説明

ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置、ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法

【課題】ウエブへ薬剤を理想的に噴霧し、歩留まり、経済性および生産性を向上する。
【解決手段】原反ロールから送り出されたウエブ2の出入口11のみが外部と通じた噴霧室1と、この噴霧室1内に設けられ、ウエブ2へ保湿剤3を噴霧する第一噴霧器12と、この第一噴霧器12とは別に設けられ、ウエブ2へ保湿剤3を噴霧する第二噴霧器13と、噴霧室1を囲むようにして設置され、噴霧室1の下面開口14を入口とし、天井面の上面開口15を出口とする配管4とから構成し、配管4によって第一噴霧器12および第二噴霧器13から噴霧された保湿剤3のうち、ウエブ2に付着しなかった余剰の保湿剤3を真空ポンプ5を備えることにより回収して第二噴霧器13へ送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反から送り出されたウエブが製品化される過程で用いられ、又は行う、ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置、又はウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原反から送り出されたウエブが、織物、反物、ハンカチ等の様々な布製品や、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、キッチンぺーパー、印刷用紙等の紙製品に製品化される過程では、従来から、糊剤、柔軟剤、保湿剤、消毒剤、清浄剤、医薬成分、顔料、香料、芳香剤等を塗布又は噴霧する等により、様々な付加価値を付することが行われている。例えば、下記特許文献1では、ペーパーロールを着色する着色方法、又はそのための着色装置に係る発明が提案されている。
【0003】
また例えば、下記特許文献2では、ティッシュペーパー、トイレットペーパーの家庭用薄葉紙繊維ウエブへの薬液塗布方法および薬液塗布装置に係る発明が、さらに例えば、下記特許文献3では、衛生用紙の製造方法に係る発明であって、エンボス加工と保湿液塗布の双方の効果を有しつつ、高い生産性でティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの衛生用紙を製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−113718号公報
【特許文献2】特許第3968371号公報
【特許文献3】特開2009−183411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、原反から送り出されたウエブに所望の薬剤を塗布又は噴霧する方法や装置が複数提案されているものの、その装置が設置され、又はその方法が実施されている製造工場の現場等では、以下のような課題があった。
【0006】
第一に、原反から送り出されたウエブが所望の薬剤を噴霧され、別のローラーに巻回されるまで、上記装置は薬剤をウエブへ噴霧しつづけるため、製造ラインの床面が薬剤によって濡れて滑りやすくなり、現場の職員や設備、装置にとって不都合であるという問題がある。床面が薬剤によって濡れるということは、薬剤の無駄が発生していることを意味するので、このような無駄を解消するべき方策も必要である。
【0007】
第二に、ウエブ、特に、紙においては、所望の薬剤が必要以上に噴霧されると湿潤し過ぎるために破れやすくなり、不良品の発生率が高くなって、歩留まりが悪くなるという問題がある。
【0008】
第三に、製品の種類、ウエブへ噴霧する薬剤の種類によって、噴霧する薬剤の単位面積当たりの量や噴霧する単位時間当たりの回数を調節したいという要望もある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑み提案され、ウエブへ薬剤を噴霧する仕組みを改良し、歩留まり良く、高い生産性で製造することができ、製造ラインの床面が薬剤によって濡れることもなく、噴霧する薬剤を無駄なく有効利用できて、好ましくは製造する製品の種類、ウエブへ噴霧する薬剤の種類毎に、噴霧する薬剤の単位面積当たりの量や噴霧する時間当たりの回数を調節することが可能なウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置、ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、原反から送り出されたウエブが製品化される過程で用いられるウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置において、前記ウエブの出入口のみが外部と通じた噴霧室と、この噴霧室の出入口から室内に送り込まれた前記ウエブへ所望の薬剤を噴霧する第一噴霧器と、この第一噴霧器とは別に、前記出入口から室内に送り込まれた前記ウエブへ前記薬剤を噴霧する第二噴霧器と、バキューム手段を備え、前記第一噴霧器および前記第二噴霧器から噴霧された前記薬剤のうち、前記ウエブに付着しなかった余剰のものを回収して第二噴霧器へ送る配管と、から構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置は、少なくとも第一噴霧器および第二噴霧器の何れか一方に、薬剤を間欠的に噴霧する間欠噴霧機構が設けられていることが好ましく、少なくとも第一噴霧器および第二噴霧器の何れか一方から噴霧される薬剤の量を制御する制御手段が設けられていることがさらに好ましい。
【0012】
また本発明は、原反から送り出されたウエブが製品化される過程で行うウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法において、前記ウエブへ所望の薬剤を噴霧する第一噴霧工程と、この第一噴霧工程とは別に、前記ウエブへ前記薬剤を噴霧する第二噴霧工程と、前記第一噴霧工程および前記第二噴霧工程にて噴霧した前記薬剤のうち、前記ウエブに付着しなかった余剰のものを前記第二噴霧工程にて再利用する再利用工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法は、少なくとも第一噴霧工程および第二噴霧工程の何れか一方において、薬剤を間欠的に噴霧することが好ましく、少なくとも第一噴霧工程および第二噴霧工程の何れか一方にて噴霧する薬剤の量を制御することがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置では、まず、バキューム手段を備え、第一噴霧器および第二噴霧器から噴霧された薬剤のうち、ウエブに付着しなかった余剰のものを回収して第二噴霧器へ送る配管が設けられているので、噴霧する薬剤を無駄なく有効利用することができる。また、ウエブへの薬剤の噴霧は、噴霧室内で行われるので、製造ラインの床面が薬剤によって濡れるということも無くすことができる。
【0015】
さらに、少なくとも第一噴霧器および第二噴霧器の何れか一方に、薬剤を間欠的に噴霧する間欠噴霧機構が設けられれば、噴霧する単位時間当たりの回数を調節することができ、噴霧する薬剤の種類に応じてその噴霧量等を調節することができるし、少なくとも第一噴霧器および第二噴霧器の何れか一方から噴霧される薬剤の量を制御する制御手段が設けられることでも、噴霧する薬剤の単位面積当たりの量を調節することができて、噴霧する薬剤の種類に応じてその噴霧量等を調節することができる。これらのことにより、歩留まり良く、高い生産性で製造することでき、さらに生産コストの低減を果たすことも可能となる。
【0016】
また、本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法では、第一噴霧工程および第二噴霧工程にて噴霧した薬剤のうち、ウエブに付着しなかった余剰のものを第二噴霧工程にて再利用する再利用工程を有するので、噴霧する薬剤を無駄なく有効利用することができ、製造ラインの床面が薬剤によって濡れるということも防ぐことができる。
【0017】
さらに、少なくとも第一噴霧工程および第二噴霧工程の何れか一方において、薬剤を間欠的に噴霧すれば、噴霧する単位時間当たりの回数を調節することができ、噴霧する薬剤の種類に応じてその噴霧量を調節することができるし、少なくとも第一噴霧器工程および第二噴霧工程の何れか一方から噴霧される薬剤の量を制御することでも、噴霧する薬剤の単位面積当たりの量を調節することができて、噴霧する薬剤の種類に応じてその噴霧量を調節することができる。これらのことにより、歩留まり良く、高い生産性で製造することでき、さらに生産コストの低減を果たすことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置を概略的に示し、一部を破断して表した概略正面図である。
【図2】本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置を概略的に示し、一部を破断して表した概略側面図である。
【図3】第一噴霧器および第二噴霧器の単位時間当たりの噴霧量の変化と、噴霧量の総量に関して一例を示して説明するグラフ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置を構成するウエブの出入口のみが外部と通じた噴霧室内に、噴霧室の出入口から送り込まれたウエブへ所望の薬剤を噴霧する第一噴霧器と、この第一噴霧器とは別に、噴霧室の出入口から送り込まれたウエブへ薬剤を噴霧する第二噴霧器とが設けられて構成されている。さらに、第一噴霧器および第二噴霧器から噴霧された薬剤のうち、ウエブに付着しなかった余剰のものを、バキューム手段によって回収して第二噴霧器へ送る配管も設けられている。
【0020】
したがって、まず、噴霧室内にてウエブへ薬剤を噴霧することが行われるため、床面が薬剤によって濡れることがなくなる。ウエブに付着しなかった余剰の薬剤は回収され、配管を通じて第二噴霧器に送られた後、再び第二噴霧器によってウエブへ噴霧されるという再利用が行われるため、薬剤を無駄なく有効利用することができる。
【0021】
また、本発明は、少なくとも第一噴霧器および第二噴霧器の何れか一方に、薬剤を間欠的に噴霧する間欠噴霧機構が設けられている。さらに、少なくとも第一噴霧器および第二噴霧器の何れか一方から噴霧される薬剤の量を制御する制御手段も設置されている。
【0022】
したがって、薬剤を噴霧する単位時間当たりの回数や、単位面積当たりの量をいずれも調節することができ、噴霧する薬剤の種類に応じた噴霧が可能となる。
【0023】
以下、本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置の実施形態の一例を、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。また、原反から送り出されたウエブが製品化される過程において、ウエブへ薬剤を噴霧する過程(即ち、ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置)以外に用いられる装置類は、一般に用いられる公知のものにて実施可能となる。
【0024】
なお、以下に説明する実施形態は、製品として保湿成分入りトイレットペーパーを製造する製造ラインに、本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置を設置した一例である。
【0025】
本実施形態に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置(以下、単に「噴霧装置」という。)は、図1や図2に示すように、原反ロール(図示省略)から送り出されたウエブ2が保湿成分入りトイレットペーパー(図示省略)として製造される過程で用いられる。
【0026】
その構成は、ウエブ2の出入口11のみが外部と通じた噴霧室1が設けられ、この噴霧室1内に、噴霧室1の出入口11から送り込まれたウエブ2へ所望の薬剤としての保湿剤3を噴霧する第一噴霧器12と、この第一噴霧器12とは別に、噴霧室1の出入口11から送り込まれたウエブ2へ保湿剤3を噴霧する第二噴霧器13とが設けられてなる。なお、噴霧室1内において、第一噴霧器12は噴霧器13よりも、送り込まれてくるウエブ2の上流側に設置されることが好ましい(図1参照)。
【0027】
噴霧室1には、底面に下面開口14が設けられ、天井面に上面開口15が設けられている。また、噴霧室1に設けられているウエブ2の出入口11は、図2に示すように、扁平な矩形状で噴霧室1の側面に二箇所あり、製造ラインの床面からのレベルは水平とされている。
【0028】
さらに、噴霧装置は、噴霧室1の下面開口14を入口とし、天井面の上面開口15を出口とする配管4が噴霧室1を囲むようにして設置されている。この配管4は、第一噴霧器12および第二噴霧器13から噴霧された保湿剤3のうち、ウエブに付着しなかった余剰の保湿剤3をバキューム手段を備えることにより回収して第二噴霧器13へ送る通路となる。なお、図1、図2において第二噴霧器13は、配管4の出口部内側に配設されている。
【0029】
バキューム手段は一例として、図1や図2において示すような真空ポンプ5を挙げることができる。また、図1や図2に示すような位置に真空ポンプ5を設置する場合をはじめ、本発明では、真空ポンプ5とともに、配管4内に回収した保湿剤3を重力に逆らって、すなわち、第二噴霧器13のある側へ空気とともに送ることが可能な送風機6を併せて設置することが好ましい。
【0030】
このほか、第一噴霧器12および第二噴霧器13にはそれぞれ、保湿剤3を一定の間隔をもって間欠的に噴霧するように間欠噴霧機構としての、例えば、回路を有した間欠タイマー(図示省略)が備えられている。また、噴霧装置には、第一噴霧器12および第二噴霧器13の噴霧量を制御する制御手段としての、例えば、マイコン(図示省略)が備えられている。
【0031】
以下、図1、図2を参照しながら、噴霧装置において行われるウエブへ薬剤を噴霧する工程(噴霧方法)を概略的に説明する。なお、以下において、噴霧室1のウエブ2の出入口11を便宜のため、入口111と出口112と区別して説明する。
【0032】
まず、原反ロールからトイレットペーパーを製造するためのウエブ2が噴霧装置へ向かって送り出されてくる。さらに、ウエブ2は噴霧装置の噴霧室1の入口111から噴霧室1内に送られる。なお、真空ポンプ5や送風機6は、この時点から作動させておけばよい。
【0033】
次に、ウエブ2が第一噴霧器12の直下まで送られると、間欠タイマーにより一定の間隔をもって間欠的に、第一噴霧器12から保湿剤3がウエブ2へ噴霧される(第一噴霧工程)。このとき以降、第一噴霧器12は、一定の間隔をもって間欠的にウエブ2へ噴霧し続ける。ウエブ2への第一噴霧器12の保湿剤3の噴霧量は、例えば、0.3〜25g/m2とし、噴霧速度は、例えば、10〜30m/秒として、単位時間当たりの噴霧回数は、上記噴霧量を考慮しつつ適宜調節すればよい。ただし、下記に述べるように、第一噴霧器12の噴霧量については、マイコンによって時間経過とともに減ることになる。
【0034】
保湿剤3の噴霧量を0.3〜25g/m2としたのは、製品として保湿効果が現れる下限が約0.3g/m2となり、製造ラインにおいて保湿剤3によってウエブ2が切れない程度の上限が約25g/m2となるからである。単位時間当たりの噴霧回数は、第一噴霧器12の一回当たりの噴霧量を考慮し、この数値に基づいて適宜、調整すればよい。
【0035】
また、噴霧速度は、薬剤の性質、例えば、保湿剤3の粘度等により定めることができる。なお、噴霧量や噴霧速度は噴霧する薬剤の種類によって適宜、調節することが好ましい。
【0036】
第一噴霧器12から噴霧された保湿剤3のうち、ウエブ2に付着しなかった余剰のものは、噴霧室1の底面に溜まるが、真空ポンプ5が作動しているため、噴霧室1の下面開口14から配管4の入口部へと引きこまれる。さらに、余剰の保湿剤3は、真空ポンプ5や送風機6によって、配管4の出口部内側に配設されている第二噴霧器13へ運ばれる(再利用工程)。
【0037】
そして、第二噴霧器13まで運ばれた余剰の保湿剤3は、第二噴霧器13の直下まで送られてきたウエブ2へ、噴霧室1の上面開口15から一定の間隔をもって間欠的に噴霧される(第二噴霧工程)。ウエブ2への第二噴霧器13の保湿剤3の噴霧量、噴霧速度は、第一噴霧器12と同様にすればよく、単位時間当たりの噴霧回数も同様にすればよい。ただし、下記に述べるように、第二噴霧器13の噴霧量については、マイコンによって時間経過とともに増えることになる。
【0038】
第二噴霧器13から噴霧された保湿剤3についても、ウエブ2に付着しなかった余剰のものは、噴霧室1の底面に溜まるが、真空ポンプ5が作動しているため、噴霧室1の下面開口14から配管4の入口部へと引きこまれる。さらに、余剰の保湿剤3は、真空ポンプ5や送風機6によって、配管4の出口部内側に配設されている第二噴霧器13へ運ばれ(再利用工程)、第二噴霧工程に用いられることになる。
【0039】
保湿剤3が噴霧され、噴霧室1の出口112から送り出されたウエブ2は、その後、製造ラインの残りの工程、例えば、二枚重ねにする工程等が行われる。最終的にロールに巻回された後、幅方向に適宜の大きさに分割されて保湿成分入りトイレットペーパーが製品化される。
【0040】
ここで、第一噴霧器12と第二噴霧器13とにおける時間経過とともに変化する噴霧量の関係は、噴霧装置に備えられたマイコンにより、0.3〜25g/m2という保湿剤3の噴霧量の範囲にて、単位時間当たりの噴霧量の総量が一定になり、第一噴霧器12の噴霧量が徐々に減り、第二噴霧器13の噴霧量が徐々に増えるように規定されている。例えば、図3に示すような第一噴霧器12と第二噴霧器13との噴霧量は時間経過とともに変化する関係となる。
【0041】
なお、図3では、縦軸を噴霧量(q)、横軸を時間(t)とし、時間経過における第一噴霧器12の噴霧量a、第一噴霧器13の噴霧量b、噴霧量の総量wをそれぞれ示している。
【0042】
そうすると、本実施形態に係るウエブへの薬剤の噴霧装置では、ウエブへ薬剤を噴霧する工程(噴霧方法)により、噴霧室1内にてウエブ2へ保湿剤3を噴霧することが行われるため、製造ライン周辺の床面が保湿剤3によって濡れることがなくなる。さらに、ウエブ2に付着しなかった余剰の保湿剤3は回収され、配管4を通じて第二噴霧器13に送られた後、再び第二噴霧器13によってウエブ2へ噴霧されるという再利用が行われるため、保湿剤3を無駄なく有効利用することができる。さらに、保湿剤3は、第一噴霧器12および第二噴霧器13から、間欠タイマーによって間欠的に噴霧され、かつ、その噴霧量がマイコンによって制御されているので、噴霧する保湿剤3の単位時間当たり、単位面積当たりの量をいずれも調節することができ、噴霧する保湿剤3の種類に応じた噴霧が可能となる。
【0043】
したがって、本発明では、保湿成分入りトイレットペーパーをはじめ各種の製品を歩留まり良く、高い生産性で製造することができ、製造ラインの床面が薬剤によって濡れることもなく、噴霧する薬剤を無駄なく有効利用できて、噴霧する薬剤の単位面積当たりの量や噴霧する時間当たりの回数を調節することが可能なウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置、ウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法を提供することができる。
【0044】
ここで、上記実施形態において、本発明に係るウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置は、保湿成分入りトイレットペーパーが製品化される製造ラインで、ウエブを二枚重ねにする工程の前に用いられる旨の説明をしたが、ウエブを二枚重ねにする工程を経た後、に用いることも可能である。また、例えば、数メートル毎に噴霧することで足りる等の理由により必要量の少ない薬剤を噴霧する場合、そのように間欠タイマーを設定すればよいし、さらに間欠タイマーやマイコンは一例であって、その他適宜の間欠噴霧機構、制御手段を採用することができる。このほか、真空ポンプを第二噴霧器よりも高い位置にて設置すれば、重量を利用して送風機等の手段を省くことが可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態を例示して詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、噴霧する薬剤は保湿剤のほか、糊剤、柔軟剤、消毒剤、清浄剤、医薬成分、顔料、香料、芳香剤等を挙げることができる。また、第一噴霧器、第二噴霧器による薬剤の噴霧量、噴霧速度、単位時間当たりの噴霧回数等については、各種の製品を製造することが可能である限り、適宜に設定することができる。そして、本発明では、噴霧量等の適切な制御により、歩留まり良く、高い生産性で製造することができ、製造ラインの床面が薬剤によって濡れることもなく、噴霧する薬剤を無駄なく有効利用できるとともに、薬剤が適度に分散してムラのない各種の製品を製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・噴霧室
11・・出入口
111・入口
112・出口
12・・第一噴霧器
13・・第二噴霧器
14・・下面開口
15・・上面開口
2・・・ウエブ
3・・・保湿剤(薬剤)
4・・・配管
5・・・真空ポンプ(バキューム手段)
6・・・送風機
a・・・第一噴霧器の噴霧量
b・・・第二噴霧器の噴霧量
w・・・噴霧量の総量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反から送り出されたウエブが製品化される過程で用いられるウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置において、
前記ウエブの出入口のみが外部と通じた噴霧室と、
この噴霧室の出入口から室内に送り込まれた前記ウエブへ所望の薬剤を噴霧する第一噴霧器と、
この第一噴霧器とは別に、前記出入口から室内に送り込まれた前記ウエブへ前記薬剤を噴霧する第二噴霧器と、
バキューム手段を備え、前記第一噴霧器および前記第二噴霧器から噴霧された前記薬剤のうち、前記ウエブに付着しなかった余剰のものを回収して第二噴霧器へ送る配管と、
から構成されている、
ことを特徴とするウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置。
【請求項2】
少なくとも前記第一噴霧器および前記第二噴霧器の何れか一方に、前記薬剤を間欠的に噴霧する間欠噴霧機構が設けられた、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置。
【請求項3】
少なくとも前記第一噴霧器および前記第二噴霧器の何れか一方から噴霧される前記薬剤の量を制御する制御手段が設けられた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエブへ薬剤を噴霧する噴霧装置。
【請求項4】
原反から送り出されたウエブが製品化される過程で行うウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法において、
前記ウエブへ所望の薬剤を噴霧する第一噴霧工程と、
この第一噴霧工程とは別に、前記ウエブへ前記薬剤を噴霧する第二噴霧工程と、
前記第一噴霧工程および前記第二噴霧工程にて噴霧した前記薬剤のうち、前記ウエブに付着しなかった余剰のものを前記第二噴霧工程にて再利用する再利用工程と、
を有する、
ことを特徴とするウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法。
【請求項5】
少なくとも前記第一噴霧工程および前記第二噴霧工程の何れか一方において、前記薬剤を間欠的に噴霧する、
ことを特徴とする請求項4に記載のウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法。
【請求項6】
少なくとも前記第一噴霧工程および前記第二噴霧工程の何れか一方にて噴霧する前記薬剤の量を制御する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のウエブへ薬剤を噴霧する噴霧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−156492(P2011−156492A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21148(P2010−21148)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000190080)信栄製紙株式会社 (8)
【Fターム(参考)】