説明

エピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミドの抗腫瘍性誘導体の合成方法

本発明は、抗腫瘍剤としての治療法への応用が有効である、エピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド化合物の新規の調製方法を説明するものである。この方法は、アミノ官能基が保護されていない第一級アミン反応物を、4β−クロロアセトアミド−4’−エピポドフィロトキシンと、非プロトン性極性溶媒中で縮合する過程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学式1のエピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体および該誘導体の薬学的に許容可能な塩の新規の調製方法に関するものである。
【0002】
【化1】

【0003】
該化学式において、Rは水素原子または−(CH−NH基を表し、2≦a,b,c≦5である。
【0004】
これらの化合物は、一部はエピポドフィロトキシンタイプのリグナン部によって、そしてもう一部は、アセトアミドのモチーフを有する、エピポドフィロトキシンの4位に共有結合されたポリアミン部で構成されている。
【0005】
ポリアミン鎖が存在することで、特に塩酸塩に対する該ポリアミンの水溶特性、ならびに、ガン治療に特に利点のある薬学的特性が分子にもたらされる。
【背景技術】
【0006】
これらの化合物は国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されており、特に充実性腫瘍またはメラノーマのような非充実性腫瘍、結腸ガン、肺ガン、前立腺ガン、膀胱ガン、乳ガン、子宮ガン、胃ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、卵巣ガンの治療、ならびに、白血病、リンパ腫および骨髄腫、耳鼻咽喉領域のガンおよび脳腫瘍の治療において有効な抗腫瘍性化合物である。
【0007】
化学式1の化合物を調製するための国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されている合成方法では、化学式2のポドフィロトキシンが原料として用いられる。
【0008】
【化2】

【0009】
また、該方法では化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンが用いられる。
【0010】
【化3】

【0011】
該4’−デメチルエピポドフィロトキシンにおいて、クロロアセトニトリルを酸性溶媒で反応させることで、化学式4の4−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンの合成中間体が得られる。
【0012】
【化4】

【0013】
次に、この化合物を化学式5の第一級アミン反応物と縮合させる。
【0014】
【化5】

【0015】
該化学式5において、R’は水素または−(CH−NHP鎖を表し、Pはアミノ官能基の保護基を表す。
【0016】
適切な保護基は、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブチルオキシカルボニル基とすることができる。この縮合は、ルイス塩基(トリエチルアミン)の存在下にある非プロトン性極性溶媒(アセトニトリル、DMF)を含んだ溶媒の混合物の中で行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしこの方法には、過程の数が多く、したがって全体収率がかなり低いということの他に、二つの不都合がある。
【0018】
一方では、国際公開第2005/100363号パンフレットで用いられている条件が化学式1のエピポドフィロトキシン誘導体の2位にある炭素のエピ化に適しており、化学式7の「ピクロ」と名付けられたシス−ラクトン形状へとつながる。
【0019】
【化6】

【0020】
したがって、求められるトランスラクトン生成物の精製は難しく、手間がかかり、コストもかかるクロマトグラフィー操作が必要である。
【0021】
他方では、上述した方法では、既に形成されている化学式1の生成物に対してもう一つの分子である4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンの反応によって、ビスアルキル化タイプの副生成物ももたらされる。したがって、二次生成物の取得を最小限に抑えて原料の完全な変換を行うには、化学式5の第一級アミン余剰反応物の使用が必要となり、このことは、余剰アミンを回収するという難しい過程を必要とし、この方法が不経済となる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
予期しなかったことに、本出願人は、a、bおよびRが先述したものと同じ意味を有するが、アミノ官能基が保護されていない化学式6に対応する第一級アミン反応物を用いることで潜在的な二次生成物が最小化され、該二次生成物があっても最終的な純化された化合物を得るための主要な障害とはならないことを確認した。
【0023】
【化7】

【0024】
化学式4の4−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと第一級アミン反応物との直接縮合は、該化合物のアミノ官能基を保護する補助過程を必要とせず、得られる生成物の収率および純度という点で満足できる条件で行うことができる。したがって、国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されているように方法を実施するとき、a=3、b=4、c=3である化合物の場合、11の過程を含む全体収率がおよそ15%の合成から、わずか3つの過程で30%の全体収率を得ることを可能にする本発明の目的である合成に移行することになる。
【0025】
本発明の目的である合成の枠組みでは、反応物の化学量論的量が利用され、これによって該反応物のコストが最小化される。
【0026】
反応の卓越した生成物は、第一級アミンの大半の置換によって直鎖化合物を形成するアルキル化生成物である。このような反応性の選択可能性は、国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されている合成経路を用いて得られる二次生成物を考慮すれば驚くべきことである。保護されていないアミンの使用の多くは、求められている生成物へとつながるのである。
【0027】
また、この方法は、第一級アミン反応物を保護する過程が必要でなくなるため、過程の数が抑えられるという利点も有している。
【0028】
したがって、本発明は、化学式4の中間体4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、アミノ官能基の事前の保護を含んでいない化学式6の第一級アミン反応物を縮合する過程を含む、化学式1の化合物の合成方法に関するものである。
【0029】
化学式1の化合物は、好ましくは塩酸塩の形状で得られる。
【0030】
この縮合反応は直接行われ、用いられる化学式6の第一級アミン反応物のいかなるアミノ官能基も、どのようなものであれ、適切な保護基による保護を必要としない。
【0031】
好ましくは、化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の保護されていない第一級アミン反応物を縮合する過程は、非プロトン性極性溶媒の中で行われる。
【0032】
好ましくは、縮合過程の際に用いられる非プロトン性極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンあるいはジメチルスルホキシドから選択される。
【0033】
また好ましくは、縮合反応は−20℃と30℃の間に含まれる温度の範囲で行われる。数十グラムの量について操作が行われるときには発熱が観察されるため、反応温度を制御することが好ましい。したがって、より好ましくは、温度は0℃に維持される。
【0034】
また、本発明は、化学式4の中間体4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の第一級アミン反応物との縮合過程の後に化合物1の回収過程が行われる、化学式1の化合物の合成方法にも関するものである。
【0035】
化学式1の生成物の回収過程は、好ましくは、メタノールまたはエタノールのようなアルコール溶媒中での沈殿によって行われ、該沈殿の後に、酸性溶媒において逆相でのクロマトグラフィー過程が続く。化合物は塩酸のような酸性溶液中で精製される。該化合物は、「ピクロ」誘導体につながるラクトン部位においてエピ化の危険にさらされない。最後の凍結乾燥によって求められる化合物の塩を単離することができる。
【0036】
また好ましくは、化学式6の保護されていない第一級アミン反応物として、以下の化学式8および化学式9のスペルミンまたはスペルミジンが用いられる。
【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
スペルミジンとの縮合の場合、化学式1の2つの異性体化合物である非対称ポリアミンが同量得られる(a=3、b=4、R=Hおよびa=4、b=3、R=Hである化合物)。
【0040】
スペルミンとの縮合の場合、得られるのはa=3、b=4そしてR=(CH−NHである化合物である。
【0041】
したがって、本発明はまた、a=3、b=4、R=Hである化合物、すなわち2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成方法にも関するものであり、該方法は、化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとスペルミジンの縮合過程と、該過程に続くこの化合物の回収過程を含んでいる。
【0042】
本発明はまた、a=4、b=3、R=Hである化合物、すなわち2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成方法にも関するものであり、該方法は、化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとスペルミジンの縮合過程と、該過程に続くこの化合物の回収過程を含んでいる。
【0043】
また、本発明は、a=3、b=4、R=(CH−NHである化合物、すなわち2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成方法にも関するものであり、該方法は、化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとスペルミンの縮合過程と、該過程に続くこの化合物の回収過程を含んでいる。
【0044】
本発明は、第一級アミン反応物と化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンの間の縮合過程を実施する方法にしたがって、一般化学式1の化合物の調製に対する化学式6の第一級アミン反応物の使用にも関するものである。
【0045】
また、本発明は、化学式2のポドフィロトキシンから化学式1の化合物を調製する方法にも関するものであり、該方法は、以下の過程を含み、また、過程c)で用いられる第一級アミン反応物が化学式6の反応物であることを特徴とする。過程c)の縮合は、用いられる第一級アミン反応物のアミン機能を何らかの保護基によって保護する過程なしに、直接行われる。
a)化学式2のポドフィロトキシンから化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程。
b)4’−デメチルエピポドフィロトキシンを化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程。
c)4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の第一級アミン反応物を縮合する過程。
【0046】
過程a)は、好ましくは国際公開第97/21713号パンフレットに記載の方法、つまり、有機酸もしくは無機酸の存在下または水の存在下、水混和性有機溶剤を使用もしくは使用せずに、一組の試薬すなわち強酸および脂肪族、芳香族もしくは官能化スルフィドを用いたポドフィロトキシン処理を用いた方法によって行なわれる。
【0047】
過程b)は、好ましくは国際公開第2005/100363号パンフレットに記載の方法、つまり、酸性溶媒におけるクロロアセトニトリルによって先行過程で得られた4’−デメチルエピポドフィロトキシンの反応によって行われる。
【0048】
過程c)ならびに後続する回収過程は前述したように行われ、用いられる第一級アミン反応物はアミノ官能基に対していかなる保護も含んでいない。
【0049】
回収過程の後、一般化学式1の化合物は、場合によっては無機酸または有機酸によって塩化される。
【0050】
好ましくは、縮合過程c)は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドから選択される非プロトン性極性溶媒で行われる。
【0051】
また好ましくは、縮合反応は、−20℃と30℃の間に含まれる範囲の温度で、より特徴的には0℃で行われる。
【0052】
化学式1の化合物の回収過程は、好ましくは、メタノールまたはエタノールのようなアルコール溶媒中での沈殿によって行われ、これに酸性溶媒における逆相クロマトグラフィー過程が続く。化合物は塩酸のような酸性溶液中で精製される。
【0053】
また好ましくは、縮合過程c)で用いられる化学式6の保護されていない第一級アミン反応物は、スペルミンまたはスペルミジンである。
【0054】
過程c)で用いられるのがスペルミジンであるとき、a=3、b=4、R=Hと、a=4、b=3、R=Hである化学式1の2つの異性体化合物が同量得られることになる。
【0055】
スペルミンによる縮合の場合、得られるのはa=3、b=4かつR=(CH−NHである化合物である。
【0056】
また、本発明は、前述した過程a)、b)そしてc)にしたがったポドフィロトキシンからの一般化学式1の化合物の調製における、化学式6の第一級アミン反応物の使用も対象としている。
【0057】
また、本発明はa=3、b=4、R=Hである化合物、または、a=4、b=3かつR=Hである化合物、すなわち、2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミド、または、2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成方法にも関するものであり、該方法は、
a)化学式2のポドフィロトキシンから化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程と、
b)4’−デメチルエピポドフィロトキシンを化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程と、
c)化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンをスペルミジンと縮合する過程
を含んでいる。
【0058】
これら3つの過程の後に、2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドまたは2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの回収過程が続き、これらの生成物は、場合によっては無機酸または有機酸によって塩化される。
【0059】
また、本発明は、a=3、b=4かつR=(CH−NHである化合物、すなわち、2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成方法にも関するものであり、該方法は、
a)化学式2のポドフィロトキシンから化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程と、
b)4’−デメチルエピポドフィロトキシンを化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程と、
c)化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンをスペルミンと縮合する過程
を含み、該過程の後に、2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの回収過程と、場合によっては塩化過程が続く。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の実施例は本発明の範囲を限定することなく、本発明を例示するものである。
【実施例1】
【0061】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンおよび保護されていないアミノ官能基を有するスペルミンからの、塩酸塩の形状のa=3、b=4、c=3である化学式1の化合物、すなわち2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成。
合成のスキーマは次の通りである。
【0062】
【化10】

【0063】
5mLのDMF溶液中にある1g(2.1mmol)の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに、5mLのDMF中にある化学式8のスペルミンを0.43g(2.1mmol)加えた。攪拌を5時間維持した。それから20mLのEtOHを加え、次に、pHがわずかに酸性になるまでイソプロパノール/HCl溶液を添加した。塩酸塩が沈殿した。結晶を濾過し、乾燥することで、粗化合物1を1.9g得た。分取HPLCによって精製を行った(Lichrospher 100 RP 18、HCl溶出:c=5mM)。画分を凍結乾燥し、次にエチルエーテルにとり、97%の純度、40%の収率で非晶形の化合物1の塩酸塩が得られた。
【0064】
F℃:267℃.H NMR:(DMSO)δ9.07(d,1H,J=8.32 Hz,NHCO),8.27(s,1H,ArOH),6.80(s,1H,H),6.55(s,1H,H),6.23(s,2H,H2’,H6’),6.01(d,2H,J=12 Hz,OCHO),5.23(dd,1H,J=5.3および8.1 Hz,H),4.52(d,1H,J=5.2 Hz,H),4.28(t,1H,J=8 Hz,H11a),3.94(dd,1H,J=8.8および10.4 Hz,H11b),3.8(m,2H,CHCO),3.63(s,6H,2xOCH),3.22(dd,1H,j=5および14.4 Hz,H),3.06(m,3H,HおよびCHNH),2.99(m,4H,CHNH),2.89(m,6H,CHNH),2.08(t,J=7.6 Hz,2H,CH飽和),1.99(q,2H,J=7.2 Hz,CH飽和),1.73(m,4H,CH飽和).MS−ESI(m/z)642.2(MH+).分析:C3347,4HCl,計算値 C%50.32,H%6.53,N%8.89.測定値 C%50.264,H%6.57,N%8.66。
【実施例2】
【0065】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンおよび保護されていないアミノ官能基を有するスペルミジンから、
塩酸塩の形状の、a=3、b=4、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミド、
a=4、b=3、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを調製する方法。
この合成のスキーマは次の通りである。
【0066】
【化11】

【0067】
実施例1の誘導体に対するものと同一の条件において、しかしスペルミンを化学式9のスペルミジンに置換することで、化学式1の化合物を得た(生成物A:a=3、b=4、R=H、生成物B:a=4、b=3、R=H)。実施例1と同様、40%の全体収率で、これら2つの生成物を均等の割合で単離した。
【0068】
これらの生成物は、あらゆる点で、それぞれ国際公開第2005/100363号パンフレットの実施例31と実施例32で得られている化合物と同一である。
【0069】
これらの実施例1および実施例2は、スペルミンまたはスペルミジンの代わりに、対応する化学式6の保護されていない第一級アミン反応物を用いることで、化学式1のあらゆる化合物の合成に転置することができる。
【実施例3】
【0070】
ポドフィロトキシンからの、
3つの過程による塩酸塩の形状の、a=3、b=4、c=3である化学式1の化合物、すなわち2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの合成。
【0071】
第一段階。
合成のスキーマは次の通りである。
【0072】
【化12】

【0073】
10g(24nmol)のポドフィロトキシンを60mlのトリフルオロ酢酸に溶解した。5.4ml(72mmol)のメタンスルホン酸を徐々に加えた。9時間にわたって攪拌を維持し、再び5.4ml(72mmol)の硫化ジメチルを添加し、9時間攪拌を維持した。溶媒を氷(600ml)に広げ、酢酸エチル(3×300ml)によって抽出した。有機相を水で洗浄し、次に、中性となるまでNaHCO溶液で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過、蒸発させた後、次の段階ですぐに使う4’−デメチルエピポドフィロトキシンを6.3g得た。
【0074】
第2段階。
30gの4’−デメチルエピポドフィロトキシンを47.4mlのクロロアセトニトリルに加え、次に、攪拌下において、濃縮した硫酸を3滴加えた。攪拌は室温で3時間維持した。それから、300mlのイソプロパノールを攪拌下で添加した。得られた沈殿物を濾過し、200mlのイソプロパノールで洗浄した。中性pHとなるまで沈殿物を水で洗浄し、次にエチルエーテルで洗浄した。真空下で乾燥後、4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに対応する白色固体(PF=240℃)が34.2g(収率96%)得られた。
【0075】
第3段階。
先行過程で得られた4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンから、化学式1の生成物(a=3、b=4、c=3)を得るための実施例1で説明した方法にしたがって合成を遂行した。
【0076】
この実施例は、対応する化学式6の保護されていない第一級アミン反応物を用いて化学式1のあらゆる化合物に転置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】国際公開第2005/100363号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/21713号パンフレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

Rが水素原子または−(CH−NH基であり、2≦a,b,c≦5である、化学式1のエピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体および該誘導体の薬学的に許容可能な塩の調製方法であり、
【化2】

化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンを、a、b、cおよびRが前述したものと同じ意味を有し、アミノ官能基の事前の保護を含んでいない化学式6、
【化3】

の第一級アミン反応物と縮合する過程を含むことを特徴とする調製方法。
【請求項2】
塩酸塩の形状で得られることを特徴とする、請求項1に記載の化学式1のエピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体の調製方法。
【請求項3】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の第一級アミン反応物との縮合過程が、好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドから選択される非プロトン性極性溶媒の中で行われることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の第一級アミン反応物との縮合反応が、−20℃と+30℃の間に含まれる温度の範囲、好ましくは0℃で行われることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の第一級アミン反応物との縮合反応の後に、一般化学式1の生成物を回収する過程が続くことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
化学式1の化合物の回収が、アルコール溶媒中での沈殿と、該沈殿に続く酸性溶媒における逆相クロマトグラフィーによって行われることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとの縮合過程の際に用いられる一般化学式6の第一級アミン反応物が、スペルミンまたはスペルミンであることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとスペルミジンとの縮合過程を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の、a=3、b=4、c=3である化学式1の化合物、すなわち2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製方法。
【請求項9】
化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとスペルミジンとの縮合過程を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の、a=3、b=4、R=Hである化学式1の化合物、すなわち、2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製方法。
【請求項10】
化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとスペルミジンとの縮合過程を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の、a=4、b=3、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製方法。
【請求項11】
a)化学式2のポドフィロトキシンから化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程と、
【化4】

【化5】

b)過程a)で得られた化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンを、化学式4の4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程と、
【化6】

c)過程b)で得られた4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンを化学式6の第一級アミン反応物と縮合する過程
を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の化学式1の化合物の調製方法。
【請求項12】
a)ポドフィロトキシンから4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程と、
b)過程a)で得られた4’−デメチルエピポドフィロトキシンを4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程と、
c)過程b)で得られた4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンをスペルミンと縮合する過程を含むことを特徴とする、請求項11に記載の、a=3、b=4かつc=3である化学式1の化合物、すなわち2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製方法。
【請求項13】
a)ポドフィロトキシンから4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程と、
b)過程a)で得られた4’−デメチルエピポドフィロトキシンを4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程と、
c)過程b)で得られた4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンをスペルミジンと縮合する過程
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の、a=3、b=4かつR=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製方法。
【請求項14】
a)ポドフィロトキシンから4’−デメチルエピポドフィロトキシンを調製する過程と、
b)過程a)で得られた4’−デメチルエピポドフィロトキシンを4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに変換する過程と、
c)過程b)で得られた4β−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンをスペルミジンと縮合する過程
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の、a=4、b=3かつR=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製方法。
【請求項15】
請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の一般化学式1の化合物を調製するための、一般化学式6の化合物の使用方法。
【請求項16】
請求項11〜請求項14のいずれか一つに記載の一般化学式1の化合物を調製するための、一般化学式6の化合物の使用方法。

【公表番号】特表2010−540505(P2010−540505A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526341(P2010−526341)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051697
【国際公開番号】WO2009/050363
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504249145)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE MEDICAMENT
【Fターム(参考)】