説明

エネルギー管理システム

【課題】 空調等の環境提供装置のエネルギー制御において、使用者すべての快適度を満足することは困難で、結果的に建物内全体の総生産性が低下する。
【解決手段】 情報処理装置の稼動状況から情報処理装置の快適度を解析する手段と、環境情報から環境提供装置の快適度を解析する手段と、使用者の行動情報から使用者の活動度を解析する手段と、の解析結果から建物内の総生産性を解析する手段を設ける。各々の手段は、使用するエネルギーと快適度の関係を解析し、総生産性解析手段は、各々の機器の快適度を統合し総生産性が最大となるようエネルギー配分を最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、オフィスビルや家屋のように複数の機器に関わるエネルギーの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエネルギー管理システムは、目標となる省エネ量(エネルギー削減量)となるよう、すなわち目標エネルギーを超えないように空調機器の運転を制御する技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
また、上記のようなエネルギー管理で懸念される、使用者の快適性の低下については、「予想平均温冷感申告(PMV)」といった確立された指標等を用いて空調のエネルギー管理を行う方法が特許文献2に記載されている。エリア別に個人の要求や優先度に従って、目標値を超えないようにエリア別に環境提供装置のエネルギー制御を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2753150
【特許文献2】特開2004−163088
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の技術は、エリア別に設けられた環境提供装置(例えば空調機器)を対象としており、かつ、エリアの使用者が個人か、団体の場合でもエリア一括で快適度や生産性を扱うものであり、エリア内使用者の快適度や生産性の個人差には対応が困難となるか、対応によっては快適度を損なう場合がある。
【0006】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、総生産性を考慮したエネルギー管理方式において、個人の生産性を最大とするよう、建物内の環境提供装置のみならず、個人の情報処理装置(例えばPC)も含め、エネルギー制御を行うシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、エリア内における環境情報および生産性情報が入力される情報処理装置と、前記情報処理装置に入力される前記環境情報および前記生産性情報に基づき機器の電力制御を行う生産性解析手段と、を有し、前記環境情報又は前記生産性情報は、前記情報処理装置に入力されるエラーの量であり、前記電力制御が制御する機器は前記エリア内における空調および前記情報処理装置を含むこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明によれば、エリア内の環境提供装置及び情報処理装置に電力を給電する給電手段と、前記エリア内における使用者の使用するエネルギー量を加算するエネルギー量加算手段と、前記使用者の快適度又は活動度を解析する快適度解析手段と、前記エネルギー量加算手段と前記快適度解析手段とに基づき、前記使用者の生産性を解析する生産性解析手段と、を有し、前記生産性解析手段は、前記エリア内における使用者の使用するエネルギー量と前記使用者の快適度又は活動度を保つために必要なエネルギーの総和とに基づき、前記使用するエネルギー量と前記必要なエネルギーの総和とが所定の目標上限値を超えないよう前記給電手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、環境提供装置の電力や情報処理装置の電力を削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施例である生産性考慮型エネルギー管理装置の例
【図2】図1記載の使用者スペース3の内部構成の一例
【図3】図2記載の使用者A行動記録手段53の内部構成の一例
【図4】図2記載の情報処理装置A稼動状況記録手段56の内部構成の一例
【図5】図2記載の使用者A環境記録手段59の内部構成の一例
【図6】図1記載の情報処理装置快適度解析手段13の解析概念の一例
【図7】図1記載の空調快適度解析手段15の解析概念の一例
【図8】図1記載の照明快適度解析手段17の動作概念の一例
【図9】図1記載の総生産性解析手段21の動作概念の一例
【図10】本発明の第二の実施例である生産性考慮型エネルギー管理装置の例
【図11】図10記載の在席最適化情報79が示す使用者スペース3内部の使用者の在席状況最適化の一例
【図12】図10記載の在席最適化情報79が示す使用者スペース3内部の使用者の在席状況最適化の一例
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の第一の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
本発明は、オフィスビルや家屋のように複数の機器を有する建物(エリア)内の消費エネルギーを抑えるため、各々の機器の強弱制御や間欠稼動を行うエネルギー管理システムにおいて、総エネルギーの省エネ目標に対する各機器の省エネ設定を、快適性、生産力を総合的に評価する総生産性が最大となるように制御するエネルギー管理システムおよびその制御方法に関するものである。
【0013】
図1は本発明の一実施例である生産性考慮型エネルギー管理装置の例である。
【0014】
図1において、1は各機器に給電を行う給電設備、2は給電設備から供給される供給電力、3は建物内における使用者スペース、4は空調機器エネルギー量情報、5は照明機器エネルギー量情報、6は情報処理装置エネルギー量情報、7は情報処理装置稼動状況情報、8は空調関連環境情報、9は照明関連環境情報、10は使用者行動情報である。
【0015】
給電設備1は後述する使用者スペース3内にある機器を運転するための供給電力2を出力し、使用者スペース3には後述する使用者や各種機器が存在し、後述する機器の種類ごとの消費エネルギーを示す、空調機器エネルギー量情報4、照明機器エネルギー量情報5、情報処理装置エネルギー量情報6を出力するとともに、情報処理装置の入力状況や動作状況を示す情報処理装置稼動状況情報7、温度や湿度といった空調機器に関連する情報を示す空調関連環境情報8、外光状況や照度といった照明機器に関連する情報を示す照明関連環境情報9、使用者が何をしているかを示す使用者行動情報10を各々検出して出力する。
【0016】
図1における11はエネルギー量加算手段、12は使用者スペース総エネルギー量であり、エネルギー量加算手段11は、空調機器エネルギー量情報4、照明機器エネルギー量情報5、情報処理装置エネルギー量情報6を足し合わせて、使用者スペース3内で消費される総エネルギー量を使用者スペース総エネルギー量12として出力する。
【0017】
図1における13は情報処理装置快適度解析手段、14は情報処理装置快適度情報、15は空調快適度解析手段、16は空調快適度情報、17は照明快適度解析手段、18は照明快適度情報、19は使用者活動度解析手段、20は使用者活動度情報である。
【0018】
情報処理装置快適度解析手段13は、情報処理装置稼動状況情報7から使用者の快適度を解析し情報処理装置快適度情報14として出力し、空調機器快適度解析手段15は、空調関連環境情報8から使用者の快適度を解析し空調快適度情報16として出力し、照明快適度解析手段17は、照明関連環境情報9から使用者の快適度を解析し照明快適度情報18として出力し、使用者活動度解析手段19は、使用者行動情報10から使用者の活動の度合い(着席、移動、会話等)を解析し使用者活動度情報20として出力する。
【0019】
図1における21は総生産性解析手段、22は使用者スペース機器制御信号であり、総生産性解析手段21は、情報処理装置快適度情報14、空調快適度情報16、照明快適度情報18、使用者活動度情報20から、目標とする総エネルギー量に対する各々の快適度が最大となるエネルギー量を決定し、各々の機器の運転を制御するよう、使用者スペース機器制御信号22を出力する。
【0020】
図2は図1記載の使用者スペース3の内部構成の一例を示す図である。
【0021】
図2において、23は空調機器A供給電力、24は空調機器B供給電力、25は空調機器A、26は空調機器B、27は照明機器A供給電力、28は照明機器B供給電力、29は照明機器A、30は照明機器B、31は空調機器A電力メータ、32は証明機器A電力メータ、33は空調機器B電力メータ、34は証明機器B電力メータである。
【0022】
各々の供給電力23、24、27、28は、供給電力2のうちの空調機器A25、空調機器B26、照明機器A29、照明機器B30を運転するための電力であり、各々電力メータ31から34によってエネルギー量を監視し、機器の種類ごとに、空調機器エネルギー量情報4、照明機器エネルギー量情報5として出力する。
【0023】
図2における35は情報処理装置A供給電力、36は情報処理装置B供給電力、37は情報処理装置C供給電力、38は情報処理装置A、39は情報処理装置B、40は情報処理装置C、41は情報処理装置A電力メータ、42は情報処理装置B電力メータ、43は情報処理装置C電力メータである。
【0024】
各々の供給電力35、36、37は、供給電力2のうちの情報処理装置A38、情報処理装置B39、情報処理装置C40を運転するための電力であり、各々電力メータ41から43によってエネルギー量を監視し、情報処理装置エネルギー量情報6として出力する。
【0025】
図2における44は使用者A、45は使用者B、46は使用者C、47は入力手段A、48は使用者A入力情報、49は入力手段B、50は使用者B入力情報、51は入力手段C、52は使用者C入力情報、53は使用者A行動記録手段、54は使用者B行動記録手段、55は使用者C行動記録手段である。
【0026】
各々の入力手段47、49、51は、各々の使用者44から46による入力(例えばキーボード入力)を各々の入力情報48、50、52として各々の情報処理装置38から40へ出力する。各々の行動記録手段53から55は、各々の使用者44から46がどのような行動をしているか(例えばキーボード作業なのか、打合せでの会話中なのか等)を記録し、全員分の情報を使用者行動情報10として出力する。
【0027】
図2における56は情報処理装置A稼動状況記録手段、57は情報処理装置B稼動状況記録手段、58は情報処理装置C稼動状況記録手段であり、各々の稼動状況記録手段56から58は、各々の入力情報48、50、52の情報(例えばキーボードのどのキーが押されているか等)や、各々の情報処理装置38から40の操作ログ(どのアプリケーションがどのように動作しているか等)を記録し、情報処理装置稼動状況情報7として出力する。
【0028】
図2における59は使用者A環境記録手段、60は使用者B環境記録手段、61は使用者C環境記録手段であり、各々の環境記録手段59から61は、温度、湿度や風量等の空調に関係する情報や、照度等の照明に関係する情報を測定、記録し、各々、空調関連環境情報8、照明関連環境情報9として出力する。
【0029】
図3は図2記載の使用者A行動記録手段53の内部構成の一例を示す図である。使用者B行動記録手段54、使用者C行動記録手段55も同様の構成である。
【0030】
図3において、62は動き記録手段、63は音声記録手段、64は脈拍記録手段であり、動き記録手段62は、使用者A44が何をしているのか、例えば自席で情報処理装置A38を操作しているのか、会議中なのか、移動中なのかを検出、記録する。
【0031】
音声記録手段63は、使用者A44が会議において発言しているのか、聞いているのかを判断できるよう、音声の有無を記録する。脈拍記録手段64は、使用者A44のストレス状態を測るため、脈拍を記録する。以上の記録結果は、他の使用者の情報も含めて、使用者行動情報10として出力する。
【0032】
図4は図2記載の情報処理装置A稼動状況記録手段56の内部構成の一例を示す図である。情報処理装置B稼動状況記録手段57、情報処理装置C稼動状況記録手段58も同様の構成である。
【0033】
図4において、65は操作ログ記録手段、66はキー入力記録手段であり、操作ログ記録手段65は、情報処理装置A38の動作状況、例えば使用しているアプリケーションやメール操作等を記録する。
【0034】
キー入力記録手段66は、使用者A44が入力手段A47に入力する情報、例えばキーボード入力情報や、快適度に関する主観情報等を記録する。以上の記録結果は、他の情報処理装置の情報も含めて、情報処理装置稼動状況情報7として出力する。
【0035】
図5は図2記載の使用者A環境記録手段59の内部構成の一例を示す図である。使用者B環境記録手段60、使用者C環境記録手段61も同様の構成である。
【0036】
図5において、67は温湿度記録手段、68は風量記録手段、69は着衣記録手段であり、温湿度記録手段67は、使用者A44の周辺の温度と湿度、風量記録手段68は、使用者A44の周辺の風量を各々測定、記録する手段であり、着衣記録手段69は使用者A44の着衣の量を判断するための手段であり、カメラであったり、季節ごとの固定情報としてもよい。
【0037】
以上の記録結果は、他の環境記録手段の情報も含めて、空調関連環境情報8として出力する。70は照度記録手段であり、使用者A44の周辺の照度を記録し、他の環境記録手段の情報も含めて、照明関連環境情報9として出力する。
【0038】
図6は図1記載の情報処理装置快適度解析手段13の解析概念の一例を示す図である。
【0039】
図6において、71は情報処理装置処理量−エネルギー量特性、72は情報処理装置快適度−エネルギー量特性である。情報処理装置処理量−エネルギー量特性71は、消費するエネルギーに対する情報処理装置の処理量を示す曲線であり、定性的にはエネルギー量を大きくするほど処理量は増加することを示している。
【0040】
情報処理装置快適度−エネルギー量特性72は、情報処理装置処理量−エネルギー量特性71に対して、定性的にある閾値を持って快適度の低下、増加が飽和する状態であることを示している。
【0041】
図7は図1記載の空調快適度解析手段15の解析概念の一例を示す図である。
【0042】
図7において、73は空調温度−エネルギー量特性、74は空調快適度−エネルギー量特性である。空調温度−エネルギー量特性73は、消費するエネルギーに対する空調温度、ここでは冷房の場合の室内の温度を示す曲線であり、定性的にはエネルギー量を大きくするほど室内の温度は低下し、ある程度で飽和することを示している。
【0043】
空調快適度−エネルギー量特性74は、空調温度−エネルギー量特性73に対して、定性的にある閾値を持って快適度は飽和し、さらにエネルギー量を増やした場合(冷房をきつくした場合)は逆に快適度が低下することを示している。
【0044】
図8は図1記載の照明快適度解析手段17の動作概念の一例を示す図である。
【0045】
図8において、75は照度−エネルギー量特性、76は照明快適度−エネルギー量特性である。照度−エネルギー量特性75は、消費するエネルギーに対する机上の照度示す曲線であり、定性的にはエネルギー量を大きくするほど机上の照度は増加し、ある程度で飽和することを示している。
【0046】
照明快適度−エネルギー量特性76は、照度−エネルギー量特性75に対して、定性的にはエネルギー量が低い場合でも快適度はあまり低くなく(外光の影響や、情報処理装置の操作における照明の影響)、快適度の変化も小さいことを示している。
【0047】
図9は図1記載の総生産性解析手段21の動作概念の一例を示す図である。
【0048】
図9において、77は単純エネルギー量削減時快適度総和特性、78はエネルギー量最適化時快適度総和特性であり、単純エネルギー量削減時快適度総和特性77は、使用者スペース内のエネルギー量の目標値に対し、情報処理装置、空調、照明、各々のエネルギー量を一律に削減した場合の各々の快適度を足し合わせた特性である。
【0049】
エネルギー量最適化時快適度総和特性78は、使用者スペース内のエネルギー量の目標値に対し、情報処理装置、空調、照明、各々のエネルギー量を快適度が極力大きくなるよう設定した場合の各々の快適度を足し合わせた特性である。
【0050】
以下、図1〜9を用いて、本実施例における生産性考慮型エネルギー管理装置が、使用者スペース内の目標エネルギー量に対して、生産性が極力大きくなるよう使用機器のエネルギー配分を制御する動作について説明する。
【0051】
まず、図1を用いて、制御の流れを説明する。図1で、使用者スペース3で使用する電力は給電設備1から供給電力2として供給される。使用者スペース3は、内部で消費される電力を、消費する機器ごとに、空調機器エネルギー量情報4、照明機器エネルギー量情報5、情報処理装置エネルギー量情報6として出力し、エネルギー量加算手段11が各々のエネルギー量を足し合わせ、使用者スペース総エネルギー量12として出力する。
【0052】
さらに、使用者スペース3は、内部の使用者や機器、環境の状態を表す情報を、情報処理装置稼動状況情報7、空調関連環境情報8、照明関連環境情報9、使用者行動情報10として出力する。
【0053】
情報処理装置快適度解析手段13は情報処理装置稼動状況情報7と使用者活動度情報20を解析し、情報処理装置の快適度を示す情報処理装置快適度情報14として出力する。空調快適度解析手段15は空調関連環境情報8と使用者活動度情報20を解析し、空調の快適度を示す空調快適度情報16として出力する。
【0054】
照明快適度解析手段17は照明関連環境情報9と使用者活動度情報20を解析し、照明の快適度を示す照明快適度情報18として出力する。使用者活動度解析手段19は使用者行動情報10を解析し、快適度に影響を与える使用者の活動の度合いを示す使用者活動度情報20として出力する。
【0055】
総生産性解析手段21は、情報処理装置快適度情報14、空調快適度情報16、照明快適度情報18から、使用者スペース3で消費するエネルギー量の目標(省エネ目標)に対し、各々の快適度が最大となるよう、つまり総生産性が最大となるよう、各々の機器で消費するエネルギーを制御する、つまり目標エネルギー量を各々の機器に配分するための制御信号を、使用者スペース機器制御信号22として出力する。
【0056】
図2〜5を用いて、図1記載の使用者スペース3が、内部で消費されるエネルギー量情報を出力する詳細動作について説明する。
【0057】
図2で、空調機器A電力メータ31、空調機器B電力メータ33が、使用者スペース3内の空調機器25、26が消費するエネルギー量を計測し、空調機器エネルギー量情報4として出力する。
【0058】
照明機器A電力メータ32、照明機器B電力メータ34が、使用者スペース3内の照明機器29、30が消費するエネルギー量を計測し、照明機器エネルギー量情報5として出力する。
【0059】
情報処理装置A電力メータ41、情報処理装置B電力メータ42、情報処理装置C電力メータ43が、使用者スペース3内の情報処理装置38から40が消費するエネルギー量を計測し、情報処理装置エネルギー量情報6として出力する。本実施例では、電力メータを機器ごとに設けているが、本発明はこれに限定するものではなく、機器の種類ごとに設けてもよい。
【0060】
使用者A行動記録手段53、使用者B行動記録手段54、使用者C行動記録手段54は、図3に示すように動き記録手段62、音声記録手段63、脈拍記録手段64で構成され、使用者の動きから作業状態、例えば着席して作業しているのか、移動中で歩行しているのか、会議中なのか、また会議中であれば話す側なのか聞く側なのか、といった空調や照明、情報処理装置の快適度に影響する活動度の情報や、ストレスを示す脈拍の情報を検出、記録し、使用者活動度情報10として出力する。本実施例ではストレスを示す情報として脈拍を挙げているが、本発明はこれに限定するものではなく、唾液や脳波といった情報でもよい。
【0061】
情報処理装置A稼動状況記録手段57、情報処理装置B稼動状況記録手段58、情報処理装置C稼動状況記録手段59は、図4に示すように操作ログ記録手段65、キー入力記録手段66で構成され、情報処理装置がどのように使用されているのか、例えば生産性の指標となる使用アプリケーションや、キー入力の速度、入力誤りを示すDeleteキーやBackSpaceキーの入力頻度等の情報を記録し、情報処理装置稼動状況情報7として出力する。
【0062】
使用者A環境記録手段59、使用者B環境記録手段60、使用者C環境記録手段61は、図5に示すように温湿度記録手段67、風量記録手段68、着衣記録手段68、照度記録手段70で構成され、空調の快適度の指標となる温度や湿度、風量、また着衣の量を記録し空調関連環境情報8として出力し、照明の快適度の指標となる照度を記録し照明関連環境情報9として出力する。
【0063】
図6〜8を用いて、図1記載の情報処理装置快適度解析手段13、空調快適度解析手段15、照明快適度解析手段17が、各々の快適度を解析する動作概念について説明する。
【0064】
図6で、情報処理装置快適度−エネルギー量特性72は、情報処理装置稼動状況情報7に含まれる快適度を示すキー入力の状態や、生産性を示すアプリケーション情報(生産性のあるアプリケーションとそうでないアプリケーションの判別)を解析し、エネルギー消費量に対する特性として導出される。
【0065】
このとき、使用者の活動度情報20も合わせて解析することにより、例えば情報処理装置を使用していないが会議や打合せ等、生産性につながる活動がなされていれば、特性に加味することも可能である。定性的には、ある閾値を持って快適度の低下、増加が飽和する状態であることを示している。
【0066】
図7で、空調快適度−エネルギー量特性74は、空調関連環境情報8に含まれる温湿度情報、風量、着衣量や、使用者活動度情報20に含まれる活動度やストレスの情報から、快適度を示す指標、例えば「予想平均温冷感申告(PMV)」のエネルギー量に対する特性として導出される。さらには、図示していないが、入力手段から使用者の主観を入力してもらい、これを快適度の解析に利用することも可能である。定性的には、ある閾値を持って快適度は飽和し、さらにエネルギー量を増やした場合(冷房をきつくした場合)は逆に快適度が低下することを示している。
【0067】
図8で、照明快適度−エネルギー量特性76は、照明関連環境情報9に含まれる照度や、使用者活動度情報20に含まれる活動度やストレスの情報から、明るさに対する快適度のエネルギー量に対する特性として導出される。
【0068】
図9を用いて、図1記載の総生産性解析手段21が使用者スペース機器制御信号22を出力する動作概念について説明する。
【0069】
図9で、単純エネルギー量削減時快適度総和特性77のように、使用スペース内の総消費エネルギー量の目標値に対して単純に各々の機器のエネルギー量を削減(目標削減率を一律に設定)するのではなく、エネルギー量最適化時快適度総和特性78のように、各々の危機の快適度が極力大きくなるようなエネルギー量に設定することにより、同じ総エネルギー量に対する生産性が向上させていることを示している。
【0070】
また、一般的には、建物内に設置される空調機器の台数は使用者の人数と比較して少なく、すべての使用者の快適度に対応することが困難な場合もあるが、台数の多い情報処理装置の快適度は個々に対応できるため、双方のエネルギー管理を行うことにより、建物内の総生産性として向上が見込める。
【0071】
以上で、総エネルギー量の目標値に対し、生産性を重視した機器ごとのエネルギー量の制御が実現できる。
【0072】
本実施例によれば、情報処理装置の生産性を考慮し、環境提供装置と連携したエネルギー制御を行うことにより、使用スペース、例えばオフィスやビルといった建物内の総エネルギー量に対する快適度、生産性を向上する効果を奏する。
【0073】
すなわち、使用スペース全体での省エネ、生産性を考慮しているため、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)といったエネルギー管理において、建物自体の性能、価値を向上させることが可能になる。
【実施例2】
【0074】
以下、本発明の第二の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0075】
図10は本発明の一実施例である生産性考慮型エネルギー管理装置の例である。
【0076】
図10において第一の実施例の図1と同一の数字が付された部分は、第一の実施例と同一のものである。79は在席最適化情報であり、総生産性解析手段21の解析結果として、第一の実施例に加え、さらに使用者スペース3内のエネルギー量を削減するための情報となる。
【0077】
図11は図1記載の在席最適化情報79が示す使用者スペース3内部の使用者の在席状況最適化の一例を示す図である。
【0078】
図11において、80は空調機器A対象領域、81は空調機器B対象領域であり、図の左側がある日の在席状態とすると、右側のように在席することにより空調機器Bの電源はOFFとすることができ、省エネ効果を向上することができる。また、生産性を考慮した場合、使用者の活動状況情報から、単純に人をまとめるだけでなく、どの人と隣同士にすれば効率がよいかといった配慮を加味することができる。
【0079】
図12は図1記載の在席最適化情報79が示す使用者スペース3内部の使用者の在席状況最適化のもう一つの例を示す図である。図の左側がある日の在席状態で、使用者の情報(主観やストレス)から点線で示す使用者が暑さに対して敏感であると判断された場合、右側のように在席することにより空調機器Bの運転を弱くすることができ、省エネ効果を向上することができる。このときも生産性を考慮した場合、使用者の活動状況情報から、単純に人をまとめるだけでなく、どの人と隣同士にすれば効率がよいかといった配慮を加味することができる。
【0080】
本実施例によれば、第一の実施例により向上した省エネ効果を、さらに向上する効果を奏する。
【0081】
最後に、本発明によれば建物内の総生産性を最適化するためのエネルギー制御を、使用者個人レベルの情報処理装置まで行うため、より極め細やかな制御が可能となる。さらには人員の配置を最適化する情報を出力することにより、環境提供装置の電力や情報処理装置の待機電力を削減することも可能となり、総生産性の向上と省エネルギーの両立を可能となる。
【符号の説明】
【0082】
1…給電設備、2…供給電力、3…使用者スペース、4…空調機器エネルギー量情報、5…照明機器エネルギー量情報、6…情報処理装置エネルギー量情報、7…情報処理装置稼動状況情報、8…空調関連環境情報、9…照明関連環境情報、10…使用者行動情報、11…エネルギー量加算手段、12…使用者スペース総エネルギー量、13…情報処理装置快適度解析手段、14…情報処理装置快適度情報、15…空調快適度解析手段、16…空調快適度情報、17…照明快適度解析手段、18…照明快適度情報、19…使用者活動度解析手段、20…使用者活動度情報、21…総生産性解析手段、22…使用者スペース機器制御信号、23…空調機器A供給電力、24…空調機器B供給電力、25…空調機器A、26…空調機器B、27…照明機器A供給電力、28…照明機器B供給電力、29…照明機器A、30…照明機器B、31…空調機器A電力メータ、32…証明機器A電力メータ、33…空調機器B電力メータ、34…証明機器B電力メータ、35…情報処理装置A供給電力、36…情報処理装置B供給電力、37…情報処理装置C供給電力、38…情報処理装置A、39…情報処理装置B、40…情報処理装置C、41…情報処理装置A電力メータ、42…情報処理装置B電力メータ、43…情報処理装置C電力メータ、44…使用者A、45…使用者B、46…使用者C、47…入力手段A、48…使用者A入力情報、49…入力手段B、50…使用者B入力情報、51…入力手段C、52…使用者C入力情報、53…使用者A行動記録手段、54…使用者B行動記録手段、55…使用者C行動記録手段、56…情報処理装置A稼動状況記録手段、57…情報処理装置B稼動状況記録手段、58…情報処理装置C稼動状況記録手段、59…使用者A環境記録手段、60…使用者B環境記録手段、61…使用者C環境記録手段、62…動き記録手段、63…音声記録手段、64…脈拍記録手段、65…操作ログ記録手段、66…キー入力記録手段、67…温湿度記録手段、68…風量記録手段、69…着衣記録手段、70…照度記録手段、71…情報処理装置処理量−エネルギー量特性、72…情報処理装置快適度−エネルギー量特性、73…空調温度−エネルギー量特性、74…空調快適度−エネルギー量特性、75…照度−エネルギー量特性、76…照明快適度−エネルギー量特性、77…単純エネルギー量削減時快適度総和特性、78…エネルギー量最適化時快適度総和特性、79…在席最適化情報、80…空調機器A対象領域、81…空調機器B対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア内における環境情報および生産性情報が入力される情報処理装置と、
前記情報処理装置に入力される前記環境情報および前記生産性情報に基づき機器の電力制御を行う生産性解析手段と、を有し、
前記環境情報又は前記生産性情報は、前記情報処理装置に入力されるエラーの量であり、
前記電力制御が制御する機器は前記エリア内における空調および前記情報処理装置を含むこと、
を特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
前記エリア内における使用者の最適配置情報を出力する最適配置情報出力手段を有する
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項3】
請求項1において、さらに、
前記エリア内における使用者の脈拍を測定するストレス検知手段を有し、
前記生産性解析手段は前記ストレス検知手段から入力される前記ストレスの量に基づく
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項4】
請求項1において、さらに、
前記エリア内における使用者の活動度を検知する活動度検知手段を有し、
前記生産性解析手段は前記行動検知手段から入力される使用者の前記活動度に基づく
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項5】
エリア内の環境提供装置及び情報処理装置に電力を給電する給電手段と、
前記エリア内における使用者の使用するエネルギー量を加算するエネルギー量加算手段と、
前記使用者の快適度又は活動度を解析する快適度解析手段と、
前記エネルギー量加算手段と前記快適度解析手段とに基づき、前記使用者の生産性を解析する生産性解析手段と、を有し、
前記生産性解析手段は、前記エリア内における使用者の使用するエネルギー量と前記使用者の快適度又は活動度を保つために必要なエネルギーの総和とに基づき、前記使用するエネルギー量と前記必要なエネルギーの総和とが所定の目標上限値を超えないよう前記給電手段を制御する
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記情報処理装置は、キーボードを有し、
前記生産性解析手段は前記キーボードから入力される誤りの回数に基づく
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項7】
請求項5において、さらに、
前記エリア内における使用者の最適配置情報を出力する最適配置情報出力手段を有する
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項8】
請求項5において、
前記快適度解析手段は、入力手段として前記エリア内における使用者の脈拍を測定するストレス検知手段を有し、
前記生産性解析手段は前記ストレス検知手段から入力される前記ストレスの量に基づく
ことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項9】
請求項5において、
前記快適度解析手段は、入力手段として前記エリア内における使用者の活動度を検知する行動検知手段を有し、
前記生産性解析手段は前記行動検知手段から入力される使用者の前記活動度に基づく
ことを特徴とするエネルギー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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