説明

エアフィルタおよびそれを搭載したファンフィルタユニット

【課題】エアフィルタの上流側に配置した機器の運転状態を下流側から容易に視認することを目的としている。
【解決手段】ファン9とモータ8とを内部に有したファンモータユニット7と、その下流側にエアフィルタ1を有したファンフィルタユニット11において、前記エアフィルタ1は、その枠体3にLEDランプ5を埋め込んである。LEDランプ5は、ファンフィルタユニット11の運転と連動して発光することにより、運転状態を容易に視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体やフラットパネルディスプレイ等を製造する製造装置あるいはそれらの検査装置等において、清浄な空気を必要とする環境下で使用されるエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清浄空気を必要とされる空間であるクリーンルーム等の天井面に配設されるエアフィルタは、上流側の状況を下流側から容易に確認できることが求められている。図7に示すように、クリーンルームの天井面設備の運転状況を確認することができるクリーンユニット本体102のフィルタ支持装置として、エアフィルタ101を保持したクリーンユニット支持枠103に運転表示ユニット104(LEDランプなど)を組み込んだものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−193929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のフィルタ支持装置として上流にあるクリーンユニットの運転表示が組み込める支持枠が必要となり、施工面において特殊な支持枠を用いなければならない。また支持枠は表示可能な枠幅が必要であり、その枠幅に必要なコストがかかってしまうという課題があり、容易にフィルタ下流側から上流側の状況が確認できることが要求されている。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、下流側からファンフィルタユニットの運転状況を容易に視認または確認できるエアフィルタまたはファンフィルタユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエアフィルタは、上記目的を達成するために無機繊維材料または有機繊維材料によって形成されるエアフィルタであって、フィルタ枠全体またはその一部が透明な樹脂材料とし、透明な樹脂材料にファンフィルタユニットの運転状態が表示できる発光手段を1つ以上取り付けたことを特徴としたエアフィルタである。
【0006】
また他の手段は、透明な樹脂材料は、アクリルまたはナイロン樹脂とした事を特徴とするエアフィルタである。
【0007】
また他の手段は、透明な樹脂材料にエアフィルタ表面側に突出する張り出し部を設けた事を特徴とするエアフィルタである。
【0008】
また他の手段は、張り出し部に筋状の切り欠きを設ける事により光散乱効果を持たせた事を特徴とするエアフィルタである。
【0009】
これらの手段により、エアフィルタの下流側から上流側の状況が視認することができるエアフィルタが得られる。
【0010】
また他の手段は、透明な樹脂材料に取り付けられる1つ以上の発光手段は、高輝度LEDランプである事を特徴とするエアフィルタである。この手段によりネオンランプなどに比べ、ランプ寿命が長時間となるエアフィルタを得られる。
【0011】
また他の手段は、ファンとモータとそれらを内部に有したファンモータユニットと、その下流側にフィルタを有したファンフィルタユニットにおいて、フィルタ枠全体またはその一部に透明な樹脂材料を用い、その透明な樹脂材料部分に発光手段を1つ以上埋め込んだエアフィルタを備えたことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0012】
また他の手段は、発光色によってファンフィルタユニットの状態を示すことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0013】
また他の手段は、発光手段を複数の光源をマトリックス状に配列したものであり、点灯する光源の切替えによってファンフィルタユニットの運転状態を示すことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0014】
また他の手段は、複数の光源をマトリックス状に配列したものであり、光源が点滅することによってファンフィルタユニットの運転状態を示すことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0015】
また他の手段は、発光手段と同期した動作によりブザーを鳴らすことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0016】
これらの手段によりエアフィルタの下流側から上流側の状況を視覚や聴覚により確認することができるファンフィルタユニットが得られる。
【0017】
また他の手段は、透明な樹脂材料部分に埋め込まれた1つ以上の発光手段と電源の接続は、ファンモータユニットとエアフィルタの取り付け面に互いに接点を設ける事により、エアフィルタを取り付けると同時に両者が接続できることを特徴とするエアフィルタである。
【0018】
この手段により発光手段と電源との接続が配線を引き回す必要がなくなり、エアフィルタを取り付けることで、互いの接点、例えばコネクタが接続されることによって簡単に交換作業が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エアフィルタの下流側からファンフィルタユニットの運転状況を視認できるエアフィルタを提供できる。
【0020】
また、透明な樹脂枠に発光する表示手段を設けたエアフィルタとファンモータユニットを構成することで下流側から容易に運転状況を確認することができるファンフィルタユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の請求項1記載の発明は、無機繊維材料または有機繊維材料によって形成されるエアフィルタであって、フィルタ枠全体またはその一部に透明な樹脂材料を用い、その透明な樹脂材料部分に発光手段を1つ以上埋め込んだことを特徴としたエアフィルタであり、エアフィルタの下流側からファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0022】
本発明の請求項2記載の発明は、透明な樹脂材料は、アクリルまたはナイロン樹脂とした事を特徴とするエアフィルタであり、エアフィルタの下流側からファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0023】
本発明の請求項3記載の発明は、透明な樹脂材料にエアフィルタ表面側に突出する張り出し部を設けた事を特徴とするエアフィルタであり、エアフィルタの下流側からファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0024】
本発明の請求項4記載の発明は、張り出し部に筋状の切り欠きを設ける事により光散乱効果を持たせた事を特徴とするエアフィルタであり、透明な樹脂材料の先端の光源がより見やすくなると言う作用を有する。
【0025】
本発明の請求項5記載の発明は、透明な樹脂材料に取り付けられる1つ以上の発光手段は、高輝度LEDランプである事を特徴とするエアフィルタであり、ネオンランプなどに比べ、運転ランプが長時間使用できると言う作用を有する。
【0026】
本発明の請求項6記載の発明は、ファンとモータとそれらを内部に有したファンモータユニットと、その下流側にフィルタを有したファンフィルタユニットにおいて、請求項1〜6のいずれかに記載の発光手段を1つ以上取り付けたエアフィルタを備えたことを特徴とするファンフィルタユニットであり、エアフィルタの下流側からファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0027】
本発明の請求項7記載の発明は、発光色によってファンフィルタユニットの状態を示すことを特徴とするファンフィルタユニットであり、エアフィルタの下流側の発光色を視認する事によりファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0028】
本発明の請求項8記載の発明は、発光手段を複数の光源をマトリックス状に配列したものであり、点灯する光源の切替えによってファンフィルタユニットの状態を示すことを特徴とするファンフィルタユニットであり、エアフィルタ下流側の発光色の切り替わりを視認する事によりファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0029】
本発明の請求項9記載の発明は、複数の光源をマトリックス状に配列したものであり、光源が点滅することによってファンフィルタユニットの状態を示すことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0030】
これによりエアフィルタ下流側の発光色の点滅動作を視認する事によりファンフィルタユニットの運転状況を視認できると言う作用を有する。
【0031】
本発明の請求項10記載の発明は、前記発光手段と同期した動作によりブザーを鳴らすことを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0032】
これらの手段によりエアフィルタの下流側から上流側の状況を確認することができ、視覚と聴覚によっても運転状況を確認することができるファンフィルタユニットが得られる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0034】
本発明の請求項11記載の発明は、前記発光手段の電源をファンモータユニット側に設け、ファンモータユニットとエアフィルタの取り付け面に互いに接合する接点を設ける事により、エアフィルタをファンモータユニットに取り付けると同時に両者が接続できることを特徴とするファンフィルタユニットである。
【0035】
この手段により発光手段と電源との接続が配線を引き回す必要がなくなり、エアフィルタを取り付けることで、互いのコネクタが接続されることによって簡単に交換作業が可能となる。
【0036】
(実施の形態1)
図1、2に示すように本発明のエアフィルタ1は、波形状に折曲して形成されたろ材2とろ材2を透明な樹脂材料で構成された枠体3の内周壁面に密に接合固定し所定形状で保持されている。透明な樹脂材料の枠体3の一部に穴加工4を施し、その穴加工されたところに発光手段であるLEDランプ5を埋め込む。
【0037】
図3には、上記のようなLEDランプ5を枠体3に埋め込んだエアフィルタ1を用いたファンフィルタユニット11を示す。ファンフィルタユニット11は、ファンモータユニット7とエアフィルタ1とで構成されている。ファンモータユニット7は、チャンバー10内にモータ8とファン9を備えている。エアフィルタ1は、ファンモータユニット7の下流側に吹出し部分を覆うように備え付けられる。エアフィルタ1に設けられたLEDランプ5の配線6はファンモータユニット7に電源を供給する端子台12に接続する。
【0038】
上記構成により、ファンモータユニット7に電源が供給された場合、エアフィルタ1に取り付けられたLEDランプ5が発光し、エアフィルタ1の下流側で容易に運転状況が視認できる。
【0039】
また、図5に示すように、エアフィルタ1には、LEDランプ5が取り付けられる部位のみフィルタ下流側に張り出し部14を設け、その張り出し部14にLEDランプ5を埋め込むとよい。このような構成によれば、発光部がフィルター下流側に突出しているため、視認し易くなる。
【0040】
また、その先端に切り欠き15を設ける事でも良い。これにより樹脂材料先端部において光錯乱が促進され、より先端部での視認性が向上する。
【0041】
また、図4に示すようにファンモータユニット7とエアフィルタの取り付け面に互いにコネクタ16を設ける事により、エアフィルタ1を取り付けると同時に両者が接続できるので発光手段と電源との接続の際、ファンモータユニット7内で配線を引き回す必要がなくなり、エアフィルタ1を取り付けることで、互いのコネクタ16が接続されるので簡単に交換作業が可能となる。
【0042】
(実施の形態2)
図6に示すように、透明な樹脂材料で構成された枠体3に発光手段としてLEDランプ5を複数取り付けする。LEDランプ5の配線6はファンモータユニット7に電源を供給する端子台12に接続することで、運転時はLEDランプ5が点灯し、停止時は消灯する。LEDランプ5の点灯状況の違いにより、エアフィルタ1の下流側で容易に運転状況が視認できるようになる。
【0043】
また、例えばLEDランプ5を2種類取り付けておいて、運転時は緑色を点灯させ、停止時は赤色を点灯させることで運転状況の違いを明確にする事が可能となる。
【0044】
さらに図6に示すように、透明な樹脂材料で構成された枠体3に複数のLEDランプ5を配列し、運転時は全てのLEDランプ5を点灯させ、停止時は逆に全てのLEDランプ5を消灯ではなく、点滅するようにする事でもよい。LEDランプ5の点灯状態を運転、停止の際に変化させることで注意喚起を促し、視覚的にファンフィルタユニットの運転状況を確認することができる。
【0045】
(実施の形態3)
図6に示すように、透明な樹脂材料で構成された枠体3にLEDランプ5を複数取り付けし、LEDランプ5を取り付けた枠体3を2つ以上配列する。ファンフィルタユニット11の運転時は中央に設置された1列のみLEDランプ5を点灯させ、左右に配置された停LEDランプ5は消灯できるよう制御回路などを設けておく。逆にファンフィルタユニット停止時は中央に設置されたLEDランプ5は消灯し、両側に取り付けされたLEDランプ5を点灯させる事で、エアフィルタ1の下流面において視覚的に運転状態の違いを明確に変化させることで注意喚起を促して、ファンフィルタユニット運転状況の変化を視認できるようにする。
【0046】
また、ファンフィルタユニットの停止時には例えばリレーを用いる事で、LEDランプ5は消灯し、かつ図4に記載のブザー13を動作させる回路を構成することでもよい。これによって、例えば停止時は運転ランプの視認とブザー音によりファンフィルタユニット11の運転状況を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかるエアフィルタおよびファンフィルタユニットは下流側より運転状況の確認が必要である設備に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1のエアフィルタの構成図
【図2】同実施の形態1のエアフィルタの構成図
【図3】同実施の形態1のファンフィルタユニットの構成図
【図4】同実施の形態1のファンフィルタユニットの構成図
【図5】同実施の形態1のファンフィルタユニットの構成図
【図6】同実施の形態2、3のファンフィルタユニットの構成図
【図7】従来のクリーンユニットのフィルタ支持装置を示す断面図
【符号の説明】
【0049】
1 エアフィルタ
2 ろ材
3 枠体
4 穴加工
5 LEDランプ
6 配線
7 ファンモータユニット
8 モータ
9 ファン
10 チャンバー
11 ファンフィルタユニット
12 端子台
13 ブザー
14 張り出し部
15 切り欠き
16 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維材料または有機繊維材料によって形成されるエアフィルタであって、フィルタ枠全体またはその一部に透明な樹脂材料を用い、その透明な樹脂材料部分に発光手段を1つ以上埋め込んだことを特徴としたエアフィルタ。
【請求項2】
透明な樹脂材料は、アクリルまたはナイロン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項3】
透明な樹脂材料にエアフィルタ表面側に突出する張り出し部を設けた事を特徴とする請求項1または2記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記張り出し部に筋状の切り欠きを設ける事により光散乱効果を持たせた事を特徴とする請求項3記載のエアフィルタ。
【請求項5】
透明な樹脂材料部分に埋め込まれた1つ以上の発光手段は、高輝度LEDランプであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のエアフィルタ。
【請求項6】
ファンとモータとそれらを内部に有したファンモータユニットと、その下流側にフィルタを有したファンフィルタユニットにおいて、請求項1〜5のいずれかに記載のエアフィルタを備えたことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項7】
前記発光手段は、その発光色によってファンフィルタユニットの運転状態を示すことを特徴とする請求項6記載のファンフィルタユニット。
【請求項8】
前記発光手段は、複数の光源をマトリックス状に配列したものであり、点灯する光源の切替えによってファンフィルタユニットの運転状態を示すことを特徴とする請求項6記載のファンフィルタユニット。
【請求項9】
前記発光手段は、複数の光源をマトリックス状に配列したものであり、光源が点滅することによってファンフィルタユニットの状態を示すことを特徴とする請求項6記載のファンフィルタユニット。
【請求項10】
前記発光手段と同期した動作によりブザーを鳴らすことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のファンフィルタユニット。
【請求項11】
前記発光手段の電源をファンモータユニット側に設け、ファンモータユニットとエアフィルタの取り付け面に互いに接合する接点を設ける事により、エアフィルタをファンモータユニットに取り付けると同時に両者が接続できることを特徴とする請求項6〜10いずれかに記載のエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−119373(P2009−119373A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296537(P2007−296537)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】