説明

エストロゲン−シクロデキストリン複合体の組成物

【課題】本発明は、女性用避妊、ホルモン置換療法又はアクネ又はPMDD(月経前機能不全疾患)の処理のための薬剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、排卵を阻害するための毎日の単位投与量剤形であって、i)超微粉化されたドロスピレノン及びエチニルエストラジオールとシクロデキストリンとの間の複合体、ここで、ドロスピレノンは、2mg〜4mgの量で存在し、エチニルエストラジオールは、0.01mg〜0.05mgの量で存在する;及びii)1又は複数の賦形剤を含む前記単位投与量剤形を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エストロゲンに対して非常に高い化学安定性を付与するシクロデキストリン−エストロゲン複合体を含んで成る医薬組成物及び配合物に関する。本発明は、貯蔵に基づいて、シクロデキストリン−エストロゲン複合体の改良された物理的安定性及びエストロゲン、例えばエチニルエストラジオールの化学的安定性を可能にする。
【背景技術】
【0002】
従来の医薬生成物におけるエストロゲン、例えばエチニルエストラジオールの分解は、生成物貯蔵寿命に関して最も決定的な論点の1つである。エストロゲン安定化は、密封した容器における生成物パッケージングにより、又はより効果的には、本発明におけるように、医薬組成物の実際的な安定化により達成され得る。
【0003】
天然において又は合成的に誘導体化された性ホルモンを含んで成る医薬生成物はしばしば、低用量のそれらの活性成分から成る。少量の、しばしば0.1μg〜500μgの活性成分が単一投与量当たり必要とされる場合、1つのバッチ内で又はバッチ間で変動しない確実に一定した量の活性成分を有する単位投与量の配合物を製造することは、問題がある。従って、健康に関する権威者により示されるような含有物均等性の必要条件は満たされ得ない。
【0004】
さらに、それらの少量の活性成分の分解は、低投与量配合物における活性成分の変動に対する追加の誘因である。
一般的に、不安定な活性成分を含んで成るそれらの低用量配合物は、それらの調製、貯蔵及び使用に関して問題があり、そしてそのような配合物の安定化のための手段を提供する必要性が存在する。
【0005】
シクロデキストリンとエストロゲンとの複合体化は、安定性、溶解性又は生物利用性を改良するために広く使用される。例えば、EP0349091号は、鼻腔内投与のために17−β―エストラジオールとジメチル−β−シクロデキストリンとの間の複合体を含む組成物を開示する。Fridriksdottirなど.(DiePharmazie,vol.51,1996,pages39―42)は、舌下適用を改良するために水溶液における溶解性を改良するためにシクロデキストリンと17−β−エストラジオールとの間の複合体を記載する。
【0006】
改良された溶解性はまた、α−、β−及びγ−シクロデキストリンと、エストステロン、プロゲステロン及びエストラジオールとそれらの誘導体との複合体を言及するアメリカ特許第4,596,795号の焦点である。アメリカ特許第4,383,992号は、ストロイド化合物、例えばエストロゲンとβ−シクロデキストリンとを複合体化することによって形成される水溶性封入化合物を開示する。
【0007】
さらに、アメリカ特許第5,798,338号は、17−α−エチニルエストラジオールの酸化分解がβ−シクロデキストリンと17−α−エチニルエストラジオールとの間でのキレート(複合体)の形成に基づいて低められることを開示する。
【0008】
しかしながら、エストロゲンとシクロデキストリンとの複合体化が、溶解性、生物利用性及び安定性に関しての決定的な論点を解決することができるが、活性剤、例えばエストロゲンとシクロデキストリンとの間での複合体が医薬生成物への使用のために適切である前に解決すべきさらなる追加の問題が存在する。すなわち、その複合体は、特に水との接触に基づいて、遊離エストロゲン及びシクロデキストリンに解離する傾向がある。シクロデキストリン−エストロゲン複合体の物理的安定性の欠失は、製造工程の間、特に粒質化の間、例えば水性媒体への暴露のために、組成物に存在する有意な量の遊離エストロゲンをもたらす。結果として、組成物の寿命は、遊離エストロゲンの分解のために低められ得る。
【0009】
さらに、エストロゲンとシクロデキストリンとを複合体化することによって得られる意図される、改良された生成物利用性は、シクロデキストリン−エストロゲン複合体の物理的安定性の欠失、及び遊離エストロゲンの化学的不安定性のために達成されない。
【0010】
シクロデキストロンとエストロゲンとの間の複合体を含んで成る組成物を安定化するために種々の試みが行われて来た。例えば、組成物は複合体自体を安定化することによって安定化され得る。従って、アメリカ特許4,727,064号は、非晶形の複合体の使用に基づいての複合体の安定化を試みる。他方では、複合体は、Loftssonなど.(Int.J.Pharmaceutics,vol.110,1994,pp.169―177)により開示されるように、安定化され、そしてそれらの溶解性が、複合体化に基づいて反応媒体へのポリマーの添加に基づいて上昇した。EP0579435号はまた、エストラジオールとシクロデキストリンとの間での複合体を開示し、ここで反応媒体へのポリマーの添加が複合体の安定定数を高める。
【0011】
組成物はまた、WO00/21570号に開示されるように、複合体の製造工程における粒質化段階の回避に基づいて安定化され得る。
複合体及び遊離エストロゲンの両者の安定性を改良する、シクロデキストリン及びエストロゲンの物理的に安定した複合体の調製方法、及び組成物のための必要性が当業界において存在する。さらに、物理的に安定したシクロデキストリン−エストロゲン複合体を可能にする、粒質配合物についての必要性が当業界において存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要約
本発明の目的は、エストロゲンを含んで成る安定し、且つ均質の医薬生成物を提供することであり、ここでエストロゲンの安定性は、複合体化されたエストロゲン又はシクロデキストリンとエストロゲンとの間の敏感な複合体を有する従来の生成物の安定性により有意に改良される。従来の生成物におけるエストロゲン、例えばエチニルエストラジオールの分解は、生成物の貯蔵寿命に関して最も決定的な論点の1つである。
エストロゲンの改良された安定性が、シクロデキストリンによるエストロゲンの複合体化、賦形剤の賢明な選択、及び/又は製造工程の適切な適応により達成されることが驚くべきには見出された。従って、エストロゲン含有生成物の貯蔵寿命は改良される。
【0013】
従って、本発明の重要な観点は、粒質化により製造されるにもかかわらず安定している、エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体を含んで成る配合物及び組成物に関する。すなわち、本発明は、第1の観点においては、20℃〜40℃の温度で決定される場合、多くても60%の相対湿度を有する粒質調製物である、エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体を含んで成る配合物に関する。
【0014】
さらなる観点においては、本発明は、i)エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体;及びii)1又は複数の賦形剤を含んで成り、前記エストロゲンが40℃及び75%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵の後、前記エストロゲンの初期含有率に対して少なくとも85%(w/w)の量で存在するような安定性を有する組成物に関する。その適切な態様においては、前記組成物は、前記複合体を含んで成る粒質調製物を含んで成る。さらなる適切な態様においては、組成物は、錠剤又は同等の単位投与形に直接的に圧縮される。
【0015】
従って、これまでの発見とは異なった、粒質調製物にエステロゲン−シクロデキストロンを含んで成る安定した組成物を得ることが可能である。
本発明の組成物は、薬剤として使用され得る。従って、女性用避妊のための薬剤の調製、ホルモン置換療法、又はアクネ又はPMDD(月経前機能不全疾患)の処理のためへの前記組成物の使用が、本発明のさらなる観点である。
【0016】
広い観点においては、本発明は、粒質調製物にエストロゲン及び1又は複数の賦形剤を含んで成る医薬組成物におけるエストロゲンの安定性を改良するための方法に関し、ここでi)前記エストロゲンとシクロデキストリンとの間で複合体を形成し;そしてii)最終粒質物の相対湿度が、20〜40℃の温度で決定される場合、60%を越えないよう、前記複合体と1又は複数の賦形剤とを、粒質化条件下で混合する段階を含んで成る。
【0017】
最終的に、本発明は、エストロゲンとシクロデキストリンとの間での複合体を含んで成る粒質調製物の製造方法に関し、ここでi)前記複合体、任意には追加の1又は複数の治療的活性剤及び1又は複数の賦形剤をグラニュレーターに充填し;ii)前記充填された複合体及び1又は複数の賦形剤上に、20〜40℃の温度で決定される場合、60%を越えない相対湿度を有する粒体を得るための粒質化条件下で液体を適用する段階を含んで成る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
用語“複合体”とは、エストロゲンとシクロデキストリンとの関の複合体を意味し、ここで前記エストロゲンの分子は、1つのシクロデキストリン分子のキャビティ中に少なくとも部分的に挿入される。さらに、エストロゲンの分子は、複数のシクロデキストリン分子のキャビティ中に少なくとも部分的に挿入され、そして単一エストロゲン分子の2つの分子が1つのシクロデキストリン分子中にそれぞれ挿入され、2:1の比のシクロデキストリン:エストロゲンが得られる。従って、複合体は、エストロゲンとシクロデキストリンとの間での封入複合体(包接体)と呼ばれる。
【0019】
同様に、複合体は、1又は複数のシクロデキストリン分子中に少なくとも部分的に挿入されるエストロゲンの1つよりも多くの分子から成り、ここで例えば、2つのエストロゲン分子は単一のシクロデキストリン分子中に少なくとも部分的に挿入され、1:2の比のシクロデキストリン:エストロゲンが得られる。1つのエストロゲン分子が1又は複数のシクロデキストリン分子により複合体化される複合体、例えば2個のシクロデキストリン分子又は3個のシクロデキストリン分子により複合体化される1つのエストロゲン分子が確かに、予測される。典型的には、本明細書により調製されるようなエチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は好ましくは、エチニルエストラジオールの1つの分子とβ−シクロデキストリンの2つの分子との間での複合体である。
【0020】
用語“エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体”又は“EE−β−CD”とは、いずれかの比でのエチニルエストラジオール:β−シクロデキストリンの複合体を意味する。
【0021】
用語“粒質調製物”とは、粒末の粒度が液体による処理に基づいて又は圧縮により高められる、粉末の調製物に関する。前記液体は、任意には、結合剤、例えばスターチをさらに含んで成る、いずれかの種類の水性又は有機溶媒、又はそれらの混合物のものであり得る。従って、“粒質調製物”とは、広い観点において、少なくとも約100μmの平均粒度が形成されるような、粒質化、ペレット化又は粉末の圧縮により形成される、粒質、ペレット及び圧縮された粒子又はいずれかの粒子を言及する。
【0022】
用語“シクロデキストリン”とは、1つのシクロデキストリン又はその誘導体、及び種々のシクロデキストリンの混合物、シクロデキストリンの種々の誘導体の混合物、及び種々のシクロデキストリン及びそれらの誘導体の混合物を意味する。シクロデキストリンはさらに、本発明に従って定義される。
【0023】
本発明者は、エストロゲンの安定性の改良が組合された手段により達成された生成物を開発した。1つのそのような手段は、シクロデキストリン複合体を形成することによるエストロゲンの保護によるものである。もう1つのそのような手段は、例えば遊離エストロゲン及びシクロデキストリンへの複合体の解離が粒質調製物の製造の間、制限されるよう、粒質化工程の賢明な適合によるものである。
【0024】
本発明者は、エチニルエストラジオールとβ−シクロデキストリンとの間の複合体が、水に暴露される場合、不安定であることを示すデータを提供した。実際、複合体が水に溶解される場合、複合体の約50%が、3分以内に、エチニルエストラジオール及びシクロデキストリンに解離する。従って、特定の理論には制限されないが、生成物の安定性は、製造工程の間、複合体の遊離エストロゲンへの解離を制限し、それにより、最終生成物における遊離エストロゲンの含有率を制限することによって、少なくとも部分的に改良される。
【0025】
従って、第1の観点においては、本発明は、20℃〜40℃の温度で決定される場合、多くても60%の相対湿度を有する粒質調製物である、エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体を含んで成る配合物に関する。好ましくは、前記相対湿度は、20℃〜40℃の間の温度で決定される場合、多くても55%、好ましくは多くても45%、最も好ましくは多くても40%である。
【0026】
言及されるように、本発明は、エストロゲンとシクロデキストリンとの間での感受性複合体を含んで成る安定した生成物を誘導した。従って、第2の観点においては、本発明は、i)エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体;及びii)1又は複数の賦形剤を含んで成り、前記エストロゲンが40℃及び75%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵の後、前記エストロゲンの初期含有率に対して少なくとも85%(w/w)の量で存在するような安定性を有する組成物に関する。エストロゲンの初期含有率は、最終配合物の製造に基づいて組成物に含まれる計量された量のエストロゲンとして理解されるべきである。
【0027】
1つの態様においては、組成物は、組成物の直接的な圧縮により製造される錠剤の形で存在する。好ましくは、組成物は、本明細書においてさらに開示されるように、制限された量のポリビニルピロリドンを含んで成る。
さらにもう1つの態様においては、エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体は、本明細書に置いて定義されるような粒質調製物に配合され得る。
好ましい態様においては、組成物は、前記エストロゲンが40℃及び75%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵の後、前記エストロゲンの初期含有率に対して少なくとも90%(w/w)、最も好ましくは少なくとも97%(w/w)、例えば少なくとも98%の量で存在するような安定性を有する。
【0028】
そのような配合物及び組成物におけるエストロゲンの安定性を改良するための1つのさらなる手段は、エチニルエストラジオールの分解を誘発できる賦形剤の含有物が最少にされるか、又は配合物から排除されるよう、賦形剤の賢明な選択を包含する。1つのそのような決定的な賦形剤は、典型的には、流体層粒質化のための結合剤として使用されるポリビニルピロリドンである。本明細書において言及されるように、エチニルエストラジオールは、ポリビニルピロリドンに対して敏感であり、そして有意な量のエチニルエストラジオールが配合物及び組成物において分解されるが、それにもかかわらず、エチニルエストラジオールは、包接体の形で保護される。
【0029】
例えば、ポリビニルピロリドンを含んで成り、そして流体層粒子化により、アメリカ特許第5,798,338号の例3に開示されるようにして調製された組成物は、エチニルエストラジオールに関して良好でない安定性を有する。本発明者は、そのような組成物において、エチニルエストラジオールの含有率が、40℃及び75%の相対湿度での12ヶ月の貯蔵の後、エチニルエストラジオールの初期含有率に対して25%低められることを見出した(表1,4,例1,表Aを参照のこと)。従って、本発明の1つの観点は、比較的高い酸化能力、例えばポリビニルピロリドンよりも高いか又はそれに類似する酸化能力を有する化合物の低い組成物/配合物に関する。
【0030】
例えば、本発明の組成物/配合物は好ましくは、アメリカ特許第5,798,338号の例3の組成物よりも低いポリビニルピロリドンを有する。より好ましくは、本発明の適切な態様は、多くても2%(w/w)、好ましくは多くても1%(w/w)、より好ましくは多くても0.5%(w/w)、最も好ましくは多くても0.2%(w/w)のポリビニルピロリドンを含んで成る組成物/配合物に関する。さらに、特に興味ある態様は、ポリビニルピロリドンを実質的に有さない組成物/配合物に関する。
【0031】
個々に、又は協同で作用して、上記に言及される手段は、エストロゲンが、直接的な圧縮により、又は適切な流体層粒質化工程により製造される、ポリビニルピロリドンを含んで成る従来の組成物においてよりもより安定する組成物をもたらす。このようにして供給される安定した組成物は、40℃及び75%の相対湿度(RH)での3ヶ月の貯蔵の後、前記エストロゲンの初期含有率に対して少なくとも90%(w/w)の前記エストロゲンの含有率を有することによって特徴づけられる。好ましくは、前記エストロゲンの含有率は、40℃及び95%の相対湿度(RH)での3ヶ月の貯蔵の後、エストロゲンの初期含有率に対して、少なくとも92%(w/w)、より好ましくは少なくとも94%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも96%(w/w)及び最も好ましくは少なくとも98%(w/w)である。
【0032】
同様に、組成物はまた、高温、例えば60℃及び75%の相対湿度でも安定し、ここで前記安定性は、60℃及び75%の相対湿度(RH)での3ヶ月の貯蔵の後に決定される場合、エストロゲンの含有率が、前記エストロゲンの初期含有率に対して、85%(w/w)、好ましくは少なくとも90%(w/w)、より好ましくは少なくとも92%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも94%(w/w)、最も好ましくは少なくとも96%(w/w)であるようなものである。
【0033】
重要なことには、本発明の組成物は、従来の組成物に比較して、周囲温度でより安定性である。従って、本明細書に開示されるような組成物は、エストロゲンがそのエストロゲンの初期含有率に対して少なくとも95%(w/w)の量で存在するように、25℃及び60%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵に基づいて改良された安定性を有する。好ましくは、前記エストロゲンの含有率は、25℃及び60%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵の後、エストロゲンの初期含有率に対して、少なくとも96%(w/w)、より好ましくは少なくとも97%(w/w)、及び最も好ましくは少なくとも98%(w/w)である。
【0034】
当業者に明らかなように、エストロゲンは、エチニルエストラジオール(EE)、エストラジオール、エストラジオールスルファメート、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、エストリオール、琥珀酸エストロン、17β−エストラジオールスルフェート、17α−エストラジオールスルフェート、硫酸エキリン、17β−ジヒドロエキリンスルフェート、17α−ジヒドロエキリンスルフェート、硫酸エキレニン、17β−ジヒドロエキレニンスルフェート及び17α−ジヒドロエキレニンスルフェート又はそれらの混合物から成る群から選択され得る。
【0035】
特に興味あるエストロゲンは、エチニルエストラジオール(EE)、エストラジオールスルファメート、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン及び硫酸エストロン又はそれらの混合物から成る群から選択され、特にエチニルエストラジオール(EE)、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、及びスルファミド酸エストラジオールである。エチニルエストラジオール(EE)が最も好ましい。
【0036】
エストロゲンがエチニルエストラジオール(EE)である好ましい態様においては、いつかの分解生成物が知られている。従って、不安定な組成物、例えば従来の粒質化方法により製造される、エチニルエストラジオールとシクロデキストリンとの間の感受性複合体を含んで成るそれらの組成物は、一定期間の貯蔵後、エチニルエストラジオールの分解生成物を含んで成る。さらに、より多くのエチニルエストラジオールが本発明により開発されたそれらの組成物(例2、表1、3を参照のこと)においてよりも前記従来の組成物において分解されるので、従来の組成物はより高い量のそれらの分解生成物を含んで成る。
【0037】
従って、本発明の1つの態様に従っての安定性は、エチニルエストラジオールの既知分解生成物のモル合計生成物がエチニルエストラジオールの初期含有率に対して多くても0.8%であるようなものである。従って、エストロゲンがエチニルエストラジオールである場合、6−α−ヒドロキシ−エチニルエストラジオール、6−β−ヒドロキシ−エチニルエストラジオール、6−ケト−エチニルエストラジオール、Δ6,7−エチニルエストラジオール及びΔ9,11−エチニルエストラジオールのモル合計生成物は、25℃及び60%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵の後に決定される場合、エチニルエストラジオールの初期モル含有率に対して多くても0.8%になる。好ましくは、前記モルに合計生成物は、それらの貯蔵条件下で、多くても0.7%及びより好ましくは多くても0.6%である。
【0038】
さらに、安定性は、6−α−ヒドロキシ−エチニルエストラジオール、6−β−ヒドロキシ−エチニルエストラジオール、6−ケト−エチニルエストラジオール、Δ6,7−エチニルエストラジオール及びΔ9,11−エチニルエストラジオールのモル合計生成物が、40℃及び75%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵の後に決定される場合、エチニルエストラジオールの初期モル含有率に対して多くても3%になるようなものである。好ましくは、前記モルに合計生成物は、それらの貯蔵条件下で、多くても2%及びより好ましくは多くても0.6%である。
【0039】
言及されるように、本発明の目的は、エストロゲンとシクロデキストリンとの間での複合体を含んで成る医薬組成物/配合物を供給することであり、ここで前記エストロゲンの安定性は、従来の組成物/配合物の安定性よりも有意に改良される。従って、安定性をさらに改良するか又は本発明の態様の安定性を確保するためには、前記組成物/配合物はさらに、酸化防止剤を含んで成る。酸化防止剤は、粒質調製物に含まれるか、又は追加の賦形剤として組成物に添加され得る。
【0040】
シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ―シクロデキストリン、及びそれらの誘導体から選択され得る。シクロデキストリンは、マクロ環式化合物のいくつかの又はすべての第1又は第2ヒドロキシル、又は両者が、アルキル化されるか又はアシル化され得るよう変性され得る。それらのアルコールを変性するための方法は、当業者に良く知られており、そして多くの誘導体が市販されている。従って、シクロデキストリンのいくつかの又はすべてのヒドロキシルは、O−R基又はO−C(O)−R(ここで、Rは任意に置換されたC1―6アルキル、任意に置換されたC2―6アルケニル、任意に置換されたC2―6アルキニル、任意に置換されたアリール又はヘテロアリール基である)により置換され得る。
【0041】
Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル基であり得る。従って、O−C(O)−Rは、アセテートであり得る。さらに、Rは例えば、通常使用される2−ヒドロキシエチル基、又は2−ヒドロキシプロピル基によりシクロデキストリンを誘導体化することであり得る。さらに、シクロデキストリンアルコールは、マクロ環式化合物の1つの面上で過ベンジル化され、過ベンゾイル化されるか、又はベンジル化され又はベンゾイル化され得、又は1,2,3,4,5又は6個のヒドロキシルのみがベンジル化されるか又はベンゾイル化される。
【0042】
天然においては、シクロデキストリンアルコールは、マクロ環式化合物の1つの面上で過アルキル化されるか又は過アシル化され得、例えば過メチル化されるか又は過アセチル化され得、又はアルキル化されるか又はアシル化され得、例えばメチル化されるか又はアセチル化され得、又は1,2,3,4,5又は6個のヒドロキシルのみがアルキル化されるか又はアシル化され、例えばメチル化されるか又はアセチル化される。エストロゲン−シクロデキストリン複合体は、当業者に知られている方法により得られる(例えば、アメリカ特許第5,798,338号)。
【0043】
エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体はまた、次のようにして同時沈殿により得られる:エチニルエストラジオールがエタノールに溶解され;β−シクロデキストリンが45℃で水に溶解され;エチニルスストラジオール溶液がβ−シクロデキスリン溶液に添加され;その得られる態濁液が20〜25℃で及びその後、2℃で数時間、撹拌され;結晶化生成物が単離され、そして乾燥される。
【0044】
他方では、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は次の通りにして得られる:エチニルエストラジオールがアセトンに溶解され;β−シクロデキストリンが45℃で水に溶解され;エチニルエストラジオール溶液がβ−シクロデキストリン溶液に添加され;その得られる懸濁液が25℃以下の温度で数時間、撹拌され;その後、結晶化生成物が単離され、そして乾燥される。
【0045】
好ましくは、シクロデキストリンとエストロゲンとの間での複合体は、所定の親油性(疎水性)を有することができる。従って、本発明の適切な態様は、複合体が約2〜5、好ましくは約3〜4の範囲のpHで複合体のn−オクタノール/水分配係数を有するそれらに関する。さらなる興味ある態様は、結晶形での複合体を含んで成る。従って、制限された観点においては、本発明は、エストロゲンとシクロデキストリンとの間での結晶性複合体に関する。
【0046】
用語“結晶性”とは、化合物の一部が非結晶形で存在することができる、化合物の物理的構造の種々の変性に関する。結晶性化合物は、結晶水の水和化されること及びその包含により特徴づけられ得る。最終的に、複合体は、本明細書において提供される例、例えば例12に開示されるそれらの水和化された複合体により定義され得る。さらに、結晶性複合体は、遊離エチニルエストラジオール及び遊離シクロデキストリンの一部を含むことができる。
【0047】
好ましくは、複合体は、β−シクロデキストリン又はその誘導体、最も好ましくは、β−シクロデキストリンを含んで成る。従って、好ましい態様の組合せである本発明の特に好ましい態様においては、エストロゲンはエチニルエストラジオールであり、そしてシクロデキストリンはβ−シクロデキストリンである。
【0048】
本発明の他の態様においては、組成物はさらに、1又は複数の治療的活性剤を含んで成る。従って、この態様においては、組成物はさらに、プロゲストゲンを含んで成る。プロゲストゲンは、ドロスピレノン、レボノルゲストレル、ノルゲストレル、ゲストデン、ジエノゲスト、酢酸クシプロテロン、ノルエチステロン、デソルゲストレル、及び3−ケト−デソルゲストレルから成る群から選択され得る。しかしながら、好ましいプロゲストゲンは、ドロスピレノンである。
【0049】
治療的活性物質がドロスピレノンである好ましい態様においては、前記ドロスピレノンは任意には、超微粉化され得る。治療的活性物質がドロスピレノンである好ましい態様においては、すべての又は実質的にすべての前記ドロスピレノンは、シクロデキストリンとの複合体として存在することができる。当業者に明らかなように、ドロスピレノン−シクロデキストリン複合体の解離は、シクロデキストリン−複合体化されたドロスピレノン及び複合体化されていない(遊離)ドロスピレノンの混合物をもたらすことができる。複合体化されていないドロスピレノンについての場合のように、複合体化されたドロスピレノンはまた、超微粉化され得る。
【0050】
従って、本発明の好ましい態様は、エストロゲンがエチニルエストラジオールであり、そして1又は複数の治療的活性剤がドロスピレノンである、組成物/配合物に関する。これに関してのさらなる興味ある態様は、エストロゲン−シクロデキストリン複合体及びドロスピレノンの両者が超微粉化される場合である。
言及されるように、組成物及び配合物は、本発明の典型的な態様が約0.002〜2%(w/w)のエチニルエストラジオールの治療的に等しい量に対応する量でエストロゲンを含んで成るように、低用量の活性剤を含んで成る。
【0051】
さらなる他の典型的な態様においては、組成物/配合物は、約0.002〜2%(w/w)の量で、エストロゲン、すなわちエチニルエストラジオールを含んで成る。好ましくは、前記量は、約0.004〜0.2%(w/w)、より好ましくは約0.008〜0.1%(w/w)、最も好ましくは約0.02〜0.05%(w/w)である。
エストロゲンがエチニルエストラジオールであり、そしてシクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである好ましい態様におけるようにシクロデキストリンの量を考慮する場合、エチニルエストラジオールは、エチニル−エストラジオール−β−シクロデキストリン複合体に対して、約5〜20%(w/w)、好ましくは約8〜15%(w/w)、最も好ましくは約9〜13%(w/w)の量で存在する。
【0052】
さらに、本発明によれば、エストロゲン:シクロデキストリンの比は調節され得る。従って、適切な態様においては、前記エストロゲンが、エストロゲンとシクロデキストリンとの間のモル比が約2:1〜1:10、好ましくは約1:1〜1:5、最も好ましくは約1:1〜1:3、例えば1:1及び1:2になるよう、シクロデキストロンに対する量で存在する。
組成物がさらに、治療的活性化合物を含んで成り、そして前記化合物がドロスピレノンである態様においては、ドロスピレノンは、約0.4〜20%(w/w)、好ましくは約0.8〜10%(w/w)、より好ましくは約1.5〜5%(w/w)の量で存在する。
【0053】
本発明のさらなる目的は、単位投与量形、好ましくは、例えば錠剤、カプセル又はサシェとしてさらに配合される、本明細書に記載されるような組成物又は配合物を供給することである。
本発明の典型的な態様は、硬質ゼラチンカプセル又はサシェ中に充填され得るか、又は錠剤コアー中に圧縮され得る、顆粒、ペレット又は乾燥圧縮されたブレンドの形での組成物又は配合物に関する。この場合、前記組成物又は配合物は次のものを含んで成る(%wr/wt):
【0054】
i)活性剤:エチニルエストラジオールとβ−シクロデキストリンとの間の複合体;
ii)0〜95%(w/w)の充填剤、例えばラクトース、スターチ、セルロース及び又は他のもの;
iii)0〜15%(w/w)の結合剤、例えばスターチ、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン及び/又は他のもの;
【0055】
iv)0〜15%(w/w)の潤滑剤、例えばコロイド状二酸化珪素及び/又は他のもの;
v)0〜15%(w/w)の砕解剤、例えばスターチカルメロース−カルシウム、クロスカルメロース−ナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム及び/又は他のもの;
vi)0〜5%(w/w)の安定剤/酸化防止剤、例えば酢酸トコフェロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート及び/又は他のもの;及び
vii)0〜5%(w/w)の滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び/又は他のもの。
【0056】
組成物/配合物はさらに、治療的活性化合物、例えばプロゲストゲン、好ましくはドロスピレノンを含んで成る態様においては、典型的な配合物はさらに、0.1〜15%(w/w)のドロスピレノンを含んで成ることができる。
【0057】
特に興味ある態様は、下記成分を含んで成る単位投与量形に関する:
ドロスピレノン(超微粉化された) 3.00mg
β−シクロデキストリン包接体としての
エチニルエストラジオール(超微粉化された) 0.02mg*
ラクトース 48.18mg**
コーンスターチ 28.00mg
ステアリン酸マグネシウム 0.8mg
水 加工を助ける量
*:0.02はエチニルエストラジオールの濃度である(β−シクロデキストリンを考慮しな)。β−シクロデキストリン包接待におけるエチニルエストラジオールの量は9.5〜12.5%である。
**:ラクトースの量は、β−シクロデキストリンの量に調節されるべきである。
【0058】
本発明のさらなる観点は、粒質調製物にエストロゲン及び1又は複数の賦形剤を含んで成る医薬組成物におけるエストロゲンの安定性を改良するための方法に関し、ここで前記方法は、
i)前記エストロゲンとシクロデキストリンとの間で複合体を形成し;そして
ii)最終粒質物の相対湿度が、20〜40℃の温度で決定される場合、60%を越えないよう、前記複合体と1又は複数の賦形剤とを、粒質化条件下で混合する段階を含んで成る。
【0059】
本明細書において記載されるように、この安定化方法は、従来の組成物について報告されるものよりもより安定性である組成物をもたらす。改良された安定性を導くこの重要な特徴は、粒質化工程及び賦形剤の適切な選択に少なくとも部分的に関する。従って、安定性を改良する方法は、粒質調製物の相対湿度の適切調節に関する。最も重要なことには、相対湿度は、20〜40℃の間の室温で決定される場合、60%の相対湿度を越えない。好ましくは、相対湿度は、20〜40℃の温度で決定される場合、55%を越えず、好ましくは45%を越えず、もっとも好ましくは40%を越えない。
【0060】
さらなる関連する観点においては、本発明は、粒質調製物にエストロゲン及び1又は複数の賦形剤を含んで成る医薬組成物におけるエストロゲンの安定性を改良するための方法に関し、ここで前記方法は、
i)前記エストロゲンとシクロデキストリンとの間で複合体を形成し;そして
ii)ポリビニルピロリドンよりも高いか又はそれに類似する酸化能力を有する賦形剤の全体量を最少にするような量で賦形剤を添加する段階を含んで成る。前記目的は、ポリビニルピロリドンよりも高いか又はそれに類似する酸化能力を有する賦形剤の量を制限するか又は最少にすることである。
【0061】
従って、安定化方法はまた、ポリビニルピロリドンよりも高いか又はそれに類似する酸化能力を有する賦形剤の含有率を制限すること、例えば組成物/配合物におけるポリビニルピロリドンの含有率を制限することに関する。従って、本発明の興味ある態様は、1又は複数の賦形剤が多くても2%(w/w)の量でポリビニルピロリドンを含んで成るそれらに関する。好ましくは、前記量は、多くても1%(w/w)、より好ましくは多くても0.5%(w/w)、最も好ましくは多くても0.2%(w/w)である。非常に好ましい態様においては、安定性を改良するための方法は、医薬組成物からポリビニルピロリドンを排除することに関する。従って、医薬組成物におけるエストロゲンの安定化方法は、ポリビニルピロリドンを実質的に有さない組成物/配合物に関する。
【0062】
本発明のさらなる目的は、安定し且つ均質であり、そして前記のような組成物及び配合物の調製方法を提供することである。適切な方法は、粒質化液体を調製し、活性剤及び1又は複数の賦形剤を、粒質化のために適切な装置中にそれぞれ充填し、そして乾燥する段階を含んで成る。好ましい態様においては、このようにして得られた顆粒は、多くても60%の相対湿度を有する。
【0063】
従って、本発明は、エストロゲンとシクロデキストリンとの間での複合体を含んで成る粒質調製物の製造方法に関し、ここで前記粒質調製物の製造方法は、i)前記複合体、及び1又は複数の賦形剤をグラニュレーターに充填し;ii)前記充填された複合体及び1又は複数の賦形剤上に、20〜40℃の温度で決定される場合、60%を越えない相対湿度を有する粒体を得るための粒質化条件下で液体を適用する段階を含んで成る。
前記方法は、従来の方法、例えばポリビニルピロリドンを用いてのそれらの粒質化技法及び/又は相対湿度が適切に調節されていない技法により製造されるそれらの組成物に比較して、より低い分解されたエストロゲン及びより低い分解性の生成物を含んで成る新規組成物を誘導する。
【0064】
従って、本発明の好ましい態様においては、粒質化条件は、より一層、制限され、例えば粒質調製物の相対湿度が、20〜40℃の温度で決定される場合、55%を越えず、好ましくは45%を越えず、もっとも好ましくは40%を越えない。さらに、ポリビニルピロリドンの量が制限される。
【0065】
言及されるように、配合物は、エチニルエストラジオール−シクロデキストリン複合体の低用量の活性剤を含んで成る。従って、均質配合物を獲得し、そして含有物均等性の必要条件を満たすことが決定的である。従って、考慮すべき重要な論点は、低用量の活性成分を含む組成物/配合物を製造する場合、粒質調製物の均質性である。通常の実施は、低投与量配合物を製造する場合、賦形剤、例えばラクトースと共に活性成分の予備混合の使用を適用する。予備混合は通常、別々のブレンド段階において行われる。しかしながら、本発明者は、適切な賦形剤と活性剤との予備混合の段階を用いないで、低投与配合物を製造する方法を開発した。
【0066】
従って、本発明の興味ある態様は、複合体及び任意には追加の1又は複数の活性剤が、賦形剤と共に予備混合されないで、個々の剤として供給される前記方法に関する。それに関連するさらなる態様においては、1又は複数の治療的活性剤、例えばドロスピレノンがさらに、グラニュレーターに添加される。
【0067】
言及されるように、本発明の正しく適合された方法は、粒質調製物の均質バッチの製造を誘導した。前記方法がさらに、単位投与量形、例えば錠剤を誘導する場合、含有物均等性が達成される。従って、本発明の非常に適切な態様においては、最終粒質物及び/又は最終単位投与量形のバッチは、85%〜115%以内、好ましくは90%〜110%以内、より好ましくは95%〜105%以内である含有物均等性に従う。含有物均等性は、顆粒調製物の10のランダムサンプルを採取するか、又は錠剤のバッチから10個の錠剤をランダムに取り、個々のサンプル又は錠剤におけるエストロゲンの定量的含有率を決定し、そして最終的に、個々の量のエストロゲンに基づいて変動の係数を計算することによって決定される。
【0068】
本明細書において言及される低用量とは、約0.005〜20%(w/w)、好ましくは約0.01〜2%(w/w)、より好ましくは約0.05〜1%(w/w)、さらにより好ましくは約0.1〜0.7%(w/w)、最も好ましくは約0.15〜0.5%(w/w)の量で複合体を含んで成る組成物/配合物に関する。
粒質化は、本発明に従って安定且つ均質の粒質物を供給するであろういずれかの装置により提供され得る。すなわち、20〜40℃の温度で多くても60%の相対湿度を有する顆粒を得るために適切ないずれかの装置が存在する。しかしながら、好ましい態様においては、粒質化条件は、流動層粒質化によって提供される。
【0069】
本発明のさらなる目的は、女性用避妊、ホルモン置換療法又はアクネ又はPMDD(月経前機能不全疾患)の処理のため薬剤の調製のためへの、本明細書に及び例に記載される組成物の使用に関する。
ホルモン置換療法のためへの本発明の化合物の使用は、女性における閉経期、前−閉経期及び/又は後−閉経期症状の処理に関する。薬剤は、医薬業界の人々の一般的知識に従って、経口投与のために適切に配合される。
【0070】
好ましい態様においては、薬剤は、女性の排卵を阻害するために適切である。排卵を阻害するその能力とは別に、本発明の組成物は、明白な抗−アンドロゲン性質を有することが見出されており、そして従って、アンドロゲン−誘発された障害、特にアクネの予防又は処理に使用され得る。そのような使用は、上記に開示される避妊薬としての使用とは無関係であり得るか、又はその使用と同時であり得る。さらに、ドロスピレノンはアンドロステロンアンタゴニストであるので、それは利尿性質を有し、そして従って、エチニルエストラジオールの水保持性質を妨げるために適切である。
【0071】
言及されるように、経口投与のための薬剤の調製のためへの組成物の使用は、好ましくは、エチニルエストラジオールとβ−シクロデキストリンとの間の複合体、及びさらに、治療的活性剤を含んで成る組成物の使用を包含する。最も好ましくは、前記剤は、ドロスピレノンである。好ましい態様の組合せにおいては、エチニルエストラジオールの用量は、0.015〜0.04mg、特に約0.015〜0.03mgであり、そしてドロスピレノンの用量は、約2.5〜3.5mg、特に約3mgである(毎日の投与量単位当たり)。より特定には、本発明の組成物は、約3.0〜3.5mgの毎日の投与量に対応する量のドロスピレノン、及び約0.015〜0.03mgに対応する量のエチニルエストラジオールを含んで成る。
【0072】
排卵の阻害に使用するための薬剤は、例えばEP148724号に実質的に開示されるように、単−相組成物、すなわち調製物であり得、ここでいずれかの活性剤の量が少なくとも21日間、一定して存続するか、又はいずれかの又は両者の活性剤の量が、多相調製物、例えば2−又は3−相調製物を生成するように、少なくとも21日間にわたって変化することができる。
【0073】
排卵を阻害するためへの薬剤の使用に関する本発明の興味ある態様においては、薬剤は少なくとも21日の連続した日の個々の日に投与され、毎日の投与量単位は、7日又はそれ以下の連続した日の個々の日、約2mg〜約4mgの量でのドロスピレノンと約0.01mg〜約0.05mgの量でのエチニルエストラジオールとの組合せを含んで成り、7日又はそれ以下の間、毎日の投与量単位は活性剤を含まないか、又は他方では、投与量単位を投与しない。
【0074】
さらなる適切な態様においては、ドロスピレノン及びエチニルエストラジオールの組合せを含んで成る個々の毎日の投与量単位は、21、22、23又は24日の連続した期間、投与され、そして活性剤を含まない毎日の投与量単位の個々は、適切な場合、7,6,5又は4日の連続した期間、投与され得る。さらに、ドロスピレノン及びエチニルエストラジオールの組合せを含んで成る毎日の投与量単位は、28,30又は31日の連続した期間、投与され得る。適切には、前記薬剤の使用は、少なくとも21日の連続した日の個々の日、約2mg〜約4mgの量でのドロスピレノン及び約0.01mg〜約0.05mgの量でのエチニルエストラジオールの組合せを含んで成る毎日の投与量単位を投与し、続いて、7日又はそれ以下の連続した日の個々の日、約0.01mg〜約0.05mgの量でのエチニルエストラジオールのみを含む毎日の投与量単位を投与することを含んで成る。
【0075】
他の方法においては、ドロスピレノン及びエチニルエストラジオールの組合せを含んで成る毎日の投与量単位は適切には、21,22,23又は24日の連続した期間、投与され得、そして次に、エチニルエストラジオールのみを含む毎日の投与量単位は、適切な場合、7,6,5又は4日の連続した期間、投与され得る。前記方法のさらなる態様においては、ドロスピレノン及びエチニルエストラジオールの組合せを含んで成る毎日の投与量単位は、2〜4度、好ましくは2又は3度、28日の連続した期間、投与され、続いて、ドロスピレノン及びエチニルエストラジオールの組合せを含んで成る毎日の投与量単位の21日の連続した期間の投与、及び続いて、エチニルエストラジオールのみを含んで成る毎日の投与量単位の7日の連続した期間の投与を伴なう。
本発明はさらに、例により定義される。
【0076】
例の簡単な説明:
例1は、当業者に知られている医薬生成物を共に、本発明のいくつかの態様に従っての医薬生成物を開示する。表1.3は、調節された環境条件下での一定の期間の後、既知配合物に比較して、安定性に関しての性能を例示する。データは、粉末ブレンドの直接的な圧縮が、シクロデキストリン複合体の形で供給される場合、エチニルエストラジオールの良好な安定性をもたらすことを示す(生成物D)。生成物Eは、本発明に従って、ポリビニルピロリドンを有さないで調製された。この生成物はまた、粒質化により製造されるにもかかわらず、エチニルエストラジオールの良好な安定性を示す。しかしながら、生成物がポリビニルピロリドンを含み、そしてアメリカ特許第5,798,338号の例3(錠剤A)に従って製造される場合、生成物は不安定である。
【0077】
例2は、調節された環境条件下での一定の時間の後の貯蔵に基づいてのサンプルから単離された分解生成物の点から、他の配合物に比較しての配合物D及びEにおけるEEの安定性を示す。
例3は、本発明の1つの態様の含有率を開示し、ここで組成物はさらに、ドロスピレノンを含んで成る。
例4は、本発明の配合物の典型的な投与量形の形態学又はいくつかの物理的特徴を記載する。
【0078】
例5は、錠剤の調製のための典型的な方法を開示する。
例6は、一定の物理的性質、すなわちEEとCDとの間の複合体の解離定数の速度定数が研究される方法を記載する。1:1複合体の半減期は、155.8秒であることが決定されており、そして解離定数は4.45×10―3/秒であることが決定された。
例7は、EEとCDとの間の複合体の平均安定定数(配合定数)が研究される方法を記載する。1:1複合体の安定定数は、9.5×10―4―2であることが見出された。複合体化されたエチニルエストラジオールの溶解性は、遊離ステロイドに比較して、改良したことが見出された。
【0079】
例8は、酸性媒体におけるEEとCDとの間の複合体の平均安定定数(配合定数)が研究される方法を記載する。酸性媒体における1:1及び1:2複合体の安定定数は、開示されている。複合体化されたエチニルエストラジオールの溶解性は、酸性媒体における遊離ステロイドに比較して、改良したことが見出された。
例9は、水性媒体におけるEE−CD複合体の酸解離定数(pKa)が、遊離ステロイドの約10.25のpKaに比較して、約10.51であることが決定される方法を開示する。
【0080】
例10は、EE−CD複合体のn−オクタノール/水の分配係数が決定される方法、及びpHに対するその依存性を記載する。その対数P値は、3.20〜3.53の範囲である。
例11は、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体が、多固体状態形で存在し、そしてそのような形を検出し、そして区別することができる試験方法を提供するために存在することができるかどうかを論じる。
例12は、EE−CD複合体の典型的な調製物を記載する。
【実施例】
【0081】
例1種々の配合物におけるエチニルエストラジオールの分解
エチニルエストラジオールを含んで成る5種の錠剤配合物の比較安定性データを調査した。種々の配合物は、製造方法、シクロデキストリン複合体の形でのエチニルエストラジオールの使用及びポリビニルピロリドン25,000(PVP)の使用の点でお互い異なる。錠剤Aは、アメリカ特許第5,798,338号、例3に開示されるようにして、例えば活性成分をラクトースと共に予備混合し、そして顆粒の相対湿度を調節しないことに基づいての流動層粒質化により調製された。錠剤B、C及びEは、本明細書に開示される製造方法に従って調製された。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
結果:
エチニルエストラジオールの含有率を、製造の直後(開始)、及び3及び12ヶ月間、種々の条件下での貯蔵の後、HPLCにより決定した。エチニルエストラジオールの含有率を、個々の配合物に添加されたエチニルエストラジオールの初期含有率に対して相対的に表す。
【0085】
【表3】

【0086】
例2エチニルエストラジオールの酸化分解生成物の配合
エチニルエストラジオールの既知酸化分解生成物の含有率を、25℃及び60%の相対湿度(RH)での12ヶ月の貯蔵に続いてHPLCにより決定した。個々の分解生成物のモル含有率を、個々の配合物に添加されたエチニルエストラジオールの初期モル含有率に対して相対的に表す。4種の配合物、純粋なエチニルエストラジオール及びエチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体が調べられた。
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
例3
錠剤コアーから成る典型的な組成物が記載される。錠剤コアーは任意には、記載される成分を用いて、フィルム被覆されるか又は糖被覆され得る。特定成分は、本発明の典型的な適切な成分であるが、しかしそれらには限定されない。
【表6】

【0089】
例4好ましい組成物
好ましい組成物は、下記に列挙される成分から成る。バッチサイズは、それぞれ、200,000〜550,000個の錠剤(開発部位)及び2.5Mio錠剤〜5Mio錠剤(製造部位)である。水を、錠剤塊状物(流動層粒質化)及びフィルム−被膜の製造のための処理助剤として使用する。
【0090】
【表7】

【0091】
例5製造工程
製造工程は次の段階を含んで成る:
・粒質化液体の調製:精製された水にトウモロコシ澱粉を懸濁し、そしてこの懸濁液を、撹拌しながら、精製された水に添加する。
・顆粒の調製 :ラクトース、ドロスピレノンミクロ15、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体ミクロ及びトウモロコシ澱粉(一部)を、流動層グラニュレーター中に導入する。連続流動層を活性化し、そして粒質化液体を適用する。乾燥する。粒質塊状物の相対湿度を調べる。必要なら、所望する範囲の相対湿度が達成されるまで(30〜45%)、粒質塊状物を乾燥する。
【0092】
・錠剤塊状物の調製:トウモロコシ澱粉(一部)及びステアリン酸マグネシウムを、流動層グラニュレーター中に導入する。混合する。
・錠剤塊状物の圧縮:コアーを錠剤化するために回転錠剤化機械上で実施する。
・フィルム−被膜懸濁液の調製:タルク、酸化第二鉄(赤顔料)及び二酸化チタンを精製された水に懸濁し、そしてその懸濁液を均質化する。精製された水に、撹拌しながら、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解する。前記混合物を組合し、そして均質化し、そして収量を調べる。
・フィルム−被膜 :錠剤コアーを適切なコーター中に導入し、そしてそれらを暖める。適切な量のフィルム−被膜懸濁液を、回転コアー上に、暖かな空気により乾燥しながら、噴霧する。艶を出し、そして重量均等性、砕解時間及び収量を調べる。
【0093】
例6EE−β−CD複合体の解離
水溶液におけるEE−β−CD複合体の解離定数の速度定数は決定されている。
試験方法:
水に溶解される場合、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は、次の質量作用法則の等式に従って、その成分、すなわちエチニルエストラジオール(EE)及び液体β−シクロデキストリン(CD)に解離する。
【0094】
【数1】

【0095】
この研究においては、1:1複合体の解離速度を、導電度検出により、停止された流れ緩和方法を用いて決定した。間接的方法が、複合体を形成するドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いての競争反応に基づいて適用された。塩としてのSDSは、水溶液において解離し、そして導電率に対して十分に寄与する。SDアニオンがβ−シクロデキストリンに結合する場合、形成される複合体は水において遊離SD−イオンとしてほとんど移動せず、そしてその溶液の導電率は低下するであろう。遊離DSアニオン及び複合体化されたアニオンの導電率の差異が、導電率検出器を備えた、停止された流れ運動装置により、包接体複合体からのエチニルエストラジオールの開放運動性を検出するために使用された。
【0096】
結果の要約:
エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン(1:1)複合体の解離速度定数は、Kd=4.45×10―3/秒であることが決定された。一次条件下で、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン(1:1)複合体の解離の半減期は、t1/2=155.8秒(2.6分)であることが計算された。
【0097】
例7水溶液におけるEE−β−CD複合体の安定定数
水溶液におけるEE−β−CD複合体の平衡安定定数(配合定数)を決定した。
背景:
薬剤物質エチルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は、1つの分子のエチニルエストラジオール及び2つの分子のβ−シクロデキストリンを含む包接体複合体である。その成分エチルエストラジオール(S)及びリガンドβ−シクロデキストリン(L)からの水溶液におけるエチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン包接体の形成は、質量作用の法則に従って次の等式により定義される。
【0098】
【数2】

平衡安定定数(配合定数)K11を、相溶解性技法により決定した。K12については、大まかな評価のみが得られた。
【0099】
結果の要約:
次のデータを、20℃での水溶液における相溶解性ダイアグラム技法(PSD)により得た。
1:1複合体の安定定数 :K11=9.9×104/M
エチニルエストラジオールの溶解性:SEE=2.17×10―5モル/l(6.43×10―3g/l)
1:1複合体の溶解性:S11=1.92×10―3モル/l(2.75g/l)
1:2複合体の溶解性:S12=1.44×10―3モル/l(3.7g/l)
【0100】
例80.1MのHClにおけるEE−β−CD複合体の溶解定数
0.1MのHClにおけるEE−β−CD複合体の平衡安定定数(配合定数)を、例7に記載のようにして決定した。
【0101】
結果の要約:
次のデータを、20℃での0.1MのHClにおける相安定性ダイアグラム技法(PSD)により得た。
1:1複合体の安定定数 :K11=1.56×104/M
1:2複合体の全体の安定定数(=K11・K12):K*12=約1.6×104/M
エチニルエストラジオールの溶解性:SEE=1.68×10―4モル/l(0.05g/l)
1:1複合体の溶解性:S11=2×10―3モル/l(2.9g/l)
1:2複合体の溶解性:S12=5×10―4モル/l(1.3g/l)
【0102】
例9水溶液におけるEE−β−CD複合体の解離定数
水性媒体におけるEE−β−CD複合体の酸解離定数を決定した。
背景:
薬剤物質エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は、エチニルエストラジオールの1つの分子及びβ−シクロデキストリンの2つの分子を含む包接体複合体である。水溶液において、そのエチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は、質量作用の法則に従って、その成分に解離する。エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体の解離を抑制するために、エチニルエストラジオールよりも約300倍(0.0114モル)過剰のβ−シクロデキストリンを含む水溶液を、その測定に使用した。pKaを、EnvironmentalAssementTechnicalHandbookに与えられるガイドに従って、光度滴定方法により測定した。
【0103】
結果の要約:
エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体の酸解離定数は、20℃で決定された:pKa=10.51±0.03。比較のために、β−シクロデキストリンの不在下でのエチニルエストラジオールのpKaは次の通りである:pKa=10.25±0.04。
【0104】
例10EE−β−CD複合体の対数P値
背景:
薬剤物質エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は、エチニルエストラジオールの1つの分子及びβ−シクロデキストリンの2つの分子を含む複合体である。エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体の分配は、2相システム、すなわちn−オクタノール/水における平衡化に基づいて決定される。水性相及びオクタノール相におけるエチニルエストラジオールの合計量のみが決定され得る。
【0105】
その結果は、エチニルエストラジオールの見掛けn−オクタノール/水分配係数である。エチニルエストラジオールの見掛けn−オクタノール/水分配係数のpH依存性の決定のために、測定を、OECDガイドライン1071ンに従って、フラスコ−振盪方法により、pH5.7及び9で行った。測定は、pH5.7及び9に緩衝された水溶液により行われた。25℃での平衡化の後、個々の相におけるエチニルエストラジオール濃度を、HPLCにより決定した。
【0106】
【表8】

例11
エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリンの多固体状態形を決定し、そしてそのような形を検出し、そして区別できる試験方法を提供した。
【0107】
背景:
異なった結晶化、乾燥及び貯蔵条件下で得られる種々の結晶化生成物を、それらの固体状態形に関して調査した。次の分析方法の選択が、適切であり、且つ可能であると思われるので、固体状態形を同定し、そして特徴づけるために適用された:
X−線粉末回折法(XRPD);
熱重量測定法(TG)と組合しての示差熱量分析法(DTA);
熱重量測定法(TG)と組合しての示差走査熱量法(DSC)。
【0108】
結果の要約:
複合体形成の証拠を、X線粉末回析及び熱分析による、純粋なエチニルエストラジオール及びβ−シクロデキストリン、両物質の機械的混合物、及びエチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体のサンプルの調査により得る。それらの調査によれば、エチニルエストラジオールの少なくとも約90%が複合体に結合されるべきである。
【0109】
エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体の有力形は、種々の量の水を含む水和物の形である。水含有率の変動性は、遊離シクロデキストリン及びその封入化合物(複合体又は包接体)の固有性の結果、すなわち周囲大気による水和物の水の少なくとも一部の平衡化の結果である。貯蔵に基づいて、温度、圧力及び相対湿度に依存する平衡化水含有率が確立される。水和物の水は、結晶格子から容易に失われ得る。
【0110】
より強い乾燥条件下で、すべての結晶水は除去され得るが、しかしながらその得られる材料は、非常に吸湿性であり、そして従って、薬剤物質のために不適切である。同じことが、母液の存在下でのみ、又は97%以上の相対湿度下でのみ安定性である十分に水飽和された水和物に適用できる。従って、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体の固体状態形に対するいずれかの論議は、水飽和での上限と共に、中間の水含有率を有する広範囲の水和物の特徴化に集中すべきである。
【0111】
水和物の水は、結晶格子の一部であり、そして従って、水含有率の変更は、結晶格子における変化と連結される。これは、種々の水含有率を有する包接体のバッチのX−線粉末パターンにおける差異により明らかである。それらのパターンによれば、4種の異なった形が区別され得る。タイプIのバッチは、1%以下の水を含む。タイプII及びIIIのバッチにおいては、それぞれ、4〜10%の水、及び8〜15%の水が見出される。タイプIVは、15%以上の水含有率により特徴づけられる。
【0112】
しかしながら、2種の隣接する型の間で、明白な分割線は存在しない。回折ピークの位置は、水吸収又は脱着の間、結晶格子の膨潤及び収縮のために徐々に変更される。熱重量測定法と組合しての示差熱量分析法によるそれらの4種の型の調査は、脱水が25℃〜170℃で生じることを示した。
それらの異なった形は、周囲湿度条件の調節により容易に且つ可逆的に交換される。この挙動性は、水和化及び脱水の間、固体のβ−シクロデキストリン/エチニルエストラジオール構成単位の基本的配置の十分な変更を可能にしない構造骨格の相当な剛性を示す。
【0113】
例12エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体の調製
エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体を次の通りにして同時沈殿により得る:
工程1(P1):エチニルエストラジオールをエタノールに溶解する。β−シクロデキストリンを45℃で水に溶解する。エチニルエストラジオール溶液を、β−シクロデキストリン溶液に添加する。その得られる懸濁液を、20〜25℃で、及びその後、2℃で数時間、撹拌する。結晶化生成物を、上記方法により単離し、そして乾燥する。
【0114】
工程2(P2):エチニルエストラジオールをアセトンに溶解する。β−シクロデキストリンを45℃で水に溶解する。エチニルエストラジオール溶液を、β−シクロデキストリン溶液に添加する。得られる懸濁液を、25℃以下の温度で数時間、撹拌する。その後、結晶化生成物を、前記方法により単離し、そして乾燥する。
β−シクロデキストリン及びエチニルエストラジオールの機械的混合物を、計量により、及びその後、瑪瑙乳鉢において粉砕することによる均質化により調製する。
【0115】
【表9】

【0116】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排卵を阻害するための毎日の単位投与量剤形であって、
i)超微粉化されたドロスピレノン及びエチニルエストラジオールとシクロデキストリンとの間の複合体、ここで、ドロスピレノンは、2mg〜4mgの量で存在し、エチニルエストラジオールは、0.01mg〜0.05mgの量で存在する;及び
ii)1又は複数の賦形剤
を含む前記単位投与量剤形。
【請求項2】
エチニルエストラジオールが、0.015mg〜0.04mgの量で存在する、請求項1に記載の単位投薬量剤形。
【請求項3】
エチニルエストラジオールが、0.015mg〜0.03mgの量で存在する、請求項2に記載の単位投薬量剤形。
【請求項4】
ドロスピレノンが、2.5mg〜3.5mgの量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項5】
ドロスピレノンが、約3mgの量で存在する、請求項4に記載の単位投薬量剤形。
【請求項6】
シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ―シクロデキストリン及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項7】
シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン又はその誘導体である、請求項6に記載の単位投薬量剤形。
【請求項8】
シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンである、請求項7に記載の単位投薬量剤形。
【請求項9】
複合体が、超微粉化されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項10】
複合体が粒質調製物の形態であり、該粒質調製物が20℃〜40℃の温度で決定される場合、多くても60%の相対湿度を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項11】
粒質調製物が、20℃〜40℃の温度で決定される場合、多くても55%の相対湿度を有する請求項10に記載の単位投薬量剤形。
【請求項12】
多くても2%(w/w)のポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項13】
多くても1%(w/w)のポリビニルピロリドンを含む、請求項12に記載の単位投薬量剤形。
【請求項14】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項15】
単位投薬量剤形が、錠剤、カプセル又はサシェの形態である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の単位投薬量剤形。
【請求項16】
単位投薬量剤形が、錠剤の形態である、請求項15に記載の単位投薬量剤形。

【公開番号】特開2009−102424(P2009−102424A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25258(P2009−25258)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【分割の表示】特願2002−551012(P2002−551012)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】