説明

エネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物及びエネルギー貯蔵装置の電極製造方法

【課題】環境汚染問題がなく、少量でも十分な結合力を提供できるエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、ガラクトマンナン(Galactomannan)を主成分にして構成される。従来のバインダーに比べて顕著に少ない量でも十分な結合力を得ることができ、同一重量のエネルギー貯蔵装置を具現する場合、さらに多い活物質を含むことができる。そのため、エネルギー密度が向上するとともに、環境にやさしいという有用な効果を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物及びエネルギー貯蔵装置の電極製造方法に関し、より詳細には、ガラクトマンナン及び/又は多糖類などを含むバインダー組成物及び電極製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信機器のような各種電子製品において、安定したエネルギー供給は、重要な要素となっている。このような機能は、通常電池(Battery)により行われており、最近携帯機器が占める割合の増加に伴って、充放電を数千回〜数万回以上繰り返しながら、機器にエネルギーを供給できる二次電池が主に使用されている。
【0003】
一方、二次電池の代表例としてリチウムイオン二次電池が挙げられ、前記リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため軽量でコンパクトでありながら、長時間安定した電源供給が可能であるという長所を有している。しかし、出力密度が低いため瞬間出力が低く、充電に長期間かかるだけでなく、サイクル寿命も数千回程度と短いという限界がある。
【0004】
前記のようなリチウムイオン二次電池の限界を補完するために最近注目されているウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタと称される装置は、速い充放電速度、高い安全性、及び環境にやさしい特性を有しているため、次世代エネルギー貯蔵装置として脚光を浴びている。前記ウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタは、リチウムイオン二次電池に比べてエネルギー密度は低いものの、出力密度がリチウムイオン二次電池より数十〜数百倍以上大きく、サイクル寿命も数十万回以上であるだけでなく、数秒で完全充電ができるほど充放電速度が非常に速いという長所がある。
【0005】
通常、二次電池及びスーパーキャパシタのようなエネルギー貯蔵装置の電極は、活性炭や黒鉛などの活物質(active material)と導電剤(conducting agent)を含むスラリーを集電体である銅又はアルミニウムなどの金属板に塗布して製造される。
【0006】
この際、前記活物質などを集電体に結合するためにバインダー(Binder)が用いられるが、前記バインダーはエネルギー貯蔵装置の容量、スラリー組成物の硬度及び粘性、また電極の製造容易性及び電気化学的機能の安定化などの特性に非常に大きな影響を与える。
【0007】
より具体的に説明すると、バインダーは、活物質粒子間の結合力、及び活物質と集電体間の結合力を提供すると共に、柔軟性、弾性、接着性などの機械的特性を提供して、電極活物質を集電体にコーティングする工程が効率的に行われることができるようにする機能を行う。
【0008】
一方、現在最も一般的に用いられているバインダーとしては、カルボキシメチルセルロース(Carboxy Methyl Cellulose;CMC)などが挙げられる。
【0009】
図1は、活物質及び導電剤が、バインダーとともに溶媒に混合攪拌された場合を示している。図1aに示しているように、フリーバインダーは活物質及び導電性粒子に併合されることができ、このように併合されたバインダーは、フリーバインダーとともに有機的結合を行って結合されることができる。
【0010】
一方、図1bはバインダーの量が少なすぎる場合、図1dはバインダーの量が多すぎる場合、図1cはバインダーの量が適当な場合を、それぞれ示している。図面に示しているように、バインダーの量が少なすぎる場合(図1b)、活物質などの結合力が低くなりすぎるため、製造段階又は結合後の粒子が電極から分離しやすくなり、沈殿を起こす可能性があり、バインダーの量が多すぎる場合(図1d)、電極でバインダーの占める重量の割合が増加し、そのためエネルギー貯蔵装置のエネルギー密度が相対的に減少するようになる。
【0011】
図2は、せん断薄化(shear thinning)の程度による粘度を流動学(rheology)の観点から見たグラフである。
【0012】
図2aに示したように、せん断率(shear rate)が低いほど分子が絡みやすくなるため芳香性が低くなって粘度が高くなり、せん断率が高いほど分子が絡みにくくなるため芳香性が高くなって粘度は低くなる。
【0013】
図2bには、前記のような原理をバインダーと活物質及び導電剤との結合に適用した例を示している。同一量のバインダーが使用されてもせん断率が高いほど粘度が低くなり、粒子の間の結合力も低くなるという点を確認することができる。
【0014】
一方、図3には、従来広く使用されているナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na−Carboxy Methyl Cellulose;Na−CMC)の分子構造を示しているが、図面で示したように、Na−CMCは、せん断率が比較的高いということが分かる。
【0015】
図3で示したNa−CMCを含み、従来一般的に使用されたCMC系バインダーは、せん断率が高く粘度が相対的に低かったため、多量のバインダーを使用しなければ所望の結合力を確保することができない。
【0016】
しかし、バインダーの量が多くなるほど電極の電気伝導性は急激に低下される。
【0017】
また、一定重量のエネルギー貯蔵装置を製造するにあたり、バインダーの含量が高くなるほど活物質の含量が相対的に減少しなければならないため、エネルギー密度も減少する。
【0018】
また、バインダーの量が多くなると、活性炭などのような多孔性活物質の孔が詰まって活性を減少させるため、出力特性が悪くなり、二次電池の電極表面をバインダーが占めると、イオン交換機構を妨害して出力が減少される。
【0019】
一方、CMC系バインダーの他にも従来広く使用されているポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、非水溶性物質であるため、揮発性有機化合物であるN−メチル−ピロリドン(N−Methyl−pyrrolidone)を溶媒として使用しなければならず、製造工程における環境汚染問題を誘発するという問題点がある。
【0020】
それにより、最小限の量でも、電極物質の分散特性や電極の機械的強度を減少させずに十分な結合力を得ることができるバインダー開発のための研究が続いている。
【0021】
また、環境汚染問題を誘発せずに、製造が容易で、かつ電気的に優れた特性を具現することができる、環境にやさしいバインダーの開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2002−0030030号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2002−0062193号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10−2008−0057250号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10−2009−0125254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前記のような従来の問題点を解決するために導き出された本発明は、ガラクトマンナンなどを用いて、環境汚染問題がなく、少量でも十分な結合力を提供できるエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物を提供することを目的とする。
【0024】
また、本発明は、前記バインダー組成物を用いてエネルギー貯蔵装置の電極製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記のような目的を達成するために、本発明によるエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物は、ガラクトマンナン(Galactomannan)を含んでもよい。
【0026】
また、多糖類(Polysaccharides)を含んでもよい。
【0027】
また、ガラクトマンナンと多糖類の混合物を含んでもよい。
【0028】
また、ガラクトマンナンとセルロース誘導体(cellulose derivatives)の混合物を含んでもよい。
【0029】
また、二糖類、三糖類、四糖類及びオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも一つの物質とガラクトマンナンの混合物を含んでもよい。
【0030】
この際、前記ガラクトマンナンは、グアーガム(Guar gum)、タラガム(Tara gum)、ローカスビーンガム(Locust bean gum)、フェヌグリークガム(Fenugreek gum)、カシアガム(Cassia gum)からなる群から選択されてもよい。
【0031】
また、前記多糖類は、キサンタン(Xanthan)、ジェラン(Gellan)、ウェラン(Wellan)、ラムサン(rhamsan)、シゾフィラン(schizophyllan)、スクレログルカン(scleroglucan)、アルギネート(alginate)、カラギーナン(carrageenan)、ペクチン(pectin)からなる群から選択されてもよい。
【0032】
この際、前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は1〜99wt%であってもよく、前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は5〜95wt%であることが好ましく、前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は20〜80wt%であることがさらに好ましい。
【0033】
一方、本発明の一実施形態によるエネルギー貯蔵装置の電極製造方法は、活物質と導電剤及びバインダーを含んでスラリーを製造し、集電体に塗布して電極を製造する方法であって、前記バインダー組成物と活物質及び導電剤を乾燥状態で混合及び攪拌する段階と、前記段階で準備した物質を溶媒と混合及び攪拌してスラリーを製造する段階と、を含んでもよい。
【0034】
また、溶媒と前記バインダー組成物を混合及び攪拌する段階と、前記段階で準備した物質と活物質及び導電剤を混合及び攪拌してスラリーを製造する段階と、を含んでもよい。
【0035】
この際、前記溶媒は水を含んでもよく、エタノールを含んでもよい。
【0036】
また、前記溶媒と混合及び攪拌してスラリーを製造する段階、及び/又は、前記溶媒と前記バインダー組成物を混合及び攪拌する段階は、0〜100℃環境において行われてもよく、10〜90℃環境において行われることが好ましい。
【0037】
一方、前記スラリー全体の重量を基準に前記バインダー組成物の含量は0.1〜2wt%範囲にあってもよい。
【発明の効果】
【0038】
前記のように構成される本発明によるバインダー組成物は水溶性であり、N−メチル−ピロリドン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのような揮発性有機化合物を用いる必要がないため、環境にやさしい。また、従来のバインダーに比べて顕著に少ない量でも十分な結合力を得ることができ、同一重量のエネルギー貯蔵装置を具現する場合、さらに多い活物質を含むことができるため、エネルギー密度が向上されるという有用な効果を提供する。
【0039】
また、本発明によるバインダー組成物は、電極製造過程において毒性物質を排出せず、少量でも十分な結合力を得ることができるため、製造工程の安全性が確保され、工程効率も増加されることができ、廃棄する際にも環境汚染を全く誘発しない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】バインダーと活物質及び導電剤が溶媒中に混合されているところを示した概路図である。
【図2】バインダーのせん断薄化に伴う粘度の変化を流動学の観点から見たグラフである。
【図3】カルボキシメチルセルロースの化学構造を示した構造図である。
【図4】ガラクトマンナンの化学構造を示した構造図である。
【図5】本発明による二つの物質を混合する際の粘度の増加を示したグラフである。
【図6】ポリマー濃度と粘度との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付図面とともに詳細に後述される実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施形態に限定されず、相異なる多様な形態で具現されることができる。本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0042】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は文句で特別に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0043】
以下、本発明によるエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物について詳細に説明する。
【0044】
本発明によるバインダー組成物は、ガラクトマンナンを主成分として構成されることができる。
【0045】
図4では、ガラクトマンナンの一般的な化学構造を示しているが、図面に示したように、ガラクトマンナン(galactomannan)は、ガラクトース(Galactose)とマンノース(mannose)からなる複合多糖類の総称であって、グアーガム(Guar gum)、タラガム(Tara gum)、ローカスビーンガム(Locust bean gum)、フェヌグリークガム(Fenugreek gum)、カシアガム(Cassia gum)などがこれに該当する。
【0046】
ガラクトース(galactose)は、六炭糖であって、天然状態では遊離状態で存在することは珍しく、重合体の状態で広く分布し、分子式はC12であり、融点は168℃である。また、白い粉状であり、甘く、水に容易に溶解され、結晶水が含まれる融点は118℃である。D−型、L−型の光学異性体があるが、天然状態ではD−型が多く存在する。一般的にガラクトースとは、D−ガラクトースを指す。D−ガラクトースは生物界に広く分布しており、乳糖(ラクトース)/寒天/ガラクトマンナンや細菌細胞壁の多糖及び糖タンパク質/糖脂質などに含有されている。L−ガラクトースは寒天やウニ卵表面のゼリー、カタツムリの粘液中にある多糖などに含有されている。D−ガラクトースは、乳糖を酸で加水分解して得る。加水分解物を濃縮して冷蔵庫に入れておくと、D−ガラクトースの結晶が生ずる。ガラクトースは、生理的に重要な糖の一つで乳糖の構成成分であり、脳や神経組織に多量に分布されている糖脂質など、これを構成成分とする化合物は広く存在する。例えば、ABO式血液型を決定するものは、赤血球表面にある糖脂質の一種である。B型赤血球の場合、糖脂質の糖鎖の端部はガラクトースである。
【0047】
マンナン(Mannan)は、αマンノースを主成分とする多糖類であって、マンノースのみからなるものもあるが、多量のガラクトースやグルコースを含むものもあり、これらをガラクトマンナン、グルコマンナンと言う。松柏類(針葉樹)の木部にあるへミセルロースの主成分である。ゾウゲヤシ(Phytelephas macrocarpa)の種、植物の貯蔵物質、構造成分として広く分布する。ゾウゲヤシマンナンやラン科植物の塊根の中にあるマンナンはマンノースがβ−1,4結合によって鎖状に長く結合された構造であって、マンノースの製造原料として用いられる。イーストと海藻にもマンナンが含有されており、食品の一種であるこんにゃくの主成分のこんにゃくマンナンは、マンノースとグルコースが2:1の割合で含有されているグルコマンナンである。これは分子量約100万である高分子化合物であって、水に溶けて粘性を帯びたのり状になり、アルカリにより水に溶けないこんにゃくになる。人間の消化液ではよく消化されないが、カタツムリやナメクジウオなどの消化液では加水分解される。
【0048】
ガラクトマンナンの構造を説明すると、通常マンノースが−1,4−結合を有して主鎖として用いられ、ガラクトースが−1,6−結合を有して側鎖として用いられている。マンノースとガラクトースの含量比は2:1程度である。ガラクトマンナンは、水に溶解すると粘性のある親水コロイドが得られるため、増粘剤、安定剤、ゲル化剤として食品に幅広く使用されている。
【0049】
ガラクトマンナンは、水に溶解された場合、純水に対して10〜1000倍以上の粘度を有するため、バインダー組成物として用いられ、活物質と導電剤を集電体に強力に結合させることができる。また、ガラクトマンナンは、揮発性有機化合物などの環境汚染物質がなくても、水に溶解して使用することができるため、非常に環境にやさしく、少量で十分な結合力を得ることができる。そのため、同一重量の電極を製造するにあたり、従来の一般的なバインダーを用いたときよりも活物質の含量を非常に大きく向上させることができ、エネルギー貯蔵装置のエネルギー密度及び容量特性を向上させることが可能である。
【0050】
一方、本発明の実施形態によると、バインダー組成物は多糖類(Polysaccharides)からなってもよい。
【0051】
また、前記多糖類は、キサンタン(Xanthan)、ジェラン(Gellan)、ウェラン(Wellan)、ラムサン(rhamsan)、シゾフィラン(schizophyllan)、スクレログルカン(scleroglucan)、アルギネート(alginate)、カラギーナン(carrageenan)、ペクチン(pectin)からなる群から選択されることが好ましい。
【0052】
一方、前記多糖類とガラクトマンナンを混合すると、各物質の平滑で滑らかな領域が強く相互作用することで粘度が大きく上昇するが、このような原理を活用して多糖類とガラクトマンナンを混合し、バインダー組成物を構成してもよい。
【0053】
図5には、グアーガムとキサンタンを割合を異にして混合し、粘度を測定した結果を示している。
【0054】
また、図6は、本発明による物質のそれぞれの濃度に対する粘度及び混合物の濃度に対する粘度を示している。図示したように、物質Aと物質Bを単独で使用する際に所定の粘度を得るために必要な濃度よりも、二つの物質を混合して使用する際に所定の粘度を得るために必要な濃度のほうが低いということが確認できる。
【0055】
一方、ガラクトマンナンと多糖類を混合するにあたり、粘度特性を最適化する混合割合は、使用される物質の種類に応じて異なり得る。
【0056】
一方、ガラクトマンナンは、セルロース誘導体(cellulose derivatives)と混合してバインダーを具現してもよい。
【0057】
また、二糖類、三糖類、四糖類及びオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも一つの物質とガラクトマンナンとの混合物で、バインダーを具現してもよい。
【0058】
また、前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は1〜99wt%であってもよく、前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は5〜95wt%であることが好ましく、前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は20〜80wt%であることがさらに好ましい。
【0059】
以下、本発明によるエネルギー貯蔵装置の電極製造方法について具体的に説明する。
【0060】
一般的に電極は、活物質及び導電剤を集電体に結合して製造されるが、この際、活物質と導電性粒子間の結合、及び活物質、導電剤の集電体に対する結合のためにバインダーが使用される。
【0061】
従来のCMC系バインダーを用いる場合、揮発性有機化合物であるN−メチル−ピロリドンを溶媒として、活物質、導電剤及びバインダーを溶解させてスラリーを製造し、集電体に塗布して乾燥することにより電極を製造した。
【0062】
しかし、本発明によるバインダー組成物を使用すると、バインダー組成物と活物質及び導電剤を乾燥状態で混合及び攪拌し、溶媒として水を使用してスラリーを製造してもよい。
【0063】
また、水を含む溶媒と前記バインダー組成物とを混合及び攪拌した後、活物質及び導電剤を混合することによりスラリーを製造してもよい。
【0064】
この際、前記溶媒はエタノールを含んでもよい。
【0065】
一方、前記溶媒と混合及び攪拌してスラリーを製造する段階及び/又は前記溶媒と前記バインダー組成物を混合及び攪拌する段階は、0〜100℃環境で行われてもよく、10〜90℃環境で行われることが好ましい。
【0066】
また、前記スラリー全体の重量を基準に前記バインダー組成物の含量は、0.1〜2wt%範囲にあってもよい。
【0067】
前記のように製造されたスラリーを集電体に塗布して電極を製造する過程は従来と同様であるため、具体的な説明は省略する。
【0068】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施形態は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の形態への実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施形態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施形態も含むと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0069】
10 フリーバインダー
11 併合されたバインダー
20 活物質及び導電剤
30 溶媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトマンナン(Galactomannan)を含むエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項2】
多糖類(Polysaccharides)を含むエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項3】
ガラクトマンナンと多糖類の混合物を含むエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項4】
ガラクトマンナンとセルロース誘導体(cellulose derivatives)の混合物を含むエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項5】
二糖類、三糖類、四糖類及びオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも一つの物質とガラクトマンナンの混合物を含むエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項6】
前記ガラクトマンナンは、グアーガム(Guar gum)、タラガム(Tara gum)、ローカスビーンガム(Locust bean gum)、フェヌグリークガム(Fenugreek gum)、カシアガム(Cassia gum)からなる群から選択されるものである請求項1又は請求項3乃至5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項7】
前記多糖類は、キサンタン(Xanthan)、ジェラン(Gellan)、ウェラン(Wellan)、ラムサン(rhamsan)、シゾフィラン(schizophyllan)、スクレログルカン(scleroglucan)、アルギネート(alginate)、カラギーナン(carrageenan)、ペクチン(pectin)からなる群から選択されるものである請求項2又は3に記載のエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項8】
前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は1〜99wt%である請求項3乃至5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項9】
前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は5〜95wt%である請求項3乃至5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項10】
前記混合物中、ガラクトマンナンの含量は20〜80wt%である請求項3乃至5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵装置の電極を製造するためのバインダー組成物。
【請求項11】
活物質と導電剤及びバインダーを含んでスラリーを製造し、集電体に塗布して電極を製造する方法であって、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバインダー組成物と活物質及び導電剤を乾燥状態で混合及び攪拌する段階と、
前記段階で準備した物質を溶媒と混合及び攪拌してスラリーを製造する段階と、を含むエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項12】
活物質と導電剤及びバインダーを含んでスラリーを製造し、集電体に塗布して電極を製造する方法であって、
溶媒と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバインダー組成物を混合及び攪拌する段階と、
前記段階で準備した物質と活物質及び導電剤を混合及び攪拌してスラリーを製造する段階と、を含むエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項13】
前記溶媒は水を含むものである請求項11又は12に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項14】
前記溶媒はエタノール(ethanol)を含むものである請求項11又は12に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項15】
前記溶媒と混合及び攪拌してスラリーを製造する段階は、0〜100℃環境で行われる請求項11に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項16】
前記溶媒と混合及び攪拌してスラリーを製造する段階は、10〜90℃環境で行われる請求項11に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項17】
溶媒と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバインダー組成物を混合及び攪拌する段階は、0〜100℃環境で行われる請求項12に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項18】
溶媒と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバインダー組成物を混合及び攪拌する段階は、10〜90℃ 環境で行われる請求項12に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。
【請求項19】
前記バインダー組成物の含量は、前記スラリーの全体重量に対して0.1〜2wt%範囲にある請求項11又は12に記載のエネルギー貯蔵装置の電極製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−256596(P2012−256596A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127746(P2012−127746)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】