成形等が不要となり、製造コストの増加を抑制することができる。
【0054】
また、固定手段としての接着テープSを使用しているため、接着剤を使用した場合のように、シール部6内へ接着剤を塗布する作業や、接着剤が乾くまでクリップ等で留めておく作業といった手間のかかる作業を行う必要がなく、作業の簡素化を図り、生産性の向上を図ることができる。
【0055】
また、シール部6の固定状態においても、端末部4bにおけるシール部6内の中空部26は残存し、シール部6の外壁面が凸状を維持しているため、接着テープSにより固定した部分と固定していない部分とで、シール部6の高低差が少なくなる。つまりシール部6の外壁面が図4に示すように滑らかに変化しており、外観品質の向上を図ることができる。
【0056】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0057】
(a)上記実施形態では、(サイドフロント)ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁に設けられるウエザストリップ4について具体化しているが、リヤドア、バックドア、ラッゲージドア(トランクリッド)、ルーフドア(スライディングルーフパネル)等の他のドアの開口周縁に設けられるウエザストリップについて適用することも可能である。
【0058】
(b)第2基部25の基端部Bにおける厚みW1は、上記実施の形態に限られるものではなく、少なくともシール部6の一般部の厚みTより大きければよい。但し、第2基部25に所定の剛性を持たせ、ウエザストリップ4のコーナー部を成形する際におけるシール部6の曲げ変形量を小さくすることを考慮すると、第2基部25の基端部Bにおける厚みW1が、シール部6の一般部の厚みTの2倍以上となることが望ましい。さらに、ウエザストリップ4のコーナー部における曲げ変形量、ドア2閉時におけるシール部6の撓み荷重、シール性、及び、ドア2の閉まり性等の関連性、シール部6の厚みTとの関連性や、第2基部25の各部の厚みW1,W2、突出長h及び断面積の関連性を考慮すると、第2基部25の基端部Bにおける厚みW1を、シール部6の一般部の厚みTの2倍以上6倍以下とすることがより望ましい。また、例えば第2基部25の車外側の側面及び中空部26側の側面のうち少なくとも一側面と、車外側側壁部12の側面とが略直角に交わるように構成した場合には、第2基部25の基端部Bにおける厚みW1がシール部6の一般部の厚みTの2倍以上4倍以下となることがより好ましい。
【0059】
また、上記同様の理由で、第2基部25の基端部Bにおける厚みW1を、車外側側壁部12におけるその先端部から連結部13との境界部までの長さの4分の1以上とすることが望ましく、さらには前記長さの4分の1以上2分の1以下とすることがより望ましい。また、上記同様に第2基部25の側面と、車外側側壁部12の側面とが略直角に交わっている場合には、シール部6の一般部の厚みTの4分の1以上3分の1以下となることがより好ましい。
【0060】
(c)第2基部25の先端部における厚みW2は、上記実施の形態に限られるものではなく、少なくともシール部6の一般部の厚みTより大きければよい。さらに、上記(b)で述べた同様の理由から、第2基部25の先端部における厚みW2を、シール部6の一般部の厚みTの2倍以上とすることが望ましく、さらにはシール部6の一般部の厚みTの2倍以上3倍以下とすることがより望ましい。
【0061】
(d)第2基部25の基端部Bから先端部までの突出長hは、上記実施の形態に限られるものではなく、少なくともシール部6の一般部の厚みTより大きければよい。さらに、上記(b)で述べた同様の理由から、第2基部25の突出長hを、シール部6の一般部の厚みTの2倍以上とすることが望ましく、さらにはシール部6の一般部の厚みTの2倍以上4倍以下とすることがより望ましい。
【0062】
(e)第2基部25の断面積は、上記実施の形態に限られるものではなく、上記(b)で述べた同様の理由から、少なくともシール部6の一般部の厚みTを2乗した面積の4倍以上となることが望ましく、さらにはシール部6の一般部の厚みTを2乗した面積の4倍以上14倍以下となることがより望ましい。また、上述したように第2基部25の側面と、車外側側壁部12の側面とが略直角に交わっている場合には、シール部6の一般部の厚みを2乗した面積の4倍以上10倍以下となることがより好ましい。
【0063】
(f)上記実施形態では、ウエザストリップ4を構成する素材としてEPDMを例示しているが、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)等の他のゴム材料を用いてもよい。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、或いは軟質のポリ塩化ビニル等のゴム状弾性を有する他の弾性材料により構成してもよい。
【0064】
(g)上記実施形態では、センタピラー40側に配設されるウエザストリップ4の端末部4bにおいてのみ、上記接着テープSによる端末加工が施されているが、もちろん反対側の端末部において同様の端末加工を施してもよい。
【0065】
(h)上記実施形態では、シール部6の外壁面からカバーリップ18にかけて接着テープSが貼付されているが、これに限らず、カバーリップ18が省略された構成において、シール部6の外壁面からトリム部5(連結部13)にかけて接着テープSを貼付した構成としてもよい。
【0066】
(i)上記実施形態では、トリム部5より延出形成された第2基部25の先端にシール部6が連接されたウエザストリップ4について具体化しているが、これに限らず、第2基部25に代えて、シール部6自身の付根部が厚肉となった基部を備えたウエザストリップに具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】自動車を示す斜視図である。
【図2】一実施の形態におけるウエザストリップを示す正面図である。
【図3】ウエザストリップを示す図2のJ−J線断面図である。
【図4】センタピラーに沿うウエザストリップの端末部付近の構造を示す図である。
【図5】ウエザストリップを示す図2のK−K線断面図である。
【図6】従来のウエザストリップを示す断面図である。
【図7】従来のウエザストリップの端末部につぶし加工を施した図である。
【図8】センタピラーに沿う従来のウエザストリップの端末部付近の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…車両としての自動車、2…ドア、3…ドア開口、4…ウエザストリップ、4b…端末部、5…トリム部、6…シール部、11…車内側側壁部、12…車外側側壁部、13…連結部、18…カバーリップ、24…第1基部、25…基部としての第2基部、40…縦縁部としてのセンタピラー、42…内装部材としての第2ピラーガーニッシュ、S…固定手段としての接着テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口周縁に装着され、車外側側壁部と車内側側壁部と、両側壁部を連結する連結部とからなる断面略U字状のトリム部と、
前記連結部と前記車外側側壁部の略境界部に位置する第1連接部、並びに、当該第1連接部よりも前記車外側側壁部の先端側に位置する第2連接部において連接され、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部とを備え、
長手方向全域が押出成形により成形され、
長さ方向の少なくとも一方の端末部が、前記ドア開口周縁の縦縁部において、前記縦縁部と当該縦縁部を覆う内装部材との間の隙間に挿入されるウエザストリップであって、
前記第2連接部において、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより厚肉の基部を備え、
前記長さ方向の少なくとも一方の端末部において、前記シール部を前記連結部側へ傾倒させた状態で所定の固定手段により固定したことを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
前記固定手段は、前記シール部の外壁面から前記トリム部にかけて貼られる接着テープであることを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
車両のドア開口周縁に装着され、車外側側壁部と車内側側壁部と、両側壁部を連結する連結部とからなる断面略U字状のトリム部と、
前記連結部と前記車外側側壁部の略境界部に位置する第1連接部、並びに、当該第1連接部よりも前記車外側側壁部の先端側に位置する第2連接部において連接され、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
前記連結部と前記車外側側壁部の境界部近傍から車内側へ延出形成されるリップ部とを備え、
長手方向全域が押出成形により成形され、
長さ方向の少なくとも一方の端末部が、前記ドア開口周縁の縦縁部において、前記縦縁部と当該縦縁部を覆う内装部材との間の隙間に挿入されるウエザストリップであって、
前記第2連接部において、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより厚肉の基部を備え、
前記長さ方向の少なくとも一方の端末部において、前記シール部を前記連結部側へ肉寄せして傾倒させた状態で、当該シール部の外壁面から前記リップ部にかけて接着テープを貼付し固定したことを特徴とするウエザストリップ。
【請求項4】
前記シール部の固定状態においても、前記端末部における前記シール部内が中空状となり、かつ、前記シール部の外壁面が凸状となるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウエザストリップ。
【請求項5】
前記基部は、前記シール部より剛性を有する前記トリム部の車外側側壁部から車外側へ向けて延出形成され、
前記車外側側壁部の延出方向に沿った厚みを、前記ドア周縁と圧接する部分における前記シール部の厚みより大きくしたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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