エアバッグモジュール
【課題】組み立てが容易なエアバッグモジュールを提供する
【解決手段】エアバッグモジュール20はインフレータ21、クッションパック22、カバー30、保持部材40a、40bおよび係止部材50a、bを含む。膨張可能なエアバッグ23は構造部材24に結合される。それによって構造部材に隣接してクッションに保持溝が形成される。保持溝は、保持部材によるクッションパックの保持が可能になるように構成される。係止部材は保持部材およびインフレータに連結され、エアバッグの展開中に係止部材に対するインフレータの実質的変位を防止するように構成される。カバー30はクッションパック上に設けられ、保持部材に係合する。
【解決手段】エアバッグモジュール20はインフレータ21、クッションパック22、カバー30、保持部材40a、40bおよび係止部材50a、bを含む。膨張可能なエアバッグ23は構造部材24に結合される。それによって構造部材に隣接してクッションに保持溝が形成される。保持溝は、保持部材によるクッションパックの保持が可能になるように構成される。係止部材は保持部材およびインフレータに連結され、エアバッグの展開中に係止部材に対するインフレータの実質的変位を防止するように構成される。カバー30はクッションパック上に設けられ、保持部材に係合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本願は、2010年1月8日出願の米国仮特許出願第61/282,254号の優先権および恩典を主張する。前述の仮特許出願はその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般的に、自動車用のエアバッグモジュールの分野に関する。さらに詳しくは、この開示は、改善された構成を有するエアバッグモジュールおよび組立の方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
[発明が解決しようとする課題]
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示する実施形態によると、車両の乗員に拘束を提供するための車両で使用するためのエアバッグモジュールが提供される。モジュールは、車両の乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを有するクッションパックを含む。モジュールはまた、エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータ(inflator)と、クッションパックと係合し、それによってエアバッグクッションの展開中にクッションパックの一部分をエアバッグモジュールに保持する環状保持部材とをも含む。環状係止部材がインフレータおよび保持部材に接続される。係止部材は、エアバッグの展開中のインフレータの係止部材に対する実質的な変位を防止するように構成される。
【0005】
保持部材は、クッションパック内に位置する構造部材と係合する内向き突出タブを含むことができる。保持部材および係止部材は両方とも、2つの部分を連結することによって形成されることができる。保持部材およびクッションパックは、保持部材に対するクッションパックの適切なアラインメントを確実にするように係合する、対応するアラインメント部材または機構を含むことができる。エアバッグモジュールはまた、保持部材に接続されるカバーをも含むことができる。カバーは、エアバッグクッションがカバーを介して車両の室内に展開することができるように、易変形性または易破断性であることができる。保持部材は、車両の構造部材に接続される取り付け部材を含み、それによって車両にエアバッグモジュールを接続するために、車両の適切な場所のエアバックモジュールを取り付け部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】自動車の例示的実施形態の斜視図である。
【0007】
【図2】展開または膨張して乗員に拘束を提供する状態を示す運転者側エアバッグの部分的な車両断面図である。
【0008】
【図3】運転者側エアバッグモジュールの実施形態の斜視図である。
【0009】
【図4】図3の運転者側エアバッグモジュールの分解組立斜視図である。
【0010】
【図5】図3の運転者側エアバッグモジュールの部分分解組立斜視図である。
【0011】
【図6】クッションパックの保持溝と係合した保持部材のタブを示す、図3の運転者側エアバッグモジュールの断面図である。
【0012】
【図7A】運転者側エアバッグモジュール、例えば図3の運転者側エアバッグモジュール用のエアバッグ・クッション・パックの例示的実施形態である。
【0013】
【図7B】図7Aのエアバッグ・クッション・パックの断面図である。
【0014】
【図8A】運転者側エアバッグモジュール、例えば図3の運転者側エアバッグモジュール用の保持部材の一部分の例示的実施形態の斜視図である。
【0015】
【図8B】運転者側エアバッグモジュール、例えば図3の運転者側エアバッグモジュール用の保持部材の別の部分の例示的実施形態の斜視図である。
【0016】
【図8C】図8Aの第2保持部に結合された図8Bの第1保持部の斜視図である。
【0017】
【図9】保持部材の別の例示的実施形態の斜視図である。
【0018】
【図10】保持部材のタブとベースとの間に実質的に固定保持されているクッションリングを示す斜視図である。
【0019】
【図11】保持部材とクッションパックとの間に予め定められたアラインメントをもたらすためのアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0020】
【図12】係止部材を保持部材に結合するための取り付け部材の例示的実施形態の部分斜視図である。
【0021】
【図13A】保持部材と係止部材との間に予め定められたアラインメントをもたらすための保持部材におけるアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0022】
【図13B】保持部材と係止部材との間に予め定められたアラインメントをもたらすための係止部材におけるアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0023】
【図14】カバーの例示的実施形態の斜視図である。
【0024】
【図15】係止部材の例示的実施形態の2つの係止位置間に位置するインフレータの例示的実施形態の分解組立斜視図である。
【0025】
【図16】係止部材に対するインフレータの回転の向きを調整するためのアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0026】
【図17】インフレータおよび係止部材を位置合わせするためのアライメント機構を有する係止部材の一部分の例示的実施形態の斜視図である。
【0027】
【図18】保持部材の斜視図である。
【0028】
【図19】運転者側エアバッグモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図を一般的に参照しながら、本明細書では、構成部品の個数、質量、およびパッケージングボリュームを低減するように改善された構成を有するエアバッグモジュールを開示する。本明細書に開示するエアバッグモジュールは、逐次構築工程を用いてエアバッグモジュールを組み立てることを可能にする、独立取り付けまたは結合機構を有することによって改善された組立工程を可能にする。これは組立工程の柔軟性を高め、かつ自動製造工程の簡素化を可能にする。
【0030】
エアバッグモジュールは典型的には、車両の動的衝撃事象中、例えば正面衝突または横転事象中に、乗員の負傷を防止するために車両に配置される。典型的には、エアバッグモジュールは車両内に位置するセンサに接続され、センサを介して受け取りかつモニタされる情報に基づいてエアバッグの展開を開始する。エアバッグモジュールはしばしば、少なくとも1つの膨張可能なエアバッグクッションを含み、エアバッグクッションは典型的には、インフレータによって生成される高圧ガスから展開かつ膨張することができる。インフレータは炸薬(例えば火工装置)を含むことができ、あるいは膨張ガスを急激に発生させるための他の何らかの装置を含むことができ、膨張ガスはエアバッグクッション内に高い体積流量で流入し、エアバッグクッションの内部チャンバ圧力を増大させることによってクッションを拡張させる。助手席用エアバッグは典型的には、車両のダッシュボードまたは計器盤内に収納されかつそこから展開され、典型的にはその所要パッケージング空間を最小化するために、折畳みおよびローリング工程を介してエアバッグをコンパクトにするように梱包される。エアバッグのパッケージングボリュームは、真空折畳み工程を使用することによって最小化されることができ、真空折畳み工程は気密封止性を有し大気圧よりかなり低い圧力を有するチャンバを使用することができる。例えば真空折畳み工程は、エアバッグクッションを包囲する封止部材(例えばプラスチックバッグ)を含むことができ、次いで封止部材は圧力を大気圧に対して低減され、封止部材および内部エアバッグクッションによって占有される体積が低減される。次いで封止部材は気密封止され、エアバッグモジュールの組立中および車両内への設置中に小さい体積を維持することができる。
【0031】
車両の動的衝撃事象中に、助手席側エアバッグ(PAB)モジュールは、ダッシュボードの上部(すなわちグローブボックスの上)から、乗員の頭および胴体を保護するように略後向きおよび上向きの方向に展開することができる。PABモジュールはまた、ダッシュボードの後向き部分から略後向きの方向に、乗員に向かって展開することもできる。運転者側エアバッグ(DAB)モジュールは典型的にはステアリングコラム内に収納され、典型的にはその所要パッケージング空間を最小化するために、折畳みおよびローリング工程を介してエアバッグをコンパクトにするように梱包される。車両の動的衝撃事象中に、運転者エアバッグは、運転者の頭および胴体を保護するように後向きの方向に、運転者に向かって展開することができる。
【0032】
図1に示すように、自動車10は、運転者を拘束することによって運転者保護を達成するようにDABモジュール20を含むことができる。自動車10はさらに、追加的乗員の保護を達成するように、PABモジュールまたは他のエアバッグモジュールを含むことができる。車両10は典型的なセダンとして例示されているが、本明細書に開示するエアバッグモジュールは、任意のタイプの乗用車内のみならず、着座した乗員に対し正面エアバッグの形で乗員保護をもたらす他の移動車両(例えば軍用車両、大量輸送車両)内でも使用することができる。本明細書に開示するエアバッグモジュールは、エアバッグクッションの展開をトリガする車両の動的事象中に、任意の車両内で任意の乗員に改善された保護を提供するために使用されることができる。
【0033】
図2に示す通り、DABモジュール20は、膨張可能なエアバッグクッション23を含むことができ、エアバッグクッション23は乗員13とステアリングコラム12との間に設けられた展開または膨張位置に示されている。DABモジュール20の膨張可能なエアバッグクッション23は、車両10のエアバッグ展開事象中に運転者が例えば車両10のステアリングコラム12および/または計器盤11に接触することなどを防止することによって、乗員(例えば運転者)に保護を提供する。典型的には、DABモジュール20の展開は車両の動的衝撃によってトリガされ、それによって衝撃センサ(図示せず)は、エアバッグモジュール20のインフレータ21に連絡する車両制御モジュール(図示せず)または他の装置に連絡して膨張ガスの発生を開始させ、次いでガスは膨張可能なエアバッグクッション23内に送り込まれる。膨張ガスがDABモジュールのエアバッグクッション内に送り込まれると、エアバッグクッション23の内部チャンバ圧力が増大して、エアバッグクッションがステアリングコラム(または他の収納部材)およびエアバッグモジュール20を突破することが可能になり、それによってエアバッグクッション23は実質的に外向きに(すなわち車両の長手軸または前後軸に対し略直角に、または車両10の前後方向に対し斜角を成して)かつ後向きに、乗員13に向かって展開する。エアバッグモジュール20は、エアバッグクッション23を介して乗員を拘束し、かつ減速する乗員の変位を制限して、乗員13の運動量および運動エネルギを軽減することによって、乗員の安全性を改善する。展開されたエアバッグクッション23は、乗員13が減速されることから生じるエネルギ(例えば運動エネルギ)および力を吸収する。エアバッグモジュール20のエアバッグクッション23はさらに、略剛性の車両部品、例えばステアリングコラム12などによる乗員13の衝撃を低減または排除することによって、乗員の負傷を低減する。
【0034】
図3〜7BはDABモジュール20を開示する。モジュール20はインフレータ21、クッションパック22、カバー30、保持部材(またはリング)40、および係止部材(またはリング)50を含む。図3は組み立てられたDABモジュール20を示し、それによって保持部材40はクッションパック22を保持しかつ係止部材50に連結され、係止部材はクッションパック22に隣接してインフレータ21を保持する。カバー30はクッションパック22上に設けられ、保持部材40に係合する。
【0035】
クッションパック22は膨張可能なエアバッグクッション23を含み、かつ構造部材(例えばクッションリング)24を含むことができる。膨張可能なエアバッグ23は構造部材に結合されることができ、それによって構造部材24に隣接してクッションに保持溝26が形成される。保持溝26は、保持部材40によるクッションパック22の保持が可能になるように構成される。折畳み、ローリング、または折畳みおよびローリングの組合せを介して、エアバッグクッション23は、パッケージングボリュームの低減が可能となるように構成されることができるが、必ずしも真空封止する必要はない。図7Aに示すように、クッションパック22は膨張可能なエアバッグクッション23、クッション23に隣接して設けられた構造部材(またはクッションリング)24を含み、またエアバッグクッション23をカバーする封止部材25をも含むことができる。
【0036】
エアバッグクッション23は任意の適切な材料(例えばナイロン編織物)から作られることができ、任意の適切な形状であることができ、この形状は特定の顧客の要求を満たすように調整されてもよい。エアバッグクッション23は、膨張ガスがクッションの多孔性を介して逃散するのを防止するように、シーラント(例えばシリコーン)で被覆されることができる。構造部材24はエアバッグクッション23と結合されて、クッションパック22に(例えばエアバッグクッション23の展開中に)強度をもたらし、それによって構造部材24およびエアバッグクッション23は保持溝26を形成する。保持溝26は、保持部材40によるクッションパック22の保持を助けるように、クッションパック22のアンダーカット部として構成されることができる。構造部材24は、鋼、複合材(例えばガラス強化ナイロン、ガラス強化ポリプロピレン)、または実質的に剛性であってエアバッグの展開中に生じる大きい力に耐えるのに必要な強度をもたらす任意の適切な材料から作られることができる。
【0037】
封止部材25は、結合された膨張可能なエアバッグクッション23を包囲しかつ大気圧に対して相対的に低い圧力を有する真空密封チャンバを形成するように構成された、薄い可撓性の気密または不透水性材料(例えばポリマ)であることができる。封止部材25は、クッションパック22のパッケージングボリュームを任意選択的に低減させるように低圧の気密封止を形成することができる。封止部材25は、展開するエアバッグクッション23が妨害されずまたは遅滞無く封止部材25を突破することができるように構成される。
【0038】
図8A〜8Cに示すように、環状の保持部材40は2つの部分から組み立てられることができる。第1保持部(またはリング)40a(図8Bに示す)は、環状保持部材40の実質的半分を形成することができ、第2保持部(またはリング)40b(図8Aに示す)は、環状保持部材40の実質的に残りの半分を形成することができる。代替的に、保持部材は3つ以上の部分から形成されることができる。複数の部分の各々は、実質的に同一または異なる周長(または部分)を有することができる。したがって、複数の部分の各々は、保持部材の異なる量を形成することができる。
【0039】
保持部材40を形成する第1および第2保持部40a、40bは、複合材(例えばガラス強化ナイロン、ガラス強化ポリプロピレン)、またはエアバッグの展開中に誘発される大きい力に耐える強度を有する任意の適切な材料から作成されることができ、かつ射出成形または任意の適切な工程を介して形成されることができる。第1保持部40aは、少なくとも1つのコネクタ(または第1結合機構)41を用いて、第2保持部40bに連結されることができる。保持部材40の部分40a、40bは連結後、クッションパック22を保持部材40に対して適位置に保持し、保持部材40に対するクッションパック22の長手方向の実質的変位を防止することができる。
【0040】
DABモジュール20の保持部材40は、第1保持部40aの第1端を第2保持部40bの第1端に結合するためのコネクタ41、および第1保持部40aの第2端を第2保持部40bの第2端に結合するためのコネクタ141を含むことができる。DABモジュール20はさらに、保持部材40を係止部材50に結合するように構成された取り付け部材を含むことができる。保持部材40もまた、係止部材50の取り付け部材(第2結合機構)52に係合するように構成された取り付け部材(または第2結合機構)42を含むことができ、それによって保持部材40を係止部材50に結合する。本明細書で述べる通り、係止部材50は、係止部材50の一部を結合するためのコネクタを含むことができ、それは保持部材40のコネクタと同様にまたは異なるように構成することができる。
【0041】
保持部材40のコネクタ41は、第2保持部40bの相手機構41bと係合するように構成された第2保持部40aの機構41aを含むことができる。例えば、第1保持部40aの機構41aは、第2保持部40bの機構41bと係合するように構成された円弧状部材として構成することができ、それによって機構41bは、図8Cに示すような円弧状空隙として構成される。
【0042】
図8Cに示す通り、保持部材40のコネクタ141は、第1保持部40aの機構141aと係合するように構成された第2保持部40bの機構141bを含むことができる。第2保持部40bの機構141bは、第1保持部40aの機構141aと係合するように構成された突出部の片側の端部付近に戻止め(detent)を持つ突出部を有するフック(またはタブ)であり、よって特徴141aはフック機構141bを受容するように構成された開口である。開口機構141aはさらに、フック機構141bの戻止めと係合するように構成された戻止めまたは突起を含むことができ、それによって第1および第2保持部40a、40bがコネクタ141を介して係止される。
【0043】
コネクタ141またはコネクタ141の一部分は可撓性または応従性とすることができる。例えばフック機構141bは可撓性(flexible)または応従性(compliant)とすることができ、フック機構141bの戻止めが開口機構141aの戻止めを通過するときに、フックは撓むことが可能になり、フック機構141bの戻止めが開口機構141aの戻止めを超えて通過したときに、フックは撓む前の構成に戻ることが可能になる。フック機構141bおよび開口機構141aの戻止めの先端面は、横方向の力でフック機構141bを屈曲させまたは撓ませることによって2つの戻止め間の係合が容易になるように、(係合角度に対する)ランプまたは傾斜面として構成することができる。
【0044】
コネクタ141は、第1および第2保持部40a、40bを共に係止するように構成されることができる。例えば、フック機構141bおよび開口機構141aの戻止めは、撓み(または屈曲)の方向に対し略直角方向に相互に係合する表面を有することによって、分離に抵抗するように構成されることができる。フック機構141bは張力にさらされ、戻止めは曲げ力をほとんどまたは全く受けずに剪断力を受ける一方、開口機構141aの戻止めは剪断力を受けることができる。
【0045】
図9に示すさらに別の例示的実施形態によると、第1保持部240aは、複数のコネクタ241を介して第2保持部240bに接続され、それによって保持部240が形成される。コネクタ241は、相手保持部の開口(または空隙)機構241aに係合または充填するように構成された、可撓性タブ機構241bを1つの保持部に含む。タブ機構241bは、開口機構241aと係止嵌合するように構成されたスロットまたは空隙の両側に戻止めを含む。
【0046】
タブ機構241bは開口機構241aとの締まり嵌めを有することができ、よって開口機構241a内へのタブ機構241bの挿入は、戻止めをスロット内に変位させることによってタブ機構241bを圧縮させて、タブが開口機構241aの開口内に移動することを可能にする。開口機構241aは、可撓性タブ機構241bの戻止めが実質的に非変位形状に戻ることを可能にするために、開口と比較して大きい(すなわち断面が大きい)キャビティを含む。こうしてタブ機構241bを開口機構241aによって保持されることができる。
【0047】
加えて、保持部の各端にコネクタ機構を有することができるので、保持部の両端が結合されることができる。他の例示的実施形態によると、保持部材の保持部は、溶接(例えば音波溶接)、接着剤、または方法の任意の組合せによって結合されることができる。保持部材を結合するための任意の適切な方法を使用されることができ、本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことを、当業者は理解されたい。
【0048】
保持部材40はさらに、クッションパック22の相手アラインメント部材と係合するアラインメント部材(例えばエンボス、突起、鍵穴)を含むことができ、それは保持部材40とクッションパック22との間の回転の向きまたは関係(すなわち長手軸29を中心とする回転)を調整する。アラインメント部材44(例えばエンボス、突起、鍵穴)は、クッションパック22の構造部材24の対応する位置合わせ用空隙または凹所24a(図4に示す)と係合し、それが保持部材40と構造部材24(およびしたがってクッションパック22)との間の回転関係を調整する。図9および11に示す通り、保持部材40のアラインメント部材44は半円形エンボスとして構成されることができ、それはクッションパック22の構造部材24の相手半円形位置合わせ用空隙と係合する。こうして、保持部材40とクッションパック22との間の回転アラインメント(長手軸29を中心とする)が決定される。
【0049】
エアバッグクッション23は、保持部材40に対するDABモジュール20の長手軸29を中心とするクッション23の回転を防止するように、構造部材24に結合されることができる。こうして、DABモジュール20は、DABモジュール20に対するエアバッグクッション23の配置またはアラインメントのための反復可能かつ信頼できる方法を有し、DABモジュールは各車両に同じように設置されることができる。この反復可能なアラインメントは、乗員および車両環境に対する予め定められた展開位置で最適な乗員保護がもたらされるようにエアバッグクッションの設計(例えば形状、テザー位置、ベント位置)を構成されることができるので、最適な乗員保護をもたらす反復可能な展開エアバッグクッション位置を確実にする。
【0050】
保持部材40を形成する第1および第2保持部40a、40bは半円環状の形状であることができ、クッションパック22の構造部材24を支持するように構成されたベース45を含む。保持部40a、40bはさらに、ベース45から略垂直に延びかつ間隙47aによって分離される内壁46aおよび外壁46bを含み、間隙はカバー30の間隙47a内へのアクセスを可能にするように構成される。保持部40a、40bの内壁の内面から保持部材40の中心に向かって半径方向に延びるのは、複数の保持部材(または突出タブ)43である。タブ43は、ベース45と略平行でありかつベースから偏位した保持面43aを含み、それによってベース45と保持面43aとの間に第2間隙47bが形成される。
【0051】
第2間隙47bは、クッションパック22の構造部材24を受容するように構成される。保持部材40の保持部40a、40bを結合すると、構造部材24は保持部材40のタブ43とベース45との間に保持され、保持部材40に対する構造部材24(およびしたがって同様にクッションパック22)の長手軸29の長さに沿った実質的な移動を防止する。こうして、構造部材24は図10に示すように、保持部材40のタブ43によって保持されることができる。
【0052】
保持部材40のタブ43は、強度をもたらし、かつエアバッグの展開中に拡張するエアバッグクッションからクッションリングによって誘発される力に耐えるように、略剛性に構成される。構造部材24および/またはクッションパック22は、保持部40a、40bを構造部材24および/またはクッションパック22の周りで一つに合わせることによって、保持部材40と共に組み立てられることができるので、保持部材が一体部品でありかつ構造部材が保持部材および構造部材を共に(長手)軸方向に押すことによって結合される場合のように、タブ43も構造部材24も、相互に対して変位する(または撓む)ように構成される必要がない。タブ43の大きさおよび数量は様々な負荷状況に適合されるように調整することができ、本明細書に開示する実施形態に限定するつもりはないことに留意されたい。
【0053】
保持部材40の保持部40a、40bはさらに、保持部材40を係止部材50に連結するように構成された取り付け部材(または第2結合機構)42を含むことができる。図12に示す例示的実施形態によると、取り付け部材42は、保持部材40のベース45の底面45aから延びる2つの突出部42aを含み、それによって各突出部42aはベース45から最も遠い端部付近にランプ(または傾斜)形戻止め機構を有する。取り付け部材42の各突出部42aは、係止部材50の取り付け部材52の対応する相手部分と係合するように柔軟に構成されることができる。
【0054】
係止部材50に配置される取り付け部材52を保持部材40の取り付け部材42の相手部分に接触させると、各突出部42aと係止部材50の対応する相手取り付け部材52との間に締まり嵌め(interference fit)が生じ、それは各突出部42aを弾性的に変位させる(蓄積付勢エネルギを形成する)ので、係止部材50の取り付け部材52の相手部分が各突出部42aの戻止めを通過することができる。各突出部42aは、蓄積付勢エネルギが突出部42aをそれらの自由位置に戻すので、突出部42a(例えば戻止め)を取り付け部材52の相手部分に係止するように、ベース45の底面45aと突出部42aの戻止めとの間に設けられたアンダーカット(または空隙)を有することができる。こうして、係止部材50が保持部材40との干渉係合の先まで変位される(すなわち保持部材40の方に近づいた)ときに、係止部材50の取り付け部材52は、取り付け部材42のアンダーカット部と係合し、蓄積付勢エネルギのため戻止めが自由位置(すなわち変位前の位置)に戻ることを可能にする。
【0055】
保持部材40の取り付け部材42は、係止部材50の取り付け部材52に連結し、保持部材40を係止部材50に結合する。エアバッグモジュール20は、任意の数のそのような連結を含むように構成されることができ、それはエアバッグモジュールがエアバッグの展開中に受ける荷重に適合するように調整されることができる。例えば、エアバッグモジュール20は、図13Bに示す4つのそのような連結を含む。
【0056】
保持部材と係止部材との間の連結は、係止部材の相手取り付け部材と係合する、保持部材のベースの底面から延びる1つの突出部を含む取り付け部材によって形成されることができる。他の例示的実施形態によると、取り付け部材は任意のスナップ機構構成、または保持部材を係止部材に結合するための任意の方法であることができる。取り付け部材は任意の従来のファスナ(例えばボルト、リベット)であることができ、化学的方法(例えば接着剤、エポキシ)であることができ、あるいは任意の溶接(例えば音波溶接)であることができる。例えば図18に示すように、取り付け部材は、保持部材340と一体的に形成されかつベース345の底面345aからベース345から遠ざかる方向に略垂直に延びるスタッド(stud)342として構成されることができる。スタッド342は別個に形成され、次いで保持部材340に結合されることができる。スタッド342は保持部材に圧入されるか、鍵穴嵌合されるか、あるいは締付力によって保持されることができ、取り付け部材(例えばナット)352と係合するように構成されることができる。取り付け部材352は別個に形成され、次いで連結されるか、あるいは係止部材350および/またはインフレータ321と一体的に形成されることができる。
【0057】
保持部材340および/またはDABモジュール320は、モジュールを車両に結合するために装着(または取り付け部材もしくは結合)機構または部材を含むことができる。図18および19に示す例示的実施形態によると、装着部材380は保持部材340に一体的に形成される。装着部材380は、任意の適切または従来の形状を取ることができる。他の実施形態によると、装着部材は別個に形成され、次いで保持部材に結合されることができる。装着部材は、任意の適切な機構(例えば従来のファスナ、スナップ)を受容するように構成することができ、あるいは車両の受容装置に係合するように構成されることができる。
【0058】
図13Aおよび13Bに示すように、保持部材40は、係止部材50の相手アラインメント部材(または機構)59に係合することによって、保持部材40と係止部材50との間の回転の向きまたは関係を調整するように構成されたアラインメント(または配向)部材(または機構)49を含むことができる。保持部材のアラインメント部材は、係止部材の相補的形状の相手部材と係合するように構成されたエンボス、突起、鍵穴機構、または、任意の適切な機構であることができ、その逆も同様である(すなわち係止部材は保持部材の相手部材と係合するエンボスを含むことができる)。例示的実施形態によると、保持部材40は、ベース45の底面45aから延びる突出部分として構成されたアラインメント部材49を含み、係止部材50は、保持部材40の突出アラインメント部材49の少なくとも一部分を取り囲むように構成された相手アラインメント部材59を含む。別の例示的実施形態によると、係止部材は、係止部材の突出部分を保持するように保持部材のベースのアパーチャ(または相手機構)内に延びる突出部分を含む。こうして、アラインメント部材49、59は、結合されたときに保持部材40に対する係止部材50の適切な回転アラインメント(または位置もしくは向き)を確実にする。
【0059】
図14を参照すると、カバー30の例示的実施形態が示されている。カバー30は、ポリマまたは複合材から作られ、クッションパックを保護するように構成されることができる。例示的実施形態によると、カバー30は天板部材31および、天板部材31から略垂直に延びる環状壁32を含み、それによってエアバッグモジュール20のクッションパック22を収容するように構成されたキャビティ35を形成する。カバー30の壁32は、カバーを保持部材のようなエアバッグモジュールに連結するための少なくとも1つの部材(または係合部材または係合機構)33を含む。係合部材33は、保持部材40の相手フック部材48を受容するように構成された開口またはアパーチャ34を有する、壁32からの略矩形延長部であることができる。
【0060】
カバー30はさらに、保持部材40に対するカバー30の適切なアラインメント(または配向)を確実にするために保持部材40に係合するように構成されたアラインメント部材を含むことができる。図14に示す例示的実施形態によると、カバーのアラインメント部材は、第2開口に対して独特の大きさ(例えば幅)を有する第1開口34aを含み、それによって第1開口34aの位置は第2開口34bに対して独特に構成され、保持部材に対するカバーの単一の位置だけが許容される。他の実施形態によると、係合部材33および/または開口34は、カバー30と保持部材40との間の適切なアラインメントを確実にするように構成されることができる。カバーはさらに、展開するエアバッグクッションが妨害されずまたは遅滞無くカバーを突破できるように、断裂するように構成することのできるテアシームを含むことができる。カバーはしばしば、展開されるエアバッグクッションの構成に合わせてカバーの断裂を調整するように独特にまたは非対称に構成された、2つ以上のテアシームを含むことができる。カバーはさらに、エアバッグモジュールの製造者を識別するために商標のようなシンボル(またはエンブレム)を含むことができる。したがって、カバー30のアラインメント部材は、テアシームおよび/または機能のためのシンボルおよび/または美的目的の適切なアラインメントを確実にする。
【0061】
カバー30の壁32は、保持部材40の間隙47aと係合するように構成されることができる。保持部材40のフック部材48は、内壁46aまたは外壁46bから延びるように構成されることができる。フック部材48は、L字形またはJ字形のような任意の適切な形状を取ることができる。例示的実施形態によると、保持部材40は、L字形フック部材48のベースが内壁46aに向かって(しかしその手前まで)延びるように、外壁46bから延びる複数のL字形フック部材48を含む。L字形の各フック部材48は、カバー30の1つの対応する開口34と係合して、カバー30を保持部材40に結合させるように構成される。
【0062】
図15〜17は、インフレータ21を保持するように構成された環状係止部材50を開示する。係止部材50は、環状部材の略半分を形成する第1係止部分50a、および環状部材の残りの略半分を形成する第2係止部分50bを含む。係止部材50は2つまたはそれ以上の部分から形成されることができ、部分は様々な周長に構成され、したがって係止部材50の様々な量を形成することができる。係止部分50a、50bは複合材(例えばガラス強化ナイロン、ガラス強化ポリプロピレン)、またはエアバッグの展開中に誘発される大きい力に耐える強度を有する任意の適切な材料から作られることができ、射出成形または任意の適切な工程を介して作成されることができる。
【0063】
係止部分は、コネクタまたは他の機構を介して他の係止部分に連結するように構成されることができる。例示的実施形態によると、第1係止部分50aは、コネクタ51を用いて第2係止部分50bに連結され、それによって連結後、係止部材50の係止部分50a、50bは、インフレータ21を係止部材50に対して適位置に保持し、係止部材50に対するインフレータの長手方向の実質的変位を防止する。コネクタ51は、エアバッグの展開中に生じる分離力に耐えるように構成されることができる。
【0064】
係止部材50のコネクタ51は、第2係止部分50bの相手機構51bと係合または結合するように構成された第1係止部分50aの機構51aを含むことができる。機構51aは、他の係止部分における同様の形状の空隙機構に係合または嵌合するように構成されたフック形部材として構成されることができる。フック機構51aは、別のフック機構51bに連結するように構成されることができ、あるいはフック機構51aを保持するために戻止めを持つキャビティを形成する相手機構51bと係合するように構成されることができる。2つの部材を連結する任意の公知または将来開発される方法を使用して、係止部材の一部を接続することができること、および本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことに留意されたい。
【0065】
コネクタ51の一部分は可撓性または応従性となるように構成されることができ、非応従性部分または別の応従性部分に対して弾性的に撓む(または変位する)ことが可能である。コネクタ51は、可撓性でありかつ他の係合部分の相手機構51bに形成された略固定戻止めとの締まり(または係止)嵌めを有するように構成された、コネクタ51のフック機構51aを含むことができる。可撓性フック機構51aは、別の係止部分の空隙またはスロットと係止係合するように構成されることができる。別の例示的実施形態によると、係止部分50a、50bは溶接(例えば音波溶接)によって結合される。さらに、第1係止部分50aのような係止部分の各端はコネクタ51を含むことができるので、係止部分の両端は第2係止部分0bのような別の係止部分の端部に結合されることができる。係止部材50を結合するための任意の適切な方法が使用されることができ、本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことを、当業者は理解されたい。
【0066】
係止部材50は、係止部材50に対してインフレータを保持する機構を含むように構成されることができる。例示的実施形態によると、係止部材50は、実質的に係止部材50の周長に走る(または延びる)アンダーカット部(undercut portion)(またはキャビティもしくは凹所)53を含む。別の例示的実施形態によると、キャビティ53は、係止部材50の全周未満の長さを有する外周の特定部分に沿って延びる。キャビティ53は、インフレータ21のフランジ21aを受容するように調整された断面形状(例えば矩形、半円形)を有することができる。インフレータ21のフランジ21aが係止部材50のキャビティ53(または保持機構)と係合すると、インフレータは長手方向に(すなわち長手軸29に沿って)係止部材50に略固定されることができる。
【0067】
係止部材50はさらに、係止部材50とインフレータ21との間の回転の向きまたは関係を調整するためにアラインメント部材(または機構)を含むことができる。例示的実施形態によると、係止部材50は、図17に示すようなキャビティ53に設けられた半円形エンボスとして構成されかつアンダーカット断面に割り込むことのできる、アラインメント部材54を含む。インフレータ21のアラインメント部材21bは、図4に示すように、インフレータ21のフランジ21aにおける陥凹部分として構成される。他の実施形態によると、アラインメント部材54は多角形または任意の適切な形として構成されることができ、それはインフレータの同様に構成された形状と嵌合するように構成されることができる。アラインメント部材54は、係止部材50に対するインフレータ21の反復可能な回転位置(またはアラインメントもしくは配向)を確実にするように構成される。これは、インフレータがエアバッグクッションに対して適切に位置合わせまたは配向することを可能にし、車両におけるクッションの反復可能な展開配置を達成する。インフレータが任意の適切な方法を用いて、係止部材50によって保持されること、およびアラインメント部材が任意の形状を形成することができることを、当業者は理解されたい。
【0068】
係止部材50はさらに、係止部材50を保持部材40に連結するために取り付け部材(または第2連結機構)52を含むことができる。図16および17に示す例示的実施形態によると、取り付け部材52は、係止部材50の外面(外周を形成する)から延びるリング状部分52bとして構成され、それによってリング状部分52bは、保持部材40の取り付け部材42の係合部分を保持するように構成された2つの突出部分52aを含む。
【0069】
図12に示すように、保持部材40の取り付け部材42の突出部42aは、保持部材40および係止部材50を結合するために、係止部材50の取り付け部材52の突出部分52aに係合するように構成される。保持部材40の各突出部42aの戻止めは、係止部材50の係合部分との締まり嵌めを有するように構成されることができるので、保持部材および係止部材の結合中に、戻止めが張り出し部分42aを突出部分52aから離れて変位位置に撓ませる(または変位させる)ことができる。係止部材50が保持部材40に対して完全係合(または結合)位置に移動すると、保持部材40の突出部42aの戻止めは、係止部材50の突出部52aの端部の先を越えて通過し、突出部42aは略自由位置(または撓み前の位置)に戻ることができる。したがって、結合された後、係止部材50の取り付け部材52の突出部52aは、図12に示すように、保持部材40の取り付け部材42の突出部42aを保持する。
【0070】
保持部材40は、溶接工程(例えば音波溶接)によって、1つもしくはそれ以上のファスナを介して、または方法の組合せを介して、係止部材50に連結されることができる。任意の適切な方法を用いて係止部材50を保持部材40に結合することができ、本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことを、当業者は理解されたい。
【0071】
図18および19に示すように、DABモジュール320の例示的実施形態によると、保持部材340は複数の保持部を含むことができる。モジュール320は、複数の開口を持つフランジ321aを有するインフレータ321と、膨張可能なエアバッグクッションを有するクッションパック(図示せず)と、カバー330とを含むことができる。インフレータ321のフランジ321aの開口(またはアパーチャもしくは穴)は、インフレータ321を保持部材340に保持するために、図19に示すようなスタッドまたは従来のファスナ(例えばボルト)342を受容するように構成される。保持部材340は、保持部材と一体的に形成することのできる1つまたはそれ以上のスタッド342を含むように構成されることができ、あるいは保持部材340とは別個に形成され、それに結合(例えば圧入、螺合、スナップイン)されることができる。スタッド342は、ナット343を介して、または任意の適切な方法(例えばかしめ、溶接)を介して、インフレータ321を保持部材に保持するように構成されることができる。
【0072】
本明細書に開示するエアバッグモジュールは、従来のエアバッグモジュールと比較してより少数の構造部材を有するより効率的な設計から質量を低減させることによって、改善された構成のエアバッグモジュールをもたらす。本明細書に開示するエアバッグモジュールはさらに、クッションを他の構成部品に保持するためにファスナまたは他の装置をエアバッグクッションに貫通させなければならない場合には使用されることができない、真空折畳みエアバッグクッションの構成を可能にする。エアバッグクッション(またはクッションパック)、カバー、およびインフレータのための独立した取り付け機構を有する本明細書に開示するエアバッグモジュールは、逐次組立ステップを有する自動組立工程を可能にし、それは柔軟性をもたらし、効率を改善し、コストを低減する。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「およそ」、「約」「実質的に」、および類似の用語は、本開示の主題が関係する分野の通常の熟練者により受け入れられた一般的な語法と調和した広義の意味を有するように意図されている。これらの用語は、提示する厳密な数字範囲にこれらの特徴の請求範囲を制限することなく、記載かつ請求する特定の特徴の説明を可能にするように意図されていることを、この開示を精査する当業者は理解されたい。したがってこれらの用語は、記載かつ請求する主題のささいなまたは重要でない変形または変更が、添付する特許請求の範囲に記載する発明の範囲内とみなされることを示していると解釈すべきである。
【0074】
用語「例示的」とは、種々の実施形態を記載するために本明細書で使用する場合、そのような実施形態が可能な実施例、代表例、および/または可能な実施形態の例証であることを示すように意図されており、(かつそのような用語は、そのような実施形態が必然的に異常なまたは誇張された実施例であることを暗示するように意図されたものではない)ことに留意されたい。
【0075】
用語「結合」、「連結」等は本明細書で使用する場合、2つの部材を直接または間接的に相互に接合することを意味する。そのような接合は静的(例えば永久的)または可動(例えば取外し可能または解放可能)とすることができる。そのような接合は、2つの部材もしくは2つの部材および任意の追加的中間部材が単一体として互いに一体的に形成されることにより、または2つの部材もしくは2つの部材および任意の追加的中間部材が互いに取り付けられることにより、達成することができる。
【0076】
本明細書における要素の位置の言及(例えば「頂部」、「底部」、「上」、「下」等)は、単に図中の種々の要素の位置付けを記載するために使用するにすぎない。種々の要素の位置付けは他の例示的実施形態では異なるかもしれず、かつそのような変形は本発明の開示によって包含されるように意図されていることに留意されたい。
【0077】
種々の例示的実施形態に示すエアバッグモジュールの構成および配列は、単なる例示であることに留意することが重要である。この開示では少数の実施例だけを詳細に説明したが、この開示を精査する当業者は、本明細書に記載した主題の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの変形(例えば種々の要素の大きさ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、取り付け構成、材料の使用、色、位置付け等の変形)が可能であることを容易に理解されるであろう。例えば一体的に形成されるとして示された要素は、複数の部品または要素から構成することができ、要素の位置は逆にするか、あるいはその他の方法で変化させることができ、個別要素の性質もしくは個数または位置を変更または変形することができる。工程または方法ステップの順序またはシーケンスは、代替的実施形態に従って変更または並べ直すことができる。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の例示的実施形態の設計、作動条件、および構成において他の置換、変形、変化、および省略も行われることができる。
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本願は、2010年1月8日出願の米国仮特許出願第61/282,254号の優先権および恩典を主張する。前述の仮特許出願はその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般的に、自動車用のエアバッグモジュールの分野に関する。さらに詳しくは、この開示は、改善された構成を有するエアバッグモジュールおよび組立の方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
[発明が解決しようとする課題]
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示する実施形態によると、車両の乗員に拘束を提供するための車両で使用するためのエアバッグモジュールが提供される。モジュールは、車両の乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを有するクッションパックを含む。モジュールはまた、エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータ(inflator)と、クッションパックと係合し、それによってエアバッグクッションの展開中にクッションパックの一部分をエアバッグモジュールに保持する環状保持部材とをも含む。環状係止部材がインフレータおよび保持部材に接続される。係止部材は、エアバッグの展開中のインフレータの係止部材に対する実質的な変位を防止するように構成される。
【0005】
保持部材は、クッションパック内に位置する構造部材と係合する内向き突出タブを含むことができる。保持部材および係止部材は両方とも、2つの部分を連結することによって形成されることができる。保持部材およびクッションパックは、保持部材に対するクッションパックの適切なアラインメントを確実にするように係合する、対応するアラインメント部材または機構を含むことができる。エアバッグモジュールはまた、保持部材に接続されるカバーをも含むことができる。カバーは、エアバッグクッションがカバーを介して車両の室内に展開することができるように、易変形性または易破断性であることができる。保持部材は、車両の構造部材に接続される取り付け部材を含み、それによって車両にエアバッグモジュールを接続するために、車両の適切な場所のエアバックモジュールを取り付け部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】自動車の例示的実施形態の斜視図である。
【0007】
【図2】展開または膨張して乗員に拘束を提供する状態を示す運転者側エアバッグの部分的な車両断面図である。
【0008】
【図3】運転者側エアバッグモジュールの実施形態の斜視図である。
【0009】
【図4】図3の運転者側エアバッグモジュールの分解組立斜視図である。
【0010】
【図5】図3の運転者側エアバッグモジュールの部分分解組立斜視図である。
【0011】
【図6】クッションパックの保持溝と係合した保持部材のタブを示す、図3の運転者側エアバッグモジュールの断面図である。
【0012】
【図7A】運転者側エアバッグモジュール、例えば図3の運転者側エアバッグモジュール用のエアバッグ・クッション・パックの例示的実施形態である。
【0013】
【図7B】図7Aのエアバッグ・クッション・パックの断面図である。
【0014】
【図8A】運転者側エアバッグモジュール、例えば図3の運転者側エアバッグモジュール用の保持部材の一部分の例示的実施形態の斜視図である。
【0015】
【図8B】運転者側エアバッグモジュール、例えば図3の運転者側エアバッグモジュール用の保持部材の別の部分の例示的実施形態の斜視図である。
【0016】
【図8C】図8Aの第2保持部に結合された図8Bの第1保持部の斜視図である。
【0017】
【図9】保持部材の別の例示的実施形態の斜視図である。
【0018】
【図10】保持部材のタブとベースとの間に実質的に固定保持されているクッションリングを示す斜視図である。
【0019】
【図11】保持部材とクッションパックとの間に予め定められたアラインメントをもたらすためのアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0020】
【図12】係止部材を保持部材に結合するための取り付け部材の例示的実施形態の部分斜視図である。
【0021】
【図13A】保持部材と係止部材との間に予め定められたアラインメントをもたらすための保持部材におけるアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0022】
【図13B】保持部材と係止部材との間に予め定められたアラインメントをもたらすための係止部材におけるアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0023】
【図14】カバーの例示的実施形態の斜視図である。
【0024】
【図15】係止部材の例示的実施形態の2つの係止位置間に位置するインフレータの例示的実施形態の分解組立斜視図である。
【0025】
【図16】係止部材に対するインフレータの回転の向きを調整するためのアラインメント機構の例示的実施形態を示す斜視図である。
【0026】
【図17】インフレータおよび係止部材を位置合わせするためのアライメント機構を有する係止部材の一部分の例示的実施形態の斜視図である。
【0027】
【図18】保持部材の斜視図である。
【0028】
【図19】運転者側エアバッグモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図を一般的に参照しながら、本明細書では、構成部品の個数、質量、およびパッケージングボリュームを低減するように改善された構成を有するエアバッグモジュールを開示する。本明細書に開示するエアバッグモジュールは、逐次構築工程を用いてエアバッグモジュールを組み立てることを可能にする、独立取り付けまたは結合機構を有することによって改善された組立工程を可能にする。これは組立工程の柔軟性を高め、かつ自動製造工程の簡素化を可能にする。
【0030】
エアバッグモジュールは典型的には、車両の動的衝撃事象中、例えば正面衝突または横転事象中に、乗員の負傷を防止するために車両に配置される。典型的には、エアバッグモジュールは車両内に位置するセンサに接続され、センサを介して受け取りかつモニタされる情報に基づいてエアバッグの展開を開始する。エアバッグモジュールはしばしば、少なくとも1つの膨張可能なエアバッグクッションを含み、エアバッグクッションは典型的には、インフレータによって生成される高圧ガスから展開かつ膨張することができる。インフレータは炸薬(例えば火工装置)を含むことができ、あるいは膨張ガスを急激に発生させるための他の何らかの装置を含むことができ、膨張ガスはエアバッグクッション内に高い体積流量で流入し、エアバッグクッションの内部チャンバ圧力を増大させることによってクッションを拡張させる。助手席用エアバッグは典型的には、車両のダッシュボードまたは計器盤内に収納されかつそこから展開され、典型的にはその所要パッケージング空間を最小化するために、折畳みおよびローリング工程を介してエアバッグをコンパクトにするように梱包される。エアバッグのパッケージングボリュームは、真空折畳み工程を使用することによって最小化されることができ、真空折畳み工程は気密封止性を有し大気圧よりかなり低い圧力を有するチャンバを使用することができる。例えば真空折畳み工程は、エアバッグクッションを包囲する封止部材(例えばプラスチックバッグ)を含むことができ、次いで封止部材は圧力を大気圧に対して低減され、封止部材および内部エアバッグクッションによって占有される体積が低減される。次いで封止部材は気密封止され、エアバッグモジュールの組立中および車両内への設置中に小さい体積を維持することができる。
【0031】
車両の動的衝撃事象中に、助手席側エアバッグ(PAB)モジュールは、ダッシュボードの上部(すなわちグローブボックスの上)から、乗員の頭および胴体を保護するように略後向きおよび上向きの方向に展開することができる。PABモジュールはまた、ダッシュボードの後向き部分から略後向きの方向に、乗員に向かって展開することもできる。運転者側エアバッグ(DAB)モジュールは典型的にはステアリングコラム内に収納され、典型的にはその所要パッケージング空間を最小化するために、折畳みおよびローリング工程を介してエアバッグをコンパクトにするように梱包される。車両の動的衝撃事象中に、運転者エアバッグは、運転者の頭および胴体を保護するように後向きの方向に、運転者に向かって展開することができる。
【0032】
図1に示すように、自動車10は、運転者を拘束することによって運転者保護を達成するようにDABモジュール20を含むことができる。自動車10はさらに、追加的乗員の保護を達成するように、PABモジュールまたは他のエアバッグモジュールを含むことができる。車両10は典型的なセダンとして例示されているが、本明細書に開示するエアバッグモジュールは、任意のタイプの乗用車内のみならず、着座した乗員に対し正面エアバッグの形で乗員保護をもたらす他の移動車両(例えば軍用車両、大量輸送車両)内でも使用することができる。本明細書に開示するエアバッグモジュールは、エアバッグクッションの展開をトリガする車両の動的事象中に、任意の車両内で任意の乗員に改善された保護を提供するために使用されることができる。
【0033】
図2に示す通り、DABモジュール20は、膨張可能なエアバッグクッション23を含むことができ、エアバッグクッション23は乗員13とステアリングコラム12との間に設けられた展開または膨張位置に示されている。DABモジュール20の膨張可能なエアバッグクッション23は、車両10のエアバッグ展開事象中に運転者が例えば車両10のステアリングコラム12および/または計器盤11に接触することなどを防止することによって、乗員(例えば運転者)に保護を提供する。典型的には、DABモジュール20の展開は車両の動的衝撃によってトリガされ、それによって衝撃センサ(図示せず)は、エアバッグモジュール20のインフレータ21に連絡する車両制御モジュール(図示せず)または他の装置に連絡して膨張ガスの発生を開始させ、次いでガスは膨張可能なエアバッグクッション23内に送り込まれる。膨張ガスがDABモジュールのエアバッグクッション内に送り込まれると、エアバッグクッション23の内部チャンバ圧力が増大して、エアバッグクッションがステアリングコラム(または他の収納部材)およびエアバッグモジュール20を突破することが可能になり、それによってエアバッグクッション23は実質的に外向きに(すなわち車両の長手軸または前後軸に対し略直角に、または車両10の前後方向に対し斜角を成して)かつ後向きに、乗員13に向かって展開する。エアバッグモジュール20は、エアバッグクッション23を介して乗員を拘束し、かつ減速する乗員の変位を制限して、乗員13の運動量および運動エネルギを軽減することによって、乗員の安全性を改善する。展開されたエアバッグクッション23は、乗員13が減速されることから生じるエネルギ(例えば運動エネルギ)および力を吸収する。エアバッグモジュール20のエアバッグクッション23はさらに、略剛性の車両部品、例えばステアリングコラム12などによる乗員13の衝撃を低減または排除することによって、乗員の負傷を低減する。
【0034】
図3〜7BはDABモジュール20を開示する。モジュール20はインフレータ21、クッションパック22、カバー30、保持部材(またはリング)40、および係止部材(またはリング)50を含む。図3は組み立てられたDABモジュール20を示し、それによって保持部材40はクッションパック22を保持しかつ係止部材50に連結され、係止部材はクッションパック22に隣接してインフレータ21を保持する。カバー30はクッションパック22上に設けられ、保持部材40に係合する。
【0035】
クッションパック22は膨張可能なエアバッグクッション23を含み、かつ構造部材(例えばクッションリング)24を含むことができる。膨張可能なエアバッグ23は構造部材に結合されることができ、それによって構造部材24に隣接してクッションに保持溝26が形成される。保持溝26は、保持部材40によるクッションパック22の保持が可能になるように構成される。折畳み、ローリング、または折畳みおよびローリングの組合せを介して、エアバッグクッション23は、パッケージングボリュームの低減が可能となるように構成されることができるが、必ずしも真空封止する必要はない。図7Aに示すように、クッションパック22は膨張可能なエアバッグクッション23、クッション23に隣接して設けられた構造部材(またはクッションリング)24を含み、またエアバッグクッション23をカバーする封止部材25をも含むことができる。
【0036】
エアバッグクッション23は任意の適切な材料(例えばナイロン編織物)から作られることができ、任意の適切な形状であることができ、この形状は特定の顧客の要求を満たすように調整されてもよい。エアバッグクッション23は、膨張ガスがクッションの多孔性を介して逃散するのを防止するように、シーラント(例えばシリコーン)で被覆されることができる。構造部材24はエアバッグクッション23と結合されて、クッションパック22に(例えばエアバッグクッション23の展開中に)強度をもたらし、それによって構造部材24およびエアバッグクッション23は保持溝26を形成する。保持溝26は、保持部材40によるクッションパック22の保持を助けるように、クッションパック22のアンダーカット部として構成されることができる。構造部材24は、鋼、複合材(例えばガラス強化ナイロン、ガラス強化ポリプロピレン)、または実質的に剛性であってエアバッグの展開中に生じる大きい力に耐えるのに必要な強度をもたらす任意の適切な材料から作られることができる。
【0037】
封止部材25は、結合された膨張可能なエアバッグクッション23を包囲しかつ大気圧に対して相対的に低い圧力を有する真空密封チャンバを形成するように構成された、薄い可撓性の気密または不透水性材料(例えばポリマ)であることができる。封止部材25は、クッションパック22のパッケージングボリュームを任意選択的に低減させるように低圧の気密封止を形成することができる。封止部材25は、展開するエアバッグクッション23が妨害されずまたは遅滞無く封止部材25を突破することができるように構成される。
【0038】
図8A〜8Cに示すように、環状の保持部材40は2つの部分から組み立てられることができる。第1保持部(またはリング)40a(図8Bに示す)は、環状保持部材40の実質的半分を形成することができ、第2保持部(またはリング)40b(図8Aに示す)は、環状保持部材40の実質的に残りの半分を形成することができる。代替的に、保持部材は3つ以上の部分から形成されることができる。複数の部分の各々は、実質的に同一または異なる周長(または部分)を有することができる。したがって、複数の部分の各々は、保持部材の異なる量を形成することができる。
【0039】
保持部材40を形成する第1および第2保持部40a、40bは、複合材(例えばガラス強化ナイロン、ガラス強化ポリプロピレン)、またはエアバッグの展開中に誘発される大きい力に耐える強度を有する任意の適切な材料から作成されることができ、かつ射出成形または任意の適切な工程を介して形成されることができる。第1保持部40aは、少なくとも1つのコネクタ(または第1結合機構)41を用いて、第2保持部40bに連結されることができる。保持部材40の部分40a、40bは連結後、クッションパック22を保持部材40に対して適位置に保持し、保持部材40に対するクッションパック22の長手方向の実質的変位を防止することができる。
【0040】
DABモジュール20の保持部材40は、第1保持部40aの第1端を第2保持部40bの第1端に結合するためのコネクタ41、および第1保持部40aの第2端を第2保持部40bの第2端に結合するためのコネクタ141を含むことができる。DABモジュール20はさらに、保持部材40を係止部材50に結合するように構成された取り付け部材を含むことができる。保持部材40もまた、係止部材50の取り付け部材(第2結合機構)52に係合するように構成された取り付け部材(または第2結合機構)42を含むことができ、それによって保持部材40を係止部材50に結合する。本明細書で述べる通り、係止部材50は、係止部材50の一部を結合するためのコネクタを含むことができ、それは保持部材40のコネクタと同様にまたは異なるように構成することができる。
【0041】
保持部材40のコネクタ41は、第2保持部40bの相手機構41bと係合するように構成された第2保持部40aの機構41aを含むことができる。例えば、第1保持部40aの機構41aは、第2保持部40bの機構41bと係合するように構成された円弧状部材として構成することができ、それによって機構41bは、図8Cに示すような円弧状空隙として構成される。
【0042】
図8Cに示す通り、保持部材40のコネクタ141は、第1保持部40aの機構141aと係合するように構成された第2保持部40bの機構141bを含むことができる。第2保持部40bの機構141bは、第1保持部40aの機構141aと係合するように構成された突出部の片側の端部付近に戻止め(detent)を持つ突出部を有するフック(またはタブ)であり、よって特徴141aはフック機構141bを受容するように構成された開口である。開口機構141aはさらに、フック機構141bの戻止めと係合するように構成された戻止めまたは突起を含むことができ、それによって第1および第2保持部40a、40bがコネクタ141を介して係止される。
【0043】
コネクタ141またはコネクタ141の一部分は可撓性または応従性とすることができる。例えばフック機構141bは可撓性(flexible)または応従性(compliant)とすることができ、フック機構141bの戻止めが開口機構141aの戻止めを通過するときに、フックは撓むことが可能になり、フック機構141bの戻止めが開口機構141aの戻止めを超えて通過したときに、フックは撓む前の構成に戻ることが可能になる。フック機構141bおよび開口機構141aの戻止めの先端面は、横方向の力でフック機構141bを屈曲させまたは撓ませることによって2つの戻止め間の係合が容易になるように、(係合角度に対する)ランプまたは傾斜面として構成することができる。
【0044】
コネクタ141は、第1および第2保持部40a、40bを共に係止するように構成されることができる。例えば、フック機構141bおよび開口機構141aの戻止めは、撓み(または屈曲)の方向に対し略直角方向に相互に係合する表面を有することによって、分離に抵抗するように構成されることができる。フック機構141bは張力にさらされ、戻止めは曲げ力をほとんどまたは全く受けずに剪断力を受ける一方、開口機構141aの戻止めは剪断力を受けることができる。
【0045】
図9に示すさらに別の例示的実施形態によると、第1保持部240aは、複数のコネクタ241を介して第2保持部240bに接続され、それによって保持部240が形成される。コネクタ241は、相手保持部の開口(または空隙)機構241aに係合または充填するように構成された、可撓性タブ機構241bを1つの保持部に含む。タブ機構241bは、開口機構241aと係止嵌合するように構成されたスロットまたは空隙の両側に戻止めを含む。
【0046】
タブ機構241bは開口機構241aとの締まり嵌めを有することができ、よって開口機構241a内へのタブ機構241bの挿入は、戻止めをスロット内に変位させることによってタブ機構241bを圧縮させて、タブが開口機構241aの開口内に移動することを可能にする。開口機構241aは、可撓性タブ機構241bの戻止めが実質的に非変位形状に戻ることを可能にするために、開口と比較して大きい(すなわち断面が大きい)キャビティを含む。こうしてタブ機構241bを開口機構241aによって保持されることができる。
【0047】
加えて、保持部の各端にコネクタ機構を有することができるので、保持部の両端が結合されることができる。他の例示的実施形態によると、保持部材の保持部は、溶接(例えば音波溶接)、接着剤、または方法の任意の組合せによって結合されることができる。保持部材を結合するための任意の適切な方法を使用されることができ、本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことを、当業者は理解されたい。
【0048】
保持部材40はさらに、クッションパック22の相手アラインメント部材と係合するアラインメント部材(例えばエンボス、突起、鍵穴)を含むことができ、それは保持部材40とクッションパック22との間の回転の向きまたは関係(すなわち長手軸29を中心とする回転)を調整する。アラインメント部材44(例えばエンボス、突起、鍵穴)は、クッションパック22の構造部材24の対応する位置合わせ用空隙または凹所24a(図4に示す)と係合し、それが保持部材40と構造部材24(およびしたがってクッションパック22)との間の回転関係を調整する。図9および11に示す通り、保持部材40のアラインメント部材44は半円形エンボスとして構成されることができ、それはクッションパック22の構造部材24の相手半円形位置合わせ用空隙と係合する。こうして、保持部材40とクッションパック22との間の回転アラインメント(長手軸29を中心とする)が決定される。
【0049】
エアバッグクッション23は、保持部材40に対するDABモジュール20の長手軸29を中心とするクッション23の回転を防止するように、構造部材24に結合されることができる。こうして、DABモジュール20は、DABモジュール20に対するエアバッグクッション23の配置またはアラインメントのための反復可能かつ信頼できる方法を有し、DABモジュールは各車両に同じように設置されることができる。この反復可能なアラインメントは、乗員および車両環境に対する予め定められた展開位置で最適な乗員保護がもたらされるようにエアバッグクッションの設計(例えば形状、テザー位置、ベント位置)を構成されることができるので、最適な乗員保護をもたらす反復可能な展開エアバッグクッション位置を確実にする。
【0050】
保持部材40を形成する第1および第2保持部40a、40bは半円環状の形状であることができ、クッションパック22の構造部材24を支持するように構成されたベース45を含む。保持部40a、40bはさらに、ベース45から略垂直に延びかつ間隙47aによって分離される内壁46aおよび外壁46bを含み、間隙はカバー30の間隙47a内へのアクセスを可能にするように構成される。保持部40a、40bの内壁の内面から保持部材40の中心に向かって半径方向に延びるのは、複数の保持部材(または突出タブ)43である。タブ43は、ベース45と略平行でありかつベースから偏位した保持面43aを含み、それによってベース45と保持面43aとの間に第2間隙47bが形成される。
【0051】
第2間隙47bは、クッションパック22の構造部材24を受容するように構成される。保持部材40の保持部40a、40bを結合すると、構造部材24は保持部材40のタブ43とベース45との間に保持され、保持部材40に対する構造部材24(およびしたがって同様にクッションパック22)の長手軸29の長さに沿った実質的な移動を防止する。こうして、構造部材24は図10に示すように、保持部材40のタブ43によって保持されることができる。
【0052】
保持部材40のタブ43は、強度をもたらし、かつエアバッグの展開中に拡張するエアバッグクッションからクッションリングによって誘発される力に耐えるように、略剛性に構成される。構造部材24および/またはクッションパック22は、保持部40a、40bを構造部材24および/またはクッションパック22の周りで一つに合わせることによって、保持部材40と共に組み立てられることができるので、保持部材が一体部品でありかつ構造部材が保持部材および構造部材を共に(長手)軸方向に押すことによって結合される場合のように、タブ43も構造部材24も、相互に対して変位する(または撓む)ように構成される必要がない。タブ43の大きさおよび数量は様々な負荷状況に適合されるように調整することができ、本明細書に開示する実施形態に限定するつもりはないことに留意されたい。
【0053】
保持部材40の保持部40a、40bはさらに、保持部材40を係止部材50に連結するように構成された取り付け部材(または第2結合機構)42を含むことができる。図12に示す例示的実施形態によると、取り付け部材42は、保持部材40のベース45の底面45aから延びる2つの突出部42aを含み、それによって各突出部42aはベース45から最も遠い端部付近にランプ(または傾斜)形戻止め機構を有する。取り付け部材42の各突出部42aは、係止部材50の取り付け部材52の対応する相手部分と係合するように柔軟に構成されることができる。
【0054】
係止部材50に配置される取り付け部材52を保持部材40の取り付け部材42の相手部分に接触させると、各突出部42aと係止部材50の対応する相手取り付け部材52との間に締まり嵌め(interference fit)が生じ、それは各突出部42aを弾性的に変位させる(蓄積付勢エネルギを形成する)ので、係止部材50の取り付け部材52の相手部分が各突出部42aの戻止めを通過することができる。各突出部42aは、蓄積付勢エネルギが突出部42aをそれらの自由位置に戻すので、突出部42a(例えば戻止め)を取り付け部材52の相手部分に係止するように、ベース45の底面45aと突出部42aの戻止めとの間に設けられたアンダーカット(または空隙)を有することができる。こうして、係止部材50が保持部材40との干渉係合の先まで変位される(すなわち保持部材40の方に近づいた)ときに、係止部材50の取り付け部材52は、取り付け部材42のアンダーカット部と係合し、蓄積付勢エネルギのため戻止めが自由位置(すなわち変位前の位置)に戻ることを可能にする。
【0055】
保持部材40の取り付け部材42は、係止部材50の取り付け部材52に連結し、保持部材40を係止部材50に結合する。エアバッグモジュール20は、任意の数のそのような連結を含むように構成されることができ、それはエアバッグモジュールがエアバッグの展開中に受ける荷重に適合するように調整されることができる。例えば、エアバッグモジュール20は、図13Bに示す4つのそのような連結を含む。
【0056】
保持部材と係止部材との間の連結は、係止部材の相手取り付け部材と係合する、保持部材のベースの底面から延びる1つの突出部を含む取り付け部材によって形成されることができる。他の例示的実施形態によると、取り付け部材は任意のスナップ機構構成、または保持部材を係止部材に結合するための任意の方法であることができる。取り付け部材は任意の従来のファスナ(例えばボルト、リベット)であることができ、化学的方法(例えば接着剤、エポキシ)であることができ、あるいは任意の溶接(例えば音波溶接)であることができる。例えば図18に示すように、取り付け部材は、保持部材340と一体的に形成されかつベース345の底面345aからベース345から遠ざかる方向に略垂直に延びるスタッド(stud)342として構成されることができる。スタッド342は別個に形成され、次いで保持部材340に結合されることができる。スタッド342は保持部材に圧入されるか、鍵穴嵌合されるか、あるいは締付力によって保持されることができ、取り付け部材(例えばナット)352と係合するように構成されることができる。取り付け部材352は別個に形成され、次いで連結されるか、あるいは係止部材350および/またはインフレータ321と一体的に形成されることができる。
【0057】
保持部材340および/またはDABモジュール320は、モジュールを車両に結合するために装着(または取り付け部材もしくは結合)機構または部材を含むことができる。図18および19に示す例示的実施形態によると、装着部材380は保持部材340に一体的に形成される。装着部材380は、任意の適切または従来の形状を取ることができる。他の実施形態によると、装着部材は別個に形成され、次いで保持部材に結合されることができる。装着部材は、任意の適切な機構(例えば従来のファスナ、スナップ)を受容するように構成することができ、あるいは車両の受容装置に係合するように構成されることができる。
【0058】
図13Aおよび13Bに示すように、保持部材40は、係止部材50の相手アラインメント部材(または機構)59に係合することによって、保持部材40と係止部材50との間の回転の向きまたは関係を調整するように構成されたアラインメント(または配向)部材(または機構)49を含むことができる。保持部材のアラインメント部材は、係止部材の相補的形状の相手部材と係合するように構成されたエンボス、突起、鍵穴機構、または、任意の適切な機構であることができ、その逆も同様である(すなわち係止部材は保持部材の相手部材と係合するエンボスを含むことができる)。例示的実施形態によると、保持部材40は、ベース45の底面45aから延びる突出部分として構成されたアラインメント部材49を含み、係止部材50は、保持部材40の突出アラインメント部材49の少なくとも一部分を取り囲むように構成された相手アラインメント部材59を含む。別の例示的実施形態によると、係止部材は、係止部材の突出部分を保持するように保持部材のベースのアパーチャ(または相手機構)内に延びる突出部分を含む。こうして、アラインメント部材49、59は、結合されたときに保持部材40に対する係止部材50の適切な回転アラインメント(または位置もしくは向き)を確実にする。
【0059】
図14を参照すると、カバー30の例示的実施形態が示されている。カバー30は、ポリマまたは複合材から作られ、クッションパックを保護するように構成されることができる。例示的実施形態によると、カバー30は天板部材31および、天板部材31から略垂直に延びる環状壁32を含み、それによってエアバッグモジュール20のクッションパック22を収容するように構成されたキャビティ35を形成する。カバー30の壁32は、カバーを保持部材のようなエアバッグモジュールに連結するための少なくとも1つの部材(または係合部材または係合機構)33を含む。係合部材33は、保持部材40の相手フック部材48を受容するように構成された開口またはアパーチャ34を有する、壁32からの略矩形延長部であることができる。
【0060】
カバー30はさらに、保持部材40に対するカバー30の適切なアラインメント(または配向)を確実にするために保持部材40に係合するように構成されたアラインメント部材を含むことができる。図14に示す例示的実施形態によると、カバーのアラインメント部材は、第2開口に対して独特の大きさ(例えば幅)を有する第1開口34aを含み、それによって第1開口34aの位置は第2開口34bに対して独特に構成され、保持部材に対するカバーの単一の位置だけが許容される。他の実施形態によると、係合部材33および/または開口34は、カバー30と保持部材40との間の適切なアラインメントを確実にするように構成されることができる。カバーはさらに、展開するエアバッグクッションが妨害されずまたは遅滞無くカバーを突破できるように、断裂するように構成することのできるテアシームを含むことができる。カバーはしばしば、展開されるエアバッグクッションの構成に合わせてカバーの断裂を調整するように独特にまたは非対称に構成された、2つ以上のテアシームを含むことができる。カバーはさらに、エアバッグモジュールの製造者を識別するために商標のようなシンボル(またはエンブレム)を含むことができる。したがって、カバー30のアラインメント部材は、テアシームおよび/または機能のためのシンボルおよび/または美的目的の適切なアラインメントを確実にする。
【0061】
カバー30の壁32は、保持部材40の間隙47aと係合するように構成されることができる。保持部材40のフック部材48は、内壁46aまたは外壁46bから延びるように構成されることができる。フック部材48は、L字形またはJ字形のような任意の適切な形状を取ることができる。例示的実施形態によると、保持部材40は、L字形フック部材48のベースが内壁46aに向かって(しかしその手前まで)延びるように、外壁46bから延びる複数のL字形フック部材48を含む。L字形の各フック部材48は、カバー30の1つの対応する開口34と係合して、カバー30を保持部材40に結合させるように構成される。
【0062】
図15〜17は、インフレータ21を保持するように構成された環状係止部材50を開示する。係止部材50は、環状部材の略半分を形成する第1係止部分50a、および環状部材の残りの略半分を形成する第2係止部分50bを含む。係止部材50は2つまたはそれ以上の部分から形成されることができ、部分は様々な周長に構成され、したがって係止部材50の様々な量を形成することができる。係止部分50a、50bは複合材(例えばガラス強化ナイロン、ガラス強化ポリプロピレン)、またはエアバッグの展開中に誘発される大きい力に耐える強度を有する任意の適切な材料から作られることができ、射出成形または任意の適切な工程を介して作成されることができる。
【0063】
係止部分は、コネクタまたは他の機構を介して他の係止部分に連結するように構成されることができる。例示的実施形態によると、第1係止部分50aは、コネクタ51を用いて第2係止部分50bに連結され、それによって連結後、係止部材50の係止部分50a、50bは、インフレータ21を係止部材50に対して適位置に保持し、係止部材50に対するインフレータの長手方向の実質的変位を防止する。コネクタ51は、エアバッグの展開中に生じる分離力に耐えるように構成されることができる。
【0064】
係止部材50のコネクタ51は、第2係止部分50bの相手機構51bと係合または結合するように構成された第1係止部分50aの機構51aを含むことができる。機構51aは、他の係止部分における同様の形状の空隙機構に係合または嵌合するように構成されたフック形部材として構成されることができる。フック機構51aは、別のフック機構51bに連結するように構成されることができ、あるいはフック機構51aを保持するために戻止めを持つキャビティを形成する相手機構51bと係合するように構成されることができる。2つの部材を連結する任意の公知または将来開発される方法を使用して、係止部材の一部を接続することができること、および本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことに留意されたい。
【0065】
コネクタ51の一部分は可撓性または応従性となるように構成されることができ、非応従性部分または別の応従性部分に対して弾性的に撓む(または変位する)ことが可能である。コネクタ51は、可撓性でありかつ他の係合部分の相手機構51bに形成された略固定戻止めとの締まり(または係止)嵌めを有するように構成された、コネクタ51のフック機構51aを含むことができる。可撓性フック機構51aは、別の係止部分の空隙またはスロットと係止係合するように構成されることができる。別の例示的実施形態によると、係止部分50a、50bは溶接(例えば音波溶接)によって結合される。さらに、第1係止部分50aのような係止部分の各端はコネクタ51を含むことができるので、係止部分の両端は第2係止部分0bのような別の係止部分の端部に結合されることができる。係止部材50を結合するための任意の適切な方法が使用されることができ、本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことを、当業者は理解されたい。
【0066】
係止部材50は、係止部材50に対してインフレータを保持する機構を含むように構成されることができる。例示的実施形態によると、係止部材50は、実質的に係止部材50の周長に走る(または延びる)アンダーカット部(undercut portion)(またはキャビティもしくは凹所)53を含む。別の例示的実施形態によると、キャビティ53は、係止部材50の全周未満の長さを有する外周の特定部分に沿って延びる。キャビティ53は、インフレータ21のフランジ21aを受容するように調整された断面形状(例えば矩形、半円形)を有することができる。インフレータ21のフランジ21aが係止部材50のキャビティ53(または保持機構)と係合すると、インフレータは長手方向に(すなわち長手軸29に沿って)係止部材50に略固定されることができる。
【0067】
係止部材50はさらに、係止部材50とインフレータ21との間の回転の向きまたは関係を調整するためにアラインメント部材(または機構)を含むことができる。例示的実施形態によると、係止部材50は、図17に示すようなキャビティ53に設けられた半円形エンボスとして構成されかつアンダーカット断面に割り込むことのできる、アラインメント部材54を含む。インフレータ21のアラインメント部材21bは、図4に示すように、インフレータ21のフランジ21aにおける陥凹部分として構成される。他の実施形態によると、アラインメント部材54は多角形または任意の適切な形として構成されることができ、それはインフレータの同様に構成された形状と嵌合するように構成されることができる。アラインメント部材54は、係止部材50に対するインフレータ21の反復可能な回転位置(またはアラインメントもしくは配向)を確実にするように構成される。これは、インフレータがエアバッグクッションに対して適切に位置合わせまたは配向することを可能にし、車両におけるクッションの反復可能な展開配置を達成する。インフレータが任意の適切な方法を用いて、係止部材50によって保持されること、およびアラインメント部材が任意の形状を形成することができることを、当業者は理解されたい。
【0068】
係止部材50はさらに、係止部材50を保持部材40に連結するために取り付け部材(または第2連結機構)52を含むことができる。図16および17に示す例示的実施形態によると、取り付け部材52は、係止部材50の外面(外周を形成する)から延びるリング状部分52bとして構成され、それによってリング状部分52bは、保持部材40の取り付け部材42の係合部分を保持するように構成された2つの突出部分52aを含む。
【0069】
図12に示すように、保持部材40の取り付け部材42の突出部42aは、保持部材40および係止部材50を結合するために、係止部材50の取り付け部材52の突出部分52aに係合するように構成される。保持部材40の各突出部42aの戻止めは、係止部材50の係合部分との締まり嵌めを有するように構成されることができるので、保持部材および係止部材の結合中に、戻止めが張り出し部分42aを突出部分52aから離れて変位位置に撓ませる(または変位させる)ことができる。係止部材50が保持部材40に対して完全係合(または結合)位置に移動すると、保持部材40の突出部42aの戻止めは、係止部材50の突出部52aの端部の先を越えて通過し、突出部42aは略自由位置(または撓み前の位置)に戻ることができる。したがって、結合された後、係止部材50の取り付け部材52の突出部52aは、図12に示すように、保持部材40の取り付け部材42の突出部42aを保持する。
【0070】
保持部材40は、溶接工程(例えば音波溶接)によって、1つもしくはそれ以上のファスナを介して、または方法の組合せを介して、係止部材50に連結されることができる。任意の適切な方法を用いて係止部材50を保持部材40に結合することができ、本明細書に開示する方法に限定するつもりはないことを、当業者は理解されたい。
【0071】
図18および19に示すように、DABモジュール320の例示的実施形態によると、保持部材340は複数の保持部を含むことができる。モジュール320は、複数の開口を持つフランジ321aを有するインフレータ321と、膨張可能なエアバッグクッションを有するクッションパック(図示せず)と、カバー330とを含むことができる。インフレータ321のフランジ321aの開口(またはアパーチャもしくは穴)は、インフレータ321を保持部材340に保持するために、図19に示すようなスタッドまたは従来のファスナ(例えばボルト)342を受容するように構成される。保持部材340は、保持部材と一体的に形成することのできる1つまたはそれ以上のスタッド342を含むように構成されることができ、あるいは保持部材340とは別個に形成され、それに結合(例えば圧入、螺合、スナップイン)されることができる。スタッド342は、ナット343を介して、または任意の適切な方法(例えばかしめ、溶接)を介して、インフレータ321を保持部材に保持するように構成されることができる。
【0072】
本明細書に開示するエアバッグモジュールは、従来のエアバッグモジュールと比較してより少数の構造部材を有するより効率的な設計から質量を低減させることによって、改善された構成のエアバッグモジュールをもたらす。本明細書に開示するエアバッグモジュールはさらに、クッションを他の構成部品に保持するためにファスナまたは他の装置をエアバッグクッションに貫通させなければならない場合には使用されることができない、真空折畳みエアバッグクッションの構成を可能にする。エアバッグクッション(またはクッションパック)、カバー、およびインフレータのための独立した取り付け機構を有する本明細書に開示するエアバッグモジュールは、逐次組立ステップを有する自動組立工程を可能にし、それは柔軟性をもたらし、効率を改善し、コストを低減する。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「およそ」、「約」「実質的に」、および類似の用語は、本開示の主題が関係する分野の通常の熟練者により受け入れられた一般的な語法と調和した広義の意味を有するように意図されている。これらの用語は、提示する厳密な数字範囲にこれらの特徴の請求範囲を制限することなく、記載かつ請求する特定の特徴の説明を可能にするように意図されていることを、この開示を精査する当業者は理解されたい。したがってこれらの用語は、記載かつ請求する主題のささいなまたは重要でない変形または変更が、添付する特許請求の範囲に記載する発明の範囲内とみなされることを示していると解釈すべきである。
【0074】
用語「例示的」とは、種々の実施形態を記載するために本明細書で使用する場合、そのような実施形態が可能な実施例、代表例、および/または可能な実施形態の例証であることを示すように意図されており、(かつそのような用語は、そのような実施形態が必然的に異常なまたは誇張された実施例であることを暗示するように意図されたものではない)ことに留意されたい。
【0075】
用語「結合」、「連結」等は本明細書で使用する場合、2つの部材を直接または間接的に相互に接合することを意味する。そのような接合は静的(例えば永久的)または可動(例えば取外し可能または解放可能)とすることができる。そのような接合は、2つの部材もしくは2つの部材および任意の追加的中間部材が単一体として互いに一体的に形成されることにより、または2つの部材もしくは2つの部材および任意の追加的中間部材が互いに取り付けられることにより、達成することができる。
【0076】
本明細書における要素の位置の言及(例えば「頂部」、「底部」、「上」、「下」等)は、単に図中の種々の要素の位置付けを記載するために使用するにすぎない。種々の要素の位置付けは他の例示的実施形態では異なるかもしれず、かつそのような変形は本発明の開示によって包含されるように意図されていることに留意されたい。
【0077】
種々の例示的実施形態に示すエアバッグモジュールの構成および配列は、単なる例示であることに留意することが重要である。この開示では少数の実施例だけを詳細に説明したが、この開示を精査する当業者は、本明細書に記載した主題の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの変形(例えば種々の要素の大きさ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、取り付け構成、材料の使用、色、位置付け等の変形)が可能であることを容易に理解されるであろう。例えば一体的に形成されるとして示された要素は、複数の部品または要素から構成することができ、要素の位置は逆にするか、あるいはその他の方法で変化させることができ、個別要素の性質もしくは個数または位置を変更または変形することができる。工程または方法ステップの順序またはシーケンスは、代替的実施形態に従って変更または並べ直すことができる。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の例示的実施形態の設計、作動条件、および構成において他の置換、変形、変化、および省略も行われることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員に拘束を提供するための車両用エアバッグモジュールであって、
前記車両の前記乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを含むクッションパックと、
前記エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
前記クッションパックと係合し、それによって前記エアバッグクッションの展開中に前記クッションパックの一部分を前記エアバッグモジュールに保持する内向き突出タブを含む環状保持部材と、
前記インフレータに連結され、かつ前記エアバッグの展開中に係止部材に対する前記インフレータの実質的な変位を防止するように構成された環状係止部材であって、前記保持部材に連結された環状係止部材と、を備えたエアバッグモジュール。
【請求項2】
前記保持部材が、一つに連結される2つの部分を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項3】
前記保持部材が、前記クッションパックに対する前記保持部材の適切な配置およびアラインメントを確実にするために前記クッションパックに係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項4】
前記係止部材が、コネクタを介して一つに連結される2つの部分を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項5】
前記クッションパックが、前記エアバッグクッションに連結されかつ前記保持部材のタブと係合するように配置される構造部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項6】
前記クッションパックの前記構造部材が、前記保持部材の前記アラインメント部材と係合するように構成された陥凹部分を含む、請求項3に記載のエアバッグモジュール。
【請求項7】
前記保持部材に連結されたカバーをさらに備えた、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項8】
前記カバーが、前記カバーを前記保持部材に固定するために前記保持部材と係合する開口を含む、請求項7に記載のエアバッグモジュール。
【請求項9】
前記カバーが、前記カバーに対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために、前記保持部材と係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項7に記載のエアバッグモジュール。
【請求項10】
前記係止部材が、前記係止部材に対する前記インフレータの適切なアラインメントおよび配向を確実にするために前記インフレータのアラインメント部材と係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項11】
前記保持部材が、前記係止部材に対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために、前記係止部材の第2アラインメント部材と係合するように構成された第2アラインメント部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項12】
車両の乗員に拘束を提供するための車両用エアバッグモジュールであって、
前記車両の前記乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを含むクッションパックと、
前記エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
前記クッションパックに連結され、かつ前記エアバッグクッションが膨張したときに、前記クッションパックの一部分が前記エアバッグモジュールに保持されるように構成された環状保持部材と、
前記インフレータに連結され、かつ前記エアバッグの展開中に係止部材に対する前記インフレータの実質的な変位を防止するように構成された環状係止部材であって、前記保持部材に連結された環状係止部材と、を備えたエアバッグモジュール。
【請求項13】
前記保持部材が、一つに連結される2つの部分を含む、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項14】
前記保持部材が、前記クッションパックに対する前記保持部材の適切な配置およびアラインメントを確実にするために前記クッションパックに係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項15】
前記係止部材が、コネクタを介して一つに連結される2つの部分を含む、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項16】
クッションパックが、前記保持部材の前記アラインメント部材に係合するように構成された陥凹部分を有する構造部材を含む、請求項14に記載のエアバッグモジュール。
【請求項17】
前記保持部材に連結されたカバーをさらに備えた、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項18】
前記カバーが前記カバーを前記保持部材に固定するために前記保持部材と係合する開口を含む、請求項17に記載のエアバッグモジュール。
【請求項19】
車両の乗員に拘束を提供するための車両用エアバッグモジュールであって、
前記車両の前記乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを含むクッションパックと、
前記エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
前記エアバッグクッションの展開中に前記クッションパックを保持するように構成された環状保持部材と、
前記車両の構造部材に連結され、それによって前記エアバッグモジュールを前記車両内の適位置に固定する装着部材と、
前記エアバッグの展開中に前記保持部材に対する前記インフレータの実質的な変位を防止するために前記保持部材に前記インフレータを接続するスタッドと、を備えたエアバッグモジュール。
【請求項20】
前記保持部材が、前記クッションパックと係合しそれによって前記エアバッグクッションの展開中に前記クッションパックの一部分を前記エアバッグモジュールに保持する突出タブを含む、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項21】
前記装着部材が前記保持部材と一体的に形成される、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項22】
前記スタッドが前記保持部材と一体的に形成される、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項23】
前記保持部材が、前記クッションパックに対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために前記クッションパックに係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項24】
前記保持部材が、前記インフレータに対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために前記インフレータに係合するように構成された第2アラインメント部材を含む、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項1】
車両の乗員に拘束を提供するための車両用エアバッグモジュールであって、
前記車両の前記乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを含むクッションパックと、
前記エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
前記クッションパックと係合し、それによって前記エアバッグクッションの展開中に前記クッションパックの一部分を前記エアバッグモジュールに保持する内向き突出タブを含む環状保持部材と、
前記インフレータに連結され、かつ前記エアバッグの展開中に係止部材に対する前記インフレータの実質的な変位を防止するように構成された環状係止部材であって、前記保持部材に連結された環状係止部材と、を備えたエアバッグモジュール。
【請求項2】
前記保持部材が、一つに連結される2つの部分を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項3】
前記保持部材が、前記クッションパックに対する前記保持部材の適切な配置およびアラインメントを確実にするために前記クッションパックに係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項4】
前記係止部材が、コネクタを介して一つに連結される2つの部分を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項5】
前記クッションパックが、前記エアバッグクッションに連結されかつ前記保持部材のタブと係合するように配置される構造部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項6】
前記クッションパックの前記構造部材が、前記保持部材の前記アラインメント部材と係合するように構成された陥凹部分を含む、請求項3に記載のエアバッグモジュール。
【請求項7】
前記保持部材に連結されたカバーをさらに備えた、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項8】
前記カバーが、前記カバーを前記保持部材に固定するために前記保持部材と係合する開口を含む、請求項7に記載のエアバッグモジュール。
【請求項9】
前記カバーが、前記カバーに対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために、前記保持部材と係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項7に記載のエアバッグモジュール。
【請求項10】
前記係止部材が、前記係止部材に対する前記インフレータの適切なアラインメントおよび配向を確実にするために前記インフレータのアラインメント部材と係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項11】
前記保持部材が、前記係止部材に対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために、前記係止部材の第2アラインメント部材と係合するように構成された第2アラインメント部材を含む、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項12】
車両の乗員に拘束を提供するための車両用エアバッグモジュールであって、
前記車両の前記乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを含むクッションパックと、
前記エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
前記クッションパックに連結され、かつ前記エアバッグクッションが膨張したときに、前記クッションパックの一部分が前記エアバッグモジュールに保持されるように構成された環状保持部材と、
前記インフレータに連結され、かつ前記エアバッグの展開中に係止部材に対する前記インフレータの実質的な変位を防止するように構成された環状係止部材であって、前記保持部材に連結された環状係止部材と、を備えたエアバッグモジュール。
【請求項13】
前記保持部材が、一つに連結される2つの部分を含む、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項14】
前記保持部材が、前記クッションパックに対する前記保持部材の適切な配置およびアラインメントを確実にするために前記クッションパックに係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項15】
前記係止部材が、コネクタを介して一つに連結される2つの部分を含む、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項16】
クッションパックが、前記保持部材の前記アラインメント部材に係合するように構成された陥凹部分を有する構造部材を含む、請求項14に記載のエアバッグモジュール。
【請求項17】
前記保持部材に連結されたカバーをさらに備えた、請求項12に記載のエアバッグモジュール。
【請求項18】
前記カバーが前記カバーを前記保持部材に固定するために前記保持部材と係合する開口を含む、請求項17に記載のエアバッグモジュール。
【請求項19】
車両の乗員に拘束を提供するための車両用エアバッグモジュールであって、
前記車両の前記乗員を拘束するために膨張するように構成された膨張可能なエアバッグクッションを含むクッションパックと、
前記エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
前記エアバッグクッションの展開中に前記クッションパックを保持するように構成された環状保持部材と、
前記車両の構造部材に連結され、それによって前記エアバッグモジュールを前記車両内の適位置に固定する装着部材と、
前記エアバッグの展開中に前記保持部材に対する前記インフレータの実質的な変位を防止するために前記保持部材に前記インフレータを接続するスタッドと、を備えたエアバッグモジュール。
【請求項20】
前記保持部材が、前記クッションパックと係合しそれによって前記エアバッグクッションの展開中に前記クッションパックの一部分を前記エアバッグモジュールに保持する突出タブを含む、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項21】
前記装着部材が前記保持部材と一体的に形成される、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項22】
前記スタッドが前記保持部材と一体的に形成される、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項23】
前記保持部材が、前記クッションパックに対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために前記クッションパックに係合するように構成されたアラインメント部材を含む、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【請求項24】
前記保持部材が、前記インフレータに対する前記保持部材の適切なアラインメントおよび配向を確実にするために前記インフレータに係合するように構成された第2アラインメント部材を含む、請求項19に記載のエアバッグモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−140301(P2011−140301A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−2012(P2011−2012)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(506166778)ティーケー ホールディングス,インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2012(P2011−2012)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(506166778)ティーケー ホールディングス,インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】
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