エスカレーターの手摺ベルト
【課題】 手摺ベルトの表面に広幅の粘着シートを貼付けたものにおいて，この粘着シートの端部が乗客のいたずらではがされないような構成としたエスカレーター用手摺ベルトを提供する。
【解決手段】 手摺ベルト５表面の平坦部５Ａと両縁部５Ｂにかけて略Ｃ字形に広幅で長尺の第１の粘着シート６Ａを設ける一方，この第１の粘着シート６Ａの端部と両縁部５Ｂの一部にかけて狭幅で長尺の第２の粘着シート６Ｂを貼付けて設ける構成とした。
【解決手段】 手摺ベルト５表面の平坦部５Ａと両縁部５Ｂにかけて略Ｃ字形に広幅で長尺の第１の粘着シート６Ａを設ける一方，この第１の粘着シート６Ａの端部と両縁部５Ｂの一部にかけて狭幅で長尺の第２の粘着シート６Ｂを貼付けて設ける構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は，移動する踏段が傾斜路あるいは水平路を形成して乗客輸送を行うエスカレーターの手摺ベルトの構成に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来においてエスカレーターの手摺ベルト表面に広幅の粘着シートを貼付けて方向表示や広告宣伝を行う構成は，たとえば特許文献１に開示されているように，本発明者によって既に提案されている。
【特許文献１】特開２００６−３４７７６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記特許文献１に記載の手摺ベルトの構成は，それの出願日から今日に至るまで，
１）乗客による，粘着シートの端部（手摺ベルト両縁部）に対しての「はがし行為（い たずら）」により，めくれやはがれが間々発生する。
２）その際，粘着シートは広幅であるが故にエスカレーターの安全装置を動作させ，転 倒事故の原因となる停止事象を発生させる。
という問題があった。
【０００４】
本発明は，前述した従来技術における実状からなされたもので，その目的は、特に手摺ベルト表面に設けた粘着シートに対してのいたずらによるめくれやはがれを防止するに好適な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的を達成するために，本発明は，往路から復路にかけて反転して移動し，表面が平坦部と両縁部で形成される断面略Ｃ字形の手摺ベルトを備えたエスカレーターにおいて，前記手摺ベルトの平坦部と両縁部を被う広幅の第１の粘着シートと，この第１の粘着シートの端部と前記両縁部の一部を被うように貼付けられた狭幅の第２の粘着シートを設けたことを特徴としたものである。
【０００６】
このように構成した本発明では，いたずらによってはがされやすい広幅な第１の粘着シートの端部が狭幅な第２の粘着シートによって被われて保護されるために，めくれやはがれることがなくなる（たとえ，第２の粘着シートの端部がはがされても狭幅であるが故に安全装置を動作させる可能性は低いと言える）。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば，手摺ベルト表面に粘着シートを設けたことによる急停止等，乗客の危険に関わる要素を排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下，本発明に係るエスカレーター用手摺ベルトの一実施の形態を図１〜図３に基づいて説明する。
【０００９】
一般のエスカレーター１は上階床２Ａと下階床２Ｂに装架される主フレーム３と，無端状に連結されて往路から復路にかけて反転して移動する多数の踏段４と，この踏段４の両側に左右一対で設けられ踏段４と同期して反転移動する手摺ベルト５があり，この手摺ベルト５は，その断面形状が平坦部５Ａとこれに連なる両側の両縁部５Ｂとで略Ｃ字形をなす形状となっている。そして，手摺ベルト５の平坦部５Ａ（幅Ｗ１）と両縁部５Ｂ相当部に方向表示マーク６ａを付した広幅で長尺の第１の粘着シート６Ａが両縁部５Ｂの半分位までの位置に貼付けられている。
【００１０】
前記手摺ベルト５は，駆動歯車７の動力をチェーン８を介して駆動ローラ９等に伝達された動力によって摩擦駆動されるもので，復路を案内ローラ１０，往路を欄干１１に案内され反転部１１Ａ，１１Ｂを折り返して移動する構成となっている。
【００１１】
また，第１の粘着シート６Ａの詳細は，それ自体に方向表示マーク６ａ（図２の右側にのみ図示した）を印刷によって設けるか，あるいは手摺ベルト５の表面に直接付与した方向表示マークである場合は，その表示マークの保護被膜として機能させるものであるが，いずれの場合も方向表示マーク６ａによって手摺ベルト５の回転方向や速度感を乗客の視覚に訴えて認知させ，その効果によって逆乗込みや転倒事故を防止する役目を狙っている。また，方向表示マーク６ａは手摺ベルト５の反転部の半円周範囲Ｈ（図１，図２）内に少なくても１個存在する一定間隔をもって複数個配置されており，いま乗り込まんとする利用者（乗客）がエスカレーター１を見ると正面方向に表示される形となって視認効果をより高める配置となっている。
【００１２】
さらに，本発明の主対象である狭幅の第２の粘着シート６Ｂは，前記第１の粘着シート６Ａの端部付近と両縁部５Ｂの一部に貼付けられる狭幅の長尺材であり，その主目的は前記端部付近を覆い隠すことによって，そこを爪先ではがすようないたずらを防止する役目を狙っている。なお，発明者が試行を重ねた結果では幅が２０ｍｍ程度で，前記端部付近への重なりが半分，両縁部５Ｂへの重なりが半分程度に貼付けるのが良く，材質的には［３Ｍ社：オーバーラミネートフィルム（板厚０．２ｍｍ程度）］が寿命的に最適と判断している。
【００１３】
ここで，第１の粘着シート６Ａは広幅であるが故に手摺ベルト５の移動路に存在する安全装置を動作させることと，その危険性について前述したが，狭幅である第２の粘着シート６Ｂはたとえいたずらによってはがされたとしても前述のような不具合は生じにくい。
また，エスカレーター１に乗る時間は秒あるいは分単位の短時間であるため第２の粘着シート６Ｂをはがし，次に第１の粘着シート６Ａをはがす行為にまでは至らないものと判断される。
【００１４】
以上説明したように，本実施形態によれば，従来方式に比べて急停止事象の大幅低減と方向表示あるいは広告効果面でマイナス要因（第２の粘着シート６Ｂは狭幅であって平坦部５Ａの邪魔にならない）のないエスカレーター用手摺ベルトを提供することができる。
【００１５】
なお，上記実施の形態は，一般のエスカレーターを一例に説明したが，隣接踏段に段差のない動く歩道と通称されるエスカレーターにもそのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明によるエスカレーター用手摺ベルトの一実施の形態を示す全体側面図。
【図２】図１のＸ−Ｘ線に沿う断面図。
【図３】図２のＹ−Ｙ線に沿う断面図。
【符号の説明】
【００１７】
１…エスカレーター，５…手摺ベルト，５Ａ…平坦部，５Ｂ…両縁部，６Ａ…第１の粘着シート，６Ｂ…第２の粘着シート
【技術分野】
【０００１】
本発明は，移動する踏段が傾斜路あるいは水平路を形成して乗客輸送を行うエスカレーターの手摺ベルトの構成に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来においてエスカレーターの手摺ベルト表面に広幅の粘着シートを貼付けて方向表示や広告宣伝を行う構成は，たとえば特許文献１に開示されているように，本発明者によって既に提案されている。
【特許文献１】特開２００６−３４７７６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記特許文献１に記載の手摺ベルトの構成は，それの出願日から今日に至るまで，
１）乗客による，粘着シートの端部（手摺ベルト両縁部）に対しての「はがし行為（い たずら）」により，めくれやはがれが間々発生する。
２）その際，粘着シートは広幅であるが故にエスカレーターの安全装置を動作させ，転 倒事故の原因となる停止事象を発生させる。
という問題があった。
【０００４】
本発明は，前述した従来技術における実状からなされたもので，その目的は、特に手摺ベルト表面に設けた粘着シートに対してのいたずらによるめくれやはがれを防止するに好適な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的を達成するために，本発明は，往路から復路にかけて反転して移動し，表面が平坦部と両縁部で形成される断面略Ｃ字形の手摺ベルトを備えたエスカレーターにおいて，前記手摺ベルトの平坦部と両縁部を被う広幅の第１の粘着シートと，この第１の粘着シートの端部と前記両縁部の一部を被うように貼付けられた狭幅の第２の粘着シートを設けたことを特徴としたものである。
【０００６】
このように構成した本発明では，いたずらによってはがされやすい広幅な第１の粘着シートの端部が狭幅な第２の粘着シートによって被われて保護されるために，めくれやはがれることがなくなる（たとえ，第２の粘着シートの端部がはがされても狭幅であるが故に安全装置を動作させる可能性は低いと言える）。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば，手摺ベルト表面に粘着シートを設けたことによる急停止等，乗客の危険に関わる要素を排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下，本発明に係るエスカレーター用手摺ベルトの一実施の形態を図１〜図３に基づいて説明する。
【０００９】
一般のエスカレーター１は上階床２Ａと下階床２Ｂに装架される主フレーム３と，無端状に連結されて往路から復路にかけて反転して移動する多数の踏段４と，この踏段４の両側に左右一対で設けられ踏段４と同期して反転移動する手摺ベルト５があり，この手摺ベルト５は，その断面形状が平坦部５Ａとこれに連なる両側の両縁部５Ｂとで略Ｃ字形をなす形状となっている。そして，手摺ベルト５の平坦部５Ａ（幅Ｗ１）と両縁部５Ｂ相当部に方向表示マーク６ａを付した広幅で長尺の第１の粘着シート６Ａが両縁部５Ｂの半分位までの位置に貼付けられている。
【００１０】
前記手摺ベルト５は，駆動歯車７の動力をチェーン８を介して駆動ローラ９等に伝達された動力によって摩擦駆動されるもので，復路を案内ローラ１０，往路を欄干１１に案内され反転部１１Ａ，１１Ｂを折り返して移動する構成となっている。
【００１１】
また，第１の粘着シート６Ａの詳細は，それ自体に方向表示マーク６ａ（図２の右側にのみ図示した）を印刷によって設けるか，あるいは手摺ベルト５の表面に直接付与した方向表示マークである場合は，その表示マークの保護被膜として機能させるものであるが，いずれの場合も方向表示マーク６ａによって手摺ベルト５の回転方向や速度感を乗客の視覚に訴えて認知させ，その効果によって逆乗込みや転倒事故を防止する役目を狙っている。また，方向表示マーク６ａは手摺ベルト５の反転部の半円周範囲Ｈ（図１，図２）内に少なくても１個存在する一定間隔をもって複数個配置されており，いま乗り込まんとする利用者（乗客）がエスカレーター１を見ると正面方向に表示される形となって視認効果をより高める配置となっている。
【００１２】
さらに，本発明の主対象である狭幅の第２の粘着シート６Ｂは，前記第１の粘着シート６Ａの端部付近と両縁部５Ｂの一部に貼付けられる狭幅の長尺材であり，その主目的は前記端部付近を覆い隠すことによって，そこを爪先ではがすようないたずらを防止する役目を狙っている。なお，発明者が試行を重ねた結果では幅が２０ｍｍ程度で，前記端部付近への重なりが半分，両縁部５Ｂへの重なりが半分程度に貼付けるのが良く，材質的には［３Ｍ社：オーバーラミネートフィルム（板厚０．２ｍｍ程度）］が寿命的に最適と判断している。
【００１３】
ここで，第１の粘着シート６Ａは広幅であるが故に手摺ベルト５の移動路に存在する安全装置を動作させることと，その危険性について前述したが，狭幅である第２の粘着シート６Ｂはたとえいたずらによってはがされたとしても前述のような不具合は生じにくい。
また，エスカレーター１に乗る時間は秒あるいは分単位の短時間であるため第２の粘着シート６Ｂをはがし，次に第１の粘着シート６Ａをはがす行為にまでは至らないものと判断される。
【００１４】
以上説明したように，本実施形態によれば，従来方式に比べて急停止事象の大幅低減と方向表示あるいは広告効果面でマイナス要因（第２の粘着シート６Ｂは狭幅であって平坦部５Ａの邪魔にならない）のないエスカレーター用手摺ベルトを提供することができる。
【００１５】
なお，上記実施の形態は，一般のエスカレーターを一例に説明したが，隣接踏段に段差のない動く歩道と通称されるエスカレーターにもそのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明によるエスカレーター用手摺ベルトの一実施の形態を示す全体側面図。
【図２】図１のＸ−Ｘ線に沿う断面図。
【図３】図２のＹ−Ｙ線に沿う断面図。
【符号の説明】
【００１７】
１…エスカレーター，５…手摺ベルト，５Ａ…平坦部，５Ｂ…両縁部，６Ａ…第１の粘着シート，６Ｂ…第２の粘着シート
【特許請求の範囲】
【請求項１】
往路から復路にかけて反転して移動し，表面が平坦部と両縁部で形成される断面略Ｃ字形の手摺ベルトを備えたエスカレーターにおいて，前記手摺ベルトの平坦部と両縁部を被う広幅の第１の粘着シートと，この第１の粘着シートの端部と前記両縁部の一部を被うように貼付けられた狭幅の第２の粘着シートを設けたことを特徴とするエスカレーターの手摺ベルト。
【請求項１】
往路から復路にかけて反転して移動し，表面が平坦部と両縁部で形成される断面略Ｃ字形の手摺ベルトを備えたエスカレーターにおいて，前記手摺ベルトの平坦部と両縁部を被う広幅の第１の粘着シートと，この第１の粘着シートの端部と前記両縁部の一部を被うように貼付けられた狭幅の第２の粘着シートを設けたことを特徴とするエスカレーターの手摺ベルト。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１０−２４１５９１（Ｐ２０１０−２４１５９１Ａ）
【公開日】平成２２年１０月２８日（２０１０．１０．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１０４５０８（Ｐ２００９−１０４５０８）
【出願日】平成２１年４月２日（２００９．４．２）
【出願人】（５０４１６１４７８）エーディ株式会社 (27)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月２８日（２０１０．１０．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年４月２日（２００９．４．２）
【出願人】（５０４１６１４７８）エーディ株式会社 (27)
【Ｆターム（参考）】
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