説明

エネルギーを貯蔵する方法および極低温エネルギー貯蔵システム

本発明は、エネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを使用して電気エネルギーを生成し、または推進器(505)を駆動するシステムに関する。特に、本発明は、ガス入力を供給する段階と、ガス入力から冷凍剤を生産する段階と、冷凍剤を貯蔵する段階と、冷凍剤を膨張させる段階と、タービン(320)を駆動するために膨張された冷凍剤を使用する段階と、冷凍剤の膨張から低温のエネルギーを回収する段階とを含む、エネルギーを貯蔵する方法を提供する。本発明は、冷凍剤の供給源と、冷凍剤貯蔵設備(370)と、冷凍剤を膨張させる手段と、膨張する冷凍剤によって駆動可能なタービン(320)と、冷凍剤の膨張中に放出される低温のエネルギーを回収する手段(340、350)とを備える極低温エネルギー貯蔵システムも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを使用して電気エネルギーを生成し、または推進器を駆動するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵システムは、オフピーク期間中にベースロードのエネルギーを貯蔵し、ピーク期間中に電力を提供するために貯蔵されたエネルギーを使用する。そのようなシステムは、発電産業にとって不可欠である。従来の発電システムでは、エネルギー貯蔵システムは負荷追従、ピーク対応電源(peaking power)、およびスタンバイリザーブ(standby reserve)を含む大幅な利点を提供できる。運転予備電力および迅速な給電を供給することにより、エネルギー貯蔵システムは、有害な排出を低下させながら火力発電源の正味効率を増加させることができる。
【0003】
電気エネルギー貯蔵システムは、太陽光電池および風力タービンシステムなどの間欠的な再生可能なエネルギー供給システムにとって極めて重要である。これは、再生可能なエネルギーの供給源の間欠的な性質によるものである、したがって供給源は、長い期間にわたって必ずしも利用可能ではない。そのような欠点は、グリーン電力産業に障害になっている。したがって、適切なエネルギー貯蔵システムが求められている。さらに、電気貯蔵システムが環境に優しいことが求められている。
【0004】
さらに、電気エネルギー貯蔵システムは、どのような電力の変動をも補償し、例えば線路障害などによる電圧降下の期間中に無停電電源を供給するために、分散された発電機を備えるエネルギー分配ネットワークにおいての鍵になる技術として認識されている。
【0005】
これまでにいくつかの電気エネルギー貯蔵システムが開発されてきた。これらには、揚水発電システム、圧縮空気エネルギー貯蔵システム(CAES)、二次電池、超伝導磁気エネルギー貯蔵システム(SMES)、フライホイール、およびコンデンサが含まれる。
【0006】
揚水は、エネルギー貯蔵システムの形で最も広く用いられている。それは、水をより低い貯水池からより高い貯水池に圧送することによって流体位置エネルギーを貯蔵する。貯蔵されたエネルギーの量は、2つの貯水池の間の高さの差、および貯蔵された水の体積に比例する。電力に対して高い需要がある間、水は、従来の水力発電設備と同様の方式でタービン発電機を介してより高い貯水池からより低い貯水池に落下する。揚水発電は、効率が高く、体積が大きく、貯蔵期間が長く、および単位エネルギー当たりの資本費用が比較的低い、成熟した技術である。しかし、2つの大きな貯水池および1つまたは複数のダムに対する利用可能な場所が希少であることが揚水の主な欠点である。建設のための(一般に10年の)長いリードタイム、および環境的な問題(例えば貯水池が湛水される前に木や植物を土地から取り除くなど)が、揚水システムの2つのその他の主な欠点である。
【0007】
圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)は、従来のガスタービン技術に基づいている。それは、圧縮空気の弾性位置エネルギーを用いる。エネルギーは、地下の貯蔵空洞などの気密の空間に空気を圧縮することによって貯蔵される。貯蔵されたエネルギーを抽出するために、貯蔵容器から圧縮空気が引き抜かれ、加熱され、次いで高圧タービンによって膨張され、それによって圧縮空気のエネルギーの一部が捉えられる。次いで、空気が燃料と混合されて燃焼され、排気が低圧タービンによって膨張される。電気を生成するために、高圧および低圧タービンの両方が発電機に連結される。CAESは、エネルギー密度が比較的高く、貯蔵期間が長く、資本費用が低く、かつ効率が高い。揚水およびその他の現在利用可能なエネルギー貯蔵システムと比較して、CAESは独立したシステムではない。それは、ガスタービンでの燃焼を必要とする。それは、石炭燃焼、原子力、風力タービン、または太陽光電池施設などのその他のタイプの発電施設で使用することができない。さらに、化石燃料の燃焼は窒素酸化物および炭素酸化物などの汚染物質の排出を招き、それによってCAESがより魅力の少ないものになる。また、揚水システムと同様に、CAESは空洞などの好ましい地勢に依存する点が問題になる。CAESは、付近に鉱山、岩塩空洞、帯水層、または空乏化したガス田を有する発電施設に関してのみ経済的に見合うことが可能である。さらに、CAESに関する大きな障壁は、一般に40〜60バールで得ることができる比較的低い圧力である。
【0008】
二次電池システムは、いくつかの点で電気エネルギー貯蔵システムに理想的に適している。それらは、電気供給産業に燃料の柔軟性および環境的な利点をもたらすだけでなく、多くの重要な操業上の利点も与える。それらは負荷の変化に非常に迅速に応答でき、それらはコージェネレーションおよび/または第三者の電力を受け入れることができ、したがってシステムの安定性が向上する。二次電池システムの構築は、短いリードタイム、場所の地勢的な制限がないこと、および技術のモジュール性によって促進される。しかし、最近まで、エネルギー密度が低く、保守費用が高く、耐用期間が短く、放電能力が制限され、そのようなシステムに関連して毒物が残るため、実用の電池貯蔵はまれであった。現在、鉛電池、ナトリウム硫黄電池、亜鉛臭素電池、およびレドックスフロー電池を含む揚水およびCAESシステムと競争力のある可能性のあるものとして認識されているいくつかの新しい電池技術がある。
【0009】
超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)は、電気として直接的にエネルギーのバルク貯蔵を行うための唯一の既知の方法である。SMESは、インダクタを通過する電流として電気エネルギーを貯蔵する。超伝導材料から作製されるインダクタは、ほぼ損失なく電流が不定に循環できるように環状である。SEMSは、その他のエネルギー貯蔵システムに対して、非常に高いエネルギー効率(一般に約90%)および迅速な応答(<1秒)を示す。SMESユニットの実施が直面する大きな問題は、高い費用および使用される強力な磁界に関連する環境的な問題である。
【0010】
フライホイールシステムは何千年もの間使用されてきたエネルギー貯蔵システムの1つの形態である。これらのシステムの欠点は、継続時間が短く、摩擦損失(風損)が比較的高く、エネルギー密度が低いことである。従来の金属ロータを備える既存のフライホイールシステムは、大規模なエネルギー貯蔵用途に本格的なものであると見なされるのに必要なエネルギー密度に欠けている。近年の材料科学における発展はこの事情を変えはじめた。特に、低密度、高強度の繊維複合材料が、フライホイールエネルギー貯蔵システムの設計および構造をその他のシステムに匹敵するエネルギー密度を備えることができるようにした。また、全エネルギー損失の大部分の占める風損を低減させる可能性を有する高温超伝導体を使用する浮上軸受などの、新しい軸受けの技術が開発されている。
【0011】
コンデンサは、電子産業で長年使用されてきたエネルギー貯蔵システムの1つの形態である。二重層コンデンサは小さな容量で1時間未満の夏季の毎日のピーク負荷のために開発された。レドックススーパーコンデンサ(redox super capacitors)の分野における近年の進歩は、より大きな容量のシステムの開発につながる可能性がある。エネルギー貯蔵システムとしてのコンデンサの大きな欠点は、フライホイールと同様に、その継続時間が短く、自己放電のためにエネルギー散逸が高いことである。
【非特許文献1】「Air separation and liquefaction:recent developments and prospects for the beginning of the new millennium」Castle W.F.、International Journal of Refrigeration、25、158〜172、2002年
【非特許文献2】「Energy analysis of cryogenic air separation」Cornelissen R.L.and Hirs G.G.、Energy Conservation and Management、39、1821〜1826、1998年
【非特許文献3】J.Kondoh等の「Electrical energy storage systems for energy networks」(2000年、Energy Conversion & Management、41巻、1863〜1874ページ)
【非特許文献4】P.Denholm等の「Life cycle energy requirements and greenhouse gas emissions from large scale energy storage systems」(2004年、Energy Conversion and Management、45巻、2153〜2172ページ)
【非特許文献5】F.R.Mclarnon等の「Energy storage」(1989年、Annual Review of Energy、14巻、241-271ぺージ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、エネルギー密度および可能な出力電力が高く、エネルギー効率が高く、継続時間が長く、耐用期間が長く、資本費用が低く、優れた商業的な可能性を提供する電気エネルギー貯蔵システムが求められている。システムは、好ましくは電気の入力および出力に対する変更を除き、発電施設に大きな変更を必要とすることなく現行の発電施設に使用可能である必要がある。システムは、好ましくは発電施設から完全に分離して動作することもできる必要がある。システムの始動および停止は、好ましくは、単純かつ信頼性の高いものである必要があり、システムは、施設の地勢的配置に関係なく、好ましくは石炭燃焼、ガスタービン、原子力、風力タービン、および太陽光電池を含むほとんどのタイプの現行の中規模から大規模の発電施設に用いられることが可能である必要がある。システムは、好ましくは、特に非汚染型の発電施設(ゼロエミッションシステム)に関連する過程を使用することによって環境に有害でないことも必要であり、化石燃料の燃焼に関連する逆行する環境影響を与える可能性もある。
【0013】
本発明の発明者は、これらの要求に対処する電気エネルギー貯蔵システムを提供することを試みた。
【0014】
さらに、船に推進力を提供する改善された環境にやさしい海上電力システムも求められている。環境問題は、水および空気汚染の両方に関して海上部門で常に生じる。
【0015】
船に関する一般的な動力システムは、主推進エンジン、推進器、補助エンジン/発電機、ボイラ、トランジション(transition)および制御システム等からなる。主推進エンジンは、最も重要な構成要素である。いくつかのタイプの主推進エンジンが、蒸気エンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン、および原子力エンジンを含む海事部門で開発された。これらのタイプの中で、ディーゼルエンジンが最も広く使用され、現行の全動力容量の約90%を占める。しかし、これらすべてのエンジンは、環境的な問題がある。ディーゼルエンジン、蒸気タービン、およびガスタービンは、化石燃料を燃焼させる必要がある。汚染物質(例えばCO2、NOX、および微粒子)は、燃焼過程で不可避的に生成される。原子力発電システムは、核廃棄物の汚染および放射線の危険をもたらすだけでなく、少なくともその他の電力システムよりも1桁高価でもある。
【0016】
したがって、非汚染排出の燃焼のない動力システムが海事産業および公衆によって大いに歓迎される。また、そのような海上の動力システムが、船内で使用する電気を生成し、必要に応じて船を加熱かつ/または冷却するために使用できれば望ましいことである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、エネルギー貯蔵、エネルギー生成、および推進に関する極低温作動流体(cryogenic working fluid)の使用に関する。
【0018】
本発明の実施形態による極低温エネルギー貯蔵(CES)システムは、オフピーク時間中の電気を使用して生産された冷凍剤(cryogen)を貯蔵し、したがってエネルギーを貯蔵し、貯蔵された冷凍剤を使用してピーク時間中に電気を生成し、そうして貯蔵されたエネルギーを放出する。冷凍剤は、圧送され、加熱され、次いでタービンで膨張できる。
【0019】
したがって、本発明は、
ガス入力を供給する段階と、
ガス入力から冷凍剤を生産する段階と、
冷凍剤を貯蔵する段階と、
冷凍剤を膨張させる段階と、
タービンを駆動するために膨張した冷凍剤を使用する段階と、
冷凍剤の膨張から低温のエネルギーを回収する段階と、を含む、エネルギーを貯蔵する方法を提供する。
【0020】
本発明は、
冷凍剤の供給源と、
冷凍剤貯蔵設備と、
冷凍剤を膨張させる手段と、
膨張する冷凍剤によって駆動可能なタービンと、
冷凍剤の膨張中に放出される低温のエネルギーを回収する手段と、を備える、極低温エネルギー貯蔵システムも提供する。
【0021】
タービンは、発電機を駆動するのに使用され、したがって電気を生成できる。
【0022】
代替的に、またはさらに、例えば海上のエンジンに使用する推進器を駆動するのにタービンが使用できる。したがってCESは、極低温推進システム(CPS)として使用できる。
【0023】
タービンは、多段式の擬等温タービンを備えることができる。タービンは、中継器またはインターヒータを備えることができる。
【0024】
いくつかの適切な冷凍剤が使用できる。好ましくは、冷凍剤は液体空気を含む。あるいは、冷凍剤は、スラッシュエア(slush air)、液体窒素、液体水素、液化天然ガス(LNG)または任意のその他の冷凍剤を含むことができる。
【0025】
エネルギー貯蔵システムは、空気液化施設などの冷凍剤形式に関する現行の利用可能かつ成熟した技術の使用を最大限にし、その変更を最小限に抑えることができる。
【0026】
冷凍剤が液体空気を含む場合、液体空気は空気液化施設によって精製され、オフピーク時にCESに供給できる。海上では、ガスおよび液体の両方の状態でのO2、N2、Ar、およびCO2などのその他の製品が、必要であれば商品として生産できる。冷凍剤の生産の効率は、LNG(液化天然ガス)の再ガス化からなどのその他の供給源からの廃冷熱を使用することによって改善できる。
【0027】
最新の大容量の極低温酸素の生産プラントは、約0.4kWh/kg(1.44MJ/kg)の低い運転費用である。この費用は、2010〜2020年にはさらに0.3kWh/kg(1.08MJ/kg)に減少することが期待される(非特許文献1、非特許文献2)。CESは、極低温施設から液体空気の供給原料を使用することができるが、極低温施設から完全に分離して作動する;この供給原料は「低温のエネルギー」の回収および動作方針に依存して少量であることができる。液体空気の生産は、本生産方法に与えられた液体酸素を生産するのに必要なエネルギーの約80%を消費する可能性がある。
【0028】
冷凍剤は、加熱によって膨張できる。例えば、冷凍剤は、ピーク時間中に大気、地熱、発電施設からの廃熱、および/または極低温作動流体を加熱し、電気を生成するその他の廃熱リソースを含む熱源によって加熱できる。熱源は、作動流体と加熱源の間の温度差が不十分であると見なされてきたので、以前は発電に利用できなかった。作動流体は廃熱によって過熱できる。廃熱は、発電施設、または入力ガスの圧縮過程、あるいは周囲空気によって周囲温度に加熱された後に排ガス流れからも発生させることができる。作動流体のエネルギー密度を増加させるために、ガス入力は膨張の前に高圧であることができ、それは、理想気体WTに対する等温膨張に関するガス入力の単位質量当たりの理想の仕事が
【0029】
【数1】

【0030】
によって与えられるからである。ただしR、T、Pin、およびPoutはそれぞれ普遍定数、ガス温度、噴射圧、排出圧である。さらに、液体の加圧では仕事はほとんど消費されないので冷凍剤は高い作動圧に液体として圧送できる。一方、ガス温度は、膨張の前に可能な限り高くなることができる。発電施設からの煙道ガスに含まれる廃熱を冷凍剤を加熱するために利用できる。最も効果的には、周囲空気は冷凍剤をほぼ周囲温度に加熱するのに使用でき、次いで廃熱は、システム全体のエネルギー効率を向上させるために、さらに作動流体を加熱するのに使用できる。冷凍剤と周囲温度の間の温度差は大きいので、以前はエネルギー源として満足のいくものでないと見なされていた廃熱が冷凍剤を加熱するエネルギー源として使用できる。
【0031】
廃熱を使用することによって、CESは正味のエネルギー生成装置として使用できる。したがって、CBSは周囲からの周囲温熱と共に、エネルギー入力として電気を使用して独立型のエネルギー貯蔵施設として稼動できる。CBSは生成点または需要点に配置できる。
【0032】
作動流体として冷凍剤に含まれる「低温の」エネルギーは、非常に高い等級の極低温エネルギーであり、少なくとも一部分が再利用される。好ましい実施形態では、作動流体に含まれる「低温の」エネルギーは熱交換器を介して(コンプレッサ、ファン、またはブロワの前および/または後で)ガス入力を冷却するために抽出される。低温のエネルギーはシステムからの排気ガスから抽出できる。冷凍剤が膨張の前に等圧過程で周囲温度に加熱されることを想定すると、冷凍剤によって周囲から吸収される熱はQ=h0-h1によって与えられ、ここでh0およびh1は、それぞれ周囲温度および液体温度でのエンタルピである。T1=78.9Kの低温のリザーバとT0=300Kの周囲温度での高温のリザーバとの間で動作されるカルノーサイクルを考えると、仕事量は
【0033】
【数2】

【0034】
によって与えられる。したがって、仕事量は温度差に比例する。上記の式は低温のエネルギーQを得るのに必要な仕事が低温のエネルギーの数倍に等しく、それはしたがって効果的に使用されることも示す。
【0035】
入力の空気は、用途に応じて、熱交換器を通過する前後またはそれと同時に圧縮できる。したがって、コンプレッサは熱交換器の前、熱交換器の後、または熱交換器内にも配置できる。低温の空気が食料またはその他の製品の空気調整または冷却に使用される場合、圧縮が熱交換器の前に配置されたブロワ(低圧)によって実現されることが好ましい。あるいは、入力の空気が液体の冷凍剤を生産するのに使用される場合、コンプレッサが熱交換器の後に配置されることが好ましい。そのようなコンプレッサは液化施設がCBSから離れている場合にCESに取り付けられた独立型のコンプレッサであることができる。あるいは、CESが液化施設に隣接している場合、液化施設のコンプレッサが使用できる。
【0036】
低温の冷凍剤がガス入力を冷却するのに使用される場合、冷却されたガス入力は供給原料として極低温施設にフィードバックされ、またはCESの内側で冷凍剤に液化できる。
【0037】
さらに、またはあるいは、低温のエネルギーは冷凍または空気調節の目的で冷却された空気を供給するのに使用できる。例えば、海上の動力システムでは、エネルギー貯蔵システムは推進器を駆動し、かつ空気調節および/または冷凍の目的で冷却された空気を供給するタービンを駆動するのに使用できる。
【0038】
あるいは、またはさらに、システムからの廃熱は、例えば船に加熱および/または温水を供給するなど、熱を近接する環境に供給するのに使用できる。
【0039】
本発明は、「低温の」エネルギーおよび「廃棄された」熱を同時に使用できる。蓄積された冷凍剤の膨張から「低温の」エネルギーを回収し、システムが電気生成モードで動作しながら、それをより多くの冷凍剤の生産を向上させるために使用することによって、全体としてのシステムの効率が上昇する。低温のエネルギーはこのシステムで高温のエネルギーと同様に有用である。さらに、CESは周囲温度の付近まで冷凍剤を加熱するために周囲空気(熱)または水のエネルギーを使用し、それに続いて、例えば電力生成施設から環境に通気する煙道ガスおよび蒸気からの廃熱によってさらに加熱する。また、ガス入力の圧縮から放出された熱は回収され、冷凍剤を加熱するために使用される。冷凍剤に加えられた熱は、それを膨張させ、これによって冷凍剤が駆動される。
【0040】
熱損失および液圧の降下が常に起こるので、ガス入力の圧力が、例えば入口で、例えばブロワまたはコンプレッサを使用して1つまたは複数の熱交換器の前後で増加できる。圧縮過程は、断熱または等温であることができる。空気の理想の挙動を想定すると、等温過程に要求される仕事は
【0041】
【数3】

【0042】
によって与えられ、それに対して、断熱過程に要求される仕事は、WQ
【0043】
【数4】

【0044】
によって与えられる。ただし、K、P1、P0は、それぞれ比熱比(空気に関して、=1.4)、コンプレッサまたはブロワの出口および入口の圧力である。したがって、出口圧力P1を増加させると共に、必要な仕事が増加する。したがって、P1は、圧縮の仕事を節減するために、可能な限り低く保たれる必要がある。
【0045】
コンプレッサからの廃熱は、例えば船などで加熱および/または温水を供給するために、近接する環境に熱を供給するのに使用できる。
【0046】
好ましい実施形態では、冷凍剤生産施設は、エネルギー貯蔵システムと統合できる。あるいは、冷凍剤生産施設は、エネルギー貯蔵システムから離れていることができ、冷凍剤は2つの施設の間で移送できる。
【0047】
各サイクルの後にシステムに継ぎ足すために、少量の冷凍剤が必要である。
【0048】
システムに動力を与えるために非汚染型のエネルギー源が使用される場合、システムは、CO2およびガス入力からの化石燃料の燃焼と関連するその他の汚染物質などの、環境的に有害なガスを分離することによって環境汚染を後退させる可能性を伴う、環境的に優しいものである。
【0049】
本発明のシステムは、いかなる燃焼過程も伴わず、したがってどのような排出も生じない。唯一の作動流体は、冷凍剤である。生産され、または使用されるCO2、およびNOXなどのその他の環境的に有害なガス成分がより少ないので、環境への影響も最小限に抑えられる。
【0050】
CESシステムは、ほとんどの現行の発電プラントから生成されるエネルギーを貯蔵するために使用できる。
【0051】
CESがCPSとして構成される場合、システムは静止エネルギー貯蔵または生成システムでの場合と異なり、推進デバイスとして使用できる。したがって、CPSは船のエンジンに使用できる。動力システムが船に推進力および電力の両方を提供するのに使用できるように、CESは推進器および発電機の両方を駆動するように構成できる。
【0052】
それに加えて、CPSはさらに、船および/またはその中のものを加熱するための熱を提供するようにさらに構成できる。CPSもさらに、船に積載されたものを冷凍する目的で、または船を空気調節するために、冷熱を供給するように構成できる。
【0053】
次に、本発明を別紙の図面を参照してより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明のエネルギー貯蔵システムの概念的な設計が図1に示される。システム全体が点線のボックス100内に示される。システム100は、空気液化部品200、および極低温エネルギー貯蔵ユニット(CES)300の2つの主要な部品からなる。オフピーク時には、液体空気を生産するために余剰の電気が空気液化施設200に送られ、液体空気は次いで電気を生成するためにCES300によってピーク時に使用される。発電施設400および全体のエネルギー貯蔵システム100は電気の交換のみを行う必要があり、発電施設400の変更がまったく必要なく、したがって最大の柔軟性を確実にする。同時に、作動流体を加熱するために発電施設400の煙道ガスからの任意の利用可能な廃熱410がCES300によって使用できる。
【0055】
エネルギー貯蔵システム100の中に、2つの主要な流れがある。1つの流れ110は、冷凍剤タンクの液体空気として液化および貯蔵される空気を空気液化施設200に送る。ピーク時中に、電気を生成するために液体空気が圧送され、加熱され、次いでCES300で膨張される。別の空気の蒸気120は、大気からの入力の空気である。入力の空気120は作動液体空気の膨張のための熱を供給し、作動液体空気からの「低温の」エネルギーを抽出するためにCES300に送られる。冷却された入力の空気130は、供給原料として空気液化施設200に送出され、または空気液化施設200から要求される冷凍剤の量を低下させるためにCES300内で液体空気を生産するために流量調節できる。同時に、空気液化施設200は、必要であればN2、O2、CO2、Arなどのその他の製品210を生産できる。
【0056】
極低温空気液化システム200は、成熟した技術であり、多くのタイプの極低温空気液化システムが「標準仕様で」容易に入手可能である。図2は、一般的な空気液化施設の概略図を示す。液化施設は、空気圧縮ユニット220、空気前処理ユニット230、空気冷却ユニット(図示されない)、冷却ユニット(図示されない)、および整流ユニット(図示されない)の5つの主要なユニットからなる(整流ユニットは空気が異なる製品に分離される場合にのみ必要である)。空気前処理ユニット230は空気圧縮220および冷却ユニットの下流側にあり、水、二酸化炭素、および炭化水素などの汚染物質を除去するためのものである。次いで精製された空気はさらに、熱交換器240を使用して極低温に冷却され、蒸留される。必要であれば、それは例えば、ガスまたは液体製品として酸素、窒素、またはアルゴンなどを生産するために整流ユニットを通過する。必要であれば、(すなわち空気製品の生産用に)、加圧された空気のわずかな部分を膨張させることによって形成される損失を伴っても、製品は、冷凍を維持するために供給された空気によって暖めることができる。
【0057】
本発明によるCES300が図3に示される。CES300は、コンプレッサ310、タービン320、発電機330、第1の熱交換器340、第2の熱交換器350、流量調節弁360、冷凍剤タンク370、およびポンプ380の8つの主要な構成要素を備える。
【0058】
超低温施設からの液体空気250は、冷凍剤タンク370に(図3の状態5で)導入され、ポンプ380によって圧送されて一定の圧力(状態7)になる。加圧された液体空気は、第2の熱交換器350で加熱され(状態8)、次いで第1の熱交換器340で過熱される(状態9)。液体は作動流体として補助し、次いでタービン320および発電機330を駆動するために膨張する。タービン320は、ほぼ等温膨張を達成するために連続した熱供給を伴う多段ガスタービンであることができる。膨張し、発電機330に動力を与えた後に、作動流体に対する3つのオプションがある(状態10)。
1)大気に直接的に排出され、かつ/または冷却または冷凍のために使用される。
2)供給原料として空気液化施設200内にフィードバックされる。
3)発電施設400に導入される。
【0059】
オプション3を採用することには、使用可能であればタービンの排気から低い等級の熱を回収すること、NOXを低減するためにタービンの燃焼室に注入すること、および注入された空気はタービン入口の温度限界を超えることなくより多くの燃料消費を可能にする希釈剤として作用できるので、ガスタービンの電力出力を増加させる、3つの可能な利点がある。これらの利点はわずかであるが、効果的に使用されれば、全体の効率を上昇させることができる。
【0060】
入力の空気の流れ120では、環境からの空気(状態0)はコンプレッサ310を使用して圧縮され(状態1)、作動流体を加熱するのに使用するために第1の熱交換器340に導入される(状態2)。コンプレッサは、断熱圧縮に取り組むために多段コンプレッサであることができる。水(キャビテーションのためにタービンにとって良くない)、二酸化炭素、NOX、および炭化水素などの入力の空気内のいくつかの望ましくない成分がこの過程の間に除去することもできる。
【0061】
次いで、洗浄された入力の空気は、作動流体からより多くの「低温のエネルギー」を抽出するために第2の熱交換器350を通過する(状態3)。
【0062】
次いで、冷却された入力の空気は、供給原料として液化施設200に送られ、または流量調節弁360に送られて冷凍剤タンク370の注ぎ足しのために液体空気に変換される(状態4)。流量調節したのちの空気のわずかな部分はガスの状態であるが、なお低温である(状態6)。この部分の低温のエネルギーは、ガスを第2の熱交換器350に戻して導入することによって回収される。この部分の空気は、例えばガスタービン内の酸化性物質または炭素ガス化タービンとしてさらに使用できるように酸素が濃厚であることができる。
【0063】
第1の熱交換器340は、2つの平行の、すなわち入力の空気と作動流体の間、および作動流体と発電施設からの(比較的)高い温度の煙道ガスとの間の熱交換過程が起こるように、統合された熱交換器であることができる。第1の熱交換器340は、あるいはこれらの2つの過程のそれぞれに1つの、2つの別々の熱交換器として設計できる。
【0064】
図4は、本発明による極低温推進システム(CPS)500を示す。CPSは、動力を与えられた推進器のタイプに基づいたものであり、同時に冷熱、熱、推進、および電気を提供できる。本発明によるCPSは、推進器505、タービン510、発電機515、コンプレッサ520、4つの熱交換器525、530、535、540、流量調節弁545、冷凍剤タンク550、およびポンプ555の11の主要な構成要素からなる。
【0065】
CPSシステム500の動作過程は、次のものからなる。
1)極低温施設または貯蔵所からの液体空気が冷凍剤タンク550内に送られる。
2)圧送され、加熱され、過熱された後に、作動流体は推進力および/または電気を供給する目的で、推進器505および/または発電機515を駆動するために膨張する。
3)同時に、大気からの空気の流れ(入力の空気1)が圧縮され、熱交換器525、530、535、540に導入される。入力の空気1に含まれる圧縮熱(compression heat)は、船に温水/暖気を供給するために熱交換器525を介して抽出できる。次いで、入力の空気1は、熱交換器530、535、540を通って流れながら作動流体から冷熱を抽出する。最後に、入力の空気1は、液体空気を生産するために流量調節され、冷凍剤タンク550に貯蔵される。
4)周囲温度での入力の空気2および水は、上記に示されるような暖気/水を生産する目的で、入力の空気1に含まれる圧縮熱を抽出するために熱交換器525に導入される。
【0066】
周囲の条件の下での入力の空気3/4は、(熱交換器530からの12〜18℃の)空気調節のための、および(熱交換器535からの-24〜-18℃の)冷凍のための低温空気を提供する目的で、熱交換器530および535を介して低温のエネルギーを抽出するために導入される。
【0067】
熱力学サイクル分析-CES
図3のCESシステムに関する、周囲条件で2つ、低圧で1つ、および高圧で1つの、4つの一般的なサイクルが、入力の空気の圧力の点で検討される。これらの分析では、液体空気が単一の位相の流体として扱われ、ガス状の空気が理想気体として扱われる。コンプレッサ310、タービン320、ポンプ380、および流量調節弁360でのエネルギー損失は、効率ηを使用することによって計算される。これらの熱力学分析に関して、管、弁、および曲げでの流れによる摩擦および領域的な損失は無視され、貯蔵の間の冷凍剤の消散は考慮されない。周囲温度および圧力は、それぞれT0およびP0によって表され、液体空気の臨界温度および沸騰温度は、それぞれTcrおよびTSとして示される。
【0068】
周囲の入力の空気の圧力の場合-理想の熱力学サイクル分析
理想の熱力学サイクルが図5に示される。これらの過程、およびこれらの過程の仕事、熱、および/またはエクセルギーは、
1)過程5-7、作動流体の圧送過程
冷凍剤タンクからの作動流体(液体空気)が圧送されて、断熱的に周囲の圧力P0からP2になる。特定の仕事(液体空気の単位質量当たりの仕事)が、力学の視点から
【0069】
【数5】

【0070】
によって表すことができる。
仕事は熱力学の第1の法則から状態7と5の間のエンタルピの差によっても表すことができる、すなわちW5-7=h7-h5である。
【0071】
2)過程7-8、作動流体の等圧加熱
作動流体が入力の空気TSによって周囲温度T0に加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0であり、すなわちW7-8=0である。入力の空気から作動流体によって吸収される特定の熱はQ7-8=h8-h7である。したがって、過程のエクセルギー損失は、Ex7-8=T0(S8-S7)-(h8-h7)である。
【0072】
3)過程8-0、作動流体の等温膨張
高圧の作動流体はタービンで膨張し、それによって発電機が駆動され、周囲温度T0で電気を生成する。この過程でタービンによって行われる特定の理想の仕事は、W8-0=T0(S0-S8)-(h0-h8)によって与えられる。大気から作動流体によって膨張中に吸収される特定の熱はQ8-0=T0(S0-S8)である。
【0073】
4)過程0-6、入力の空気による作動流体からの低温のエネルギーの抽出
入力の空気は、作動流体から低温のエネルギーを等圧的に抽出するのに使用される。この過程で理論的には仕事はまったく必要でない、すなわちW0-6=0である。作動流体から入力の空気によって吸収される特定の冷熱は、Q0-6=h6-h0である。過程の間に入力の空気によって得られるエクセルギーは、Ex0-6=T0(S0-S6)-(h0-h6)である。
【0074】
5)過程6-5、入力の空気の凝縮
入力の空気は作動流体によって放出される低温のエクセルギーによって凝縮され、それによってなされる必要がある仕事は0、すなわちW6-5=0である。作動流体から入力の空気によって吸収される特定の低温のエネルギーはQ6-5=h5-h6=λ、ただしλは蒸発潜熱である。入力の空気により得られる、対応するエクセルギーは、Ex6-5=T0(S6-S5)-(h6-h5)である。作動流体の質量流量(mass flow)が1であると想定すると、入力の空気の質量流量はxであり、次いで熱収支はQ7-8≧x(Q0-6+Q6-5)によって与えられ、ただし、Q7-8=h8-h7、Q0-6=h6-h0、およびQ6-5=h5-h6である。上記の等式にこれらの表現を挿入すると、h8-h7≧x(h0-h5)が与えられる。P2が与えられると、h8、h7、h0、h5が決定でき、xが
【0075】
【数6】

【0076】
によって表すことができる。熱力学の第2の法則によれば、システムのエクセルギーは、入力のエネルギーなしでのみ減少することができ、すなわちEx7-8≦x(Ex0-6+Ex6-5),
【0077】
【数7】

【0078】
である。したがって、単一のサイクルに関する液体空気の消費は(1-x)であり、サイクルの特定の正味の仕事量(work output)は、Wnet=W8-0-W5-7=T(S0-S8)-(h0-h8)-(h7-h5)である必要があり、CESのエネルギー密度は、
【0079】
【数8】

【0080】
によって表すことができる。空気液化施設で生産された液体空気のエネルギー達成がECであると想定すると、全体のエネルギー貯蔵システムのエネルギー効率は(空気の液化+CES)、EEは、
【0081】
【数9】

【0082】
によって計算される。ポンプ効率ηP、およびタービン効率ηTを考慮すると、正味の仕事Wnetは、
【0083】
【数10】

【0084】
になる必要がある。CESのエネルギー密度EDは、
【0085】
【数11】

【0086】
になる。EEは、
【0087】
【数12】

【0088】
になる。しかし、作動液と入力の空気との間の温度差は、回避できない。これによって、温度T8が低下し、温度T6が上昇する。したがって、理想の熱力学サイクルはシステム全体の効率を上回って予想する。これは、図6を参照して以下に計算される。
【0089】
周囲の入力の空気の圧力の場合-実際の熱力学サイクル分析
図6では、作動液は周囲温度からの温度差の存在によってT8にのみ加熱でき、入力の空気はT6にのみ冷却できる。T6'はT6(沸騰温度)より高いので、入力の空気は空気液化施設で液化される必要があり、次いで状態5でCESシステムにフィードバックされる。図6に示される過程に関する仕事、熱、および/またはエクセルギーは、以下に与えられる。
【0090】
1)過程5-7、作動流体の圧送過程
この図6の過程は、図5に示される過程と同じである。冷凍剤タンクからの液体空気は、周囲圧力P0からP2にポンプによって加圧される。液体空気に行われる特定の仕事は、
【0091】
【数13】

【0092】
であり、それは状態7と状態5の間のエンタルピの差に等しい、すなわちW5-7=h7-h5である。
【0093】
2)過程7-8'、作動流体の等圧加熱
作動流体は、入力の空気によって周囲温度T8(=T0)の代わりにTSからT8に加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW7-8=0である。入力の空気から作動流体によって吸収される特定の熱はQ7-8'=h8'-h7である。したがって、過程でのエクセルギー損失はEx7-8'=T0(S8'-S7)-(h8'-h7)である。
【0094】
3)過程8'-0'、作動流体の等温膨張
高圧での作動流体はタービン内で膨張し、それによって発電機を等温的に駆動し、電気を生成する。この過程でタービンによって行われる特定の理想の仕事は、W8'-0'=T0'(S0'-S8')-(h0'-h8')によって与えられる。大気から作動流体によって膨張中に吸収される特定の熱はQ8'-0'=T0'(S0'-S8')である。
【0095】
4)過程0-6'、入力の空気による作動流体からの低温のエネルギーの抽出
入力の空気は、作動流体から冷熱を等圧的に抽出するのに使用される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW0-6'=0である。作動流体から入力の空気によって抽出される特定の冷熱はQ0-6'=h6'-h0である。したがって、過程で入力の空気によって得られるエクセルギーは、Ex0-6'=T0(S0-S6')-(h0-h6')である。
【0096】
5)過程6'-6-5、入力の空気の冷却および凝縮
入力の空気は空気液化施設で冷却および凝縮される。作動流体の質量流量が1であると想定すると、入力の空気の質量流量はxであり、サイクルの熱収支はQ7-8'≧xQ0-6'によって与えられ、ただし、Q7-8'=h8'-h7、Q0-6'=h6'-h0、上式は、h8-h7≧x(h0-h6')になる。P2、およびT8、T8'、T6、T6'の間の温度差が与えられると、h8'、h7、h0、h6'が決定でき、xは、
【0097】
【数14】

【0098】
によって表すことができる。熱力学の第2法則によれば、Ex7-8'≦xEx0-6'
【0099】
【数15】

【0100】
である。
【0101】
【数16】

【0102】
である場合、上記の関係
【0103】
【数17】

【0104】
は、常に保たれる。1単位の作動流体の蒸発は、
【0105】
【数18】

【0106】
単位の入力の空気を予め冷却できる。熱交換器の効率が十分高い場合、xは1より大きくなることができる。この実際のリサイクルで再利用される特定の冷熱は、Q7-8'=xQ0-6'=x(h0-h6')である。上記に示したように、液体空気内の低温のエネルギーは非常に高い等級のエネルギーであり、空気が理想気体であると想定して、上記の低温のエネルギーは、W7-8'=x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]によって与えられる理想の仕事に等しい。したがって、サイクルの特定の正味の仕事量は、Wnet=W8'-0'-W5-7+W7-8'=T0'(S0'-S8')-(h0'-h8')-(h7-h5)+x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]によって与えられ、CESのエネルギー密度は、
【0107】
【数19】

【0108】
である。全体のエネルギー貯蔵システムのエネルギー効率(空気液化+CES)EEは、
【0109】
【数20】

【0110】
によって計算できる。ポンプ効率ηP、タービン効率ηTおよび空気の液化の効率ηAを考慮すると、正味の仕事Wnetは、
【0111】
【数21】

【0112】
である必要がある。CESのエネルギー密度EDは、
【0113】
【数22】

【0114】
になり、全体のエネルギー貯蔵システムのエネルギー効率は、
【0115】
【数23】

【0116】
になる。廃熱のさらなる使用を考慮すると、図7に示されるように発電施設からの廃熱を使用してT0がT9に過熱されると、サイクルの特定の正味の仕事量はWnet2=W9-10-W5-7+W7-8'=T9(S10-S9)-(h10-h9)-(h7-h5)+x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]になり、CESのエネルギー密度は、
【0117】
【数24】

【0118】
である。これは、全体のエネルギー貯蔵システムの以下のエネルギー効率(空気液化システム+CES)
【0119】
【数25】

【0120】
を生じる。T0=300Kであり、タービン、ポンプ、および熱交換器によるエネルギー損失を無視すると、液体空気の単位質量に関する理想の仕事量は、Wnet=W8'-0'-W5-7+W7-8'=T0'(S0'-S8')-(h0'-h8')-(h7-h5)+x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]=743kJ/kgによって上記の分析に基づいて推定でき、理想のエネルギーCESの密度
【0121】
【数26】

【0122】
は、=T0'(S0'-S8')-(h0'-h8')-(h7-h5)+x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]=180.8kWh/m3である。EC=1440kJ/kg(0.4kWh/kg)である場合、CESの理想のエネルギー効率は、
【0123】
【数27】

【0124】
である。EC=1080kJ/kg(0.3kWh/kg)である場合、CESの理想のエネルギー効率は、
【0125】
【数28】

【0126】
になる。発電施設からの廃熱を使用してT9が400Kに過熱された場合、特定の理想の仕事は、Wnet2=W9-10-W5-7+W7-8'=T9(S10-S9)-(h10-h9)-(h7-h5)+x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]=881kJ/kgである。CESの理想のエネルギー密度
【0127】
【数29】

【0128】
は、=T9(S10-S9)-(h10-h9)-(h7-h5)+x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]=214.3kWh/m3である。EC=1440kJ/kg(0.4kWh/kg)である場合、CESの理想のエネルギー効率は、
【0129】
【数30】

【0130】
である。EC=1080kJ/kg(0.3kWh/kg)である場合、CESの理想のエネルギー効率は、
【0131】
【数31】

【0132】
になる。上記に使用されるエネルギー消費(0.3および0.4kWh/kg)は、空気から酸素を分離するためのものであることに留意されたい。液体空気の生産の実際のエネルギー要件は、理想のエネルギー効率の予測が慎重になるように、この数字のおよそ80%である。一方、確度の高い実際の効率は、上記に予測された効率が実際の効率に近くなるように、理想の仕事のサイクルで達成されるもののおよそ80%である。
【0133】
上記の分析から、CESの仕事量は、低温のエネルギーの回収により、所与の極低温の燃料消費量に関して大幅に増加すると結論付けることが可能である。低温のリサイクルからの剰余の仕事は、x[T0(S0-S6')-(h0-h6')]に等しく、ただしxは構成要素の温度差およびエネルギー損失によって決定される。CESの特定の仕事量およびエネルギー密度は、タービン効率ηTおよび空気液化施設での液体空気の単位質量当たりのエネルギー消費ECに依存する。ポンプ効率も要因ではあるが、ポンプによって消費される仕事は比較的小さいので、ηTおよびECほど重要ではない。熱交換器の温度差での増加は、液体空気の消費を増加させ、またはサイクル効率を低下させる。エネルギー貯蔵システムのエネルギー効率およびエネルギー密度EEはその他の現在利用可能なエネルギーシステムと競争力があることが分かる。本発明のシステムは、空気液化施設からその他の製品を生産し、発電施設からの廃熱を使用する利点ももたらす。
【0134】
低い入力の空気の圧力の場合-CESの熱力学サイクルの分析
低い入力の空気の圧力に関するCESの熱力学サイクルが図8に示される。ここでは、用語「低圧」は、空気の蒸発がほぼ等温である、約3.8MPa以下の圧力を示す。サイクルは、上述した過程と同様の以下の過程からなる。
【0135】
1)過程0-2、入力の空気の等温加圧
入力の空気は周囲の圧力P0からP1に等温的に圧縮される。コンプレッサによって空気に行われる仕事は、W0-2=T0(S0-S2)-(h0-h2)である。この等温過程の熱Q0-2は、Q0-2=T0(S0-S2)である。不都合なことに、絶対的な等温加圧過程を実現することは困難であり、実際の過程は0-1などのポリトロープ過程である。
【0136】
2)過程2-3'-3、入力の空気による作動流体からの低温のエネルギーの抽出
圧縮された入力の空気は、作動流体から低温のエネルギーを等圧的に抽出するのに使用される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW2-3=0である。過程2-3で入力の空気から放出される熱は、Q2-3'=h3'-h2である。過程3-3'で入力の空気から放出される熱は、Q3'-3=h3'-h3=T3(S3'-S3)=λである。したがって、過程で得られるエクセルギーは、Ex2-3=T0(S3-S2)-(h3-h2)によって与えられる。
【0137】
3)過程3-4-5(-6)、圧縮された入力の空気の流量調節
圧縮された入力の空気は、凝縮のために周囲の圧力に流量調節される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW3-4=0である。入力の空気から放出される熱は0、すなわちQ3-4=0である。作動流体の1つのユニットを考慮すると、入力の空気の総量は、そのうちの端数yが液化されるxユニットであり、状態5での液化された空気の量はxyになり、状態6でのガス状の空気の量はx(l-y)になる。過程3-4-5(-6)の間の熱収支は、h3=yh5+(1-y)h6である。
【0138】
4)過程5-7、作動空気の圧送過程
図8の過程5-7は、冷凍剤タンクからの液体空気が圧送されて周囲圧力P0からP2になる、図5の過程と同じである。液体空気に行われる特定の仕事は、
【0139】
【数32】

【0140】
である。上記の仕事は状態7と状態5の間のエンタルピの差、すなわちW5-7=h7-h5によって表すこともできる。
【0141】
5)過程7-7'、入力の空気を凝縮するための作動流体の等圧加熱
作動流体はT3で入力の空気を凝縮するために加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0であり、すなわちW7-7=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ7-7'=h7'-h7である。
【0142】
6)過程7'-8、入力の空気を冷却するための作動流体の等圧加熱
作動流体は入力の空気によってT7'からT8に加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW7'-8=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ7'-8=h8-h7'である。過程7-8で放出されるエクセルギーは、W7-8=T0(S8-S7)-(h8-h7)である。
【0143】
7)過程8-9、作動流体の等圧過熱
作動流体はT8からT9によって過熱され、そこでは仕事はまったく行われず、すなわち、W8-9=0であり、一方でこの過程の間入力の空気から吸収される特定の熱は、Q8-9=h9-h8である。
【0144】
8)過程9-10、作動流体の等温膨張
高圧を伴う作動流体は、タービン内で等温的に膨張し、それによって電気を生成するために仕事を出力する。この過程で行われる理想の仕事は、W9-10=T9(S10-S9)-(h10-h9)である。過程において周囲から作動流体によって吸収される特定の熱はQ9-10=T9(S10-S9)である。等温膨張を確実にするために、T9は周囲温度よりも高く、それによって発電施設から得られた廃熱からのエネルギーが必要になることを留意されたい。空気の膨張が断熱過程である場合、特定の理想の仕事Wadは、
【0145】
【数33】

【0146】
になり、それは熱吸収がまったくないことを意味し、すなわちQad=0である。しかし、実際の仕事はW9-10とWadの間の範囲になることが期待される。等温性と呼ばれる要因は、しばしば指数として用いられ、それは等温の仕事
【0147】
【数34】

【0148】
に対する実際の仕事の比率として定義される。したがって、実際の仕事Wacは、
【0149】
【数35】

【0150】
として表すことができる。
【0151】
9)過程6-6'、入力の空気を凝縮するための排気からの冷熱の抽出
排気(流量調節後の入力の空気の一部分)は、入力の空気を等圧的に凝縮するために使用される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW6-6'=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ6-6'=h6'-h6である。したがって、3'-3、7-7'、および6-6'の熱収支は、xQ3'-3=Q7-7'+x(1-y)Q6-6'、x(h3-h3')=(h7'-h7)+x(1-y)(h6'-h6)によって与えられる。
【0152】
10)過程6'-0、入力の空気を冷却するための排気からの冷熱の抽出
排気は入力の空気を等圧的に冷却するために使用される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW6'-0=0である。排気から入力の空気によって吸収される特定の冷熱は、Q6'-0=h0-h6'である。2-3'、7'-8、および6'-0の熱収支は、xQ2-3'≦Q7'-8+x(1-y)Q6'-0、x(h2-h3')≦(h8-h7')+x(1-y)(h0-h6')として表される。過程6-0で得られるエクセルギーは、Ex0-6=T0(S0-S6)-(h0-h6)である。サイクルの熱収支およびエクセルギー収支から、図8のT-S図に基づいて以下の式
【0153】
【数36】

【0154】
によって計算できる。上記の式から、入力の空気yの液化の比率は、
【0155】
【数37】

【0156】
である。(h6-h5)>(h6-h4)が常に保持されるので、1>y>0である。同様に、xは、
【0157】
【数38】

【0158】
として表すことができる。(h7'-h7)>0、[(h3-h3')-(1-y)(h6'-h6)]>0が常に保たれるので、x>0である。これは、1ユニットの作動流体の蒸発によりxyユニットの液体空気が生産でき、サイクルの消費が(1-xy)になることを意味する。その結果、サイクルの特定の正味の仕事量は、Wnet=W9-10-W5-7-xW0-2=[T9(S10-S9)-(h10-h9)]-(h7-h5)-x(T0(S0-S2))であり、CESのエネルギー密度は、
【0159】
【数39】

【0160】
によって表すことができる。したがって、全体のエネルギー貯蔵システム(空気液化システム+CES)のエネルギー効率EEは、
【0161】
【数40】

【0162】
によって計算できる。ポンプ効率ηP、タービン効率ηT、およびコンプレッサ効率ηCOMを考慮すると、正味仕事Wnetは、
【0163】
【数41】

【0164】
である必要があり、CESのエネルギー密度EDは、
【0165】
【数42】

【0166】
になり、EEは、
【0167】
【数43】

【0168】
になる。
【0169】
上記の分析に基づいて、冷凍剤(液体窒素)によって動力を与えられたエンジンと比較して、冷凍剤燃料の消費は、1ユニットの作動流体に関するxyによって低減されるが、圧縮W0-2=T0(S0-S2)に関して必要な仕事を損失すると結論付けることが可能である。作動流体の消費の低減により、損失は利益よりも少ないので、特定の仕事量が改善される。圧縮の仕事はタービンの仕事量よりもはるかに小さいので、CESの特定の仕事量およびエネルギー密度は主にタービン効率ηT、および空気の液化に関するエネルギー消費に依存する。これは周囲の圧力を使用する場合と同様である。ポンプおよびコンプレッサ効率は、CESの仕事量およびエネルギー密度を改善する鍵になる要因ではない。等温の凝縮の過程は低いエネルギー効率を有するので、このサイクル効率は、図6の効率よりも低いことが予測される。
【0170】
高い入力の空気の圧力の場合-CESの熱力学サイクルの分析
高い入力の空気の圧力の場合に関するCESの熱力学サイクルが図9に示される。ここでは、用語「高い入力の空気の圧力」は、その上では空気がまったく等温の蒸発過程を有しない、3.8MPaよりも圧力が高いことを意味する。この場合の過程は以下の通りである。
【0171】
1)過程0-2、入力の空気の等温加圧
入力の空気は周囲の圧力P0からP1に等温的に圧縮される。コンプレッサによって空気に行われる仕事は、W0-2=T0(S0-S2)-(h0-h2)である。この等温過程の熱Q0-2は、Q0-2=T0(S0-S2)である。不都合なことに、絶対的な等温加圧過程を実現することは困難であり、実際の過程は0-1になる。
【0172】
2)過程2-3、入力の空気による作動流体からの低温のエネルギーの抽出
圧縮された入力の空気は、作動流体から低温のエネルギーを等圧的に抽出するのに使用される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW2-3=0である。過程2-3に関して入力の空気から放出される熱は、Q2-3=h3-h2である。過程で得られるエクセルギーは、Ex2-3=T0(S3-S2)-(h3-h2)によって与えられる。
【0173】
3)過程3-4-5(-6)、圧縮された入力の空気の流量調節
圧縮された入力の空気は、凝縮のために周囲の圧力に流量調節される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW3-4=0である。入力の空気から放出される熱は0、すなわちQ3-4=0である。低い入力の空気の圧力の場合と同様に、1つのユニットの作動流体を考慮し、その端数yが液化されるxユニットの入力の空気の総和を想定すると、状態5で液化によって生産される液体空気の量はxyであり、状態6でのガス状空気の量はx(1y)である。したがって、3-4-5(6)の熱収支は、h3=yh5+(1-y)h6と表される。
【0174】
4)過程5-7、作動流体の圧送
この過程は、図6の過程と同じである。冷凍剤タンクからの液体空気は、圧送されて周囲圧力P0からP2になる。ユニット質量の液体空気に行われる仕事は、
【0175】
【数44】

【0176】
である。仕事は状態7と状態5の間のエンタルピの差、すなわちW5-7=h7-h5によって表すこともできる。
【0177】
5)過程7-8、入力の空気を冷却するための作動流体の等圧加熱
作動流体はT3で入力の空気を凝縮するために加熱され、この過程W7-8=0に伴う仕事がある。入力の空気から吸収される特定の熱はQ7-8=h8-h7である。過程7-8で放出されるエクセルギーは、W7-8=T0(S8-S7)-(h8-h7)である。
【0178】
6)過程8-9、作動流体の等圧過熱
作動流体は入力の空気によってT8からT9に過熱され、そこでは仕事はまったく行われない、すなわちW8-9=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ8-9=h9-h8である。
【0179】
7)過程9-10、作動流体の等温膨張
高圧を伴う作動流体はタービン内で膨張し、等温的に仕事が行われる。この過程で行われる特定の仕事はW9-10=T9(S10-S9)-(h10-h9)であり、この過程で吸収される特定の熱はQ9-10=T9(S10-S9)である。低い圧力の場合と同様に、T9は周囲温度よりも高く、発電施設からの廃熱はこの過程を等温に保つために必要である。作動流体の膨張が断熱である場合、特定の理想の仕事Wadは、
【0180】
【数45】

【0181】
になる。過程で吸収された特定の熱はQad=0である。上記の分析の結果として、実際の仕事はW9-10とWadの間の範囲にある必要がある。前述したように、等温性yは、非理想性(non-ideality)
【0182】
【数46】

【0183】
を示すのに使用される。実際の仕事WacはWac=γW9-10=γ[T9(S10-S9)-(h10-h9)]として表される必要がある。
【0184】
8)過程6-0、入力の空気を冷却するための排気からの低温のエネルギーの抽出
流量調節後の排気は入力の空気を等圧的に冷却するために使用される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW6-0=0である。入力の空気によって吸収される特定の冷熱はQ6-0=h0-h6である。過程2-3、7-8、および6-0の間の熱収支は、xQ2-3=Q7-8+x(l-y)Q6-0,x(h2-h3)=(h8-h7)+x(1-y)(h0-h6)である。過程6-0で得られるエクセルギーは、Ex0-6=T0(S0-S6)-(h0-h6)である。過程2-3、3-4-5-6、7-8、6-0の熱収支およびエクセルギー収支に基づいて、xおよびyが空気に関するT-S図に基づいた以下の等式
【0185】
【数47】

【0186】
によって計算できる。上記の式から、入力の空気yの液化の比率は、
【0187】
【数48】

【0188】
によって表すことができる。低い圧力の場合の方法と同様に、1>y>0が常に保たれ、xが、
【0189】
【数49】

【0190】
として表すことができる。(h8-h7)>0、[(h2-h3)-(1-y)(h0-h6)]>0が常に保たれるので、x>0が得られる。これは、1つのユニットの作動流体の蒸発はxyユニットの液体空気を生産することができ、一方このサイクルの消費が1-xyであることを意味し、サイクルの特定の正味の仕事量は、Wnet=W9-10-W5-7-xW0-2=[T9(S10-S9)-(h10-h9)]-(h7-h5)-x(T0(S0-S2))になり、CESのエネルギー密度は、
【0191】
【数50】

【0192】
である。したがって、全体のエネルギー貯蔵システム(空気液化+CES)のエネルギー効率EEは、
【0193】
【数51】

【0194】
によって計算できる。ポンプ効率ηP、タービン効率ηT、およびコンプレッサ効率ηCOMを考慮すると、正味仕事Wnetは以下の
【0195】
【数52】

【0196】
になる。上記の結果、CESのエネルギー密度EDは、
【0197】
【数53】

【0198】
になり、EE
【0199】
【数54】

【0200】
になる。上記の分析から、液体窒素の動力を与えられたエンジン設計と比較して、このサイクルに関する冷凍剤燃料の消費はxyだけ低減されるが、W0-2=T0(S0-S2)-(h0-h2)だけ仕事を損失することが理解できる。しかし、特定の仕事量は、液体燃料の消費の低下によって向上する。コンプレッサによって要求される仕事は、タービンによって生成される仕事と匹敵するものである必要がある。その結果、コンプレッサ効率ηCOMはCESの全体の効率を決定する鍵になるパラメータになる。このサイクルは、エネルギー貯蔵システムのCES部分によって液体空気を生産するのにより適している。
【0201】
4つの一般的なサイクルに関する上記の熱力学分析は、以下のものを示す。
1)CESのエネルギー効率およびエネルギー密度は、低温のエネルギーのリサイクルによって、液体窒素により動力を与えられたエンジンと比較して向上する。
2)エネルギー貯蔵システムの全体の性能は、タービン効率、ならびに空気液化施設の特定の仕事量および特定のエネルギー消費によって決定される。
3)熱交換器の間の温度差での増加は、液体空気の消費を増加させ、したがってサイクル効率を低下させる。
4)CESのエネルギー効率および密度は、発電施設からの廃熱が利用される場合に向上する。
【0202】
その結果により、CESの効率がその他のエネルギー貯蔵システムと競争力があることも示される。さらに、システムは廃熱を利用し、必要であれば空気の製品も生産することができる。
【0203】
熱力学サイクル分析-CPS
図10aは、本発明によるCPSの熱力学サイクルを示す。以下のライン、すなわち作動流体-ライン580、入力の空気1-ライン585、入力の空気2-ライン590、および入力の空気3-ライン595によって示される4つの空気の流れがある。これらの分析では、液体空気が単一の位相の流体として扱われ、ガス状の空気が理想気体として扱われる。コンプレッサ520、タービン510、ポンプ555でのエネルギー損失は、効率ηを使用することによって計算される。これらの熱力学分析に関して、管、弁、および曲げでの流れによる摩擦および領域的な損失は無視され、貯蔵の間の冷凍剤の消散は考慮されない。周囲温度および圧力は、それぞれT0およびP0によって表され、液体空気の沸騰温度はTSとして示される。
【0204】
1)1-2:作動流体の圧送過程
冷凍剤タンクからの作動流体(液体空気)が圧送されて、周囲の圧力P0からP2になる。液体空気に行われる特定の仕事は、
【0205】
【数55】

【0206】
である。上記の仕事は状態2と状態1の間のエンタルピの差、すなわちW1-2=h2-h1によって表すこともできる。
【0207】
2)2-2':入力の空気1を凝縮するための作動流体の等圧加熱
作動流体はT1で入力の空気を凝縮するために加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW2-2'=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ2-2'=h2'-h2である。
【0208】
3)2'-3:作動流体の等圧加熱
作動流体は入力の空気によってT2'からT3に加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW2'-3=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ2'-3=h3-h2'である。過程2-3で放出されるエクセルギーはEx2-3=T0(S3-S2)-(h3-h2)である。
【0209】
4)3-0、作動流体の等温膨張
高圧を伴う作動流体は、タービン内で等温的に膨張し、それによって推進力および電気を生成するための仕事が行われる。この過程で行われる特定の理想の仕事はW3-0=T0(S0-S3)-(h0-h3)である。過程において周囲から吸収される特定の熱はQ3-0=T0(S0-S3)である。作動流体の膨張が断熱的である場合、特定の理想の仕事Wadは、
【0210】
【数56】

【0211】
になり、それは熱吸収がまったくないことを意味し、すなわちQnd=0である。しかし、実際の仕事はW3-0とWadの間の範囲になることが期待される。等温性と呼ばれる要因は、しばしば指数として用いられ、それは等温の仕事に対する実際の仕事の比率
【0212】
【数57】

【0213】
として定義される。したがって、実際の仕事Wacは、Wac=γW3-0=γ[T0(S0-S3)-(h0-h3)]として表すことができる。
【0214】
5)0-4:入力の空気1のポリトロープ加圧
入力の空気1は周囲の圧力P0からP1にポリトロープ的に圧縮される。コンプレッサによって空気に行われる仕事は、
【0215】
【数58】

【0216】
であり、ただしnはポリトロープ係数である。このポリトロープ過程の熱Q0-4は、Q0-4=Cn(T4-T0)であり、ただしCnは、ポリトロープ熱比(polytropic heat ratio)
【0217】
【数59】

【0218】
である。T4は、
【0219】
【数60】

【0220】
によって計算できる。
【0221】
6)4-5:入力の空気1から入力の空気2への等圧的な熱の放出
入力の空気1の熱は、暖気/または温水を生成するために入力の空気2または水に放出される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW4-5=0である。過程4-5で入力の空気1から放出される熱は、Q4-5=h4-h5である。
【0222】
7)5-6-7:作動流体による入力の空気1の冷却
圧縮された入力の空気1は、等圧的に作動流体によって冷却され、作動流体内の低温のエネルギーが同時に抽出される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW5-7=0である。過程5-6で入力の空気1から放出される熱は、Q5-6=h5-h6である。過程6-7で入力の空気から放出される熱は、Q6-7=h6-h7=T6(S6-S7)=λである。したがって、過程で得られるエクセルギーは、Ex5-6-7=T0(S5-S7)-(h5-h7)によって与えられる。
【0223】
8)7-8-9(-1):圧縮された入力の空気1の流量調節
圧縮された入力の空気1は、凝縮のために周囲の圧力に流量調節される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW7-8=0である。入力の空気から放出される熱は0、すなわちQ7-8=0である。
【0224】
9)9-9'、入力の空気を凝縮するための排気からの冷熱の抽出
排気(流量調節後の入力の空気1の一部分)は、入力の空気を等圧的に凝縮するために使用される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW9-9'=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ9-9'=h9'-h9である。
【0225】
10)9'-0、入力の空気を冷却するための排気からの冷熱の抽出
排気(入力の空気1の一部分)が使用されて、入力の空気1を等圧的に冷却する。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW9'-0=0である。排気から入力の空気1によって吸収される特定の冷熱は、Q9'-0=h0-h9'である。過程9-0で得られるエクセルギーは、Ex9-0=T0(S0-S9)-(h0-h9)によって与えられる。
【0226】
11)0-10:作動流体の低温のエネルギーの入力の空気3による空気調節のための等圧的な抽出
作動流体の冷熱が、空気調節に使用される低温空気の生産のために入力の空気3によって抽出される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW0-10=0である。過程0-10での作動流体からの低温のエネルギーはQ0-10=h0-h10である。
【0227】
12)0-10-11:作動流体の低温のエネルギーの入力の空気4による冷凍のための等圧的な抽出
作動流体の冷熱が冷凍のために入力の空気4によって抽出される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW0-11=0である。過程0-11での作動流体からの低温のエネルギーはQ0-11=h0-h11である。
【0228】
13)0-12:入力の空気2/水による入力の空気1の熱エネルギーの等圧的な抽出
入力の空気1の熱は、暖気/温水の生成のために入力の空気2/水によって抽出される。この過程で行われる仕事は0、すなわちW0-12=0である。過程0-12で入力の空気1から放出される熱は、Q0-12=h12-h0である。
【0229】
エネルギー収支の分析
1つのユニットの作動流体に関して、入力の空気1の総量がx1、入力の空気2の総量がx2と想定すると、空気調節用にx3ユニット、および冷凍用にx4ユニットを有して、入力の空気3/4の総量がx3+x4である。1つのユニットの作動流体では、入力の空気1に対してa1ユニットが使用され、入力の空気3/4を冷却するのにa2+a3ユニットが使用され、その場合、x3にa2、x4にa3が対応する。熱力学の第1および第2の法則によれば、以下の熱およびエクセルギーの収支を得ることができる。
【0230】
1)過程7-8-9-(-1)での熱収支
a1ユニットの作動流体に関して、yの割合の入力の空気1が液化され、状態1の液化された空気の量がx/yになり、状態9でのガス状の空気の量がx1(1-y)になる。過程7-8-9(-1)の間の熱収支は、h7=yh1+(1-y)h9である。上式から入力の空気の液化の比率yは、
【0231】
【数61】

【0232】
である。(h9-h1)>(h9-h7)>0が常に保たれるので、1>y>0である。
【0233】
2)過程6-7、2-2'、および9-9'での熱収支
6-7、2-2'、および9-9'の熱収支はx1Q6-7=a1Q2-2'+x1(1-y)Q9-9'、x1(h6-h7)=a1(h2'-h2)+x1(1-y)(h9'-h9)によって与えられる。x1は、
【0234】
【数62】

【0235】
で表すことができる。
【0236】
3)過程5-6、2'-3、および9'-0での熱収支
5-6、2'-3、および9'-0の熱収支は、x1Q5-6≦a1Q2-3+x1(1-y)Q9'-0、x1(h5-h6)≦a1(h3-h2)+x1(1-y)(h0-h9')として表すことができる。
【0237】
4)過程4-5、および0-12での熱収支:
過程4-5、および0-12の間の熱収支は、x2(h12-h0)=x1(h5-h4)によって表すことができる。x2は、
【0238】
【数63】

【0239】
として表すことができる。
【0240】
5)過程0-10および2-3での熱収支
過程0-10および2-3での熱収支は、x3(h0-h10)=a2(h3-h2)によって表すことができる。x3は、
【0241】
【数64】

【0242】
として表すことができる。
【0243】
6)過程0-11および2-3での熱収支
過程0-11および2-3での熱収支は、x4(h0-h11)=a3(h3-h2)によって表すことができる。x4は、
【0244】
【数65】

【0245】
として表すことができる。
【0246】
7)過程5-7、2-3、および9-0のエネルギー収支
過程5-7、2-3、および9-0のエネルギー収支は、x1Ex5-7≦a1Ex2-3+x1(1-y)Ex0-9、x1[T0(S5-S7)-(h5-h7)]≦al[T0(S3-S2)-(h3-h2)]+x1[T0(S0-S9)-(h0-h9)]として表すことができる。
【0247】
8)過程2-3の質量保存:a1+a2+a3=1
【0248】
効率およびエネルギー密度の分析
以下の分析は、
【0249】
【数66】

【0250】
として定義される仕事(電気)の効率を使用し、その場合WoutputおよびWinputはそれぞれ、入力および出力のエネルギーによって変換された総仕事である。熱および低温のエネルギーの等しい仕事を計算するために、性能(COP)、冷凍COP(ε)、および熱ポンプCOP(ζ)の2つの係数が、熱から仕事への変換に使用される。その結果、サイクルの特定の正味の仕事量は、
【0251】
【数67】

【0252】
である。一方で、入力の空気1による液体空気の生産性はx1yである。したがって、作動流体の消費は(1-x1y)である。CPSのエネルギー密度は、
【0253】
【数68】

【0254】
によって表すことができる。液体空気の最大の特定の仕事、WRは、WR=T0(S0-S1)-(h0-h1)であることが知られている。したがってCPSのエネルギー効率EEは、
【0255】
【数69】

【0256】
によって計算できる。ポンプ効率ηP、タービン効率ηT、およびコンプレッサ効率ηCOMを考慮すると、正味の仕事Woutputは、
【0257】
【数70】

【0258】
である必要があり、CPSのエネルギー密度EDは、
【0259】
【数71】

【0260】
EEは、
【0261】
【数72】

【0262】
になる。
【0263】
上記の分析に基づいて、以下のことを結論付けることが可能である。
1)最大の特定の仕事WRは、CPSのエネルギー密度の上限を与える。周囲温度T0=300Kが使用される場合、値は約743kJ/kgである。
2)低温のエネルギーのリサイクルがまったくない場合、理想の特定の仕事量はWoutput=W3-0-W1-2になる。実際の値
【0264】
【数73】

【0265】
は、CPSの下限を与える。周囲温度T0=300Kが使用され、液体空気の動作圧力200バールであり、タービンおよびポンプ効率が両方とも0.78であると想定すると、特定の仕事量は約326kJ/kgになる。
【0266】
入力の空気1の圧力が約38バールを超えると、図10aでの等温の凝縮過程がまったくなくなる。この場合のT-S図が図10bに示される。熱力学分析は図10aの場合と同様である。
【0267】
パラメータ分析-CES
CESシステムの性能に関する様々なパラメータの影響をシミュレートするためにFortran90の環境でコンピュータコードが書かれた。コードは、最も複雑な場合である、周囲圧力の上の圧力と3.8MPaの間で動作される熱力学サイクル(図8を参照されたい)に関して書かれる。コードは、高圧の場合(図9を参照されたい)、および周囲条件(図5から7を参照されたい)に関して容易に使用できる。以下のものを含む6つのパラメータが考慮された。
・ 作動流体の圧力(P2)
・ 入力の空気の圧力(P1)
・ タービン効率(ηT)
・ コンプレッサ効率(ηCOM)
・ ポンプ効率(ηP)
・ 空気液化施設の効率(ηA)
【0268】
CESの性能に関連する4つの効率に関するこれらの6つのパラメータの効果が分析された。考慮された4つの効率は、
・ 過熱を伴わない理想のサイクル効率(EE)
・ 過熱を伴う理想のサイクル効率(Esup)
・ 過熱を伴わない実際のサイクル効率(E'E)
・ 過熱を伴う実際のサイクル効率(E'sup)
【0269】
作動流体の圧力(P2)
CESと関連する熱力学サイクルの4つの効率が、異なる入力の空気の圧力(P1)において作動流体の9の異なる圧力(P2=0.2MPa、0.4MPa、1.0MPa、2.0MPa、4.0MPa、10MPa、20MPa、30MPa、40MPa、および50MPa)の下で図11から18に示される。周囲温度はT0=300Kであると想定され、過熱温度はT9=400Kとしてとられ、タービン、コンプレッサ、およびポンプ効率は0.88(ηTCOMP=0.88)として想定された。熱交換器の温度差は、この段階では考慮されない。これは、以下に論じられる。
【0270】
周囲圧力(図5から7)での熱力学サイクルを表すP1=0.1MPa(図11)では、4つのすべての効率が作動流体の圧力(P2)の増加に伴って増加する。しかし、増加は、P2<約10MPaでのみ重要であり、その上では曲線が平坦になる。P2>20MPaの圧力では、効率はほぼ一定である。最大の効率はそれぞれ、EE=0.507、Esup=0.640、E'E=0.459、およびE'sup=0.569であることが分かった。
【0271】
低圧での熱力学サイクル(図8)を表すP1=0.2-2.0MPa(図12から15)の圧力では、結果は周囲の圧力(図11を参照されたい)での場合と同様である。すなわち、効率のさらなる上昇が非常に小さい場合に、P2が10MPaに達するまで、P2が上昇すると共に4つの効率のすべてが急激に上昇する。図11と図12から15との間を比較すると、P1=0.2-2.0MPaでの効率がP1=0.1MPaでの効率よりも低いことが明らかになる。
【0272】
高圧での熱力学サイクル(図9)を表すP1=4.0-20MPa(図16から18)では、過熱を伴わない実際のサイクル効率(E'E)は、入力の空気の圧縮の消費によってP1<2.0MPaに関する効率よりも大幅に低い。過熱からの熱は廃熱として扱われ、大部分の液体空気はCESによって生産できるので、過熱を伴う実際のサイクル効率(E'sup)は高い。
【0273】
上記の分析から、P2が10MPaよりも高くなっている必要があると結論付けることが可能である。しかし、P2の選択は、機械的な実現可能性によって制約を受ける可能性がある。現在では、20MPaへの空気の加圧は、どのような技術的な困難を伴うことなく、空気の分離および液化の施設においてごく一般的に行われていることである。分析によれば、20MPaよりも高い圧力によって上昇する効率はほんのわずかになるので、P2=20MPaがCESに推奨される。結論として、以下の分析はすべて、P2=20MPaに基づいている。
【0274】
入力の空気(P1)の圧力
過熱を伴わない、また伴うCESの実際の効率が、作動流体の所与の圧力(P2=20MPa)に関する入力の空気(P1)の圧力の関数として、それぞれ図19および20にプロットされる。タービン、コンプレッサ、およびポンプの3つの効率(ηT、ηP、ηCOM=0.80、0.84、0.88)が考慮される。これらの数字の検証から、実際の効率は、過熱を伴い、および過熱を伴わずに3つの構成要素(タービン、コンプレッサ、およびポンプ)の効率の増加と共に増加することが理解できる。過熱することなく、周囲圧力(P1=0.1MPa)で最大の効率が生じ、入力の空気の圧力が増加すると共に効率(E'E)が急激に低下する。過熱すると、入力の空気の圧力(P1)が0.1と0.4MPaの間で増加すると共に、最初に効率が急激に低下する。0.4と約2MPaの間でP1がさらに増加しても、効率はほとんど変わらない。しかし、P1を約4MPaにさらに増加させると液体空気の大部分が生産されるので効率が大きく上昇する。P1が4MPaを超えてさらに増加すると、圧縮の仕事が増加することにより効率が低下する。効率のプロットに2つのピークがあり、ピーク値は3つの構成要素(タービン、コンプレッサ、およびポンプ)の効率に依存する。0.88の構成要素の効率に関して、CESの最良の効率はP1=4MPaで生じる。0.80および0.84の構成要素の効率に関して、CESの最良の効率はP1=0.1MPaで生じる。
【0275】
したがって、効率が最大であり、コンプレッサがまったく必要でなく、それによって資本投資および保守費用を削減するので、CESシステムによって廃熱がまったく使用されない場合、P1=0.1MPaが入力の空気の作動圧力として選択される必要がある。この分析の結果として、P1=0.1MPaおよびP1=4.0MPaの2つの圧力条件下で以下の分析が行われる。
【0276】
タービン効率(ηT)
上記に示されたように、2つの組の条件、すなわち(P1=0.1MPa、P2=20MPa)、および(P1=4.0MPa、P2=20MPa)が考慮される。コンプレッサおよびポンプ効率は0.88(ηCOMP=0.88)としてとられた。周囲温度はT0=300Kとして想定され、過熱温度はT9=400Kである。熱交換器の間の温度差は考慮されない。0.68、0.72、0.76、0.80、0.88、0.92、0.96、および1.00の7つのタービン効率でシミュレーションが行われ、それぞれ熱のリサイクルを伴わず、また伴い図21および22に結果が示された。両方の場合のCESの効率は、タービン効率が上昇すると共に単調に増加する。しかし、CESの効率への依存は、P1、タービン効率、および廃熱の使用の関数である。タービン効率が1パーセントだけ上昇すると、P1=0.1MPaに関して熱のリサイクルを伴い0.318%だけCES効率が増加し、P1=0.1MPaに関して熱のリサイクルを伴い0.690%だけCES効率が増加し、P1=4.0MPaに関して熱のリサイクルを伴わずに0.428%だけCES効率が増加し、P1=4.0MPaに関して熱のリサイクルを伴い2.742%だけCES効率が増加する。
【0277】
数字は、P1=0.1MPaでのCESの効率の増加率がP1=4.0MPaでのものより低いことも示し、それはP1=4.0MPaでのサイクル効率が、P1=0.1MPaでのサイクル効率よりもタービン効率により依存することを示す。
【0278】
廃熱がまったくない場合、0.68から1.0のタービン効率に関して、P1=0.1MPaでのCESの効率がP1=4.0MPaでのCESの効率より高い。これは、廃熱のリサイクルがない状態で、P1=0.1MPaがCESの動作に関して使用される必要があることを示す。
【0279】
廃熱が使用される場合、0.80を超えるタービン効率に関して、P1=0.1MPaでのCESの効率はP1=4.0MPaでのものよりも低くなるが、タービン効率が約0.8より低い場合にその逆のことが見られる。その結果、最適化が求められる。
【0280】
コンプレッサ効率(ηCOM)
コンプレッサ効率のCESの効率への効果が、熱のリサイクルを伴わず、また伴い、それぞれ図23および24に示される。以下の条件P1=0.1または4.0MPa、P2=20MPa、T0=300K、T9=400K、およびηTP=0.88によって、0.68、0.72、0.76、0.80、0.88、0.92、0.96、および1.00の7つのコンプレッサ効率に関してシミュレーションが行われた。熱交換器の間の温度差は考慮されない。
【0281】
P1=0.1MPaに関して入力の空気の圧縮がまったく必要でないので、P1=0.1MPaおよびP2=20MPaに関するCESサイクル効率は一定である。P1=4.0MpaおよびP2=20MPaでのCESの効率はコンプレッサ効率が増加すると共に単調に増加する。コンプレッサ効率が1パーセントだけ上昇すると、P1=4.0MPaに関して熱のリサイクルを伴わず0.717%だけCES効率が増加し、P1=4.0MPaに関して熱のリサイクルを伴い1.056%だけCES効率が増加する。これは、P1=4.0MPaに関して、コンプレッサ効率がCESの効率に大幅に寄与することを示す。
【0282】
図23から、廃熱のリサイクルがまったくない場合に、P1=0.1MPaでのCESの効率はP1=4.0MPaのものよりもはるかに高いことが理解できる。廃熱が利用可能である場合に、図24は、コンプレッサ効率が0.78よりも高い場合にP1=0.1MPでのCESサイクル効率がP1=4.0MPaでのものよりも低いことを示し、その逆のことが0.78よりも低いコンプレッサ効率に関して見られる。
【0283】
ポンプ効率(ηP)
以下の条件P1=0.1または4.0MPa、P2=20MPa、T0=300K、T9=400K、およびηTP=0.88に関する、0.68、0.72、0.76、0.80、0.88、0.92、0.96、および1.00の7つのポンプ効率に関してシミュレーションが行われた。熱交換器の間の温度差は考慮されない。それぞれ熱のリサイクルを伴わない、また伴う、図25および26に結果が示され、そこから両方のCESサイクル効率が、ポンプ効率の上昇と共に単調に増加することが理解できる。しかし上昇はほんのわずかであり、1パーセントのポンプ効率の上昇により、熱のリサイクルを伴わずにP1=0.1MPaに関して0.025%しかCESサイクル効率が上昇せず、熱のリサイクルを伴いP1=0.1MPaに関して0.068%しかCESサイクル効率が上昇せず、熱のリサイクルを伴わずにP1=4.0MPaに関して0.022%しかCESサイクル効率が上昇せず、熱のリサイクルを伴いP1=4.0MPaに関して0.072%しかCESサイクル効率が上昇しない。
【0284】
これは、ポンプによって消費される仕事が、タービンおよびコンプレッサの仕事よりもおよそ1桁小さいので、CESの効率がポンプ効率にほとんど依存しないことを示す。
【0285】
空気分離施設の効率(ηA)
図27および28は、生産される液体空気のキログラム当たりのエネルギー消費の関数としてのCESの効率を示す。0.400、0.375、0.350、0.325、0.300、および0.275kWh/kgの6つのレベルのエネルギー消費が考慮され、それぞれηA=0.516、0.559、0.602、0.645、0.688、および0.731の空気分離施設の効率に対応する。これらのレベルのエネルギー消費の根拠は、現在の液体空気のエネルギー消費が約0.4kWh/kgであり、2010から2020までに約0.28-0.3kWh/kgに低下すると期待される。その他の条件は、P1=0.1または4.0MPa、P2=20MPa、T0=300K、T9=400K、およびηTPCOM=0.88である。
【0286】
結果は、CESの効率は、冷凍剤の生産のエネルギー消費の低下と共に単調に上昇することを示す。空気分離施設の効率が1パーセントだけ上昇すると、CESサイクル効率が熱のリサイクルを伴わずにP1=0.1MPaに関して約0.972%だけ上昇し、CESサイクル効率が熱のリサイクルを伴いP1=0.1MPaに関して約1.181%だけ上昇し、CESサイクル効率が熱のリサイクルを伴わずにP1=4.0MPaに関して約0.590%だけ上昇し、CESサイクル効率が熱のリサイクルを伴いP1=4.0MPaに関して約1.381%だけ上昇する。
【0287】
タービン、コンプレッサ、およびポンプ効率と比較して、空気液化施設の効率は、CESの全体の効率に大幅に寄与するより重要な要因である。
【0288】
液体空気の生産のエネルギー消費が約0.28kWh/kgに低下されると、廃熱のリサイクルのないCESの効率は、約0.670に上昇され、廃熱のリサイクルを伴うCESの効率は、約0.951に上昇される。
【0289】
したがって、上記のパラメータ分析の結果は、P1=0.1MPaおよびP2=20.0MPaが廃熱のリサイクルを伴わない場合に関して最良の性能を与えることを示す。結果は、P1=4.0MPaおよびP2=20.0MPaが、CESの構成要素の効率に応じて、P1=0.1MPaおよびP2=20.0MPaができるよりも廃熱のリサイクルの場合に関して優れた性能を与えることができることも示す。タービン効率(ηT)、コンプレッサ効率(ηCOM)、および空気分離プラントの効率(ηA)は、全体のCES効率を決定する際の最も重要なパラメータであることが示され、一方でポンプ効率(ηP)はCESの性能にほとんど影響を与えない。
【0290】
a)圧縮されたガスの周囲圧力への等温膨張、およびb)分離および液化システムに対する予冷却による低温のエクセルギー利用のエネルギーの2つの部分が液体空気からの全体の可能なエネルギーに導入された。単純な理想化された場合(P1=0.lMPa、P2=20MPa、T=300K)に関しては、液体空気からの理想の仕事は、a)450kJ/kgおよびb)290kJ/kgの寄与を含む約740kJ/kgであることができる。
【0291】
気体の膨張の仕事(450kJ/kg)に関して、非等温膨張が不可避である。高い等温性を維持するために外部の加熱源を加える必要がある。従来のタービンは、最適化された条件の下で85%までのエネルギー効率を達成できる。提示されたタービンの適用に関して、同様の効率化が達成できることが明白である。しかし、約200バールを伴う非常に高い圧力のため、多段の膨張が考慮される可能性がある。タービンの周囲に近接した動作温度によって、密封および潤滑の問題を考慮することも必要になる。
【0292】
低温のエクセルギー(290kJ/kg)のリサイクルには、再利用できる低温のエクセルギーの量は、a)動作圧力モデル、b)充填および放出モード、c)剰余の極低温エネルギー貯蔵システムの存在に依存する。
【0293】
動作圧力モードに関しては、I)動作温度約300kに関する0.1Mpaでの入力の空気、および20.0Mpaでの作動流体(廃熱がまったく加えられない)、ならびにII)動作温度約400kに関する0.1Mpaまたは4.0Mpaでの入力の空気、および20.0Mpaでの作動流体(廃熱のリサイクルを伴う)の2つの最適な場合が認識された。理想の圧縮(dS=0)に関する、例えば、(P1=0.1MPa、P2=20MPa、およびT=300K)の最適の場合I)を取ると、20MPaに圧縮した後の液体空気の温度は約84Kであり、それは流入する空気が得ることができる最低の温度である。液化過程は、例えば1バールの下での空気に対する78Kの飽和温度で約230KJ/kg(顕熱)および別の約200kJ/kg(潜熱)を除去する必要がある。熱交換器を介して蓄えることができる唯一の仕事は、周囲から84Kに温度を低下させるのに必要な仕事の一部分である(これは、通常は液化工場への多段圧縮および流量調節を伴う)。空気の液化のためのエネルギーのおよそ50%(潜熱+顕熱の一部)は、熱交換器からの低温のエネルギーによって抽出することはできない。0.4kWh/kgの工業的な率が想定される場合に、必要な剰余の電気は放電時間中に約0.2kWh/kgである。
【0294】
廃熱が利用される最適化された場合II)に関しては、分析は0.1Mpaで流入する空気(P1=0.1MPa、P2=20MPa、およびT=400K)に関して上記と同じになるが、4MPaでの流入する空気圧(P1=4MPa、P2=20MPa、およびT=400K)に関しては異なる。飽和温度は4MPaで約131Kであるので、流入する空気は熱交換器を介して液体の状態に直接的に冷却でき、それはピーク時中に液体空気を製造するために、剰余の電気がまったく必要ないことを意味する。しかし、これに伴って空気を4MPaにするのに必要な圧縮の仕事を損失する。約0.328Mj/kgの純粋な等温圧縮に関しては、約0.1kWhの電気が必要である。温度上昇も重要であり、0.9のコンプレッサ効率との断熱的な比較に関しては、温度上昇は約620Kである。温度上昇は、1.2および1.1のポリコンスタント(poly constant)に関してそれぞれ283Kおよび132Kに低下する。ほぼ等温の圧縮を達成するために、追加の冷却設備がコンプレッサに要求される。
【0295】
再利用された低温のエネルギーの量は充填および放出期間中の流量比にも依存する。低温のエクセルギーの適用(エネルギー放出過程での)は、液化ユニットでの流入空気(エネルギー貯蔵過程での)の同時の冷却に基づいている。原則的には、2つの事象は同時に起こらない。典型的なエネルギー貯蔵システムに関しては、エネルギー放出過程の継続時間はピーク時の数時間のみである。安全性を維持し、運転時間を延長するために、典型的な液化ユニットは、オフピーク時に最大限の負荷で稼動し、それ以外の時には低負荷で稼動し続ける。8時間の放出、および16時間の充填のモデルに関しては、安定した流量比は約2:1である。ピーク時中に50%で運転すると、流量比は4:1に増加される。ピーク時に生産されたキログラムごとの液体空気に関して、約230kJ/kg-airの顕熱のみが、最適化された動作圧力の場合Iに関して液体空気の蒸発によって冷却できる。したがって、多量の低温のエネルギーが最大限に利用されなくなる。放出比率が小さいほど、より多くの量の低温のエネルギーが浪費される。エネルギーを最大限に利用するために、液化に関する負荷が増加できるが、これはピーク時により多くの電気を消費する危険がある。
【0296】
あるいは、低温のエネルギーが貯蔵できる。放出期間中に、低温のエネルギーの一部分が流入する空気を予冷却するのに使用できる。同時に、低温のエネルギーの余分な部分が、流入する空気を予冷却するためにオフピーク時の間に冷熱を放出する熱エネルギー貯蔵システム(TES)に貯蔵される。これは、低温のエネルギーを使用する機会を最大にすることができる。貯蔵材料は、相変化材料、極低温貯蔵材料、その他を含むことができる。貯蔵材料は、熱伝導率、比熱、熱拡散率、密度、および運動学的な挙動などに基づいて選択される。熱吸収率および放熱率は、特に相変化材料に関するエネルギー効率に直接的に関係する。エネルギー貯蔵システムは、固定床、適切な地層学的な場所、その他の形のものであることができる。貯蔵効率は、貯蔵材料の特性、貯蔵温度および圧力、ならびに気体と貯蔵材料の間の熱伝達係数によって影響される可能性がある。
【0297】
パラメータ分析-CPS
CESシステムの性能に関する様々なパラメータの影響をシミュレートするためにFortran90の環境でコンピュータコードが書かれた。コードは、周囲圧力の上の圧力と38バールの間で動作される熱力学サイクル(図10aを参照されたい)に関して書かれ、それは高圧の場合(図10bを参照されたい)に関しても使用できる。以下のものを含む7つのパラメータが考慮された。
・ 入力の空気1の圧力(P1)
・ 周囲温度(T0)
・ タービン効率(ηT)
・ コンプレッサ効率(ηCOM)
・ ポンプ効率(ηP)
・ 圧縮のポリトロープ係数(n)
・ タービンでの膨張の非等温性
【0298】
シミュレーションでは、作動流体の圧力が200バールとして取られ、CPSによって供給される暖気/温水の温度が328K(55℃)、CPSによって供給される空気調節用の低温の空気の温度が285K(12℃)として取られ、CPSによって供給される食料冷凍用の低温の空気の温度が249K(-24℃)として取られ、熱ポンプの性能の係数(COP)(ζ)が3.0として取られ、空気調節用の冷却空気のCOP(ε1)が5.0として取られ、冷凍のCOP(ε2)を3.0として取られる。
【0299】
入力の空気1の圧力(Pr)
CPSの理想および実際の効率が、入力の空気1の14の異なる圧力(P1=1.0bar、2.0bar、3.0bar、4.0bar、6.0bar、8.0bar、10bar、12bar、l4bar、l6bar、l8bar、20bar、30bar、40bar)の下で図29にプロットされる。周囲温度は300Kとして取られ、コンプレッサのポリトロープ係数が1.2として取られ、タービン、コンプレッサ、およびポンプの3つの係数(ηTPCOM=0.88、0.84、0.80)が考慮された。図29の検証から、CPS効率は、3つの構成要素(タービン、コンプレッサ、およびポンプ)の効率の増加と共に上昇することが理解できる。効率は最初に、入力の空気1の圧力の増加と共に上昇し、次いでピークに達した後に低下する。最大の効率は、それぞれηCOM=1(理想)、0.88、0.84、0.80である場合に0.793、0.679、0.646、0.613であることが分かった。理想の場合に関しては、CPSのピーク効率はP1=約14バールで生じる。ピークが生じる入力の空気1の最適の圧力は、構成要素の効率の低下すなわち0.88に関してP1=8bar、0.84および0.80に関してP1=約6バール共に低下する。
【0300】
高圧の入力の空気1によって高い比率の液体空気が生産でき、したがってCPS効率がさらに上昇する。しかし、高圧の入力の空気1は、より多くの圧縮の仕事も消費する。したがって、入力の空気1の最適の圧力は最良のCPS性能に関して選択される必要がある。最適の圧力は0.88、0.84、および0.80の3つの実際の効率に関して大幅には異ならないので、入力の空気1の圧力は、8バールとして選択され、以下の計算はこの圧力に基づいている。P1=8バール、P2=200バール、ηTPCOM=0.88では、CPSの最大のエネルギー効率は67.7%であり、CPSの仕事、熱、および冷熱の特定の出力は、それぞれ401.9kJ/kg、29.4kJ/kg、342.8kJ/kgである。CPSによって生成される冷熱の量は非常に大きいことが理解できる。したがって、CPSは特に冷凍船に適している。
【0301】
周囲温度(T0)
図30は、n=1.2およびηTPCOM=0.88の場合の270K、280K、290K、300K、および310Kの5つの周囲温度に関するP1=8バール、およびP2=200バールでの周囲温度のCPS効率への影響を示す。周囲温度が270K、280K、または290Kである場合、空気調節用の低温空気を計算に入れることが不要であると見なされる。CPS効率は周囲温度の上昇と共に単調に上昇することが明らかである。周囲温度が270Kから310Kに増加すると、CPS効率は14.9%だけ上昇する。290Kよりも高い温度での空気調節に関する低温のエネルギーの利用により、290Kから300Kへの効率の急激な上昇がある。したがって、CPSは熱帯領域などの高い周囲温度を有する場所でよりよく動作すると結論される。
【0302】
タービン効率(ηT)
図31は、ηCOMP=0.88、n=1.2、T0=300K、P2=200バール、およびP1=8バールの場合のηT=0.68、0.72、0.76、0.80、0.88、0.92、0.96、および1.00の7つの値に関するCPSの全体の効率へのタービン効率の影響を示す。CPS効率は、タービン効率の上昇と共にほぼ直線的に上昇する。タービン効率が1%だけ上昇すると、CPS効率が0.738%だけ上昇する。したがって、タービン効率はCPS効率の鍵になるパラメータである。
【0303】
コンプレッサ効率(ηCOM)
コンプレッサ効率のCPS効率への影響が、図32に示されている。P1=8バール、P2=200バール、T0=300K、ηTP=0.88、およびn=1.2の場合の0.68、0.72、0.76、0.80、0.88、0.92、0.96、および1.00の7つのコンプレッサ効率に関してシミュレーションが行われた。コンプレッサ効率が増加すると共に、CPS効率が単調に増加する。コンプレッサ効率が1%だけ上昇すると、CPS効率が0.09%だけ上昇する。したがって、コンプレッサ効率はCPS効率に大幅に寄与しない。これは、作動流体の作動圧力に比べて入力の空気1の比較的低い作動圧力により、コンプレッサによって消費される仕事の量が小さく、作動流体の低温のエネルギーのかなりの部分が空気調節および冷凍用に低温の空気を提供するのに使用されることにより、作動流体の流量と比較して入力の空気1の流量が比較的低いためである。
【0304】
ポンプ効率(ηP)
ポンプ効率のCPS効率への影響が、図33に示されている。P1=1バール、P2=200バール、T0=300K、ηTCOM=0.88、およびn=1.2の場合の0.68、0.72、0.76、0.80、0.88、0.92、0.96、および1.00の7つのポンプ効率に関してシミュレーションが行われた。ポンプ効率が増加すると共に、CPS効率が単調に増加する。しかし、増加率は非常に小さく、ポンプ効率が1%だけ上昇しても、CPS効率は0.0625%しか上昇しない。したがって、CPS効率はポンプ効率にほとんど依存しない。
【0305】
圧縮のポリトロープ係数(n)
P1=1バール、P2=200バール、T0=300K、ηTCOMP=0.88、に関する1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、および1.35の7つのポリトロープ係数に基づいてシミュレーションが行われた。結果が図34に示され、そこからCPS効率がポリトロープ係数の増加に伴ってほとんど変化しないことが理解できる。これは、コンプレッサにより消費される作業の量がわずかであり、圧縮熱が入力の空気2によって再利用されるからである。
【0306】
膨張の等温性(γ)
P1=1バール、P2=200バール、T0=300K、ηTCOMP=0.88に関する0.80、0.85、0.90、0.95、1.0のタービンの膨張過程の等温性の5つの値がシミュレーションされ、結果が図35に示される。CPS効率は、等温性の上昇と共にほぼ直線的に上昇する。等温性が1%だけ上昇すると、CPS効率が0.72%だけ上昇する。したがって、膨張の等温性は、CPS効率に関する、鍵になるパラメータである。
【0307】
熱伝達分析-CES
熱交換器はCESの重要な構成要素である。熱交換器は、低温工学および空気液化産業で幅広く用いられ、それによってそれに続く技術の基礎が確立された。一般に、熱交換器を設計する場合に以下の要因が考慮される。
(1)熱伝達要件
(2)交換器の効率または温度差
(3)利用可能な空間の寸法
(4)低い熱容量の要求
(5)費用
(6)圧力降下の重要性
(7)動作圧力
【0308】
以下の分析では、熱交換要件、交換器のタイプおよび寸法、および熱交換器の性能の様々な要因の影響の評価に注目する。以下の想定がなされた。
(1)流体相の間の熱力学的な平衡
(2)熱交換器内の均等な流れの分布
(3)乱流が最大限に生じること
(4)断熱性のシェル壁(Adiabatic shell wall)
(5)軸方向伝導が0であること
(6)高温と低温の流体の間に放射がまったくないこと
(7)全体の熱伝達係数が一定であること
【0309】
高温と低温の流体の間で、ある量の熱Qを交換する熱交換器を検討すると、熱交換器の体積は、
【0310】
【数74】

【0311】
によって評価でき、ただし、Vは熱交換器の体積を表し、Sは熱伝達面積であり、
【0312】
【数75】

【0313】
は、
【0314】
【数76】

【0315】
として定義される熱交換器の密集度の比率であり、qは熱流束であり、
【0316】
【数77】

【0317】
は全体の平均熱伝達係数であり、
【0318】
【数78】

【0319】
は高温と低温の流体の間の平均温度差である。チューブインシェル(tube-in-shell)の構成を検討すると、全体の熱伝達係数
【0320】
【数79】

【0321】

【0322】
【数80】

【0323】
によって得ることができ、ただし、Uiは管壁と管側の流体の間の熱伝達係数であり、U0は管壁とシェル側の流体の間の熱伝達係数であり、Uwは、
【0324】
【数81】

【0325】
によって表される管壁全体を通じての熱伝達性を説明するものであり、λ、δはそれぞれ壁の熱伝達率および壁厚である。熱伝達係数U1およびU0についての計算に大量の文献がある。円滑な円筒形の管での乱流に関しては、管側の流体と管壁の間の熱伝達係数は、おおよそNu=0.023Re0.8Pr0.4によって与えられ、ただしNuは
【0326】
【数82】

【0327】
として定義されるヌッセルト数であり、Reは、
【0328】
【数83】

【0329】
として定義されるレイノルズ数であり、Prは
【0330】
【数84】

【0331】
によって与えられるプラントル数であり、ただしρは流体の密度であり、Dは管の直径であり、νは流体の動粘度であり、αは流体の熱拡散率であり、μは流体の動力学粘度である。円滑な円筒形の管でのニュートン流体の圧力降下に関しては、摩擦の圧力降下は、
【0332】
【数85】

【0333】
によって計算でき、ただしfは摩擦係数であり、uは流速であり、Lは管の長さである。管内の乱流に関しては、広い範囲のレイノルズ数
【0334】
【数86】

【0335】
で推定するのにブラジウス方程式が一般的に使用される。本発明のCESの熱交換器の流れは、圧力降下の完全な分析に、相変化を伴う流れおよび熱伝達の3次元の記述が求められる、2相領域の中にある傾向がある。工学的な手法では、均質なモデルを用いて第1の圧力を計算し、次いで熱交換器の設計で3〜5の安全率を使用する。
【0336】
熱伝達要件
CESシステムは4つの熱交換器まで有することができる。
(1)熱交換器1(350):作動流体から冷熱を抽出するために空気を入力する(かつ、周囲空気から熱を取る)ためのもの
(2)熱交換器2(340)作動流体を加熱するために熱を費やすためのもの
(3)熱交換器3:熱を大気から吸収するタービンのためのもの
(4)熱交換器4:等温動作を確実にするコンプレッサのためのもの
【0337】
4つの熱交換器に関する特定の熱の伝達要件はそれぞれ、
熱交換器1 Q1=h8-h1
熱交換器2 Q2=h9-h8
熱交換器3 Q3=T9(S10-S9)
熱交換器4 Q4=T0(S0-S2)
【0338】
上記の4つの式を使用することにより、異なる条件の下での特定の熱の伝達要件が得られ、表1に示され、ただし周囲温度は300Kであり、過熱温度は400Kである。
【0339】
表1からP1=0.1MPaに関して、コンプレッサの必要がまったくないのでQ4=0であることが理解できる。過熱がない場合、Q2は0である。したがって、P1=0.1MPaでの過熱のない単純なサイクルに関する特定の熱の伝達要件の総量は、858.6kJ/kgである。最大の特定の熱の伝達要件は1308.2kJ/kgであり、それはP1=4.0MPaでの過熱を伴うサイクルに相当する。以下の章では、分析は上記の2つの組の熱伝達要件に基づく。
【0340】
【表1】

【0341】
熱交換器の基本設計
上述のように熱交換器に関する実質的な技術的基礎があり、低温工学、ならびに空気分離および液化産業に利用可能な多くのタイプの熱交換器がある。チューブインシェルおよびプレートアンドフィン(plate-and-fin)の熱交換器はとりわけ広く用いられるタイプである。チューブインシェル熱交換器は一般的に、比較的高い温度で使用される。チューブインシェル熱交換器は、シェル側および管側の流体相の両方が液体である場合に、約300から約3000W/m2Kの範囲の高い熱伝達係数を有する。チューブインシェル熱交換器の性能を向上させる一般的な技術は、密集度の比率および熱伝達係数を上昇させるために、管の周りに螺旋的にフィンを裏打ちし、チューブアンドフィン熱交換器を形成することである。これは、流体が熱交換器の片方または両方の側で気体状態である場合に特に効果的である。さらに、高温と低温の流体の間の温度差は比較的高く(約15K)、それによって比較的効率が低くなる。
【0342】
プレートアンドフィン熱交換器は、密集度が高く、高温と低温の流体の間の温度差が小さい利点を有する。このタイプの熱交換器は、資本費用が比較的低いようにアルミニウム合金から作製できる。プレートアンドフィン熱交換器はこのタイプの熱交換器の固有の柔軟性により、同じユニットで複数の流体が使用できるようになるので、極低温分野に使用するのに適している。プレートアンドフィン熱交換器は、コルゲートフィン(corrugated fins)によって分離されたアルミニウム合金の平らなプレートを備える。フィンは、フォイルが低い温度で溶融し、そうしてフィンがプレートに接着するように、シリコンが加えられたプレートと同じ合金の薄いフォイルによってプレートにろう付けされる。アルミニウムは一般に、費用の見地から好ましいが、銅も許容できる。約250〜5000m2/m3の大きな比率の密集度により、プレートアンドフィン熱交換器は、約30〜500W/m2Kの典型的な熱伝達係数、および高温と低温の流体の間の約2から6Kまでの温度差を伴う、空気分離および液化産業でもっとも広く使用される熱交換器である。
【0343】
使用できるその他のタイプの熱交換器には、再生器、コイル管式熱交換器、多管式熱交換器、および同心管式熱交換器(coaxial tube heat exchangers)が含まれる。
【0344】
以下のものは、プレートアンドフィンタイプの性能に基づいた熱交換器の寸法の予測である。全体の平均熱伝達係数
【0345】
【数87】

【0346】
が100W/m2Kとして取られ、高温と低温の流体の間の平均温度差
【0347】
【数88】

【0348】
が2Kとして想定され、密集度の比率
【0349】
【数89】

【0350】
が1000m2/m3として取られる。密集度は、慎重を期した予測になるように、より高いものであることができる。上記の計算に基づいて、それぞれ過熱を伴う、または伴わない最大の熱伝達要件HRが、858.6および1308.2kJ/kgとして与えられる。1MWhおよび500MWhの電気貯蔵量(Eν)を有する2つの場合のCESが予測で考慮された。CESの動作時間(OT)が8時間と想定された。これは、ピーク時間動作によるものである。異なるデューティーサイクルが使用でき、効率に大きく影響を与えるべきではない。
【0351】
1MWhの貯蔵量を有するCESの場合1に関しては、過熱なしの熱伝達要件が、
【0352】
【数90】

【0353】
によって与えられ、ただしEDは液体空気のエネルギー密度(kJ/kg)である。熱伝達交換器の全寸法は、
【0354】
【数91】

【0355】
によって計算できる。
【0356】
過熱に伴う場合1に関しては、熱伝達要件は、
【0357】
【数92】

【0358】
になる。熱伝達交換器の全寸法は、
【0359】
【数93】

【0360】
になる。
【0361】
500MWhの貯蔵量を有するCESの場合2に関しては、過熱なしの熱伝達要件が、
【0362】
【数94】

【0363】
である。熱交換器の全寸法は、
【0364】
【数95】

【0365】
になる。熱交換器が立方体の形状であると想定されると、各辺の長さは7.19mになる。4の安全率が与えられると、各辺の長さは11.41mになる。
【0366】
500MWhの貯蔵量を有するCESの場合2に関しては、過熱を伴う熱伝達要件が、
【0367】
【数96】

【0368】
である。熱交換器の全寸法は、
【0369】
【数97】

【0370】
になる。立方体の形状が想定されると、熱交換器の各辺の長さは7.74mになる。4の安全率が与えられると、各辺の長さは12.29mになる。
【0371】
液体窒素の粘性圧力降下(viscous pressure drop)が約0.05MPaであると報告され、入力の空気の圧力降下は約400Paである。4の安全率が使用されると、液体空気の圧力降下は約0.2MPaになり、それは全ポンプ圧力の約1.0%であり、入力の空気の圧力降下は1600Paになり、それは圧縮比と比較してわずかである。
【0372】
熱交換器全体を通じての温度差の影響
図36および37は、それぞれ過熱を伴う、および伴わない場合の熱交換器の高温と低温の流体の間の温度差の関数としてのCESの効率を示す。温度の6つの値0K、2K、4K、6K、8K、10Kがシミュレーションされた。CESの効率は、温度差の増加と共に単調に低下する。温度差が1Kだけ上昇すると、CESの効率は、それぞれ熱のリサイクルを伴わずにPI=0.1MPaに関して約0.37%だけ低下し、熱のリサイクルを伴ってPI=0.1MPaに関して約0.25%だけ低下し、熱のリサイクルを伴わずにPI=4.0MPaに関して約0.36%だけ低下し、熱のリサイクルを伴ってPI=4.0MPaに関して約1.33%だけ低下する。したがって、熱交換器内の高温と低温の流体の温度差はCESの全体の性能にかなり重要な役割を果たす。
【0373】
PI=0.1MPaおよびPI=4.0MPaに関するCESの効率で過熱するのに使用される廃熱の温度の影響が図38に示される。温度の5つの値400K、450K、500K、550K、600Kがシミュレーションされた。温度の値の選択は、異なるタイプの発電施設の利用可能な廃熱に基づいている。例えば、ガスタービン発電施設の煙道ガスの温度は約800K、蒸気タービン発電施設の煙道ガスの温度は約400〜500K、原子発電施設の廃熱の温度は約550K、セメントキルンからの廃熱の温度は約700Kであり、地熱の温度は約350〜500Kである。
【0374】
CESの効率は、廃熱を含む煙道ガスの温度の増加と共に単調に増加する。廃熱温度が400Kから600Kに上昇すると、CESの効率がP1=0.1MPaに関して0.588から0.749に上昇し、P1=4.0MPaに関して0.654から1.714に上昇する。
【0375】
したがって、廃熱を最もよく利用することは、CESの性能を向上させるための非常に効果的な方法である。廃熱は入力のエネルギーとして計算されず、したがって効率は100%以上になることができることに留意されたい。さらに、廃熱は、地熱、セメントキルン、またはその他の産業的な供給源からのものであることができる。
【0376】
図39は、P1=0.1MPaおよびP1=4.0MPaに関するCESの効率での周囲温度の影響を示す。270K、280K、290K、300K、および310Kの周囲温度がシミュレーションされた。P1=0.1MPaに関する理想のサイクル、P1=0.1MPaに関する実際のサイクル、P1=4.0MPaに関する理想のサイクル、P1=4.0MPaに関する実際のサイクル効率は、周囲温度が上昇すると共にほぼ直線的に上昇する。周囲温度が270Kから310Kに増加すると、上記に示したサイクル効率はそれぞれ9.7%、9.1%、10.2%、および5.5%だけ上昇する。したがって、CESは熱帯領域などの高い周囲温度を有する場所でよりよく動作すると結論される。
【0377】
冷凍剤タンクの熱放散
冷凍剤タンクの熱放散(漏洩)は、周囲温度で断熱されたデュワーで1日当たり約1%である。より多くの労力が払われ、または低温のエネルギー放散が利用されると、放散(漏洩)によるCESの効率の損失は、1日当たり1%より少ないことができる。これはCESのエネルギー貯蔵サイクルの継続時間を考慮する場合に重要であり、すなわち全体の効率を確実にするために一定の期間内に液体空気が使用されなければならない。
【0378】
表2は、いくつかの熱力学サイクルに関するCES効率を計算する過程を示す。
【0379】
【表2】

【0380】
熱伝達分析-CPS
熱交換器はCPSで重要な役割を果たす。CPSの熱交換器での流れおよび熱伝達は3次元の粘性、乱流、および2相現象を伴う。この分析では、以下の想定がなされた。
(1)流体相の間の熱力学的な平衡
(2)熱交換器内の均等な流れの分布
(3)最大限に生じる乱流
(4)断熱シェル壁
(5)軸方向伝導が0であること
(6)高温と低温の流体の間に放射がまったくないこと
(7)全体の熱伝達係数が一定であること
【0381】
熱伝達要件
主要なCPSシステムは、4つの熱交換器を有し、タービンは等温膨張のための追加の熱交換器を使用する(図4を参照されたい)。
(1)熱交換器1(540):入力の空気1を凝縮するために作動流体から冷熱を抽出する入力の空気1のためのもの
(2)熱交換器2(535):作動流体から冷熱を抽出するための入力の空気1および4のためのもの
(3)熱交換器3(530):作動流体から冷熱を抽出するための入力の空気1、3、および4のためのもの
(4)熱交換器4(525):圧縮熱を吸収するために入力の空気1および2のためのもの
(5)熱交換器5:熱を大気から吸収するタービンのためのもの
【0382】
5つの熱交換器に関する特定の熱の伝達要件はそれぞれ、
熱交換器1 Q1=x1(h6-h7)
熱交換器2 Q2=x1(h5'-h6)+x4(h10-h11)
熱交換器3 Q3=x1(h5-h5')+x3(h0-h10)+x4(h0-h10)
熱交換器4 Q4=x1(h4-h5)
熱交換器5 Q5=T0(S0-S3)
【0383】
上記の式を使用することによって、Q1およびQ5に関する特定の熱の伝達要件はそれぞれ、47.9kJ/kg、165.9kJ/kg、225.4kJ/kg、57.8kJ/kg、597.7kJ/kgであり、ただし、周囲温度は300Kである。したがって、全体のCPSシステムの最大の特定の熱の伝達要件は1102.0kJ/kgである。以下の章では、分析はこの熱伝達要件の値に基づく。
【0384】
熱交換器の基本設計
以下のものは、プレートアンドフィンタイプの性能に基づいた熱交換器の寸法の予測である。全体の平均熱伝達係数
【0385】
【数98】

【0386】
が100W/m2Kとして取られ、高温と低温流体の間の平均温度差
【0387】
【数99】

【0388】
が2Kとして想定され、密集度の比率
【0389】
【数100】

【0390】
が1000m2/m3として取られる。密集度は、慎重を期した予測になるように、はるかに高いものであることができる。上記の計算に基づいて、最大の熱伝達要件HRが、1102.0kJ/kgとして与えられる。1kWの仕事量を有するCPSに関して、熱伝達要件は、
【0391】
【数101】

【0392】
によって与えられ、ただし、WRおよびEEがそれぞれ、液体空気の最大の特定の仕事、およびCPSのエネルギー効率である。1kWの仕事量に関する熱交換器の寸法は、
【0393】
【数102】

【0394】
によって計算できる。安全率が4として与えられると、単位仕事量に関する熱交換器の寸法は0.044m3になる。
【0395】
液体窒素の粘性圧力降下が約0.5バールであると報告され、入力の空気の圧力降下は約400Paである。4の安全率が使用されると、液体空気の圧力降下は約2バールになり、それは全ポンプ圧力の約1.0%であり(200バール)、入力の空気の圧力降下は1600Pa(0.016バール)になり、それは圧縮比と比較してわずか(8バールの約0.2%)である。
【0396】
熱交換器全体を通じての温度差の影響
図40は、熱交換器内の高温と低温の流体の間の温度差の関数としてのCPSの効率を示す。温度の6つの値0K、2K、4K、6K、8K、10Kがシミュレーションされた。CPSの効率は、温度差の増加と共に単調に低下する。温度差が1Kだけ上昇すると、CPSの効率は約0.4%だけ低下する。したがって、熱交換器内の高温と低温の流体の温度差はCPSの全体の性能にかなり重要な役割を果たす。
【0397】
冷凍剤タンクの熱放散
冷凍剤タンクの熱放散(漏洩)率は、周囲温度で断熱されたデュワーで1日当たり約1%である。より多くの労力が払われ、または例えば空気調節のために低温のエネルギー放散が利用されると、放散(漏洩)によるCPSの効率の損失は、1日当たり1%より少ないことができる。1日当たりの1%、0.75%、0.50%、0.25%の4つの放散率に関する時間の関数としての熱放散の効率が図41に示される。熱放散の効率Edisは、
【0398】
【数103】

【0399】
として定義され、ただしMidealは放散を伴わない液体空気の質量の総量を指し、Macは放散を伴う液体空気の質量の実際の総量である。熱放散の効率は時間および放散率が上昇すると共に低下することが理解できる。これは、CPS動作が優れた全体の効率を確実にするためにある期間内にある必要があることを示す。特に長期間の移動の間に熱放散を減少させることは不可欠である。1日当たり約0.5%の放散率に関しては、30日の継続期間の間の総損失は約7.5%である。
【0400】
実験室規模のCESシステムの例
100kWhの能力を有する例示の小さな実験室規模のCESシステムが、図42に概略的に示される。これは、市販のユニットの可能性のある寸法よりもはるかに小さな縮尺でのシステムを示し、動作パラメータを試験し、システムの性能を最適にするように設計される。原寸大のCESシステムは追加の構成要素を含むことができ、それは実験室規模のシステムには含まれない。システムは、12.5kWの電力定格および8時間の放電時間を有する。電力定格は、マイクロ発電の構成で多くの家庭の電力需要に適したものであることもできる。8時間の放電時間(100kWh蓄積)が選択され、それはこの時間がサンディア研究所のなどの団体によって示唆されるエネルギー貯蔵用途に求められる最大放電時間に近いからである。
【0401】
実験システムは、冷凍剤タンク600、ポンプ610、熱交換器620、タービン630、トランスミッションボックス640、ブロワ650、乾燥機660、3方向弁670の8つの大きな構成要素からなる。システムは、以下のように動作する。
1)冷凍剤施設または貯蔵所からの液体空気(作動流体)が冷凍剤タンク600内に送られる。
2)作動流体がタービン630に流入する前に圧送および加熱され、そこで電力を生成してブロワ650を駆動するために膨張する。ブロワ650は2つの機能を有し、1つは熱交換器620を介して低温のエネルギーを回収するために入力の空気を供給するものであり、もう一方はタービン630(発電機として機能する)に負荷を提供するためのものである。
3)ブロワ650からの空気(入力の空気)のわずかな部分が3方向弁および乾燥機660を介して熱交換器620に導入される。
4)資本費用を削減する液体空気が実験室規模のシステムではまったく生産されない。しかし、測定されたデータがそのような目的に十分であるので、これはCES性能の評価に影響を与えない。
【0402】
熱力学分析
実験室規模のCESの熱力学サイクルが図43に示される。T0、h0、およびS0がそれぞれ周囲温度、エンタルピ、およびエントロピを示すと、過程およびその熱、仕事、ならびにエクセルギーが以下のように与えられる。
【0403】
1-2)作動流体の圧送:冷凍剤タンクからの作動流体(液体空気)が圧送されて、周囲の圧力P0からP2になる。液体空気に行われる特定の仕事は、
【0404】
【数104】

【0405】
である。上記の仕事は状態2と状態1の間のエンタルピの差、W1-2=h2-h1によって表すこともできる。状態1での作動流体の全体の低温のエクセルギー(最大の仕事の可能性)は、Ex1=T0(S0-S1)-(h0-h1)である。
【0406】
2)2-3:作動流体の等圧加熱
作動流体は入力の空気によってT2からT3に加熱される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW2-3=0である。入力の空気から吸収される特定の熱はQ2-3=h3-h2である。過程2-3で放出されるエクセルギーは、EX2-3=T0(S3-S2)-(h3-h2)である。
【0407】
3)3-4:作動流体の膨張
高圧を伴う作動流体はタービン内で膨張し、仕事を出力する。理想の等温過程が考慮されると、過程で行われる特定の仕事は、W3-0=T0(S0-S3)-(h0-h3)である。理想の等温過程において周囲から吸収される特定の熱はQ3-0=T0(S0-S3)である。作動流体の膨張が断熱的である場合、特定の理想の仕事Wad
【0408】
【数105】

【0409】
になり、過程での熱の吸収がまったくない、すなわちQad=0である。しかし、実際の仕事はW3-0とWadの間の範囲になることが期待される。等温性と呼ばれる要因、γは、しばしば指数として用いられ、それは等温の仕事に対する実際の仕事の比率
【0410】
【数106】

【0411】
として定義される。したがって、実際の仕事W3-4は、W3-4=γW3-0=γ[T0(S0-S3)-(h0-h3)]として表すことができる。
【0412】
4)6-7:作動流体の低温のエネルギーの入力の空気による等圧的な抽出
作動流体の低温のエネルギーは、熱交換器を介して等温的に入力の空気によって抽出される。この過程で行われる特定の仕事は0、すなわちW6-7=0である。過程6-7での作動流体からの低温のエネルギーはQ6-7=h6-h7である。過程の間に入力の空気によって得られるエクセルギーは、Ex6-7=T6(S6-S7)-(h6-h7)である。上記の分析から、サイクルの特定の理想の正味仕事量は、
【0413】
【数107】

【0414】
である必要があり、ただし、F1およびF2がそれぞれ、作動流体および入力の空気の流量である。
【0415】
したがって、実験室規模のCES実験システムの効率は、
【0416】
【数108】

【0417】
によって表すことができ、ただしEx1は、作動流体内に含まれる総低温のエクセルギーである。実際の実験システムでは、入力の空気を、熱交換器を介して圧送するのに一定の量の仕事が必要であり、したがって、過程6-7の仕事はゼロではない。実際の特定の正味仕事量は、
【0418】
【数109】

【0419】
である必要がある。したがって、実験室規模のCESシステムの効率は、
【0420】
【数110】

【0421】
になる。
【0422】
測定技術およびデータ処理
適切な測定システムが図42に概略的に示される。熱電対用に7つ、圧力変換器用に7つ、流量用に2つ、電圧用に1つ、電流用に1つ、およびトルク/速度用に1つの20の測定用のチャネルがある。データ収集システムがデータ収集、記憶、および処理のためにコンピュータに連結されている。
【0423】
測定チャネルは、以下のものを備える。
(1)T1:ポンプ610の入口での作動流体の温度
(2)T2:ポンプ610の出口/熱交換器620の入口での作動流体の温度
(3)T3:熱交換器620の出口/タービン630の入口での作動流体の温度
(4)T4:タービン630の出口での作動流体の温度
(5)T5:ブロワ650の入口での空気の温度(周囲温度)
(6)T6:熱交換器620の入口での入力の空気の温度
(7)T7:熱交換器620の出口での入力の空気の温度
(8)P1:ポンプ610の入口での作動流体の静圧
(9)P2:ポンプ610の出口/熱交換器620の入口での作動流体の静圧
(10)P3:熱交換器620の出口/タービン630の入口での作動流体の全圧力
(11)P4:タービン630の出口での作動流体の全圧力
(12)P5:ブロワ650の入口での空気の全圧力(周囲圧力)
(13)P6:熱交換器620の入口での入力の空気の静圧
(14)P7:熱交換器620の出口での入力の空気の静圧
(15)F1:ポンプ610によって送出される作動流体の流量
(16)F2:熱交換器620を通る入力の空気の流量
(17)V1:ポンプ610の電圧
(18)C1:ポンプ610の電流
(19)ω1:タービン630の回転速度
(20)M1:タービン630の出力トルク
【0424】
上記の熱力学分析から、W3-4、W1-2、EX6-7、WBlower、EX1、F1、およびF2を含む実験室規模の実験システムの実際の効率を得るのに7つの変数が必要であることが理解できる。これらのパラメータを得るための方法論を以下に示す。
【0425】
(1)W3-4:タービンの実際の仕事量
トルク/速度メータがタービン630の軸に直接的に連結され、ブロワ650が負荷として使用される。タービン630の仕事量は、測定されたトルク(M1)および速度(ω1)を掛けることによって得られ、すなわちW3-4=M1・ω1である。
【0426】
(2)W1-2:ポンプによって消費された仕事
実験システムでは、ポンプ610がモータによって駆動される。したがって、ポンプ610によって消費された実際の仕事は、モータの電圧(V1)および(C1)を測定することによって得ることができ、すなわちW1-2=V1・C1である。W1-2の結果は、ポンプおよびモータ610の両方の効率の根拠になる。
【0427】
(3)EX6-7:入力の空気によって再利用された低温のエクセルギー
入力の空気によって回収された低温のエクセルギーは、Ex6-7=T6(S6-S7)-(h6-h7)によって計算できる。入力の空気のエントロピおよびエンタルピ、すなわちS6、S7、h6、およびh7を得るために、それぞれ2つの熱電対および2つの圧力変換器が熱交換器620の入口および出口で実験システムに使用される。T6、T7、P6、およびP7の測定されたデータを使用して、入力の空気のエントロピおよびエンタルピが、空気に関する熱力学データ表から発見できる。
【0428】
(4)W6-7:入力の空気を圧送するのに必要な仕事
入力の空気を圧送するのに消費される特定の仕事は、熱交換器620の入口と出口の間の圧力差によって計算でき、すなわちW6-7=P7-P6である。
【0429】
(5)F1:作動流体の流量
作動流体の流量は、ポンプ610の入口に装着された流量計によって測定される。
【0430】
(6)F2:入力の空気の流量
入力の空気の流量は熱交換器620の出口に装着された流量計によって測定される。
【0431】
(7)Ex1:作動流体に含まれる全低温のエクセルギー
作動流体から回収される全低温のエクセルギーは、EX1=T0(S0-S1)-(h0-h1)によって計算される。作動流体のエントロピおよびエンタルピ、すなわちS0、S1、h0、およびh1を得るために、それぞれ2つの熱電対および2つの圧力変換器がそれぞれ熱交換器620の入口および出口に装着される。T5、T1、P5、およびP1のデータを使用して、作動流体のエントロピおよびエンタルピが、空気に関する熱力学データ表を参照して得ることができる。
【0432】
実験CESから得ることができる個々の構成要素に関連するパラメータには、以下のものが含まれる。
【0433】
(1)冷凍剤タンク
a.液体空気の体積は、レベル指示器から得ることができる;熱放散は、既知の期間の間のボリュームの差から計算できる。
b.冷凍剤タンク600の出口での温度(T1)
c.冷凍剤タンク600の出口での圧力(P1)
d.作動流体の流量(F1)
【0434】
(2)ポンプ
a.ポンプ610の流量(F1)
b.ポンプ610の入口(T1)および出口(T2)での温度
c.ポンプ610の入口(P1)および出口(P2)での圧力
d.ポンプ610の効率:
【0435】
【数111】

【0436】
(3)熱交換器
a.熱交換器620の入口(T2)および出口(T3)での作動流体の温度
b.熱交換器620の入口(P2)および出口(P3)での作動流体の圧力
c.熱交換器620の入口(T6)および出口(T7)での入力の空気の温度
d.熱交換器620の入口(P6)および出口(P7)での入力の空気の圧力
e.作動流体の流量(F1)
f.入力の空気の流量(F2)
g.熱交換器620の入口と出口の間での作動流体と入力の空気の温度差、すなわち(T7-T2)および(T6-T3)
h:熱交換器620の入口と出口の間での作動流体と入力の空気の圧力差、すなわち(P7-P2)および(P6-P3)
【0437】
(4)タービン
a.タービン630の入口(T3)および出口(T4)での作動流体の温度
b.タービン630の入口(P3)および出口(P4)での作動流体の圧力
c.タービン630の出口トルク(M1)および回転速度(ω1)
d.
【0438】
【数112】

【0439】
によって計算されるタービン630の効率
e.
【0440】
【数113】

【0441】
によって計算されるタービン630の膨張の等温性
【0442】
(5)ブロワ
a.ブロワ650の入口(T5)および出口(T6)での空気の温度
b.ブロワ650の入口(P5)および出口(P6)での空気の圧力
c.ブロワ650(タービン630によって駆動される)の入力トルク(M1)および回転速度(ω1)
【0443】
小規模の実験室のCESの構成要素の詳細な熱力学分析
(1)冷凍剤タンク
燃料(液体空気)の流量は、
【0444】
【数114】

【0445】
によって計算でき、ただし、F1、P0、η、ED、およびρ1は、それぞれ液体空気の流量、システムの出力、タービン630の効率、液体空気のエネルギー密度、および液体空気の密度である。燃料タンク600の体積は、
【0446】
【数115】

【0447】
によって与えられ、ただし、Sf、Vl、Ot、Edisはそれぞれ、タンクの安全率、液体空気の体積、動作継続時間、および熱放散の効率である。立方体のタンクが想定されると、各辺の長さdは、
【0448】
【数116】

【0449】
である。
【0450】
作動流体の作動圧が20MPaである場合、周囲温度は300Kであり、液体空気の理想の特定のエネルギー密度は約455kJ/kgであり、周囲圧力での液体空気の密度は約876kg/m3であり、タービン630の効率は0.8であり、実験室規模の実験システムの総電力は12.5kWであり、液体空気の流量は、
【0451】
【数117】

【0452】
である。1.3の安全率が考慮され、熱放散の効率が0.95として取られる場合、100kWhの総容量に関する冷凍剤タンク600の体積は、
【0453】
【数118】

【0454】
である。立方体のタンクが想定されると、各辺の長さは1.14mである。
【0455】
熱伝達により、液体空気は冷凍剤タンク600内で蒸発し、タンク600の出口(ポンプ610の入口)での液体空気の圧力は、周囲空気よりも高く、それによってポンプ610によって消費される仕事が低下する。冷凍剤タンク600の自己加圧が不可避であると仮定すると、圧力があるレベルを超えた後に圧力を軽減するために安全弁が備えられる。安全弁を使用しない別のシステムによってタンク圧を制御することが可能である。
【0456】
(2)ポンプ
ポンプに関連する、鍵になるパラメータには、作動流体の流量、入口圧力、出口圧力、作動温度、および電力消費が含まれる。ポンプの流量は冷凍剤タンクに関する流量と同じであり、したがってF1=141.0l/hである。液体空気の入口圧力は冷凍剤タンクの出口圧力によって決定される。安全弁が実験室規模のシステムに使用されるので、タンクの圧力は事前に決定できない。しかし、冷凍剤ポンプは所与の出口圧力で、一定の範囲の入口圧力を超えて動作できる。したがって、ポンプの入口圧力は、P1=0.1〜3.0MPaとして取られる。冷凍剤ポンプの出口圧力は、作動流体の動作圧力と等しく、それは20MPaとして与えられる。したがって、P2=20MPaである。冷凍剤ポンプは通常の実験室温度で動作する必要がある。したがって、動作温度は0℃〜40℃として選択される。ポンプの入口での作動流体の温度は、およそ液体空気の沸点(-196℃)であることが予測される。ポンプの出口での作動流体の温度は断熱加圧過程の後に約-192℃であることが予測される。ポンプによって消費される電力は、所与の出口圧力および流量での効率によって決定される。ポンプ効率が0.8として想定されると、ポンプの電力要件は、
【0457】
【数119】

【0458】
である。冷凍剤ポンプのモータに1.5の安全率が使用される場合、モータの電力は1.5kWになる。
【0459】
(3)熱交換器
熱交換器と関連する、鍵になるパラメータには、動作圧力、作動流体および入力の空気の両方の流量および圧力降下、ならびに熱交換器の入口および出口での作動流体および入力の空気の温度が含まれる。作動流体の動作圧力は、ほぼポンプの出口圧力に等しく、すなわちP2=20MPaである。入力の空気の動作圧力は、ブロワによって消費される仕事を最低限に抑えるために周囲の圧力の近くである必要があり、すなわちP7=P0である。入力の空気の入口圧力は、熱交換器全体を通じての圧力降下にほぼ等しく、すなわちP6=PLoss+P7である。作動流体の流量は上記に与えられ、すなわちF1=141.0l/h=(123kg/h)である。入力の空気の流量は、熱交換器の性能によって影響される。おおよその値がF2=206.0kg/hとして熱力学の計算によって得られる。熱交換器全体を通じての作動流体の圧力降下は、熱交換器の工学設計に依存する。しかし、それは約1000Pa程度のものであると予測される。熱交換器全体を通じての入力の空気の圧力降下は設計にも依存する。それも約1000Paであると予測される。管/継手/弁の熱損失が無視される場合、熱交換器の入口での作動流体の温度は、ほぼポンプの出口での温度に等しく、すなわちT2=-192℃である。熱交換器の出口での作動流体の温度は熱交換器の性能に依存し、想定された温度差(すなわち5℃)を有して周囲温度の近くであると予測され、すなわちT3=22℃である。熱交換器の入口での入力の空気の温度は、ほぼ周囲温度である。熱交換器の出口での入力の空気の温度も、熱交換器の性能に依存するが、それは熱交換器の入口での作動流体の温度の近く(約-192℃)であると予測される。
【0460】
(4)タービン
タービンの性能を分析する際に、相互加熱(inter-heating)を伴う多段断熱膨張過程が検討された。タービンの入口での作動流体の圧力がP3=20MPaとして与えられた。タービンの入口での作動流体の温度は熱交換器によって加熱された後に周囲温度の近くである必要がある。5℃の(周囲の下の)温度差が考慮されると、タービンの入口での作動流体の温度は22℃(300Kとして取られた周囲温度)、すなわちT3=22℃である。
【0461】
段の数はタービンの鍵になるパラメータであり、より多くの段がより近い等温動作、したがってより多くの動作出力を意味する(図44を参照されたい)。しかし、より多くの段はより多くの機械的な複雑性、高い圧力損失、および高い費用も意味する。2つの間の均衡が必要である。図44の構造は以下の想定に基づいている。
【0462】
理想の場合:タービンの入口での作動流体の圧力は20MPaであり、タービン効率は100%であり、各段の入口での作動流体の温度は27℃である。
【0463】
実際の場合:タービンの入口での作動流体の圧力は20MPaであり、タービン効率は89%であり、各段の入口での作動流体の温度は22℃である。
【0464】
タービンの理想および実際の仕事量は両方とも、段の数の増加および4から8段の間のレベルオフ(level off)と共に増加する。段の数の総数は、通常は3.0以下のタービンの最大膨張比によっても制限される。図45は、タービンの段の数の関数としての各段の膨張率を示す。段の数が4未満の場合、膨張率は3を超えることが理解できる。その結果、タービンの段の数は4より多い必要がある。したがって、段の数は4と8の間にある必要がある。
【0465】
出口での作動流体の圧力は、一般に、作動流体が円滑に流れるのを確実にするように周囲圧力よりもわずかに高い。出口での作動流体の圧力はしばしば、約0.13MPaとして選択される。段の数が6であり、入口での作動流体の温度が22℃である場合、出口での作動流体の温度はほぼ-44℃である。そのような温度での空気は、大きなCESシステムでの液体空気の生産に関して再利用できる。それは、夏季に工業用冷凍および空気調節を行うのに使用することもできる。作動流体の流量はポンプの流量に等しく、すなわち123kg/h(141l/hr)である。作動流体の低い流量および高い圧力により、タービンの第1段の寸法は数ミリメートルになり、それはマイクロタービンとして分類される。
【0466】
(5)ブロワ
ブロワに関連する、鍵になるパラメータは、圧力、流量、電力、および効率である。定格出力はほぼタービンの仕事量(約12.5kW)に等しい必要があり、圧力は熱交換器全体を通じた入力の空気の圧力降下よりも高い必要がある。
【0467】
適切な構成要素の選択
以下の構成要素の選択は、上記に詳述した分析に基づいている。
【0468】
(1)冷凍剤タンク
Si-Chuan Air Separation Plant(Group)Co.Ltd社の製品番号C404C1(モデルZCF-2000/16)は、二重壁および真空粉末断熱構造(vacuum powder insulated structure)を有する適切な垂直型冷凍タンクであり、概略図は図46を参照されたい。この冷凍剤タンクは以下のパラメータを有する。
・ 容量=2000リットル
・ 最大動作圧力=1.6MPa
・ 空のタンク重量=2282kg
・ 寸法(直径×H)=1712mm×3450mm
・ 1日当たりボイルオフ(20℃および0.1MPaで1日当たり蒸発する液体空気の百分率)=<0.96%
【0469】
(2)ポンプ
往復ピストン極低温液体ポンプが実験室規模のCES実験システムに推奨され、Cryogenic Machinery Corporation社の製品番号B228(Si-Chuan Air Separation Plant(Group)Co.Ltd社)が適している。このポンプは、高真空断熱ポンプヘッドを有し、それは蒸発損失(vaporisation loss)およびポンプの吸込み圧力を低下させる。ポンプのピストンリングおよびフィリングリング(filling ring)は、優れた可塑性および潤滑能力を有する非金属の極低温材料を使用する。専用の潤滑剤を使用すると、ポンプは液体酸素などの可燃性または爆発性の液体用にも動作できることが確実になる。ポンプの内部構造が図47に示される。この冷凍剤ポンプは以下のパラメータを有する。
・ 作動流体=液体空気/酸素/窒素/アルゴン
・ 入口の圧力=0.05〜1.5MPa
・ 出口圧力=20〜35MPa
・ 流量=50〜150l/h
・ 出力=3.0kW
・ 動作温度=-10〜40℃
・ 重量=約150kg
【0470】
(3)熱交換器
熱交換器は約20MPaの高い圧力で、非常に大きな温度差(-196℃〜27℃)にわたって動作する。作動流体の流量は123kg/hである。目的に適した既存の製品がまったく見つかっていない。したがって、専用に設計され、製造された熱交換器が求められる。そのような熱交換器は、以下のパラメータを有するシェルに封入されたチューブフィン構造であることができる。
・ 作動流体=液体空気
・ 加熱流体=周囲空気
・ (低温)作動流体の圧力=20MPa
・ 加熱流体の圧力=0.1MPa
・ 作動流体の流量=123kg/h
・ 加熱流体の流量=約206kg/h
・ 作動流体の圧力損失=<500Pa
・ 加熱流体の圧力損失=<1000Pa
・ 動作温度=-10〜40℃
・ 管の材料=304ステンレス鋼
・ フィンおよびシェルの材料=ステンレス/アルミニウム合金
・ 寸法(長さ/幅/高さ)=2.5m/2.2m/10.8m
・ 重量=約1200kg
【0471】
(4)タービン
タービンの性能は全体の実験室規模システムの性能において重要な役割を果たす。タービンの出力仕事は通常、モータ、コンプレッサ、ファン、または発電機を駆動するために使用される。提供されるタービンの入口圧力は高く(約20MPa)、作動流体の流量は低く(約123MPa)、タービンは数ミリメートルの直径を有するマイクロタービンである必要がある。図48は、適切なタービンの概略図を示す。しかし、現行のタービンは、提供された実験室規模のシステムとまったく比肩できないことが分かった。したがって、専用に設計され、製造されたタービンが求められる。
【0472】
(5)ブロワ
入力の空気の圧力降下に打ち勝つために、ブロワは総圧力を送ることができる必要がある。ブロワはタービンの負荷としても作用するので、タービンの仕事量(約12.5kW)にほぼ等しい総出力に定格を定めなければならない。Beijing Dangdai Fan社の混成流GXF-C(製品コード番号6.5-C)などのブロワが適切である。このブロワは以下のパラメータを有する。
・ 作動流体=空気
・ 総圧力=1162Pa
・ 流量=24105m3/h
・ 回転速度=2900rpm
・ ノイズ=83dB(A)
・ 出力=15kW
・ 寸法(長さ/幅/高さ)=0.845m/0.751m/0.800m
・ 重量=234kg
【0473】
(6)その他の構成要素
タービンの回転速度は通常とても高く(数万rpm)、それに対し、提供されるブロワの回転速度は低い(2900rpm)ので、トランスミッションシステムが小規模のCES実験システムに必要である。さらに、熱交換器の壁に(入力の空気からの)水が凍結するのを回避するために、入力の空気が熱交換器に入る前に除湿するために乾燥機が必要である。
【0474】
構成要素の一体化
冷凍剤施設からの液体空気は、冷凍剤トラックによって実験室に移送され、冷凍剤タンクC404C1に送り込まれる。往復ピストン極低温液体ポンプB228は、液体空気を加圧し、作動流体が熱交換器を流れて通るための運動エネルギーを与える。作動流体は、作動流体が膨張してブロワの動力を供給するマイクロタービンの負荷としても働く、ブロワGXF-C-6.5Cによって供給される入力の空気によって熱交換器で加熱される。ブロワからの空気のわずかな部分のみが入力の空気として使用される。
【0475】
その他の貯蔵システムを有するCESの技術的および経済的な比較
次に、現行のエネルギー貯蔵システムが評価され、CESと比較される。CESのデータは500MWhの貯蔵量、および8時間の放電時間に基づいて計算される。その他のエネルギー貯蔵システムに関するデータは、非特許文献3、非特許文献4、日特許文献5から取られている。
【0476】
出力電力および出力時間
貯蔵システムの出力電力と出力継続時間の間の関係が図49に示される。各貯蔵システムは適切な範囲を有し、それらは、毎日の負荷を平準化するタイプ、および電力の質を向上させるタイプの2つのタイプに分類できる。
【0477】
揚水、CAES、電池、およびCESが毎日の負荷変動を平準化するのに適している。従来の軸受けを有する超伝導磁石およびフライホイールが早い反応を有し、したがって瞬間電圧降下、フリッカー緩和、および短継続時間のCPSに関して利用できる。
【0478】
浮上軸受けを有するフライホイール、二重層コンデンサ、およびレドックススーパーコンデンサなどのその他のシステムは、小さな容量のエネルギー貯蔵、および短い出力の継続時間(1h未満)に関して期待できる。
【0479】
CESの出力電力および継続時間は、電池より優れ、CAESと競争力があるものであり、揚水よりもわずかに低い。しかし、前に論じたように、揚水は特別な地理的な配置を必要とする。さらに、下記に論じるように、揚水は非常に高い資本費用を必要とする。
【0480】
効率とサイクル期間の間の関係が図50に示される。下方の凹型の湾曲は自己放電またはエネルギー放散によるものである。加熱を伴わないCESの効率は、その他のエネルギー貯蔵システムよりも低い。しかし、廃熱がCESの作動流体を加熱するために再利用されると、その効率はその他のエネルギー貯蔵システムと競争力があるものになる。さらに、加熱に伴うCESの効率は、上記に論じたように空気の液化過程の向上に伴って上昇する。
【0481】
異なるエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵密度が図51に示される。データは以下のものに基づいている。
・ 揚水プラントに蓄積されたエネルギーがmghに基づいて計算され、ただし、mは水の質量であり、gは重力による加速度であり、hは500mであると想定される有効落差である。
・ CAESの空洞容積は約60atmで54,000m3であると想定される。蓄積された空気は、施設が連続的に26hの間に100MWを生成できるようにする。CAESのエネルギー密度の計算には、燃料貯蔵、モータ/発電機、コンプレッサ、およびエキスパンダの体積は含まれない。
・ CESのエネルギー密度の計算は、貯蔵されたエネルギー、ならびに冷凍剤タンクおよび熱交換器の体積に基づき、モータ/発電機、コンプレッサ、およびエキスパンダの体積は、冷凍剤タンクよりも少なくとも1桁小さいので、考慮されない。
・ その他のシステムに関するエネルギー密度は、出力電力を貯蔵デバイスの体積で割ることによって計算される。
【0482】
CESおよび進歩した補助のNa/S電池がすべてのシステムの中で最も高いエネルギー密度を有することが分かる。CESのエネルギー密度は1桁以上CAESよりも高く、約2桁以上揚水よりも高い。
【0483】
貯蔵システムの寿命が表3に示される。二次電池のサイクル耐久性は、動作時間に伴う化学的劣化により、その他のシステムほど高くはない。CESの構成要素のうちの多くはCAESに使用される構成要素と同様である。したがって、CESがCAESと同様の耐久期間を有することが予測される。
【0484】
【表3】

【0485】
図52は、単位資本費用当たりの出力電力と比較されたシステムの単位資本費用当たりの貯蔵エネルギー容量との間の関係を示す。CAESが、すべてのシステムのうち単位出力電力当たり最も低い資本費用を有することが理解できる。進歩した電池の資本費用(Na/S、Zn/Br、およびバナジウムレドックスフロー)は、揚水に対する損益分岐費用よりもわずかに高いが、隔たりは次第に近づく。SMESおよびフライホイールは、出力電力ベースで安価であるが貯蔵エネルギー容量の点で高価であるので、より高い電力および短い継続時間の用途に適している。
【0486】
CESの観点から、CESの耐用期間はCESの耐用期間と同じなのでCESの出力調整された資本費用はCAESのものより低く、空洞がまったく必要ないのでCESの初期投資はCAESの初期投資よりも少なく、またCESのエネルギー密度は少なくとも1桁だけCAESのエネルギー密度よりも高い。
【0487】
したがって、CESの資本費用は、試されるシステムのすべてのうちで最も低い。さらに、CESは酸素、窒素、およびアルゴンなどの製品も生産できるので商業運転の点で柔軟性をもたらす。
【0488】
揚水発電システムの建設には、貯水池を建設するために木や緑地の破壊を伴うことが不可避である。貯水池の建設は、現地の生態系も変えるおそれがあり、それによって環境的に重大な結果も現れる。CAESは、従来のガスタービン技術に基づき、化石燃料の燃焼、およびその結果の汚染物質の排出を伴い、一方で二次電池は固体の毒性の廃棄物を生み出す。
【0489】
しかし、CESは環境に優しい。例えば、CO2およびSOXは液化過程中に除去され、それは化石燃料の燃焼と関連する良くない環境的な問題を緩和するのを助ける。望ましくない浮遊粒子は同様に、液体空気の生産中に除去される。
【0490】
したがって、CESはエネルギー密度、耐用期間、資本費用、および環境的な影響の点でその他のエネルギー貯蔵システムよりも優れた性能を有すると結論付けることが可能である。出力電力および継続時間、ならびにエネルギー効率の点からその他のシステムと比較して非常に競争力がある。車両用の極低温エンジンと比較して、CESの仕事量および効率は「熱」および「冷熱」の両方のリサイクルの使用によりはるかに高い。作動流体の最適な圧力は、CESに関して約20MPaである。入力の空気の最適な圧力は、再利用される作動流体がまったくない場合に約0.1MPaであることが分かった。しかし、廃熱が使用される場合、最適の入力圧力は0.1MPaまたは4.0MPaであることができる。空気の液化に関して0.4kWh/kgの効率に基づいて、理想のサイクルで動作されるCESの全体の効率が廃熱のリサイクルを使用しない場合に関して0.516に、127℃の温度で煙道ガスからの廃熱を使用する場合に関して0.612に予測される。空気の液化の効率が0.3kWh/kgであるとすると、理想のサイクルで動作されるCESの全体の効率が、廃熱のリサイクルを使用しない場合に関して0.688になり、127℃の温度で煙道ガスからの廃熱を使用する場合に関して0.816になる。
【0491】
CESの特定の仕事量およびエネルギー密度は、主にタービン効率ηTおよび空気の液化の効率ηAに依存する。コンプレッサ効率は入力の空気が圧縮される場合に、同様に重要である可能性がある。熱交換器は、サイクルの全体の効率を決定するのに重要な役割を果たす。廃熱の温度がより高く、環境の温度がより高くなることにより、効率がより高くなる。
【0492】
CESシステムは排冷熱ならびに廃熱のリサイクルを含む、いくつかの発明の重要な段階を有する。これらは特に、作動流体として極低温の液体を使用して設計された以前のシステムに対して全体の仕事サイクルを向上させる。
【0493】
CESシステムは、エネルギー密度、耐用期間、資本費用、および環境への影響の点で現行のエネルギー貯蔵システムより優れた性能を実現する可能性を有し、出力電力および継続時間、ならびにエネルギー効率に関して競争力がある技術である。
【0494】
CESシステムは低い等級の熱を利用する可能性を有し、技術への明らかな障壁がまったくない。システムは、液化施設、タービン、熱交換器、コンプレッサ、ポンプなどに関する現行の技術を使用して構築できる。
【0495】
CESの仕事の大部分は、冷凍剤(約77K)と周囲環境(約300K)の間の温度差に起因するエネルギーを利用することによって得られ、それに対し標準的な地熱または廃熱エネルギーシステムは、周囲環境(約300K)の上の温度しか利用することができない。
【0496】
CPSエンジンの標本モデル
5つの海洋エンジンのモデルが、CPSを使用して用意された。次いで、これらのモデルは、5つの既知のディーゼルエンジンと比較される。5つの既知の工業的なディーゼルエンジンの詳細が、図4に示される。
【0497】
CAT-3516は78.1リットル、60°V型16気筒ディーゼルエンジンである。このエンジンは、中間の速度を有する中型の輸送船用に設計されている。CAT-3126は、小型ヨット用に製造された7.2リットル、ターボチャージャ付き後方冷却直列6気筒エンジンである。ST3エンジンは、幅の狭い船用に設計されたLister Petter company社の空冷ディーゼルエンジンである。Cummins社の6気筒T/Cディーゼルエンジンが、公共輸送用途および娯楽用の巡航に適したテムズ川の定期船によって用いられている。
【0498】
【表4】

【0499】
CPS Model 1はCAT-3516に相当し、中型船に適している。CPSは大量の冷熱を供給できるので、Model 1は特に、例えば冷凍の肉や魚、またはその他の製品などの周囲環境条件より低い材料の輸送用に設計される。Model 1は、船の乗客へのCPSからの冷却空気および熱も利用する。
【0500】
Models 2から4は、CAT-3126、Ford Porbeagle、およびLister Petter ST3のエンジンに相当し、大規模冷凍または空調用の冷却空気がまったく必要でないヨットまたはボートに適している。CPSシステムは、例えば推進、および暖房用に船の乗客によって使用される熱の両方に使用される。
【0501】
モデル5はCummins Riverlinerに相当する。CPSシステムは、推進力、船の乗客への冷却空気および熱、および食料を冷凍する冷熱を供給するのに使用される。食料を冷凍するための要件は周囲環境以下の条件の下で材料を輸送するためのモデル1よりもはるかに低いので、CPSの低温容量のほんのわずかな部分(約10%)が食料の冷凍用に想定された。しかし、Cummins Riverlinerは1日当たり5海里の12の往復航海を行うように設計されているので60マイル(110km)の巡航距離しか必要でない。
【0502】
5つのすべてのモデルの一般的な動作条件は、P2=200バール、P1=8バール、T0=300K、ηTCOMP=0.88、n=1.2、γ=0.90、およびTdf=5.0Kである。これらの一般的な条件の下でのModel1から5の全体の性能が、表5に示される。
【0503】
【表5】

【0504】
所与の船および所与の電力に関して、巡航速度vkは、
【0505】
【数120】

【0506】
によって計算でき、ただし、P0、Δ、νk、C0はそれぞれ、エンジンの出力(仕事)、船のトン数、船の巡航速度、および船の寸法に関連する係数である。Model 1のCPSによって動く船が、CAT-3516エンジンに使用されたデータと同じ船体、トン数Δ、および係数C0を有すると想定すると、巡航速度vk1が、
【0507】
【数121】

【0508】
を使用して計算され、ただしW01はモデル1の仕事量である。したがって、モデル1の巡航距離は、Cr1=vk1・Ot1によって与えられ、ただしOt1は最大動作時間である。
【0509】
同じ総出力に関して、推進に関するモデル1のCPSの仕事量は、CAT-3516の仕事量よりも約22.6%低く、一方で巡航速度および距離は約8%しか低下しないことが理解できる。さらに、モデル1のCPSは、約169.6kWの熱、962.0kWの冷凍冷熱、および962.0kWの空調用冷熱を同時に供給する。
【0510】
同様に、CPSモデル2から4で動く船に関する巡航速度および範囲は、CAT-3126のデータにしたがって得ることができる。CPSのモデル2で動く船に関する巡航速度および範囲は、
【0511】
【数122】

【0512】
およびCr2k2・Ot2である。CPSのモデル3で動く船に関する巡航速度および範囲は、
【0513】
【数123】

【0514】
およびCr3=vk3・Ot3である。CPSのモデル4で動く船に関する巡航速度および範囲は、
【0515】
【数124】

【0516】
およびCr4=vk4・Ot4である。同じ総出力に関して、推進に用いられるモデル2から4の仕事量は、相当するディーゼルエンジンの仕事量よりも約2.8%低い。しかし、モデル2から4は、それぞれ22.0kW、6.5kW、および2.1kWの熱を同時に供給できる。CPSのモデル2から4の巡航速度および範囲は、相当するディーゼルエンジンの巡航速度および範囲の約99%であることが理解できる。
【0517】
同様に、CPSモデル5で動く船に関する巡航速度および範囲は、Riverlinerのデータにしたがって得ることができる。CPSのモデル5で動く船に関する巡航速度および範囲は、
【0518】
【数125】

【0519】
およびCr5=vk5・Ot5である。推進に対する同じ仕事量に関して、CPSモデル5は約45.2kWの熱、256.8kWの冷凍冷熱、および51.4kWの空気調節用冷熱を供給するが、総出力は相当するディーゼルエンジンの総出力よりも14.8%高い。
【0520】
燃料(液体空気)の流量は、
【0521】
【数126】

【0522】
によって計算でき、ただし、F1、F0、ED、ρ1、は液体空気の流量、エンジンの出力、CPSのエネルギー密度、および液体空気の密度である。燃料タンクの体積は、
【0523】
【数127】

【0524】
として表され、ただし、Vl、Ot、Edisは、タンクの液体空気の体積、動作時間、および熱放散の効率である。立方体のタンクが想定されると、各辺の長さは、
【0525】
【数128】

【0526】
である。
【0527】
最大熱伝達要件が上記に分析され、予測された。単位仕事量(1kW)を有するCPSに関して、熱伝達要件は、Q=2.184kwである。単位仕事量に関する熱伝達交換器の寸法はV=0.011m3である。安全率が4として与えられると、単位仕事量に関する熱伝達交換器の寸法は0.044m3になる。
【0528】
上記のデータに基づいて、モデル1から5のCPSに関する熱交換器の総体積の慎重な予測が表5に列挙されている。
【0529】
CPSのディーゼルエンジンとの比較
エネルギー密度および価格
表4と5の間の比較は、モデル1から5のCPSの燃料消費が、37.70、44.36、42.08、42.5、および42.3にそれぞれ、相当するディーゼルエンジンの燃料消費をかけたものであることを示す。したがって、モデル1から5のエネルギー密度は、相当するディーゼルエンジンのエネルギー密度の1/37.70、1/44.36、1/42.08、1/42.5、および1/42.3である。
【0530】
8つのエンジンの特定の出力の価格を比較するために、電気の価格がPrice_e=6ペンス/kWhとして取られ、およびディーゼルの価格がPrice_d=90ペンス/リットルとして取られ、1kgの液体空気を生産するためのエネルギー消費が0.4kWhとして取られる(W.F.Castle.2002年)。4つのモデルの特定の出力の価格(Price_P)は、CAT-3516=22.0p/kWh、M1=25.0p/kWh、CAT-3126=23.4p/kWh、M2=31.3p/kWh、Ford Porbeagle=24.7p/kWh、M3=31.3p/kWh、Lister Petter ST3=24.8p/kWh、M4=31.3p/kWh、Cummins=22.1p/kWh、およびM5=28.8p/kWhとして計算される。
【0531】
CPSモデルに関する特定の出力の価格は、相当するディーゼルモデルに匹敵するものである。モデル1のCPSが冷凍材料の輸送用の船に使用される場合、特定の出力の価格は、対応するディーゼルモデルに対して非常に競争力があるものである。
【0532】
1kgの液体空気を生産するためのエネルギー消費が0.3kWhとして取られる場合、モデル1から4のCPSに関する特定の出力の価格(Price_p)はそれぞれ、18.8、23.4、23.4、23.4、および21.6p/kWhである。
【0533】
エネルギー効率
5つのモデルの間の油井から車輪までの効率の比較が表6に示される。CPSデータは、1kgの液体空気を生産する0.4kWhに基づいている。モデル1のCPSの効率は、CAT-3516の効率と同様であり、液体空気を燃料として使用するモデル2から4のCPSの効率は、対応するディーゼルエンジンの効率より低いことが理解できる。小型のヨットは冷熱を完全に回収しないので、中型のCPSの船は冷凍材料の輸送に使用された場合に、小型のヨットが有するよりも高い効率を有する。括弧内に示されるCPSモデル1から4の効率は、1kgの液体空気を生産するための消費が0.3kWhであると取られた場合のものである。
【0534】
【表6】

【0535】
耐用期間および資本費用
CPSのすべての主要な構成要素は、CESと同様であるので、CPSシステムの耐用期間は約20から40年であるとも予測される。ディーゼルエンジンの耐用期間は約17年であると見なされる。しかし、高い温度での燃焼過程がCPSにはまったくなく、ピストンとシリンダの間い強い摩擦がまったくないので、CPSの耐用期間はディーゼルエンジンの耐用期間よりも高いと考えられる。
【0536】
構成要素の点で特別な要件がほとんどないので、CPSは資本費用の点で競争力があると考えられる。さらに、冷凍システムは冷凍輸送船の場合に使われなくなっている。
【0537】
システムの環境への影響
ディーゼルエンジンは化石燃料の燃焼を伴い、したがって汚染物質の排出を招く。CPSは完全に排出がなく、環境的に優しいシステムである。液体空気が再生可能なエネルギーによって生産される場合、CPSシステムは完全な「環境保護の」動力システムになる。さらに、汚染物質は液化過程中に除去でき、それは化石燃料の燃焼と関連する良くない環境的な問題を緩和するのを助ける。望ましくない浮遊粒子は同様に、液体空気の生産中に除去できる。
【0538】
したがって、液体空気を使用する極低温推進システム(CPS)は、燃焼のない、汚染を伴わない海上輸送を提供するのに使用できる。CPSはエネルギー価格、エネルギー効率、耐用期間、および資本費用、ならびに環境への影響の点でディーゼルエンジンと競争力のある性能を有する。CPSは、低温のエネルギーが例えば船の冷凍および空気調節用に回収された場合に、より高い効率を有することができる。
【0539】
当然のことながら、本発明は例として説明され、別紙の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で詳細の変更を行うことができることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0540】
【図1】本発明によるエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【図2】極低温の空気分離および液化施設の概略図である。
【図3】本発明によるCESの概略図である。
【図4】本発明によるCPSの概略図である。
【図5】周囲の圧力の場合の本発明によるCESの理想のT-S図である。
【図6】周囲の圧力の場合の本発明によるCESの実際のT-S図である。
【図7】周囲の圧力の場合の本発明による過熱の場合のCESの実際のT-S図である。
【図8】低圧力比の場合の本発明によるCESのT-S図である。
【図9】高圧力比の場合の本発明によるCESのT-S図である。
【図10a】本発明によるCPSの熱力学サイクルを示す。
【図10b】入力の空気1の圧力が38バールを超える場合の本発明によるCPSの熱力学サイクルの図である。
【図11】入力の空気圧P1が0.1MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図12】入力の空気圧P1が0.2MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図13】入力の空気圧P1が0.4MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図14】入力の空気圧P1が1.0MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図15】入力の空気圧P1が2.0MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図16】入力の空気圧P1が4.0MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図17】入力の空気圧P1が10MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図18】入力の空気圧P1が20MPaである場合の本発明によるCESに関連する熱力学サイクルの4つの効率を示す図である。
【図19】作動流体の圧力が20MPaである場合の過熱を伴わない本発明によるCESの実際の効率を示す図である。
【図20】作動流体の圧力が20MPaである場合の過熱を伴う本発明によるCESの実際の効率を示す図である。
【図21】廃熱がまったく使用されない場合の異なるタービン効率での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図22】廃熱が使用される場合の異なるタービン効率での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図23】廃熱がまったく使用されない場合の異なるコンプレッサ効率での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図24】廃熱が使用される場合の異なるコンプレッサ効率での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図25】廃熱がまったく使用されない場合の異なるポンプ効率での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図26】廃熱が使用される場合の異なるポンプ効率での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図27】廃熱がまったく使用されない場合の冷凍剤の異なるエネルギー消費での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図28】廃熱が使用される場合の冷凍剤の異なるエネルギー消費での本発明によるCESの効率を示す図である。
【図29】入力の空気1の圧力の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図30】周囲温度の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図31】タービン効率の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図32】コンプレッサ効率の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図33】ポンプ効率の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図34】コンプレッサのポイトロープ係数の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図35】膨張の等温性の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図36】廃熱がまったく使用されない場合の熱交換器内の高温と低温の流体の間の温度差の関数としての本発明によるCESの効率を示す図である。
【図37】廃熱が使用される場合の熱交換器内の高温と低温の流体の間の温度差の関数としての本発明によるCESの効率を示す図である。
【図38】使用される廃熱の温度の関数としての本発明によるCESの効率を示す図である。
【図39】周囲温度の関数としての本発明によるCESの効率を示す図である。
【図40】熱交換器内の高温と低温の流体の間の温度差の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図41】時間の関数としての本発明によるCPS効率を示す図である。
【図42】本発明による例示の小さな実験室規模のCESシステムの効率を示す図である。
【図43】図42のCES実験システムのT-S図を示す図である。
【図44】段の数の関数としての図42のCESで使用するタービンの仕事出力を示す図である。
【図45】段の数の関数としての図42のCESで使用するタービンの各段の膨張率を示す図である。
【図46】図42のCESと共に使用する適切な冷凍剤タンクを示す図である。
【図47】図42のCESと共に使用する適切なポンプを示す図である。
【図48】図42のCESと共に使用する適切なタービンを示す図である。
【図49】いくつかのエネルギー貯蔵システムの出力電力および出力継続時間の特性を示す図である。
【図50】いくつかのエネルギー貯蔵システムに関する効率とサイクル期間の間の関係を示す図である。
【図51】いくつかの異なるエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵密度を示す図である。
【図52】いくつかの異なるエネルギー貯蔵システムに関する、資本費用当たりの出力電力と単位資本費用当たりの貯蔵エネルギー容量との間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0541】
100 システム
110 流れ
120 入力の空気
130 冷却された入力の空気
200 空気液化施設
210 製品
220 空気圧縮ユニット
230 空気前処理ユニット
240 熱交換器
300 極低温エネルギー貯蔵ユニット(CES)
300 CES
310 コンプレッサ
320 タービン
330 発電機
340 第1の熱交換器
350 第2の熱交換器
360 流量調節弁
370 冷凍剤タンク
380 ポンプ
400 発電施設
410 廃熱
500 極低温推進システム(CPS)
505 推進器
510 タービン
515 発電機
520 コンプレッサ
525 熱交換器
530 熱交換器
535 熱交換器
540 熱交換器
545 流量調節弁
550 冷凍剤タンク
555 ポンプ
600 冷凍剤タンク
610 ポンプ
620 熱交換器
630 タービン
640 トランスミッションボックス
650 ブロワ
660 乾燥機
670 3方向弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを貯蔵する方法であって、
ガス入力を供給する段階と、
前記ガス入力から冷凍剤を生産する段階と、
前記冷凍剤を貯蔵する段階と、
前記冷凍剤を膨張させる段階と、
タービンを駆動するために前記膨張した冷凍剤を使用する段階と、
前記冷凍剤の前記膨張から低温のエネルギーを回収する段階と、を含んだ方法。
【請求項2】
発電機を駆動して電気を生成するために、前記タービンを使用する段階をさらに含んだ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
推進器を駆動するために前記タービンを使用する段階をさらに含んだ、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷凍剤が液体空気である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記冷凍剤がスラッシュエアである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記冷凍剤を膨張させる前記段階が前記冷凍剤を加熱する段階を含んだ、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記冷凍剤を加熱する前記段階が、周囲の熱を使用して前記冷凍剤を加熱する段階を含んだ、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記冷凍剤を加熱する前記段階が、地熱を使用して前記冷凍剤を加熱する段階を含んだ、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記冷凍剤を加熱する前記過程が、発電施設、蒸気流、発電施設の煙道ガス、または他の廃熱供給源からの廃熱を使用して前記冷凍剤を加熱する過程を含んだ、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記冷凍剤を生産する前記過程が、前記ガス入力を圧縮する過程を含んだ、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記冷凍剤を膨張させる前記段階が、前記ガス入力を圧縮する前記段階中に生成される廃熱を使用して前記冷凍剤を加熱する過程を含んだ、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷凍剤を膨張させる前記段階が、
前記冷凍剤を周囲空気を使用してほぼ環境温度に加熱する過程と、
次いで、廃熱をさらに使用して前記冷凍剤を過熱する過程と、を含んだ、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記冷凍剤の圧力が膨張の前に増加される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記冷凍剤が膨張の前に上昇した温度で貯蔵される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記回収された低温のエネルギーを使用する過程をさらに含んだ、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
より多くの冷凍剤の生産を促進するために、前記回収された低温のエネルギーを使用する過程をさらに含んだ、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記回収された低温のエネルギーを冷凍に使用する過程をさらに含んだ、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記回収された低温のエネルギーを空調に使用する過程をさらに含んだ、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
暖房用に暖気を供給するために、前記冷凍剤を生産する前記過程中に生成された廃熱を使用する過程をさらに含んだ、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
温水を供給するために、前記冷凍剤を生産する前記過程中に生成された廃熱を使用する過程をさらに含んだ、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法に動力を与えるために非汚染のエネルギー供給源が使用される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
汚染物質を前記ガス入力から分離する段階をさらに含んだ、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記タービンが多段式の擬等温タービンを備えている、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
冷凍剤の供給源と、
冷凍剤貯蔵設備と、
前記冷凍剤を膨張させる手段と、
前記膨張する冷凍剤によって駆動可能なタービンと、
冷凍剤の膨張中に放出される低温のエネルギーを回収する手段と、を備えている、極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項25】
前記タービンによって駆動可能な発電機をさらに備えている、請求項24に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項26】
前記タービンによって駆動可能な推進器をさらに備えている、請求項24に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項27】
前記冷凍剤が液体空気である、請求項24から26のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項28】
前記冷凍剤がスラッシュエアである、請求項24から26のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項29】
冷凍剤の前記供給源が空気液化施設である、請求項24から28のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項30】
前記冷凍剤を膨張させる前記手段が前記冷凍剤を加熱する手段を備えている、請求項24から29のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項31】
前記冷凍剤を加熱する前記手段が少なくとも1つの熱交換器を備えている、請求項30に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つの熱交換器が、周囲空気からの熱を使用して前記冷凍剤を加熱するように構成された、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの熱交換器が、地熱を使用して前記冷凍剤を加熱するように構成された、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項34】
前記少なくとも1つの熱交換器が、発電施設、蒸気流、発電施設の煙道ガス、または他の廃熱供給源からの廃熱を使用して前記冷凍剤を加熱するように構成された、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項35】
冷凍剤の前記供給源がガス入力の供給源、前記ガス入力を圧縮するコンプレッサ、および前記ガス入力を冷却する少なくとも1つの熱交換器を備えている、請求項24から34のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項36】
前記少なくとも1つの熱交換器が、前記ガス入力の圧縮中に生成された廃熱を使用して前記冷凍剤を加熱し、膨張させるように構成された、請求項35に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項37】
前記少なくとも1つの熱交換器が、前記ガス入力の圧縮中に生成された廃熱を使用して暖房用の暖気を供給するように構成された、請求項35に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項38】
前記少なくとも1つの熱交換器が、前記ガス入力の圧縮中に生成された廃熱を使用して温水を供給するように構成された、請求項35に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項39】
周囲空気を使用して前記冷凍剤をほぼ環境温度に加熱するように構成された第1の熱交換器と、
さらに廃熱を使用して前記冷凍剤を加熱するように構成された第2の熱交換器と、を備えている、請求項31の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項40】
膨張の前に前記冷凍剤の圧力を上昇させるように構成されたポンプをさらに備えている、請求項24から39のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項41】
前記ガス入力を冷凍剤に変換するように構成された流量調節弁をさらに備えている請求項24から40のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項42】
前記冷凍剤の前記膨張から低温のエネルギーを回収する前記手段が、前記低温のエネルギーを使用するように構成された少なくとも1つの熱交換器を備えている、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項43】
前記冷凍剤の前記膨張から低温のエネルギーを回収する前記手段が、より多くの冷凍剤の生産を促進するために、前記低温のエネルギーを使用するように構成された少なくとも1つの熱交換器を備えている、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項44】
前記冷凍剤の前記膨張から低温のエネルギーを回収する前記手段が、冷凍用に前記低温のエネルギーを使用するように構成された少なくとも1つの熱交換器を備えている、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項45】
前記冷凍剤の前記膨張から低温のエネルギーを回収する前記手段が、空気調節用に前記低温のエネルギーを使用するように構成された少なくとも1つの熱交換器を備えている、請求項31に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項46】
前記ガス入力から汚染物質を分離する手段をさらに備えている、請求項22から45のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項47】
前記タービンが多段式の擬等温タービンを備えている、請求項22から46のいずれか一項に記載の極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項48】
添付の図面を参照して上記に説明され、その図面に示されるような極低温エネルギー貯蔵システム。
【請求項49】
添付の図面を参照して上記に説明され、その図面に示されるような極低温推進システム。
【請求項50】
添付の図面を参照して上記に説明され、その図面に示されるような極低温エネルギー生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2009−528469(P2009−528469A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555877(P2008−555877)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000667
【国際公開番号】WO2007/096656
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508258286)ハイヴュー・エンタープライゼズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】