ウエザストリップ
【課題】重量が軽減され、コーナー部に装着が容易で、製造が容易な自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【解決手段】
オープニングトリムウエザストリップ10は、車体開口部周縁6に設けられているフランジ7に取付けられる取付基部20と、取付基部20に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材2に当接して車体開口部開閉部材2と車体開口部周縁6との間をシールするシール部を有する。取付基部20は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁21と底壁23及び車内側側壁22を有する断面略コ字形に形成される。底壁23は長手方向に連続する硬質樹脂板26で形成されるか又は底壁23に長手方向に連続する硬質樹脂板26が埋設されている。硬質樹脂板26は、車外側側壁21及び車内側側壁22よりも剛性が高い。
【解決手段】
オープニングトリムウエザストリップ10は、車体開口部周縁6に設けられているフランジ7に取付けられる取付基部20と、取付基部20に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材2に当接して車体開口部開閉部材2と車体開口部周縁6との間をシールするシール部を有する。取付基部20は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁21と底壁23及び車内側側壁22を有する断面略コ字形に形成される。底壁23は長手方向に連続する硬質樹脂板26で形成されるか又は底壁23に長手方向に連続する硬質樹脂板26が埋設されている。硬質樹脂板26は、車外側側壁21及び車内側側壁22よりも剛性が高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルーム内への雨水や埃等の浸入の防止及び走行時における不必要な空気の流出入を防止したウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロント前面において、車体1とボンネット2の間から自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には空気が浸入する。このとき、フロント前面以外からの不必要な空気の流出入や騒音が発生したり、エンジンルーム内からエンジン音が外部に出ることを防止する必要があった。このため、図8に示すように、それらの異音防止や異物浸入の防止のために車体1のエンジンルーム5内の側端のフロントフェンダーパネル3にウエザストリップ110が取付けられている。また、エンジンルーム5内のリヤ側に設けられたカウルルーバ7に取付けられたカウルシール8が取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このウエザストリップ110は、図9に示すように、平板状の取付基部113の上部に円弧状の中空シール部114を有しており、取付基部113にはクリップ119が複数個取付けられて、該クリップ119によって間隔をあけてフェンダープロテクター30に取付けられている。この中空シール部114がボンネット2の裏面に当接してシールする。
【0004】
また、図10に示すように、ウエザストリップ210の取付基部213をクリップ219によりボンネット2に取付け、シールリップ214をフロントフェンダーパネル3に当接させて、エンジンルーム5内の熱気が車外側空間に流出しないようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
また、図11に示すように、フェンダープロテクター30に、取付基部313をクリップ319で取付け、中空シール部314をボンネット2の裏面に当接させてシールするものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
このシールにおいて、図8に示すように、エンジンルーム5のリヤ側のコーナー部において、カウルシール8の先端とウエザストリップ110の先端のとの間には、組付け時のバラツキや、ボンネット2の閉り力を小さくする等のため、隙間が生じる場合がある。この隙間から、エンジンルーム5内の熱気が車外側に漏れる可能性があり、コーキング部材等で塞ぐことが行われている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、コーキング部材等で塞ぐ場合には、コーキング部材を別途形成し、その隙間に組み付ける等の手間とコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−22204号公報
【特許文献2】特開平8−11647号公報
【特許文献3】特開2010−83299号公報
【特許文献4】特開2005−75083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、エンジンルーム内からの熱気の漏れの少ない、安価なウエザストリップを得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車のエンジンルーム内のサイド側に設けられたフェンダープロテクターに取付けられて、ボンネットとフロントのフェンダーパネルとの間をシールするウエザストリップにおいて、
ウエザストリップは、フェンダープロテクターの上面に取付けられる取付基部と、取付基部と一体的に形成されボンネットに当接してシールするシール部を有し、
自動車のエンジンルーム内のリヤ側に設けられたカウルルーバに取付けられて、ボンネットとカウルルーバとの間をシールするカウルシールの先端に近接する部分のウエザストリップの取付基部のエンジンルームの中心方向側の側端からカバーリップを延設し、カバーリップはフェンダープロテクターのボンネットと対向する側の表面を覆うことを特徴とするウエザストリップである。
【0009】
請求項1の本発明では、自動車のエンジンルーム内のサイド側に設けられたフェンダープロテクターに取付けられて、ボンネットとフロントのフェンダーパネルとの間をシールするウエザストリップにおいて、ウエザストリップは、フェンダープロテクターの上面に取付けられる取付基部と、取付基部と一体的に形成されボンネットに当接してシールするシール部を有する。このため、ウエザストリップが、取付基部によりフェンダープロテクターに取付けられると、シール部が確実にボンネットに当接して、自動車のエンジンルーム内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には不必要な空気の流出入が防止されて、エンジンルーム内の熱気の流出や、異音防止や異物のエンジンルーム内への浸入を防止することができる。
【0010】
自動車のエンジンルーム内のリヤ側に設けられたカウルルーバに取付けられて、ボンネットとカウルルーバとの間をシールするカウルシールの先端に近接する部分のウエザストリップの取付基部のエンジンルームの中心方向側の側端からカバーリップを延設し、カバーリップはフェンダープロテクターのボンネットと対向する表面を覆っている。このため、エジンルームのリヤ側のコーナー部において、カバーリップが、カウルシールの先端とウエザストリップの先端のとの間の隙間を狭くするか或いは塞ぎ、その隙間からエンジンルーム内の熱気が車外側に漏れるのを減少させるか、或いは塞ぐことができる。
【0011】
請求項2の本発明は、カバーリップのフェンダープロテクターと対向する面は、フェンダープロテクターの表面との間に空間を有するウエザストリップである。
【0012】
請求項2の本発明では、カバーリップのフェンダープロテクターと対向する面は、フェンダープロテクターの表面との間に空間を有するため、カバーリップがフェンダープロテクター方向に撓む余地があり、ボンネットを閉めたときにボンネットのエンジンルーム側の膨出部がカバーリップに当接しても、カバーリップが撓んで、ボンネットがいわゆる底当たりせず、スムースに閉ることができる。また、カバーリップの肉厚を薄くすることができ、自動車の軽量化に貢献するとともに、型成形時に表面の引けを防止して、美観を向上させることができる。
【0013】
請求項3の本発明は、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に複数の補強リブが形成されたウエザストリップである。
【0014】
請求項3の本発明では、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に複数の補強リブが形成されたため、カバーリップを肉薄に形成しても、カバーリップの剛性を確保することができ、カバーリップが変形せず、確実にフェンダープロテクターを覆うことができとともに、カバーリップを軽量化することができる。
【0015】
請求項4の本発明は、カバーリップは、取付基部と一体に型成形されたウエザストリップである。
【0016】
請求項4の本発明では、カバーリップは、取付基部と一体に型成形されたため、ウエザストリップの端末部分を型成形するときに、同時にカバーリップを成形することができ、成形が容易である。また、ウエザストリップを組み付けるときにカバーリップも同時に組み付けることができ、カバーリップの先端のみを固定すればカバーリップが固定でき、良いため、組み付けが容易である。
【0017】
請求項5の本発明は、カバーリップの先端のフェンダープロテクターと対向する面に両面接着テープを設け、カバーリップの先端とフェンダープロテクターと接着するウエザストリップである。
【0018】
請求項5の本発明では、カバーリップの先端のフェンダープロテクターと対向する面に両面接着テープを設け、カバーリップの先端とフェンダープロテクターと接着する。このため、カバーリップの先端を押圧するだけで、フェンダープロテクターに固定することができ、カバーリップが捲り上がることがなく、カバーリップがカウルシールの先端とウエザストリップとの間の隙間を確実に狭くするか或いは塞ぐことができる。
【0019】
請求項6の本発明は、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に保持リブが形成され、フェンダープロテクターに取付凹部を設け、保持リブを取付凹部に当接させたウエザストリップである。
【0020】
請求項6の本発明では、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に保持リブが形成され、フェンダープロテクターに取付凹部を設け、保持リブを取付凹部に当接させた。このため、保持リブによりカバーリップをフェンダープロテクターの取付凹部の位置に保持することができ、カバーリップが安定して保持されるとともに、カバーリップとフェンダープロテクターとの間の空間を確保することができる。
【0021】
請求項7の本発明は、カバーリップの先端付近にボンネットの裏面の膨出部の先端が近接又は当接するように形成されたウエザストリップである。
【0022】
請求項7の本発明では、カバーリップの先端付近にボンネットの裏面の膨出部の先端が近接又は当接するように形成されたため、ボンネットを閉めたときにボンネットのエンジンルーム側の膨出部がカバーリップの先端に当接しても、カバーリップが撓んで、ボンネットがフェンダープロテクターと直接接触することを防止でき、ボンネットの閉りがスムースである。また、ボンネットとフェンダープロテクターの間の隙間を小さくすることができる。
【0023】
請求項8の本発明は、全体がスポンジ材で形成されたウエザストリップである。
【0024】
請求項8の本発明では、ウエザストリップは、全体がスポンジ材で形成されたため、全体の重量を軽減することができ、車輌の軽量化に貢献することができる。また、ウエザストリップの柔軟性が向上し、ボンネットとフェンダープロテクターの形状に沿って取付けることができる。さらに、シール部がボンネットに沿って当接し柔軟に変形してシールすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、カウルシールの先端に近接する部分のウエザストリップの取付基部からカバーリップを延設し、カバーリップはフェンダープロテクターの表面を覆っているため、エジンルームのリヤ側のコーナー部において、カバーリップが、カウルシールの先端とウエザストリップとの間の隙間を狭くするか或いは塞ぎ、その隙間からエンジンルーム内の熱気が車外側に漏れるのを塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態のカバーリップを有する部分の型成形のウエザストリップであり、図3におけるA−Aに沿った断面図である。
【図2】本発明の実施の形態のカバーリップを有する部分の型成形のウエザストリップであり、図3におけるB−Bに沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態のウエザストリップの型成形による端末部分の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態のウエザストリップの型成形による端末部分の裏面図である。
【図5】本発明の実施の形態の押出成形部分のウエザストリップであり、図3におけるC−Cに沿った断面図である。
【図6】本発明の実施の形態のカバーリップを有しない部分の型成形のウエザストリップの先端側であり、図3におけるD−Dに沿った断面図である。
【図7】自動車のエンジンルーム内のリヤ側コーナー部において、本発明の実施の形態のウエザストリップをフェンダープロテクターに取付け、カウルルーバにカウルシールを取付け、その先端が近接した状態を示す平面図である。
【図8】自動車のボンネットを開けて自動車のエンジンルーム内のフェンダープロテクターにウエザストリップを取付け、カウルルーバにカウルシールを取付けた状態を示す斜視図である。
【図9】従来のウエザストリップをフェンダープロテクターに取付けた状態の断面図である。
【図10】従来の他のウエザストリップをボンネットに取付けた状態の断面図である。
【図11】従来の他のウエザストリップをフェンダープロテクターに取付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図1〜図8に基づき説明する。
図8に示すように、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10は、自動車のエンジンルーム5内の両方のサイド側に設けられたフェンダープロテクター30の上面に取付けて使用される。
【0028】
エンジンルーム5内は、両方のサイド側はフロントフェンダーパネル3が設けられ、フロントフェンダーパネル3の内側にはフェンダープロテクター30が取付けられ、フェンダープロテクター30の上面には、フェンダープロテクター30とボンネット2との間をシールする前後方向に長尺に伸びるウエザストリップ10が取り付けられている。
【0029】
エンジンルーム5内のリヤ側の上部には、カウルルーバ7が設けられて、カウルルーバ7の上面には、カウルルーバ7とボンネット2のリヤ側端部との間をシールする左右方向に長尺に伸びるカウルシール8が取り付けられている。カウルルーバ7は、合成樹脂で形成され、カウルシール8はゴムのスポンジ材で形成され、カウルシール8のシール部は、ボンネット2の裏面に柔軟に当接してシールする。
【0030】
図7に示すように、エンジンルーム5のリヤ側の左右のコーナー部において、カウルシール8の両側の先端は、ウエザストリップ10のリヤ側の先端に近接するように取り付けられている。しかしながら、各部品の成形寸法や組み付け時のばらつきのため、カウルシール8の先端とウエザストリップ10との間には、隙間が生じている。
この隙間を小さくするために、ウエザストリップ10のリヤ側の先端部分において、カウルシール8の先端に近接する部分には、カバーリップ20がフェンダープロテクター30の表面を覆うように延設されている。
【0031】
この本発明の実施の形態を示す自動車用のウエザストリップ10の形状について以下に説明する。
実施の形態のウエザストリップ10の形状は、図7と図8に示すように、長尺状に形成され、中央部分は押出成形により同一断面で形成された押出成形部11であり、両端は型成形で形成された型成形部12である。カバーリップ20は、リヤ側の先端の型成形部12に形成されている。
【0032】
本発明のウエザストリップ10は、前述し、図8に示すように、自動車のエンジンルーム5内のフロントフェンダーパネル3の内側の両側部を覆うように設けられたフェンダープロテクター30に取付けられる。また、ウエザストリップ10は、ボンネット2が閉じたときに、ボンネット2との間の隙間を塞ぐようにボンネット2の下面に当接する。
【0033】
これにより、車体1の側端であるフロントフェンダーパネル3とボンネット2の側端との間をシールすることができる。そして、自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃等の異物の浸入を防止し、さらに走行中には不必要な空気の流出入を防止して、異音の発生を防止する。なお、ボンネット2の前端又は車体1のフロント前端にさらに別のウエザストリップを取付けてシールすることができる。
【0034】
まず、型成形部12について説明し、後に押出成形部11について説明する。
図1〜4に示すように、ウエザストリップ10の型成形部12は、フェンダープロテクター30の上面の側端に取付けられる取付基部13と、取付基部13の上面に一体的に形成されボンネット2に当接してシールするシール部14とを有する。
取付基部13の裏面には、図4に示すように、中子取出し孔17が形成され、型成形時に中空状のシール部14を形成するための中子が取り出される。
【0035】
シール部14は、図1、図2に示すように、中空状に形成されることが好ましい。これにより、ボンネット2と当接するときに、ボンネット2の形状に沿って中空状のシール部14が柔軟に変形してシールするとともに、ボンネット2への当接力を確保することができ、シール性を確保することができる。
なお、シール部14は、中空状ではなくリップ状に形成してもよい。
【0036】
取付基部13は、図1、図2に示すように、平板状で帯状に形成されて、フェンダープロテクター30の上面に形成された取付平面部34に取付けられる。このため、フェンダープロテクター30の取付平面部34に取付基部13が安定して取り付けられることができ、シール部14の位置を安定させることができる。
【0037】
また、取付基部13のエンジンルーム5の中心方向側の裏面には長手方向に連続して突条16を形成することが好ましい。この場合には、取付基部13とフェンダープロテクター30の取付平面部34とを密着させ、その間の隙間をなくしてシール性を確保することができる。
取付基部13の車外側の裏面には長手方向に連続して、断面形状が鉤状の係止リップ15を形成することが好ましい。ウエザストリップ10をフェンダープロテクター30の取付平面部34に取付けるときに、取付平面部34の側端に鉤状の係止リップ15を係止させて、取付基部13を保持するとともに、取付基部13の側端とフロントフェンダーパネル3との間をシールすることができる。
【0038】
また、図1と図6に示すように、取付基部13は、複数のクリップ19で、フェンダープロテクター30の取付平面部34に取付けることができる。この場合には、図1に示すように、取付基部13の下面にクリップ19のクリップ取付孔18を複数個形成するとともに、フェンダープロテクター30の取付平面部34の対応する箇所に挿入孔35を形成し、その挿入孔35にクリップ取付孔18に取付けられているクリップ19の脚部を挿入して取付ける。これにより、取付基部13をフェンダープロテクター30に取付けることができる。
【0039】
取付基部13は、その下面に両面接着テープを部分的(例えば、両端)に設け、フェンダープロテクター30に取付けることができる。クリップ19と両面接着テープにより、取付基部13をフェンダープロテクター30に取付ける。両面接着テープを取付基部13の全面に貼り付けるのは、両面接着テープが高価であり、好ましくない。
【0040】
次に、ウエザストリップ10のカバーリップ20について説明する。
カバーリップ20は、ウエザストリップ10の取付基部13のエンジンルーム5側の側端からフェンダープロテクター30の表面に沿って覆うように板状に延設される。延設される位置は、自動車のエンジンルーム5内のリヤ側に設けられたカウルルーバ7に取付けられて、ボンネット2とカウルルーバ7との間をシールするカウルシール8の先端が近接するウエザストリップ10の部分である。
【0041】
エンジンルーム5のリヤ側のコーナー部において、カウルシール8の先端とウエザストリップ10の先端との間に隙間が形成されるが、カバーリップ20は、その隙間に位置して、その隙間を狭くしたり、塞いだりするように形成される。これにより、その隙間からエンジンルーム5内の熱気が車外側に漏れるのを少なくしたり、塞いだりすることができる。
【0042】
カバーリップ20は、取付基部13のエンジンルーム5側の側端と連続する連結部22と、連結部22からフェンダープロテクター30の表面に沿ってエンジンルーム5方向に板状に延設される本体部21と、本体部21の先端部分に形成される先端部28から形成される。
【0043】
カバーリップ20は、ウエザストリップ10の型成形部12を成形するときに、取付基部13と一体に型成形することができる。このため、成形が容易であるとともに、ウエザストリップ10をフェンダープロテクター30に組み付けるときにカバーリップ20も同時に組み付けることができ、取付基部13が固定されているため、カバーリップ20の連結部22は固定する必要がなく、先端部28のみを固定すれば良いため、組み付けが容易である。
【0044】
本体部21のフェンダープロテクター30と対向する面とフェンダープロテクター30の表面との間に空間27が設けられている。この空間27により、カバーリップ20がフェンダープロテクター30方向に撓む余地があり、ボンネット2を閉めたときに,閉める速度や、組み付け寸法のばらつきによりボンネット2のエンジンルーム5側の膨出部2aがカバーリップ20に当接しても、カバーリップ20の本体部21が撓んで、ボンネット2が底当たりすることなく、スムースに閉ることができる。また、カバーリップ20の肉厚を薄くすることができ、カバーリップ20の重量を削減し、自動車の軽量化に貢献するとともに、型成形時に表面の引けを防止して、美観を向上させることができる。
【0045】
図3と図4に示すように、カバーリップ20は、その裏面であるフェンダープロテクター30と対向する面に複数の補強リブ23を形成することができる。この場合では、カバーリップ20の本体部21を肉薄に形成しても、カバーリップ20の剛性を確保することができ、カバーリップ20が捲り上がることがなく、カバーリップ20が変形することなく、確実にフェンダープロテクター30を覆うことができる。また、本体部21を薄肉に生成してカバーリップ20を軽量化することができる。
【0046】
カバーリップ20の先端部28の裏面であるフェンダープロテクター30と対向する面に両面接着テープ26を設け、カバーリップ20の先端部28とフェンダープロテクター30と接着することができる。この場合は、カバーリップ20の先端部28を押圧するだけで、確実にフェンダープロテクター30に固定することができ、カバーリップ20が捲り上がることがなく、カバーリップ20がカウルシール8の先端とウエザストリップ10の先端との間の隙間を狭くするか、或いは塞ぐことができる。
【0047】
カバーリップ20にフェンダープロテクター30と対向する面に保持リブ24を形成する。保持リップ24はリップ状に形成する。保持リブ24に対応するフェンダープロテクター30の部分に取付凹部33を設け、保持リブ24を取付凹部33に嵌め込んで当接させ、保持させることができる。この場合は、保持リブ24によりカバーリップ20をフェンダープロテクター30の取付凹部33の位置に保持して、フェンダープロテクター30の所定位置に保持することができ、カバーリップ20が安定して保持されるとともに、カバーリップ20の本体部21とフェンダープロテクター30との間の空間を確保することができる。
【0048】
なお、カバーリップ20の先端部28の部分に、ボンネット2の裏面の膨出部2aの先端が近接又は当接するように形成することができる。この場合は、エンジンルーム5内の熱風を排出するのを防止するとともに、ボンネット2を閉めたときにボンネット2のエンジンルーム側の膨出部2aがカバーリップ20の先端部28に当接しても、カバーリップ20の先端部28が撓んで、ボンネット2がフェンダープロテクター30と直接接触することを防止でき、ボンネット2の閉りをスムースにすることができる。
【0049】
図4に示すように、カバーリップ20の裏面の幅方向の両側端に沿って端末リブ25を設けることができる。この場合には、カバーリップ20とフェンダープロテクター30との間の空間27を端末リブ25が塞いで、その空間27に異物等が進入することを防止できる。
【0050】
フェンダープロテクター30をフロントフェンダーパネル3に取付けるには、図2に示すように、フェンダープロテクター30に設けたプロテクター取付孔31から、フロントフェンダーパネル3に設けたパネル挿入孔3aに、プロテクター取付クリップ32の脚部を挿入して、取付凹部33の端部又はフェンダープロテクター30の端部をプロテクター取付クリップ32の頭部で保持することにより行う。
【0051】
型成形部12のカバーリップ20が延設された部分より先端側は、図3と図6に示すように、先端側は徐々に断面形状が小さくなり、先端には先端係止部12aが形成されて、フェンダープロテクター30の先端部分に係止される。これにより、ウエザストリップ10の先端が確実に固定される。また、先端側の断面形状は、カバーリップ20が設けられた部分の取付基部13とシール部14の断面形状と比べて、若干縮小されているが、ほほ同様である。
【0052】
次に、押出成形部11について説明する。
押出成形部11は、図5に示すように、カバーリップ20が設けられた部分の取付基部13とシール部14の断面形状と略同様である。
しかしながら、中空状のシール部14を形成する壁の肉厚は若干薄く形成され、中空部分も若干大きく形成される。また、中空状のシール部14に薄肉に形成した屈曲部14aを形成することができる。このため、ボンネット2の裏面に柔軟かつ確実に当接して、シール性を確保することができるとともに、ボンネット2の閉り力を低減している。また、取付基部13には、クリップ15が設けられて、フェンダープロテクター30の取付平面部34に取り付けられている。
【0053】
なお、ウエザストリップ10は、押出成形部11も型成形部12も、全体がゴム又は熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成されることが好ましい。この場合は、ゴム又は熱可塑性エラストマーのスポンジ材で全体が形成されているため、全体の重量を軽減することができ、車輌の軽量化に貢献することができる。また、ウエザストリップ10の柔軟性が向上し、ボンネット2とフェンダープロテクター30の形状に沿って取付けることができる。さらに、シール部14がボンネット2に沿って当接し変形してシールすることができる。
【0054】
次に、ウエザストリップ10の製造方法について説明する。
押出成形部11は、まず、ウエザストリップ10を形成する未加硫の長尺物が、押出成形機のダイスからウエザストリップ10の断面形状に形成されて押出成形される。
押出成形された長尺物は、次に、ゴムの場合は、高周波加熱炉と熱風加熱炉に送られて、加熱して加硫される。熱可塑性エラストマーの場合は、押出成形後に冷却される。
その後、長尺物は、引き取り機により引き取られて、裁断機により所定寸法に裁断され押出成形部11となる。そして、押出成形部11の両端は金型に挟持されて、型成形部12が形成される。その後、パレットに並べられ、クリップ等の取付けが行われて、ウエザストリップ10となる。
【0055】
使用される材料は、通常の合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーを使用することができるが、ゴムの場合はEPDMゴムを使用し、熱可塑性エラストマーの場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
EPDMゴムを使用する場合には、充分な剛性と、柔軟性と弾力性を有し、耐候性に優れた安価な製品を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
3 フロントフェンダーパネル
5 エンジンルーム
8 カウルシール
10 ウエザストリップ
11 押出成形部
12 型成形部
13 取付基部
14 シール部
20 カバーリップ
23 補強リブ
24 保持リブ
26 両面接着テープ
27 空間部
30 フェンダープロテクター
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルーム内への雨水や埃等の浸入の防止及び走行時における不必要な空気の流出入を防止したウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロント前面において、車体1とボンネット2の間から自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には空気が浸入する。このとき、フロント前面以外からの不必要な空気の流出入や騒音が発生したり、エンジンルーム内からエンジン音が外部に出ることを防止する必要があった。このため、図8に示すように、それらの異音防止や異物浸入の防止のために車体1のエンジンルーム5内の側端のフロントフェンダーパネル3にウエザストリップ110が取付けられている。また、エンジンルーム5内のリヤ側に設けられたカウルルーバ7に取付けられたカウルシール8が取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このウエザストリップ110は、図9に示すように、平板状の取付基部113の上部に円弧状の中空シール部114を有しており、取付基部113にはクリップ119が複数個取付けられて、該クリップ119によって間隔をあけてフェンダープロテクター30に取付けられている。この中空シール部114がボンネット2の裏面に当接してシールする。
【0004】
また、図10に示すように、ウエザストリップ210の取付基部213をクリップ219によりボンネット2に取付け、シールリップ214をフロントフェンダーパネル3に当接させて、エンジンルーム5内の熱気が車外側空間に流出しないようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
また、図11に示すように、フェンダープロテクター30に、取付基部313をクリップ319で取付け、中空シール部314をボンネット2の裏面に当接させてシールするものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
このシールにおいて、図8に示すように、エンジンルーム5のリヤ側のコーナー部において、カウルシール8の先端とウエザストリップ110の先端のとの間には、組付け時のバラツキや、ボンネット2の閉り力を小さくする等のため、隙間が生じる場合がある。この隙間から、エンジンルーム5内の熱気が車外側に漏れる可能性があり、コーキング部材等で塞ぐことが行われている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、コーキング部材等で塞ぐ場合には、コーキング部材を別途形成し、その隙間に組み付ける等の手間とコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−22204号公報
【特許文献2】特開平8−11647号公報
【特許文献3】特開2010−83299号公報
【特許文献4】特開2005−75083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、エンジンルーム内からの熱気の漏れの少ない、安価なウエザストリップを得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車のエンジンルーム内のサイド側に設けられたフェンダープロテクターに取付けられて、ボンネットとフロントのフェンダーパネルとの間をシールするウエザストリップにおいて、
ウエザストリップは、フェンダープロテクターの上面に取付けられる取付基部と、取付基部と一体的に形成されボンネットに当接してシールするシール部を有し、
自動車のエンジンルーム内のリヤ側に設けられたカウルルーバに取付けられて、ボンネットとカウルルーバとの間をシールするカウルシールの先端に近接する部分のウエザストリップの取付基部のエンジンルームの中心方向側の側端からカバーリップを延設し、カバーリップはフェンダープロテクターのボンネットと対向する側の表面を覆うことを特徴とするウエザストリップである。
【0009】
請求項1の本発明では、自動車のエンジンルーム内のサイド側に設けられたフェンダープロテクターに取付けられて、ボンネットとフロントのフェンダーパネルとの間をシールするウエザストリップにおいて、ウエザストリップは、フェンダープロテクターの上面に取付けられる取付基部と、取付基部と一体的に形成されボンネットに当接してシールするシール部を有する。このため、ウエザストリップが、取付基部によりフェンダープロテクターに取付けられると、シール部が確実にボンネットに当接して、自動車のエンジンルーム内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には不必要な空気の流出入が防止されて、エンジンルーム内の熱気の流出や、異音防止や異物のエンジンルーム内への浸入を防止することができる。
【0010】
自動車のエンジンルーム内のリヤ側に設けられたカウルルーバに取付けられて、ボンネットとカウルルーバとの間をシールするカウルシールの先端に近接する部分のウエザストリップの取付基部のエンジンルームの中心方向側の側端からカバーリップを延設し、カバーリップはフェンダープロテクターのボンネットと対向する表面を覆っている。このため、エジンルームのリヤ側のコーナー部において、カバーリップが、カウルシールの先端とウエザストリップの先端のとの間の隙間を狭くするか或いは塞ぎ、その隙間からエンジンルーム内の熱気が車外側に漏れるのを減少させるか、或いは塞ぐことができる。
【0011】
請求項2の本発明は、カバーリップのフェンダープロテクターと対向する面は、フェンダープロテクターの表面との間に空間を有するウエザストリップである。
【0012】
請求項2の本発明では、カバーリップのフェンダープロテクターと対向する面は、フェンダープロテクターの表面との間に空間を有するため、カバーリップがフェンダープロテクター方向に撓む余地があり、ボンネットを閉めたときにボンネットのエンジンルーム側の膨出部がカバーリップに当接しても、カバーリップが撓んで、ボンネットがいわゆる底当たりせず、スムースに閉ることができる。また、カバーリップの肉厚を薄くすることができ、自動車の軽量化に貢献するとともに、型成形時に表面の引けを防止して、美観を向上させることができる。
【0013】
請求項3の本発明は、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に複数の補強リブが形成されたウエザストリップである。
【0014】
請求項3の本発明では、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に複数の補強リブが形成されたため、カバーリップを肉薄に形成しても、カバーリップの剛性を確保することができ、カバーリップが変形せず、確実にフェンダープロテクターを覆うことができとともに、カバーリップを軽量化することができる。
【0015】
請求項4の本発明は、カバーリップは、取付基部と一体に型成形されたウエザストリップである。
【0016】
請求項4の本発明では、カバーリップは、取付基部と一体に型成形されたため、ウエザストリップの端末部分を型成形するときに、同時にカバーリップを成形することができ、成形が容易である。また、ウエザストリップを組み付けるときにカバーリップも同時に組み付けることができ、カバーリップの先端のみを固定すればカバーリップが固定でき、良いため、組み付けが容易である。
【0017】
請求項5の本発明は、カバーリップの先端のフェンダープロテクターと対向する面に両面接着テープを設け、カバーリップの先端とフェンダープロテクターと接着するウエザストリップである。
【0018】
請求項5の本発明では、カバーリップの先端のフェンダープロテクターと対向する面に両面接着テープを設け、カバーリップの先端とフェンダープロテクターと接着する。このため、カバーリップの先端を押圧するだけで、フェンダープロテクターに固定することができ、カバーリップが捲り上がることがなく、カバーリップがカウルシールの先端とウエザストリップとの間の隙間を確実に狭くするか或いは塞ぐことができる。
【0019】
請求項6の本発明は、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に保持リブが形成され、フェンダープロテクターに取付凹部を設け、保持リブを取付凹部に当接させたウエザストリップである。
【0020】
請求項6の本発明では、カバーリップは、フェンダープロテクターと対向する面に保持リブが形成され、フェンダープロテクターに取付凹部を設け、保持リブを取付凹部に当接させた。このため、保持リブによりカバーリップをフェンダープロテクターの取付凹部の位置に保持することができ、カバーリップが安定して保持されるとともに、カバーリップとフェンダープロテクターとの間の空間を確保することができる。
【0021】
請求項7の本発明は、カバーリップの先端付近にボンネットの裏面の膨出部の先端が近接又は当接するように形成されたウエザストリップである。
【0022】
請求項7の本発明では、カバーリップの先端付近にボンネットの裏面の膨出部の先端が近接又は当接するように形成されたため、ボンネットを閉めたときにボンネットのエンジンルーム側の膨出部がカバーリップの先端に当接しても、カバーリップが撓んで、ボンネットがフェンダープロテクターと直接接触することを防止でき、ボンネットの閉りがスムースである。また、ボンネットとフェンダープロテクターの間の隙間を小さくすることができる。
【0023】
請求項8の本発明は、全体がスポンジ材で形成されたウエザストリップである。
【0024】
請求項8の本発明では、ウエザストリップは、全体がスポンジ材で形成されたため、全体の重量を軽減することができ、車輌の軽量化に貢献することができる。また、ウエザストリップの柔軟性が向上し、ボンネットとフェンダープロテクターの形状に沿って取付けることができる。さらに、シール部がボンネットに沿って当接し柔軟に変形してシールすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、カウルシールの先端に近接する部分のウエザストリップの取付基部からカバーリップを延設し、カバーリップはフェンダープロテクターの表面を覆っているため、エジンルームのリヤ側のコーナー部において、カバーリップが、カウルシールの先端とウエザストリップとの間の隙間を狭くするか或いは塞ぎ、その隙間からエンジンルーム内の熱気が車外側に漏れるのを塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態のカバーリップを有する部分の型成形のウエザストリップであり、図3におけるA−Aに沿った断面図である。
【図2】本発明の実施の形態のカバーリップを有する部分の型成形のウエザストリップであり、図3におけるB−Bに沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態のウエザストリップの型成形による端末部分の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態のウエザストリップの型成形による端末部分の裏面図である。
【図5】本発明の実施の形態の押出成形部分のウエザストリップであり、図3におけるC−Cに沿った断面図である。
【図6】本発明の実施の形態のカバーリップを有しない部分の型成形のウエザストリップの先端側であり、図3におけるD−Dに沿った断面図である。
【図7】自動車のエンジンルーム内のリヤ側コーナー部において、本発明の実施の形態のウエザストリップをフェンダープロテクターに取付け、カウルルーバにカウルシールを取付け、その先端が近接した状態を示す平面図である。
【図8】自動車のボンネットを開けて自動車のエンジンルーム内のフェンダープロテクターにウエザストリップを取付け、カウルルーバにカウルシールを取付けた状態を示す斜視図である。
【図9】従来のウエザストリップをフェンダープロテクターに取付けた状態の断面図である。
【図10】従来の他のウエザストリップをボンネットに取付けた状態の断面図である。
【図11】従来の他のウエザストリップをフェンダープロテクターに取付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図1〜図8に基づき説明する。
図8に示すように、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10は、自動車のエンジンルーム5内の両方のサイド側に設けられたフェンダープロテクター30の上面に取付けて使用される。
【0028】
エンジンルーム5内は、両方のサイド側はフロントフェンダーパネル3が設けられ、フロントフェンダーパネル3の内側にはフェンダープロテクター30が取付けられ、フェンダープロテクター30の上面には、フェンダープロテクター30とボンネット2との間をシールする前後方向に長尺に伸びるウエザストリップ10が取り付けられている。
【0029】
エンジンルーム5内のリヤ側の上部には、カウルルーバ7が設けられて、カウルルーバ7の上面には、カウルルーバ7とボンネット2のリヤ側端部との間をシールする左右方向に長尺に伸びるカウルシール8が取り付けられている。カウルルーバ7は、合成樹脂で形成され、カウルシール8はゴムのスポンジ材で形成され、カウルシール8のシール部は、ボンネット2の裏面に柔軟に当接してシールする。
【0030】
図7に示すように、エンジンルーム5のリヤ側の左右のコーナー部において、カウルシール8の両側の先端は、ウエザストリップ10のリヤ側の先端に近接するように取り付けられている。しかしながら、各部品の成形寸法や組み付け時のばらつきのため、カウルシール8の先端とウエザストリップ10との間には、隙間が生じている。
この隙間を小さくするために、ウエザストリップ10のリヤ側の先端部分において、カウルシール8の先端に近接する部分には、カバーリップ20がフェンダープロテクター30の表面を覆うように延設されている。
【0031】
この本発明の実施の形態を示す自動車用のウエザストリップ10の形状について以下に説明する。
実施の形態のウエザストリップ10の形状は、図7と図8に示すように、長尺状に形成され、中央部分は押出成形により同一断面で形成された押出成形部11であり、両端は型成形で形成された型成形部12である。カバーリップ20は、リヤ側の先端の型成形部12に形成されている。
【0032】
本発明のウエザストリップ10は、前述し、図8に示すように、自動車のエンジンルーム5内のフロントフェンダーパネル3の内側の両側部を覆うように設けられたフェンダープロテクター30に取付けられる。また、ウエザストリップ10は、ボンネット2が閉じたときに、ボンネット2との間の隙間を塞ぐようにボンネット2の下面に当接する。
【0033】
これにより、車体1の側端であるフロントフェンダーパネル3とボンネット2の側端との間をシールすることができる。そして、自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃等の異物の浸入を防止し、さらに走行中には不必要な空気の流出入を防止して、異音の発生を防止する。なお、ボンネット2の前端又は車体1のフロント前端にさらに別のウエザストリップを取付けてシールすることができる。
【0034】
まず、型成形部12について説明し、後に押出成形部11について説明する。
図1〜4に示すように、ウエザストリップ10の型成形部12は、フェンダープロテクター30の上面の側端に取付けられる取付基部13と、取付基部13の上面に一体的に形成されボンネット2に当接してシールするシール部14とを有する。
取付基部13の裏面には、図4に示すように、中子取出し孔17が形成され、型成形時に中空状のシール部14を形成するための中子が取り出される。
【0035】
シール部14は、図1、図2に示すように、中空状に形成されることが好ましい。これにより、ボンネット2と当接するときに、ボンネット2の形状に沿って中空状のシール部14が柔軟に変形してシールするとともに、ボンネット2への当接力を確保することができ、シール性を確保することができる。
なお、シール部14は、中空状ではなくリップ状に形成してもよい。
【0036】
取付基部13は、図1、図2に示すように、平板状で帯状に形成されて、フェンダープロテクター30の上面に形成された取付平面部34に取付けられる。このため、フェンダープロテクター30の取付平面部34に取付基部13が安定して取り付けられることができ、シール部14の位置を安定させることができる。
【0037】
また、取付基部13のエンジンルーム5の中心方向側の裏面には長手方向に連続して突条16を形成することが好ましい。この場合には、取付基部13とフェンダープロテクター30の取付平面部34とを密着させ、その間の隙間をなくしてシール性を確保することができる。
取付基部13の車外側の裏面には長手方向に連続して、断面形状が鉤状の係止リップ15を形成することが好ましい。ウエザストリップ10をフェンダープロテクター30の取付平面部34に取付けるときに、取付平面部34の側端に鉤状の係止リップ15を係止させて、取付基部13を保持するとともに、取付基部13の側端とフロントフェンダーパネル3との間をシールすることができる。
【0038】
また、図1と図6に示すように、取付基部13は、複数のクリップ19で、フェンダープロテクター30の取付平面部34に取付けることができる。この場合には、図1に示すように、取付基部13の下面にクリップ19のクリップ取付孔18を複数個形成するとともに、フェンダープロテクター30の取付平面部34の対応する箇所に挿入孔35を形成し、その挿入孔35にクリップ取付孔18に取付けられているクリップ19の脚部を挿入して取付ける。これにより、取付基部13をフェンダープロテクター30に取付けることができる。
【0039】
取付基部13は、その下面に両面接着テープを部分的(例えば、両端)に設け、フェンダープロテクター30に取付けることができる。クリップ19と両面接着テープにより、取付基部13をフェンダープロテクター30に取付ける。両面接着テープを取付基部13の全面に貼り付けるのは、両面接着テープが高価であり、好ましくない。
【0040】
次に、ウエザストリップ10のカバーリップ20について説明する。
カバーリップ20は、ウエザストリップ10の取付基部13のエンジンルーム5側の側端からフェンダープロテクター30の表面に沿って覆うように板状に延設される。延設される位置は、自動車のエンジンルーム5内のリヤ側に設けられたカウルルーバ7に取付けられて、ボンネット2とカウルルーバ7との間をシールするカウルシール8の先端が近接するウエザストリップ10の部分である。
【0041】
エンジンルーム5のリヤ側のコーナー部において、カウルシール8の先端とウエザストリップ10の先端との間に隙間が形成されるが、カバーリップ20は、その隙間に位置して、その隙間を狭くしたり、塞いだりするように形成される。これにより、その隙間からエンジンルーム5内の熱気が車外側に漏れるのを少なくしたり、塞いだりすることができる。
【0042】
カバーリップ20は、取付基部13のエンジンルーム5側の側端と連続する連結部22と、連結部22からフェンダープロテクター30の表面に沿ってエンジンルーム5方向に板状に延設される本体部21と、本体部21の先端部分に形成される先端部28から形成される。
【0043】
カバーリップ20は、ウエザストリップ10の型成形部12を成形するときに、取付基部13と一体に型成形することができる。このため、成形が容易であるとともに、ウエザストリップ10をフェンダープロテクター30に組み付けるときにカバーリップ20も同時に組み付けることができ、取付基部13が固定されているため、カバーリップ20の連結部22は固定する必要がなく、先端部28のみを固定すれば良いため、組み付けが容易である。
【0044】
本体部21のフェンダープロテクター30と対向する面とフェンダープロテクター30の表面との間に空間27が設けられている。この空間27により、カバーリップ20がフェンダープロテクター30方向に撓む余地があり、ボンネット2を閉めたときに,閉める速度や、組み付け寸法のばらつきによりボンネット2のエンジンルーム5側の膨出部2aがカバーリップ20に当接しても、カバーリップ20の本体部21が撓んで、ボンネット2が底当たりすることなく、スムースに閉ることができる。また、カバーリップ20の肉厚を薄くすることができ、カバーリップ20の重量を削減し、自動車の軽量化に貢献するとともに、型成形時に表面の引けを防止して、美観を向上させることができる。
【0045】
図3と図4に示すように、カバーリップ20は、その裏面であるフェンダープロテクター30と対向する面に複数の補強リブ23を形成することができる。この場合では、カバーリップ20の本体部21を肉薄に形成しても、カバーリップ20の剛性を確保することができ、カバーリップ20が捲り上がることがなく、カバーリップ20が変形することなく、確実にフェンダープロテクター30を覆うことができる。また、本体部21を薄肉に生成してカバーリップ20を軽量化することができる。
【0046】
カバーリップ20の先端部28の裏面であるフェンダープロテクター30と対向する面に両面接着テープ26を設け、カバーリップ20の先端部28とフェンダープロテクター30と接着することができる。この場合は、カバーリップ20の先端部28を押圧するだけで、確実にフェンダープロテクター30に固定することができ、カバーリップ20が捲り上がることがなく、カバーリップ20がカウルシール8の先端とウエザストリップ10の先端との間の隙間を狭くするか、或いは塞ぐことができる。
【0047】
カバーリップ20にフェンダープロテクター30と対向する面に保持リブ24を形成する。保持リップ24はリップ状に形成する。保持リブ24に対応するフェンダープロテクター30の部分に取付凹部33を設け、保持リブ24を取付凹部33に嵌め込んで当接させ、保持させることができる。この場合は、保持リブ24によりカバーリップ20をフェンダープロテクター30の取付凹部33の位置に保持して、フェンダープロテクター30の所定位置に保持することができ、カバーリップ20が安定して保持されるとともに、カバーリップ20の本体部21とフェンダープロテクター30との間の空間を確保することができる。
【0048】
なお、カバーリップ20の先端部28の部分に、ボンネット2の裏面の膨出部2aの先端が近接又は当接するように形成することができる。この場合は、エンジンルーム5内の熱風を排出するのを防止するとともに、ボンネット2を閉めたときにボンネット2のエンジンルーム側の膨出部2aがカバーリップ20の先端部28に当接しても、カバーリップ20の先端部28が撓んで、ボンネット2がフェンダープロテクター30と直接接触することを防止でき、ボンネット2の閉りをスムースにすることができる。
【0049】
図4に示すように、カバーリップ20の裏面の幅方向の両側端に沿って端末リブ25を設けることができる。この場合には、カバーリップ20とフェンダープロテクター30との間の空間27を端末リブ25が塞いで、その空間27に異物等が進入することを防止できる。
【0050】
フェンダープロテクター30をフロントフェンダーパネル3に取付けるには、図2に示すように、フェンダープロテクター30に設けたプロテクター取付孔31から、フロントフェンダーパネル3に設けたパネル挿入孔3aに、プロテクター取付クリップ32の脚部を挿入して、取付凹部33の端部又はフェンダープロテクター30の端部をプロテクター取付クリップ32の頭部で保持することにより行う。
【0051】
型成形部12のカバーリップ20が延設された部分より先端側は、図3と図6に示すように、先端側は徐々に断面形状が小さくなり、先端には先端係止部12aが形成されて、フェンダープロテクター30の先端部分に係止される。これにより、ウエザストリップ10の先端が確実に固定される。また、先端側の断面形状は、カバーリップ20が設けられた部分の取付基部13とシール部14の断面形状と比べて、若干縮小されているが、ほほ同様である。
【0052】
次に、押出成形部11について説明する。
押出成形部11は、図5に示すように、カバーリップ20が設けられた部分の取付基部13とシール部14の断面形状と略同様である。
しかしながら、中空状のシール部14を形成する壁の肉厚は若干薄く形成され、中空部分も若干大きく形成される。また、中空状のシール部14に薄肉に形成した屈曲部14aを形成することができる。このため、ボンネット2の裏面に柔軟かつ確実に当接して、シール性を確保することができるとともに、ボンネット2の閉り力を低減している。また、取付基部13には、クリップ15が設けられて、フェンダープロテクター30の取付平面部34に取り付けられている。
【0053】
なお、ウエザストリップ10は、押出成形部11も型成形部12も、全体がゴム又は熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成されることが好ましい。この場合は、ゴム又は熱可塑性エラストマーのスポンジ材で全体が形成されているため、全体の重量を軽減することができ、車輌の軽量化に貢献することができる。また、ウエザストリップ10の柔軟性が向上し、ボンネット2とフェンダープロテクター30の形状に沿って取付けることができる。さらに、シール部14がボンネット2に沿って当接し変形してシールすることができる。
【0054】
次に、ウエザストリップ10の製造方法について説明する。
押出成形部11は、まず、ウエザストリップ10を形成する未加硫の長尺物が、押出成形機のダイスからウエザストリップ10の断面形状に形成されて押出成形される。
押出成形された長尺物は、次に、ゴムの場合は、高周波加熱炉と熱風加熱炉に送られて、加熱して加硫される。熱可塑性エラストマーの場合は、押出成形後に冷却される。
その後、長尺物は、引き取り機により引き取られて、裁断機により所定寸法に裁断され押出成形部11となる。そして、押出成形部11の両端は金型に挟持されて、型成形部12が形成される。その後、パレットに並べられ、クリップ等の取付けが行われて、ウエザストリップ10となる。
【0055】
使用される材料は、通常の合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーを使用することができるが、ゴムの場合はEPDMゴムを使用し、熱可塑性エラストマーの場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
EPDMゴムを使用する場合には、充分な剛性と、柔軟性と弾力性を有し、耐候性に優れた安価な製品を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
3 フロントフェンダーパネル
5 エンジンルーム
8 カウルシール
10 ウエザストリップ
11 押出成形部
12 型成形部
13 取付基部
14 シール部
20 カバーリップ
23 補強リブ
24 保持リブ
26 両面接着テープ
27 空間部
30 フェンダープロテクター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のエンジンルーム内のサイド側に設けられたフェンダープロテクターに取付けられて、ボンネットとフロントのフェンダーパネルとの間をシールするウエザストリップにおいて、
該ウエザストリップは、上記フェンダープロテクターの上面に取付けられる取付基部と、該取付基部と一体的に形成されボンネットに当接してシールするシール部を有し、
自動車のエンジンルーム内のリヤ側に設けられたカウルルーバに取付けられて、ボンネットとカウルルーバとの間をシールするカウルシールの先端に近接する部分の上記ウエザストリップの取付基部のエンジンルームの中心方向側の側端からカバーリップを延設し、該カバーリップは上記フェンダープロテクターの上記ボンネットと対向する表面を覆うことを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
上記カバーリップの上記フェンダープロテクターと対向する面は、上記フェンダープロテクターの表面との間に空間を有する請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
上記カバーリップは、上記フェンダープロテクターと対向する面に複数の補強リブが形成された請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
上記カバーリップは、上記取付基部と一体に型成形された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項5】
上記カバーリップの先端の上記フェンダープロテクターと対向する面に両面接着テープを設け、上記カバーリップの先端と上記フェンダープロテクターと接着する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項6】
上記カバーリップは、上記フェンダープロテクターと対向する面に保持リブが形成され、上記フェンダープロテクターに取付凹部を設け、上記保持リブを上取付記凹部に当接させた請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項7】
上記カバーリップの先端付近に、上記ボンネットの裏面の膨出部の先端が近接又は当接するように形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項8】
上記ウエザストリップは、全体がスポンジ材で形成された請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項1】
自動車のエンジンルーム内のサイド側に設けられたフェンダープロテクターに取付けられて、ボンネットとフロントのフェンダーパネルとの間をシールするウエザストリップにおいて、
該ウエザストリップは、上記フェンダープロテクターの上面に取付けられる取付基部と、該取付基部と一体的に形成されボンネットに当接してシールするシール部を有し、
自動車のエンジンルーム内のリヤ側に設けられたカウルルーバに取付けられて、ボンネットとカウルルーバとの間をシールするカウルシールの先端に近接する部分の上記ウエザストリップの取付基部のエンジンルームの中心方向側の側端からカバーリップを延設し、該カバーリップは上記フェンダープロテクターの上記ボンネットと対向する表面を覆うことを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
上記カバーリップの上記フェンダープロテクターと対向する面は、上記フェンダープロテクターの表面との間に空間を有する請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
上記カバーリップは、上記フェンダープロテクターと対向する面に複数の補強リブが形成された請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
上記カバーリップは、上記取付基部と一体に型成形された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項5】
上記カバーリップの先端の上記フェンダープロテクターと対向する面に両面接着テープを設け、上記カバーリップの先端と上記フェンダープロテクターと接着する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項6】
上記カバーリップは、上記フェンダープロテクターと対向する面に保持リブが形成され、上記フェンダープロテクターに取付凹部を設け、上記保持リブを上取付記凹部に当接させた請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項7】
上記カバーリップの先端付近に、上記ボンネットの裏面の膨出部の先端が近接又は当接するように形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【請求項8】
上記ウエザストリップは、全体がスポンジ材で形成された請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のウエザストリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−76503(P2012−76503A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221183(P2010−221183)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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