説明

エアーノズル

【課題】 内管や外管に送風時の衝撃、振動、騒音を抑制し、全体の強度を向上させ、また組み立てや製作が容易で、吹込み口の取付け位置の選択範囲を広げること。
【解決手段】 両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状外管と角筒状内管とでノズル本体を構成し、両管の壁板同士を重なり合う状態に配設固定して接合基板を形成し、両管のその他の長手方向の各対応する三つの壁板同士の各隙間空間を流路空間とし、高圧エアーを前記角筒状内管に導入するためのエアー吹込み口を前記接合基板に形成し、この角筒状内管の内部から噴出するエアーを前記流路空間に導くための内部整流開口を、角筒状内管における前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に形成し、エアーナイフを形成するためのノズル噴出孔を、前記角筒状外管における前記接合基板と対向する位置に存する対向壁板又は前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に形成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体即ち、空気や窒素ガスの如き気体、水又は油の如き液体をノズル噴出孔から膜状又はシャワ−状に噴射するエアーノズルに関し、さらに詳しくはコンベアーライン上の製品の水切り、乾燥、除塵、冷却、気体流による遮蔽膜の形成、洗浄、等の目的で広く利用されるエアーノズルに関する。
以下、ノズル噴出孔から噴射する流体を、高圧エアーを例にして説明する。
【背景技術】
【0002】
一般にエアーノズルとしては、ノズル本体にスリット状又は多数の連続小孔状のノズル噴出孔を形成し、このノズル噴出孔から常温又は加熱された高圧エアーを噴射するものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】実公平4−18676号公報(第2頁、第5図)
【特許文献2】実用新案登録第2518062号(第4頁、図1−図2)
【0003】
この特許文献1のエアーノズルは、断面四角形状の角筒状外管の内側に、断面円形状の円筒状内管を配設し、この円筒状内管の長手方向の両端壁を角筒状外管の両端壁に固定することにより角筒状外管内に円筒状内管を配設固定し、角筒状外管の外周壁に、高圧エアーを噴射するためのスリット状のノズル噴出孔を形成し、円筒状内管の外周壁には高圧エアーの整流を目的とした内部整流開口を形成している。
断面四角形状の角筒状外管の内側に、断面円形状の円筒状内管を収容することで、角筒状外管と円筒状内管との隙間を広い領域部分と狭い領域部分とを交互に形成し、それらの領域部分を高圧エアーが通過するたびに高圧エアーの整流が行なえるようにしている。
【0004】
このエアーノズルによれば、最初に円筒状内管の内部に供給された高圧エアーを、円筒状内管の内部整流開口から円筒状内管と角筒状外管との間の隙間に流出させ、その隙間に流出した高圧エアーを、広い領域部分と狭い領域部分の隙間に交互に通過させた後、角筒状外管のノズル噴出孔を経由して外部の所望部位に高圧エアーを噴射させている。
【0005】
ここで、円筒状内管内に導かれた高圧エアーを円筒状内管の内部整流開口から前記の広い領域部分に流出させる際に、エアー流速を揃えてエアー圧を均一化させ、さらに均一化された高圧エアーを広い領域部分と狭い領域部分とを交互に通過させることで一層効果的な整流を行なっている。
このようにして整流された高圧エアーを角筒状外管のノズル噴出孔から外部の所望部位に向けて噴射させることにより、噴射圧を均一化したエアーナイフを形成していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の内外二重管構造は、いずれも断面四角形の角筒状外管の内側に、断面円形の円筒状内管を中空支持状態(内外二重管同士の各壁板の間隔寸法を正確に確保する必要がある)で取り付けるものであり、特に長尺のエアーノズルの場合には、円筒状内管を角筒状外管の中心位置に安定して設置すること、すなわち内外二重管構造の組立作業を精度良く行なうことは大変困難な作業となっていた。
さらにエアーノズルでは、円筒状内管の内部にはコンプレッサー等から高圧エアーを供給したときに、内部には高圧高速のエアーの流れが生じる。特許文献1のエアーノズルにおいては、円筒状内管の長手方向の両端部位のみを角筒状外管の長手方向の両端部位に固定させ、円筒状内管の両端部位以外の部分は全て宙吊り状に保持する状態であるため、エアーの流れが高圧高速になると円筒状内管に振動が発生し、エアーの噴射状態を均一にした高圧高速のエアーナイフを得ることができなくなる虞れがあるとともに、その振動に起因して騒音を発生させるという虞れもあった。
【0007】
この不具合を解消するために、特許文献2に示すエアーノズルが提案されているが、この特許文献2のエアーノズルは、角筒状外管の外周壁に複数個の調整ネジをネジ込み、一部の調整ネジの先端を円筒状内管の外周壁に当接させて、円筒状内管を安定的に支える構成としている。
このエアーノズルによれば、円筒状内管の外周壁を複数個の調整ネジで安定的に支えるため、円筒状内管の振動の発生をある程度防ぐことは可能である。
【0008】
しかし、特許文献2のエアーノズルにおいては、円筒状内管の外周壁に一部の調整ネジの先端を当接させるだけであるから、送風時の外部圧力により当接させていた調整ネジの先端が円筒状内管の外周壁から離れてしまうおそれもあり、その場合には円筒状内管の振動を確実に抑えることは難しくなっていた。
さらに円筒状内管の振動を確実に抑える方法としては、角筒状内管の外周壁にネジ孔を形成し、角筒状外管に取り付けた調整ネジの先端を円筒状内管のネジ孔にネジ込むことで、円筒状内管を確実に支える方法も考えられるが、円筒状内管はその断面形状が円形であることから、その円筒状内管の外周壁は当然のことながら湾曲面となり、その湾曲面にネジ孔を精度良く形成したり、ネジ孔形成面の内側に発生するバリを除去したりするということは、これまた大変手間の掛かる処理作業であった。
【0009】
エアー供給元やエアー供給配管から発生した振動や騒音が、各種の配管を伝わって当該エアーノズルに入った場合、ノズル本体が共鳴振動し、大きな騒音を発生させたり、この振動が原因で調整ネジや円筒状内管を保持するためのネジの接触部が離れたり、緩んでしまうという虞れが生じてしまう。
これらの問題点を解決するためには、円筒状内管を保持するための機構をネジのように点や線で接触保持するものではなく、より大きな面積で角筒状外管と接触保持させて、円筒状内管と角筒状外管とを強固に接触させる必要がある。
【0010】
また、エアー供給配管の設置環境等の理由により、ノズル本体の長手方向の一端部又は両端部からしかエアー供給配管の接続ができない場合があったり、さらには角筒状外管の長手方向の一辺に、単数又は複数(温度の均一性を確保したり、内部摩擦抵抗を軽減させる目的で)のエアー供給配管の接続が必要になる場合があったり、さらには前記各種の条件を全て満たす(すなわち、ノズル本体の一端部、両端部、一辺部の任意の位置にエアー供給配管を取り付ける)要求がある場合もある。
これらの全ての要求に応えられるようにすれば、エアーノズルの性能を広い範囲で目的に合わせて選択できるようになる。
【0011】
この発明は、従来のエアーノズルよりも過酷な条件下においても、十分その使用に耐えうるもので、組立作業が簡便となり、前述の調整ネジが果たしていた保持構造を用いなくても筒状内管の振動を大幅に抑えることができ、かつ得られる整流効果、また吹込み口の取り付け位置の選択範囲が広がったため、熱風使用時の温度の安定性、さらに様々な装置のエアー供給配管位置や経路の条件に対応ができ、また摩擦抵抗を軽減させることも可能となっている。このように自在性があり安定した機能を持ったエアーナイフを得ることができるエアーノズルを提供して、上述した全ての問題点を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状外管と、この角筒状外管の内部に納められる、両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状内管とでノズル本体を構成し、両管の長手方向のひとつの壁板同士を重なり合う状態に配設固定して接合基板を形成するとともに、両管のその他の長手方向の各対応する三つの壁板同士の各隙間空間を流路空間として確保し、高圧エアーを前記角筒状内管に導入するためのエアー吹込み口を前記接合基板に形成し、この角筒状内管の内部から噴出するエアーを前記流路空間に導くための内部整流開口を、角筒状内管における前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成し、前記流路空間を経由したエアーを外部の所望部位に噴射してエアーナイフを形成するためのノズル噴出孔を、前記角筒状外管における前記接合基板と対向する位置に存する対向壁板又は前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成したことを特徴とするエアーノズルである。
【0013】
また請求項2記載の発明は、両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状外管と、この角筒状外管の内部に納められる、両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状内管とでノズル本体を構成し、両管の長手方向のひとつの壁板同士を重なり合う状態に配設固定して接合基板を形成するとともに、両管のその他の長手方向の各対応する三つの壁板同士の各隙間空間を流路空間として確保し、高圧エアーを前記角筒状内管に導入するためのエアー吹込み口を前記蓋板に形成し、この角筒状内管の内部から噴出するエアーを前記流路空間に導くための内部整流開口を、角筒状内管における前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成し、前記流路空間を経由したエアーを外部の所望部位に噴射してエアーナイフを形成するためのノズル噴出孔を、前記角筒状外管における前記接合基板と対向する位置に存する対向壁板又は前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成したことを特徴とするエアーノズルである。
【0014】
請求項3は、前記角筒状内管及び前記角筒状外管の接合基板にネジ孔を形成し、それぞれのネジ孔に止めネジをネジ込むことにより内管を外管に固定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のエアーノズルである。
【0015】
請求項4は、角筒状外管のコーナー部に、長手方向に伸びる1本のスリット状のノズル噴出孔を形成したノズル本体において、前記内管及び前記外管の左右の隣接壁板又は/及び対向壁板の各壁板間に、ノズル噴出孔の幅寸法を調整するための押し調整ネジと引き調整ネジとを、該ノズル噴出孔の近傍であって、前記外管の長手方向に交互に並べて配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のエアーノズルである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1又は請求項2に係るエアーノズルによれば、外管と内管とを、共に角筒状に形成し、内管を構成する一つの壁板を、外管を構成する一つの壁板に重なり合う状態で取り付けて接合基板を形成しているので、内管の平坦壁と外管の平坦壁との取り付けが容易となり、外管に内管を簡単かつ安定的に固定することができる。
これにより、内管内に高速高圧の流体を流入させることで、内管や外管に比較的大きな抵抗がかかった際にも、内管及び外管がその流れの力で振動することを防げるという効果がある。
また、前述の従来方式にくらべ外部からの衝撃や力に対して、曲がりやたわみの強度が大幅に向上している。
【0017】
さらに上記のように接合基板を形成することで、接合基板又は蓋板に、単数又は複数のエアー吹込み口を、角筒状内管の幅寸法以内で、好みの大きさで自由に形成することが可能となるので、吹込み口を増やすことにより、摩擦抵抗を軽減させたり、熱風使用時の温度の均一性を確保することができる。また、エアーノズル本体のサイズが細くても、長尺のエアーノズルを製作できるため、設計許容範囲が拡大するという効果もある。
【0018】
また、内管を断面四角形の角筒体とすることで、内管を、一般に入手可能な角パイプで簡単に形成でき、外管と内管の取り付け作業がきわめて容易に行なえるという効果もある。
【0019】
ついで請求項3の発明では、外管と内管の接合基板部を強固に固定するためには、常にネジによる引き付け合う強度が保持できるという最も容易で適した方法である。溶接等による固定法は引き合う強度が無いため、僅かに残る隙間が原因で共鳴、振動が生じやすい。さらに必要に応じて防音材等を挟み込む事も可能になっている。
また、外管と内管の蓋部、及び吹込み口の固定をネジ等による脱着可能な構造にした場合、分解清掃等が容易に行なえる構造を得ることができる。
【0020】
また請求項4の発明によれば、スリット状のノズル噴出孔の幅寸法を調整するための押し調整ネジと引き調整ネジとを、該ノズル噴出孔の近傍であって、外管の長手方向に交互に並べて配設した効果により、これらのネジを操作することでノズル噴出孔の幅寸法を変化させることが可能となり、それによりエアーの噴出量、風速の微調整を正確に行なえるという効果がある。さらにノズル本体内部や外部からの振動、衝撃からスリット状のノズル噴出孔の精度を守り、安定保持することができる。
従前の角筒状外管構造と丸筒状内管構造の組み合わせに比べ、平面部において、押しネジ及び引きネジ構造のネジ孔が形成されているため、製作時のバリ取り、研磨等の作業が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面に基づいて、本発明に係るエアーノズルの一実施の形態を詳説する。
図1は本発明に係るエアーノズルの第1実施の形態を示す斜視図、図2は同断面図、図3は同底面図、図4は図1のA−A線断面図、図5は図1の縦断側面図である。
【0022】
図1〜図5に示す第1実施の形態のエアーノズルのノズル本体10においては、断面四角形の角筒状外管11を構成する接合基板12aの中央にエアー(流体)を供給するエアー吹込み口13(流体供給口)を設け、この外管11の内部に断面四角形の角筒状内管15を収容し、この内管15を構成する接合基板16aを、外管11の接合基板12aに複数個の止めネジ17で取り付けることにより、内管15の左右の隣接壁板16b、16c、対向壁板16d、及び外管11の左右の隣接壁板12b、12c、対向壁板12dとの各対応面間に流路空間18を形成している。
また外管11と内管15の両端は、蓋板9でそれぞれ閉塞されている。
【0023】
具体的には、図2及び図4に示すよう、内管15の接合基板16aにネジ孔19を形成するとともに、外管11の接合基板12aにもネジ孔20を形成し、それぞれのネジ孔19,20に止めネジ17をネジ込むことにより内管15を外管11の内壁に強く引き上げる形で一体的に配設固定している。
【0024】
内管15の接合基板16aと、外管11の接合基板12aは共に平坦な壁板であるので、それぞれのネジ孔19,20は簡単かつ正確に正規の位置に形成できる。
【0025】
さらに、ノズル本体10は、図2、図4に示すようにエアー吹込み口13を内管15の内部に連通させ、内管15の左右の隣接壁板16b、16c、対向壁板16dのうち、例えば隣接壁板16b,16cにそれぞれ第1、第2の内部整流開口21,22を設けるとともに、外管11の流路空間18に臨む位置にはノズル噴出孔23(図3、図4参照)を長手方向に伸びる状態で形成している。
【0026】
このノズル噴出孔23は、例えば図4に示すように、外管11の対向壁板12dの一端から他端に渡って、連続的に形成した複数個のスリットであるが、外管12の左右の隣接壁板12b、12c又は対向壁板12dのいずれの位置に形成することも可能である。
またノズル噴出孔23の形状としては、突出状のノズル群であっても、リップ構造であっても、あるいは斜線状又は小孔状の短寸スリットを多数連続形成させた構造であっても、さらには一本の長寸スリット構造のいずれであっても良く、それらを単数列はもちろん複数列に形成することも可能である。
【0027】
次に、このエアーノズルの作用を主に図4及び図5に基づいて説明する。この図4及び図5に示す吹込み口13はノズル本体10の長さ方向の中心位置にあるものとする。
図4に示すように、エアー吹込み口13から内管15内に高圧のエアーを矢印aの如く内管15内に供給することにより、矢印aに示すように,供給されたエアーは対向壁板16dの内面に当たった後、対向壁板16dに沿って両長手方向に分けられ、図5の矢印xに示すように両端蓋板9方向に進行する(この流れを、流れ1とする)。
【0028】
エアー吹込み口13から離れて両端蓋板9方向に進む流れ1は除々にその速度を減じ、弱い流れ1は壁板16d内面から徐々に離れ、隣接壁板16b、16cの内面に沿うように第1、第2の内部整流開口21,22の方向へ向かう。さらに、両端蓋板9の内壁に到達した主流たる流れ1は、矢印yに示すように折り返される流れ(この流れを、流れ2とする)となるが、この流れ2は、流れ1の隙間である中心付近の抵抗の少ない位置を吹込み口13方向に戻って行く。この流れ2は同様に速度を減じながら流れ1と逆方向に進むが、流れ1の抵抗を大きく受けで速度を弱めながら、内部整流開口21,22方向へ向かう。
このように内部整流開口21,22に向かう流れ1と流れ2は相互に干渉するため、整流効果が発揮されることとなる。
このようなノズル本体10の長手方向への整流作用を経たエアーは、第1、第2の内部整流開口21,22の抵抗を受けさらに整流されながら矢印bに示す流れとなり、角筒状外管11の一辺の隣接壁板12cの内壁の抵抗を受けてさらに整流され、ノズル噴出孔23の方向へ向かう。
【0029】
さらに、進行するエアーは流路空間18内の矢印cに示す流れとなり、角筒状内管15の外部コーナー26と角筒状外管の内部コーナ−27との二箇所の抵抗を受けながら、ノズル本体10の長手方向に整流されてさらに進行する。
この流路空間18内で整流されたエアーは、外管11に形成されたノズル噴出孔23の抵抗を最後に受け、外部に矢印d(図1、図2も参照)に示すように平均的に吹き出し、流速が均一化された好適なエアーナイフが形成される。
【0030】
第1実施の形態のノズル本体10によれば、内管15の接合基板16aを、外管11の接合基板12aに取り付けるが、これらの接合基板12a,16aはそれぞれ平坦壁で形成されるので、外管11の内部に内管15を安定的に固定することができる。
【0031】
このため、エアー吹込み口13から内管15内に、高速のエアーを瞬時に流入させて内管15に比較的大きなエアーの衝撃や振動が生じたとしても、内管15や外管11を破損、変形させたり、接合部が悪影響を受ける確率は、従前の形態のものに比べ大幅に改善されている。
したがって、電磁弁や、急激なバルブの開閉時等に起こる衝撃から、ノズル本体10を守る丈夫な構造となり、過酷な条件下でもエアー吹込み口13から内管15内に流入したエアーを、安定させた状態でノズル噴出孔23から外管11の外側に噴射させて、好適なエアーナイフを形成することができる。
【0032】
また、ノズル本体10では、外管11の左右の隣接壁板12b,12c又は/及び対向壁板12dに押し調整ネジ24と、引き調整ネジ25とを、ノズル噴出孔23の近傍であって、外管11の長手方向に交互に並べて配設し、これら調整ネジ24,25を押し込んだり引き上げたりして、スリット状のノズル噴出孔23の幅寸法を調整できるようにしている(図9及び図10参照)。
【0033】
すなわち、図9及び図10に示す調整ネジ24,25はスリット状のノズル噴出孔23の幅寸法調整する機能を持つもので、それ以外にもノズル本体10の共鳴振動、騒音の発生防止、熱膨張や外部からの衝撃から内管15や外管11、スリット状のノズル噴出孔23を保護して、究極的にはノズル噴出孔23が安定した性能を確保できるようにする目的も持っている。
【0034】
角筒状外管11のコーナー部に、長手方向に伸びる一本のスリット状のノズル噴出孔23を形成した場合であって、押し調整ネジ24は角筒状外管11にタップ等の内ネジを形成し、そこにボルトを通して締め付けることにより、その先端が角筒状内管15の壁面を押し付けるため、押し調整ネジ24を締め付けていくと角筒状外管11のコーナー部に形成されたスリット状のノズル噴出孔23が開く方向に作用し、かつ角筒状内管15との接触が確保され、結果的にノズル本体10の強度が確保され、前記ノズル噴出孔23の幅寸法が安定的に保たれることとなる。
【0035】
一方引き調整ネジ25は、角筒状外管11にボルトが挿通される通し孔(通称バカ孔)が形成されており、その通し孔にボルトを差し込み、角筒状内管15の壁面の接触部位にタップ加工が施されており、その内ネジにボルトの先端付近が螺合しているため、引き調整ネジ25を締め付けていくと角筒状外管11のコーナー部に形成されたスリット状のノズル噴出孔23が閉まる方向に作用し、かつ角筒状外管11との接触が確保され、結果的にノズル本体10の強度が確保され、前記ノズル噴出孔23の幅寸法が安定的に保たれることとなる。
【0036】
上記した調整ネジ24,25のネジ列は図10に示すように、効率よく作用させるためにはスリット状のノズル噴出孔23を挟む方向で二列状に形成されていることが望まれる。
各調整ネジ24,25を逆方向に回転させることで、上記の説明と逆方向の動きをさせることができることは言うまでもない。
【0037】
次に、第2〜第5実施の形態を図6〜図8に基づいて説明する。なお、第2〜第4実施の形態において第1実施の形態と同じ構成部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
第2実施の形態
図6に示す第2実施の形態のノズル本体40は、内管15の隣接壁板16dに堰部41を設けた点で第1実施の形態と異なるだけで、その他の構成は第1実施の形態と同じである。
【0039】
内管15の壁板16dに堰部41を設けることで、堰部41の周縁41aを流路空間18に突出させることにより、流路空間18内のエアーが堰部41の周縁41aを通過する際に、通過するエアーを均一化して整流効果をさらに高めることができる。
その他、第2実施の形態によれば第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
第3実施の形態
図7に示す第3実施の形態のノズル本体60は、外管11の両端(蓋板9)にそれぞれエアー吹込み口61を設けたもので、その他の構成は第1実施の形態と同様である。
ノズル本体60によれば、左右のエアー吹込み口61から矢印jに示すようにエアーを供給することにより、第1実施の形態と同様にエアーが内管15及び流路空間18(図4参照)を経て矢印kに示すように平均に吹き出し、好適にエアーカーテンを形成する。
この第3実施の形態のノズル本体60によれば、第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
第4実施の形態
図8に示す第4実施の形態のノズル本体70は、外管11の蓋板9の一方にのみエアー吹込み口71を設けたもので、その他の構成は第1実施の形態と同様である。
このノズル本体70によれば、エアー吹込み口71から矢印jに示すようにエアーを供給することにより、第1実施の形態と同様にエアーが内管15及び流路空間18(図4参照)を経て矢印kに示すように平均に吹き出し、好適にエアーカーテンを形成する。
この第4実施の形態のノズル本体70によれば、第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エアーノズルを製造する産業において利用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るエアーノズルにおける第1実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同底面図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図1の縦断側面図である。
【図6】本発明に係るエアーノズルにおける第2実施の形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係るエアーノズルにおける第3実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係るエアーノズルにおける第4実施の形態を示す側面図である。
【図9】本発明に係るエアーノズルにおける第1実施の形態の変形例を示す側面図である。
【図10】前図の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
9…蓋板
10,40,60,70…ノズル本体
11…外管
12a…外管の接合基板
12b、12c…外管の左右の隣接壁板
12d…外管の対向壁板
13,61,71…エアー吹込み口(流体供給口)
15…内管
16a…内管の接合基板
16b、16c…内管の左右の隣接壁板
16d…内管の対向壁板
17…止めネジ
18…流路空間
19,20…ネジ孔
21,51…第1内部整流開口
22,52…第2内部整流開口
23,54…ノズル噴出孔
24…押し調整ネジ
25…引き調整ネジ
26…角筒状内管の外部コーナー
27…角筒状外管の内部コーナー
41…堰部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状外管と、この角筒状外管の内部に納められる、両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状内管とでノズル本体を構成し、
両管の長手方向のひとつの壁板同士を重なり合う状態に配設固定して接合基板を形成するとともに、両管のその他の長手方向の各対応する三つの壁板同士の各隙間空間を流路空間として確保し、
高圧エアーを前記角筒状内管に導入するためのエアー吹込み口を前記接合基板に形成し、
この角筒状内管の内部から噴出するエアーを前記流路空間に導くための内部整流開口を、角筒状内管における前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成し、
前記流路空間を経由したエアーを外部の所望部位に噴射してエアーナイフを形成するためのノズル噴出孔を、前記角筒状外管における前記接合基板と対向する位置に存する対向壁板又は前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成したことを特徴とするエアーノズル。
【請求項2】
両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状外管と、この角筒状外管の内部に納められる、両端を蓋板で閉塞した断面四角形の角筒状内管とでノズル本体を構成し、
両管の長手方向のひとつの壁板同士を重なり合う状態に配設固定して接合基板を形成するとともに、両管のその他の長手方向の各対応する三つの壁板同士の各隙間空間を流路空間として確保し、
高圧エアーを前記角筒状内管に導入するためのエアー吹込み口を前記蓋板に形成し、
この角筒状内管の内部から噴出するエアーを前記流路空間に導くための内部整流開口を、角筒状内管における前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成し、
前記流路空間を経由したエアーを外部の所望部位に噴射してエアーナイフを形成するためのノズル噴出孔を、前記角筒状外管における前記接合基板と対向する位置に存する対向壁板又は前記接合基板と隣り合う位置に存する左右の隣接壁板に、長手方向に伸びる状態で形成したことを特徴とするエアーノズル。
【請求項3】
前記角筒状内管及び前記角筒状外管の接合基板にネジ孔を形成し、それぞれのネジ孔に止めネジをネジ込むことにより内管を外管に固定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のエアーノズル。
【請求項4】
角筒状外管のコーナー部に、長手方向に伸びる1本のスリット状のノズル噴出孔を形成したノズル本体において、
前記内管及び前記外管の左右の隣接壁板又は/及び対向壁板の各壁板間に、ノズル噴出孔の幅寸法を調整するための押し調整ネジと引き調整ネジとを、該ノズル噴出孔の近傍であって、前記外管の長手方向に交互に並べて配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のエアーノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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