説明

ウオッシャノズル

【課題】 外部から大きな衝撃が加えられた際に、その衝撃エネルギーを吸収することができるウオッシャノズルを提供する。
【解決手段】 洗浄液を噴射させるノズル体12を保持したノズルハウジング11の下部に複数の係止爪14,14を突設し、各係止爪の先端14aを車体パネル20に形成した取付孔21に係止、離脱自在に設けたウオッシャノズル10において、ノズルハウジング11の外形を車体パネルの取付孔21より小さく形成し、ノズルハウジングの各係止爪の先端より上方の位置に形成した係止溝11eに係止されるC形の止め輪15と各係止爪の先端との間で車体パネルを挾持して、ノズルハウジングを車体パネルの外側に突出させ、ノズルハウジングの係止溝の上方に形成された環状の係止凹部11fに円錐環状のシール部材16の基端16aを係止させて、該シール部材の先端16bを車体パネルに圧接させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のウインドシールドガラス等に付着する雨水,泥土,塵埃等の汚れを洗浄液で洗浄する際に用いて好適なウオッシャノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のウオッシャノズルの取付構造として、図7に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このウオッシャノズル1は、図7に示すように、液体噴射口2aから洗浄液を噴射させるノズル体3を保持したノズルハウジング2を有している。このノズルハウジング2の底面2bには下方に延びるように筒部4を一体形成してある。この筒部4には液体噴射口2aに連通する液体供給口4aを形成してある。また、筒部4の略中央の両側には一対の係止突部5,5を略V字状に一体形成してある。
【0004】
この一対の係止突部5,5のL字溝状に切り欠かれた各先端5aは、車体パネル8の外側より該車体パネル8に形成した取付孔9に係止、離脱自在になっている。そして、この係止時に、ノズルハウジング2の底面2bと一対の係止突部5,5の各先端5aとの間でダンパシート6を介して車体パネル8を挾持することにより、車体パネル8にウオッシャノズル1が外側から取り付けられるようになっている。
【0005】
【特許文献1】実開平3−78665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のウオッシャノズル1の取付構造では、ノズルハウジング2の底面2bがダンパシート6を介して車体パネル8に当接した状態で車体パネル8の外側に該ノズルハウジング2が突出しているため、ノズルハウジング2の軸方向に外部から大きな衝撃を受けると、その大きな衝撃力によりノズルハウジング2や車体パネル8の取付孔9が破損するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ノズルハウジングの軸方向に外部から大きな衝撃が加えられた際に、その衝撃エネルギーを確実に吸収してノズルハウジング等の破損を防止することができるウオッシャノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、洗浄液を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングの下部に複数の係止部を弾性変形自在に突設し、これら各係止部の車体パネルに形成した取付孔の内周面に係止、離脱自在に設けたウオッシャノズルにおいて、前記ノズルハウジングの少なくとも前記車体パネルより外側に突出する部分の外形を該車体パネルの取付孔より小さく形成し、かつ、前記ノズルハウジングの前記各係止部の先端より上方の位置に止め輪を係止する係止溝を形成し、この係止溝に係止された前記止め輪と前記各係止部の先端との間で前記車体パネルを挾持して、前記ノズルハウジングを前記車体パネルの外側に突出させる一方、前記ノズルハウジングの前記係止溝の上方に円錐環状のシール部材の基端を係止する環状の係止凹部を形成し、この環状の係止凹部に基端を係止させた前記円錐環状のシール部材の先端を前記車体パネルに圧接させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、洗浄液を噴射させるノズル体と、前記ノズル体を上部に保持し、柱状で内部に液体供給用流路が形成されたノズルハウジングと、前記ノズルハウジングの下部に形成され、車体パネルに形成した取付孔の内周面に係止、離脱自在となる複数の係止部とを備えたウオッシャノズルにおいて、前記車体パネルの取付孔より小さく形成した前記ノズルハウジングの小径部と、前記ノズルハウジングの前記各係止部の先端より上方の位置に形成された係止溝と、前記係止溝に係止される止め輪と、前記ノズルハウジングの前記係止溝の上方に形成された環状の係止凹部と、前記環状の係止凹部に基端が係止され、先端が前記車体パネルに圧接した円錐環状のシール部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2のウオッシャノズルであって、前記止め輪をC字形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ノズルハウジングの軸方向に外部から大きな衝撃が加わった時に、止め輪が変形してノズルハウジングの係止溝から外れると共にその環状の係止凹部からシール部材が外れてノズルハウジングが車体パネルの下方側に変位するため、その衝撃エネルギーを確実に吸収することができると共に、ノズルハウジング等の破損を確実に防止することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ノズルハウジングの軸方向に外部から大きな衝撃が加わった時に、止め輪が変形してノズルハウジングの係止溝から外れると共にその環状の係止凹部からシール部材が外れてノズルハウジングが車体パネルの下方側に変位するため、その衝撃エネルギーを確実に吸収することができると共に、ノズルハウジング等の破損を確実に防止することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、止め輪をC字形状としたことにより、ノズルハウジングの軸方向に外部から大きな衝撃が加わった時に、止め輪をより変形し易くすることができる。また、止め輪がC字形状であるため、ノズルハウジングの係止溝への係止を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態のウオッシャノズルの取付状態を示す断面図、図2は図1においてシール部材を取り除いて上から見た図、図3は同C形の止め輪とノズルハウジングの関係を示す説明図、図4は図3中X−X線に沿う断面図、図5は図3中Y−Y線に沿う断面図、図6は同ウオッシャノズルが外部からの大きな衝撃で車体パネルの内側に入り込んだ状態を示す断面図である。
【0016】
図1,図6に示すように、ウオッシャノズル10は合成樹脂製で柱状のノズルハウジング11を備えている。このノズルハウジング11は液体噴射口11aに球面状凹部11bを形成してあり、この球面状凹部11bに洗浄液Sを噴射させる合成樹脂製のノズル体12を摺動自在に保持してある。さらに、図1,図6に示すように、ノズルハウジング11の液体噴射口11aとノズル体12の液体用流路12a及び液体供給口11cに嵌め込まれた略円筒状のニップル17とは液体供給流路13でそれぞれ連通されている。尚、ノズルハウジング11に対するノズル体12の液体用流路12aの傾き、即ち、ノズル体12の液体用流路12aから噴射される洗浄液Sの噴射方向は調整できるようになっている。
【0017】
また、図1,図6に示すように、ノズルハウジング11の下部11dの両側には、弾性変形する係止爪(係止部)14,14をそれぞれ一体突出形成してある。この一対の係止爪14,14の各先端14aはノズルハウジング11側に略く字状に折れ曲がっている。そして、図1に示すように、各係止爪14の先端14aは車体パネル(被取付体)20の外側より該車体パネル20に形成した取付孔21に係止、離脱自在になっている。
【0018】
さらに、図1,図6に示すように、ノズルハウジング11には車体パネル20の取付孔21より小さい外形の小径部11gを形成してある。このノズルハウジング11の一対の係止爪14,14の各先端14aより上方の位置には環状の係止溝11eを形成してある。図1〜図5に示すように、ノズルハウジング11の係止溝11eには、金属板状でC形の止め輪15を係止してある。このC形の止め輪15は、図3に示すように、幅狭の中央片部15aと、この中央片部15aより両側に円弧状に延びた両側片部15b,15bとで平面C字形に形成してある。そして、ノズルハウジング11の係止溝11eに係止されたC形の止め輪15と一対の係止爪14,14の各先端14aとの間で車体パネル20の取付孔21の周りを挾持するようになっている。
【0019】
また、図1に示すように、ノズルハウジング11の係止溝11eの上方には、環状の係止凹部11fを形成してある。この環状の係止凹部11fには、ゴム製で円錐環状のシールパッキン(シール部材)16の基端16aを係止してある。この環状の係止凹部11fに基端16aを係止させたゴム製で円錐環状のシールパッキン16の先端16bは、車体パネル20に圧接して該車体パネル20の取付孔21の周りをシールしている。
【0020】
尚、図1に示すように、ノズルハウジング11の液体供給口11c内には略円筒状のニップル17の鍔状の基端部17aを嵌合してある。このニップル17の先端部17bには供給チューブ19を連結してある。この供給チューブ19は図示しない供給ポンプの吐出側に接続されいて、該供給ポンプの作動により洗浄液タンクからの洗浄液Sを供給チューブ19及びニップル17を介してノズルハウジング11の液体供給流路13に圧送するようになっている。また、図2に示すように、ノズルハウジング11の下部11dの周面には、取付孔21の角部21aに係合する一対の位置決め突起18,18を一体突出形成してある。この一対の位置決め突起18,18が取付孔21の角部21aに係合することにより、ノズルハウジング11が車体パネル20の取付孔21に位置決めされて固定されるようになっている。
【0021】
以上実施形態のウオッシャノズル10の取付構造によれば、図1に示すように、ノズルハウジング11の係止溝11eに係止されたC形の止め輪15と一対の係止爪14,14の各先端14aとの間で車体パネル20の取付孔21の周りを挾持することにより、ノズルハウジング11が車体パネル20の外側に該車体パネル20に対して略直角に突出している。
【0022】
この状態より、万が一に、ノズルハウジング11の軸方向に外部から予め定められた値を越える大きな衝撃が加わると、図6に示すように、その際の衝撃力FによりC形の止め輪15の両側片部15b,15bが逆ハ字状に変形して、該C形の止め輪15がノズルハウジング11の環状の係止溝11eから外れると共に、該ノズルハウジング11の環状の係止凹部11fからシールパッキン16の基端16aが外れてノズルハウジング11が車体パネル20の下方に変位する。即ち、ノズルハウジング11が車体パネル20の内側に入り込み、その衝撃エネルギーを確実に吸収することができる。その結果、ノズルハウジング11及び車体パネル20の取付孔21の破損を確実に防止することができる。
【0023】
尚、前記実施形態によれば、ウオッシャノズルを自動車の車体パネルに取り付ける場合について説明したが、その取付対象は自動車の車体パネルに限られるものではなく、ウインドシールドガラスやカウルカバー等の他の被取付体にウオッシャノズルを取り付けるようにしても良い。また、前記実施形態においては、ノズルハウジング11に一体突出形成した係止爪14を一対とした場合を示したが、複数の係止爪14をノズルハウジング11の円周方向に所定の間隔をおいて形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のウオッシャノズルの取付状態を示す断面図である。
【図2】図1においてシール部材を取り除いて上から見た図である。
【図3】上記C形の止め輪とノズルハウジングの関係を示す説明図である。
【図4】図3中X−X線に沿う断面図である。
【図5】図3中Y−Y線に沿う断面図である。
【図6】上記ウオッシャノズルが外部からの大きな衝撃で車体パネルの内側に入り込んだ状態を示す断面図である。
【図7】従来のウオッシャノズルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 ウオッシャノズル
11 ノズルハウジング
11d 下部
11e 係止溝
11f 環状の係止凹部
11g 小径部
12 ノズル体
14,14 一対の係止爪(係止部)
14a 先端
15 C形の止め輪
16 シールパッキン(シール部材)
16a 基端
16b 先端
20 車体パネル
21 取付孔
S 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングの下部に複数の係止部を弾性変形自在に突設し、これら各係止部の車体パネルに形成した取付孔の内周面に係止、離脱自在に設けたウオッシャノズルにおいて、
前記ノズルハウジングの少なくとも前記車体パネルより外側に突出する部分の外形を該車体パネルの取付孔より小さく形成し、かつ、前記ノズルハウジングの前記各係止部の先端より上方の位置に止め輪を係止する係止溝を形成し、この係止溝に係止された前記止め輪と前記各係止部の先端との間で前記車体パネルを挾持して、前記ノズルハウジングを前記車体パネルの外側に突出させる一方、前記ノズルハウジングの前記係止溝の上方に円錐環状のシール部材の基端を係止する環状の係止凹部を形成し、この環状の係止凹部に基端を係止させた前記円錐環状のシール部材の先端を前記車体パネルに圧接させたことを特徴とするウオッシャノズル。
【請求項2】
洗浄液を噴射させるノズル体と、
前記ノズル体を上部に保持し、柱状で内部に液体供給用流路が形成されたノズルハウジングと、
前記ノズルハウジングの下部に形成され、車体パネルに形成した取付孔の内周面に係止、離脱自在となる複数の係止部とを備えたウオッシャノズルにおいて、
前記車体パネルの取付孔より小さく形成した前記ノズルハウジングの小径部と、
前記ノズルハウジングの前記各係止部の先端より上方の位置に形成された係止溝と、
前記係止溝に係止される止め輪と、
前記ノズルハウジングの前記係止溝の上方に形成された環状の係止凹部と、
前記環状の係止凹部に基端が係止され、先端が前記車体パネルに圧接した円錐環状のシール部材とを備えたことを特徴とするウオッシャノズル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のウオッシャノズルであって、
前記止め輪をC字形状としたことを特徴とするウオッシャノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−335103(P2006−335103A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158843(P2005−158843)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000181251)自動車電機工業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】