説明

エアシャワー装置

【課題】
框ドアの結合部を嵌め合いとすることにより、ドア自体の気密性を保つことができ、尚且つ組立性の良いドアを有したエアシャワー装置を提供する。
框ドアの寸法が大きくなる場合は、ガラス板が大きくする必要があり、そのため、ガラス等が割れる心配やドア及びガラス板の強度、ガラス板面積増大によるパッキン部からのリークの心配があった。
【解決手段】
前記課題に対し、框ドアの縦框を分割可能、すなわち中間縦框の追加によりガラス板の面積を少なくし、強度を保持し、ガラス板押えパッキンや框の接合面からの塵埃漏れを抑止でき、また、縦框の分割面を嵌め合いとすることにより機密性を向上し、塵埃漏れの防止、及び作業性の向上が図れた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム、プラスチック等の引抜材により製作された框ドアを有したエアシャワー装置に関する。
【0002】
エアシャワー装置は、半導体及び精密機械等の製造、又は食品の製造・加工を行なうクリーンルーム又は作業室の出入り口に設置され、クリーンルーム及び作業室の通路又は前室として使用され、クリーンルーム又は作業室へ塵埃の流入、持込を防止するための装置である。
【背景技術】
【0003】
半導体及び精密機械等を製造するクリーンルーム又は作業室は、室内の清浄度を保つ為に室内を室外よりも約20Paの高圧としている。その間に設置されるエアシャワーには、塵埃のリークを防ぐ為の密閉度が要求される。従来は、表面に継ぎ目のないフラッシュタイプのドアが用いられていた。しかし、ドア寸法が変更になる際は、ハニカム及びアルミ板の大きさを変化させる必要があり、部材寸法よりも大きい物は接合等の対応が必要であるなどの課題があった。
【0004】
また、エアシャワー装置用ではないが、特許文献(特開平8-144652号公報)に揚げているように、縦框と横框の組合せにより構成されている框ドアは、框の接合部及びガラス板押えパッキン部からのリークの可能性があった。また、寸法を変更する際は、幅寸法の違う框を使う、又はガラス板(外に鏡板、アクリル、鋼板等)の大きさを変化させて対応する。そのため、注文が入った後に各部材を加工する必要があり、製造に時間が掛かっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−144652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な框ドアの構造は、縦框及び横框をねじ止め等により固定している。寸法が変化した場合は縦框、横框、ガラス板の寸法変化により実施するが、框は引抜材であるため、框の長さ及びガラス板の寸法変更で対応することが多かった。その場合、ガラス板面積が大きくなり、パッキン長さ増大による塵埃漏れの可能性が高くなってしまっていた。また、ガラス板が大きくなると、ガラス等が割れる心配や、固定部分が同一である為ドアとしての強度が不足する恐れもあった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、框ドアの高さ方向や幅方向の寸法が変更になった場合、容易に対応でき、また、縦框や横框の合わせ面の気密性を向上した框ドアを有したエアシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、アルミニウム、プラスチック等の引抜材で製造した框ドアを用いたエアシャワー装置であって、該框ドアは、縦框、横框及びガラス板よりなり、該縦框は、縦框と中間縦框に分割可能であり、前記縦框、中間縦框及び横框はスライドして嵌合し、該ガラス板は該框の端部に設けたパッキンにより固定したことを特徴とする。
【0009】
また、前記框ドアの縦框の両側の嵌合する端部は雌型形状をし、前記中間縦框の端部は、一方が雌型で他方が雄型形状であることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記框ドアの端部の雄型形状は、断面において凹部形状を成し、該凹部内に平板状の突起を設けた形状で、前記框ドアの雄型形状に対応する雌型形状は、断面においてΠ形状で両側に溝を設けた形状を成し、該溝に前記平板状の突起が嵌め合うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の框ドアは、約20Paの気圧差においても気密性を保つことができ、塵埃漏れを防ぐことができる。また、組立作業性としては、縦框・横框等の框を用意しておき、注文が入り次第、框の長さを調整し鏡板を所定の寸法に加工するだけでよいので、納期短縮が実現できる。そして、完成品に手動部品・自動部品等を取り付けることにより、種々のドアが出来上がる。アルミ又はプラスチック等の引抜材を用いることにより、気密性だけでなく、材料からの発塵防止・軽量化・加工精度の向上も図れる。
【0012】
また、框の嵌め合いにより強度を持たせるため、ねじ等の接合部材を減らすことができる。
【0013】
見た目としても、上下2分割とならないため、帯状のガラス窓等を取り付けることができ、デザイン性も兼ね備えた構造である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のエアシャワー装置の外観を現す斜視図である。
【図2】本発明のエアシャワー装置の框ドアの斜視図である。
【図3】本発明の図2の框ドアのA−A断面図である。
【図4】本発明の図2の框ドアのB−B断面図である。
【図5】本発明の図4のA部の部分拡大図である。
【図6】本発明の図2の框ドアのC−C断面図である。
【図7】本発明の框ドアを自動ドアに設けた場合の斜視図である。
【図8】本発明の框ドアの縦框と中間縦框の嵌合部を示す図である。
【図9】本発明の框ドアの縦框と中間縦框の嵌合部の他の実施例を示す図である。
【図10】本発明の框ドアの縦框と中間縦框の嵌合部の他の実施例を示す図である。
【図11】本発明の框ドアの他の実施例を示す図である。
【図12】本発明の図11のD−D断面を示す図である。
【図13】本発明の框ドアの他の実施例を示す図である。
【図14】本発明の図13のE−E断面を示す図である。
【図15】本発明の間口の高い框ドアの断面図を示す。
【図16】本発明の間口の広い框ドアの断面図を示す。
【図17】本発明の框ドアの縦框と薄いガラス板との嵌合を示す部分拡大図を示す。
【図18】本発明の框ドアの縦框と厚いガラス板との嵌合を示す部分拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の框ドアを有したエアシャワー装置を示す。図1において、1はエアシャワー装置全体で、2が框ドア、3は框ドア2の中央部に設けられたガラス板で、シャワー室6内が見通せるようになっている。シャワー室6内の壁面には清浄空気を吹き出す吹出しノズル7が複数個設置されている。
【0017】
図2は、本発明のエアシャワー装置の框ドア2の斜視図である。図2において、10は框ドア2の両側の縦框で、11は縦框10のそれぞれ内側に設けた中間縦框で、12は框ドア10の上下に設けた横框である。
【0018】
上下の横框2の間及び中間縦框11の間にはガラス板3を設けている。ここで、ガラス板3の箇所には、外に鋼板、鏡板又はアクリル板を設けても良い。一般に、エアシャワー装置の場合はシャワー室内が見通せるようにガラス板が多い。
【0019】
また、框ドア2の左右側のどちらか一方の端部には蝶番5を設置し、エアシャワー装置の入口に固定し、ドアが開閉できるように構成されている。4はドアハンドルで、蝶番5の反対側の位置で、高さがほぼ930mm程度に設置される。
【0020】
また、ここで、ドアの寸法について記載する。ドアの横幅は一般に800mm、高さは1900mmである。
【0021】
次に框ドアの各部の断面について説明する。
【0022】
図3は、框ドア2の中央部の縦断面、すなわち図2のA−A断面図である。図3において、上側及び下側は横框12で、矩形形状を有し、中は空洞である。また、横框12の内側はガラス板3を固定するようにテーパ形状の凹部を有した構造となっており、ここにガラス板押さえパッキン15を挿入し、ガラス板3を固定する。ここで框ドアの材質は、アルミニウムやプラスチックを用いている。また、ガラス板押さえパッキンはゴム状のものを用いている。
【0023】
図4は、框ドア2の中央部の横断図、すなわち図2のB−B断面図を示す。ここで、図4は横断面図を縦に示しており、上がドア右側を示し、下側がドア左側を示している。図4において、上下側すなわち左右の両側は縦框10で、それぞれ内側に中間縦框11を配置し、各々の中間縦框11でガラス板3を固定する。
【0024】
縦框10と中間縦框11との嵌合については、図5を用いて説明する。
【0025】
図4において、縦框10のそれぞれの端面には縦框カバー14を設置する。縦框端面の構造は、両端とも雌型構造で、表裏の面が突き出して凹部を形成し、その凹部内に平板の突起が表裏面から突き出して所定の間隙を有した構造となっている。
【0026】
縦框カバー4は、この構造に嵌め込むように両側に溝を有したΠ型形状となっており、この溝に縦框の突起が嵌合するようになっている。縦框カバー14は、縦框10の上部より挿入してスライドして嵌め込む。
【0027】
また、中間縦框15の構造は、ガラス板を固定する方が雌型で、縦框と嵌合する方が雄型となっている。
【0028】
ガラス板3の固定は、中間縦框11の端部の構造が雌型で、縦框10の端部と同じ構造をしており、端部の凹部にガラス板押さえパッキン15を設けて固定する。
【0029】
図5は、図4のA部の部分拡大図である。図5(a)は、中間縦框11との嵌合する縦框10の端部の断面構造で、図5(b)は縦框10と嵌合する中間縦框11の端部の断面図である。縦框10の端部は、表裏面が延長され、凹部16(実際は紙面に対し垂直方向の溝)を形成し、凹部16内に表裏面より平板状の突起17を所定の間隙18を有して設ける。また、中間縦框11の端部の構造は、Π型形状で両側に溝20を有した構造である。ここで、縦框10の凹部の平板状突起と中間縦框11の溝20は嵌め合うため、この面接触状態すなわち密着性や接触面積により機密性が異なってくる。これについては後述する。
【0030】
図6は、図2のC−C断面図で、横断面を縦に表示している。従って、図6の上側が図2の右側となり、図6の下側が図2の左側になる。図6の上下側、すなわち框ドアの左右側は縦框10で、その内側に中間縦框11が配置され、中央に横框12が配置される。中間縦框11と横框12の嵌合は、中間縦框11の端部が凹部形状で、横框12は凸部形状であり、横框12の凸部を中間縦框11の凹部に嵌め込むことにより組み込む。図6と図4にて、中間縦框11の内側の構造が異なる。ガラス板3を設置する箇所の端部は、凹部16内に平板状の突起17を持たせ、横框12がある箇所の端部は平板状の突起17は設けない。
【0031】
図7は、本発明の框ドア2を自動ドアに設けた場合の自動ドアタイプの斜視図を示す。図7において、21は吊り金具で、このような構成では、ドアハンドル、蝶番およびラッチを無くすことができ、作業者はドアハンドルに触ることなく出入りが可能となる。
【0032】
次に、図8、図9及び図10に、縦框10と中間縦框11との嵌合について説明する。
【0033】
図8は、図5に示した縦框と中間縦框を嵌合した部分拡大断面図を示している。すなわち、縦框10の凹部16に設けた平板状の突起17に、中間縦框11のΠ形状の両側の溝20が平板状の突起17に嵌着され、Π形状の平坦部19が平板状の突起17の半分くらい接触している場合である。この場合、約20Paの圧力差においても機密性が保たれた。さらに図9に示した縦框10と中間縦框11の嵌合であれば、中間框のΠ形状の平坦部22と縦框の平板状の突起17とをほぼ接触させ、接触面積を増加させているため機密性はさらに向上する。
【0034】
また、図10は、中間縦框11の端部の構造が、縦框の端部の凹部に差し込む構造で、Π形状ではなくテーパ形状を有して嵌め合いもスライドタイプとは異なる。すなわち中間縦框の端部は、縦框の凹部の平板状の突起17の間隙18に差し込み易いように先端が尖ったテーパ形状として差し込んだら外れないように、突起17の幅と同じ溝を設けている。このような図10の構成では、縦框と中間縦框の嵌合の接触面積が図8,図9の場合より小さくなるため、機密性は劣ることになるが、作業性が向上する。
【0035】
次に、ドアの間口が狭い場合の框ドアについて図11に斜視図を示し、その断面図を図12に示す。
図11は、図2の框ドアと比較して中間縦框をなくした構成になっている。図12に図11のD−D断面図を示す。図11の縦框10がドアの両側に設けられているが、図12は横断面を縦に表しているため、上側がドアの右側で、下側がドアの左側である。図12において、ガラス板3は縦框10の内側の凹部にガラス板押さえパッキン15を設け、ガラス板3を固定する。このようにドア間口が狭いドアについては、中間縦框をなくすことで対応が取れ、作業性が向上する。
【0036】
次に、図13はドアの間口が狭いドアにおいて、ガラス板ではなく、横框24を設置した場合を示す。図13の框ドアの横断面であるE−E断面を図14に示す。図13及び図14において、ドア間口が狭いため、図2に示した中間縦框をなくし、幅の狭いドアに対応している。図13はドア中央部はガラス板ではなく、塞いだドア、例えば鏡面等を設置した場合を示し、横框24の構造としている。従って、この横框24の両端部は、Π形状を有し、縦框10と図8のような嵌合となっている。
【0037】
次に、ドアの高さが高い場合の框ドアについて、框ドアの斜視図は省略しているが、図15にその中央部の縦方向の断面図を示す。図15において、ドア上下の横框12の間に横框25を追加し、ガラス板3を増加し、高さの調整を行っている。中央の横框25の上下の端部は、先端が尖ったテーパ形状で、且つ凹部を有し、ガラス押さえパッキン15を設置しガラス板3を固定するようになっている。
【0038】
次に、ドアの間口が広い場合の框ドアについて、図16に框ドアの横方向の断面図を示す。図16は、間口の広いドアに対応して中央に縦框を1段追加し、ガラス板3を中央の縦框の両側に設けた場合を示している。ガラス板3の固定は、上記の通り端部の凹部にガラス板押さえパッキン15を設置し、ガラス板3を固定している。また、図16の構成と異なる方法として、中間縦框を追加して、ドア間口が広いドアに対応することも可能である。
【0039】
次に、框ドア2のガラス板の厚みが異なった場合の固定について、図17及び図18を用いて説明する。
【0040】
図17及び図18は、縦框にガラス板が固定された状態の部分拡大断面図で、図17はガラス板3が薄い場合で、図18はガラス板3が厚い場合を示している。ガラス板が薄い場合はガラス押さえパッキン15の量を減らし、厚い場合はその量を増加し、対応する。ガラス板押さえパッキンの形状も図17及び図18は同じ形状であるが、変更することも可能である。ここではガラス板について述べたが、外に強化ガラス、網入りガラス、アクリル板、鏡板又は鋼板を取り付ける場合でもパッキンを変えるだけで対応が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・エアシャワー装置
2・・・框ドア
3・・・ガラス板
4・・・ドアハンドル
5・・・蝶番
10・・・縦框
11・・・中間縦框
12・・・横框
14・・・縦框カバー
15・・・ガラス板押さえパッキン
16・・・縦框凹部
17・・・平板状突起
18・・・間隙
19・・・Π形状嵌合部
20・・・溝
21・・・吊り金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム、プラスチック等の引抜材で製造した框ドアを用いたエアシャワー装置であって、
該框ドアは、縦框、横框及びガラス板よりなり、該縦框は、縦框と中間縦框に分割可能であり、
前記縦框、中間縦框及び横框はスライドして嵌合し、該ガラス板は該框の端部に設けたパッキンにより固定したことを特徴とする框ドアを有したエアシャワー装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアシャワー装置において、
前記框ドアの縦框の両側の嵌合する端部は雌型形状をし、
前記中間縦框の端部は、一方が雌型で他方が雄型形状であることを特徴とする框ドアを有したエアシャワー装置。
【請求項3】
請求項2記載のエアシャワー装置において、
前記框ドアの端部の雄型形状は、断面において凹部形状を成し、該凹部内に平板状の突起を設けた形状で、
前記框ドアの雄型形状に対応する雌型形状は、断面においてΠ形状で両側に溝を設けた形状を成し、該溝に前記平板状の突起が嵌め合うようにしたことを特徴とする框ドアを有したエアシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−69079(P2011−69079A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219908(P2009−219908)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】