エアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器
【課題】残留物を放出する際には残留物放出機構として機能する一方で、分別廃棄をする際には分別廃棄機構として機能することができる、残留物放出と分別廃棄の兼用構造を備えた肩カバー付きエアゾール容器を提供すること。
【解決手段】容器本体の上部に噴射ボタンを備えたエアゾール容器に装着される肩カバーであって、容器本体の上部外周面に嵌着される略円筒状の側壁部と、噴射ボタンを露出させるための中央孔を有する上板部とを備え、上板部は、中央孔の外側に同心円状に形成された円弧状のスリットを有するとともに、該スリットと中央孔の間に挟まれた領域にある円弧状片には、該スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されており、円弧状片を、切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、側壁部をエアゾール容器の上部外周面に嵌着させた時に、該円弧状片により噴射ボタンが押し下げられる。
【解決手段】容器本体の上部に噴射ボタンを備えたエアゾール容器に装着される肩カバーであって、容器本体の上部外周面に嵌着される略円筒状の側壁部と、噴射ボタンを露出させるための中央孔を有する上板部とを備え、上板部は、中央孔の外側に同心円状に形成された円弧状のスリットを有するとともに、該スリットと中央孔の間に挟まれた領域にある円弧状片には、該スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されており、円弧状片を、切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、側壁部をエアゾール容器の上部外周面に嵌着させた時に、該円弧状片により噴射ボタンが押し下げられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はエアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器に関し、より詳しくは、残留物放出機能と分別廃棄機能を兼ね備えたエアゾール容器の肩カバーとこの肩カバーを備えたエアゾール容器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、化粧料、殺虫剤、塗料等のエアゾール容器には、噴射される内容物の他にＬＰガス等の可燃性ガスが充填されているため、内容物が残存した状態で容器を廃棄すると、容器が爆発して清掃作業者が怪我をする等の危険性がある。
そのため、通常は容器の表面に「使い切って捨てて下さい」等の表示がなされているが、内部に残った残留物を全て放出するには噴射ボタンを一定時間押し続ける必要があるため面倒であり、残留物が多い場合には押している指が疲れるという問題があった。
【０００３】
このような問題を解決すべく、エアゾール容器内の残留物を放出するための残留物放出機構が数多く創出されており、例えば下記特許文献１乃至４の開示技術はその一例である。
【０００４】
特許文献１の開示技術は、キャップの天井面に残留物放出機構を設け、キャップを逆向きにして容器に被せることにより、ノズルを押圧するように構成したものである。
特許文献２の開示技術は、キャップの天井面に残留物放出機構を設け、キャップを容器に被せて、天井面の一部を押し下げることにより、噴射ボタンを押圧するように構成したものである。
【０００５】
これらの開示技術は、ノズルや噴射ボタンを押圧した状態で維持することが可能であるため、上述した問題点を解決できるものの、外観が重視される化粧料等のエアゾール容器において広く使用されている肩カバー付きのエアゾール容器に対して用いるには適していない。
【０００６】
一方、特許文献３及び４には、肩カバー付きのエアゾール容器に対して適用される技術が開示されている。
特許文献３の開示技術は、肩カバーにノズル部を固定する係止部を設け、押し下げられたボタンを係止部により固定するように構成したものである。
特許文献４の開示技術は、肩カバーとは別にノズル部を固定する係止部材を設け、押し下げられたボタンを係止部材により固定するように構成したものである。
【０００７】
これらの開示技術は、肩カバー付きのエアゾール容器において、ノズルや噴射ボタンを押圧した状態で維持することが可能であって、上述した問題点を解決できるものである。
しかしながら、これらの開示技術は、エアゾール容器を廃棄する際の別の問題点である分別廃棄の点については、充分な考慮がなされているとはいえない。
【０００８】
すなわち、肩カバー付きのエアゾール容器については、廃棄する際に、合成樹脂製の肩カバーと金属製の容器本体とを分別することが求められるが、特許文献３及び４の開示技術は、肩カバーと容器本体との分別作業を容易にするための構造を備えていない。
【０００９】
尚、肩カバーと容器本体との分別廃棄作業を容易にするための機構自体は、既に様々なものが考案されている。
しかしながら、従来公知の分別廃棄機構は、残留物放出機構と関連付けられることなく分別廃棄という観点のみに基づいて設計考案されているものであるから、特許文献３及び４に記載されたような残留物放出機構に関する開示技術と組み合わせることは困難であった。また、仮に組み合わせることができたとしても、肩カバー全体の構造が複雑化する等して、外観、強度、生産性等の面で好ましくない影響が生じることは避けられなかった。
【００１０】
【特許文献１】特開平１０−５３２８９号公報
【特許文献２】特開２００１−９７４６６号公報
【特許文献３】特開２００２−８００７７号公報
【特許文献４】特開２００６−２７７１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、残留物を放出する際には残留物放出機構として機能する一方で、分別廃棄をする際には分別廃棄機構として機能することができる、残留物放出と分別廃棄の兼用構造を備えたエアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
請求項１に係る発明は、容器本体の上部に噴射ボタンを備えたエアゾール容器に装着される肩カバーであって、前記容器本体の上部外周面に嵌着される略円筒状の側壁部と、前記噴射ボタンを露出させるための中央孔を有する上板部とを備えており、前記上板部は、前記中央孔の外側に同心円状に形成された円弧状のスリットを有するとともに、該スリットと中央孔の間に挟まれた領域にある円弧状片には、該スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されており、前記円弧状片を、前記切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、前記側壁部をエアゾール容器の上部外周面に嵌着させた時に、該円弧状片により前記噴射ボタンが押し下げられることを特徴とするエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１３】
請求項２に係る発明は、前記スリットが半円弧状に形成され、前記円弧状片が半円弧状の部材とされていることを特徴とする請求項１記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１４】
請求項３に係る発明は、前記上板部は、前記スリットの外側領域に、前記円弧状片の外側面の一部を側方に露出させるための凹部を有しており、前記円弧状片は、肩カバーの上面を形成する鍔部と、該鍔部の下方に延出された胴部とを有していることを特徴とする請求項１又は２記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１５】
請求項４に係る発明は、前記スリットの一部分に、前記円弧状片と前記外側領域とを連結する連結部が設けられていることを特徴とする請求項１乃至３いずれかに記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１６】
請求項５に係る発明は、前記胴部の外側に、前記噴射ボタンの周囲に形成された巻締部に嵌合される円筒状の嵌合部が形成されており、該嵌合部には、前記スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項３又は４記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１７】
請求項６に係る発明は、請求項１乃至５いずれかに記載の肩カバーを備えていることを特徴とするエアゾール容器に関する。
【００１８】
請求項７に係る発明は、噴射ボタンの上面に、前記立ち上げられた状態の円弧状片を係止するための係止溝を有していることを特徴とする請求項６記載のエアゾール容器に関する。
【発明の効果】
【００１９】
請求項１に係る発明によれば、エアゾール容器の廃棄時において、肩カバーの上板部に形成された円弧状片を、切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、側壁部を容器本体の上部外周面に嵌着させることにより、該円弧状片によって噴射ボタンが押し下げられるため、容器内部の残留物を継続的に噴射させて放出することができ、残留物放出作業を容易に行うことが可能となる。
また、残留物の放出が終了したら、立ち上げられた円弧状片を上方に引っ張ることにより、肩カバーを容器本体から簡単に取り外すことができるため、肩カバーと容器本体の分別廃棄作業を容易に行うことができる。
しかも、円弧状片が残留物放出と分別廃棄の両方の機能を兼ねることができるため、肩カバー全体の構造をシンプルにすることができ、両方の機能を別々に設けた場合に比べて、外観、強度、生産性等の面で優れたものとなる。
【００２０】
請求項２に係る発明によれば、スリットが半円弧状に形成され、円弧状片が半円弧状の部材とされていることにより、立ち上げられた円弧状片により噴射ボタンの中央付近を確実に押さえることが可能となる。
【００２１】
請求項３に係る発明によれば、上板部が、スリットの外側領域に、円弧状片の外側面の一部を側方に露出させるための凹部を有しており、円弧状片が、肩カバーの上面を形成する鍔部と、該鍔部の下方に延出された胴部とを有していることにより、円弧状片を立ち上げる際に、凹部から指を差し入れて鍔部に引っ掛けて立ち上げることができ、残留物放出及び分別廃棄の作業を容易に行うことができる。
【００２２】
請求項４に係る発明によれば、スリットの一部分に、円弧状片と外側領域とを連結する連結部が設けられていることにより、廃棄前の通常の使用時において、円弧状片が不用意に浮き上がることが防止される。
【００２３】
請求項５に係る発明によれば、円弧状片に形成された切欠部と、嵌合部に形成された切欠部が、共にスリットの両端部付近に形成されていることにより、肩カバーと容器本体の分別作業時において、肩カバーの側壁を側方から押さえて簡単に変形させることが可能となり、分別廃棄作業を容易に行うことができる。
【００２４】
請求項６に係る発明によれば、残留物放出機能と分別廃棄機能を兼ね備えた肩カバーを備えていることにより、使い終えて廃棄する時に、残留物の放出作業並びに肩カバーと容器本体との分離作業を容易に行うことができるエアゾール容器となる。
【００２５】
請求項７に係る発明によれば、噴射ボタンの上面に、立ち上げられた状態の円弧状片を係止するための係止溝を有していることにより、円弧状片が立ち上げられた状態で係止溝に保持され、残留物放出作業の途中で円弧状片が噴射ボタンから外れることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明に係るエアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図１乃至図３は本発明に係るエアゾール容器の肩カバーを示す図であって、図１は平面図、図２は図１のＡ−Ａ線部分断面図、図３は正面図、図４は右側面図である。
【００２７】
本発明に係る肩カバー（１）は、略円筒状に形成された側壁部（２）と、この側壁部（２）の上部に形成された上板部（３）とからなり、これら側壁部（２）と上板部（３）は合成樹脂により一体成形されている。
【００２８】
側壁部（２）は、エアゾール容器本体（以下、容器本体と称す）の上部外周面に嵌着される部分であって、図５に示す如く、内周面の下方部分が容器本体（４）の上部外周面に外嵌されることにより、肩カバー（１）が容器本体（４）の上部に装着される。
【００２９】
上板部（３）は、側壁部（２）の上端部から内方に向けて略水平に延出形成されており、その中心に円形の中央孔（５）を有している。
中央孔（５）は、図５に示すように、肩カバー（１）を容器本体（４）に取り付けた際に、噴射ボタン（６）を上方に露出させるために設けられている。つまり、このように噴射ボタン（６）が中央孔（５）から露出することによって、使用時において噴射ボタン（６）を上から押圧してステム（１７）を押し下げることにより内容物を噴射することができる。
【００３０】
上板部（３）には、中央孔（５）の外側に同心円状に円弧状のスリット（７）が設けられており、これによって、スリット（７）と中央孔（５）の間に挟まれた領域に円弧状片（８）が形成されている。
【００３１】
本発明においては、図示の如く、スリット（７）を半円弧状に形成し、円弧状片（８）を半円弧状の部材とすることが好ましい。
これは、後述する残留物の放出作業時において、立ち上げられた円弧状片（８）により噴射ボタン（６）の中央付近を確実に押さえることが可能となるためである。
但し、本発明において、スリット（７）及び円弧状片（８）の長さは、半円弧より長くしても短くしてもよい。具体的には、噴射ボタンの高さが高い場合には長くするとよいし、低い場合には短くするとよい。
【００３２】
円弧状片（８）は、肩カバー（１）の上面を形成する鍔部（８１）と、該鍔部（８１）の下方に延出された胴部（８２）とを有している。
そして、円弧状片（８）の胴部（８２）には、スリット（７）の両端部付近の位置に、下端部から上向きに切り欠かれた一対の切欠部（９）が形成されている。
【００３３】
また、上板部（３）の中央孔（５）の周囲には、円筒状部（１０）が下方に向けて延出形成されている。
円筒状部（１０）は、その周方向の一部分（約半分の部分）が円弧状片（８）の胴部（８２）を形成している。具体的には、円筒状部（１０）の対向する位置に上記した一対の切欠部（９）が形成されており、これら切欠部（９）を境界とする円筒状部（１０）の約半分の部分が円弧状片（８）の胴部（８２）を形成している。
【００３４】
円筒状部（１０）は、全体として噴射ボタン（６）の周囲を囲んで保持する保持部としての機能を果たすとともに、その一部分（約半分の部分）である円弧状片（８）は、後述するように残留物放出の機能と分別廃棄の機能を果たす。
【００３５】
上板部（３）は、スリット（７）の外側領域（３１）に凹部（１１）を有している。
凹部（１１）は、スリット（７）の両端部の中間位置において、スリット（７）に沿うように一定長さの範囲に形成されている。凹部（１１）のスリットに沿う長さは、指先を差し入れるために適当な長さ、例えば１０〜１５ｍｍ程度に設定される。
このような凹部（１１）が形成されていることにより、円弧状片（８）の外側面の一部が側方に露出するので（図４参照）、指先を凹部（１１）に差し入れて鍔部（８１）に引っ掛けることにより、後述する円弧状片（８）の立ち上げ操作を容易に行うことが可能となる。
【００３６】
上板部（３）の上面における外周縁部（３２）は、その内側にあるスリット（７）の外側領域（３１）よりも低くなっており、凹部（１１）と同じ高さの面を形成している。
また、外側領域（３１）の外周面には、周方向に等間隔で複数のリブ（３１ａ）が突設されている。これらのリブ（３１ａ）は、肩カバー（１）の上部に被せられるキャップを係止する役割を果たす。
【００３７】
本発明においては、図６に示すように、スリット（７）の一部分（例えば凹部（１１）を挟んだ２箇所）に、円弧状片（８）とスリット（７）の外側領域（３１）とを連結する連結部（１４）を設けることが好ましい。
連結部（１４）は、後述するように指の力で円弧状片（８）を立ち上げる際に、簡単にせん断されるように細い幅（例えば０．５ｍｍ程度）で形成されている。
このような連結部（１４）を設けることにより、エアゾール容器を廃棄する前の通常の使用時において、円弧状片（８）が不用意に浮き上がることが防止される。
【００３８】
円弧状片（８）の円筒状部（１０）（胴部（８２）の領域を含む）の外側には、第二の円筒状部（１２）が形成されている。
第二の円筒状部（１２）は、図５に示すように、噴射ボタン（６）の周囲に形成された容器本体（４）の巻締部（１８）に嵌合される嵌合部（以下、嵌合部（１２）と称す）となっている。
嵌合部（１２）の内周面には、周方向に等間隔で複数のリブ（１２ａ）が突設されており、これらのリブ（１２ａ）が巻締部（１８）の下部に係止される。
【００３９】
嵌合部（１２）には、スリット（７）の両端部付近において、下端部から上向きに切り欠かれた一対の切欠部（１３）が形成されている。
この切欠部（１３）は、肩カバー（１）と容器本体（４）の分別作業時において、肩カバーの側壁部（２）を側方から押さえて変形させることにより、肩カバー（１）を容器本体（４）から容易に分離できるようにするために設けられている。
ここで、切欠部（１３）が、円弧状片（８）に形成された切欠部（９）と同じくスリット（７）の両端部付近に形成されていることにより、両方の切欠部が相俟って変形のために加える力が少なくて済むようになる。
尚、切欠部（１３）に対応する位置の側壁部（２）に、分離の際に押さえる箇所を示す目印（１６）を設けておいてもよい（図７参照）。
【００４０】
本発明に係るエアゾール容器（２０）は、図７に示すように、容器本体（４）の上部外周面に上述した肩カバー（１）を嵌着することにより構成される。また、肩カバー（１）の上部には、図８に示すように、キャップ（１５）が装着される。
尚、本発明において、肩カバー（１）及びキャップ（１５）の具体的形状は、図１乃至図８に示した形状に限定されるものではなく、例えば図９乃至図１１に示したような他の形状としてもよい。
【００４１】
以下、本発明に係る肩カバー及びエアゾール容器の作用について説明する。
先ず、通常時には、図５に示すように、噴射ボタン（６）は押圧されていない状態であるため自然位置にあり、使用者は、使用する際に噴射ボタン（６）を押し下げて内容物を噴射させる。
【００４２】
エアゾール容器を廃棄する際には、先ず、肩カバー（１）の側壁部（２）の目印（１６）の位置を指で挟んで押さえることにより、肩カバー（１）を変形させて容器本体（４）から取り外す。
次いで、図１２に示すように、指先を凹部（１１）に差し入れて鍔部（８１）に引っ掛けて、円弧状片（８）を切欠部（９）を支点として折り曲げることにより略垂直に立ち上げる。
【００４３】
そして、図１３に示すように、円弧状片（８）を略垂直に立ち上げた状態のまま、肩カバー（１）を再び容器本体（４）に対して装着すると、円弧状片（８）により噴射ボタン（６）がステム（１７）と共に押し下げられ、容器本体内に残留した液体やガス等の内容物が噴射口から噴射される。
噴射ボタン（６）は、円弧状片（８）によって押し下げられた状態が維持されるため、容器本体内に残留していた内容物が完全に無くなるまで噴射は継続し、残留物の放出作業が完了する。
【００４４】
本発明においては、上記した残留物の放出作業を確実に行わせるために、図１４に示すように、噴射ボタン（６）の上面に、立ち上げられた状態の円弧状片（８）を係止するための係止溝（６１）を形成することが好ましい。尚、（ａ）は噴射ボタンの平面図、（ｂ）は噴射ボタンの正面図である。
このようにすると、図１５に示すように、円弧状片（８）が立ち上げられた状態で係止溝（６１）に係止保持されるため、残留物放出作業の途中で円弧状片（８）が噴射ボタン（６）から外れることを防止することができる。
【００４５】
残留物の放出作業が完了すると、続いて肩カバー（１）を容器本体（４）から分離する作業を行う。
分離作業の際は、上述したように肩カバー（１）の側壁を指で挟んで肩カバー（１）を変形させながら、立ち上げられている円弧状片（６）に指を引っ掛けて上方に引っ張ることにより、肩カバー（１）を容器本体（４）から容易に取り外すことができる。
肩カバー（１）と容器本体（４）の分離が完了すると、両者を分別して廃棄する。
【００４６】
尚、本発明は、図１６に示すような、上方に延びる円筒状のノズル（６２）をもつ噴射ボタン（６）を容器本体（４）の上部に備えたエアゾール容器に対して適用することも可能である。尚、図１６（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
この場合においても、上述した肩カバー（１）を用いて同様の手順を踏むことによって、図１７に示すように、残留物の放出作業を行うことができ、その後に分別廃棄作業を行うことができる。
【００４７】
また、このような上方に延びる円筒状のノズル（６２）をもつ噴射ボタン（６）を用いる場合にも、図１８に示すように、噴射ボタン（６）の上面に、立ち上げられた状態の円弧状片（８）を係止するための係止溝（６１）を形成することが好ましい。尚、図１８（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
このようにすると、図１９に示すように、円弧状片（８）が立ち上げられた状態で係止溝（６１）に係止保持されるため、残留物放出作業の途中で円弧状片（８）が噴射ボタン（６）から外れることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【００４８】
本発明は、肩カバー付きのエアゾール容器において、残留した内容物の放出作業並びに肩カバーと容器本体との分別廃棄作業を容易に行うことを可能とするものであり、化粧料、殺虫剤、塗料等の様々な種類のエアゾール容器に対して幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】本発明に係るエアゾール容器の肩カバーの平面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線部分断面図である。
【図３】本発明に係るエアゾール容器の肩カバーの正面図である。
【図４】本発明に係るエアゾール容器の肩カバーの右側面図である。
【図５】本発明に係る肩カバーを容器本体に取り付けた状態を示す図である。
【図６】肩カバーのスリットの一部分に円弧状片とスリットの外側領域とを連結する連結部を設けた例を示す図である。
【図７】容器本体に肩カバーを嵌着した状態であって、本発明に係るエアゾール容器を示す図である。
【図８】肩カバーにキャップを被せた状態を示す図である。
【図９】肩カバー及びキャップの形状の変更例を示す図である。
【図１０】肩カバー及びキャップの形状の変更例を示す図である。
【図１１】肩カバー及びキャップの形状の変更例を示す図である。
【図１２】肩カバーの円弧状片を、切欠部を支点として略垂直に立ち上げている様子を示す図である。
【図１３】円弧状片を略垂直に立ち上げた状態の肩カバーを容器本体に対して装着することにより、噴射ボタンが押し下げられている様子を示す図である。
【図１４】上面に係止溝を設けた噴射ボタンを示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
【図１５】図１４に示した噴射ボタンを用いて、残留物放出作業を行っている様子を示す図である。
【図１６】噴射ボタンの変更例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
【図１７】図１６に示した噴射ボタンを用いて、残留物放出作業を行っている様子を示す図である。
【図１８】図１６に示した噴射ボタンの上面に係止溝を設けた図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
【図１９】図１８に示した噴射ボタンを用いて、残留物放出作業を行っている様子を示す図である。
【符号の説明】
【００５０】
１ 肩カバー
２ 側壁部
３ 上板部
３１ 外側領域
４ 容器本体
５ 中央孔
６ 噴射ボタン
６１ 係止溝
７ スリット
８ 円弧状片
８１ 鍔部
８２ 胴部
９ 切欠部
１０ 円筒状部
１１ 凹部
１２ 第二の円筒状部（嵌合部）
１３ 切欠部
１４ 連結部
１８ 巻締部
【技術分野】
【０００１】
本発明はエアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器に関し、より詳しくは、残留物放出機能と分別廃棄機能を兼ね備えたエアゾール容器の肩カバーとこの肩カバーを備えたエアゾール容器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、化粧料、殺虫剤、塗料等のエアゾール容器には、噴射される内容物の他にＬＰガス等の可燃性ガスが充填されているため、内容物が残存した状態で容器を廃棄すると、容器が爆発して清掃作業者が怪我をする等の危険性がある。
そのため、通常は容器の表面に「使い切って捨てて下さい」等の表示がなされているが、内部に残った残留物を全て放出するには噴射ボタンを一定時間押し続ける必要があるため面倒であり、残留物が多い場合には押している指が疲れるという問題があった。
【０００３】
このような問題を解決すべく、エアゾール容器内の残留物を放出するための残留物放出機構が数多く創出されており、例えば下記特許文献１乃至４の開示技術はその一例である。
【０００４】
特許文献１の開示技術は、キャップの天井面に残留物放出機構を設け、キャップを逆向きにして容器に被せることにより、ノズルを押圧するように構成したものである。
特許文献２の開示技術は、キャップの天井面に残留物放出機構を設け、キャップを容器に被せて、天井面の一部を押し下げることにより、噴射ボタンを押圧するように構成したものである。
【０００５】
これらの開示技術は、ノズルや噴射ボタンを押圧した状態で維持することが可能であるため、上述した問題点を解決できるものの、外観が重視される化粧料等のエアゾール容器において広く使用されている肩カバー付きのエアゾール容器に対して用いるには適していない。
【０００６】
一方、特許文献３及び４には、肩カバー付きのエアゾール容器に対して適用される技術が開示されている。
特許文献３の開示技術は、肩カバーにノズル部を固定する係止部を設け、押し下げられたボタンを係止部により固定するように構成したものである。
特許文献４の開示技術は、肩カバーとは別にノズル部を固定する係止部材を設け、押し下げられたボタンを係止部材により固定するように構成したものである。
【０００７】
これらの開示技術は、肩カバー付きのエアゾール容器において、ノズルや噴射ボタンを押圧した状態で維持することが可能であって、上述した問題点を解決できるものである。
しかしながら、これらの開示技術は、エアゾール容器を廃棄する際の別の問題点である分別廃棄の点については、充分な考慮がなされているとはいえない。
【０００８】
すなわち、肩カバー付きのエアゾール容器については、廃棄する際に、合成樹脂製の肩カバーと金属製の容器本体とを分別することが求められるが、特許文献３及び４の開示技術は、肩カバーと容器本体との分別作業を容易にするための構造を備えていない。
【０００９】
尚、肩カバーと容器本体との分別廃棄作業を容易にするための機構自体は、既に様々なものが考案されている。
しかしながら、従来公知の分別廃棄機構は、残留物放出機構と関連付けられることなく分別廃棄という観点のみに基づいて設計考案されているものであるから、特許文献３及び４に記載されたような残留物放出機構に関する開示技術と組み合わせることは困難であった。また、仮に組み合わせることができたとしても、肩カバー全体の構造が複雑化する等して、外観、強度、生産性等の面で好ましくない影響が生じることは避けられなかった。
【００１０】
【特許文献１】特開平１０−５３２８９号公報
【特許文献２】特開２００１−９７４６６号公報
【特許文献３】特開２００２−８００７７号公報
【特許文献４】特開２００６−２７７１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、残留物を放出する際には残留物放出機構として機能する一方で、分別廃棄をする際には分別廃棄機構として機能することができる、残留物放出と分別廃棄の兼用構造を備えたエアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
請求項１に係る発明は、容器本体の上部に噴射ボタンを備えたエアゾール容器に装着される肩カバーであって、前記容器本体の上部外周面に嵌着される略円筒状の側壁部と、前記噴射ボタンを露出させるための中央孔を有する上板部とを備えており、前記上板部は、前記中央孔の外側に同心円状に形成された円弧状のスリットを有するとともに、該スリットと中央孔の間に挟まれた領域にある円弧状片には、該スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されており、前記円弧状片を、前記切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、前記側壁部をエアゾール容器の上部外周面に嵌着させた時に、該円弧状片により前記噴射ボタンが押し下げられることを特徴とするエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１３】
請求項２に係る発明は、前記スリットが半円弧状に形成され、前記円弧状片が半円弧状の部材とされていることを特徴とする請求項１記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１４】
請求項３に係る発明は、前記上板部は、前記スリットの外側領域に、前記円弧状片の外側面の一部を側方に露出させるための凹部を有しており、前記円弧状片は、肩カバーの上面を形成する鍔部と、該鍔部の下方に延出された胴部とを有していることを特徴とする請求項１又は２記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１５】
請求項４に係る発明は、前記スリットの一部分に、前記円弧状片と前記外側領域とを連結する連結部が設けられていることを特徴とする請求項１乃至３いずれかに記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１６】
請求項５に係る発明は、前記胴部の外側に、前記噴射ボタンの周囲に形成された巻締部に嵌合される円筒状の嵌合部が形成されており、該嵌合部には、前記スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項３又は４記載のエアゾール容器の肩カバーに関する。
【００１７】
請求項６に係る発明は、請求項１乃至５いずれかに記載の肩カバーを備えていることを特徴とするエアゾール容器に関する。
【００１８】
請求項７に係る発明は、噴射ボタンの上面に、前記立ち上げられた状態の円弧状片を係止するための係止溝を有していることを特徴とする請求項６記載のエアゾール容器に関する。
【発明の効果】
【００１９】
請求項１に係る発明によれば、エアゾール容器の廃棄時において、肩カバーの上板部に形成された円弧状片を、切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、側壁部を容器本体の上部外周面に嵌着させることにより、該円弧状片によって噴射ボタンが押し下げられるため、容器内部の残留物を継続的に噴射させて放出することができ、残留物放出作業を容易に行うことが可能となる。
また、残留物の放出が終了したら、立ち上げられた円弧状片を上方に引っ張ることにより、肩カバーを容器本体から簡単に取り外すことができるため、肩カバーと容器本体の分別廃棄作業を容易に行うことができる。
しかも、円弧状片が残留物放出と分別廃棄の両方の機能を兼ねることができるため、肩カバー全体の構造をシンプルにすることができ、両方の機能を別々に設けた場合に比べて、外観、強度、生産性等の面で優れたものとなる。
【００２０】
請求項２に係る発明によれば、スリットが半円弧状に形成され、円弧状片が半円弧状の部材とされていることにより、立ち上げられた円弧状片により噴射ボタンの中央付近を確実に押さえることが可能となる。
【００２１】
請求項３に係る発明によれば、上板部が、スリットの外側領域に、円弧状片の外側面の一部を側方に露出させるための凹部を有しており、円弧状片が、肩カバーの上面を形成する鍔部と、該鍔部の下方に延出された胴部とを有していることにより、円弧状片を立ち上げる際に、凹部から指を差し入れて鍔部に引っ掛けて立ち上げることができ、残留物放出及び分別廃棄の作業を容易に行うことができる。
【００２２】
請求項４に係る発明によれば、スリットの一部分に、円弧状片と外側領域とを連結する連結部が設けられていることにより、廃棄前の通常の使用時において、円弧状片が不用意に浮き上がることが防止される。
【００２３】
請求項５に係る発明によれば、円弧状片に形成された切欠部と、嵌合部に形成された切欠部が、共にスリットの両端部付近に形成されていることにより、肩カバーと容器本体の分別作業時において、肩カバーの側壁を側方から押さえて簡単に変形させることが可能となり、分別廃棄作業を容易に行うことができる。
【００２４】
請求項６に係る発明によれば、残留物放出機能と分別廃棄機能を兼ね備えた肩カバーを備えていることにより、使い終えて廃棄する時に、残留物の放出作業並びに肩カバーと容器本体との分離作業を容易に行うことができるエアゾール容器となる。
【００２５】
請求項７に係る発明によれば、噴射ボタンの上面に、立ち上げられた状態の円弧状片を係止するための係止溝を有していることにより、円弧状片が立ち上げられた状態で係止溝に保持され、残留物放出作業の途中で円弧状片が噴射ボタンから外れることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明に係るエアゾール容器の肩カバー及びエアゾール容器の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図１乃至図３は本発明に係るエアゾール容器の肩カバーを示す図であって、図１は平面図、図２は図１のＡ−Ａ線部分断面図、図３は正面図、図４は右側面図である。
【００２７】
本発明に係る肩カバー（１）は、略円筒状に形成された側壁部（２）と、この側壁部（２）の上部に形成された上板部（３）とからなり、これら側壁部（２）と上板部（３）は合成樹脂により一体成形されている。
【００２８】
側壁部（２）は、エアゾール容器本体（以下、容器本体と称す）の上部外周面に嵌着される部分であって、図５に示す如く、内周面の下方部分が容器本体（４）の上部外周面に外嵌されることにより、肩カバー（１）が容器本体（４）の上部に装着される。
【００２９】
上板部（３）は、側壁部（２）の上端部から内方に向けて略水平に延出形成されており、その中心に円形の中央孔（５）を有している。
中央孔（５）は、図５に示すように、肩カバー（１）を容器本体（４）に取り付けた際に、噴射ボタン（６）を上方に露出させるために設けられている。つまり、このように噴射ボタン（６）が中央孔（５）から露出することによって、使用時において噴射ボタン（６）を上から押圧してステム（１７）を押し下げることにより内容物を噴射することができる。
【００３０】
上板部（３）には、中央孔（５）の外側に同心円状に円弧状のスリット（７）が設けられており、これによって、スリット（７）と中央孔（５）の間に挟まれた領域に円弧状片（８）が形成されている。
【００３１】
本発明においては、図示の如く、スリット（７）を半円弧状に形成し、円弧状片（８）を半円弧状の部材とすることが好ましい。
これは、後述する残留物の放出作業時において、立ち上げられた円弧状片（８）により噴射ボタン（６）の中央付近を確実に押さえることが可能となるためである。
但し、本発明において、スリット（７）及び円弧状片（８）の長さは、半円弧より長くしても短くしてもよい。具体的には、噴射ボタンの高さが高い場合には長くするとよいし、低い場合には短くするとよい。
【００３２】
円弧状片（８）は、肩カバー（１）の上面を形成する鍔部（８１）と、該鍔部（８１）の下方に延出された胴部（８２）とを有している。
そして、円弧状片（８）の胴部（８２）には、スリット（７）の両端部付近の位置に、下端部から上向きに切り欠かれた一対の切欠部（９）が形成されている。
【００３３】
また、上板部（３）の中央孔（５）の周囲には、円筒状部（１０）が下方に向けて延出形成されている。
円筒状部（１０）は、その周方向の一部分（約半分の部分）が円弧状片（８）の胴部（８２）を形成している。具体的には、円筒状部（１０）の対向する位置に上記した一対の切欠部（９）が形成されており、これら切欠部（９）を境界とする円筒状部（１０）の約半分の部分が円弧状片（８）の胴部（８２）を形成している。
【００３４】
円筒状部（１０）は、全体として噴射ボタン（６）の周囲を囲んで保持する保持部としての機能を果たすとともに、その一部分（約半分の部分）である円弧状片（８）は、後述するように残留物放出の機能と分別廃棄の機能を果たす。
【００３５】
上板部（３）は、スリット（７）の外側領域（３１）に凹部（１１）を有している。
凹部（１１）は、スリット（７）の両端部の中間位置において、スリット（７）に沿うように一定長さの範囲に形成されている。凹部（１１）のスリットに沿う長さは、指先を差し入れるために適当な長さ、例えば１０〜１５ｍｍ程度に設定される。
このような凹部（１１）が形成されていることにより、円弧状片（８）の外側面の一部が側方に露出するので（図４参照）、指先を凹部（１１）に差し入れて鍔部（８１）に引っ掛けることにより、後述する円弧状片（８）の立ち上げ操作を容易に行うことが可能となる。
【００３６】
上板部（３）の上面における外周縁部（３２）は、その内側にあるスリット（７）の外側領域（３１）よりも低くなっており、凹部（１１）と同じ高さの面を形成している。
また、外側領域（３１）の外周面には、周方向に等間隔で複数のリブ（３１ａ）が突設されている。これらのリブ（３１ａ）は、肩カバー（１）の上部に被せられるキャップを係止する役割を果たす。
【００３７】
本発明においては、図６に示すように、スリット（７）の一部分（例えば凹部（１１）を挟んだ２箇所）に、円弧状片（８）とスリット（７）の外側領域（３１）とを連結する連結部（１４）を設けることが好ましい。
連結部（１４）は、後述するように指の力で円弧状片（８）を立ち上げる際に、簡単にせん断されるように細い幅（例えば０．５ｍｍ程度）で形成されている。
このような連結部（１４）を設けることにより、エアゾール容器を廃棄する前の通常の使用時において、円弧状片（８）が不用意に浮き上がることが防止される。
【００３８】
円弧状片（８）の円筒状部（１０）（胴部（８２）の領域を含む）の外側には、第二の円筒状部（１２）が形成されている。
第二の円筒状部（１２）は、図５に示すように、噴射ボタン（６）の周囲に形成された容器本体（４）の巻締部（１８）に嵌合される嵌合部（以下、嵌合部（１２）と称す）となっている。
嵌合部（１２）の内周面には、周方向に等間隔で複数のリブ（１２ａ）が突設されており、これらのリブ（１２ａ）が巻締部（１８）の下部に係止される。
【００３９】
嵌合部（１２）には、スリット（７）の両端部付近において、下端部から上向きに切り欠かれた一対の切欠部（１３）が形成されている。
この切欠部（１３）は、肩カバー（１）と容器本体（４）の分別作業時において、肩カバーの側壁部（２）を側方から押さえて変形させることにより、肩カバー（１）を容器本体（４）から容易に分離できるようにするために設けられている。
ここで、切欠部（１３）が、円弧状片（８）に形成された切欠部（９）と同じくスリット（７）の両端部付近に形成されていることにより、両方の切欠部が相俟って変形のために加える力が少なくて済むようになる。
尚、切欠部（１３）に対応する位置の側壁部（２）に、分離の際に押さえる箇所を示す目印（１６）を設けておいてもよい（図７参照）。
【００４０】
本発明に係るエアゾール容器（２０）は、図７に示すように、容器本体（４）の上部外周面に上述した肩カバー（１）を嵌着することにより構成される。また、肩カバー（１）の上部には、図８に示すように、キャップ（１５）が装着される。
尚、本発明において、肩カバー（１）及びキャップ（１５）の具体的形状は、図１乃至図８に示した形状に限定されるものではなく、例えば図９乃至図１１に示したような他の形状としてもよい。
【００４１】
以下、本発明に係る肩カバー及びエアゾール容器の作用について説明する。
先ず、通常時には、図５に示すように、噴射ボタン（６）は押圧されていない状態であるため自然位置にあり、使用者は、使用する際に噴射ボタン（６）を押し下げて内容物を噴射させる。
【００４２】
エアゾール容器を廃棄する際には、先ず、肩カバー（１）の側壁部（２）の目印（１６）の位置を指で挟んで押さえることにより、肩カバー（１）を変形させて容器本体（４）から取り外す。
次いで、図１２に示すように、指先を凹部（１１）に差し入れて鍔部（８１）に引っ掛けて、円弧状片（８）を切欠部（９）を支点として折り曲げることにより略垂直に立ち上げる。
【００４３】
そして、図１３に示すように、円弧状片（８）を略垂直に立ち上げた状態のまま、肩カバー（１）を再び容器本体（４）に対して装着すると、円弧状片（８）により噴射ボタン（６）がステム（１７）と共に押し下げられ、容器本体内に残留した液体やガス等の内容物が噴射口から噴射される。
噴射ボタン（６）は、円弧状片（８）によって押し下げられた状態が維持されるため、容器本体内に残留していた内容物が完全に無くなるまで噴射は継続し、残留物の放出作業が完了する。
【００４４】
本発明においては、上記した残留物の放出作業を確実に行わせるために、図１４に示すように、噴射ボタン（６）の上面に、立ち上げられた状態の円弧状片（８）を係止するための係止溝（６１）を形成することが好ましい。尚、（ａ）は噴射ボタンの平面図、（ｂ）は噴射ボタンの正面図である。
このようにすると、図１５に示すように、円弧状片（８）が立ち上げられた状態で係止溝（６１）に係止保持されるため、残留物放出作業の途中で円弧状片（８）が噴射ボタン（６）から外れることを防止することができる。
【００４５】
残留物の放出作業が完了すると、続いて肩カバー（１）を容器本体（４）から分離する作業を行う。
分離作業の際は、上述したように肩カバー（１）の側壁を指で挟んで肩カバー（１）を変形させながら、立ち上げられている円弧状片（６）に指を引っ掛けて上方に引っ張ることにより、肩カバー（１）を容器本体（４）から容易に取り外すことができる。
肩カバー（１）と容器本体（４）の分離が完了すると、両者を分別して廃棄する。
【００４６】
尚、本発明は、図１６に示すような、上方に延びる円筒状のノズル（６２）をもつ噴射ボタン（６）を容器本体（４）の上部に備えたエアゾール容器に対して適用することも可能である。尚、図１６（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
この場合においても、上述した肩カバー（１）を用いて同様の手順を踏むことによって、図１７に示すように、残留物の放出作業を行うことができ、その後に分別廃棄作業を行うことができる。
【００４７】
また、このような上方に延びる円筒状のノズル（６２）をもつ噴射ボタン（６）を用いる場合にも、図１８に示すように、噴射ボタン（６）の上面に、立ち上げられた状態の円弧状片（８）を係止するための係止溝（６１）を形成することが好ましい。尚、図１８（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
このようにすると、図１９に示すように、円弧状片（８）が立ち上げられた状態で係止溝（６１）に係止保持されるため、残留物放出作業の途中で円弧状片（８）が噴射ボタン（６）から外れることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【００４８】
本発明は、肩カバー付きのエアゾール容器において、残留した内容物の放出作業並びに肩カバーと容器本体との分別廃棄作業を容易に行うことを可能とするものであり、化粧料、殺虫剤、塗料等の様々な種類のエアゾール容器に対して幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】本発明に係るエアゾール容器の肩カバーの平面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線部分断面図である。
【図３】本発明に係るエアゾール容器の肩カバーの正面図である。
【図４】本発明に係るエアゾール容器の肩カバーの右側面図である。
【図５】本発明に係る肩カバーを容器本体に取り付けた状態を示す図である。
【図６】肩カバーのスリットの一部分に円弧状片とスリットの外側領域とを連結する連結部を設けた例を示す図である。
【図７】容器本体に肩カバーを嵌着した状態であって、本発明に係るエアゾール容器を示す図である。
【図８】肩カバーにキャップを被せた状態を示す図である。
【図９】肩カバー及びキャップの形状の変更例を示す図である。
【図１０】肩カバー及びキャップの形状の変更例を示す図である。
【図１１】肩カバー及びキャップの形状の変更例を示す図である。
【図１２】肩カバーの円弧状片を、切欠部を支点として略垂直に立ち上げている様子を示す図である。
【図１３】円弧状片を略垂直に立ち上げた状態の肩カバーを容器本体に対して装着することにより、噴射ボタンが押し下げられている様子を示す図である。
【図１４】上面に係止溝を設けた噴射ボタンを示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
【図１５】図１４に示した噴射ボタンを用いて、残留物放出作業を行っている様子を示す図である。
【図１６】噴射ボタンの変更例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
【図１７】図１６に示した噴射ボタンを用いて、残留物放出作業を行っている様子を示す図である。
【図１８】図１６に示した噴射ボタンの上面に係止溝を設けた図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。
【図１９】図１８に示した噴射ボタンを用いて、残留物放出作業を行っている様子を示す図である。
【符号の説明】
【００５０】
１ 肩カバー
２ 側壁部
３ 上板部
３１ 外側領域
４ 容器本体
５ 中央孔
６ 噴射ボタン
６１ 係止溝
７ スリット
８ 円弧状片
８１ 鍔部
８２ 胴部
９ 切欠部
１０ 円筒状部
１１ 凹部
１２ 第二の円筒状部（嵌合部）
１３ 切欠部
１４ 連結部
１８ 巻締部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
容器本体の上部に噴射ボタンを備えたエアゾール容器に装着される肩カバーであって、
前記容器本体の上部外周面に嵌着される略円筒状の側壁部と、前記噴射ボタンを露出させるための中央孔を有する上板部とを備えており、
前記上板部は、前記中央孔の外側に同心円状に形成された円弧状のスリットを有するとともに、該スリットと中央孔の間に挟まれた領域にある円弧状片には、該スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されており、
前記円弧状片を、前記切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、前記側壁部を容器本体の上部外周面に嵌着させた時に、該円弧状片により前記噴射ボタンが押し下げられることを特徴とするエアゾール容器の肩カバー。
【請求項２】
前記スリットが半円弧状に形成され、前記円弧状片が半円弧状の部材とされていることを特徴とする請求項１記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項３】
前記上板部は、前記スリットの外側領域に、前記円弧状片の外側面の一部を側方に露出させるための凹部を有しており、
前記円弧状片は、肩カバーの上面を形成する鍔部と、該鍔部の下方に延出された胴部とを有していることを特徴とする請求項１又は２記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項４】
前記スリットの一部分に、前記円弧状片と前記外側領域とを連結する連結部が設けられていることを特徴とする請求項１乃至３いずれかに記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項５】
前記胴部の外側に、前記噴射ボタンの周囲に形成された巻締部に嵌合される円筒状の嵌合部が形成されており、
該嵌合部には、前記スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項３又は４記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項６】
請求項１乃至５いずれかに記載の肩カバーを備えていることを特徴とするエアゾール容器。
【請求項７】
噴射ボタンの上面に、前記立ち上げられた状態の円弧状片を係止するための係止溝を有していることを特徴とする請求項６記載のエアゾール容器。
【請求項１】
容器本体の上部に噴射ボタンを備えたエアゾール容器に装着される肩カバーであって、
前記容器本体の上部外周面に嵌着される略円筒状の側壁部と、前記噴射ボタンを露出させるための中央孔を有する上板部とを備えており、
前記上板部は、前記中央孔の外側に同心円状に形成された円弧状のスリットを有するとともに、該スリットと中央孔の間に挟まれた領域にある円弧状片には、該スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されており、
前記円弧状片を、前記切欠部を支点として略垂直に立ち上げた状態として、前記側壁部を容器本体の上部外周面に嵌着させた時に、該円弧状片により前記噴射ボタンが押し下げられることを特徴とするエアゾール容器の肩カバー。
【請求項２】
前記スリットが半円弧状に形成され、前記円弧状片が半円弧状の部材とされていることを特徴とする請求項１記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項３】
前記上板部は、前記スリットの外側領域に、前記円弧状片の外側面の一部を側方に露出させるための凹部を有しており、
前記円弧状片は、肩カバーの上面を形成する鍔部と、該鍔部の下方に延出された胴部とを有していることを特徴とする請求項１又は２記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項４】
前記スリットの一部分に、前記円弧状片と前記外側領域とを連結する連結部が設けられていることを特徴とする請求項１乃至３いずれかに記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項５】
前記胴部の外側に、前記噴射ボタンの周囲に形成された巻締部に嵌合される円筒状の嵌合部が形成されており、
該嵌合部には、前記スリットの両端部付近の位置に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項３又は４記載のエアゾール容器の肩カバー。
【請求項６】
請求項１乃至５いずれかに記載の肩カバーを備えていることを特徴とするエアゾール容器。
【請求項７】
噴射ボタンの上面に、前記立ち上げられた状態の円弧状片を係止するための係止溝を有していることを特徴とする請求項６記載のエアゾール容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【公開番号】特開２００８−７４４６９（Ｐ２００８−７４４６９Ａ）
【公開日】平成２０年４月３日（２００８．４．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２５８０８１（Ｐ２００６−２５８０８１）
【出願日】平成１８年９月２２日（２００６．９．２２）
【出願人】（３９００１１４４２）株式会社マンダム (305)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月３日（２００８．４．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月２２日（２００６．９．２２）
【出願人】（３９００１１４４２）株式会社マンダム (305)
【Ｆターム（参考）】
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