説明

エア整列フィーダー

【課題】構造を簡素化すると共にワークの姿勢を狭い領域で短時間で調整することにある。
【解決手段】搬送面21aに形成された複数のエア噴出口21cから搬送方向Aの下流側に向けて斜め上方に噴出するエアにより、栓体(ワーク)W1を搬送面21aから浮上させながら下流側に搬送すると共に、栓体W1における基準端面W1aが搬送面21a側に向いた正規姿勢となるように栓体W1の姿勢を整えるものであり、正規姿勢以外の不正規姿勢の状態にある栓体W1の搬送面21a側の下部に当接して、当該栓体W1を転倒させることにより正規姿勢に整える帯状板(障害物)3を搬送面21aの上側に配置した構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを下流側に搬送しながら正規姿勢に整えるエア整列フィーダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボトルの口を閉塞するキャップ(ワーク)としては、筒状部と、この筒状の一端を閉塞する天板部とによって一体に形成された筒状のものが知られている。この筒状のキャップは、天板部の外面がほぼ平滑な面(基準端面)となっている。
【0003】
このような筒状のキャップでボトルの口を閉塞する場合には、キャッピングマシンを用いて全自動で行うことになるが、当該キャッピングマシンに到達する前の段階で、順次送られてくるキャップを姿勢調整装置で一定の姿勢に揃える必要がある。なお、キャップ製造工場における検査工程等においても、検査装置に至る前に、キャップの姿勢を揃えることが行われることがある。
【0004】
また、ボトルの口を塞ぐキャップのなかには、例えば、ボトルの口内に挿入される栓体と、この栓体の一端部に固定された硬質の天板体とを備えた2ピース型のキャップも知られている。上記栓体は、例えばコルクによって円柱状に形成されており、一端面の中央部に凹状の開口部を有し、他端面がほぼ平滑な面(基準端面)となっている。一方、天板体は、ほぼ平板状に形成された天板部の一方の面の中央部に、栓体の開口部に嵌合して接着剤等で連結される凸部を有し、天板部の他方の面である外面がほぼ平滑な面(基準端面)に形成されている。
【0005】
上記2ピース型のキャップの場合には、栓体と天板体との結合を自動で行うため、その結合の前の段階で、これらの栓体及び天板体の姿勢を姿勢調整装置によって一定の姿勢に揃える必要がある。また、2ピース型のキャップ自体も、キャッピングマシンに搬送する前の段階で、一定の姿勢に揃える必要がある。
【0006】
上記筒状のキャップの姿勢を揃える姿勢調整装置としては、例えば、順次供給される筒状のキャップに対して、下方からブロアでエアを吹き付けることにより、開口部が下方を向いたキャップを吹き飛ばして排除し、天板部が下方を向いた正規姿勢のキャップのみを残存させるように構成されたエア式のものが知られている。
【0007】
また、2ピース型のキャップにおける一部品としての栓体も、一端面に開口部を有していることから、上記筒状のキャップと同様のエア式の姿勢調整装置によって、一定の姿勢に揃えることが可能である。
【0008】
一方、2ピース型のキャップにおける一部品としての天板体や、2ピース型のキャップ自体の姿勢を揃える姿勢調整装置としては、これらの天板体や2ピース型のキャップを上下方向に振動する加振板上に供給し、この加振板上を下流側に移送する過程で、天板体やキャップの外面を加振板側に向けるべく姿勢を揃える振動式のものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記エア式の姿勢調整装置においては、当該姿勢調整装置の外に吹き飛ばしたキャップや栓体を回収して再び姿勢調整装置に再投入する装置が必要になるので、構造が複雑になると共に、姿勢調整のための広い領域が必要になるという欠点があり、しかも姿勢調整に時間がかかるという問題がある。
【0010】
一方、振動式の姿勢調整装置においては、加振板による姿勢調整のための広い領域が必要である共に、姿勢調整に時間がかかるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化を図ることができると共に、ワークの姿勢を狭い領域内で短時間で調整することのできるエア整列フィーダーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のエア整列フィーダーは、搬送面に形成された複数のエア噴出口から搬送方向の下流側に向けて斜め上方に噴出するエアにより、ワークを上記搬送面から浮上させながら上記下流側に搬送すると共に、上記ワークにおける基準端面が上記搬送面側に向いた正規姿勢となるように当該ワークの姿勢を整えるエア整列フィーダーであって、上記正規姿勢以外の不正規姿勢の状態にある上記ワークの上記搬送面側の下部に当接して、当該ワークを転倒させることにより上記正規姿勢に整える障害物を上記搬送面の上側に配置したことを特徴としている。
【0013】
なお、障害物は、搬送面に接触するように設けてもよく、また搬送面に対して間隔をあけて設けるようにしてもよい。また、上記ワークとしては、基準端面の反対側の端面に開口部を有するものや、基準端面側の断面積が大きなものであることが好ましい。また、基準端面の数は、1又は2以上であってもよい。ただし、2以上の場合には、いずれの基準端面が搬送面側を向いた状態においても、ワークの姿勢が同一の正規姿勢になることが条件となる。
【0014】
請求項2に記載のエア整列フィーダーは、請求項1に記載の発明において、上記障害物の上記搬送面からの高さは、当該搬送面上を下流側に移動する状態にある上記不正規姿勢のワークの重心位置に当接する高さ以下で、当該ワークに少なくとも当接する高さに設定されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載のエア整列フィーダーは、請求項1又は2に記載の発明において、上記障害物は、上記搬送方向に対して横切るように延在する帯状板によって構成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載のエア整列フィーダーは、請求項1又は2に記載の発明において、上記障害物は、上記搬送方向に対して横切るように延在する棒状部材によって構成されていることを特徴としている。
【0017】
なお、棒状部材としては、中空状(パイプ状)のものであってもよい。また、棒状部材の断面は、その外周縁が円形状、楕円形状等のように、丸みを帯びた環状に形成されたものであることが好ましい。
【0018】
請求項5に記載のエア整列フィーダーは、請求項1又は2に記載の発明において、上記障害物は、上記搬送面を構成する第1の搬送面と第2の搬送面のうち、下流側に位置する上記第2の搬送面を上流側に位置する上記第1の搬送面に対して一段高い位置に配置することによって生じた段差によって構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1〜5に記載の発明によれば、エア噴出口から噴出するエアによって正規姿勢や不正規姿勢の全てのワークが順次下流側に搬送されることになる。
【0020】
この場合、正規姿勢のワークについては、その基準端面と搬送面との間に、各エア噴出口から噴出したエアが高速で下流側に流れることになるので、その間の圧力が低下し、搬送面に吸着された状態で極めて安定的に下流側に搬送することができる。
【0021】
また、搬送面上を下流側に流れるエアは障害物に当たって上昇流となるが、正規姿勢のワークは、上記エアの上昇流を基準端面の全体で受けることになるので、上方への大きな力を受けることになり、障害物をスムーズに乗り越えて下流側に搬送されることになる。
【0022】
更に、障害物が設けられていることから、エアの下流方向の流速は障害物に近づくにつれて低下することになる。このため、障害物の上流側において、ワークの滞留する数が多くなるが、この場合には各エア噴出口がワークの基準端面によって覆われる率が増加することになるので、搬送面と基準端面の間のエアの圧力が高くなる。従って、正規姿勢のワークは、障害物の近傍において上昇したエアの圧力を基準端面の全面で受けることになる。よって、この点からも、正規姿勢のワークは障害物を容易に乗り越えることできることになる。
【0023】
一方、例えば基準端面の反対側に開口部を有するようなワークについては、その開口部が下方を向いた不正規姿勢の状態になっていると、エア噴出口から噴出するエアの運動エネルギの影響を大きく受けて不安定な状態で上方に大きく移動すると共に、相対的に重量の大きな基準端面側が下方の搬送面側に移動すべく即座に回転して正規姿勢になり、その正規姿勢の状態で搬送面上に降下することになる。従って、開口部が搬送面側を向いた不正規姿勢のワークにあっては、障害物に達する前に正規姿勢に整えることができる。
【0024】
さらに、上記開口部を備えたワークであって当該開口部が搬送面側を向いていない横転状態の不正規姿勢のワークや、開口部を備えていないが基準端面側の断面積が大きな形状となっているワークであって不正規姿勢のワークについては、各エア噴出口から噴出するエアによって、基準端面が下流側を向いた状態となって、不安定な状態で下流側に搬送されることになる。そして、このような不正規姿勢のワークは、障害物の近傍において生じるエアの上昇流や圧力上昇の影響を基準端面がほとんど受けることがないので、障害物を乗り越えることができず、その下部が障害物に当接することになる。そうすると、各ワークは障害物を支点にして転倒することになるが、基準端面が下流側に位置していることから当該基準端面が搬送面側を向くように転倒することになるので、障害物を通過後のワークは次々と正規姿勢に変換されることになる。
【0025】
以上のように、搬送面の上側に障害物を設けるという極めて簡単な構造で、不正規姿勢のワークを正規姿勢に確実に変換することができる。しかも、障害物の近傍の極めて狭い領域内において、ワークを極めて短時間で姿勢調整することができる。従って、ワークを搬送するラインに簡単に設置することができると共に、高速で送られてくるワークを滞りなく正規姿勢に変換して下流側に供給することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、障害物の搬送面からの高さが当該搬送面上を下流側に移動する状態にある不正規姿勢のワークの重心位置に当接する高さ以下で、当該ワークに少なくとも当接する高さに設定されているので、障害物に当たった不正規姿勢のワークを当該障害物を支点にして容易に転倒させて正規姿勢に確実に変換することができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、障害物が搬送方向に対して横切るように延在する帯状板によって構成されているので、構造が極めて簡単であると共に、搬送面上を占有する障害物の範囲は帯状板の厚さ分だけの極めて狭い範囲となる。
【0028】
請求項4に記載の発明においても、請求項3に記載の発明と同様の作用効果を奏する。
なお、棒状部材の断面の周縁を丸みを帯びた環状に形成した場合には、不正規姿勢のワークを棒状部材を支点にしてより円滑に回転させることができると共に、より高速で正規姿勢に変換することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、搬送面を構成する第1の搬送面と第2の搬送面のうち、下流側に位置する第2の搬送面を上流側に位置する第1の搬送面に対して一段高い位置に配置することによって生じた段差によって障害物を構成しているので、一定の長さの搬送面を接続する際に、その下流側の搬送面を一段高く設置するだけで、障害物としての段差を構成することができる。従って、帯状板等の障害物を別途設ける場合に比較して、部品点数や、障害物を設置するための費用等の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
本発明を実施するための最良の形態としての第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
この第1の実施の形態で示すエア整列フィーダー1は、図1〜図5に示すように、搬送面21aに形成された複数のエア噴出口21cから搬送方向Aの下流側に向けて斜め上方に噴出するエアにより、栓体(ワーク)W1を搬送面21aから浮上させながら下流側に搬送すると共に、栓体W1の基準端面W1aが搬送面21a側に向いた正規姿勢となるように当該栓体W1の姿勢を整えるように構成したものであり、上記正規姿勢以外の不正規姿勢の状態にある栓体W1の搬送面21a側の下部に当接して、当該ワークWを転倒させることにより正規姿勢に整える帯状板(障害物)3を搬送面21aの上側に配置した構成になっている。
【0032】
栓体W1は、図2に示すように、2ピース型のキャップCを構成する一部品となっている。即ち、キャップCは、ボトルBの口内に挿入される栓体W1と、この栓体W1の一端部に固定された硬質の天板体W2とを備えた構成になっている。
【0033】
栓体W1は、例えばコルク(プラスチック、その他の材質のものもある)によって円柱状に形成されており、一端面の中央部に凹状の開口部W1bを有し、他端面がほぼ平滑な面で形成された基準端面W1aとなっている。
【0034】
一方、天板体W2は、ほぼ平板状に形成された天板部W2aの一方の面の中央部に、栓体W1の開口部W1bに嵌合して接着剤等で連結される凸部W2bを有し、天板部W2aの他方の面である外面がほぼ平滑な基準端面W2cに形成されている。
【0035】
2ピース型のキャップCの場合には、栓体W1と天板体W2との結合の際の自動化を図るために、その結合の前の段階で、これらの栓体W1及び天板体W2の姿勢を一定の姿勢に揃える必要がある。また、2ピース型のキャップC自体も、キャッピングマシンに搬送する前の段階で、一定の姿勢に揃える必要がある。
【0036】
即ち、キャップC、栓体W1及び天板体W2は、エア整列フィーダー1で姿勢を揃える対象物としてのワークとなっている。
但し、第1の実施の形態においては、栓体W1を用いて、エア整列フィーダー1の説明を行う。
【0037】
搬送面21aは、図1に示すように、平板状に形成された搬送板21の上面に形成されている。エア噴出口21cは、搬送板21に形成された傾斜貫通孔21bの搬送面21a側の開口部によって形成されている。なお、エア噴出口21cは、搬送面21aにおいて、所定の間隔をおいて格子状や千鳥状に配置されている。また、各傾斜貫通孔21bは、搬送方向Aの下流側に向かって漸次上方に位置するように傾斜する断面が円形の孔によって形成されている。
【0038】
搬送板21は、エア供給源から加圧エアが導入されるプレナム室Pの上面部を構成するようになっている。
【0039】
帯状板3は、搬送面21aの上側を搬送方向Aに対して直角に横切るように延在すると共に、搬送面21aに垂直に突出するように設置されている。この場合、帯状板3は、その下縁が搬送面21aに当接した状態となっている。また、帯状板3の上縁は、その厚さ方向(搬送方向A)の断面において半円状に突出するように丸められている。
【0040】
更に、帯状板3の搬送面21aからの高さは、当該帯状板3の上端部が、横転した不正規姿勢の状態で搬送面21a上を下流側に移動中の栓体W1の重心位置より下方の位置に当接するように設定されている。但し、帯状板3の高さは、最低限、上記栓体W1に当接して、当該栓体W1を転倒させることが可能な高さに設定する必要がある。
【0041】
上記のように構成されたエア整列フィーダー1によれば、複数のエア噴出口21cから噴出するエアによって正規姿勢や不正規姿勢の全ての栓体W1が順次下流側に搬送されることになる。
【0042】
この場合、正規姿勢の栓体W1については、その基準端面W1aと搬送面21aとの間に、各エア噴出口21cから噴出したエアが高速で下流側に流れることになるので、その間の圧力が低下し、搬送面21aに吸着された極めて安定した状態で下流側に搬送されることになる。
【0043】
また、搬送面21a上を下流側に流れるエアは、図3に示すように、帯状板3に当たって上昇流に変換されることになるが、正規姿勢の栓体W1は、上記エアの上昇流を基準端面W1aの全体で受けることになるので、上方への大きな力を受けて、帯状板3をスムーズに乗り越えるこができる。
【0044】
更に、帯状板3に当たったエアが上昇流となることから、エアの下流方向の流速は帯状板3に近づくにつれて低下することになる。このため、図4に示すように、帯状板3の上流側において、栓体W1の滞留する数が多くなるが、この場合には各エア噴出口21cが栓体W1の基準端面W1aによって覆われる率が増加し、搬送面21aと基準端面W1aとの間のエアの圧力が高くなる。この場合、正規姿勢の栓体W1は、帯状板3の近傍において高くなるエアの圧力を基準端面W1aの全面で受けることになるので、容易に押し上げられることになる。従って、この点からも、正規姿勢の栓体W1は、帯状板3をスムーズに乗り越えることができる。
【0045】
一方、開口部W1bを下方に向けた不正規姿勢の栓体W1が搬送面21a上に供給された場合には、図5に示すように、エア噴出口21cから噴出するエアの運動エネルギを栓体W1が開口部W1bを介して効率よく受けることになるので、当該栓体W1が不安定な状態で上方に大きく移動すると共に、相対的に重量の大きな基準端面W1a側の部分が下方となるように回転することになる。このため、栓体W1は、基準端面W1aが搬送面21a側を向く正規姿勢に変換された状態で搬送面21a上に降下することになる。従って、開口部W1bが搬送面21a側を向いた不正規姿勢の栓体W1にあっては、帯状板3に達する前に正規姿勢に整えることができる。
【0046】
また、開口部W1bを搬送面21a側以外に向けた不正規姿勢の栓体W1(即ち、横転状態の栓体W1)は、図1に示すように、各エア噴出口21cから噴出するエアの下流方向の速度成分によって、基準端面W1aが下流側を向いた状態となって、不安定な状態で下流側に搬送されることになる。
【0047】
そして、このような不正規姿勢の栓体W1は、帯状板3の近傍におけるエアの上昇流や高い圧力を基準端面W1aが受けることができないので、帯状板3を乗り越えることができず、その下部が帯状板3に当接することになる。そうすると、各栓体W1は帯状板3の上縁を支点にして転倒することになる。この場合、下流側に位置する基準端面W1aが搬送面21aを向く方向に転倒することになるので、帯状板3を通過後の栓体W1は次々と正規姿勢に変換されることになる。
【0048】
以上のように、搬送面21aの上側に帯状板3を設けるという極めて簡単な構造で、不正規姿勢の栓体W1を正規姿勢に確実に変換することができる。しかも、帯状板3の近傍の極めて狭い領域内において、栓体W1を短時間で高速で姿勢調整することができる。従って、栓体W1を搬送するラインに簡単に設置することができると共に、高速で次々に送られてくる栓体W1を正規姿勢に確実に整えることができるという有利な効果を奏する。
【0049】
また、帯状板3の高さが搬送面21a上を下流側に移動する状態にある横転状態の不正規姿勢の栓体W1の重心位置に当接する高さ以下となっているので、帯状板3に当接した不正規姿勢の栓体W1を正規姿勢に確実に変換することができる。
【0050】
更に、帯状板3の上縁が半円状に形成されているので、帯状板3の上縁を支点にして、不正規姿勢の栓体W1を円滑に転倒させることができる。
【0051】
{発明を実施するための異なる形態}
【0052】
次に、本発明を実施するための異なる形態としての第2の実施の形態及び第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0053】
(第2の実施の形態)
まず、第2の実施の形態を図6を参照して説明する。但し、第1の実施の形態で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0054】
この第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、帯状板3に変えて棒状部材4を設けている点である。
【0055】
即ち、棒状部材4は、断面円形の直線状の棒材によって形成されたものであり、搬送面21aの上側を搬送方向Aに対して直角に横切るように延在すべく設けられている。この棒状部材4は、搬送面21aから一定の間隔をおいて、当該搬送面21aと平行に設けられている。なお、棒状部材4の高さは、帯状板3と同様の高さに設定されている。
【0056】
上記のように構成されたエア整列フィーダー1においては、搬送面21aの上側に棒状部材4が設けられているので、横転状態にある不正規姿勢の栓体W1を棒状部材4を支点にして円滑に転倒させることができる。特に、棒状部材4の断面が円形状に形成されているので、栓体W1を円滑に転倒させる効果が高い。
【0057】
また、棒状部材4の上流側のエアを当該棒状部材4の下方から下流側に流出させることができるので、棒状部材4の近傍におけるエアの上昇流の増大や圧力の増大を抑えることができる。従って、正規姿勢の栓体W1が棒状部材4に対してあまり高く上がり過ぎるのを防止することができるので、栓体W1の搬送速度が低下するのを極力抑えることができる。
【0058】
なお、棒状部材4は、その断面の周縁が楕円形等のように、丸みを帯びた環状に形成されたもので構成してもよい。この場合も、栓体W1を帯状板3を支点にして円滑に転倒させることができる。また、棒状部材4は、搬送面21aに当接するように設置してもよい。
【0059】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を図7を参照して説明する。但し、第1の実施の形態で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0060】
この第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、図7に示すように、第1の搬送面21eと第2の搬送面21fの段差21gによって帯状板3に相当する障害物を設けている点である。
【0061】
即ち、段差213は、搬送面21aを構成する第1の搬送面211と第2の搬送面212のうち、下流側に位置する第2の搬送面212を上流側に位置する第1の搬送面211に対して一段高い位置に配置することによって構成されている。
【0062】
この場合、段差213は、第2の搬送面212を有する搬送板21の上流側の端面によって形成されている。この段差213と第2の搬送面212との角部については、図示のように直角に突出するように形成してもよいが、例えば円弧状に湾曲する曲面で面取りをするようにしてもよい。
【0063】
なお、段差213の高さは、帯状板3の高さと同様である。
【0064】
上記のように構成されたエア整列フィーダー1においては、搬送面21aを構成する第1の搬送面211と第2の搬送面212のうち、下流側に位置する第2の搬送面212を上流側に位置する第1の搬送面211に対して一段高い位置に配置することによって段差213を構成しているので、一定の長さの搬送板21を接続する際に、下流側に位置する搬送板21の第2の搬送面212を一段高く設置するだけで、段差213を構成することができる。従って、帯状板3や棒状部材4等を別途設ける場合に比較して、部品点数の低減を図ることができると共に、帯状板3等を設置するための費用の低減を図ることができる。
【0065】
なお、上記各実施の形態においては、帯状板3、棒状部材4、段差213の上流側と下流側とで、プレナム室Pの圧力を一定にしたが、図8及び図9に示すように、帯状板3、棒状部材4、段差213に対応する位置に、プレナム室Pを、第1のプレナム室P1と、第2のプレナム室P2とに仕切る仕切板22を設け、上流側に位置する第1のプレナム室P1の圧力を、下流側の第2のプレナム室P2の圧力より高く設定してもよい。なお、図8及び図9は、帯状板3及び段差213を備えたものの例を示しているが、棒状部材4を備えたものの場合も同様である。
【0066】
このように構成した場合には、帯状板3、棒状部材4又は段差213の上流側におけるエア噴出口21cから噴出するエアの流速及び流量の増大を図ることができるので、正規姿勢の栓体W1を帯状板3、棒状部材4又は段差213に対して容易に乗り越えるようにすることができる。
【0067】
また、図10及び図11に示すように、帯状板3、棒状部材4又は段差213の上流側におけるこれらの近傍の傾斜貫通孔を、上述した傾斜貫通孔21bより傾斜角度の大きな傾斜貫通孔21dによって構成してもよい。なお、図10及び図11は、帯状板3及び段差213を備えたものの例を示しているが、棒状部材4を備えたものの場合も同様である。
【0068】
上記傾斜貫通孔21dを設けた場合には、帯状板3、棒状部材4又は段差213の上流側におけるエア噴出口21cから噴出するエアの上方への流速成分が多くなるので、正規姿勢の栓体W1を帯状板3、棒状部材4又は段差213に対して容易に乗り越えるようにすることができる。
【0069】
更に、図12及び図13に示すように、上述した仕切板22及び傾斜貫通孔21dの両者を備えたもので構成してもよい。この場合には、正規姿勢の栓体W1を、更に容易に帯状板3、棒状部材4又は段差213を乗り越えるようにすることができる。
【0070】
また、栓体W1に代えて天板体W2を搬送面21aに供給した場合には、図14に示すようになる。即ち、正規姿勢のときの天板体W2は、基準端面W2cが搬送面21a側を向いているので、帯状板3を容易に乗り越えて下流側にスムーズに移動することができる。
【0071】
一方、天板体W2が不正規姿勢の場合には、凸部W2bが搬送面21a側に位置すると共に、天板部W2aが搬送面21aの上方にあって傾いた状態になる。この場合、天板体W2は、各エア噴出口21cから噴出するエアによって、基準端面W2cが搬送方向Aの下流側を向いた状態で、下流側に搬送されることになる。
【0072】
そして、このような不正規姿勢の天板体W2は、基準端面W2cが帯状板3の近傍におけるエアの上昇流や高い圧力を受けにくくなっているので、帯状板3を乗り越えることができず、その下部が帯状板3に当接することになる。このため、天板体W2は帯状板3を支点にして転倒することになるが、下流側に位置する基準端面W2cが搬送面21aを向く方向に転倒することになるので、帯状板3を通過後の天板体W2は次々と正規姿勢に変換されることになる。
【0073】
従って、天板体W2も、帯状板3を通過する過程で正規姿勢に確実に整えることができる。帯状板3に代えて段差213を設けた場合も同様である。
【0074】
更に、帯状板3に代えて棒状部材4を設けた場合も、図15に示すように、天板体W2を正規姿勢に確実に変換することができる。
【0075】
また、キャップCを搬送面21aに供給する場合については図示していないが、この場合も、基準端面W2cが搬送面21a側を向く正規姿勢の場合には、当該キャップCを帯状板3、棒状部材4又は段差213に対して容易に乗り越えさせることができる。そして、栓体W1が搬送面21a側を向いた不正規姿勢の場合には、キャップCにおける天板体W2の下部が帯状板3、棒状部材4又は段差213に当接して転倒することになるので、当該キャップCを、図14及び図15で示した単体の部品としての天板体W2と同様に正規姿勢に確実に変換することができる。
【0076】
一方、筒状部と、この筒状の一端を閉塞する天板部とによって一体に形成された筒状のキャップについても、単体の部品としての栓体W1と同様に正規姿勢に確実に変換することができる。
【0077】
また、図14及び図15で示したエア整列フィーダー1についても、上述した仕切板22や、傾斜貫通孔21dを設けたもので構成してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態として示したエア整列フィーダーの要部断面図である。
【図2】同エア整列フィーダーで姿勢を整える対象である栓体を有する2ピース型のキャップを示す断面図である。
【図3】同エア整列フィーダーを示す図であって、正規姿勢の栓体が帯状板を乗り越える様子を示す要部断面図である。
【図4】同エア整列フィーダーを示す図であって、正規姿勢の栓体の滞留する量が増加した際に当該栓体が帯状板を乗り越える様子を示す要部断面図である。
【図5】同エア整列フィーダーを示す図であって、開口部が下方を向いた不正規姿勢の栓体が正規姿勢に変換される様子を示す要部断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態として示したエア整列フィーダーの要部断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態として示したエア整列フィーダーの要部断面図である。
【図8】上記第1の実施の形態で示したエア整列フィーダーの第1の他の例を示す要部断面図である。
【図9】上記第3の実施の形態で示したエア整列フィーダーの第1の他の例を示す要部断面図である。
【図10】上記第1の実施の形態で示したエア整列フィーダーの第2の他の例を示す要部断面図である。
【図11】上記第3の実施の形態で示したエア整列フィーダーの第2の他の例を示す要部断面図である。
【図12】上記第1の実施の形態で示したエア整列フィーダーの第3の他の例を示す要部断面図である。
【図13】上記第3の実施の形態で示したエア整列フィーダーの第3の他の例を示す要部断面図である。
【図14】上記第1の実施の形態で示したエア整列フィーダーで天板体を姿勢調整する様子を示す要部断面図である。
【図15】上記第2の実施の形態で示したエア整列フィーダーで天板体を姿勢調整する様子を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 エア整列フィーダー
3 帯状板(障害物)
4 棒状部材(障害物)
21a 搬送面
21c エア噴出口
211 第1の搬送面
212 第2の搬送面
213 段差(障害物)
A 搬送方向
C キャップ(ワーク)
W1 栓体(ワーク)
W2 天板体(ワーク)
W1a、W2c 基準端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面に形成された複数のエア噴出口から搬送方向の下流側に向けて斜め上方に噴出するエアにより、ワークを上記搬送面から浮上させながら上記下流側に搬送すると共に、上記ワークにおける基準端面が上記搬送面側に向いた正規姿勢となるように当該ワークの姿勢を整えるエア整列フィーダーであって、
上記正規姿勢以外の不正規姿勢の状態にある上記ワークの上記搬送面側の下部に当接して、当該ワークを転倒させることにより上記正規姿勢に整える障害物を上記搬送面の上側に配置したことを特徴とするエア整列フィーダー。
【請求項2】
上記障害物の上記搬送面からの高さは、当該搬送面上を下流側に移動する状態にある上記不正規姿勢のワークの重心位置に当接する高さ以下で、当該ワークに少なくとも当接する高さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエア整列フィーダー。
【請求項3】
上記障害物は、上記搬送方向に対して横切るように延在する帯状板によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエア整列フィーダー。
【請求項4】
上記障害物は、上記搬送方向に対して横切るように延在する棒状部材によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエア整列フィーダー。
【請求項5】
上記障害物は、上記搬送面を構成する第1の搬送面と第2の搬送面のうち、下流側に位置する上記第2の搬送面を上流側に位置する上記第1の搬送面に対して一段高い位置に配置することによって生じた段差によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエア整列フィーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−111363(P2006−111363A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297553(P2004−297553)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】