説明

エアゾール容器用スパウト、及び該スパウトを備えたエアゾール容器、並びに該エアゾール容器に充填されたエアゾール製品

【課題】バルブにスパウトを接続して内容物を泡沫状、又は粘性液体状に吐出するようにしたエアゾール製品において、バルブのステム上部に内容物の乾燥物が付着した場合でも目詰まりが発生するのを防止し、内容物の吐出量を一定量に維持することができ、経時的に吐出量が減少するといった吐出不良を改善する。
【解決手段】容器本体1に固定される基台部34と、上端に開口部312を有し下端が前記ステム上部に接続されるノズル部31と、前記基台部とヒンジ部33を介して連結され、前記ヒンジ部を支点として前記ノズル部と一体的に上下動する押圧部32とからなり、前記ノズル部内部には、下方向に突出する針部4が設けられ、前記針部の先端部41は、前記押圧部の下動時に前記ステム内部へと挿入されることを特徴とするエアゾール容器用スパウト3及び該スパウトを備えたエアゾール容器、並びに該エアゾール容器に充填されたエアゾール製品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が泡沫状、又は粘性液体状の形態で吐出されるエアゾール容器に取り付けられるエアゾール容器用スパウトに関し、より詳しくは、ステム上部に目詰まりが生じることを防止することを可能とするエアゾール容器用スパウト、及び該スパウトを備えたエアゾール容器、並びに該エアゾール容器に充填されたエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール製品は、押圧部を押圧するだけで簡単に内容物を吐出することが可能であることから、現在様々な分野における商品、例えば、殺虫剤、化粧料、芳香剤、消臭剤、食品等に使用されている。
【0003】
エアゾール製品は、内容物と噴射剤(液化ガス、圧縮ガス等)を充填した容器と、容器内部方向に伸長する合成樹脂製の細長い吸い上げ管を接続した正立仕様バルブ、又は吸い上げ管を必要としない倒立仕様バルブとから構成されており、バルブのステムを押圧することによってバルブが開放され、内容物が霧状、粘性液体状、又は泡沫状となって容器外部へと吐出される。
【0004】
このようなエアゾール製品の吐出形式としては、バルブに噴射ノズルを接続して内容物を霧状に噴射する形式のものと、バルブにスパウトを接続して内容物を泡沫状、又は粘性液体状に吐出するようにしたものとに大別される。何れの形式によっても、バルブ内で内容物が付着乾燥することによって、目詰まりが発生するという問題が生じている。特に後者の形式の場合は、バルブとスパウトはスパウト押圧時にのみ嵌合し、押圧していない間は嵌合していないため、バルブのステム上部に付着した内容物が乾燥することによって目詰まりが発生するという問題も生じている。目詰まりが発生すると、内容物の吐出時に一定量吐出できない、経時的に吐出量が減少する、全く吐出できなくなるといった吐出不良の問題が生じる。
【0005】
エアゾール製品における内容物の目詰まり現象を改善することができる技術として、下記特許文献1の開示技術が提案されている。下記特許文献1の開示技術は、弾性弁を容器に内蔵することによって、バルブ内部における内容物の目詰まり現象を解消することができるものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1の開示技術ではバルブ内部の目詰まりを防止することはできるが、上述したステム上部の目詰まりを防止することはできないという問題がある。特にバルブにスパウトを接続して内容物を泡沫状、又は粘性液体状に吐出するようにしたエアゾール製品では、使用後にスパウトのノズル内部に残存した内容物が流下してバルブのステム上部に残留し、残留した内容物が乾燥することにより、目詰まりが生じ易いが、特許文献1の開示技術ではこの問題を解決することができない。
【0007】
【特許文献1】特許第3409241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためのものであって、バルブにスパウトを接続して内容物を泡沫状、又は粘性液体状に吐出するようにしたエアゾール製品において、バルブのステム上部に内容物の乾燥物が付着した場合でも目詰まりが発生するのを防止し、内容物の吐出量を一定量に維持することができ、経時的に吐出量が減少するといった吐出不良を改善することを可能とするエアゾール容器用スパウト及び該スパウトを備えたエアゾール容器、並びに該エアゾール容器に充填されたエアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体の頂部から突出するステムとを備えたエアゾール容器に取り付けられるエアゾール容器用スパウトであって、前記容器本体に固定される基台部と、上端に開口部を有し下端が前記ステム上部に接続されるノズル部と、前記基台部とヒンジ部を介して連結され、前記ヒンジ部を支点として前記ノズル部と一体的に上下動する押圧部とからなり、前記ノズル部内部には、下方向に突出する針部が設けられ、前記針部の先端部は、前記押圧部の下動時に前記ステム内部へと挿入されることを特徴とするエアゾール容器用スパウトに関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記ノズル部の内部通路は、前記ステムの中心軸と同軸に形成されたステム側通路と、前記中心軸に対して前記ヒンジ部方向に偏心した位置に形成された開口部側通路とからなるクランク状に形成されており、前記針部は、前記ステム側通路の上端部から突出するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用スパウトに関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ノズル部の内部通路は、前記ステムの中心軸と同軸に形成されたステム側通路と、前記中心軸に対して前記ヒンジ部方向に直角に形成された開口部側通路とからなり、前記針部は、前記開口部側通路の基端部から突出するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用スパウトに関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記針部は、前記ノズル部と一体成型されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のエアゾール容器用スパウトに関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記針部は、基端部の中心に比べて先端部が前記押圧部方向にずれた錐体形状であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のエアゾール容器用スパウトに関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5いずれかに記載のエアゾール容器用スパウトを備えたエアゾール容器に関する。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6記載のエアゾール容器に充填されたエアゾール製品に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、内容物が収容される容器本体と、容器本体の頂部から突出するステムとを備えたエアゾール容器に取り付けられるエアゾール容器用スパウトであって、容器本体に固定される基台部と、上端に開口部を有し下端がステム上部に接続されるノズル部と、基台部とヒンジ部を介して連結され、ヒンジ部を支点としてノズル部と一体的に上下動する押圧部とからなり、ノズル部内部には、下方向に突出する針部が設けられ、針部の先端部は、押圧部の下動時にステム内部へと挿入されることから、ステム上端部に目詰まりが発生したとしても、使用者が内容物を吐出させるためにスパウトの押圧部を押圧する行為により、針部がステム内部へと挿入され、ステム上部に残存している乾燥物を破壊することができる。これによりステム上部の目詰まりが解消し、ステムの流路を確保することができ、内容物の吐出時に流量を一定に保つことができ、吐出不良を改善することが可能となる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、ノズル部の内部通路は、ステムの中心軸と同軸に形成されたステム側通路と、中心軸に対してヒンジ部方向に偏心した位置に形成された開口部側通路とからなるクランク状に形成されており、針部は、ステム側通路の上端部から突出するように設けられていることから、針部の基端部をノズル部内部にて強固に固定することが可能となり、針部の強度を高めることができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、ノズル部の内部通路は、ステムの中心軸と同軸に形成されたステム側通路と、中心軸に対してヒンジ部方向に直角に形成された開口部側通路とからなり、針部は、開口部側通路の基端部から突出するように設けられていることから、針部の基端部を開口部側通路の基端部とノズル部内側面にて強固に固定することが可能となり、針部の強度を高めることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、針部は、ノズル部と一体成型されていることから、部品点数を少なくすることができ、針部とスパウトとを別部材とすることによる針部の脱落を防止することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、針部は、基端部の中心に比べて先端部が押圧部方向にずれた錐体形状であることから、押圧部の下動時に針部がステム上部に残存している乾燥物を垂直方向に貫くようになるため、より確実に乾燥物を破壊してステムの流路を確保することができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、請求項1〜5いずれかに記載のエアゾール容器用スパウトを備えたエアゾール容器であることから、目詰まりの発生を防止することができるエアゾール容器とすることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、請求項6記載のエアゾール容器に充填されたエアゾール製品であることから、特に固形分が高配合され、目詰まりが発生し易いエアゾール製品であったとしても、目詰まりの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るエアゾール容器用スパウト及び該スパウトを備えたエアゾール容器、並びに該エアゾール容器に充填されたエアゾール製品の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、これら図面に記載された実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係るエアゾール容器用スパウトの外観図である。図2は、本発明に係るエアゾール容器用スパウトの断面図である。図3は、本発明に係るエアゾール容器用スパウトを押圧した状態の断面図である。図4は、図2の要部拡大図である。図5は、図3の要部拡大図である。
【0024】
本発明に係るエアゾール容器用スパウトは、図1及び図2に示される通り、内容物が収容される容器本体11と、容器本体11内の内容物を吐出するためのバルブ2を備えたエアゾール容器に取り付けられる。
【0025】
バルブ2は、ステム21と図示しない付勢手段とからなっている。
バルブ2は、容器本体11の蓋を構成する円形のマウンティングカップ20の中心軸線上に設けられる。バルブ2が開閉することによって、容器本体11内の内容物は、外部へと吐出される。
【0026】
ステム21は、容器本体11の頭頂部から突出し、容器本体11の中心軸上に立設されている。押圧部32の押圧時にはステム21上部とスパウト3は接続されるが、非押圧時にはステム21上部とスパウト3とは接続されていても、離間していてもよい。ステム21は上下動可能となっており、ステム21が下動することによって、バルブ2は開放され、ステム21が上動することによって、バルブ2は閉鎖される。
【0027】
付勢手段は、公知のバネ等が使用され、ステム21を上動させる方向へと付勢している。付勢手段は、ステム下部とバルブ2のハウジングとをガスケットを介して密接させることによって、バルブ2を閉鎖している。付勢手段の付勢方向に反してステム21を下動させることによってバルブ2が開放される。
【0028】
スパウト3は、ノズル部31と押圧部32とヒンジ部33と基台部34とからなる。
スパウト3は、公知の合成樹脂によって一体成型される。スパウト3は、バルブ2を覆い隠すことができるようにエアゾール容器1に固定される。これにより、バルブ2が外側から視認されないことから、エアゾール容器11の全体的な美観が向上されつつ、スパウト3の押圧部32を押圧することによってバルブ2のステム21を下動させ、内容物を容器本体11から吐出させることが可能となっている。
【0029】
ノズル部31は、上方へ延出するように設けられており、上端には開口部312が設けられている。下端は押圧時においてステム21上部と接続されるが、非押圧時にはステム21上部と接続されていても離間していてもよい。ノズル部31内部には、針部4が設けられる。
【0030】
押圧部32とヒンジ部33は、ノズル部31を中心として対向する位置に設けられている。ノズル部31を包囲するようにスパウト3上面にC字状に切り込みを入れることによって、切り込まれていない部分がヒンジ部33となり、C字状の切り込みの内側且つノズル部31を中心としてヒンジ部33と対向する位置に押圧部32が形成される。
押圧部32は、押圧し易いようにするため、基台部34よりも一段高く形成されている。ヒンジ部33は、押圧部32を押圧したときに上下動の支点となる部分である。
押圧部32を押圧することにより、ヒンジ部33を支点としてノズル部31が下方向に回動してバルブ2のステム21を下動させ、バルブ2が開放される。
【0031】
基台部34には嵌合部341が設けられ、嵌合部341とバルブ2のマウンティングカップ20とが嵌合することによって、スパウト3がエアゾール容器1に固定される。但し、固定方法はこれに限定されず、基台部34を容器本体11の外周部分に対して嵌合してもよい。
【0032】
針部4は、ノズル部31内部にステム21の上部方向(下方向)へと突出するように設けられている。図2、図4に示す押圧部32を押圧することにより、ノズル部31とステム21とが接続し、ヒンジ部33を支点としてノズル部31が下方向に回動してバルブ2のステム21方向へと下動することに伴い、ノズル部31内部の針部4もステム21の上部方向に下動し、図3、図5に示す通り、針部4の先端部41は、ステム21の内部へと挿入される。これにより、ステム21上端部に目詰まりが発生したとしても、使用者が内容物を吐出させるためにスパウト3の押圧部32を押圧する行為により、針部4がステム21内部へと挿入され、ステム21上部に残存している乾燥物を破壊することができる。これによりステム21上部の目詰まりが解消し、ステム21の流路を確保することができ、内容物の吐出時に流量を一定に保つことができ、吐出不良を改善することが可能となる。
【0033】
針部4の形状は、バルブ2のステム21上部方向(下方向)に向けて細くなるように突出する形状であれば特に限定されることはなく、例えば円錐形状、楕円錐形状、三角錐、四角錐、五角錐等の多角錐形状等を使用することができる。
【0034】
本発明に係るエアゾール容器用スパウト3において、針部4はスパウト3の他の要素(ノズル部31等)と一体成型されていることが好ましい。新たに別部材を設ける必要がなく、スパウト3とバルブ2とを容易に接続することができ、エアゾール容器用スパウト3の製造コストを下げることができるからである。
但し、既存のスパウト3を使用する場合は、針部4は別部材として既存のスパウトに新たに取り付けることもできる。この場合、針部4の材質は、スパウト3と同一のものには限定されず剛性の高い部材、例えば、ステンレス等の金属を使用することが好ましい。合成樹脂よりも剛性が高いため、ステム21の上部に発生する目詰まりがより硬い乾燥物であったとしても、破壊することが可能となるからである。
【0035】
針部4の突出量は、押圧部32を押圧した時のノズル部31の移動量によって適宜変更されるが、ノズル部31内の流路を確保するため、針部4の突出量は、少ない方が好ましい。針部4の突出量が多いと、押圧部32を押圧していないときに、ステム21上部の開口部を部分的に針部4が塞ぐこととなり、逆に目詰まりの発生を助長させるおそれがあるからである。従って、針部4の突出量は、非押圧時にステム21内へと挿入されない量とすることが好ましい。
また、針部4の突出量は、押圧部32を押圧したときに、ステム21上部よりも0〜3mm下方までステム21内部へと挿入されるように設定することが好ましい。
【0036】
針部4の先端部41は、ステム21内部に挿入されることを要することから、ステム21の内径よりも小さい外径とされる。例えば、ステム21の内径が2mmの場合は、針部4の先端部41のステム21内部に挿入される部分については、長径が2mm未満とされる。
【0037】
針部4の先端部41の形状は、エアゾール容器11内部に充填された内容物による目詰まりの発生頻度、発生した目詰まり物の硬さによって適宜選択することができ、鋭利な形状でも良いし、半球面状や截頭円錐状や截頭角錐状でもよい。
【0038】
図2及び図3において、ノズル部31の内部通路は、ステム21の中心軸と同軸に形成されたステム側通路313と、中心軸に対してヒンジ部33方向に偏心した位置に形成された開口部側通路314とからなるクランク状に形成されており、針部4は、ステム側通路313の上端部315から突出するように設けられている。当該形態の場合は、針部4の基端部42をノズル部31内部にて強固に固定することが可能となり、針部4の強度を高めることができる。さらに針部4の基端部42に加えて針部4の側面の一部をノズル部31内側面316にて固定することも可能であり、針部4の強度をより高めることができる。
【0039】
また、本発明に係るエアゾール容器用スパウト3は、ノズル部31が直線状のスパウト3に適用することも可能である。この場合、ノズル部31の押圧部32側の内側の側壁に針部4を設ける。ヒンジ部33側に針部4を設けると、針部4の移動量が少なくなるため、好ましくない。
この場合、針部4は、スパウト3と一体成型することによって設けられてもよいし、別部材を追加することによって設けられても良い。
【0040】
図6は、本発明に係るエアゾール容器用スパウトの第2の実施形態の断面図である。図7は、本発明に係るエアゾール容器用スパウトの第2の実施形態を押圧した断面図である。
第2の実施形態に係るエアゾール容器用スパウト3は、図6の通り、針部4は、基端部42の中心に比べて先端部41が押圧部32方向にずれた錐体形状であることが好ましい。
これにより図7に示す通り、押圧部32の下動時に針部4がステム21上部に残存している乾燥物を垂直方向に貫くようになるため、より確実に乾燥物を破壊してステム21の流路を確保することができる。
【0041】
図8は、本発明に係るエアゾール容器用スパウトの第3の実施形態の外観図である。図9は、本発明に係るエアゾール用スパウトの第3の実施形態の断面図である。
上述した第1及び第2の実施形態に係るエアゾール容器用スパウトは倒立型スパウトであるが、第3の実施形態に係るエアゾール容器用スパウトは、正立型スパウトである。
第3の実施形態に係るエアゾール容器用スパウト3は、図9の通り、ノズル部31の内部通路は、ステム21の中心軸と同軸に形成されたステム側通路313と、中心軸に対してヒンジ部33方向に直角に形成された開口部側通路314とからなっており、針部4は、開口部側通路314の基端部から突出するように設けられている。これにより、針部4の基端部を開口部側通路314の基端部において、ノズル部31内側面316及び内天面317にて強固に固定することが可能となり、針部4の強度を高めることができる。
尚、第3の実施形態の場合、押圧部32は、ステム21の中心軸線上にノズル部31と一体となって設けられ、ノズル部31を直接押圧することにより、ステム21を押圧する。
【0042】
本発明に係るエアゾール容器用スパウト3は、使用者が押圧部32を押圧する度に(使用者が使用をする度に)、目詰まり物を破壊することができる。従って、目詰まり解消のための別操作を特に必要とはしない。さらに、不使用期間が長期に亘る等により、乾燥し目詰まり物が硬い場合は、本発明に係るエアゾール容器用スパウト3の押圧部32を押圧しても一度では内容物が吐出しない場合が考えられるが、複数回押圧部32を押圧することにより、目詰まりの原因となっている乾燥物を問題なく破壊することができる。
【0043】
本発明に係るエアゾール容器1は、上述したエアゾール容器用スパウト3を容器本体11に取り付けることにより構成され、内部に化粧料、医薬品、医薬部外品、香料、食品等の組成物が充填されたエアゾール製品とされる。具体的なエアゾール製品の形態としては、泡沫状、又は粘性液体状の形態で吐出されれば特に限定されないが、例えば、整髪剤、染毛剤等の毛髪化粧料;スキンケア剤、シェービング剤、デオドラント剤、フレグランス剤等の皮膚化粧料;鎮痛消炎剤、殺虫剤等の医薬品;殺菌・消毒剤等の医薬部外品;ホイップクリームなどの食品等を例示することができる。特に固形分が高配合され、目詰まりが発生し易いと考えられる組成物は、本発明に係るエアゾール容器1に充填するのに適している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、弁にスパウトを接続して内容物を泡沫状、又は粘性液体状に吐出する形式のエアゾール製品に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るエアゾール容器用スパウトの外観図である。
【図2】本発明に係るエアゾール容器用スパウトの断面図である。
【図3】本発明に係るエアゾール容器用スパウトを押圧した状態の断面図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】本発明に係るエアゾール容器用スパウトの第2の実施形態の図である。
【図7】本発明に係るエアゾール容器用スパウトの第2の実施形態を押圧した図である。
【図8】本発明に係るエアゾール容器用スパウトの第3の実施形態の外観図である。
【図9】本発明に係るエアゾール用スパウトの第3の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 エアゾール用容器
2 バルブ
3 スパウト
4 針部
11 容器本体
21 ステム
31 ノズル部
32 押圧部
33 ヒンジ部
34 基台部
41 先端部
42 基端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、該容器本体の頂部から突出するステムとを備えたエアゾール容器に取り付けられるエアゾール容器用スパウトであって、
前記容器本体に固定される基台部と、
上端に開口部を有し下端が前記ステム上部に接続されるノズル部と、
前記基台部とヒンジ部を介して連結され、前記ヒンジ部を支点として前記ノズル部と一体的に上下動する押圧部とからなり、
前記ノズル部内部には、下方向に突出する針部が設けられ、
前記針部の先端部は、前記押圧部の下動時に前記ステム内部へと挿入されることを特徴とするエアゾール容器用スパウト。
【請求項2】
前記ノズル部の内部通路は、前記ステムの中心軸と同軸に形成されたステム側通路と、前記中心軸に対して前記ヒンジ部方向に偏心した位置に形成された開口部側通路とからなるクランク状に形成されており、
前記針部は、前記ステム側通路の上端部から突出するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用スパウト。
【請求項3】
前記ノズル部の内部通路は、前記ステムの中心軸と同軸に形成されたステム側通路と、前記中心軸に対して前記ヒンジ部方向に直角に形成された開口部側通路とからなり、
前記針部は、前記開口部側通路の基端部から突出するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用スパウト。
【請求項4】
前記針部は、前記ノズル部と一体成型されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のエアゾール容器用スパウト。
【請求項5】
前記針部は、基端部の中心に比べて先端部が前記押圧部方向にずれた錐体形状であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のエアゾール容器用スパウト。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載のエアゾール容器用スパウトを備えたエアゾール容器。
【請求項7】
請求項6記載のエアゾール容器に充填されたエアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−214917(P2009−214917A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62114(P2008−62114)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】