エアバッグ装置
【課題】フロントピラーの前面を迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグが、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】エアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、膨張完了時にフロントピラー1の前面1aを覆うカバー膨張部49と、膨張完了時に下面側を車体側部材19に支持されるように配置されてカバー膨張部49の下面側を支持する支持膨張部56と、を備える。支持膨張部56が、元部56a側をカバー膨張部49に連結され、先端56b側の縁部を収納部位Pに取り付けられて、エアバッグ42の膨張完了時に、カバー膨張部49に対して折り返され、カバー膨張部49側の壁部43bを、カバー膨張部49を構成する壁部43bに接触させるようにして、車体側部材19とカバー膨張部49との間に介在されている。
【解決手段】エアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、膨張完了時にフロントピラー1の前面1aを覆うカバー膨張部49と、膨張完了時に下面側を車体側部材19に支持されるように配置されてカバー膨張部49の下面側を支持する支持膨張部56と、を備える。支持膨張部56が、元部56a側をカバー膨張部49に連結され、先端56b側の縁部を収納部位Pに取り付けられて、エアバッグ42の膨張完了時に、カバー膨張部49に対して折り返され、カバー膨張部49側の壁部43bを、カバー膨張部49を構成する壁部43bに接触させるようにして、車体側部材19とカバー膨張部49との間に介在されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントピラーにおける前面側を覆い可能なエアバッグを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の歩行者との衝突時に、歩行者が車両のフロントピラーに直接当たらないように、フロントピラーの前面側を覆うようにエアバッグを膨張させて配置させる構成のエアバッグ装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のエアバッグ装置では、エアバッグは、車両のフロントドアに配設されるドアミラーの前側の領域に折り畳まれて収納されて、膨張完了時に、ドアミラー近傍となるフロントピラーの下端側の元部から先端にかけて延びている領域の前面側を覆う構成とされていた。詳細には、従来のエアバッグ装置において、エアバッグは、フロントピラーの元部から上下方向の中央付近にかけての領域の前面側を覆う長尺状のカバー膨張部と、カバー膨張部の上下の中央付近から突出するように配置されるとともにカバー膨張部とドアミラーとの間に介在されてドアミラーに支持される支持膨張部と、を有しており、このドアミラーに支持された支持膨張部によりカバー膨張部を支持させて、膨張完了時において歩行者を受け止めた際に、車外側への横ずれを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6957公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のエアバッグ装置のエアバッグでは、支持膨張部は、カバー膨張部の上下の中央付近から部分的にドアミラー側に向かって突出するように構成されていることから、膨張完了時のカバー膨張部の下端側の部位を的確に支持することができず、この下端側部位がぶれることにより、カバー膨張部の上端側部位がぶれる場合があって、カバー膨張部において、特に上端側部位の横ずれを、的確に防止する点に、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、フロントピラーの前面を迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグが、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、車両のフロントピラーにおける下端側の元部から先端にかけて延びている領域の前面側を覆い可能なエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
エアバッグが、
フロントピラーの下方における車両の側面のベルトライン付近に配置される収納部位内に、折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて収納部位から、突出しつつ膨張する構成とされて、
膨張完了時に、フロントピラーの下方の領域から、フロントピラーの前面にかけての領域を覆うように配置されるカバー膨張部と、
膨張完了時に、カバー膨張部の下面側において、下面側を車体側部材に支持されるように配置されて、カバー膨張部の下面側を支持する支持膨張部と、
を備える構成とされ、
エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、カバー膨張部内に内蔵されて、カバー膨張部とともに、収納部位に取り付けられ、
支持膨張部が、
元部側をカバー膨張部に連結され、先端側の縁部を収納部位に取り付けられて、
エアバッグの膨張完了時に、カバー膨張部に対して折り返されて、カバー膨張部側の壁部を、カバー膨張部を構成する壁部に接触させるようにして、車体側部材とカバー膨張部との間に介在されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のエアバッグ装置では、エアバッグが、膨張完了時にフロントピラーの下方の領域からフロントピラーの前面にかけてを覆うように配置されるカバー膨張部を、有する構成であるものの、カバー膨張部の下面側には、支持膨張部が、配設され、この支持膨張部は、カバー膨張部の下面側において、下面側を車体側部材に支持されるように配置されて、カバー膨張部の下面側を支持する構成である。換言すれば、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部は、カバー膨張部において、フロントピラーにおける下端側の元部を覆う下端側の部位の下面側を支持するように、構成されることから、エアバッグの展開膨張時に、カバー膨張部の下端側の部位を、ぶれを抑えて的確に支持することができ、展開膨張時に、上端側の部位が、車内外方向にぶれるように展開することを防止できて、カバー膨張部を、大きなぶれを抑えてフロントピラーの前面側を覆うように、迅速に膨張完了させることができる。
【0009】
また、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部は、膨張完了時に、カバー膨張部に対して折り返されて、カバー膨張部側の壁部を、カバー膨張部を構成する壁部に接触させるようにして、車体側部材とカバー膨張部との間に介在されていることから、支持膨張部は、カバー膨張部に対して、膨張用ガスの相互移動を抑えられた状態で、カバー膨張部の下面側を支持するように、配置されることとなる。そのため、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部が、高い内圧を維持した状態で、カバー膨張部を支持することができることから、歩行者を受け止めたカバー膨張部が、歩行者によって強く押圧されることとなっても、支持膨張部が、この押圧力を受けて、車外側へ横ずれすることを防止でき、カバー膨張部の車外側へ向かうような横ずれを的確に防止することができる。その結果、本発明のエアバッグ装置では、車外側への横ずれを抑えられた状態で、フロントピラーの前面を覆うカバー膨張部によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0010】
したがって、本発明のエアバッグ装置では、フロントピラーの前面を迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグが、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止することができる。
【0011】
また、本発明のエアバッグ装置において、カバー膨張部を、膨張完了時にフロントピラーの前面側を覆うように配置されるピラーカバー部と、膨張完了時にフロントピラーの側面側を覆うように配置されてピラーカバー部と支持膨張部とを連結する連結膨張部と、を備える構成とし、
ピラーカバー部と連結膨張部とを、膨張完了時にフロントピラー側に配置される車体側壁部と、車体側壁部に対向して配置される車外側壁部と、を、接触させるようにして構成される区画部により、相互に区画させ、
インフレーターを、連結膨張部内に内蔵させる構成とすることが、好ましい。
【0012】
上記構成のエアバッグ装置では、カバー膨張部の領域内に区画部を設けて、カバー膨張部をピラーカバー部と連結膨張部とに区画していることから、容積の増大を抑えることができるとともに、過度に厚く膨張することを防止できて、膨張完了時に、カバー膨張部によって、フロントピラーの前面側から側面側にかけての広い範囲を覆うことができる。また、インフレーターが、ピラーカバー部と支持膨張部とを連結する連結膨張部内に、内蔵されていることから、ピラーカバー部内と支持膨張部内とに迅速に膨張用ガスを流入させることができて、エアバッグ全体を迅速に膨張完了させることができる。
【0013】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、連結膨張部に、エアバッグの膨張完了時に、支持膨張部の元部からピラーカバー部にかけて延びるように、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセルを、配設させる構成とすれば、この連結膨張部における上下方向に延びる支柱のようなセルの部位によって、ピラーカバー部の下面側を支持させることができ、ピラーカバー部自体の車外側への横ずれを、一層的確に防止することができる。
【0014】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、支持膨張部の縁部を、インフレーターを収納部位に取り付ける取付手段を利用して、収納部位に取り付ける構成とすれば、支持膨張部の縁部を取り付ける取付手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーターと支持膨張部の縁部とを同時に収納部位に取り付けることができることから、製造工数も低減することができて、好ましい。
【0015】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、エアバッグに、カバー膨張部における支持膨張部から離れた先縁部側から延びて、先端を、収納部位に連結される連結ベルトを、配設させ、
連結ベルトを、エアバッグの膨張完了時に、保護膨張部とフロントピラーとの間に配置させて、先縁部を収納部位側に牽引するように、構成することが、好ましい。
【0016】
上記構成のエアバッグ装置では、エアバッグの展開膨張時に、カバー膨張部における支持膨張部から離れた側となる先縁部側の部位が、車体から大きく浮き上がることを防止できることから、膨張するカバー膨張部によって、フロントピラーの前面側を迅速に覆うことができる。また、歩行者を受け止めた際にも、カバー膨張部が、歩行者の押圧力を受けて、フロントピラーからずれるように移動することを防止できることから、カバー膨張部によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0017】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、連結ベルトの先端を、インフレーターを収納部位に取り付ける取付手段を利用して、収納部位に連結させる構成とすれば、連結ベルトの先端を連結させる連結手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーターと連結ベルトの先端とを同時に収納部位に取り付けることができることから、製造工数も低減することができて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大斜視図である。
【図2】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大側面図である。
【図3】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図4】実施形態のエアバッグ装置の搭載状態を示す概略縦断面図であり、図2のIV−IV部位を示す。
【図5】実施形態のエアバッグ装置に使用されるエアバッグを平らに展開した状態の平面図である。
【図6】図5のエアバッグの縦断面図であり、図5のVI−VI部位を示す。
【図7】図5のエアバッグを、単体で膨張させた状態を示す断面図である。
【図8】実施形態のエアバッグ装置の作動時において、エアバッグの膨張状態を示す概略縦断面図である。
【図9】実施形態のエアバッグ装置の作動時において、エアバッグの膨張状態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の他の形態であるエアバッグを平らに展開した状態の部分拡大平面図である。
【図11】図10のエアバッグを車両に搭載した状態での膨張状態を示す概略斜視図である。
【図12】本発明のさらに他の形態であるエアバッグを平らに展開した状態の部分拡大平面図である。
【図13】図12のエアバッグを車両に搭載した状態での膨張状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置Mは、図1〜3に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1の後側に隣接して配設される車両Vの側面を構成する各フロントドア13のベルトライン17付近に、搭載されている。左右の各フロントピラー1は、鋼板等からなるアウタパネル2、インナパネル3、及び、アウタパネル2とインナパネル3との間に配置されるリインホースメント4を、備えて構成されており、車両Vの構造体としての高い剛性を具備して、配設されている(図8参照)。なお、図1の符号6で示す部材は、窓枠ゴムであり、図1〜3の符号7で示す部材はフロントガラスである。また、図1〜3の符号8で示す部材はフードパネルであり、図1〜3の符号9で示す部材は、フロントバンパである。
【0020】
なお、本明細書において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の各方向に対応するものである。
【0021】
また、実施形態では、車両Vの右側に位置するフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグ42を備えたエアバッグ装置Mについて、詳細に説明する。左側のフロントピラーの前面側を覆うエアバッグを備えたエアバッグ装置は、右側のエアバッグ装置と左右対称形として、同一の構成であることから、左側のエアバッグ装置に関しては、説明を省略する。
【0022】
実施形態のエアバッグ装置Mが搭載されるフロントドア13は、フロントピラー1の後側に隣接して配設されるもので、図1〜3に示すように、フロントピラー1の後方に位置するサイドウィンド14と、サイドウィンド14の下方のドア部18と、を有するとともに、サイドウィンド14の前側の下隅付近に、ドアミラー27を、配設させて構成されている。サイドウィンド14は、ドアガラス15と、ドアガラス15の周囲に配置される窓枠部16と、を備えている。実施形態の場合、窓枠部16の下縁部16aが、ベルトライン17を構成している。ドア部18は、図4に示すように、間にドアガラス15を収納可能な隙間を有して配置される鋼板等からなるアウタパネル19及びインナパネル21と、インナパネル21の車内側を覆うように配置されるドアトリム23と、を備えており、アウタパネル19とインナパネル21との内側(ドアガラス15側)には、それぞれ、アウタリインホースメント20とインナリインホースメント22と、が、配設されている。また、アウタパネル19の上端側には、窓枠部16を構成するアウタモール24が配設され、アウタパネル19とインナパネル21との上端側には、ドアガラス15を摺動させるガラスウェザストリップ25が、配設されている。また、実施形態では、アウタリインホースメント20におけるエアバッグ装置Mが配設される領域の車内側Iに、エアバッグ装置M側への雨水や異物等の侵入を防止するシール部材32が、配設されている(図4参照)。
【0023】
ドアミラー27は、図1〜3に示すように、窓枠部16における下縁部16a(ベルトライン17)の前端16b近傍に取り付けられる取付ベース29と、取付ベース29の上面側に回動可能に取り付けられるミラー本体28と、を備えている。詳細には、取付ベース29は、フロントピラー1の下端側の元部1bの下側に接近して配設されている(図1,2参照)。実施形態の場合、取付ベース29は、後端側に、ミラー本体28を配設させるとともに、ミラー本体28を取り付けた部位の前方側の領域に、エアバッグ装置Mを配設させている構成である。また、取付ベース29は、車内側(左側)に配置されてアウタリインホースメント20に取り付けられる板金製の取付部材30と、取付部材30の車外側(右側)を覆うように配置される合成樹脂製のカバー部材31と、を備えており、実施形態の場合、取付部材30が、エアバッグ装置Mにおいて折り畳まれたエアバッグ42とインフレーター37とを収納する収納部位Pとしてのケース33を構成し、カバー部材31が、エアバッグ装置Mにおいて折り畳まれたエアバッグ42を覆うエアバッグカバー34を構成している(図4参照)。すなわち、実施形態の場合、エアバッグ装置Mは、ベルトライン17近傍となるドアミラー27の取付ベース29の部位に、搭載されている。
【0024】
エアバッグ装置Mは、図4に示すように、可撓性を有した袋状のエアバッグ42と、エアバッグ42に膨張用ガスを供給するインフレーター37と、を備えて構成されている。折り畳まれたエアバッグ42とインフレーター37とを収納する収納部位Pは、ドアミラー27の前端付近である取付ベース29の前側の領域から、構成されており、折り畳まれたエアバッグ42とインフレーター37を収納するケース33は、上述したごとく、取付ベース29の取付部材30から構成され、エアバッグ42の車外側Oを覆うエアバッグカバー34は、取付ベース29のカバー部材31から構成されている(図4参照)。
【0025】
ケース33は、図4に示すように、取付部材30から連なるように構成されるもので、底壁部33aと、底壁部33aから延びる周壁部33bと、を備える構成とされて、車外側Oを開口させるように構成されている。実施形態の場合、ケース33は、底壁部33aを、アウタリインホースメント20に接触させるように構成されており、インフレーター37をケース33に取り付ける取付手段としてのボルト38aを、底壁部33aから突出させて、アウタリインホースメント20にナット39止めすることにより、車体側部材であるアウタリインホースメント20に、取り付けられている。
【0026】
エアバッグカバー34は、取付部材30から連なるように構成されるもので、ケース33の開口33cを覆う扉部34aと、扉部34aの周縁から車内側Iに延びてケース33の周壁部33bに取り付けられる取付壁部34bと、を有している(図4参照)。扉部34aは、エアバッグ42の膨張時に開いて、ケース33の開口33cから膨張するエアバッグ42を突出させるように構成されており、実施形態の場合、開き時に、図8に示すように、下端側を回転中心として、上端を車外側下方に向かって開かせるような下開きとして構成されて、下端側を除いた周縁に、エアバッグ42の膨張時に破断可能な破断予定部(図符号省略)を、配設させている。
【0027】
インフレーター37は、図4に示すように、軸方向を前後方向に略沿わせたシリンダタイプとされるもので、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を備えるとともに、板金製のディフューザー38により周囲を保持されている。インフレーター37は、エアバッグ42の後述する連結膨張部51の下側部位54内に内蔵された状態で、ディフューザー38に設けられる取付手段としてのボルト38aを、下側部位54から突出させ、さらに、ケース33の底壁部33aから突出させた状態でドア部18のアウタリインホースメント20にナット39止めすることにより、エアバッグ42とともに、ケース33に固定されている。なお、実施形態の場合、図示しないが、インフレーター37のボルト38aは、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。また、このインフレーター37は、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号を入力させて、膨張用ガスをエアバッグ42内に供給することとなる。エアバッグ作動回路は、車両Vのフロントバンパ9に配置されて歩行者との衝突を検知可能なセンサSE(図1,2参照)からの信号を入力した際に、インフレーター37を作動させることとなる。
【0028】
エアバッグ42は、図5,6に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能に可撓性を有した袋状とされるバッグ本体43を、有するもので、バッグ本体43は、カバー膨張部49と、膨張完了時にカバー膨張部49の下面側に配置される支持膨張部56と、を備えている。また、エアバッグ42は、実施形態の場合、バッグ本体43と別体とされて、カバー膨張部49をケース33側に連結する連結ベルト60を、有している。なお、図5において、上側が、平らに展開した状態のエアバッグにおいて、車両搭載時における左側であり、下側が、平らに展開した状態のエアバッグにおいて、車両搭載時における右側である。
【0029】
実施形態の場合、バッグ本体43は、膨張完了時にフロントピラー1側に配置される車体側壁部43bと、車体側壁部43bに対向して配置される車外側壁部43aと、を有して、平らに展開した状態の車体側壁部43bと車外側壁部43aとの周縁相互を結合させた平面バッグとして、構成されている。具体的には、バッグ本体43は、外形形状を、カバー膨張部49と支持膨張部56とを左右方向側で連結させた形状としている。実施形態の場合、バッグ本体43は、ポリエステル糸やポリアミド糸等を使用した袋織りから、形成されている。また、実施形態の場合、バッグ本体43は、平らに展開した状態の外形形状を、前後方向側に延びる縦領域部43cと、縦領域部43cの前端から右側に延びる横領域部43dと、を有した略逆L字形状として、構成されている(図5参照)。
【0030】
そして、バッグ本体43は、外周縁の全周にわたって形成される周縁部44と、周縁部44に囲まれる領域内の所定箇所に形成される区画部45,46及び厚さ規制部47の部位と、を、車外側壁部43aと車体側壁部43bとを結合(接触)させるようにして、膨張用ガスを流入させない構成とし、残りの領域を、車外側壁部43aと車体側壁部43bとを離すようにして内部に膨張用ガスを流入可能に、構成されている。区画部45は、図5に示すように、周縁部44における縦領域部43cと横領域部43dとの境界部位から延びて、縦領域部43c側(左方)に向かって突出するような逆U字形状とされるもので、縦領域部43cと横領域部43dの境界部位から右方に延びるように左右方向に略沿って形成される後横棒部45aと、後横棒部45aの前方において後横棒部45aと略平行として形成される前横棒部45bと、後横棒部45aの左端と前横棒部45bの左端とを連結するように前後方向に略沿って形成される縦棒部45cと、を備えている。この縦棒部45cは、縦領域部43cの左右方向の中央より右側となる位置に、配設されており、実施形態のエアバッグ42では、後述するごとく、ピラーカバー部50と連結膨張部51との境界を構成している。区画部46は、横領域部43dの右端近傍において、前後方向に沿うような略直線状として、周縁部44の前側部位44c及び後側部位44dと連結されるとともに、断続的に、形成されている。実施形態の場合、区画部46と周縁部44における左側部位44bとの離隔距離は、区画部46と区画部45における前横棒部45bの右端との離隔距離と、略同一に、設定されている。厚さ規制部47は、略円形として、区画部45における前横棒部45bの後方であって、縦棒部45cと区画部46との間の中央より左寄りであって、前横棒部45bと周縁部44との間の略中央となる位置に、配設されている。
【0031】
カバー膨張部49は、図9に示すように、エアバッグ42の膨張完了時に、フロントピラー1の下方におけるドアミラー27の前側の領域から、フロントピラー1の前面1aにかけてを、覆うように配置されるもので、実施形態の場合、膨張完了時にフロントピラー1の前面1a側を覆うように配置されるピラーカバー部50と、膨張完了時にフロントピラー1の側面側を覆うように配置される連結膨張部51と、を備えている。
【0032】
ピラーカバー部50は、図8,9に示すように、膨張完了時に、フロントピラー1の前面1a側を、フロントピラー1の元部1bから上下方向の中央付近にかけて覆うように、構成されるもので、実施形態の場合、膨張完了時の後端50aを、ミラー本体28より後方に位置させるように、構成されている。実施形態の場合、ピラーカバー部50は、図5,6に示すように、平らに展開した状態のバッグ本体43における縦領域部43cにおいて、区画部45の縦棒部45cより左側の領域から、構成されている。換言すれば、ピラーカバー部50と連結膨張部51との境界部位は、区画部45の縦棒部45cから構成されている。
【0033】
連結膨張部51は、図8,9に示すように、膨張完了時に、ピラーカバー部50に対して折れ曲がるように配置されて、フロントピラー1の側面からフロントドア13におけるドア部18の上端の側面側にかけてを、覆うように、構成されている。実施形態の場合、連結膨張部51は、ピラーカバー部50と、ピラーカバー部50の下方に配置される支持膨張部56と、を連結するように、ピラーカバー部50と支持膨張部56との間に介在されている。また、実施形態の場合、バッグ本体43は、膨張完了時に、区画部45における縦棒部45cの部位で折れ曲がるようにして、フロントピラー1の周囲に配置されることとなる(図8,9参照)。実施形態の場合、連結膨張部51は、バッグ本体43において、区画部45の縦棒部45cと、区画部46との間の領域から、構成されるものであり、換言すれば、膨張完了時の前端51aを、ピラーカバー部50の前端50bと略一致させるように、構成されている。すなわち、連結膨張部51は、膨張完了時に、ピラーカバー部50における前端50b側の領域(フロントピラー1の前面1aにおける元部1b側の部位を覆う領域)から連なるように、構成されている。また、連結膨張部51は、膨張完了時の後下端側を、切り欠いて、構成されている(図5,9参照)。連結膨張部51において、後下端側の切欠部分52は、膨張完了時に、ミラー本体28を強く押圧することを防止して、ミラー本体28を迂回するために、形成されている。そして、連結膨張部51は、ピラーカバー部50の後端50aから連なるように形成される後上端側部位51bを、膨張完了時に、ミラー本体28の上面側に載置させるようにして、配置されることとなる。すなわち、エアバッグ42は、連結膨張部51の後上端側部位51bの下面側を、ミラー本体28に支持させるようにして、膨張を完了させることとなる。
【0034】
また、連結膨張部51の前端51a側において、区画部45の前横棒部45bと周縁部44とに囲まれる領域は、エアバッグ42の膨張完了時に、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53を、構成している(図5,9参照)。このセル53は、膨張完了時に、支持膨張部56の元部56a(平らに展開した状態の左端)からピラーカバー部50にかけて連続的に延びるように、配置されることとなる。
【0035】
また、連結膨張部51において、平らに展開した状態の厚さ規制部47より右側の領域であって、膨張完了時に厚さ規制部47の下方に配置される下側部位54は、図5,8に示すように、内部にインフレーター37を内蔵させる部位であり、車体側壁部43bに、インフレーター37のボルト38aを挿通させるための挿通孔54aを、配設させている(図5,6参照)。挿通孔54aは、実施形態の場合、インフレーター37のボルト38aに対応して、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。この下側部位54は、エアバッグ42の膨張完了時に、車体側壁部43bにおける挿通孔54aの周囲の部位を、ケース33の内部に引き込まれるようにして、配置されることとなる。
【0036】
支持膨張部56は、エアバッグ42の膨張完了時、下面56c側となる車内側Iを、フロントドア13におけるアウタパネル19に支持されるように、カバー膨張部49の下面側に配置されることとなる(図8,9参照)。この支持膨張部56は、下面56c側(車内側I)をアウタパネル19によって支持されて、カバー膨張部49の下面側(詳細には連結膨張部51の下面51c側)を支持する構成とされている。実施形態の場合、支持膨張部56は、平らに展開した状態のバッグ本体43における横領域部43dにおいて、区画部46より右側の領域から、構成される(図5参照)。すなわち、支持膨張部56は、周縁部44と区画部46とに囲まれる領域から構成されるものであり、換言すれば、膨張完了時における連結膨張部51の下側の領域(平らに展開した状態における右側の領域)から連なるようにして、前後方向の幅寸法を、連結膨張部51における下側の領域の前後方向の幅寸法と略一致させて、構成されている。そして、支持膨張部56は、元部56a側(バッグ本体43を平らに展開した状態における左端側)を、カバー膨張部49における連結膨張部51に連結させた構成とされている。
【0037】
また、支持膨張部56は、元部56aから離れた先端56b側(平らに展開した状態における右端側)となる周縁部44の右側部位44aに、インフレーター37のボルト38aを挿通可能な挿通孔57を、備えており、この挿通孔57にインフレーター37のボルト38aを挿通させ、この挿通孔57の周縁の部位を、インフレーター37及びエアバッグ42における連結膨張部51とともに、ケース33に取り付けられている(図5,7参照)。挿通孔57は、インフレーター37のボルト38aに対応して、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。そして、具体的には、支持膨張部56は、車体側壁部43bを連結膨張部51の車体側壁部43bに接触させるように、区画部46の部位で、折目C(図5〜7参照)を付けて、連結膨張部51に対して折り返されて、挿通孔57にボルト38aを挿通されることとなる。また、支持膨張部56と連結膨張部51とを区画している区画部46は、断続的に形成されており、各区画部46間の部位が、連通部58として、支持膨張部56と連結膨張部51を連通している(図5参照)。実施形態の場合、連通部58は、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。
【0038】
そして、支持膨張部56は、エアバッグ42の膨張完了時に、元部56a側を車外側Oに位置させ、先端56b側をケース33側となる車内側Iに位置させるように、折目Cの部位で連結膨張部51に対して折り返された状態で、連結膨張部51側となる車体側壁部43bを、連結膨張部51を構成する車体側壁部43b(下面51c)に接触させ、車外側壁部43aからなる下面57c側を、車体側部材であるフロントドア13のアウタパネル19に支持させるようにして、アウタパネル19と連結膨張部51との間に介在されて、連結膨張部51の下面51c側を支持することとなる(図8,9参照)。
【0039】
連結ベルト60は、図5,6に示すように、バッグ本体43と別体とされて、ポリエステル糸やポリアミド糸からなる織布から構成されるもので、平らに展開したバッグ本体43における周縁部44の左側部位44bに、元部60aを縫着されている。換言すれば、連結ベルト60は、カバー膨張部49のピラーカバー部50において、支持膨張部56から離れた左縁50c(先縁部)から左右方向に略沿って延びるように、構成されている。実施形態の場合、連結ベルト60は、幅広として、前後方向の幅寸法を、バッグ本体43における横領域部43dの前後の幅寸法の1/2程度として、構成されている。また、連結ベルト60の先端60b側には、インフレーター37のボルト38aを挿通可能な挿通孔61が、形成されている。この挿通孔61は、インフレーター37のボルト38aに対応して、前後方向に沿った2箇所に、形成されるもので、実施形態では、連結ベルト60の先端60b側は、インフレーター37のボルト38aを利用して、インフレーター37及びエアバッグ42の連結膨張部51とともに、ケース33の底壁部33aに連結されている。この連結ベルト60は、エアバッグ42の膨張完了時に、図8に示すように、カバー膨張部49とフロントピラー1との間に、配置されることとなる。そして、連結ベルト60は、長さ寸法を、エアバッグ42の膨張完了時に、ピラーカバー部50の左縁50c(先縁部)を、ケース33側に牽引して、ピラーカバー部50の左縁50cを、フロントピラー1から浮き上がらせることを防止可能とし、かつ、ピラーカバー部50の迅速な展開を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。また、実施形態の場合、連結ベルト60の先端60bに設けられる挿通孔61は、フロントピラー1がケース33に対して傾斜していることを考慮して、後側に配設される挿通孔61Bの挿通孔54aからの離隔距離を、前側に配設される挿通孔61Fの挿通孔54aからの離隔距離よりも大きくするように、構成されており、連結ベルト60の先端60bも、挿通孔61F,61Bに対応して、前後方向に対して傾斜して、構成されている(図5参照)。
【0040】
実施形態の場合、エアバッグ42は、ボルト38aを挿通孔54aから突出させるようにして、連結膨張部51における下側部位54にインフレーター37を内蔵させ、支持膨張部56を、車体側壁部43bを連結膨張部51の車体側壁部43bに対向させるように、連結膨張部51に対して折り返して、周縁部44の右側部位44a(支持膨張部56の先端56b)に形成される挿通孔57にボルト38aを挿通させた状態で、ケース33内に収納可能な所定形状に折り畳まれることとなる。そして、折り畳まれたバッグ本体43は、連結ベルト60の先端60bに形成される挿通孔61にボルト38aを挿通させた状態で、インフレーター37とともにケース33内に収納されることとなる。そして、ケース33の底壁部33aから突出しているボルト38aを、フロントドア13におけるアウタリインホースメント20にナット39止めすれば、インフレーター37とエアバッグ42とをケース33に取り付けることができると同時に、支持膨張部56の先端56b側の縁部(周縁部44における右側部位44a)と、連結ベルト60の先端60bと、を、ケース33に取り付けることができる。
【0041】
この実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vへの搭載後、インフレーター37が作動されれば、インフレーター37から吐出される膨張用ガスがエアバッグ42内に流入して、膨張するエアバッグ42がエアバッグカバー34を押し開き、ケース33の開口33cから突出したエアバッグ42が、図1〜3の二点鎖線及び図8,9に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0042】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、膨張完了時にフロントピラー10の下方となるドアミラー27の前側の領域からフロントピラー10の前面10aにかけてを覆うように配置されるカバー膨張部49を、有する構成であるものの、カバー膨張部49の下面側(連結膨張部51の下面51c側)には、支持膨張部56が、配設され、この支持膨張部56は、ドアミラー27におけるミラー本体28の前側の領域において、下面56c側を車体側部材であるフロントドア13のアウタパネル19に支持されるように配置されて、カバー膨張部49の下面側(連結膨張部51の下面51c側)を支持する構成である(図8参照)。換言すれば、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56は、カバー膨張部49において、フロントピラー10の元部10bを覆う下端側の部位の下面側(連結膨張部51の下面51c側)を支持するように、構成されることから、エアバッグ42の展開膨張時に、カバー膨張部49の下端側の部位(連結膨張部51からピラーカバー部50における前端50bにかけての部位)を、ぶれを抑えて的確に支持することができ、展開膨張時に、上端側の部位であるピラーカバー部50の後端50a側の部位が、車内外方向にぶれるように展開することを防止できて、カバー膨張部49を、大きなぶれを抑えてフロントピラー10の前面10a側を覆うように、迅速に膨張完了させることができる。
【0043】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56は、膨張完了時に、カバー膨張部49に対して折り返されて、カバー膨張部49側の車体側壁部43bを、カバー膨張部49における連結膨張部51の車体側壁部43bに接触させるようにして、車体側部材であるアウタパネル19とカバー膨張部49の連結膨張部51との間に介在されていることから、支持膨張部56は、カバー膨張部49に対して、膨張用ガスの相互移動を抑えられた状態で、カバー膨張部49の下面側(連結膨張部51の下面51c側)を支持するように、配置されることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56が、高い内圧を維持した状態で、カバー膨張部49を支持することができることから、歩行者を受け止めたカバー膨張部49が、歩行者によって強く押圧されることとなっても、支持膨張部56が、この押圧力を受けて、車外側へ横ずれすることを防止でき、カバー膨張部49の車外側へ向かうような横ずれを的確に防止することができる。その結果、実施形態のエアバッグ装置Mでは、車外側への横ずれを抑えられた状態で、フロントピラー10の前面10aを覆うカバー膨張部49によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0044】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、フロントピラー1の前面1aを迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグ42が、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止することができる。
【0045】
詳細に説明すれば、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー膨張部49は、膨張完了時にフロントピラー10の前面10aを覆うピラーカバー部50と、ピラーカバー部50においてフロントピラー10の元部10bを覆う前端50b側の部位から折れ曲がるように延びてミラー本体28の前方側の領域を覆う連結膨張部51と、を備えており、このピラーカバー部50と連結膨張部51とは、前縁を一致させるように構成されている。すなわち、連結膨張部51は、ピラーカバー部50に対して前縁側を部分的に凹ませるような凹部を備えていないことから、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部50自体の前端50bが、連結膨張部51に対してぶれることを防止できる。また、支持膨張部56は、膨張完了時の前後方向の幅寸法を、連結膨張部51と同一に設定されていることから、支持膨張部56によって、連結膨張部51の下面51c側を前後の全域にわたって支持させることができる。そのため、下面51c側を前後の全域にわたって支持膨張部56に支持される連結膨張部51を介して、ピラーカバー部50が、支持膨張部56に支持されることから、ピラーカバー部50が、車外側へ横ずれすることを、的確に防止することができる。
【0046】
また、特に、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56と連結膨張部51との間は、断続的に隙間を設けられた直線状の区画部46によって、断続的に区画されており、支持膨張部56は、連結膨張部51に対して、この区画部46の部位で折目Cを付けて、車体側壁部43b側に折り返されることとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42の膨張完了時において、この区画部46が、折り返しの起点を構成するような態様となり、連結膨張部51に対する支持膨張部56の折り返し状態を、維持しやすく、また、支持膨張部56と連結膨張部51とは、区画部46間の部位からなる連通部58の部位でのみ連通されることから、膨張用ガスの相互移動を極力抑えられることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56の配置位置を安定させることができ、また、支持膨張部56と連結膨張部51との間の膨張用ガスの相互移動を極力抑えることができることから、支持膨張部56により、安定して、連結膨張部51の下面51c側を支持させることができる。さらに、実施形態では、エアバッグ装置Mが、ドアミラー27の前側に搭載されており、膨張完了時に、ピラーカバー部50は、後端50aを、連結膨張部51の後上端側部位51bを介して、ミラー本体28に支持されることから、支持膨張部56とミラー本体28とによって、前後の略全域にわたって、下面側を支持されることとなり、安定して車外側への横ずれを抑えることができる。
【0047】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー膨張部49の領域内に、車体側壁部43bと車外側壁部43aとを接触させるようにして構成される区画部45を設けて、この区画部45により、カバー膨張部49をピラーカバー部50と連結膨張部51とに区画していることから、容積の増大を抑えることができるとともに、過度に厚く膨張することを防止できて、膨張完了時に、カバー膨張部49によって、フロントピラー1の前面1a側から側面側にかけての広い範囲を覆うことができる。勿論、このような点を考慮しなければ、車外側壁部と車体側壁部とを連結するテザーを、エアバッグ内に配設させ、このテザーによって、ピラーカバー部と連結膨張部とを、区画するように、構成してもよい。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、インフレーター37が、ピラーカバー部50と支持膨張部56とを連結する連結膨張部51内に、内蔵されていることから、ピラーカバー部50内と支持膨張部56内とに迅速に膨張用ガスを流入させることができて、エアバッグ42全体を迅速に膨張完了させることができる。
【0048】
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、連結膨張部51に、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部56の元部56aからピラーカバー部50にかけて延びるように、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53を、配設させていることから、この連結膨張部51における上下方向に延びる支柱のようなセル53の部位によって、ピラーカバー部50の下面側を支持させることができ、ピラーカバー部50自体の車外側への横ずれを、一層的確に防止することができる。特に、実施形態のエアバッグ42では、セル53は、図9に示すように、膨張完了時の連結膨張部51の前端側(エアバッグ42の前端側)に配設されていることから、セル53によって、ピラーカバー部50における前端50bの下面側を的確に支持させることができる。このような点を考慮しなければ、連結膨張部に、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセルを配置させなくともよく、また、セルの配置位置も、後述する図10,11のエアバッグ42Aに示すごとく、膨張完了時における連結膨張部51Aの後端側に、配置させる構成としてもよい。
【0049】
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56の先端56b側の縁部(周縁部44における右側部位44a)を、インフレーター37のボルト38aを利用して、ケース33に取り付けていることから、支持膨張部の縁部を取り付ける取付手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーター37と支持膨張部56の先端56b側の縁部とを同時にケース33に取り付けることができることから、製造工数も低減することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、支持膨張部の縁部をインフレーターとともに共締めしなくともよく、ボルト等の取り付け手段を利用して、別途ケース側に取り付ける構成としてもよい。
【0050】
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー膨張部49における支持膨張部56から離れたピラーカバー部50の左縁50c(先縁部)が、連結ベルト60によって、ケース33側に連結されていることから、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部50の左縁50c側が、車体(フロントガラス7)から大きく浮き上がることを防止できて、膨張するカバー膨張部49によって、フロントピラー10の前面10a側を迅速に覆うことができる。また、歩行者を受け止めた際にも、カバー膨張部49が、歩行者の押圧力を受けて、フロントピラー10からずれるように移動することを防止できることから、カバー膨張部49によって、歩行者を的確に受け止めることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、エアバッグとして、連結ベルトを備えない構成のものを使用してもよい。
【0051】
また、実施形態では、この連結ベルト60の先端60bを、インフレーター37のボルト38aを利用して、ケース33に連結させていることから、連結ベルトの先端を連結させる連結手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーター37と連結ベルト60の先端60bとを同時にケース33に取り付けることができることから、製造工数も低減することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、連結ベルト60をインフレーター37とともに共締めしなくともよく、ボルト等の取り付け手段を利用して、別途ケース側に取り付ける構成としてもよい。
【0052】
なお、実施形態では、エアバッグ42として、外形形状を一致させた車外側壁部43aと車体側壁部43bとの周縁相互を結合させた平面バッグからなるものを使用しているが、エアバッグとしては、カバー膨張部と支持膨張部とを別体の袋状として、相互に連通可能なように所定箇所で連結させた立体バッグ等を使用してもよい。また、実施形態では、バッグ本体43を袋織りから構成しているが、勿論、バッグ本体を、周縁相互を縫合糸を用いて結合させる縫合バッグから、構成してもよい。さらに、エアバッグにおけるバッグ本体の形状は、上記に限られるものではなく、例えば、図11,12に示すエアバッグ42Aや、図13,14に示すエアバッグ42Bを、使用してもよい。これらのエアバッグ42A,422Bでは、バッグ本体43A,43Bは、前述のエアバッグ42におけるバッグ本体43と略同一の外形形状として、その領域内に形成される区画部の形状や配置位置を、前述のエアバッグ42と異ならせている。また、エアバッグ42A,42Bに使用される連結ベルト60は、前述のエアバッグ42の連結ベルト60と同様の構成である。
【0053】
図11に示すエアバッグ42Aのバッグ本体43Aの領域内には、3つの区画部63,64,65が、配設されている。区画部63は、周縁部44Aにおける縦領域部43cと横領域部43dとの境界部位から右方に延びるように左右方向に略沿って形成される横棒部63aと、横棒部63aの右端から前後両側に延びるように前後方向に略沿って配設される縦棒部63bと、を備えている。縦棒部63bは、縦領域部43cの左右方向の略中央となる位置に、配置されている。区画部64は、縦領域部43cの右端の前方となる位置において、周縁部44Aにおける前側部位44cから、後方に延びるように、前後方向に略沿って形成されている。区画部64の後端は、区画部63における縦棒部63bの前端と、左右方向側で略一致した位置に、形成されている。区画部65は、横領域部43dの右端近傍において、前後方向に沿うような略直線状として、周縁部44の後側部位44dから前方に延びるように、形成されている。区画部65は、連結膨張部51Aと支持膨張部56Aとを区画している。区画部65は、前端と、周縁部44における前側部位44cとの間に隙間を設けるように構成されており、この隙間が、支持膨張部56Aと連結膨張部51Aとを連通させる連通部58Aを、構成している。そして、このバッグ本体43Aでは、図11に示すように、区画部63の縦棒部63bは、ピラーカバー部50Aの領域に配置されることとなり、バッグ本体43Aにおいて、区画部63,65と、区画部64の後端と、に囲まれる平面視において略長方形状の領域が、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53Aを、構成している。すなわち、このエアバッグ42Aでは、セル53Aが、ピラーカバー部50Aの領域内に入り込むようにして、連結膨張部51Aの膨張完了時の後端側に、配置されている。
【0054】
図13に示すエアバッグ42Bのバッグ本体43Bの領域内には、3つの区画部67,68,65Bが、配設されている。区画部67は、縦領域部43cの領域内において、周縁部44Aにおける前側部位44cから前方に延びるように、前後方向に略沿って形成されている。この区画部67は、縦領域部43cの左右方向の略中央となる位置に、配置されている。区画部68は、周縁部44Aにおける縦領域部43cと横領域部43dとの境界部位から前方に延びるように前後方向に略沿って形成されるものであり、前端側に、長手方向を略左右方向に沿わせた略楕円状の厚さ規制部68aを、有している。区画部65Bは、前述のバッグ本体43Aと同様に、連結膨張部51Bと支持膨張部56Bとを区画するように、横領域部43dの右端近傍において、前後方向に沿うような略直線状として、周縁部44の後側部位44dから前方に延びるように、形成されている。そして、このバッグ本体43Bにおいても、図12に示すように、区画部67が、ピラーカバー部50Bの領域に配置されている。また、このバッグ本体43Bにおいては、区画部68の厚さ規制部68aの前方側の領域が、連結膨張部51Bにおいて、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53Bを、構成することとなる。
【0055】
これらのエアバッグ42A,42Bでは、ピラーカバー部50A,50Bが、膨張用ガスを流入させない区画部63の縦棒部63bや区画部67によって、左右方向に沿った2室に区画される領域を有することから、エアバッグ42A,42Bの膨張完了時に、ピラーカバー部50A,50Bが断面を略円形として膨らむことを防止でき、膨張完了形状を、過度に厚くなることを防止された略板状とすることができて、左右に広い範囲で、フロントピラー1の前面1aを覆うことができる。このような区画部の配置位置は、エアバッグ42,42A,42Bに限られるものではなく、車両の外形形状等に応じて、任意に変更可能である。
【0056】
なお、実施形態では、エアバッグ装置Mは、ドアミラー27における取付ベース29の部位に、搭載されているが、エアバッグ装置の搭載位置はこれに限られるものではなく、ドアミラーの前側付近のフロントドアや、ドアミラノ前側付近であってフロントドアの前方に位置する車両のボディ側の部位に、エアバッグ装置を搭載させてもよい。また、本発明のエアバッグ装置は、フェンダーミラーを有して、ドアミラーを備えないフロントドアを有する車両の場合にも搭載することができ、このような車両においては、フロントドアや、フロントドアの前方に位置する車両のボディ側の部位であって、フロントピラーの下端近傍にとなる位置に、搭載させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…フロントピラー、
1a…前面、
1b…元部、
13…フロントドア、
14…サイドウィンド、
27…ドアミラー、
33…ケース、
37…インフレーター、
38a…ボルト(取付手段)、
42,42A,42B…エアバッグ、
43a…車外側壁部、
43b…車体側壁部、
45,46…区画部、
49…カバー膨張部、
50…ピラーカバー部、
50c…左縁(先縁部)、
51…連結膨張部、
51c…下面、
53…セル、
56…支持膨張部、
56a…元部、
56b…先端、
57…挿通孔、
60…連結ベルト、
60a…元部、
60b…先端、
61…挿通孔、
P…収納部位、
V…車両、
M…エアバッグ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントピラーにおける前面側を覆い可能なエアバッグを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の歩行者との衝突時に、歩行者が車両のフロントピラーに直接当たらないように、フロントピラーの前面側を覆うようにエアバッグを膨張させて配置させる構成のエアバッグ装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のエアバッグ装置では、エアバッグは、車両のフロントドアに配設されるドアミラーの前側の領域に折り畳まれて収納されて、膨張完了時に、ドアミラー近傍となるフロントピラーの下端側の元部から先端にかけて延びている領域の前面側を覆う構成とされていた。詳細には、従来のエアバッグ装置において、エアバッグは、フロントピラーの元部から上下方向の中央付近にかけての領域の前面側を覆う長尺状のカバー膨張部と、カバー膨張部の上下の中央付近から突出するように配置されるとともにカバー膨張部とドアミラーとの間に介在されてドアミラーに支持される支持膨張部と、を有しており、このドアミラーに支持された支持膨張部によりカバー膨張部を支持させて、膨張完了時において歩行者を受け止めた際に、車外側への横ずれを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6957公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のエアバッグ装置のエアバッグでは、支持膨張部は、カバー膨張部の上下の中央付近から部分的にドアミラー側に向かって突出するように構成されていることから、膨張完了時のカバー膨張部の下端側の部位を的確に支持することができず、この下端側部位がぶれることにより、カバー膨張部の上端側部位がぶれる場合があって、カバー膨張部において、特に上端側部位の横ずれを、的確に防止する点に、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、フロントピラーの前面を迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグが、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、車両のフロントピラーにおける下端側の元部から先端にかけて延びている領域の前面側を覆い可能なエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
エアバッグが、
フロントピラーの下方における車両の側面のベルトライン付近に配置される収納部位内に、折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて収納部位から、突出しつつ膨張する構成とされて、
膨張完了時に、フロントピラーの下方の領域から、フロントピラーの前面にかけての領域を覆うように配置されるカバー膨張部と、
膨張完了時に、カバー膨張部の下面側において、下面側を車体側部材に支持されるように配置されて、カバー膨張部の下面側を支持する支持膨張部と、
を備える構成とされ、
エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、カバー膨張部内に内蔵されて、カバー膨張部とともに、収納部位に取り付けられ、
支持膨張部が、
元部側をカバー膨張部に連結され、先端側の縁部を収納部位に取り付けられて、
エアバッグの膨張完了時に、カバー膨張部に対して折り返されて、カバー膨張部側の壁部を、カバー膨張部を構成する壁部に接触させるようにして、車体側部材とカバー膨張部との間に介在されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のエアバッグ装置では、エアバッグが、膨張完了時にフロントピラーの下方の領域からフロントピラーの前面にかけてを覆うように配置されるカバー膨張部を、有する構成であるものの、カバー膨張部の下面側には、支持膨張部が、配設され、この支持膨張部は、カバー膨張部の下面側において、下面側を車体側部材に支持されるように配置されて、カバー膨張部の下面側を支持する構成である。換言すれば、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部は、カバー膨張部において、フロントピラーにおける下端側の元部を覆う下端側の部位の下面側を支持するように、構成されることから、エアバッグの展開膨張時に、カバー膨張部の下端側の部位を、ぶれを抑えて的確に支持することができ、展開膨張時に、上端側の部位が、車内外方向にぶれるように展開することを防止できて、カバー膨張部を、大きなぶれを抑えてフロントピラーの前面側を覆うように、迅速に膨張完了させることができる。
【0009】
また、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部は、膨張完了時に、カバー膨張部に対して折り返されて、カバー膨張部側の壁部を、カバー膨張部を構成する壁部に接触させるようにして、車体側部材とカバー膨張部との間に介在されていることから、支持膨張部は、カバー膨張部に対して、膨張用ガスの相互移動を抑えられた状態で、カバー膨張部の下面側を支持するように、配置されることとなる。そのため、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部が、高い内圧を維持した状態で、カバー膨張部を支持することができることから、歩行者を受け止めたカバー膨張部が、歩行者によって強く押圧されることとなっても、支持膨張部が、この押圧力を受けて、車外側へ横ずれすることを防止でき、カバー膨張部の車外側へ向かうような横ずれを的確に防止することができる。その結果、本発明のエアバッグ装置では、車外側への横ずれを抑えられた状態で、フロントピラーの前面を覆うカバー膨張部によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0010】
したがって、本発明のエアバッグ装置では、フロントピラーの前面を迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグが、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止することができる。
【0011】
また、本発明のエアバッグ装置において、カバー膨張部を、膨張完了時にフロントピラーの前面側を覆うように配置されるピラーカバー部と、膨張完了時にフロントピラーの側面側を覆うように配置されてピラーカバー部と支持膨張部とを連結する連結膨張部と、を備える構成とし、
ピラーカバー部と連結膨張部とを、膨張完了時にフロントピラー側に配置される車体側壁部と、車体側壁部に対向して配置される車外側壁部と、を、接触させるようにして構成される区画部により、相互に区画させ、
インフレーターを、連結膨張部内に内蔵させる構成とすることが、好ましい。
【0012】
上記構成のエアバッグ装置では、カバー膨張部の領域内に区画部を設けて、カバー膨張部をピラーカバー部と連結膨張部とに区画していることから、容積の増大を抑えることができるとともに、過度に厚く膨張することを防止できて、膨張完了時に、カバー膨張部によって、フロントピラーの前面側から側面側にかけての広い範囲を覆うことができる。また、インフレーターが、ピラーカバー部と支持膨張部とを連結する連結膨張部内に、内蔵されていることから、ピラーカバー部内と支持膨張部内とに迅速に膨張用ガスを流入させることができて、エアバッグ全体を迅速に膨張完了させることができる。
【0013】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、連結膨張部に、エアバッグの膨張完了時に、支持膨張部の元部からピラーカバー部にかけて延びるように、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセルを、配設させる構成とすれば、この連結膨張部における上下方向に延びる支柱のようなセルの部位によって、ピラーカバー部の下面側を支持させることができ、ピラーカバー部自体の車外側への横ずれを、一層的確に防止することができる。
【0014】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、支持膨張部の縁部を、インフレーターを収納部位に取り付ける取付手段を利用して、収納部位に取り付ける構成とすれば、支持膨張部の縁部を取り付ける取付手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーターと支持膨張部の縁部とを同時に収納部位に取り付けることができることから、製造工数も低減することができて、好ましい。
【0015】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、エアバッグに、カバー膨張部における支持膨張部から離れた先縁部側から延びて、先端を、収納部位に連結される連結ベルトを、配設させ、
連結ベルトを、エアバッグの膨張完了時に、保護膨張部とフロントピラーとの間に配置させて、先縁部を収納部位側に牽引するように、構成することが、好ましい。
【0016】
上記構成のエアバッグ装置では、エアバッグの展開膨張時に、カバー膨張部における支持膨張部から離れた側となる先縁部側の部位が、車体から大きく浮き上がることを防止できることから、膨張するカバー膨張部によって、フロントピラーの前面側を迅速に覆うことができる。また、歩行者を受け止めた際にも、カバー膨張部が、歩行者の押圧力を受けて、フロントピラーからずれるように移動することを防止できることから、カバー膨張部によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0017】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置において、連結ベルトの先端を、インフレーターを収納部位に取り付ける取付手段を利用して、収納部位に連結させる構成とすれば、連結ベルトの先端を連結させる連結手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーターと連結ベルトの先端とを同時に収納部位に取り付けることができることから、製造工数も低減することができて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大斜視図である。
【図2】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大側面図である。
【図3】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図4】実施形態のエアバッグ装置の搭載状態を示す概略縦断面図であり、図2のIV−IV部位を示す。
【図5】実施形態のエアバッグ装置に使用されるエアバッグを平らに展開した状態の平面図である。
【図6】図5のエアバッグの縦断面図であり、図5のVI−VI部位を示す。
【図7】図5のエアバッグを、単体で膨張させた状態を示す断面図である。
【図8】実施形態のエアバッグ装置の作動時において、エアバッグの膨張状態を示す概略縦断面図である。
【図9】実施形態のエアバッグ装置の作動時において、エアバッグの膨張状態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の他の形態であるエアバッグを平らに展開した状態の部分拡大平面図である。
【図11】図10のエアバッグを車両に搭載した状態での膨張状態を示す概略斜視図である。
【図12】本発明のさらに他の形態であるエアバッグを平らに展開した状態の部分拡大平面図である。
【図13】図12のエアバッグを車両に搭載した状態での膨張状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置Mは、図1〜3に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1の後側に隣接して配設される車両Vの側面を構成する各フロントドア13のベルトライン17付近に、搭載されている。左右の各フロントピラー1は、鋼板等からなるアウタパネル2、インナパネル3、及び、アウタパネル2とインナパネル3との間に配置されるリインホースメント4を、備えて構成されており、車両Vの構造体としての高い剛性を具備して、配設されている(図8参照)。なお、図1の符号6で示す部材は、窓枠ゴムであり、図1〜3の符号7で示す部材はフロントガラスである。また、図1〜3の符号8で示す部材はフードパネルであり、図1〜3の符号9で示す部材は、フロントバンパである。
【0020】
なお、本明細書において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の各方向に対応するものである。
【0021】
また、実施形態では、車両Vの右側に位置するフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグ42を備えたエアバッグ装置Mについて、詳細に説明する。左側のフロントピラーの前面側を覆うエアバッグを備えたエアバッグ装置は、右側のエアバッグ装置と左右対称形として、同一の構成であることから、左側のエアバッグ装置に関しては、説明を省略する。
【0022】
実施形態のエアバッグ装置Mが搭載されるフロントドア13は、フロントピラー1の後側に隣接して配設されるもので、図1〜3に示すように、フロントピラー1の後方に位置するサイドウィンド14と、サイドウィンド14の下方のドア部18と、を有するとともに、サイドウィンド14の前側の下隅付近に、ドアミラー27を、配設させて構成されている。サイドウィンド14は、ドアガラス15と、ドアガラス15の周囲に配置される窓枠部16と、を備えている。実施形態の場合、窓枠部16の下縁部16aが、ベルトライン17を構成している。ドア部18は、図4に示すように、間にドアガラス15を収納可能な隙間を有して配置される鋼板等からなるアウタパネル19及びインナパネル21と、インナパネル21の車内側を覆うように配置されるドアトリム23と、を備えており、アウタパネル19とインナパネル21との内側(ドアガラス15側)には、それぞれ、アウタリインホースメント20とインナリインホースメント22と、が、配設されている。また、アウタパネル19の上端側には、窓枠部16を構成するアウタモール24が配設され、アウタパネル19とインナパネル21との上端側には、ドアガラス15を摺動させるガラスウェザストリップ25が、配設されている。また、実施形態では、アウタリインホースメント20におけるエアバッグ装置Mが配設される領域の車内側Iに、エアバッグ装置M側への雨水や異物等の侵入を防止するシール部材32が、配設されている(図4参照)。
【0023】
ドアミラー27は、図1〜3に示すように、窓枠部16における下縁部16a(ベルトライン17)の前端16b近傍に取り付けられる取付ベース29と、取付ベース29の上面側に回動可能に取り付けられるミラー本体28と、を備えている。詳細には、取付ベース29は、フロントピラー1の下端側の元部1bの下側に接近して配設されている(図1,2参照)。実施形態の場合、取付ベース29は、後端側に、ミラー本体28を配設させるとともに、ミラー本体28を取り付けた部位の前方側の領域に、エアバッグ装置Mを配設させている構成である。また、取付ベース29は、車内側(左側)に配置されてアウタリインホースメント20に取り付けられる板金製の取付部材30と、取付部材30の車外側(右側)を覆うように配置される合成樹脂製のカバー部材31と、を備えており、実施形態の場合、取付部材30が、エアバッグ装置Mにおいて折り畳まれたエアバッグ42とインフレーター37とを収納する収納部位Pとしてのケース33を構成し、カバー部材31が、エアバッグ装置Mにおいて折り畳まれたエアバッグ42を覆うエアバッグカバー34を構成している(図4参照)。すなわち、実施形態の場合、エアバッグ装置Mは、ベルトライン17近傍となるドアミラー27の取付ベース29の部位に、搭載されている。
【0024】
エアバッグ装置Mは、図4に示すように、可撓性を有した袋状のエアバッグ42と、エアバッグ42に膨張用ガスを供給するインフレーター37と、を備えて構成されている。折り畳まれたエアバッグ42とインフレーター37とを収納する収納部位Pは、ドアミラー27の前端付近である取付ベース29の前側の領域から、構成されており、折り畳まれたエアバッグ42とインフレーター37を収納するケース33は、上述したごとく、取付ベース29の取付部材30から構成され、エアバッグ42の車外側Oを覆うエアバッグカバー34は、取付ベース29のカバー部材31から構成されている(図4参照)。
【0025】
ケース33は、図4に示すように、取付部材30から連なるように構成されるもので、底壁部33aと、底壁部33aから延びる周壁部33bと、を備える構成とされて、車外側Oを開口させるように構成されている。実施形態の場合、ケース33は、底壁部33aを、アウタリインホースメント20に接触させるように構成されており、インフレーター37をケース33に取り付ける取付手段としてのボルト38aを、底壁部33aから突出させて、アウタリインホースメント20にナット39止めすることにより、車体側部材であるアウタリインホースメント20に、取り付けられている。
【0026】
エアバッグカバー34は、取付部材30から連なるように構成されるもので、ケース33の開口33cを覆う扉部34aと、扉部34aの周縁から車内側Iに延びてケース33の周壁部33bに取り付けられる取付壁部34bと、を有している(図4参照)。扉部34aは、エアバッグ42の膨張時に開いて、ケース33の開口33cから膨張するエアバッグ42を突出させるように構成されており、実施形態の場合、開き時に、図8に示すように、下端側を回転中心として、上端を車外側下方に向かって開かせるような下開きとして構成されて、下端側を除いた周縁に、エアバッグ42の膨張時に破断可能な破断予定部(図符号省略)を、配設させている。
【0027】
インフレーター37は、図4に示すように、軸方向を前後方向に略沿わせたシリンダタイプとされるもので、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を備えるとともに、板金製のディフューザー38により周囲を保持されている。インフレーター37は、エアバッグ42の後述する連結膨張部51の下側部位54内に内蔵された状態で、ディフューザー38に設けられる取付手段としてのボルト38aを、下側部位54から突出させ、さらに、ケース33の底壁部33aから突出させた状態でドア部18のアウタリインホースメント20にナット39止めすることにより、エアバッグ42とともに、ケース33に固定されている。なお、実施形態の場合、図示しないが、インフレーター37のボルト38aは、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。また、このインフレーター37は、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号を入力させて、膨張用ガスをエアバッグ42内に供給することとなる。エアバッグ作動回路は、車両Vのフロントバンパ9に配置されて歩行者との衝突を検知可能なセンサSE(図1,2参照)からの信号を入力した際に、インフレーター37を作動させることとなる。
【0028】
エアバッグ42は、図5,6に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能に可撓性を有した袋状とされるバッグ本体43を、有するもので、バッグ本体43は、カバー膨張部49と、膨張完了時にカバー膨張部49の下面側に配置される支持膨張部56と、を備えている。また、エアバッグ42は、実施形態の場合、バッグ本体43と別体とされて、カバー膨張部49をケース33側に連結する連結ベルト60を、有している。なお、図5において、上側が、平らに展開した状態のエアバッグにおいて、車両搭載時における左側であり、下側が、平らに展開した状態のエアバッグにおいて、車両搭載時における右側である。
【0029】
実施形態の場合、バッグ本体43は、膨張完了時にフロントピラー1側に配置される車体側壁部43bと、車体側壁部43bに対向して配置される車外側壁部43aと、を有して、平らに展開した状態の車体側壁部43bと車外側壁部43aとの周縁相互を結合させた平面バッグとして、構成されている。具体的には、バッグ本体43は、外形形状を、カバー膨張部49と支持膨張部56とを左右方向側で連結させた形状としている。実施形態の場合、バッグ本体43は、ポリエステル糸やポリアミド糸等を使用した袋織りから、形成されている。また、実施形態の場合、バッグ本体43は、平らに展開した状態の外形形状を、前後方向側に延びる縦領域部43cと、縦領域部43cの前端から右側に延びる横領域部43dと、を有した略逆L字形状として、構成されている(図5参照)。
【0030】
そして、バッグ本体43は、外周縁の全周にわたって形成される周縁部44と、周縁部44に囲まれる領域内の所定箇所に形成される区画部45,46及び厚さ規制部47の部位と、を、車外側壁部43aと車体側壁部43bとを結合(接触)させるようにして、膨張用ガスを流入させない構成とし、残りの領域を、車外側壁部43aと車体側壁部43bとを離すようにして内部に膨張用ガスを流入可能に、構成されている。区画部45は、図5に示すように、周縁部44における縦領域部43cと横領域部43dとの境界部位から延びて、縦領域部43c側(左方)に向かって突出するような逆U字形状とされるもので、縦領域部43cと横領域部43dの境界部位から右方に延びるように左右方向に略沿って形成される後横棒部45aと、後横棒部45aの前方において後横棒部45aと略平行として形成される前横棒部45bと、後横棒部45aの左端と前横棒部45bの左端とを連結するように前後方向に略沿って形成される縦棒部45cと、を備えている。この縦棒部45cは、縦領域部43cの左右方向の中央より右側となる位置に、配設されており、実施形態のエアバッグ42では、後述するごとく、ピラーカバー部50と連結膨張部51との境界を構成している。区画部46は、横領域部43dの右端近傍において、前後方向に沿うような略直線状として、周縁部44の前側部位44c及び後側部位44dと連結されるとともに、断続的に、形成されている。実施形態の場合、区画部46と周縁部44における左側部位44bとの離隔距離は、区画部46と区画部45における前横棒部45bの右端との離隔距離と、略同一に、設定されている。厚さ規制部47は、略円形として、区画部45における前横棒部45bの後方であって、縦棒部45cと区画部46との間の中央より左寄りであって、前横棒部45bと周縁部44との間の略中央となる位置に、配設されている。
【0031】
カバー膨張部49は、図9に示すように、エアバッグ42の膨張完了時に、フロントピラー1の下方におけるドアミラー27の前側の領域から、フロントピラー1の前面1aにかけてを、覆うように配置されるもので、実施形態の場合、膨張完了時にフロントピラー1の前面1a側を覆うように配置されるピラーカバー部50と、膨張完了時にフロントピラー1の側面側を覆うように配置される連結膨張部51と、を備えている。
【0032】
ピラーカバー部50は、図8,9に示すように、膨張完了時に、フロントピラー1の前面1a側を、フロントピラー1の元部1bから上下方向の中央付近にかけて覆うように、構成されるもので、実施形態の場合、膨張完了時の後端50aを、ミラー本体28より後方に位置させるように、構成されている。実施形態の場合、ピラーカバー部50は、図5,6に示すように、平らに展開した状態のバッグ本体43における縦領域部43cにおいて、区画部45の縦棒部45cより左側の領域から、構成されている。換言すれば、ピラーカバー部50と連結膨張部51との境界部位は、区画部45の縦棒部45cから構成されている。
【0033】
連結膨張部51は、図8,9に示すように、膨張完了時に、ピラーカバー部50に対して折れ曲がるように配置されて、フロントピラー1の側面からフロントドア13におけるドア部18の上端の側面側にかけてを、覆うように、構成されている。実施形態の場合、連結膨張部51は、ピラーカバー部50と、ピラーカバー部50の下方に配置される支持膨張部56と、を連結するように、ピラーカバー部50と支持膨張部56との間に介在されている。また、実施形態の場合、バッグ本体43は、膨張完了時に、区画部45における縦棒部45cの部位で折れ曲がるようにして、フロントピラー1の周囲に配置されることとなる(図8,9参照)。実施形態の場合、連結膨張部51は、バッグ本体43において、区画部45の縦棒部45cと、区画部46との間の領域から、構成されるものであり、換言すれば、膨張完了時の前端51aを、ピラーカバー部50の前端50bと略一致させるように、構成されている。すなわち、連結膨張部51は、膨張完了時に、ピラーカバー部50における前端50b側の領域(フロントピラー1の前面1aにおける元部1b側の部位を覆う領域)から連なるように、構成されている。また、連結膨張部51は、膨張完了時の後下端側を、切り欠いて、構成されている(図5,9参照)。連結膨張部51において、後下端側の切欠部分52は、膨張完了時に、ミラー本体28を強く押圧することを防止して、ミラー本体28を迂回するために、形成されている。そして、連結膨張部51は、ピラーカバー部50の後端50aから連なるように形成される後上端側部位51bを、膨張完了時に、ミラー本体28の上面側に載置させるようにして、配置されることとなる。すなわち、エアバッグ42は、連結膨張部51の後上端側部位51bの下面側を、ミラー本体28に支持させるようにして、膨張を完了させることとなる。
【0034】
また、連結膨張部51の前端51a側において、区画部45の前横棒部45bと周縁部44とに囲まれる領域は、エアバッグ42の膨張完了時に、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53を、構成している(図5,9参照)。このセル53は、膨張完了時に、支持膨張部56の元部56a(平らに展開した状態の左端)からピラーカバー部50にかけて連続的に延びるように、配置されることとなる。
【0035】
また、連結膨張部51において、平らに展開した状態の厚さ規制部47より右側の領域であって、膨張完了時に厚さ規制部47の下方に配置される下側部位54は、図5,8に示すように、内部にインフレーター37を内蔵させる部位であり、車体側壁部43bに、インフレーター37のボルト38aを挿通させるための挿通孔54aを、配設させている(図5,6参照)。挿通孔54aは、実施形態の場合、インフレーター37のボルト38aに対応して、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。この下側部位54は、エアバッグ42の膨張完了時に、車体側壁部43bにおける挿通孔54aの周囲の部位を、ケース33の内部に引き込まれるようにして、配置されることとなる。
【0036】
支持膨張部56は、エアバッグ42の膨張完了時、下面56c側となる車内側Iを、フロントドア13におけるアウタパネル19に支持されるように、カバー膨張部49の下面側に配置されることとなる(図8,9参照)。この支持膨張部56は、下面56c側(車内側I)をアウタパネル19によって支持されて、カバー膨張部49の下面側(詳細には連結膨張部51の下面51c側)を支持する構成とされている。実施形態の場合、支持膨張部56は、平らに展開した状態のバッグ本体43における横領域部43dにおいて、区画部46より右側の領域から、構成される(図5参照)。すなわち、支持膨張部56は、周縁部44と区画部46とに囲まれる領域から構成されるものであり、換言すれば、膨張完了時における連結膨張部51の下側の領域(平らに展開した状態における右側の領域)から連なるようにして、前後方向の幅寸法を、連結膨張部51における下側の領域の前後方向の幅寸法と略一致させて、構成されている。そして、支持膨張部56は、元部56a側(バッグ本体43を平らに展開した状態における左端側)を、カバー膨張部49における連結膨張部51に連結させた構成とされている。
【0037】
また、支持膨張部56は、元部56aから離れた先端56b側(平らに展開した状態における右端側)となる周縁部44の右側部位44aに、インフレーター37のボルト38aを挿通可能な挿通孔57を、備えており、この挿通孔57にインフレーター37のボルト38aを挿通させ、この挿通孔57の周縁の部位を、インフレーター37及びエアバッグ42における連結膨張部51とともに、ケース33に取り付けられている(図5,7参照)。挿通孔57は、インフレーター37のボルト38aに対応して、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。そして、具体的には、支持膨張部56は、車体側壁部43bを連結膨張部51の車体側壁部43bに接触させるように、区画部46の部位で、折目C(図5〜7参照)を付けて、連結膨張部51に対して折り返されて、挿通孔57にボルト38aを挿通されることとなる。また、支持膨張部56と連結膨張部51とを区画している区画部46は、断続的に形成されており、各区画部46間の部位が、連通部58として、支持膨張部56と連結膨張部51を連通している(図5参照)。実施形態の場合、連通部58は、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。
【0038】
そして、支持膨張部56は、エアバッグ42の膨張完了時に、元部56a側を車外側Oに位置させ、先端56b側をケース33側となる車内側Iに位置させるように、折目Cの部位で連結膨張部51に対して折り返された状態で、連結膨張部51側となる車体側壁部43bを、連結膨張部51を構成する車体側壁部43b(下面51c)に接触させ、車外側壁部43aからなる下面57c側を、車体側部材であるフロントドア13のアウタパネル19に支持させるようにして、アウタパネル19と連結膨張部51との間に介在されて、連結膨張部51の下面51c側を支持することとなる(図8,9参照)。
【0039】
連結ベルト60は、図5,6に示すように、バッグ本体43と別体とされて、ポリエステル糸やポリアミド糸からなる織布から構成されるもので、平らに展開したバッグ本体43における周縁部44の左側部位44bに、元部60aを縫着されている。換言すれば、連結ベルト60は、カバー膨張部49のピラーカバー部50において、支持膨張部56から離れた左縁50c(先縁部)から左右方向に略沿って延びるように、構成されている。実施形態の場合、連結ベルト60は、幅広として、前後方向の幅寸法を、バッグ本体43における横領域部43dの前後の幅寸法の1/2程度として、構成されている。また、連結ベルト60の先端60b側には、インフレーター37のボルト38aを挿通可能な挿通孔61が、形成されている。この挿通孔61は、インフレーター37のボルト38aに対応して、前後方向に沿った2箇所に、形成されるもので、実施形態では、連結ベルト60の先端60b側は、インフレーター37のボルト38aを利用して、インフレーター37及びエアバッグ42の連結膨張部51とともに、ケース33の底壁部33aに連結されている。この連結ベルト60は、エアバッグ42の膨張完了時に、図8に示すように、カバー膨張部49とフロントピラー1との間に、配置されることとなる。そして、連結ベルト60は、長さ寸法を、エアバッグ42の膨張完了時に、ピラーカバー部50の左縁50c(先縁部)を、ケース33側に牽引して、ピラーカバー部50の左縁50cを、フロントピラー1から浮き上がらせることを防止可能とし、かつ、ピラーカバー部50の迅速な展開を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。また、実施形態の場合、連結ベルト60の先端60bに設けられる挿通孔61は、フロントピラー1がケース33に対して傾斜していることを考慮して、後側に配設される挿通孔61Bの挿通孔54aからの離隔距離を、前側に配設される挿通孔61Fの挿通孔54aからの離隔距離よりも大きくするように、構成されており、連結ベルト60の先端60bも、挿通孔61F,61Bに対応して、前後方向に対して傾斜して、構成されている(図5参照)。
【0040】
実施形態の場合、エアバッグ42は、ボルト38aを挿通孔54aから突出させるようにして、連結膨張部51における下側部位54にインフレーター37を内蔵させ、支持膨張部56を、車体側壁部43bを連結膨張部51の車体側壁部43bに対向させるように、連結膨張部51に対して折り返して、周縁部44の右側部位44a(支持膨張部56の先端56b)に形成される挿通孔57にボルト38aを挿通させた状態で、ケース33内に収納可能な所定形状に折り畳まれることとなる。そして、折り畳まれたバッグ本体43は、連結ベルト60の先端60bに形成される挿通孔61にボルト38aを挿通させた状態で、インフレーター37とともにケース33内に収納されることとなる。そして、ケース33の底壁部33aから突出しているボルト38aを、フロントドア13におけるアウタリインホースメント20にナット39止めすれば、インフレーター37とエアバッグ42とをケース33に取り付けることができると同時に、支持膨張部56の先端56b側の縁部(周縁部44における右側部位44a)と、連結ベルト60の先端60bと、を、ケース33に取り付けることができる。
【0041】
この実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vへの搭載後、インフレーター37が作動されれば、インフレーター37から吐出される膨張用ガスがエアバッグ42内に流入して、膨張するエアバッグ42がエアバッグカバー34を押し開き、ケース33の開口33cから突出したエアバッグ42が、図1〜3の二点鎖線及び図8,9に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0042】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、膨張完了時にフロントピラー10の下方となるドアミラー27の前側の領域からフロントピラー10の前面10aにかけてを覆うように配置されるカバー膨張部49を、有する構成であるものの、カバー膨張部49の下面側(連結膨張部51の下面51c側)には、支持膨張部56が、配設され、この支持膨張部56は、ドアミラー27におけるミラー本体28の前側の領域において、下面56c側を車体側部材であるフロントドア13のアウタパネル19に支持されるように配置されて、カバー膨張部49の下面側(連結膨張部51の下面51c側)を支持する構成である(図8参照)。換言すれば、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56は、カバー膨張部49において、フロントピラー10の元部10bを覆う下端側の部位の下面側(連結膨張部51の下面51c側)を支持するように、構成されることから、エアバッグ42の展開膨張時に、カバー膨張部49の下端側の部位(連結膨張部51からピラーカバー部50における前端50bにかけての部位)を、ぶれを抑えて的確に支持することができ、展開膨張時に、上端側の部位であるピラーカバー部50の後端50a側の部位が、車内外方向にぶれるように展開することを防止できて、カバー膨張部49を、大きなぶれを抑えてフロントピラー10の前面10a側を覆うように、迅速に膨張完了させることができる。
【0043】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56は、膨張完了時に、カバー膨張部49に対して折り返されて、カバー膨張部49側の車体側壁部43bを、カバー膨張部49における連結膨張部51の車体側壁部43bに接触させるようにして、車体側部材であるアウタパネル19とカバー膨張部49の連結膨張部51との間に介在されていることから、支持膨張部56は、カバー膨張部49に対して、膨張用ガスの相互移動を抑えられた状態で、カバー膨張部49の下面側(連結膨張部51の下面51c側)を支持するように、配置されることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56が、高い内圧を維持した状態で、カバー膨張部49を支持することができることから、歩行者を受け止めたカバー膨張部49が、歩行者によって強く押圧されることとなっても、支持膨張部56が、この押圧力を受けて、車外側へ横ずれすることを防止でき、カバー膨張部49の車外側へ向かうような横ずれを的確に防止することができる。その結果、実施形態のエアバッグ装置Mでは、車外側への横ずれを抑えられた状態で、フロントピラー10の前面10aを覆うカバー膨張部49によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0044】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、フロントピラー1の前面1aを迅速に覆うことができて、かつ、膨張完了時のエアバッグ42が、歩行者の受け止め時の横ずれを的確に防止することができる。
【0045】
詳細に説明すれば、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー膨張部49は、膨張完了時にフロントピラー10の前面10aを覆うピラーカバー部50と、ピラーカバー部50においてフロントピラー10の元部10bを覆う前端50b側の部位から折れ曲がるように延びてミラー本体28の前方側の領域を覆う連結膨張部51と、を備えており、このピラーカバー部50と連結膨張部51とは、前縁を一致させるように構成されている。すなわち、連結膨張部51は、ピラーカバー部50に対して前縁側を部分的に凹ませるような凹部を備えていないことから、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部50自体の前端50bが、連結膨張部51に対してぶれることを防止できる。また、支持膨張部56は、膨張完了時の前後方向の幅寸法を、連結膨張部51と同一に設定されていることから、支持膨張部56によって、連結膨張部51の下面51c側を前後の全域にわたって支持させることができる。そのため、下面51c側を前後の全域にわたって支持膨張部56に支持される連結膨張部51を介して、ピラーカバー部50が、支持膨張部56に支持されることから、ピラーカバー部50が、車外側へ横ずれすることを、的確に防止することができる。
【0046】
また、特に、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56と連結膨張部51との間は、断続的に隙間を設けられた直線状の区画部46によって、断続的に区画されており、支持膨張部56は、連結膨張部51に対して、この区画部46の部位で折目Cを付けて、車体側壁部43b側に折り返されることとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42の膨張完了時において、この区画部46が、折り返しの起点を構成するような態様となり、連結膨張部51に対する支持膨張部56の折り返し状態を、維持しやすく、また、支持膨張部56と連結膨張部51とは、区画部46間の部位からなる連通部58の部位でのみ連通されることから、膨張用ガスの相互移動を極力抑えられることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56の配置位置を安定させることができ、また、支持膨張部56と連結膨張部51との間の膨張用ガスの相互移動を極力抑えることができることから、支持膨張部56により、安定して、連結膨張部51の下面51c側を支持させることができる。さらに、実施形態では、エアバッグ装置Mが、ドアミラー27の前側に搭載されており、膨張完了時に、ピラーカバー部50は、後端50aを、連結膨張部51の後上端側部位51bを介して、ミラー本体28に支持されることから、支持膨張部56とミラー本体28とによって、前後の略全域にわたって、下面側を支持されることとなり、安定して車外側への横ずれを抑えることができる。
【0047】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー膨張部49の領域内に、車体側壁部43bと車外側壁部43aとを接触させるようにして構成される区画部45を設けて、この区画部45により、カバー膨張部49をピラーカバー部50と連結膨張部51とに区画していることから、容積の増大を抑えることができるとともに、過度に厚く膨張することを防止できて、膨張完了時に、カバー膨張部49によって、フロントピラー1の前面1a側から側面側にかけての広い範囲を覆うことができる。勿論、このような点を考慮しなければ、車外側壁部と車体側壁部とを連結するテザーを、エアバッグ内に配設させ、このテザーによって、ピラーカバー部と連結膨張部とを、区画するように、構成してもよい。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、インフレーター37が、ピラーカバー部50と支持膨張部56とを連結する連結膨張部51内に、内蔵されていることから、ピラーカバー部50内と支持膨張部56内とに迅速に膨張用ガスを流入させることができて、エアバッグ42全体を迅速に膨張完了させることができる。
【0048】
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、連結膨張部51に、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部56の元部56aからピラーカバー部50にかけて延びるように、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53を、配設させていることから、この連結膨張部51における上下方向に延びる支柱のようなセル53の部位によって、ピラーカバー部50の下面側を支持させることができ、ピラーカバー部50自体の車外側への横ずれを、一層的確に防止することができる。特に、実施形態のエアバッグ42では、セル53は、図9に示すように、膨張完了時の連結膨張部51の前端側(エアバッグ42の前端側)に配設されていることから、セル53によって、ピラーカバー部50における前端50bの下面側を的確に支持させることができる。このような点を考慮しなければ、連結膨張部に、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセルを配置させなくともよく、また、セルの配置位置も、後述する図10,11のエアバッグ42Aに示すごとく、膨張完了時における連結膨張部51Aの後端側に、配置させる構成としてもよい。
【0049】
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部56の先端56b側の縁部(周縁部44における右側部位44a)を、インフレーター37のボルト38aを利用して、ケース33に取り付けていることから、支持膨張部の縁部を取り付ける取付手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーター37と支持膨張部56の先端56b側の縁部とを同時にケース33に取り付けることができることから、製造工数も低減することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、支持膨張部の縁部をインフレーターとともに共締めしなくともよく、ボルト等の取り付け手段を利用して、別途ケース側に取り付ける構成としてもよい。
【0050】
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー膨張部49における支持膨張部56から離れたピラーカバー部50の左縁50c(先縁部)が、連結ベルト60によって、ケース33側に連結されていることから、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部50の左縁50c側が、車体(フロントガラス7)から大きく浮き上がることを防止できて、膨張するカバー膨張部49によって、フロントピラー10の前面10a側を迅速に覆うことができる。また、歩行者を受け止めた際にも、カバー膨張部49が、歩行者の押圧力を受けて、フロントピラー10からずれるように移動することを防止できることから、カバー膨張部49によって、歩行者を的確に受け止めることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、エアバッグとして、連結ベルトを備えない構成のものを使用してもよい。
【0051】
また、実施形態では、この連結ベルト60の先端60bを、インフレーター37のボルト38aを利用して、ケース33に連結させていることから、連結ベルトの先端を連結させる連結手段を別途使用する必要がなく、部品点数を低減できるとともに、また、インフレーター37と連結ベルト60の先端60bとを同時にケース33に取り付けることができることから、製造工数も低減することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、連結ベルト60をインフレーター37とともに共締めしなくともよく、ボルト等の取り付け手段を利用して、別途ケース側に取り付ける構成としてもよい。
【0052】
なお、実施形態では、エアバッグ42として、外形形状を一致させた車外側壁部43aと車体側壁部43bとの周縁相互を結合させた平面バッグからなるものを使用しているが、エアバッグとしては、カバー膨張部と支持膨張部とを別体の袋状として、相互に連通可能なように所定箇所で連結させた立体バッグ等を使用してもよい。また、実施形態では、バッグ本体43を袋織りから構成しているが、勿論、バッグ本体を、周縁相互を縫合糸を用いて結合させる縫合バッグから、構成してもよい。さらに、エアバッグにおけるバッグ本体の形状は、上記に限られるものではなく、例えば、図11,12に示すエアバッグ42Aや、図13,14に示すエアバッグ42Bを、使用してもよい。これらのエアバッグ42A,422Bでは、バッグ本体43A,43Bは、前述のエアバッグ42におけるバッグ本体43と略同一の外形形状として、その領域内に形成される区画部の形状や配置位置を、前述のエアバッグ42と異ならせている。また、エアバッグ42A,42Bに使用される連結ベルト60は、前述のエアバッグ42の連結ベルト60と同様の構成である。
【0053】
図11に示すエアバッグ42Aのバッグ本体43Aの領域内には、3つの区画部63,64,65が、配設されている。区画部63は、周縁部44Aにおける縦領域部43cと横領域部43dとの境界部位から右方に延びるように左右方向に略沿って形成される横棒部63aと、横棒部63aの右端から前後両側に延びるように前後方向に略沿って配設される縦棒部63bと、を備えている。縦棒部63bは、縦領域部43cの左右方向の略中央となる位置に、配置されている。区画部64は、縦領域部43cの右端の前方となる位置において、周縁部44Aにおける前側部位44cから、後方に延びるように、前後方向に略沿って形成されている。区画部64の後端は、区画部63における縦棒部63bの前端と、左右方向側で略一致した位置に、形成されている。区画部65は、横領域部43dの右端近傍において、前後方向に沿うような略直線状として、周縁部44の後側部位44dから前方に延びるように、形成されている。区画部65は、連結膨張部51Aと支持膨張部56Aとを区画している。区画部65は、前端と、周縁部44における前側部位44cとの間に隙間を設けるように構成されており、この隙間が、支持膨張部56Aと連結膨張部51Aとを連通させる連通部58Aを、構成している。そして、このバッグ本体43Aでは、図11に示すように、区画部63の縦棒部63bは、ピラーカバー部50Aの領域に配置されることとなり、バッグ本体43Aにおいて、区画部63,65と、区画部64の後端と、に囲まれる平面視において略長方形状の領域が、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53Aを、構成している。すなわち、このエアバッグ42Aでは、セル53Aが、ピラーカバー部50Aの領域内に入り込むようにして、連結膨張部51Aの膨張完了時の後端側に、配置されている。
【0054】
図13に示すエアバッグ42Bのバッグ本体43Bの領域内には、3つの区画部67,68,65Bが、配設されている。区画部67は、縦領域部43cの領域内において、周縁部44Aにおける前側部位44cから前方に延びるように、前後方向に略沿って形成されている。この区画部67は、縦領域部43cの左右方向の略中央となる位置に、配置されている。区画部68は、周縁部44Aにおける縦領域部43cと横領域部43dとの境界部位から前方に延びるように前後方向に略沿って形成されるものであり、前端側に、長手方向を略左右方向に沿わせた略楕円状の厚さ規制部68aを、有している。区画部65Bは、前述のバッグ本体43Aと同様に、連結膨張部51Bと支持膨張部56Bとを区画するように、横領域部43dの右端近傍において、前後方向に沿うような略直線状として、周縁部44の後側部位44dから前方に延びるように、形成されている。そして、このバッグ本体43Bにおいても、図12に示すように、区画部67が、ピラーカバー部50Bの領域に配置されている。また、このバッグ本体43Bにおいては、区画部68の厚さ規制部68aの前方側の領域が、連結膨張部51Bにおいて、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセル53Bを、構成することとなる。
【0055】
これらのエアバッグ42A,42Bでは、ピラーカバー部50A,50Bが、膨張用ガスを流入させない区画部63の縦棒部63bや区画部67によって、左右方向に沿った2室に区画される領域を有することから、エアバッグ42A,42Bの膨張完了時に、ピラーカバー部50A,50Bが断面を略円形として膨らむことを防止でき、膨張完了形状を、過度に厚くなることを防止された略板状とすることができて、左右に広い範囲で、フロントピラー1の前面1aを覆うことができる。このような区画部の配置位置は、エアバッグ42,42A,42Bに限られるものではなく、車両の外形形状等に応じて、任意に変更可能である。
【0056】
なお、実施形態では、エアバッグ装置Mは、ドアミラー27における取付ベース29の部位に、搭載されているが、エアバッグ装置の搭載位置はこれに限られるものではなく、ドアミラーの前側付近のフロントドアや、ドアミラノ前側付近であってフロントドアの前方に位置する車両のボディ側の部位に、エアバッグ装置を搭載させてもよい。また、本発明のエアバッグ装置は、フェンダーミラーを有して、ドアミラーを備えないフロントドアを有する車両の場合にも搭載することができ、このような車両においては、フロントドアや、フロントドアの前方に位置する車両のボディ側の部位であって、フロントピラーの下端近傍にとなる位置に、搭載させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…フロントピラー、
1a…前面、
1b…元部、
13…フロントドア、
14…サイドウィンド、
27…ドアミラー、
33…ケース、
37…インフレーター、
38a…ボルト(取付手段)、
42,42A,42B…エアバッグ、
43a…車外側壁部、
43b…車体側壁部、
45,46…区画部、
49…カバー膨張部、
50…ピラーカバー部、
50c…左縁(先縁部)、
51…連結膨張部、
51c…下面、
53…セル、
56…支持膨張部、
56a…元部、
56b…先端、
57…挿通孔、
60…連結ベルト、
60a…元部、
60b…先端、
61…挿通孔、
P…収納部位、
V…車両、
M…エアバッグ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントピラーにおける下端側の元部から先端にかけて延びている領域の前面側を覆い可能なエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、
前記フロントピラーの下方における前記車両の側面のベルトライン付近に配置される収納部位内に、折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて前記収納部位から、突出しつつ膨張する構成とされて、
膨張完了時に、前記フロントピラーの下方の領域から、前記フロントピラーの前面にかけての領域を覆うように配置されるカバー膨張部と、
膨張完了時に、前記カバー膨張部の下面側において、下面側を車体側部材に支持されるように配置されて、前記カバー膨張部の下面側を支持する支持膨張部と、
を備える構成とされ、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、前記カバー膨張部内に内蔵されて、前記カバー膨張部とともに、前記収納部位に取り付けられ、
前記支持膨張部が、
元部側を前記カバー膨張部に連結され、先端側の縁部を前記収納部位に取り付けられて、
前記エアバッグの膨張完了時に、前記カバー膨張部に対して折り返されて、前記カバー膨張部側の壁部を、前記カバー膨張部を構成する壁部に接触させるようにして、前記車体側部材と前記カバー膨張部との間に介在されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記カバー膨張部が、膨張完了時に前記フロントピラーの前面側を覆うように配置されるピラーカバー部と、膨張完了時に前記フロントピラーの側面側を覆うように配置されて前記ピラーカバー部と前記支持膨張部とを連結する連結膨張部と、を備え、
前記ピラーカバー部と前記連結膨張部とが、膨張完了時にフロントピラー側に配置される車体側壁部と、該車体側壁部に対向して配置される車外側壁部と、を、接触させるようにして構成される区画部により、相互に区画される構成とされ、
前記インフレーターが、前記連結膨張部内に内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記連結膨張部が、前記エアバッグの膨張完了時に、前記支持膨張部の元部から前記ピラーカバー部にかけて延びるように、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセルを、有していることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記支持膨張部の縁部が、前記インフレーターを前記収納部位に取り付ける取付手段を利用して、前記収納部位に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記エアバッグが、前記カバー膨張部における前記支持膨張部から離れた先縁部側から延びて、先端を、前記収納部位に連結される連結ベルトを、備え、
該連結ベルトが、前記エアバッグの膨張完了時に、前記カバー膨張部と前記フロントピラーとの間に配置されて、前記先縁部を、前記収納部位側に牽引するように、構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記連結ベルトの先端が、前記インフレーターを前記収納部位に取り付ける取付手段を利用して、前記収納部位に連結されていることを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ装置。
【請求項1】
車両のフロントピラーにおける下端側の元部から先端にかけて延びている領域の前面側を覆い可能なエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、
前記フロントピラーの下方における前記車両の側面のベルトライン付近に配置される収納部位内に、折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて前記収納部位から、突出しつつ膨張する構成とされて、
膨張完了時に、前記フロントピラーの下方の領域から、前記フロントピラーの前面にかけての領域を覆うように配置されるカバー膨張部と、
膨張完了時に、前記カバー膨張部の下面側において、下面側を車体側部材に支持されるように配置されて、前記カバー膨張部の下面側を支持する支持膨張部と、
を備える構成とされ、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、前記カバー膨張部内に内蔵されて、前記カバー膨張部とともに、前記収納部位に取り付けられ、
前記支持膨張部が、
元部側を前記カバー膨張部に連結され、先端側の縁部を前記収納部位に取り付けられて、
前記エアバッグの膨張完了時に、前記カバー膨張部に対して折り返されて、前記カバー膨張部側の壁部を、前記カバー膨張部を構成する壁部に接触させるようにして、前記車体側部材と前記カバー膨張部との間に介在されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記カバー膨張部が、膨張完了時に前記フロントピラーの前面側を覆うように配置されるピラーカバー部と、膨張完了時に前記フロントピラーの側面側を覆うように配置されて前記ピラーカバー部と前記支持膨張部とを連結する連結膨張部と、を備え、
前記ピラーカバー部と前記連結膨張部とが、膨張完了時にフロントピラー側に配置される車体側壁部と、該車体側壁部に対向して配置される車外側壁部と、を、接触させるようにして構成される区画部により、相互に区画される構成とされ、
前記インフレーターが、前記連結膨張部内に内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記連結膨張部が、前記エアバッグの膨張完了時に、前記支持膨張部の元部から前記ピラーカバー部にかけて延びるように、上下方向に略沿った略棒状に膨張するセルを、有していることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記支持膨張部の縁部が、前記インフレーターを前記収納部位に取り付ける取付手段を利用して、前記収納部位に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記エアバッグが、前記カバー膨張部における前記支持膨張部から離れた先縁部側から延びて、先端を、前記収納部位に連結される連結ベルトを、備え、
該連結ベルトが、前記エアバッグの膨張完了時に、前記カバー膨張部と前記フロントピラーとの間に配置されて、前記先縁部を、前記収納部位側に牽引するように、構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記連結ベルトの先端が、前記インフレーターを前記収納部位に取り付ける取付手段を利用して、前記収納部位に連結されていることを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−235007(P2010−235007A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86475(P2009−86475)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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