説明

エアプロセッサ

【課題】冷凍サイクルを構成する凝縮器の放熱を再利用する際における冷却能力,動作の安定性及び信頼性を高めるとともに、加えてコンプレッサの寿命低下を回避する。
【解決手段】空気Aを冷却する冷凍サイクルCを用いた冷却器2と、この冷却器2の冷媒流入側に再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側を接続して冷却器2により冷却された空気Aを加熱する加熱部3と、コンプレッサ4の吐出側,凝縮器5の冷媒流入側及び再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側のそれぞれに接続し、コンプレッサ4から吐出する冷媒を凝縮器5及び再加熱用熱交換器3cに分流させる分流比を制御可能な制御弁6と、温調された空気Aの温度を温度センサ7sにより検出し、この検出結果により少なくとも制御弁6を制御するコントローラ7を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーンルーム,試験室,試験槽等の被空調空間に温調した空気を供給(循環)するエアプロセッサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シリコンウェーハにレジストをコーティングする半導体の製造工程等では、シリコンウェーハをセットする被空調空間(クリーンルーム)における温度の変動が、コーティング被膜の厚さに直接影響し、被膜の均一性及び品質を損なう原因となるため、通常、このような製造工程には、温度を高度に調整した空気を被空調空間に供給するエアプロセッサを備えている。
【0003】
この種のエアプロセッサは、空気処理通路に冷却器と加熱器を配設し、送風機により送られる空気を冷却又は加熱することにより空気の温調を行っており、この冷却器には、冷媒が循環する冷凍サイクルを用いる場合も少なくない。冷凍サイクルの場合、コンプレッサから吐出する高温の冷媒を、この下流に接続する凝縮器(コンデンサ)により冷却するため、凝縮器では熱交換による放熱が行われる。したがって、この凝縮器の放熱を空気処理通路内における空気の加熱に利用すれば、エネルギの再利用を図ることができ、既に、このような凝縮器の一部を空気処理通路に配設することにより加熱器として利用した精密温調装置(エアプロセッサ)も、特許第3283245号公報により知られている。この精密温調装置は、チャンバに設置した凝縮器の空気吹き出し側に再加熱器を配置し、圧縮機から凝縮器に至るホットガスの一部を再加熱器に分流させることにより、チャンバ内の空気を加熱するものである。
【特許文献1】
特許第3283245号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報による従来の精密温調装置(エアプロセッサ)は、次のような難点があった。
【0005】
即ち、通常、冷凍サイクルでは、圧力差(温度差)により冷媒の流れが確保されるが、従来の装置では、一方の冷媒流路を形成する三方比例制御弁−再加熱器−凝縮器間と他方の冷媒流路を形成する三方比例制御弁−凝縮器間が並列になるとともに、直列接続した再加熱器(前凝縮器)と凝縮器(後凝縮器)からなる前後一対の凝縮器により構成されるため、再加熱器内で冷媒温度が低下すると、再加熱器の冷媒流入側と冷媒流出側間の冷媒圧力差が小さいときなどは、再加熱器内に冷媒が凝縮滞留して流れなくなる現象、いわゆる「冷媒の寝込み」現象が生じ易くなる。この現象が生じた場合には、冷媒循環量の減少により冷却能力が低下するのみならず、コンプレッサの温度が上昇することにより冷凍サイクル動作の停止を招くなど、動作の安定性及び信頼性を確保できないとともに、コンプレッサの寿命を低下させる要因にもなる。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、冷凍サイクルを構成する凝縮器の放熱を再利用する際における冷却能力,動作の安定性及び信頼性を高めるとともに、加えてコンプレッサの寿命低下を回避できるエアプロセッサの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、被空調空間Pに温調した空気Aを供給するエアプロセッサ1を構成するに際して、空気Aを冷却する冷凍サイクルCを用いた冷却器2と、この冷却器2の冷媒流入側に再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側を接続して冷却器2により冷却された空気Aを加熱する加熱部3と、コンプレッサ4の吐出側,凝縮器5の冷媒流入側及び再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側のそれぞれに接続し、コンプレッサ4から吐出する冷媒を凝縮器5及び再加熱用熱交換器3cに分流させる分流比を制御可能な制御弁6と、温調された空気Aの温度を温度センサ7sにより検出し、この検出結果に基づいて少なくとも制御弁6を制御するコントローラ7を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、好適な実施の形態により、冷却器2の冷媒流入側における冷媒圧力は、再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側における冷媒圧力及び凝縮器5の冷媒流出側における冷媒圧力よりも低く設定することが望ましい。具体的には、再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側と冷却器2の冷媒流入側間に、冷却器2の冷媒流入側と再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側の冷媒圧力を設定する第一減圧器11を接続するとともに、冷却器2の冷媒流入側と凝縮器5の冷媒流出側間に、冷却器2の冷媒流入側と凝縮器5の冷媒流出側の冷媒圧力を設定する第二減圧器12を接続することができる。一方、再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側と凝縮器5の冷媒流入側間には、再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側における冷媒圧力が設定圧に達したなら、当該冷媒を凝縮器5の冷媒流入側に供給する圧力制御弁13を接続することができる。また、必要により、冷却器2により冷却された空気Aを補助的に加熱する補助加熱器14を設けることができる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
まず、本実施例に係るエアプロセッサ1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施例に係るエアプロセッサ1の冷媒回路図を示す。エアプロセッサ1は、冷凍サイクルCを備え、この冷凍サイクルCは、コンプレッサ(圧縮機)4,凝縮器(コンデンサ)5,冷媒ドライヤ21,冷却器(エバポレータ)2,アキュムレータ22を順次接続することにより、冷媒が循環する冷凍サイクルCの基本回路を構成する。この場合、凝縮器5は、水冷式により構成し、冷却水の流入部5i及び流出部5oを有するとともに、この流出部5oには制水弁23を接続する。なお、24はアキュムレータ22の冷媒流入側とコンプレッサ4の吐出側間に接続した定圧膨張弁(CCV),25はコンプレッサ4の吐出側に接続した圧力ゲージ,26はコンプレッサ4の吐出側に接続した高圧圧力スイッチ(保護スイッチ)をそれぞれ示す。
【0012】
そして、このように構成される冷凍サイクルCの基本回路に対して、冷却器2の冷媒流入側に再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側を接続する。この場合、再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側は、減圧弁(ベローズバルブ)を用いた第一減圧器11を介して冷却器2の冷媒流入側に接続する。また、コンプレッサ4の吐出側,凝縮器5の冷媒流入側及び再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側のそれぞれに三方制御弁(三方比例制御弁)6を接続する。即ち、三方制御弁6は、入口ポートをコンプレッサ4の吐出側に、第一出力ポートを凝縮器5の冷媒流入側に、第二出力ポートを再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側にそれぞれ接続する。これにより、コンプレッサ4から吐出する冷媒を凝縮器5及び再加熱用熱交換器3cに対して分流制御可能になるため、三方制御弁6の分流比を制御することにより再加熱用熱交換器3c側の開度を大きくし、かつ凝縮器5側の開度を小さくすれば、加熱モードになるとともに、凝縮器5側の開度を大きくし、かつ再加熱用熱交換器3c側の開度を小さくすれば冷却モードになる。
【0013】
さらに、冷却器2の冷媒流入側と凝縮器5の冷媒流出側間となる冷却器2と冷媒ドライヤ21間には、減圧弁(ベローズバルブ)を用いた第二減圧器12を接続するとともに、再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側と凝縮器5の冷媒流入側間には、逆止弁を用いた圧力制御弁13を接続する。凝縮器5は制水弁によって凝縮が制御されているため、再加熱用熱交換器3c内の冷媒圧力(温度)が高ければ、圧力制御弁13を介して冷媒が凝縮器5に流入するため、高圧側の圧力を安定させることができる。なお、圧力制御弁13には、再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側における冷媒圧力が設定圧に達したなら、当該冷媒を凝縮器5の冷媒流入側に供給するリリーフ弁を用いてもよい。
【0014】
また、第二減圧器12と前述した第一減圧器11により、凝縮器5の冷媒流出側における冷媒圧力と再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側における冷媒圧力を次の関係に設定する。即ち、三方制御弁6の分流比を0:100〜100:0まで変化させた際に、第一減圧器11の位置における冷媒が再加熱用熱交換器3cに逆流しないように設定する。具体的には、冷却器2の冷媒流入側における冷媒圧力を、再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側における冷媒圧力及び凝縮器5の冷媒流出側における冷媒圧力よりも低く設定する。特に、第一減圧器11の冷媒流出側における冷媒圧力よりも第二減圧器12の冷媒流出側における冷媒圧力が僅かに低く維持されていれば、再加熱用熱交換器3c側に冷媒が逆流することはない。したがって、相対的に第一減圧器11が開き気味で第二減圧器12が絞り気味の傾向に設定することができる。これにより、加熱モード及び冷却モード共に冷媒の循環を安定に行わせることができる。
【0015】
一方、図1において、仮想線は空気処理通路Rを示す。この空気処理通路Rは、図2に示すように、空気入口Riと空気吹出口Roを有するボックス状に構成し、空気入口Riには送風機27から送風することができる。また、空気処理通路R内の上流側に冷却器3を配設するとともに、この冷却器3の下流側に再加熱用熱交換器3cを配設する。さらに、空気吹出口Ro(或いは空調を行うユースポイント等)には、温調された空気Aの温度を検出する温度センサ7sを配設する。他方、7はコンピュータ処理機能及びシーケンス制御機能等を有するコントローラであり、温度センサ7sは、このコントローラ7の入力部に接続するとともに、前述した送風機27,コンプレッサ4及び三方制御弁6等は、コントローラ7の出力部に接続する。
【0016】
図2は、空気処理通路Rの断面を含むエアプロセッサ1の内部構造を示す。エアプロセッサ1は、底面にキャスタ32…を有するハウジング31を備え、このハウジング31の正面パネル31pの下部に、外気(空気A)を吸込む空気吸込口33を配設する。そして、この空気吸込口33に、ハウジング31の内部に配設した送風機27の吸気口を接続するとともに、送風機27の送気口は、ダクト34を介して空気処理通路Rの空気入口Riに接続する。一方、ハウジング31の正面パネル31pの上部には、空調した空気Aを外部に放出する前述した空気吹出口Roを配設する。また、空気処理通路Rの内部には上述した冷却器2及び再加熱用熱交換器3cを配設する。なお、実施例は、再加熱用熱交換器3cの下流側に、さらに、補助加熱器14を配設することができる場合を示している。この補助加熱器14には、独立した加熱器である電熱ヒータ等を利用することができる。その他、図2中、4はコンプレッサである。
【0017】
次に、本実施例に係るエアプロセッサ1の動作について、図1及び図2を参照しつつ図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0018】
まず、不図示の電源スイッチをONにしてエアプロセッサ1の運転を開始する(ステップS1)。運転開始によりコンプレッサ4が作動するとともに、送風機27が作動し、外気(空気A)が、空気吸込口33から吸込まれる。なお、送風機27には不図示の送風量調整用シャッタが付属し、送風量を調整することができる。空気吸込口33から吸込まれた空気Aは、送風機27,ダクト34,空気入口Riを通り、空気処理通路R内に流入する。そして、流入した空気Aは、冷却器2,再加熱用熱交換器3c(加熱部3),必要により設けた補助加熱器14の順に通過した後、空気吹出口Roから外部に放出される。この際、温度センサ7sにより空気吹出口Roを通過する空気Aの温度が検出され、この検出結果がコントローラ7に付与される。コントローラ7は、温度センサ7sに基づいて得られる検出温度を監視する(ステップS2)。
【0019】
検出温度の監視により、検出温度が設定温度よりも低い場合には、空気Aを加熱する制御を行う。即ち、コントローラ7は、三方制御弁6の分流比を制御することにより、再加熱用熱交換器3c側の開度を大きくし、かつ凝縮器5側の開度を小さくする(ステップS3,S4)。これにより、コンプレッサ4から吐出する冷媒が主に再加熱用熱交換器3c側へ供給される加熱モードとなり、再加熱用熱交換器3cによる熱交換作用により空気処理通路R内の空気Aが加熱される(ステップS5)。したがって、再加熱用熱交換器3cの放熱が空気Aの加熱に再利用されることになり、再加熱用熱交換器3cは加熱部3として機能する。一方、再加熱用熱交換器3cを通過した冷媒は、第一減圧器11を通って冷却器2に供給されるとともに、冷却器2を通過した冷媒は、アキュムレータ22を通ってコンプレッサ4に戻される。図1中、矢印Fhは、加熱モードにおける冷媒の主たる循環経路を示している。このような加熱モードにより空気Aに対する加熱が行われるため、コントローラ7は、検出温度を監視し、検出温度が設定温度に達したなら、三方制御弁6を中立位置に戻す(ステップS6)。
【0020】
他方、検出温度の監視により、検出温度が設定温度よりも高い場合には、空気Aを冷却する制御を行う。即ち、コントローラ7は、三方制御弁6の分流比を制御することにより、凝縮器5側の開度を大きくし、かつ再加熱用熱交換器3c側の開度を小さくする(ステップS7,S8)。これにより、コンプレッサ4から吐出する冷媒が主に凝縮器5側へ供給される冷却モードとなり、冷却器2による熱交換作用により空気処理通路R内の空気Aが冷却される(ステップS9)。冷却モードでは、通常の冷凍サイクルCによる冷却が行われるため、コンプレッサ4から吐出した冷媒は、三方制御弁6を介して主に凝縮器5に供給されるとともに、さらに、冷媒ドライヤ21,第二減圧器12,冷却器2,アキュムレータ22を通ってコンプレッサ4に戻される。図1中、矢印Fcは、冷却モードにおける冷媒の主たる循環経路を示している。このような冷却モードによる空気Aに対する冷却が行われるため、コントローラ7は、検出温度を監視し、検出温度が設定温度に達したなら、三方制御弁6を中立位置に戻す(ステップS10)。
【0021】
そして、コントローラ7は、常時、検出温度を監視し、検出温度が設定温度に一致するように、加熱モード又は冷却モードに対する制御を繰り返す(ステップS11)。これにより、被空調空間Pには、エアプロセッサ1により高度に温調された空気Aが供給される。
【0022】
なお、高圧圧力スイッチ26は、コンプレッサ4の吐出側の冷媒圧力を監視し、予め設定した過大圧力(設定圧)を検出したならコンプレッサ4の動作を強制的に停止させてコンプレッサ4を保護する。一方、長時間、加熱モードが継続するなどにより、再加熱用熱交換器3cの冷媒流出側における冷媒圧力が過大になった場合、即ち、冷媒圧力が圧力制御弁13の設定圧を越えた場合には、冷媒を圧力制御弁13を通して凝縮器5側にリリーフさせ、強制的に冷却を行う。これにより、より安定した動作が確保される。また、補助加熱器14を設けた場合には、コントローラ7は、必要により補助加熱器14を制御し、補助的な加熱を行う。これにより、使用環境等に対する適応性(汎用性)を高めることができるとともに、融通性の高い制御を行うことができる。
【0023】
このような本実施例に係るエアプロセッサ1によれば、加熱モードでは、三方制御弁6が制御されることにより、コンプレッサ4から吐出する冷媒が、冷却器2の下流側に配設した再加熱用熱交換器3cに主に供給され、この再加熱用熱交換器3cによる熱交換作用により空気処理通路R内の空気Aが加熱されるとともに、再加熱用熱交換器3cを通過した冷媒は、第一減圧器11を通って冷却器2に供給されるため、再加熱用熱交換器3cにおけるいわゆる「冷媒の寝込み」現象が回避される。したがって、冷凍サイクルCを構成する凝縮器(再加熱用熱交換器3c)の放熱を再利用する際における冷却能力,動作の安定性及び信頼性を高めることができるとともに、加えてコンプレッサ4の寿命低下を回避できる利点がある。
【0024】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、実施例は、補助加熱器14を設けた場合を示したが、必ずしも設けることを要しない。また、実施例は三方制御弁6を用いた場合を例示したが、二方制御弁を用いてもよく、この場合には、再加熱用熱交換器3cの冷媒流入側における冷媒圧力が凝縮器5の冷媒流入側における冷媒圧力よりも常時高くなるように設定する。さらに、三方制御弁6(二方制御弁)は、単純切換形式の切換弁であってもよく、この場合には、冷媒を再加熱用熱交換器3c側又は凝縮器5側へ選択的に供給することができる。したがって、本発明における分流比には、0:100〔%〕も含まれる。
【0025】
【発明の効果】
このように、本発明に係るエアプロセッサは、空気を冷却する冷凍サイクルを用いた冷却器と、この冷却器の冷媒流入側に再加熱用熱交換器の冷媒流出側を接続して冷却器により冷却された空気を加熱する加熱部と、コンプレッサの吐出側,凝縮器の冷媒流入側及び再加熱用熱交換器の冷媒流入側のそれぞれに接続し、コンプレッサから吐出する冷媒を凝縮器及び再加熱用熱交換器に分流させる分流比を制御可能な制御弁と、温調された空気の温度を温度センサにより検出し、この検出結果に基づいて少なくとも制御弁を制御するコントローラを備えるため、次のような顕著な効果を奏する。
【0026】
(1) 再加熱用熱交換器におけるいわゆる「冷媒の寝込み」現象を回避できるため、冷凍サイクルを構成する凝縮器(再加熱用熱交換器)の放熱を再利用する際における冷却能力,動作の安定性及び信頼性を高めることができるとともに、加えてコンプレッサの寿命低下を回避できる。
【0027】
(2) 好適な実施の形態により、再加熱用熱交換器の冷媒流出側と冷却器の冷媒流入側間に、冷却器の冷媒流入側と再加熱用熱交換器の冷媒流出側の冷媒圧力を設定する第一減圧器を接続するとともに、冷却器の冷媒流入側と凝縮器の冷媒流出側間に、冷却器の冷媒流入側と凝縮器の冷媒流出側の冷媒圧力を設定する第二減圧器を接続することにより、冷却器の冷媒流入側における冷媒圧力を、再加熱用熱交換器の冷媒流出側における冷媒圧力及び凝縮器の冷媒流出側における冷媒圧力よりも低く設定すれば、加熱モード及び冷却モード共に冷媒の循環を安定に行わせることができる。
【0028】
(3) 好適な実施の形態により、再加熱用熱交換器の冷媒流入側と凝縮器の冷媒流入側間に、再加熱用熱交換器の冷媒流入側における冷媒圧力が設定圧に達したなら、当該冷媒を凝縮器の冷媒流入側に供給する圧力制御弁を接続すれば、強制的に冷却を行わせることにより、より安定した動作を確保できる。
【0029】
(4) 好適な実施の形態により、冷却器により冷却された空気を補助的に加熱する補助加熱器を設ければ、使用環境等に対する適応性(汎用性)を高めることができるとともに、融通性の高い制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るエアプロセッサの冷媒回路図、
【図2】同エアプロセッサの内部構造図、
【図3】同エアプロセッサの動作を説明するためのフローチャート、
【符号の説明】
1 エアプロセッサ
2 冷却器
3 加熱部
3c 再加熱用熱交換器
4 コンプレッサ
5 凝縮器
6 切換弁
7 コントローラ
7s 温度センサ
11 第一減圧器
12 第二減圧器
13 圧力制御弁
14 補助加熱器
A 空気
C 冷凍サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被空調空間に温調した空気を供給するエアプロセッサにおいて、空気を冷却する冷凍サイクルを用いた冷却器と、この冷却器の冷媒流入側に再加熱用熱交換器の冷媒流出側を接続して前記冷却器により冷却された空気を加熱する加熱部と、コンプレッサの吐出側,凝縮器の冷媒流入側及び前記再加熱用熱交換器の冷媒流入側のそれぞれに接続し、前記コンプレッサから吐出する冷媒を前記凝縮器及び前記再加熱用熱交換器に分流させる分流比を制御可能な制御弁と、温調された空気の温度を温度センサにより検出し、この検出結果に基づいて少なくとも前記制御弁を制御するコントローラを備えることを特徴とするエアプロセッサ。
【請求項2】
前記冷却器の冷媒流入側における冷媒圧力は、前記再加熱用熱交換器の冷媒流出側における冷媒圧力及び前記凝縮器の冷媒流出側における冷媒圧力よりも低く設定することを特徴とする請求項1記載のエアプロセッサ。
【請求項3】
前記再加熱用熱交換器の冷媒流出側と前記冷却器の冷媒流入側間に、前記冷却器の冷媒流入側と前記再加熱用熱交換器の冷媒流出側の冷媒圧力を設定する第一減圧器を接続するとともに、前記冷却器の冷媒流入側と前記凝縮器の冷媒流出側間に、前記冷却器の冷媒流入側と前記凝縮器の冷媒流出側の冷媒圧力を設定する第二減圧器を接続することを特徴とする請求項2記載のエアプロセッサ。
【請求項4】
前記再加熱用熱交換器の冷媒流入側と前記凝縮器の冷媒流入側間に接続し、前記再加熱用熱交換器の冷媒流入側における冷媒圧力が設定圧に達したなら、当該冷媒を前記凝縮器の冷媒流入側に供給する圧力制御弁を備えることを特徴とする請求項1記載のエアプロセッサ。
【請求項5】
前記冷却器により冷却された空気を補助的に加熱する補助加熱器を備えることを特徴とする請求項1記載のエアプロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−211942(P2004−211942A)
【公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−380478(P2002−380478)
【出願日】平成14年12月27日(2002.12.27)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】