説明

ウレイド基、アミノカルボニル基及び置換フェニル基を置換基として有するピロール誘導体を有効成分として含有する骨・関節疾患の予防又は治療剤

【課題】関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スチル病、変形性関節症、骨粗鬆症、軟骨形成異常、骨形成異常、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節炎、滑膜炎又はスポーツ・事故等による関節障害等の骨・関節疾患の予防又は治療に有用な化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物又はその塩。式中、R1は水素原子等を、R2はハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基等を、R3は水素原子等を、nは0、1又は2を示し、nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウレイド基、アミノカルボニル基及び置換フェニル基を置換基として有するピロール誘導体の少なくとも1つを有効成分として含有する骨・関節疾患の予防又は治療剤に関する。該予防又は治療剤は関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スチル病、変形性関節症、骨粗鬆症、軟骨形成異常、骨形成異常、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節炎、滑膜炎又はスポーツ・事故等による関節障害等の予防又は治療剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会となるにつれ、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、脊椎関節炎等の骨・関節疾患の患者は増加の一途をたどっている。これらの骨・関節疾患の発症には、種々のファクターが関与しており、その発症原因は複合的、かつ、不明な場合が多く、単一の薬剤で、十分な予防又は治療効果が得られない場合も多い。また、これらの骨・関節疾患は、重症化すると関節が損傷・変形し、重度の痛みを伴う為、患者は通常の日常生活を営むことが困難となる場合が多い。
【0003】
これらの理由から、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、脊椎関節炎等の骨・関節疾患の予防又は治療の為に、常に新たなタイプの予防又は治療剤の開発及び薬剤の選択肢の増加が望まれている。
【0004】
これら疾患の代表的な予防又は治療剤としては、例えば、関節リウマチであれば、メトトレキセート等が、変形性関節症であれば、ヒアルロン酸製剤等が、骨粗鬆症であれば、ビスホスホネート製剤等が、脊椎関節炎であれば、非ステロイド性抗炎症剤等が知られている。
【0005】
一方、ウレイド基を置換基として有するピロール誘導体が、その合成例と併せて非特許文献1に記載されている。また、アミノカルボニル基を置換基として有するピロール誘導体が、免疫・アレルギー疾患の治療薬として特許文献1に記載されている。しかしながら、ウレイド基とアミノカルボニル基の両方を置換基として有するピロール誘導体は知られておらず、それらの置換基に加えて、置換フェニル基も有するピロール誘導体は全く未知の化合物である。当然、該ピロール誘導体の骨・関節疾患に対する予防又は治療効果についても全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/123671号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Chem.Soc.Perkin Transactions 1,5,483-497(1978)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スチル病、変形性関節症、骨粗鬆症、軟骨形成異常、骨形成異常、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節炎、滑膜炎又はスポーツ・事故等による関節障害等の骨・関節疾患の予防又は治療に有用な化合物を見出すことは、非常に興味深い課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、脊椎関節炎等の骨・関節疾患の予防又は治療に有用な化合物を見出す為、多数の化合物を創製して、それらの化合物の該疾患に対する予防又は治療効果について種々検討した。その結果、ウレイド基、アミノカルボニル基及び置換フェニル基を置換基として有するピロール誘導体がラットコラーゲン誘発関節炎モデルにおいて、足腫脹を効果的に抑制することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表される化合物又はその塩(以下、「本化合物」とする)の少なくとも1つを有効成分として含有する骨・関節疾患の予防又は治療剤に関し、好ましくは、本化合物の少なくとも1つを有効成分として含有する、関節リウマチの予防又は治療剤に関する。
【化1】

【0011】

[R1は水素原子又は置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
2はハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級アルケニルオキシ基又は置換基を有してもよい低級アルキニルオキシ基を示し;
3は水素原子又は置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
nは0、1又は2を示し;
nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい。以下、同じ。]
【発明の効果】
【0012】
本発明は本化合物の少なくとも1つを有効成分として含有する骨・関節疾患の予防又は治療剤を提供する。本化合物はラットコラーゲン誘発関節炎モデルにおいて、足腫脹を効果的に抑制するので、骨・関節疾患の予防又は治療剤として有用である。
【0013】
より具体的には、本化合物は関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スチル病、変形性関節症、骨粗鬆症、軟骨形成異常、骨形成異常、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節炎、滑膜炎又はスポーツ・事故等による関節障害等の予防又は治療剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中で使用される文言(原子、基、環等)の定義について以下に詳しく説明する。尚、定義が準用される場合、その好ましい範囲も準用される。
【0015】

「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を示す。
【0016】

「低級アルキル基」とは、炭素原子数が1〜6個の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル基等が挙げられる。
【0017】

「低級アルケニル基」とは、炭素原子数が2〜6個の直鎖又は分枝のアルケニル基を示す。具体例として、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、エチルプロペニル、メチルブテニル基等が挙げられる。
【0018】

「低級アルキニル基」とは、炭素原子数が2〜6個の直鎖又は分枝のアルキニル基を示す。具体例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル基等が挙げられる。
【0019】

「低級シクロアルキル基」とは、炭素原子数が3〜8個のシクロアルキル基を示す。具体例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0020】

「アリール基」とは、炭素原子数が6〜14個の単環式芳香族炭化水素基又は2環式若しくは3環式の縮合多環式芳香族炭化水素から水素1原子を除いた残基を示す。具体例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル基等が挙げられる。
【0021】

「低級アルコキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシ基等が挙げられる。
【0022】

「低級アルケニルオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルケニル基で置換された基を示す。具体例として、ビニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキセニルオキシ、エチルプロペニルオキシ、メチルブテニルオキシ基等が挙げられる。
【0023】

「低級アルキニルオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルキニル基で置換された基を示す。具体例として、エチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ、ヘキシニルオキシ基等が挙げられる。
【0024】

「低級シクロアルキルオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級シクロアルキル基で置換された基を示す。具体例として、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0025】

「アリールオキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子がアリール基で置換された基を示す。具体例として、フェノキシ、ナフトキシ、アントリルオキシ、フェナントリルオキシ基等が挙げられる。
【0026】

「低級アルキルチオ基」とは、メルカプト基の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例として、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、イソペンチルチオ基等が挙げられる。
【0027】

「アリールチオ基」とは、メルカプト基の水素原子がアリール基で置換された基を示す。具体例として、フェニルチオ、ナフチルチオ、アントリルチオ、フェナントリルチオ基等が挙げられる。
【0028】

「複素環」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1又は複数のヘテロ原子を環内に有する飽和或いは不飽和単環式複素環又は2環式若しくは3環式の縮合多環式複素環を示す。
【0029】

飽和の単環式複素環の具体例として、窒素原子を環内に有するピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ピペラジン、ホモピペリジン、ホモピペラジン環等が、酸素原子を環内に有するテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン環等が、硫黄原子を環内に有するテトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン環等が、窒素原子と酸素原子を環内に有するオキサゾリジン、イソオキサゾリジン、モルホリン環等が、窒素原子と硫黄原子を環内に有するチアゾリジン、イソチアゾリジン、チオモルホリン環等が挙げられる。
【0030】

また、それらの飽和の単環式複素環はベンゼン環等と縮合してジヒドロインドール、ジヒドロインダゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、チオクロマン、イソチオクロマン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾイソオキサゾール、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロベンゾチアジン、キサンテン、4a−カルバゾール、ペリミジン環等の2環式又は3環式の縮合多環式複素環を形成してもよい。
【0031】

不飽和の単環式複素環の具体例として、窒素原子を環内に有するジヒドロピロール、ピロール、ジヒドロピラゾール、ピラゾール、ジヒドロイミダゾール、イミダゾール、ジヒドロトリアゾール、トリアゾール、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピリダジン、ピリダジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリミジン、ピリミジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピラジン、ピラジン、トリアジン環等が、酸素原子を環内に有するジヒドロフラン、フラン、ジヒドロピラン、ピラン環等が、硫黄原子を環内に有するジヒドロチオフェン、チオフェン、ジヒドロチオピラン、チオピラン環等が、窒素原子と酸素原子を環内に有するジヒドロオキサゾール、オキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、イソオキサゾール、ジヒドロオキサジン、オキサジン環等が、窒素原子と硫黄原子を環内に有するジヒドロチアゾール、チアゾール、ジヒドロイソチアゾール、イソチアゾール、ジヒドロチアジン、チアジン環等が挙げられる。
【0032】

また、それらの不飽和の単環式複素環はベンゼン環等と縮合してインドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ジヒドロキノリン、キノリン、ジヒドロイソキノリン、イソキノリン、フェナントリジン、ジヒドロシンノリン、シンノリン、ジヒドロフタラジン、フタラジン、ジヒドロキナゾリン、キナゾリン、ジヒドロキノキサリン、キノキサリン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、イソクロメン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、チオクロメン、イソチオクロメン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジン、フェノキサンチン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン環等の2環式又は3環式の縮合多環式複素環を形成してもよい。
【0033】

尚、ここで、単環式複素環は、単環式3員環、単環式4員環、単環式5員環、単環式6員環又は単環式7員環のものが好ましく、特に単環式5員環又は単環式6員環のものが好ましい。
【0034】

「複素環基」とは、複素環から水素1原子を除いた残基を示す。
【0035】

「複素環オキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が複素環基で置換された基を示す。
【0036】

「置換基を有してもよい低級アルキル基」、「置換基を有してもよい低級アルケニル基」、「置換基を有してもよい低級アルキニル基」「置換基を有してもよい低級アルコキシ基」、「置換基を有してもよい低級アルケニルオキシ基」及び/又は「置換基を有してもよい低級アルキニルオキシ基」とは、ハロゲン原子、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、低級シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、シアノ基からなる群より選択される1又は複数の置換基を有してもよい「低級アルキル基」、「低級アルケニル基」、「低級アルキニル基」、「低級アルコキシ基」、「低級アルケニルオキシ基」及び/又は「低級アルキニルオキシ基」を示す。
【0037】

本発明でいう「複数の置換基」とは、各々の基が同一又は異なっていてもよい置換可能な最大数以下の基を示し、その個数は2及び/又は3個の場合が好ましく、特に2個の場合が好ましい。
【0038】

また、「基」の概念には、前記で規定した「原子」、「基」、「環」等も含まれる。
【0039】

本発明において「n」が2を示す場合、2個存在する各々のR2は、同一又は異なっていてもよい。
【0040】

本発明でいう「骨・関節疾患」とは、骨・関節の疾患であれば、特に制限はないが、好ましくは、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症又は脊椎関節炎を、特に好ましくは、関節リウマチを意味する。
【0041】

本化合物における「塩」とは、医薬として許容される塩であれば、特に制限はなく、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等の有機酸との塩、臭化メチル、ヨウ化メチル等との四級アンモニウム塩、臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオンとの塩、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、鉄、亜鉛等との金属塩、アンモニアとの塩、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−メチルアミノ−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン等の有機アミンとの塩等が挙げられる。
【0042】

本化合物に幾何異性体又は光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0043】

また、本化合物は水和物又は溶媒和物の形態をとっていてもよい。
【0044】

本化合物にプロトン互変異性が存在する場合には、それらの互変異性体も本発明に含まれる。
【0045】

本化合物に結晶多形及び/又は結晶多形群(結晶多形システム)が存在する場合は、それらの結晶多形及び/又は結晶多形群(結晶多形システム)も本発明に含まれる。ここで、結晶多形群(結晶多形システム)とは、それら結晶の製造、晶出、保存等の条件及び/又は状態(尚、本状態には製剤化した状態も含む)により、結晶形が変化する場合の各段階における個々の結晶形及び/又はその過程全体を意味する。
【0046】

(a)本化合物の例として、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、各基が以下に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【化2】

【0047】

(a1)R1は水素原子又は置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;及び/又は
(a2)R2はハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級アルケニルオキシ基又は置換基を有してもよい低級アルキニルオキシ基を示し;及び/又は
(a3)R3は水素原子又は置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;及び/又は
(a4)nは0、1又は2を示し;及び/又は
(a5)nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい。
【0048】

すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)から選択される各組み合わせからなる化合物又はその塩が挙げられる。
【0049】

(b)本化合物の好ましい例として、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、各基が以下に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0050】

(b1)R1が水素原子又は低級アルキル基を示し;及び/又は
(b2)R2がハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基及びシアノ基からなる群より選択される1又は複数の置換基を有する低級アルコキシ基、低級アルケニルオキシ基又は低級アルキニルオキシ基を示し;及び/又は
(b3)R3が水素原子又は低級アルキル基を示し;及び/又は
(b4)nが0、1又は2を示し;及び/又は
(b5)nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい。
【0051】

すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又は(b5)から選択される1又は2以上の各組み合わせからなる化合物又はその塩が挙げられる。また、その選択された条件は、前記(a)の条件と組み合わせることもできる。
【0052】

(c)本化合物の特に好ましい例として、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、各基が以下に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0053】

(c1)R1が水素原子を示し;及び/又は
(c2)R2がハロゲン原子、低級アルキニル基又は低級アルコキシ基を示し;及び/又は
(c3)R3が水素原子を示し;及び/又は
(c4)nが0、1又は2を示し;及び/又は
(c5)nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい。
【0054】

すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(c1)、(c2)、(c3)、(c4)及び/又は(c5)から選択される1又は2以上の各組み合わせからなる化合物又はその塩が挙げられる。また、その選択された条件は、前記(a)及び/又は(b)の条件と組み合わせることもできる。
【0055】

(d)本化合物の好ましい具体例として、下記の化合物又はその塩が挙げられる。
【0056】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−フェニルピロール−3−カルボキサミド。
【0057】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−フルオロ−2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0058】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(4−フルオロフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0059】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(2−エトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0060】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0061】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−クロロフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0062】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0063】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0064】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−エチニルフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0065】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−クロロ−2−エトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド。
【0066】
・ 2−アミノカルボニルアミノ−5−(2−プロポキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド

本化合物は、以下の方法により製造することができる。尚、個々の具体的な製造方法については、後述の実施例[製造例の項]で詳細に説明する。また、下記の合成経路中で使用されているHalはハロゲン原子、TIPSはトリイソプロピルシリル基を示し、また、(R)IはRで示される任意の置換基を意味し、Iは0又は1を示す。
【0067】

本化合物の製造方法は、以下に示す方法に大別することができ、置換基の種類に応じて、適宜その方法を選択することができる。
【0068】

本化合物(I)は、合成経路1に従い製造することができる。すなわち、化合物(II)とイソシアン酸トリクロロアセチルをテトラヒドロフラン(以下、「THF」とする)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」とする)等の有機溶媒中、−80℃から室温で1時間から4時間反応させた後、さらにアンモニア−メタノール溶液を加えて、0℃から室温で1時間から72時間反応を続けることにより本化合物(I)を得ることができる。
【0069】
合成経路1
【化3】

【0070】

化合物(II)は、合成経路2に従い製造することができる。すなわち、化合物(III)を塩化メチレン、THF等の有機溶媒中、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド、N−ブロモこはく酸イミド等のハロゲン化剤存在下、0℃から60℃で1時間から24時間反応させることにより化合物(IV)を得ることができる。得られる化合物(IV)とマロナムアミジン(V)をエタノール、DMF等の有機溶媒中、ナトリウムエトキシド、炭酸カリウム等の塩基存在下、0℃から80℃で1時間から48時間処理することにより化合物(II)を得ることができる。
【0071】
合成経路2
【化4】

【0072】


本化合物(I)−(c)は、合成経路3に従い製造することができる。すなわち、本化合物(I)−(a)とトリイソプロピルシリルアセチレン(VI)を1,4−ジオキサン、DMF等の有機溶媒と水との混合溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)等の金属錯体触媒と、ヨウ化第一銅、臭化第一銅等の銅塩及び炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン等の塩基存在下、室温から150℃で1時間から24時間反応させることにより化合物(I)−(b)を得ることができる。得られる化合物(I)−(b)をTHF、DMF等の有機溶媒中、フッ化テトラブチルアンモニウム存在下、0℃から80℃で1時間から24時間処理することにより本化合物(I)−(c)を得ることができる。
【0073】
合成経路3
【化5】

【0074】


本化合物(I)−(e)及び(I)−(f)は、合成経路4に従い製造することができる(Yは置換基を有してもよい低級アルキル基を示す)。すなわち、本化合物(I)−(d)を塩化メチレン、クロロホルム等の有機溶媒中、三臭化ホウ素等のルイス酸存在下、−80℃から0℃で1時間から6時間処理することにより本化合物(I)−(e)を得ることができる。得られる本化合物(I)−(e)とハロゲン化アルキル(VII)をTHF、DMF等の有機溶媒中、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の塩基存在下、0℃から100℃で1時間から24時間反応させることにより本化合物(I)−(f)を得ることができる。
【0075】
合成経路4
【化6】

【0076】

前記の合成経路により製造した本化合物は、汎用されている技術を使用して、前述した塩、水和物又は溶媒和物の形態とすることもできる。
【0077】

また、詳細については、後述の実施例「薬理試験の項」で説明するが、本化合物の骨・関節疾患に対する予防又は治療効果を評価する為、ラットコラーゲン誘発関節炎モデルを使用して、本化合物の該モデルに対する効果を検討した。その結果、本化合物は該モデルにおいて、足腫脹を効果的に抑制した。
【0078】
したがって、本化合物は、骨・関節疾患の予防又は治療剤として有用であり、好ましくは、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スチル病、変形性関節症、骨粗鬆症、軟骨形成異常、骨形成異常、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節炎、滑膜炎又はスポーツ・事故等による関節障害の予防又は治療剤として、特に好ましくは、関節リウマチの予防又は治療剤として有用である。
【0079】

本化合物は経口でも、非経口でも投与することができる。投与形態としては、経口投与、静脈内投与、経皮投与等が挙げられ、必要に応じて医薬として許容される添加剤を適宜選択して使用し、投与形態に適した剤型に製剤化することができる。
【0080】

投与剤型としては、経口剤の場合、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、非経口剤としては、注射剤、軟膏剤、貼付剤、挿入剤等が挙げられる。
【0081】

例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等は、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、無水リン酸水素カルシウム、デンプン、ショ糖等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、デンプン、部分アルファー化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、デンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、含水二酸化ケイ素、硬化油等の滑沢剤;精製白糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン等のコーティング剤;クエン酸、アスパルテーム、アスコルビン酸、メントール等の矯味剤、などを必要に応じて適宜選択して使用し、製剤化することができる。
【0082】

注射剤は、塩化ナトリウム等の等張化剤;リン酸ナトリウム等の緩衝化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の界面活性剤;メチルセルロース等の増粘剤等、などを必要に応じて適宜選択して使用し、製剤化することができる。
【0083】

軟膏剤は、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等の高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル;ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等のロウ類;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等の界面活性剤;セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン等のシリコン油;親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等の炭化水素類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等のグリコール類;ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等の植物油;ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等の動物油;水;吸収促進剤;かぶれ防止剤;保湿剤;保存剤;安定化剤;抗酸化剤;着香剤を必要に応じて適宜選択して使用し、製剤化することができる。
【0084】

貼付剤は、有効成分を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して調製される。ここで、貼付剤用基剤としては、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を必要に応じて適宜選択して使用し、製剤化することができる。
【0085】

挿入剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸等の生体分解性ポリマーを使用して、製剤化することができ、必要に応じて、賦形剤、結合剤、安定化剤、pH調整剤等を必要に応じて適宜選択して使用することができる。
【0086】

本化合物の投与量は、剤型、患者の症状、年令、体重等に応じて適宜選択できる。例えば、経口投与の場合、0.01〜5000mg、好ましくは0.1〜2500mg、特に好ましくは0.5から1000mgのものを1日あたり1〜数回に分けて投与することができる。注射剤の場合、0.00001〜2000mg、好ましくは0.0001〜1500mg、特に好ましくは0.001から500mgのものを1日あたり1〜数回に分けて投与することができる。
【0087】

以下に本化合物の製造例、製剤例及び薬理試験の結果を示す。尚、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0088】

[製造例]
参考例1−1
2−アミノ−5−フェニルピロール−3−カルボキサミド(参考化合物1−1)
マロナムアミジン塩酸塩(7.8g、57mmol)の脱水エタノール(100mL)懸濁液に、−5℃でナトリウムエトキシド(7.7g、110mmol)を加え、氷冷下で1.5時間撹拌した。さらに2−ブロモアセトフェノン(10g、50mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標記参考化合物(0.79g)を褐色アモルファスとして得た(収率8%)。
【表1】

【0089】

参考例1−2
2−アミノ−5−(5−フルオロ−2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(参考化合物1−2)
5’−フルオロ−2’−メトキシアセトフェノン(参考化合物2−1、1.2g、6.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(24mL)溶液にフェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(2.6g、6.9mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。不溶物を濾去した後、濾液を減圧濃縮することにより、2−ブロモ−5’−フルオロ−2’−メトキシアセトフェノンを含む混合物を得た。この混合物の脱水エタノール(10mL)溶液を、氷冷下でマロナムアミジン塩酸塩(1.9g、14mmol)とナトリウムエトキシド(0.98g、14mmol)の脱水エタノール(40mL)懸濁液に加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標記参考化合物(0.37g)を褐色アモルファスとして得た(収率21%)。
【表2】

【0090】

以下、市販化合物及び参考化合物2−2〜5を使用し、参考化合物1−1又は1−2の製造方法に準じて、参考化合物1−3〜14を得た。
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【0091】

参考例2
5’−フルオロ−2’−メトキシアセトフェノン(参考化合物2−1)
5’−フルオロ−2’−ヒドロキシアセトフェノン(25.1g、0.16mol)、よう化メチル(30mL、0.48mol)及び炭酸カリウム(33.6g、0.24mol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(230mL)懸濁液を50℃で一晩撹拌した。放冷後、反応液を水(500mL)で希釈し、酢酸エチル(750mL)で抽出した。有機層を飽和重曹水(500mL)及び飽和食塩水(400mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去することにより、標記参考化合物(27.3g)を黄色油状物として得た(収率99%)。
【表4】

【0092】

以下、市販化合物を使用し、参考化合物2−1の製造方法に準じて、参考化合物2−2〜5を得た。
【表5】

【0093】

実施例1
2−アミノカルボニルアミノ−5−フェニルピロール−3−カルボキサミド(化合物1−1)
2−アミノ−5−フェニルピロール−3−カルボキサミド(参考化合物1−1、0.78g、3.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(40mL)溶液に、−40℃でイソシアン酸トリクロロアセチル(0.46mL、3.9mmol)を加え、4時間撹拌した。さらに2.0Mアンモニア−メタノール溶液(39mL、78mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテル−メタノール(1:1)混合溶媒(9mL)で濾取、洗浄した。固体を35℃減圧下で乾燥することにより、標記化合物(0.38g)を淡灰色固体として得た(収率40%)。
【表6】

【0094】

以下、参考化合物1−2〜14を使用し、化合物1−1の製造方法に準じて、化合物1−2〜14を得た。
【表7−1】

【表7−2】

【表7−3】

【0095】

実施例2
2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−エチニルフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(化合物2−1)
2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−ブロモフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(化合物1−12、200mg、0.62mmol)、炭酸水素ナトリウム(133mg、1.6mmol)、ヨウ化銅(I)(16mg、0.084mmol)、(トリイソプロピルシリル)アセチレン(0.28mL、1.2mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(38mg、0.033mmol)の水−1,4−ジオキサン(1:5)混合溶液(12mL)を、95℃で4.5時間撹拌した。反応液に飽和食塩水(10mL)と水(5mL)を加え、酢酸エチル(15mL)で抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。セライトを用いて濾過し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた固体をジエチルエーテル(2mL)で洗浄することにより、合成中間体である2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−トリイソプロピルシリルエチニルフェニル)ピロール−3−カルボキサミドを黄色固体として得た。さらに、この合成中間体のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、1.0Mフッ化テトラブチルアンモニウム−テトラヒドロフラン溶液(0.48mL、0.48mmol)を加え、75℃で3.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標記化合物(47mg)を無色固体として得た(収率29%)。
【表8】

【0096】

以下、化合物1−13を使用し、化合物2−1の製造方法に準じて、化合物2−2を得た。
【表9】

【0097】

実施例3
2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(化合物3−1)
2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−フルオロ−2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(化合物1−2、3.2g、11mmol)の無水ジクロロメタン(35mL)懸濁液に−70℃で三臭化ホウ素−ジクロロメタン溶液(17%、30mL、30mmol)を40分間かけて滴下し、1.5時間撹拌した。3時間かけて0℃付近まで昇温させた後、氷冷下で1時間撹拌した。水(100mL)を加えて析出した固体をクロロホルム(100mL)及び水(100mL)で濾取、洗浄した。固体を50℃減圧下で乾燥することにより、標記化合物(2.5g)を緑白色固体として得た(収率83%)。
【表10】

【0098】

以下、化合物1−5を使用し、化合物3−1の製造方法に準じて、化合物3−2を得た。
【表11】

【0099】

実施例4
2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−フルオロ−2−プロポキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(化合物4−1)
2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド(化合物3−1、50mg、0.18mmol)、炭酸カリウム(62mg、0.45mmol)、1−ブロモプロパン(33mg、0.27mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)懸濁液を60℃で一晩撹拌した。放冷後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標記化合物(22mg)を白色固体として得た(収率37%)。
【表12】

【0100】

以下、市販化合物及び化合物3−1、3−2を使用し、化合物4−1の製造方法に準じて、化合物4−2及び4−3を得た。
【表13】

【0101】

尚、市販化合物はシグマアルドリッチ社、和光純薬工業株式会社、関東化学株式会社、東京化成工業株式会社、ナカライテスク株式会社等の2006年から2008年度カタログに収載されている化合物である。
【0102】

[製剤例]
本化合物の代表的な製剤例を以下に示す。
【0103】

1)錠剤(150mg中)
本化合物 1mg
乳糖 100mg
トウモロコシデンプン 40mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 4.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg

上記処方の錠剤にコーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等の通常のコーティング剤)3mgを用いてコーティングを施し、目的とする錠剤を得ることができる。また、本化合物並びに添加物の種類及び/又は量を適宜変更することで、所望の錠剤を得ることもできる。
【0104】

2)カプセル剤(150mg中)
本化合物 5mg
乳糖 135mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 4.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg

本化合物並びに添加剤の種類及び又は量を適宜変更することで、所望のカプセル剤を得ることができる。
【0105】

[薬理試験]
1.関節炎治療効果評価試験
抗関節炎効果の評価に汎用される方法の一つとして、ラットコラーゲン誘発関節炎モデルを用いた足腫脹抑制作用試験が知られている。そこで、本発明化合物の足腫脹抑制作用試験を行い、その足腫脹抑制率を算出して、それを指標に本発明化合物の抗関節炎効果を評価した。以下にその具体的な試験方法を記載する。
【0106】

(被験化合物懸濁液の調製)
被験化合物を1%メチルセルロース水溶液にて懸濁し、6mg/mLの被験化合物懸濁液を調製した。
【0107】

(コラーゲンエマルジョンの調製)
1)ウシ軟骨由来II型コラーゲンに0.05M酢酸溶液を2mg/mLになるように添加し、冷蔵にて一晩静置してコラーゲンを溶解した。
【0108】
2)これを等量のフロイント不完全アジュバントと混合してコラーゲンエマルジョンを調製した。
【0109】

(実験方法)
1)背部皮内にコラーゲンエマルジョン0.5mLを5ヶ所に分けて一次感作した(0日目)。
【0110】
2)一次感作後7日目にコラーゲンエマルジョンをラット尾根部皮内に0.1mL投与して二次感作を行った。
【0111】
3)一次感作後12日目に関節炎を発症した動物を選択し、実験に供した。
【0112】
4)一次感作後12日目から20日目まで、被験化合物懸濁液(30mg/kg/日)を1日1回連日経口投与した。
【0113】
5)プレシスモメーターを用いて両後肢の足容積を測定し、各個体の両後肢平均足容積(足腫脹)を算出した。
【0114】
6)被験化合物懸濁液に代えて1%メチルセルロース水溶液を用い、他は前記1〜5)と同じ方法で試験を行い、その結果を基剤投与群とした。
【0115】
7)前記1〜3)を実施せず、被験化合物懸濁液に代えて1%メチルセルロース水溶液を用い、前記4〜5)と同じ方法で試験を行い、その結果を正常群とした。
【0116】

(評価方法)
一次感作後21日目の基剤投与群の足腫脹に対する各被験化合物投与群の足腫脹の抑制率(1群7−8匹の平均値)を算出し、それを指標に本発明化合物の抗関節炎効果を評価した。
【0117】

(足腫脹抑制率の計算式)
基剤投与群に対する被験化合物投与群の足腫脹抑制率(%)は以下の式により算出した。
【0118】
基剤投与群に対する被験化合物投与群の足腫脹抑制率(%)
=100−{(被験化合物投与群の足腫脹−正常群の足腫脹)/(基剤投与群の足腫脹−正常群の足腫脹)}×100

(評価結果)
評価結果の一例として、被験化合物(化合物1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−8、1−10、2−1及び4−3)の基剤投与群に対する被験化合物投与群の足腫脹抑制率の割合(%)を表Iに示す。
【表I】

【0119】


表Iに示したとおり本発明化合物は優れた足腫脹抑制効果を示した。よって、本発明化合物は骨・関節疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含有する骨・関節疾患の予防又は治療剤。
【化1】


[R1は水素原子又は置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
2はハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級アルケニルオキシ基又は置換基を有してもよい低級アルキニルオキシ基を示し;
3は水素原子又は置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
nは0、1又は2を示し;
nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい。]
【請求項2】
一般式(1)において、
1が水素原子又は低級アルキル基を示し;
2がハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基及びシアノ基からなる群より選択される1又は複数の置換基を有する低級アルコキシ基、低級アルケニルオキシ基又は低級アルキニルオキシ基を示し;
3が水素原子又は低級アルキル基を示し;
nが0、1又は2を示し;
nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい請求項1記載の予防又は治療剤。
【請求項3】
一般式(1)において、
1が水素原子を示し;
2がハロゲン原子、低級アルキニル基又は低級アルコキシ基を示し;
3が水素原子を示し;
nが0、1又は2を示し;
nが2の場合、R2は同一又は異なっていてもよい請求項1記載の予防又は治療剤。
【請求項4】
・2−アミノカルボニルアミノ−5−フェニルピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−フルオロ−2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(4−フルオロフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(2−エトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−クロロフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(2−メトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(3−エチニルフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(5−クロロ−2−エトキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド、及び、
・2−アミノカルボニルアミノ−5−(2−プロポキシフェニル)ピロール−3−カルボキサミド又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含有する骨・関節疾患の予防又は治療剤。
【請求項5】
骨・関節疾患が関節リウマチである請求項1〜4記載の予防又は治療剤。

【公開番号】特開2010−77119(P2010−77119A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193742(P2009−193742)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】