説明

エネルギー硬化性組成物に有用な環式カルバメート化合物

N−(2−アクリロイルオキシエチル)オキサゾリジノンなどの、アクリレート官能基を有する環式カルバメートと、脂肪族アミン化合物との反応生成物である環式カルバメート官能性化合物であって、(a)環式カルバメート官能性化合物、(b)反応性モノマー及び/又はオリゴマー、及び、場合により、(c)光開始剤を含むインク、コーティング及び接着剤などのエネルギー硬化性組成物中の酸素掃去剤として有用である、環式カルバメート官能性化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー硬化性組成物、たとえば、エネルギー硬化性インク、コーティング及び接着剤、並びにこのような組成物に有用な環式カルバメート材料、並びにこのような環式カルバメート材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第2,818,362号明細書(American Cyanamid Co.)は新規のビニルモノマーであるN−ビニル−2−オキサゾリジノンの合成を記載している。その新規のモノマーから製造された重合生成物も記載されている。そのポリマーは成形用組成物中に使用され又は光学デバイスの製造における接着剤として使用されている。
【0003】
米国特許第2,905,690号明細書(The Dow Chemical Company)は高温及び高圧法(オートクレーブ)を用いたN−ビニル−X−アルキルオキサゾリジノンの合成を記載している。それは、また、ホモポリマー及び種々のコモノマーを用いたコポリマーを製造するためのこれらの材料の重合を記載している。その材料の使用はテキスタイル産業用染料におけるものとして報告されている。
【0004】
米国特許第3,268,485号明細書(The Dow Chemical Company)はアゾもしくはペルオキシ開始剤を用いた3−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−2−オキサゾリジノンアクリレート/メタクリレートのホモポリマー及びコポリマーの調製を記載している。
【0005】
米国特許第4,639,472号明細書(The Dow Chemical Company)は放射線硬化性コーティングにおける反応性希釈剤としてのN−ビニルオキサゾリジノンの使用を記載している。製造されるコーティングは酸素透過性が高く、硬化特性が良好であり、そして物理及び抵抗特性が良好である。
【0006】
米国特許第4,933,462号明細書(The Dow Chemical Company)は高収率で非常に純粋な製品を製造するための新規の無水無触媒法を用いた3−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノンの合成を記載している。
【0007】
C.Decker and K.Moussa, Makromol. Chem. 189, 2381-2394(1988)はリアルタイム光重合を追跡するように開発されたIR分光法をベースとする方法を記載している。その方法は、光開始剤効率、モノマー反応性、光強度、フィルム厚及び酸素阻害を観測するために使用されている。種々のアクリレート官能性材料を光重合性樹脂における反応性アクリレート希釈剤として調査し、そして調べた希釈剤モノマーの種類に対する重合速度及び最終転化率の依存性を研究した。SNPEによって開発された新規なモノアクリレートオキサゾリジノン機能材料であるActicryl CL 959(N−(2−アクリリルオキシエチルアクリレート)が、試験したものの最も効率的な反応性アクリレート希釈剤であることが分かった。
【0008】
C.Decker and K.Moussa, Journal of Coatings Technology, 65(819), 49-57(1993)は種々の光重合の動態的プロファイルを追跡するリアルタイム分光法技術を用いることにより、新規に開発された光開始剤及びアクリルモノマーの効率を記載している。新規のモノマーの幾つかは高度に反応性であり、それにより、硬度、耐引掻性、可とう性及び耐衝撃性など顕著な機械特性をもたらすものと記載されている。モノマーであるN−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン(Acticryl CL-959(SNPE))はこれらの高度に反応性の材料の1つとして報告された。
【0009】
N-Boc-2-シリルオキシピロールの3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンへのルイス酸触媒マイケル付加反応(Lewis acid-catalyzed Michael addition reactions of N-Boc-2-silyloxypyrroles to 3-acryloyl-2-oxazolidinone), Suga, Hiroyuki; Takemoto, Haruka; Kakehi, Akikazu, Heterocycles (2007), 71(2), 361-371はシロキシピロールのアクリロイルオキサゾリジノンへのルイス酸触媒マイケル付加を記載している。良好な収率(77〜80%)を得るために-25℃での2−シリルオキシピロールのゆっくりとした添加が必要である。
【0010】
オキサゾリジノン環化合物を含む既知の化合物としては
CAS 登録番号: 1030799-93-9
【化1】

【0011】
CAS登録番号: 128276-03-9
【化2】

式: C15H27NO4
【0012】
CAインデックス名:デカン酸、2−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)エチルエーテルが挙げられる。
【0013】
米国特許第7,105,646号明細書(B2)(Sun Chemical Corporation)は顔料として使用するためのピロリノン環含有モノ−及びビス−アゾヒドラゾン化合物を記載している。
【0014】
アクリレート官能性原料をベースとするコーティング、インク及び接着剤はフリーラジカル重合機構による硬化プロセスにおいて硬化されうる。最も頻繁には、このプロセスは放射線を吸収しそしてフリーラジカル開始種を発生する、配合物中に存在する光開始剤を用いて、UV(紫外線)光などの化学線による照射により開始される。又は、このプロセスは電子線(EB)による照射により開始されうる。硬化プロセスは周囲酸素により阻害されるため、酸素阻害の影響を低減しそして特に表面での良好な硬化を可能にする制御手段が必要であることがよく知られている。1つの方法は窒素ブランケットを使用することであるが、これは技術的に複雑でかつ高価である。より通常のアプローチは配合物中で光開始剤種及びアミン相乗剤のブレンドを使用することである。
【0015】
フリーラジカル光開始剤は2つのカテゴリー:開裂及び水素引き抜きタイプに分類されることは当業者によく知られている。照射後の励起状態の際に、開裂型光開始剤は均一切断を経て、2つのラジカル断片を生成する。典型的な開裂型光開始剤としてはアリールケトン及びホスフィンオキシド光開始剤が挙げられる。開裂型光開始剤は一般的に言って、より反応性であるが、特にホスフィンオキシドタイプの開裂型光開始剤の場合に、酸素阻害のために低い表面硬化性を示す。水素引き抜き型光開始剤は、通常、アミン相乗剤などのドナー分子から水素原子を引き抜き、不活性ラジカル及びラジカル反応を開始することができるドナーラジカルを生成する。典型的な水素引き抜き型光開始剤としては水素引き抜き時に安定化された不活性ラジカルを生成するベンゾフェノン及びチオキサントンが挙げられる。水素引き抜き型はアミン相乗剤などの水素ドナーの存在下においてのみ有効に機能するが、この機構は特に表面での酸素阻害を抑えることを得意とする。
【0016】
ホスフィンオキシドタイプの開裂型光開始剤はLED(発光ダイオード)源により発生されるUV線を用いて硬化されるエネルギー硬化性組成物において使用するのに特に適する。というのは、その光開始剤はLEDにより発光される範囲の周波数の光を吸収しそしてそれにより励起されるからである。ホスフィンオキシドタイプの開裂型光開始剤は、また、透明コーティング及び白色インク組成物中で使用するのに特に適している。というのは、その光開始剤は、通常、硬化した組成物を変色させず、そして「非黄変性」であるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主題となる材料はN−(2−アクリロイルオキシエチル)オキサゾリジノンなどの(メタ)アクリレート官能基含有環式カルバメート化合物を脂肪族アミン材料と反応させることにより製造される、新規の環式カルバメート官能性化合物である。この新規のクラスの材料は、水素引き抜き機構でなく酸素掃去により酸素阻害を抑え、そしてより反応性の開裂型光開始剤、特に、ホスフィンオキシドタイプの開裂型光開始剤により行うよりも有意に有効である。これにより、配合者は、配合物中に水素引き抜き型光開始剤を使用する必要がなく、向上した硬化速度及び減じられた酸素阻害を達成することができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第一の態様において、本発明は、アルキレンもしくはポリエーテル基を介して3−アミノプロピオネート基もしくは3−アミノ−2−メチルプロピオネート基に結合された5−〜7−員環式カルバメート環系を含む、環式カルバメート化合物を提供する。
【0019】
第二の態様において、本発明は脂肪族アミンを、(i)(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環を有する環式カルバメート、及び、場合により、(iii)多官能アクリレートと反応させる工程を含む、エネルギー硬化性組成物用の環式カルバメート化合物の調製方法を提供する。本発明の第一の態様の環式カルバメート化合物は、たとえば、本発明の第二の態様の反応生成物であることができる。
【0020】
第三の態様において、本発明は、脂肪族アミン、(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環を有する環式カルバメートのマイケル付加反応生成物である、エネルギー硬化性組成物に用いる環式カルバメート化合物を提供する。本発明の第三の態様の環式カルバメート化合物は、たとえば、本発明の第二の態様の反応生成物であることができる。
【0021】
第四の態様において、本発明は本発明の第一の態様又は第三の態様の環式カルバメート化合物、又は、本発明の第二の態様の方法において製造される環式カルバメート化合物を含むエネルギー硬化性組成物を提供する。
【0022】
第五の態様において、本発明は、(i)(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環を有する環式カルバメート、(ii)脂肪族アミン、及び、場合により、(iii)多官能アクリレートの反応生成物である環式カルバメート化合物を提供する工程、及び、その後、前記環式カルバメート化合物を、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び/又はオリゴマー及び、場合により、光開始剤と合わせる工程を含む、エネルギー硬化性組成物の調製方法を提供する。本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物は、たとえば、本発明の第五の態様の方法の生成物であることができる。
【0023】
第六の態様において、本発明は、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物又は本発明の第五の態様の方法において製造されるエネルギー硬化性組成物などのエネルギー硬化性組成物における、酸素掃去剤としての、本明細書中に記載されるとおりの環式カルバメート化合物、たとえば、本発明の第一の態様又は第三の態様の環式カルバメート化合物、及び/又は、本発明の第二の態様において製造される化合物の使用を提供する。
【0024】
第七の態様において、本発明は、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物を基材に適用する工程、及び該組成物を硬化させる工程を含む、基材のコーティング又はプリント方法を提供する。
【0025】
第八の態様において、本発明は、基材と、本発明の第一の態様又は第三の態様の環式カルバメート化合物を含む硬化コーティング又はプリント画像との組み合わせを含む、コーティング又はプリントされた物品、及び/又は、基材と、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物との組み合わせを含む、コーティング又はプリントされた物品を提供する。本発明の第八の態様のコーティング又はプリントされた物品は、たとえば、本発明の第七の態様の方法により調製されうる。
【0026】
第九の態様において、本発明は、第一の物品を第二の物品に接着させる方法であって、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物の層を第一の物品に適用する工程、該層を第二の物品に接触させる工程、及び、該組成物を硬化させる工程、を含む方法を提供する。
【0027】
第十の態様において、本発明は本発明の第一又は第三の態様の環式カルバメート化合物を含む接着剤の層、及び/又は、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物の層によって、第二の物品に付着した第一の物品を含む物体を提供する。
【0028】
有利なことに、本明細書中に記載されるオキサゾリジノン誘導体化合物及び他の環式カルバメート化合物は硬化ブースト材料として有用であり、エネルギー硬化性組成物の硬化の酸素阻害を低減する酸素掃去剤として作用することにより、硬化速度及び/又は硬化度を向上させる。
【0029】
本発明の化合物及びホスフィンオキシド開始剤などの開裂型光開始剤を含むエネルギー硬化性組成物は許容できるレベルの硬化性、たとえば、表面上での許容できるレベルの硬化性を有することが発見された。
【0030】
開示される化合物は新規の化合物であり、そしてエネルギー硬化性組成物に用いる新規のクラスの化合物を表す。好ましくは、エネルギー硬化性組成物はUVなどの化学線又はEB線を用いて硬化させることができる組成物などの放射線硬化性組成物である。幾つかのオキサゾリジノン誘導体の使用は以前に記載されているが、脂肪族アミン化合物及びオキサゾリジノンアクリレートなどの環式カルバメートアクリレートのマイケル付加生成物をベースとするものはない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
用語「エネルギー硬化性」は光、特に、UV光などの電磁線又は電子線(EB)に暴露されたときに硬化されうる組成物を指す。放射線への暴露は、通常、限定するわけではないが、フリーラジカル媒介重合連鎖反応などの重合反応を開始させる。疑義を避けるために、熱などの放射を用いて溶剤の除去を加速することができる溶剤型組成物を含む、蒸発などによる溶剤の除去によって硬化が主に行われる溶剤型組成物は本発明の「エネルギー硬化性」組成物ではない。好ましくは、本発明のエネルギー硬化性組成物は、UV又はEB線により硬化可能な組成物である。
【0032】
用語「環式カルバメート」は、あるいはN−置換ウレタン基としても知られるカルバメート(−O−C(O)−NR−)官能基を環内に含む単環式環系を指す。
【0033】
本明細書中に使用される際に、用語「アルキレン」及び「アルキレン基」は、飽和二価アルキル基を指す。特に指示がないかぎり、アルキレン基は枝分かれであっても又は直鎖であってもよい。通常、アルキレン基は、C1〜C8鎖を含み、場合によりC1〜C4アルキル枝分かれ基、たとえば、メチルにより置換されている。イソプロピレン基はメチル枝分かれ基を有するC2鎖の例である。
【0034】
用語「ポリエーテル」及び「ポリエーテル基」は少なくとも2つの繰り返しアルコキシ単位、たとえば、3つ以上、たとえば、4つ以上の繰り返しアルコキシ単位を有する基を指す。通常、ポリエーテルは2〜10の繰り返しC1〜C8アルコキシ単位、たとえば、2〜10のC1〜C4アルコキシ単位であって、場合により、C1〜C4アルキル単位、たとえば、メチルにより置換されているものを含むであろう。ポリエーテル結合基は両末端にて別の化学部分に結合された二価のポリエーテル基である。
【0035】
用語「(メタ)アクリレート」はアクリレート基、メタクリレート基及びそれらの混合物を指す。
【0036】
「フリーラジカル硬化反応において硬化性」である基は、フリーラジカル重合反応において、フリーラジカル硬化性モノマーもしくはオリゴマーに新規の化学結合を形成することができる基である。このような基の例としては、ビニル基及びアクリレート基などのエチレン系不飽和基が挙げられる。
【0037】
本発明の第一の態様の3−アミノプロピオネート基もしくは3−アミノ−2−メチルプロピオネート基の窒素原子は、有利には、アルキル、シクロアルキル、ポリエーテルもしくはポリプロピレングリコール基などの少なくとも1つの脂肪族基に結合している。3−アミノプロピオネート基は、たとえば、脂肪族アミンとアクリレート官能基との反応により誘導されうる。3−アミノ−2−メチルプロピオネート基は、たとえば、脂肪族アミンとメタクリレート官能基との反応により誘導されうる。
【0038】
本発明の環式カルバメート化合物の調製用に適切な脂肪族アミンは少なくとも1つの第二級もしくは第一級アミン基を含む。本発明のアミンは、たとえば、第一級アミン及び第二級アミンの両方を含むことができる。1つの実施形態において、脂肪族アミンは少なくとも2個の反応性N−H結合を含む。反応性N−H結合は、有利には、アクリレートとマイケル付加反応を起こすことができる。2個の反応性N−H結合を含む脂肪族アミンの例はピペラジンなどの2個の第二級アミン基を含む脂肪族アミン、又は、プロピルアミンなどの第一級アミン基を含む脂肪族アミンである。本発明の1つの態様において、脂肪族アミンは2個を超える反応性N−H結合を含むことができ、たとえば、4個の反応性N−H結合を含むことができる。4個の反応性N−H結合を含む脂肪族アミンの例としては、エチレンジアミンなどの2個の第一級アミン基を有する脂肪族アミンが挙げられる。
【0039】
好ましくは、本発明の第一の態様の3−アミノプロピオネートもしくは3−アミノ−2−メチルプロピオネートを誘導する脂肪族アミン、又は、本発明の第二の態様又は第三の態様の脂肪族アミンはジアミンである。好ましくは、ジアミンは、2個のアミン官能基を含み、各々は個々に第二級アミン基及び第一級アミン基から選択される。脂肪族アミンの脂肪族基は、たとえば、アルキル、シクロアルキル、ポリエーテル又はポリプロピレングリコールである。1つの実施形態において、脂肪族アミンは2個のアミン官能基(第一級アミン官能基又は第二級アミン官能基)が脂肪族鎖によって結合されているジアミンである。別の実施形態において、脂肪族アミンは2個の第二級アミン官能基が2つの脂肪族鎖によって結合されている環式ジアミンである。適切な脂肪族アミンの例としては、Jeffamine(登録商標)ポリエーテルジアミン (Huntsmanから入手可能)、エチレンジアミン及びピペラジンが挙げられる。
【0040】
本発明の第一の態様の化合物は、有利には、フリーラジカル硬化反応において硬化可能な官能基を含む。1つの実施形態において、そのフリーラジカル硬化反応において硬化可能な官能基はエチレン系不飽和基である。ビニル基、アクリレート基及びメタクリレート基などのエチレン系不飽和基は、有利には、フリーラジカル媒介重合反応において、他のエチレン系不飽和基とともに結合を形成して架橋する。又は、フリーラジカル硬化反応において架橋可能な官能基はポリオール、エポキシ又はウレタン官能性ポリマーの残基である。好ましくは、フリーラジカル硬化反応において硬化可能な官能基はアクリレート基である。
【0041】
1つの実施形態において、本発明の第一の態様又は第三の態様の環式カルバメート化合物は、少なくとも1つのアクリレート官能基を含む。アクリレート官能基を含む環式カルバメート化合物は、たとえば、多官能アクリレート化合物の存在下における、脂肪族アミンと、アクリレート官能基を有する環式カルバメートとの反応生成物である。適切な多官能アクリレートの例としては、二、三、四もしくはさらに多官能のアクリレート、たとえば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が挙げられる。1つの実施形態において、本発明の化合物は多官能アクリレート基から誘導される単位を含む。本発明の第三の態様の化合物は、有利には、脂肪族アミンと、(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環系の両方を有する環式カルバメートと、さらに、多官能アクリレートとの反応生成物である。そのようなものとして、本発明の第三の態様の化合物は、有利には、少なくとも1個の(まだ未反応の)アクリレート官能基を含む。
【0042】
1つの実施形態において、本発明の第二の態様の方法は、脂肪族アミンと、(i)(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環を有する環式カルバメート並びに(ii)官能性アクリレートとを反応させる工程を含む。1つの実施形態において、環式カルバメート化合物は、多官能アクリレートの存在下に、アクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物を脂肪族アミンと反応させることにより調製される。たとえば、アクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物は、脂肪族アミンと反応して中間体生成物を提供することができ、その中間体生成物は、その後、多官能性アクリレートと、たとえば、中間体中の未反応N−H基と多官能アクリレートのアクリレート基との間のマイケル付加反応において反応する。代わりの例において、多官能アクリレートは脂肪族アミンと反応して中間体生成物を提供することができ、その中間体生成物は、その後、オキサゾリジノンアクリレートと、たとえば、中間体中の未反応N−H基とオキサゾリジノンアクリレートのアクリレート基との間のマイケル付加反応において反応する。有利には、アクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物は、最初に、脂肪族アミンと反応して、ゲル化生成物が生成する傾向を減じる。本発明の1つの態様において、脂肪族アミンは1分子あたりz個(zは1以上)の反応性N−H結合を有し、そして、本発明の環式カルバメート化合物の調製工程は、脂肪族アミンを、アクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物z当量と反応させて、未反応N−H結合を含む化合物を生成することを含む。本発明のさらなる態様において、未反応N−H結合を含む化合物を多官能アクリレートと反応させて、アクリレート官能基を含む環式カルバメート誘導体を提供する。未反応N−H結合を含む化合物と多官能アクリレートとの反応は未反応N−H結合を含む化合物の生成に続く工程において行われてよく、又は、アクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物と脂肪族アミンとの反応と同時にワンポットプロセスにおいて行われてよい。1つの実施形態において、脂肪族アミンは1分子当たりにz個(zは少なくとも2である)の反応性N−H結合を有し、そしてアクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物、約z−1当量以下を、脂肪族アミンと反応させる。さらなる実施形態において、脂肪族アミンは1分子当たりにz個(zは少なくとも3であり、たとえば、4以上である)の反応性N−H結合を有し、そしてアクリレート官能基を有する環式カルバメート化合物、約z−2当量以下を、脂肪族アミンと反応させる。未反応N−H結合は、その後、多官能アクリレートと反応して、多官能アクリレートに由来するアクリレート官能基を含む環式カルバメート化合物を提供することができる。
【0043】
有利には、本発明の化合物は、フリーラジカル硬化反応において反応することができる1個以上のアクリレートもしくは他の官能基を含む。このような化合物は、有利には、ラジカル重合反応の間に反応性モノマー及び/又はオリゴマーに結合することにより硬化フィルム中に取り込まれ、それゆえ、非移行性である。本発明の化合物中のアクリレート官能基の導入により、硬化フィルム中のポリマー中で化合物がアクリレートモノマー及び/又はオリゴマーとの結合を形成することが可能である。このため、フリーラジカル硬化反応において反応することができるアクリレート官能基もしくは他の官能基を含む環式カルバメート化合物は、有利には、アクリレート官能基を含まないものよりも低い程度に硬化フィルムから移行しうる。硬化した組成物からの物質の移行は、硬化した組成物が食品パッケージ用の物品中に存在する場合には特に望ましくない。
【0044】
1つの実施形態において、本発明の第二の態様又は第三の態様の(メタ)アクリレート基を有する環式カルバメート化合物は、アルキレン又はポリエーテルにより(メタ)アクリレート官能基に結合された5−〜7−員環式カルバメート環系を含む。
【0045】
本発明の第一の態様、第二の態様又は第三の態様の1つの実施形態において、5−〜7−員環式カルバメート環系は、0〜3個のメチル基により置換されたC2〜C4鎖であるアルキレンによって、(メタ)アクリレート官能基に結合されている。
【0046】
本発明の第一の態様、第二の態様又は第三の態様の1つの実施形態において、5−〜7−員環式カルバメート環系は、5−員オキサゾリジノン環系である。
【0047】
1つの実施形態において、本発明の第二の態様又第三の態様の(メタ)アクリレート基を有する環式カルバメートはオキサゾリジノンアクリレートであり、たとえば、N−(2−アクリロイルオキシアルキル)オキサゾリジノンアクリレートである。1つの実施形態において、オキサゾリジノンアクリレートはN−(2−アクリロイルオキシアルキル)オキサゾリジノンであり、ここで、「アルキル」はC2〜C8直鎖、枝分かれもしくは環式アルキレンを指し、たとえば、1〜3個のメチル基により置換されたC2〜C4鎖又はC2〜C4直鎖アルキレンを指す。本発明の環式カルバメート化合物の調製における使用に適するオキサゾリジノンアクリレートとしては、N−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン及びN−(2−アクリリルオキシプロピル)オキサゾリジノンが挙げられる。
【0048】
好ましくは、環式カルバメート環系の窒素はアルキレン又はポリエーテルに結合される。
【0049】
1つの態様において、本発明の環式カルバメート化合物は、式(I)
【化3】

【0050】
(上式中、R1は式(II)
【化4】

の部分であり、mは1、2又は3であり、nは1〜8であり、oは1〜10であり、各Rは独立にH及びMeから選ばれ、
2は脂肪族鎖であり、場合により式(III)
【0051】
【化5】

の部分に結合されており、
3
さらなる式(III)の部分に場合により結合していてよい脂肪族基、
さらなる式(II)の部分、もしくは、
フリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位、
から選ばれ、又は、
3及びR4は一緒に脂肪族鎖を形成しており、並びに
4及びR5は各々に独立に、
脂肪族基、
さらなる式(II)の部分、もしくは、
フリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位、
から選ばれる)の化合物である。
【0052】
さらなる態様において、本発明の環式カルバメート化合物は、式(IV)
【化6】

【0053】
(上式中、mは1、2又は3であり、
nは1〜8であり、
oは1〜10であり、
各Rは独立にH及びMeから選ばれ、
Xは脂肪族結合基であり、並びに
基R1a、R1b及びR1cの各々は独立に、脂肪族基、式(II)の部分、もしくはフリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位から選ばれ、又は、
1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成する)の化合物である。
【0054】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、oが1である式(I)又は(IV)の化合物である。さらなる態様において、nは1、2又は3であり、そしてoは1である。なおもさらなる実施形態において、m=n=1、2又は3であり、そしてoは1である。1つの実施形態において、mは1又は2である。さらなる実施形態において、mは1である。
【0055】
1つの実施形態において、本発明の化合物は各RがHである式(I)又は(IV)の化合物である。
【0056】
1つの態様において、本発明の化合物は式(V)
【化7】

【0057】
(上式中、nは独立に1〜8から選ばれ、たとえば、1、2又は3であり、
Xは脂肪族結合基であり、
1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成するか、又は、R1a及びR1bは各々独立に脂肪族基、式(II)の部分、もしくはフリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位から選ばれる)の化合物である。
【0058】
1つの実施形態において、本発明の化合物は式(I)、(IV)又は(V)の化合物(式中、XはC1〜C8鎖などのアルキレンであって、たとえば、場合によりメチルなどのC1〜C4アルキルによって置換されていてよいアルキレンである)である。別の実施形態において、Xはポリエーテルである。
【0059】
1つの実施形態において、本発明の化合物は式(I)、(IV)又は(V)の化合物であって、式(II)の部分を少なくとも2つ含む化合物である。
【0060】
1つの実施形態において、本発明の化合物はフリーラジカル硬化反応において硬化可能な官能基を少なくとも1つ含み、たとえば、アクリレート官能基を少なくとも1つ含む、式(I)、(IV)又は式(V)の化合物である。
【0061】
1つの実施形態において、本発明の化合物は式(IV)又は(V)の化合物(式中、基R1a、R1b及びR1c(存在する場合)の各々は脂肪族基、アクリレート基又は式(II)の部分から独立に選ばれ、又は、R1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成する)である。本発明のさらなる実施形態において、各基R1a、R1b及びR1c(存在する場合)は直鎖、枝分かれもしくは環式C2〜C8アルキル基、アクリレート基又は式(III)の部分から独立に選ばれ、又は、R1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成する。本発明のなおもさらなる態様において、各基R1a、R1b及びR1c(存在する場合)はアクリレート基又は式(II)の部分から独立に選ばれ、又は、R1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成する。
【0062】
1つの実施形態において、本発明の化合物は式(I)、(IV)又は(V)の化合物(式中、R3、R4、R1a、R1b及びR1cの少なくとも1つは多官能アクリレートから誘導される部分である)である。本発明のさらなる態様において、アクリレート基は式(VI)
【0063】
【化8】

【0064】
(上式中、Yは脂肪族結合基であり、各RはH及びメチルから独立に選択され、pは1〜8、たとえば、1、2又は3である)の部分である。1つの実施形態において、Yは直鎖、枝分かれもしくは環式C2〜C8飽和もしくは不飽和アルキレン基であり、たとえば、直鎖、枝分かれもしくは環式C2〜C8飽和アルキレン基であり、たとえば、C2〜C8飽和アルキレン基である。
【0065】
1つの実施形態において、R3、R4、R5、R1a、R1b及びR1cのいずれかの脂肪族基は直鎖、枝分かれもしくは環式C1〜C8アルキル基もしくはアルケニル基である。別の実施形態において、脂肪族基は直鎖、枝分かれもしくは環式C1〜C8アルキレン基であり、たとえば、直鎖、枝分かれもしくは環式C1〜C6アルキレン基である。
【0066】
1つの実施形態において、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物はインク、コーティング又は接着剤である。1つの実施形態において、エネルギー硬化性組成物は印刷インク、ワニス、インクジェットインク又は接着剤である。1つの実施形態において、エネルギー硬化性組成物はインク又はコーティングであり、たとえば、印刷インク(たとえば、オフセットインク)、ワニス又はインクジェットインクである。1つの実施形態において、組成物は透明コーティングであり、たとえば、ワニスである。別の実施形態において、組成物はインクであり、たとえば、印刷インク、たとえば、オフセットインク又はインクジェットインクである。本発明のインク組成物は、有利には、顔料又は染料などの着色剤をさらに含む。さらなる実施形態において、エネルギー硬化性組成物は白色インクである。好ましくは、エネルギー硬化性組成物は、少なくとも1wt%の本発明の環式カルバメート化合物を含み、より好ましくは、少なくとも2wt%の環式カルバメート化合物を含み、そして特に、少なくとも5wt%の環式カルバメート化合物を含む。ある実施形態において、本発明の組成物は少なくとも8wt%の環式カルバメート化合物を含む。1つの実施形態において、本発明の組成物は20wt%未満の環式カルバメート化合物を含み、たとえば、15wt%未満の環式カルバメート化合物を含む。1つの実施形態において、本発明の組成物は約10wt%の環式カルバメート化合物を含む。
【0067】
1つの実施形態において、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物はフリーラジカル重合機構により硬化可能である。好ましくは、組成物は少なくとも1種のフリーラジカル硬化性モノマーもしくはオリゴマーを含む。より好ましくは、本発明の組成物はフリーラジカル重合機構により硬化可能な少なくとも1種のアクリレートモノマーもしくはオリゴマーを含む。適切なアクリレートオリゴマーの例としては、脂肪族もしくは芳香族ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート及びエポキシアクリレート(たとえば、ビスフェノールAエポキシアクリレート)が挙げられる。適切なアクリレートモノマーの例としては、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールペンタアクリレート、ポリエーテルアクリレート、たとえば、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びエポキシアクリレート、たとえば、ジアノールジアクリレート(2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、UCBからのEbecryl 150)、及び、グリコールジアクリレート、たとえば、トリプロピレングリコールジアクリレートが挙げられる。
【0068】
本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物はまた、場合により、1種以上の少量成分を含んでよく、その少量成分は、たとえば、界面活性剤、レベル化剤、光開始剤安定剤、湿潤剤及び顔料安定剤である。それは、たとえば、ポリエステル、ポリウレタン又はポリアクリレートタイプのものであってよく、特に、高分子量ブロックコポリマーの形態であってよく、通常、顔料の2.5質量%〜100質量%で取り込まれてよい。適切な例はDisperbyk 161又は162(BYK Chemieから)又はSolsperse(Zenecaから)である。適切な光開始剤安定剤としては、EP−A−0 465 039に開示されたものが挙げられる。適切な界面活性剤は好ましくはノニオン系であり、たとえば、Fluorad FC430(3M Corpから)である。このような界面活性剤(存在する場合)は好ましくは総組成物の0.1〜10質量%の量で含まれる。
【0069】
1つの実施形態において、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物は光などの化学線に暴露されたときに硬化可能である。さらなる実施形態において、エネルギー硬化性組成物はUV線、たとえば、200nm〜450nmの波長の光に暴露されたときに硬化可能である。別の実施形態において、エネルギー硬化性組成物は近UV線、たとえば、300nm〜450nmの波長の光に暴露されたときに硬化可能である。LED UV線源は、通常、近UV範囲内の波長で発光し、390が市販のLEDデバイスでの一般的なピーク発光波長である。1つの実施形態において、エネルギー硬化性組成物は350nm〜420nmの範囲、好ましくは360〜405nmの範囲、そしてより好ましくは380〜400nmの範囲の波長の光に暴露されたときに硬化可能である。別の実施形態において、エネルギー硬化性組成物はUV LED光源により発光されたUV線に暴露されたときに硬化可能である。
【0070】
本発明のさらなる実施形態において、組成物は開裂型光開始剤などの光開始剤を含む。α−開裂光開始剤又はNorrishタイプ1開裂光開始剤とも呼ばれる開裂型光開始剤は照射時に、たとえば、UV光による照射時にラジカルへの開裂を起こす。好ましくは、開裂型光開始剤は上記の近UV範囲の光で照射したときに活性化される。1つの実施形態において、光開始剤はホスフィンオキシドである。
【0071】
別の実施形態において、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物は電子線(EB)に暴露されたときに硬化可能である。
【0072】
1つの実施形態において、本発明の第七の態様において基材に適用されるエネルギー硬化性組成物はコーティング、インク又は接着剤組成物であり、たとえば、コーティング又はインク組成物である。1つの実施形態において、本発明の第七の態様の方法は、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物を基材に適用し、そしてその組成物をUVなどの化学線又はEB線を用いて硬化させる工程を含む。さらなる実施形態において、組成物は、本発明の第四の態様に関して上記の範囲のUV線を発光する光源、たとえば、UV LED光源を用いたUV照射を用いて硬化される。本発明の第七の態様の1つの実施形態において、エネルギー硬化性組成物はオフセット印刷、インクジェット印刷又はスクリーン印刷などの印刷技術により適用される。本発明の第七の態様の方法の1つの実施形態において、インク組成物は基材に適用されてプリント画像を形成する。
【0073】
1つの実施形態において、本発明の第八の態様のコーティングされ又はプリントされた物品は、基材と、本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物の硬化層との組み合わせを含む。硬化層はワニスなどのコーティング、又は、プリント画像であることができる。
【0074】
本発明の第十の態様の1つの実施形態において、第一の物品は本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物の硬化層によって第二の物品に付着される。
【実施例】
【0075】
略語及び材料
GPTA:グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、OTA480 (Cytec Industries)、
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、SR238 (Sartomer Europe)、
Irgacure(登録商標)184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Ciba-Geigy (BASF)から入手可能なフリーラジカル光開始剤、
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート、SR351 (Sartomer Europe)、
TPO:Darocur(登録商標)TPOはジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、Ciba-Geigy (BASF)から入手可能なフリーラジカル光開始剤、
ベンゾフェノン(Benzophenone):Omnirad BP (IGM Resins)、
アミンアクリレート(Amine Acrylate):CN3715アクリレート化アミン相乗剤 (Sartomer Europe)、
エポキシアクリレート樹脂(Epoxy Acrylate Resin):Photomer 3016 (Cognis)、
M:モル濃度、
FTIR:フーリエ変換赤外分光法、
1H NMR:プロトン核磁気共鳴分光法、
13C NMR:炭素核磁気共鳴分光法、
MS:質量分析法、
オキサゾリジノン1〜6の合成において使用した他の全ての化学物質、材料及び試薬はSigma-Aldrich UK Ltd.から得たものである。
【0076】
下記の実施例は本発明を例示するために提供され、限定するものとして解釈されるべきでない。
【0077】
オキサゾリジノン誘導体
マイケル付加及び酸塩化物を用いたエステル化などの種々の周知の合成手順を用いた本発明のオキサゾリジノン誘導体材料の調製を下記に示す。
【0078】
オキサゾリジノン1(中間体):N−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジノン
【化9】

【0079】
ジエタノールアミン84.0 g (0.8モル)及びジメチルカーボネート72.0 g (0.8モル)を、スターラー、凝縮器及び温度プローブを装備した250 ml丸底フラスコ中で混合した。混合物を合計で12時間加熱して還流した。この後、混合物を冷却し、そして副生成物であるメタノールをロータリーエバポレータにより除去し、生成物51.4 gを低粘度液体として生じた。
IR: 1736cm -1, 3400cm-1; 1H NMR: 3.2-3.4ppm, 3.5-3.8ppm, 4.25-4.32ppm; 13C NMR: 45ppm, 46ppm, 59ppm, 62ppm, 159ppm。
【0080】
オキサゾリジノン2(中間体): N−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン
【化10】

【0081】
11.5 g (0.0874モル)のN−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジノン、トリエチルアミン8.74 g (0.08625 モル)及び50 mlのジクロロメタンを、温度プローブ及びスターラーを装備した3つ口丸底フラスコ中で混合した。氷/水浴を用いてフラスコの内容物を<5℃に冷却した。その後、50 mlのジクロロメタン中の塩化アクリロイル7.944 g (0.0874モル)を滴下して加え、発熱を確実に制御した。添加は約150分を要した。その後、混合物をさらに2時間攪拌し、温度を室温まで上げさせた。その後、混合物をろ過し、副生成物を除去し、次いで、有機相を2x50 mlの0.1 M塩酸、2x50 mlの0.1 M水酸化ナトリウム溶液及び2x100 mlの水で洗浄した。その後、有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶剤をロータリーエバポレータで除去し、オキサゾリジノンアクリレート生成物 7.02 g (43.3%)を低粘度液体として生じた。
FTIR: 1752cm -1, 1724cm -1, 1638cm -1, 1617cm -1; 1H NMR: 3.57-3.69ppm, 4.32-4.35ppm, 5.85-6.41ppm; 13C NMR: 43.3ppm, 45ppm, 61.6ppm, 62.4ppm, 127.8ppm, 131ppm, 158ppm, 165ppm; MS: マスイオン186。
【0082】
オキサゾリジノン3(本発明の例): ジ[2−(2−オキソ−l,3−オキサゾリジン−3−イル)エチル]3−(ピペラジン−l,4−ジイル)ジプロパノエート
【化11】

【0083】
ピペラジン5 g (0.05814 モル)及び20 mlのトルエンをスターラー、凝縮器及び温度プローブを装備したフラスコ中で混合した。N−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン21.51 g (0.1163 モル)を約20分にわたってゆっくりと添加し、そのようにして、発熱があまり大きくなりすぎないようにした。冷水/氷浴を用いて温度を55°C未満に維持した。さらに10 mlのトルエンもN−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノンとともに添加した。混合物をさらに2時間攪拌し、混合物を室温へと冷却した。その後、溶剤をロータリーエバポレータを用いて除去し、ピペラジンジオキサゾリジノン生成物26 gを生じた。
FTIR: 1763cm -1, 1182cm -1; 1H NMR: 2.3-2.5ppm, 3.35-3.53ppm, 4.06-4.17ppm; 13C NMR: 32.1ppm, 43.4ppm, 45.1ppm, 52.8ppm, 53.3ppm, 61.5ppm, 61.9ppm, 158.5ppm, 172.3ppm; MS: マスイオン457。
【0084】
オキサゾリジノン4 (本発明の例):エチレンジアミン、オキサゾリジノンアクリレート及びTMPTAの反応生成物
【化12】

【0085】
エチレンジアミン2.5 g (0.04166モル)及び50 mlのトルエンを、凝縮器、温度プローブ及びスターラーを装着した2つ口フラスコ中で混合した。N−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン15.42 g (0.0834モル)を約5分間にわたってゆっくりと添加し、発熱が大きくなりすぎないようにした。冷水/氷浴を用いて温度を35°C 未満に維持した。その後、40 mlのトルエン中のTMPTA 49.38 gを、激しく攪拌している間に素速く添加した。その後、混合物を、さらに2時間激しく攪拌し、その後、一晩放置した。その後、ロータリーエバポレータにより溶剤を除去し、生成物55gを粘性黄色液体として生じた。
FTIR: 1728cm -1, 1185cm -1, 1634cm -1, 1617cm -1; 1H NMR: 1.4-1.5ppm, 2.2-2.7ppm, 3.2-3.7ppm, 3.9-4.3ppm, 5.7-6.5ppm; MS: マスイオン1023。
【0086】
オキサゾリジノン5 (本発明の例): エチレンジアミン/オキサゾリジノンアクリレート/HDDAの反応生成物
【化13】

【0087】
エチレンジアミン2.5g (0.04166モル)及び50 mlのトルエンを、凝縮器、温度プローブ及びスターラーを装着した2つ口フラスコ中で混合した。N−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン15.42 g (0.0834 モル)を約5分間にわたってゆっくり添加し、発熱が大きくなりすぎないようにした。冷水/氷浴を用いて、温度を35°C未満に維持した。40 mlのトルエン中のHDDA 37.68 gをその後、激しく攪拌している間に素速く添加した。その後、混合物をさらに2時間激しく攪拌し、その後、一晩放置した。その後、ロータリーエバポレータにより溶剤を除去し、生成物59gを粘性黄色液体として生じた。
FTIR: 1752cm -1, 1724cm -1, 1192cm -1, 1634cm -1, 1617cm -1; MS: マスイオン883。
【0088】
オキサゾリジノン6 (本発明の例):エチレンジアミンとオキサゾリジノンアクリレートとの1:4での反応生成物
【化14】

【0089】
エチレンジアミン1.25 g (0.02083モル)及び50 mlのトルエンを、凝縮器、温度プローブ及びスターラーを装着した2つ口フラスコ中で混合した。N−(2−アクリリルオキシエチル)オキサゾリジノン15.42 g (0.0834 モル)を約5分間にわたってゆっくりと添加し、発熱が大きくなりすぎないようにした。冷水/氷浴を用いて35°C未満の温度に維持した。その後、混合物をさらに2時間激しく攪拌し、その後、一晩放置した。その後、溶剤をロータリーエバポレータにより除去し、生成物17.8gを粘性黄色液体として生じた。
FTIR: 1740cm -1; 1H NMR: 2.18-2.7ppm, 3.2-3.7ppm, 4.0-4.3ppm; MS: マスイオン801。
【0090】
オキサゾリジノン3〜6は本発明の第一の態様及び第三の態様の環式カルバメート化合物の例である。
【0091】
ワニス配合物1〜6
UV−硬化可能なワニスを、各オキサゾリジノン化合物2〜6及び下記の表1に示す追加の成分を用いることにより調製した。
【0092】
【表1】

【0093】
ワニス配合物2〜5は本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物の例である。
【0094】
ワニス配合物1〜5の硬化特性を、No.1のKバー(K-bar)及びドローダウンパッド(draw down pad)を用いてレネタ不透明チャート(Leneta opacity chart)上に印刷することにより評価した。フルパワー設定で動作している単一300W/インチ(約120W/cm)中圧水銀アークランプを用いたUV硬化装置に、80m/分で印刷物を通過させた。完全な硬化を達成するための通過回数を記録した。硬化したフィルムに親指をしっかり当てて捻る標準サムツイスト試験を用いて硬化を測定した。フィルムの変形又はフィルムの粘着性又はフィルムの親指への転写を破損として分類する。このような試験は当該技術分野において周知であり、たとえば、Test Methods for UV and EB Curable Systems, C. Lowe & P.K.T Oldring, SITA Technology, 1994, ISBN 0 947798 07 2の第74頁に記載されている。試験後に印刷物が乾燥しており、親指プリント又は表面マーキングが残らない場合に印刷物は完全に硬化したと考える。例1〜5のワニスの硬化速度を表2に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
上記の表2中の結果は、オキサゾリジノン官能性化合物の添加レベルがわずか10%であるにも係わらず、オキサゾリジノン2〜6、特にオキサゾリジノン3〜6、特にオキサゾリジノン3及び6をワニス中に含ませると、配合物の硬化速度が向上されることを示す。
【0097】
ワニス配合物7、8及び9
UV−硬化性ワニス7、8及び9を、オキサゾリジノン化合物2又は3及び表3に示す追加の成分を用いて調製した。
【0098】
【表3】

【0099】
10%のオキサゾリジノン3を含むワニス配合物8は本発明の第四の態様のエネルギー硬化性組成物の例である。
【0100】
ワニス配合物7〜9の硬化特性を、No.1のKバー及びドローダウンパッドを用いてレネタ不透明チャート上にワニスを印刷することにより評価した。1/2パワー設定で動作している単一300W/インチ中圧水銀アークランプを用いたUV硬化装置に、80m/分で印刷物を通過させた。完全な硬化を達成するための通過回数を記録した。標準サムツイスト試験を用いて硬化を測定した。試験後に印刷物が乾燥しており、親指プリント又は表面マーキングが残らない場合に印刷物は完全に硬化したと考える。例6及び7のワニスの硬化速度を表4に示す。
【0101】
【表4】

【0102】
表4中の結果は、アミン相乗剤/ベンゾフェノン水素引き抜き型開始剤系を有するワニス組成物中にオキサゾリジノン化合物を含ませることが硬化速度に影響を及ぼさないことを示す。
【0103】
抽出/移行分析
ワニス配合物1、2、3及び5を、No.1のKバー及びドローダウンパッドを用いて、未処理/未コートホイル上に印刷した。フルパワー設定で動作している単一300W/インチ中圧水銀アークランプを用いたUV硬化装置に、80m/分で完全に硬化するまで印刷物を通過させた。その後、印刷物の抽出/移行に関する分析を、下記のとおりに、このタイプの分析に使用される標準的な手順を用いて行った。
【0104】
化合物を、直接導入(0.5 ml/分の流速のアセトニトリルによる)APCI-LC-MSにより特性化した。50 cm2の印刷物を20 mlの沸騰トルエン: アセトニトリル(1:1)中に抽出した。緩やかな沸騰を2分間続けた。すべての溶剤損失をアセトニトリルにより置換し、溶剤体積を20 mlに維持した。すべての未反応種の完全な抽出を確保するように熱溶剤混合物を選択した。新規の化合物が存在しない対照のワニス/フィルムを同様に処理した(しかし、続くLC-MS 分析に関する適切な対照マトリックスを提供するように、100 cm2を40 mlの熱溶剤中に抽出)。この対照の抽出物を用いて、本発明の化合物の既知濃度標準を調製した。それらを本発明の化合物の硬化フィルム抽出物に関する定量的データを得るために用いた。冷却された抽出物を、出発化合物を特性化するために使用される直接導入APCI法を用いて分析した。すべての場合に、抽出物及び標準溶液からのプロトン化分子イオン面積を用いて抽出されたオリゴマーを定量化した。
【0105】
表5は各印刷物から抽出された材料の量及びワニス中の材料の量に対する%抽出量を示す。
【0106】
【表5】

【0107】
結果は、ワニス組成物2及び5中のオキサゾリジノン化合物3及び6は印刷物から完全に又はほとんど完全に抽出され、一方、ワニス配合物1及び3中のアクリレート官能基含有オキサゾリジノン化合物2及び4は印刷物から抽出されなかったことを示す。
【0108】
表5に示された結果は、アクリレート基を含まない化合物は印刷物から完全に移行/抽出されるが、アクリレート基を含むオキサゾリジノン2及び4は印刷物からの移行/抽出は観測されなかったことを示す。オキサゾリジノン3及び6の抽出物は、それらの化合物が硬化速度を改良し(表2)そして酸素掃去剤として機能するようであるが、光開始剤のための引き抜き可能な水素の源として作用しないことを示している。もし、オキサゾリジノン化合物が、光開始剤相乗剤として機能することにより硬化速度を改良しているとするならば、それらは重合反応中に消費され、印刷されたワニス組成物から抽出可能でないであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンもしくはポリエーテル基を介して3−アミノプロピオネート基もしくは3−アミノ−2−メチルプロピオネート基に結合された5−〜7−員環式カルバメート環系を含む、環式カルバメート化合物。
【請求項2】
フリーラジカル硬化反応において硬化可能な官能基をさらに含む、請求項1に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項3】
フリーラジカル硬化反応において硬化可能な前記官能基がエチレン系不飽和基を含む、請求項2に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項4】
脂肪族アミン、(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環系を有する環式カルバメートのマイケル付加反応生成物である、環式カルバメート化合物。
【請求項5】
脂肪族アミン、(メタ)アクリレート官能基及び5−〜7−員環式カルバメート環系を有する環式カルバメート、及び多官能アクリレートのマイケル付加反応生成物である、請求項4に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項6】
前記環式カルバメートアクリレートがN−(2−アクリロイルオキシアルキル)オキサゾリジノンである、請求項4又は5に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項7】
前記脂肪族アミンがジアミンである、請求項4又は5に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項8】
前記環式カルバメート環系が5−員オキサゾリジノン環である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項9】
式(I)
【化1】

(上式中、R1は式(II)
【化2】

の部分であり、mは1、2又は3であり、nは1〜8であり、oは1〜10であり、各Rは独立にH及びメチルから選ばれ、
2は脂肪族鎖であり、場合により式(III)
【化3】

の部分に結合されており、
3
脂肪族基であって、さらなる式(III)の部分に場合により結合していてよい脂肪族基、
さらなる式(II)の部分、もしくは、
フリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位、
から選ばれ、又は、
3及びR4は一緒に脂肪族鎖を形成しており、そして
4及びR5は各々独立に、
脂肪族基、
さらなる式(II)の部分、もしくは、
フリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位、
から選ばれる)の化合物を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項10】
式(IV)
【化4】

(上式中、mは1、2又は3であり、
nは1〜8であり、
oは1〜10であり、
各Rは独立にH及びMeから選ばれ、
Xは脂肪族結合基であり、そして
基R1a、R1b及びR1cの各々は独立に、脂肪族基、式(II)の部分、もしくはフリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位から選ばれ、又は、
1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成する)の化合物を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項11】
前記化合物が少なくとも2つの式(II)の部分を含む、請求項9又は10記載の環式カルバメート化合物。
【請求項12】
式(V)
【化5】

(上式中、各nは独立に1〜8から選ばれ、
Xは脂肪族結合基であり、
1a及びR1bは一緒にさらなる脂肪族結合基を形成するか、又はR1a及びR1bは各々独立に脂肪族基、式(II)の部分、もしくはフリーラジカル硬化反応において硬化可能なアクリレートもしくは他の官能基を含む単位から選ばれる)の化合物を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項13】
少なくとも1つのアクリレート官能基を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項14】
エネルギー硬化性組成物中の酸素掃去剤として使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物を含む、エネルギー硬化性組成物。
【請求項16】
化学線又は電子線に暴露したときに硬化可能である、請求項15に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項17】
UV線に暴露したときに硬化可能であり、開裂型光開始剤を含む、請求項16に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項18】
前記光開始剤がホスフィンオキシドである、請求項17に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項19】
インク、コーティング又は接着剤である、請求項15〜18のいずれか一項に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項20】
(a)(i)3−〜7−員環式カルバメート環を有する環式カルバメートアクリレート、(ii)脂肪族アミン、及び場合により(iii)多官能アクリレートの反応生成物である環式カルバメート化合物を提供する工程、並びに次いで(b)前記環式カルバメート化合物を、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び/又はオリゴマー及び場合により光開始剤と合わせる工程を含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載のエネルギー硬化性組成物の製造方法。
【請求項21】
(i)3−〜7−員環式カルバメート環を有する環式カルバメートアクリレートと、(ii)脂肪族アミン、及び場合により(iii)多官能アクリレートとを反応させる工程を含む、環式カルバメート化合物の製造方法。
【請求項22】
前記脂肪族アミンが1分子あたりz個の反応性N−H結合を有し、そして、環式カルバメート化合物の製造工程が、前記脂肪族アミンとz当量未満の環式カルバメートアクリレートを反応させる工程、及び次いでこのようにして得られた生成物を多官能アクリレートと反応させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物を製造するための、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
エネルギー硬化性組成物中の酸素掃去剤としての、請求項1〜14のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物の使用。
【請求項25】
(a)請求項15〜19のいずれか一項に記載のエネルギー硬化性組成物を基材上に適用する工程、及び(b)前記組成物を硬化させる工程を含む、基材のコーティング又はプリント方法。
【請求項26】
基材と、請求項1〜14のいずれか一項に記載の環式カルバメート化合物を含む硬化コーティング又はプリント画像との組み合わせを含む、コーティング又はプリントされた物品。
【請求項27】
基材と、請求項15〜19のいずれか一項に記載のエネルギー硬化性組成物との組み合わせを含む、コーティング又はプリントされた物品。

【公表番号】特表2012−520277(P2012−520277A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553514(P2011−553514)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000441
【国際公開番号】WO2010/103281
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(509354318)サン ケミカル ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】