説明

エアゾール容器用噴射装置

【目的】ノズル機構、トリガー機構及びグリップを備えた噴射装置でありながら低コスト化も可能なエアゾール容器用噴射装置を提供する。
【構成】ノズル機構とトリガー機構とグリップとを備え、エアゾール容器が着脱交換可能に取り付けられるエアゾール容器用噴射装置であって、
本体内部には、該本体内部の奥部からエアゾール容器取付方向側に延伸する少なくとも2つの係止部材が配設されており、
該係止部材は、可撓性を有すると共に、前記エアゾール容器のテーパー状肩部の上方で且つバルブ近傍の外周に形成された巻締部の内側に入り込み該巻締部の内周の環状段部に係止する突起爪を有する構成であり、
該係止部材の係止方向の背面側には、該背面に当接することで前記環状段部からの前記突起爪の退避を規制する退避防止部材が配設されており、
該退避防止部材が、前記突起爪の退避規制を解除するために前記係止部材の背面から退避可能な構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾール容器用噴射装置に関し、グリップを握持した状態でトリガーを引くことで着脱交換可能に取り付けられるエアゾール容器の内容物を噴射する形式に用いられるエアゾール容器用噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、整髪料等の化粧品、消臭剤、冷却剤、殺虫剤、塗料、洗浄剤等を噴射するには、これらの液体・溶液・溶剤等をエアゾール容器に充填し、該エアゾール容器のバルブを開閉操作することにより該バルブに連通したノズル機構から噴射することで行われている。
【0003】
バルブの開閉操作としては、一般的なエアゾール容器では該エアゾール容器のバルブ先端に被冠状態で取り付けられたノズル付きのキャップ体を押下することで行われる構成が広く知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
また、バルブの開閉操作としては、ノズル付きのキャップ体の押下に換えてバルブに連通する構成のノズル機構を操作するトリガーを備え、グリップを握持した状態で前記トリガーに引っ掛けた人差し指を引き絞る操作をすることで行われる構成も知られている(例えば、特許文献2〜5等参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3049424号
【特許文献2】特開2001−315872号
【特許文献3】特開2007−022659号
【特許文献4】特許第3959442号
【特許文献5】特許第3897589号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、簡単な構造によりエアゾール容器の内容物の噴射が可能であり広く普及しているが、内容物の種類や容量等によって異なる大きさのエアゾール容器を人差し指を除いた4本の指で若干不安定な状態で持ち、バルブに内蔵されたスプリングを付勢力に抗して圧縮させながらノズル付きの小さなキャップ体を人差し指一本の指先のみで強く押下する必要があることから操作性が低く、指先の力が乏しい使用者の場合、噴射操作が困難であるだけでなく、押下時の力みによって噴射方向が不安定となってしまったり、キャップ体から指先がずれることで噴射物に触れてしまう等の問題を有している。
【0007】
この点、特許文献2〜5の技術では、特許文献1が抱えていた操作性の問題は解決されており、安定した握持状態で、より小さな力で容易に内容物の噴射が可能となっている。
【0008】
しかしこれらの技術では、エアゾール容器に取り付けられた噴射構成部分、即ち、ノズル機構、トリガー機構、グリップ及びこれらの機構を備えた噴射装置の本体構成が、特許文献1のような単なるノズル付きの小さなキャップ体とは異なり、多数の構成部品から成る大型の機構となるためコスト高であるという問題点を有している。
【0009】
そこで本発明の課題は、より小さな力で容易に内容物の噴射が安定した握持状態で可能な構成である、ノズル機構、トリガー機構及びグリップを備えた噴射装置でありながら低コスト化も可能なエアゾール容器用噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0011】
1.エアゾール容器のバルブに連通するノズル機構と、前記バルブの開閉を操作するトリガー機構と、持ち手となるグリップとを備え、エアゾール容器が着脱交換可能に取り付けられるエアゾール容器用噴射装置であって、
前記エアゾール容器用噴射装置の本体内部には、該本体内部の奥部からエアゾール容器取付方向側に延伸する少なくとも2つの係止部材が配設されており、
該係止部材は、可撓性を有すると共に、前記エアゾール容器のテーパー状肩部の上方で且つバルブ近傍の外周に形成された巻締部の内側に入り込み該巻締部の内周の環状段部に係止する突起爪を有する構成であり、
該係止部材の係止方向の背面側には、該背面に当接することで前記環状段部からの前記突起爪の退避を規制する退避防止部材が配設されており、
該退避防止部材が、前記突起爪の退避規制を解除するために前記係止部材の背面から退避可能な構成であることを特徴とするエアゾール容器用噴射装置。
【0012】
2.前記退避防止部材が、バルブの軸線を中心軸とする回動によって前記係止部材の背面から回動方向に退避することで前記突起爪の退避の規制が解除される構成であることを特徴とする上記1に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【0013】
3.前記退避防止部材が、バルブの軸線方向で且つ前記エアゾール容器から離れる方向への移動によって前記巻締部の内側に入り込んだ前記係止部材の背面から退避することで前記突起爪の退避の規制が解除される構成であることを特徴とする上記1又は2に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【0014】
4.前記退避防止部材が、エアゾール容器用噴射装置の本体の先端部分のノズル外周に取り付けられた部材である係止操作部に接続され、該係止操作部を操作することで前記退避防止部材による前記突起爪の退避の規制及び退避の規制解除を行う構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のエアゾール容器用噴射装置。
【0015】
5.前記退避防止部材の背面と前記エアゾール容器のバルブ根元部分との間に、前記退避防止部材による前記突起爪の退避規制時に前記バルブ根元部分に少なくとも一部が当接することで前記退避防止部材の位置ズレや位置ブレの如き位置移動を防止する退避防止補助部が配設された構成であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のエアゾール容器用噴射装置。
【0016】
6.前記退避防止補助部が、前記退避防止部材の背面に有する構成であることを特徴とする上記5に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【0017】
7.前記退避防止補助部が、前記退避防止部材とは別体構成であり、且つ該退避防止部材の前記回動又は移動に伴うことなく前記係止部材の背面側であって前記バルブ根元部分に少なくとも一部が当接する位置に配設される構成であることを特徴とする上記5に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に示す発明によれば、より小さな力で容易に内容物の噴射が安定した握持状態で可能な構成である、ノズル機構、トリガー機構及びグリップを備えた噴射装置でありながら高コスト化を招く恐れがないエアゾール容器用噴射装置を提供することができる。即ち、エアゾール容器が着脱交換可能に取り付けられる構成によれば、エアゾール容器が空になった場合や他の内容物の噴射の際に他のエアゾール容器を極めて容易に取り付けて噴射を行うことによって、高コスト要因である噴射装置自体を多数回に亘って使い回すことができるので、高コスト化を解消することができる。
【0019】
特に、エアゾール容器の着脱交換の際には、該エアゾール容器のテーパー状肩部の上方で且つバルブ近傍の外周に形成された巻締部の内側に入り込み該巻締部の内周の環状段部に係止する突起爪を有する係止部材の背面に当接する退避防止部材を、係止部材の背面から退避させることで、前記環状段部からの前記突起爪の退避規制が解除されるので、前記エアゾール容器を噴射装置本体から取り外す際には前記可撓性を有する係止爪を係止していた前記環状段部から容易に外すことができる。
【0020】
請求項2に示す発明によれば、退避防止部材をバルブ軸線を中心軸とする回動によって、係止部材の背面から退避させて突起爪の退避規制を解除することができるので、エアゾール容器の係止を解除することができる。
【0021】
請求項3に示す発明によれば、退避防止部材をバルブ軸線方向でエアゾール容器から離れる方向への移動によって、係止部材の背面から退避させて突起爪の退避規制を解除することができるので、エアゾール容器の係止を解除することができる。
【0022】
請求項4に示す発明によれば、エアゾール容器用噴射装置の本体の先端部分の係止操作部を操作することで係止部材の背面から退避防止部材を退避させて突起爪の退避規制を解除することができるので、エアゾール容器の係止を解除することができる。
【0023】
請求項5に示す発明によれば、退避防止部材の位置ズレや位置ブレの如き位置移動を防止する退避防止補助部により、係止部材の突起爪の退避を確実に規制することができる。
【0024】
請求項6に示す発明によれば、退避防止補助部が退避防止部材の背面に一体構成又は別体構成で配設ないし取り付けられた構成なので、係止部材の突起爪の退避を確実に規制することができる。
【0025】
請求項7に示す発明によれば、退避防止補助部が係止部材の背面側であって前記バルブ根元部分に少なくとも一部が当接する位置に配設される構成なので、退避防止部材が係止部材の背面に位置した際には該係止部材の突起爪の退避を確実に規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係るエアゾール容器用噴射装置を詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明に係るエアゾール容器用噴射装置の一実施例の退避規制状態を示す概略右側面図、図2は同正面図、図3は同左側面図、図4は図1の退避規制を解除した状態を示す概略右側面図、図5はエアゾール容器を取り付けた状態の一例を示す部分切欠正面図、図6の(A1)〜(A3)は図5のA−A線部分のVI−VI線断面における巻締部・環状段部、係止部材・突起爪、退避防止部材・退避防止補助部の構成例を示す概略説明断面図、並びに図6の(B1)〜(B3)は(A1)〜(B3)の各々のB−B線部分の概略説明断面図、図7の(A1)〜(A3)は図5のA−A線部分のVI−VI線断面における巻締部・環状段部、係止部材・突起爪、退避防止部材・退避防止補助部の他の構成例を示す概略説明断面図、並びに図7の(B1)〜(B3)は(A1)〜(A3)の各々のB−B線部分の概略説明断面図、図8の(A1)〜(A3)は図5のA−A線部分のVI−VI線断面における巻締部・環状段部、係止部材・突起爪、退避防止部材・退避防止補助部の更に他の構成例を示す概略説明断面図、並びに図8の(B1)〜(B3)は(A1)〜(A3)の各々のB−B線部分の概略説明断面図、図9は図6の(B1)〜(B3)と同じ部分における図10の概略説明断面図、図10は係止操作部の他の実施例を示す正面図、である。
【0028】
図1〜図5に示すように、本発明に係るエアゾール容器用噴射装置(以下、単に噴射装置ということもある。)1は、エアゾール容器2のバルブ20に連通するノズル機構10と、前記バルブ20の開閉を操作するトリガー機構11と、持ち手となるグリップ12とを備え、エアゾール容器2が図2及び図5に示すように着脱交換可能に取り付けられる構成を有する。図1及び図4において符号10Aはエアゾール容器2のバルブ20が連通状態で接続されるバルブ連通部である。
【0029】
尚、ノズル機構10、トリガー機構11、グリップ12の各構成及び形状並びに作用については、この種の噴射装置のノズル機構、トリガー機構、グリップとして公知公用のものを特別の制限なく採ることができ、更に、これらの材質、並びに噴射装置1の本体13及び他の構成部材の材質についても、この種の噴射装置の材質として公知公用の材質(特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等に代表される可撓性合成樹脂)を用いることができる。
【0030】
前記エアゾール容器用噴射装置1の本体13の内部13Aには、該内部13Aの奥部からエアゾール容器2の取付方向側に延伸する少なくとも2つの係止部材14・14が配設されている。図1及び図4に示すように、係止部材14・14は本体13の内部13Aに係止部材支持部14A・14Aを介して取り付けられている。
【0031】
係止部材14は、可撓性を有すると共に、図5及び図6に示すように前記エアゾール容器2のテーパー状肩部21の上方で且つバルブ20近傍の外周に形成された巻締部22の内側に入り込み該巻締部22の内周の環状段部23に係止する突起爪15を有する。
【0032】
尚、「エアゾール容器2のテーパー状肩部21の上方に」の「上方」とは、エアゾール容器2の通常の取扱時の状態、即ち、非使用時等の通常の姿勢である縦置きした場合における「上方」を云うものであり、本発明のように噴射装置1に対して横向き状態に取り付けられる場合には上方ではなくなることは云うまでもない。
【0033】
係止部材14の係止方向の背面側には、該背面に当接することで前記環状段部23からの前記突起爪15の退避を規制する退避防止部材16が配設されており、該退避防止部材16が、前記突起爪15の退避規制を解除するために前記係止部材14の背面から退避可能な構成となっている。
【0034】
以下、係止部材14及び突起爪15並びに退避防止部材16の環状段部23への作用構成について説明する。
【0035】
先ず、エアゾール容器用噴射装置1の本体13にエアゾール容器2が取り付けられた状態では、図6の(A1)及び(B1)に示すように、係止部材14・14は、巻締部22の内側に入り込み該巻締部22の内周の環状段部23に突起爪15・15が係止された状態となっている。
【0036】
更に、係止部材14・14の係止方向の背面側には、退避防止部材16・16が前記係止部材14・14の夫々の背面に当接することで前記環状段部23からの前記突起爪15・15の退避を規制している。尚、前述した図1は係止部材14・14の背面に退避防止部材16・16が当接した状態で且つエアゾール容器2を未装着とした状態の本体13の内部13Aの構成を示している。
【0037】
従って、この状態ではエアゾール容器2はエアゾール容器用噴射装置1の本体13に強固に且つ確実に取り付けられた状態となっており脱落することがない。
【0038】
退避防止部材16・16による係止部材14・14の退避規制をより強固且つ確実にするために、該退避防止部材16・16の背面と前記エアゾール容器2のバルブ根元部分24との間に退避防止補助部18・18を配設することが好ましい。退避防止補助部18・18を配設することで、該退避防止補助部18・18の存在により前記退避防止部材18・18が夫々の背面方向であるバルブ根元部分24方向へ動いてしまうことが無くなるので、前記係止部材14・14の退避を強固且つ確実に規制することが可能となる。
【0039】
退避防止補助部18・18は、前記退避防止部材16・16による前記突起爪15・15の退避規制時に前記バルブ根元部分24に少なくとも一部が当接することで前記退避防止部材16・16の位置ズレや位置ブレの如き位置移動を防止するために配設されるもので、図6(A1)及び(B1)に示すように、前記退避防止部材16の背面に該退避防止部材16と一体的に形成されていることが好ましい。
【0040】
次に、エアゾール容器用噴射装置1の本体13からエアゾール容器2を取り外す場合では、図6の(A2)及び(B2)に示すように、係止部材14・14の背面から退避防止部材16・16を退避させることで環状段部23に係止している突起爪15・15の退避規制を解除する。
【0041】
退避防止部材16・16の係止部材14・14の背面からの退避構成としては、該退避防止部材16・16を、バルブ20の軸線を中心軸とする回動によって前記係止部材14・14の背面から回動方向に退避する構成を好ましく挙げることができる。
【0042】
退避防止部材16・16の回動構成としては、エアゾール容器用噴射装置1の本体13の先端部分のノズルの外周に取り付けられた部材である係止操作部17に図5に示すように退避防止部材接続部17A等を介することで本体13の内部13Aで接続し、該係止操作部17を本体13の外部から操作することで行う構成とすることが好ましい。該係止係止操作部17は、回動操作時に滑らないように凹凸からなる滑り止め部17Cが形成されていることが好ましい。尚、該滑り止め部17Cは凹凸に限らず梨地処理であってもよいし、ゴム等の摩擦係数の高い部材を付加する等して形成されていてもよい。
【0043】
係止部材14・14の背面から退避防止部材16・16が退避して環状段部23に係止している突起爪15・15の退避規制が解除された状態になった後、エアゾール容器2を本体13から引き抜くと、図6の(A3)及び(B3)に示すように、係止部材14・14が有する可撓性によって該係止部材14・14が撓んで突起爪15・15が環状段部23を乗り越えるようにして係止が外れることになる。この係止のハズレによって、エアゾール容器2をエアゾール容器用噴射器1の本体13から容易に取り外すことが可能となる。
【0044】
エアゾール容器2を取り外した状態のエアゾール容器用噴射器1の本体13の内部13Aの状態は、右側面図である図4に示すようになっている。図4において符号17Bは係止操作部取付部であり、該係止操作部取付部17Bを本体13の係止操作部被取付溝13Bに遊動可能に取り付けることで係止操作部17を本体13に取り付けることができると共に、該係止操作部17を操作することで退避防止部材16・16による係止部材14・14の規制及び規制解除を操作することができる。
【0045】
尚、係止操作部17の操作による規制及び規制解除の状態を外部から容易に判別できるように、図2、図3及び図5に示すように、係止操作部17に係止状態確認矢符17Dを付し、本体13に係止案内表示(LOCK)17E及び係止案内表示(OPEN)17Fを付すことが好ましい。
【0046】
以上、本発明に係るエアゾール容器用噴射装置の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の技術的範囲内において他の態様を採ることができる。
【0047】
例えば、上記実施例では、退避防止補助部18が退避防止部材16の背面に一体的に形成された構成となっているが、該退避補助部材16は退避防止部材16と別体構成であってもよいし、図7に示すように退避防止補助部18は無くてもよい。この場合、退避防止部材16が該退避防止部材16に係止部材14の力が加わっても退避規制できる剛性を有することが好ましい。また、該退避防止部材16が退避防止補助部18を背面に有する場合と同様の厚みで形成された構成であってもよい。
【0048】
また、図8に示すように、退避防止補助部18は前記退避防止部材16とは別体構成であり、且つ該退避防止部材16の退避に伴うことなく前記係止部材14の背面側であって前記バルブ根元部分20に少なくとも一部が当接する位置に配設される構成であってもよい。
【0049】
即ち、この構成の場合、退避防止部材16が係止部材14の背面に当接する位置にあって該突起爪15の退避を規制している状態{図8の(A1)及び(B1)の状態}にのみ退避防止補助部18が退避防止部材16の背面に位置する構成であり、退避規制の解除の状態{図8の(A2)及び(B2)の状態}では、退避防止部材16の回動に伴わずに元の位置に留まったままとなる構成である。退避防止補助部18が元の位置に留まったままであっても退避防止部材16が係止部材14の背面から退避した状態であれば係止部材14の背面には退避可能な間隙が生じるので、図8の(A3)及び(B3)に示すように該係止部材14・14が撓んで突起爪15・15が環状段部23を乗り越えるようにして係止が外れることになる。
【0050】
更に、上記実施例では、退避防止部材16がバルブ20の軸線を中心軸とする回動によって前記係止部材14の背面から回動方向に退避する構成となっているが、図9及び図10に示すように、退避防止部材16が、バルブ20の軸線方向で且つ装着したエアゾール容器2から離れる方向への移動によって前記係止部材14の背面から退避することで前記突起爪15の退避の規制が解除される構成とすることもできる。
【0051】
即ち、この構成の場合、退避防止部材16が係止部材14の背面に当接する位置にあって該突起爪15の退避を規制している状態{図9の(B1)の状態}から、退避防止部材16をエアゾール容器2から離れる方向に移動することで係止部材14の背面から退避した状態{図9の(B2)の状態}となり、図9の(B3)に示すように該係止部材14・14が撓んで突起爪15・15が環状段部23を乗り越えるようにして係止が外れることになる。
【0052】
図9に示す態様における退避防止部材16の移動構成としては、例えば、図10に示すように、係止操作部17をバルブ20の軸線方向で且つ装着したエアゾール容器2から離れる方向へ引き抜くように操作することで行う構成とすることが好ましい。
【0053】
更にまた、退避防止部材16の係止部材14の背面からの退避は、回動方向への回動とバルブ20の軸線方向への移動の両者の組み合わせであってもよく、この場合、退避防止部材16が螺旋状態に移動することによって係止部材14の背面から退避した状態となることで、環状段部23への突起爪15の係止を外れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るエアゾール容器用噴射装置の一実施例の退避規制状態を示す概略右側面図
【図2】同正面図
【図3】同左側面図
【図4】図1の退避規制を解除した状態を示す概略右側面図
【図5】エアゾール容器を取り付けた状態の一例を示す部分切欠正面図
【図6】(A1)〜(A3)は図5のA−A線部分のVI−VI線断面における巻締部・環状段部、係止部材・突起爪、退避防止部材・退避防止補助部の構成例を示す概略説明断面図、(B1)〜(B3)は(A1)〜(A3)の各々のB−B線部分の概略説明断面図
【図7】(A1)〜(A3)は図5のA−A線部分のVI−VI線断面における巻締部・環状段部、係止部材・突起爪、退避防止部材・退避防止補助部の他の構成例を示す概略説明断面図、(B1)〜(B3)は(A1)〜(A3)の各々のB−B線部分の概略説明断面図
【図8】(A1)〜(A3)は図5のA−A線部分のVI−VI線断面における巻締部・環状段部、係止部材・突起爪、退避防止部材・退避防止補助部の更に他の構成例を示す概略説明断面図、(B1)〜(B3)は(A1)〜(A3)の各々のB−B線部分の概略説明断面図
【図9】図6の(B1)〜(B3)と同じ部分における図10の概略説明断面図
【図10】係止操作部の他の実施例を示す正面図
【符号の説明】
【0055】
1 エアゾール容器用噴射装置
10 ノズル機構
10A バルブ連通部
11 トリガー機構
12 グリップ
13 本体
13A 本体内部
13B 係止操作部被取付溝
14 係止部材
14A 係止部材支持部
15 突起爪
16 退避防止部材
17 係止操作部
17A 退避防止部材接続部
17B 係止操作部取付部
17C 滑り止め部
17D 係止状態確認矢符
17E 係止案内表示(LOCK)
17F 係止案内表示(OPEN)
18 退避防止補助部
2 エアゾール容器
20 バルブ
21 テーパー状肩部
22 巻締部
23 環状段部
24 バルブ根元部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器のバルブに連通するノズル機構と、前記バルブの開閉を操作するトリガー機構と、持ち手となるグリップとを備え、エアゾール容器が着脱交換可能に取り付けられるエアゾール容器用噴射装置であって、
前記エアゾール容器用噴射装置の本体内部には、該本体内部の奥部からエアゾール容器取付方向側に延伸する少なくとも2つの係止部材が配設されており、
該係止部材は、可撓性を有すると共に、前記エアゾール容器のテーパー状肩部の上方で且つバルブ近傍の外周に形成された巻締部の内側に入り込み該巻締部の内周の環状段部に係止する突起爪を有する構成であり、
該係止部材の係止方向の背面側には、該背面に当接することで前記環状段部からの前記突起爪の退避を規制する退避防止部材が配設されており、
該退避防止部材が、前記突起爪の退避規制を解除するために前記係止部材の背面から退避可能な構成であることを特徴とするエアゾール容器用噴射装置。
【請求項2】
前記退避防止部材が、バルブの軸線を中心軸とする回動によって前記係止部材の背面から回動方向に退避することで前記突起爪の退避の規制が解除される構成であることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項3】
前記退避防止部材が、バルブの軸線方向で且つ前記エアゾール容器から離れる方向への移動によって前記巻締部の内側に入り込んだ前記係止部材の背面から退避することで前記突起爪の退避の規制が解除される構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項4】
前記退避防止部材が、エアゾール容器用噴射装置の本体の先端部分のノズル外周に取り付けられた部材である係止操作部に接続され、該係止操作部を操作することで前記退避防止部材による前記突起爪の退避の規制及び退避の規制解除を行う構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項5】
前記退避防止部材の背面と前記エアゾール容器のバルブ根元部分との間に、前記退避防止部材による前記突起爪の退避規制時に前記バルブ根元部分に少なくとも一部が当接することで前記退避防止部材の位置ズレや位置ブレの如き位置移動を防止する退避防止補助部が配設された構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項6】
前記退避防止補助部が、前記退避防止部材の背面に有する構成であることを特徴とする請求項5に記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項7】
前記退避防止補助部が、前記退避防止部材とは別体構成であり、且つ該退避防止部材の前記回動又は移動に伴うことなく前記係止部材の背面側であって前記バルブ根元部分に少なくとも一部が当接する位置に配設される構成であることを特徴とする請求項5に記載のエアゾール容器用噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−234609(P2009−234609A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82403(P2008−82403)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(507270300)株式会社びーんず研究所 (9)
【Fターム(参考)】