説明

ウエットティシュ用包装体

【課題】 縦置きタイプに適しウエットティシュの取り出しが容易な包装体を提供する。
【解決手段】 このウエットティシュ用包装体300は、複数のウエットティシュ250を収容し、ウエットティシュ片を取り出すための第一開口領域が形成された軟包装体200と、軟包装体200を収容し、第一開口領域に対応する位置近傍に、ウエットティシュ片251を取り出すための第二開口領域が形成されている外装容器100とからなり、更に、第二開口領域の左右両側部から、この開口領域内に向かう少なくとも一対の舌片状のフラップ161、162が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットティシュを収容する包装体に関し、更に詳しくは、複数のウエットティシュ片を収容するフィルム状の軟包装体と、この軟包装体を収容する剛性容器とからなる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットティシュのように、水分を含んだ内容物を収容する軟包装体においては、携帯に便利で、取り出し易く、かつ、残ったウエットティシュを再度使用する際の乾燥を防止するために再封止ができる軟包装体が検討されている。このような軟包装体として、例えば、下記の特許文献1には、袋本体に切れ目を形成して開口部を形成し、その上から、接着剤を介して剥離可能な蓋部材を設けた、化粧用繊維素材等の封入袋が記載されており、開口部を有し、かつ、その開口部の再封止ができるフィルム軟包装体が開示されている。
【0003】
一方、ウエットティシュを収容する剛性容器としては、1枚づつ切り離されたウエットティシュが折り重ねながら積層されている、いわゆる、ポップアップ式と称されるウエットティシュを連続的に取り出せるような容器が上市されている。
【0004】
この場合、特に、1枚づつ安定してウエットティシュを取り出すため、取り出し時の抵抗となる特殊な形態の取り出し口構造の検討が行われている。例えば、下記の特許文献2には、開口領域中央部に向け対向して伸びる対称な形態をしている抵抗突起が開示されている。また、下記の特許文献3には、相対向する形状の異なる2組のフラップが開口部内方に向けて延設されており、かつ、開口部の中心点に関して点対称に形成している取出し口構造が開示されている。また、下記の特許文献4には、取り出し口側へ延びる一対の第1フラップと、各々が第1フラップに対向する一対の第2フラップとが設けられている取り出し口が開示されている。
【特許文献1】実開昭59−99974号公報
【特許文献2】特開平8−104377号公報
【特許文献3】特開2003−40361号公報
【特許文献4】特開平11−180460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の容器においては、シート積層体を垂直に収容する、いわゆる縦置き構造であるので、横置き構成に比べて設置面積をとらないという利点を有している。しかし、シートを容器の天面に位置する開口部より垂直方向に引き上げて取り出しを行う為、通常においては、開口部と最初に取り出すシートの端との位置関係はズレており、使用者が開口部より指を入れて最初のシートを摘み出すのが困難である。そのため、上蓋を外し、ウエットティシュを開口部に導く必要がある。しかし、その際に使用者はシート全体を長く引き出し、手で多く触れた状態で開口部に導くため、雑菌などの汚染の可能性が高く非衛生的である、という問題があった。
【0006】
また、各シートは所定の重なりを有しており、最初のシートが抜かれたときに、重なりに引き摺られるようにして第二のシートの端が開口部より露出する構造になっている。しかし、特許文献2の容器においては、シートの重なり方向に対して垂直方向に引き出す構造である為、取り出し口に向かうに応じて両シートの重なりがなくなり、シートを引き抜いたときに、次のシートの端が開口部より安定的に露出しないという問題があった。
【0007】
また、特許文献3、4の容器においては、一枚づつ切れているシートを折り重ねてなる積層体を収納した包装体を用い、容器の天面に配置された比較的広い開口部からシートを取り出す構造であり、収納された各シートが水平に置かれた横型の形状を有している為、持ち運びし難く、設置面積を多く必要とするという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置面積が少なくて済み、持ち運び易い縦置きタイプに適する包装体であって、しかも、ウエットティシュ片の取り出しが容易で一枚づつ安定的に取り出せる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
より具体的には、本発明は、以下の構成からなるウエットティシュ用包装体を提供する。
【0010】
(1) ウエットティシュ片の一部を、他のウエットティシュ片の一部と重ねて折り畳んでなる、複数のウエットティシュ片を収容し、前記ウエットティシュ片を取り出すための第一開口領域が形成された軟包装体と、前記軟包装体を収容し、前記収容した状態で前記軟包装体の前記第一開口領域に対応する位置近傍に、前記ウエットティシュ片を取り出すための第二開口領域が形成されており、更に、前記第二開口領域を覆い、開閉可能な蓋体が設けられている剛性の外装容器と、からなり、前記第二開口領域は、前記外装容器の側面上部に形成されているか、又は当該側面上部から上面にかけて連続して形成されており、更に、前記第二開口領域の縁側から当該第二開口領域内に向かい、前記ウエットティシュ片に抵抗を与えるためのフラップが形成されているウエットティシュ用包装体。
【0011】
本発明のウエットティシュ用包装体によれば、フラップが、引き出されたウエットティシュと摩擦を生じるため、一枚づつ切り離しやすくなる。このため、ウエットティシュの引き出し方向、あるいは、ウエットティシュの残数に関わらず、常に安定して取り出すことができる。
【0012】
更に、収容状態における軟包装体の第一開口領域と、外装容器の第二開口領域とが一致しているので、簡単にウエットティシュ片を取り出すことができる。そして、外装容器の第二開口領域を、外装容器の側面上部に形成されているか、又は当該側面上部から上面にかけて連続して形成されているものとしたので、外装容器の上面(天面)ではなく、側面上部からの取り出しを可能としたことで、縦置きであっても容器正面からの取り出しが可能となり、特に優れた取り出し性を得ることができる。なお、外装容器の第二開口領域を、外装容器の側面上部から上面にかけて連続して形成した場合には、より指が挿入し易くなるので、更に、取り出し性を向上できる。
【0013】
なお、本発明における「側面上部」とは、側面における外装容器の高さの1/2の位置より上方に少なくとも第二開口領域が形成されていることを意味する。また、「軟包装体」とは、フィルム状の軟包装材料からなる包装体を意味し、「剛性の外装容器」とは、例えばプラスチック成型品のように、通常の外圧レベルでは変形しない容器を意味する。また、「開口領域の左右両側部」とは、開口領域のうち、外装容器の長手方向に沿った側を意味する。
【0014】
(2) 前記軟包装体は、前記複数のウエットティシュ片が垂直になるように収容されている(1)記載のウエットティシュ用包装体。
【0015】
この態様によれば、軟包装体を縦置きした状態でそのまま外装容器に収容できるので、設置面積が少なくて済み、持ち運びし易い縦置きタイプのウエットティシュ用包装体を提供できる。
【0016】
(3) 前記フラップは、前記第二開口領域の左右両側部から、当該第二開口領域内に向かう、少なくとも一対の舌片状の形状である(1)又は(2)記載のウエットティシュ用包装体。
【0017】
この態様によれば、第二開口領域の左右両側部から、舌片状のフラップが形成されているため、引き出されたウエットティシュとの間で生じる摩擦が増加し、一枚づつ切り離しやすくなる。
【0018】
(4) 前記一対のフラップ同士は、互いに重ならないように配置され、前記フラップ同士は少なくとも1mm以上の間隔を有するように配置されている(3)記載のウエットティシュ用包装体。
【0019】
この態様によれば、フラップ同士の間隔が1mm以上で配置されているので、フラップ間にウエットティシュが詰まるなどの不具合が生じず、ウエットティシュの取り出し性が良好になる。
【0020】
(5)前記一対のフラップ同士は、互いに重ならないように、かつ、スリット部を有するように配置され、前記スリット部の長さは3mm以上である(3)又は(4)記載のウエットティシュ用包装体。
【0021】
この態様によれば、長さが3mm以上であるスリット部を有するため、フラップとウエットティシュとで、充分な摩擦抵抗が得られ、ウエットティシュの取り出し性が良好になる。
【0022】
(6) 前記一対のフラップは、共に前記第二開口領域の上端部又は下端部に向かって形成されている(3)から(5)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0023】
この態様によれば、ウエットティシュはフラップの傾斜方向に沿って上端部又は下端部へと誘い込まれる。したがって、ウエットティシュとフラップの擦れ合う距離が長くなり、摩擦抵抗も増加するので、ウエットティシュ同士をうまく切り離すことができる。特に、外装容器を縦置きにした場合には、この一対のプラップを容器底面に向かう逆ハの字状に形成することにより、ウエットティシュを第二開口領域の下端部へ誘導でき、ウエットティシュ同士の切り離しをよりスムースに行うことができる。なお、「開口領域の上端部又は下端部」とは、開口領域のうち、外装容器の短手方向に沿った側を意味する。また、「第二開口領域の上端部又は下端部に向かって形成されている」とは、いわゆるハの字状又は逆ハの字状にフラップが伸びていることを意味する。
【0024】
(7) 前記一対のフラップは、一方のフラップと他方のフラップとで異なる弾性を有している(3)から(6)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0025】
この態様によれば、弾性の強いフラップはウエットティシュをフラップへガイドする誘導体、弾性の弱いフラップは、ウエットティシュをフラップから外れにくくする保持体の機能を有する。したがって、積層されたウエットティシュ同士を切り離すのに有利であり、更に、次に引き出されるウエットティシュも同じようにフラップに絡み、適度な長さで保持される。ウエットティシュは、第二開口領域の位置と、ウエットティシュの重なりとの距離の関係により、第二開口領域の底部に引っ張られる。そのため、フラップは上側のフラップを弾性が強く、下側のフラップを弾性が弱く形成されていることが好ましい。
【0026】
(8) 前記一対のフラップは、一方のフラップの長さが、他方のフラップより長くなるように形成されている(7)記載のウエットティシュ用包装体。
【0027】
この態様によれば、一方のフラップと他方のフラップで長さが異なるため、弾性の異なるフラップが形成される。したがって、弾性の強いフラップはウエットティシュをフラップ間へガイドする誘導体、弾性の弱いフラップはウエットティシュをフラップに絡めて外れにくくする為の保持体としての機能を有する。更に、連続的にウエットティシュを取り出す際には、続くウエットティシュも同じようにフラップに絡み、適度な長さで保持される。
【0028】
(9) 前記一対のフラップの少なくとも一方は、前記ウエットティシュ片の一辺であり前記折り畳まれた状態で最前列に位置するティシュ取出線にかかるように形成されている(3)から(8)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0029】
この態様によれば、ティシュ取出線からウエットティシュを取り出すと、ウエットティシュがフラップ間を通る時、フラップに当たって波状に屈曲しながら通過する。そのため、フラップとウエットティシュの擦れ合う距離が長くなる。したがって、摩擦抵抗も増加し、積層されたウエットティシュ同士を切り離すのに有利である。更に、ウエットティシュはフラップ間に保持されやすくなるため、次に引き出されるウエットティシュも同じようにフラップに絡み、適度な長さで保持される。
【0030】
(10) 前記一対のフラップの一方は、前記ティシュ取出線にかかるように形成され、他方は前記ティシュ取出線にかからないように形成されている(9)記載のウエットティシュ用包装体。
【0031】
この態様によれば、ウエットティシュは、ティシュ取出線にかからないように形成されている他方のフラップを乗り越えやすくなり、ウエットティシュをフラップへガイドする誘導体の機能を有する。また、ティシュ取出線にかかるように形成されている一方のフラップは、ウエットティシュをフラップから外れにくくする保持体の機能を有する。したがって、積層されたウエットティシュ同士を切り離すのに有利であり、更に、次に引き出されるウエットティシュも同じようにフラップに絡み、適度な長さで保持される。ウエットティシュは、第二開口領域の位置と、ウエットティシュの重なりとの距離の関係により、第二開口領域の底部に引っ張られる。したがって、フラップは上側のフラップがティシュ取出線にかからないように、下側のフラップがティシュ取出線にかかるように形成されていることが好ましい。
【0032】
(11) 前記フラップは、渦巻状の形状である(1)又は(2)記載のウエットティシュ用包装体。
【0033】
この態様によれば、フラップが渦巻状の形状であるため、渦巻の中心からウエットティシュを取り出すことにより、引き出されたウエットティシュの周囲に摩擦が生じるため、一枚づつ切り離しやすくなる。
【0034】
なお、本発明における「渦巻状」とは、第二開口領域内の任意の点を中心に周囲を囲んでいる形状を意味する。
【0035】
(12) 前記フラップは、前記第二開口領域における前記外装容器の側面側の下部に設けられている(1)から(11)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0036】
この態様によれば、ウエットティシュを引き抜くと、フラップとの間で摩擦が生じ、更に、第二開口領域の下端部付近と擦れ合いながら引き出されるため、一枚づつ切り離しやすくなる。
【0037】
(13) 前記フラップは、前記第二開口領域における前記外装容器の側面側の上部に設けられている(1)から(11)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0038】
この態様によれば、ウエットティシュを極端に上側に向かって引き抜くと、第二開口領域の下端部付近との摩擦抵抗が減少するが、上部にフラップが形成されているため、フラップとの間で摩擦が生じ、ウエットティシュを切り離しやすくなる。
【0039】
(14) 前記フラップは、前記第二開口領域における前記外装容器の側面側の下部及び上部の2ヶ所に設けられている(1)から(11)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0040】
この態様によれば、下部及び上部にフラップが設けられているため、どの方向にウエットティシュを引き抜いても、摩擦が生じ、ウエットティシュを切り離しやすくなる。
【0041】
(15) 前記フラップは、第二開口領域における前記外装容器の側面側及び上面側の2ヶ所に設けられている(1)から(11)いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【0042】
この態様によれば、第二開口領域の上面側にフラップが設けられているため、上面からウエットティシュを引き抜いても摩擦が生じ、ウエットティシュを切り離しやすくなる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、設置面積が少なくて済み、持ち運びし易い縦置きタイプに適し、しかも、ウエットティシュ片の取り出しが容易で、ウエットティシュ片の抜き取り方向や残り枚数に関わらず、安定して一枚づつ取り出せるウエットティシュ用包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、同一の構成要件については同一符号を付し、その説明は省略もしくは簡略化する。
【0045】
<ウエットティシュ用包装体の全体構成>
図1から図8は、本発明のウエットティシュ用包装体の実施形態の一例を示す図であり、図1はウエットティシュ用包装体全体の概略を示す斜視図、図2は図1における外装容器の斜視図、図3は図1における軟包装体の斜視図、図4は図3の軟包装体内に収容されているウエットティシュ片の積層状態を示す斜視図、図5は軟包装体を外装容器内に収容する状態を示す概略図、図6は外装容器に収容する前の軟包装体の斜視図、図7は図1におけるX−X’断面図、図8Aは図2における第二開口領域付近の拡大正面図である。
【0046】
図1に示すように、このウエットティシュ用包装体300は、剛性の外装容器100と、この外装容器100内に収容される、複数のウエットティシュ片を収容した軟包装体200とで主に構成されている。そして、図5に示すように、軟包装体200は、複数のウエットティシュ片が直立した状態、すなわち、いわゆる縦置きの状態で外装容器100の底部から挿入配置された後、底蓋120によって密封されている。
【0047】
<外装容器の構成>
図2に示すように、外装容器100は、軟包装体200を収容する本体部110と、本体部110の底部に気密性を有するように勘合可能な底蓋120とから主に構成され、本体部110は、正面111、左側面112、右側面113、背面114、上面115とで構成される、中空の略直方体形状をなしている。なお、本発明においては、外装容器100の大きさは特に限定されない。また、形状は直方体に限定されず、円柱状や多角柱状であってもよい。
【0048】
本体部110の正面111の上部から上面115にかけては、ウエットティシュ片を取り出すための第二開口領域130が形成されている。更に、図7に示すように、第二開口領域130内には、取り出そうとするウエットティシュ片に抵抗を与え、一枚づつ安定的に取り出せるように、第二開口領域内130の左右両側部130aから第二開口領域内130に向かって、一対のフラップ161、162が形成されており、結果として、ウエットティシュの取り出し口となる第三開口領域170が形成されている。
【0049】
更に、この第二開口領域130には、第二開口領域130を気密状態で覆うことができるように、開閉可能な蓋体140が設けられており、この蓋体140は、ヒンジ部141を支点にして上下方向に可動可能となっている。
【0050】
第二開口領域130の下端部131の下方には、蓋体140の先端の係合部142と下端部131とが係合して、蓋体140を開閉できるように、ボタン150が設けられている。また、ヒンジ部141には図示しないバネ部材が配置されて蓋体140が上方向に付勢されており、ボタン150の係合が外れると、蓋体140が上方向に可動して第二開口領域130を露出するようになっている。
【0051】
外装容器100は、好ましくはプラスチック成型品であり、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)を用いたインジェクション成型等によって得ることができる。使用樹脂は特に限定されず、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)の他、ポリスチレン樹脂(PS)、ABS樹脂、エラストマー、ポリエステル樹脂(PET)、ナイロン樹脂(PA)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリカーボネート(PC)などの樹脂が好ましく用いられる。また、その成型方法も特に限定されない。
【0052】
第二開口領域130は、外装容器100の高さの1/2の位置より上方に形成されている必要がある。第二開口領域130が外装容器100の高さの1/2の位置より下方に形成されると、ウエットティシュ片を取り出す際に、第二開口領域とウエットティシュ片との擦り合せが少なくなるので、ウエットティシュ片に与える抵抗が少なくなり、ウエットティシュ片間の切り離しが不安定になり、複数枚のウエットティシュ片が一度に飛び出てしまう。また、第三開口領域170の形状は、図2のような楕円形状には限定されず、例えば円や四角であってもよい。
【0053】
また、第二開口領域130は、少なくとも1側面上部に形成されていればよく、この実施形態のように、正面111から上面115にかけて連続されて形成されていてもよく、正面111の上部のみに形成されていてもよい。また、例えば正面111から、右側面113又は左側面112にかけて連続して形成されていてもよい。このように2つ以上の面に跨るように形成することで、指を入れる開口部分を多面的に広く形成できるので、ウエットティシュ片の摘み出しが容易になり、更に、取り出し性を向上できる。
【0054】
<フラップの構造>
図8Aに示すように、フラップ161、162は第二開口領域130の左右両側面130aから容器の底面に向かって形成されている。各フラップ161、162間の最短距離は1mm以上であることが好ましい。この距離が1mm未満であると、フラップ間にウエットティシュが詰まるなどの不具合が生じ、ウエットティシュの取り出しが困難になる。また、フラップ161、162は第二開口領域130の左右両側面130aから一体となって延設されていてもよく、別部材として第二開口領域130内に取り付けられていてもよい。
【0055】
また、一対のフラップ161、162の少なくとも一方は、ティシュ取出線253にかかるように形成されていることが好ましい。図8Aにおいては、一方のフラップ161の先端はティシュ取出線253上に達しないように形成されており、他方のフラップ162はティシュ取出線253を越えるように形成されている。
【0056】
また、フラップ161、162は第二開口領域130の下方にのみ形成されており、上方(天面)には形成されていない。従って、側面上部から上面にまで連続して第三開口領域を形成しなくても、本発明の効果が得られる。この場合、第三開口領域の面積を狭くして気密性を高めることができる。
【0057】
この実施形態では、左右のフラップの長さと幅に差異を設けることによって図面左側のフラップ161の弾性が強く、右側のフラップ162の弾性が弱い構造になっている。このように、一対のフラップ161、162は、左右のフラップで、その形状、厚み、素材等で異なる弾性を有していることが好ましい。このような形状を取ることにより、弾性の強い(硬い)フラップはウエットティシュをフラップ間へガイドする誘導体、弾性の弱い(柔らかい)フラップはウエットティシュをフラップに絡めて外れにくくする為の保持体としての機能を有するようになる。このようにウエットティシュが保持されることで、積層されたウエットティシュ同士の切り離しが有利になる。更に、連続的にウエットティシュを取り出す際には続くウエットティシュも同じようにフラップ間に絡むので次のウエットティシュのフラップ間に保持される長さを適当に保持することができる。
【0058】
<フラップの他の例>
フラップの他の形状の例としては、図8Bから図20のような形状が例示できる。
【0059】
図8Bの外装容器100rにおいては、第二開口領域の左右両側部からフラップ161、162が、下側からフラップ163が形成されている。フラップ間の摩擦抵抗が増加すると、ウエットティシュは摩擦抵抗の低い所を通過しようとする。特に、図8Aにおいて、ウエットティシュを水平に引き出すと、ウエットティシュには下側に向かう力が働くため、フラップ161、162から外れ、第三開口領域170内のフラップ162の下側からのみウエットティシュが取り出される。したがって、フラップの摩擦抵抗を増加させるのみでは充分な効果が得られない。そのため、フラップ163を設け、摩擦抵抗を増加することにより、ウエットティシュがフラップの下側に外れることを防止することができる。
【0060】
図8Cの外装容器100sにおいては、左右のフラップ161s、162sとで、スリット部190を有するように形成されている。このスリット部190が形成されているスリット長さWはフラップ161sの先端部とフラップ162sの側辺とが略平行となっている長さである。スリット長さWは、3mm以上20mm以下であることが好ましい。3mm未満であると、フラップ161s、162sとで充分な摩擦抵抗が得られず、ウエットティシュの取り出し性が困難になる。また、20mmを超えると、フラップが大きくなるため、第三開口領域が狭くなり、使用開始時にウエットティシュを取り出すのが困難になる。
【0061】
図9の外装容器100aにおいては、左右のフラップ161a、162aの両方がティシュ取出線253にかからないように形成されている。このように、左右のフラップがティシュ取出線253にかからないように形成されていてもよい。
【0062】
図10の外装容器100bにおいては、左右のフラップ161b、162bが、容器底面に対して水平方向に形成されており、更に、ティシュ取出線253にかからないように形成されている。
【0063】
図11の外装容器100cにおいては、図8における左右のフラップの位置関係が逆であり、上方のフラップ161cがティシュ取出線253にかかり、下方のフラップ162cがティシュ取出線253にかからないように形成されている。
【0064】
図12の外装容器100dにおいては、左右のフラップ161d、162dが容器底面に対して水平方向に形成されており、一方のフラップ162dのみがティシュ取出線253にかかるように形成されている。
【0065】
図13の外装容器100eにおいては、左右のフラップ161e、162eが容器の上面方向に傾斜して形成されている。
【0066】
図14の外装容器100fにおいては、2組のフラップ161f、162fが容器底面方向に傾斜して形成されており、一方のフラップ162fのみがティシュ取出線253にかかるように形成されている。
【0067】
図15の外装容器100gにおいては、2組の緩やかな波状のフラップ161g、162gが形成されている。
【0068】
図16の外装容器100hにおいては、4組のフラップ161h、162hが、容器底面に対して水平方向に設けられ、略スリット状に形成されている。
【0069】
図17の外装容器100iにおいては、1組のフラップ161i、162iが、容器底面に対して水平方向に形成されており、フラップの端部がL字状に形成されている。
【0070】
図18の外装容器100jにおいては、図8におけるフラップが第2開口領域の側面上方に設けられており、1組のフラップ161j、162jが容器の上面方向に傾斜して形成されている。
【0071】
図19の外装容器100kにおいては、2組のフラップ161k、162k、163k、164kが、第二開口領域の側面下部と上部に設けられている。下部に設けられているフラップ161k、162kは、容器の底面方向に傾斜して形成されており、上部に設けられているフラップ163k、164kは、容器の上面方向に傾斜して形成されている。
【0072】
図20の外装容器100pにおいては、第二開口領域の右側部からフラップ161pが形成されており、第二開口領域内にて、渦巻き状に形成されている。そして、ティシュ取出部180pはフラップ161pの上部の開口領域から連続して形成されている。したがって、ウエットティシュの初期セット、又は、使用中にウエットティシュが容器内に落ちてしまった場合でも、容易にフラップ161pにセットすることができる。
【0073】
<軟包装体の構成>
図3に示すように、この軟包装体200は、軟包装材料からなる積層フィルム210で構成されたピロー軟包装体である。図3における231、232は、それぞれ上下の横シール部であり、図3の背面側の中央部には図示しない縦シール(背シール)部がある。そして、ウエットティシュ250の平面上の略中央部に相当する箇所から、横シール部232にかけて、第一開口領域215が形成されており、これによってウエットティシュ片の一部が露出した状態になっている。
【0074】
軟包装体200内には、重ねて折り畳まれた、複数のウエットティシュ250が収容されており、図4には、それぞれのウエットティシュ片251、252の積層構造の一例が示されている。図4では、ウエットティシュ片251の一部が、他のウエットティシュ片252の一部と重なるようにZ形状に折られており、以降、順次上下のウエットティシュ片が重なりあうように積層されている。なお、積層構造は特に限定されず、C形状でもW形状でもよく、それらの組合せ折りでもよい。すなわち、いわゆるポップアップと呼ばれる、シートが連続して取り出せる機能を得る為に、各ウエットティシュ片が重なりを有するように積層されていればよい。
【0075】
ウエットティシュ250に用いられるシート素材は、吸水性を有する繊維よりなる不織布や紙が好ましく用いられる。また、ウエットティシュ250には、アルコール、殺菌剤、洗浄剤、保湿剤などを適宜配合したものを含浸することができる。
【0076】
図3のように、軟包装体200に第一開口領域215を形成する方法は特に限定されないが、例えば、図6に示すような軟包装体200aを用いることができる。図6に示すように、軟包装体200aの積層フィルム210の上面側には、コの字状に切込み線211が形成されている。コの字の内側に領域は、後に蓋材220の剥離によって切り起こされる部分になる。そして、この領域を覆うように、舌片部212を有する蓋材220が粘着されており、蓋材220の下面側の舌片部212を除く部分には、図示しない粘着剤層が設けられている。そして、この粘着剤層を介して、積層フィルム210と蓋材220とが剥離可能に粘着されている。
【0077】
積層フィルム210の上面における切込み線211のコの字の両終点の延長上には、そこから横シール部232にかけて続く、2本の平行な引き裂き誘導手段260が設けられている。この実施形態においては、引き裂き誘導手段260は仮想線として記載されており、実際には、積層フィルム210を構成する延伸フィルムの延伸方向が、仮想線の方向に一致しており、この延伸フィルムの配向が引き裂き誘導手段260となっている。
【0078】
切込み線211は、第一開口領域215を生じるように設けられていればよく、切込み線211の形状や長さは特に限定されない。また、取出口となる第一開口領域215の大きさは、軟包装体200aの大きさや、取り出すウエットティシュの大きさや形状に応じて適宜選択可能である。また、この実施形態においては、切込み線211は、フィルム210を貫通するように形成される連続線であるが、切込み線211は必ずしも連続線でなくてもよく、ミシン目状に形成されていてもよい。
【0079】
この実施形態においては、引き裂き誘導手段260は仮想線として記載されており、実際には、積層フィルム210を構成する延伸フィルムの延伸方向が、仮想線の方向に一致しており、この延伸フィルムの配向が引き裂き誘導手段260となっている。具体的には、例えば、積層フィルム210の基材層を延伸フィルムとすればよく、好ましくは配向性の高い一軸又は二軸延伸フィルムが好ましく、なかでも、いわゆる易引き裂き性(直線カット性)の一軸延伸フィルムがより好ましい。これらの延伸フィルムは従来公知の市販品を使用できる。引き裂き誘導手段260は、上記の延伸配向に限定されず、例えば切れ目線を積層フィルム210上に形成してもよい。この場合、切れ目線は積層フィルム210を貫通するように形成されていてもよく、いわゆるハーフカットの状態であってもよいが、軟包装体全体の密封性を維持するためには、ハーフカットの状態であることが好ましい。なお、ハーフカットは、例えばレーザー光の照射や、機械的な抜き刃加工などの公知の方法によって、例えば基材層のみに形成することができる。
【0080】
蓋材220としては、柔軟性を有する可撓性のフィルム状やシート状のもので形成され、
粘着層を形成する感圧型接着剤は、例えばアクリル系の糊剤、可塑剤を含んだポリ塩化ビニル組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体に塩化ビニルモノマーがクラフト重合されたクラフト共重合体などのクラフトマーを主体としたものが例示できるが、特定のものに限定されない。
【0081】
ここで、図3の軟包装体200は、図6の軟包装体200aにおいて、蓋材220の舌片部212側から蓋材220を剥離することにより得られる。まず、蓋材220を剥離すると、蓋材220の裏面側の粘着剤層によって粘着され、積層フィルム210の切込み線211内が切り離されて持ち上げられる。これによって、積層フィルム210の上面に開口部が形成され、内容物が視認できる状態となる。次に、更に蓋材220の剥離を続けると、コの字状の切込み線211の両終端部に続いて形成される2本の平行な仮想線260に沿って積層フィルム210が引き裂かれ、図3に示すように、切込み線211から横シール部232にかけて、より大きな第一開口領域215を形成することができる。
【0082】
<ウエットティシュ用包装体の作用>
次に、図7を用いて、第一開口領域と第二開口領域との位置関係について説明する。図7は図1における側断面図であり、ウエットティシュを引き出した状態を示している。
【0083】
図7に示すように、本発明においては、外装容器100からウエットティシュを取り出す第二開口領域Aを、外装容器100の側面上方に設けたこと、第二開口領域130の下部側面からフラップ161、162が延設されていることを特徴としている。また、第二開口領域Aの下端部131より下方に、軟包装体200の第一開口領域Bの下端部が位置している。
【0084】
ここで、外装容器100の正面111側の最前部のウエットティシュ片251を引き出すと、重なり合った部分を介して次のウエットティシュ片252が引き出されるが、ウエットティシュの場合はウエットティシュ間に存在する水分(薬液)の表面張力により、ウエットティシュ間の重なり部分が強固に貼り付いている為、適当な抵抗を設けてウエットティシュを切り離さないと、何枚ものウエットティシュが一度に連続して出てきてしまう。
【0085】
このウエットティシュ用包装体300においては、第二開口領域Aを、外装容器100の側面上方に設けている。そのため、ウエットティシュ片251を引き出そうとする際には、容器内に収納されているウエットティシュ片の重なり部分が第三開口領域の下端部171より下方に多く存在しているのでウエットティシュ片251は下方向に引っ張られる。この場合、図7に示すように、ウエットティシュ片251は、必ず外装容器100の第三開口領域の下端部171との間で擦れ合い摩擦が生じるようになっているので、この摩擦によって、ウエットティシュ251と、次のウエットティシュ252とを切り離すことができる。
【0086】
このような作用は、外装容器100からウエットティシュを取り出す第二開口領域Aを、外装容器100の側面上方に設けたことに加え、第三開口領域の下端部171より下方に、軟包装体200の第一開口領域Bの下端部215aが位置していることにより、確実なものになる。
【0087】
すなわち、軟包装体200の下端部215aが、第三開口領域の下端部171より上方に位置すると、ウエットティシュ片251を取り出す時の擦り合せが、第三開口領域の下端部171ではなく、軟包装体200の下端部215aによってなされてしまう。下端部215aは軟包装フィルムに形成された端面であるので非常に薄く、剛度(硬さ)も低い。このため、ウエットティシュ片251との摩擦抵抗が不充分であるため、ウエットティシュ片の切り離し効果が不充分となる。
【0088】
一方、軟包装体200の下端部215aが下方に位置し過ぎると、軟包装体200の開口領域が大きくなり過ぎて気密性を損ねる恐れがあり、また、ウエットティシュの露出部が多過ぎて雑菌などの二次汚染の可能性などが高まるので好ましくない。このため、軟包装体200の下端部215aの位置は、外装容器100の下端部131と同位置か、それより5から15mm下方に位置するように配置することが好ましい。
【0089】
<フラップの作用>
前述したように、ウエットティシュ片は容器の底面方向に引っ張られるため、ウエットティシュ片がフラップに誘い込まれる。図8に示すように、特に、フラップが第二開口領域の下端部に向かって形成されている場合、ウエットティシュ片とフラップの擦れ合う距離が長くなるため、摩擦抵抗が増加し、ウエットティシュ片同士を適当に切り離すことができる。
【0090】
また、フラップのいずれか一方が、ティシュ取出線253にかかるように形成されている場合、フラップ161とフラップ162の間を通過する際、波状に屈曲しながら通過する。従って、ウエットティシュ片とフラップの擦れ合う距離が長くなるため、摩擦抵抗が増加し、ウエットティシュ片同士を適当に切り離すことができる。更に、摩擦抵抗が増加するに伴い、ウエットティシュ片はフラップ間に保持されやすくなるため、次に引き出されるウエットティシュ片も同じように絡み、適度に保持される。
【0091】
特に、図8のように、上方のフラップ161のみがティシュ取出線253にかからないように形成されている場合、ウエットティシュ片は、まずフラップ161を越え、フラップ間へ誘導されやすくなる。一方、その下側に位置するフラップ162はティシュ取出線253にかかるように形成されているため、フラップ161とは逆に、ウエットティシュ片をフラップから外れにくくする保持体としての機能を有する。従って、ウエットティシュ片同士の切り離しが容易になり、次に引き出されるウエットティシュ片も同じように絡み、適度に保持されている。
【0092】
このフラップは、特に、ウエットティシュ片を容器底面に対して上方向に引いた場合、ウエットティシュの残数が少ない場合等に効果的である。上方向に引いた場合はウエットティシュ片と第三開口領域下端部171との擦り合わせ強度が低下する。また、ウエットティシュの残数が少ない場合は、第三開口領域171とウエットティシュの角度が鈍角になるため、擦り合わせ強度が低下する。この様な場合、第二開口領域下端部の摩擦抵抗力が減少し、安定して1枚づつ取り出すことができないからである。
【0093】
また、ウエットティシュを極端に容器の上面方向に引き出すことにより、第三開口領域下端部171との摩擦が減少する。しかし、図18、図19に示すよう第二開口領域の上方にフラップを形成することにより、ウエットティシュと上方のフラップとにより摩擦が生じ、切り離しやすくなる。また、上端側及び下端側の両方にフラップを形成することにより、どの方向にウエットティシュを引き出しても、フラップとの摩擦が生じるため、ウエットティシュを1枚づつ切り離しやすくなる。
【0094】
また、フラップ間の摩擦抵抗が増加するとウエットティシュは摩擦抵抗の低い所を通過しようとする。特に、ウエットティシュを水平に引き出すと、ウエットティシュには下側に向かう力が働くため、フラップ161、162から外れ、第三開口領域170内のフラップ162の下側からウエットティシュが取り出される。このような場合、図8Bのように、第二開口領域130の下側にフラップ163を形成することにより、フラップ162、163の間で摩擦抵抗が生じるため、ウエットティシュがフラップの下側に外れることを防止することができる。
【0095】
図20においては、第三開口領域170のフラップ161pの上側からウエットティシュを取り出し、フラップ161pに沿ってティシュ取出部180pに導かれ、ウエットティシュは取り出される。したがって、ウエットティシュは周囲のフラップとの間で摩擦抵抗が生じるため、ウエットティシュ片同士を適当に切り離すことができる。また、ウエットティシュは、一度、ティシュ取出部180pに入り込むと、ティシュ取出部180pからのみ取り出されるため、ウエットティシュを引き出すときに、上方に引き出しても確実に抵抗を与えることができる。
【0096】
フラップ161p自体は弾性により、可動するため、ウエットティシュを取り出すと、ウエットティシュの抵抗に伴って、正面側への力が加わり、フラップ161p自体がたわむ。フラップ161pはその力を解放しようとして、容器の内側にウエットティシュを引き戻そうと働く。そのため、ティシュ取出部180pより、確実にウエットティシュに摩擦抵抗を与えることができる。
【0097】
図17においては、第三開口領域170のフラップ161iの上側からウエットティシュを取り出し、フラップ161iに沿って、フラップ161i、162i間にあるティシュ取出部180iに導かれる。ウエットティシュは、周囲のフラップ161i、162iとの間で摩擦抵抗が生じるため、ウエットティシュ片同士を適当に切り離すことができる。
【0098】
フラップ161i、162iは、特に、ウエットティシュとフラップ161i、162iとで生じる摩擦抵抗が、過剰になった場合に特に効果的である。図17のように、フラップ161i、162iとでティシュ取出部180iを形成すれば、過剰な抵抗が生じた場合、フラップ161i、162iのたわみに伴い、ティシュ取出部180iは変形する。つまり、フラップ161i、162iが正面側にたわむに従い、取出部180iの小穴形状が崩れ、ウエットティシュを開放することができる。なお、取出部180iの小穴形状を崩すに至るまでのフラップ161i、162iの弾性については、フラップの太さ、長さ、及び厚薄によって、任意に設定することができる。
【0099】
<他の実施形態>
図21には本発明のウエットティシュ用包装体の他の実施形態が示されている。この実施形態におけるウエットティシュ用包装体300mは、第二開口領域の上面部にもフラップを形成している点が上記実施形態と異なっている。
【0100】
このように、本発明においては、フラップは第二開口領域の側面部のみでなく、上面部に形成されていてもよい。この場合、ウエットティシュを上面部から取り出した場合においても、側面部から取り出した場合と同様の効果が得られる。
【0101】
図22には本発明のウエットティシュ用包装体の他の実施形態が示されている。この実施形態におけるウエットティシュ用包装体300nは、外装容器100’が横置きタイプであり、その側面から上面にかけて第二開口領域130を形成した点が上記の実施形態と異なっている。
【0102】
このように、本発明においては、ウエットティシュ用包装体の配置は縦置きには限定されず、横置きとしてもよい。この場合、設置面積は縦置きに比べて増加するものの、本発明の特徴である、ウエットティシュの取出し性に関しては、縦の場合と同様の作用、効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明のウエットティシュ用包装体は、内容物であるウエットティシュが取り出しやすく、特に縦置きタイプの容器として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明のウエットティシュ用包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1における外装容器の斜視図である。
【図3】図1における軟包装体の斜視図である。
【図4】軟包装体に収容されているウエットティシュの積層状態を示す斜視図である。
【図5】軟包装体を外装容器に収容する状態を示す概略図である。
【図6】外装容器に収容する前の軟包装体の斜視図である。
【図7】図1のX−X’’断面図である。
【図8A】図2の第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図8B】フラップ形状の他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図8C】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図9】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図10】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図11】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図12】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図13】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図14】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図15】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図16】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図17】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図18】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図19】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図20】フラップ形状の更に他の例を示す第二開口領域付近の拡大正面図である。
【図21】本発明のウエットティシュ用包装体の他の実施形態を示す斜視図である。
【図22】本発明のウエットティシュ用包装体の更に他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0105】
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h、100i、100j、100k、100m、100n、100p、100r、100s 外装容器
110 本体部
111 正面
112 左側面
113 右側面
114 背面
115 上面
120、120m、120n 底蓋
130 第二開口領域
131 下端部
140、140m、140n 蓋体
141 ヒンジ部
142 係合部
150、150m、150n ボタン
161、161a、161b、161c、161d、161e、161f、161g、161h、161i、161j、161k、161m、161n、161p、161s、162、162a、162b、162c、162d、162e、162f、162g、162h、162j、162k、162m、162n、162s、163、163k、163m、163s、164k、164m フラップ
170 第三開口領域
171 下端部
180i、180p ティシュ取出部
190 スリット部
200、200a 軟包装体
210 積層フィルム
211 切込み線
212 舌片部
215 第一開口領域
215a 下端部
220 蓋材
231、232 横シール部
250 ウエットティシュ
251、252 ウエットティシュ片
253 ティシュ取出線
260 引き裂き誘導手段
300、300m、300n ウエットティシュ用包装体
A 第二開口領域
B 第一開口領域
W スリット長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエットティシュ片の一部を、他のウエットティシュ片の一部と重ねて折り畳んでなる、複数のウエットティシュ片を収容し、前記ウエットティシュ片を取り出すための第一開口領域が形成された軟包装体と、
前記軟包装体を収容し、前記収容した状態で前記軟包装体の前記第一開口領域に対応する位置近傍に、前記ウエットティシュ片を取り出すための第二開口領域が形成されており、更に、前記第二開口領域を覆い、開閉可能な蓋体が設けられている剛性の外装容器と、からなり、
前記第二開口領域は、前記外装容器の側面上部に形成されているか、又は当該側面上部から上面にかけて連続して形成されており、
更に、前記第二開口領域の縁側から当該第二開口領域内に向かい、前記ウエットティシュ片に抵抗を与えるためのフラップが形成されているウエットティシュ用包装体。
【請求項2】
前記軟包装体は、前記複数のウエットティシュ片が垂直になるように収容されている請求項1記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項3】
前記フラップは、前記第二開口領域の左右両側部から、当該第二開口領域内に向かう、少なくとも一対の舌片状の形状である請求項1又は2記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項4】
前記一対のフラップ同士は、互いに重ならないように配置され、前記フラップ同士は少なくとも1mm以上の間隔を有するように配置されている請求項3記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項5】
前記一対のフラップ同士は、互いに重ならないように、かつ、スリット部を有するように配置され、前記スリット部の長さは3mm以上である請求項3又は4記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項6】
前記一対のフラップは、共に前記第二開口領域の上端部又は下端部に向かって形成されている請求項3から5いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項7】
前記一対のフラップは、一方のフラップと他方のフラップとで異なる弾性を有している請求項3から6いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項8】
前記一対のフラップは、一方のフラップの長さが、他方のフラップより長くなるように形成されている請求項7記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項9】
前記一対のフラップの少なくとも一方は、前記ウエットティシュ片の一辺であり前記折り畳まれた状態で最前列に位置するティシュ取出線にかかるように形成されている請求項3から8いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項10】
前記一対のフラップの一方は、前記ティシュ取出線にかかるように形成され、他方は前記ティシュ取出線にかからないように形成されている請求項9記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項11】
前記フラップは、渦巻状の形状である請求項1又は2記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項12】
前記フラップは、前記第二開口領域における前記外装容器の側面側の下部に設けられている請求項1から11いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項13】
前記フラップは、前記第二開口領域における前記外装容器の側面側の上部に設けられている請求項1から11いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項14】
前記フラップは、前記第二開口領域における前記外装容器の側面側の下部及び上部の2ヶ所に設けられている請求項1から11いずれか記載のウエットティシュ用包装体。
【請求項15】
前記フラップは、第二開口領域における前記外装容器の側面側及び上面側の2ヶ所に設けられている請求項1から11いずれか記載のウエットティシュ用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−182444(P2006−182444A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381329(P2004−381329)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】