エタノールセンサ及びこれを用いたエタノール計測システム
【課題】光ファイバセンサを用いて、エタノール感受性に優れたエタノールセンサ、及びこれを用いたエタノール計測システムを提供することを目的とする。
【解決手段】エタノールセンサ10は、伝送する光の一部が外界と相互作用するヘテロコア部3を有し、入射端に光が入射されて出射端からヘテロコア部3を通過した光を出射する光ファイバ1と、ヘテロコア部3の外周表面に設けられ、該外周表面におけるヘテロコア部3の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜16と、金属膜16の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜17とを有する。
【解決手段】エタノールセンサ10は、伝送する光の一部が外界と相互作用するヘテロコア部3を有し、入射端に光が入射されて出射端からヘテロコア部3を通過した光を出射する光ファイバ1と、ヘテロコア部3の外周表面に設けられ、該外周表面におけるヘテロコア部3の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜16と、金属膜16の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜17とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノール濃度の計測が可能なエタノールセンサ、及びこれを用いたエタノール計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な方式のエタノールセンサが多様な分野で用途に合わせて用いられている。例えば、酒類、発酵製品、もろみ、バイオエタノール中などのエタノール濃度を計測する場合には、酵素や微生物などの固定化生体触媒を利用したバイオセンサ、あるいは半導体式や接触燃焼式ガスセンサ等が用いられている。ノートパソコン用などのメタノール燃料電池のメタノール濃度を計測する場合には、水品振動子センサやSAW(弾性表面波)センサ等が用いられている。警察による飲酒運転の取り締まり時に、被験者の呼気に含まれるエタノールの濃度を計測する場合には、ガスクロマトグラフ、あるいは半導体式や接触燃焼式ガスセンサ等が用いられている。
【0003】
従来のエタノールセンサは、それぞれ欠点があり、汎用性の高いエタノールセンサが求められていた。特に、計測可能なエタノール濃度が広範囲であり、長期間に亘って経年劣化することなく、引火性のあるエタノールに対して火災のおそれを防止するためセンサ部に電気的接点を有さず、遠隔監視が可能なエタノールセンサが求められていた。光ファイバセンサをエタノールセンサとして用いれば、これら全ての特性を満たす可能があると考えられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、光ファイバのコアの表面に、キトサン/PVA(Polyvinyl Alcohol)膜からなるクラッドを被着させたエタノールセンサが開示されている。光ファイバセンサ内を光が伝搬する際、被検液中の水/エタノールの組成比によりキトサン/PVA膜クラッドの膨潤収縮の程度が変化し、このクラッドの密度変化により臨界角が変化して、伝搬光量が変化する。そこで、透過光量を計測することにより、これに対応した被検液中のエタノール濃度を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−19123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のエタノールセンサによれば、エタノール感受性が劣るため、複数本束ねて用いる必要があるという問題がある。また、一部のクラッドを剥離するので、製造が困難であり、光ファイバの機械的強度を損ねるという問題がある。また、キトサン/PVA膜クラッドを均一な厚さにすることや膜厚調整は困難であるため、計測結果にバラツキが生じるという問題がある。また、応答が平衡に達するまで60秒程度必要であり、リアルタイム計測ができないという問題がある。また、通常の通信用光ファイバではなく、長さ40mm、直径0.8mmの石英コアを有する特殊な光ファイバを用いており、光ファイバ計測の利点である遠隔計測が困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、光ファイバセンサを用いて、エタノール感受性に優れたエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、製造が容易なエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、製造が容易であり、機械的強度に優れたエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、計測にバラツキが生じないエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、リアルタイム計測が可能なエタノールセンサを提供することを目的とする。また、通常の通信用光ファイバを用いた遠隔計測が容易なエタノールセンサを提供することを目的とする。さらに、これらエタノールセンサを用いたエタノール計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のエタノールセンサは、異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部が外界と相互作用するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記光透過部材を通過した光を出射する光ファイバと、前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、該外周表面における前記ヘテロコア部での光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、該金属膜の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とする。
【0009】
第1発明のエタノールセンサによれば、光ファイバがヘテロコア部を有している。そして、ヘテロコア部の外周表面には、ヘテロコア部の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜が設けられ、金属膜の外周表面には、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜が設けられている。
【0010】
光ファイバを伝送された光は、ヘテロコア部を通過するとき、その一部がリークする。雰囲気中のエタノールに応じて屈折率が変化する交互積層膜がヘテロコア部の周囲に形成されており、リーク光のモードは屈折率に応じて崩される。さらに、リーク光はヘテロコア部のクラッドと金属膜との境界において反射するが、このとき、エバネッセント相互作用により相互作用が発生し、光損失としてスペクトル上に変化が現れ、反射率が変化する。さらに、表面プラズモン共鳴により、光のエネルギーが表面プラズモン共鳴波を作り出すために奪われ、失われるので、反射率の変化がより大きくなる。そのため、光ファイバの出射端で計測される光損失と屈折率が相関関係を有することになり、雰囲気中のエタノール濃度を求めることが可能となる。また、ヘテロコア部での光損失が大きく、雰囲気中のエタノール濃度の変化による光損失の変化量が大きいので、上記特許文献1に記載のエタノールセンサに比べて、計測精度が非常に優れている。
【0011】
また、上記特許文献1に記載のエタノールセンサとは異なり、クラッドを剥離せず、光ファイバの外表面に金属膜と交互積層膜を設けているので、製造が容易であり、光ファイバの機械的強度を損ねることもない。また、交互積層膜は、交互積層法により容易に形成可能であるとともに、各層厚は均一であるため、計測精度にバラツキが生じず、エタノール感受性を層数により調整することも可能となる。また、コア径の異なる通常の通信用光ファイバを用いて、ヘテロコア部を有する光ファイバを形成することが可能であるので、遠隔計測が容易である。
【0012】
また、エタノールの交互積層膜への浸透により屈折率が直ちに変化するため、リアルタイム計測が可能である。
【0013】
第2発明のエタノールセンサは、異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部を漏洩するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記ヘテロコア部を通過した光を出射する光ファイバと、前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とする。
【0014】
第2発明のエタノールセンサによれば、第1発明のエタノールセンサと同様に、ヘテロコア部を有し、その外周表面に、雰囲気中のエタノールにより収縮して屈折率が変化する交互積層膜が設けられている。
【0015】
第2発明のエタノールセンサは、金属膜を有する第1発明のエタノールセンサと異なり、表面プラズモン共鳴は発生しないが、第1発明のエタノールセンサと同様に、光ファイバの出射端で計測される光損失と屈折率が相関関係を有することになり、光ファイバの出射端で光損失を計測することにより、雰囲気中のエタノール濃度を求めることが可能となる。
【0016】
本発明のエタノール計測システムによれば、第1発明又は第2発明のエタノールセンサと、前記光ファイバの入射端に設けられた光源と、前記光ファイバの出射端に設けられた受光部とを備えることを特徴とする。
【0017】
そのため、第1発明又は第2発明のエタノールセンサが備える効果を有し、エタノールを高精度で計測することが可能なエタノール計測システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図2】センサ部近傍を示し、(a)は模式斜視図、(b)は断面図。
【図3】実施例1におけるエタノール濃度と光損失との関係を示すグラフ。
【図4】実施例2におけるエタノール濃度と光損失との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図6】本発明の第3実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図7】センサ部近傍を示す断面図。
【図8】本発明の第4実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図9】本発明の第5実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図10】本発明の第6実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図11】センサ部近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。
【0020】
図1を参照して、エタノール計測システムは、センサ部SPが所定の曲率半径を維持するように支持されたエタノールセンサ10を備えており、センサ部SPを取り囲む計測雰囲気中のエタノール濃度を計測するものである。計測雰囲気が液体である場合、センサ部SPを被計測溶液中に浸し、計測雰囲気が気体である場合、センサ部SPの周りを取り囲む被計測気体が計測可能となる。
【0021】
センサ部SP及びその近傍が所定の曲率半径を維持するように、光ファイバ1a,1bが固定具20に固定されている。固定具20は、開口部20aを有しており、この開口部20a内にセンサ部SPが位置するように構成されている。光ファイバ1a,1bは、センサ部SPを含む固定部間に適度な張力が付与されるようにして、固定具20の側面に接着剤や接着テープ等によって固定されている。ここでは、センサ部SP及びその近傍は、略直線(曲率半径が無限大)となるように固定されている。
【0022】
光ファイバ1の入射端である光ファイバ1aの端部には、白色光源、タングステンランプなどからなる光源30が接続されている。光ファイバ1の出射端である光ファイバ1bの端部には、スペクトラムアナライザやフォトダイドード(PD)や電荷結合素子(CCD)などの受光素子を有する受光部40が接続されている。さらに、受光部40には、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる計測部50が接続されている。なお、受光部40から計測部50に無線で受光信号を送信してもよい。
【0023】
図2(a)及び図2(b)を参照して、エタノールセンサ10は、光ファイバ1を有している。光ファイバ1は、入射端側の光ファイバ1aと、出射端側の光ファイバ1bと、光ファイバ1a,1b間に挿入された短い光ファイバ2とから構成されている。
【0024】
センサ部SPは、光ファイバ1a,1b間に設けた短い光ファイバ2により構成されたヘテロコア部3を有している。ヘテロコア部3は、光ファイバ1a,1bを伝送する光の一部を外界と相互作用させる光透過部材である。
【0025】
光ファイバ1a,1bは、コア11と、その外周部に設けられたクラッド12とを有する長いマルチモード光ファイバである。ここでは、コア11の径は50μm又は62.5μmであり、クラッド12の径は125μmである。なお、光ファイバ1a,1bの外表面は、樹脂などからなる被覆材により被覆されていてもよい。
【0026】
一方、光ファイバ2は、光ファイバ1a,1bとコア径が異なり、ヘテロコア部3を構成している。光ファイバ2は、コア13と、その外周部に設けられたクラッド14とを有する短いシングルモード光ファイバである。ここでは、コア13の径は3μmであり、クラッド14の径は125μmであり、光ファイバ2の長さは10〜20mm程度である。
【0027】
コア11の屈折率はクラッド12の屈折率よりもわずかに大きく、コア13の屈折率はクラッド14の屈折率よりもわずかに大きい。コア11,13とクラッド12,14とはいずれも光透過性部材であり、光を伝送することが可能である。
【0028】
なお、光ファイバ2のコア径が、光ファイバ1a,1bのコア径よりも大きくなるように構成されていてもよい。また、光ファイバ2の代わりに、光ファイバ1a,1bのコア11の屈折率あるいはクラッド12の屈折率と同等の屈折率を有する素材からなるものであってもよい。この場合、コア13の径が、0あるいはクラッド14の径と同じである一種のヘテロコア部であると考えることが可能である。
【0029】
光ファイバ1a,1bと光ファイバ2とは、例えば、長手方向に直交する界面15でコア11,13が接合するように、略同軸に、放電による融着などによって接合されている。なお、1本の光ファイバのコアに予めスリットを形成しておき、溶融延伸することによって、ヘテロコア部3を形成してもよい。また、コア11,13の径が漸次変化するものであってもよい。
【0030】
センサ部SPは、ヘテロコア部3である光ファイバ2、及び光ファイバ2の外表面に形成された金属膜16、交互積層膜17から構成されている。
【0031】
光ファイバ2の外周表面には、金属膜16が形成されている。ここでは、金属膜16は、クラッド14の外周表面に蒸着により形成した厚さ数nm程度のクロム膜と、このクロム膜の外表面に蒸着により形成した厚さ数十nm程度の金膜とが積層されて構成されている。なお、銀やアルミニウム等の他の金属を用いて、あるいは、蒸着以外の方法を用いて金属膜16を形成してもよい。
【0032】
金属膜16の外周表面には、エタノール感受性を有する交互積層膜17が形成されている。交互積層膜17は、エタノールにより収縮又は膨潤する層を有しており、計測雰囲気中のエタノール濃度に応じて収縮又は膨潤し、屈折率が変化する。
【0033】
交互積層膜17は、交互積層法により形成された有機膜であり、複数の積層されたポリイオン膜からなる。交互積層法は、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)と負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に、基材を交互に浸漬することで基板上に静電的引力によって吸着したポリカチオンとポリアニオンの組が積層して、複合膜(交互積層膜)を得るものである。
【0034】
交互積層膜17は、例えば、シランカップリング剤で処理して金属膜17の表面にプロトン化したアミノ基(−NH3+)を導入し、その後、電離したカルボキシル基(−COO−)を有するポリマーの溶液と、プロトン化したアミノ基(−NH3+)を有するポリマーの溶液とに交互に浸漬することにより、製造することができる。各ポリイオン層の膜厚などは、ポリマー溶液の濃度や浸漬時間などによって調整できる。
【0035】
交互積層膜17は、例えば、イオンカップリング剤で処理して金属膜17の表面に電離したカルボキシル基(−COO−)を導入し、その後、プロトン化したアミノ基(−NH3+)を有するポリマーの溶液と、電離したカルボキシル基(−COO−)を有するポリマーの溶液とに交互に浸漬するようにしてもよい。
【0036】
交互積層膜17は、ここでは、50層から80層であり、数層、あるいは百層を超えるものであってもよい。各層の厚さは、分子レベルである。層数の変更により、容易にエタノール感受性を調整することが可能となる。
【0037】
ヘテロコア部3を構成する光ファイバ2のコア13の径と光ファイバ1a,1bのコア11の径とが界面15で異なっており、このコア径の差に起因して、図2(a)に示すように、光ファイバ1aを伝送された光の一部が光ファイバ2のクラッド13へリークしてリーク光Wが発生する。
【0038】
ここで、光ファイバ1aのコア11内において、光は光ファイバの通常の性質から複数のモードが形成された光として伝送される。光ファイバ1aによって伝送される光のモードは、コア11とクラッド12との境界における光の反射角として模式的にとらえることも可能である。光のモードを反射角ととらえた場合には、光ファイバ1aにおける光の反射角は、非常に多くの離散的な角度であると考えることができる。
【0039】
多様なモードである光は、界面15を通過してヘテロコア部3のクラッド14に入射するときに、モードの規定が解除されてモードが崩される。言い換えれば、ヘテロコア部3内においては、クラッド14と金属膜16との境界において光が様々な反射角度で伝わるようになる。これは、光がヘテロコア部3へ入射するときに、モード形態を決定付ける様々な条件(コア径・屈折率・屈折率分布)が変化することと、モード形成の一つの要因であるファイバ長がヘテロコア部2の長さでは不十分であること、に起因すると考えられる。従って、あるモードに規定されていた光がヘテロコア部3に入射すると、そのモードの規定が解除されてモードが崩され、様々な反射角度で反射する、モードが崩された光となってクラッド14内にリークする。
【0040】
このとき、リーク光Wはヘテロコア部3のクラッド14と金属膜16との境界において反射する。このとき、エバネッセント相互作用と呼ばれる現象により、クラッド14内の光と金属膜16との間において相互作用が発生し、光損失としてスペクトル上に変化が現れ、反射率が変化する。大部分の場合には、光の反射率が低下して反射光の強度が減少する。なお、本実施形態では、光源30から光ファイバ1に入射させた光の強度変化を利用して計測するため、1つの波長に対するモード郡の合算の光強度のみを考慮すれば十分である。
【0041】
金属膜16を設けたことによって、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)と呼ばれる現象により、光のエネルギーが表面プラズモン共鳴波を作り出すために奪われ、失われるので、反射率の変化をより大きくすることができ、光の強度変化の計測をより容易化することができる。
【0042】
ここで、金属膜16に接している物質である交互積層膜17の屈折率が計測雰囲気中のエタノール濃度に応じて変化すると、クラッド14内の光の反射スペクトルが変化し、反射光の強度が変化する。
【0043】
従って、受光部40で透過光を計測し反射光の強度を求めることにより、交互積層膜17の屈折率を介して、計測雰囲気中のエタノール濃度を得ることができる。ここで、光損失と計測雰囲気中のエタノール濃度を予め関係付けておくことにより、計測した透過光から得られる光損失から計測雰囲気中のエタノール濃度を求めることができる。
【0044】
センサ部SPにおいて、コア11とコア13の径の組み合わせによっては、リーク光Wが大きくなり、光損失も大きくなり、一方、リーク光Wが小さくなれば、光損失も小さくなる。そして、ヘテロコア型のセンサ部SPにおいて、リーク光Wの大きさ、即ち光損失は、センサ部SP近傍の光ファイバ1の屈曲に応じて鋭敏に変化する。よって、センサ部SPを挟む位置である程度の曲率半径となるように光ファイバ1を屈曲して保持することなどにより光損失を増やす方向に調整することができ、エタノール濃度の計測精度を向上させることが可能となる。
【0045】
以上のように、計測雰囲気中のエタノール濃度に応じて屈折率が変化する交互積層膜17を、リーク光Wの大きなヘテロコア型のセンサ部SPに設けている。そのため、エタノール濃度を精度良く計測することが可能となる。
【0046】
また、上記特許文献1に記載のエタノールセンサとは異なり、クラッドを剥離せず、クラッド14の外表面に金属膜16と交互積層膜17を設けているので、製造が容易であり、光ファイバ1の機械的強度を損ねることもない。
【0047】
また、交互積層膜17は、交互積層法により形成しているので、各層厚は均一であるため、計測精度にバラツキが生じず、また、層数によってエタノール感受性を調整することも可能となる。
【0048】
また、エタノールの交互積層膜17への浸透により屈折率が直ちに変化するため、リアルタイム計測が可能である。例えば、センサ部SPを被計測溶液に浸すとき、応答である光損失は直ちに生じる。ただし、センサ部SPを被計測溶液から引き上げるときは、交互積層膜17の膜中や膜表面に溶液が残存するため、これの溶液が落下、蒸発するために時間を要し、応答時間は数秒程度となる。
【0049】
また、上記特許文献1に記載のエタノールセンサとは異なり、気体中のエタノール濃度を計測することも可能である。
【0050】
〔実施例1〕
ポリアクリル酸ナトリウム(Poly Acryl Acid-Na)とポリアリルアミン(Poly allylamine-HCl)を80層交互積層した交互積層膜17を有するエタノールセンサ10を作製した。そして、異なるエタノール濃度を有する溶液中にエタノールセンサ10を浸し、波長600nmにおける光損失を計測した。この結果を、図3に示す。なお、光損失は空気中での光損失との差を表している。
【0051】
エタノールセンサ10を水に浸したとき、光損失が減少した。ポリアクリル酸ナトリウムは、高吸水性であり、水に浸すと網目構造の中に水分子を取り込み膨潤する。これにより、水に浸したとき、交互積層膜17の屈折率が減少し、ヘテロコア部3から外界に漏れる光が減少したため、光損失は減少したと考えられる。エタノール濃度の増加に伴い光損失は増加した。これはエタノールにより交互積層膜17が収縮し、ファイバ表面の屈折率が増大したため、センサ部SPから伝送光が外部に漏れたために光損失が増大したと考えられる。なお、水による膨潤とエタノールによる収縮が拮抗するため、空気中での光損失との差が0となるエタノール濃度が存在することになる。
【0052】
〔実施例2〕
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Poly Styrene Sulfonate Acid-Na)とポリアリルアミン(Poly allylamine-HCl)を80層交互積層した交互積層膜17を有するエタノールセンサ10を作製した。そして、異なるエタノール濃度を有する溶液中にエタノールセンサ10を浸し、波長600nmにおける光損失を計測した。この結果を、図4に示す。なお、光損失は空気中での光損失との差を表している。
【0053】
エタノールセンサ10を水に浸したとき、光損失は増加し、光損失はエタノール濃度の増加に伴いさらに増大した。この結果、交互積層膜17は、水、エタノールともに対して収縮すると考えられる。
【0054】
図3と図4を比較すると、図4の方が光損失と直線関係が得られるエタノール濃度範囲が大きいことが理解される。よって、水溶液中でのエタノール濃度計測には、実施例2のエタノールセンサ10の方が適していると考えられる。
【0055】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図5を参照して、このエタノール計測システムは、第1実施形態と同じエタノールセンサ10を備えている。
【0056】
光ファイバ1aの中途部に光カプラ21を設け、光カプラ21で別の光ファイバ1cを分岐させるとともに、光ファイバ1bの端部に銀蒸着などによって鏡を形成した反射部22を設けている。そして、分岐された光ファイバ1cの端部が出射端となり、この出射端に受光部40が接続されている。
【0057】
反射部21で反射した光は、センサ部SPを再度通過するため、センサ部SPを一方向に通過させただけの光と比較して外界との相互作用をより多く発生させた光が受光部40で受光されることとなる。よって、計測雰囲気中のエタノール濃度の計測精度がより向上する。
【0058】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図6を参照して、このエタノール計測システムは、ティップ型の光ファイバセンサからなるエタノールセンサ10Aを備えている。なお、センサ部SPA及びその近傍が所定の曲率半径を維持する図示しない固定具を備えている。
【0059】
図7を参照して、エタノールセンサ10Aのセンサ部SPAを構成するヘテロコア部3Aは、光ファイバ1aの先端に存在している。
【0060】
ヘテロコア部3Aのうち光ファイバ1aに融着されている端部とは反対側の端部の表面に、反射膜18が設けられている。反射膜18は、ここでは、銀を蒸着することにより形成されている。反射膜18の膜厚は、ヘテロコア部3A内の光を光ファイバ1a側に十分に反射することができる程度の厚さであり、例えば、数百nm程度である。
【0061】
反射膜19によりヘテロコア部3Aの先端が鏡面状となっていることにより、ヘテロコア部3A内の光が先端で反射しやすくなっており、多くの光が光ファイバ1a側に戻り、受光部40で受光される。
【0062】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図8を参照して、このエタノール計測システムは、第1実施形態と同じエタノールセンサ10を備えている。
【0063】
光ファイバ1aの光入射端に、半導体発光ダイオード(LED)や半導体レーザなどの発光素子を有する光源30Aが設けられ、光ファイバ1bの光出射端に光出射端から出射されるセンサ光を検出する光マルチメータからなる受光部40Aが設けられている。
【0064】
光源30Aは、単一波長の光を発光するので、受光部40Aには分光しないで光強度を計測可能な光マルチメータを用いることができる。
【0065】
光源30Aの発光波長は、表面プラズモン共鳴が生じる波長領域(共鳴波長を中心とする波長領域)から特定の波長を選択し、光マルチメータでモニタする光強度の減衰から、エタノール濃度に応じて屈折率が変化する交互積層膜17の屈折率変化を感知することができる。
【0066】
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図9を参照して、このエタノール計測システムは、第1実施形態と同じエタノールセンサ10を備えている。
【0067】
光ファイバ1aの端部には、OTDR(Optical time-domain reflectometer)装置60が接続されている。OTDR装置60からセンサ光が光ファイバ1aに入射されると、センサ部SPで後方へのレイリー散乱光が発生し、このレイリー散乱光をOTDR装置60自身が検出する。
【0068】
センサ部SPでの光の減衰に応じて、レイリー錯乱光も変化する。そこで、OTDR装置60が計測する光強度はセンサ部SPの屈折率によって変化することになり、実質的に光強度を計測することによってエタノール濃度を得ることができる。
【0069】
なお、OTDR装置60を用いた場合、1本の光ファイバ1に複数のセンサ部SPを直列に設けて、各センサ部SPにおいてエタノール濃度を同時に計測することも可能となる。ただし、OTDR装置60を用いた場合、リアルタイム計測はできない。
【0070】
〔第6実施形態〕
本発明の第6実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図10を参照して、このエタノール計測システムは、エタノールセンサ10Bを備えている。
【0071】
図11を参照して、エタノールセンサ10Bは、第1実施形態におけるエタノールセンサ10と異なり、センサ部SPBに金属膜16を備えていない。金属膜16の代わりに、イオン結合によってクラッド14の外表面にアミノ基を導入することにより、クラッド14の外周表面に交互積層膜17を設けている。ヘテロコア部3Bは、光ファイバ1a,1bを伝送する光の一部を漏洩する光透過部材となっている。
【0072】
エタノールセンサ10Bは、金属膜16が存在しないので、表面プラズモン共鳴波が発生しない。しかし、センサ部SPBは、ヘテロコア部3を有しているので、光損失が大きく、この光損失は交互積層膜17の屈折率に依存する。そのため、エタノールセンサ10Bを用いて、計測雰囲気中のエタノール濃度を精度良く計測することは可能である。
【0073】
なお、本発明に係るエタノールセンサ及びエタノール計測システムは、上記各実施形態に限定されない。例えば、各実施形態を適宜組みあせてもよい。
【0074】
なお、光ファイバ1a,1b及び光ファイバ2の双方、あるいは一方が、マルチモード光ファイバであってもよい。ただし、光ファイバ1a,1b及び光ファイバ2がシングルモード光ファイバであれば、外部からの影響がより受け難いので好ましい。
【符号の説明】
【0075】
1…光ファイバ、 1a,1b…光ファイバ、 2…光ファイバ、3…ヘテロコア部、 10,10A,10B…エタノールセンサ、 11…コア、 12…クラッド、 13…コア、 14…クラッド、 15…界面、 16…金属膜、 17…交互積層膜、 20…固定具、 30,30A…光源、 40,40A…受光部、 50…計測部、 SP,SPA,SPB…センサ部、 W…リーク光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノール濃度の計測が可能なエタノールセンサ、及びこれを用いたエタノール計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な方式のエタノールセンサが多様な分野で用途に合わせて用いられている。例えば、酒類、発酵製品、もろみ、バイオエタノール中などのエタノール濃度を計測する場合には、酵素や微生物などの固定化生体触媒を利用したバイオセンサ、あるいは半導体式や接触燃焼式ガスセンサ等が用いられている。ノートパソコン用などのメタノール燃料電池のメタノール濃度を計測する場合には、水品振動子センサやSAW(弾性表面波)センサ等が用いられている。警察による飲酒運転の取り締まり時に、被験者の呼気に含まれるエタノールの濃度を計測する場合には、ガスクロマトグラフ、あるいは半導体式や接触燃焼式ガスセンサ等が用いられている。
【0003】
従来のエタノールセンサは、それぞれ欠点があり、汎用性の高いエタノールセンサが求められていた。特に、計測可能なエタノール濃度が広範囲であり、長期間に亘って経年劣化することなく、引火性のあるエタノールに対して火災のおそれを防止するためセンサ部に電気的接点を有さず、遠隔監視が可能なエタノールセンサが求められていた。光ファイバセンサをエタノールセンサとして用いれば、これら全ての特性を満たす可能があると考えられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、光ファイバのコアの表面に、キトサン/PVA(Polyvinyl Alcohol)膜からなるクラッドを被着させたエタノールセンサが開示されている。光ファイバセンサ内を光が伝搬する際、被検液中の水/エタノールの組成比によりキトサン/PVA膜クラッドの膨潤収縮の程度が変化し、このクラッドの密度変化により臨界角が変化して、伝搬光量が変化する。そこで、透過光量を計測することにより、これに対応した被検液中のエタノール濃度を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−19123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のエタノールセンサによれば、エタノール感受性が劣るため、複数本束ねて用いる必要があるという問題がある。また、一部のクラッドを剥離するので、製造が困難であり、光ファイバの機械的強度を損ねるという問題がある。また、キトサン/PVA膜クラッドを均一な厚さにすることや膜厚調整は困難であるため、計測結果にバラツキが生じるという問題がある。また、応答が平衡に達するまで60秒程度必要であり、リアルタイム計測ができないという問題がある。また、通常の通信用光ファイバではなく、長さ40mm、直径0.8mmの石英コアを有する特殊な光ファイバを用いており、光ファイバ計測の利点である遠隔計測が困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、光ファイバセンサを用いて、エタノール感受性に優れたエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、製造が容易なエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、製造が容易であり、機械的強度に優れたエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、計測にバラツキが生じないエタノールセンサを提供することを目的とする。また、光ファイバセンサを用いて、リアルタイム計測が可能なエタノールセンサを提供することを目的とする。また、通常の通信用光ファイバを用いた遠隔計測が容易なエタノールセンサを提供することを目的とする。さらに、これらエタノールセンサを用いたエタノール計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のエタノールセンサは、異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部が外界と相互作用するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記光透過部材を通過した光を出射する光ファイバと、前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、該外周表面における前記ヘテロコア部での光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、該金属膜の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とする。
【0009】
第1発明のエタノールセンサによれば、光ファイバがヘテロコア部を有している。そして、ヘテロコア部の外周表面には、ヘテロコア部の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜が設けられ、金属膜の外周表面には、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜が設けられている。
【0010】
光ファイバを伝送された光は、ヘテロコア部を通過するとき、その一部がリークする。雰囲気中のエタノールに応じて屈折率が変化する交互積層膜がヘテロコア部の周囲に形成されており、リーク光のモードは屈折率に応じて崩される。さらに、リーク光はヘテロコア部のクラッドと金属膜との境界において反射するが、このとき、エバネッセント相互作用により相互作用が発生し、光損失としてスペクトル上に変化が現れ、反射率が変化する。さらに、表面プラズモン共鳴により、光のエネルギーが表面プラズモン共鳴波を作り出すために奪われ、失われるので、反射率の変化がより大きくなる。そのため、光ファイバの出射端で計測される光損失と屈折率が相関関係を有することになり、雰囲気中のエタノール濃度を求めることが可能となる。また、ヘテロコア部での光損失が大きく、雰囲気中のエタノール濃度の変化による光損失の変化量が大きいので、上記特許文献1に記載のエタノールセンサに比べて、計測精度が非常に優れている。
【0011】
また、上記特許文献1に記載のエタノールセンサとは異なり、クラッドを剥離せず、光ファイバの外表面に金属膜と交互積層膜を設けているので、製造が容易であり、光ファイバの機械的強度を損ねることもない。また、交互積層膜は、交互積層法により容易に形成可能であるとともに、各層厚は均一であるため、計測精度にバラツキが生じず、エタノール感受性を層数により調整することも可能となる。また、コア径の異なる通常の通信用光ファイバを用いて、ヘテロコア部を有する光ファイバを形成することが可能であるので、遠隔計測が容易である。
【0012】
また、エタノールの交互積層膜への浸透により屈折率が直ちに変化するため、リアルタイム計測が可能である。
【0013】
第2発明のエタノールセンサは、異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部を漏洩するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記ヘテロコア部を通過した光を出射する光ファイバと、前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とする。
【0014】
第2発明のエタノールセンサによれば、第1発明のエタノールセンサと同様に、ヘテロコア部を有し、その外周表面に、雰囲気中のエタノールにより収縮して屈折率が変化する交互積層膜が設けられている。
【0015】
第2発明のエタノールセンサは、金属膜を有する第1発明のエタノールセンサと異なり、表面プラズモン共鳴は発生しないが、第1発明のエタノールセンサと同様に、光ファイバの出射端で計測される光損失と屈折率が相関関係を有することになり、光ファイバの出射端で光損失を計測することにより、雰囲気中のエタノール濃度を求めることが可能となる。
【0016】
本発明のエタノール計測システムによれば、第1発明又は第2発明のエタノールセンサと、前記光ファイバの入射端に設けられた光源と、前記光ファイバの出射端に設けられた受光部とを備えることを特徴とする。
【0017】
そのため、第1発明又は第2発明のエタノールセンサが備える効果を有し、エタノールを高精度で計測することが可能なエタノール計測システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図2】センサ部近傍を示し、(a)は模式斜視図、(b)は断面図。
【図3】実施例1におけるエタノール濃度と光損失との関係を示すグラフ。
【図4】実施例2におけるエタノール濃度と光損失との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図6】本発明の第3実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図7】センサ部近傍を示す断面図。
【図8】本発明の第4実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図9】本発明の第5実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図10】本発明の第6実施形態に係るエタノール計測システムを示す説明図。
【図11】センサ部近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。
【0020】
図1を参照して、エタノール計測システムは、センサ部SPが所定の曲率半径を維持するように支持されたエタノールセンサ10を備えており、センサ部SPを取り囲む計測雰囲気中のエタノール濃度を計測するものである。計測雰囲気が液体である場合、センサ部SPを被計測溶液中に浸し、計測雰囲気が気体である場合、センサ部SPの周りを取り囲む被計測気体が計測可能となる。
【0021】
センサ部SP及びその近傍が所定の曲率半径を維持するように、光ファイバ1a,1bが固定具20に固定されている。固定具20は、開口部20aを有しており、この開口部20a内にセンサ部SPが位置するように構成されている。光ファイバ1a,1bは、センサ部SPを含む固定部間に適度な張力が付与されるようにして、固定具20の側面に接着剤や接着テープ等によって固定されている。ここでは、センサ部SP及びその近傍は、略直線(曲率半径が無限大)となるように固定されている。
【0022】
光ファイバ1の入射端である光ファイバ1aの端部には、白色光源、タングステンランプなどからなる光源30が接続されている。光ファイバ1の出射端である光ファイバ1bの端部には、スペクトラムアナライザやフォトダイドード(PD)や電荷結合素子(CCD)などの受光素子を有する受光部40が接続されている。さらに、受光部40には、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる計測部50が接続されている。なお、受光部40から計測部50に無線で受光信号を送信してもよい。
【0023】
図2(a)及び図2(b)を参照して、エタノールセンサ10は、光ファイバ1を有している。光ファイバ1は、入射端側の光ファイバ1aと、出射端側の光ファイバ1bと、光ファイバ1a,1b間に挿入された短い光ファイバ2とから構成されている。
【0024】
センサ部SPは、光ファイバ1a,1b間に設けた短い光ファイバ2により構成されたヘテロコア部3を有している。ヘテロコア部3は、光ファイバ1a,1bを伝送する光の一部を外界と相互作用させる光透過部材である。
【0025】
光ファイバ1a,1bは、コア11と、その外周部に設けられたクラッド12とを有する長いマルチモード光ファイバである。ここでは、コア11の径は50μm又は62.5μmであり、クラッド12の径は125μmである。なお、光ファイバ1a,1bの外表面は、樹脂などからなる被覆材により被覆されていてもよい。
【0026】
一方、光ファイバ2は、光ファイバ1a,1bとコア径が異なり、ヘテロコア部3を構成している。光ファイバ2は、コア13と、その外周部に設けられたクラッド14とを有する短いシングルモード光ファイバである。ここでは、コア13の径は3μmであり、クラッド14の径は125μmであり、光ファイバ2の長さは10〜20mm程度である。
【0027】
コア11の屈折率はクラッド12の屈折率よりもわずかに大きく、コア13の屈折率はクラッド14の屈折率よりもわずかに大きい。コア11,13とクラッド12,14とはいずれも光透過性部材であり、光を伝送することが可能である。
【0028】
なお、光ファイバ2のコア径が、光ファイバ1a,1bのコア径よりも大きくなるように構成されていてもよい。また、光ファイバ2の代わりに、光ファイバ1a,1bのコア11の屈折率あるいはクラッド12の屈折率と同等の屈折率を有する素材からなるものであってもよい。この場合、コア13の径が、0あるいはクラッド14の径と同じである一種のヘテロコア部であると考えることが可能である。
【0029】
光ファイバ1a,1bと光ファイバ2とは、例えば、長手方向に直交する界面15でコア11,13が接合するように、略同軸に、放電による融着などによって接合されている。なお、1本の光ファイバのコアに予めスリットを形成しておき、溶融延伸することによって、ヘテロコア部3を形成してもよい。また、コア11,13の径が漸次変化するものであってもよい。
【0030】
センサ部SPは、ヘテロコア部3である光ファイバ2、及び光ファイバ2の外表面に形成された金属膜16、交互積層膜17から構成されている。
【0031】
光ファイバ2の外周表面には、金属膜16が形成されている。ここでは、金属膜16は、クラッド14の外周表面に蒸着により形成した厚さ数nm程度のクロム膜と、このクロム膜の外表面に蒸着により形成した厚さ数十nm程度の金膜とが積層されて構成されている。なお、銀やアルミニウム等の他の金属を用いて、あるいは、蒸着以外の方法を用いて金属膜16を形成してもよい。
【0032】
金属膜16の外周表面には、エタノール感受性を有する交互積層膜17が形成されている。交互積層膜17は、エタノールにより収縮又は膨潤する層を有しており、計測雰囲気中のエタノール濃度に応じて収縮又は膨潤し、屈折率が変化する。
【0033】
交互積層膜17は、交互積層法により形成された有機膜であり、複数の積層されたポリイオン膜からなる。交互積層法は、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)と負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に、基材を交互に浸漬することで基板上に静電的引力によって吸着したポリカチオンとポリアニオンの組が積層して、複合膜(交互積層膜)を得るものである。
【0034】
交互積層膜17は、例えば、シランカップリング剤で処理して金属膜17の表面にプロトン化したアミノ基(−NH3+)を導入し、その後、電離したカルボキシル基(−COO−)を有するポリマーの溶液と、プロトン化したアミノ基(−NH3+)を有するポリマーの溶液とに交互に浸漬することにより、製造することができる。各ポリイオン層の膜厚などは、ポリマー溶液の濃度や浸漬時間などによって調整できる。
【0035】
交互積層膜17は、例えば、イオンカップリング剤で処理して金属膜17の表面に電離したカルボキシル基(−COO−)を導入し、その後、プロトン化したアミノ基(−NH3+)を有するポリマーの溶液と、電離したカルボキシル基(−COO−)を有するポリマーの溶液とに交互に浸漬するようにしてもよい。
【0036】
交互積層膜17は、ここでは、50層から80層であり、数層、あるいは百層を超えるものであってもよい。各層の厚さは、分子レベルである。層数の変更により、容易にエタノール感受性を調整することが可能となる。
【0037】
ヘテロコア部3を構成する光ファイバ2のコア13の径と光ファイバ1a,1bのコア11の径とが界面15で異なっており、このコア径の差に起因して、図2(a)に示すように、光ファイバ1aを伝送された光の一部が光ファイバ2のクラッド13へリークしてリーク光Wが発生する。
【0038】
ここで、光ファイバ1aのコア11内において、光は光ファイバの通常の性質から複数のモードが形成された光として伝送される。光ファイバ1aによって伝送される光のモードは、コア11とクラッド12との境界における光の反射角として模式的にとらえることも可能である。光のモードを反射角ととらえた場合には、光ファイバ1aにおける光の反射角は、非常に多くの離散的な角度であると考えることができる。
【0039】
多様なモードである光は、界面15を通過してヘテロコア部3のクラッド14に入射するときに、モードの規定が解除されてモードが崩される。言い換えれば、ヘテロコア部3内においては、クラッド14と金属膜16との境界において光が様々な反射角度で伝わるようになる。これは、光がヘテロコア部3へ入射するときに、モード形態を決定付ける様々な条件(コア径・屈折率・屈折率分布)が変化することと、モード形成の一つの要因であるファイバ長がヘテロコア部2の長さでは不十分であること、に起因すると考えられる。従って、あるモードに規定されていた光がヘテロコア部3に入射すると、そのモードの規定が解除されてモードが崩され、様々な反射角度で反射する、モードが崩された光となってクラッド14内にリークする。
【0040】
このとき、リーク光Wはヘテロコア部3のクラッド14と金属膜16との境界において反射する。このとき、エバネッセント相互作用と呼ばれる現象により、クラッド14内の光と金属膜16との間において相互作用が発生し、光損失としてスペクトル上に変化が現れ、反射率が変化する。大部分の場合には、光の反射率が低下して反射光の強度が減少する。なお、本実施形態では、光源30から光ファイバ1に入射させた光の強度変化を利用して計測するため、1つの波長に対するモード郡の合算の光強度のみを考慮すれば十分である。
【0041】
金属膜16を設けたことによって、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)と呼ばれる現象により、光のエネルギーが表面プラズモン共鳴波を作り出すために奪われ、失われるので、反射率の変化をより大きくすることができ、光の強度変化の計測をより容易化することができる。
【0042】
ここで、金属膜16に接している物質である交互積層膜17の屈折率が計測雰囲気中のエタノール濃度に応じて変化すると、クラッド14内の光の反射スペクトルが変化し、反射光の強度が変化する。
【0043】
従って、受光部40で透過光を計測し反射光の強度を求めることにより、交互積層膜17の屈折率を介して、計測雰囲気中のエタノール濃度を得ることができる。ここで、光損失と計測雰囲気中のエタノール濃度を予め関係付けておくことにより、計測した透過光から得られる光損失から計測雰囲気中のエタノール濃度を求めることができる。
【0044】
センサ部SPにおいて、コア11とコア13の径の組み合わせによっては、リーク光Wが大きくなり、光損失も大きくなり、一方、リーク光Wが小さくなれば、光損失も小さくなる。そして、ヘテロコア型のセンサ部SPにおいて、リーク光Wの大きさ、即ち光損失は、センサ部SP近傍の光ファイバ1の屈曲に応じて鋭敏に変化する。よって、センサ部SPを挟む位置である程度の曲率半径となるように光ファイバ1を屈曲して保持することなどにより光損失を増やす方向に調整することができ、エタノール濃度の計測精度を向上させることが可能となる。
【0045】
以上のように、計測雰囲気中のエタノール濃度に応じて屈折率が変化する交互積層膜17を、リーク光Wの大きなヘテロコア型のセンサ部SPに設けている。そのため、エタノール濃度を精度良く計測することが可能となる。
【0046】
また、上記特許文献1に記載のエタノールセンサとは異なり、クラッドを剥離せず、クラッド14の外表面に金属膜16と交互積層膜17を設けているので、製造が容易であり、光ファイバ1の機械的強度を損ねることもない。
【0047】
また、交互積層膜17は、交互積層法により形成しているので、各層厚は均一であるため、計測精度にバラツキが生じず、また、層数によってエタノール感受性を調整することも可能となる。
【0048】
また、エタノールの交互積層膜17への浸透により屈折率が直ちに変化するため、リアルタイム計測が可能である。例えば、センサ部SPを被計測溶液に浸すとき、応答である光損失は直ちに生じる。ただし、センサ部SPを被計測溶液から引き上げるときは、交互積層膜17の膜中や膜表面に溶液が残存するため、これの溶液が落下、蒸発するために時間を要し、応答時間は数秒程度となる。
【0049】
また、上記特許文献1に記載のエタノールセンサとは異なり、気体中のエタノール濃度を計測することも可能である。
【0050】
〔実施例1〕
ポリアクリル酸ナトリウム(Poly Acryl Acid-Na)とポリアリルアミン(Poly allylamine-HCl)を80層交互積層した交互積層膜17を有するエタノールセンサ10を作製した。そして、異なるエタノール濃度を有する溶液中にエタノールセンサ10を浸し、波長600nmにおける光損失を計測した。この結果を、図3に示す。なお、光損失は空気中での光損失との差を表している。
【0051】
エタノールセンサ10を水に浸したとき、光損失が減少した。ポリアクリル酸ナトリウムは、高吸水性であり、水に浸すと網目構造の中に水分子を取り込み膨潤する。これにより、水に浸したとき、交互積層膜17の屈折率が減少し、ヘテロコア部3から外界に漏れる光が減少したため、光損失は減少したと考えられる。エタノール濃度の増加に伴い光損失は増加した。これはエタノールにより交互積層膜17が収縮し、ファイバ表面の屈折率が増大したため、センサ部SPから伝送光が外部に漏れたために光損失が増大したと考えられる。なお、水による膨潤とエタノールによる収縮が拮抗するため、空気中での光損失との差が0となるエタノール濃度が存在することになる。
【0052】
〔実施例2〕
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Poly Styrene Sulfonate Acid-Na)とポリアリルアミン(Poly allylamine-HCl)を80層交互積層した交互積層膜17を有するエタノールセンサ10を作製した。そして、異なるエタノール濃度を有する溶液中にエタノールセンサ10を浸し、波長600nmにおける光損失を計測した。この結果を、図4に示す。なお、光損失は空気中での光損失との差を表している。
【0053】
エタノールセンサ10を水に浸したとき、光損失は増加し、光損失はエタノール濃度の増加に伴いさらに増大した。この結果、交互積層膜17は、水、エタノールともに対して収縮すると考えられる。
【0054】
図3と図4を比較すると、図4の方が光損失と直線関係が得られるエタノール濃度範囲が大きいことが理解される。よって、水溶液中でのエタノール濃度計測には、実施例2のエタノールセンサ10の方が適していると考えられる。
【0055】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図5を参照して、このエタノール計測システムは、第1実施形態と同じエタノールセンサ10を備えている。
【0056】
光ファイバ1aの中途部に光カプラ21を設け、光カプラ21で別の光ファイバ1cを分岐させるとともに、光ファイバ1bの端部に銀蒸着などによって鏡を形成した反射部22を設けている。そして、分岐された光ファイバ1cの端部が出射端となり、この出射端に受光部40が接続されている。
【0057】
反射部21で反射した光は、センサ部SPを再度通過するため、センサ部SPを一方向に通過させただけの光と比較して外界との相互作用をより多く発生させた光が受光部40で受光されることとなる。よって、計測雰囲気中のエタノール濃度の計測精度がより向上する。
【0058】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図6を参照して、このエタノール計測システムは、ティップ型の光ファイバセンサからなるエタノールセンサ10Aを備えている。なお、センサ部SPA及びその近傍が所定の曲率半径を維持する図示しない固定具を備えている。
【0059】
図7を参照して、エタノールセンサ10Aのセンサ部SPAを構成するヘテロコア部3Aは、光ファイバ1aの先端に存在している。
【0060】
ヘテロコア部3Aのうち光ファイバ1aに融着されている端部とは反対側の端部の表面に、反射膜18が設けられている。反射膜18は、ここでは、銀を蒸着することにより形成されている。反射膜18の膜厚は、ヘテロコア部3A内の光を光ファイバ1a側に十分に反射することができる程度の厚さであり、例えば、数百nm程度である。
【0061】
反射膜19によりヘテロコア部3Aの先端が鏡面状となっていることにより、ヘテロコア部3A内の光が先端で反射しやすくなっており、多くの光が光ファイバ1a側に戻り、受光部40で受光される。
【0062】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図8を参照して、このエタノール計測システムは、第1実施形態と同じエタノールセンサ10を備えている。
【0063】
光ファイバ1aの光入射端に、半導体発光ダイオード(LED)や半導体レーザなどの発光素子を有する光源30Aが設けられ、光ファイバ1bの光出射端に光出射端から出射されるセンサ光を検出する光マルチメータからなる受光部40Aが設けられている。
【0064】
光源30Aは、単一波長の光を発光するので、受光部40Aには分光しないで光強度を計測可能な光マルチメータを用いることができる。
【0065】
光源30Aの発光波長は、表面プラズモン共鳴が生じる波長領域(共鳴波長を中心とする波長領域)から特定の波長を選択し、光マルチメータでモニタする光強度の減衰から、エタノール濃度に応じて屈折率が変化する交互積層膜17の屈折率変化を感知することができる。
【0066】
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図9を参照して、このエタノール計測システムは、第1実施形態と同じエタノールセンサ10を備えている。
【0067】
光ファイバ1aの端部には、OTDR(Optical time-domain reflectometer)装置60が接続されている。OTDR装置60からセンサ光が光ファイバ1aに入射されると、センサ部SPで後方へのレイリー散乱光が発生し、このレイリー散乱光をOTDR装置60自身が検出する。
【0068】
センサ部SPでの光の減衰に応じて、レイリー錯乱光も変化する。そこで、OTDR装置60が計測する光強度はセンサ部SPの屈折率によって変化することになり、実質的に光強度を計測することによってエタノール濃度を得ることができる。
【0069】
なお、OTDR装置60を用いた場合、1本の光ファイバ1に複数のセンサ部SPを直列に設けて、各センサ部SPにおいてエタノール濃度を同時に計測することも可能となる。ただし、OTDR装置60を用いた場合、リアルタイム計測はできない。
【0070】
〔第6実施形態〕
本発明の第6実施形態に係るエタノール計測システムを図面を参照して説明する。図10を参照して、このエタノール計測システムは、エタノールセンサ10Bを備えている。
【0071】
図11を参照して、エタノールセンサ10Bは、第1実施形態におけるエタノールセンサ10と異なり、センサ部SPBに金属膜16を備えていない。金属膜16の代わりに、イオン結合によってクラッド14の外表面にアミノ基を導入することにより、クラッド14の外周表面に交互積層膜17を設けている。ヘテロコア部3Bは、光ファイバ1a,1bを伝送する光の一部を漏洩する光透過部材となっている。
【0072】
エタノールセンサ10Bは、金属膜16が存在しないので、表面プラズモン共鳴波が発生しない。しかし、センサ部SPBは、ヘテロコア部3を有しているので、光損失が大きく、この光損失は交互積層膜17の屈折率に依存する。そのため、エタノールセンサ10Bを用いて、計測雰囲気中のエタノール濃度を精度良く計測することは可能である。
【0073】
なお、本発明に係るエタノールセンサ及びエタノール計測システムは、上記各実施形態に限定されない。例えば、各実施形態を適宜組みあせてもよい。
【0074】
なお、光ファイバ1a,1b及び光ファイバ2の双方、あるいは一方が、マルチモード光ファイバであってもよい。ただし、光ファイバ1a,1b及び光ファイバ2がシングルモード光ファイバであれば、外部からの影響がより受け難いので好ましい。
【符号の説明】
【0075】
1…光ファイバ、 1a,1b…光ファイバ、 2…光ファイバ、3…ヘテロコア部、 10,10A,10B…エタノールセンサ、 11…コア、 12…クラッド、 13…コア、 14…クラッド、 15…界面、 16…金属膜、 17…交互積層膜、 20…固定具、 30,30A…光源、 40,40A…受光部、 50…計測部、 SP,SPA,SPB…センサ部、 W…リーク光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部が外界と相互作用するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記光透過部材を通過した光を出射する光ファイバと、
前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、該外周表面における前記ヘテロコア部での光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、
該金属膜の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とするエタノールセンサ。
【請求項2】
異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部を漏洩するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記ヘテロコア部を通過した光を出射する光ファイバと、
前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とするエタノールセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエタノールセンサと、
前記光ファイバの入射端に設けられた光源と、
前記光ファイバの出射端に設けられた受光部とを備えることを特徴とするエタノール計測システム。
【請求項1】
異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部が外界と相互作用するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記光透過部材を通過した光を出射する光ファイバと、
前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、該外周表面における前記ヘテロコア部での光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、
該金属膜の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とするエタノールセンサ。
【請求項2】
異なる径のコア及び該コアの外周に設けられたクラッドを備え、伝送する光の一部を漏洩するヘテロコア部を有し、入射端に光が入射されて出射端から前記ヘテロコア部を通過した光を出射する光ファイバと、
前記ヘテロコア部の外周表面に設けられ、雰囲気中のエタノールにより収縮又は膨潤して屈折率が変化する交互積層膜とを有することを特徴とするエタノールセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエタノールセンサと、
前記光ファイバの入射端に設けられた光源と、
前記光ファイバの出射端に設けられた受光部とを備えることを特徴とするエタノール計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−223817(P2010−223817A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72407(P2009−72407)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(598123138)学校法人 創価大学 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(598123138)学校法人 創価大学 (49)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]