説明

エアゾール容器用オーバーキャップおよびオーバーキャップ付きエアゾール容器

【課題】使用済みのエアゾール容器内の残留ガスが既に抜き出されているか否かをこの容器から離れた位置からでも一目で判別する。
【解決手段】エアゾール容器用オーバーキャップ10であって、その天板部11に押圧板14が区画され、この押圧板14は、その両側部がそれぞれ接続部15を介して天板部11に一体に連結されるとともに、その両端部14a、14bが上下動するように接続部15回りに回動自在に設けられ、押圧板14の一端部14a側を押し下げて押圧板14を接続部15回りに回動させたときに、このオーバーキャップ10をエアゾール容器20に装着した状態で、押圧板14は、その一端部14aがステム22を押し下げ、かつ他端部14b側が天板部11の表面から上方に突出した残留ガス抜き姿勢に保持されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器用オーバーキャップおよびオーバーキャップ付きエアゾール容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のエアゾール容器として、上方付勢状態で立設されたステムと、ステムに取り付けられた噴霧ヘッドと、を備える構成が知られている。そして近年では、需要者において、内容物を使い切った後のエアゾール容器内の残留ガスを容易に抜き出すことができるように、エアゾール容器用オーバーキャップに、例えば下記特許文献1に示されるような、このキャップをエアゾール容器に装着した状態で、噴霧ヘッドを押し下げ可能なガス抜き機構を設けることが提案されている。
【特許文献1】特開2002−173185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のエアゾール容器用オーバーキャップでは、残留ガスを抜き出す際に、前記残留ガス抜き機構の全体をこのキャップの内部に位置させた状態で、残留ガス抜き機構により噴霧ヘッドの上面を押し下げていたので、残留ガスを抜き出す前後でエアゾール容器用オーバーキャップの外観形状が変化せず、例えば、残留ガスを抜き出した人がこの容器を放置した後、残留ガスを抜き出した人とは別の人等がこの容器を見かけたときに、この容器から離れた位置からでは残留ガスが既に抜き出されたかどうかを判別することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、使用済みのエアゾール容器内の残留ガスが既に抜き出されているか否かをこの容器から離れた位置からでも一目で判別することができるエアゾール容器用オーバーキャップおよびオーバーキャップ付きエアゾール容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のエアゾール容器用オーバーキャップは、上方付勢状態で立設されたステムと、このステムに取り付けられた噴霧ヘッドと、を備えたエアゾール容器に着脱可能に装着されるエアゾール容器用オーバーキャップであって、エアゾール容器に装着した状態で前記噴霧ヘッドの上面に対向する天板部が備えられるとともに、この天板部に押圧板が区画され、前記押圧板は、その両側部がそれぞれ接続部を介して前記天板部に一体に連結されるとともに、その両端部が上下動するように接続部回りに回動自在に設けられ、前記押圧板の一端部側を押し下げて押圧板を接続部回りに回動させたときに、このオーバーキャップを前記エアゾール容器に装着した状態で、前記押圧板は、前記一端部がステムを押し下げ、かつ他端部側が前記天板部の表面から上方に突出した残留ガス抜き姿勢に保持される構成とされたことを特徴とする。
この発明では、エアゾール容器内の残留ガスを抜き出すときに、押圧板は、その前記一端部がステムを押し下げる一方、前記他端部側が天板部の表面から上方に突出した残留ガス抜き姿勢に保持されるので、残留ガスを抜き出す前後で、押圧板の前記他端部側における前記突出の有無によりエアゾール容器用オーバーキャップの外観形状を大きく異ならせることが可能になる。したがって、残留ガスを抜き出した人がこの容器を放置した後、例えば、残留ガスを抜き出した人とは別の人等がこの容器を見かけたときに、その人がこの容器から離れた位置にいてもそこから見た外観で、残留ガスが既に抜き出されたかどうかを一目で判別することができる。
また、押圧板が接続部を介して天板部に一体に連結されているので、押圧板の前記一端部でステムを押し下げたときに、この一端部にステムからの押上げ力が作用しても、押圧板や接続部がオーバーキャップから分離され、押圧板を紛失する等といった問題の発生を防ぐことが可能になるとともに、このエアゾール容器用オーバーキャップの部品点数を現行同等に維持することが可能になり、製造コストの上昇を抑えることもできる。
【0006】
ここで、このオーバーキャップの内部に、一対の支持板がそれぞれの側面同士が前記天板部の表面に沿った方向で互いに対向して設けられ、押圧板を前記接続部回りに回動させて、押圧板においてこの接続部よりも前記一端部側に位置する接続部近傍部分を、両支持板の表面に押し付けつつこの押圧板を前記側面同士の間に押し込み、前記接続部近傍部分を、これらの支持板の前記側面を乗り越えさせ支持板の裏面側に至らせて、この裏面に引っ掛けることにより、押圧板は、少なくとも前記回動させられた方向と反対方向の移動が規制されて前記残留ガス抜き姿勢に保持されてもよい。
この場合、押圧板を接続部回りに回動させて前記残留ガス抜き姿勢に保持する構成を容易かつ確実に実現することができるとともに、このように保持する構成として、噴霧ヘッドの上面に押圧板の前記一端部を係止するための係止部を設けなくてもよいので、需要者が内容物を使用するのに指で噴霧ヘッドの上面を押圧したときに、この指に前記係止部を食い込ませる等して例えば痛み等の不快感を与えるのを防ぐことができる。
【0007】
また、このオーバーキャップの内部には、前記一対の支持板の各裏面にそれぞれ対向する挟持板が設けられ、押圧板を前記接続部回りに回動させて、前記接続部近傍部分を前記支持板の裏面側に至らせたときに、この接続部近傍部分が、支持板の裏面と挟持板との間に挟まれる構成とされてもよい。
この場合、前記挟持板が設けられているので、押圧板を前記接続部回りに回動させて、前記接続部近傍部分を前記支持板の裏面に引っ掛けたときに、この接続部近傍部分が、支持板の裏面と挟持板との間に挟まれて、押圧板を、前記回動した方向と反対方向の移動のみならず、回動した方向の移動をも規制することが可能になる。したがって、押圧板にステムからの押し上げ力が作用しても、この押圧板を前記残留ガス抜き姿勢に確実に保持することが可能になる。
【0008】
さらに、押圧板の前記接続部との連結部分には、前記接続部の両側面に沿ってこの押圧板の外周縁からその沿面方向内方に向けて延びるスリットが形成されてもよい。
この場合、押圧板を接続部回りに回動させるときに、この接続部を、押圧板に大きな押圧力をかけることなくスムーズにねじることが可能になるとともに、前記接続部近傍部分を支持板の裏面側に至らせるときに、この接続部近傍部分を、押圧板に大きな押圧力をかけることなくスムーズに前記回動する方向と反対方向に向けて弾性変形させることが可能になり、前記ガス抜きを容易に行うことができる。
【0009】
さらにまた、前記押圧板の外周縁において、接続部との連結部分を除いた部分は、この押圧板の前記回動により破断可能な弱化部を介して前記天板部と連結されてもよい。
この場合、前記回動する前の押圧板を天板部に対してぐらつかせることなく安定させることができる。
【0010】
また、本発明のオーバーキャップ付きエアゾール容器は、上方付勢状態で立設されたステム、およびこのステムに取り付けられた噴霧ヘッドを備えたエアゾール容器と、前記ステムおよび噴霧ヘッドを囲うようにこのエアゾール容器に装着されたエアゾール容器用オーバーキャップとを備えたオーバーキャップ付きエアゾール容器であって、前記エアゾール容器用オーバーキャップが、本発明のエアゾール容器用オーバーキャップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るエアゾール容器用オーバーキャップおよびオーバーキャップ付きエアゾール容器によれば、使用済みのエアゾール容器内の残留ガスが既に抜き出されているか否かをこの容器から離れた位置からでも一目で判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態に係るエアゾール容器用オーバーキャップ(以下、「オーバーキャップ」という)10が装着されるエアゾール容器20は、上端面21に上方付勢状態でステム22が立設されたエアゾール容器本体と、ステム22が嵌合された導入口を有する噴霧ヘッド23と、を備えている。また、エアゾール容器本体は、胴部24と、この胴部24の上端に設けられた肩部25と、を備える容器本体の上端開口部にマウンティングカップ26が巻き締められ、このマウンティングカップ26の上面に前記ステム22が上方付勢状態で立設されている。
【0013】
オーバーキャップ10は、上面視円形状の天板部11と、この天板部11の外周縁からほぼ垂下してなる筒状の肩カバー部12と、肩カバー部12よりも小径とされるとともに、天板部11の裏面に垂設された嵌合筒部13と、を備え、この嵌合筒部13の下端開口部の内周面がマウンティングカップ26の外周面に嵌合することにより、エアゾール容器20に取り付けられてオーバーキャップ付きエアゾール容器が構成されている。
【0014】
また、このオーバーキャップ付きエアゾール容器において、天板部11の裏面が噴霧ヘッド23の上面と対向している。図示の例では、天板部11の裏面においてその径方向中央部が噴霧ヘッド23の上面と対向している。さらに、肩カバー部12の外径とエアゾール容器20の胴部24の外径とは同等となっている。
【0015】
そして、本実施形態では、天板部11に押圧板14が区画されている。この押圧板14は、その両側部がそれぞれ接続部15を介して天板部11に一体に連結されるとともに、その両端部14a、14bが上下動するように接続部15回りに回動自在に設けられている。図示の例では、押圧板14は上面視円形とされるとともに、やはり上面視円形とされた天板部11の中心と同軸上に形成され、接続部15は、押圧板14の外周縁において前記中心をその径方向で挟んだ両側部にそれぞれ連結されている。ここで、オーバーキャップ付きエアゾール容器の上面視において、天板部11の前記中心と、エアゾール容器20の径方向中央部とは一致しており、以下、これらの中心および径方向中央部を結ぶ仮想直線を中心軸線Oという。
【0016】
なお、押圧板14の外径は嵌合筒部13の内径よりも小さくなっている。また、天板部11および押圧板14の各厚さ、つまり前記中心軸線O方向の各大きさは同等とされ、接続部15の厚さは、これらの天板部11および押圧板14の各厚さよりも大きくなっている。
【0017】
以上より、図3および図4に示されるように、押圧板14の一端部14a側を押し下げて押圧板14を接続部15回りに回動させたときに、このオーバーキャップ10をエアゾール容器20に嵌合した状態で、押圧板14は、その前記一端部14aが噴霧ヘッド23の上面を押し下げ、かつ他端部14b側が天板部11の表面から上方に突出した残留ガス抜き姿勢に保持されるようになっている。ここで、前述したように、押圧板14が接続部15を介して天板部11に一体に連結されているので、この押圧板14は、接続部15がねじり変形させられることにより、この接続部15回りに回動するようになっている。
【0018】
さらに本実施形態では、オーバーキャップ10の内部に、一対の支持板17がそれぞれの側面17a同士が天板部11の表面に沿った方向で互いに対向して設けられている。図示の例では、一対の支持板17は、嵌合筒部13の内周面において接続部15の直下に位置する部分に一体に連結されている。また、一対の支持板17の各側面17aは、前記中心軸線Oをこのオーバーキャップ10の径方向で挟んで互いに対向している。さらに、両支持板17の各側面17a同士の間隔は、押圧板14の外径以下となっている。
【0019】
これにより、押圧板14を接続部15回りに回動させて、押圧板14においてこの接続部15よりも前記一端部14a側に位置する接続部近傍部分14cを、両支持板17の表面17bに押し付けつつこの押圧板14を前記側面17a同士の間に押し込み、接続部近傍部分14cを、これらの支持板17の前記側面17aを乗り越えさせ支持板17の裏面17c側に至らせて、この裏面17cに引っ掛けることにより、押圧板14は、少なくとも前記回動させられた方向と反対方向の移動が規制されて前記残留ガス抜き姿勢に保持されるようになっている。
なお、両支持板17の表裏面17b、17cは、オーバーキャップ10の径方向および前記中心軸線O方向の双方に沿って延在している。また、図示の例では、両支持板17の側面17aは、オーバーキャップ10の径方向内方に凸となる曲面状に形成されている。
【0020】
さらに、嵌合筒部13の内周面に、支持板17の裏面17cと対向するように、この支持板17とほぼ同形同大の挟持板18が一体に連結されている。これにより、押圧板14の一端部14a側を押し下げて、前記接続部近傍部分14cを支持板17の裏面17c側に至らせたときに、この接続部近傍部分14cが、支持板17の裏面17cと挟持板18との間に挟まれるようになっている。なお、支持板17と挟持板18との間隔は、押圧板14の厚さと同等となっている。
【0021】
また、本実施形態では、押圧板14の接続部15との連結部分には、この接続部15の両側面15aに沿ってこの押圧板14の外周縁からその沿面方向内方に向けて延びるスリット16が形成されている。ここで、前記接続部近傍部分14cは、押圧板14において、接続部15よりも前記一端部14a側に位置するスリット16に連なる部分となっている。また、図示の例では、接続部15の両側面15aはそれぞれ、オーバーキャップ10の径方向に沿って延びている。さらに、スリット16の平面視形状は、押圧板14の外周縁に開口するU字状となっている。
【0022】
また、本実施形態では、前述のように回動する前の押圧板14の外周縁において、接続部15との連結部分を除いた部分は、この押圧板14の前記回動により破断可能なブリッジ(弱化部)19を介して天板部11と連結されている。なお、押圧板14がブリッジ19により天板部11に連結された状態で、押圧板14、接続部15およびブリッジ19の各表面と、天板部11の表面との間には、図1に示されるようにほぼ段差がなく、このオーバーキャップ10を径方向外方から見た外観形状は従来品とほぼ同様となっている。
【0023】
なお、図示の例では、ブリッジ19は、前記中心軸線O回りに等間隔をあけて4つ設けられている。また、ブリッジ19は、その厚さ、つまり前記中心軸線O方向の大きさが接続部15よりも小さく、かつ幅、つまりオーバーキャップ10の周方向の大きさが接続部15よりも小さくなっている。
そして、以上のオーバーキャップ10の全体は、両接続部15と前記中心軸線Oとを通り、かつ天板部11の表面に直交する仮想面に対して対称な構造となっている。
【0024】
以上説明したように本実施形態に係るオーバーキャップ10によれば、エアゾール容器20内の残留ガスを抜き出すときに、押圧板14は、その前記一端部14aが噴霧ヘッド23の上面を押し下げる一方、前記他端部14b側が天板部11の表面から上方に突出した状態に保持されるので、残留ガスを抜き出す前後で、押圧板14の前記他端部14b側における前記突出の有無によりエアゾール容器用オーバーキャップ10の外観形状を大きく異ならせることが可能になる。したがって、残留ガスを抜き出した人がこの容器を放置した後、例えば、残留ガスを抜き出した人とは別の人等がこの容器を見かけたときに、その人がこの容器から離れた位置にいてもそこから見た外観で、残留ガスが既に抜き出されたかどうかを一目で判別することができる。
【0025】
さらに、押圧板14が接続部15を介して天板部11に一体に連結されているので、押圧板14の前記一端部14aでステム22を押し下げたときに、この一端部14aにステム22からの押上げ力が作用しても、押圧板14や接続部15がオーバーキャップ10から分離され、押圧板14を紛失する等といった問題の発生を防ぐことが可能になるとともに、このエアゾール容器用オーバーキャップ10の部品点数を現行同等に維持することが可能になり、製造コストの上昇を抑えることもできる。
【0026】
また、本実施形態では、オーバーキャップ10の内部に一対の支持板17が設けられているので、押圧板14を接続部15回りに回動させて前記残留ガス抜き姿勢に保持する構成を容易かつ確実に実現することができるとともに、このように保持する構成として、噴霧ヘッド23の上面に押圧板14の前記一端部14aを係止するための係止部を設けなくてもよいので、需要者が内容物を使用するのに指で噴霧ヘッド23の上面を押圧したときに、この指に前記係止部を食い込ませる等して例えば痛み等の不快感を与えるのを防ぐことができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、押圧板14に、接続部15の両側面15aに沿ってこの押圧板14の沿面方向内方に向けて延びるスリット16が形成されているので、押圧板14を接続部15回りに回動させるときに、この接続部15を、押圧板14に大きな押圧力をかけることなくスムーズにねじることが可能になるとともに、接続部近傍部分14cを支持板17の裏面17c側に至らせるときに、この接続部近傍部分14cを、押圧板14に大きな押圧力をかけることなくスムーズに前記回動する方向と反対方向に向けて弾性変形させることが可能になり、前記ガス抜きを容易に行うことができる。
【0028】
また、押圧板14の外周縁において、接続部15との連結部分を除いた部分が、この押圧板14の前記回動により破断可能なブリッジ19を介して天板部11と連結されているので、前記回動する前の押圧板14を天板部11に対してぐらつかせることなく安定させることができる。
さらに、本実施形態では、接続部15の厚さが天板部11や押圧板14よりも厚くなっているので、前述のように押圧板14の一端部14aで噴霧ヘッド23の上面を押し下げたときに、ステム22の押し上げ力により接続部15が上方に折り曲げられて、この押し下げを維持できなくなるのを防ぐことができる。
【0029】
また、嵌合筒部13の内周面に、各支持板17の裏面17cと対向する挟持板18が連結されているので、押圧板14を接続部15回りに回動させて、前記接続部近傍部分14cを支持板17の裏面17cに引っ掛けたときに、この接続部近傍部分14cが、支持板17の裏面17cと挟持板18との間に挟まれて、押圧板14を、前記回動した方向と反対方向の移動のみならず、回動した方向の移動をも規制することが可能になる。したがって、押圧板14にステム22からの押し上げ力が作用しても、この押圧板14を前記残留ガス抜き姿勢に確実に保持することが可能になる。
【0030】
また、この支持板17のみならず挟持板18が設けられているので、押圧板14が前記残留ガス抜き姿勢になる、この押圧板14の接続部15回りの回動終端位置を、需要者に容易に認識させることもできる。本実施形態のように、押圧板14の一端部14a側を押し下げた場合、この押圧板14を前記残留ガス抜き姿勢にしたときに、前記接続部近傍部分14cの裏面を挟持板18に当接させることにより、需要者に前記回動終端位置を認識させることができる。
【0031】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、オーバーキャップ10の内部に、一対の支持板17を設け、押圧板14を接続部15回りに回動させて、押圧板14の接続部近傍部分14cを支持板17の裏面17c側に至らせることによって、押圧板14を前記ガス抜き姿勢に保持したが、これに代えて、支持板17を設けずに、噴霧ヘッド23の上面に押圧板14の一端部14aが係止可能な係止部を形成してもよい。
【0032】
また、前記実施形態では、押圧板14を、ブリッジ19を介して天板部11に連結させたが、ブリッジ19は設けなくてもよい。さらに、このブリッジ19に代えて、押圧板14を、この押圧板14や天板部11よりも厚さが薄い薄肉部(弱化部)で囲繞することによって、天板部11に押圧板14を区画するようにしてもよい。
また、押圧板14を前記のように回動させるのは、オーバーキャップ10をエアゾール容器20に嵌合した状態で行ってもよいし、オーバーキャップ10をエアゾール容器20から取り外した状態で行い、その後、このオーバーキャップ10をエアゾール容器20に嵌合してもよい。
【0033】
さらに、前記実施形態では、一対の支持板17を、天板部11の表面に沿った方向のうち、前記中心軸線Oをオーバーキャップ10の径方向で挟んだ互いに対向する位置に設けたが、これらの支持板17の配設位置は、天板部11の表面に沿った方向で互いに対向する位置であれば前記実施形態のものに限られるものではない。また、この支持板17の配設位置や押圧板14の大きさ等に対応させて、押圧板14の接続部近傍部分14cの配設位置も適宜変更してもよい。
【0034】
また、押圧板14の表面または/および裏面に、例えば、残留ガスを現在抜き出している、あるいは残留ガスを既に抜いたことを示す文字や表示を、印刷、転写あるいは凹設等の適宜手段で形成してもよい。この場合、使用済みのエアゾール容器20内の残留ガスが既に抜き出されているか否かをより一層容易に判別させることができる。
さらに、前記実施形態では、押圧板14を平面視円形としたが、これに限らず、例えば矩形や多角形等としてもよい。
【0035】
また、前記実施形態に代えて、押圧板14の前記他端部14b側を押し下げて、この押圧板14を、その前記他端部14bが噴霧ヘッド23の上面を押し下げ、かつ前記一端部14a側が天板部11の表面から上方に突出した残留ガス抜き姿勢に保持するようにしてもよい。なお、この場合、図1から図4に示す符号17が前記実施形態における挟持板18として作用し、符号18が前記実施形態における支持板17として作用することになる。さらにこの場合、前記接続部近傍部分は、押圧板14において、接続部15よりも前記他端部14b側に位置するスリット16に連なる部分となる。
さらにまた、前記実施形態のように挟持板18は設けなくてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、押圧板14の前記一端部14aで噴霧ヘッド23の上面を押し下げたが、これに代えて、例えば噴霧ヘッド23をステム22から取り外して、このステム22の開口端面を押圧板14の前記一端部14aで押圧して押し下げてもよい。
さらに、前記実施形態では、オーバーキャップ10の嵌合筒部13の下端開口部がエアゾール容器20の上端部に嵌合することにより、このキャップ10がエアゾール容器20に装着される構成を示したが、これに代えて、例えば、オーバーキャップ10およびエアゾール容器20にそれぞれ形成された雄ねじ部と雌ねじ部とが互いに螺合することにより、オーバーキャップ10がエアゾール容器20に装着される構成を採用してもよい。
また、エアゾール容器20およびオーバーキャップ10の横断面形状は図示した円形に限らず、例えば多角形等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
使用済みのエアゾール容器内の残留ガスが既に抜き出されているか否かをこの容器から離れた位置からでも一目で判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る一実施形態として示したオーバーキャップ付きエアゾール容器を示す一部縦断面図である。
【図2】図1に示すエアゾール容器用オーバーキャップの上面図である。
【図3】図1に示すオーバーキャップ付きエアゾール容器において押圧板を回動させて残留ガスを抜き出している状態を示す一部縦断面図である。
【図4】図3に示すオーバーキャップ付きエアゾール容器の一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
10 エアゾール容器用オーバーキャップ
11 天板部
14 押圧板
14a 押圧板の一端部
14b 押圧板の他端部
14c 接続部近傍部分
15 接続部
15a 接続部の側面
16 スリット
17 支持板
17a 支持板の側面
17b 支持板
17c 支持板の裏面
18 挟持板
19 ブリッジ(弱化部)
20 エアゾール容器
22 ステム
23 噴霧ヘッド




【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で立設されたステムと、このステムに取り付けられた噴霧ヘッドと、を備えたエアゾール容器に着脱可能に装着されるエアゾール容器用オーバーキャップであって、
エアゾール容器に装着した状態で前記噴霧ヘッドの上面に対向する天板部が備えられるとともに、この天板部に押圧板が区画され、
前記押圧板は、その両側部がそれぞれ接続部を介して前記天板部に一体に連結されるとともに、その両端部が上下動するように接続部回りに回動自在に設けられ、
前記押圧板の一端部側を押し下げて押圧板を接続部回りに回動させたときに、このオーバーキャップを前記エアゾール容器に装着した状態で、
前記押圧板は、前記一端部がステムを押し下げ、かつ他端部側が前記天板部の表面から上方に突出した残留ガス抜き姿勢に保持される構成とされたことを特徴とするエアゾール容器用オーバーキャップ。
【請求項2】
請求項1記載のエアゾール容器用オーバーキャップであって、
その内部に、一対の支持板がそれぞれの側面同士が前記天板部の表面に沿った方向で互いに対向して設けられ、
押圧板を前記接続部回りに回動させて、押圧板においてこの接続部よりも前記一端部側に位置する接続部近傍部分を、両支持板の表面に押し付けつつこの押圧板を前記側面同士の間に押し込み、前記接続部近傍部分を、これらの支持板の前記側面を乗り越えさせ支持板の裏面側に至らせて、この裏面に引っ掛けることにより、押圧板は、少なくとも前記回動させられた方向と反対方向の移動が規制されて前記残留ガス抜き姿勢に保持されることを特徴とするエアゾール容器用オーバーキャップ。
【請求項3】
請求項2記載のエアゾール容器用オーバーキャップであって、
その内部には、前記一対の支持板の各裏面にそれぞれ対向する挟持板が設けられ、
押圧板を前記接続部回りに回動させて、前記接続部近傍部分を前記支持板の裏面側に至らせたときに、この接続部近傍部分が、支持板の裏面と挟持板との間に挟まれる構成とされたことを特徴とするエアゾール容器用オーバーキャップ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のエアゾール容器用オーバーキャップであって、
押圧板の前記接続部との連結部分には、前記接続部の両側面に沿ってこの押圧板の外周縁からその沿面方向内方に向けて延びるスリットが形成されていることを特徴とするエアゾール容器用オーバーキャップ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のエアゾール容器用オーバーキャップであって、
前記押圧板の外周縁において、接続部との連結部分を除いた部分は、この押圧板の前記回動により破断可能な弱化部を介して前記天板部と連結されていることを特徴とするエアゾール容器用オーバーキャップ。
【請求項6】
上方付勢状態で立設されたステム、およびこのステムに取り付けられた噴霧ヘッドを備えたエアゾール容器と、前記ステムおよび噴霧ヘッドを囲うようにこのエアゾール容器に装着されたエアゾール容器用オーバーキャップとを備えたオーバーキャップ付きエアゾール容器であって、
前記エアゾール容器用オーバーキャップが請求項1から4のいずれかに記載のエアゾール容器用オーバーキャップであることを特徴とするオーバーキャップ付きエアゾール容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−81187(P2008−81187A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265120(P2006−265120)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】