説明

エキスパンダーロール

【解決手段】エキスパンダーロールは、その湾曲において調節可能な、管体形状のロール外套2を有し、このロール外套が、分割されていない管体として、補強された合成物質複合材料から形成されており、且つ、軸受13を介して、回転不能な中央領域の上で支持されている。中央領域は、湾曲可能な軸1である。軸受13は、この軸受の外側面でもって、ロール外套2の、または、このロール外套の内側面に強固に隣接する外側の環状スリーブ3の内側面に、隣接している。この軸受13は、この軸受の内側面でもって、湾曲可能な軸1の表面に、または、この湾曲可能な軸を強固に囲繞する内側の環状スリーブ4の表面に、隣接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキスパンダーロール(Breitstreckwalze)であって、このエキスパンダーロールが、
その湾曲において調節可能な、管体形状のロール外套を有し、
このロール外套が、分割されていない管体として、補強された合成物質複合材料から形成されており、且つ、軸受を介して、回転不能な中央領域の上で支持されている様式の、上記エキスパンダーロールに関する。
【背景技術】
【0002】
この様式(ヨーロッパ特許第932 723号明細書(特許文献1))のエキスパンダーロールの場合、回転不能な中央領域が、2つの端面側の、比較的に短い内側管体部片によって形成されており、これら内側管体部片の上に、軸受が、内側で支持されている。これら管体部片は、旋回され、且つ、この旋回によって、ロール外套の湾曲が行われる。
【0003】
この公知の解決策は、比較的に経費がかかる。中央領域の上でのロール外套の支持は、ただこのロール外套端部の領域内においてだけ行われ、これに対して、中間領域が支持されていない。このような支承は、不安定性、および、不均等な湾曲を誘起する。
【特許文献1】ヨーロッパ特許第932 723号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、この公知技術を出発点として、本発明の根底をなす課題は、公知として前提とされる様式のエキスパンダーロールを、その湾曲において調節可能なロール外套が、必要に応じて、全長さにわたって、中央領域の上で、支持可能であり、その際、この中央領域が、簡単に形成されている、ように形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決は、請求項1の特徴でもって行われる。
【発明の効果】
【0006】
湾曲可能な軸としての中央領域の構成は、特に簡単な解決策である。この構成は、必要に応じて、適宜に小さく選択可能な間隔でもって、この軸の全長さにわたって、軸受の装着を可能にする。これら軸受が、ただ僅かの面加圧でもってだけ、ロール外套の内側壁に対して隣接するために、これら軸受の外側面と、このロール外套の内側面との間に環状スリーブが設けられており、これら環状スリーブが、有利な方法において、これら軸受よりも、より幅広である。類似の方法で、同様に、内側の環状スリーブが、この軸受の内側面と湾曲可能な軸の表面との間に設けられている。
【0007】
本発明の有利な更なる実施形態は、更に別の従属請求項から与えられる。
【0008】
次に、本発明の2つの有利な実施形態を、図に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
異なる図内において、同じ、または互いに相応する部材は、それぞれに、同じ参照符号を備えている。これら部材は、必要な場合に、ただダッシュによってだけ相互に区別される。
【0010】
湾曲可能な軸1の上に、ロール外套2が、軸受13を用いて軸受けされている。このロール外套2の内側壁と、この軸受13の外側面との間に、外側の環状スリーブ3が設けられている。この軸受13の内側面と、この湾曲可能な軸1との間に、内側の環状スリーブ4が設けられている。このロール外套2は、ガラス繊維、または炭素繊維でもって強化されている(GFK、またはCFK)、合成物質複合材料から成っている。これら内側の環状スリーブ4、および外側の環状スリーブ3の幅は、所属する軸受13の幅よりも大きい。これら軸受は、通常、ころ軸受、例えば玉軸受である。
【0011】
湾曲可能な軸1の端部は、機械フレームの端面側のフレーム領域5、および6内において軸受けされている。この目的で、スリーブ7、および8が、これらフレーム領域5、および6内において設けられている。これらスリーブは、それぞれに、外側の軸受リング11、および内側の軸受リング12から成る、旋回軸受を支持している。外側の軸受リング11と内側の軸受リング12の球形の構成によって、この軸1の湾曲が可能である。この目的で、調節ねじ9および10は、その結果としてこの湾曲可能な軸の端部が、図1において見て取れる位置から、図2において見て取れる位置へと移動する程度に、幾分、ねじ込まれる。この軸1の湾曲でもって、同時に、ロール外套2の湾曲が行われる。
【0012】
図1a、および2aによる構成は、本来のロール領域内において、実際的に完全に、
図1、および2による実施形態の構成と相応している。ただ湾曲可能な軸の端部の軸受だけが、異なっており:即ち、ただ調節ねじ、および旋回軸受の装着位置だけが、異なって選択されている。更に、スリーブ7′、および8′は、異なる方法で、フレーム領域5′、および6′に固定されている。
【0013】
図1、および図1′に図示されているように、軸1の湾曲可能性は、この軸1の湾曲されていない状態における、エキスパンダーロールの組み付けを可能にする。軸受13、および場合によっては設けられている環状スリーブ3、4、並びに、先ず第一に湾曲されていない、押し込まれたロール外套2の組み付けが行われた後、最終的な組み立て状態において、引き続いて、軸1の湾曲が変更される。この軸の湾曲可能性無しに、即ち、不変の湾曲を有する軸の使用の場合、エキスパンダーロールの組み付けは可能ではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】湾曲されていない状態における、エキスパンダーロールの第1の実施形態の、概略的な縦断面図である。
【図1a】湾曲された位置における、図1従う図である。
【図2】第2の実施形態の、図1に相応する図である。
【図2a】第2の実施形態の、図2に相応する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキスパンダーロールであって、このエキスパンダーロールが、
その湾曲において調節可能な、管体形状のロール外套(2)を有し、
このロール外套が、分割されていない管体として、補強された合成物質複合材料から形成されており、且つ、軸受(13)を介して、回転不能な中央領域の上で支持されている様式の、上記エキスパンダーロールにおいて、
中央領域が、湾曲可能な軸(1)であり、且つ、
軸受(13)が、
この軸受の外側面でもって、ロール外套(2)の、または、このロール外套の内側面に強固に隣接する外側の環状スリーブ(3)の内側面に、隣接しており、且つ、
この軸受の内側面でもって、湾曲可能な軸(1)の、または、この湾曲可能な軸を強固に囲繞する内側の環状スリーブ(4)の表面に、隣接している、
ことを特徴とするエキスパンダーロール。
【請求項2】
合成物質複合材料は、ガラス繊維、または炭素繊維でもって補強されていることを特徴とする請求項1に記載のエキスパンダーロール。
【請求項3】
外側の環状スリーブ(3)は、所属する軸受(13)よりも、より幅広であることを特徴とする請求項1または2に記載のエキスパンダーロール。
【請求項4】
内側の環状スリーブ(4)は、所属する軸受よりも、より幅広であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のエキスパンダーロール。
【請求項5】
軸受は、ころ軸受であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のエキスパンダーロール。
【請求項6】
ころ軸受は、玉軸受であることを特徴とする請求項5に記載のエキスパンダーロール。
【請求項7】
軸(1)は、この軸の管体形状のロール外套(2)の内側に存在する全長さにわたって、湾曲可能であり、且つ、この軸(1)の湾曲が、軸受(13)を介して、この管体形状のロール外套(2)に伝達されるように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のエキスパンダーロール。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−527335(P2006−527335A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500699(P2005−500699)
【出願日】平成15年12月6日(2003.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013858
【国際公開番号】WO2004/111334
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505224628)ストウ・ウッドウォード・アクチエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】