ウォブル信号復調回路、記録再生装置およびウォブル信号復調方法
【課題】積分出力振幅を常に適切な大きさにできるウォブル信号復調回路を提供する。
【解決手段】蛇行トラックを持つディスクから取得した、所定周期の搬送波を持つ搬送波部とその搬送波に情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調する復調回路において、積分器71a、72aは搬送波から生成されたクロックに同期してウォブル信号を前記周期の前半部分と後半部分に分けて積分し、A/D変換器52は前半部分・後半部分それぞれの積分出力に対応する2つのデジタル値からデジタル信号を生成し、乗算器53はそのデジタル信号と前記クロックから位相変調波部の位相復調を行うと共に、CPUはA/D変換器76が検出した積分器71aの積分出力に応じた値を速度レジスタ78に、A/D変換器77が検出した積分器72aの積分出力に応じた値を速度レジスタ79に設定し、積分器71a、72aは設定された値の積分速度で積分するようにした。
【解決手段】蛇行トラックを持つディスクから取得した、所定周期の搬送波を持つ搬送波部とその搬送波に情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調する復調回路において、積分器71a、72aは搬送波から生成されたクロックに同期してウォブル信号を前記周期の前半部分と後半部分に分けて積分し、A/D変換器52は前半部分・後半部分それぞれの積分出力に対応する2つのデジタル値からデジタル信号を生成し、乗算器53はそのデジタル信号と前記クロックから位相変調波部の位相復調を行うと共に、CPUはA/D変換器76が検出した積分器71aの積分出力に応じた値を速度レジスタ78に、A/D変換器77が検出した積分器72aの積分出力に応じた値を速度レジスタ79に設定し、積分器71a、72aは設定された値の積分速度で積分するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇行したトラックが形成された光ディスクなど記録媒体から読み出した位相変調されたウォブル信号を復調する位相復調技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなど円盤状の記録メディアでは一般的に、CLV(線速度一定)回転制御を行ったときに記録再生される搬送波信号の周波数が一定になるようにトラックを蛇行(ウォブリング)させるフォーマットを採用している。そのため、その記録再生装置では一種の搬送波信号であるウォブル信号を検出して記録メディアの回転を制御したり、記録用クロックを生成したりしている。また、未記録領域で記録位置の特定ができるようにアドレス情報も必要であるが、例えばCD−R(Compact Disk-Recordable)では前記したウォブル信号に周波数変調や位相変調を施してアドレスデータを重畳している。また、復調については、例えば位相変調信号から搬送波信号を抽出し、位相変調信号と搬送波信号との位相を比較することにより復調する。
具体的には、蛇行したトラックを用いた代表的な従来の位相復調技術では、記録メディアより得られたウォブル信号から搬送波を抽出(生成)し、その搬送波とウォブル信号を乗算し、乗算結果を積分し、その積分結果に基づいて位相復調信号を得る。しかし、この従来技術の場合、ウォブル信号にノイズが重畳されると位相復調の性能が落ち、誤検出を頻繁に発生するようになる。
そのような背景から、ウォブル信号にノイズが重畳された場合でも誤検出を少なくできる、特許文献1に示された位相復調技術が提供されている。以下、特許文献1に示された位相復調技術について説明する。
【0003】
図14は特許文献1に示されているウォブル信号復調回路の構成ブロック図である。ノイズの影響を除去するために積分器54などを備えたことが特徴である。なお、このウォブル信号復調回路は搬送波が分離された後の回路を示している。また、図15には、このウォブル信号復調回路の各部の信号を示す。
図14に示したように、このウォブル信号復調回路は入力されたアナログウォブル信号(搬送波が除かれた信号)S2とデジタルウォブル信号(搬送波信号)S4からADIP(Address In Pre-groove)情報S10を生成する。アナログウォブル信号S2はA/D変換器52でA/D変換される。このA/D変換は、ウォブル信号の1周期につきn回サンプリングされる(nは、アナログウォブル信号の状態にもよるが、8サンプル〜16サンプル程度。図15では16サンプル)。ここで、サンプリングのためのタイミングパルスはデジタルウォブル信号S4から生成される。つまり、デジタルウォブル信号S4はPLL49とタイミング回路55を経由し、タイミングパルスとしてA/D変換器52に与えられるのである。
こうして、A/D変換器52からはS16のような波形の信号が出力され(図15参照)、このS16は正弦波発生器51で生成された正弦波S6と乗算される。なお、正弦波の分解能はウォブル1周期につきn回である。乗算結果は、S7(図15参照)のような波形になる。S7は積分器54によりウォブル信号1周期ごとに積分され、S8として示すような積分結果が得られる。この積分結果信号S8はS/H回路によりサンプルホールドされ、S9として示したような波形の信号がADIP情報検出器57に入力される。ADIP情報検出器57では、S9に基づいてADIP情報S10を検出する。このADIP情報には、アドレス情報や同期信号が含まれており、例えば光ディスク装置のリード・ライトなどに用いられる。
【特許文献1】特開2002−74660公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に示された従来技術では、A/D変換器52のサンプリングレートが問題になってくる。光ディスク装置などが高速リード/ライトを行っているときに低速時と同等のサンプリングレートを実現するのはかなり厳しいのである。例えば、光ディスク装置が1倍速動作時においてはウォブル信号1周期の時間は1.22usで、このとき、ウォブル信号1周期につき16回サンプリングした場合、75nsに1回サンプリングすることになる。それに対して、16倍速動作時においてはウォブル信号1周期の時間は76.5nsであるので、このとき、ウォブル信号1周期につき16回サンプリングした場合、4.78nsに1回サンプリングしなければいけない。仮に8回サンプリングする場合でも、9.56nsに1回サンプリングしなければいけない。
このサンプリング周期の厳しさは具体的にはアナログウォブル信号の積分タイミングの厳しさである。積分タイミングパルスの中心が、アナログウォブル(WBL)信号の1/2周期の中心(つまり1/4周期の位置)になるように設定されてなければならないからである(図9参照)。ディスク駆動機構や光ディスク媒体のバラツキにより、ある光ディスク装置では、積分タイミングパルスの中心がアナログウォブル信号の1/2周期の中心にきていても、違う光ディスク装置では、そうならないこともある。この位置がずれてしまうと、積分器出力の振幅も小さくなってしまい、その結果、ADIP情報(S10)の信頼性を低下させるのである。
この対策として、図7に示した構成が考えられる。この構成は図6に示した構成(後述)に、アナログ積分部58を追加し、デジタル信号処理部59(図6ではPLL回路49〜正弦波発生回路51、乗算器53〜ADIP情報検出器57)から積分器54とS/H回路56を削除したものである。
【0005】
図7に示したように、アナログウォブル信号S2はアナログ積分部58に入り、第1の積分器(INTEG1)71ではウォブル信号の最初の1/2周期の期間だけそのウォブル信号を積分し、残りの1/2周期の間にリセットされる。図8に示したINT1、INT2は積分タイミングを示す波形であり、CLR1、CLR2は積分出力リセットを示す波形である(信号がHighレベルのときに積分/リセット)。
また、第2の積分器(INTEG2)72では、第1の積分器(INTEG1)71と同じ動作を1/2周期ずらして行う。積分器71、72の出力波形は図8に示したINTEG1出力S17とINTEG2出力S18である。
この後、S17とS18をマルチプレクサ(MUX)73に入力させ、図8に示したSEL1のタイミングで、INTEG1出力S17とINTEG2出力S18を交互に選択する(SEL1波形がHighのときにINTEG1出力を選択し、SEL1波形がLowのときにINTEG2出力を選択)。その結果であるWBLO波形S19をデジタル信号処理部59に入力させ、A/D変換器52によりA/D変換する。なお、第2のタイミング回路74は第1の積分器71、第2の積分器72、およびマルチプレクサ73へ出力するタイミングパルスを生成する。
【0006】
A/D変換は、図9に示したように、積分タイミングパルス(INT1/2)とリセットタイミングパルス(CLR1/2)の間に行う。A/D変換のサンプリングはウォブル1周期に2回行えばよい(INTEG1積分結果に対して1回、INTEG2積分結果に対して1回サンプリングする)。その後、A/D変換器出力S20は、図8に示したような信号波形になり、正弦波S23が乗算器53により乗算される。この乗算の結果、S21は図8に示したようになり、そこから、ADIP情報S22が得られる。
A/D変換器52の負荷を16サンプルと2サンプルで比較すると以下のようになる。光ディスク装置10が16倍速で動作する場合、ウォブル1周期の時間は76.5nsである。したがって、このとき、ウォブル1周期につき16回サンプリングした場合、4.78nsに1回サンプリングしなければならない。しかし、ウォブル1周期につき2回サンプリングした場合は、38.25nsに1回サンプリングすればよいので、A/D変換器52の負荷を低減でききる。
しかしながら、この図7および図8に示した方法では、ディスク駆動機構や光ディスク媒体のバラツキにより、積分出力振幅が必要以上に小さかったり(つまり特許文献1の問題が十分には解決されていない)大きかったりする。積分出力振幅が小さ過ぎた場合はウォブル復調結果に誤りが発生する。また、積分出力振幅が大き過ぎた場合はダイナミックレンジを超えてしまう。
本発明は、前記したような従来技術の問題を解決しようとするものであり、具体的には、積分出力振幅を常に適切な大きさにすることができるウォブル信号復調回路などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、請求項1記載のウォブル信号復調回路は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行う構成にする。
請求項2記載のウォブル信号復調回路は、請求項1記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれの積分出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定する構成にする。
請求項3記載のウォブル信号復調回路は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、該積分手段の積分出力のサンプルホールドを行うサンプルホールド手段と、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行う構成にする。
【0008】
請求項4記載のウォブル信号復調回路は、請求項3記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれのサンプルホールド出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定する構成にする。
請求項5記載のウォブル信号復調回路は、請求項2または4記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はディスク位置ごとまたは所定の時間間隔ごとに前記積分速度を設定する構成にする。
請求項6記載の記録再生装置は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項1記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項7記載の記録再生装置は、請求項6記載の記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項8記載の記録再生装置は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項9記載の記録再生装置は、請求項8記載の記録再生装置において、請求項4記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項10記載の方法は、蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第1のデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う構成にする。
【0009】
請求項11記載の方法は、請求項10記載のウォブル信号復調方法において、それぞれの積分出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定する構成にする。
請求項12記載の方法は、蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、それぞれの積分出力のサンプルホールドを行い、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する第1のデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う構成にする。
請求項13記載の方法は、請求項12記載のウォブル信号復調方法において、それぞれのサンプルホールド出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定する構成にする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウォブル信号を復調する際、ノイズを除去するための積分部の積分速度を複数の値中のいずれかに設定でき、設定された積分速度で積分を行い、積分出力振幅に対応するデジタル値に基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号とクロック信号とに基づいて位相復調を行うことができるので、積分出力振幅が小さすぎる場合には積分速度を速くし積分出力振幅が大きすぎる場合には積分速度を遅くすることにより、積分出力振幅を常に適切な大きさにすることができ、したがって、積分出力振幅が小さ過ぎてウォブル復調結果に誤りが発生するとか、積分出力振幅が大き過ぎてダイナミックレンジを超えてしまうといった事態を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面により本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対位置などは特定的な記載がない限りこの説明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の一実施形態を示す、光ディスク装置で用いる、DVDやCD−RWなど光ディスク1の要部である。この光ディスク1は、図1(a)に示したように、周期的に蛇行(ウォブリング)させた情報トラック2を備え、そのトラック2は図1(b)に示したように光ディスク1の基板上に螺旋状に形成され、位相変調方式(PSK方式=Phase Shift Keying)で変調されたマークがトラック2に予め記録されている。図1(a)において、黒色で示す部分が記録マーク3の例である。
図2は、本発明の一実施形態を示す、光ディスク装置要部の構成ブロック図である。図示したように、この光ディスク装置10は、光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ11、光ピックアップ装置12、レーザコントロール回路13、エンコーダ14、モータドライバ(モータ駆動回路)15、アナログ信号処理回路16、デコーダ17、サーボコントローラ18、バッファRAM19、D/A変換器20、バッファマネージャ21、インタフェース22、ROM23、CPU24、およびRAM25などを備えている。なお、図2に示した矢印は各ブロックの接続関係として代表的な信号や情報の流れを示すものであるが、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
前記光ピックアップ装置12は、光源としての半導体レーザ、レーザコントロール回路13の制御に従ってこの半導体レーザから出射される光束を光ディスク1の記録面に導くとともに、その記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、受光位置に配置されて戻り光束を受光する受光器、および駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、シークモータなど)(いずれも図示せず)などを内蔵している。
【0012】
光ピックアップ装置12内の受光器は、例えば図3(a)に示したように、4分割受光素子30(第1〜第4の受光素子30a〜30d)を含んで構成されている。なお、図3(a)では、便宜上、紙面上下方向をX軸方向、紙面左右方向をY軸方向、紙面垂直方向をZ軸方向とする。第1、第2の受光素子30a、30bは、それぞれ図3(a)における紙面左右方向(Y軸方向)を長辺とする同一の長方形形状を有し、且つ、紙面上下方向(X軸方向)に隣接させて配置されている。また、第3、第4の受光素子30c、30dは、それぞれ図3(a)における紙面上下方向(X軸方向)を長辺とする同一の長方形形状を有し、且つ、紙面左右方向(Y軸方向)に隣接させて配置されている。
そして、図3(b)に示したように、光ディスク1の記録面からの反射光RB(図示の例では光軸がZ方向)は、光ピックアップ装置12の光学系を構成するプリズム31により2方向に分岐され、プリズム31を透過した一方の反射光RB1は第1、第2の受光素子30a、30bに照射される。また、プリズム31によりX軸の負方向に分岐された他方の反射光RB2は反射鏡32により+Z方向にその進行方向が曲げられ、第3、第4の受光素子30c、30dに照射される。
【0013】
図4(a)に示したように、前記において、反射光RBのうち、図4(a)における紙面上側半分の反射光RBaが第1の受光素子30aに照射され、紙面下側半分の反射光RBbが第2の受光素子30bに照射される。また、図4(b)に示したように、反射光RBのうち、図4(b)における紙面右側半分の反射光RBcが第3の受光素子30cに照射され、紙面左側半分の反射光RBdが第4の受光素子30dに照射される。これらの第1〜第4の受光素子30a〜30dのそれぞれは、光電変換を行い、光電変換信号として、受光量に応じた電流(電流信号)をアナログ信号処理回路16へ出力する。
なお、受光器は、4分割受光素子30に限定されるものではなく、例えば、第1、第2の受光素子30a、30bを含む2分割受光素子構成、第3、第4の受光素子30c、30dを含む2分割受光素子構成などでもよいし、第1〜第4の受光素子30a〜30dを1列に並設させた構成などでもよく、形状や配置などを含めて任意である。
【0014】
図2に示したように、アナログ信号処理回路16は、光ピックアップ装置12内の受光素子30a〜30dの出力信号である電流信号を電圧信号に変換するI/Vアンプ(電流−電圧変換アンプ)26、ウォブル信号を検出するウォブル信号復調回路27、再生情報を含むRF信号(位相変調により搬送波に再生情報が付加されている)を検出するRF信号検出回路28、およびフォーカスエラー信号やトラックエラー信号を検出するエラー信号検出回路29などを備えている。なお、ウォブル信号は所定の基本周期の搬送波だけを有する搬送波部とその搬送波にアドレス情報などが付加された位相変調波部とから成る。
【0015】
I/Vアンプ26は、図5に示したように、第1〜第4の受光素子30a〜30dからの電流信号を電圧信号(信号Sa〜Sd)に変換するI/Vアンプ26a〜26dを備えている。また、RF信号検出回路28では、これらの電圧信号Sa〜Sdを全て加算し、その加算結果をさらに2値化し、RF信号として検出する。
エラー信号検出回路29では、電圧信号Raと電圧信号Rbとの差分を求め、その結果を2値化し、フォーカスエラー信号として検出するとともに、電圧信号Rcと電圧信号Rdとの差分を求め、その結果を2値化し、トラックエラー信号として検出する。なお、検出されたこれらのフォーカスエラー信号およびトラックエラー信号は、それぞれエラー信号検出回路29からサーボコントローラ18二出力される。
ウォブル信号復調回路27では、電圧信号Sc、Sdに基づきウォブル信号を検出し、デコーダ17へ出力する。なお、このウォブル信号復調回路27の構成については後述する。
デコーダ17では、ウォブル信号復調回路27により検出されたウォブル信号に含まれるADIP情報からアドレス情報、同期信号などを抽出する。そして、抽出したアドレス情報をCPU24へ出力し、同期信号をエンコーダ14へ出力する。また、デコーダ17はRF信号検出回路28により検出されたRF信号に対して復調および誤り訂正処理など再生処理を行う。さらに、デコーダ17は、再生データが音楽データ以外(例えば、画像データや文書データなど)の場合、データに付加されたチェックコードに基づいてエラーチェックおよびエラー訂正処理を行い、バッファマネージャ21を介して再生データをバッファRAM19に格納する。
【0016】
サーボコントローラ18は、エラー信号検出回路29により検出されたフォーカスエラー信号に基づいて光ピックアップ装置12のフォーカシングアクチュエータを制御する制御信号を作成し、モータドライバ15へ出力する。また、サーボコントローラ18は、エラー信号検出回路29により検出されたトラックエラー信号に基づいて光ピックアップ装置12のトラッキングアクチュエータを制御する制御信号を作成し、モータドライバ15へ出力する。
D/A変換器20は、光ディスク1に記録されているデータが音楽データの場合に、デコーダ17の出力信号をアナログデータに変換し、オーディオ信号とてオーディオ機器などへ出力する。
バッファマネージャ21は、バッファRAM19へのデータ蓄積を管理し、蓄積されたデータ量が所定値になると、CPU24に通知する。
モータドライバ15は、サーボコントローラ18からの制御信号に基づいて、光ピックアップ装置12のフォーカシングアクチュエータおよびトラッキングアクチュエータを駆動する。また、モータドライバ15は、CPU24の指示に基づいて光ディスク1が線速度一定(CLV方式)または回転数一定(CAV方式)となるようにスピンドルモータ11を制御する。さらに、モータドライバ15は、CPU24の指示に基づいてシークモータを駆動し、光ピックアップ装置12のスレッジ方向(光ディスク1の半径方向)の位置を制御する。
【0017】
エンコーダ14は、バッファRAM19に蓄積されているデータに対して、エラー訂正コードの付加などを行い、光ディスク1への書き込みデータを作成する。そして、CPU24からの指示に基づいて、デコーダ17からの同期信号に同期させて、書き込みデータをレーザコントロール回路13へ出力する。
レーザコントロール回路13は、エンコーダ14からの書き込みデータに基づいて光ピックアップ装置12内の半導体レーザの出力を制御する。そして、レーザコントロール回路13は、記録中に、マーク記録期間とスペース記録期間とに同期したタイミング信号をウォブル信号復調回路27へ出力する。
インタフェース22は、ホスト装置(例えばパーソナルコンピュータ)との双方向の通信インタフェースであり、ATAPI(At Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)など、標準インタフェースに準拠している。
CPU24は、ROM23に格納されているプログラムに従って前記したような各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどを一時的にRAM25に保存する。
【0018】
図6は、ウォブル信号復調回路27およびその出力側の実施形態を、本発明が実施される前の構成(つまり従来の構成)で示した構成ブロック図である。以下、図6に示したウォブル信号復調回路27などを説明する。
図示したように、I/Vアンプ26c、26dからの電圧信号Sc、Sdが入力されるサンプルホールド回路(S/H)41a、41bを備え、そのS/H41a、41bの出力側にはサンプルホールド後の電圧信号Sc、Sdの振幅のバランスをとるバランスAGC42を備えている。バランスAGC42の出力側にはサンプルホールド後の電圧信号Scと電圧信号Sdとの差“Sc−Sd”を演算する減算器43を設けている。この減算器43の出力側にはフィルタ回路44を備え、このフィルタ回路44は、BPF(帯域通過フィルタ)45により搬送周波数成分を通過させるデジタルウォブル信号用のBPF経路と、HPF(高域通過フィルタ)46とLPF(低域通過フィルタ)47とにより搬送周波数成分以外の情報成分(変調成分)を通過させるアナログウォブル信号用の“HPF+LPF”経路とからなる。BPF45の出力側には例えばコンパレータを用いた2値化器48を設けている。
2値化器48から得られるデジタルウォブル信号S4に対してはその安定化のためのPLL回路49とタイミング調整用の遅延(delay)回路50とを順に備え、さらに、デジタルウォブル信号と同位相の正弦波(sin波)を生成する正弦波発生回路51を備えている。PLL回路49に入力されるデジタルウォブル信号S4はBPF45により所定数端数の搬送周波数成分を持つ請求項1記載の搬送波部の信号であるので、請求項1記載の位相変調波部についてはPLL回路49で補うのである。
【0019】
一方、LPF47の次段にはそのLPF47から得られるアナログウォブル信号S2をデジタルデータに変換するA/D変換器(請求項1記載のデジタル化手段に相当する)52を設けている。乗算器(請求項1記載の復調手段に相当する)53はこのA/D変換器52によりデジタル値に変換されたウォブル信号(請求項1記載のデジタル信号に相当する)と正弦波に変換されたデジタルウォブル信号(請求項1記載のクロック信号に相当する)とを乗算する。この乗算器53の出力側には乗算結果を積分する積分器54を備える。なお、この積分器54八円回路50の出力に同期したタイミング信号を生成・出力するタイミング回路55からのリセット信号によりウォブルの1周期単位でリセットされる。
積分器54の出力側にはサンプルホールド回路(S/H)56を介してADIP情報検出器57が設けられ、ADIP情報S10を出力する。ADIP情報検出器57にはデコーダ17が接続されている。このデコーダ17は、ADIP情報に基づき同期信号ADIPsyncを検出する同期検出器61、エラー訂正処理を行うエラー訂正部62、エラー訂正後のADIP情報に基づきアドレス情報を抽出するアドレス情報抽出部63、遅延回路64などを備えている。
同期検出器61により検出された同期信号ADIPsyncは遅延回路64を介してエンコーダ14に入力され、ライトタイミング信号(記録開始タイミング信号)の生成に供される。このエンコーダ14にはCPU24から所定タイミングでライト命令(またはリード命令)も入力され、レーザコントロール回路13はこのライト命令がある状態でライトタイミング信号が生成されると記録動作を開始する。
【0020】
図7は図6に示した構成に、アナログ積分部58を追加し、デジタル信号処理部59(図6ではPLL回路49〜正弦波発生回路51、乗算器53〜ADIP情報検出器57)から積分器54とS/H回路56を削除したものである。
図7に示したように、アナログウォブル信号S2はアナログ積分部58に入り、第1の積分器(INTEG1)71ではウォブル信号の最初の1/2周期の期間だけそのウォブル信号を積分し、残りの1/2周期の間にリセットされる。図8に示したINT1、INT2は積分タイミングを示す波形であり、CLR1、CLR2は積分出力リセットを示す波形である(信号がHighレベルのときに積分/リセット)。但し、図9に示したように、積分タイミングパルス(図9ではINT1)の中心はアナログウォブル(WBL)信号の1/2周期の中心(つまり1/4周期の位置)に設定するのが良い。また積分タイミングとリセットの間隔は可能な限り開ける方が良い。
また、第2の積分器(INTEG2)72では、第1の積分器(INTEG1)71と同じ動作を1/2周期ずらして行う。積分器71、72の出力波形は図8に示したINTEG1出力S17とINTEG2出力S18である。なお、前記積分器71、72は請求項記載の積分手段を実現している。
この後、S17とS18はマルチプレクサ(MUX)73に入力され、図8に示したSEL1のタイミングで、INTEG1出力S17とINTEG2出力S18が交互に選択される(SEL1波形がHighのときにINTEG1出力を選択し、SEL1波形がLowのときにINTEG2出力を選択)。その結果が、WBLO波形S19となり、デジタル信号処理部59に入力され、A/D変換器52によりA/D変換される。なお、第2のタイミング回路74は第1の積分器71、第2の積分器72、およびマルチプレクサ73へ出力するタイミングパルスを生成する。
【0021】
A/D変換は、図9に示したように、積分タイミングパルス(INT1/2)とリセットタイミングパルス(CLR1/2)の間に行う。A/D変換のサンプリングはウォブル1周期に2回行えばよい(INTEG1積分結果に対して1回、INTEG2積分結果に対して1回サンプリングする)。その後、A/D変換器出力S20(請求項1記載のデジタル信号に相当する)は、図8に示したような信号波形になり、正弦波S23(請求項1記載のクロック信号に相当し、分解能はウォブル1周期に2回でよいので正弦波というより矩形波)が乗算器53により乗算される。この乗算の結果、S21は図8に示したようになり、そこから、ADIP情報S22が得られる。
A/D変換器52の負荷を16サンプルと2サンプルで比較すると以下のようになる。光ディスク装置10が16倍速で動作する場合、ウォブル1周期の時間は76.5nsである。したがって、このとき、ウォブル1周期につき16回サンプリングした場合、4.78nsに1回サンプリングしなければならない。しかし、ウォブル1周期につき2回サンプリングした場合は、38.25nsに1回サンプリングすればよいので、A/D変換器52の負荷を低減でききる。
しかしながら、この図7および図8に示した方法では、ディスク駆動機構や光ディスク媒体のバラツキにより、積分出力振幅が必要以上に小さかったり(つまり特許文献1の問題が十分には解決されていない)大きかったりする。積分出力振幅が小さ過ぎた場合はウォブル復調結果に誤りが発生する。また、積分出力振幅が大き過ぎた場合はダイナミックレンジを超えてしまう。
【0022】
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
図10はこの実施例のウォブル信号復調回路要部の構成を示すブロック図である。図示したように、図7に示した構成に加えて、デジタル信号処理部59a内にA/D変換器76、77を備え、さらに、第1の積分器(INTEG1)71aと第2の積分器(INTEG2)72a内にはそれぞれ、積分回路を構成する抵抗R(図示しない)として、切り替え可能に複数備えるとともに、抵抗Rの切り替えを行うための速度レジスタ78、79を備える。A/D変換器76、77を備えたのは積分出力振幅のレベルを検知するためである。なお、この実施例では、請求項記載の積分速度設定手段が、CPU24、A/D変換器76、77、速度レジスタ78、79などにより実現される。
また、この実施例ではコンデンサCと抵抗Rで積分時定数を実現しており、時定数C×Rの値を大きくすることにより積分速度を下げ、時定数C×Rの値を小さくすることにより積分速度を上げる。図示したように、速度レジスタ78、79にはデータバスラインBが接続されおり、CPU24(図6参照)がこのバスラインBを用いて抵抗Rを選択するための値を速度レジスタ78、79に書き込むことにより速度を複数段階に切り替える。
【0023】
図11に示したように、A/D変換器76(ADC2)では、デジタルパルスINT1とデジタルパルスCLR1の中間で積分器71a(INTEG1)をサンプリングするようにする。A/D変換器77(ADC3)では、デジタルパルスINT2とデジタルパルスCLR2の中間で積分器72a(INTEG2)をサンプリングするようにする。そして、CPU24がA/D変換器76、77(ADC2、3)の出力値(図10に示した振幅情報1、振幅情報2)を取得し、その出力値から積分器71a、72a(INTEG1、2)の出力振幅が適切なレベルか否かを判定し、その判定結果に従って前記した抵抗Rの値を速度レジスタ78、79に書き込む。つまり、積分器71a、72aのHighレベルが所定の値より低い場合には抵抗Rの値を小さくすることにより時定数を小さくして積分速度を速くし、積分器71a、72aのHighレベルが所定の値より高い場合には抵抗Rの値を大きくすることにより時定数を大きくして積分速度を遅くする。
なお、A/D変換器76、77の出力値を用いた速度レジスタ78、79への書き込みは、例えば、利用者が図示しない操作部により積分速度切り替えを指示したとき、稼動開始時、光ディスク媒体や駆動系の部品などを交換したとき、あるいはディスク位置ごと、所定の時間間隔ごとである。ディスク位置ごとに行うというのは、具体的には読み取りディスク位置が内周か外周かにより読み取り領域を複数の領域に分割し、CPU24は最新読み取り時の読み取り領域を記憶しておき、当該読み取り時には当該読み取り領域が記憶されている読み取り領域と異なるかどうかを判定し、異なる場合に積分速度切り替えを実行するのである。内周と外周では搬送波から生成されるクロック信号の周期が異なる可能性があるので、このような積分速度切り替えが特に有効になる。
こうして、この実施例によれば、積分出力振幅を常に適切な大きさにすることができ、したがって、積分出力振幅が小さ過ぎてウォブル復調結果に誤りが発生するとか、積分出力振幅が大き過ぎてダイナミックレンジを超えてしまうというような問題を回避できる。
【0024】
[実施例2]
図12はこの実施例のウォブル信号復調回路要部の構成を示すブロック図である。図示したように、図10に示した構成に加えて、積分器71a、72aの出力のサンプルホールドを行うサンプルホールド回路80、81を備えている。サンプルホールド回路80、81を備えるのはタイミングマージンを上げるためである。A/D変換ではアナログ信号の1点をサンプリングしてデジタル信号にするのに対して、サンプルホールド回路では、積分器71a、72aでアナログ的に充電してその充電した信号をホールドするので、タイミングのズレがA/D変換の場合のように問題になることはないのである。なお、この実施例では、請求項記載の積分速度設定手段が、実施例1と同様にCPU24、A/D変換器76、77、速度レジスタ78、79などにより実現され、サンプルホールド手段がサンプルホールド回路80、81により実現される。
このような構成で、この実施例では、マルチプレクサ(MUX)73にはサンプルホールド回路80、81の出力が入力される。
【0025】
図13に示したように、A/D変換器76(ADC2)では、デジタルパルスSH1がLowレベルのときにサンプルホールド回路80(S/H1)の出力をサンプリングする。また、A/D変換器77(ADC3)では、デジタルパルスSH2がLowレベルのときにサンプルホールド回路81(S/H2)の出力をサンプリングする。そして、CPU24はA/D変換器77、78の出力レベルにより積分器71、72の出力振幅が適切なレベルか否かを判定する。
具体的には、サンプルホールド回路80の出力振幅を示すA/D変換器76のデジタル値が所定の振幅レベルより下であれば、速度レジスタ78に設定する抵抗Rの値を小さくして積分速度を上げる。A/D変換器76のデジタル値が所定の振幅レベルより上であれば、速度レジスタ78に設定する抵抗Rの値を大きくして積分速度を下げる。また、サンプルホールド回路81の出力振幅を示すA/D変換器77のデジタル値が所定の振幅レベルより下であれば、速度レジスタ79により同様にして積分速度を上げる。A/D変換器77のデジタル値が所定の振幅レベルより上であれば、速度レジスタ79により同様にして積分速度を下げる。
なお、A/D変換器76、77の出力値を用いた速度レジスタ78、79への書き込みを行うのは、実施例1と同様に例えば、利用者が図示しない操作部により積分速度切り替えを指示したとき、稼動開始時、光ディスク媒体や駆動系の部品などを交換したとき、あるいはディスク位置ごと、所定の時間間隔ごとである。
こうして、この実施例によれば、実施例1と同様の効果を得られるだけでなく、積分出力のサンプルホールドを行うことによりタイミングマージンを上げることもできる。
【0026】
以上、請求項記載の円盤状記録メディアが光ディスクであり、記録再生装置が光ディスク装置の場合で説明したが、本発明が実施可能な円盤状記録メディアは光ディスクに制限されず、例えば磁気ディスクであってもよいし、記録再生装置は例えば磁気ディスク装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態を示す光ディスク要部の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の構成図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の他の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の他の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路の構成図である。
【図7】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図8】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【図9】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路要部の他のタイミング・波形図である。
【図10】本発明の第1の実施例を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図11】本発明の第1の実施例を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【図12】本発明の第2の実施例を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図13】本発明の第2の実施例を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【図14】従来技術の一例を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図15】従来技術の一例を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【符号の説明】
【0028】
1 光ディスク、10 光ディスク装置、16 アナログ信号処理回路、24 CPU、27 ウォブル信号復調回路、51 正弦波発生回路、52 A/D変換器、53 乗算器、54 積分器、55 タイミング回路、57 ADIP情報検出器、58 アナログ積分部、59 デジタル信号処理部、71 第1の積分器、72 第2の積分器、76、77 A/D変換器、78、79 速度レジスタ、80、81 サンプルホールド回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇行したトラックが形成された光ディスクなど記録媒体から読み出した位相変調されたウォブル信号を復調する位相復調技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなど円盤状の記録メディアでは一般的に、CLV(線速度一定)回転制御を行ったときに記録再生される搬送波信号の周波数が一定になるようにトラックを蛇行(ウォブリング)させるフォーマットを採用している。そのため、その記録再生装置では一種の搬送波信号であるウォブル信号を検出して記録メディアの回転を制御したり、記録用クロックを生成したりしている。また、未記録領域で記録位置の特定ができるようにアドレス情報も必要であるが、例えばCD−R(Compact Disk-Recordable)では前記したウォブル信号に周波数変調や位相変調を施してアドレスデータを重畳している。また、復調については、例えば位相変調信号から搬送波信号を抽出し、位相変調信号と搬送波信号との位相を比較することにより復調する。
具体的には、蛇行したトラックを用いた代表的な従来の位相復調技術では、記録メディアより得られたウォブル信号から搬送波を抽出(生成)し、その搬送波とウォブル信号を乗算し、乗算結果を積分し、その積分結果に基づいて位相復調信号を得る。しかし、この従来技術の場合、ウォブル信号にノイズが重畳されると位相復調の性能が落ち、誤検出を頻繁に発生するようになる。
そのような背景から、ウォブル信号にノイズが重畳された場合でも誤検出を少なくできる、特許文献1に示された位相復調技術が提供されている。以下、特許文献1に示された位相復調技術について説明する。
【0003】
図14は特許文献1に示されているウォブル信号復調回路の構成ブロック図である。ノイズの影響を除去するために積分器54などを備えたことが特徴である。なお、このウォブル信号復調回路は搬送波が分離された後の回路を示している。また、図15には、このウォブル信号復調回路の各部の信号を示す。
図14に示したように、このウォブル信号復調回路は入力されたアナログウォブル信号(搬送波が除かれた信号)S2とデジタルウォブル信号(搬送波信号)S4からADIP(Address In Pre-groove)情報S10を生成する。アナログウォブル信号S2はA/D変換器52でA/D変換される。このA/D変換は、ウォブル信号の1周期につきn回サンプリングされる(nは、アナログウォブル信号の状態にもよるが、8サンプル〜16サンプル程度。図15では16サンプル)。ここで、サンプリングのためのタイミングパルスはデジタルウォブル信号S4から生成される。つまり、デジタルウォブル信号S4はPLL49とタイミング回路55を経由し、タイミングパルスとしてA/D変換器52に与えられるのである。
こうして、A/D変換器52からはS16のような波形の信号が出力され(図15参照)、このS16は正弦波発生器51で生成された正弦波S6と乗算される。なお、正弦波の分解能はウォブル1周期につきn回である。乗算結果は、S7(図15参照)のような波形になる。S7は積分器54によりウォブル信号1周期ごとに積分され、S8として示すような積分結果が得られる。この積分結果信号S8はS/H回路によりサンプルホールドされ、S9として示したような波形の信号がADIP情報検出器57に入力される。ADIP情報検出器57では、S9に基づいてADIP情報S10を検出する。このADIP情報には、アドレス情報や同期信号が含まれており、例えば光ディスク装置のリード・ライトなどに用いられる。
【特許文献1】特開2002−74660公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に示された従来技術では、A/D変換器52のサンプリングレートが問題になってくる。光ディスク装置などが高速リード/ライトを行っているときに低速時と同等のサンプリングレートを実現するのはかなり厳しいのである。例えば、光ディスク装置が1倍速動作時においてはウォブル信号1周期の時間は1.22usで、このとき、ウォブル信号1周期につき16回サンプリングした場合、75nsに1回サンプリングすることになる。それに対して、16倍速動作時においてはウォブル信号1周期の時間は76.5nsであるので、このとき、ウォブル信号1周期につき16回サンプリングした場合、4.78nsに1回サンプリングしなければいけない。仮に8回サンプリングする場合でも、9.56nsに1回サンプリングしなければいけない。
このサンプリング周期の厳しさは具体的にはアナログウォブル信号の積分タイミングの厳しさである。積分タイミングパルスの中心が、アナログウォブル(WBL)信号の1/2周期の中心(つまり1/4周期の位置)になるように設定されてなければならないからである(図9参照)。ディスク駆動機構や光ディスク媒体のバラツキにより、ある光ディスク装置では、積分タイミングパルスの中心がアナログウォブル信号の1/2周期の中心にきていても、違う光ディスク装置では、そうならないこともある。この位置がずれてしまうと、積分器出力の振幅も小さくなってしまい、その結果、ADIP情報(S10)の信頼性を低下させるのである。
この対策として、図7に示した構成が考えられる。この構成は図6に示した構成(後述)に、アナログ積分部58を追加し、デジタル信号処理部59(図6ではPLL回路49〜正弦波発生回路51、乗算器53〜ADIP情報検出器57)から積分器54とS/H回路56を削除したものである。
【0005】
図7に示したように、アナログウォブル信号S2はアナログ積分部58に入り、第1の積分器(INTEG1)71ではウォブル信号の最初の1/2周期の期間だけそのウォブル信号を積分し、残りの1/2周期の間にリセットされる。図8に示したINT1、INT2は積分タイミングを示す波形であり、CLR1、CLR2は積分出力リセットを示す波形である(信号がHighレベルのときに積分/リセット)。
また、第2の積分器(INTEG2)72では、第1の積分器(INTEG1)71と同じ動作を1/2周期ずらして行う。積分器71、72の出力波形は図8に示したINTEG1出力S17とINTEG2出力S18である。
この後、S17とS18をマルチプレクサ(MUX)73に入力させ、図8に示したSEL1のタイミングで、INTEG1出力S17とINTEG2出力S18を交互に選択する(SEL1波形がHighのときにINTEG1出力を選択し、SEL1波形がLowのときにINTEG2出力を選択)。その結果であるWBLO波形S19をデジタル信号処理部59に入力させ、A/D変換器52によりA/D変換する。なお、第2のタイミング回路74は第1の積分器71、第2の積分器72、およびマルチプレクサ73へ出力するタイミングパルスを生成する。
【0006】
A/D変換は、図9に示したように、積分タイミングパルス(INT1/2)とリセットタイミングパルス(CLR1/2)の間に行う。A/D変換のサンプリングはウォブル1周期に2回行えばよい(INTEG1積分結果に対して1回、INTEG2積分結果に対して1回サンプリングする)。その後、A/D変換器出力S20は、図8に示したような信号波形になり、正弦波S23が乗算器53により乗算される。この乗算の結果、S21は図8に示したようになり、そこから、ADIP情報S22が得られる。
A/D変換器52の負荷を16サンプルと2サンプルで比較すると以下のようになる。光ディスク装置10が16倍速で動作する場合、ウォブル1周期の時間は76.5nsである。したがって、このとき、ウォブル1周期につき16回サンプリングした場合、4.78nsに1回サンプリングしなければならない。しかし、ウォブル1周期につき2回サンプリングした場合は、38.25nsに1回サンプリングすればよいので、A/D変換器52の負荷を低減でききる。
しかしながら、この図7および図8に示した方法では、ディスク駆動機構や光ディスク媒体のバラツキにより、積分出力振幅が必要以上に小さかったり(つまり特許文献1の問題が十分には解決されていない)大きかったりする。積分出力振幅が小さ過ぎた場合はウォブル復調結果に誤りが発生する。また、積分出力振幅が大き過ぎた場合はダイナミックレンジを超えてしまう。
本発明は、前記したような従来技術の問題を解決しようとするものであり、具体的には、積分出力振幅を常に適切な大きさにすることができるウォブル信号復調回路などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、請求項1記載のウォブル信号復調回路は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行う構成にする。
請求項2記載のウォブル信号復調回路は、請求項1記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれの積分出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定する構成にする。
請求項3記載のウォブル信号復調回路は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、該積分手段の積分出力のサンプルホールドを行うサンプルホールド手段と、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行う構成にする。
【0008】
請求項4記載のウォブル信号復調回路は、請求項3記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれのサンプルホールド出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定する構成にする。
請求項5記載のウォブル信号復調回路は、請求項2または4記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はディスク位置ごとまたは所定の時間間隔ごとに前記積分速度を設定する構成にする。
請求項6記載の記録再生装置は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項1記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項7記載の記録再生装置は、請求項6記載の記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項8記載の記録再生装置は、蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項9記載の記録再生装置は、請求項8記載の記録再生装置において、請求項4記載のウォブル信号復調回路を備える。
請求項10記載の方法は、蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第1のデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う構成にする。
【0009】
請求項11記載の方法は、請求項10記載のウォブル信号復調方法において、それぞれの積分出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定する構成にする。
請求項12記載の方法は、蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、それぞれの積分出力のサンプルホールドを行い、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する第1のデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う構成にする。
請求項13記載の方法は、請求項12記載のウォブル信号復調方法において、それぞれのサンプルホールド出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定する構成にする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウォブル信号を復調する際、ノイズを除去するための積分部の積分速度を複数の値中のいずれかに設定でき、設定された積分速度で積分を行い、積分出力振幅に対応するデジタル値に基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号とクロック信号とに基づいて位相復調を行うことができるので、積分出力振幅が小さすぎる場合には積分速度を速くし積分出力振幅が大きすぎる場合には積分速度を遅くすることにより、積分出力振幅を常に適切な大きさにすることができ、したがって、積分出力振幅が小さ過ぎてウォブル復調結果に誤りが発生するとか、積分出力振幅が大き過ぎてダイナミックレンジを超えてしまうといった事態を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面により本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対位置などは特定的な記載がない限りこの説明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の一実施形態を示す、光ディスク装置で用いる、DVDやCD−RWなど光ディスク1の要部である。この光ディスク1は、図1(a)に示したように、周期的に蛇行(ウォブリング)させた情報トラック2を備え、そのトラック2は図1(b)に示したように光ディスク1の基板上に螺旋状に形成され、位相変調方式(PSK方式=Phase Shift Keying)で変調されたマークがトラック2に予め記録されている。図1(a)において、黒色で示す部分が記録マーク3の例である。
図2は、本発明の一実施形態を示す、光ディスク装置要部の構成ブロック図である。図示したように、この光ディスク装置10は、光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ11、光ピックアップ装置12、レーザコントロール回路13、エンコーダ14、モータドライバ(モータ駆動回路)15、アナログ信号処理回路16、デコーダ17、サーボコントローラ18、バッファRAM19、D/A変換器20、バッファマネージャ21、インタフェース22、ROM23、CPU24、およびRAM25などを備えている。なお、図2に示した矢印は各ブロックの接続関係として代表的な信号や情報の流れを示すものであるが、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
前記光ピックアップ装置12は、光源としての半導体レーザ、レーザコントロール回路13の制御に従ってこの半導体レーザから出射される光束を光ディスク1の記録面に導くとともに、その記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、受光位置に配置されて戻り光束を受光する受光器、および駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、シークモータなど)(いずれも図示せず)などを内蔵している。
【0012】
光ピックアップ装置12内の受光器は、例えば図3(a)に示したように、4分割受光素子30(第1〜第4の受光素子30a〜30d)を含んで構成されている。なお、図3(a)では、便宜上、紙面上下方向をX軸方向、紙面左右方向をY軸方向、紙面垂直方向をZ軸方向とする。第1、第2の受光素子30a、30bは、それぞれ図3(a)における紙面左右方向(Y軸方向)を長辺とする同一の長方形形状を有し、且つ、紙面上下方向(X軸方向)に隣接させて配置されている。また、第3、第4の受光素子30c、30dは、それぞれ図3(a)における紙面上下方向(X軸方向)を長辺とする同一の長方形形状を有し、且つ、紙面左右方向(Y軸方向)に隣接させて配置されている。
そして、図3(b)に示したように、光ディスク1の記録面からの反射光RB(図示の例では光軸がZ方向)は、光ピックアップ装置12の光学系を構成するプリズム31により2方向に分岐され、プリズム31を透過した一方の反射光RB1は第1、第2の受光素子30a、30bに照射される。また、プリズム31によりX軸の負方向に分岐された他方の反射光RB2は反射鏡32により+Z方向にその進行方向が曲げられ、第3、第4の受光素子30c、30dに照射される。
【0013】
図4(a)に示したように、前記において、反射光RBのうち、図4(a)における紙面上側半分の反射光RBaが第1の受光素子30aに照射され、紙面下側半分の反射光RBbが第2の受光素子30bに照射される。また、図4(b)に示したように、反射光RBのうち、図4(b)における紙面右側半分の反射光RBcが第3の受光素子30cに照射され、紙面左側半分の反射光RBdが第4の受光素子30dに照射される。これらの第1〜第4の受光素子30a〜30dのそれぞれは、光電変換を行い、光電変換信号として、受光量に応じた電流(電流信号)をアナログ信号処理回路16へ出力する。
なお、受光器は、4分割受光素子30に限定されるものではなく、例えば、第1、第2の受光素子30a、30bを含む2分割受光素子構成、第3、第4の受光素子30c、30dを含む2分割受光素子構成などでもよいし、第1〜第4の受光素子30a〜30dを1列に並設させた構成などでもよく、形状や配置などを含めて任意である。
【0014】
図2に示したように、アナログ信号処理回路16は、光ピックアップ装置12内の受光素子30a〜30dの出力信号である電流信号を電圧信号に変換するI/Vアンプ(電流−電圧変換アンプ)26、ウォブル信号を検出するウォブル信号復調回路27、再生情報を含むRF信号(位相変調により搬送波に再生情報が付加されている)を検出するRF信号検出回路28、およびフォーカスエラー信号やトラックエラー信号を検出するエラー信号検出回路29などを備えている。なお、ウォブル信号は所定の基本周期の搬送波だけを有する搬送波部とその搬送波にアドレス情報などが付加された位相変調波部とから成る。
【0015】
I/Vアンプ26は、図5に示したように、第1〜第4の受光素子30a〜30dからの電流信号を電圧信号(信号Sa〜Sd)に変換するI/Vアンプ26a〜26dを備えている。また、RF信号検出回路28では、これらの電圧信号Sa〜Sdを全て加算し、その加算結果をさらに2値化し、RF信号として検出する。
エラー信号検出回路29では、電圧信号Raと電圧信号Rbとの差分を求め、その結果を2値化し、フォーカスエラー信号として検出するとともに、電圧信号Rcと電圧信号Rdとの差分を求め、その結果を2値化し、トラックエラー信号として検出する。なお、検出されたこれらのフォーカスエラー信号およびトラックエラー信号は、それぞれエラー信号検出回路29からサーボコントローラ18二出力される。
ウォブル信号復調回路27では、電圧信号Sc、Sdに基づきウォブル信号を検出し、デコーダ17へ出力する。なお、このウォブル信号復調回路27の構成については後述する。
デコーダ17では、ウォブル信号復調回路27により検出されたウォブル信号に含まれるADIP情報からアドレス情報、同期信号などを抽出する。そして、抽出したアドレス情報をCPU24へ出力し、同期信号をエンコーダ14へ出力する。また、デコーダ17はRF信号検出回路28により検出されたRF信号に対して復調および誤り訂正処理など再生処理を行う。さらに、デコーダ17は、再生データが音楽データ以外(例えば、画像データや文書データなど)の場合、データに付加されたチェックコードに基づいてエラーチェックおよびエラー訂正処理を行い、バッファマネージャ21を介して再生データをバッファRAM19に格納する。
【0016】
サーボコントローラ18は、エラー信号検出回路29により検出されたフォーカスエラー信号に基づいて光ピックアップ装置12のフォーカシングアクチュエータを制御する制御信号を作成し、モータドライバ15へ出力する。また、サーボコントローラ18は、エラー信号検出回路29により検出されたトラックエラー信号に基づいて光ピックアップ装置12のトラッキングアクチュエータを制御する制御信号を作成し、モータドライバ15へ出力する。
D/A変換器20は、光ディスク1に記録されているデータが音楽データの場合に、デコーダ17の出力信号をアナログデータに変換し、オーディオ信号とてオーディオ機器などへ出力する。
バッファマネージャ21は、バッファRAM19へのデータ蓄積を管理し、蓄積されたデータ量が所定値になると、CPU24に通知する。
モータドライバ15は、サーボコントローラ18からの制御信号に基づいて、光ピックアップ装置12のフォーカシングアクチュエータおよびトラッキングアクチュエータを駆動する。また、モータドライバ15は、CPU24の指示に基づいて光ディスク1が線速度一定(CLV方式)または回転数一定(CAV方式)となるようにスピンドルモータ11を制御する。さらに、モータドライバ15は、CPU24の指示に基づいてシークモータを駆動し、光ピックアップ装置12のスレッジ方向(光ディスク1の半径方向)の位置を制御する。
【0017】
エンコーダ14は、バッファRAM19に蓄積されているデータに対して、エラー訂正コードの付加などを行い、光ディスク1への書き込みデータを作成する。そして、CPU24からの指示に基づいて、デコーダ17からの同期信号に同期させて、書き込みデータをレーザコントロール回路13へ出力する。
レーザコントロール回路13は、エンコーダ14からの書き込みデータに基づいて光ピックアップ装置12内の半導体レーザの出力を制御する。そして、レーザコントロール回路13は、記録中に、マーク記録期間とスペース記録期間とに同期したタイミング信号をウォブル信号復調回路27へ出力する。
インタフェース22は、ホスト装置(例えばパーソナルコンピュータ)との双方向の通信インタフェースであり、ATAPI(At Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)など、標準インタフェースに準拠している。
CPU24は、ROM23に格納されているプログラムに従って前記したような各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどを一時的にRAM25に保存する。
【0018】
図6は、ウォブル信号復調回路27およびその出力側の実施形態を、本発明が実施される前の構成(つまり従来の構成)で示した構成ブロック図である。以下、図6に示したウォブル信号復調回路27などを説明する。
図示したように、I/Vアンプ26c、26dからの電圧信号Sc、Sdが入力されるサンプルホールド回路(S/H)41a、41bを備え、そのS/H41a、41bの出力側にはサンプルホールド後の電圧信号Sc、Sdの振幅のバランスをとるバランスAGC42を備えている。バランスAGC42の出力側にはサンプルホールド後の電圧信号Scと電圧信号Sdとの差“Sc−Sd”を演算する減算器43を設けている。この減算器43の出力側にはフィルタ回路44を備え、このフィルタ回路44は、BPF(帯域通過フィルタ)45により搬送周波数成分を通過させるデジタルウォブル信号用のBPF経路と、HPF(高域通過フィルタ)46とLPF(低域通過フィルタ)47とにより搬送周波数成分以外の情報成分(変調成分)を通過させるアナログウォブル信号用の“HPF+LPF”経路とからなる。BPF45の出力側には例えばコンパレータを用いた2値化器48を設けている。
2値化器48から得られるデジタルウォブル信号S4に対してはその安定化のためのPLL回路49とタイミング調整用の遅延(delay)回路50とを順に備え、さらに、デジタルウォブル信号と同位相の正弦波(sin波)を生成する正弦波発生回路51を備えている。PLL回路49に入力されるデジタルウォブル信号S4はBPF45により所定数端数の搬送周波数成分を持つ請求項1記載の搬送波部の信号であるので、請求項1記載の位相変調波部についてはPLL回路49で補うのである。
【0019】
一方、LPF47の次段にはそのLPF47から得られるアナログウォブル信号S2をデジタルデータに変換するA/D変換器(請求項1記載のデジタル化手段に相当する)52を設けている。乗算器(請求項1記載の復調手段に相当する)53はこのA/D変換器52によりデジタル値に変換されたウォブル信号(請求項1記載のデジタル信号に相当する)と正弦波に変換されたデジタルウォブル信号(請求項1記載のクロック信号に相当する)とを乗算する。この乗算器53の出力側には乗算結果を積分する積分器54を備える。なお、この積分器54八円回路50の出力に同期したタイミング信号を生成・出力するタイミング回路55からのリセット信号によりウォブルの1周期単位でリセットされる。
積分器54の出力側にはサンプルホールド回路(S/H)56を介してADIP情報検出器57が設けられ、ADIP情報S10を出力する。ADIP情報検出器57にはデコーダ17が接続されている。このデコーダ17は、ADIP情報に基づき同期信号ADIPsyncを検出する同期検出器61、エラー訂正処理を行うエラー訂正部62、エラー訂正後のADIP情報に基づきアドレス情報を抽出するアドレス情報抽出部63、遅延回路64などを備えている。
同期検出器61により検出された同期信号ADIPsyncは遅延回路64を介してエンコーダ14に入力され、ライトタイミング信号(記録開始タイミング信号)の生成に供される。このエンコーダ14にはCPU24から所定タイミングでライト命令(またはリード命令)も入力され、レーザコントロール回路13はこのライト命令がある状態でライトタイミング信号が生成されると記録動作を開始する。
【0020】
図7は図6に示した構成に、アナログ積分部58を追加し、デジタル信号処理部59(図6ではPLL回路49〜正弦波発生回路51、乗算器53〜ADIP情報検出器57)から積分器54とS/H回路56を削除したものである。
図7に示したように、アナログウォブル信号S2はアナログ積分部58に入り、第1の積分器(INTEG1)71ではウォブル信号の最初の1/2周期の期間だけそのウォブル信号を積分し、残りの1/2周期の間にリセットされる。図8に示したINT1、INT2は積分タイミングを示す波形であり、CLR1、CLR2は積分出力リセットを示す波形である(信号がHighレベルのときに積分/リセット)。但し、図9に示したように、積分タイミングパルス(図9ではINT1)の中心はアナログウォブル(WBL)信号の1/2周期の中心(つまり1/4周期の位置)に設定するのが良い。また積分タイミングとリセットの間隔は可能な限り開ける方が良い。
また、第2の積分器(INTEG2)72では、第1の積分器(INTEG1)71と同じ動作を1/2周期ずらして行う。積分器71、72の出力波形は図8に示したINTEG1出力S17とINTEG2出力S18である。なお、前記積分器71、72は請求項記載の積分手段を実現している。
この後、S17とS18はマルチプレクサ(MUX)73に入力され、図8に示したSEL1のタイミングで、INTEG1出力S17とINTEG2出力S18が交互に選択される(SEL1波形がHighのときにINTEG1出力を選択し、SEL1波形がLowのときにINTEG2出力を選択)。その結果が、WBLO波形S19となり、デジタル信号処理部59に入力され、A/D変換器52によりA/D変換される。なお、第2のタイミング回路74は第1の積分器71、第2の積分器72、およびマルチプレクサ73へ出力するタイミングパルスを生成する。
【0021】
A/D変換は、図9に示したように、積分タイミングパルス(INT1/2)とリセットタイミングパルス(CLR1/2)の間に行う。A/D変換のサンプリングはウォブル1周期に2回行えばよい(INTEG1積分結果に対して1回、INTEG2積分結果に対して1回サンプリングする)。その後、A/D変換器出力S20(請求項1記載のデジタル信号に相当する)は、図8に示したような信号波形になり、正弦波S23(請求項1記載のクロック信号に相当し、分解能はウォブル1周期に2回でよいので正弦波というより矩形波)が乗算器53により乗算される。この乗算の結果、S21は図8に示したようになり、そこから、ADIP情報S22が得られる。
A/D変換器52の負荷を16サンプルと2サンプルで比較すると以下のようになる。光ディスク装置10が16倍速で動作する場合、ウォブル1周期の時間は76.5nsである。したがって、このとき、ウォブル1周期につき16回サンプリングした場合、4.78nsに1回サンプリングしなければならない。しかし、ウォブル1周期につき2回サンプリングした場合は、38.25nsに1回サンプリングすればよいので、A/D変換器52の負荷を低減でききる。
しかしながら、この図7および図8に示した方法では、ディスク駆動機構や光ディスク媒体のバラツキにより、積分出力振幅が必要以上に小さかったり(つまり特許文献1の問題が十分には解決されていない)大きかったりする。積分出力振幅が小さ過ぎた場合はウォブル復調結果に誤りが発生する。また、積分出力振幅が大き過ぎた場合はダイナミックレンジを超えてしまう。
【0022】
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
図10はこの実施例のウォブル信号復調回路要部の構成を示すブロック図である。図示したように、図7に示した構成に加えて、デジタル信号処理部59a内にA/D変換器76、77を備え、さらに、第1の積分器(INTEG1)71aと第2の積分器(INTEG2)72a内にはそれぞれ、積分回路を構成する抵抗R(図示しない)として、切り替え可能に複数備えるとともに、抵抗Rの切り替えを行うための速度レジスタ78、79を備える。A/D変換器76、77を備えたのは積分出力振幅のレベルを検知するためである。なお、この実施例では、請求項記載の積分速度設定手段が、CPU24、A/D変換器76、77、速度レジスタ78、79などにより実現される。
また、この実施例ではコンデンサCと抵抗Rで積分時定数を実現しており、時定数C×Rの値を大きくすることにより積分速度を下げ、時定数C×Rの値を小さくすることにより積分速度を上げる。図示したように、速度レジスタ78、79にはデータバスラインBが接続されおり、CPU24(図6参照)がこのバスラインBを用いて抵抗Rを選択するための値を速度レジスタ78、79に書き込むことにより速度を複数段階に切り替える。
【0023】
図11に示したように、A/D変換器76(ADC2)では、デジタルパルスINT1とデジタルパルスCLR1の中間で積分器71a(INTEG1)をサンプリングするようにする。A/D変換器77(ADC3)では、デジタルパルスINT2とデジタルパルスCLR2の中間で積分器72a(INTEG2)をサンプリングするようにする。そして、CPU24がA/D変換器76、77(ADC2、3)の出力値(図10に示した振幅情報1、振幅情報2)を取得し、その出力値から積分器71a、72a(INTEG1、2)の出力振幅が適切なレベルか否かを判定し、その判定結果に従って前記した抵抗Rの値を速度レジスタ78、79に書き込む。つまり、積分器71a、72aのHighレベルが所定の値より低い場合には抵抗Rの値を小さくすることにより時定数を小さくして積分速度を速くし、積分器71a、72aのHighレベルが所定の値より高い場合には抵抗Rの値を大きくすることにより時定数を大きくして積分速度を遅くする。
なお、A/D変換器76、77の出力値を用いた速度レジスタ78、79への書き込みは、例えば、利用者が図示しない操作部により積分速度切り替えを指示したとき、稼動開始時、光ディスク媒体や駆動系の部品などを交換したとき、あるいはディスク位置ごと、所定の時間間隔ごとである。ディスク位置ごとに行うというのは、具体的には読み取りディスク位置が内周か外周かにより読み取り領域を複数の領域に分割し、CPU24は最新読み取り時の読み取り領域を記憶しておき、当該読み取り時には当該読み取り領域が記憶されている読み取り領域と異なるかどうかを判定し、異なる場合に積分速度切り替えを実行するのである。内周と外周では搬送波から生成されるクロック信号の周期が異なる可能性があるので、このような積分速度切り替えが特に有効になる。
こうして、この実施例によれば、積分出力振幅を常に適切な大きさにすることができ、したがって、積分出力振幅が小さ過ぎてウォブル復調結果に誤りが発生するとか、積分出力振幅が大き過ぎてダイナミックレンジを超えてしまうというような問題を回避できる。
【0024】
[実施例2]
図12はこの実施例のウォブル信号復調回路要部の構成を示すブロック図である。図示したように、図10に示した構成に加えて、積分器71a、72aの出力のサンプルホールドを行うサンプルホールド回路80、81を備えている。サンプルホールド回路80、81を備えるのはタイミングマージンを上げるためである。A/D変換ではアナログ信号の1点をサンプリングしてデジタル信号にするのに対して、サンプルホールド回路では、積分器71a、72aでアナログ的に充電してその充電した信号をホールドするので、タイミングのズレがA/D変換の場合のように問題になることはないのである。なお、この実施例では、請求項記載の積分速度設定手段が、実施例1と同様にCPU24、A/D変換器76、77、速度レジスタ78、79などにより実現され、サンプルホールド手段がサンプルホールド回路80、81により実現される。
このような構成で、この実施例では、マルチプレクサ(MUX)73にはサンプルホールド回路80、81の出力が入力される。
【0025】
図13に示したように、A/D変換器76(ADC2)では、デジタルパルスSH1がLowレベルのときにサンプルホールド回路80(S/H1)の出力をサンプリングする。また、A/D変換器77(ADC3)では、デジタルパルスSH2がLowレベルのときにサンプルホールド回路81(S/H2)の出力をサンプリングする。そして、CPU24はA/D変換器77、78の出力レベルにより積分器71、72の出力振幅が適切なレベルか否かを判定する。
具体的には、サンプルホールド回路80の出力振幅を示すA/D変換器76のデジタル値が所定の振幅レベルより下であれば、速度レジスタ78に設定する抵抗Rの値を小さくして積分速度を上げる。A/D変換器76のデジタル値が所定の振幅レベルより上であれば、速度レジスタ78に設定する抵抗Rの値を大きくして積分速度を下げる。また、サンプルホールド回路81の出力振幅を示すA/D変換器77のデジタル値が所定の振幅レベルより下であれば、速度レジスタ79により同様にして積分速度を上げる。A/D変換器77のデジタル値が所定の振幅レベルより上であれば、速度レジスタ79により同様にして積分速度を下げる。
なお、A/D変換器76、77の出力値を用いた速度レジスタ78、79への書き込みを行うのは、実施例1と同様に例えば、利用者が図示しない操作部により積分速度切り替えを指示したとき、稼動開始時、光ディスク媒体や駆動系の部品などを交換したとき、あるいはディスク位置ごと、所定の時間間隔ごとである。
こうして、この実施例によれば、実施例1と同様の効果を得られるだけでなく、積分出力のサンプルホールドを行うことによりタイミングマージンを上げることもできる。
【0026】
以上、請求項記載の円盤状記録メディアが光ディスクであり、記録再生装置が光ディスク装置の場合で説明したが、本発明が実施可能な円盤状記録メディアは光ディスクに制限されず、例えば磁気ディスクであってもよいし、記録再生装置は例えば磁気ディスク装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態を示す光ディスク要部の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の構成図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の他の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す光ディスク装置要部の他の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路の構成図である。
【図7】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図8】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【図9】本発明の一実施形態を示すウォブル信号復調回路要部の他のタイミング・波形図である。
【図10】本発明の第1の実施例を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図11】本発明の第1の実施例を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【図12】本発明の第2の実施例を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図13】本発明の第2の実施例を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【図14】従来技術の一例を示すウォブル信号復調回路要部の構成図である。
【図15】従来技術の一例を示すウォブル信号復調回路要部のタイミング・波形図である。
【符号の説明】
【0028】
1 光ディスク、10 光ディスク装置、16 アナログ信号処理回路、24 CPU、27 ウォブル信号復調回路、51 正弦波発生回路、52 A/D変換器、53 乗算器、54 積分器、55 タイミング回路、57 ADIP情報検出器、58 アナログ積分部、59 デジタル信号処理部、71 第1の積分器、72 第2の積分器、76、77 A/D変換器、78、79 速度レジスタ、80、81 サンプルホールド回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行うことを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項2】
請求項1記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれの積分出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項3】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、該積分手段の積分出力のサンプルホールドを行うサンプルホールド手段と、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行うことを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項4】
請求項3記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれのサンプルホールド出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項5】
請求項2または4記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はディスク位置ごとまたは所定の時間間隔ごとに前記積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項6】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項1記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項7】
請求項6記載の記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項8】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項9】
請求項8記載の記録再生装置において、請求項4記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項10】
蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第1のデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行うことを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項11】
請求項10記載のウォブル信号復調方法において、それぞれの積分出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項12】
蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、それぞれの積分出力のサンプルホールドを行い、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する第1のデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行うことを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項13】
請求項12記載のウォブル信号復調方法において、それぞれのサンプルホールド出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項1】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行うことを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項2】
請求項1記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれの積分出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項3】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得された所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路であって、前記搬送波から生成されたクロック信号に同期して前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する積分手段と、該積分手段の積分出力のサンプルホールドを行うサンプルホールド手段と、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成するデジタル化手段と、前記デジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行う復調手段とを含むウォブル信号復調回路において、前記積分手段の積分速度を複数の値中のいずれかに設定する積分速度設定手段を備え、前記積分手段は該積分速度設定手段の設定した積分速度に応じて積分を行うことを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項4】
請求項3記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はそれぞれのサンプルホールド出力に対応して生成されたデジタル値に基づいて積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項5】
請求項2または4記載のウォブル信号復調回路において、前記積分速度設定手段はディスク位置ごとまたは所定の時間間隔ごとに前記積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調回路。
【請求項6】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項1記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項7】
請求項6記載の記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項8】
蛇行したトラックが形成された円盤状記録メディアの記録面から取得されたウォブル信号を復調するウォブル信号復調回路を備えた記録再生装置において、請求項2記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項9】
請求項8記載の記録再生装置において、請求項4記載のウォブル信号復調回路を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項10】
蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、前記前半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第1のデジタル値と前記後半部分の積分出力に対応する少なくとも1つの第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行うことを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項11】
請求項10記載のウォブル信号復調方法において、それぞれの積分出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項12】
蛇行したトラックが形成された記録メディアの記録面から取得された、所定の基本周期の搬送波を有する搬送波部とその搬送波に所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するウォブル信号復調方法において、それぞれの積分速度を複数の値中のいずれかに設定しておき、前記搬送波部から生成されたクロック信号に同期して、それぞれ設定された積分速度で前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分を行い、それぞれの積分出力のサンプルホールドを行い、前記前半部分のサンプルホールド出力に対応する第1のデジタル値と前記後半部分のサンプルホールド出力に対応する第2のデジタル値とに基づいてデジタル信号を生成し、そのデジタル信号と前記クロック信号とに基づいて前記位相変調波部の位相復調を行うことを特徴とするウォブル信号復調方法。
【請求項13】
請求項12記載のウォブル信号復調方法において、それぞれのサンプルホールド出力に対応するデジタル値に基づいてそれぞれの積分速度を設定することを特徴とするウォブル信号復調方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
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【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−157267(P2007−157267A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352735(P2005−352735)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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