説明

エアレイド吸収コアを形成するための装置および方法

本発明は、エアレイド吸収コア(15,16)を形成するための装置に関するものであり、この装置は、その周面に沿って少なくとも一つの型(3,4)を有する第1、第2のマット形成ホイール(1,2)と、ホイール上の型へと空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段(6,10,8,12)と、型の中で形成されたコア要素を保持する吸引手段(13,14)と、第2のホイール上のコア要素(16)を移送するための手段と、第2のホイール(2)の各型(3,4)の底部に対して保護層(22,23)を設けるための手段(5,9,7,11)とを有しており、保護層(22,23)は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物のエアレイ中に、離散粒子から型を保護し、かつ移送中またはその後に離散粒子が第2のコア要素から流出することを防ぐ機能を有しており、二つのホイールは、互いの間にコア要素同士が当接するニップを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレイド吸収コアを形成するための装置に関するものであり、この装置は、それぞれのマット形成ホイールの周面に沿って一連の型を有する第1および第2のマット形成ホイールと、各マット形成ホイール上の型に対して空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段と、個々のマット形成ホイール上の型の経路の一部にある間に各型内に形成されたコア要素を保持する吸引手段と、第1のマット形成ホイール上のコア要素の上へ、このコア要素が依然としてその型内に保持されている状態で、第2のマット形成ホイール上のコア要素を移送するための手段とを備えており、少なくとも第2のマット形成ホイールと関連付けられたエアレイ手段は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を有しており、また、本発明はそうした装置を使用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した種類の装置は、多層吸収コアを製造するために使用されており、この層の少なくとも一つは高い吸収性を有する材料、好ましくはいわゆる超吸収材料(SAP)からなっており、それは、それ自身の重量の数倍もの量の液体を吸収することができる。層内の繊維は、好ましくはセルロース系材料でありかつ離解されたパルプ繊維によって製造されるものである。付加的に、他のタイプの繊維を加えることもできる。異なる層における繊維は、同じものであっても、または異なるものであってもよい。
【0003】
本発明に基づく装置は、吸収用品、例えば使い捨てオムツ、整理用ナプキン、失禁プロテクターおよび生理用用品などを製造するための生産ライン内に配置されるものである。ゆえに、そうした装置が、特にこのような生産ラインの長手方向において、多くの空間を占めないことが重要である。今日、そうした生産速度の生産速度は高く、一分間当たり約600コアとなっているが、本発明の目的は、さらに高い生産速度を実現することである。そのような高速状態では、形成されたコア要素内の離散粒子に作用する遠心力は非常に大きいものとなり、そのため、そうしたコア要素からその粒子がこぼれ落ちることを防ぐという課題が存在する。相対的に高価な粒子材料を損失してしまうという問題とは別に、損失された粒子が、生産ラインにおける構成要素もしくは装置上に落ち、その機能を損ねるように作用する可能性がある。それゆえ、何らかの方法で損失された粒子を処理しなければならない。したがって、粒子の損失を可能な限り低く保つことが要求されている。
【0004】
他の問題として、冒頭で記述した種類の装置の各マット形成ホイール上に形成されたコア要素が、互いに所望の関係で互いに重ね合わせられることを確実にすることが挙げられる。もし、例えば、重ね合わせられたコア要素の前縁が互いに揃えられる場合、そのずれは、視覚的に非常に分かりやすくなり、そしてさらに製品の機能を損ねるように作用するようになる。例えば、製品が、コア要素が重ね合わせられる位置で一致するかまたはあらかじめ決められた互いの関係を有することが望まれる開口などを有する場合、その開口のずれは、製品の機能を損ねるような働きをすることとなる。
【0005】
冒頭で述べた装置には、さらに、型にエアレイされた離散粒子が、型を損傷するか、もしくは型内の開口部を遮断するかまたは詰まらせることがあるという問題がある。そうした遮断または詰まりによって、型内にエアレイされる材料の拡散が不均一となり、そして結果的に、製品の吸収特性を損ねるように作用することとなる。
【0006】
特許文献1には、ティッシュのウェブを、マット形成ホイール上で巻き取り、そしてホイールの周面上の型の壁に対して引き伸ばす装置が開示されている。その後、離散粒子の層が型内にエアレイされ、そして離散粒子と混合するよう、空気混入繊維が離散粒子の層の中へ引き込まれる。この文献の図3には、二つのマット形成ホイールを有する装置が開示されている。エアレイされた生地は、ティッシュのウェブに対して設けられた各マット形成ホイールから供給され、そして続いて付加された生地とともに二つのティッシュウェブが互いに重ね合わせられる。ウェブに付加された生地は、吸引手段がその上の生地に影響を及ぼすことなく、比較的長い距離を移動するようになっており、そのため、移動中に粒子が生地から落下する可能性が高まっている。さらに、そうした構造体を用いることで、互いに重ね合わせられるときに、ウェブに付加された生地の相対位置の精度を高めることが困難になるであろう。
【0007】
特許文献2には、クレーム1のプリアンブルと同様の装置が開示されている。そうした装置において、繊維材料のみが、生地を形成するために第1のマット形成ホイール上の型内にエアレイされており、その上の繊維材料とSAPの離散粒子とからなされる第2の生地は、第1の生地が依然としてその型内にある間に、第2のマット形成ホイールから移送される。続いて、繊維材料からなる第3の層が、第1の二つの生地の複合材の上にエアレイされる。第2の生地を第1の生地の上へ移送する間に、第2の生地の一部は常に、その両側において自由大気にさらされている状態となる。そのため、SAP−粒子が第2の生地の露出部分から落下する可能性があり、それは、特に、その密度が高くかつマット形成ホイールの速度が高い場合に高くなっている。第2の生地を第1の生地の上へ移送した後、その上にエアレイされた第3の層が、第2の生地からのSAP−粒子の落下を防ぐようになっている。超吸収体の位置の精度は、その上の第2の生地が移送される間に、その型内に保持されている第1の生地によって向上されるようになっているが、第2の生地が第1の生地の上へ重ね合わせられる前に自由大気中で動かされなければならなくなるため、実際には低減されている。さらに、第2のマット形成ホイールにおいて、型の中にエアレイされた離散粒子がその型の底部における開口部を遮断するかもしくは詰まらせることを防ぐ手段が存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 958 081号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 082 081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、冒頭に述べた装置において、コア要素の他方への移送の精度を向上させること、粒子による型の損傷および/または詰まりを防ぐこと、ならびに形成されたコア要素からの離散粒子の過度な損失を防ぐことである。本発明のさらなる目的は、生理用吸収用品の製造のための生産ライン内の装置に要する空間を顕著に増大させることなく、これらを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、それぞれ第1および第2のマット形成ホイールであって、それぞれが、その周面に沿って少なくとも一つの型を有する第1および第2のマット形成ホイールと、それぞれのマット形成ホイール上の型へと、空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段と、それぞれのマット形成ホイール上の型の経路の一部の途中で、個々の型の中で、形成されたコア要素を保持する吸引手段と、第1のマット形成ホイール上のコア要素の上へ、コア要素が依然としてその型の中に保持されている間に、第2のマット形成ホイール上のコア要素を移送するための手段と、を有しており、少なくとも、第2のマット形成ホイールと関連付けられたエアレイ手段は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を備えており、さらに、少なくとも第2のマット形成ホイールの各型の底部に対して保護層を設けるための手段を備えており、保護層は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物のエアレイ中に、離散粒子から型を保護し、かつ移送中またはその後に離散粒子が第2のコア要素から流出することを防ぐ機能を有している装置において、二つのマット形成ホイールは、互いの間に、第2のコア要素が移送前に第1のコア要素と当接するような、そうしたニップを形成するものである、エアレイド吸収コアを形成するための装置によって実現される。そうした装置によって、第1のコア要素上への第2のコア要素の移送は、第2のコア要素が少しも空気にさらされることなく実現される、すなわち、第2のマット形成ホイールの型を離れるときに、第2のコア要素は、すでに第1のコア要素に当接されるようになっており、そして第1のマット形成ホイール内の吸引手段によって、そこに引き出される。さらに、第2のマット形成ホイールの型の下部に付加される保護層が、第2のコア要素の外側(つまり第1のコア要素とは反対の側)に配置されるようになり、このため、移送中またはその後の第2のコア要素からの離散粒子の損失が防止される。
【0011】
好ましい実施形態において、第1および第2のマット形成ホイールの間のニップは、最大で10mmとなっており、かつ第1および第2のマット形成ホイールはいずれも、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段と、第1および第2のマット形成ホイールのそれぞれの型の底部に保護層を設けるための手段と、を備えている。さらに、第1および第2のマット形成ホイールの間のニップを離れる複合コアの上へ外装材の第1のウェブを付加するための手段は、このコアが第1のマット形成ホイールから送出される前に、ウェブが複合コアに付加されるように配置されている。好ましくは、複合コアが第1のマット形成ホイールから分離させられかつ互いにウェブが固定させられた直後に、二つのコア要素と第1のウェブとから構成された複合コアの上へ外装材の第2のウェブを付加するための手段が配置されている。
【0012】
第1の好ましい実施形態において、マット形成ホイールの個々の型の底部に保護層を設けるための手段は、マット形成ホイール上の型に対して、空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段である。
【0013】
第2の好ましい実施形態において、マット形成ホイールの個々の型の底部に保護層を設けるための手段は、マット形成ホイールに対して通気性外装材のウェブを設けるための手段であり、型と関連付けられた吸引手段は、それぞれの型の壁に対して当接するようウェブ状の材料を引っ張るようになっている。型の底部とは反対側に粘着性被覆を付加するための手段は適切に配置される。
【0014】
第3の好ましい実施形態において、第2のマット形成ホイールのそれぞれの型の底部に保護層を設けるための手段は、第2のマット形成ホイール上の型に対して空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段であり、かつ、第1のマット形成ホイールの個々の型の底部に保護層を設けるための手段は、マット形成ホイールに対して通気性外装材のウェブを設けるための手段であり、かつ、型と関連付けられた吸引手段は、個々の型の底部に対して当接するよう、ウェブ状の材料を引っ張るようになっている。
【0015】
すべての実施形態において、第2のマット形成ホイール上の型は、少なくともその円周方向において、第1のマット形成ホイール上の型よりも、小さな広がりを有しており、かつ第1および第2のマット形成ホイール上の一連の型における型は、その前縁が、第1のマット形成ホイール上の型内のコア要素の前縁と位置合わせさせられた状態で、第2のマット形成ホイールの型内に形成されたコア要素が第1のマット形成ホイールの型内に形成されたコア要素に対して移送されるよう構成されている。
【0016】
さらに、本発明は、エアレイド吸収コアを形成する方法に関するものであり、この方法は、以下の工程、すなわち、第1および第2のマット形成ホイール上の型に対して空気混入繊維材料をエアレイすることによって、第1および第2のコア要素を形成する工程と、第1のマット形成ホイール上のコア要素の上へ、コア要素が吸引手段によって依然としてその型の中に保持されている間に、第2のマット形成ホイール上のコア要素を移送する工程と、を有しており、さらに、この方法は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を型内にエアレイする前に、少なくとも第2のマット形成ホイールのそれぞれの型の底部に対して保護層を設ける工程と、二つのマット形成ホイールの間に、第2のコア要素が移送前に第1のコア要素と当接するような、そうしたニップを形成する工程と、を有しており、マット形成ホイールは、それぞれ、その周面に沿って少なくとも一つの型を有しており、少なくとも、第2のマット形成ホイールと関連付けられたエアレイ手段は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を有しており、保護層は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物のエアレイしている間に、離散粒子から型を保持し、かつ移送中またはその後、離散粒子が第2のコア要素から流出することを防ぐための機能を有する。
【0017】
好ましい実施形態において、第1および第2のコア要素の間に形成されたニップは、少なくとも6mmである。好ましくは、第1および第2のマット形成ホイールのいずれに対しても、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物が供給され、かつ、第1および第2のマット形成ホイール上の各型の底部に対して保護層が設けられる。適切に、外装材の第1のウェブを第1および第2のマット形成ホイール間のニップを離れる複合コアの上に付加し、かつコアを第1のマット形成ホイールから送出させる前に、複合コアに対してウェブが付加されるよう第1のウェブを配置し、かつ複合コアが第1のマット形成ホイールを分離させられかつ互いにウェブが固定させられた直後に、外装材の第2のウェブを二つのコア要素と第1のウェブとから構成された複合コア上に付加する。
【0018】
この方法の第1の変形例において、繊維保護層は、マット形成ホイールの各型の底部にエアレイされる。
【0019】
第2の変形例において、マット形成ホイールのそれぞれの型の底部に対して保護層を形成するために、通気性外装材料のウェブをマット形成ホイールに対して設け、型に関連付けられた吸引手段が、それぞれの型の壁に対して当接するようウェブ状の材料を引っ張り、かつ、粘着性被覆は、型の底面とは反対の側に付加される。
【0020】
第3の変形例において、繊維保護層が、第2のマット形成ホイールの各型の底部に対してエアレイされ、かつ通気性外装材のウェブが第1のマット形成ホイール対して設けられ、型と関連付けられた吸引手段が、各型の壁に対して当接するよう、ウェブ状の材料を引っ張る。
【0021】
好ましくは、第2のマット形成ホイール上の型には、第1のマット形成ホイール上の型よりも少なくともその円周方向における小さな広がりが設けられる。好ましくは、第1および第2のマット形成ホイール上の一連の型における型は、その前縁が第1のマット形成ホイール上の型内のコア要素の前縁と位置合わせさせられた状態で、第2のマット形成ホイールの型内に形成されたコア要素が、第1のマット形成ホイールの型内に形成されたコア要素へと移送されるよう配置される。
【0022】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の好ましい実施形態に基づくエアレイド吸収コアを形成するための装置の概略側面図である。
【図2】図1における装置の一部を拡大して示した概略側断面図である。
【図3】第2の好ましい実施形態に基づくエアレイド吸収コアを形成するための装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および図2には、エアレイド吸収コアを形成するための装置の第1の好ましい実施形態を概略的に示す。この装置は、二つのフォーメーションドラムすなわちマット形成ホイールを含んでおり、第1のホイールおよび第2のホイールは、おのおのの周面上に、それぞれ一連の型3および4を有している(図2参照)。型底部すなわちスクリーンは、ワイヤーメッシュまたは有孔スチールシートから形成することができる。そのホイールに関して、それぞれ二つのフォーメーションチャンバーすなわちフード5,6および7,8が、二つのマット形成ホイール1,2の周面に対して結合されている。また、この装置はミル(例えばパルプ繊維を離解するためのハンマーミル)と、繊維または繊維/SAPを移送するために使用されるパイプと、ならびに個々のフード5〜8へ繊維または繊維/SAPを移送するためのファンとを備えている。これらの構成要素は当該技術分野においてに公知となっているため、これ以上説明しない。本発明を理解するために、装置の使用時に、繊維と最終的なSAP粒子との均質な混合体がフード5〜8内に存在することを説明する必要がある。各フード5〜8は、個々の吸引ボックス9,10および11,12と関連付けられており、それらは、各マット形成ホイールの内部に固定されておりかつ位置させられている、すなわち吸引ボックス9,10は、第1のホイール1内に配置されており、かつ吸引ボックス11,12は、第1のホイール2内に配置されている。各ホイールの周面上の型が、ホイールの回転時に、フードと、それと関連付けられた吸引ボックスとの間を通過する際には、フード内の空気混入材料が型の中へ引き出され、かつその中に堆積される。マット形成ホール1,2において、吸引ボックス13および14は、それぞれ、型内に形成されたコア要素を保持するために、かつ形成されたコア要素の形状を保つために、それらの各型内に存在している。
【0025】
マット形成ホイール1,2は、隣り合って配置されており、それらの間に存在するニップは、少なくとも6mmとなるよう形成されている。「ニップ」という語は、ホイール1,2の周縁部が、互いに対して最も近接しているポイントを意味する。
【0026】
図1および図2に基づく装置において、第2のマット形成ホイール2上に形成された第2のコア要素16(図2参照)は、第1のマット形成ホイール1上に形成された第1のコア要素15の上へ移送され、そしてコア要素15,16を備える複合コアが、二つのローラー18,19からなる加圧デバイス17へと供給されるまで、吸引ボックス13によってもたらされる吸引作用によってその上に保持されている。ホイール1とホイール2との間およびニップと加圧デバイスとの間のニップの近傍で、供給ロール(図示せず)からの外装材からなるウェブ20(例えばティッシュ)が、複合コア15,16の外側に対して付加される。
【0027】
加圧後、複合コアは、切断デバイス21を通過し、そして続いて、本発明に基づく装置の一部である吸収用品を製造するためのラインへ送られる前に加速デバイス22へと移送される。
【0028】
以下、図1および図2に示す装置を使用するための方法について、説明する。
【0029】
マット形成ホイール1,2が矢印A1およびA2の方向に回転する場合、まず、個々の型3および4が、フード5および吸引ボックス9と、フード7および吸引ボックス11とのそれぞれの間を通過する。この通過時に、ピュアパルプ繊維からなる約1mmの薄手の層22および23が型3,4の中にエアレイされる(図2参照)。その後、各マット形成ホイール上の型3,4は、フード6および吸引ボックス10と、フード8および吸引ボックス12とのそれぞれの間を通過する。この通過時に、パルプ繊維とSAP−粒子との混合物からなるそれぞれの層24,25が、ピュアパルプ繊維の層を覆うよう型3,4の中にエアレイされる。層24は5mmの厚さを有しており、また層25も5mmの厚さを有している。層24内のSAP−粒子の含有率は、層25のものよりもさらに低いものとなっている。層24は、約10〜30wt%のSAP−粒子の含有率を有していてもよく、かつ層25は、約50〜70wt%のSAP−粒子の含有率を有していてもよい。ピュアパルプ繊維からなる層22,23は、SAP−粒子が型底部における孔を遮断しかつ詰まらせ、それによって、エアレイされる材料の不均一な拡散を生じる空気の不均質な分布が生じること、ならびにその底部が損傷されることを防ぐ機能を有している。驚くべきことに、パルプ繊維とSAP−粒子との混合物中のSAP−粒子が型底部内の材料を損傷する可能性があることが判明している。層22,23は、さらに、各ホイール上の型の移送中、第1のコア要素15上への第2のコア要素16の移送中、およびホイールから加圧デバイスへの複合コアの移送中に、各型内に形成されたコア要素からSAP−粒子が損失されることを防ぐ機能も有している。
【0030】
図2から分かるように、型2および3は、その中に形成された各コア要素15,16よりも浅くなっている。コア要素15,16が、個々の型内にそれぞれ層22,24および23,25をエアレイすることによって形成された後、コア要素15,16は、それらがマット形成ホイール1,2間のニップへ到達するまで、吸引ボックス13および14によってそれぞれその各型内に保持されている。
【0031】
本発明によれば、ニップは、コア要素15,16の外側(すなわち個々の型底部とは反対の側)がニップにおいて互いに当接するよう構成されている。言い換えると、ニップは、ここで二つのコア要素15,16を一緒にする、二つのコア要素15,16のための「結合ポイント」を構成している。ニップは、通常、結合ポイントにおいてコア要素15,16をわずかに圧迫する寸法となっていることが好ましい。ホイール1,2が回転している間に、コア要素16の前縁が結合ポイントを離れるときに、それは、ホイール1における吸引ボックス13の吸引力のみを受けるようになるが、ホイール2上にそれを保持する吸引力は受けなくなる。これらの吸引力によって、コア要素16の前縁は、ホイール1の型2内のコア要素15の前縁と当接した状態で保持される。ニップの構成および型2および3の「オーバーフィル」のために、それぞれ、コア要素16のすべてのポイントは、それがまだ型3内に保持されておりかつ次にコア要素15上へ移送される直前までの間に、コア要素15の外側にニップにおいて当接するようになる。このようにして、非常に制御されかつ正確なコア要素15,16の移送が実現される。それゆえ、コア要素16は、移送中ずっと、ホイール2における吸引ボックス14または吸引ボックス13のいずれかからの吸引力にさらされている。そのため、コア要素16のいずれの部分も、移送中に、空気中で自由な状態となることはない。これによって、コア要素16からのSAP−粒子の損失は、遠心力および重力が吸引力によって相殺されるとき、コア要素またはその一部が自由大気内で動く状態となる移送工程に関連して著しく低減される。
【0032】
コア要素16がコア要素15の上へ、ホイール1へと移送された後は、コア要素16の薄手の保護層23が、このコア要素からのSAP−粒子の損失を防ぐことになる。
【0033】
しかしながら、コア要素15は、ホイール1の少なくとも円周方向において、長大な広がりを有しており、かつその端縁部においてSAP−粒子の損失に対する保護手段を有していない。吸引ボックス13の吸引力が遠心力および重力を相殺するとはいえ、可能な限り早くこの端縁部を保護することが望ましい。これは、ニップ通過後に、ホイール1上に移送された複合コア15,16に外装材からなるウェブ20(例えばティッシュ)を付加することによって実現される。そうしたウェブを付加する他の理由として、加圧デバイス17による加圧工程が、もし、加圧中に、そのコアが、両面からティッシュによって被包されていれば、容易となることが挙げられる。これを実現するために、コア15,16がホイール1を離れ、しかし加圧デバイスのローラー18,19間を通過する前に、外装材からなるさらなるウェブ26が、ウェブ20が付加された側とは反対のコア15,16の側に付加される。好ましくは、粘着性被覆は、それが複合コア15,16に対して付加される前に、接着剤塗布器27によって、ウェブ26に対して付加される。
【0034】
図3には、本発明に基づく装置の第2の実施形態を示す。図3に示す装置は、図1および図2に示す装置とは、第1のマット形成ホイール上の型の底部に対して保護層を構成する点において異なっており、図3に基づく装置において、図1および図2に基づく装置における構成要素と同じ構成要素は、プライム記号を付加して同じ参照数字で示す。
【0035】
図3に基づく第2の実施形態において、図1および図2に基づく実施形態における第1のホイール1の型3の中にエアレイされたピュアパルプの保護層は、第2の実施形態に基づく装置では、不織布のウェブ28によって置き換えられている。不織布28のウェブは、マット形成ホイール1’の回転方向A1で示されたフード6’の上流で、マット形成ホイール1’の周面に対して設けられる。不織布のウェブ28を備えたピュアパルプからなる層に置き換えるため、そうした層をエアレイするためのフードおよび吸引ボックスは、装置の第2の実施形態には設けない。さらに、不織布のウェブは、外装材としても機能するものでもあり、それは、図1に示す実施形態に基づく層における外装材のウェブ26が本発明に基づく装置の第2の実施形態では設けられないことを意味する。ウェブ20’がマット形成ホイール1’に対して設けられる前に、それは、接着剤塗布器29によって接着剤でコーティングされる。
【0036】
不織材料は、ウェブが良好な通気性およびSAPに関する低い透過性を有するように、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)であってもよく、20g/m、好ましくは15g/m以下の秤量を備えたPPからなる繊維の不織布であることが好ましい。
【0037】
設けられたウェブ28によって覆われる型3’が、フード6’と吸引ボックス10’との間の領域に進入するとき、ウェブ28は、吸引力によって型の底部へと引っ張られ、そして保護層を形成し、そこで装置の第1の実施形態に基づく型内にエアレイされるパルプの薄手の層と同じような働きをする。
【0038】
不織材料のウェブの代わりに、ティッシュの層を使用することもできる。ただし、ティッシュのウェブは、必要な耐久力を有するようにさせなければならないかもしれないためにそれを厚くさせる必要があるために、不織材料が好ましい。
【0039】
他のすべての点で、第2の実施形態に基づく装置は、第1の実施形態に基づく装置に関して説明したものと同様に働き、かつ正確な移送およびSAP−粒子のわずかな損失に関しての同様の有利な特性を有している。それは、また、方法に関する説明に基づく吸収体を製造するために必要な多くの構成要素に関しても利点となる。
【0040】
図示した実施形態に基づく装置によって、さらに一分間当たり600コア以上という非常に高い割合で吸収コアを製造することが可能になる。
【0041】
以上、説明した実施形態に基づく装置は、もちろん、本発明の範囲内から外れることなく、いくつかの点において変形可能なものである。例えば、第2のマット形成ホイールの型内にエアレイされる薄手の保護層を、または第1のマット形成ホイールの型内の薄手の保護層に置き換えることの代わりに、もしくはそれに対する補足物として、第2の実施形態と同じような方法で不織ウェブによって構成することもできる。コア要素の寸法は図示されたものと異なっていてもよく、そして二つの重ね合わせられたコア要素の前縁を位置合わせさせる必要はなく、第2のコア要素は、第1のコア要素に対してどのような方法でも配置することができる。加圧デバイス、切断デバイス、および製造されたコアを吸収用品を形成するための生産ラインに供給するための加速器は、そうした生産ラインにしようされる他のタイプのそうした位置合わせされた装置であってもよい。したがって、本発明は、特許請求の範囲の記載にのみに限定されるものである。
【符号の説明】
【0042】
1,1’ 第1のマット形成ホイール
2,2’ 第2のマット形成ホイール
3,4 型
5,6,6',7,7’,8,8’ フード
9,10,11,11’,12,12',13,14,14' 吸引ボックス
15,16 コア要素
17,17’ 加圧デバイス
18,18',19,19’ ローラー
20,26 ウェブ
21,21' 切断デバイス
22,22’ 加速デバイス
23,24,25 層
27,29' 接着剤塗布器
28 不織布のウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアレイド吸収コア(15,16)を形成するための装置であって、
前記装置は、
それぞれ第1および第2のマット形成ホイール(1,2)であって、それぞれが、その周面に沿って少なくとも一つの型(3,4)を有する第1および第2のマット形成ホイール(1,2)と、
それぞれの前記マット形成ホイール上の型へと、空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段(6,10および8,12)と、
それぞれの前記マット形成ホイール上の前記型の経路の一部にある間に、個々の前記型の中で、形成された前記コア要素を保持する吸引手段(13,14)と、
前記第1のマット形成ホイール上のコア要素(15)の上へ、前記コア要素が依然としてその型の中に保持されている間に、前記第2のマット形成ホイール上のコア要素(16)を移送するための手段と、
を具備してなり、
少なくとも、前記第2のマット形成ホイールと関連付けられた前記エアレイ手段(8,12)は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を具備してなり、
前記装置は、さらに、
少なくとも前記第2のマット形成ホイール(2)の各型(3,4)の底部に対して保護層(22,23)を設けるための手段(5,9および7,11)を具備してなり、
前記保護層(22,23)は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物のエアレイ中に、離散粒子から前記型を保護し、かつ移送中またはその後に離散粒子が前記第2のコア要素から流出することを防ぐ機能を有しており、
前記二つのマット形成ホイール(1,2)は、互いの間に、前記第2のコア要素(16)が移送前に前記第1のコア要素(15)と当接するような、そうしたニップを形成するものであることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)の間の前記ニップは、最大で10mmとなっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)はいずれも、
空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段と、
前記第1および第2のマット形成ホイールのそれぞれの前記型(3,4)の底部に保護層(22,23)を設けるための手段(5,9および7,11)と、を具備してなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)の間の前記ニップを離れる前記複合コア(15,16)の上へ外装材の第1のウェブ(20)を付加するための手段は、このコアが前記第1のマット形成ホイール(1)から送出される前に、前記ウェブが前記複合コアに付加されるように配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複合コアが前記第1のマット形成ホイール(1)から分離させられかつ互いに前記ウェブが固定させられた直後に、前記二つのコア要素(15,16)と前記第1のウェブ(20)とから構成された前記複合コア(15,16,20)の上へ外装材の第2のウェブ(26)を付加するための手段が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記マット形成ホイール(1,2)の個々の型(3,4)の前記底部に保護層(22,23)を設けるための前記手段(5,9および7,11)は、前記マット形成ホイール上の前記型に対して、空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記マット形成ホイールの個々の型の底部に保護層を設けるための前記手段は、前記マット形成ホイール(1’)に対して通気性外装材のウェブ(28)を設けるための手段であり、
前記型と関連付けられた前記吸引手段(10’)は、それぞれの前記型の壁に対して当接するよう前記ウェブ状の材料を引っ張るようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のマット形成ホイール(2’)のそれぞれの型の前記底部に保護層を設けるための前記手段(7’,11’)は、前記第2のマット形成ホイール上の前記型に対して空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段であり、かつ、
前記第1のマット形成ホイール(1’)の個々の型の前記底部に保護層を設けるための前記手段は、前記マット形成ホイール(1’)に対して通気性外装材(28)のウェブを設けるための手段であり、かつ、
前記型と関連付けられた前記吸引手段は、個々の型の前記底部に対して当接するよう、前記ウェブ状の材料を引っ張るようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
外装材のウェブは、前記第1および第2のマット形成ホイールのそれぞれに対して設けられるようになっており、かつ、
前記型の前記底部とは反対側の前記ウェブの側に粘着性被覆を付加するための手段が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3および請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のマット形成ホイール(2)上の前記型(4)は、少なくともその円周方向において、前記第1のマット形成ホイール(1)上の前記型(3)よりも、小さな広がりを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)上の一連の前記型における前記型(3,4)は、その前縁が、前記第1のマット形成ホイール(1)上の前記型(3)内の前記コア要素(15)の前縁と位置合わせさせられた状態で、前記第2のマット形成ホイールの前記型内に形成されたコア要素(16)が前記第1のマット形成ホイール(1)の前記型(3)内に形成されたコア要素(15)に対して移送されるよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
エアレイド吸収コアを形成する方法であって、
前記方法は、
第1および第2のマット形成ホイール上の型に対して空気混入繊維材料をエアレイすることによって、第1および第2のコア要素を形成する工程と、
前記第1のマット形成ホイール上のコア要素の上へ、前記コア要素が吸引手段によって依然としてその型の中に保持されている間に、前記第2のマット形成ホイール上のコア要素を移送する工程と、
を具備しており、
さらに、前記方法は、
空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を前記型内にエアレイする前に、少なくとも前記第2のマット形成ホイールのそれぞれの型の前記底部に対して保護層を設ける工程と、
二つの前記マット形成ホイールの間に、前記第2のコア要素が移送前に前記第1のコア要素と当接するような、そうしたニップを形成する工程と、
を具備しており、
前記マット形成ホイールは、それぞれ、その周面に沿って少なくとも一つの型を有しており、
少なくとも、前記第2のマット形成ホイールと関連付けられたエアレイ手段は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を具備してなり、
前記保護層は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物のエアレイしている間に、離散粒子から前記型を保持し、かつ移送中またはその後、離散粒子が前記第2のコア要素から流出することを防ぐための機能を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記第1および第2のコア要素の間に形成された前記ニップは、少なくとも6mmであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1および第2のマット形成ホイールのいずれに対しても、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給し、かつ、第1および第2のマット形成ホイール上の各型の前記底部に対して、保護層を設けることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
外装材の第1のウェブを、前記第1および第2のマット形成ホイール間のニップを離れる複合コアの上に付加し、かつ前記コアを前記第1のマット形成ホイールから送出させる前に、前記複合コアに対して前記ウェブが付加されるよう、前記第1のウェブを配置することを特徴とする請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複合コアが前記第1のマット形成ホイールを分離させられかつ互いに前記ウェブが固定させられた直後に、外装材の第2のウェブを、前記二つのコア要素と前記第1のウェブとから構成された前記複合コア上に付加することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
繊維保護層を、前記マット形成ホイールの各型の底部にエアレイすることを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記マット形成ホイールのそれぞれの型の底部に対して前記保護層を形成するために、通気性外装材料のウェブを前記マット形成ホイールに対して設け、前記型に関連付けられた前記吸引手段が、それぞれの前記型の壁に対して当接するよう前記ウェブ状の材料を引っ張ることを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
繊維保護層を、前記第2のマット形成ホイールの各型の底部に対してエアレイし、かつ、通気性外装材のウェブを第1のマット形成ホイール対して設け、前記型と関連付けられた前記吸引手段が、前記各型の壁に対して当接するよう、前記ウェブ状の材料を引っ張ることを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
外装材のウェブを、前記第1および第2のマット形成ホイールのそれぞれに対して設け、かつ前記型の底部とは反対側の前記ウェブの側に、粘着性被覆を付加することを特徴とする請求項12ないし請求項14および請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のマット形成ホイール上の前記型には、前記第1のマット形成ホイール上の前記型よりも、少なくともその円周方向における小さな広がりが設けられることを特徴とする請求項12ないし請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2のマット形成ホイール上の一連の型における前記型は、その前縁が、前記第1のマット形成ホイール上の前記型内の前記コア要素の前縁と位置合わせさせられた状態で、前記第2のマット形成ホイールの前記型内に形成されたコア要素が、前記第1のマット形成ホイールの前記型内に形成されたコア要素へと移送されるよう構成されることを特徴とする請求項12ないし請求項20のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−544350(P2009−544350A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520699(P2009−520699)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050266
【国際公開番号】WO2008/010751
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】