説明

エアゾール噴射装置

【課題】必要とする噴射量を設定しうるエアゾール噴射装置を提供する。
【解決手段】押圧操作部17の押圧により容器本体の噴射管4からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部材2と、上記ボタン操作部材2に取り付けられ、噴射管4から噴出したエアゾール組成物の導入通路10が形成された制御部材3と、上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴7と、上記導入通路10から導入されたエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴7に導くバッファ通路6が形成された回転操作部材1とを備え、上記制御部材3がバッファ通路6内に存在するよう制御部材3と回転操作部材1がら着され、上記回転操作部材1の回転にともなうねじ作用により、上記バッファ通路6内において制御部材3をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に充填した種々の液状物質を霧状にして噴射するためのエアゾール噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内及び車用の消臭剤や芳香剤では、ゲル化した商品やビーズ状、マイクロカプセルを活用した製品、エアゾール製品では通常のスプレー形式や定量タイプなど多くの剤型の商品群が紹介されている。特に、エアゾール用途ではボタンにロック機構を設けた全量噴射形式の製品やキャップを回転させることにより噴霧させる製品などが提供されている。
【0003】
エアゾール製品ではエアゾールバルブを作動させ、内容物を取り出し微細ミストとして噴霧させる際に、バルブオリフィス径やボタンオリフィス径により噴射量を制御する方法が一般的である。
【0004】
ゴキブリやノミ、ダニ等の屋内害虫に対する駆除方法として、駆除する害虫に対して殺虫効果のある薬剤を直接あるいは間接的に噴霧する方法が採られており、殺虫剤を缶詰状をした容器に密封包装した燻蒸形式の殺虫剤入り容器が用いられてきた。これらの殺虫剤入りの容器は密閉状態にした室内等に於いて、該容器の蓋体を開封した後で発煙させるか、あるいは、容器の蓋体を開封したものに水を添加して気化反応させるなど、発生した殺虫剤の煙で密室内を充満させて燻蒸することにより殺虫する方法を採用したものである。
【特許文献1】特開平8−26924公報
【特許文献2】特開2001−892公報
【特許文献3】特開2000−247383号
【特許文献4】特開2001−146280号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、密閉された室内でこれらを用いるには、気化した煙を人や犬、猫等の動物がある一定量以上を吸引すると生命に危険を伴うので、使用に伴う煙の発生に際しては、室外に避難する等の厳重な注意が必要である。
【0006】
そこで、害虫の駆除が必要な時に、駆除すべき場所で必要なだけ随時噴霧可能にしたものとして、特開平8−26924号(上記特許文献1)等のように、密封容器に殺虫剤と高圧の噴射剤とを封入したスプレー式の殺虫用エアゾール容器がある。これらは、害虫の駆除には大きな作用を発揮して、充分な防虫効果が持続できると共に、安全で且つ手軽に使用することができるという点から一般に広く使用されている。
【0007】
しかしながら、これらのスプレー式のエアゾール容器を用いるには、スプレーのノズルヘッドを常時押圧しつづけて噴射しなければならず、例え人体にとって無害だとは言っても、一定時間以上このような内容組成物の臭いを嗅ぎつづけると、気分を悪くする場合や作業上の苦痛を覚えることが多い。
【0008】
そこで、上記したような噴射方法に代わるものとして、連続して噴射可能で、作動後一定時間経過した後噴射するような遅延式噴射装置(特開2001−892;上記特許文献2)が開示されている。
【0009】
また、特開2000−247383号(上記特許文献3)には、エアゾール容器に於いて内容液体を霧状に連続噴霧可能で、必要に応じ噴霧中断でき、不正開封を防止した自動噴射可能なエアゾール容器が開示されている。
【0010】
また、特開2001−146280号(上記特許文献4)には、噴射量を2段階に設定できるエアゾール容器が提案されている。
【0011】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたような遅延噴射機構は、構造が複雑であるうえ、一定量しか噴射することができないという問題がある。また、上記特許文献3記載のエアゾール容器も、一定量しか噴射することができず、用途に応じた噴射量に設定するよう、複数種類を準備する必要があり、種類ごとに金型を作成する必要があることから、製作コストが高くなるという問題がある。また、上記特許文献4記載のエアゾール容器は、噴射量を2段階に調節することはできても、噴射する組成物の種類や場所等の用途に対応して噴射量を制御するには充分ではない。
【0012】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、例えば、一般家庭のトイレ周りの家庭用室内消臭剤・自動車用消臭剤やゴキブリや白蟻、ダニその他の家屋内に侵入した害虫を駆除するための殺虫剤など、必要とする噴射量を設定し、連続して自動的に噴霧するのに適し、かつ全量噴射機構を兼ね備えることができるエアゾール噴射装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第1のエアゾール噴射装置は、エアゾール組成物が充填された容器本体に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置であって、上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴と、上記ノズル穴および容器本体の噴射管に連通し、上記噴射管から噴出したエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴に導くバッファ通路と、上記バッファ通路内においてねじ作用で進退することにより噴射量を制御する制御部材とを備え、上記ねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されていることを要旨とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2のエアゾール噴射装置は、エアゾール組成物が充填された容器本体に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置であって、押圧操作部の押圧により容器本体の噴射管からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部と、上記ボタン操作部に取り付けられ、噴射管から噴出したエアゾール組成物の導入通路が形成された制御部材と、上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴と、上記導入通路から導入されたエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴に導くバッファ通路が形成された回転操作部材として機能する本体とを備え、上記制御部材がバッファ通路内に存在するよう制御部材と本体がら着され、上記本体の回転にともなうねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されていることを要旨とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第3のエアゾール噴射装置は、エアゾール組成物が充填された容器本体に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置であって、押圧操作部の押圧により容器本体の噴射管からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部として機能する本体と、上記本体に取り付けられる制御部材とを備え、上記本体に、エアゾール組成物を噴射させるノズル穴と、上記噴射管から噴出して導入通路から導入されたエアゾール組成物を流通させてノズル穴に導くバッファ通路が形成され、上記制御部材がバッファ通路内に存在するよう制御部材と本体がら着され、上記制御部材の回転に伴うねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明のエアゾール噴射装置は、ねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されている。このため、極めて簡単な機構で無段階に噴射量を制御することができ、用途に応じた噴射量に設定して使用することが可能になる。このように、エアゾール容器内に充填した種々の液状物質を霧状にして噴射することが可能であるとともに、特に一般家庭のトイレ周りの家庭用室内消臭剤・自動車用消臭剤やゴキブリや白蟻、ダニその他の家屋内に侵入した害虫を駆除するための殺虫剤などの必要とする噴射量を任意に選定できる。
【0017】
本発明において、上記導入通路のバッファ通路側の開口と、制御部材と本体とのら合部との間に、シール部材が設けられている場合には、噴射量を調節するためのねじ作用をつかさどるねじ部にエアゾール噴射物が付着しないため、ねじ部に異物が固まって起こる動作不良が防止され、確実に噴射量を調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0019】
図1〜図4は、本発明のエアゾール噴射装置の第1実施例を示す図である。図1は本実施例の斜視図、図2は断面図、図3および図4は要部拡大断面図であり、図3は正面から見た断面、図4は側面から見た断面である。
【0020】
このエアゾール噴射装置は、エアゾール組成物が充填された容器本体(図示せず)に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置である。
【0021】
上記容器本体は、耐圧性の容器内に、例えば、消臭剤、芳香剤、殺虫剤などの液状の噴射物質が充填され、エアゾール用バルブを装着し、炭酸ガス、窒素ガスなどの圧縮ガス及び液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガスを任意の割合で加圧充填したスプレー式エアゾール容器を用いることができる。この容器本体には、上部に噴射管4が設けられており、噴射管4を押圧することで噴射管4から内容物であるエアゾール組成物が噴出するようになっている。
【0022】
そして、このエアゾール噴射装置には、上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴7と、上記ノズル穴7および容器本体の噴射管4に連通し、上記噴射管4から噴出したエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴7に導くバッファ通路6と、上記バッファ通路6内においてねじ作用で進退することにより噴射量を制御する制御部材3とを備えている。
【0023】
より詳しく説明すると、押圧操作部17の押圧により容器本体の噴射管4からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部材2と、上記ボタン操作部材2に取り付けられる制御部材3および回転操作部材1とを備えて構成されている。
【0024】
図2に示すように、上記ボタン操作部材2は、容器本体の上部に取り付けるための円筒状のハカマ部22と、上記ハカマ部22の内部に配置されてハカマ部22の内周面の一部と薄肉ヒンジ部19で連結されたボタン部23とを備えて構成されている。上記ボタン部23には、薄肉ヒンジ部19と反対側に、横方向に突出した押圧操作部17が設けられている。また上記ボタン部23の下面には噴射管4と嵌合する下側凹部34が形成され、上面には制御部材3と嵌合する上側凹部35が形成されている。そして、上記下側凹部34から上側凹部35に向かって貫通する流路18が形成されている。
【0025】
この構成により、押圧操作部17に手指を掛けて下向きに押圧すると、薄肉ヒンジ部19が変形してボタン部23が下向きに押し込まれ、噴射管4が押し込まれて容器本体内部のエアゾール組成物が噴射管4から噴出し、流路18を通って制御部材3に導入されるようになっている。
【0026】
また、上記ボタン部23の押圧操作部17より少し下側には、ハカマ部22の内面に形成された被係合部21に係合する係合部20が突出形成されている。これにより、押圧操作部17に手指を掛けて下向きに押圧すると、噴射管4が押し込まれた状態で、係合部20と被係合部21が係合してボタン部23が戻らなくなり、内部のエアゾール組成物が噴射管4から噴出し続けるようになっている。
【0027】
図3および図4に示すように、上記ボタン操作部材2に取り付けられ、噴射管4から噴出したエアゾール組成物の導入通路10が形成された制御部材3と、上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴7と、上記導入通路10から導入されたエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴7に導くバッファ通路6が形成された回転操作部材(本体)1とを備えている。
【0028】
上記制御部材3は、全体としてフランジ38付きの略円柱状を呈し、フランジ38の下側は、ボタン操作部材2の上側凹部35と嵌合する嵌合部37に形成されている。また、上側の先端部は、回転操作部材1のノズル穴7に臨む円錘状のニードル部15に形成されている。また、フランジ38よりも少し上側の部分には、回転操作部材1とら合するためのねじ部13が形成されている。
【0029】
また、上記制御部材3には、上下に延びて、下側が嵌合部37の下面に開口するとともに、上側がニードル部15より少し下側の左右に開口するT字状の導入通路10が形成されている。上記導入通路10は、制御部材3がボタン操作部材2に取り付けられた状態で、ボタン操作部材2の流路18を介して噴射管4と連通する。これにより、ボタン操作部材2のボタン操作により、噴射管4からエアゾール組成物が噴出すると、流路18を通って導入通路10内に導入されるようになっている。
【0030】
また、上記導入通路10の上側すなわちバッファ通路6側の開口11よりも少し下側にはシール部材9が配置されている。このように、上記導入通路10のバッファ通路6側の開口11と、制御部材3と回転操作部材1とのら合部であるねじ部13との間に、シール部材9が設けられ、噴射量を調節するためのねじ作用をつかさどるねじ部13にエアゾール噴射物が付着しないため、ねじ部13に異物が固まって起こる動作不良が防止され、確実に噴射量を調節することができる。
【0031】
上記回転操作部材1は、全体として有天円筒状に形成され、天井部にノズル穴7が形成されている。また、円筒状の内部空間が、上記導入通路10から導入されたエアゾール組成物を流通させてノズル穴7に導くバッファ通路6に形成されている。上記バッファ通路6の天井面は、制御部材3のニードル部15の円錐状より角度が緩やかな逆さすり鉢状に形成されている。また、バッファ通路6の下側の内面には、制御部材3とら合するためのねじ部13が形成されている。
【0032】
そして、上記制御部材3がバッファ通路6内に存在するよう制御部材3と回転操作部材1がら着されている。このような構成により、上記回転操作部材1の回転にともなうねじ部13のねじ作用により、上記バッファ通路6内において制御部材3がねじ作用で上下方向に進退させて噴射量を制御するようになっている。
【0033】
すなわち、回転操作部材1を、ねじ部13がねじ込まれる方向に回転させると、制御部材3がバッファ通路6内を上方に進むことになり、ノズル穴7に臨む制御部材3のニードル部15がノズル穴7に近づき、ニードル部15の先端がノズル穴7を塞ぐ(図3の状態)。この状態では、ボタン操作部材2のボタン操作によって噴射管4からエアゾール組成物が噴出しても、ノズル穴7からはほとんど噴出しない。
【0034】
図4に示すように、回転操作部材1を、ねじ部13を緩める方向に回転させると、制御部材3がバッファ通路6内を下方に進むことになり、ノズル穴7に臨む制御部材3のニードル部15の先端がノズル穴7から離れ、ノズル穴7が開放される。この状態で噴射管4からエアゾール組成物が噴出すると、ノズル穴7から噴射される。
【0035】
そして、回転操作部材1の回転度合いを調整することにより、ニードル部15とノズル穴7との距離が変化してノズル穴7の開口率が変化し、噴射量が制御されるようになっている。
【0036】
このとき、エアゾール組成物は、制御部材3の導入通路10を通ってその開口11から噴出し、ニードル部15の斜面とバッファ通路6の壁面との間に形成される環状のバッファ空間25で一旦膨張し、その後ノズル穴7から噴射される。このように、ノズル穴7を中心とする環状のバッファ空間25で一旦膨張してから、中心のノズル穴7から噴射されるため、エアゾール組成物が円形に噴射され、より均一な散布を行うことができる。
【0037】
つぎに、上記エアゾール噴射装置の動作について説明する。
【0038】
まず、回転操作部材1を一杯までねじ込んで、ノズル穴7をニードル部15で塞いだ状態で、押圧操作部17に手指を掛けて下向きに押圧し、係合部20と被係合部21が係合してボタン部23が戻らなくなるまで押し込み、噴射管4を押し込んでエアゾール組成物が噴射管4から噴出し続ける状態にする。この状態では、ノズル穴7は塞がっているのでノズル穴7からエアゾール組成物はほとんど噴出しない。
【0039】
ついで、図6に示すように、回転操作部材1を、ねじ部13を緩める方向に回転させ、ニードル部15の先端とノズル穴7との間に隙間をつくり、ノズル穴7を開放し、所望の噴射量になるよう回転操作部材1の回転度合いを調節する。このようにすることにより、適当な噴霧状態が継続して得られ、連続して自動的に噴霧するのに適し、かつ全量噴射することが可能となる。
【0040】
図7は、本発明の第2実施例である。
【0041】
この例では、ボタン操作部材2のハカマ部22の上部に、上方に突出する回転規制部材27が設けられるとともに、回転操作部材1の外周部に、上記回転規制部材27と干渉するよう横方向に延びる係止部材28が設けられている。上記係止部材28は、図8(A)に示すように、回転操作部材1を一杯までねじ込んで、ニードル部15がノズル穴7を塞いだ状態で、回転規制部材27とほぼ干渉する程度の位置に配置されている。そして、図8(B)に示すように、回転操作部材1を緩める方向に一回転する少し手前で回転規制部材27に干渉し、回転操作部材1を緩め過ぎて外してしまうのが防止されるようになっている。それ以外は上記第1実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0042】
なお、上記第1および第2の実施例において、係合部20および被係合部21を設けず、押圧操作部17を押したときだけ噴射するようにすることもできる。
【0043】
図9は、本発明の第3実施例である。
【0044】
この実施例は、押圧操作部17の押圧により容器本体の噴射管4からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部(本体)31と、上記ボタン操作部31に取り付けられる制御部材3とを備えている。
【0045】
上記ボタン操作部31は、下面に噴射管4が嵌合する下側凹部40が形成されている。また、上記ボタン操作部31には、前面にエアゾール組成物を噴射させるノズル穴7が穿設され、上記ノズル穴7の後方に、上記噴射管4から噴出して導入通路10から導入されたエアゾール組成物を流通させてノズル穴7に導くバッファ通路6が前後に延びるよう形成されている。そして、上記ボタン操作部31には、上記下側凹部40とバッファ通路を連通させる導入通路10が形成されている。
【0046】
上記導入通路10のバッファ通路6側の開口11は、バッファ通路6の前方の奥面よりも少し後ろ側に形成されている。また、バッファ通路6の後部開口近傍部の内面には、制御部材3とら合するためのねじ部13が形成されている。
【0047】
上記制御部材3は、全体として円柱状に形成され、後端部に円柱状のツマミ部32が形成されている。また、上記ツマミ部32の少し前方には、ボタン操作部31とら合するためのねじ部13が形成されている。また、制御部材3をねじ込んだ状態で、導入通路10のバッファ通路6側の開口11より先端側が細径に形成され、この制御部材3の細径部とバッファ通路内壁との間にバッファ空間25が形成されている。
【0048】
上記制御部材3の細径部の先端は円錐状に形成されたニードル部15に形成されている。また、制御部材3の細径部よりも後方に、シール部材9が設けられている。これにより、上記導入通路10のバッファ通路6側の開口11と、制御部材3とボタン操作部31とのら合部であるねじ部13との間に、シール部材9が設けられている。
【0049】
そして、上記制御部材3がバッファ通路6内に存在するよう制御部材3とボタン操作部31がら着され、上記制御部材3の回転に伴うねじ作用により、上記バッファ通路6内において制御部材3をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されている。
【0050】
つぎに、上記エアゾール噴射装置の動作について説明する。
【0051】
まず、制御部材3を一杯までねじ込んで、ノズル穴7をニードル部15で塞いだ状態では、ノズル穴7は塞がっているのでノズル穴7からエアゾール組成物はほとんど噴出しない。そして、ツマミ部32を把持して制御部材3のねじが緩む方向に回転させると、ニードル部15の先端とノズル穴7との間に隙間ができ、ノズル穴7が開放される。そして、所望の噴射量になるよう制御部材3の回転度合いを調節する。このようにすることにより、適当な噴霧状態が得られる。
【0052】
以上のように、本発明のエアゾール噴射装置は、ねじ作用により、上記バッファ通路6内において制御部材3をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されている。このため、極めて簡単な機構で無段階に噴射量を制御することができ、用途に応じた噴射量に設定して使用することが可能になる。このように、エアゾール容器内に充填した種々の液状物質を霧状にして噴射することが可能であるとともに、特に一般家庭のトイレ周りの家庭用室内消臭剤・自動車用消臭剤やゴキブリや白蟻、ダニその他の家屋内に侵入した害虫を駆除するための殺虫剤などの必要とする噴射量を任意に選定できる。
【0053】
そして、消臭剤などをリビングなどの狭い空間で使用する場合には、回転噴射ノズル部の開放を制御することで長時間内溶液を噴霧することが可能であり、室内芳香剤などでは新鮮な香りをほぼ一定噴射できる。又、トイレ内では使用者のニ一ズに合わせて必要量噴霧することも可能となった。
【0054】
上記各実施例において、使用するバルブ・ボタンのオリフィス径は用途により任意に選定でき、用途や使用方法が大きく異なることから、微量噴射から大量噴射まで選定可能であり、噴射量可変ボタンとしても有効である。例えば、消臭剤や芳香剤のように微細なミストを要求される製品には、ステムオリフィス0.3mm〜1.0mmの範囲から、全量噴射で使い切りを前提とする製品ではステムオリフィス0.3mm〜1.0mmの範囲から使用目的に合わせて選定できる。また、回転噴射ノズルのオリフィス径は、目的に応じて0.3mmから2.0mm程度まで選定できる。なお、ワイド(広角)噴射(楕円状の噴射パターン)や通常噴射(円形の噴射パターン)の噴射口を装着することにより、塗料などの用途でも噴射量可変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のエアゾール噴射装置の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】上記第1実施例を示す断面図である。
【図3】上記第1実施例の要部を示す断面図である。
【図4】上記第1実施例の要部を示す断面図である。
【図5】上記第1実施例の動作状態を示す断面図である。
【図6】上記第1実施例の動作状態を示す断面図である。
【図7】本発明のエアゾール噴射装置の第2実施例を示す断面図である。
【図8】上記第2実施例の作用を示す平面図である。
【図9】本発明のエアゾール噴射装置の第3実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 回転操作部材
2 ボタン操作部材
3 制御部材
4 噴射管
6 バッファ通路
7 ノズル穴
9 シール部材
10 導入通路
11 開口
13 ねじ部
15 ニードル部
17 押圧操作部
18 流路
19 薄肉ヒンジ部
20 係合部
21 被係合部
22 ハカマ部
23 ボタン部
25 バッファ空間
27 回転規制部材
28 係止部材
31 ボタン操作部
32 ツマミ部
34 下側凹部
35 上側凹部
37 嵌合部
38 フランジ
40 下側凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール組成物が充填された容器本体に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置であって、
上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴と、
上記ノズル穴および容器本体の噴射管に連通し、上記噴射管から噴出したエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴に導くバッファ通路と、
上記バッファ通路内においてねじ作用で進退することにより噴射量を制御する制御部材とを備え、
上記ねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されていることを特徴とするエアゾール噴射装置。
【請求項2】
エアゾール組成物が充填された容器本体に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置であって、
押圧操作部の押圧により容器本体の噴射管からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部と、
上記ボタン操作部に取り付けられ、噴射管から噴出したエアゾール組成物の導入通路が形成された制御部材と、
上記エアゾール組成物を噴射させるノズル穴と、上記導入通路から導入されたエアゾール組成物を流通させて上記ノズル穴に導くバッファ通路が形成された回転操作部材として機能する本体とを備え、
上記制御部材がバッファ通路内に存在するよう制御部材と本体がら着され、上記本体の回転にともなうねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されていることを特徴とするエアゾール噴射装置。
【請求項3】
エアゾール組成物が充填された容器本体に取り付けられて当該容器本体内のエアゾール組成物を噴射するためのエアゾール噴射装置であって、
押圧操作部の押圧により容器本体の噴射管からエアゾール組成物を噴出させるボタン操作部として機能する本体と、
上記本体に取り付けられる制御部材とを備え、
上記本体に、エアゾール組成物を噴射させるノズル穴と、上記噴射管から噴出して導入通路から導入されたエアゾール組成物を流通させてノズル穴に導くバッファ通路が形成され、
上記制御部材がバッファ通路内に存在するよう制御部材と本体がら着され、上記制御部材の回転に伴うねじ作用により、上記バッファ通路内において制御部材をねじ作用で進退させて噴射量を制御するように構成されていることを特徴とするエアゾール噴射装置。
【請求項4】
上記導入通路のバッファ通路側の開口と、制御部材と本体とのら合部との間に、シール部材が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアゾール噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−320782(P2006−320782A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143704(P2005−143704)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】