説明

ウォッシャノズル付きワイパ

【課題】ワイパアームの基端とヘッドカバーのヒンジ部の天井壁との接触を回避し天井壁の傷の発生を確実に防止できるウォッシャノズル付きワイパを提供する。
【解決手段】基端部12aがワイパシャフト11に固定されたアームヘッド12と、このアームヘッド12を覆うヘッドカバー13と、基端部15aがアームヘッド12の先端部12bに支軸17を介して払拭面方向に回動自在に支持されると共に先端部16cに払拭面を払拭するワイパブレード18が連結されたワイパアーム14と、このワイパアーム14に設けられてウォッシャ液Wを払拭面に噴射させるウォッシャノズル19と、を備えたウォッシャノズル付きワイパ10において、ヘッドカバー13を両側壁13a,13aと天井壁13bとで断面コ字状に形成すると共に、該ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dをアームヘッド12の上面12e側に凹ませた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両のウインドシールドガラス等をウォッシャノズルより噴射したウォッシャ液を介して払拭するウォッシャノズル付きワイパに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のウォッシャノズル付きワイパとして、図9及び図10に示すものがある。
【0003】
このウォッシャノズル付きワイパ1は、図9及び図10に示すように、基端部3aがピボット軸2に固定されたアームヘッド3と、このアームヘッド3を覆うヘッドカバー4と、基端部6aがアームヘッド3の先端部3bに支軸5を介して払拭面方向に回動自在に支持されると共に、先端部に払拭面を払拭する図示しないワイパブレードが連結されたワイパアームとしてのリテーナ6と、このリテーナ6に設けられてウォッシャ液を払拭面に噴射させる図示しないウォッシャノズルと、アームヘッド3及びリテーナ6に沿って配索されると共に、ウォッシャノズルに連結されてウォッシャ液を供給するチューブ7とを備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−362326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のウォッシャノズル付きワイパ1では、図10に示すように、ヘッドカバー4のヒンジ部4aの天井壁4bとリテーナ6の基端6bとの間には殆ど隙間がないため、リテーナ6が揺動する時やリテーナ6を起こす時(ワイパアームのロックバック時)等にリテーナ6の基端6bの縁部がヘッドカバー4のヒンジ部4aの天井壁4bに接触して該天井壁4bに擦り傷等の傷が付き易かった。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ワイパアームの基端とヘッドカバーのヒンジ部の天井壁との接触を回避して天井壁の傷の発生を確実に防止することができるウォッシャノズル付きワイパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、基端部がワイパシャフトに固定されたアームヘッドと、このアームヘッドを覆うヘッドカバーと、基端部が前記アームヘッドの先端部に支軸を介して払拭面方向に回動自在に支持されると共に先端部に払拭面を払拭するワイパブレードが連結されたワイパアームと、このワイパアームに設けられてウォッシャ液を前記払拭面に噴射させるウォッシャノズルと、を備えたウォッシャノズル付きワイパにおいて、前記ヘッドカバーを両側壁と天井壁とで断面コ字状に形成すると共に、該ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁を前記アームヘッドの上面側に凹ませたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載のウォッシャノズル付きワイパであって、前記ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の中央部を該天井壁の両端より薄肉に形成すると共に、該天井壁の中央部を前記アームヘッドの上面側に凹ませて、前記ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁と前記ワイパアームの基端部の中央部との間に隙間を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ヘッドカバーを両側壁と天井壁とで断面コ字状に形成すると共に、該ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁をアームヘッドの上面側に凹ませたことにより、ワイパアームの基端とヘッドカバーのヒンジ部の天井壁との接触を防止することができる。これにより、ワイパアームの基端の縁部によるヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の傷の発生を防止することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の中央部を該天井壁の両端より薄肉に形成すると共に、該天井壁の中央部をアームヘッドの上面側に凹ませて、ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁とワイパアームの基端の中央部との間に隙間を形成したことにより、ワイパアームの基端とヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の中央部との接触を確実に防止することができる。これにより、ワイパアームの揺動時やロックバック時等に、ワイパアームの基端とヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の中央部との接触を回避してワイパアームの基端の縁部によるヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の中央部の傷の発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態のウォッシャノズル付きワイパの断面図、図2は同ワイパの要部の拡大断面図、図3は図2中X−X線に沿う断面図、図4は同ワイパのアームヘッドとヘッドカバーの関係を示す説明図、図5は同ヘッドカバーの斜視図、図6は同ヘッドカバーのヒンジ部の断面図である。
【0013】
図1,図2に示すように、ウォッシャノズル付きワイパ10は、基端部12aがピボット軸(ワイパシャフト)11に固定されたアルミニウム製のアームヘッド12と、このアームヘッド12を覆う合成樹脂製のヘッドカバー13と、基端部15aがアームヘッド12の先端部12bに支軸17を介して払拭面方向に回動自在に支持されると共に、先端部16cに図示しない車両のウインドシールドガラス等の払拭面を払拭するワイパブレード18が連結されたワイパアーム14と、このワイパアーム14に設けられてウォッシャ液Wを図示しない払拭面に噴射させるウォッシャノズル19と、アームヘッド12及びワイパアーム14に沿って配索されると共に、ウォッシャノズル19に連結されてウォッシャ液Wを供給するチューブ20とを備えている。
【0014】
合成樹脂製のヘッドカバー13は、アルミニウム製のアームヘッド12より一回り大きい形状に形成されており、該アームヘッド12を完全に覆うようになっている。即ち、図1〜図6に示すように、ヘッドカバー13は、両側壁13a,13aと天井壁13bとで断面コ字状に形成されている。そして、ヘッドカバー13の両側壁13a,13aの先端側にはC字状のヒンジ部13c,13cをそれぞれ形成してある。この両側のヒンジ部13c,13cは、アームヘッド12の両側面12c,12cの各支軸17の周りに一体突出形成された円柱状の軸部12dに回動自在に支持されており、アームヘッド12に対して上方(開く方向)に移動できるようになっている。
【0015】
また、図3〜図6に示すように、ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dは、アームヘッド12の上面12e側に凹んでいる。即ち、ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dは側面が円弧状に湾曲していると共に、該天井壁13dの両端よりも中央部13eを薄肉に形成してある。さらに、ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13eは、アームヘッド12の上面12e側に湾曲状に凹んでいる。これにより、図3に示すように、ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13eとリテーナ(ワイパアーム)15の基端15bの中央部との間に隙間が形成されるようになっている。
【0016】
尚、図1,図2に示すように、アームヘッド12の上面12eの先端部12b側にはV字状の凹部12fを形成してあり、この凹部12fに対応するように、ヘッドカバー13の天井壁13bの先端部側にもV字状の凹部13fを形成してある。
【0017】
図1に示すように、ワイパアーム14は、基端部15aがアームヘッド12の先端部12bに支軸17を介して払拭面に対して接近及び離反する方向に所定角度回動自在に支持されたリテーナ15と、このリテーナ15の中途部15cに基端部16aが固着されたアームピース16とで構成されている。このリテーナ15の先端部15dより露出したアームピース16の中途部16bにウォッシャノズル19を配置してある。また、アームピース16の先端部16cに払拭面を払拭するワイパブレード18を連結してある。さらに、アームピース16とアームヘッド12との間には引っ張りコイルスプリング21を掛け渡してある。この引っ張りコイルスプリング21の付勢力によりワイパアーム14は払拭面側へ押圧付勢されるようになっている。そして、この引っ張りコイルスプリング21の中を通るようにチューブ20は配索されている。
【0018】
以上実施形態のウォッシャノズル付きワイパ10によれば、ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13cの天井壁13dは両端よりも中央部13eを薄肉に形成すると共に、該天井壁13dの中央部13eをアームヘッド12の上面12e側に湾曲状に凹ませて、ヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13cの天井壁13dとリテーナ15の基端15bの中央部との間に隙間を形成したことにより、リテーナ15の基端15bとヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13eとの接触を確実に防止することができる。これにより、ワイパアーム14の揺動時やロックバック時(起立時)等に、ワイパアーム14のリテーナ15の基端15bとヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13eとの接触を回避してリテーナ15の基端15bの縁部によるヘッドカバー13の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13eの傷の発生を確実に防止することができる。
【0019】
図7は本発明の第2実施形態のウォッシャノズル付きワイパのヘッドカバーの斜視図、図8は同ヘッドカバーの断面図である。尚、前記第1実施形態のアームヘッド12及びリテーナ(ワイパアーム)15は援用する。
【0020】
この第2実施形態の合成樹脂製のヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dは、図7及び図8に示すように、アームヘッド12の上面12e側に凹んでいる。即ち、ヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dは側面が円弧状に湾曲していると共に、該天井壁13dの両端よりも中央部13e′を薄肉に形成してある。さらに、ヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13e′はアームヘッド12の上面12e側に段差状に凹んでいる。これにより、ヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13e′とリテーナ15の基端15bの中央部との間に隙間が確実に形成されるようになっている。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、同一構成部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0021】
以上第2実施形態によれば、ヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13cの天井壁13dは両端よりも中央部13e′を薄肉に形成すると共に、該天井壁13dの中央部13e′をアームヘッド12の上面12e側に段差状に凹ませて、ヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13cの天井壁13dとリテーナ15の基端15bの中央部との間に隙間を形成したことにより、リテーナ15の基端15bとヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13e′との接触を確実に防止することができる。これにより、ワイパアーム14の揺動時やロックバック時(起立時)等に、ワイパアーム14のリテーナ15の基端15bとヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13e′との接触を回避してリテーナ15の基端15bの縁部によるヘッドカバー13′の両側のヒンジ部13c,13c間の天井壁13dの中央部13e′の傷の発生を確実に防止することができる。
【0022】
尚、以上の前記各実施形態によれば、合成樹脂製のヘッドカバーを用いたが、金属製のヘッドカバーを用いても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態のウォッシャノズル付きワイパの断面図である。
【図2】上記ウォッシャノズル付きワイパの要部の拡大断面図である。
【図3】図2中X−X線に沿う断面図である。
【図4】上記ウォッシャノズル付きワイパのアームヘッドとヘッドカバーの関係を示す説明図である。
【図5】上記ヘッドカバーの斜視図である。
【図6】上記ヘッドカバーの断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態のウォッシャノズル付きワイパのヘッドカバーの斜視図である。
【図8】上記第2実施形態のヘッドカバーの断面図である。
【図9】従来のウォッシャノズル付きワイパの要部の断面図である。
【図10】図9中X−X線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 ウォッシャノズル付きワイパ
11 ピボット軸(ワイパシャフト)
12 アームヘッド
12a 基端部
12b 先端部
12e 上面
13,13′ ヘッドカバー
13a,13a 両側壁
13b 天井壁
13c ヒンジ部
13d ヒンジ部の天井壁
13e,13e′ 中央部
14 ワイパアーム
15a 基端部
15b 基端
16c 先端部
17 支軸
18 ワイパブレード
19 ウォッシャノズル
W ウォッシャ液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部がワイパシャフトに固定されたアームヘッドと、このアームヘッドを覆うヘッドカバーと、基端部が前記アームヘッドの先端部に支軸を介して払拭面方向に回動自在に支持されると共に先端部に払拭面を払拭するワイパブレードが連結されたワイパアームと、このワイパアームに設けられてウォッシャ液を前記払拭面に噴射させるウォッシャノズルと、を備えたウォッシャノズル付きワイパにおいて、
前記ヘッドカバーを両側壁と天井壁とで断面コ字状に形成すると共に、該ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁を前記アームヘッドの上面側に凹ませたことを特徴とするウォッシャノズル付きワイパ。
【請求項2】
請求項1記載のウォッシャノズル付きワイパであって、
前記ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁の中央部を該天井壁の両端より薄肉に形成すると共に、該天井壁の中央部を前記アームヘッドの上面側に凹ませて、前記ヘッドカバーのヒンジ部の天井壁と前記ワイパアームの基端部の中央部との間に隙間を形成したことを特徴とするウォッシャノズル付きワイパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−261396(P2007−261396A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88332(P2006−88332)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】