説明

エスカレーターの安全装置

【課題】全てのエスカレーターに適用可能であり、従来に比べて異常の検出精度が高いエスカレーター安全装置を提供する。
【解決手段】エスカレーター1の進行方向に沿って複数個配置された光電センサ111と、一定サンプリング間隔で複数センサ出力値を測定してエスカレーター上の各位置における遮光の有無を時系列の遮光パターンとして生成するパターン生成部112と、遮光パターンから乗客の歩行判定結果123a、混雑度判定結果125a、又は転倒状態判定結果126aを出力する乗客状態判断部120と、判定結果に基づいて乗客に警告を行う警告部113と、判定結果に基づいてエスカレーターの運転制御を行う制御部114とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーター上での人の歩行、走行、逆走、混雑度、転倒状態等を検知するエスカレーターの安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベア、つまりエスカレーターに搭乗する乗客の安全を確保するため、従来から種々の安全装置が提案されている。例えば、特許文献1では、以下のように構成される安全装置が開示されている。即ち、エスカレーターにおける搭乗デッキの上方天井部に監視カメラを設け、該監視カメラにてエスカレーターに乗り込む搭乗者の全体画像を撮影する。該搭乗者全体画像は、画像処理され、制御装置へ送られる。制御装置は、画像に基づいて、搭乗者数、搭乗者による危険行為等を判断し、該判断結果に基づき適切な搭乗案内内容を音声にて通知する。
【0003】
又、特許文献2では、エスカレーターにて乗客が転倒したときにエスカレーターを停止させる安全装置が開示されている。具体的には、エスカレーターの踏段の両側にある欄干の高位置及び低位置のそれぞれに、踏段の移動方向に向けて光電スイッチを配置する。該光電スイッチは、乗客の搭乗姿勢を検知する。そして、低位置の光電スイッチが乗客を検知しているにもかかわらず高位置の光電スイッチが乗客を検知しない状態が規定時間継続したときには、乗客が転倒していると判断し、エスカレーターを停止させるものである。
【特許文献1】特開平09−301664号公報
【特許文献2】特開2005−8326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、監視カメラをエスカレーター周辺の壁面等に取り付ける必要がある。よって、当該技術の適用の可否は、エスカレーター周辺の建物構造に依存する。したがって、特許文献1に開示される技術は、全てのエスカレーターに適用できないという問題がある。
【0005】
又、上記特許文献2に開示される技術は、光電スイッチにおける遮光の継続時間のみにより乗客の転倒を判断することから、誤検出が生じる場合も考えられる。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、エスカレーター周辺の建物構造に依存することなく全てのエスカレーターに適用可能であり、従来に比べて異常の検出精度が高いエスカレーター安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様におけるエスカレーターの安全装置は、無端状に連結された踏段を循環運転して乗客を輸送するエスカレーターの安全装置であって、複数のセンサと、パターン生成部と、乗客状態判断部と、警告部とを備えたことを特徴とする。上記複数のセンサは、上記踏段の運転方向に沿って配列され、上記踏段上の乗客を検知する。上記パターン生成部は、上記踏段の運転による乗客の移動に従い上記センサが送出する乗客検知出力を一定間隔にてサンプリングして時系列に並べて乗客の検出パターンを生成し記憶する。上記乗客状態判断部は、上記検出パターンから上記踏段の運転に対する乗客の移動状態を判断する。上記警告部は、乗客の上記移動状態の判断結果に基づいて乗客に警告を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1態様におけるエスカレーターの安全装置によれば、エスカレーターの乗客を検知するセンサの出力から乗客の検出パターンを時系列に求め、該検出パターンから踏段上の乗客の移動状態を判断し、該移動状態に基づいて乗客への警告を行うように構成した。したがって、上記第1態様におけるエスカレーターの安全装置は、上記センサが踏段の運転方向に沿って当該エスカレーターに配列されていることから、従来のように安全装置の取り付けの可否がエスカレーターの周辺の建物構造に依存するようなことはなく、全てのエスカレーターに対して適用可能である。又、センサの出力をそのまま直ちに乗客の移動状態の判断に利用するのではなく、センサの出力から時系列にてなる検出パターンを生成するようにしたことから、たとえ一つ若しくは数個のセンサにおいて検知ミスが発生したとしても、直ちに安全装置が作動してしまうことはなくなる。よって、異常の検出精度が高いエスカレーター安全装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態であるエスカレーターの安全装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0009】
実施の形態1.
図1は、上記実施形態におけるエスカレーター安全装置101の構成例を示している。ここで、エスカレーター1は、下階と上階との間に傾斜路が跨設され、無端状に連結された踏段1aを駆動源1bにて傾斜路に沿って循環運転し、踏段1aに乗った乗客を輸送する。又、踏段1aの両側には、欄干1cが立設されている。
【0010】
このような構成を有するエスカレーター1の安全装置101は、基本的構成部分として、センサ111と、パターン生成部112と、乗客状態判断部120と、警告部113とを備え、さらに制御部114を備えるのが好ましい。このような構成を有する安全装置101は、乗客の状態、例えば踏段1a上での歩行、走行、逆行、転倒、エスカレーター降り場付近での混雑度等に応じて適切な警告や、運転制御を行う装置である。以下に、エスカレーター安全装置101における上述の各構成部分について、詳しく説明する。
【0011】
センサ111は、例えば上記傾斜路部分では斜め上方である、踏段1aの運転方向1dに沿って配列され、踏段1a上の乗客を検知する。図1の例では、センサ111として光電センサを使用し、センサ111−1からセンサ111−NまでのN個の光電センサが、踏段1a上の乗客の脚部の下側部分に対応した位置に等間隔で一列にて配列されている。尚、図1の例では、乗り場1eから降り場1fまでの全区間にわたりセンサ111が配置されているが、全区間の内、特定区間のみにセンサ111を配置するように構成してもよい。
【0012】
図2は、エスカレーター1の乗り場1e付近を上から見た状態を示す。各光電センサ111は、投光部111aと受光部111bとの対で構成されており、踏段1aを挟んで運転方向1dに向かい一方側、例えば左側に投光部111aを、他方側、例えば右側に受光部111bを配置する。本例では、対となる投光部111a及び受光部111bは、両者間の光路111cが踏段1aの運転方向1dに対して直角方向となり、水平方向に平行となるように配置される。このような投光部111a及び受光部111bは、左右の欄干1c、左右のデッキ部分、又は左右のスカートガード部分に取り付けられている。乗客が光路111c上に存在するときには、光路111cが遮断されるので、受光部111bでの受光量が減少し、光電センサ111の出力値が変化する。よって、各光電センサ111の出力値から各光電センサ111の位置における遮光の有無、即ち乗客の有無を検出することができる。
【0013】
パターン生成部112は、踏段1aの運転による乗客の移動に従いセンサ111−1〜111−Nが送出する乗客検知出力を一定間隔にてサンプリングして時系列に並べることで、乗客の検出パターン200を生成し記憶する。本例では、センサ111に光電センサを使用しているので、上記乗客の検出パターン200は、それぞれのセンサ111の配置位置での遮光の有無を時系列で示した遮光パターンとなる。
【0014】
乗り場1eから降り場1fに向かい踏段1aが上昇運転しているエスカレーター1における上記遮光パターンを図3に視覚的に示す。図3では、横軸に時間、縦軸にセンサ111−1〜111−Nをとり、各光電センサ111にて遮光有りの場合を灰色、遮光無しの場合を白色とし、上記遮光パターンを視覚化した。図中の時刻t(k)、t(k+1)での表記のように、時間経過につれて遮光パターンが追加されていく。例えば、乗客が踏段1aを移動することなく踏段1aの運転速度にて移動する静止乗車している場合、その遮光パターンは、図3に符号201にて示すようなパターンとなる。
【0015】
尚、各光電センサ111の配置間隔によるが、乗客は、エスカレーターの進行方向1dに沿っていくらかの幅を有するため、同一時刻において隣接する複数の光電センサ111が同時に遮光される場合もある。その結果、遮光パターンは、いくらかの幅を有する帯状となる場合もある。尚、各踏段1aに一人ずつ乗客が乗っている満員の場合でも、各光電センサ111は、遮光と非遮光とが繰り返されることから、遮光パターンが生成されないということはない。
【0016】
又、静止乗車している乗客は、踏段1aによって下方から上方へと一定速度で運ばれるので、2次元画像として見ると、遮光パターン201は、一定の傾きθ1を有する帯状のパターンとして観測されることになる。
又、図3に示す遮光パターン202は、乗客が踏段1aを運転方向1dに歩いている場合の遮光パターンである。遮光パターン202における傾きθ2は、上記傾きθ1よりも大きくなる。
又、図3に示す遮光パターン203は、乗客が踏段1aを運転方向1dに走っている場合の遮光パターンである。遮光パターン203における傾きθ3は、上記傾きθ2よりも大きくなる。
又、図3に示す遮光パターン204は、乗客が踏段1aを運転方向1dとは逆向きに踏段1aの運転速度を超える速さで駆け下りている場合の遮光パターンである。
【0017】
このように本実施形態では、パターン生成部112を設け乗客の検出パターン200を生成し記憶するように構成したことから、仮に一つ又は数個のセンサ111にて検知ミスが発生した場合でも、該検知ミスが直ちに、例えばエスカレーターの停止等につながることはない。よって、本実施形態では、安定した検出精度で、異常検出精度の高いエスカレーター安全装置を提供することができる。
【0018】
乗客状態判断部120は、パターン生成部112にて生成された、上述の検出パターン200から踏段1aの運転に対する乗客の移動状態を判断する。即ち、上述した、例えば遮光パターン201〜204からでも明らかとなるように、検出パターン200を分析することで、運転方向1dに運転されている踏段1aに対する乗客の移動状態を判定することができる。ここで乗客の移動状態とは、上述した、静止乗車、歩行、走行、逆行の各状態、さらには、乗客の転倒状態や、エスカレーターの降り場1fにおける乗客の混雑度が相当する。
このような各種の乗客移動状態を判定するため、乗客状態判断部120は、以下に説明するような具体的構成を有する。
【0019】
まず、上述の、静止、歩行、走行、及び逆行の乗客移動状態を判定するための、乗客状態判断部120の構成について説明する。
この場合、乗客状態判断部120は、図1に示す、移動速度決定部121、歩行速度決定部122、及び歩行判定部123を有する。
【0020】
移動速度決定部121は、パターン生成部112にて生成され記憶された上記検出パターン200、本例では上記遮光パターンから乗客の移動速度を求める。ここでは一例として、図3に示す遮光パターン201から乗客の移動速度を算出する方法を述べる。まず、遮光パターン201の傾きθ1を求める。傾きを求める方法としては、例えば遮光パターン201について、二次元座標を有する点の集合とみなし、複数点を最小二乗法により直線近似することで傾きθ1を求めることができる。又、遮光パターン201を二値画像とみなしてスキュー角を変化させながらアフィン変換を行い、センサ111−1からセンサ111−Nへのセンサ番号方向に射影した標準偏差が最小となるスキュー角から傾きθ1を求めてもよい。即ち、二次元画像から傾きを求める方法は、公知の手法を用いればよい。
【0021】
以上より求めた傾きθ1(度)、運転方向1dにおいて隣接する光電センサ111の光軸間隔L(cm)、遮光パターンのサンプリング間隔T(秒)を用いると、乗客の移動速度V1は、以下の式により算出される。
移動速度V1(cm/秒)=(L×tanθ1)÷T
【0022】
歩行速度決定部122は、乗客の上記移動速度V1、及び踏段1aの運転速度V2(cm/秒)から乗客の歩行速度Vを求める。エスカレーター1の運転速度V2は、エスカレーターの運転条件に合わせて予め設定しておいてもよいし、踏段1aの運転速度を検出するセンサを設置して実際の運転速度を検出するように構成してもよい。歩行速度Vは、以下の式により算出することができる。但し、図3の例では、踏段1aの運転方向1dは上昇方向であり、その運転速度を正の値とする。
歩行速度V(cm/秒)=V1−V2
【0023】
歩行判定部123は、上記歩行速度Vから乗客の上記移動状態としての歩行、走行又は逆行を判断し、歩行判定結果123aとして警告部113へ出力する。具体的には、歩行判定部123は、歩行速度Vが予め決められた範囲であるか否かにて、上記移動状態を判定する。歩行速度Vが、例えば−10以上50未満ならば静止、50以上100未満ならば歩行、100以上ならば走行、−10未満ならば逆走、といったように判定する。
【0024】
このように、移動速度決定部121、歩行速度決定部122、及び歩行判定部123を有することで、複数の光電センサ111を用いて、乗客の歩行、走行、又は逆行を精度よく判定することができる。
【0025】
次に、乗客移動状態として、エスカレーターの降り場1fにおける乗客の混雑度を判定するための、乗客状態判断部120の構成について説明する。
この場合、乗客状態判断部120は、図1に示す、降踏段速度決定部124及び混雑度判定部125を有する。
【0026】
降踏段速度決定部124は、センサ111−1〜111−Nの内、当該エスカレーター1の降り場1f付近に配置されたセンサから得られる検出パターン200により、降り場1f付近における乗客の降踏段速度を求める。図4を用いて具体的に説明する。図4では、降り場1f付近のセンサ111−(N−6)からセンサ111−Nの7個のセンサから得られた遮光パターンの一例を示している。尚、降り場1fのコム(櫛)は、センサ111−(N−3)と、センサ111−(N−4)との境界に存在している。
【0027】
降り場1fが混雑していないとき、降り場1fでは乗客がスムーズに移動するため、図4にて符号211で示すように、コム通過前とコム通過後とで遮光パターンの傾きθ4は変化しない。ここで、傾きθ4は、例えば上記静止乗車における遮光パターンにおける傾きである。一方、降り場1fが混雑している場合には、降り場1fに人が滞留しているため、コム通過後における乗客の動きが遅くなる。よって、図内にて符号212で示すように、コム通過前における遮光パターンの傾きθ4に比べて、コム通過後における遮光パターンの傾きθ5が小さくなる傾向を示す。
【0028】
このような現象に基づいて、降踏段速度決定部124は、降り場1f付近に配置された複数のセンサ111から得られる、複数の乗客のコム通過後における遮光パターンの傾きの平均値を求め、上述した移動速度決定部121における算出方法と同様の方法にて、コム通過後の乗客の速度である降踏段速度の平均値124aを算出する。この降踏段速度の平均値124aは、降り場1fの混雑度を示す指標として用いることができる。
【0029】
混雑度判定部125は、移動速度決定部121にて求まる乗客の移動速度V1と、上記降踏段速度の平均値124aとの比較により、降り場1f付近における乗客の混雑度を判定する。具体的には、混雑度判定部125は、例えば、降踏段速度の平均値124aが予め設定したしきい値以下ならば混雑していると判定し、それ以外ならば正常であると判定する。判定結果は、混雑度判定結果125aとして、警告部113及び制御部114へ供給される。
【0030】
尚、本例では、上述のように上記降踏段速度を求めるために、便宜上、降り場1f付近における7個のセンサ111を利用したが、その個数が限定されないことはいうまでもない。よって、降踏段速度決定部124から混雑度判定部125へ供給される上記降踏段速度も平均値でない場合もある。
【0031】
このように、降踏段速度決定部124及び混雑度判定部125を有することで、降り場1fの混雑度を精度よく検出することができる。
【0032】
次に、乗客移動状態として、乗客の転倒状態を判定するための乗客状態判断部120の構成について説明する。
この場合、乗客状態判断部120は、図1に示す転倒判定部126を有する。
転倒判定部126は、パターン生成部112に記憶された検出パターン200、本例では遮光パターンから、規定数を超えるセンサ111にて規定時間を超えて連続して検知されたパターンである転倒パターンを判別した場合には、乗客が転倒状態にあると判断する。
【0033】
図5を用いて具体的に説明する。図5において、符号221は、乗客が転倒していない正常乗車時の遮光パターンを示し、符号222は、乗客が乗車中に転倒して降り場1fまで転倒状態が継続した場合の転倒パターンの一例を示している。転倒状態では、正常乗車時と比較して、踏段1aの運転方向1dにおいて乗客の体の占める幅が明らかに大きくなることから、転倒時の遮光パターンである転倒パターン222に示されるように、遮光幅231と遮光時間232とが増大する。該現象に基づいて、転倒判定部126は、パターン生成部112に記憶された遮光パターンにおいて、遮光幅231が予め設定された値以上であり、かつ遮光時間232が予め設定された値以上であるパターンが存在するときには、乗客の転倒状態と判定し、それ以外ならば正常乗車であると判定する。そして転倒判定部126は、転倒状態判定結果126aを警告部113及び制御部114へ送出する。
【0034】
このように転倒判定部126を設けることで、乗客の転倒状態を高精度に検出することができる。
【0035】
警告部113は、上述した、乗客の移動状態の判断結果に基づいて乗客に警告を行う部分である。即ち、警告部113は、乗客状態判断部120に備わる、歩行判定部123が送出する歩行判定結果123a、混雑度判定部125が送出する混雑度判定結果125a、及び転倒判定部126が送出する転倒状態判定結果126aの少なくとも一つに基づいて、警告信号113aをスピーカ130へ出力する。該スピーカ130は、エスカレーター1における、例えば欄干1cに設けられ、警告信号113aにて乗客に注意を促す音声を発する。又、乗客の移動状態の判断結果である、「歩行」、「走行」、「逆走」、「混雑」、「転倒状態」の乗客にとって危険な状態に応じて警告する内容を変えるように構成してもよい。さらに、警告部113は、警告信号113aをスピーカ130のみならず、例えば警告灯や、エスカレーター1の管理室等の、異常発生に関与する箇所へ送出することができる。
【0036】
又、センサ111−1からスピーカ130の設置位置よりも下方に設置されているセンサ111のみを用いて、上記移動速度V1及び歩行速度Vを検出するように構成した場合には、スピーカ130を乗客が通過する前に、乗客の歩行速度Vを検出することができる。そして、乗客の移動速度V1が一定であると仮定すれば、検出された移動速度V1から乗客がスピーカ130の直近を通過する時刻を予測することができる。よって、警告部113に、乗客の上記歩行速度Vから乗客が当該エスカレーター1における警告位置、本例ではスピーカ130の設置位置、を通過する時刻を予測し乗客が上記警告位置を通過したときに警告を行う予測部113bを設け、スピーカ130を通過する乗客のタイミングに合わせて警告アナウンスを行うように構成してもよい。
このように構成することで、多数の乗客が乗車している場合でも、特定乗客に対して適切な警告を行うことが可能となる。
【0037】
制御部114は、上記混雑度判定部125が送出する混雑度判定結果125a、及び上記転倒判定部126が送出する転倒状態判定結果126aの少なくとも一方に基づいて、エスカレーター1の運転を制御する。具体的には、混雑度判定部125にて、降り場1f付近での乗客の混雑が判断された場合には、制御部114は、制御信号114aをエスカレーター1の駆動源1bへ出力し、踏段1aの運転速度を遅くさせる。これにより、降り場1f付近での混雑による事故を未然に防止することができる。
【0038】
転倒判定部126にて、乗客の転倒状態が検出された場合、特に、降り場1f付近での転倒状態が検出された場合、転倒状態判定結果126aに基づいて制御部114は、制御信号114aをエスカレーター1の駆動源1bへ出力し、踏段1aの運転を停止させる。これにより、転倒した乗客が踏段1aと降り場1fとの間に挟まれるのを防止でき、及び転倒者以外の乗客に対する二次災害を防止することができる。
【0039】
尚、本実施形態では、センサ111として光電センサを用いた構成で説明を行ったが、光電センサの代わりに、超音波センサ又は電波センサを用いた場合でも上述と同様の効果が得られる。光電センサ111を用いた構成では、投光部111aと受光部111bとの対で構成されており、投光部111aと受光部111bは、それぞれ左右の欄干1c、左右のデッキ部分、又は左右のスカートガード部分に取り付けられていた。超音波センサ又は電波センサを用いた構成では、これに代わり、投光部111aを超音波又は電波の発信部とし、受光部111bを超音波又は電波の受信部とすればよい。
【0040】
又、光電センサ111を用いた構成では、乗客が光路111c上に存在することで光路111cが遮断されるので、受光部111bの受光量が減少してセンサ出力値が変化することを利用して乗客の有無を検出していた。超音波センサ又は電波センサを用いた構成では、これに代わり、発信部と受信部を直線で結んだ通信路が遮断されるので、受信部における超音波又は電波の受信量が減少してセンサ出力値が変化することを利用して乗客の有無を検出すればよい。
【0041】
又、図2に示したように、光電センサ111の投光部111aが運転方向1dに対して左側の欄干1c、デッキ部分、又はスカートガード部分に配置されており、受光部111bが運転方向1dに対して右側の欄干1c、デッキ部分、又はスカートガード部分に配置されていた。これとは逆に、投光部111aが運転方向1dに対して右側、受光部111bが運転方向1dに対して左側に配置されていてもよいことはいうまでもない。
【0042】
又、図6に示すように、光電センサ111の投光部111aと受光部111bとがともに、運転方向1dに対して同一側の欄干1c、デッキ部分、又はスカートガード部分に配置されていてもよい。該構成では、乗客が存在しないときには、光路111dのように光路長が長くなり、受光部111bの受光量は少ない。一方、乗客が存在するときには、光路111eのように光路長が短くなり、受光部111bの受光量は相対的に増す。当該構成では、このような現象を利用して、乗客の有無を検出するようにしてもよい。この場合、受光量が予め設定された値以上であった場合を遮光有りと読み変えることで、上述の実施形態における場合と同様の効果が得られる。
又、上述のように、光電センサに代えて、超音波センサ又は電波センサを用いてもよい。
【0043】
さらに又、図6に示す投光部111a及び受光部111bの代わりに、一般的な非接触式の距離センサを配置し、距離センサの測定値に応じて乗客の有無を検出するようにしてもよい。該構成では、乗客が存在しない場合には、距離センサの測定値が踏段幅にほぼ等しくなるが、乗客が存在する場合には測定値が踏段幅よりも小さくなることを利用する。又、距離センサの測定値が予め設定されたしきい値未満であった場合を上記遮光有りと読み変えれば、上述の実施形態の場合と同様の効果が得られる。さらに、距離センサの測定値が踏段幅の半分未満であった場合には、乗客は踏段1aの左側に乗車しているとみなし、距離センサの測定値が踏段幅の半分以上から踏段幅未満であった場合には、乗客は踏段1aの右側に乗車しているとみなして、左側及び右側のそれぞれの乗客に対応して、上述の実施形態で説明した処理を実行するように構成してもよい。
【0044】
実施の形態2.
図7には、本発明の実施の形態2によるエスカレーター安全装置102が示されている。実施の形態1によるエスカレーター安全装置101では、エスカレーター1の運転方向1dに沿って光電センサ111が乗客の脚部の下部に対応した下段にのみ一列に複数個配置されていた。これに対し、本実施の形態2によるエスカレーター安全装置102では、上記下段の光電センサに加えて、乗客の脚部の上部に対応した上段にも光電センサを配列している。以下に説明する構成を除いたその他の構成は、上述の実施形態1における構成と同じであり、ここでの説明は省略する。尚、センサ111として、実施形態1の場合と同様に本実施形態でも光電センサを例に採るが、上述のように、超音波センサや電波センサ等を用いることができる。
【0045】
図7に示す下段側センサ111−Lは、図1に示す光電センサ111−1〜111−Nに同じ構成である。図7に示す上段側センサ111−Uは、下段側センサ111−Lを構成する光電センサ111−1〜111−Nに対して、垂直方向に同列に位置するように、光電センサ111−U1〜111−UNのN個が一列に配列される。
【0046】
下段側センサ111−Lを構成する光電センサ111−1〜111−Nは、下段側パターン生成部112−Lに接続され、上段側センサ111−Uを構成する光電センサ111−U1〜111−UNは、上段側パターン生成部112−Uに接続される。下段側パターン生成部112−L及び上段側パターン生成部112−Uは、上述したパターン生成部112と同じ機能及び動作を有する。下段側パターン生成部112−L及び上段側パターン生成部112−Uは、乗客状態判断部150に備わる転倒判定部151に接続される。
【0047】
尚、実施形態2のエスカレーター安全装置102における乗客状態判断部150は、転倒判定部126を転倒判定部151に変更することを除き、実施形態1におけるエスカレーター安全装置101の乗客状態判断部120と同じ構成を有する。図7では図示を省略しているが、乗客状態判断部150に備わる移動速度決定部121及び降踏段速度決定部124には下段側パターン生成部112−Lが接続され、下段側パターン生成部112−Lから検出パターン200が供給される。
【0048】
転倒判定部151は、上述した転倒判定部126と基本的に同じ機能及び動作を行う部分であり、乗客の検出パターンとして、下段側パターン生成部112−Lから上記検出パターン200が供給されるのに加えて、上段側パターン生成部112−Uから検出パターン240が供給される。上述のように、実施形態2でもセンサ111として光電センサを利用していることから、検出パターン200、240は、実施形態1で説明した遮光パターンとなる。
【0049】
よって転倒判定部151は、上段側パターン生成部112−U及び下段側パターン生成部112−Lから供給されるそれぞれの遮光パターンにより乗客の転倒状態を判定する。具体的には、下段側パターン生成部112−Lから供給される遮光パターンにおいて、乗客の検知状態が規定数を超える光電センサにて規定時間を超えて連続して検知された下段側転倒パターンを判別し、かつ、上記下段側転倒パターンを検出した場所に対応して上段側パターン生成部112−Uから得られる遮光パターンにおいて、乗客の非検知状態が上記規定時間を超えて継続して検知された上段側転倒パターンを判別した場合に、乗客が転倒状態にあると判断する。
【0050】
つまり、転倒判定部151は、図8に示す下段側転倒パターン155のように、下段側パターン生成部112−Lから供給される遮光パターンにおける遮光幅231が予め設定された値以上であり、かつ遮光時間232が予め設定された値以上であって、かつ、図8に示す上段側転倒パターン156のように、上段側パターン生成部112−Uから供給される遮光パターンにおいて、下段側転倒パターン155が発生したのと同時刻又はほぼ同時刻から遮光無し状態であった場合に、乗客の転倒状態と判定する。尚、図8に示すような遮光パターン以外の場合には、転倒判定部151は、正常な乗車であると判定する。
このような判定結果に従い、転倒判定部151は、転倒状態判定結果151aを警告部113及び制御部114へ送出する。そして警告部113及び制御部114は、上記転倒状態判定結果126aが供給された場合と同様の処理を実行する。
【0051】
以上のように構成される実施形態2のエスカレーター安全装置102によれば、以下のような効果が得られる。
即ち、実施の形態1では、例えば大きな鞄を踏段1aに置いた場合や、乗客が密集して乗車した場合には、光電センサ111の遮光幅231及び遮光時間232が予め設定した値以上となり、転倒判定部126は、乗客の転倒状態と誤検出する場合が考えられる。これに対し、本実施の形態2では、このようなケースの場合、上記下段側転倒パターン155が発生している期間、これに対応する上段側センサ111−Uから得られる遮光パターンは遮光有り、つまり乗客が起立している状態を示すことから、転倒状態と誤検出することはない。又、実際に乗客が転倒した場合には、乗客の体は、上段側センサ111−Uよりも低く位置し、又、そのような位置に上段側センサ111−Uは設置されることから、上記上段側転倒パターン156が出現する。よって、乗客の転倒状態が正しく検出される。このように、実施形態2のエスカレーター安全装置102は、実施の形態1の構成よりも、異常検出精度をより向上させることができる。
【0052】
尚、実施の形態1で述べた変形例の内容は、この実施の形態2におけるエスカレーター安全装置102にも適用される。
【0053】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3によるエスカレーター安全装置103を示している。エスカレーター安全装置103は、図1に示す実施形態1のエスカレーター安全装置101と比較して、新たに乗車位置検出部160を設けている。乗車位置検出部160には、光電センサ111−1〜111−Nがそれぞれ接続されており、乗車位置検出部160は、運転方向1dにおいて隣接する2対の投光部及び受光部にて合計4つの光路の遮光を検出する。乗車位置検出部160の出力は、上述したパターン生成部112及び警告部113の少なくとも一方に接続されている。
【0054】
尚、このように構成される乗車位置検出部160以外の、実施の形態3によるエスカレーター安全装置103における構成は、実施の形態1におけるエスカレーター安全装置101の構成に同じである。
又、センサ111として、実施形態1の場合と同様に本実施形態でも光電センサを例に採るが、上述のように、超音波センサや電波センサ等を用いることができる。
【0055】
実施の形態1及び実施の形態2では、図2に示すように、各々の光電センサ111において、対をなす投光部111a及び受光部111bは、他の対となる投光部111a及び受光部111bとは独立しており、各対において光路111cを1本ずつとして構成している。これに対し本実施形態3のエスカレーター安全装置103では、図10に示すように、少なくとも二対の光電センサの投光部と受光部とが互いに光路を形成して遮光検知し、踏段1a上の乗客の位置を検知する構成となっている。
【0056】
乗車位置検出部160が踏段1a上の乗客の位置を検知する構成について、二対の光電センサを例に採り具体的に説明する。
図10に示すように、運転方向1dにおいて隣接する二対の、投光部161Aと受光部161B、及び、投光部162Aと受光部162Bにおいて、投光部161Aから発した光は、受光部161B及び受光部162Bにて受光され、投光部162Aから発した光は、受光部162B及び受光部161Bにて受光されるように構成される。よって、これら二対の投、受光部にて形成される光路は、投光部161Aから受光部161Bへの光路Pと、投光部161Aから受光部162Bへの光路Qと、投光部162Aから受光部161Bへの光路Rと、投光部162Aから受光部162Bへの光路Sとの4本となる。ここで、光路Q及び光路Rは、踏段1aの幅方向、つまり運転方向1dに直角な方向において、踏段1aの中央部にて交差する。よって、乗車位置検出部160は、光路P,Q,R,Sの各遮光の有無を検出する。
【0057】
乗車位置検出部160は、以下のように検出動作を行う。
踏段1aが運転方向1dに沿って、図10の下から上に向かって運転されている場合、乗客は、図10の下から上に向かって移動することになる。このとき、乗客が踏段1aの左側に乗車している場合の遮光順序を時系列で見ると、光路P→Q→R→Sの順となる。一方、乗客が踏段1aの右側に乗車している場合には、遮光順序は、光路P→R→Q→Sの順となる。よって、乗車位置検出部160は、隣接する2対の投、受光部からの遮光順序を時系列的に調べることにより、乗客が踏段1aの左側又は右側に乗車しているのかを検出することができる。
尚、図10の上から下に向かって踏段1aが運転している場合でも、同様の考え方にて、乗車位置検出部160は、乗客の左右位置を検出できることはいうまでもない。
【0058】
乗車位置検出部160を有する本実施形態3のエスカレーター安全装置103によれば、以下のような効果が得られる。
即ち、乗車位置検出部160にて得られた、踏段1aにおける乗客の位置情報160aは、パターン生成部112へ供給される。よって、パターン生成部112は、踏段1a上の左側の乗客と、右側の乗客とを分離して、各々について遮光パターンを生成することが可能となる。即ち、例えば、踏段1a上の右側と左側とで、乗客がそれぞれ異なる速度で移動し、実施形態1の構成では、パターン生成部112から送出される遮光パターンが重なりあうような場合でも、本実施形態3によれば、左右の乗客の遮光パターンを容易に分離することができる。よって、移動速度決定部121において、各々の乗客の移動速度V1を、実施形態1の場合に比してより高い精度で求めることができる。
【0059】
又、上記位置情報160aを警告部113へ供給することで、警告部113は、乗客の左右の乗車位置に応じて警告アナウンスを変更したり、スピーカ130を左右に設置し、乗客の乗車位置に応じて発声するスピーカ130を切り替えたりすることもできる。したがって、多数の乗客が乗車している場合でも、特定の乗客に対して適切な警告を行うことが可能となる。
【0060】
尚、実施の形態1で述べた変形例の内容は、この実施の形態3におけるエスカレーター安全装置103にも適用される。
【0061】
又、上述した各実施形態、及び変形例について、適宜、組み合わせてエスカレーター安全装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1によるエスカレーター安全装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すエスカレーターの乗り場を上から見た図である。
【図3】図1に示すパターン生成部にて生成される遮光パターンを説明するための図である。
【図4】図1に示す降踏段速度決定部の動作を説明するための図である。
【図5】図1に示す転倒判定部の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示すエスカレーター安全装置の変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2によるエスカレーター安全装置の構成を示す図である。
【図8】図7に示す転倒判定部の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態3によるエスカレーター安全装置の構成を示す図である。
【図10】図9に示す乗車位置検出部の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
1 エスカレーター、 1a 踏段、 1f 降り場、
101〜103 エスカレーター安全装置、
111 センサ、 111−U 上段側センサ、 111−L 下段側センサ、
112 パターン生成部、 112−U 上段側パターン生成部、
112−L 下段側パターン生成部、 113 警告部、 113b 予測部、
114 制御部、 120 乗客状態判断部、 121 移動速度決定部、
122 歩行速度決定部、 123 歩行判定部、 124 降踏段速度決定部、
125 混雑度判定部、 126 転倒判定部、 151 転倒判定部、
155 下段側転倒パターン、 156 上段側転倒パターン、
160 乗車位置検出部、 222 転倒パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結された踏段を循環運転して乗客を輸送するエスカレーターの安全装置において、
上記踏段の運転方向に沿って配列され、上記踏段上の乗客を検知する複数のセンサと、
上記踏段の運転による乗客の移動に従い上記センサが送出する乗客検知出力を一定間隔にてサンプリングして時系列に並べて乗客の検出パターンを生成し記憶するパターン生成部と、
上記検出パターンから上記踏段の運転に対する乗客の移動状態を判断する乗客状態判断部と、
乗客の上記移動状態の判断結果に基づいて乗客に警告を行う警告部と、
を備えたことを特徴とするエスカレーターの安全装置。
【請求項2】
上記乗客状態判断部は、
上記検出パターンから乗客の移動速度を求める移動速度決定部と、
乗客の上記移動速度及び上記踏段の運転速度から乗客の歩行速度を求める歩行速度決定部と、
上記歩行速度から乗客の上記移動状態としての歩行、走行又は逆行を判断する歩行判定部とを備え、上記警告部は、上記歩行判定部の判断結果に基づいて乗客に警告を行う、請求項1記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項3】
上記乗客状態判断部は、さらに、
上記センサの内、当該エスカレーターの降り場付近に配置されたセンサから得られる上記検出パターンにより、上記降り場付近における乗客の降踏段速度を求める降踏段速度決定部と、
乗客の上記移動速度と上記降踏段速度との比較により上記降り場付近における乗客の混雑度を判定する混雑度判定部とを備え、上記警告部は、上記混雑度判定部の判定結果によっても乗客に警告を行う、請求項2記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項4】
上記混雑度判定部に接続され、上記降り場付近において乗客が混雑していると判定されたときには上記踏段の運転速度を遅くする制御部をさらに備えた、請求項3記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項5】
上記乗客状態判断部は、
上記検出パターンにおいて、乗客の検知状態が規定数を超える上記センサにて規定時間を超えて連続して検知されたパターンである転倒パターンを判別した場合には、乗客が転倒状態にあると判断する転倒判定部を備える、請求項1記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項6】
上記センサは、垂直方向に沿って上下2段に配列され、上記パターン生成部は、上段に配列された上段側センサに接続される上段側パターン生成部及び下段に配列された下段側センサに接続される下段側パターン生成部を有し、
上記乗客状態判断部は、
上記下段側パターン生成部から得られる検出パターンにおいて、乗客の検知状態が規定数を超える上記センサにて規定時間を超えて連続して検知された下段側転倒パターンを判別し、かつ、上記下段側転倒パターンを検出した場所に対応して上記上段側パターン生成部から得られる検出パターンにおいて、乗客の非検知状態が上記規定時間を超えて継続して検知された上段側転倒パターンを判別した場合に、乗客が転倒状態にあると判断する転倒判定部を備える、請求項1記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項7】
上記転倒判定部に接続され、乗客の転倒状態が当該エスカレーターの降り場付近にて検出された場合には、上記踏段の運転を停止させる制御部をさらに備えた、請求項5又は6記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項8】
上記警告部は、乗客の上記歩行速度から乗客が当該エスカレーターにおける警告位置を通過する時刻を予測し乗客が上記警告位置を通過したときに警告を行う予測部を有する、請求項2又は3記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項9】
上記センサは、光電センサ、超音波センサ、及び電波センサのいずれかである、請求項1から8のいずれか1項に記載のエスカレーターの安全装置。
【請求項10】
上記センサは光電センサにてなり、踏段の上記運転方向に沿って配置された近接する二対の光電センサの投光部と受光部とが、上記踏段の幅方向における中央付近で交差する二本の光路を形成して遮光検知可能に構成され、乗客が上記二本の光路を遮光する順序から踏段上の乗客の左右乗車位置を検出する乗車位置検出部をさらに備える、請求項1から8のいずれか1項に記載のエスカレーターの安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−67533(P2009−67533A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238012(P2007−238012)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】