説明

エアバッグ装置

【課題】ニーエアバッグ装置のエアバッグが近接した乗員に加える圧力を抑制する。
【解決手段】自動車のパネル5に、乗員Aの下肢部に対向してエアバッグ装置2を設ける。通常時は、第1のテアライン31を破断して、エアバッグ1は乗員Aに対向して展開する。乗員Aがエアバッグ装置2に近接して位置している場合は、第1のテアライン31を破断して展開したエアバッグ1の展開が阻害されると、第2のテアライン32が破断して、エアバッグ1を下方Dに展開させ、乗員に加わる圧力を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の乗員の下肢部に対向して展開するエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の座席に着座した乗員の下肢部などに対向してエアバッグを展開するエアバッグ装置であるいわゆるニーエアバッグ装置が知られている。このニーエアバッグ装置は、例えば、インストルメントパネルの、運転席前方のステアリングホイールの下方、あるいは、助手席前方のグローブボックスの下方などに配置され、制御装置が衝突などの衝撃を検出した際に、インフレータからガスを供給して折り畳んで収納したエアバッグを展開し、乗員の膝部などを拘束し、乗員が受ける衝撃を緩和するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、このようなニーエアバッグ装置では、保護対象である乗員がエアバッグ装置に近接している場合においても、乗員に加わる荷重を適正なものとするため、センサを有する制御装置を備え、乗員の状態を検出して、インフレータの出力を調整している。
【特許文献1】特開2002−337652号公報 (図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、センサにより乗員の状態を検出してインフレータの出力を調整する構成では、複雑で高価な装置が必要になり、製造コストの低減が困難になる問題を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、乗員の下肢部に対向して展開するエアバッグについて、簡略な構成で保護対象に加わる圧力を抑制できるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のエアバッグ装置は、ガスが供給され着席した乗員の下肢部に対向して展開するエアバッグと、このエアバッグを覆い、このエアバッグの展開時にこのエアバッグの展開の圧力により破断し前記エアバッグを第1の方向に膨出させる第1の破断予定部と、前記エアバッグの前記第1の破断予定部を破断した後の展開の圧力により破断可能に設けられ前記エアバッグを第1の方向と交差する第2の方向に膨出可能とする第2の破断予定部とを設けたカバー体とを具備したものである。
【0007】
そして、この構成では、エアバッグにガスが供給されると、このエアバッグの展開の圧力によりカバー体の第1の破断予定部が破断し、エアバッグが第1の方向に膨出し、着席した乗員の下肢部に対向して展開し、乗員の下肢部を拘束して保護する。乗員の下肢部などにより第1の破断予定部を破断して膨出するエアバッグの展開が妨げられ、エアバッグの展開時の圧力が大きくなると、第2の破断予定部が破断し、エアバッグを第1の方向と交差する第2の方向に膨出させる。このため、保護対象である乗員などに大きな圧力が加わることが抑制される。構成を簡略にすることが可能になり、製造コストの低減が容易になる。
【0008】
請求項2記載のエアバッグ装置は、請求項1記載のエアバッグ装置おいて、ガスを供給するインフレータと、このインフレータ、エアバッグ、及びカバー体を支持する支持部材とを具備し、前記カバー体は、第1の破断予定部が設けられた正面部、及び第2の破断予定部が設けられ前記正面部から交差する方向に延設されて前記支持部材に取り付けられる支持片部を備えたものである。
【0009】
そして、この構成では、カバー体の正面部に第1の破断予定部を設け、支持部材に取り付けられる支持片部に第2の破断予定部を設ける構成により、エアバッグの展開が妨げられた際にエアバッグを交差する方向に膨出させる構成が容易に実現される。
【0010】
請求項3記載のエアバッグ装置は、請求項1または2記載のエアバッグ装置において、第1の方向は、乗員の下肢部に向かう方向であり、第2の方向は、床面方向であるものである。
【0011】
そして、この構成では、乗員の下肢部に対向して展開するエアバッグについて、乗員の下肢部によりエアバッグの展開が妨げられた際に、乗員に加わる荷重を適正なものとする構成が容易に実現される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエアバッグ装置によれば、カバー体の第1の破断予定部を破断して膨出するエアバッグの展開により、着席した乗員の下肢部を拘束して保護できる。乗員の下肢部などにより第1の破断予定部を破断して膨出するエアバッグの展開が妨げられ、エアバッグの展開時の圧力が大きくなると、第2の破断予定部が破断し、エアバッグを第1の方向と交差する第2の方向に膨出させることにより、保護対象である乗員の下肢部などに大きな圧力が加わることを抑制できる。構成を簡略にすることができ、製造コストを容易に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のエアバッグ装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図3において、1はエアバッグで、このエアバッグ1を備えたエアバッグ装置2は、被取付部材としての車両である自動車の車体の車室に面した取付面部としてのパネル5に配置されている。そして、このエアバッグ装置2は、図1に2点鎖線で示す乗員Aの膝部を含む下肢部に対向して設けられるニーエアバッグ装置とも呼ばれるもので、前面衝突などの衝撃を受けた際に、乗員Aの足元に展開し、乗員Aの脚部を保護するようになっている。なお、以下、前後方向などの方向は、車体3の直進方向を基準とし、すなわち、第1の方向としての乗員方向を後方Bとし、この後方Bの反対方向を前方とするとともに、第2の方向としてのフロア方向を下方Dとし、また、車体の幅方向を両側方向として説明する。
【0015】
また、この車体は、車室内に乗員Aが着座可能な両側一対の座席を備えているとともに、これら座席の前方には、フロントガラスとパネル5とが配置されている。そして、このパネル5の上側部は、インストルメントパネルに連続し、下側部は、前方に向かって延設されている。そして、このパネル5の角部に位置し、各座席6に対向して、エアバッグ装置2が取り付けられている。すなわち、エアバッグ装置2の正面側は、乗員Aの膝部を含む下肢部に対向し、下側は、空間を介して図示しない床面すなわちフロアに対向している。また、一方の座席は運転席であり、エアバッグ装置2の上側にはステアリングホイールが配置されている。また、他方の座席は助手席であり、エアバッグ装置2の上側にはグローブボックスなどが配置されている。なお、上記のエアバッグ装置2の他に、この車室には、ステアリングホイール、インストルメントパネル、座席の側部、ルーフサイドレールなどに、図示しないエアバッグ装置が備えられている。
【0016】
また、各エアバッグ装置2は、図1ないし図4に示すように、支持部材としてのケース体21と、このケース体21に取り付けられるインフレータ22、リテーナ23、エアバッグ1、及びカバー体26などを備えている。そして、ケース体21は、ベースあるいはハウジングなどとも呼ばれるもので、後面を開口部21aとした略箱状をなす本体部21bを備えている。また、この本体部21bの上下の面には、複数の取付片部21dが設けられている。さらに、このケース体21は、図示しないブラケットにより、車体に固定して取り付けられている。また、インフレータ22は、略円柱状をなし、長手方向の一端部近傍にガス噴射部が設けられているとともに、他端部に電気的な接続部が設けられている。そして、このインフレータ22は、接続部に接続されるハーネスを介して制御装置に接続され、このハーネスを介して制御装置から供給される起動信号に基づき、ガス噴射部からガスを噴射する。また、リテーナ24は、略筒状をなしてインフレータ22を保持するリテーナ本体24aと、このリテーナ本体24aに溶接などして固定された一対の取付ボルト24bとを備えており、これら取付ボルト24bに螺合するナット24cにより、リテーナ24がケース体21に取り付けられている。さらに、リテーナ本体24aには、ガスが通過するガス通孔が形成されている。
【0017】
また、カバー体26は、蓋体あるいはリッドなどとも呼ばれるもので、例えば合成樹脂にて一体に形成され、図2及び図4に示すように、正面部としての表板部27と、この表板部27の裏面側すなわち前面側から前側に突設された支持片部としての取付板部28とを備えている。そして、表板部27は、インストルメントパネルに沿った曲面板状などをなし、裏面側すなわち前面側には、この表板部27の他の部分より脆弱な第1の破断部予定部として第1のテアライン31が凹設して形成されている。また、取付板部28は、底板部28a、天板部28b、及び両側の側板部28cを備えた角筒状をなし、底板部28a及び天板部28bには、取付片部21dに対応して、角孔状の取付受部28dが複数形成されているとともに、底板部28aには、第1のテアライン31に連続して、取付板部28の他の部分より脆弱な第2の破断予定部としての第2のテアライン32が形成されている。そして、取付板部28を本体部21bの外側に嵌合し、取付片部21dを取付受部28dに係合した状態で、表板部27が開口部21aを覆うようにして、ケース体21にカバー体26が取り付けられている。
【0018】
ここで、図4に示すように、第1のテアライン31は、取付板部28に囲まれた部分の両側部近傍を上下に沿って延びる側部テアライン31a,31aと、これら側部テアライン31a,31aの上下方向の中間位置同士を連結する水平テアライン31bとを備えた正面視略H字状に形成されている。さらに、各側部テアライン31a,31aの上端部には、それぞれ互いに接近する方向に折り返すように屈曲されて破断の進行を止める破断停止部31c,31cが形成されている。一方、第2のテアライン32は、各側部テアライン31a,31aの下側の端部に連続し、取付板部28の内面すなわち底板部28aの上面を凹設して前後に延びる両側一対の直線上の底部テアライン32a,32aと、これら底部テアライン32a,32aの前側の端部に形成されて破断の進行を止める破断停止部32c,32cとが形成されている。さらに、この第2のテアライン32は、第1のテアライン31よりも浅く凹設され、すなわち樹脂の厚さ寸法が大きく形成され、所定の力で破断する第1のテアライン31よりも破断しにくく、上記の所定の力よりも大きな力が加わった際に破断するように形成されている。本実施の形態では、第1のテアライン31の部分の厚さ寸法を0.3mmとし、第2のテアライン32の部分の厚さ寸法を0.8mmとしているが、例えば、第1のテアライン31の部分の厚さ寸法を0.3mmとした場合、第2のテアライン32の部分の厚さ寸法は、0.3mmから1.0mmの範囲で設定することができる。さらに、本実施の形態では、第2のテアライン32の底部テアライン32aの前後方向の寸法は、30mmに設定されている。さらに、カバー体26の取付板部28の表板部27近傍の部分、少なくとも、第2のテアライン32の底部テアライン32a,32aを設けた部分同士を結ぶ領域は、ケース体21とは重ならないように形成されている。
【0019】
また、エアバッグ1は、1枚の基布を縫い合わせあるいは複数枚の基布を縫い合わせて袋状に形成され、所定の形状に折り畳まれてケース体21に収納されている。また、このエアバッグ1の内側には、必要に応じて、展開時の厚さ寸法を規制し、また、エアバッグ1の内側を複数の分室に区画するテザーなどとも呼ばれる規制手段が配置されている。また、図示しないが、このエアバッグ1には、エアバッグ1内にインフレータ22を挿入可能な挿入口が形成されているとともに、この挿入口に近接して、取付孔が形成されている。
【0020】
次に、このエアバッグ装置2の組み立て工程を説明する。
【0021】
まず、エアバッグ1、インフレータ22、及びリテーナ24などを組み合わせて、組立体を構成する。この工程は、まず、インフレータ22の端部にハーネスを取り付けるとともに、リテーナ本体24aの内側にインフレータ22を組み合わせて固定する。そして、このインフレータ22を取り付けたリテーナ24を、挿入口からエアバッグ1の内側に挿入し、取付ボルト24bを取付孔から引き出し、さらに、エアバッグ1の基端部を折り返して取付ボルト24bを取付孔に貫通させる。次いで、エアバッグ1を平面状に広げるように形を整えた状態から、先端部から巻き付けロール状に折り畳むとともに、リテーナ24の近傍は、蛇腹状に折り畳む。そして、この状態で、エアバッグ1に基布などで形成したラッピングを被せ、エアバッグ1を所定の形状に折り畳んだ状態で保持し組立体を構成する。
【0022】
次いで、この組立体を開口部21aを介してケース体21に挿入し、ケース体21に形成された図示しない取付孔に取付ボルト24bを貫通させ、ケース体21の外側から取付ボルト24bにナット24cを螺合して、組立体すなわちエアバッグ1、インフレータ22、及びリテーナ24などをケース体21に固定する。次いで、取付板部28を本体部21bの外側に嵌合するとともに取付片部21dを取付受部28dに係合し、表板部27が開口部21aすなわちエアバッグ1を覆うようにして、ケース体21にカバー体26を取り付けることにより、エアバッグ装置2が構成される。
【0023】
そして、ブラケットを車体側の部品に連結し、カバー体26の表板部27がパネル5と面一になるようにエアバッグ装置2を車体に取り付けるとともに、ハーネスを制御手段に電気的に連結し、エアバッグ装置2が車体に設置される。
【0024】
次に、このエアバッグ装置2の動作を説明する。
【0025】
制御装置が自動車の衝突などの衝撃を検出すると、この制御手段はハーネスを通じて起動信号である電力を供給し、インフレータ22を作動させる。そして、インフレータ22からエアバッグ1内にガスが供給されると、エアバッグ1は、ケース体21の内側で膨張し、まず、ラッピングを破断し、ついで、カバー体26の表板部27を第1のテアライン31で破断して、扉状に展開させて突出口を形成し、この突出口から、正面側である乗員A側すなわち後方Bに向かってエアバッグ1を突出させる。そして、乗員Aがシートベルトを装着した正規の着座位置に位置するいわば通常の状態(通常展開時)では、エアバッグ1は後方Bに展開して、慣性で前方に移動してくる乗員Aの膝部を含む下肢部に対向して膨張展開し、車体に対する相対的な移動を抑制し、乗員Aの下肢部を拘束して、パネル5などに直接当接することなどを抑制して保護する。この通常展開時には、エアバッグ1の展開通路すなわち展開方向の長手方向に沿って配置される取付板部28には大きな力は加わらないとともに、第2のテアライン32は第1のテアライン31よりも破断しにくく形成されているため、図3に示すように、第2のテアライン32は全く破断しないかあるいは僅かに破断した状態でとどまる。
【0026】
一方、乗員Aが正規の着座位置に位置せず、例えば、乗員Aの下肢部がエアバッグ装置2に近接していた場合は、突出口から後方Bに膨出したエアバッグ1は乗員Aの下肢部に遮られ、エアバッグ1の展開する圧力が高まる。すると、この展開の圧力により、取付板部28の底板部28aに設けた第2のテアライン32が破断し、エアバッグ1は下方Dの空間に逃げるように展開し、乗員Aに加わる圧力が抑制される。
【0027】
このように、本実施の形態によれば、いわゆるニーエアバッグ装置において、通常展開時に破断する第1のテアライン31に加え、過大な負荷が加わった際に破断する第2のテアライン32を設け、いわば、通常展開時に形成される第1の突出口に加え、過大な圧力が加わった際にはこの第1の突出口と交差する方向に向かう第2の突出口が形成されるようにしたため、エアバッグ1に過大な負荷が加わった際に、カバー体26の底面側を開き、エアバッグ1が逃げる空間を作り出すことができる。そこで、いわゆる近接展開の際などに、進行を阻害されたエアバッグ1を乗員Aに向かう方向とは交差する方向に逃がすように展開させ、保護対象である乗員Aの下肢部などに加わる圧力を抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、第2のテアライン32は第1のテアライン31よりも破断しにくく形成することにより、通常の展開時には第1のテアライン31のみを展開させ、過大な負荷が加わった時点で第2のテアライン32を破断する構成を容易に実現できる。
【0029】
さらに、本実施の形態では、エアバッグ1は、過大な力が加わった際に床面方向すなわち下方Dに展開するようにしたため、エアバッグ装置2下方の空間を利用して、エアバッグ1を逃がすように展開させることができる。
【0030】
また、センサなどの電子的手段などを設ける構成に比べ、テアラインを下方に延設するとの簡略な構成で実現でき、製造コストを容易に低減できる。
【0031】
なお、上記の実施の形態では、第2のテアライン32は、表板部27に設けた第1のテアライン31に連続して取付板部28の底板部28aに設けたが、この構成に限られず、第2の破断予定部は、支持片部の一の部分を他の部分と分断させてエアバッグ1の展開方向すなわち展開通路方向に交差する方向にエアバッグ1の展開を可能とするものであれば良い。例えば、第2の破断予定部は、支持片部の下側に限られず、上側、左側、右側の一カ所あるいは複数カ所に設け、一方向あるいは複数方向にエアバッグ1を回避させるように展開させることもできる。例えば、左右方向すなわち両側方向に展開させることもできる。また、上方については、通常エアバッグ装置2の上方に配置されているダクトなどを押しのけあるいは潰して空間を確保し、この空間に展開させることもできる。
【0032】
また、エアバッグ装置2は、パネル5の角部に設けて下方に空間を確保する構成に限られず、エアバッグ装置2の下方についても、表板部27と略面一なパネルを配置することもできる。このように、エアバッグ装置2の下方を覆うパネルを設けた場合には、展開するエアバッグ1により、下方のパネルを座屈などさせ、エアバッグ1をパネルの後方Bすなわち乗員側に展開させることができる。また、パネルの内側すなわち前方に空間がある場合には、この空間内にエアバッグを展開させることもできる。さらに、パネルの内側にエアバッグ1を展開させた場合には、このエアバッグ1によりパネルを支持し、これらパネルとエアバッグ1とにより衝撃吸収効果を持たせることもできる。さらに、パネルの内側にエアバッグ1を展開させる場合には、展開するエアバッグ1により、パネルを後方Bの乗員側に移動させる構成とすることもできる。
【0033】
また、上記の実施の形態では、第1のテアライン31の部分の厚さ寸法より第2のテアライン32の部分の厚さ寸法を大きくしたが、この構成に限られず、第1の破断予定部と第2の破断予定部との厚さ寸法を等しく形成することもできる。さらに、第1の破断予定部と第2の破断予定部との破断しやすさを互いに等しくしあるいは異ならせた場合においても、これら第1の破断予定部と第2の破断予定部との境界部分に、一部のみ厚さ寸法を大きくするなどして第1の破断予定部より破断しにくい破断抑制部を設けることもできる。
【0034】
また、上記の実施の形態では、第1のテアライン31は正面視略H字状とし、第2のテアライン32は第1のテアライン31に連続する2本の直線状としたが、この構成に限られず、例えば、第1の破断予定部は、両側の側部破断線の上端部同士を水平破断線で接続した正面視略C字状などとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、車両に備えられるエアバッグ装置の他、車両以外の移動体に備えるエアバッグ装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のエアバッグ装置の一実施の形態を示す第2のテアラインが破断した状態の説明図である。
【図2】同上エアバッグ装置の断面図である。
【図3】同上エアバッグ装置の第1のテアラインが破断した状態の説明図である。
【図4】同上エアバッグ装置のケース体とカバー体との分解状態の一部の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 エアバッグ
2 エアバッグ装置
21 支持部材としてのケース体
22 インフレータ
26 カバー体
27 正面部としての表板部
28 支持片部としての取付板部
31 第1の破断予定部としての第1のテアライン
32 第2の破断予定部としての第2のテアライン
A 乗員
B 第1の方向としての後方
D 第2の方向としての下方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが供給され着席した乗員の下肢部に対向して展開するエアバッグと、
このエアバッグを覆い、このエアバッグの展開時にこのエアバッグの展開の圧力により破断し前記エアバッグを第1の方向に膨出させる第1の破断予定部と、前記エアバッグの前記第1の破断予定部を破断した後の展開の圧力により破断可能に設けられ前記エアバッグを第1の方向と交差する第2の方向に膨出可能とする第2の破断予定部とを設けたカバー体と
を具備したことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
ガスを供給するインフレータと、このインフレータ、エアバッグ、及びカバー体を支持する支持部材とを具備し、
前記カバー体は、第1の破断予定部が設けられた正面部、及び第2の破断予定部が設けられ前記正面部から交差する方向に延設されて前記支持部材に取り付けられる支持片部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
第1の方向は、乗員の下肢部に向かう方向であり、
第2の方向は、床面方向である
ことを特徴とする請求項1または2記載のエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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