説明

エアロゲル系複合材料

シンタクチックフォームのような、複合材料が記載される。該複合材料は少なくとも一つのポリマーと、少なくとも一つのエアロゲルを含有する。該エアロゲルは被覆物質で被覆されて、少なくとも実質的に該ポリマーがエアロゲルの気孔中に侵入することを妨げる。該複合材料を調製する方法、さらに該複合材料の使用も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンタクチックフォームおよび複合材料、ならびにそれらを調製するための方法およびシンタクチックフォームおよび複合材料用用途に関する。さらに詳細には、本発明は、エアロゲルを含有するシンタクチックフォームおよび複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
シンタクチックフォームは、一般に、樹脂環境中に組立式に製造される「バブル」またはミクロスフェア充填剤と考えられる。シンタクチックフォームは、それらの樹脂マトリクスがガラスまたはセラミックミクロスフェアなどの成形粒子により埋め込まれている複合材料である。シンタクチックフォームは、所定のサイズおよび充填組成の中空または固形球体がフォームの密度を制御するために用いられるという事実により、他のフォームからそれら自体を識別する。
【0003】
シンタクチックフォームは、深い大洋の流速計測用の海中/海洋装置、対潜水艦戦、サンドイッチ複合材料、航空宇宙産業および自動車産業などの低い密度(単位体積当り質量)の充填材料を必要とする目的のために用いられてきている。
【0004】
シンタクチックフォームの例には、例えば、不溶性マトリクスを有するシンタクチックフォームに関する米国特許第5,120,769号明細書、および不溶性マトリクスおよび炭素ミクロスフェアを有するフォームに関する米国特許第3,832,426号明細書が挙げられる。可溶性ポリマーマトリクスを有するシンタクチックフォームは、米国特許第5,432,205号明細書に記載されている。シンタクチックフォームは多くの工業用途を有する。
【0005】
シンタクチックフォームの前に、一般に、二つのタイプのフォームがあった:ガス注入により作り出されるブロン・フォーム;および化学物質の使用を通して作り出される自己発泡性フォーム。つい最近、固形物をガラス、セラミック、またはポリマーの微小球体と混合することにより作り出される材料が、工業用途およびハイテク用途における使用範囲の増大を見出しつつある。
【0006】
ブロン・フォームは、ガスを液体中に混合するか、または注入し、それを浴槽中の石鹸泡のような泡にすることにより製造される。泡が固化する場合に、フォームが作り出される。一般的に、自己発泡性フォームは、一つはガスに分解して泡を形成するため、一つは気泡の壁を形成するための少なくとも二つの化学成分の使用を必要とする。ここでもやはり、泡周辺の化学成分が固化する場合に、フォームが作り出される。
【0007】
硬質フォームおよびそれらの製造のための方法は、技術上周知である。こうしたフォームは、一般的に、ポリイソシアネートを、発泡剤の存在下でポリオールなどのイソシアネート反応材料と反応させることにより製造される。過去に用いられた多くの発泡剤はもはや許容可能でなく、近年開発されたものは一段と高いコストで利用可能である。さらに、最新式の発泡剤により調製される硬質フォームは、フォームが用いられる場合に、すなわち、10,000フィート以上の深海パイプライン断熱材のような用途において必要とされる高圧縮強度を示さない。
【0008】
近年、フォーム製造のために用いられる基本材料コストの実質的な増加は、用いられる基本材料の量および仕上げ材料の質量を下げるための充填材料の開発と使用を促進してきた。示唆される充填剤材料および断熱材料の一つは、中空ミクロスフェアを利用する。本明細書において用いられる表現「シンタクチック」は、気泡材料を製造するためのポリマーマトリクス中の中空球体または他の材料の使用を指す。
【0009】
液体発泡剤をカプセル化する合成熱可塑性樹脂殻を有する発泡ミクロスフェアは公知である。例えば、米国特許第4,829,094号明細書、第4,843,104号明細書および第4,902,722号明細書を参照すること。米国特許第4,829,094号明細書および第4,843,104号明細書は、自由流動性ミクロスフェアを含有する低密度充填剤を有するシンタクチック・ポリマーフォーム組成物に関する。
【0010】
米国特許第4,916,173号明細書は、製粉可能なモデリングストック用途用のポリウレタン(PU)シンタクチックフォーム組成物に関する。これらのPUシンタクチックフォーム組成物は、高いガラス転移温度および低い熱膨張率を有すると共に、高分子イソシアネート、アミン系ポリオール、ポリエーテルトリオール、モレキュラーシーブ材料および中空ミクロスフェアから調製される。フォームは固形ポリマーマトリクスとして説明される。これらの組成物は、ポリメチレン・ポリ(フェニルイソシアネート)に基づくと共に、モデリングストック用途には適するが、しかし、深海パイプライン断熱材における一段と厳しい要求事項には適さないことが可能である低い物理的性質(すなわち、引張強度、伸び、など)をもたらす。
【0011】
固形ポリマーマトリクスは米国特許第4,959,395号明細書に記されている。この特許は開環重合によるシクロオレフィンモノマーのバルク重合に関するもので、マイクロカプセル化発泡剤は、成形しようとする物品の両面が金型表面と接触したままであるように、射出成形手順の間金型を充填することを助ける。
【0012】
米国特許第4,303,729号明細書および第4,303,736号明細書は、プラスチック中の充填剤材料としての中空プラスチックミクロスフェアの使用に関する。これらの二つにより記載されるミクロスフェアは、一般に、大きな径のミクロスフェア、すなわち、200〜10,000μmの範囲にあるミクロスフェアである。これらのミクロスフェアは、低熱伝導率プラスチック組成物から製造され、低熱伝導率ガスでブローして改善される断熱材料および複合材料を製造することができる。
【0013】
全体組成物の2〜5質量%の添加量を有する中空ミクロスフェアは、米国特許第4,038,238号明細書に記されている。低密度ポリウレタンは、軽量中空球体またはマイクロバルーンおよび液体粘度低減剤を含有する高速硬化ポリウレタン形成性組成物から製造される。
【0014】
ガラスマイクロバルーンを含む硬質シンタクチックフォームは、米国特許第4,082,702号明細書に記されている。これらのフォームは、有機ポリオール、ポリイソシアネート、ポリオールとポリイソシアネート反応用の触媒、マイクロバルーン、および2峰性気泡構造を有する難燃性フォームを混合することにより得られる。
【0015】
米国特許第3,510,392号明細書は、気泡ポリウレタン中のガラス根粒に関する。ポリウレタンは、ポリイソシアネートと反応するポリオールおよび/またはポリエステル、およびガス状発泡剤を提供するために架橋の間水を含有する。反応成分は、反応速度を制御するために、適する混合装置中で界面活性剤および触媒と均質に混合される。細胞状のガラス根粒は、次に閉じられ発泡が起こる金型キャビティの底にある均質な混合物に添加される。これらは、連続ポリウレタン相および不連続相(すなわち、細胞状ガラス根粒)を有する建築用パネルに適する。
【0016】
米国特許第6,166,109号明細書は、シンタクチック硬質PUR/PIRフォームボードストックに関する。これらの中空ミクロスフェアは炭化水素、空気または真空で充填されて、フォーム中に均一な気泡構造を導入する。0.01〜60μmの平均径を有するミクロスフェアは、独立気泡ポリウレタンフォームによりカプセル化される。実施例中のフォームは、ポリエステル、界面活性剤、触媒、水、クロロフルオロカーボン発泡剤およびポリメチレン・ポリ(フェニルイソシアネート)に基づく。これらのシンタクチック硬質フォームは2峰性気泡構造を有する。
【0017】
日本特許第4257429号明細書は、断熱材および包装材に有用である滑らかな表面を有するフォームシートの製造に関する。この文献のフォームシートは、基部フィルム上に有機ポリマー結合剤および低沸点溶媒密封熱膨張性マイクロカプセルを含有する組成物を塗布し、被覆層上にポリエステルフィルムを積層し、被覆層を乾燥し発泡させるために加熱し、ポリエステルフィルムを除去することにより調製することができる。得られるフォームシートは均一な独立気泡および滑らかな表面を有する。
【0018】
断熱性シンタクチックフォーム組成物は、米国特許第6,284,809号明細書に記されている。これらのフォーム組成物は、0.120ワット/メートル−°K未満の熱伝導率を有し、約10,000ftまでの深さでの深海用途用に許容可能な強度および浮力特性を示す。
【0019】
従来型のシンタクチックフォームは、ミクロスフェアなどの組立式のまたは製造された「泡」を用いる。一部は、マイクロバルーン、またはなおマクロバルーンとしてのミクロスフェアを指す。シンタクチックフォームは、機械的にミクロスフェアを樹脂と組み合わせて複合材料を形成することにより調製することができる。ブロンおよび自己発泡性フォームおよび界面活性剤が、広く変動するサイズおよび形状のガスポケットのかなり不規則な分布を生みだす一方で、シンタクチックフォームの気孔率は、樹脂環境を有するミクロスフェアの注意深い選択および混合により一段と厳密に制御することができる。シンタクチックフォームは、また、組立フォームと呼ぶことができる。
【0020】
通常のフォームは目に見えて多孔質であるが、一方で、シンタクチックフォームは、材料が均質な固形物であるように見えるほどに小さな気泡を有することができる。シンタクチックフォームは、一般的に、深い海中車両、機器包装、電子装置、ケーブルブイ、深海掘削操作用の浮きカラー、ラジオ周波数および航空宇宙用途において、および工場のひな形製作者により用いられる。換言すれば、フォームは、例えば、浮力が重要である工業用途において用いられる。シンタクチックフォームは、また、被覆または非被覆化学物質、生物製剤、栄養補助食品、成長因子、アミノ酸、生物活性材料、および製薬、衛生、獣医、農業および医療用途用の製薬活性材料の担体として用いることができる。
【0021】
この分野における一部の前の特許には、ブタジエンのホモポリマー、またはそのポリマーの少なくとも40%がブタジエンであるブタジエンとスチレンなどのコポリマーであるポリマーの制御硬化により製造されるシンタクチックフォームに関する米国特許第3,856,721号明細書が挙げられる。スチレンの代わりに、メチルまたはエチル誘導体は用いることができる。シンタクチックフォームには、フォーム製品に強度を与える微細中空球体を含み、シンタクチックフォーム製品は極めて低い密度を有する。高分子材料は2段硬化を受ける。第1段階は、より低い温度での硬化において用いられるメチルエチルケトン(MEK)過酸化物または他の過酸化物、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉄、およびアセチルアセトン(ペンタンジオン)などを利用する低温硬化系であり、第2段階で用いられる過酸化物は活性化のためにより高い温度を必要とする。
【0022】
米国特許第4,250,136号明細書は、組み立てられるか、または形成しようとする物品の形状を有する金型内に置かれる複合材料のサンドイッチに関する。複合サンドイッチは、以下の構成要素からなる:(1)織物またはマット形態にあるガラス繊維などの強化材料の第1または底部層;(2)エポキシ、ポリエステル、またはビニルエステルなどの液体熱硬化性樹脂を含有する、初期弾力性の開放気泡フォームの第1層は、第1強化層上に塗られ、(3)強化材料の第2層は開放気孔フォーム層を含有する第1樹脂上に塗られ;(4)ドゥ様の一貫性を有する未硬化シンタクチックフォームの適する量を、第2強化層上に置き、(5)第3強化層は未硬化および非晶質のシンタクチックフォーム上に置き;(6)液体、樹脂含有、開放気泡の弾力性フォームは第3強化層上に塗られ;および(7)強化材料の第4または上部層は第2樹脂含有フォーム層上に塗られる。
複合サンドイッチは、次に、金型内に置かれ、適する熱および圧力を受けて、未硬化サンドイッチが金型の内部形状を呈することを引き起こす。
【0023】
米国特許第4,425,441号明細書は、耐高温性および難燃性の独立気泡ポリイミドフォーム材料およびフォームを製造する方法に関する。芳香族テトラカルボン酸2無水物はオキソンチンと反応して、次に適するアルコールとエステル化するN−置換イミドを生成する。得られる液体は乾燥され、乾燥残留物は、一般に、0.5〜10mm範囲にある径を有する粒子を有する均一な粉末とされる。粉末は、好ましくは、最終サイズ低減の前または後のいずれかで、適度な真空、適度な温度でさらに乾燥されて、あらゆる過剰の残留アルコールを除去する。粉末は、適する時間帯にわたり、約90〜150℃の範囲にある温度に加熱される場合に、自然に発泡して独立気泡フォームを形成する。粉末が閉鎖金型中で発泡する場合に、強化された独立気泡フォーム製品が得られる。制限のないやり方で発泡する場合に、約0.4mm〜15mm間の平均径を有する独立気泡「マクロバルーン」が得られる。
【0024】
米国特許第4,518,717号明細書は、低密度改質ポリイミド/ポリイミド−アミドフォームを製造する方法および得られる組成物に関する。N−置換脂肪族イミドは、適する芳香族2無水物を適するオキシムと反応させることにより調製される。ポリイミド形成材料は、エステル化溶媒中にN−置換脂肪族イミドを溶解させ、次に、適する芳香族ジアミンを添加することにより調製される。この材料を乾燥して粉末にする。少なくとも約100℃まで安定している、適する水和化合物は粉末と混合される。フォームは、次に、安定なフォームを製造するために十分な時間帯にわたり材料を反応温度に加熱することにより製造される。材料は融解し、次に、自発的に発泡してフォームを形成し、それは自己支持性となり、弾力性で可撓性のフォームに硬化する。水和化合物の添加は、例外的に低い密度のフォームをもたらすことが見出されている。加熱条件に応じて、ポリイミド、ポリイミド−アミドまたはそれらの混合物は生成することが可能であり、選択的に可変な物理的性質を有するフォームをもたらす。
【0025】
米国特許第4,161,477号明細書、第4,183,838号明細書、および第4,183,839号明細書は、難燃性であり、塗料および接着剤として有用である一部のポリイミド組成物に関する。上述の特許に記載されている塗料および接着剤組成物は、芳香族テトラカルボン酸2無水物を環式アミドまたはオキシムと反応させることにより適するビスイミドを最初に調製することによって製造される。
【0026】
しかし、従来型のフォームに匹敵する密度を有するシンタクチックフォームを製造する上で、問題に直面してきている。シンタクチックフォームの一般的な密度は、0.3〜0.5g/cm3間で変動するが、一方で従来型のフォームは、一般的に、0.01〜0.1g/cm3間で変動する。シンタクチックフォームの密度は、一般に、フォームの限られた気孔率により制約されてきた。気孔率は、シンタクチックフォームの全体空隙容量(例えば、空気充填、ガス充填、または低密度成分の存在)の尺度であり、ミクロスフェアの空隙容量と隙間の空隙容量の合計からなる。シンタクチックフォーム製造の最新の方法を用いて、ミクロスフェアにより提供される空隙容量は、隙間空間により提供される空隙容量よりも大きい。従って、シンタクチックフォームの密度は、ミクロスフェアの空隙容量により限定されてきた。そういうものとして、シンタクチックフォームの用途は限定されてきた。
【0027】
上述のおよび本出願書全体を通しての特許および出版物は、参考のためそれらの全体を組み込み、本出願書の一部を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の特徴は、シンタクチックフォームを形成する目的のため中空ガラスまたはポリマーミクロスフェア以外の材料を用いる複合材料を提供することである。
【0029】
本発明のさらなる特徴は、低い熱伝導率、および小さな複合材料密度を有するシンタクチックフォームなどの複合材料を提供することである。
【0030】
本発明の追加特徴は、ポリマー複合材料中にエアロゲルを用い、さらに、低密度、低熱伝導率、低電気伝導率、低誘電率および/または衝撃吸収性、および/または光透過率などのエアロゲルに帰因する望ましい特性を達成するための方法を提供することである。
【0031】
本発明のさらなる特徴は、等しいかまたはそれを超える圧縮強度であることができる、より低い熱伝導率を有するシンタクチックフォームなどの複合材料を提供することである。
【0032】
本発明の追加の特徴および利点は、以下の説明中の一部で述べられ、一つには説明から明らかであるか、または本発明の実施により学ぶことが可能である。本発明の目的および他の利点は、該説明および添付クレーム中で特に指摘される要素および組合せによって実現するか、または得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0033】
これらのおよび他の利点を達成するために、そして本明細書において具現化され、広く記載される本発明の目的に従って、本発明は、少なくとも一つのポリマー、セラミックおよび/またはガラスおよび少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料に関する。1以上の実施形態において、ポリマー、セラミック、および/またはガラスは、好ましくは、複合材料中のマトリクスまたは連続相として存在する。一般に気孔を有するエアロゲルは、完全でないとしても、少なくとも部分的に、少なくとも一つの皮膜により表面被覆されて、実質的に気孔中へのポリマー、セラミックおよび/またはガラスの侵入を妨げる。好ましくは、エアロゲル上の皮膜は、薄い皮膜層であり、外側エアロゲル粒子表面のみの上に存在し、従って、気孔を覆う(close)が、しかしエアロゲルの内部気孔体積中に浸透しない皮膜である。1以上の実施形態において、皮膜は、ポリマー、セラミックおよび/またはガラス、ならびに他の物質がエアロゲルの内部気孔体積中に入り込むことを妨げる。こうした皮膜を提供することにより、エアロゲルの属性は保持され、従って、ポリマー、セラミック、および/またはガラスマトリクス中のエアロゲルの使用を可能とし、低密度および望ましい熱伝導率などの望ましい特性を得る。
【0034】
あるいは、疎水性エアロゲルが用いられる場合、次に、ポリマーが溶解し、分散し、乳化し、または混合される水系は、ポリマーの気孔体積への侵入が最低限になるように複合材料を形成するために用いることができる。
【0035】
本発明は、また、少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラス、および少なくとも一つの処理エアロゲルを含む複合材料に関する。一般に気孔を有するエアロゲルは、完全でないとしても、少なくとも部分的に、処理剤により処理される。処理エアロゲルは多孔質のままである。1以上の実施形態において、少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラス中に処理エアロゲルを導入すると、マトリクスのポリマー、セラミック、および/またはガラスは、実質的に、例えば、エアロゲルの疎水性特性のせいで、処理エアロゲルの気孔に入らない。処理エアロゲルにより、該エアロゲルがポリマー、セラミック、および/またはガラスマトリクス中に分配され、分散され、または別途導入される能力がもたらされる。
【0036】
本発明は、また、少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラス、および少なくとも一つの処理エアロゲルを含む複合材料に関する。一般に気孔を有するエアロゲルは、完全でないとしても、少なくとも部分的に処理剤により処理される。処理エアロゲルは多孔質のままである。1以上の実施形態において、少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラス中に処理エアロゲルを導入すると、マトリクスのポリマー、セラミック、および/またはガラスは、実質的に、例えば、エアロゲルの疎水性特性のせいで、処理エアロゲルの気孔に入らない。処理エアロゲルは、ポリマー、セラミック、および/またはガラスマトリクス中に分配し、分散し、または別途導入するためのエアロゲルの能力を提供する。
【0037】
少なくとも一つの実施形態において、本発明は、マトリクスとしての少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラス、および少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料に関する。複合材料は、多くの用途において用いることができる。例えば、複合材料はシンタクチックフォームであることができる。エアロゲルは処理エアロゲルおよび/または被覆エアロゲルであることができる。処理剤および/または被覆剤は、処理剤または被覆剤をエアロゲルに送達するために、水性溶媒または有機溶媒中にあることができる。ポリマー、セラミック、および/またはガラスマトリクスは、水性または非水性である溶媒中にあることができる。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、該エアロゲルの少なくとも一部が少なくとも部分的に皮膜により被覆されて、実質的に、エアロゲルの気孔中へのポリマー、セラミック、および/またはガラスの侵入を妨げる、気孔を有するエアロゲルに関する。
【0039】
本発明は、1以上の実施形態において、また、エアロゲルの表面上に1以上の皮膜を形成し、次に被覆エアロゲルを少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラスと混合して、シンタクチックフォームであることができる本発明の複合材料を形成することにより、本発明の複合材料を製造する方法に関する。
【0040】
本発明は、加えて、エアロゲルの表面を界面活性剤または湿潤剤または両親媒性物質などの1以上の化学物質により処理し、次に処理エアロゲルを少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラスと混合して、シンタクチックフォームであることができる本発明の複合材料を形成することにより、本発明の複合材料を製造する方法に関する。
【0041】
また、本発明は、エアロゲル表面を1以上の界面活性剤および/または湿潤剤などの1以上の化学物質により処理して処理エアロゲルを形成し、次に処理エアロゲルを1以上の皮膜により被覆して被覆処理エアロゲルを形成し、次に被覆処理エアロゲルを少なくとも一つのポリマー、セラミック、および/またはガラスと混合して、シンタクチックフォームであることができる本発明の複合材料を形成することにより、本発明の複合材料を製造する方法に関する。
【0042】
本発明は、また、深海パイプライン断熱材、および上述の用途に限定されないがそれらを含む本発明の複合材料用の用途に関する。
【0043】
本発明には、下に番号付けられる以下の実施形態が挙げられるがそれらに限定されない:
1.マトリクスとしての少なくとも一つのポリマー、および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料であって、ポリマーが実質的にエアロゲルの気孔に入らない複合材料。
2.エアロゲルの少なくとも一部が、実質的に気孔中へのポリマーの侵入を妨げるために、皮膜により少なくとも部分的に被覆される、マトリクスとしての少なくとも一つのポリマー、および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む、実施形態1に記載の複合材料。
3.エアロゲルの少なくとも一部が、少なくとも一つの処理剤により処理されて実質的に多孔質のままで残る処理エアロゲルを形成する、実施形態1〜2のいずれかに記載の複合材料。
4.複合材料がシンタクチックフォームである、実施形態1〜3のいずれかに記載の複合材料。
5.少なくとも一つのポリマーがポリウレタンである、実施形態1〜4のいずれかに記載の複合材料。
6.少なくとも一つのポリマーがエポキシド樹脂である、実施形態1〜5のいずれかに記載の複合材料。
7.少なくとも一つのポリマーがポリプロピレンまたはポリエチレンまたは両方である、実施形態1〜6のいずれかに記載の複合材料。
8.エアロゲルが表面および内部気孔体積を有すると共に、皮膜がエアロゲルの表面上に存在し、従って気孔を覆うが、しかし、エアロゲルの内部気孔体積中に浸透しない、実施形態2〜7のいずれかに記載の複合材料。
9.エアロゲルが内部気孔体積を有すると共に、皮膜が少なくとも一つのポリマーがエアロゲルの内部気孔体積中に入ることを妨げる、実施形態2〜8のいずれかに記載の複合材料。
10.エアロゲル上の皮膜が高分子皮膜である、実施形態2〜9のいずれかに記載の複合材料。
11.皮膜が少なくとも一つの脂肪親和性ポリマーを含む、実施形態2〜10のいずれかに記載の複合材料。
12.皮膜が湿潤剤または界面活性剤を含む、実施形態2〜11のいずれかに記載の複合材料。
13.皮膜がワックスまたはガラスまたはセラミックなどの無機材料である、実施形態2〜12のいずれかに記載の複合材料。
14.皮膜がエアロゲル上の表面皮膜からなる、実施形態2〜13のいずれかに記載の複合材料。
15.皮膜が気孔上に橋かけする、実施形態2〜14のいずれかに記載の複合材料。
16.ポリマーが有機ポリマーであり、皮膜が水系ポリマー皮膜である、実施形態1〜15のいずれかに記載の複合材料。
17.ポリマーが水系ポリマーであり、皮膜が界面活性剤または湿潤剤を含む、実施形態2〜16のいずれかに記載の複合材料。
18.皮膜が、エアロゲルの表面下10%(%はエアロゲルの平均径に基づく)以下にしか浸透しない、実施形態1〜17のいずれかに記載の複合材料。
19.分級ミル中でエアロゲルを少なくとも一つの被覆物質により被覆して被覆エアロゲルを形成し、次に、被覆エアロゲルを少なくとも一つの未硬化ポリマーと混合し、次に、ポリマーを硬化して複合材料を形成することを含む、実施形態1〜18または40〜57のいずれかに記載の複合材料を調製する方法。
20.微細粒子をエアロゲル上に被覆することによりエアロゲルを被覆し、エアロゲルを加熱し微細粒子を融解してエアロゲル上に層を形成し、次に、被覆エアロゲルを少なくとも一つの未硬化ポリマーと混合し、次に、ポリマーを硬化して複合材料を形成することを含む、実施形態1〜19または40〜57のいずれかに記載の複合材料を調製する方法。
21.エアロゲルを水性溶媒中に溶解または分散または乳化した第1反応物質を含む水系溶液により被覆し、次に、第2反応物質を含有する非極性溶媒を水系溶液により被覆したエアロゲルに添加し、次に、非極性溶媒を除去して第1および第2反応物質の反応生成物を得て被覆エアロゲル形成し、次に、被覆エアロゲルを少なくとも一つの未硬化ポリマーと混合し、次に、ポリマーを硬化して複合材料を形成することを含む、実施形態1〜19または40〜57のいずれかに記載の複合材料を調製する方法。
22.実施形態4のシンタクチックフォームにより断熱されるパイプを含む断熱パイプ。
23.実施形態1〜18または40〜57のいずれかに記載の複合材料を含む物品。
24.実施形態1〜18または40〜57のいずれかに記載の複合材料を含む断熱材。
25.エアロゲルが少なくとも一つの皮膜により少なくとも部分的に被覆されて実質的に気孔中へのポリマーの侵入を妨げる、気孔を有するエアロゲルを含む被覆エアロゲル。
26.皮膜が表面および内部気孔体積を有すると共に、皮膜がエアロゲルの表面上にあり、従って、気孔を覆うが、しかし、エアロゲルの内部気孔体積中には浸透しない、実施形態25の被覆エアロゲル。
27.皮膜が内部気孔体積を有すると共に、ポリマーがエアロゲルの内部気孔体積中に入ることを皮膜が妨げる、実施形態25〜26のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
28.エアロゲル上の皮膜が高分子皮膜である、実施形態25〜27のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
29.皮膜が少なくとも一つの脂肪親和性ポリマーを含む、実施形態25〜28のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
30.皮膜が湿潤剤または界面活性剤を含む、実施形態25〜29のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
31.皮膜がワックスまたはガラスまたはセラミックなどの無機材料である、実施形態25〜30のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
32.皮膜がエアロゲル上の表面皮膜からなる、実施形態25〜31のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
33.皮膜が気孔上に橋かけする、実施形態25〜32のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
34.皮膜が有機ポリマーであると共に、皮膜が水系ポリマー皮膜である、実施形態25〜33のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
35.皮膜が水系ポリマーであると共に、皮膜が界面活性剤または湿潤剤を含む、実施形態25〜34のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
36.皮膜がエアロゲルの表面下10%(%はエアロゲルの平均径に基づく)以下にしか浸透しない、実施形態25〜35のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
37.皮膜とエアロゲル間に存在する処理剤を含む、実施形態25〜36のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
38.少なくとも二つの皮膜を含む、実施形態25〜37のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
39.第1皮膜が実質的に気孔中へのポリマーの侵入を妨げると共に、少なくとも第2皮膜が1以上の機能特性を被覆エアロゲルに提供する、実施形態38に記載の被覆エアロゲル。
40.マトリクスとしての少なくとも一つのセラミックおよび気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料であって、セラミックが実質的にエアロゲルの気孔に入らない複合材料。
41.マトリクスとしての少なくとも一つのガラスおよび気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料であって、ガラスが実質的にエアロゲルの気孔に入らない複合材料。
42.マトリクスとしての少なくとも一つの無機材料および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料であって、無機材料が実質的にエアロゲルの気孔に入らない、無機材料が実質的にエアロゲルの気孔に入らない複合材料。
43.マトリクスとしての少なくとも一つのセラミックおよび/またはガラス、および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料であって、セラミックおよび/またはガラスが実質的にエアロゲルの気孔に入らない複合材料。
44.少なくともエアロゲルの一部が、少なくとも部分的に皮膜により被覆されて、実質的に気孔中へのセラミックおよび/またはガラスの侵入を妨げる、マトリクスとしての少なくとも一つのセラミックおよび/またはガラス、および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む、実施形態43に記載の複合材料。
45.少なくともエアロゲルの一部が、少なくとも一つの処理剤により処理されて実質的に多孔質のままで残る処理エアロゲルを形成する、実施形態43〜44のいずれかに記載の複合材料。
46.複合材料がシンタクチックフォームである、実施形態43〜45のいずれかに記載の複合材料。
47.エアロゲルが表面および内部気孔体積を有すると共に、皮膜がエアロゲルの表面上にあり、従って、気孔を覆うが、しかし、エアロゲルの内部気孔体積中には浸透しない、実施形態44〜46のいずれかに記載の複合材料。
48.エアロゲルが内部気孔体積を有すると共に、少なくとも一つのセラミックおよび/またはガラスがエアロゲルの内部気孔体積中に入ることを皮膜が妨げる、実施形態44〜47のいずれかに記載の複合材料。
49.エアロゲル上の皮膜が高分子皮膜である、実施形態44〜48のいずれかに記載の複合材料。
50.皮膜が少なくとも一つの脂肪親和性ポリマーを含む、実施形態44〜49のいずれかに記載の複合材料。
51.皮膜が湿潤剤または界面活性剤を含む、実施形態44〜50のいずれかに記載の複合材料。
52.皮膜がワックスまたはガラスまたはセラミックなどの無機材料である、実施形態44〜51のいずれかに記載の複合材料。
53.皮膜がエアロゲル上の表面皮膜からなる、実施形態45〜53のいずれかに記載の複合材料。
54.皮膜が気孔上に橋かけする、実施形態44〜53のいずれかに記載の複合材料。
55.皮膜が水系ポリマー皮膜である、実施形態44〜54のいずれかに記載の複合材料。
56.皮膜が界面活性剤または湿潤剤を含む、実施形態44〜55のいずれかに記載の複合材料。
57.皮膜がエアロゲルの表面下10%(%はエアロゲルの平均径に基づく)以下にしか浸透しない、実施形態44〜56のいずれかに記載の複合材料。
58.分級ミル中でエアロゲルを少なくとも一つの被覆物質により被覆して被覆エアロゲルを形成し、次に、被覆エアロゲルを少なくとも一つのセラミックおよび/またはガラスと混合し、次に、ポリマーを硬化して複合材料を形成することを含む、実施形態43〜57のいずれかに記載の複合材料を調製する方法。
59.微細粒子をエアロゲル上に被覆することによりエアロゲルを被覆し、エアロゲルを加熱し微細粒子を融解してエアロゲル上に層を形成し、次に、被覆エアロゲルを少なくとも一つのセラミックおよび/またはガラスと混合して複合材料を形成することを含む、実施形態43〜57のいずれかに記載の複合材料を調製する方法。
60.エアロゲルを水性溶媒中に溶解または分散または乳化した第1反応物質を含む水系溶液により被覆し、次に、第2反応物質を含有する非極性溶媒を水系溶液により被覆したエアロゲルに添加し、次に、非極性溶媒を除去して第1および第2反応物質の反応生成物を得て被覆エアロゲルを形成し、次に、被覆エアロゲルを少なくとも一つのセラミックおよび/またはガラスと混合して複合材料を形成することを含む、実施形態43〜57のいずれかに記載の複合材料を調製する方法。
61.実施形態46のシンタクチックフォームにより断熱されるパイプを含む断熱パイプ。
62.実施形態43〜57のいずれかに記載の複合材料を含む物品。
63.実施形態43〜57のいずれかに記載の複合材料を含む断熱材。
64.エアロゲルが少なくとも一つの皮膜により少なくとも部分的に被覆されて実質的に気孔中へのセラミックおよび/またはガラスの侵入を妨げる、気孔を有するエアロゲルを含む被覆エアロゲル。
65.皮膜が表面および内部気孔体積を有すると共に、皮膜がエアロゲルの表面上にあり、従って、気孔を覆うが、しかし、エアロゲルの内部気孔体積中には浸透しない、実施形態64の被覆エアロゲル。
66.皮膜が内部気孔体積を有すると共に、セラミックおよび/またはガラスがエアロゲルの内部気孔体積中に入ることを皮膜が妨げる、実施形態64〜65のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
67.エアロゲル上の皮膜が高分子皮膜である、実施形態64〜66のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
68.皮膜が少なくとも一つの脂肪親和性ポリマーを含む、実施形態64〜67のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
69.皮膜が湿潤剤または界面活性剤を含む、実施形態64〜68のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
70.皮膜がワックスまたはガラスまたはセラミックなどの無機材料である、実施形態64〜69のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
71.皮膜がエアロゲル上の表面皮膜からなる、実施形態64〜70のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
72.皮膜が気孔上に橋かけする、実施形態64〜71のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
73.皮膜が有機ポリマーである、実施形態64〜72のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
74.皮膜が水系ポリマーであると共に、皮膜が界面活性剤または湿潤剤を含む、実施形態64〜73のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
75.皮膜がエアロゲルの表面下10%(%はエアロゲルの平均径に基づく)以下にしか浸透しない、実施形態64〜74のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
76.皮膜とエアロゲル間に存在する処理剤を含む、実施形態64〜75のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
77.少なくとも二つの皮膜を含む、実施形態64〜76のいずれかに記載の被覆エアロゲル。
78.第1皮膜が実質的に気孔中へのセラミックおよび/またはガラスの侵入を妨げると共に、少なくとも第2皮膜が1以上の機能特性を被覆エアロゲルに提供する、実施形態77に記載の被覆エアロゲル。
実施形態1〜78において言及される複合材料、方法、物品または被覆エアロゲルのいずれにおいても、エアロゲルは有機基修飾ケイ酸塩(ormosil)エアロゲルであることが可能であることは留意されるべきである。
【0044】
これまでの一般説明および以下の詳細説明は両方とも、代表例であり、説明用のみであって、クレームされる本発明のさらなる説明を提供するように意図されていることは理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明は、処理エアロゲルおよび/または被覆エアロゲルに関する。処理エアロゲルおよび/または被覆エアロゲルは、少なくとも一つのポリマーを有する複合材料の形成における使用を含む多くの用途において用いることができる。本発明は、また、エアロゲルを含有する複合材料に関する。本発明は、さらに、これらの複合材料を製造する方法、ならびにこれらの複合材料に対する用途に関する。さらに詳細には、本発明は、少なくとも一つのポリマーおよび少なくとも一つのエアロゲルを含有する複合材料に関する。一般に、複合材料中のポリマーは、マトリクスまたは連続相または結合剤として存在する。ポリマーの代わりに、またはポリマーと組み合わせて、マトリクス(または連続相または結合剤)は、また、少なくとも一つの無機材料、例えば、ガラスおよび/またはセラミック(複数を含む)を含むことができる。エアロゲルはこの連続相中に分散されるか、または別途存在する。エアロゲルは均一にまたは非均一に、または不規則に存在することができる。本発明において、エアロゲルは、エアロゲルの気孔中への、マトリクス材料(例えば、少なくとも一つのポリマー、および/またはセラミック、ガラスまたはそれらの組合せに限定されないがそれらを含む無機材料)の侵入を実質的に妨げるために、少なくとも一つの皮膜または層により被覆することができる。加えて、または代わりに、エアロゲルは処理剤により処理して処理エアロゲルを形成することができる。処理剤は、例えば、少なくとも一つの界面活性剤および/または湿潤剤であることができる。また、エアロゲルは最初に処理して処理エアロゲルを形成し、次に、被覆して被覆処理エアロゲルを形成することができる。別の方法では、エアロゲルは最初に被覆して被覆エアロゲルを形成し、次に、続いて処理して処理被覆エアロゲルを形成することができる。処理剤および被覆剤の特定例は以下にさらに詳細に検討される。
【0046】
ポリマーに関して、複合材料は、2、3、4、またはそれ以上の各種タイプのポリマーなどの1以上のポリマーを含有することができる。一般に、ポリマーは、1以上のタイプのモノマー単位の反復単位からなる。ポリマーは、低分子量ポリマーまたは高分子量ポリマーであることができる。ポリマーは架橋ポリマーであることができる。ポリマーは熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーであることができる。ポリマーは無機ポリマーまたは有機ポリマーであることができる。複合材料の高分子マトリクスまたは連続相を形成することができるポリマーのタイプに関しては何の制約もない。1を超えるポリマーは連続相を形成することができる。ポリマーは連続相を形成するポリマーの混合物であることができる。1を超えるポリマーが存在する場合、一つのポリマーは連続相を形成することができると共に、1以上の他のポリマーは非連続相として存在することができるか、または1を超えるポリマーは連続相を形成する。一部の実施形態において、あらゆるタイプのポリマーマトリクスは本発明において用いることができる。一般に、マトリクスまたは連続相を形成するポリマー(複数を含む)は、複合材料の大部分の質量および/または体積%を含むことができる。例えば、1以上の実施形態において、ポリマー(複数を含む)は、複合材料の約20%〜約99質量%、さらに好ましくは約50%〜約99%、または複合材料の約80%〜約99質量%を形成することができる。
【0047】
ポリマーは、水系ポリマーまたは有機系ポリマーまたは無機ポリマーであることができる。本発明のシンタクチックフォームを製造する方法において用いられるポリマーは、シンタクチックフォーム製造において有効に用いられるあらゆる樹脂であることが可能である。シンタクチックフォーム製造用に用いられる樹脂の部類には、アミノ樹脂、エポキシド樹脂、フェノールおよび他のタール樹脂、尿素およびメラミン樹脂、ビニル樹脂、スチレン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリイソシアネート、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油ポリマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アセタール樹脂、フルオロ炭化水素樹脂、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂を挙げることが可能であるが、それらに限定されない。さらに、ポリマーは、ポリ(N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル)などの水溶性コポリマーであることが可能である。特に好ましい樹脂はフェノール樹脂である。医薬的に許容可能なホモポリマー樹脂は本発明における使用に適することができると共に、アリルスクロースまたはアリルペンタエイジリトール(pentaeydiritol)により架橋されるアクリル酸のホモポリマー、ジビニルグリコールにより架橋されるアクリル酸のホモポリマー、500,000〜100億の分子量を有するアリルペンタエリジリトール(allyl penteryridiritol)により架橋される長鎖アクリル酸アルキルコモノマーによるアクリル酸のホモポリマーが挙げられる。B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich Co.)から、ノベオン(Noveon)(登録商標)AA−1USP、カルボポール(Carbopol)(登録商標)971PNF、カルボポール(登録商標)934PNF、およびカルボポール(登録商標)974PNFなどの商品名カルボポール(登録商標)およびノベオン(登録商標)樹脂で市販されている架橋ポリアクリル酸は、用いることができる。
【0048】
加えて、オプションとして、1以上の架橋剤は複合配合物中に存在することができる。ポリマーの性質に応じて、ポリマーは、ポリマー材料の固化を引き起こす架橋剤または硬化剤を含むことが可能である。ポリマーが固化するための架橋剤を含むケースにおいて、硬化剤対ポリマーの質量比が1:10であることは好ましい。硬化剤対ポリマーの比率は、ポリマーのタイプおよび望ましくある架橋度に応じて変わることができる。例えば、硬化剤の増大量は低温硬化を可能とし、ゲル化を加速する。硬化剤対ポリマーの相対量を5:100ほどの低い質量比に下げることは可能であるが、しかし、より高い硬化温度およびより長いゲル化時間を必要とすることがある。
【0049】
あらゆるエアロゲルは本発明において用いることができる。エアロゲルは、膜、薄膜、モノリス、壊れたまたは砕いたモノリス、粒子、ブランケット、マット、詰め物、および/または他のそれらの繊維強化形態などのあらゆる形態にあることができる。例えば、エアロゲルは特定形態にあることができる。エアロゲルは、特定の最終消費用途に応じて、粒子、凝集塊、顆粒、クラスター、およびより大きな形状であることができる。エアロゲルは、疎水性エアロゲルであることができるか、または親水性エアロゲルであることができるか、または混合物であることができる。少なくとも一つの実施形態において、本発明で用いる好ましいエアロゲルは、SiまたはAl化合物などのゾル−ゲル技術に適する金属酸化物(C.J.Brnker,G.W.Scherer,Sol−Gel Science.1990,Chaps.2 and 3)に基づくもの、またはメラミン−ホルムアルデヒド縮合物(米国特許第5,086,085号明細書)またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物(米国特許第4,873,218号明細書)などのゾル−ゲル技術に適する有機物質に基づくものである。それらは、また、上述の材料の混合物に基づくことができる。エアロゲルは、また、本明細書において参考のためそれらの全体を包含する、米国特許出願第2005/0192366号明細書または第2005/0192367号明細書に記載されているタイプの有機基修飾ケイ酸塩エアロゲルであることができる。好ましくは、ケイ素(Si)および/またはTi、W、およびZrなどの他の元素またはそれらの化合物、さらに好ましくはSiO2を含有するエアロゲルは用いることができる。熱伝導率に対する放射寄与を下げるために、エアロゲルは、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、または二酸化ジルコニウム、またはそれらの混合物などのIR不透明剤を含有することができる。エアロゲルは、それらがスラリー内で分散することを可能とするあらゆる粒径を有することができる。エアロゲルは種々の粒径分布を有することができる。エアロゲルは粉砕粉末の形態にあることができる。
【0050】
1以上の実施形態において、あらゆる市販されている疎水性または親水性エアロゲルは、本発明において用いることができる。例には、キャボット(Cabot Corporation)から市販されているエアロゲルが挙げられるがそれらに限定されない。特定の市販されているタイプには、ナノゲル(Nanogel)(登録商標)エアロゲルが挙げられるがそれらに限定されない。本発明の利点、および特に本発明により用いられる好ましい方法は、エアロゲルが予備成形され、従って、あらゆる望ましい構造、形態、または他の特徴を選択することができ、およびこの特徴が本質的に最終製品中に存在することである。
【0051】
本発明において用いられるエアロゲル粒子は、疎水性表面基を有することができる。気孔内の水分の凝縮によるエアロゲルのあらゆる後の崩壊を避けるために、疎水基が少なくともエアロゲルの内表面上で共有結合されることは好ましい。恒久疎水化用に好ましい基は、以下の式で表されるモノ−、ジ−、またはトリ−置換シリル基である:
【化1】

式中、R1は水素または非反応性直鎖、分岐鎖、環式、芳香族、またはヘテロ芳香族有機ラジカル、好ましくは、直鎖、分岐鎖、または環式C1〜C18−アルキルラジカルまたはC6〜C14−アリールラジカルである。同じかまたは異なることができるR2およびR3は、水素または非反応性直鎖、分岐鎖、環式、芳香族、またはヘテロ芳香族有機ラジカル、好ましくは、直鎖、分岐鎖、または環式C1〜C18−アルキルラジカル、C6〜C14−アリールラジカル、OHまたはR’が直鎖または分岐鎖C1〜C6−アルキルラジカルであるOR’基;好ましくはトリアルキルおよび/またはトリアリールシリル基であることができる。さらに好ましくは、同じかまたは異なることができるR1、R2およびR3は、C1〜C6−アルキル、シクロヘキシル、またはフェニル基である。
【0052】
エアロゲルの恒久疎水化用のトリメチル−およびジメチルシリル基の使用は、特に有利であることができる。これらの基は、WO94/25149号明細書(本明細書において参考のためその全体を包含する)に記載されているように、またはエアロゲルと、例えば、クロロトリアルキルシランまたはヘキサアルキルジシラザン(R.Iler,The Chemistry of Silica,Wiley & Sons,1979を参照すること)などの活性化トリアルキルシラン誘導体間のガス相反応により導入することができる。
【0053】
さらに、および一定の限定内で、エアロゲルの熱伝導率は、気孔率が増大し、密度が下がるにつれて下がることができる。この理由により、約60%を超える気孔率および約0.8g/cc未満の密度を有するエアロゲルは好ましい。さらに好ましくは、本発明のエアロゲルは約0.01〜約0.15g/ccの密度を有する。エアロゲル粒子の熱伝導率は、100mW/m°K未満または約40mW/m°K未満、好ましくは約25mW/m°K未満であることができ、さらに好ましくは、エアロゲル粒子の熱伝導率は、約12〜約18mW/m°K以下である。本発明の目的のため、熱伝導率は、平均温度12.5℃、または12.5℃〜30℃などの室温での測定値に基づく。
【0054】
エアロゲルは、約2nm〜5mmまたは約40nm〜1mm、または10μm〜1mmなどの、それらがポリマーマトリクス内で分散することを可能とするあらゆる粒径を有することができる。エアロゲルは種々の粒径分布を有することができる。エアロゲルは粉砕粉末の形態にあることができる。
【0055】
エアロゲルは、全体複合材料の特定密度および/または熱伝導率を達成するためにあらゆる望ましい量で存在することができる。例えば、エアロゲルは、全体複合材料の体積(体積は、気孔中へのポリマー侵入なしで、エアロゲル中に存在するガスに基づく)に対して、約1%〜約99%、さらに好ましくは約20%〜約75%または約20%〜約60%の量で存在することができる。
【0056】
前述のように、本発明の複合材料において用いられるエアロゲルは、エアロゲルの気孔中へのポリマーの侵入(または実質的な侵入)を妨げるために被覆またはカプセル化される。本発明の目的のための皮膜または被覆エアロゲルまたはカプセル化エアロゲルは、エアロゲルの気孔中へのマトリクスからのポリマー(またはセラミックスおよび/またはガラスなどの他の上述マトリクス材料)の侵入(または実質的な侵入)を妨げるエアロゲル表面上の皮膜を指す。この皮膜は、複合材料のマトリクスまたは連続相からのポリマー(またはセラミックスおよび/またはガラスなどの他の上述マトリクス材料)の侵入または出てくることを妨げるために、エアロゲル表面上に置かれる殻、層、または他の類似のタイプの構造であることができる。皮膜は、化学結合、および吸着などのあらゆる手段によりエアロゲル表面上に取り付けることができる。皮膜を形成する層は、エアロゲルへの吸着または化学結合なしで物理的層として存在することができると共に、簡単にエアロゲル周辺のそのカプセル化のせいで原型のままで残る。さらに詳細には、皮膜(複数を含む)は有機または無機皮膜であることができる。例えば、皮膜は高分子材料であり、1以上のポリマーを含有するかまたはそれらから形成することができる。皮膜は反応物質であるか、または重合可能であるか、または重合を開始することができる。皮膜は界面活性剤または湿潤剤系の皮膜であることができる。皮膜の他の例には、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、またはナイロンが挙げられるがそれらに限定されない。あるいは、皮膜はワックスまたはセラミックまたはガラスなどの無機材料であることができる。少なくとも一つの実施形態において、皮膜はエアロゲルの均一な皮膜を達成するために液状塗料として塗布され、次に、液状塗料または層は、容易に除去できない硬質または硬化皮膜を形成するために乾燥される。1以上の実施形態において、エアロゲル上の皮膜層は、好ましくは、複合材料を形成する材料の後の侵入がエアロゲルの気孔中に入ることを妨げるように、大部分またはすべてのエアロゲルの気孔を遮蔽することに役立つ薄い皮膜である。一般に、複合材の材料が、エアロゲルの、気孔の内部体積などの気孔に全体的に入ることは、これが、例えば、密度低減および/または熱伝導率の低減の観点からエアロゲルの使用により達成される利点を無にするであろうから望ましくない。エアロゲル上の皮膜が、同じ理由によりエアロゲルの気孔中に深く浸透しないことは望ましい。従って、本発明において用いられる皮膜は、好ましくは、気孔にわたって橋かけするか、または気孔を遮蔽するか、またはエアロゲルの気孔をカバーすることができるが、しかし、好ましくは、実質的にエアロゲルの気孔中に浸透しない。1以上の実施形態において、好ましくは、皮膜はエアロゲルの全体径の10%を超えて浸透しない。例として、エアロゲルの径が10mmである場合、好ましくは、皮膜はエアロゲルの表面下1mmを超えては浸透しない。エアロゲル上の皮膜は、均一、実質的に均一、または非均一であることができる。この場合もやはり、好ましくは、均一であろうが非均一であろうが、皮膜は、好ましくは、複合材の材料がエアロゲルのこれらの気孔に入ることを妨げるために、エアロゲル表面上に露出するエアロゲルの大部分またはすべての気孔を遮蔽するか、または橋かけする。好ましくは、エアロゲル上の皮膜は、約0.5μm〜約1mm、または約0.5μm〜約10μmなどの、約100nm〜約3mmの層厚さを有する。エアロゲル上の皮膜または層は、エアロゲルのカプセル化として役立つことができる。このカプセル化は完全カプセル化または部分カプセル化(例えば、表面積の50%、60%、75%以上)であることができる。以下の項は、種々の皮膜およびエアロゲル上の皮膜の形成を説明するが、これらの例は単に本発明の代表例であることは理解される。
【0057】
皮膜物質の例には、ポリビニルアルコール、ポリエチレンワックス、およびステアリン酸などの脂肪親和性ポリマーが挙げられるがそれらに限定されない。エアロゲルに塗布することができる塗料は、ポリビニルアルコール(PVA)などのポリマー塗料である。PVA塗料は液状塗料として塗布し、次に、好ましくは、例えば100℃で例えば熱風流中でゆっくりと乾燥することができる。例えば、PVA塗料溶液はPVAの10w/w%水溶液であることができる。他の濃度も用いることができる。上述のように、本発明のエアロゲル粒子は疎水性であるか、および/または疎水表面基を有することができる。しかし、疎水性エアロゲル粒子は水により濡らすことができない。一般に、疎水性エアロゲル粒子が水に添加される場合に、それらは激しい攪拌下でも簡単に表面上に浮く。1以上の実施形態において、ポリマー複合材料中の疎水性エアロゲル粒子の均質な分配を達成するために、エアロゲルは被覆するか、または処理して、ラテックスまたはアクリル樹脂などの水系ポリマー中に導入することができる。皮膜は、少なくとも一つの表面活性剤(例えば、界面活性剤)などの少なくとも一つの湿潤剤、および/または少なくとも一つの分散剤から形成することができる。湿潤剤はあらゆるやり方でエアロゲルの表面に塗布され、皮膜は任意に乾燥することができる。エアロゲル上の皮膜は、ポリマーマトリクス中に導入されて複合材料を形成する前に乾燥皮膜または液状皮膜であることができる。分散剤は、例えば、イオン性(陰イオンおよび陽イオン)界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、および高分子化合物から選択することが可能である。陰イオン界面活性剤には、例えば、硫酸アルキルおよび高級アルキルエーテル硫酸塩、さらに詳細には、ラウリル硫酸アンモニウム、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0058】
陽イオン界面活性剤には、例えば、脂肪族アンモニウム塩およびアミン塩、さらに詳細には、アルキルトリメチルアンモニウム、およびポリオキシエチレンアルキルアミンが挙げられる。
両性界面活性剤は、例えば、アルキルジメチルベタインなどのベタインタイプ、またはアルキルジメチルアミンオキシドなどのオキシドタイプからなることが可能である。
【0059】
非イオン性界面活性剤には、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、4オレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコールエステル、多価アルコール脂肪酸エステル、および他が挙げられる。ポリマー中の疎水性エアロゲル粒子の均質な分布は、実質的に均一な熱伝導率を有する複合材料を提供する。
【0060】
用いることができる一般的な湿潤剤には、例えば、エアロゾル(AEROSOL)OT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)、バーロックス(BARLOX)12i(分岐アルキルジメチルアミンオキシド)、トリトン(TRITON)100(オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール)、ツイーン(TWEEN)100界面活性剤のようなツイーン界面活性剤、およびBASFプルロニック界面活性剤が挙げられる。一般部類には、グリコール、ポリオキシエチレン脂肪エーテルなどのアルコキシレートポリオキシアルキレン脂肪エーテル、ソルビタンエステル、モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ハイパーメン(Hypermen)ポリマー界面活性剤のような高分子界面活性剤、ヤシ油アルキルPGジモニウムクロリドリン酸ナトリウムおよびコカミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸、リン酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、レネックス(Renex)非イオン性界面活性剤(エチレンオキシドおよび不飽和脂肪酸およびヘテロ環式樹脂酸の反応により形成される非イオン性エステル)、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体またはそれらの組合せが挙げられる。一般に、エアロゲルに適合するあらゆる湿潤剤は用いることができる。湿潤剤または被覆剤または処理剤または界面活性剤は、また、反応物質(例えば、NH2またはCOOHまたはCNO基との)であるか、または重合可能(例えば、C=C結合との)であることができるか、または重合反応を開始することができる。
【0061】
エアロゲル上の皮膜は、2以上の皮膜層またはカプセル化であることができる。例えば、2以上の皮膜が存在する場合に、皮膜は互いに同じかまたは異なることができる。例として、水系塗料はエアロゲル上に塗布することができ、次に、有機系または油系塗料は、続いて既に被覆したエアロゲルに塗布して、二重皮膜または多被覆エアロゲルを形成することができる。多被覆エアロゲルは、各皮膜が望ましい目的に役立つことができるので有利である。例えば、一つの皮膜は、気孔を遮蔽するかまたは橋かけをして被覆エアロゲルを作り出すための手段として役立つことが可能である。第2皮膜は、機械的強度に関するなど被覆エアロゲルを強化するためにこの皮膜の上に塗布することができる。第2皮膜または続く皮膜は、もしそれが最初に塗布されたら、それがエアロゲルの気孔体積中に入りこむというような化学的性質をそれが有することあるので、気孔上に橋かけして被覆エアロゲルを作り出すことは可能でない場合があり、従って第1皮膜としては有用でないであろう。。しかし、エアロゲルの気孔上を橋かけするかまたはそれらを遮蔽する手段として役立つことができる第1皮膜が塗布される場合、次に、続く皮膜は、それが第1皮膜に対して有害でない限り、全体被覆エアロゲルに価値を付けるために上に塗布することができる。一つのこうした例は、水系エポキシを用いる第1皮膜の形成、次に、全体被覆エアロゲルに機械的強度を付加するために役立つ油系エポキシを、既に被覆されたエアロゲルに塗布することであろう。第2皮膜は、また、被覆エアロゲルの複合材料および/またはマトリクス材料との相互作用を促進するかまたは改善するように選択することが可能である。
【0062】
前述のように、本発明の少なくとも一つの実施形態において、エアロゲルは少なくとも一つの処理剤により処理して処理エアロゲルを形成することができる。処理剤は、例えば、少なくとも一つの湿潤剤および/または少なくとも一つの界面活性剤であることができる。処理エアロゲルは、被覆エアロゲルと違って、上述のように、処理後も実質的に多孔質のままで残る。従って、処理エアロゲルは、気孔を遮蔽することによるのではなくそのハイドロプラスチック特性により、ポリマーマトリクスからエアロゲル気孔中へのポリマーの侵入または出てくることを妨げる。処理剤は、エアロゲルを水系ポリマーなどのポリマー中に分配するかまたは分散することを支援する。適する処理剤の例には、上述の湿潤剤および界面活性剤が挙げられるがそれらに限定されない。処理エアロゲルを形成するために用いられる処理剤は、エアロゲルとの化学結合、吸着、および水素結合などによってエアロゲル表面上に存在することができる。界面活性剤および/または湿潤剤は、十分な量で塗布され、好ましくは、緩やかに硬化されて、気孔上を橋かけすることを保持する場合、皮膜として役立つことができる。別の方法において、界面活性剤および/または湿潤剤は、エアロゲル表面上に塗布し、処理剤量がより少なく、および/または処理剤の硬化が急速であり、従って気孔上の橋かけに影響を及ぼさず、従ってエアロゲルが多孔質のままで残ることを可能とすることに基づき処理エアロゲルを形成することができる。一部の実施形態において、被覆剤および/または処理剤は、エアロゲル表面と反応性であるか、またはエアロゲル表面と非反応性であることができる。本発明において、処理剤および/または被覆剤は、複合材料の別の成分と重合可能であるか、および/または反応性であることができる。
【0063】
前述のように、本発明の少なくとも一つの実施形態において、エアロゲルは最初に処理して処理エアロゲルを形成し、次に被覆して被覆処理エアロゲルを形成することができる。例えば、陰イオン界面活性剤処理エアロゲル粒子は、続いて、正に荷電したポリマー(ポリエチレンイミン、PEI)により被覆することができる。本発明の1以上の実施形態は、単独の処理エアロゲル、ならびに単独の被覆エアロゲルに関する。
【0064】
エアロゲル粒子周辺の水性殻を形成するための界面活性剤(反応性であることが可能であってもよいしまたは可能でなくともよい)などの処理剤は、用いることができる。例えば、そこで水性殻は溶解した反応物質「ヘキサンジアミン」を有する。こうした粒子をヘキサン中のセバシン酸ジクロリドの有機溶液に接触させることは、水−ヘキサン界面でナイロン6,10の瞬時形成をもたらす。反応は反応物質、すなわち、ヘキサンジアミン濃度律速である。このナイロン膜はエポキシ進入に対して不浸透性の皮膜を形成する。
【0065】
また、エアロゲルを濡らすための界面活性剤などの処理剤は、使用可能であると共に、水相中に存在するモノマーの連鎖重合反応用の開始剤として機能することができる。モノマーの化学構造は、そのオリゴマーおよび/または高分子形態を表面活性とすることができ、それによって疎水性エアロゲル粒子上に皮膜を形成する。
【0066】
一般に、疎水性エアロゲルなどのエアロゲル粒子は、例えば、約700m2/gのような約300m2/g〜約1,000m2/gなどの大きな表面積を含むことができるが、それらに限定されない。従って、エアロゲルの完全な濡れを可能とする界面活性剤または分散剤の量は、大きくなることがあるる。一般に、完全な濡れは、水がエアロゲル粒子の内部に浸透することを可能とするように十分な量の湿潤剤が添加されて、その結果、それらが水性媒体中に沈む場合に起こると考えられる。一般的に、約0.6〜0.8質量部を超える湿潤剤の約1質量部のエアロゲルへの添加は、疎水性エアロゲル粒子の完全な濡れをもたらすことができる。水性スラリーが実質的に乾燥される場合でも、十分に濡れた粒子は、粒子かさ密度の大きな増加を示すことがある。結果として、完全に濡れたエアロゲル粒子により製造される複合材料の熱伝導率は、より高い熱伝導率を有する傾向がある。
【0067】
1以上の実施形態において、疎水性エアロゲル粒子の疎水性および低密度を十分に保持するために、疎水性エアロゲル粒子の外表面層のみを濡らすための湿潤剤の量を用いることは好ましい。従って、十分な量の湿潤剤は、エアロゲル粒子の外表面上に吸着されるように存在することができる。エアロゲル粒子の外表面層のみが濡らされる場合に、乾燥するとエアロゲル粒子かさ密度は無視できる増加しかないことがある。結果として、疎水性エアロゲル粒子の疎水性は比較的影響を受けず、複合材料は低熱伝導率を有する傾向にある。従って、1以上の実施形態において、好ましくは、約1質量部のエアロゲルに対して約0.6質量部以下の湿潤剤が用いられる。例えば、0.01部〜約0.5質量部の湿潤剤が、約1質量部のエアロゲルに対して用いることができる。湿潤剤はエアロゲルに対して予備塗布することができる。湿潤剤はエアロゲルに共有結合することができる。
【0068】
エアロゲル粒子の外表面のみの濡れを引き起こすための湿潤剤の量は、疎水性エアロゲル粒子の径に応じて決めることができる。一般に、より小さな径の粒子はより多くの湿潤剤を必要とする。好ましくは、1以上の実施形態において、湿潤剤の量は、乾燥後に疎水性エアロゲルの疎水性および低密度の実質的な回復を可能とするために十分な量である。さらに好ましくは、湿潤剤は、最終複合材料が約200mW/m°K未満の熱伝導率、最も好ましくは、約40〜約100mW/m°Kなどの約20〜約150mW/m°Kの熱伝導率を有するために十分な量にある。
【0069】
別の例として、ポリマーマトリクスまたは連続相が有機系ポリマーまたは油系ポリマーである場合に、エアロゲルは水系ポリマー塗料である皮膜を有することができる。塗料は溶媒(例えば、水性または非水性)中に溶解するか、乳化するか、または分散すると共に、エアロゲルを濡らすために用い、皮膜を形成することができる。1以上の実施形態において、このポリマーマトリクスとは異なる皮膜は、有機系ポリマーのエアロゲル気孔中への浸透を妨げる。水系ポリマー塗料の例は、一部分、上に記載されている。好ましい水系塗料には、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、アクリレート、およびポリウレタンが挙げられるがそれらに限定されない。代替として、エアロゲルは、水中に1以上の化学物質(複数を含む)または反応物質を溶解するかまたは分散し、次に、エアロゲルをこの溶液、乳化液、または分散液により濡らし、次に、エアロゲルを、第1反応物質と反応してエアロゲル表面上に化学皮膜を形成する第2反応物質を含有する非極性溶媒中に置くことにより被覆することができる。
【0070】
エアロゲルを被覆するための別の方法は、エアロゲルを、エアロゲルの粒径よりも有意に細かくある極めて微細な粉末により被覆することによる。この微細な粉末は、次に、本質的にエアロゲル表面を被覆する。次に、粉末被覆エアロゲルは、次に、加熱するか(または溶解するか)または別途処理してエアロゲル上の粉末皮膜を融解して(または別途分配して)、エアロゲルの気孔を遮蔽する均一なまたは実質的に均一な皮膜を形成することができる。微細粉末は、代替的に、エアロゲルの焼結を支援するかまたは寄与して気孔(例えば、上部気孔面など)を覆うことができる。エアロゲルの表面は、代替的に、エアロゲルの気孔を覆うようなやり方でプラズマにより、または他のエネルギー印加により処理することができる。従って、1以上の実施形態において、エアロゲルはそれ自身の枠組みによりその気孔を覆っている。微細粉末は、ポリマー、ワックス、およびガラスなどの無機材料などであることができる。特定例には、パラフィンワックス、エポキシおよび熱可塑性樹脂のような有機ポリマーが挙げられる。一般に、エアロゲル上に被覆される微細粉末は、約100nm〜約0.5mmまたは10nm〜0.3mmまたは1μm〜0.3mmの粒径を有する。エアロゲルは、エアロゲル表面上の微細粉末の付着力を改善するために軽く濡らすことができる。エアロゲル上に被覆される微細粉末は、エアロゲルよりも低い融点を有することができる。
【0071】
被膜をエアロゲル粒子に適用することができる別のやり方は、分級ミルなどの特定タイプのミルの使用によるものである。
【0072】
種々の成分、すなわち、エアロゲル粒子および被覆物質は分級ミル中に供給することができる。パラメータは、20μm未満のエアロゲル粒子のみがミルを離れることを避けるように選択することができる。被覆物質は、エアロゲルと被覆物質間の接触が確立されるとすぐに、エアロゲル粒子と共に供給することができる。
【0073】
本発明の複合材料の形成に関して、従来型の手段は用いることができる。例えば、少なくとも一つのポリマー(セラミックおよび/またはガラス)および一つの充填剤から複合材料を形成する技術分野の当業者に公知であるあらゆる手段は、本発明の目的のために用いることができる。さらに特定的な例として、複合材料を形成する1以上のポリマーは、未硬化または硬くならない状態の場合に(例えば、ポリマーが液体である場合に)、被覆エアロゲルと共に導入し、ポリマーの連続相間に被覆エアロゲルを分散する(例えば、均一に)ために混合するか、または攪拌することができる。後に、混合物は、加熱、およびUV硬化などに限定されないがそれらなどの従来型の手段により硬化するか、または硬くすることができる。複合材料は、金型に注ぐこと、および押出成形することなどができる。本質的に、ポリマーの加工または成形用に用いられるあらゆる手段は本発明において用いることができる。複合材料は、一般的に、複合材料またはシンタクチックフォーム組成物中に見出される他の従来型の成分または構成要素を含有することができる。例えば、複合材料はカーボンブラック、およびシリカなどの従来型の充填剤を含有することができる。本発明の複合材料(または複合材料を含む1以上の個々の成分)は、着色剤、硬化剤、UV保護剤、可塑剤、強化剤、充填剤、補強剤、ポリマー改質剤、安定剤および/または不透明剤などの他の構成要素を含むことができる。これらの種々の従来型構成要素は、当業者に公知である従来からの量で用いることができる。複合材料を形成する上で被覆エアロゲルは、ポリマーが液体状態または被覆エアロゲルのポリマーとの混合を可能とする状態にある場合に導入することができる。被覆エアロゲルの導入は、予備成形されると共に、簡単に融解されるかまたは液体状態にあるポリマーにより起こることができるか、または、被覆エアロゲルは、連続相またはマトリクスを構成する1以上のポリマーを形成する重合反応中に導入することができる。換言すれば、被覆エアロゲルはポリマーの原位置(in-situ)調製の間に導入することができる。硬化前または硬化後の複合材料はあらゆる形状またはサイズに成形することができるか、またはそれは最終用途に応じてあらゆる粒径または粉末に細分化することができる。
【0074】
複合材料を形成する成分は、剛性であろうがまたは可撓性であろうが、エポキシ、ポリエステル、ウレタン、または他の高分子材料から押出成形、予備成形、スプレー、または形成されると共に、被覆エアロゲルにより充填することが可能である。当業者は、勿論、シンタクチックフォームの正確な仕様が、深さおよび周囲の水温などの、用途、例えば断熱パイプラインの操作特性に基づいて選択されることを認識するであろう。
【0075】
本発明の複合材料(例えば、シンタクチックフォーム)は、複合材料が種々の用途において用いられることを可能とするあらゆる構造を有することが可能である。加えて、硬化前または硬化後の複合材料は、あらゆる形状または使いやすい長さ(例えば、1インチ未満〜数フィート以上)に設定することが可能である。複合材料は、変形可能および/または圧縮可能であることができる。一般的な形状には、中空管、スリーブ、またはブロックなどが挙げられる。
【0076】
本発明のシンタクチックフォームまたは複合材料組成物および/または被覆エアロゲルおよび/または処理エアロゲルは、化学物質、生物製剤、栄養補助食品、成長因子、アミノ酸、生物活性材料、および製薬活性および不活性材料用の担体として用いることが可能であり、製薬、衛生、獣医、農業および医療用用途を有する。従って、本発明は、さらに、製薬用および化学用シンタクチックフォーム組成物に関する。
【0077】
加えて、被覆薄膜エアロゲルはマイクロ電子回路中の低誘電率絶縁材として用いることができる。従って、本発明は、また、マイクロ電子製造にも関する。
【0078】
加えて、皮膜は、100nmより薄く、好ましくは50nmより低く、例えば10nmより低く、例えば、1nm〜9nmであることができる薄膜であることができる。そのようなものとして、薄膜は連続または不連続であることができるであろうし、任意に少なくとも部分的に粒子に含浸することができる。含浸薄膜はエアロゲルの内部構造に合致することができる。膜は、蒸着技術(化学蒸着、物理的蒸着または原子層蒸着)または液相析出技術(電気化学析出、無電解析出、吸着、または沈殿)または固相技術を用いて堆積することができる。薄膜は、上に開示されるタイプの高分子材料、無機材料(ガラスまたはセラミックなど)、生物活性材料(タンパク質など)または金属(Ag、Au、Pt、Ru、Ta、Rh、Ir、Fe、Ni、Co、Mn、Nb、Pd、Pu、Uなど)または半導体(Si、Ge、TiO2、ZnO、GaAs、GaN、InPなど)であることができる。薄膜は、上の部類の材料から選択される多薄膜からなることができる。そういうものとして、薄膜被覆エアロゲル粒子は、触媒反応、センサー、および/または電子/光電子デバイスなどの表面反応性を含む面における用途を見出すことができる。
【0079】
さらに、本発明は、従来型のシンタクチックフォームが用いられる同じ用途において用いることができる。これらには、シンタクチックフォームにより断熱されるパイプ、および浮力用途などが挙げられるがそれらに限定されない。さらに、それらすべてについて本明細書において参考のためそれら全体を包含する、米国特許第6,848,863号明細書、第6,827,110号明細書、第6,800,668号明細書、第6,805,253号明細書、第6,758,710号明細書、第6,706,776号明細書、第6,476,087号明細書、第6,284,809号明細書、および第5,888,642号明細書に記載されている材料および用途が挙げられる。
【0080】
加えて、本発明のエアロゲルは、エアロゲル含有ブランケット中に用いることができる。ブランケットはエアロゲル、繊維、および他の成分を含むことができる。米国特許出願第11/013,306号明細書に記載されているように、エアロゲル含有ブランケットの詳細内容は、本発明のエアロゲルと共に本発明において用いることができる。出願書は本明細書において参考のためその全体を包含する。
【0081】
深海パイプライン用の濡れ断熱材などのシンタクチックフォーム用途におけるガラスミクロスフェア用代替としての、本発明のエアロゲル粒子などのエアロゲルの使用は、熱伝導率の25%〜40%の改善を提供することができる。これは、特に、エアロゲル表面が高分子マトリクスに対して不浸透性である場合に可能である。例えば、本発明において、60〜約110mW/m−Kの範囲にある熱伝導率は達成することができる。本発明において、エアロゲルそれ自体は、60mW/m−K未満、さらに好ましくは50mW/m−K未満、なおさらに好ましくは約5mW/m−K〜約30mW/m−Kなどのガラスミクロスフェアより有意に低い熱伝導率を有することができる。
【0082】
本発明により、全体複合材料の熱伝導率は以下の通りであることができる:
λ複合材料=Φλエアロゲル+(1−Φ)λポリマー
Φ=0.01〜0.99 Φ=エアロゲルの体積割合
λエアロゲル=4〜100mW/m−K
λポリマー=20〜1000mW/m−K(ポリマーはガスポケットを有することができる)
【0083】
本発明のシンタクチックフォームは、加水分解に対して安定し、高い圧縮E−弾性率を有することができる。高圧縮E−弾性率は300psiよりも大きくすることができる。これらの加水分解安定性シンタクチックフォームは、0〜40℃の温度で劣化することなく20年にわたって水にさらすことができる。
【0084】
加えて、任意の成分として、1以上の結合剤は複合材料中に存在することができると共に、その結合剤は複合材料が未硬化複合材料混合物である場合に添加することができる。
【0085】
本発明において有用な、適する結合剤の例には、高分子量多糖類、キサンタン・ガム、d−アルファ−トコフェロール・ポリエチレングリコール1000サクシネート、でんぷんNF、ポビドン、コポリビドンNF、ポリビニルアルコール、グリセリルベヘネート、キサンタン・ガム、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロース結合剤、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースUSPおよびヒドロキシエチルセルロースNFが挙げられるが、特に好ましいものは、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースUSPおよびヒドロキシエチルセルロースNFである。
【0086】
本発明の複合材料、例えば、シンタクチックフォームは、約0.05〜約1.0g/cm3の密度を有することができる。さらに好ましくは、密度は約0.3〜約0.8g/cm3である。
【0087】
本発明は、本発明の代表例であると意図されている以下の実施例によりさらに明らかにされる。
【実施例】
【0088】
例1:
【0089】
10μm径ナノゲル(登録商標)粒子(150g)を、150gのPVAおよび20.5gのバーロックス12i(100%基準)を含有する溶液1.5リットルに添加することにより、ナノゲル(登録商標)エアロゲル粒子/PVAスラリーを調製した。振動させ攪拌した後に、クリーム状の一貫性を有するスラリーを形成した。100℃でのスラリーの実験室での乾燥は、層状構造、PVAリッチの上部のがっしりした層、材料のバルクを示す中間の粉末状層、およびPVAリッチの下部層を与えた。上部層の塊はイソプロパノール中に浮いた。熱重量検討は、試料が42質量%ナノゲル(登録商標)粒子(すなわち、PVA:ナノゲル質量比は約1.4:1であった)を含有することを示した。この塊を40および50体積%添加量(塊の密度を0.27g/ccと仮定)でエポキシ中へ混合すると、気孔なしのように見える複合材料を与えた。40体積%の塊を含有するエポキシはイソプロパノール中に浮いた。50体積%の塊を含有するそれは、93mW/m°Kの熱伝導率を有することが見出されたが、この値は従来型のシンタクチックフォームのそれらと較べても全く遜色がない。
例2:
【0090】
ナノゲル水系エポキシ複合材料:水系エポキシ乳化液/分散液を、水性硬化剤と併せて用いた。界面活性剤を用いてエポキシ乳化液/分散液を安定させた。ナノゲル粒子の疎水性は溶液の進入に抗した。水系エポキシ(WBE)、水性硬化剤およびナノゲル粒子のワンポット混合物を静かに攪拌した。WBE中の過剰界面活性剤はナノゲル粒子を濡らすことに役立ち、緊密なナノゲル−エポキシ複合材料を実現した。それぞれ3.0、1.0、および0.08mm径であるナノゲルグレードTLD302、TLD101、08Nを用いた。複合材料を一夜にわたり乾燥し、次いで70℃で12時間にわたり硬化し、好ましい熱性能を示す軽量複合材料をもたらした。
【0091】
一般的な組成物は、(i)試料SF_08N:16gのEPIREZ3515、4gのEPIKURE8535、3gのナノゲル08N、(ii)試料SF_101:16gのEPIREZ3515、4gのEPIKURE8535、6gの水、4gのナノゲルTLD101を用いた。EPIREZおよびEPIKURE化学物質をレゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)から得た。SEM画像が撮られ、明らかに、ナノゲル粒子とエポキシの緊密な混合物が気孔浸潤なしで形成されることを示した。被覆粒子がエポキシと共に見られる複合材料領域の拡大画像は4.5μmの皮膜厚さを有した。図1を参照すること。調製された各種試料の測定熱伝導率は、ナノゲルの体積添加量に応じて60〜80mW/m−K範囲にあった(表1を参照すること)。理論的マックスウェルおよびパラレル混合モデルとの比較を行った。配合物中で用いられるそのままのエポキシの熱伝導率は知られていないが、一方で、文献値は190〜250mW/m−Kの範囲にある。試料は、破損前10%歪での圧縮応力1.5MPaに耐えることができた。
【表1】

例3:
【0092】
水系エポキシ被覆ナノゲル粒子:上記実施例2におけるように硬化剤を水性混合物中に混合する代わりに、表面活性硬化剤をナノゲル粒子の表面を修飾するために用い、ナノゲル粒子上に形成するエポキシの薄い皮膜をもたらした。
例4:
【0093】
反応性界面活性剤を用いる粒子のエポキシ皮膜:直接エアロゲルビードの表面上に樹脂層を構築する新奇な手段は、粒子を最初に第1級および第2級アミンを有する界面活性剤で被覆することである。これらのアミンは、次に、エポキシに対する反応部位、または硬化剤として役立つ。反応性界面活性剤エポキシ法を実証するこのアプローチを、図2に概略的に示す。
【0094】
図3に示すような第1級および第2級アミン基を有する界面活性剤は、市販されている。アミン基上の水素はエポキシ樹脂への結合用に利用可能である。下二つの分子は3−Dポリマー構造を可能とする。
【0095】
潜在的な樹脂結合に対する3以上の部位を有する界面活性剤は、より多い架橋および3次元構造を引き起こすことができる。これは、2次元構造よりも良く粒子をカバーするように機能することが可能である。加えて、樹脂の3主要部類を試みた:従来型(有機相)の樹脂および高いならびに低い分子量の水分散樹脂。多くの実験室法が有効な被覆技術を探求するために用いられた。例えば、硬化剤/界面活性剤および樹脂の層での粒子の連続的な被覆を試験した。用いられる界面活性剤の量は、水相がいかに深く粒子中に進入するか、および結果としてエポキシ皮膜がいかに厚くなるか、およびどれほどの粒子体積がこのプロセスで犠牲になるかを決める別の実験変数であった。アミン基上の水素はエポキシ樹脂への結合用に利用可能である。図2に示す下二つの分子は、3−Dポリマー構造を可能とすることができる。
【0096】
この実験のセットにおいて用いられる3界面活性剤は、デュオミーン(Duomeen)C、デュオミーンT、およびトリアミーン(Triameen)Tである。すべてはアクゾ・ノベル(Akzo Nobel,Inc.)から市販されている界面活性剤の商品名であり、表2に示す。本明細書において用いられる第4界面活性剤はC18鎖のみを含有するオクタデシルアミンである。
【表2】

【0097】
エポキシ皮膜によりエアロゲル粒子を被覆するための一般手順は以下の通りである。
一覧される手順は、エポキシ進入を妨げる被覆1mmエアロゲルビーズを製造するための一般的な手順である。界面活性剤によるエアロゲル粒子の被覆。デュオミーンCを、70℃で激しく振ることにより水中で水和して1w/w%溶液とした。次に、エアロゲル粒子をこの水和界面活性剤溶液に導入し、得られる混合物を、再度、粒子が完全に濡れてしまうまで振った。水和界面活性剤溶液対1mmエアロゲルビーズの一般的な比は15.7g/gであった。粒子を次の段階のため表面からすくい取った。エポキシ樹脂への被覆ビーズの添加。約5mLのEpi−Rez3522−W−60、水分散エポキシ樹脂を、蓋付きの15mL試験管などの適する容器中に置き、70℃に予熱した。前段階で作成された濡れたエアロゲルの少量、一般的に0.31gを、樹脂を含有した試験管の上部に導入した。エアロゲルを濡らすために試験管を逆さにし、次に、ボルテックス・ミキサー中で、4秒間にわたり交互に表を上にし、逆さまにして、2回にわたり混合した。次に、試験管を第2格納容器中に入れ、70℃保管庫中に一夜にわたり保存した。
【0098】
洗浄および分析。試験管を70℃保管庫から除去した。ビーズを懸濁液表面からすくい取り、ネジ蓋式のガラスビン中に置いた。約20mLの水を添加し、ガラスビンを振ってビーズから樹脂を洗い落とした。全体溶液を濾過器上に注ぎ、放置して水抜きをした。次に、ビーズを水により完全に洗浄した。ビーズの性能を、水および軽パラフィン油中に浮くそれらの能力により監視した。
【0099】
油系エポキシ中への組込み。前段階で作成された濡れ被覆エアロゲル粒子は、油系エポキシ樹脂に添加することができる。用いた樹脂は、1.0gのダウ(Dow)DEH24硬化剤を有する12.9gのダウ・ケミカルの(Dow Chemicals’)DER331樹脂であった。この方法は、うまくパラフィン油および水上に浮くと共に、油系エポキシ樹脂中に組み込み、エアロゲル中への樹脂の進入なしで硬化することができる粒子の生成をもたらしてきた。1mmビーズに対して、0.1g/gの界面活性剤:エアロゲル比は、好ましい結果を示すほぼ最小のレベルであった。これは、これら1mmビーズ中への約0.034mmの計算による半径方向浸透深さに相当する。
例5:
【0100】
エアロゲル粒子のナイロン被覆。アプローチ法:種々の実施形態において、ポリマー被覆は、二つの基準を満たすことができる:(1)反応は、膜が形成されるか、またはポリマー分子が粒子の気孔中に流れ込むかまたは拡散するには余りにも大きくなってしまう点まで重合が進む前に、あらゆる液体相が拡散または毛細管流動により粒子に入ってくることを妨げるために、十分速くある必要があること、および(2)重合は、粒子がエポキシ樹脂中に埋め込まれてシンタクチックフォームを形成する場合に、油または水が気孔に入り込むことを妨げて、気孔を含む粒子の全体表面をカバーすることができる連続膜をもたらすことが好ましい。ナイロンの重合は、極めて速く、界面反応であるこれら二つの基準を満たす。この反応の化学的性質および化学量論を図4に示す。塩化アルキルモノマーは、有機相、例えばシクロヘキサン中に可溶であり、一方でジアミンモノマーは水相中に可溶である。重合は相界面で起こり、ナイロン膜を形成し、これが重合がいずれかの相でさらに進むことを妨げることが可能とする。
【0101】
図5はナイロン重合法の概略図を示す。エアロゲル粒子は、反応性界面活性剤および水中10w/w%ヘキサンジアミンにより被覆され、次に、有機相にさらされる。界面反応は粒子表面で起こる。
【0102】
上述のように、最初に、その極性末端での2以上のアミン基を有する界面活性剤を含有する水中に粒子を沈めることにより、それらを濡らした。しかし、最初の結果が、界面活性剤単独では完全で迅速な重合のために十分なモノマーを提供しないことを示したので、追加のヘキサンジアミンを溶液に添加した。粒子を水表面からすくい取った後に、それらを、図5に示すように、水の殻で被覆する。次に、水および界面活性剤で濡らした粒子を、ヘキサン中5v/v%セバシン酸ジクロリド溶液中に沈めた。重合は、水殻と有機溶媒の界面で自発的に急速に起こり、理想的にエアロゲル粒子周辺にナイロン膜の皮膜をもたらす。
【0103】
水中5w/w%界面活性剤溶液を調製した。試料を70℃オーブン中に置いた時に、界面活性剤は溶解した。原液を水中60w/w%から30w/w%に希釈することにより、ヘキサンジアミン溶液を調製した。界面活性剤およびジアミン溶液を用いて粒子を濡らした:0.6gの1mmエアロゲル粒子を、1mm粒子用の1.2gの界面活性剤溶液、または60〜80μm粒子用の1.6gの界面活性剤溶液と混合した、これはそれぞれ、粒子に対して界面活性剤が10%または14w/w%に対応する。この懸濁液に、3.3gの30w/w%ジアミン溶液(10w/w%の最終濃度をもたらす)、および5.5gの水を添加した。ヘキサン中のセバシン酸ジクロリド(ClCO(CH2)8COCl)溶液を、小さなガラスビン中で調製した。ガラスピペットを用いて、0.4mlのセバシン酸ジクロリドを5mlヘキサン中に希釈した。濡れた粒子を水相表面からすくい取った。濡れた粒子をヘキサン相中に落とした。蓋をしっかりとネジで取り付けた後、内容物を反転により混合した。ワットマン濾紙を通して固形物を濾過した。粒子をヘキサンで洗浄した。粒子をヒューム・フード中の濾紙上で乾燥した。
【0104】
個々の粒子を被覆すること:1mm径の個々の粒子。1mm粒子を濡らし、セバシン酸ジクロリド溶液を前述のように調製した。粒子を1.18mmメッシュ上に置き、メッシュを通していくつかの粒子を空のガラスビーカー中に噴霧するために、加圧空気を用いた。セバシン酸ジクロリド溶液をビーカー中に注いだ。粒子がガラスにくっ付く場合、それらをへらで除去した。粒子を前述のように濾過し乾燥すると共に、いくつかをSEM分析のため提出した。すべての溶液および濡れた粒子を前述のように調製した。
【0105】
図6は、個々の粒子のナイロン被覆の概略図を示す。一定の比例では描かれていない。350または500μm(より大きくない)メッシュ篩を、図6に示す大きなシャーレーの上約8インチ(in)のクランプ台上に取り付けた。窒素または空気圧力計を20psiに設定した。水をシャーレー中に1cmレベルまで注いだ。液飛びが起こらないことを検証するために最大窒素流を用いた。水を捨てた。フードサッシの一部を、メッシュおよびシャーレー装置の前に遮蔽板として置いた。操作当りほぼ150mlのセバシン酸ジクロリド溶液が必要とされ、それを大きなシャーレー中に注いだ。濡れた粒子の塊を、シャーレー上に中心を置くメッシュ上に置いた。サッシをほとんど完全に閉じ、窒素流を作動させ、粒子に向けた。粒子を、個々に、または2〜3の粒子の塊でスクリーンを押し通した。セバシン酸ジクロリド中での粒子形成を観察した。浮遊粒子を表面からすくい取り、ワットマンフィルタ上に置き、ヘキサンで洗浄し、前述のように乾燥した。
【0106】
ナイロン被覆エアロゲル粒子によるエポキシ複合材料:複合材料のため、12.9gのダウD.E.R.331エポキシ樹脂を1.0gのDEH24硬化剤と混合し、2.25gのナイロン被覆60〜80μmエアロゲル粒子を添加し、へらで静かに混合した。混合物をアルミニウムパン中に注ぎ、伝導率試験および機械試験用のパックを作成した。パックを室温で一夜にわたり硬化させ、次いで70℃で6時間硬化させた。ナイロン膜が、連続的に、均等で、約5μm厚さで現れる。
【0107】
出願者らは、特に、すべての引用文献の全体内容を本開示内容中に組み込む。さらに、量、濃度、または他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上の好ましい値および下の好ましい値の一覧のいずれかとして与えられる場合に、これは、どの範囲が個別に開示されているとかには無関係に、あらゆる上限値または好ましい値とあらゆる下限値または好ましい値のあらゆる対から形成されるすべての範囲を特に開示しているとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書において記される場合、特記のない限り、範囲は、それらの端点、および該範囲内のすべての整数および分数を含むように意図されている。本発明の範囲が範囲を規定する場合に記される特定の値に限定されることは、意図されていない。
【0108】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書において開示される本発明の実施から当業者に明らかとなるであろう。本明細書および実施例が、以下のクレームおよびそれらの同等物により示される本発明の真の範囲および精神による代表例としてのみ考慮されるべきであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】ポリマー皮膜を有するエアロゲル粒子である本発明の実施形態の顕微鏡写真である。
【0110】
【図2】本発明の反応性界面活性剤エポキシ法の簡略化された説明を提供する概略図である。
【0111】
【図3】第1級および第2級アミン基を有するいくつかの界面活性剤の化学構造である。
【0112】
【図4】エアロゲル粒子の皮膜用のナイロン重合に対する反応スキームである。
【0113】
【図5】ヘキサン中5v/v%セバシン酸ジクロリド溶液中に入れた、水層を有する界面活性剤に浸した粒子を含む粒子皮膜の略図である。
【0114】
【図6】個々の粒子のナイロン皮膜を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクスとしての少なくとも一つのポリマー、および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む複合材料であって、該ポリマーが実質的に該エアロゲルの気孔に入らない、複合材料。
【請求項2】
前記エアロゲルの少なくとも一部が、実質的に前記気孔中への前記ポリマーの侵入を妨げるために、皮膜により少なくとも部分的に被覆される、マトリクスとしての少なくとも一つのポリマー、および気孔を有する少なくとも一つのエアロゲルを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記エアロゲルの少なくとも一部が、少なくとも一つの処理剤により処理されて実質的に多孔質のままで残る処理エアロゲルを形成する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記複合材料がシンタクチックフォームである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記少なくとも一つのポリマーがポリウレタンである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記少なくとも一つのポリマーがエポキシド樹脂である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記少なくとも一つのポリマーがポリプロピレンまたはポリエチレンまたは両方である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項8】
前記エアロゲルが表面および内部気孔体積を有すると共に、前記皮膜が前記エアロゲルの表面上に存在し、従って気孔を覆うが、しかし、エアロゲルの内部気孔体積中に浸透しない、請求項2に記載の複合材料。
【請求項9】
前記エアロゲルが内部気孔体積を有すると共に、前記皮膜が前記少なくとも一つのポリマーがエアロゲルの内部気孔体積中に入ることを妨げる、請求項2に記載の複合材料。
【請求項10】
前記エアロゲル上の前記皮膜が高分子皮膜である、請求項2に記載の複合材料。
【請求項11】
前記皮膜が少なくとも一つの脂肪親和性ポリマーを含む、請求項2に記載の複合材料。
【請求項12】
前記皮膜が湿潤剤または界面活性剤を含む、請求項2に記載の複合材料。
【請求項13】
前記皮膜がワックスまたは無機材料である、請求項2に記載の複合材料。
【請求項14】
前記皮膜が前記エアロゲル上の表面皮膜からなる、請求項2に記載の複合材料。
【請求項15】
前記皮膜が前記気孔上に橋かけする、請求項2に記載の複合材料。
【請求項16】
前記ポリマーが有機ポリマーであり、前記皮膜が水系ポリマー皮膜である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項17】
前記ポリマーが水系ポリマーであり、前記皮膜が界面活性剤または湿潤剤を含む、請求項2に記載の複合材料。
【請求項18】
前記皮膜が、前記エアロゲルの表面下10%(該%はエアロゲルの平均径に基づく)以下にしか浸透しない、請求項1に記載の複合材料。
【請求項19】
分級ミル中で前記エアロゲルを少なくとも一つの被覆物質により被覆して被覆エアロゲルを形成し、次に、該被覆エアロゲルを少なくとも一つの未硬化ポリマーと混合し、次に、該ポリマーを硬化して複合材料を形成することを含む、請求項1に記載の複合材料を調製する方法。
【請求項20】
微細粒子を前記エアロゲル上に被覆することにより該エアロゲルを被覆し、該エアロゲルを加熱し該微細粒子を融解して該エアロゲル上に層を形成し、次に、該被覆エアロゲルを少なくとも一つの未硬化ポリマーと混合し、次に、該ポリマーを硬化して前記複合材料を形成することを含む、請求項1に記載の複合材料を調製する方法。
【請求項21】
前記エアロゲルを水性溶媒中に溶解または分散または乳化した第1反応物質を含む水系溶液により被覆し、次に、第2反応物質を含有する非極性溶媒を該水系溶液により被覆した該エアロゲルに添加し、次に、該非極性溶媒を除去して第1および第2反応物質の反応生成物を得て被覆エアロゲルを形成し、次に、該被覆エアロゲルを少なくとも一つの未硬化ポリマーと混合し、次に、該ポリマーを硬化して前記複合材料を形成することを含む、請求項1に記載の複合材料を調製する方法。
【請求項22】
請求項2に記載のシンタクチックフォームにより断熱されるパイプを含む断熱パイプ。
【請求項23】
請求項1に記載の複合材料を含む物品。
【請求項24】
請求項1に記載の複合材料を含む断熱材。
【請求項25】
気孔を有するエアロゲルを含む被覆エアロゲルであって、前記エアロゲルが少なくとも一つの皮膜により少なくとも部分的に被覆されて実質的に前記気孔中へのポリマーの侵入を妨げる、被覆エアロゲル。
【請求項26】
前記皮膜が表面および内部気孔体積を有すると共に、該皮膜が前記エアロゲルの表面上にあり、従って、気孔を覆うが、しかし、エアロゲルの内部気孔体積中には浸透しない、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項27】
前記皮膜が内部気孔体積を有すると共に、前記ポリマーがエアロゲルの内部気孔体積中に入ることを該皮膜が妨げる、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項28】
前記エアロゲル上の前記皮膜が高分子皮膜である、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項29】
前記皮膜が少なくとも一つの脂肪親和性ポリマーを含む、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項30】
前記皮膜が湿潤剤または界面活性剤を含む、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項31】
前記皮膜がワックスまたは無機材料である、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項32】
前記皮膜が前記エアロゲル上の表面皮膜からなる、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項33】
前記皮膜が前記気孔上に橋かけする、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項34】
前記皮膜が有機ポリマーであると共に、該皮膜が水系ポリマー皮膜である、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項35】
前記皮膜が水系ポリマーであると共に、該皮膜が界面活性剤または湿潤剤を含む、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項36】
前記皮膜が、前記エアロゲルの表面下10%(該%はエアロゲルの平均径に基づく)以下にしか浸透しない、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項37】
前記皮膜と前記エアロゲル間に存在する処理剤を含む、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項38】
少なくとも二つの皮膜を含む、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項39】
第1皮膜が実質的に前記気孔中へのポリマーの侵入を妨げると共に、少なくとも第2皮膜が1以上の機能特性を被覆エアロゲルに提供する、請求項38に記載の被覆エアロゲル。
【請求項40】
前記皮膜が100nm以下の厚さを有する薄膜である、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項41】
前記皮膜がエアロゲルの内部構造に合致する含浸薄膜である、請求項25に記載の被覆エアロゲル。
【請求項42】
気相蒸着技術、液相析出技術、または固相技術により前記エアロゲル上に薄膜を堆積することにより請求項25に記載の被覆エアロゲルを形成する方法。
【請求項43】
前記薄膜が高分子材料、無機材料、生物活性材料、または金属である、請求項40に記載の被覆エアロゲル。
【請求項44】
互いに同じかまたは異なる材料であることができる2以上の追加の薄膜を含む、請求項40に記載の被覆エアロゲル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−512764(P2009−512764A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536837(P2008−536837)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/041114
【国際公開番号】WO2007/047970
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】