説明

エゼチミベ組成物

本発明は、改良された溶解性及び高められた生物学的利用能を有するエゼチミベ組成物類、それらの調製方法、及びそれらを用いての処理方法を提供する。エゼチミベ組成物は、例えば少なくとも1つの親水性賦形剤と共にエゼチミベを同時微粉砕することにより調製され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、改良された溶解性及び高められた生物学的利用能を有するエゼチミベ(ezetimibe)組成物類、それらの調製方法、及びそれらを用いての処理方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発明の背景:
エゼチミベ、又は1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3−(4−フルオロフェニル)−3(S)−ヒドロキシプロピル]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アセチジノンは、下記化学構造を有する:
【0003】
【化1】

【0004】
エゼチミベは、エタノール、メタノール及びアセトンにおいて自由に非常に溶解でき、そして特に、水においては不溶性である白色結晶粉末であることが報告されている。エゼチミベは、約163℃の融点を有し、そして周囲温度で安定していることが報告されている。
【0005】
エゼチミベは、一次高コレステロール血症(単独で又はHMG−CoAレダクターゼインヒビターと組合して投与される)、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(アトルバスタチン又はシムバスタチンと共に投与される)、及びホモ結合性シトステロール血症のために主に必要を示されている(Zetia(商標)についてのPDR 処方情報)。エゼチミベは、商品名Zetia(商標)として市販されており、そしてMercK/Schering-Plough Pharmaceuticalsにより市販されている。Zetia(商標)は、たぶん10mgのエゼチミベを含む、経口投与のための錠剤として入手できる。Zetiaの不活性成分は、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、微晶性セルロース、ポビドン及びラウリル硫酸ナトリウムであることが報告されている。推薦される用量は、1日1度、10mgであり、Zetiaラベルに従って食物と共に又は食物を伴わないで投与される。
【0006】
エゼチミベは、水に実質的に不溶性であることが報告されている。固体投与形のエゼチミベが経口摂取される場合、薬剤は、それが治療効果を発揮する前、患者の胃における水性胃腸液において溶解すべきである。圧縮された固体経口投与形、例えば錠剤、カプセル及びカプレット(すなわち、カプセル形状化された錠剤)に関する、再発する問題は、薬剤の溶解速度がその生物学的利用能を制限することである。
【0007】
粒度を低めることにより溶解性を改良するための方法は、エゼチミベ以外の水不溶性薬剤について過去に記載されている。しかしながら、粒度低下は、薬剤の溶解速度を一定の必要とされる値まで高めるためには必ずしも効果的ではない。多くの水不溶性薬剤は、効果的表面積の全体的低下を伴って、大きな粒子に、投与形製造工程の間、凝集する強い傾向を有する。Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed. 656, 657(A. R. Gennaro Ed., Lippincott Williams&Wilkins: Philadelphia 2000)(引用により本明細書に組込まれる)は、“効果的表面積”の概念及び溶解に基づく粒度の効果のより十分な論議を包含する。微細粒度に、表面上微粉砕された薬剤は時々、凝集又は類似する効果により、より大きな粒子の溶解特徴を示すであろう。
【0008】
改良された溶解性及び高められた生物学的利用能を有するエゼチミベ組成物についての必要性が存在する。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
本発明は、改良された溶解性及び高められた生物学的利用能を有するエゼチミベ組成物類、それらの調製方法、及びそれらを用いての処理方法を包含する。
1つの観点においては、本発明は、少なくとも1つの親水性賦形剤と共に同時微粉砕されたエゼチミベを含んで成るエゼチミベ組成物を包含する。もう1つの観点においては、本発明は、エゼチミベ組成物を形成するために、エゼチミベ及び少なくとも1つの親水性賦形剤を同時微粉砕することを含んで成るエゼチミベ組成物の調製方法を包含する。
【0010】
本発明は、本発明の方法により調製されたエゼチミベ組成物を包含する。本発明はさらに、治療的有効量の本発明の組成物を投与することを含んで成る、その必要な哺乳類におけるコレステロールを低めるための方法も包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の特定の記載
本発明は、改良された溶解性及び高められた生物学的利用能を有するエゼチミベ組成物類、それらの調製方法、及びそれらを用いての処理方法を包含する。
エゼチミベの溶解性は、微粉砕されたエゼチミベを含む組成物への親水性賦形剤、例えば糖又は多糖、例えば澱粉の添加により高められることが発見された。
【0012】
1つの観点においては、本発明は、少なくとも1つの親水性賦形剤と共に同時微粉砕されたエゼチミベを含んで成るエゼチミベ組成物を包含する。親水性賦形剤は、糖又は多糖、例えば澱粉、例えばプレゲル化された澱粉、マンニトール又はソルビトールを包含する。
【0013】
好ましい態様においては、組成物の約40%又はそれ以上、好ましくは約40%〜約70%、より好ましくは約50%又はそれ以上、及びさらにより好ましくは約60%又はそれ以上が、40分で、及び20分又はそれ以下で溶解される。本明細書において使用される場合、%溶解性は、50RPMで回転するUSP櫂方法を用いる場合、好ましくは248nmでのUV検出器により測定される場合、37℃での0.15%ウラリル硫酸ナトリウムを含む、pH4.5でのリン酸緩衝液450mlにおける溶解性と少なくとも同じ緊縮条件下で試験される。
【0014】
好ましくは、エゼチミベ組成物の約40%〜約70%、より好ましくは約50%又はそれ以上、及びさらにより好ましくは約60%又はそれ以上が、20分で溶解される。また好ましくは、エゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が、40分で溶解される。
【0015】
同時微粉砕は、ジェットミル、練りロール機、ハンマーミル、遠心分離−衝撃ミル及び篩、ペブルミル、カッターミル、又は乳鉢及び乳棒を包含する従来の微粉砕方法を用いて実施され得る。同時微粉砕されたエゼチミベは、約25μm以下か又はそれに等しい、好ましくは10μm以下が又はそれに等しい、及びより好ましくは約5μm以下か又はそれに等しいd(0.5)の粒子分布を有することができる。前記d(0.5)値は、図4に示されるように、顕微鏡観察により評価され得る。
【0016】
同時微粉砕された粒子、例えばエゼチミベはまた、約20μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有することができる。任意には、同時微粉砕された粒子は、約20μm以下か又はそれに等しいd(0.9)を有する。粒度を説明する命名法は、通常及び本明細書においては、“d(0.9)”又は“d(0.5)”として言及される。例えば、20μmのd(0.9)、又はd(0.9)=20μmとは、粒子の90%(体積)が20μm以下か又はそれに等しいサイズを有することを意味し;5μmのd(0.5)、又はd(0.5)=5μmとは、粒子の50%(体積)が、従来の許容される方法、例えばレーザー回折方法により試験される場合、5μm以下か又はそれに等しいサイズを有することを意味する。従って、“約20μm以下か又はそれに等しいd(0.9)”とは、約20μm又はそれ以下のd(0.90)値を意味する。
【0017】
1つの態様においては、組成物は、約1:50〜約50:1の重量比、好ましくは約1:10〜約10:1重量比、より好ましくは約1:6〜約1:3、及びさらにより好ましくは約1:5の重量比のエゼチミベ:親水性賦形剤を有する。エゼチミベ及び親水性賦形剤は、上記比率で同時微粉砕され得る。
【0018】
1つの態様においては、エゼチミベ組成物は、顆粒の形で存在する。もう1つの態様においては、本発明の組成物は、親水性賦形剤の他に、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤をさらに含んで成る製剤である。好ましくは、追加の医薬的に許容できる賦形剤を含んで成るエゼチミベ組成物の約40%又はそれ以上が20分で溶解される。また好ましくは、第2の医薬的に許容できる賦形剤を含んで成るエゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が40分で溶解される。任意には、追加の医薬的に許容できる賦形剤は、結合剤、充填剤又は滑剤、より特定にはポビドン、微晶性セルロース又はステアリン酸マグネシウムの少なくとも1つを含んで成る。
【0019】
もう1つの態様においては、組成物はさらに、1又は複数の分散剤、例えばポビドン又はポロキサマーを含んで成る。
もう1つの観点においては、本発明は、エゼチミベ組成物を形成するために、エゼチミベ及び少なくとも1つの親水性賦形剤を同時微粉砕することを含んで成るエゼチミベ組成物の調製方法を包含する。
【0020】
1つの態様においては、本発明は、エゼチミベ及び少なくとも1つの親水性賦形剤を同時微粉砕することを含んで成るエゼチミベ組成物の調製方法を包含し、ここで前記エゼチミベ組成物の約40%又はそれ以上、好ましくは約40%〜約70%、より好ましくは約50%又はそれ以上、及びさらにより好ましくは約60%又はそれ以上が、40分で、及び好ましくは20分又はそれ以下で溶解される。例えば、エゼチミベ組成物の約40%〜約70%、好ましくは約50%又はそれ以上、及びより好ましくは約60%又はそれ以上が20分で溶解される。任意には、エゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が、40分で溶解される。
【0021】
エゼチミベ組成物は、当業界において知られている方法、例えば乾式粒状化、湿式粒状化、ブレンド、又は直接的圧縮により調製され得る。好ましくは、組成物は、湿式粒状化により調製される。好ましくは少なくとも1つのポビドン又はポロキサマーを含んで成る湿式粒状化混合物は、分散剤を含むことができる。同時微粉砕されるエゼチミベ及び親水性賦形剤は、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤、例えば結合剤、充填剤又は滑剤と組合わされ得る。例えば、同時微粉砕されるエゼチミベ及び親水性賦形剤は、少なくとも1つのポビドン、微晶性セルロース又はステアリン酸マグネシウムと組合わされ得る。1つの態様においては、組成物は、約50重量%のプレゲル化された澱粉、約15重量%のポビドン、約25重量%の微晶性セルロース、及び約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含んで成る。
【0022】
エゼチミベ組成物の調製方法はさらに、スラッグを形成するために、任意には、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤の添加の後、前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤をスラッグ化し;そして前記スラッグを粉末に微粉砕するか、又は顆粒を形成するために、前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤をスクリーンに通すことを含んで成る。
【0023】
もう1つの態様においては、本発明は、エゼチミベ及び澱粉を、約5μm以下の平均粒度に同時微粉砕し;前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び澱粉をスラッグに圧縮し;前記スラッグを微粉砕し;エタノール及びポビドンを含んで成る粒状化溶液と共に前記スラッグを粒状化し、顆粒を形成し;前記顆粒を乾燥し、そして30メッシュのスクリーンを通して篩分けし;前記顆粒と、微晶性セルロース及びステアリン酸マグネシウムとを混合し;そして錠剤形に圧縮することを含んで成るエゼチミベ組成物の調製方法を包含し、ここで前記エゼチミベ組成物の約40%又はそれ以上、好ましくは約40%〜約70%、より好ましくは約50%又はそれ以上、及びさらにより好ましくは約60%又はそれ以上が、40分で、及び好ましくは20分又はそれ以下で溶解される。
【0024】
本発明のエゼチミベ組成物は、不活性成分、例えば希釈剤、充填剤、増量剤、結合剤、砕解剤、砕解インヒビター、吸収促進剤、湿潤剤、滑剤、潤滑剤、界面活性剤、風味剤及び同様のものを含むことができる。
【0025】
希釈剤は、固体医薬組成物の嵩を高め、そして前記組成物を含む医薬用量形を患者及び取り扱うケアー供与者を、より容易にすることができる。固体組成物のための希釈剤は、例えば微晶性セルロース(例えば、AVICEL(商標))、ラクトース、澱粉、プレゲル化された澱粉、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT(商標))を包含する。
【0026】
本発明の組成物への使用のためのキャリヤーは、ラクトース、澱粉、炭酸カルシウム、結晶性セルロース、珪酸及び同様のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0027】
結合剤は、圧縮の後、活性成分及び他の賦形剤を一緒に結合することを助ける。固体医薬組成物のための結合剤は、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KLUCEL(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、METHOCEL(商標))、及びポビドン(例えば、KOLLIDON(商標)、PLASDONE(商標))を包含する。
【0028】
砕解剤は溶解を高めることができる。砕解剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC−DI−SOL(商標), PRIMELLOSE(商標))、コロイド状二酸化珪素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON(商標), POLYPLASDONE(商標))、微晶性セルロース、及び澱粉を包含する。
【0029】
使用される吸着剤は、澱粉、ラクトース、カオリン、ベントナント、コロイド状珪酸及び同様のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。吸収促進剤は、第四アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム及び同様のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。湿潤剤は、グリセリン、澱粉及び同様のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0030】
滑剤は、錠剤化の間、付着を低め、そしてパンチ及びダイからの生成物の開放を容易にするために組成物に添加され得る。滑剤は例えば、ステアリン酸マグネシウム、水素化されたヒマシ油、鉱油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムを包含する。
【0031】
潤滑剤は、圧縮されていない固体組成物の流動性を改良するために、及び投与量の精度を改良するために添加され得る。潤滑剤として機能することができる賦形剤は、コロイド状二酸化珪素、三珪酸マグネシウム、粉末化されたセルロース、澱粉、タルクを包含する。
【0032】
錠剤は、さらに、通常知られている被覆材料により被覆され得る。カプセルは、本発明の粉末又は顆粒組成物により充填され得る。
使用する賦形剤の選択及びその量は、標準の方法及び当業界において知られている参照研究の点から経験のある配合科学者により容易に決定され得る。
【0033】
上記のように、本発明のエゼチミベ製剤は、湿式粒状化により調製され得る。湿式粒状化においては、粉末形での活性成分及び賦形剤のいくらか又はすべてがブレンドされ、そして次に、粉末の顆粒への凝集を引起す液体、典型的には水及び/又はアルコールの存在下でさらに混合される。前記粒状化溶液は、分散剤、例えばポビドン及び/又はポロキサマーを含むことができる。そのようにして形成される顆粒は任意には、スクリーンされ、そして/又は微粉砕され、乾燥され、そして次にスクリーンされ、そして/又は所望する粒度に微粉砕される。次に、顆粒は錠剤化され、又は他の成分、例えば湿潤剤及び/又は滑剤が、錠剤化の前、添加され得る。
【0034】
好ましい投与形は錠剤である。錠剤組成物は、従来、乾式粒状化により調製され得る。例えば、活性成分及び賦形剤は“スラッグ”又はシートに圧縮され、そして次に、圧縮された顆粒に微粉砕され得る。圧縮された顆粒は、続いて錠剤に圧縮され得る。
【0035】
乾燥粒状化に変わるものとして、ブレンドされた組成物は、直接的圧縮技法を用いて、圧縮された用量形に直接的に圧縮され得る。直接的な圧縮は、顆粒を有さないより均等な錠剤を生成する。直接的な圧縮錠剤化のために特に適切である賦形剤は、微晶性セルロース、噴霧乾燥されたラクトース、リン酸二カルシウム・二水和物及びコロイド状シリカを包含する。直接的圧縮錠剤化におけるそれらの及び他の賦形剤の正しい使用は、当業者、特に直接的に圧縮錠剤化の配合専門家に知られている。
【0036】
本発明のカプセル充填は、錠剤化に関して記載された前述のブレンド及び顆粒のいずれかを含んで成るが、しかしながら、それらは最終錠剤化段階にゆだねられない。医薬組成物をピル形に形状化する場合、当業界において使用される、多くの通常知られている賦形剤が使用され得る。
【0037】
本発明はまた、本発明の方法により調製されたエゼチミベ組成物も包含する。本発明はまた、治療的有効量の本発明の製剤を投与することにより、その必要な哺乳類におけるコレステロールを低めるための方法も包含する。コレステロールを低めるための本発明の組成物に含まれるエゼチミベ又は医薬的に許容できるその塩の量は特別に制限されないが、しかしながらその用量は、その病状を処理し、改善するか、又は低めるために十分であるべきである。
【0038】
本発明に従ってコレステロールを低めるための医薬組成物の投与量は、患者の使用方法、年齢、性別、体重及び病状に依存するであろう。典型的には、約1〜200mgのエゼチミベ、好ましくは錠剤当たり10mgのエゼチミベが、その投与単位形に含まれ得る。
エゼチミベは、本発明の組成物に約1〜約70%の量で存在することができる。
【0039】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も、本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明はさらに、本発明の結晶の分析、及び本発明の結晶の調製方法を詳細に記載する次の例により定義される。材料及び方法に対する多くの修飾が本発明の範囲内で行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0040】
例1:エゼチミベの溶解速度に対する粒度及び澱粉の添加の効果
d(0.5)18μm及びd(0.9)66μmの粒子分布を有するエゼチミベを、乳鉢及び乳棒を用いて微粉砕した。エゼチミベを、d(0.5) 5μm及びd(0.9)20μmの推定されるサイズに微粉砕した。サンプルを次の通りに調製した:
1)10mgの微粉砕されたエゼチミベ。
2)10mgの微粉砕されていないエゼチミベ。
3)50mgのプレゲル化された澱粉(例えば、澱粉1500(商標), Colorconから入手できる)と共にブレンドされた、10mgの微粉砕されたエゼチミベ。
4)50mgの澱粉1500と共にブレンドされた、10mgの微粉砕されていないエゼチミベ。
個々のサンプルの溶解プロフィールを、次の方法を用いて試験した:
【0041】
【表1】

【0042】
248nmの波長でUV検出器によりオンラインで分析されるサンプル及びその結果が、図1に示される。図1に示されるように、溶解速度は、微粉砕されたエゼチミベが澱粉と共にブレンドされる場合、高められる。
【0043】
例2:エゼチミベの配合物
エゼチミベをまず、1:5の重量比で澱粉と共に同時微粉砕した。次に、その混合物を用いて、次の方法に従ってエゼチミベ錠剤を調製した:
【0044】
【表2】

【0045】
150の錠剤の調製に関しては:
(a)1.5gのエゼチミベ(d(0.5)18μm及びd(0.9)66μmの粒度分布を有する)及び1.5gの澱粉を、顕微鏡観察により決定される場合、約5μm以下の最終エゼチミベ粒度に、乳鉢及び乳鉢により微粉砕した(図3:微粉砕の前の混合物;図4:微粉砕の後の混合物を参照のこと)。澱粉の残り6gを、少量ずつ(それぞれの添加において約500mg)添加し、そして個々の添加の後、エゼチミベと共に微粉砕した。
【0046】
(b)混合物をスラッグに圧縮し、そして次に、コーヒーミル機により微粉砕した。
(c)次に、パートII−ポビドンをエタノールに溶解し、粒状化溶液を得た。
(d)段階(b)からの微粉砕されたスラッグを、パートIIからの粒状化溶液と共に粒状化した。顆粒を真空下で30分間、50℃で乾燥した。次に乾燥された顆粒を、30メッシュスクリーンを通して篩分けした。
【0047】
(e)次に顆粒を、パートIII 及びパートIVの成分と共に混合した。
(f)次に、最終ブレンドを錠剤に圧縮した。
次のサンプルの溶解プロフィールを試験した:
i)上記方法に従って調製された錠剤。
ii)上記方法に従って調製された顆粒。
iii)50mgの澱粉と共にブレンドされた、10mgの微粉砕されていないエゼチミベ。
iV)段階(a)に記載されるように、50mgの澱粉と共に同時微粉砕された10mgのエゼチミベ。
【0048】
【表3】

【0049】
サンプルを、248nmの波長でUV検出器によりオンライン分析した。結果は図2に示される。図2に示されるように、溶解速度は、エゼチミベが単独で微粉砕される場合の組成物に比較して、澱粉を共にエゼチミベを同時微粉砕することにより改良された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、微粉砕された及び微粉砕されていないエゼチミベについての溶解プロフィールを示す。この図は、溶解速度に対する粒度及び澱粉の添加の効果を示す。
【図2】図2は、澱粉と共に混合された、微粉砕されていないエゼチミベに比較して、同時微粉砕されたエゼチミベ及び澱粉を含む組成物についての溶解プロフィールを示す。
【図3】図3は、澱粉と共に微粉砕されていないエゼチミベを示す。
【図4】図4は、澱粉と共に微粉砕されたエゼチミベを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの親水性賦形剤と共に同時微粉砕されたエゼチミベ(ezetimibe)を含んで成るエゼチミベ組成物。
【請求項2】
前記組成物の約40%又はそれ以上が、50RPMで回転するUSP櫂方法を用いる場合、0.15%ラウリル硫酸ナトリウムを含む、pH4.5でのリン酸緩衝液450mlに、37℃で20分で溶解される請求項1記載のエゼチミベ組成物。
【請求項3】
前記エゼチミベ組成物の約40%〜約70%が、20分で溶解される請求項2記載のエゼチミベ組成物。
【請求項4】
前記エゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が、20分で溶解される請求項2又は3記載のエゼチミベ組成物。
【請求項5】
前記エゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が、40分で溶解される請求項2〜4のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項6】
前記エゼチミベ組成物の約60%又はそれ以上が、20分で溶解される請求項2〜5のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項7】
前記親水性賦形剤が、糖又は多糖を含んで成る請求項1〜6のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項8】
前記親水性賦形剤が、澱粉を含んで成る請求項1〜7のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項9】
前記親水性賦形剤が、プレゲル化された澱粉を含んで成る請求項1〜8のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項10】
前記エゼチミベ:親水性賦形剤の重量比が、約1:10〜約10:1である請求項1〜9のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項11】
前記エゼチミベ:親水性賦形剤の重量比が、約1:6〜約1:3である請求項1〜10のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項12】
前記エゼチミベ:親水性賦形剤の重量比が、約1:5である請求項1〜11のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項13】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約25μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有する請求項1〜12のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項14】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約10μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有する請求項1〜13のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項15】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約5μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有する請求項1〜14のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項16】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約20μm以下か又はそれに等しいd(0.9)を有する請求項1〜15のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項17】
結合剤、充填剤又は滑剤から選択された、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤をさらに含んで成る請求項1〜16のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項18】
ポビドン、微晶性セルロース又はステアリン酸マグネシウムから選択された、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤をさらに含んで成る請求項1〜17のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項19】
分散剤をさらに含んで成る請求項1〜18のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項20】
少なくとも1つのポビドン又はポロキサマーをさらに含んで成る請求項1〜19のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項21】
顆粒の形で存在する請求項1〜20のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項22】
エゼチミベ組成物を形成するために、エゼチミベ及び少なくとも1つの親水性賦形剤を同時微粉砕することを含んで成るエゼチミベ組成物の調製方法。
【請求項23】
前記組成物の約40%又はそれ以上が、50RPMで回転するUSP櫂方法を用いる場合、0.15%ラウリル硫酸ナトリウムを含む、pH4.5でのリン酸緩衝液450mlに、37℃で20分で溶解される請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記エゼチミベ組成物の約40%〜約70%が、20分で溶解される請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記エゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が、20分で溶解される請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
前記エゼチミベ組成物の約50%又はそれ以上が、40分で溶解される請求項23〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記エゼチミベ組成物の約60%又はそれ以上が、20分で溶解される請求項23〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記同時微粉砕が、少なくとも1つのジェットミル、練りロール機、ハンマーミル、遠心分離−衝撃ミル及び篩、ペブルミル、カッターミル、又は乳鉢及び乳棒を用いて実施される請求項22〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記親水性賦形剤が、糖又は多糖を含んで成る請求項22〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記親水性賦形剤が、澱粉を含んで成る請求項22〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記親水性賦形剤が、プレゲル化された澱粉を含んで成る請求項22〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記エゼチミベ:親水性賦形剤の重量比が、約1:10〜約10:1である請求項22〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記エゼチミベ:親水性賦形剤の重量比が、約1:6〜約1:3である請求項22〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記エゼチミベ:親水性賦形剤の重量比が、約1:5である請求項22〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約25μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有する請求項22〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約10μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有する請求項22〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約5μm以下か又はそれに等しいd(0.5)を有する請求項22〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記同時微粉砕されたエゼチミベが、約20μm以下か又はそれに等しいd(0.9)を有する請求項22〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
(a)スラッグを形成するために前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤をスラッグ化し;そして前記スラッグを粉末に微粉砕するか、又は(b)顆粒を形成するために、前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤をスクリーンに通す段階をさらに含んで成る請求項22〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤に、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤を添加し;スラッグを形成するために前記混合物をスラッグ化し;そして前記スラッグを粉末に微粉砕することをさらに含んで成る請求項22〜39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤を粒状化することをさらに含んで成る請求項22〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤を湿式粒状化することをさらに含んで成る請求項22〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤と分散剤とを組合すことをさらに含んで成る請求項22〜42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び親水性賦形剤と少なくとも1つのポビドンまたはポロキサマーとを組合すことをさらに含んで成る請求項22〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、顆粒の形で存在する請求項22〜44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記組成物が、結合剤、充填剤又は滑剤から選択された、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤をさらに含んで成る請求項22〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記組成物が、ポビドン、微晶性セルロース又はステアリン酸マグネシウムから選択された、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤をさらに含んで成る請求項22〜46のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
請求項22〜47のいずれか1項記載の方法に従って調製されたエゼチミベ組成物。
【請求項49】
治療的有効量の請求項1〜19及び48のいずれか1項記載の組成物を、その必要な哺乳類に投与することを含んで成る、その哺乳類におけるコレステロールを低めるための方法。
【請求項50】
治療的有効量の請求項22〜47のいずれか1項記載の組成物を、その必要な哺乳類に投与することを含んで成る、その哺乳類におけるコレステロールを低めるための方法。
【請求項51】
約50重量%のプレゲル化された澱粉、約15重量%のポビドン、約25重量%の微晶性セルロース、及び約2重量%のステアリン酸マグネシウムを含んで成る請求項1〜19及び48のいずれか1項記載のエゼチミベ組成物。
【請求項52】
(a)エゼチミベ及び澱粉を、約5μm以下の平均粒度に同時微粉砕し;
(b)前記同時微粉砕されたエゼチミベ及び澱粉をスラッグに圧縮し;
(c)前記スラッグを微粉砕し;
(d)エタノール及びポビドンを含んで成る粒状化溶液と共に前記スラッグを粒状化し、顆粒を形成し;
(e)前記顆粒を乾燥し、そして30メッシュのスクリーンを通して篩分けし;
(f)前記顆粒と、微晶性セルロース及びステアリン酸マグネシウムとを混合し;そして
(g)錠剤形に圧縮する段階;
を含んで成る請求項22〜47のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−529055(P2009−529055A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558379(P2008−558379)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/005855
【国際公開番号】WO2007/103453
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】