説明

エネルギ回収装置

【課題】燃料を効率よく酸化させその燃料から実質的により多くのエネルギを回収する。
【解決手段】エネルギ回収装置は、燃料と溶媒とを含む混合流体に酸素を添加して燃料を酸化させる。このエネルギ回収装置は、燃料が酸化した混合流体から熱エネルギを回収する。このエネルギ回収装置は、混合流体吐出部22と、加熱部24と、酸素添加部26と、エネルギ回収部32とを備える。混合流体吐出部22は、可溶化圧力以上の圧力で混合流体を連続して吐出する。加熱部24は、混合流体を、順次、可溶化温度以上の温度に加熱する。酸素添加部26は混合流体へ酸素を連続して添加する。エネルギ回収部32は、酸素が添加され燃料が酸化した混合流体から熱エネルギを順次回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ回収装置に関し、特に、燃料から実質的により多くのエネルギを回収することができるエネルギ回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、燃焼ボイラー装置を開示する。この燃焼ボイラー装置は、超臨界水(supercritical water)中における酸化反応を応用し、超臨界水を主成分とする高温・高圧燃焼流体を発生させるものである。この燃焼ボイラー装置は、少なくともバイオマスを包含しておりかつ高含水率の有機物を燃料とする。特許文献1に開示された燃焼ボイラー装置によれば、次に述べる効果が得られる。第1の効果は、形状形態を選ばずに含水率90%程度までのあらゆる種類のバイオマスを燃料として高温・高圧の燃焼ガスを連続的に生成することができるという効果である。第2の効果は、発電用のタービンを駆動することができるという効果である。第3の効果は、装置構成を簡素化できるという効果である。第4の効果は、廃熱の回収と有効利用とができるという効果である。特許文献1に開示された燃焼ボイラー装置によれば、これらの効果が得られることにより、分散型パワープラント用としての経済性を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−292018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された燃焼ボイラー装置には、バイオマスから実質的に回収できるエネルギ量について改善の余地がある。すなわち、特許文献1に開示された燃焼ボイラー装置はいわゆるバッチ処理によってバイオマスを酸化させその際に生じた酸化熱からエネルギを回収する。バッチ処理の場合、所定のロットのバイオマスごとにそのバイオマスを酸化させる。このため、処理効率は高くならない。この問題を解決するため、特許文献1に開示された燃焼ボイラー装置は複数の反応器を有しそれらが順次バッチ処理を行っている。順次バッチ処理を行うことで、複数の反応器のいずれかからエネルギが回収できるようになっている。複数の反応器のいずれかからエネルギが回収することで、エネルギの回収効率を向上させている。複数の反応器を設けてそれらが順次バッチ処理を行うと、各反応器において、バイオマスの充填、昇圧、加熱、熱回収、および、廃棄物の排出が繰返される。その間、各反応器において、温度が上昇したり低下したりする。温度が上昇したり低下したりすることで、回収できるはずのエネルギが回収できなくなる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、燃料から実質的により多くのエネルギを回収することができるエネルギ回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照し本発明のエネルギ回収装置を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、エネルギ回収装置は、燃料と溶媒とを含む混合流体に酸素を添加して燃料を酸化させる。このエネルギ回収装置は、燃料が酸化した混合流体から熱エネルギを回収する。このエネルギ回収装置は、混合流体吐出部22と、加熱部24と、酸素添加部26と、エネルギ回収部32とを備える。混合流体吐出部22は、可溶化圧力以上の圧力で混合流体を連続して吐出する。可溶化圧力とは、溶媒に燃料が溶解可能な圧力でありかつ溶媒に燃料が溶けている混合流体に酸素が添加されると燃料が酸化し得る圧力のことである。加熱部24は、混合流体を、順次、可溶化温度以上の温度に加熱する。可溶化温度とは、可溶化圧力以上の圧力がかかった溶媒に燃料が溶解し始める温度のことである。酸素添加部26は混合流体へ酸素を連続して添加する。エネルギ回収部32は、酸素が添加され燃料が酸化した混合流体から熱エネルギを順次回収する。
【0008】
混合流体吐出部22が可溶化圧力以上の圧力で混合流体を連続して吐出することにより、加熱部24による加熱、酸素添加部26による酸素添加、および、エネルギ回収部32による熱エネルギ回収という、超臨界状態の溶媒中で燃料を酸化させ熱エネルギを回収するための一連の処理を順次実施することが可能となる。その途中、エネルギ回収装置内で混合流体の温度および圧力をいったん下降させてから再び上昇させる必要がない。混合流体の温度および圧力をいったん下降させてから再び上昇させる必要がなくなるので、温度および圧力の上昇と下降とのために消費されるはずのエネルギを消費せずに済む。エネルギを消費せずに済むので、その分、実質的により多くのエネルギを回収することができる。その結果、燃料を効率よく酸化させることができその燃料から実質的により多くのエネルギを回収することができる。
【0009】
また、上述した混合流体吐出部22が、複数の吐出シリンダポンプ72,74,76と、供給装置70とを有することが望ましい。シリンダポンプ72,74,76は、混合流体を可溶化圧力以上の圧力で順次吐出する。供給装置70は、複数の吐出シリンダポンプ72,74,76に対し、吐出シリンダポンプ72,74,76による混合流体の吐出流量以上の吐出流量で混合流体を供給する。
【0010】
1台の吐出シリンダポンプ72,74,76は、粒状の燃料を含む混合流体であっても吐出できる。一方、1台の吐出シリンダポンプ72,74,76は、混合流体をいったん吐出し切ってしまうと再度混合流体が充填されるまで混合流体を吐出することができない。つまり吐出シリンダポンプ72,74,76は吐出できる状態と吐出できない状態とを繰返す。供給装置70が吐出シリンダポンプ72,74,76による混合流体の吐出流量以上の吐出流量で複数の吐出シリンダポンプ72,74,76に対して混合流体を供給することにより、複数の吐出シリンダポンプ72,74,76のいずれかが混合流体を吐出している間に、他の吐出シリンダポンプ72,74,76のいずれかへ供給装置70が混合流体を供給する。これにより、混合流体吐出部22は、複数の吐出シリンダポンプ72,74,76のいずれかが吐出できる状態を維持する。吐出できる状態を維持するので、混合流体吐出部22は、粒状の燃料を含む混合流体を連続して吐出できる。その結果、粒状の燃料から実質的により多くのエネルギを回収することができる。なお、言うまでもないことであるが、「吐出流量」とは、単位時間に吐出される流体の量を意味する。
【0011】
もしくは、上述した供給装置70が、混合流体を蓄える蓄積部116と、気体供給機器118とを有することが望ましい。気体供給機器118は、蓄積部116に蓄えられている混合流体へ気体を供給することにより混合流体を蓄積部116から吐出シリンダポンプ72,74,76へ押出す。
【0012】
気体供給機器118が気体を供給することにより混合流体を蓄積部116から押出し、蓄積部116から混合流体を押出した後にその気体を抜くと、シリンダの往復によって混合流体を充填し押出す場合に比べ、混合流体を押出してから再度混合流体を充填するまでの時間を短縮することができる。その結果、混合流体を押出してから再度混合流体を充填するまで吐出シリンダポンプ72,74,76に対し混合流体を供給できないことに起因する不調の発生を抑えることができる。
【0013】
もしくは、上述した蓄積部116が複数の蓄積タンク120,122を有していることが望ましい。蓄積部116が複数の蓄積タンク120,122を有していることで、それらのいずれかから混合流体が押出されている間に他の蓄積タンクへ混合流体を充填することができる。その結果、蓄積タンク120,122に混合流体が入っていないことに起因する不調の発生を抑えることができる。
【0014】
もしくは、上述した混合流体吐出部22が、供給側逆流防止弁82,84,86と、吐出側逆流防止弁88,90,92とをさらに有することが望ましい。供給側逆流防止弁82,84,86は、吐出シリンダポンプ72,74,76から見て混合流体の供給側に設けられる。供給側逆流防止弁82,84,86は、吐出シリンダポンプ72,74,76に入ろうとする混合流体の逆流を防止する。吐出側逆流防止弁88,90,92は、吐出シリンダポンプ72,74,76から見て混合流体の吐出側に設けられる。吐出側逆流防止弁88,90,92は、吐出シリンダポンプ72,74,76が吐出した混合流体の逆流を防止する。
【0015】
混合流体吐出部22が、供給側逆流防止弁82,84,86と、吐出側逆流防止弁88,90,92とをさらに有することにより、混合流体の逆流が防止される。混合流体の逆流が防止されると、逆流が防止されない場合に比べ、混合流体の吐出が効率よく行われることとなる。混合流体の吐出が効率よく行われると、その分、燃料を効率よく酸化させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、燃料から実質的により多くのエネルギを回収することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態にかかるエネルギ回収装置全体の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる水供給部と混合流体吐出部との構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる加熱部と酸素添加部と溶媒添加部と酸化部とエネルギ回収部と二酸化炭素回収部との構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる排出部の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態にかかるシリンダポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
〈構成の説明〉
図1を参照しつつ、本実施形態にかかるエネルギ回収装置の構成を説明する。本実施形態にかかるエネルギ回収装置は、水供給部20と、混合流体吐出部22と、加熱部24と、酸素添加部26と、溶媒添加部28と、酸化部30と、エネルギ回収部32と、二酸化炭素回収部34と、排出部36と、ブレンダミル38とを備える。
【0020】
水供給部20は、混合流体吐出部22と溶媒添加部28とへ水を供給する。混合流体吐出部22は、加熱部24へ混合流体を連続して吐出する。本実施形態における「混合流体」とは燃料と溶媒とを含む流体のことである。本実施形態の場合、溶媒として水が用いられる。本実施形態における燃料の例には、バイオマスと呼ばれる有機物がある。バイオマスの例には、ヘミセルロース、セルロース、および、リグニンのいずれかを含有する有機物がある。ヘミセルロース、セルロース、および、リグニンのいずれかを含有する有機物の例には、コーヒー滓、間伐材、木くず、木質ペレット、および、もみがらがある。もちろん、燃料はこれらに限定されない。本実施形態の場合、混合流体吐出部22が吐出する混合流体の圧力は、25メガパスカルである。これは、可溶化圧力以上の圧力で混合流体を吐出するために設定された圧力である。ちなみに、本実施形態における溶媒である水の臨界圧力は約22メガパスカル(約220気圧)である。この圧力であれば、ヘミセルロース、セルロース、および、リグニンのいずれかを含有する有機物が溶媒である水に溶解可能となる。また、この圧力であれば、そのような溶液に酸素が添加されると、ヘミセルロース、セルロース、および、リグニンのいずれかを含有する有機物は酸化し得る。加熱部24は、図示しないヒータを有する。加熱部24は、そのヒータにより、混合流体を順次加熱する。本実施形態の場合、加熱部24の加熱により、混合流体の温度は523ケルビン(摂氏約250度)に上昇する。これは、可溶化温度以上の温度に混合流体を加熱するために設定された温度である。本実施形態における「可溶化温度」とは、可溶化圧力以上の圧力がかかった溶媒に燃料が溶解し始める温度である。その結果、混合流体中の燃料の少なくとも一部がその水分すなわち溶媒に溶解する。ちなみに、本実施形態において燃料中にセミセルロース、セルロース、リグニンが含まれている場合、それらは473ケルビン(摂氏約200度)以上で溶媒(この場合は水)に溶け始める。酸素添加部26は混合流体へ酸素を連続して添加する。本実施形態の場合、酸素添加部26が添加する酸素の気圧は25メガパスカルである。溶媒添加部28は混合流体中の燃料の濃度を低下させるため(燃料の濃度を低下させるのは混合流体の温度が上昇し過ぎる事態を避けるため)必要に応じて混合流体へ溶媒を添加する。酸化部30は、混合流体が温度上昇する間(温度上昇するのは、酸素が添加された混合流体において燃料が酸化するためである)、その混合流体を一時的に蓄える。酸化部30において、混合流体の温度は673ケルビン(摂氏約400度)に上昇する。その結果、混合流体は超臨界状態となる。ただし、混合流体が超臨界状態になることそのものは、混合流体中の燃料が酸化することの必要条件ではない。また、酸化部30は、図示しないヒータを有する。酸化部30は、そのヒータにより、混合流体を加熱することができる。エネルギ回収部32は酸素が添加され燃料が酸化した混合流体から熱エネルギを順次回収する。この熱エネルギは、酸化部30において混合流体が酸化したことにより回収可能となったものである。二酸化炭素回収部34は、混合流体から二酸化炭素を回収する。この二酸化炭素は、超臨界状態の水中で燃料が酸化したことにより生成したものである。排出部36は、二酸化炭素が回収された後の混合流体を排出する。ブレンダミル38は、燃料を粉砕する。本実施形態の場合、ブレンダミル38によって、燃料は幅0.1mm程度の微粉末になる。
【0021】
図2を参照しつつ、水供給部20の構成について説明する。水供給部20は、純水装置50と、純水タンク52と、第1フィルタ部54と、第2フィルタ部56とを有する。純水装置50は、水道水を受け入れてその水道水から不純物を取り除く装置である。純水タンク52は、純水装置50が吐出した水を蓄える。第1フィルタ部54は、純水タンク52から流出した水から不純物をさらに漉し取る。第2フィルタ部56は、混合流体吐出部22から戻ってきた水から不純物を漉し取る。
【0022】
図2を参照しつつ、混合流体吐出部22の構成について説明する。混合流体吐出部22は、供給装置70と、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76と、圧送ポンプ78と、追圧ポンプ80と、第1供給側逆流防止弁82と、第2供給側逆流防止弁84と、第3供給側逆流防止弁86と、第1吐出側逆流防止弁88と、第2吐出側逆流防止弁90と、第3吐出側逆流防止弁92と、第1戻弁94と、第2戻弁96と、第3戻弁98と、第1圧送弁100と、第2圧送弁102と、第3圧送弁104と、第1追圧弁106と、第2追圧弁108と、第3追圧弁110とを有する。
【0023】
供給装置70は、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76とに対し混合流体を供給する。供給装置70が混合流体を供給する吐出流量は、これらのシリンダポンプそれぞれによる混合流体の吐出流量以上である。
【0024】
第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76とは、混合流体を可溶化圧力以上の圧力で吐出する。これらは、同時に混合流体を吐出するのではない。これらは、混合流体を順次吐出する。つまり、ある時点では第1吐出シリンダポンプ72が混合流体を吐出し、第2吐出シリンダポンプ74と第3吐出シリンダポンプ76とは混合流体を吐出しない。別の時点では、第2吐出シリンダポンプ74が混合流体を吐出し、第3吐出シリンダポンプ76と第1吐出シリンダポンプ72とは混合流体を吐出しない。また別の時点では、第3吐出シリンダポンプ76が混合流体を吐出し、第1吐出シリンダポンプ72と第2吐出シリンダポンプ74とは混合流体を吐出しない。本実施形態において、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76とは、混合流体を25メガパスカルで吐出する。本実施形態の場合、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76とは、同一の構造である。これらの構造については後述する。
【0025】
圧送ポンプ78は、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76とへ、これらを駆動するための駆動流体を供給する。本実施形態の場合、圧送ポンプ78は、純水タンク52に蓄えられた水を駆動流体として供給する。
【0026】
追圧ポンプ80は、第1吐出シリンダポンプ72、第2吐出シリンダポンプ74、および、第3吐出シリンダポンプ76へ、これらが上述した圧力で混合流体を吐出するための駆動流体を供給する。本実施形態の場合、追圧ポンプ80も、純水タンク52に蓄えられた水を駆動流体として供給する。
【0027】
第1供給側逆流防止弁82は、第1吐出シリンダポンプ72から見て混合流体の供給側すなわち供給装置70に連なる流路に設けられる。第1供給側逆流防止弁82は、供給装置70から第1吐出シリンダポンプ72へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。結果として、第1供給側逆流防止弁82は、第1吐出シリンダポンプ72に入ろうとする混合流体の逆流を防止することとなる。
【0028】
第2供給側逆流防止弁84は、第2吐出シリンダポンプ74から見て混合流体の供給側に設けられる。第2供給側逆流防止弁84は、供給装置70から第2吐出シリンダポンプ74へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。結果として、第2供給側逆流防止弁84は、第2吐出シリンダポンプ74に入ろうとする混合流体の逆流を防止することとなる。
【0029】
第3供給側逆流防止弁86は、第3吐出シリンダポンプ76から見て混合流体の供給側に設けられる。第3供給側逆流防止弁86は、供給装置70から第3吐出シリンダポンプ76へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。結果として、第3供給側逆流防止弁86は、第3吐出シリンダポンプ76に入ろうとする混合流体の逆流を防止することとなる。
【0030】
第1吐出側逆流防止弁88は、第1吐出シリンダポンプ72から見て混合流体の吐出側すなわち加熱部24に連なる流路に設けられる。第1吐出側逆流防止弁88は、第1吐出シリンダポンプ72から加熱部24へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。結果として、第1吐出側逆流防止弁88は、第1吐出シリンダポンプ72が吐出した混合流体の逆流を防止する。
【0031】
第2吐出側逆流防止弁90は、第2吐出シリンダポンプ74から見て混合流体の吐出側に設けられる。第2吐出側逆流防止弁90は、第2吐出シリンダポンプ74から加熱部24へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。結果として、第2吐出側逆流防止弁90は、第2吐出シリンダポンプ74が吐出した混合流体の逆流を防止する。
【0032】
第3吐出側逆流防止弁92は、第3吐出シリンダポンプ76から見て混合流体の吐出側に設けられる。第3吐出側逆流防止弁92は、第3吐出シリンダポンプ76から加熱部24へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。結果として、第3吐出側逆流防止弁92は、第3吐出シリンダポンプ76が吐出した混合流体の逆流を防止する。
【0033】
第1戻弁94は、第1吐出シリンダポンプ72から純水タンク52へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。第2戻弁96は、第2吐出シリンダポンプ74から純水タンク52へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。第3戻弁98は、第3吐出シリンダポンプ76から純水タンク52へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。
【0034】
第1圧送弁100は、圧送ポンプ78から第1吐出シリンダポンプ72へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。第2圧送弁102は、圧送ポンプ78から第2吐出シリンダポンプ74へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。第3圧送弁104は、圧送ポンプ78から第3吐出シリンダポンプ76へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。
【0035】
第1追圧弁106は、追圧ポンプ80から第1吐出シリンダポンプ72へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。第2追圧弁108は、追圧ポンプ80から第2吐出シリンダポンプ74へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。第3追圧弁110は、追圧ポンプ80から第3吐出シリンダポンプ76へ至る流路を開いたり閉じたりする開閉弁である。
【0036】
供給装置70は、蓄積部116と、気体供給機器118とを備える。蓄積部116は混合流体を蓄える。気体供給機器118は、蓄積部116に蓄えられている混合流体へ、図示しないコンプレッサから供給された気体を供給する。これにより、混合流体は、蓄積部116から、第1吐出シリンダポンプ72、第2吐出シリンダポンプ74、または第3吐出シリンダポンプ76へ押出される。なお、気体供給機器118が供給する気体の種類は特に限定されるものではない。本実施形態において、気体供給機器118は、空気を供給することとする。
【0037】
蓄積部116は、第1蓄積タンク120と、第2蓄積タンク122と、第1吐出弁124と、第2吐出弁126と、第1レベルセンサ127と、第2レベルセンサ129とを有する。第1蓄積タンク120は混合流体を一時的に蓄える。第2蓄積タンク122も同様である。本実施形態の場合、これらは、混合流体を補充可能な構造となっている。本実施形態の場合、これらは、撹拌機としてマグネチックスターラをそれぞれ有する。第1蓄積タンク120が有するマグネチックスターラは、第1蓄積タンク120内部の混合流体を撹拌する。第2蓄積タンク122が有するマグネチックスターラは、第2蓄積タンク122内部の混合流体を撹拌する。第1吐出弁124は、第1蓄積タンク120から第1吐出シリンダポンプ72・第2吐出シリンダポンプ74・第3吐出シリンダポンプ76へ至る流路を開いたり閉じたりする。第2吐出弁126は、第2蓄積タンク122から第1吐出シリンダポンプ72・第2吐出シリンダポンプ74・第3吐出シリンダポンプ76へ至る流路を開いたり閉じたりする。第1レベルセンサ127は第1蓄積タンク120内の混合流体の量を検出する。第2レベルセンサ129は第2蓄積タンク122内の混合流体の量を検出する。
【0038】
気体供給機器118は、第1高圧空気供給路130と、第2高圧空気供給路132と、第1空気路弁134と、第2空気路弁136とを有する。第1高圧空気供給路130は、第1蓄積タンク120へ所定の高圧(エネルギ回収装置の設計者が適宜設定する圧力)の空気を供給する、管によって形成されている流路である。第2高圧空気供給路132は、第2蓄積タンク122に、第1高圧空気供給路130と同じ気圧の空気を供給する、管によって形成されている流路である。第1空気路弁134は第1高圧空気供給路130を開いたり閉じたりする。第2空気路弁136は第2高圧空気供給路132を開いたり閉じたりする。
【0039】
図3を参照しつつ、エネルギ回収部32の構成を説明する。本実施形態にかかるエネルギ回収部32は、第1熱交換器150と、発電機152と、第2熱交換器154とを有する。第1熱交換器150は、混合流体から熱エネルギを回収し発電機152に供給する。発電機152は、第1熱交換器150から供給された熱エネルギにより発電を行う。第2熱交換器154は、混合流体から熱エネルギを回収し水を温める。第1熱交換器150、発電機152、および、第2熱交換器154の具体的な構造は周知なのでその詳細な説明は繰返さない。
【0040】
図3を参照しつつ、二酸化炭素回収部34の構成について説明する。二酸化炭素回収部34は、気液分離装置160と、第1炭酸ガスボンベ170と、第2炭酸ガスボンベ172と、第1炭酸ガスセンサ174と、第2炭酸ガスセンサ176と、第1炭酸ガス弁178と、第2炭酸ガス弁180とを有する。気液分離装置160は、混合流体から炭酸ガスを分離する。第1炭酸ガスボンベ170と第2炭酸ガスボンベ172とは、気液分離装置160が混合流体から分離した炭酸ガスを蓄える。第1炭酸ガスセンサ174は、第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧を検出する。第2炭酸ガスセンサ176は、第2炭酸ガスボンベ172内部の気圧を検出する。第1炭酸ガス弁178は、第1炭酸ガスセンサ174が検出した第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧に基づいて、気液分離装置160から第1炭酸ガスボンベ170へ至る流路を開いたり閉じたりする。具体的には、第1炭酸ガス弁178は、第1炭酸ガスセンサ174が検出した第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が所定の値未満のとき、気液分離装置160から第1炭酸ガスボンベ170へ至る流路を開いた状態とする。第1炭酸ガス弁178は、第1炭酸ガスセンサ174が検出した第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が所定の値以上のとき、気液分離装置160から第1炭酸ガスボンベ170へ至る流路を閉じた状態とする。第2炭酸ガス弁180も、第1炭酸ガス弁178と同様に、第2炭酸ガスセンサ176が検出した第2炭酸ガスボンベ172内部の気圧に基づいて、気液分離装置160から第2炭酸ガスボンベ172へ至る流路を開いたり閉じたりする。
【0041】
図4を参照しつつ、本実施形態にかかる排出部36の構成について説明する。本実施形態にかかる排出部36は、第1回収シリンダポンプ190と、第2回収シリンダポンプ192と、排水タンク194と、第1分岐弁200と、第2分岐弁202と、第1前段排水弁204と、第2前段排水弁206と、第1後段排水弁208と、第2後段排水弁210と、圧送タンク220と、排水用空気供給路222と、排水用空気路弁224と、駆動流体ポンプ226と、第1駆動弁228と、第2駆動弁230と、追圧ポンプ232と、三方弁234と、第1圧力制御弁236と、第2圧力制御弁238と、排水用フィルタ部240とを有する。
【0042】
第1回収シリンダポンプ190と第2回収シリンダポンプ192とは、二酸化炭素回収部34から供給された混合流体を排水タンク194へ交互に送る。第1回収シリンダポンプ190の構造と第2回収シリンダポンプ192の構造とは、第1吐出シリンダポンプ72、第2吐出シリンダポンプ74、および、第3吐出シリンダポンプ76の構造と同一である。排水タンク194は、第1回収シリンダポンプ190と第2回収シリンダポンプ192とが送った混合流体を蓄える。
【0043】
第1分岐弁200は、二酸化炭素回収部34から第1回収シリンダポンプ190に至る流路を開いたり閉じたりする。第2分岐弁202は、二酸化炭素回収部34から第2回収シリンダポンプ192へ至る流路を開いたり閉じたりする。第1分岐弁200と第2分岐弁202とが動作することにより、混合流体は第1回収シリンダポンプ190へ流れたり第2回収シリンダポンプ192へ流れたりする。
【0044】
第1前段排水弁204は、第1回収シリンダポンプ190から排水タンク194に至る流路を開いたり閉じたりする。第2前段排水弁206は、第2回収シリンダポンプ192から排水タンク194へ至る流路を開いたり閉じたりする。第1後段排水弁208は、第1前段排水弁204と同様の機能を有する。第2後段排水弁210は、第2前段排水弁206と同様の機能を有する。第1回収シリンダポンプ190から排水タンク194に至る流路に第1前段排水弁204と第1後段排水弁208とが設けられている。第2回収シリンダポンプ192から排水タンク194へ至る流路に第2前段排水弁206と第2後段排水弁210とが設けられている。これは、第1回収シリンダポンプ190から排水タンク194に至る流路内の圧力および第2回収シリンダポンプ192から排水タンク194へ至る流路内の圧力を段階的に下げるためである。圧力を段階的に下げるのは、そうしなければ混合流体が排水タンク194に排出される際、混合流体に溶存している二酸化炭素が排出時に気化して噴出するためである。
【0045】
圧送タンク220は、第1回収シリンダポンプ190と第2回収シリンダポンプ192とに駆動流体を供給する。本実施形態における駆動流体は水である。排水用空気供給路222は、図示しないコンプレッサから圧送タンク220へ高圧空気を供給するための流路である。圧送タンク220へ高圧空気が供給されることにより、圧送タンク220から第1回収シリンダポンプ190と第2回収シリンダポンプ192とへ水が押出されることとなる。排水用空気路弁224は、排水用空気供給路222を開いたり閉じたりする。駆動流体ポンプ226は、圧送タンク220へ水を供給する。
【0046】
第1駆動弁228は、圧送タンク220から第1回収シリンダポンプ190へ至る流路を開いたり閉じたりする。第2駆動弁230は、圧送タンク220から第2回収シリンダポンプ192へ至る流路を開いたり閉じたりする。
【0047】
追圧ポンプ232は、二酸化炭素回収部34から流入する混合流体の圧力を支えるための駆動流体を第1回収シリンダポンプ190と第2回収シリンダポンプ192とに供給する。三方弁234は、追圧ポンプ232が吐出した充填水を第1回収シリンダポンプ190または第2回収シリンダポンプ192に誘導する。
【0048】
第1圧力制御弁236は、追圧ポンプ232および第1回収シリンダポンプ190から水供給部20の純水タンク52へ至る流路の圧力が所定の値を超えたとき開く。この値は、二酸化炭素回収部34から流入する混合流体の圧力値より低く、圧送タンク220から押出される駆動流体の圧力値より高い。これにより、追圧ポンプ232または第1回収シリンダポンプ190から純水タンク52へ充填水が流れる。第2圧力制御弁238は、追圧ポンプ232および第2回収シリンダポンプ192から純水タンク52へ至る流路の圧力が所定の値を超えたとき開く。この値も、二酸化炭素回収部34から流入する混合流体の圧力値より低く、圧送タンク220から押出される駆動流体の圧力値より高い。これにより、追圧ポンプ232または第2回収シリンダポンプ192から純水タンク52へ充填水が流れる。排水用フィルタ部240は、第1圧力制御弁236を通過した充填水および第2圧力制御弁238を通過した充填水から不純物を漉し取る。
【0049】
〈シリンダポンプの説明〉
本実施形態の場合、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76と、第1回収シリンダポンプ190と、第2回収シリンダポンプ192とは、いずれも、同一構造である。図5は、これらのシリンダポンプの断面図である。図5を参照しつつ、本実施形態にかかるシリンダポンプについて説明する。
【0050】
本実施形態にかかるシリンダポンプは、シリンダ250と、プランジャ252と、取付管254と、駆動流体管256と、混合流体管258とを備える。シリンダ250は、混合流体と駆動流体とを収容する。プランジャ252は、シリンダ250の中を駆動流体室270と混合流体室272とに区切る。駆動流体室270は駆動流体が出入りする空間である。混合流体室272は混合流体が出入りする空間である。プランジャ252は、シリンダ250内をその内面に沿って滑りながら移動することができる。取付管254は、プランジャ252に接続される。これにより、取付管254は、プランジャ252と共に移動することとなる。駆動流体管256は駆動流体室270と連通する。充填水は駆動流体管256を通過して駆動流体室270に流入したり駆動流体室270から流出したりする。混合流体は混合流体管258を通過して混合流体室272に流入したり混合流体室272から流出したりする。
【0051】
シリンダ250は、チューブ280と、プラグ282と、シリンダ密封リング284とを有する。本実施形態にかかるチューブ280は断面が円形の部材である。このチューブ280は底部290と口部292とを有する。底部290には混合流体路294が設けられている。上述した混合流体管258は混合流体路294を介して混合流体室272と連通する。つまり、混合流体路294から混合流体が出入りする。プラグ282は、チューブ280の口部292の奥に挿入される。プラグ282の中心には管スライド孔300が設けられている。取付管254はその管スライド孔300を貫通する。その管スライド孔300には図示しないシールが形成されている。そのシールがあるので、管スライド孔300の内周面と取付管254の外周面との隙間からの漏液が押さえられている。また、プラグ282には、駆動流体路302も設けられている。上述した駆動流体管256は駆動流体路302を介して駆動流体室270と連通する。つまり、駆動流体路302から駆動流体が出入りする。シリンダ密封リング284は環状の部材である。取付管254と駆動流体管256とはその中を貫通する。シリンダ密封リング284の外周面にはおねじが形成されている。チューブ280の口部292の内周面にはめねじが形成されている。プラグ282が収容されている状態でシリンダ密封リング284のおねじをチューブ280の口部292の内周面のめねじにねじ込むことにより、シリンダ密封リング284はチューブ280に取付けられる。このような構造となっているので、取付管254はシリンダ250を貫通することとなる。
【0052】
なお、取付管254にはしるし310が取付けられている。また、シリンダ密封リング284にはブラケット320が取付けられている。ブラケット320のうち2箇所に第1近接センサ330と第2近接センサ332とが取付けられている。第1近接センサ330と第2近接センサ332とが取付管254のしるし310を検知することにより、シリンダ250内部におけるプランジャ252の位置を検知することができる。
【0053】
なお、本実施形態の場合、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76と、第1回収シリンダポンプ190と、第2回収シリンダポンプ192とは、いずれも、混合流体が含む燃料の沈殿を防止するため、図示しないマグネチックスターラを有している。また、本実施形態の場合、第1吐出シリンダポンプ72と、第2吐出シリンダポンプ74と、第3吐出シリンダポンプ76と、第1回収シリンダポンプ190と、第2回収シリンダポンプ192とは、いずれも、駆動流体室270内部の圧力を検知する図示しない圧力トランスミッタと、混合流体室272内部の圧力を検知する図示しない圧力トランスミッタとを有する。
【0054】
〈動作の説明〉
[混合流体吐出部の動作の説明]
次に、図1、図2、図3、図4を参照しつつ、上記のように構成したエネルギ回収装置を用いて酸化熱を回収する方法につき説明する。なお、上記のように構成したエネルギ回収装置は制御を必要とする。その制御は手動によるものであってもシーケンサなどによる自動制御であっても手動制御と自動制御とを併用してもよい。以下の説明では、図示しないシーケンサによる自動制御と作業者による手動制御とを併用する場合につき説明する。
【0055】
まず、準備作業を行う。作業者が、第1蓄積タンク120と第2蓄積タンク122とに燃料と溶媒として水とを投入する。燃料は、ブレンダミル38によって予め粉砕されている。この時、第1供給側逆流防止弁82、第2供給側逆流防止弁84、第3供給側逆流防止弁86、第1吐出側逆流防止弁88、第2吐出側逆流防止弁90、第3吐出側逆流防止弁92、第2戻弁96、第3戻弁98、第1吐出弁124、および、第2吐出弁126は閉じている。第1戻弁94は開いている。燃料と水とが投入されると、作業者は、上述したシーケンサを起動する。シーケンサは、第1空気路弁134と第2空気路弁136とをこれらが開くよう制御する。これにより、図示しないコンプレッサから第1蓄積タンク120と第2蓄積タンク122とへ高圧空気が流入し始める。
【0056】
高圧空気が流入し始めると、シーケンサは、圧送ポンプ78をこれが起動するよう制御する。圧送ポンプ78が起動したら、シーケンサは、第1圧送弁100をこれが開くよう制御する。第1圧送弁100が開くと、第1吐出シリンダポンプ72の駆動流体室270に駆動流体すなわち水が流入し始める。第1吐出シリンダポンプ72の駆動流体室270に駆動流体が流入すると、第1吐出シリンダポンプ72のプランジャ252がチューブ280の底部290へ近づく。プランジャ252がチューブ280の底部290へ近づくと、第1近接センサ330がしるし310を検知する。上述したように、第1近接センサ330がしるし310を検知する時、第1戻弁94は開いている。第1戻弁94が開いたまま駆動流体室270に充填水が流入し続けることにより、駆動流体室270のエア抜きが行われる。駆動流体の流入開始後、所定の時間(エア抜きが十分完了するような、予め定められた時間)が経過すると、シーケンサは、第1圧送弁100と第1戻弁94とをこれらが閉じるよう制御する。
【0057】
第1圧送弁100と第1戻弁94とが閉じると、シーケンサは、第2圧送弁102をこれが開くよう制御する。第2圧送弁102が開くと、第2吐出シリンダポンプ74の駆動流体室270に充填水が流入し始める。第2吐出シリンダポンプ74の駆動流体室270に充填水が流入すると、第2吐出シリンダポンプ74のプランジャ252がチューブ280の底部290へ近づく。プランジャ252がチューブ280の底部290へ近づくと、第1近接センサ330がしるし310を検知する。第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第2戻弁96をこれが開くよう制御する。第2戻弁96が開いたまま駆動流体室270に充填水が流入し続けることにより、駆動流体室270のエア抜きが行われる。第2戻弁96が開いた後、所定の時間(エア抜きが十分完了するような、予め定められた時間)が経過すると、シーケンサは、第2圧送弁102と第2戻弁96とをこれらが閉じるよう制御する。
【0058】
第2圧送弁102と第2戻弁96とが閉じると、シーケンサは、第3圧送弁104をこれが開くよう制御する。第3圧送弁104が開くと、第3吐出シリンダポンプ76の駆動流体室270に充填水が流入し始める。第3吐出シリンダポンプ76の駆動流体室270に充填水が流入すると、第3吐出シリンダポンプ76のプランジャ252がチューブ280の底部290へ近づく。プランジャ252がチューブ280の底部290へ近づくと、第1近接センサ330がしるし310を検知する。第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第3戻弁98をこれが開くよう制御する。第3戻弁98が開いたまま駆動流体室270に充填水が流入し続けることにより、駆動流体室270のエア抜きが行われる。第3戻弁112が開いた後、所定の時間(エア抜きが十分完了するような、予め定められた時間)が経過すると、シーケンサは、第3圧送弁104と第3戻弁98とをこれらが閉じるよう制御する。これにより、準備作業が終了する。
【0059】
次に、シーケンサは、第1供給側逆流防止弁82と第1吐出弁124とをこれらが開くよう制御する。第1供給側逆流防止弁82と第1吐出弁124とが開くと、第1蓄積タンク120内部の混合流体は、第1高圧空気供給路130を通じて供給される空気の圧力により第1蓄積タンク120から押出される。押出された混合流体は、第1吐出シリンダポンプ72の混合流体室272に流入する。混合流体室272に混合流体が流入することに伴い、第1吐出シリンダポンプ72のプランジャ252がチューブ280の口部292へ近づく。プランジャ252が口部292へ近づくと、第2近接センサ332がしるし310を検知する。第2近接センサ332がしるし310を検知すると、シーケンサは、第1供給側逆流防止弁82をこれが閉じるよう制御する。
【0060】
その後、シーケンサは、第2供給側逆流防止弁84をこれが開くよう制御する。第2供給側逆流防止弁84が開くと、第1蓄積タンク120内部の混合流体は、第2吐出シリンダポンプ74の混合流体室272に流入する。混合流体室272に混合流体が流入することに伴い、第2吐出シリンダポンプ74のプランジャ252がチューブ280の口部292へ近づく。プランジャ252が口部292へ近づくと、第2近接センサ332がしるし310を検知する。第2近接センサ332がしるし310を検知すると、シーケンサは、第2供給側逆流防止弁84をこれが閉じるよう制御する。
【0061】
その後、シーケンサは、第3供給側逆流防止弁86をこれが開くよう制御する。第3供給側逆流防止弁86が開くと、第1蓄積タンク120内部の混合流体は、第3吐出シリンダポンプ76の混合流体室272に流入する。混合流体室272に混合流体が流入することに伴い、第3吐出シリンダポンプ76のプランジャ252がチューブ280の口部292へ近づく。プランジャ252が口部292へ近づくと、第2近接センサ332がしるし310を検知する。第2近接センサ332がしるし310を検知すると、シーケンサは、第3供給側逆流防止弁86をこれが閉じるよう制御する。以上のようにして、第1吐出シリンダポンプ72・第2吐出シリンダポンプ74・第3吐出シリンダポンプ76に混合流体が順次充填される。
【0062】
第2吐出シリンダポンプ74または第3吐出シリンダポンプ76に混合流体が充填され、第1供給側逆流防止弁82が閉じると、シーケンサは、追圧ポンプ80をこれが起動するよう制御する。また、シーケンサは、第1追圧弁106をこれが開くよう制御する。第1追圧弁106が開くことにより、追圧ポンプ80が供給した駆動流体が第1吐出シリンダポンプ72の駆動流体室270に流入する。駆動流体が流入するので、駆動流体室270内部の圧力が上昇する。駆動流体室270内部の圧力は、図示しない圧力トランスミッタが検知する。駆動流体室270内部の圧力が所定の圧力になったことをその圧力トランスミッタが検知すると、シーケンサは、第1追圧弁106をこれが閉じるよう制御する。さらに、シーケンサは、追圧ポンプ80をこれが停止するよう制御する。
【0063】
第1供給側逆流防止弁82が閉じた後、第2供給側逆流防止弁84が閉じると、シーケンサは、追圧ポンプ80をこれが再起動するよう制御する。また、シーケンサは、第2追圧弁108をこれが開くよう制御する。第2追圧弁108が開くことにより、追圧ポンプ80が供給した駆動流体が第2吐出シリンダポンプ74の駆動流体室270に流入する。駆動流体が流入するので、駆動流体室270内部の圧力が上昇する。駆動流体室270内部の圧力は、図示しない圧力トランスミッタが検知する。駆動流体室270内部の圧力が所定の圧力になったことをその圧力トランスミッタが検知すると、シーケンサは、第2追圧弁108をこれが閉じるよう制御する。さらに、シーケンサは、追圧ポンプ80をこれが停止するよう制御する。
【0064】
第2供給側逆流防止弁84が閉じた後、第3供給側逆流防止弁86が閉じると、シーケンサは、追圧ポンプ80をこれが再起動するよう制御する。また、シーケンサは、第3追圧弁110をこれが開くよう制御する。第3追圧弁110が開くことにより、追圧ポンプ80が供給した駆動流体が第3吐出シリンダポンプ76の駆動流体室270に流入する。駆動流体が流入するので、駆動流体室270内部の圧力が上昇する。駆動流体室270内部の圧力は、図示しない圧力トランスミッタが検知する。駆動流体室270内部の圧力が所定の圧力になったことをその圧力トランスミッタが検知すると、シーケンサは、第3追圧弁110をこれが閉じるよう制御する。さらに、シーケンサは、追圧ポンプ80をこれが停止するよう制御する。
【0065】
第1吐出シリンダポンプ72の駆動流体室270内部の圧力が所定の圧力になり、かつ、第1追圧弁106が閉じると、シーケンサは、圧送ポンプ78をこれが起動するよう制御する。また、シーケンサは、第1吐出側逆流防止弁88と第1圧送弁100とをこれらが開くよう制御する。圧送ポンプ78が起動すると、第1吐出シリンダポンプ72の駆動流体室270に充填水が流入する。第1吐出側逆流防止弁88が開き、かつ、駆動流体室270に駆動流体が流入するので、第1吐出シリンダポンプ72のプランジャ252が底部290へ向かって移動する。プランジャ252が底部290へ向かって移動すると、混合流体は加熱部24へ吐出される。
【0066】
第1吐出シリンダポンプ72のプランジャ252が底部290に近づくと、第1近接センサ330がしるし310を検知する。第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第2吐出側逆流防止弁90と第2圧送弁102とをこれらが開くよう制御する。これにより、第2吐出シリンダポンプ74の駆動流体室270に駆動流体が流入する。第2吐出側逆流防止弁90が開き、かつ、駆動流体室270に駆動流体が流入するので、第2吐出シリンダポンプ74のプランジャ252が底部290へ向かって移動する。プランジャ252が底部290へ向かって移動すると、第1吐出シリンダポンプ72に続いて第2吐出シリンダポンプ74による混合流体の吐出が開始される。第2吐出側逆流防止弁90と第2圧送弁102とが開くと、シーケンサは、第1吐出側逆流防止弁88と第1圧送弁100とをこれらが閉じるように制御する。
【0067】
第2吐出シリンダポンプ74のプランジャ252が底部290に近づくと、第1近接センサ330がしるし310を検知する。第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第3吐出側逆流防止弁92と第3圧送弁104とをこれらが開くよう制御する。これにより、第3吐出シリンダポンプ76の駆動流体室270に駆動流体が流入する。第3吐出側逆流防止弁92が開き、かつ、駆動流体室270に駆動流体が流入するので、第3吐出シリンダポンプ76のプランジャ252が底部290へ向かって移動する。プランジャ252が底部290へ向かって移動すると、第2吐出シリンダポンプ74に続いて第3吐出シリンダポンプ76による混合流体の吐出が開始される。第3吐出側逆流防止弁92と第3圧送弁104が開くと、シーケンサは、第2吐出側逆流防止弁90と第2圧送弁102とをこれらが閉じるように制御する。
【0068】
こうして第1蓄積タンク120から混合流体を供給した結果として第1蓄積タンク120内の混合流体の量が所定の量未満になったことを第1レベルセンサ127が検出すると、第1レベルセンサ127は、シーケンサに信号を送信する。シーケンサは、その信号を受信すると、第1吐出弁124と第1空気路弁134とが閉じ、第2吐出弁126と第2空気路弁136とが開くように、これらを制御する。これにより、第1蓄積タンク120からの混合流体の供給が停止し、第2蓄積タンク122からの混合流体の供給が開始される。また、シーケンサは、第1蓄積タンク120内の混合流体の量が所定の量未満になったことを示す図示しないランプを点灯する。これを見た作業者は、第1蓄積タンク120の図示しない蓋を開き、ブレンダミル38で粉砕した燃料と水とを補充する。
【0069】
第1吐出シリンダポンプ72からの混合流体の送出が完了したことで第1吐出側逆流防止弁88と第1圧送弁100とが閉じ、かつ、第3吐出シリンダポンプ76への混合流体の充填が完了したことで第3供給側逆流防止弁86が閉じると、シーケンサは、第1供給側逆流防止弁82をこれが再度開くよう制御する。これにより混合流体が第1吐出シリンダポンプ72の混合流体室272に流入する。以後、上述した制御が繰返されることにより、混合流体吐出部22から加熱部24へ連続して混合流体が吐出される。
【0070】
[加熱部による混合流体に対する処理の説明]
混合流体吐出部22から吐出された混合流体は、加熱部24へ流入する。加熱部24にて、混合流体は加熱される。加熱されることにより、混合流体の温度は523ケルビン(摂氏約250度)に上昇する。上述した説明から明らかな通り、混合流体にかかる圧力は、25メガパスカルである。このとき、上述した燃料に対する水の溶解度が大幅に上昇する。その結果、混合流体中の燃料が水に溶ける。燃料が水に溶けた状態で、混合流体は酸化部30へ流出する。
【0071】
[酸化部による混合流体に対する処理の説明]
加熱部24から流出した混合流体は、酸化部30へ流入する。酸化部30に流入した混合流体に対し、酸素添加部26によって酸素が添加される。酸素が添加された混合流体において、燃料が酸化する現象が生じる。酸化した混合流体の温度は673ケルビン(摂氏約400度)に上昇し超臨界状態となる。燃料が酸化することで、燃料は炭酸ガスと灰分と水とに変化する。また、酸化反応温度を抑えるため水添加部28がある。酸化部30の温度が所定の温度を上回る場合には溶媒添加部258が混合流体に対し溶媒(この場合は水)を添加する。なお、酸化反応温度が低すぎる場合には酸化部30のヒータによって混合流体を加熱する。燃料が酸化した混合流体は、エネルギ回収部32に流出する。
【0072】
[エネルギ回収部における熱回収処理の説明]
酸化部30から流出した混合流体は、エネルギ回収部32へ流入する。エネルギ回収部32では、第1熱交換器150が混合流体から熱エネルギを回収する。第1熱交換器150が回収した熱エネルギによって発電機152が発電する。また、第2熱交換器154は、混合流体から回収した熱エネルギによって水を温める。第1熱交換器150と第2熱交換器154とによって熱エネルギが回収された混合流体は、二酸化炭素回収部34に流出する。
【0073】
[二酸化炭素回収部における炭酸ガス回収処理の説明]
エネルギ回収部32から流出した混合流体は、二酸化炭素回収部34へ流入する。二酸化炭素回収部34の気液分離装置160は、混合流体から炭酸ガスを分離する。この時、第1炭酸ガス弁178が開いており、第2炭酸ガス弁180が閉じていることとする。これにより、分離された炭酸ガスは、第1炭酸ガスボンベ170に流入する。炭酸ガスが回収された混合流体は、排水部36に流出する。
【0074】
その後、第1炭酸ガスボンベ170に炭酸ガスが蓄えられるにつれ、第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が次第に高くなる。第1炭酸ガスセンサ174は、第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が所定の圧力を超えたことを検出する。第1炭酸ガスセンサ174は、シーケンサに対し、第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が所定の圧力を超えたことを示す信号を送信する。その信号を受信したシーケンサは、第1炭酸ガス弁178が閉じ、第2炭酸ガス弁180が開くよう、これらを制御する。これにより、分離された炭酸ガスは、第2炭酸ガスボンベ172に流入する。また、シーケンサは、第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が所定の圧力を超えたことを示す図示しないランプを点灯する。これを見た作業者は、第1炭酸ガスボンベ170内部の気圧が所定の圧力を超えたことを示す図示しないランプを点灯する。これを見た作業者は、第1炭酸ガスボンベ170を新たなガスボンベに交換する。以降、同様にして、炭酸ガスの回収を継続する。
【0075】
[排出部の動作の説明]
まず、稼動する当初において、シーケンサは、駆動流体ポンプ226を稼動させ、排水用空気供給路222を介して圧送タンク220へ空気を供給し、かつ、第1駆動弁228を開くようこれを制御することにより、圧送タンク220から第1回収シリンダポンプ190の駆動流体室270内へ駆動流体を供給する。駆動流体が駆動流体室270内に充満し、かつ、第1回収シリンダポンプ190の第1近接センサ330がしるし310を検知する(すなわち、プランジャ252がチューブ280の底部290に近付く)と、シーケンサは、第1駆動弁228を閉じるようこれを制御する。これにより、圧送タンク220から駆動流体室270内への充填水の供給は停止する。続いて、シーケンサは、追圧ポンプ232から第1回収シリンダポンプ190の駆動流体室270までが通じるように三方弁234を制御する。追圧ポンプ232から駆動流体室270までが通じると、シーケンサは、追圧ポンプ232が起動するようこれを制御する。追圧ポンプ232が起動することで、追圧ポンプ232から駆動流体室270へ駆動流体が流入する。駆動流体が流入するので、駆動流体室270内部の圧力が上昇する。駆動流体室270内部の圧力は、図示しない圧力トランスミッタが検知する。駆動流体室270内部の圧力が所定の圧力になったことをその圧力トランスミッタが検知すると、シーケンサは、追圧ポンプ232から第2回収シリンダポンプ192の駆動流体室270までが通じるように三方弁234を制御する。さらに、シーケンサは、追圧ポンプ232をこれが停止するよう制御する。
【0076】
続いて、シーケンサは、第2駆動弁230を開くようこれを制御することにより、圧送タンク220から第2回収シリンダポンプ192の駆動流体室270内へ駆動流体を供給する。駆動流体が駆動流体室270内に充満し、かつ、第2回収シリンダポンプ192の第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第2駆動弁230を閉じるようこれを制御する。続いて、シーケンサは、追圧ポンプ232が起動するようこれを制御する。追圧ポンプ232が起動することで、追圧ポンプ232から第2回収シリンダポンプ192の駆動流体室270へ駆動流体が流入する。駆動流体が流入するので、駆動流体室270内部の圧力が上昇する。駆動流体室270内部の圧力は、図示しない圧力トランスミッタが検知する。駆動流体室270内部の圧力が所定の圧力になったことをその圧力トランスミッタが検知すると、シーケンサは、追圧ポンプ232をこれが停止するよう制御する。これにより、排水部36が動作するための準備が完了する。
【0077】
その後、シーケンサは、第1分岐弁200が開き、第1前段排水弁204と第1後段排水弁208と第2分岐弁202と第2前段排水弁206と第2後段排水弁210とが閉じるようこれらを制御する。これにより、二酸化炭素回収部34から第1回収シリンダポンプ190の混合流体室272までが通じる。二酸化炭素回収部34から第1回収シリンダポンプ190の混合流体室272までが通じると、二酸化炭素回収部34から混合流体が流入する。混合流体の圧力は駆動流体室270内の圧力に比べると高い。これにより第1回収シリンダポンプ190の混合流体室272内に混合流体が充填され、プランジャ252が移動する。駆動流体室270内の駆動流体は、第1圧力制御弁236と排水用フィルタ部240とを経て純水タンク52に排出される。この時には第1圧力制御弁236において圧力差が生じるので、駆動流体が純水タンク52内に排出されても、加熱部24から二酸化炭素回収部34までの混合流体の圧力が急激に低下することはない。混合流体室272内が満杯または満杯近くになったことで第1回収シリンダポンプ190の第2近接センサ332がしるし310を検知すると、シーケンサは、第1分岐弁200が閉じるようこれを制御する。
【0078】
第1分岐弁200が閉じると、シーケンサは、第2分岐弁202が開くようこれを制御する。これにより、二酸化炭素回収部34から第2回収シリンダポンプ192の混合流体室272までが通じる。二酸化炭素回収部34から第2回収シリンダポンプ192の混合流体室272までが通じると、二酸化炭素回収部34から混合流体が流入する。混合流体室272内が満杯または満杯近くになったことで第2回収シリンダポンプ192の第2近接センサ332がしるし310を検知すると、シーケンサは、第2分岐弁202が閉じるようこれを制御する。
【0079】
第1分岐弁200が閉じた直後に、シーケンサは、第1駆動弁228と第1前段排水弁204とを開くようこれらを制御する。次に第1前段排水弁204を閉にし第1後段排出弁208を開にする。第1前段排水弁204と第1後段排出弁208との開閉動作を繰り返し行うことで第1回収シリンダポンプ190内の圧力が順次低下し、ガスの一気排出を防止する。圧送タンク220から第1回収シリンダポンプ190の駆動流体室270内へ駆動流体が流入する。駆動流体室270へ駆動流体が供給されると、その駆動流体の圧力がプランジャ252に働く。圧力がプランジャ252にかかるので、プランジャ252が混合流体室272の方へ動く。プランジャ252が混合流体室272の方へ動くので、混合流体路294から排水タンク194へ排水である混合流体が排出される。混合流体路294から排水タンク194へ排水である混合流体が排出される間、混合流体室272の中の混合流体は、マグネチックスターラによって攪拌される。これにより、混合流体室272の中で混合流体中の灰分が沈殿することは回避される。その後、第1回収シリンダポンプ190の第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第1駆動弁228と第1前段排水弁204と第1後段排水弁208とを閉じるようこれらを制御する。
【0080】
第1駆動弁228と第1前段排水弁204と第1後段排水弁208と第2分岐弁202とが閉じると、シーケンサは、第2駆動弁230と第2前段排水弁206とを開くようこれらを制御する。次に第2前段排水弁206を閉にし第2後段排出弁210を開にする。第2前段排水弁206と第2後段排出弁210との開閉動作を繰り返し行うことで第2回収シリンダポンプ192内の圧力が順次低下し、ガスの一気排出を防止する。圧送タンク220から第2回収シリンダポンプ192の駆動流体室270内へ駆動流体が流入する。駆動流体室270へ駆動流体が流入すると、その駆動流体の圧力がプランジャ252に働く。圧力がプランジャ252に働くと、そのプランジャ252が混合流体室272の方へ動く。プランジャ252が混合流体室272の方へ動くので、混合流体路294から排水タンク194へ排水である混合流体が排出される。混合流体路294から排水タンク194へ排水である混合流体が排出される間、混合流体室272の中の混合流体は、マグネチックスターラによって攪拌される。その後、第2回収シリンダポンプ192の第1近接センサ330がしるし310を検知すると、シーケンサは、第2駆動弁230と第2前段排水弁206と第2後段排水弁210とを閉じるようこれらを制御する。
【0081】
第2駆動弁230と第2前段排水弁206と第2後段排水弁210とが開くと、シーケンサは、第1分岐弁200を開き第1前段排水弁204と第1後段排水弁208とを閉じるようこれらを制御する。これにより、二酸化炭素回収部34から第1回収シリンダポンプ190の混合流体室272までが再度通じる。二酸化炭素回収部34から第1回収シリンダポンプ190の混合流体室272までが通じると、二酸化炭素回収部34から混合流体が流入する。以降、上述した制御を繰返すことにより、第1回収シリンダポンプ190と第2回収シリンダポンプ192とから混合流体が順次排出される。
【0082】
〈効果の説明〉
以上のようにして、本実施形態にかかるエネルギ回収装置によれば、混合流体の含水率に影響を受けることなくその混合流体から熱エネルギを回収することができる。また、本実施形態かかるエネルギ回収装置によれば、混合流体吐出部22が連続して混合流体を吐出するので、熱エネルギの回収を連続して実施することができる。
【0083】
また、本実施形態にかかるエネルギ回収装置によれば、混合流体吐出部22が、第1吐出シリンダポンプ72・第2吐出シリンダポンプ74・第3吐出シリンダポンプ76と供給装置70とを有するので、粒状の燃料を含む混合流体を連続して吐出できる。混合流体吐出部22が粒状の燃料を含む混合流体を連続して吐出できるので、可溶化圧力以上の圧力を受け可溶化温度以上の温度である混合流体から熱エネルギを回収するための一連の処理を順次実施することが可能となる。その途中、エネルギ回収装置内で混合流体の温度および圧力をいったん下降させてから再び上昇させる必要がない。これにより、温度および圧力の上昇と下降とのために消費されるはずのエネルギを消費せずに済む。エネルギを消費せずに済むので、その分、実質的により多くのエネルギを回収することができる。その結果、粒状の燃料を効率よく酸化させることができその燃料から実質的により多くのエネルギを回収することができる。
【0084】
また、本実施形態にかかるエネルギ回収装置によれば、気体供給機器118が気体を供給することにより混合流体を蓄積部116から押出す。これにより、シリンダの往復によって混合流体を充填し押出す場合に比べ、混合流体を押出してから再度混合流体を充填するまでの時間を短縮することができる。その結果、混合流体を押出してから再度混合流体を充填するまで第1吐出シリンダポンプ72・第2吐出シリンダポンプ74・第3吐出シリンダポンプ76に対し混合流体を供給できないことに起因する不調の発生を抑えることができる。
【0085】
また、本実施形態にかかるエネルギ回収装置によれば、蓄積部116が第1蓄積タンク120と第2蓄積タンク122とを有している。これにより、第1蓄積タンク120と第2蓄積タンク122とのうち一方から混合流体が押出されている間に他方へ混合流体を充填することができる。
【0086】
また、本実施形態にかかるエネルギ回収装置によれば、混合流体吐出部22が、第1供給側逆流防止弁82と、第2供給側逆流防止弁84と、第3供給側逆流防止弁86と、第1吐出側逆流防止弁88と、第2吐出側逆流防止弁90と、第3吐出側逆流防止弁92とを有する。これにより、混合流体の逆流が防止される。混合流体の逆流が防止されると、逆流が防止されない場合に比べ、混合流体の吐出が効率よく行われることとなる。混合流体の吐出が効率よく行われると、その分、燃料を効率よく酸化させることができる。
【0087】
〈変形例の説明〉
上述したエネルギ回収装置は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述したエネルギ回収装置は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0088】
例えば、混合流体吐出部22におけるシリンダポンプの数は上述したものに限定されない。その数は、混合流体の送出速度に基づいて適宜設定されるものである。ただし、混合流体吐出部22におけるシリンダポンプの数が複数であることが望ましい。混合流体吐出部22が連続して混合流体を吐出できるためである。
【0089】
また、混合流体吐出部22は、第1吐出シリンダポンプ72・第2吐出シリンダポンプ74・第3吐出シリンダポンプ76のような、駆動流体によって駆動されるタイプのシリンダポンプに代え、リンク機構によってピストンが駆動されるタイプのシリンダポンプを有してもよい。
【0090】
また、混合流体吐出部22は、シリンダポンプに代えて、供給装置70と同様の構造により可溶化圧力以上の圧力で混合流体を連続して吐出する装置であってもよい。
【0091】
また、加熱部24は、混合流体吐出部22または供給装置70と同様の構造の、混合流体を連続して送出する装置を有していてもよい。これにより、混合流体吐出部22に加えて加熱部24でも混合流体を送出することとなるので、混合流体の処理速度を向上させることができる。
【0092】
また、上述した駆動流体は水に限定されない。
【0093】
また、上述した蓄積部116は、第1蓄積タンク120と第2蓄積タンク122とに代えて、混合流体が入った使い捨てタンクを有していてもよい。
【0094】
また、上述したエネルギ回収部32は、第1熱交換器150に代えてスターリングエンジンを有してもよい。
【符号の説明】
【0095】
20…水供給部、
22…混合流体吐出部、
24…加熱部、
26…酸素添加部、
28…溶媒添加部、
30…酸化部、
32…エネルギ回収部、
34…二酸化炭素回収部、
36…排出部、
38…ブレンダミル、
50…純水装置、
52…純水タンク、
54…第1フィルタ部、
56…第2フィルタ部、
70…供給装置、
72…第1吐出シリンダポンプ、
74…第2吐出シリンダポンプ、
76…第3吐出シリンダポンプ、
78…圧送ポンプ、
80,232…追圧ポンプ、
82…第1供給側逆流防止弁、
84…第2供給側逆流防止弁、
86…第3供給側逆流防止弁、
88…第1吐出側逆流防止弁、
90…第2吐出側逆流防止弁、
92…第3吐出側逆流防止弁、
94…第1戻弁、
96…第2戻弁、
98…第3戻弁、
100…第1圧送弁、
102…第2圧送弁、
104…第3圧送弁、
106…第1追圧弁、
108…第2追圧弁、
110…第3追圧弁、
116…蓄積部、
118…気体供給機器、
120…第1蓄積タンク、
122…第2蓄積タンク、
124…第1吐出弁、
126…第2吐出弁、
127…第1レベルセンサ、
129…第2レベルセンサ、
130…第1高圧空気供給路、
132…第2高圧空気供給路、
134…第1空気路弁、
136…第2空気路弁、
150…第1熱交換器、
152…発電機、
154…第2熱交換器、
160…気液分離装置、
170…第1炭酸ガスボンベ、
172…第2炭酸ガスボンベ、
174…第1炭酸ガスセンサ、
176…第2炭酸ガスセンサ、
178…第1炭酸ガス弁、
180…第2炭酸ガス弁、
190…第1回収シリンダポンプ、
192…第2回収シリンダポンプ、
194…排水タンク、
200…第1分岐弁、
202…第2分岐弁、
204…第1前段排水弁、
206…第2前段排水弁、
208…第1後段排水弁、
210…第2後段排水弁、
220…圧送タンク、
222…排水用空気供給路、
224…排水用空気路弁、
226…駆動流体ポンプ、
228…第1駆動弁、
230…第2駆動弁、
234…三方弁、
236…第1圧力制御弁、
238…第2圧力制御弁、
240…排水用フィルタ部、
250…シリンダ、
252…プランジャ、
254…取付管、
256…駆動流体管、
258…混合流体管、
270…駆動流体室、
272…混合流体室、
280…チューブ、
282…プラグ、
284…シリンダ密封リング、
290…底部、
292…口部、
294…混合流体路、
300…管スライド孔、
302…駆動流体路、
310…しるし、
320…ブラケット、
330…第1近接センサ、
332…第2近接センサ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と溶媒とを含む混合流体に酸素を添加して前記燃料を酸化させ、前記燃料が酸化した前記混合流体から熱エネルギを回収するエネルギ回収装置であって、
前記溶媒に前記燃料が溶解可能な圧力でありかつ前記溶媒に前記燃料が溶けている前記混合流体に酸素が添加されると前記燃料が酸化し得る圧力である可溶化圧力以上の圧力で前記混合流体を連続して吐出する混合流体吐出部と、
前記混合流体を、順次、前記可溶化圧力以上の圧力がかかった前記溶媒に前記燃料が溶解し始める温度である可溶化温度以上の温度に加熱する加熱部と、
前記混合流体へ酸素を連続して添加する酸素添加部と、
前記酸素が添加され前記燃料が酸化した前記混合流体から熱エネルギを順次回収するエネルギ回収部とを備えることを特徴とするエネルギ回収装置。
【請求項2】
前記混合流体吐出部が、
前記混合流体を前記可溶化圧力以上の圧力で順次吐出する複数の吐出シリンダポンプと、
前記複数の吐出シリンダポンプに対し、前記吐出シリンダポンプによる前記混合流体の吐出流量以上の吐出流量で前記混合流体を供給する供給装置とを有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギ回収装置。
【請求項3】
前記供給装置が、
前記混合流体を蓄える蓄積部と、
前記蓄積部に蓄えられている前記混合流体へ気体を供給することにより前記混合流体を前記蓄積部から前記吐出シリンダポンプへ押出す気体供給機器とを有することを特徴とする請求項2に記載のエネルギ回収装置。
【請求項4】
前記蓄積部が複数の蓄積タンクを有していることを特徴とする請求項3に記載のエネルギ回収装置。
【請求項5】
前記混合流体吐出部が、
前記吐出シリンダポンプから見て前記混合流体の供給側に設けられる、前記吐出シリンダポンプに入ろうとする前記混合流体の逆流を防止する供給側逆流防止弁と、
前記吐出シリンダポンプから見て前記混合流体の吐出側に設けられる、前記吐出シリンダポンプが吐出した前記混合流体の逆流を防止する吐出側逆流防止弁とをさらに有することを特徴とする請求項2に記載のエネルギ回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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