説明

エッジフィルタ

【課題】
偏光依存性を低減し、良好な分光特性を有するエッジフィルタを提供すること。
【解決手段】
本発明にかかるエッジフィルタは、光学基板1上に少なくとも2種類の屈折率が異なる光学薄膜を交互に積層してなるエッジフィルタ膜4を有し、エッジフィルタ膜4に入射する第1の波長帯域の波長を有する信号光を透過し、エッジフィルタ膜4に入射する第2の波長帯域の波長を有する信号光を反射し、第1の波長帯域と第2の波長帯域が予め定められた分離幅を有するエッジフィルタであり、さらに、S偏光の分光特性とP偏光の分光特性との乖離幅が、上述の分離幅以下になるように前記多層膜に対する前記信号光の入射角を定めたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した信号光の一部を透過し、他の一部を反射することによって分岐を行うエッジフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
B−PON(Broadband-PON)やIEEE802.3ahといったPON(Passive Optical Network)技術を利用した新たな通信方式の標準化・規格化が進められている。PONは、加入者と収容局を繋ぐアクセス回線に光ファイバを利用したアクセス網において、アクセス回線の途中に光スプリッタを挿入して信号光を分岐することにより、少ない光ファイバで複数の加入者を効率よく収容する方式である。
【0003】
従来のB−PONでは、加入者から収容局の方向に1260nm〜1360nmの波長帯域を使用し、収容局から加入者の方向に1480nm〜1500nmの波長帯域を使用している。新たに標準化されるB−PONやIEEE802.3ahといった新規格は、上記の従来の波長帯域に加えて、1550nm〜1560nmの波長帯域を新たな下り方向の通信帯域として使用し、放送配信等の通信サービスを行うことを想定している。
【0004】
上述の新規格に準拠した通信装置では、従来から使用されている1260nm〜1500nmの波長帯域と新たな放送配信用の1550nm〜1560nmの波長帯域とを分離する特性を持ったエッジフィルタを用いて、従来の波長帯域を使用した通信と新たな波長帯域を使用した通信とを1芯の光ファイバ上に重畳する必要がある。このため、上述した帯域分離を行うエッジフィルタでは、1500nmから1550nmの50nmの分離幅において、透過から反射、又は反射から透過に遷移する分光特性が必要となる。
【0005】
エッジフィルタには、光学基板上に誘電体膜を積層した光学多層膜フィルタが使用され、従来は、信号光の入射角を45度に設定して使用されることが一般的であった(例えば特許文献1参照)。しかしながら、信号光の入射角を45度に設定した従来の光学多層膜フィルタでは、透過から反射に遷移する際において、分光特性が入射光の偏光状態に依存することに起因して、S偏光とP偏光との分光特性の乖離が大きくなってしまうため、上述した1500nm〜1550nmの分離幅50nm以下で、透過帯域と反射帯域を分離することができないという問題がある。
【0006】
一方、入射角を小さくすることによって、S偏光とP偏光の差を小さくすることができる。しかしながら、入射角を小さくすると、入射光と反射光の光路が近くなってしまうため、コリメータレンズ等の部材をエッジフィルタから遠ざけて配置しなければならず、実装時にモジュールサイズを小型化できないという問題が発生する。
【特許文献1】特開2000−162413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、本発明は、偏光依存性を低減し、良好な分光特性を有するエッジフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
光学基板上に少なくとも2種類の屈折率異なる光学薄膜を交互に積層してなる多層膜を有し、前記多層膜に入射する第1の波長帯域の波長を有する信号光を透過し、前記多層膜に入射する第2の波長帯域の波長を有する信号光を反射し、
前記第1の波長帯域と前記第2の波長帯域が予め定められた分離帯域を隔てているエッジフィルタであって、S偏光の分光特性とP偏光の分光特性との乖離幅が、前記分離帯域の幅以下になるように前記多層膜に対する前記信号光の入射角を定めたものである。これにより、S偏光とP偏光の分光特性上の乖離幅を所定の分離幅以下に抑えて、エッジフィルタを所定の分光特性の下で使用することができる。
【0009】
また、前記分離帯域は1500nmから1550nmの範囲内である場合は、前記入射角は3度以上20度以下とするとよい。
【0010】
また、前記第1の波長帯域が少なくとも1260nmから1360mの範囲及び1480nmから1500nmの範囲を含む波長帯域、かつ、前記第2の波長帯域が少なくとも1550nmから1560nmの範囲を含む波長帯域であるか、あるいは、前記第2の波長帯域が少なくとも1260nmから1360mの範囲及び1480nmから1500nmの範囲を含む波長帯域、かつ、前記第1の波長帯域が少なくとも1550nmから1560nmの範囲を含む波長帯域とするとよい。このような構成により、B−PONで使用される1260nm〜1500nmの従来通信用の波長帯域と1550nm〜1560nmの新たな放送配信用の波長帯域とを分離することができる。
【0011】
なお、前記光学基板の裏面に、前記第一の波長帯域及び前記第二の波長帯域の光の反射を防止する反射防止膜を設けることとしてもよい。これにより、エッジフィルタを透過する光が前記光学基板の裏面で反射されることによって発生する挿入損失の増加を防ぐことができる。
【0012】
また、前記多層膜は、高屈折率膜と低屈折率膜の2種類の膜を積層してなり、前記高屈折率膜の屈折率は1.8以上5.0以下であり、前記低屈折率膜の屈折率は1.3以上1.5以下であって、前記高屈折率膜と前記低屈折率膜を合わせた積層数が30層以上150層以下であるとよい。
【0013】
さらにまた、前記高屈折率膜は、Ta、TiO、ZnS、Si、Ge、SiGe、SiN、SiC、ZrO、NbO、YO、In、SnO、CeO、HfO又はこれらの混合材の少なくとも一種からなり、前記低屈折率膜は、SiO、MgO、AlO、SiO、SiO、MgF又はこれらの混合材の少なくとも一種からなるものとするとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、偏光依存性を低減し、良好な分光特性を有するエッジフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の実施の形態1.
図1は本実施の形態にかかるエッジフィルタ10の断面を示した模式図である。エッジフィルタ膜4は、平行平面状の光学基板1上に高屈折率膜2と低屈折率膜3が交互に積層して形成され、所望の光学特性条件を満足するように各層の積層数及び膜厚が調整されたものである。ここで、エッジフィルタ膜4に対する所望の光学特性条件とは、光の透過及び反射によって、上述したB−PONで使用される3つの波長帯域を、従来の通信に使用される2つの波長帯域と、放送配信用に追加された新たな波長帯域とに分離する特性である。具体的にはB−PONの従来の送受信波長である1260nm〜1360nm及び1480nm〜1500nmの波長帯域の信号光を透過し、放送配信用である1550nm〜1560nmの波長帯域の信号光を反射する特性、又は逆に、1260nm〜1360nm及び1480nm〜1500nmの波長帯域の信号光を反射し、1550nm〜1560nmの波長帯域の信号光を透過する分光特性である。
【0016】
なお、図1に示すように、光学基板1の直上に高屈折率膜2を配置し、光学基板1の屈折率とその直上に配置される膜の屈折率差が大きくなるように構成するのが好ましいが、平面状の光学基板1の直上は低屈折率膜3でも良く、最終層は高屈折率膜2とした構造でも良い。
【0017】
また、エッジフィルタ10には、光学基板1の反対面に高屈折率膜2と低屈折率膜3を単層又は交互に複数層積層して構成した反射防止膜5が形成されている。反射防止膜5を設けることにより、エッジフィルタ10を透過する信号光が光学基板1の裏面で反射することによって発生する挿入損失の増加を防ぐことができる。この裏面反射が原因で起こる挿入損失が問題にならない場合は、反射防止膜5は設けなくても良い。
【0018】
次に、エッジフィルタ10の光学特性について説明する。上述したように、B−PONやIEEE802.3ahといった規格に準拠した通信機器に使用されるエッジフィルタ10は、1260nm〜1500nmの波長帯域の光と1550nm〜1560nmの波長帯域の光のうち、一方帯域の光を透過し、他方の帯域の光を反射する分光特性を有するフィルタである。このようなエッジフィルタには、短波長側に透過帯域を有するSWPF(Short Wave Pass Filter)と、長波長側に透過帯域を有するLWPF(Long Wave Pass Filter)の2種類が考えられる。
【0019】
このようなエッジフィルタ10の特性としては、透過帯域と反射帯域との間の変化が急峻であり、かつ、透過帯域での透過率の平坦性(フラットネス)が確保されていることが望ましい。一般に、エッジフィルタ膜4を構成する積層数を多くするほど急峻な帯域分離特性を得られることが分かっている。しかし、積層数を多くすると、透過帯域に生じるリップルが大きくなり、フラットネス特性が損なわれる傾向がある。したがって、エッジフィルタに要求される帯域分離特性及びフラットネス特性に応じて、積層数を調整すればよく、エッジフィルタ膜4の具体的な積層数は、一般的に30層以上150層以下に選択されることが多い。
【0020】
さらに、エッジフィルタ10を使用して入射した信号光を分離して反射光を検出するためには、実装上の都合から、信号光の入射角を一定以上の大きさとする必要がある。入射角が小さすぎると、反射光を平行光に変換するコリメータレンズ等の配置が困難となるためである。一方、光学多層膜フィルタでは、分光特性が偏光依存性を有しており、入射光の偏光状態によって分光特性が異なることが知られている。この偏光依存性によるS偏光とP偏光との乖離は、入射角が大きくなるほど大きくなる。このため、透過帯域から反射帯域に移行する間の分離幅が狭いエッジフィルタにおいては、信号光の入射角大きくなることに起因する帯域分離特性の低下が大きな問題となる。
【0021】
そこで、発明者らは、要求される透過帯域と反射帯域との分離幅(本発明では50nm)に応じて入射角を適切に設定することにより、1260nm〜1500nmの波長帯域と1550nm〜1560nmの波長帯域とを分離する良好な特性を有し、かつ、反射光の検出に支障を生じないエッジフィルタが得られることを見出した。
【0022】
さらに、検討の結果、エッジフィルタ膜4のフィルタ面の法線と入射する信号光のなす角度を入射角とするとき、その入射角を3度から20度の範囲としたときに良好な分光特性が得られることを見出した。入射角が3度より小さくなるとコリメータレンズ等の部材をエッジフィルタから遠ざけて配置しなければならなくなり、実装上モジュールを小型化できないため、入射角は3度以上とすることが望ましい。
【0023】
一方、入射角が20度より大きくなると、S偏光の分光特性とP偏光の分光特性との乖離幅が大きくなって、S偏光とP偏光の双方を1500nm〜1550nmの50nmの分離幅で透過帯域と反射帯域に分けることが困難になる。このため、入射角は20度以下とすることが望ましい。
【0024】
より具体的に説明すると、例えばエッジフィルタがSWPFであって、S偏光の方がP偏光より短波長側で透過率が減少し始めるとした場合、S偏光の透過率が減少を始める波長をλ1とし、P偏光の透過率が所定の値まで減少する波長をλ2とすると、少なくともλ2−λ1の値が50nmより小さくなければ、S偏光とP偏光の双方を1500nm〜1550nmの50nmの分離幅で透過帯域と反射帯域に分けることができないことになる。しかしながら、入射角が20度より大きくなると、λ2−λ1の値が50nm以上となってしまうということである。
【0025】
以上のことから、1260nm〜1500nmの波長帯域と1550nm〜1560nmの波長帯域とを分離するエッジフィルタ10に対する信号光の入射角は、3度以上20以下とすることが望ましい。さらに良好な分光特性を得るためには、入射角は5度以上15度以下とするとよい。
【0026】
次に、エッジフィルタ10の各部の材料及び製造法について説明する。光学基板1は、B−PONの信号光に使用する近赤外の波長帯域において透明であることが好ましく、例えば、99.8%以上の透過率を有することが望ましい。光学基板1として具体的には、非晶質ガラス、結晶化ガラスもしくは他の光学基板を用いることができる。具体的にはLiNbO、LiTaO、TiO、SrTiO、Al、MgOなどの酸化物単結晶、多結晶基板、CaF、MgFBaF、LiFなどのフッ化物単結晶基板、多結晶基板、NaCl、KBr、KClなどの塩化物、臭化物単結晶、多結晶基板又はフッ化ポリイミド等の樹脂基板が適用できる。
【0027】
高屈折率膜2の材料としては、Ta、TiO、ZnS、Si、Ge、SiGe、SiN、SiC、ZrO、NbO、YO、In、SnO、CeO、HfO又はこれらの混合材から少なくとも一種が選ばれる。また、低屈折率膜3の材料としては、SiO、MgO、AlO、SiO、SiO、MgF又はこれらの混合材の少なくとも一種が選ばれる。また、上記の化学量論組成から多少ずれても構わない。なお、各屈折率膜は同種のものを用いることが好ましいが、屈折率が近似した材料であれば、一部を他の材料からなる屈折率膜に置換することも可能である。
【0028】
エッジフィルタ10の製造は、真空成膜法で行うことができる。真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、レーザブレイション法など各種成膜法などを用いることができる。真空蒸着法を用いる場合、膜質を改善するため蒸着気流の一部をイオン化するとともに基板側にバイアスを印加するイオンプレーティング法、クラスタイオンビーム法、あるいは、イオン銃を用いて基板にイオンを照射するイオンアシスト蒸着法を用いると有効である。スパッタ法としては、DC反応性スパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法などを用いることができる。また、化学的気相法としては、プラズマ重合法、光アシスト気相法、熱分解法、有機金属化学気相法などを用いることができる。なお、個々の薄膜の膜厚は、膜形成時の蒸着時間などを変えることで、所望の膜厚とすることができる。
【0029】
続いて、エッジフィルタ10の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例1、実施例2及び比較例1で説明するエッジフィルタの材料には、高屈折率膜にNb(屈折率2.30)、低屈折率膜にSiO(屈折率1.467)、光学基板に光学ガラスBK7(独SCHOTT GLASS社製、屈折率1.51)を使用した。また、以下の説明で使用する設計波長とは。入射角0度で分光特性を測定した場合における反射帯域の中心波長を意味する。
【0030】
(実施例1)
光学基板に光屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層し、1260nmから1500nmの波長帯域において透過率−30dB以下であり、1550nmから1560nmの波長帯域において透過率−0.1dB以上であるエッジフィルタの設計を行った。また、エッジフィルタ膜の法線と信号光とのなす入射角は5度として設計を行った。その結果、積層数が60層で、設計波長が1327nmのエッジフィルタを得た。その分光特性を図2に示す。また、図2の波長1480nmから1560nmの帯域を拡大したグラフを図3に示す。図2及び図3では、S偏光の透過率Tsを細実線及び細網掛け線で示し、P偏光の透過率Tpを太実線及び太網掛け線で示している。
【0031】
図2及び図3に示すように、入射角5度で設計したエッジフィルタでは、S偏光、P偏光とも1260nmから1500nmの波長帯域において透過率−30dB以下になっており、1550nmから1560nmの範囲内においては透過率−0.1dB以上となっている。このことから、1500nm以下の波長帯域と1550nm以上の波長帯域を分離する良好な分光特性が得られていることが分かる。
【0032】
(実施例2)
光学基板に光屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層し、1260nmから1500nmの波長帯域において透過率−0.1dB以上であり、1550nmから1560nmの波長帯域において透過率−30dB以下であるエッジフィルタの設計を行った。また、エッジフィルタ膜の法線と信号光とのなす入射角は15度として設計を行った。その結果、積層数が60層で、設計波長が1746nmのエッジフィルタを得た。その分光特性を図4に示す。また、図2の波長1480nmから1560nmの帯域を拡大したグラフを図5に示す。図4及び図5では、S偏光の透過率Tsを細実線及び細網掛け線で示し、P偏光の透過率Tpを太実線及び太網掛け線で示している。
【0033】
図4及び図5に示すように、入射角15度で設計したエッジフィルタでは、S偏光、P偏光とも1260nmから1500nmの波長帯域において透過率−0.1dB以になっており、1550nmから1560nmの範囲内においては透過率上−30dB以下となっている。このことから、1500nm以下の波長帯域と1550nm以上の波長帯域を分離する良好な分光特性が得られていることが分かる。
【0034】
(比較例1)
エッジフィルタ膜の法線と信号光とのなす入射角は30度とした上で、1260nmから1500nmの波長帯域において透過率−0.1dB以上であり、1550nmから1560nmの波長帯域において透過率−30dB以下となるようエッジフィルタの設計を行った。その結果、積層数が60層で、設計波長が1804nmのエッジフィルタを得た。その分光特性を図6に示す。また、図6の波長1480nmから1560nmの帯域を拡大したグラフを図7に示す。図6及び図7では、S偏光の透過率Tsを細実線及び細網掛け線で示し、P偏光の透過率Tpを太実線及び太網掛け線で示している。
【0035】
図6及び図7からわかるように、1260nmから1500nmの波長帯域において、S偏光及びP偏光の透過率が−0.1dB以下となる部分が生じ、さらに、1550nmにおいては、S偏光の透過率が−30dB以上となっていることから、入射角が30度の場合では、本実施例のエッジフィルタは所望の光学特性を満足できない。これは、入射角を30度としたことにより、透過から反射に転じるエッジ部での透過率の変化が緩やかになったこと、及び、S偏光とP偏光との分光特性の差が大きくなったことに起因するものである。具体的には、図7に示されるように、S偏光、P偏光共に、透過率が−0.1dBから−30dBまで変化する波長幅が20nm以上であり、かつ、S偏光とP偏光との差が約30nmとなっている。このため、透過帯域と反射帯域の分離幅が50nm以上になってしまい、所望の分光特性を満足できないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかるエッジフィルタの構成図である。
【図2】実施例1のエッジフィルタの分光特性を示すグラフである。
【図3】実施例1のエッジフィルタの分光特性を示すグラフである。
【図4】実施例2のエッジフィルタの分光特性を示すグラフである。
【図5】実施例2のエッジフィルタの分光特性を示すグラフである。
【図6】比較例1のエッジフィルタの分光特性を示すグラフである。
【図7】比較例1のエッジフィルタの分光特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1 光学基板
2 高屈折率膜
3 低屈折率膜
4 エッジフィルタ膜
5 反射防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基板上に少なくとも2種類の屈折率が異なる光学薄膜を交互に積層してなる多層膜を有し、
前記多層膜に入射する第1の波長帯域の波長を有する信号光を透過し、前記多層膜に入射する第2の波長帯域の波長を有する信号光を反射し、
前記第1の波長帯域と前記第2の波長帯域が予め定められた分離帯域を隔てているエッジフィルタであって、
S偏光の分光特性とP偏光の分光特性との乖離幅が、前記分離帯域の幅以下になるように前記多層膜に対する前記信号光の入射角を定めたエッジフィルタ。
【請求項2】
前記分離帯域は1500nmから1550nmの範囲内であり、
前記入射角は3度以上20度以下である、請求項1に記載のエッジフィルタ。
【請求項3】
前記第1の波長帯域が少なくとも1260nmから1360mの範囲及び1480nmから1500nmの範囲を含む波長帯域、かつ、前記第2の波長帯域が少なくとも1550nmから1560nmの範囲を含む波長帯域であるか、あるいは、前記第2の波長帯域が少なくとも1260nmから1360mの範囲及び1480nmから1500nmの範囲を含む波長帯域、かつ、前記第1の波長帯域が少なくとも1550nmから1560nmの範囲を含む波長帯域である、請求項1又は2に記載のエッジフィルタ。
【請求項4】
前記光学基板の裏面に、前記第1の波長帯域及び前記第2の波長帯域の光の反射を防止する反射防止膜を有する請求項1乃至3のいずれかに記載のエッジフィルタ。
【請求項5】
前記多層膜は、高屈折率膜と低屈折率膜の2種類の膜を積層してなり、
前記高屈折率膜の屈折率は1.8以上5.0以下であり、前記低屈折率膜の屈折率は1.3以上1.5以下であって、前記高屈折率膜と前記低屈折率膜を合わせた積層数が30層以上150層以下の範囲内である、請求項1乃至4のいずれかに記載のエッジフィルタ。
【請求項6】
前記高屈折率膜は、Ta、TiO、ZnS、Si、Ge、SiGe、SiN、SiC、ZrO、NbO、YO、In、SnO、CeO、HfO又はこれらの混合材の少なくとも一種からなり、
前記低屈折率膜は、SiO、MgO、AlO、SiO、SiO、MgF又はこれらの混合材の少なくとも一種からなる、請求項5に記載のエッジフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−53200(P2006−53200A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232982(P2004−232982)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】