説明

ウォブル信号復調装置及びウォブル信号復調方法

【課題】クロストーク強度に応じて適切に検出窓と同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを調整する。
【解決手段】本発明に係るウォブル信号復調装置において、ユニットシンク検出部203は、ウォブル信号から同期信号を検出する。ユニットシンク周期保護部206は、同期信号の間隔が所定の期間一定である場合に、当該同期信号の検出位置を同期位置として同期を確立する。また、ユニットシンク周期保護部206は、同期を確立した状態において、同期位置を基に同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を生成する。クロストーク判定部211は、同期信号の検出間隔が所定周期である回数に応じて、クロストーク強度を判定する。ユニットシンク周期保護部206は、判定されたクロストーク強度に応じて、検出窓と同期信号がずれているか否かを監視する前方保護期間の長さを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクから得られるウォブル信号の復調技術に関し、特にMSK(Minimum Shift Keying)変調されたウォブル信号の復調技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクには、DVD±R/RW、DVD−RAM、HDDVD−R/RW/RAM、BD(Blu-ray Disc)−R/REなどの種々の規格がある。これらの光ディスクの記録膜には、らせん状の記録トラックに沿ってレーザ光を案内するための溝(グルーブ)が形成されている。この溝はそれぞれの規格で定められた周波数と振幅で蛇行している。
【0003】
グルーブの蛇行をウォブル(Wobble)といい、その再生信号はウォブル信号と呼ばれる。ディスクに対して再生又は記録動作をする際に、一般的にPLL(Phase Locked Loop)回路により、ウォブル信号をA/D変換して得たデジタルウォブルを規定周波数に逓倍することで基準クロックが生成される。
【0004】
ウォブル信号には、PLL回路の動作を阻害しない範囲で一部に変調を加えることによって、再生又は記録時に必要なディスク上の物理位置を示すアドレス情報が埋め込まれている。このように変調されたウォブル信号は、ADIP(Address In Pre-Groove)と呼ばれる。
【0005】
ウォブル変調の方式は規格によって様々であり、例えばBDの場合には、MSK(Minimum Shift Keying)と呼ばれる変調方式が用いられる。ここでBDを例にしてMSK変調方式のADIPについて説明する。BDのADIPフォーマットには、ADIPユニット、ADIPワード、RUB(Recording Unit Block)の3種類の単位が規定されている。
【0006】
ADIPユニットは、同期信号を確立するための単位である。1つのADIPユニットは、56ウォブルで構成される。1ウォブルは69Tを有する。なお、「T」は、記録又は再生動作の最小単位時間であり、前述した基準クロックの1周期に該当する。
【0007】
また、ADIPユニットには、モノトーンウォブル、MSKウォブル、STW(Saw Tooth Wobble)が存在する。これらのウォブルの組み合わせにより、モノトーン、リファレンスユニット、シンクユニット(シンク0ユニット、シンク1ユニット、シンク2ユニット、シンク3ユニット)、データユニット(データユニット1、データユニット0)の種々のADIPユニットが構成される。
【0008】
図7は、ADIPユニットを示す。図中黒い四角は、MSKウォブルを示し、白い四角はMSKウォブル以外のウォブルを示す。図に示すように、MSKウォブルは、アナログウォブルのMSK変調された部分(MSK変調部)に対応する。MSK変調方式では、2つの周波数が用いられる。一方は基準キャリア信号と同一の周波数であり、他方は基準キャリア信号の1.5倍の周波数である。
【0009】
基準キャリア信号をcos(wt)とすると、ADIPにおいては、MSK変調部はcos(1.5ωt)、−cos(ωt)、−cos(1.5ωt)の3キャリア周期区間で構成され、それに対応する3つのウォブルはMSKマークと呼ばれる。
【0010】
なお、モノトーンウォブルは、cos(ωt)のウォブルであり、STWは、「cos(ωt)−(1/4)×sin(2ωt)」又は「cos(ωt)+(1/4)×sin(2ωt)」のウォブルである。
【0011】
図7に示すように、各種のADIPユニットの先頭3ウォブル(0〜2キャリア周期目)はMSKウォブルである。これらのMSKウォブルは、再生又は記録時のビット同期をとるための同期信号として機能する。以下の説明において、1つのADIPユニットを構成する56ウォブルを同期ブロックともいう。
【0012】
また、モノトーンユニットとリファレンスユニット以外のADIPユニットには、先頭の3ウォブル以外に、その後もMSKマークが設けられており、それらの位置によって、ADIPユニットの種類を識別することができる。例えば、13〜15個目のウォブル(12〜14キャリア周期目)がMSKマークであるADIPユニットは、アドレス情報のデータビットが「1」であることを示すデータユニット1であり、15〜17個目のウォブル(14〜16キャリア周期目)がMSKウォブルであるADIPユニットは、アドレス情報のデータビットが「0」であることを示すデータユニット0である。
【0013】
図8は、ADIPワードの構成を示す。ADIPワードはアドレス情報を復号するための単位であり、83個のADIPユニットで構成される。アドレス情報に対する誤り検出及び訂正はADIPワード単位で行われる。
【0014】
ADIPワードを構成する83個のADIPユニットのうちの先頭の8個のADIPユニットは、モノトーンユニット、シンク0ユニット、モノトーンユニット、シンク1ユニット、モノトーンユニット、シンク2ユニット、モノトーンユニット、シンク3ユニットである。これらのADIPユニットを基にADIPワード内のオフセット位置が特定される。
【0015】
ADIPワード先頭から2/4/6/8番目のADIPユニットにはそれぞれシンク0/1/2/3ユニットが配置され、ADIPワードの同期信号を示す。アドレスを示すデータユニット0/1は10番目以降のADIPユニットに配置されている。アドレスに対する誤り検出・訂正もADIPワード単位で行われる。
【0016】
ADIPワードの9個目からの75個のADIPユニットは4×15ビットのアドレスコードと誤り検出/訂正用の冗長コードを示す。これらを復号することによりディスク上のアドレス情報を得ることができる。図9はRUB(Recoring Unit Block)を示す。図9に示すように、RUBは、3つのADIPワードにより構成される。ディスクへのデータの記録はこのRUB単位で行われる。
【0017】
このように、ADIPは複数の同期ブロックで構成され、各同期ブロックの先頭には同期信号が設けられている。アドレス情報はディスク上で所定の同期ブロック内の、同期信号の位置を基準とする所定の位置に埋め込まれている。このようなADIPに対して、同期信号を検出して同期をとりアドレス情報を復号することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0018】
ここで、ウォブル信号復調装置によるMSKマークの検出動作について説明する。MSKマーク区間において、キャリア信号とウォブル信号の周波数及び位相が異なるため、この区間のウォブル信号とキャリア信号の乗算出力は負となる。このことを利用して、ウォブル信号とキャリア信号とを乗算し、乗算結果をキャリア周期毎に積算して得た値(S/H値)又は乗算結果を、ローパスフィルタを通過させ、出力値が負となるところをMSKマークとして検出する。
【0019】
図10は、ウォブル信号復調装置によるMSKマークの検出動作のタイミングを示す。図10に示すように、MSKマーク区間において、積算手段により得られるS/H値が負の値となる。この負の値となる区間は、MSK変調部の逆相部分(−cos(ωt))に当たり、以下MSKマーク位置という。検出されたMSKマーク位置からMSK検出信号(MSKパルスともいう)が生成されると共に、MSK検出信号の出力間隔を計測することにより同期をとりアドレス情報がデコードされる。
【0020】
アドレス情報の復号は、ウォブル信号から同期信号(MSK変調方式の場合にはADIPユニットの先頭のMSKマーク)を検出し、検出した同期信号の位置を同期位置とする同期が確立した後に、同期位置に基づいてウォブル信号からビット情報を取得してアドレスを生成することにより行われる。そのため、正しいアドレス情報を得るためには同期信号の位置を正しく検出することが重要である。
【0021】
同期信号の不正な検出を引き起こす大きな要因は、スピンドル動作に対する外乱やディスクの物理的欠陥、クロストークが挙げられる。これの要因のうち、外乱や物理的欠陥は偶発性のものであり、以下偶発ノイズという。一方、クロストークは、光ディスクの記録密度の上昇に伴い、ディスク上のトラック間のピッチが狭くなっていることに起因して発生する。BDのように高密度化したディスクでは、トラック間のピッチが狭いことから、隣接トラックのウォブル間で強いクロストークが発生し、ウォブル信号の劣化や位相反転が生じやすい。
【0022】
ウォブルはディスク上の内周から外周に向って一定の間隔で刻まれているが、ディスクにおける隣接トラック間の周長差に起因して隣接トラック間のウォブルの位相が少しずつ変化している。従って、自己トラックのウォブルに隣接トラックのウォブルがクロストーク成分として加わり、ウォブルの検出位置や振幅に影響を与える。
【0023】
図11は、クロストークのウォブル信号復調装置による処理への影響を示す。図11に示すように、クロストークがある場合、ウォブル信号の波形が変形するため、MSKパルスの出力位置すなわち検出された同期信号の位置が、本来の位置から前後にシフトする場合や消失する場合がある。以下の説明において、検出された同期信号の位置を「検出位置」という。
【0024】
クロストークの発生期間に同期信号の位置を誤って検出し、それに基づいて同期が確立されてしまうと、アドレス情報のデコードは誤った同期位置に基づいて行われることになる。このため、正しいアドレス情報を得ることができず、ディスク上の不正な位置に対して記録又は再生を行ってしまう問題が生じる。
【0025】
そこで、特許文献1では、同期信号の位置を正しく検出する手法が提案されている。いったん同期信号を検出すると、次の同期信号は規格によって決められたタイミングに現れるはずである。特許文献1には、このタイミングを中心とする一定期間のみに検出窓を設けて、設けられた検出窓内においてのみ同期信号の検出を行う手法が開示されている。これにより、同期信号が現れないはずのタイミングにおける、同期信号の誤検出を防ぐことができる。また、特許文献1では、複数の検出窓において同期信号が検出されない連続未検出回数をカウントし、連続未検出回数が閾値以上になった時点で再度同期の確立が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2007−164984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
ところで、このクロストークはディスク上のどの位置でも常に発生し得るが、クロストークによる影響度合いには強弱がある。クロストークが弱い区間では検出ウォブルから正常な二値化ADIPパルスを生成できるが、クロストークが強い区間では二値化ADIPパルスの位相ずれや消失が発生しやすい。なお、クロストークが強く発生する区間は、光ディスクの周方向に一定の間隔で出現する傾向がある。クロストークが強い区間では、クロストークの影響により同期信号がずれたり消失したりして、対応する検出窓において同期信号が検出されないものの、クロストークが弱い区間に戻ると実際は同期がずれていない場合がある。
【0028】
特許文献1に記載の構成では、同期信号が対応する検出窓内で検出されない回数のみを監視している。クロストークが強い区間では、同期信号の消失等により連続未検出回数が閾値以上となる頻度が高くなり、記録/再生処理の中断が何度も行われ、システムの性能低下を招く要因となる。クロストークに起因して同期信号が消失した場合でも同期状態を維持するために、連続未検出回数の閾値を高く設定することが考えられる。しかし、連続未検出回数の閾値を高くすると、偶発ノイズ等により真にタイミングずれが発生したときに、再度同期の確立を実行するまでに時間がかかるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の一態様に係るウォブル信号復調装置は、光ディスクに形成されたウォブルに対応するウォブル信号を読み出す読出部と、前記読出部が読み出した前記ウォブル信号から同期信号を検出する同期信号検出部と、前記同期信号の間隔が所定の期間一定である場合に、当該同期信号の検出位置を同期位置として同期を確立する周期保護部と、前記同期を確立した状態において、前記同期位置を基に前記同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を生成する検出窓生成部と、前記同期信号の検出間隔が所定周期である回数に応じて、クロストーク強度を判定するクロストーク判定部と、前記クロストーク判定部で判定された前記クロストーク強度に応じて、前記検出窓と前記同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを変更する制御部とを備えるものである。
【0030】
本発明の他の態様に係るウォブル信号復調方法は、光ディスクに形成されたウォブルに対応するウォブル信号を読み出し、前記ウォブル信号から同期信号を検出し、前記同期信号の間隔が所定の期間一定である場合に、当該同期信号の検出位置を同期位置として同期を確立し、前記同期を確立した状態において、前記同期位置を基に前記同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を生成し、前記同期信号の検出間隔が所定周期である回数に応じて、クロストーク強度を判定し、前記クロストーク強度に応じて、前記検出窓と前記同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを変更する。
【0031】
本発明では、クロストーク強度に応じて、検出窓と同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを変更している。このため、強いクロストークによって同期信号が消失した場合でも、同期状態を維持することができる。また、クロストークが弱い区間において真にタイミングずれが発生した場合は、短時間で同期を再確立できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、クロストーク強度に応じて適切に検出窓と同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを調整することができるウォブル信号復調装置及びウォブル信号復調方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置を用いた記録/再生処理を制御するシステムの全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置の一部の構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置による処理の流れを示す図である。
【図4】本実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置による処理の流れを示すタイミングチャートである。
【図5】本実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置による処理の流れを示すタイミングチャートである。
【図6】本実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置による処理の流れを示すタイミングチャートである。
【図7】ADIPユニットの構成を示す図である。
【図8】ADIPワードの構成を示す図である。
【図9】RUBの構成を示す図である。
【図10】MSK変調マークの検出手法を説明するための図である。
【図11】クロストークがMSK変調マークの検出位置に与える影響を説明するための図である。
【図12】図2に記載の光ディスク記録/再生装置と比較するため、特許文献1に記載の光ディスク装置を修正した図である。
【図13】図12に示す光ディスク記録/再生装置による処理の流れを示すタイミングチャートである。
【図14】図12に示す光ディスク記録/再生装置による処理の流れを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の具体的な実施の形態を説明する前に、まず本発明の原理について説明する。本願発明者は、MSK変調されたウォブル信号から同期信号(同期ブロックの先頭のMSKマーク)を検出する際に、クロストークが同期信号の検出位置(MSKマークの中心ウォブルの検出位置)に与える影響について研究を重ねた結果、下記のことを知見した。
【0035】
クロストークが弱い正常期間において、同期信号の検出位置は常に周期内の定位置に安定している。そのため、同期信号の検出位置の間隔が一定である。これに対して、クロストークが強い期間においては、同期信号の検出位置は不安定であり、ウォブル単位でばらつく。そのため、同期信号の検出位置の間隔が一定ではない。
【0036】
本願発明者は、上記知見に基づき、クロストークの判断手法を確立した(特開2009−43301参照)。本願発明では、この判断手法を応用して、クロストークの強い区間と弱い区間の判定を行う。具体的には、同期が確立して同期位置が決まった後、同期信号の検出を継続すると共に、同期位置を基に同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を周期的に生成する。同期信号の検出位置と、該検出位置に対応する検出窓との比較を行い、比較される両者間がずれる回数に応じて、クロストーク強度の判定を行う。
【0037】
本願発明者による特開2009−43301号公報には、クロストークが強い区間でも同期を確立し、真にタイミングがずれている場合はクロストークの弱い区間でタイミングを補正することにより短時間で同期を引き込むことを特長とする発明が記載されている。本願発明では、強いクロストークによって同期信号が消失する場合も同期状態を維持し、かつ、偶発ノイズ等によるタイミングずれが発生した場合は短時間で同期を再確立できるように、クロストーク強度に応じて、同期信号が検出された検出位置と、該検出位置に対応する検出窓との比較を行う前方保護期間の長さを調整する手法を提案する。
【0038】
これにより、クロストークの強い区間でも同期が確立した状態を維持することができ、かつ、クロストークの弱い区間でディスク上の同期信号のタイミングがずれた場合は短時間で同期を再確立することができる。
【0039】
以上の説明を踏まえて、本発明の原理を具現化した装置を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るウォブル信号復調装置を含む光ディスク記録/再生装置100を用いた記録/再生処理を制御するシステムの全体構成を示す図である。光ディスク記録/再生装置100は、MSK変調されたウォブル信号を復調するものであり、例としてBDディスクを処理対象とする。
【0040】
図1に示すように、このシステムは、光ディスク記録/再生装置100、光ディスク101、スピンドルモータ102、モータドライバ103、光学ヘッド104、レーザドライバ115を備える。光ディスク記録/再生装置100は、サーボ回路105、ウォブル回路106、RF(Radio Frequency)回路107、アドレス生成回路108、記録データ符号/再生データ復号回路109、バッファメモリ110、バッファI/F111、システムコントローラ112、ホストPC113、記録補償回路114を備える。
【0041】
光ディスク101は、スピンドルモータ102及びモータドライバ103によって回転制御される。光学ヘッド104は、光ディスク101に対してレーザ光を照射又は反射光を受光することで記録/再生制御を行う。また、光学ヘッド104は、光ディスク101に形成されたウォブルに対応するウォブル信号を読み出す。サーボ回路105は、スピンドルモータ102の回転速度制御や光学ヘッド104のフォーカシング/トラッキング制御を行う。
【0042】
ウォブル回路106は、光学ヘッド104から入力されるウォブル信号に対してA/D変換や二値化を行い、PLL(Phase Locked Loop)回路によって倍速に応じたウォブル基準のチャネルクロックを生成する。また、ウォブル回路106は、ウォブル信号を検波することによって、MSK変調部を検出し、ADIP(Address In Pre-Groove)の同期信号や及びアドレス情報を生成する。
【0043】
RF回路107は、光学ヘッド104から入力されるRF信号に対してA/D変換や二値化を行い、PLLによって倍速に応じたRF基準のチャネルクロックを生成する。また、RF回路107は、RFに含まれる同期信号及びアドレス情報を生成する。
【0044】
アドレス生成回路108は、ウォブル回路106又はRF回路107からチャネルクロックや同期信号、アドレス情報を受け取り、同期の確立及びアドレス生成を行う。記録データ符号/再生データ復号回路109は、バッファメモリ110に保持される記録データの符号化又はRF回路107が出力する再生データの復号化を行う。
【0045】
バッファメモリ110は、ホストPC113から受信した符号化前の記録データ符号/再生データ復号回路109で復号した再生データを蓄積する。システムコントローラ112は、バッファI/F111を介してバッファメモリ110とホストPC113間の通信制御を行う。記録補償回路114は、記録データ符号/再生データ復号回路109で符号化した記録データを基にレーザパルスを制御し、最適なレーザパワーで記録するように調整を行う。
【0046】
図2に、ウォブル回路106と、アドレス生成回路108の具体的な構成を示す。図2に示すように、ウォブル回路106は、位相変調部検出部201を備えている。アドレス生成回路108は、ワードシンク検出部202、ユニットシンク検出部203、データビット検出部204、ワードシンク周期保護部205、ユニットシンク周期保護部206、ワードカウンタ207、ユニットカウンタ208、データラッチ209、誤り訂正部210、クロストーク判定部211、窓生成タイミング選択回路212を備えている。
【0047】
位相変調部検出部201は、入力されるアナログウォブルから同期信号に対応する位相反転部(MSKマーク)を検出して二値化処理を行い、ADIPパルス1を出力する。ADIPパルス1には、未保護ワードシンク2、未保護ユニットシンク3、データビット4を含む。
【0048】
ワードシンク検出部202、ユニットシンク検出部203、データビット検出部204は、位相変調部検出部201が出力する二値化ADIPパルス1からそれぞれ未保護ワードシンク2、未保護ユニットシンク3、データビット4を検出する。すなわち、ワードシンク検出部202、ユニットシンク検出部203、データビット検出部204は、それぞれのシンクの識別回路として機能する。
【0049】
未保護ワードシンク2は、アドレスを復号するための単位であるADIPワードの同期信号を示すものである。未保護ワードシンク2は、図7に示すADIPユニットのうちシンク0ユニット、シンク1ユニット、シンク2ユニット、シンク3ユニットから識別される。ワードシンク検出部202は、ADIPパルス1中の56ウォブルからなる4つのシンクユニットのそれぞれにおいて、3つの位相反転部に対応する3つのパルスの位置を検出して、未保護ワードシンク2を出力する。
【0050】
未保護ユニットシンク3は、56ウォブルからなるADIPユニットの先頭3ウォブルに配置された同期信号(MSKマーク)を示す。すなわち、未保護ユニットシンク3は、56ウォブル周期のパルス信号となる。ユニットシンク検出部203は、ADIPパルス1中の56ウォブルからなるADIPユニットのそれぞれにおいて、先頭3ウォブルからなる位相反転部に対応するパルスの位置を検出して、未保護ユニットシンク3を出力する。
【0051】
データビット4は、アドレスのビット値0/1を示すものである。図7に示すADIPユニットのうち、データユニット0/1から識別される。データビット検出部204は、データユニット0/1のMSKマークを検出し、該MSKマークの位置に応じたデータビット4を出力する。
【0052】
ユニットシンク周期保護部206は、56ウォブル周期の未保護ユニットシンク3に対して同期の確立及び同期状態の監視をシーケンサで制御する。ユニットシンク周期保護部206は、同期信号の間隔が所定の期間一定である場合に、当該同期信号の検出位置を同期位置として同期を確立する。ユニットシンク周期保護部206のシーケンサは、初期状態S00、後方保護状態S01、同期状態S02、前方保護状態S03の4状態を遷移する。
【0053】
ユニットシンク周期保護部206では、同期を確立した状態において、未保護ユニットシンク3の誤検出を防止するため、同期位置を基に同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を生成する。未保護ユニットシンク3は、ユニットシンク周期保護部206で生成した検出窓が開いている間に検出され、閉じている間は検出されない。この検出窓は、シーケンサの状態によって開閉制御が異なる。未保護ユニットシンク3が、検出窓において検出されたものを検出ユニットシンク5とする。検出ユニットシンク5は、同期状態が確立したことを示す。検出窓の生成タイミングについては後述する。
【0054】
図3に、本シーケンサの状態の遷移図を示す。初期状態S00は、最初の未保護ユニットシンク3を探す状態である。初期状態S00では、検出窓は開放されている。最初の未保護ユニットシンク3が見つかると後方保護状態S01に遷移する(A)。初期状態S00は、最初の未保護ユニットシンク3が見つかるまで繰り返し実行される(B)。
【0055】
後方保護状態S01は、同期が確立できるか否かを監視する状態である。所定周期(56ウォブル)の未保護ユニットシンク3を連続で(又は累積で)検出できた場合に、同期状態S02へ遷移する(C)。所定周期の未保護ユニットシンク3を検出できない回数が設定された閾値以上続くと、後方保護状態S01から初期状態S00へ遷移して基準となる未保護ユニットシンク3を検出しなおす(D)。後方保護状態S01のとき検出窓は窓生成タイミング選択回路212が出力するタイミング(ユニットシンクの予測位置)で開く。
【0056】
同期状態S02は同期が確立していることを示す状態であり、一定周期(56ウォブル)でADIPパルス1を検出できている場合は同期状態S02にとどまる(F)。一方、一度でも検出を失敗すると前方保護状態S03へ遷移する(E)。同期状態S02のとき検出窓は窓生成タイミング選択回路212が出力するタイミング(ユニットシンクの予測位置)で開く。
【0057】
前方保護状態S03は完全に同期が外れているか否かを監視する状態である。すなわち、前方保護状態S03とは、同期が確立した後に、検出窓と同期信号がずれているか否かを監視する保護期間である。なお、前方保護状態S03においては、所定の期間、検出窓と同期信号がずれていても、同期状態S02の同期状態が維持される。すなわち、図3中破線で示すように、同期状態S02、前方保護状態S03では同期状態となる。
【0058】
前方保護状態S03において、一度でも所定周期のADIPパルス1を検出する、すなわち、検出窓内に未保護ユニットシンク3が含まれると同期状態S02に復帰する(G)。一方、連続で検出窓内に未保護ユニットシンク3が含まれない場合、初期状態S00へ遷移する(H)。
【0059】
ユニットシンク周期保護部206は、同期状態S02となり、同期が確立した状態となると、ワードシンク周期保護部205、データビット検出部204、ユニットカウンタ208に対して、検出ユニットシンク5を出力する。ワードシンク周期保護部205は、検出ユニットシンク5を受けて、83ADIPユニット周期の未保護ワードシンク2に対して同期の確立及び同期状態の監視をシーケンサで制御する。
【0060】
ユニットカウンタ208は、1ADIPユニット周期のタイミングを生成するためのカウンタである。ユニットシンク周期保護部206において同期が確立した時点の検出ユニットシンク5で光ディスク101と同期をとるために、ユニットカウンタ208の初期のタイミング値がプリセットされる。ユニットカウンタ208は、同期状態S02が確立したことを示す検出ユニットシンク5を受けて、チャネルクロックでタイミングを補間し、1ADIPユニットである56ウォブルをカウントする。
【0061】
ユニットカウンタ208は、検出ユニットシンク5を受けて、ユニットカウンタ208、窓生成タイミング選択回路212、データビット検出部204にユニットタイミング6を出力する。ユニットタイミング6は、1ADIPユニット中の先頭ウォブルで'H'となる。ユニットタイミング6は、未保護ユニットシンク3の検出窓及びデータビット4の検出窓を生成するためのタイミング情報である。
【0062】
ワードカウンタ207は、1ADIPワード周期のタイミングを生成するカウンタである。ワードシンク周期保護部205において、同期が確立した時点の検出ワードシンク9で光ディスク101と同期をとるために、ワードカウンタ207の初期のタイミング値はプリセットされる。同期状態S02では、ワードカウンタ207は、チャネルクロックでタイミングを補間する。ワードカウンタ207は、ユニットタイミング6を受けて、ユニットカウンタ208において56ウォブルカウントされるごとに1カウントアップする。
【0063】
ワードカウンタ207は、未保護ワードシンク2の検出窓を生成するための窓生成タイミング10を生成する。この窓生成タイミング10は、1ADIPワード中の1/3/5/7番目のADIPユニットで'H'となり、ワードシンクのタイミングを示す。未保護ワードシンク2が窓生成タイミング10に基づいて生成される検出窓内において検出されたものが、検出ワードシンク9となる。ワードカウンタ207は、ラッチタイミング11をデータラッチ209に出力する。
【0064】
データビット検出部204は、ユニットタイミング6に基づいて生成される検出窓内においてデータビット4を検出する。データビット4は、誤り訂正部210に入力される。データラッチ209は、ラッチタイミング11に応じて、1ADIPワード分のデータビット4をバッファリングする。誤り訂正部210は、データラッチ209で1ADIPワード分のデータビットがそろった時点でバッファリングデータ12に対して誤り検出・訂正を実行し、ADIPアドレスを生成する。
【0065】
ここで、特許文献1に記載の光ディスク装置における問題点について、図12〜14を参照して説明する。図12は、本発明に係る光ディスク記録/再生装置100と比較するため、特許文献1に記載の光ディスク装置を修正した図である。図13、14は、図12に示すウォブル復調装置による処理の流れを示すタイミングチャートである。
【0066】
図12に示すように、ウォブル回路106には、位相変調部検出部301が設けられている。また、アドレス生成回路108は、ワードシンク検出部302、ビットシンク検出部303、データビット検出部304、ワードシンク周期保護部305、ビットシンク周期保護部306、データビット周期保護部307、ワードカウンタ308、2フレームカウンタ309、データラッチ310、誤り訂正部311を有する。
【0067】
図2に示すアドレス生成回路108と、図12に示すものとを比較すると、クロストーク判定部211、窓生成タイミング選択回路212が設けられている点が異なる。図12に示すウォブル回路106では、DVDフォーマットの例を示しているため、図2の各構成要素と名称が異なるが、ビットシンク検出部303がユニットシンク検出部203に相当し、データビット検出部304が、データビット検出部204に相当する。
【0068】
位相変調部検出部301では、入力したウォブル信号から位相変調部を検出し、二値のADIPパルスを出力する。ワードシンク検出部302、ビットシンク検出部303、データビット検出部304は、入力されるADIパルスからそれぞれ未保護ワードシンク、未保護ビットシンク、未保護データビットを検出する。
【0069】
ワードシンク周期保護部305では、ワードシンク検出部302が出力した未保護ワードシンクに対し、周期保護を適用したワードシンクを検出する。ワードシンクは一定周期で配置されているため、予測したワードシンク位置でのみ検出窓を開いて検出することで偽ワードシンクの誤検出を回避している。
【0070】
この検出窓は、ワードシンクの1周期のタイミングを生成するワードカウンタ308により生成される。また、ワードシンクが対応する検出窓において未検出の場合は、すぐに再引き込みを行わず、連続未検出回数が一定値以上になった時点で再引き込みを行うことで周期保護をかけている。
【0071】
ビットシンク周期保護部306では、ビットシンク検出部303が出力した未保護ビットシンクに対し、周期保護を適用したビットシンクを検出する。ビットシンクは、一定周期で配置されているため、予測したビットシンク位置でのみ検出窓を開いて検出することで、ビットシンクの誤検出を回避している。
【0072】
この検出窓は、ビット1周期のタイミングを生成する2フレームカウンタ309により生成される。また、ビットシンクが未検出の場合は、すぐに再引き込みを行わず、連続未検出回数が一定値以上になった時点で再引き込みを行うことで周期保護をかけている。
【0073】
データビット周期保護部307では、データビット検出部304が出力した未保護データビットに対し、周期保護を適用したデータビットを検出する。データビットは、ビットシンクとともに配置されているため、ビットシンクの検出窓を用いて検出している。
【0074】
データラッチ310では、1ADIPワード分のデータビットをバッファリングする。誤り訂正部311では、データラッチ310で1ADIPワード分のデータビットがそろった時点で誤り検出・訂正を実行し、ADIPアドレスが生成される。
【0075】
図13にクロストークが強い区間での前方保護状態における処理の様子を、図14にクロストークが弱い区間においてタイミングがずれた場合を示す。図13に示すように、図12のアドレス生成回路108においてクロストークが強く発生した場合に同期を外さないように対策しようとすると、連続未検出回数の閾値を高く設定して、前方保護期間を拡大することが考えられる。
【0076】
しかし、図14に示すように、閾値を高くすると、一度同期を確立した後にディスク上の位置と予測タイミングがずれた場合や、誤って同期を確立した場合に再度同期の確立を実行するまでに時間がかかるという問題がある。
【0077】
そこで、本願発明では、アドレス生成回路108にクロストーク判定部211と窓生成タイミング選択回路212が設けられている。クロストーク判定部211には、ユニットシンク検出部203が出力する未保護ユニットシンク3とユニットシンク周期保護部206が出力する検出ユニットシンク5が入力される。
【0078】
クロストーク判定部211は、未保護ユニットシンク3を所定周期で検出するとカウントアップする図示しない判定カウンタを備えている。すなわち、クロストーク判定部211は、同期信号の検出間隔が所定周期である回数に応じて、クロストーク強度を判定する。
【0079】
判定カウンタは、未保護ユニットシンク3を所定周期で検出するとカウントアップし、所定周期でない場合は0クリアする。周期の計測は、検出した未保護ユニットシンク3を起点(0にリセット)として、次に検出した未保護ユニットシンク3までの周期をカウントし、これを繰り返すことにより行われる。クロストーク判定部211は、この判定カウンタを用いて、クロストークの強弱区間を判定する。
【0080】
クロストーク判定部211には、クロストーク判定閾値が設定されている。クロストーク判定部211は、判定カウンタのカウント値と、クロストーク判定閾値とを比較する。クロストーク判定部211は、カウント値が閾値以上であれば'L'、閾値未満であれば'H'となるクロストーク判定結果7を生成する。
【0081】
判定カウント値が大きいほど、未保護ユニットシンク3の検出間隔が長い期間にわたって所定周期で安定している、つまり、クロストークの弱い区間であることを示す。カウント値が小さいほど未保護ユニットシンク3の検出間隔が所定周期を満たさず不安定である、つまり、クロストークの強い区間であることを示す。
【0082】
図4に、クロストーク判定部211の判定結果を示す。図4に示す例では、クロストーク判定閾値が4である場合を示す。図4において○が、所定の周期で未保護ユニットシンク3を検出できた場合を示し、×が所定周期以外で検出された場合を示す。
【0083】
図4に示すように、未保護ユニットシンク3が所定周期で安定している場合には、カウント値はクロストーク判定閾値4のまま安定している。このためクロストーク判定結果7は、クロストークが弱い区間を示す'L'となる。
【0084】
一方、未保護ユニットシンク3が所定周期で検出されない場合には、カウント値がクロストーク判定閾値4よりも小さい。このためクロストーク判定結果7は、クロストークが強い区間を示す'H'となる。このように、クロストーク判定部211では、未保護ユニットシンク3の検出間隔が所定周期で検出された回数に応じて、クロストークの強弱を判定する。
【0085】
なお、上記の構成では、所定周期ではない未保護ユニットシンク3を検出すると、すぐにクロストーク判定結果7が'H'となる。クロストークの弱い区間で局所的なノイズに反応することを防ぐため、未保護ユニットシンク3の検出間隔が所定周期ではない状態を累積で数えるカウンタを設け、このカウント値をクロストーク判定結果7の立ち上げ条件として利用してもよい。例えば、カウント値が閾値以上になった場合にクロストーク判定結果7を立ち上げることができる。
【0086】
窓生成タイミング選択回路212は、ユニットシンク周期保護部206で使用する検出窓を生成するための窓生成タイミング8を出力する。窓生成タイミング8は、基本的には、ユニットタイミング6に応じてユニットシンクの出現位置で'H'となる。しかし、窓生成タイミング選択回路212は、クロストーク判定部211で判定されたクロストーク強度に応じて、検出窓を生成するための窓生成タイミング8を調整する。ユニットシンク周期保護部206は、窓生成タイミング8に応じて、検出窓と同期信号がずれているか否かを監視する前方保護期間の長さを変更する。
【0087】
クロストーク強度が強い区間では、クロストーク強度が弱い区間よりも保護期間の長さを長くする。すなわち、クロストーク判定結果7が'H'となっている場合、'L'となっている場合よりも保護期間の長さが長い。
【0088】
前方保護期間を拡大させる手法の一例として、同期信号の検出間隔を間引く方法が挙げられる。つまり、前方保護期間の長さは、検出窓の生成頻度を調整することにより変更することができる。具体的には、クロストーク強度が強い区間では、クロストーク強度が弱い区間よりも検出窓の生成頻度を少なくする。
【0089】
ここで、図5、6を参照して、本実施の形態に係る光ディスク記録/再生装置100の動作について説明する。図5は、クロストークが強い区間での前方保護の様子を示す図である。本実施の形態では、ユニットシンク周期保護部206におけるシーケンサが前方保護状態にあるときのユニットシンクの検出窓の間引き間隔は4としている。
【0090】
図5に示すように、クロストーク強度が強い区間ではユニットシンクの検出窓の生成間隔が長いため、検出ユニットシンク5が検出窓に含まれず前方保護状態S03に遷移したとしても、連続未検出回数が閾値に到達するまでの時間を長くすることができる。
【0091】
このように、ユニットシンクの検出窓の生成頻度を下げることにより、クロストークによりユニットシンクが消失したり、ずれたりして検出窓内に含まれないとしても、同期が確立した状態を維持することができる。これにより、安定してADIPアドレスを生成することが可能となり、システムの安定性を向上させることができる。
【0092】
一方、図6に、ディスク上の物理的欠陥やスピンドルの外乱など偶発ノイズ等により光ディスク101上の位置とタイミングがずれた場合の再同期の様子を示す。クロストークが弱い区間では、クロストークが強い区間と異なりタイミングずれ等の発生頻度が少ない。このため、クロストークが弱い区間においてタイミングずれが発生した場合は、真にタイミングがずれてしまった場合が多いと考えられる。
【0093】
図6に示すように、クロストーク強度が弱い区間ではユニットシンクの検出窓の生成間隔が短いため、検出ユニットシンク5が検出窓に含まれず前方保護状態S03に遷移した場合には、連続未検出回数が閾値に到達するまでの時間を短くすることができる。このように、同期確立後に検出ユニットシンク5が検出窓からずれてしまった場合は、短時間で同期状態を解除して、再度同期の確立を行うことが可能である。
【0094】
以上説明したように、本発明では、強いクロストークによって同期信号が消失した場合でも、同期状態を維持することができ、かつ、クロストークが弱い区間において真にタイミングずれが発生した場合は、短時間で同期を再確立できる。このため、記録/再生処理の性能低下を回避できる。
【0095】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、さまざまな変更、増減を加えてもよい。これらの変更、増減が加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0096】
なお、前方保護期間を拡大させる手法として、同期信号の検出間隔は変えずに連続未検出回数の閾値を切り替えてもよい。すなわち、前方保護期間の長さは、同期信号のそれぞれが対応する検出窓に含まれていない回数の閾値を変更することにより変更することができる。具体的には、クロストーク強度が強い区間の連続未検出回数の閾値を弱い区間よりも高くする。
【符号の説明】
【0097】
1 ADIPパルス
2 未保護ワードシンク
3 未保護ユニットシンク
4 データビット
5 検出ユニットシンク
6 ユニットタイミング
7 クロストーク判定結果
8 窓生成タイミング
9 検出ワードシンク
10 窓生成タイミング
11 ラッチタイミング
12 バッファリングデータ
100 光ディスク記録/再生装置
101 光ディスク
102 スピンドルモータ
103 モータドライバ
104 光学ヘッド
105 サーボ回路
106 ウォブル回路
107 RF回路
108 アドレス生成回路
109 記録データ符号/再生データ復号回路
110 バッファメモリ
111 バッファI/F
112 システムコントローラ
113 ホストPC
114 記録補償回路
115 レーザドライバ
201 位相変調部検出部
202 ワードシンク検出部
203 ユニットシンク検出部
204 データビット検出部
205 ワードシンク周期保護部
206 ユニットシンク周期保護部
207 ワードカウンタ
208 ユニットカウンタ
209 データラッチ
210 誤り訂正部
211 クロストーク判定部
212 窓生成タイミング選択回路
S00 初期状態
S01 後方保護状態
S02 同期状態
S03 前方保護状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに形成されたウォブルに対応するウォブル信号を読み出す読出部と、
前記読出部が読み出した前記ウォブル信号から同期信号を検出する同期信号検出部と、
前記同期信号の間隔が所定の期間一定である場合に、当該同期信号の検出位置を同期位置として同期を確立する周期保護部と、
前記同期を確立した状態において、前記同期位置を基に前記同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を生成する検出窓生成部と、
前記同期信号の検出間隔が所定周期である回数に応じて、クロストーク強度を判定するクロストーク判定部と、
前記クロストーク判定部で判定された前記クロストーク強度に応じて、前記検出窓と前記同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを変更する制御部と、
を備えるウォブル信号復調装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記クロストーク強度が閾値以上である場合に、当該閾値よりも小さい場合よりも、前記保護期間を長くする請求項1に記載のウォブル信号復調装置。
【請求項3】
前記保護期間の長さは、前記検出窓の生成頻度を調整することにより変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載のウォブル信号復調装置。
【請求項4】
前記保護期間の長さは、前記同期信号のそれぞれが対応する検出窓に含まれていない回数の閾値を変更することにより変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載のウォブル信号復調装置。
【請求項5】
前記保護期間において、前記同期信号のそれぞれが対応する検出窓に連続して含まれない連続未検出回数をカウントするカウンタをさらに備え、
前記連続未検出回数が閾値を超えた場合に、前記同期を確立した状態を解除して再度同期の確立を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のウォブル信号復調装置。
【請求項6】
前記検出窓は、周期的に生成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のウォブル信号復調装置。
【請求項7】
光ディスクに形成されたウォブルに対応するウォブル信号を読み出し、
前記ウォブル信号から同期信号を検出し、
前記同期信号の間隔が所定の期間一定である場合に、当該同期信号の検出位置を同期位置として同期を確立し、
前記同期を確立した状態において、前記同期位置を基に前記同期信号が検出されるべき期間を示す検出窓を生成し、
前記同期信号の検出間隔が所定周期である回数に応じて、クロストーク強度を判定し、
前記クロストーク強度に応じて、前記検出窓と前記同期信号がずれているか否かを監視する保護期間の長さを変更する、
を備えるウォブル信号復調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−198412(P2011−198412A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64724(P2010−64724)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】