説明

エコ資源スラグ有効利用方法

【課題】有害物質含有スラグを含めてスラグを直接に溶融生成せずに、無害化してエコ資源材として成生し、環境に全く負荷を与えずに大容量の汚染水域の浄化蘇生に有効利用する。
【解決手段】鉱石から鉄、銅、アルミニウム等の金属を製錬する工程において生成する鉱滓副産物スラグのうち、リサイクル利用不可能な有害物質含有の未利用スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成する。胎土を窯業用燃焼窯胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布等して有害物質含有の未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エコ資源スラグ有効利用システムの分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明で使用の鉱石製練工程で生成する鉄鋼スラグ、ごみ焼却施設で発生の焼却灰スラグ、下水処理施設で発生する汚泥スラグ、火力発電施設で発生するコークス焼却残渣、家畜類排泄糞尿燃焼により発生の燃焼灰スラグ等は、いずれも施設内の溶融高温燃焼炉(窯)で「溶融スラグ」に成生されてきた。
【0003】
さらに、前記スラグ類を溶融スラグに生成する工程で、製鉄工場で生成される鉄鋼スラグ約3,800万トン(年間)のうち約39万トン相当のスラグは、溶融スラグに生成しても重金属類等の有害物質が除去しきれず、有効な利用方法がないため、特別産業管理廃棄物として手つかずのまま国内の工場敷地内に保有されたままになっている。
【0004】
また、他のスラグも溶融スラグ骨材として路盤材等の代替コンクリート製品等のいわゆる陸上型土木製品として利用できても、汚染水浄化用の水域型土木製品の利用には不向きである、などの問題があった。
【0005】
さらに、スラグをブロック状に形成して海洋に沈設し、海草や珊瑚の着床を試みているケースがあるが、海水温の上昇や水域汚染等の引き金が要因で期待通りの効果が得られない、などの問題があった。
【0006】
また、従来水浄化材として、特開平11−10140公開特許公報が開示されているが、この水浄化材1の核部2はセラミック粉体を造粒化したものであった。
【0007】
さらに、従来浄水装置として特開平6−134454公開特許公報が開示されているが、前記浄水装置に使用されている浄水用セラミック6a、6bは、鉱石製練工程で生成する鉄鋼スラグ、ごみ焼却施設で発生の焼却灰スラグ、下水処理施設で発生する汚泥スラグ、火力発電施設で発生するコークス焼却残渣、家畜類排泄糞尿燃焼により発生の燃焼灰スラグをもとにして形成したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−10140公開特許公報
【特許文献2】特開平6−134454公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記した有害物質含有スラグを含めて、スラグを直接に溶融生成せずに、無害化してエコ資源材として成生し、環境に全く負荷を与えずに大容量の汚染水域の浄化蘇生に有効利用ができるようにしたシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、鉱石から鉄、銅、アルミニウム等の金属を製錬する工程において生成する鉱滓副産物スラグのうち、リサイクル利用不可能な有害物質含有の未利用スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二工程として、前記胎土を窯業用燃焼窯胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布することを第三工程とし、第四工程として、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させて固形物とし、第五工程として、前記第四工程の釉薬液浸透固形物を再度窯業用燃焼窯で所定の温度で所定時間高温燃焼させ、前記未利用スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材とし、第六工程として、前記第五工程によって形成させた濾材を汚染している被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う、前記有害物質含有の未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0011】
上記課題を解決するための手段として、請求項2記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、可燃ごみ焼却施設において、一般ごみを燃焼する工程において発生するごみ焼却灰スラグの中、溶融スラグ未加工の有害ダイオキシン類含有スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二工程として、前記胎土を窯業用又はごみ燃焼窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布し、第四工程として、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させて固形物とし、第五工程として、前記釉薬液浸透固形物を再度窯業用又はごみ燃焼窯で所定の温度で所定時間高温燃焼させ、前記有害ダイオキシン類含有スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材とし、第六工程として、前記第五工程によって形成させた濾材を汚染している被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う、溶融スラグ未加工の有害ダイオキシン類含有の未加工のごみ焼却灰スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0012】
上記課題を解決するための手段として、請求項3記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、下水処理プラント施設において、下水汚泥を成生する工程で発生する下水汚泥スラグの中、汚泥溶融スラグ未加工の有害成分含有汚泥スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二工程として、前記胎土を窯業用又は溶融燃焼窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、第三工程として、前記工程によって形成された前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布し、第四工程として、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させて固形物とし、第五工程として、前記の釉薬液浸透固形物を再度窯業用又は溶融加工燃焼窯で所定の温度で所定時間高温燃焼させ、前記汚泥スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材とし、第六工程として、前記工程によって形成させた濾材を汚染している被水域に沈設投入して汚水等を正常な水に浄化蘇生を行う、前記有害成分含有未加工汚泥スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0013】
上記課題を解決するための手段として、請求項4記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、火力発電施設において、石炭を燃焼する工程で発生する有害成分含有のコークス焼却残渣を微粉砕加工したスラグと、前記請求項1〜3の固形物の製造工程1〜5と同様の方法で前記コークス焼却残渣スラグをもとに形成した濾材を、汚染している被水域に沈設投入して汚水等を正常な水に浄化蘇生を行う、前記有害成分含有コークススラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0014】
上記課題を解決するための手段として、請求項5記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、牛や豚等の家畜が排泄する有害糞尿を乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグと、前記請求項1〜3の固形物の製造工程1〜5と同様の方法で、前記糞尿スラグをもとに形成させた濾材を、顆粒状に微粉砕して土壌に鋤込んで肥沃化させて正常な土壌蘇生を行い、前記有害成分含有の家畜糞尿スラグを無害化して有機エコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0015】
上記課題を解決するための手段として、請求項6記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、海洋砂丘浸食被害場所に、海洋砂丘残渣砂と、前記請求項1〜5において形成させたスラグ濾材とを、所定の割合で混ぜ合わせて前記砂丘浸食場所に礫敷きして、高波による浸食被害個所の蘇生と防止を行い、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を礫養浜資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0016】
上記課題を解決するための手段として、請求項7記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、生活排水や都市排水、工場排水等で利用する既設下水用排水溝に、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材を網目袋又は金網篭等に内包し、内包した前記袋又は篭を既設下水用排水溝内に沈設若しくは懸架し、排水構内の悪臭除去と、排水溝内に流入する汚染水の浄化を行い、前設有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を、既設下水用の排水溝流入汚染水除去資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0017】
上記課題を解決するための手段として、請求項8記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、河川や池、湖沼や海洋等の汚染水域に、前記請求項1〜5において形成されたスラグ固形物と、製鋼工程で副産物として生成した鉄鋼スラグ及び高炉スラグの微粉末を水で混練し、水和反応によって固化形成して更に微粉砕したものと、土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当な大きさと形状の型枠に打込んでコンクリート濾材を形成させ、前記コンクリート固形物表面を半乾き時に水圧を加えて洗い出し、又はワイヤーブラシ等で掻き落し等の工法によって混練した濾材のみを外部に露出させ、水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用ブロック等に形成して、水源域の川上から最終流入域の川下の海洋に至るまでを連鎖的に使用して、淡水や海水、汽水域等の汚染被水に接触させることによって、汚染水域の浄化蘇生資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0018】
上記課題を解決するための手段として、請求項9記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、歩道等を舗装するインターロッキングブロックや外装タイル等の路面材に、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、前記製綱スラグ又は水和固化体粉砕物と、前記土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えてインターロッキングブロックやタイル形状の型枠に打込んで路面材を形成させ、前記と同様に水圧で洗い出し、又は掻き落し工法等によって混練した濾材のみを外部に露出させた後、再び乾燥させた表面を研磨機等で研磨して平坦状に形成させ、通常のインターロッキングブロックや外装タイル舗装と同様の方法で歩道等の路面の舗装材として使用することによって舗装路面のヒートアイランドの減少効果と、舗装路面に冠水する汚染物質等の浄化資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【0019】
上記課題を解決するための手段として、請求項10記載の発明は、エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、牛や豚等の家畜類の排泄糞尿のうち、排泄尿処理方法において、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、前記濾材の所定量を金網等による濾過装置に内包せしめて前記家畜類排泄尿の濾過を2〜3回行い、前記排泄尿中に含有の有害なBOD成分の低減化を図ることによって、通常実施される排泄物処理工程の簡素化と、無害の排泄尿の放流を可能とし、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を家畜類排泄尿含有のBOD成分除去資源として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明は、鉱石から鉄、銅、アルミニウム等の金属を製錬する工程において生成する鉱滓副産物スラグの中、リサイクル利用不可能な有害物質含有の未利用スラグを、第一工程から第五工程に至る工程によって、ガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材を形成し、前記濾材を汚染している被水域に沈設投入することによって正常な水に浄化蘇生ができると共に、本来有害物質含有の未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として有効利用できる利点を有している。
【0021】
請求項2に記載の発明は、可燃ごみ焼却施設において、一般ごみを燃焼する工程において発生するごみ焼却灰スラグの中、溶融スラグ未加工の有害ダイオキシン類含有スラグを、第一工程から第五工程に至る工程によって、ガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材を形成し、前記濾材を汚染している被水域に沈設投入することによって正常な水に浄化蘇生ができると共に、本来有害ダイオキシン類含有の未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として有効利用できる利点を有している。
【0022】
請求項3に記載の発明は、下水処理プラント施設において、下水汚泥を生成する工程で発生する下水汚泥スラグの中、汚泥溶融スラグ未加工の有害成分含有汚泥スラグを、第一工程から第五工程に至る工程によって、ガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材を形成し、前記濾材を汚染している被水域に沈設投入することによって正常な水に浄化蘇生ができると共に、本来有害成分含有汚泥スラグを無害化してエコロジー資源濾材として有効利用できる利点を有している。
【0023】
請求項4に記載の発明は、火力発電施設において、石炭を燃焼する工程で発生する有害成分含有のコークス焼却残渣を微粉砕加工したスラグを、前記請求項1〜3の固形物の第一〜第五製造工程と同様の方法で、ガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材を形成し、前記濾材を汚染している被水域に沈設投入することによって正常な水に浄化蘇生ができると共に、本来有害成分含有のコークス焼却残渣を微粉砕加工したスラグを無害化してエコロジー資源濾材として有効利用できる利点を有している。
【0024】
請求項5に記載の発明は、牛や豚等の家畜が排泄する有害糞尿の採取処理において、乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグを、前記請求項1〜3の固形物の第一製造工程から第五製造工程と同様の方法で、前記糞尿スラグをもとに形成させた濾材を、顆粒状に微粉砕して土壌に鋤込んで肥沃化させることによって、正常な土壌蘇生を行うことができると共に、前記有害成分含有の家畜糞尿スラグを無害化して有機エコロジー資源濾材として利用できるようにした。
【0025】
請求項6に記載の発明は、海洋砂丘浸食被害場所に、海洋砂丘残渣砂と、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材とを、所定の割合で混ぜ合わせて砂丘浸食場所に礫敷きすることによって、高波による浸食被害個所の蘇生と防止を行うことができると共に、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を礫養浜資源として有効利用できるようにした。
【0026】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材を、濾材を網目袋又は金網篭等に収納し、前記濾材収納の網目袋又は金網かご等を、既設下水用排水溝内に沈設若しくは懸架することによって、排水構内の悪臭を除去すると共に、排水溝内に流入する汚染水の浄化を行い、前設有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を、既設下水用の排水溝流入汚染水除去資源として有効利用できるようにした。
【0027】
請求項8に記載の発明は、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、製鋼工程で副産物として生成した鉄鋼スラグ及び高炉スラグの微粉末を水で混練し、水和反応によって固化形成して更に微粉砕したものと、土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当な大きさと形状の型枠に打込んでコンクリート濾材を形成し、前記コンクリート濾材表面を半乾き時に水圧を加えて洗い出し、又はワイヤーブラシ等で掻き落し等の工法によって混練した濾材のみを外部に露出させ、水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用ブロック等に形成して、水源域の川上から最終流入域の川下の海洋に至るまでを連鎖的に使用することによって、淡水や海水、汽水域等の汚染被水に接触させると、汚染水域の浄化蘇生ができると共に、汚水水域の浄化蘇生資源として有効利用できる利点を有している。
【0028】
請求項9に記載の発明は、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、前記製綱スラグ又は水和固化体粉砕物と、前記土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えてインターロッキングブロックやタイル形状の型枠に打込んで路面材を形成させ、前記と同様に水圧で洗い出し、又は掻き落し工法等によって混練した濾材のみを外部に露出させた後、再び乾燥させた表面を研磨機等で研磨して平坦状に形成させ、通常のインターロッキングブロックや外装タイル舗装と同様の方法で歩道等の路面の舗装材として使用することによって舗装路面のヒートアイランドの減少効果と、舗装路面に冠水する汚染物質等の浄化資源として有効利用できる利点を有している。
【0029】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、前記濾材の所定量を金網等による濾過装置に内包せしめて前記家畜類排泄尿の濾過を2〜3回行うことによって、前記排泄尿中に含有の有害なBOD成分の低減化を図ると共に、通常実施される排泄物処理工程の簡素化と、無害の排泄尿の放流を可能とした。
【0030】
さらに、本発明は前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を家畜類排泄尿含有のBOD成分除去資源として利用できるようにした利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明エコ資源スラグ有効利用システムにおける第一工程から第五工程によって形成された汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する濾材の縦断面図である。
【0032】
【図2】図1の濾材が汚染水の分解と破壌活動による浄化メカニズムを図示した縦断面図である。
【0033】
【図3】従来の濾材の縦断面図である。
【0034】
【図4】同図1の濾材を使用した水域浄化システムフロー図である。
【0035】
【図5】同図1の濾材が形成されるまでの工程と、この濾材が多分野に実施することが可能なシステムの全体をフローチャート化した図である。
【0036】
【図6】同図1の濾材を既設の下水用排水溝に浄化使用した縦断面図である。
【0037】
【図7】図1の濾材を汽水域浄化用沈設筏としての設置状態を示す斜視図である。
【0038】
【図8】図1の濾材を含有するコンクリート混練形枠成形品の掻き落し状態を示す斜視図である。
【0039】
【図9】図8の成形品を積み重ね使用する漁礁構築状態を示す図である。
【0040】
【図10】図8の成形品を使用して形成の海底モザイク画タイプの漁礁構築実施例を示す図である。
【0041】
【図11】図1の濾材を含有するコンクリート製擬似珊瑚枠成形品の斜視図である。
【0042】
【図12】図11の成形品の使用状態を示す平面図である。
【0043】
【図13】図1の濾材を充填して形成のコンクリート製容器の沈設使用状態を示す積上げた状態の正面図である。
【0044】
【図14】図13の積上げコンクリート製容器の斜視図である。
【0045】
【図15】図1の濾材を充填する廃棄タイヤを積み上げた状態の平面図である。
【0046】
【図16】図15のタイヤの一部切欠縦断面図である。
【0047】
【図17】図1の濾材を含有するインターロッキングブロックの濾材研磨仕上げを施した斜視図である。
【0048】
【図18】濾材を混練したコンクリート板を研磨仕上げした外装タイルの斜視図である。
【0049】
【図19】図1の濾材を使用した家畜類排泄尿濾過装置の一部切欠正面図である。
【0050】
【図20】図1の濾材を顆粒状に粉砕して使用の土壌蘇生状態を示す一部切欠縦断面図である。
【0051】
【図21】図1の濾材を礫養浜形成例として使用した海洋と砂浜の一部切欠縦断正面図である。
【0052】
【図22】図1の濾材の赤外線分光放射率測定試験結果(at20℃)を示す図である。
【0053】
【図23】釉薬高温処理前の製鋼(鉄)スラグの斜視図である。
【0054】
【図24】釉薬高温処理後の製鋼(鉄)スラグの斜視図である。
【0055】
【図25】釉薬高温処理前の高炉スラグの斜視図である。
【0056】
【図26】釉薬高温処理後の高炉スラグの斜視図である。
【0057】
【図27】図24及び図26のスラグの分析結果表である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の請求項1〜10に記載の発明の実施の形態は、一部共通使用する部分があるので一括して以下のとおり説明する。
【0059】
本発明の構成上の要部である汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する濾材aは、従来の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する濾材bとは、製造工程と作用、効果が著しく異なる。
【0060】
従来の前記濾材bを構成する陶器質核部3(粘土)は、第一工程で、所定量の粘土と磁器土とを所定の高温度で所定時間焼成せしめ陶器質にし、第二工程で、前記のものの表面部3aに釉薬液4を塗付し、所定の高温で所定の時間焼成したものである。
【0061】
その結果、陶器質核部3(粘土)はその表面部3aに釉薬液4を付着しただけで、内部にまで前記釉薬液4が十分に浸透しないまま焼成されていた。
【0062】
そのため、前記濾材bは、外部からの衝撃等で割れるようなことがあると、内部に釉薬液が含浸されていないので、汚染、汚濁水の浄化還元機能面が十分に機能しなかった。
【0063】
さらに、仮に前記濾材bを粉砕し、粉末状にして使用することがあっても、前記濾材b内に前記釉薬液が含浸されていないので、汚染、汚濁水の浄化還元機能は著減する。
【0064】
しかるに本発明の濾材aは、前記従来の濾材bとはその製造工程が著しく相違している。以下その具体的な工程を説明する。
【0065】
すなわち、本発明の濾材aを形成するには、釉薬液を予め製造しておく必要がある。
【0066】
前記釉薬液につき説明すると以下のとおりである。
【0067】
本発明の釉薬液の主成分は天然鉱石(例えば火山岩、玄武岩、花崗岩)である。この前記天然鉱石は多様な元素を豊富に含み、微細な連続多孔質構造と静電エネルギーを持ち、親水性があり、各種イオンの発生と酸化還元作用を有し、有害物質を無害な状態に変化させる作用がある。
【0068】
そして、珪素、アルミニウム、鉄などの分子がコロイド(小粒子状)化し、水の浄化、および活性化を促し、間接的に有害微生物の増殖を抑制する機能を持っている。
【0069】
さらに、本発明システムの釉薬液の製造に使用する天然鉱石の成分は、蛍光X線分析測定によると、Si、Al、Fe、Ca、K、Na、Ti、P、S、Mn、Cr、Sr、Cl、Rb、Zr、Ni、Y、Zn、Ga、As等の元素であることが検出された。
【0070】
前記の天然石は、その生成過程から層状または結晶時において、水分を含有している。
【0071】
そして、静電エネルギーを効率よく外部に放射させるためには、高温窯で約800℃以上に焼成して一次処理を行い、含有水の結晶体を除去する必要がある。
【0072】
そのため、天然鉱石を粉砕して総合的再構築温度を基準にした焼成温度で焼成して、水分除去を行った後、さらにパウダー状に微粉砕する。
【0073】
これを窯業用釉薬(SrO、TiO、CoO、FeO、Fe等)(市販)を基に天然鉱石鉱物成分90〜95重量%と、釉薬成分5〜10重量%、又は鉱物成分80〜95重量%と釉薬成分5〜20重量%をそれぞれ配合し所定の水を加えて、混練後、熟成させると釉薬液が完成する。
【0074】
以上が本発明において使用する釉薬液である。
【0075】
つぎに、汚染被水の浄化を司る濾材aの形成について説明する。
【0076】
本発明の第一工程である胎土pの形成は、前記したゴミ焼却場において発生したスラグ、又は下水処理場において発生した汚泥スラグ、又は製鉄・精錬場から排出されたスラグ、又は火力発電の石炭焼却灰、又は家畜類糞尿焼却下灰のスラグ生成過程において発生したスラグsに、窯業用磁器土と窯業用粘土とを混練して行う。
【0077】
前記胎土pの混合比率は、スラグ微粉砕sを20〜25重量%、磁器土40〜45重量%、粘土40〜45重量%附近の割合で混練して形成させる。
【0078】
本発明においては、前記胎土pの大きさは、形状的に限定はしないが、棒状もしくは長方形状等である。そして、約直径が10mmから15mmの手でちぎって形成する。
【0079】
前記胎土pを乾燥後、高温焼成窯kで800℃附近の温度で12〜15時間焼成させて素焼質の胎土を形成させる。
そして、前記の工程によって、形成した素焼質胎土の表面部全体に、前記のように製造した釉薬液を釉薬液浸透槽Rにて浸透すると、前記釉薬液が内部にまで浸透する。その浸透量は従来の陶器質胎土3に対し、約10倍程度増量している。そして再び乾燥させる。
【0080】
前記乾燥後の釉薬液が浸透した素焼質胎土を、再び高温焼成窯kで1200〜1300℃附近の高温で12〜15時間かけて溶融焼成すると、ガラス質の濾材aが形成される。その結果、前記有害物質である前記スラグsがガラス質の内部2に封じ込められ外部に全く溶出しなくなる。
【0081】
さらに、前記濾材aは、汚染・汚濁水の浄化用として、そのまま使用したり、あるいは粉砕して使用する。前記のように微粉砕状態にして使用しても、本発明の濾材aは、素焼胎土pの形成後、前記釉薬を相当量内部にまで隈なく含浸させるので、前記微粉末にも、汚染・汚濁水の浄化還元機能を十分発揮できる。
【0082】
つぎに、前記のように形成された濾材aが汚染被水中に沈設されると、以下のようにして汚染水を浄化する。そのメカニズムについて説明する(図2)。
【0083】
本発明のスラグ類を濾材化したエコ資源濾材aは、図2のように濾材aの表面部1に汚染水に接触させると、前記汚染水が触媒反応により被処理体成分を高度に分解、破壊して有害物を無害化したり、悪臭を除去したり、汚濁水を正常化させる機能を発揮する。
【0084】
さらに、その理由を説明すると、前記天然鉱石の成分につき説明した通り、濾材a全体が天然鉱石を主成分とした釉薬液を含有する固形物がガラス化されていることにより、天然鉱石と同等及びそれ以上のメカニズムを発揮するからである。
【0085】
さらに、本発明の濾材aの触媒反応による分解方法の他の方法は、処理能力が小さいことや遅いことに短所があるが、本発明の濾材a使用によるシステムは、処理能力が大きく、しかも早いことに大きな長所である。
【0086】
前記理由は、濾材aとなる固形物の状態において釉薬につけると固形物全体に釉薬が浸透され高温焼成(溶融)してガラス質に形成させたことによって、釉薬の成分5が特有の赤外線エネルギーを持つことになり、その濾材aの表面が特定の光波を受けると、前記釉薬の成分がその光波を吸収する機能を発揮するからである。
【0087】
そして、本発明の濾材aは、被水にも特有の光波の吸収波長があって、正常な水と汚れた水では吸収する波長が異なり、水が吸収する波長と光波の波長が合致すると共鳴を起し、濾材aの静電エネルギーが水に移行(偏角・伸縮振動)して触媒反応によって分解、破壊するためである。この作用は淡水にも海水にも同じ作用をする。
さらに、完成した濾材aに赤外線静電エネルギー波長が存在することは、「赤外線分光放射率試験」(図22)の分析で証明されている通りである。さらに、この静電エネルギーは無限であるため、濾材aが消滅しない限りこのエネルギーは及ぼし続け、被水はこれを受け続けることになる。しかるに他の「付着・吸着」方法では、目詰りのため、いちいち保守管理をする必要があるのに対し、本発明の濾材aの「分解・破壊」の方法は寿命が長く、メンテナンスが不要のため、全水域に沈設使用できる特長がある。
【0088】
また、本発明の濾材aは、汚染被水の浄化を目的の一つとしている以外に、最近、海水温の上昇により海洋の磯焼けが拡大して、漁業被害が増大している。この理由は、海水温の上昇要因が地球温暖化によるものだけではなく、水域汚染が海水温上昇の引き金になっていることが明らかになっている。
【0089】
すなわち、汚染水域は、太陽熱を異常に吸収するため、プランクトンの発生率が増大し、エチゼンクラゲ等の漁害類の発生は、特に汚染海域で発生していることも明らかになっているなど、汚染水域の浄化は喫緊の課題となっているため、本発明の濾材aの活躍が期待されている。
そして、本発明の浄化濾材aは、その使用頻度を増大することにより、本発明に使用するスラグ類の用途が増大すると共に、従来の陸上土木型から水域土木型製品へとシフトされることによってスラグの用途価値も高まるため、「水域土木」という新しいビジネスを創出するきっかけにもなり得る。
【0090】
また、前記濾材aは、一般に籠6やネット等に内包して使用する場合、内包されている濾材aが被水に接触可能な状態にして、水域に沈設して使用したり、排水溝等の下水管に懸架して使用する。前記の使用によって、前記濾材aによって汚水の浄化と共に悪臭も同時に除去する効果がある。
【0091】
また、請求項8記載のように、濾材aを、砂と水和コンクリートとに混練してコンクリート成形品8を成形後、濾材aが被水に接触可能な状態にコンクリート成形品の表面を洗い出し工法、掻き落し工法によって露出させ形成させる。
【0092】
さらに、前記成形品8を海洋浄化だけに使用せず、海洋gに流出する全水域の川上から川下に至るまでの水域径路に連鎖的に使用することにより、海洋への汚染物質の流入を未然に防止できる効果がある。
【0093】
また、全水域を浄化することにより、海洋gは元の状態、つまり正常の状態に蘇生されるため、磯焼け拡大をくい止めて海草類の繁茂を促す役割を担う効果が期待できる。
【0094】
さらに、本発明の濾材aは、水域浄化のほかに請求項6記載の海洋砂丘33の浸食蘇生材として使用できる(図21)。
【0095】
近年の砂丘浸食は、海水の上昇によって発生し、全国の海洋gに接する地域で毎年160ヘクタール(東京ドーム約34個分)
が浸食し続けていることが明らかになっている。
【0096】
そして、波消しブロックを設置しても浸食防止効果はないが、礫敷きすれば礫のすき間に海砂hが自然にたまり、約2ヶ月で砂が浜に戻ってくることが明らかになっているため、本発明の濾材aをφ10〜20の礫状に形成、または形成濾材aを礫状大に粉砕して敷きつめることにより、濾材aを礫養浜資材として利用できる。
また、本発明の濾材aは、前記した洗い出し工法、掻き落し工法によって表面を研磨35して、インターロッキングブロック9や外装タイル10等の路面舗装材と使用できる。
【0097】
さらに、本発明の濾材aを舗装材として使用した場合、路面に冠水した汚染水を除去して、河川等への汚染水の流入を未然に防止する効果が期待できる。
【0098】
また、前記濾材aは、素材色彩処理によって、太陽熱を吸収するため、大都市圏のヒートアイランド現象を低下させる効果が期待できる。
【0099】
さらに、請求項5記載の家畜類糞尿燃焼スラグを濾材aに形成したものをさらに顆粒状に粉砕し、既存畑の土壌11に鋤込んで使用することにより、土壌蘇生材として利用できる。
【0100】
土壌11は、農薬や酸性雨等で機能を失っている。有機農業等でコンポスト12により回復させようと試みているが、土壌そのものが農薬等で損われているケースでは、コンポストだけでは蘇生されてないのが現状である。
【0101】
そこで、本発明顆粒状濾材13は、既存畑土14、コンポスト12とを混合して、土壌11に鋤込むと混合土壌16となり、降雨や散水による濾材13のスペクトルが被水のスペクトルに相応してコンポスト12の腐植熟成を促進させ、発酵作用によりミミズや微生物を増殖させるため、農薬等で損われた土壌を元の土壌に蘇生する効果が期待できる。
【0102】
また、本発明の顆粒状濾材13をさらに微粉末状にして水に混和のうえ、散水具等で撒布することにより、土壌改質と肥沃化を図ることも可能になる。17は混合土壌16によって作付けさせた農作物である。
【0103】
請求項10記載の家畜等排泄尿濾過において、本発明濾材aを濾過籠18に内包のうえ、上部から排泄尿を浸透濾過させることを2〜3回行うことによって、排泄尿の悪臭を除去できる。19は濾過ピット、20は排泄尿誘導管、21は濾加水貯蔵部、22は排水管である。
【0104】
前記排泄尿の汚染度合いのBOD値を計測してみると、好気的バクテリアが排泄尿中の有機物を酸化分解するのに要する酸素量が原水と比較して大きく減少している結果が判明した。
これにより、家畜排泄尿の直接放流による河川等の汚染が食い止められる効果と共に、畜産業経営者や住民に対して悪臭への悩みの解消へつながる効果がある。
【0105】
さらに、本発明の実施例について、その具体的内容を各図面に基づき説明すると以下のとおりである。
【0106】
図7は前述したとおり、籠6に本発明の濾材aを入れ、既存の下水用排水溝として使用されているU字溝23等に懸架又は沈設することにより、濾材aが汚染水を浄化、悪臭を除去する。そのため水域への汚染水流出防止と、生活環境の悪臭公害から逃れられる利点を有している。
【0107】
24は排水U字溝23の蓋部である。
【0108】
また、図8の汽水域浄化用沈設筏cにつき説明する。
【0109】
前記沈設筏cは、淡水と海水が交差する汽水域に沈設使用するものである。
【0110】
その構成は、水和コンクリート25と本発明スラグ濾材a及び濾材粉砕微粉末を混練のうえ、固化させ筏材25を形成する。そして前記筏材25の表面部を掻き落し34工法等によって濾材aを露出せしめる。
【0111】
この露出によって、汽水が接触可能となり、汽水域の浄化がなされる。
【0112】
そして汽水域は、魚介類が産卵する重要な場所であるが、水域汚染が要因で産卵する場所がないため、魚介類減少の要因にもなっている。
【0113】
従って、前記筏cが産卵場所設置となり、魚介類は浄化水域で筏cのすき間を利用して産卵できる。
【0114】
さらに本発明は、図8、9のように、濾材aをコンクリート製混練形成枠成形体26を形成し、その成形体26の表面部27を掻き落し、図9、10のように積重し魚礁28として構築したり、あるいは図10のように海底モザイク画の魚礁29として構築して海底沈設すれば、海洋水域を浄化して、前記と同じく海草類が付着繁茂して魚介類が産卵可能となる。
【0115】
また、海底には、龍宮城などのモザイク画を描きながら並列沈設することで、海洋浄化、蘇生を図りながら、海洋汚染浄化のメッセージ発信ツールに役立つことができる。
【0116】
さらに本発明は、淡水、海水、汽水域等の全水域に沈設使用することを目的として以下のように使用する。
【0117】
すなわち、本発明スラグ濾材a及び汚染・汚濁水の浄化還元機能を有する濾材粉砕微粉末と水和コンクリートを混練成形のうえ、擬似珊瑚体dを形成する。そして、前記擬似珊瑚体d内に本発明の濾材aを充填し、海底等に沈設して使用する。そのため、水域の浄化と蘇生が図られ、珊瑚や昆布類の海草育成が促進できる。そして、前記擬似珊瑚体dの縁部に予め珊瑚や海草苗を植えつけたものを沈設することも可能である。
【0118】
前記珊瑚体dは、河川に使用の場合は、自然石と同様に並列に沈設して使用し、湖沼、池、海洋等に使用の場合は、積み重ねて使用することで魚礁が構築できる。
【0119】
さらに、本発明の濾材aは、図13、14のように、コンクリート製コンテナ容器eとして使用する。そして前記コンテナ容器eは、海洋、湖沼、池等に沈設使用する。
【0120】
前記コンテナ容器eは、水和コンクリート及び汚染・汚水の浄化還元機能を有する濾材a粉砕微粉末とによる蓋付きコンクリート製容器e内に、本発明の濾材aと腐殖土塊を交互に内包のうえ沈設使用する。
【0121】
前記沈設によって、水域の浄化、蘇生を図りながら、水域の栄養分の補給が同時に行えるため、珊瑚や海草類の着床と育成、魚介類の産卵場所に役立つものである。
【0122】
また、本発明の濾過材aは、図15、16のように廃棄自動車タイヤを利用した容器fとして、海洋、湖沼、池等に沈設使用することも可能である。前記タイヤ容器fの構成は、廃棄タイヤ30の開口部31にパンチングメタル、金網等で形成の蓋32をする。そして、蓋32をする前に本発明スラグ濾材aを内包し、ボルトで固定して形成する。
【0123】
さらに、前記タイヤ30の表面に、麻材等の植物繊維材を下地材として吹付けておき、乾燥後に前記容器fを沈設すると、海草や藻類が着床、浄化、蘇生を図りながら魚介類の産卵場所に利用できる。
【0124】
なお、下地材にあらかじめ海草、藻類のきざみ片を吹付け、発根後に沈設利用も可能である。sは微粉砕したスラグ、Rは釉薬液浸透槽である。
【符号の説明】
【0125】
a 濾材
b 濾材
c 筏
d 珊瑚体
e コンテナ容器
f タイヤ容器
g 海洋
h 海砂
s スラグ
p 胎土
k 燃焼窯
1 表面部
2 内部
3 陶器質核部
3a 表面部
4 釉薬
5 釉薬成分
6 籠
8 成形品
9 インターロッキングブロック
10 外装タイル
11 土壌
12 コンポスト
13 顆粒状濾材
14 既存畑土
16 混合土壌
17 農作物
18 濾過籠
19 濾過ピット
20 誘導管
21 貯水部
22 排水管
23 U字溝
24 蓋部
25 筏材
26 成型品
27 濾材表面部
28 魚礁
29 魚礁
30 廃棄タイヤ
31 開口部
32 蓋
33 砂丘
34 掻落し
35 研磨




【特許請求の範囲】
【請求項1】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、鉱石から鉄、銅、アルミニウム等の金属を製錬する工程において生成する鉱滓副産物スラグのうち、リサイクル利用不可能な有害物質含有の未利用スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二工程として、前記胎土を窯業用燃焼窯胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布することを第三工程とし、第四工程として、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させて固形物とし、第五工程として、前記第四工程の釉薬液浸透固形物を再度窯業用燃焼窯で所定の温度で所定時間高温燃焼させ、前記未利用スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材とし、第六工程として、前記第五工程によって形成させた濾材を汚染している被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う、前記有害物質含有の未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項2】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、可燃ごみ焼却施設において、一般ごみを燃焼する工程において発生するごみ焼却灰スラグの中、溶融スラグ未加工の有害ダイオキシン類含有スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二工程として、前記胎土を窯業用又はごみ燃焼窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布し、第四工程として、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させて固形物とし、第五工程として、前記釉薬液浸透固形物を再度窯業用又はごみ燃焼窯で所定の温度で所定時間高温燃焼させ、前記有害ダイオキシン類含有スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材とし、第六工程として、前記第五工程によって形成させた濾材を汚染している被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う、溶融スラグ未加工の有害ダイオキシン類含有の未加工のごみ焼却灰スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項3】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、下水処理プラント施設において、下水汚泥を成生する工程で発生する下水汚泥スラグの中、汚泥溶融スラグ未加工の有害成分含有汚泥スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二工程として、前記胎土を窯業用又は溶融燃焼窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土に形成し、第三工程として、前記工程によって形成された前記素焼質胎土に、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を塗布し、第四工程として、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させて固形物とし、第五工程として、前記の釉薬液浸透固形物を再度窯業用又は溶融加工燃焼窯で所定の温度で所定時間高温燃焼させ、前記汚泥スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の汚染、汚濁水の浄化還元機能を有する固形物からなる濾材とし、第六工程として、前記工程によって形成させた濾材を汚染している被水域に沈設投入して汚水等を正常な水に浄化蘇生を行う、前記有害成分含有未加工汚泥スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項4】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、火力発電施設において、石炭を燃焼する工程で発生する有害成分含有のコークス焼却残渣を微粉砕加工したスラグと、前記請求項1〜3の固形物の製造工程1〜5と同様の方法で前記コークス焼却残渣スラグをもとに形成した濾材を、汚染している被水域に沈設投入して汚水等を正常な水に浄化蘇生を行う、前記有害成分含有コークススラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項5】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、牛や豚等の家畜が排泄する有害糞尿を乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグと、前記請求項1〜3の固形物の製造工程1〜5と同様の方法で、前記糞尿スラグをもとに形成させた濾材を、顆粒状に微粉砕して土壌に鋤込んで肥沃化させて正常な土壌蘇生を行い、前記有害成分含有の家畜糞尿スラグを無害化して有機エコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項6】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、海洋砂丘浸食被害場所に、海洋砂丘残渣砂と、前記請求項1〜5において形成させたスラグ濾材とを、所定の割合で混ぜ合わせて前記砂丘浸食場所に礫敷きして、高波による浸食被害個所の蘇生と防止を行い、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を礫養浜資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項7】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、第一工程として、生活排水や都市排水、工場排水等で利用する既設下水用排水溝に、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材を網目袋又は金網篭等に内包し、内包した前記袋又は篭を既設下水用排水溝内に沈設若しくは懸架し、排水構内の悪臭除去と、排水溝内に流入する汚染水の浄化を行い、前設有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を、既設下水用の排水溝流入汚染水除去資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項8】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、河川や池、湖沼や海洋等の汚染水域に、前記請求項1〜5において形成されたスラグ固形物と、製鋼工程で副産物として生成した鉄鋼スラグ及び高炉スラグの微粉末を水で混練し、水和反応によって固化形成して更に微粉砕したものと、土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当な大きさと形状の型枠に打込んでコンクリート濾材を形成させ、前記コンクリート固形物表面を半乾き時に水圧を加えて洗い出し、又はワイヤーブラシ等で掻き落し等の工法によって混練した濾材のみを外部に露出させ、水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用ブロック等に形成して、水源域の川上から最終流入域の川下の海洋に至るまでを連鎖的に使用して、淡水や海水、汽水域等の汚染被水に接触させることによって、汚染水域の浄化蘇生資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項9】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、歩道等を舗装するインターロッキングブロックや外装タイル等の路面材に、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、前記製綱スラグ又は水和固化体粉砕物と、前記土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えてインターロッキングブロックやタイル形状の型枠に打込んで路面材を形成させ、前記と同様に水圧で洗い出し、又は掻き落し工法等によって混練した濾材のみを外部に露出させた後、再び乾燥させた表面を研磨機等で研磨して平坦状に形成させ、通常のインターロッキングブロックや外装タイル舗装と同様の方法で歩道等の路面の舗装材として使用することによって舗装路面のヒートアイランドの減少効果と、舗装路面に冠水する汚染物質等の浄化資源として有効利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項10】
エコ資源スラグ有効利用システムにおいて、牛や豚等の家畜類の排泄糞尿のうち、排泄尿処理方法において、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材と、前記濾材の所定量を金網等による濾過装置に内包せしめて前記家畜類排泄尿の濾過を2〜3回行い、前記排泄尿中に含有の有害なBOD成分の低減化を図ることによって、通常実施される排泄物処理工程の簡素化と、無害の排泄尿の放流を可能とし、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を家畜類排泄尿含有のBOD成分除去資源として利用できるようにしたことを特徴とするエコ資源スラグ有効利用システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図27】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−147887(P2011−147887A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11636(P2010−11636)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【特許番号】特許第4576550号(P4576550)
【特許公報発行日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 特許法第30条第1項適用、鉄鋼(製鉄)スラグの釉薬機能性処理技術を用いた海洋浄化ろ材の実用化に関する事前検討試験結果報告書(平成21年10月28日)に発表
【出願人】(395015559)株式会社関東管財 (5)
【Fターム(参考)】