説明

エアレーション装置及びこれを備えた海水排煙脱硫装置

【課題】散気膜のスリットにおいて析出物の発生を抑制することができるエアレーション装置及びこれを備えた海水排煙脱硫装置を提供する。
【解決手段】被処理水である希釈使用済海水中に浸漬され、希釈使用済海水中に微細気泡を発生させるエアレーション装置であって、空気122を吐出手段であるブロア121A〜121Dにより供給する空気供給管である枝管L5A〜5Hを有する空気供給ラインL5と、各枝管L5A〜5Hのヘッダ15より空気122が供給されるスリットを有する散気膜11を備えたエアレーションノズル123と、空気供給ラインL5に水141を供給する水導入手段である水タンク140及び供給ポンプP1と、前記エアレーションノズル123の圧力損失が増大した際、空気122の導入を停止しつつ、水141を空気供給ラインL5から分岐された枝管L5A〜5Hに導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚き、原油焚き及び重油焚き等の発電プラントに適用される排煙脱硫装置の排水処理に係り、特に、海水法を用いて脱硫する排煙脱硫装置の排水(使用済海水)をエアレーションにより脱炭酸(暴気)するエアレーション装置及びこれを備えた海水排煙脱硫装置、エアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭や原油等を燃料とする発電プラントにおいて、ボイラから排出される燃焼排気ガス(以下、「排ガス」と呼ぶ)は、該排ガス中に含まれている二酸化硫黄(SO2)等の硫黄酸化物(SOx)を除去してから大気に放出される。このような脱硫処理を施す排煙脱硫装置の脱硫方式としては、石灰石石膏法、スプレードライヤー法及び海水法等が知られている。
【0003】
このうち、海水法を採用した排煙脱硫装置(以下、「海水排煙脱硫装置」と呼ぶ)は、吸収剤として海水を使用する脱硫方式である。この方式では、たとえば略円筒のような筒形状を縦置きにした脱硫塔(吸収塔)の内部に海水及びボイラ排ガスを供給することにより、海水を吸収液として湿式ベースの気液接触を生じさせて硫黄酸化物を除去している。
上述した脱硫塔内で吸収剤として使用した脱硫後の海水(使用済海水)は、たとえば、上部が開放された長い水路(Seawater Oxidation Treatment System;SOTS)内を流れ排水される際、水路の底面に設置したエアレーション装置から微細気泡を流出させるエアレーションによって脱炭酸(爆気)される(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−055779号公報
【特許文献2】特開2009−028570号公報
【特許文献3】特開2009−028572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアレーション装置で用いるエアレーションノズルは、基材の周囲を覆うゴム製等の散気膜に小さなスリットが多数設けられたものである。一般的には「ディフューザノズル」と呼ばれている。このようなエアレーションノズルは、供給される空気の圧力により、スリットから略均等な大きさの微細気泡を多数流出させることができる。
【0006】
このようなエアレーションノズルを用いて、海水中でエアレーションを連続して行うと、散気膜のスリット壁面やスリット開口近傍に、海水中の硫酸カルシウム等の析出物が析出し、スリットの間隙が狭くなったり、スリットを塞いだりする結果、散気膜の圧力損失を増大させ、散気装置に空気を供給するブロワ、コンプレッサ等吐出手段の吐出圧高が発生し、ブロワ、コンプレッサ等に負荷がかかるという、問題がある。
【0007】
析出物の発生は、散気膜の外側に位置する海水が、スリットから散気膜の内側へ浸み込み、常時スリットを通過する空気に、長時間に亙って触れて乾燥(海水の濃縮)が促進され、析出に至っている、と推定される。
【0008】
本発明は、前記問題に鑑み、散気膜のスリットにおいて発生する析出物を制御することができるエアレーション装置及びこれを備えた海水排煙脱硫装置、エアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、被処理水中に浸漬され、被処理水中に微細気泡を発生させるエアレーション装置であって、空気を吐出手段により供給する空気供給配管と、空気が供給されるスリットを有する散気膜を備えたエアレーションノズルと、前記空気供給配管内に水を導入する水導入手段とを具備し、前記エアレーションノズルの圧力損失が増大した際、空気の導入を停止しつつ水を空気供給管内に導入することを特徴とするエアレーション装置にある。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記空気供給配管内に、水をミスト状で供給する水ミスト供給手段を有することを特徴とするエアレーション装置にある。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記水が真水または海水のいずれかであることを特徴とするエアレーション装置にある。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つにおいて、前記空気供給配管より分岐した複数のヘッダにエアレーションノズルが設けられると共に、枝管及びヘッダの端部に空気を外部に排出する空気排出管を有することを特徴とするエアレーション装置にある。
【0013】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、前記エアレーションノズルは、内部に空気が導入される支持体を覆う散気膜と、前記散気膜に多数設けられたスリットとからなり、スリットから微細気泡を流出させることを特徴とするエアレーション装置にある。
【0014】
第6の発明は、海水を吸収剤として使用する脱硫塔と、前記脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路と、前記水路内に設置され、前記使用済海水中に微細気泡を発生して脱炭酸を行う請求項1乃至5のエアレーション装置とを具備することを特徴とする海水排煙脱硫装置にある。
【0015】
第7の発明は、被処理水中に浸漬され、被処理水中にエアレーションノズルの散気膜のスリットから微細気泡を発生させるエアレーション装置を用い、エアレーションノズルの圧力損失が増大した際、空気の導入を停止しつつ水を空気供給管内に導入し、導入された水を、散気膜のスリットに供給し、析出物を溶解除去することを特徴とするエアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法にある。
【0016】
第8の発明は、第7の発明において、次いで、水の導入を停止し、空気を空気供給管内に導入して、導入された空気で空気供給管内に充満された水を押し出つつ析出物を溶解除去することを特徴とするエアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法にある。
【0017】
第9の発明は、第7又は8の発明において、さらに、吐出手段により空気を供給する際、水分又は水蒸気を添加し、水分が含まれた空気を、散気膜のスリットに供給することを特徴とするエアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エアレーション装置の散気膜のスリットにおいて析出物が発生した場合でも、迅速に対応して析出物を溶解除去し、エアレーション装置に空気を供給するブロワ、コンプレッサ等吐出手段の負荷の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施例に係る海水排煙脱硫装置の概略図である。
【図2−1】図2−1は、エアレーションノズルの平面図である。
【図2−2】図2−2は、エアレーションノズルの正面図である。
【図3】図3は、エアレーションノズルの内部構造概略図である。
【図4】図4は、本実施例に係るエアレーション装置の概略図である。
【図5】図5は、本実施例に係る他のエアレーション装置の概略図である。
【図6−1】図6−1は、散気膜のスリットにおける、空気の流出と海水の浸入、および濃縮海水の状況を示す図である。
【図6−2】図6−2は、散気膜のスリットにおける、空気の流出と海水の浸入、濃縮海水及び析出物の状況を示す図である。
【図7】図7は、操作のフロー図である。
【図8】図8は、他のエアレーション装置の要部概略図である。
【図9】図9は、他のエアレーション装置の要部概略図である。
【図10】図10は、本実施例に係る他のエアレーション装置の概略図である。
【図11】図11は、本実施例に係る他のエアレーション装置の概略図である。
【図12】図12は、本実施例に係る他のエアレーション装置の概略図である。
【図13−1】図13−1は、散気膜のスリットにおける、空気(飽和湿り空気と水ミストとの混合)の流出と海水の浸入の状況を示す図である。
【図13−2】図13−2は、散気膜のスリットにおける、空気(飽和湿り空気)の流出と海水の浸入の状況を示す図である。
【図13−3】図13−3は、散気膜のスリットにおける、空気(湿り空気;相対湿度100%以下)の流出と海水の浸入、および濃縮海水の状況を示す図である。
【図14】図14は、空気供給管に水分を間欠的に供給する場合の、エアレーションノズルのスリットに浸み込んだ海水の塩分濃度の変化とエアレーション装置の運転状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0021】
本発明による実施例に係るエアレーション装置及び海水排煙脱硫装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る海水排煙脱硫装置の概略図である。
図1に示すように、海水排煙脱硫装置100は、排ガス101と海水103とを気液接触してSO2を亜硫酸(H2SO3)へ脱硫反応させる排煙脱硫吸収塔102と、排煙脱硫吸収塔102の下側に設けられ、硫黄分を含んだ使用済海水103Aを希釈用の海水103と希釈混合する希釈混合槽105と、希釈混合槽105の下流側に設けられ、希釈使用済海水103Bの水質回復処理を行う酸化槽106とからなるものである。
【0022】
海水排煙脱硫装置100では、排煙脱硫吸収塔102において海水供給ラインL1を介して供給される海水103の内の一部の吸収用の海水103を排ガス101と気液接触させて、排ガス101中のSO2を海水103に吸収させる。そして、排煙脱硫吸収塔102で硫黄分を吸収した使用済海水103Aは、排煙脱硫吸収塔102の下部に設けられている希釈混合槽105に供給される希釈用の海水103と混合させる。そして、希釈用の海水103と混合希釈された希釈使用済海水103Bは、希釈混合槽105の下流側に設けられている酸化槽106に送給され、酸化用空気ブロア121より供給された空気122をエアレーションノズル123により供給し、水質回復させた後、排水124として海へ放流するようにしている。
図1中、符号102aは海水を上方に噴出させる液柱用の噴霧ノズル、120はエアレーション装置、122aは気泡、L1は海水供給ライン、L2は希釈海水供給ライン、L3は脱硫海水供給ライン、L4は排ガス供給ライン、L5は空気供給ラインである。
【0023】
このエアレーションノズル123の構成を図2−1、図2−2及び図3を参照して、散気膜がゴム製の場合について説明する。
図2−1は、エアレーションノズルの平面図、図2−2は、エアレーションノズルの正面図、図3はエアレーションノズルの内部構造概略図である。
図2−1、図2−2に示すように、エアレーションノズル123は、基材の周囲を覆うゴム製の散気膜11に小さなスリット12が多数設けられたものであり、一般的には「ディフューザノズル」と呼ばれている。このようなエアレーションノズル123は、空気供給ラインL5から供給される空気122の圧力により散気膜11が膨張すると、スリット12が開いて略均等な大きさの微細気泡を多数流出させることができる。
【0024】
図2−1、図2−2に示すように、エアレーションノズル123は、空気供給ラインL5から分岐した複数(本実施例では8本)の枝管(図示せず)に設けられたヘッダ15に対して、フランジ16を介して取り付けられている。なお、希釈使用済海水103B中に設置される枝管及びヘッダ15には、耐食性を考慮して樹脂製パイプ等が使用されている。
【0025】
エアレーションノズル123は、たとえば図3に示すように、使用済海水103Bに対する耐食性を考慮して樹脂製とした略円筒形状の支持体20を用い、この支持体20の外周を覆うようにして多数のスリット12が形成されたゴム製の散気膜11を被せた後、左右両端部をワイヤやバンド等の締結部材22により固定した構成とされる。
【0026】
また、上述したスリット12は、圧力を受けない通常の状態においては閉じている。なお、海水排煙脱硫装置100においては、常時空気122を供給している状態では、常にスリット12は開放状態である。
【0027】
ここで、支持体20の一端20aは、ヘッダ15に取り付けた状態で空気122の導入を可能とすると共に、その他端20bは、海水103が導入可能に開口されている。
このため、一端20a側は、ヘッダ15及びフランジ16を貫通する空気導入口20cを介してヘッダ15内部と連通している。そして、支持体20の内部は、支持体20の軸方向の途中に設けた仕切板20dにより分割され、この仕切板20dにより空気の流通が阻止されている。さらに、この仕切板20dよりヘッダ15側となる支持体20の側面には、散気膜11の内周面と支持体外周面との間に、すなわち、散気膜11を加圧して膨張させる加圧空間11aへ空気122を流出させるための空気出口20e、20fが開口している。従って、ヘッダ15からエアレーションノズル123に流入する空気122は、図中に矢印で示すように、空気導入口20cから支持体20の内部へ流入した後、側面の空気出口20e、20fから加圧空間11aへ流出することとなる。
なお、締結部材22は、散気膜11を支持体20に固定するとともに、空気出口20e、20fから流入する空気が両端部から漏出することを防止するものである。
【0028】
このように構成されたエアレーションノズル123において、ヘッダ15から空気導入口20cを通って流入する空気122は、空気出口20e、20fを通って加圧空間11aへ流出することにより、最初はスリット12が閉じているため加圧空間11a内に溜まって内圧を上昇させる。内圧が上昇された結果、散気膜11は加圧空間11a内の圧力上昇を受けて膨張し、散気膜11に形成されているスリット12が開くことによって空気122の微細気泡を希釈使用済海水103B中に流出させる。このような微細気泡の発生は、枝管L5A〜5H及びヘッダ15を介して空気供給を受ける全てのエアレーションノズル123で実施される。
【0029】
以下、本実施例に係るエアレーション装置について説明する。本発明では、散気膜11のスリット12での海水の乾燥・濃縮により発生する硫酸カルシウム等の析出物の析出により、エアレーションノズルの圧力損失が上昇した際に、析出物を溶解除去する手段を提供する。
【0030】
以下に、本発明を具体的に説明する。
図4は、本実施例に係るエアレーション装置の概略図である。
図4に示すように、本実施例に係るエアレーション装置120Aは、被処理水である希釈使用済海水(図示せず)中に浸漬され、希釈使用済海水中に微細気泡を発生させるエアレーション装置であって、空気122を吐出手段であるブロア121A〜121Dにより供給する空気供給配管である分岐空気供給ライン(枝管)L5A〜5Hを有する空気供給ラインL5と、各枝管L5A〜5Hのヘッダ15より空気122が供給されるスリット12を有する散気膜11を備えたエアレーションノズル123と、空気供給ラインL5に水141を供給する水導入手段である水タンク140及び供給ポンプP1とを具備し、前記エアレーションノズル123の圧力損失が増大した際、空気122の導入を停止しつつ、水141を空気供給ラインL5から分岐された枝管L5A〜5Hに導入するものである。水141は水供給ラインL6から導入されており、各分岐されたラインには、バルブV11〜V18が介設されている。
【0031】
また、空気供給ラインL5には、2基の冷却器131A、131Bと、2基のフィルタ132A、132Bとが各々設けられている。これにより、ブロア121A〜121Dにより圧縮された空気は冷却され、次いで濾過されている。
なお、ブロアが4基あるのは、通常は3基で運転しており、その内の1基は予備としている。また、冷却器131A、131Bと、フィルタ132A、132Bとが各々2基あるのは、連続して運転する必要から、通常は片方のみで運転し、他方はメンテナンス用としている。
【0032】
ここで、本実施例では、水141の供給としては、真水を用いているが、真水の代わりに、海水(例えば、希釈海水供給ラインL2の海水103、希釈混合槽105の使用済海水103A、酸化槽106の希釈使用済海水103B等を)を用いるようにしてもよい。
【0033】
本実施例によれば、前記エアレーションノズル123の圧力損失が増大した際、空気122の導入を停止し、水タンク140により水(真水または海水)141を供給するようにしているので、ヘッダ15から導入された水は、エアレーションノズル123の散気膜11のスリット12を通過する際に、付着した硫酸カルシウム等を溶解し、これにより、散気膜11の圧力損失の低減を図る。
なお、導入する水の水量の調整は、バルブ操作を行い、所定の流量となるように流量管理をすればよい。
【0034】
[付着物が発生した場合の対策]
ここで、エアレーション装置の運転初期は、制御手段により空気122を空気供給ラインL5内に導入して、通常のエアレーションのみを行っている。この場合には、水141は空気供給ラインL5には導入していない。
そして、スリット12に付着物が発生すると、エアレーションノズル123の圧力損失が規定値以上に上昇する。このような圧力損失の上昇があった場合には、先ず空気122の導入を停止する。次いで、水タンク140から水141を空気供給ラインL5より分岐した分岐空気供給ラインL5A〜5Hに導入し、導入された水141が各エアレーションノズル123内に充満させ、エアレーションノズル123の散気膜11のスリット12を水141が通過する際に、付着した硫酸カルシウム等を溶解し、これにより、散気膜11の圧力損失の低減を図る。
【0035】
この切替え操作について説明する。
圧力損失の上昇で所定値となった際に、空気の供給を停止(OFF)すると共に、水を導入(ON)し、所定時間水の導入を継続する。その後、水141の導入を停止(OFF)すると共に、空気の供給を行い(ON)、定格の空気の導入を行い、エアレーションを再開する。なお、エアレーションの再開に際しては、空気122の導入は徐々に行い、内部に残存する水を排出するようにしている。
【0036】
また、水の導入を行い、エアレーションノズル123内に水141が充満した後、水の導入を停止し、その後空気を徐々に導入し、導入された空気で充満された水を押し出すようにしてもよい。
この場合には、使用できる水の流量が少ない場合に好適である。
【0037】
海水の塩分濃度は通常約3.4%であり、96.6%の水に3.4%の塩が溶けている。この塩は、塩化ナトリウムが77.9%、塩化マグネシウムが9.6%、硫酸マグネシウムが6.1%、硫酸カルシウムが4.0%、塩化カリウムが2.1%、その他0.2%の構成となっている。
【0038】
この塩のなかで、海水の濃縮(海水の乾燥)につれて、硫酸カルシウムが最初に析出する塩であり、その析出の閾値が海水の塩分濃度で約14%である。
【0039】
図6−1は、散気膜のスリットにおける、空気の流出と海水の浸入、および濃縮海水の状況を示す図である。図6−2は、散気膜のスリットにおける、空気の流出と海水の浸入、濃縮海水及び析出物の状況を示す図である。
ここで、本発明において、スリット12とは、散気膜11に形成される切れ込みをいい、スリット12の間隙は空気が排出される通路となる。
この通路を形成するスリット壁面12aは、海水103が接触しているが、空気122の導入によって乾燥・濃縮され、濃縮海水103aとなり、その後スリット壁面12aに析出物103bが析出され、スリット12の通路を閉塞するものとなる。
【0040】
なお、図6−1及び図6−2に、散気膜11のスリット12における、空気による海水の乾燥・濃縮が進行して析出物が成長する状態を示す。
図6−1は、濃縮海水103aの一部において、局所的に海水の塩分濃度が14%を超えた部分に析出物103bが発生している状態である。この状態では析出物103bが僅かであるので、スリット12を空気が通過する際の圧力損失が僅かに上昇するものの、空気122は通過可能である。
【0041】
これに対し、図6−2は、濃縮海水103aの濃縮が進行すると、析出物103bによる閉塞(プラッキング)状態となり、圧力損失が大きくなる状態である。なお、このような状態でも空気122の通路は残っているものの吐出手段にはかなりの負荷がかかるものとなる。これによりエアレーションノズル123の圧力損失の上昇となる。
【0042】
この切替え操作は手動で行う場合と、自動で行う場合がある。
自動で行う場合には、制御手段は、マイコン等で構成されている。制御手段は、RAMやROM等から構成されてプログラムやデータが格納される記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部に格納されるデータは、エアレーションノズル123の圧力損失の上昇が確認され、所定値以上であると、スリット12における付着物の多量発生を検知すると共に、エアレーションノズル123の圧力損失がどのブロック(本実施例では8ブロック(図4に示す第1ブロックA〜第8ブロックH))で発生したかの確認をする。
また、制御手段は、水タンク140からの水141を供給する枝管L5A〜5HのバルブV1〜V8に接続されている。この制御手段は、圧力損失が発生した際に、ブロック毎(8ブロック)A〜Hに供給する空気122の供給を停止する指令を発する。
【0043】
例えば第1ブロックAのエアレーションノズル123の圧力損失が発生したとすると、第1ブロックAの枝管L5Aに介装されたバルブV1を閉じる指令を出し、当該ブロックへの空気122の供給を停止する。
次いで、制御手段は、バルブV11を開ける指令を出して、水タンク140より水141を供給し、枝管L5A内に導入する。
枝管L5Aに導入された水141は、ヘッダ15を介して、エアレーションノズル123に導入され、散気膜11に設けたスリット12から外部に排水される。
この水141の排水の際に、スリット12に析出した硫酸カルシウム等の析出物を溶解して、スリット析出物を外部に排出する。
【0044】
制御手段は、所定時間水141の導入を行い、その後水141の導入の停止(バルブV11を閉じる)の指令を出すと共に、バルブV1を開ける指令を出し、当該ブロックへの空気122の供給を再開し、エアレーションを再開する。なお水141の導入時間は、圧力損失の状態、析出物の析出状態により適宜設定する。
【0045】
図5は、本実施例に係る他のエアレーション装置の概略図である。
図5に示すように、本実施例では、高圧空気供給手段142より高圧空気供給ラインL7を介して高圧空気143を供給する手段を設けている。
この結果、エアレーションの再開に際して、枝管L5A内及びエアレーションノズル123内に水141が残存しているので、この残存している水141をいち早く追い出すことができる。なお、V12は高圧空気を導入する切替えバルブである。
【0046】
次に、制御手段によるエアレーションノズル123の圧力損失の上昇があった場合の対処の制御について説明する。図7は、操作のフローチャートである。
【0047】
まず、制御手段は、図示しない圧力計からの圧力(内部圧力と水圧)を計測し、エアレーションノズル123の圧力損失を計測する(ステップS11)。
【0048】
次に、計測した圧力損失が所定値以上(スリットに付着物発生)の場合(ステップS12:Yes)、制御手段は、圧力損失発生のブロックを確認すると共に、そのブロックへの空気122の供給を停止する(ステップS13)。
次いで、空気の供給を停止した枝管へ、水タンク140より水141を導入し、エアレーションノズル123へ水141を供給する(この水の導入により付着物が溶解される)(ステップS14)。
【0049】
所定時間水141を通水した後、水の導入を停止すると共に、空気122を供給し、エアレーション再開する(ステップS15)。
なお、計測した圧力損失が所定値以下の場合(ステップS12:No)、引き続き圧力損失を計測する(ステップS11)。
【0050】
本実施例によれば、エアレーションノズル123の圧力損失が所定値以上となった際に、空気122の導入を停止すると共に、水(真水または海水)141を供給するようにしているので、エアレーションノズル123のスリット12に析出した析出物を溶解させることができ、圧力損失を低下させることができる。
【0051】
なお、複数ブロック(例えば8ブロックA〜H)ある場合においては、1ブロックへの空気122の供給を停止しても、残りの他のほかのブロックに対し、その分空気122の導入が振り分けられるので、SOTSに必要な空気122の量が低減することはない。
【0052】
図8は、他のエアレーション装置の要部概略図である。図8に示すように、空気122の導入を停止しても、空気供給ラインL5Aのヘッダ15の端部において空気122が残っているので、水141が全て行きわたるように、内部の空気122を外部に排出する空気排出管151を設けている。
この空気排出管151を設けることにより、内部に水141を導入する際の、管内に残存する空気122を迅速に外部に排出することができ、全てのヘッダ15内のエアレーションノズル123内に水141を導入することができる。なお、空気122の排出が終了した後は、バルブV13を閉じて、導入される水141の排出を防止する。
【0053】
図9は、他のエアレーション装置の要部概略図である。図9に示すように、空気供給ラインL5Aからさらに複数のヘッダ15A〜15Jが設けられている場合、この複数のヘッダ15A〜15Jの端部を連通させる連通空気排出管152を設けている。
この連通空気排出管152を設けることにより、複数のヘッダ15A〜15J 内部に水141を導入する際の、複数のヘッダ15A〜15J内に残存する空気122を迅速に外部に排出することができる。
【0054】
本実施例によれば、海水にエアレーションを行うエアレーション装置において、散気孔(メンブレンスリット)での海水成分や汚泥等の汚れ成分の析出によるプラッギングが発生した場合に、迅速にプラッギングを解消することとなるので、長期間に亙って安定して操業することができる。
【0055】
以上、本実施例では被処理水として海水を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば汚染排水処理における汚染水(例えば下水処理等)にエアレーションを行うエアレーション装置において、散気孔(メンブレンスリット)での汚泥等の汚れ成分の析出によるプラッギングを防止でき、長期間に亙って安定して操業することができる。
【0056】
この対策を講じることで、エアレーション装置のプラッギングが発生した場合に、迅速に対応することができる。
このような対策を講じた後、さらに、プラッギングの予防措置を行うこともできる。
【0057】
[付着物の発生の予防対策]
図10は、本実施例に係る他のエアレーション装置の概略図である。
図10に示すように、本実施例に係るエアレーション装置120Bは、図4に示すエアレーション装置120Aにおいて、さらに、空気供給ラインL5から分岐した枝管L5A〜5Hに水141を供給するノズル161A〜161Hを備えた水ミスト供給手段を有している。P2は水供給ポンプである。
【0058】
本実施例によれば、水ミスト供給手段により、水(真水または海水)141を水供給ラインL8を介してノズル161A〜161Hよりミスト状で供給するようにしているので、エアレーションノズル123に供給する空気122を加湿(水蒸気分圧増加)することができる。
【0059】
図10のエアレーション装置120Bでは、ノズル161A〜161Hとして、一流体ノズルを用いており、供給された空気122中に噴霧するようにしている。
【0060】
また、図10のエアレーション装置120Bでは、別途空気供給ライン(図示せず)を設けて、空気をノズル161A〜161Hに導入する二流体ノズルを用いるようにしてもよい。水(真水または海水)141の供給の際に、アシストガスとして空気122を用いて水分を微細に噴霧し(水分の蒸発促進)、空気供給ラインL5から供給される空気122中に噴霧するようにしている。
【0061】
なお、上述の図10で示した空気供給系において、冷却器131A、131Bを撤去し、ブロア121A〜121Dで加圧され、温度が上昇した空気122に、水(真水または海水)を所定量注入し、供給される空気122の温度を下げ、エアレーションノズル123のスリット12での空気122を飽和湿り状態としてもよい。
【0062】
図11のエアレーション装置120Cでは、水蒸気144を水蒸気供給ラインL9により、供給している。P3は水蒸気供給ポンプである。
【0063】
図12のエアレーション装置120Dでは、吐出手段であるブロア121A〜121Dの空気導入口近傍に水分145を供給する吸気スプレーノズル(図示せず)を設けている。この場合、水分145を吸気に添加し(水分は、ブロア本体に入る前に蒸発するようにする。)、ブロア出口側の冷却器131Aでの冷却量を調整し、エアレーションノズル123のスリット12を通過する空気122を飽和湿り空気とする。
【0064】
すなわち、ブロア121B〜121Dにより加圧圧縮された空気122は、その温度が例えば100℃程度と高温となるが、この際、水分145を余分に供給することで供給される空気122は水分リッチの状態となる。その後、冷却器131により空気の温度を低下させると(例えば40℃)、空気122中の水分量には変化がないので、冷却された空気122の水分の飽和度(相対湿度)が増加することとなる。結果として、エアレーションノズル123のスリット12での空気は相対湿度が100%となり、吸気に添加する水の量を更に増やすと、水ミストを含む飽和湿り空気となり、気液二相の状態となる。
【0065】
また、ブロア121A〜121Dの入口側において、ブロア121A〜121Dが吸込む大気の相対湿度が100%であっても、圧縮・冷却された結果、エアレーションノズル123のスリット12での空気の相対湿度が100%とならない場合もある。このような場合には、不足した水分143をブロア入口で補給すると、水分が蒸発せずブロア内部に浸入するため、好ましくない。この場合は、ブロア121A〜121Dの出口側、あるいは冷却器131A、131Bの後流側において、真水や海水等の水分を供給するようにすればよい。
【0066】
なお、上述した図10乃至図12での空気122に水分を供給するにあたっては、エアレーションノズル123のスリット12を通過する空気が飽和湿り空気、もしくは水ミストを同伴する飽和湿り空気となるように、ブロア入口の大気条件(圧力、温度、相対湿度)に応じて、空気供給配管と外部との熱の授受と圧力損失を勘案し、供給する水分量の調整、冷却器の冷却量の調整を行う。
【0067】
このように、飽和湿り空気もしくは、水ミストを同伴する飽和湿り空気がエアレーションノズル123に供給されることとなり、散気膜11のスリット12に浸入してくる海水の乾燥(濃縮)を防止し、硫酸カルシウム等の海水中の塩の析出を防止するようにしている。水ミストは、スリットに濃縮海水が形成されている場合には、海水の濃縮緩和(塩分濃度低下)に寄与する。
【0068】
このような水分(真水、水蒸気、海水)を供給することにより、エアレーションノズル123に供給される空気122が水蒸気で飽和されるため、散気膜11のスリット12に浸入してくる海水の乾燥(濃縮)を防止し、硫酸カルシウム等の析出を防止するようにしている。これにより、散気膜11の圧力損失を防止できる。
【0069】
また、水分の供給量としては、エアレーションノズル123のスリット12を通過する空気の湿り状態が、好適には、100%の飽和空気となるように設定し、さらには、水分がミスト状で同伴されている飽和湿り空気(気液二相状態)の状態となるように設定した方が好ましい。そして、エアレーションノズル123のスリット12に流入する空気122の相対湿度が40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上であり、装置のメンテナンス時間に応じて、スリット12での海水の濃縮速度が緩やかとなる条件でもよい。
【0070】
エアレーションノズル123のスリット12を通過する空気の湿り状態は、ブロア121A〜121Dが吸込む大気の湿度、水分の供給量、冷却器の冷却量等で調整する。
これにより、散気膜11のスリット12に浸入した海水を乾燥させず、海水濃縮(塩分濃度の増加)を抑え、海水の塩分濃度を14%程度以下に保つことが可能となる。
【0071】
図13−1〜図13−3は、散気膜11のスリット12における、空気(水分を供給した状態)の流出と海水103の浸入を示す図である。
【0072】
図13−1では、空気122の相対湿度が100%(飽和湿り空気)であり、さらに水ミスト150が同伴して、気液二相の状態となっているので、スリット12に浸入した海水103は乾燥(濃縮)せず、塩分濃度が薄まることとなり、海水の乾燥(濃縮)が阻止される状態を示している。
【0073】
図13−2では、空気122の相対湿度が100%であるので、海水103の塩分濃度に変化はなく、海水の乾燥が阻止される状態を示している。
【0074】
図13−3では、空気122の相対湿度が例えば80%であるので、海水103の乾燥を抑制した状態であり、海水の塩分濃縮が徐々に増加し、濃縮海水103aが形勢された状況を示している。但し、海水の濃縮が始まっても海水の塩分濃度が概ね14%以下では、硫酸カルシウム等の析出はない。よって、この状態では、強制的に水分リッチな状態とすべく、水ミスト150を同伴する飽和湿り空気を間欠的に導入することで、ある程度濃縮された塩分濃度を薄めるようにして、析出を回避するようにすることで、長期間に亙っての運転が可能となる。
【0075】
図14は、海水塩分濃度の変化とエアレーション装置の運転状況を示す図である。
図14に示すように、相対湿度が100%以下の空気を供給する際には、所定時間の定常運転を行った後に、水ミスト150を含む水分リッチの湿度100%の飽和湿り空気、もしくは水ミスト150を同伴する飽和湿り空気を間欠的に導入(導入部分をピークで図示する)することで、硫酸カルシウム等の析出がない操業が可能となる。
【0076】
本実施例によれば、海水にエアレーションを行うエアレーション装置において、散気孔(メンブレンスリット)での海水成分や汚泥等の汚れ成分の析出によるプラッギングを防止できることとなるので、エアレーション装置の圧損上昇を防止でき、長期間に亙って安定して操業することができる。
【0077】
以上、本実施例ではエアレーション装置として、チューブ型のエアレーションノズルを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば散気膜を有するディスク型や平板型のエアレーション装置や、スリットが常時開放しているようなセラミックス又は金属製等の散気膜を有する散気装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係るエアレーション装置によれば、エアレーション装置の散気膜のスリットにおいて析出物が発生した場合の除去及び発生の抑制を行うことができ、例えば海水排煙脱硫装置に適用して、長期間に亙って連続して安定した操業が可能となる。
【符号の説明】
【0079】
11 散気膜
12 スリット
100 海水排煙脱硫装置
102 排煙脱硫吸収塔
103 海水
103a 濃縮海水
103b 析出物
103A 使用済海水
103B 希釈使用済海水
105 希釈混合槽
106 酸化槽
120A〜D エアレーション装置
122 空気
123 エアレーションノズル
140 水タンク
141 水


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中に浸漬され、被処理水中に微細気泡を発生させるエアレーション装置であって、
空気を吐出手段により供給する空気供給配管と、
空気が供給されるスリットを有する散気膜を備えたエアレーションノズルと、
前記空気供給配管内に水を導入する水導入手段とを具備し、
前記エアレーションノズルの圧力損失が増大した際、空気の導入を停止しつつ水を空気供給管内に導入することを特徴とするエアレーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記空気供給配管内に、水をミスト状で供給する水ミスト供給手段を有することを特徴とするエアレーション装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記水が真水または海水のいずれかであることを特徴とするエアレーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記空気供給配管より分岐した複数のヘッダにエアレーションノズルが設けられると共に、枝管及びヘッダの端部に空気を外部に排出する空気排出管を有することを特徴とするエアレーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記エアレーションノズルは、内部に空気が導入される支持体を覆う散気膜と、
前記散気膜に多数設けられたスリットとからなり、
スリットから微細気泡を流出させることを特徴とするエアレーション装置。
【請求項6】
海水を吸収剤として使用する脱硫塔と、
前記脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路と、
前記水路内に設置され、前記使用済海水中に微細気泡を発生して脱炭酸を行う請求項1乃至5のエアレーション装置とを具備することを特徴とする海水排煙脱硫装置。
【請求項7】
被処理水中に浸漬され、被処理水中にエアレーションノズルの散気膜のスリットから微細気泡を発生させるエアレーション装置を用い、
エアレーションノズルの圧力損失が増大した際、空気の導入を停止しつつ水を空気供給管内に導入し、
導入された水を、散気膜のスリットに供給し、析出物を溶解除去することを特徴とするエアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法。
【請求項8】
請求項7において、
次いで、水の導入を停止し、空気を空気供給管内に導入して、導入された空気で空気供給管内に充満された水を押し出つつ析出物を溶解除去することを特徴とするエアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、
さらに、吐出手段により空気を供給する際、水分又は水蒸気を添加し、
水分が含まれた空気を、散気膜のスリットに供給することを特徴とするエアレーション装置のスリット析出物の除去・防止方法。


【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−81402(P2012−81402A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229120(P2010−229120)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】